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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C12N
審判 全部申し立て 判示事項別分類コード:533  C12N
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  C12N
審判 全部申し立て 特174条1項  C12N
管理番号 1053239
異議申立番号 異議2000-72558  
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1991-05-09 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-06-26 
確定日 2001-11-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2993967号「ダニアレルゲンのクローニング」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2993967号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第2993967号に係る出願は、1988年6月17日(パリ条約による優先権主張1987年6月17日、オーストラリア国)を国際出願日とする出願であって、平成11年10月22日にその特許の設定登録がなされ、その後、原田清子及び沢村嘉朗より特許異議申立がなされ、取消理由通知がなされ、訂正請求がなされたものである。
II.訂正請求
1.訂正の内容
(1) 特許請求の範囲の請求項1に係る記載
「第1図もしくは第7図に示されたアミノ酸配列または第1図のアミノ酸残基1〜222もしくは第7図のアミノ酸残基1〜129に対応するその成熟部分を含むデルマトファゴイデス属のタンパクアレルゲンをコードする単離された核酸。」を、
「第1図に示されたアミノ酸配列または第1図のアミノ酸残基1〜222に対応するその成熟部分を含むデルマトファゴイデス属のタンパクアレルゲンをコードする単離された核酸。」と訂正する。
(2)同請求項2に係る記載
「第1図または第7図に示されたヌクレオチド配列または第1図のヌクレオチド塩基1〜735もしくは第7図のヌクレオチド塩基72〜506に対応するコード領域を含む、デルマトファゴイデス属のタンパクアレルゲンをコードする単離された核酸。」を、
「第1図に示されたヌクレオチド配列または第1図のヌクレオチド塩基1〜735に対応するコード領域を含む、デルマトファゴイデス属のタンパクアレルゲンをコードする単離された核酸。」と訂正する。
(3)同請求項3を削除する。
(4)同請求項4に係る記載
「タンパクアレルゲン又は抗原性ペプチドを製造する方法であって、
a)請求項1〜3のいずれかに記載の核酸で形質転換された宿主細胞を適当な培地中で培養して細胞および該タンパクアレルゲンまたはその抗原性ペプチドを含む培地の混合物を製造する工程;および
b)該混合物を精製して単離されたタンパクアレルゲンまたは抗原性ペプチドを製造する工程を含む方法。」を、
「タンパクアレルゲン又は抗原性ペプチドを製造する方法であって、
a)請求項1または2に記載の核酸で形質転換された宿主細胞を適当な培地中で培養して細胞および該タンパクアレルゲンまたはその抗原性ペプチドを含む培地の混合物を製造する工程;および
b)該混合物を精製して単離されたタンパクアレルゲンまたは抗原性ペプチドを製造する工程を含む方法。」と訂正する。
2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項(1)、(2)は、択一的記載の要素である「第7図」、「第7図のアミノ酸残基1〜129」、及び「第7図のヌクレオチド塩基72〜506」を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当し、同(3)は、請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当し、また、同(4)は、(1)乃至(3)の訂正に伴う訂正である。
そして、これらの訂正は新規事項に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。
3.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求は、特許法120条の4,2項、及び同条3項で準用する126条2項、3項の規定に適合するので、請求のとおり当該訂正を認める。

III.特許異議申立
1.原田清子よりの特許異議申立
特許異議申立人 原田清子は、甲第1号証乃至甲第3号証を提出し、(1)訂正前の本件請求項1乃至3に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法29条2項の規定に違反する、或いは、(2)同請求項3に係る発明に関し、明細書又は図面の記載が不備であるから同法36条3項及び4項に規定の要件を満たしていない、と主張している。

甲第1号証:Mite Allergy-A World-Wide Problem、The UCB Institute of Allergy、pp.27-29,09-1987
甲第2号証:Int.Archs Allergy appl.Immun.,vol.83,pp.384-389,1987
甲第3号証:オーストラリア特許出願明細書(PI12523、1987年6月17日出願)
A.甲各号証の記載内容
甲第1号証には、「表3.ダニアレルゲンのN-末端配列」の「第2群アレルゲン」の項に、
「DerpII:D1QVDVKD?AN10HEIKKVLPG20
・・・
DerpII:?HGSEP?IIH30RGKPFQLEAV40 」が、
甲第2号証には、家塵埃ダニ、デルマトファゴイデス・プテロニッシヌスからpolyA+mRNAを抽出し、in vitro翻訳を行うこと、抗血清を得ること、抗ヒトIgE特異的試薬を用いてin vitro翻訳産物を免疫沈降し得ることが、それぞれ記載されている。
(なお、甲第3号証は、本件の優先権主張の基礎とされたオーストラリア特許出願明細書である。)
B.判断
(1)特許法29条2項について
特許異議申立人は、オーストラリアにおける出願明細書(甲第3号証)には、DerpIに関する発明が記載されているのみであり、DerpIIアレルゲンのアミノ酸配列、またはこれをコードする核酸配列は、勿論のこと、DerpII自体に関する記載が存在しないから、DerpIIに係る発明についての特許要件を判断すべき時点は、優先権の主張が認められない現実の出願日を基準とすべきであり、そうすると、DerpIIをコードする核酸に係る訂正前の請求項1乃至2に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである、と主張している。
しかし、訂正後の本件特許請求の範囲の請求項1乃至2に係る発明(以下、「本件発明1乃至2」という。)は、「第1図に示されたアミノ酸配列または第1図のアミノ酸残基1〜222に対応するその成熟部分を含むデルマトファゴイデス属のタンパクアレルゲンをコードする単離された核酸」乃至「第1図に示されたヌクレオチド配列または第1図のヌクレオチド塩基1〜735に対応するコード領域を含む、デルマトファゴイデス属のタンパクアレルゲンをコードする単離された核酸」であるところ、「第1図」は、本件明細書の記載に徴し、デルマトファゴイデス・プテロニシヌス由来の「DerpI」に係るアミノ酸配列或いはヌクレオチド配列に関するものであって、「DerpII」に係るアミノ酸配列或いはヌクレオチド配列は含まれないことになった。
したがって、もはや特許異議申立人の上記主張は採用できないから、本件発明1及び2は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
また、本件請求項3に係る発明(以下、「本件発明3」という。)は、本件発明1及び2を引用する「方法」に関するものであるから、本件発明1及び2についての判断と同様の理由により、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
(2)特許法36条3項及び4項について
訂正前の請求項3は、上記訂正請求にて削除されたので、もはや特許法36条3項及び4項に関する異議申立には理由がない。
2.沢村嘉朗よりの特許異議申立
特許異議申立人 沢村嘉朗は、甲第1号証乃至甲第6号証を提出し、(1)訂正前の本件請求項1乃至4に係る発明は、特許法17条の2、3項の規定に違反する、(2)同請求項1乃至4に係る発明は、甲第1号証乃至甲第6号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法29条2項の規定に違反する、或いは、(3)同請求項3に係る発明に関し、明細書又は図面の記載が不備であるから同法36条4項に規定の要件を満たしていない、と主張している。

甲第1号証:特表平3-501920号公報
甲第2号証:本件優先権書類
甲第3号証:Mite Allergy-A World-Wide Problem、The UCB Institute of Allergy、pp.27-29,09-1987
甲第4号証:Int.Archs Allergy appl.Immun.,vol.83,pp.384-389,1987
甲第5号証:「最新遺伝子操作実験実用ハンドブック」(昭和60年11月8日ジャテック出版発行)
甲第6号証:「特定技術分野の審査の運用指針」「第2章 生物関連発明」
A.判断
(1)特許法17条の2,3項について
特許異議申立人は、訂正前の請求項3に係る「請求項1または2に記載の核酸によってコードされるタンパクアレルゲンを認識する抗体によって認識されるタンパクアレルゲンをコードする核酸」は本件特許の願書に最初に添付した明細書又は図面には全く開示がない事項である、と主張している。
しかし、訂正前の請求項3は、上記訂正請求にて削除されたので、もはや特許法17条の2,3項に関する異議申立には理由がない。
(2)特許法29条2項について
甲第3号証及び甲第4号証は、「1.」の甲第1号証及び甲第2号証に相当し、甲第5号証には、一般的な遺伝子組換え技術が記載されているものの、「DerpI」に関し言及するところは全くなく、また、甲第6号証は、「特定技術分野の審査の運用指針」である。
そうすると、本件発明1乃至3は、甲第3号証乃至甲第6号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
なお、甲第1号証は、本件の公表公報、及び甲第2号証は、本件優先権書類であるところ、「1.(1)」で判断したように、本件発明1乃至3は、甲第1号証及び甲第2号証を根拠に、本件発明1乃至3が、当業者にとって容易に発明をすることができたとはいえない。
(3)特許法36条4項について
訂正前の請求項3は、上記訂正請求にて削除されたので、もはや特許法36条4項に関する異議申立には理由がない。
3.まとめ
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件発明1乃至3についての特許を取り消すことはできない。
また他に本件発明1乃至3についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ダニアレルゲンのクローニング
【発明の詳細な説明】
本発明は、ダニアレルゲンのクローニングに関するものであり、詳しくは、家塵埃ダニ(ハウス・ダスト・マイト)アレルゲンをコードしているDNAのクローニングおよび発現に関するものである。
デルマトファゴイデス(Dermatophagoides)属のダニに対するアレルギーが、喘息、鼻炎、およびアトピー性皮膚炎のような疾患に関連していることは以前から認識されている(13、14)。これに関して、デルマトファゴイデス・プテロニシヌス(D.pteronyssinus)およびデルマトファゴイデス・ファリナーエ(D.farinae)が主要な種であり、これらが産生するアレルゲンを同定するために多くの研究が行われてきた。標準化されたアレルゲンを得ることの困難さのために、家塵埃ダニに対するアレルギーの研究の発達が妨げられてきた(1)。約6種類の抗原が、ほとんどのIgE抗ダニ抗体反応を誘発し(2、3)、ダニの糞中に存在するこれらのうちの1つ、Derp I(約27kDaの糖タンパク)が、通常主要な抗原として、アレルギー性血清の約80〜90%と反応する。また、これは糞の成分であるため、容易に空中に舞い、溶解し易く(4)、したがって、ダニの身体にあるアレルゲンよりも得易い形態で存在する。
ほとんどの人口の5〜10%が喘息、即ち、家塵埃ダニ、デルマトファゴイデス・プテロニシヌスに対するアレルギーと密接に関連していることが多い症状を呈する。この型のアレルギーは、ダニの成分と反応するIgE抗体によって媒介される。したがって、ハチ刺創に対する類似のアレルギーを、ハチ毒物を繰返し投与し、漸次的に増量することによって脱感作することができるのとほとんど同じ様にして、喘息に関して脱感作治療が成功するであろうという可能性がある。
したがって、本発明は、このような脱感作治療およびアレルギーの検出に関する診断試験に用いるのに適している家塵埃ダニのアレルゲン、特に、Derp IおよびDerp IIアレルゲンの製造方法を提供するものである。
本発明は、デルマトファゴイデス属の家塵埃ダニのアレルゲンの抗原性を示すポリペプチドもしくはその少なくとも1つのエピトープを含むペプチドとして発現され得るヌクレオチド配列、またはストリンジェンシー(厳格性)の高い条件下でこのような配列とハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む組換えDNA分子を提供するものである。1つの具体的な態様では、このヌクレオチド配列は家塵埃ダニの主要なDerp IもしくはDerp IIアレルゲンとして、またはその少なくとも1つのエピトープを含むペプチドとして発現され得る。例えば、ヌクレオチド配列は、第1図または第7図に示される配列の実質的に全部または一部を有することで特徴付けてもよい。
本発明に至る研究において、デルマトファゴイデス・プテロニシヌス由来のDerp IおよびDerp IIアレルゲンの発現をコードするヌクレオチド配列を含んでいる組換えDNA分子を構築した。デルマトファゴイデス・ファリナーエ種およびデルマトファゴイデス・ミクロセルス(Dermatophagoides microcerus)種ならびに同科の別の家塵埃ダニ、ユーログリファス・マイネイ(Euroglyphus maynei)は、抗原交差反応性および高度なアミノ酸相同性(ホモロジー)を有する類似のアレルゲンを産生する。したがって、本発明は、デルマトファゴイデス・プテロニシヌスからのアレルゲンだけではなく、ストリンジェンシーの高い条件下で、デルマトファゴイデス・プテロニシヌスのDNAとハイブリダイズするDNAによってコードされた別のダニアレルゲンをも含む。
また、本発明は、上記のようなヌクレオチド配列およびこれと機能的に連結している発現調節配列を含むバクテリオファージのような発現ベクターを提供するものでもある。さらに、本発明は、上記発現ベクターを含む宿主細胞を提供するものである。
さらに、本発明は、デルマトファゴイデス属の家塵埃ダニのアレルゲン、特に主要なDerp IもしくはDerp IIアレルゲン、または抗原交差反応性および高度なアミノ酸相同性を有する別の家塵埃ダニ由来のアレルゲン、の全部または一部の抗原性を示す合成タンパクまたはポリペプチドを提供するものである。このような合成生成物は、家塵挨ダニのアレルゲンの全部または一部の抗原性を示すポリペプチド成分と、それに融合している、発現ベクターのDNAによってコードされたβ-ガラクトシダーゼのような別のポリペプチドからなる融合タンパクであってもよい。
上記合成タンパクまたはポリペプチド、特に上記融合タンパクの製造方法は、上記発現ベクターを含む宿主細胞を培養する工程、および培養物から合成タンパクまたはポリペプチドを回収する工程からなる。
本明細書で用いる「合成」という用語は、本明細書に記載のヌクレオチド配列のクローニングおよび発現によって産生されたタンパクまたはポリペプチドに用いる。
本発明に従って産生された合成タンパクもしくはポリペプチド、即ち「合成アレルゲン」は、天然アレルゲンの抗原性を示す。例えば、主要なアレルゲンDerp IをコードしているcDNAクローンは融合タンパクを産生し、これはウサギ抗-Derp I抗血清と反応する。したがって、このような融合タンパクは、診断試験および治療用(例えば、脱感作)組成物および処置における抗原成分として用いることができる。
具体的には、合成アレルゲンは、天然ダニアレルゲンとの抗原類似性およびダニに対するアレルギーを有するヒトの血清から得たIgEと反応する能力によって示されるように、インビトロおよびインビボでの診断試薬として用いることができる。また、これらは、成熟Derp Iに対するマウスのIgE応答を抑制する合成Derp Iの能力によって示されるように、脱感作による治療物質として用いることができる。
本発明のその他の特徴は、発明を例示するために記載した以下の実施例から明らかとなろう。図面については、以下のとおりである。
第1図は、cDNA λgt11p1(13T)のヌクレオチド配列および予想されるアミノ酸配列を示す。右側の番号は、ヌクレオチドの位置であり、配列の上の番号はアミノ酸の位置である。正のアミノ酸残基番号は、トレオニンから始まる分泌された成熟Derp Iの配列に対応する。負の配列番号は、Derp Iの予想される一時的なプレ酵素およびプレプロ酵素形を示す。矢印は、各々、予想されたプロ酵素配列および成熟Derp Iの開始を示す。オープンボックスで囲まれている残基-15〜-13は、プロ酵素形成のための開裂を構成し、破線を引いた残基52〜54は、潜在的なN-グリコシル化部位に相当する。終止TAAコドンおよび隣接したポリアデニル化シグナルには下線を引いた。アミノ酸残基1〜41、79〜95、111〜142および162〜179は、慣用のアミノ酸配列分析によって決定された既知のトリプシンのペプチド配列に対応する。
第2図は、クローン λgt11p1(13T)のcDNA挿入物の制限地図およびDNA配列決定のストラテジーを示す。矢印は、配列が読まれた方向を示す。
第3図は、Derp IとDerf IとのN-末端配列の比較である。Derp Iのアミノ酸配列は、第1図のアミノ酸1〜20と同一である。Derf I配列は、文献(12)から引用した。
第4図は、抗Derp 1とλgt11p1(13T)との反応性を示す。ファージについて生起されたY1089溶原からのリゼイトとウサギ抗-Derp 1(Derp I)または正常なウサギ血清(Nrs)とを、ドット-ブロット(dot-blot)によって反応させた。λgt11p1(13T)(a)またはλgt11(b)によって感染したバクテリアのリゼイトから3つのドット(2μl)を作成した。125I-タンパクAおよびオートラジオグラフィーにより展開すると、λgt11p1(13T)リゼイトと抗-Derp 1との反応だけが反応性を示した。
第5図は、アレルギ性血清中のIgEとクローンpGEX-p1(13T)との反応を示す。pGEXまたはpGEX-p1の一夜培養液をブロス中1/10に希釈し、37℃で2時間増殖させた。これらをIPTGによって誘発し、37℃で2時間増殖させた。バクテリアをペレット化し、培養培地の容量の1/10になるようにPBS中に再懸濁させた。バクテリアを凍結/解凍および音波処理によって溶菌した。ダニ-アレルギー性血清または非アレルギー性血清を用いて、これらのリゼイト2μlでラジオイムノ・ドット-ブロットを行った。1列目のドットは、pGEXを含む大腸菌からのものであり、2〜4列目のドットは、PGEX-p1(13T)によって感染した大腸菌の異なる培養物からのものである。pGEX-P1(13T)に対する反応性は、非アレルギー性血清ではなくアレルギー性血清中のIgEとで見られる。ベクター対照に対する反応性または非アレルギー性血清との反応性は見られなかった。
第6図は、プラークラジオイムノアッセイにおいてDerp IIをコードするcDNAクローンの血清反応性(seroreactivity)を示す。プラークリフトからのニトロセルロースフィルターのセグメントを、クローン1、3、A、Bおよびベクター対照Amp1から得た。これらを、1列目のアレルギー性血清(AM)、2列目の非アレルギー性血清(WT)と、ヒトIgEについてのイムノアッセイにより、および3列目のウサギ抗血清と、Derp IについてのタンパクAイムノアッセイによって反応させた。クローン1、3およびBは、アレルギー性血清と強く反応するが非アレルギー性またはベクター対照とは反応しなかった。(クローンBおよびベクター対照は、非アレルギー性血清による試験を行わなかった。)
第7図は、λgt11pII(Cl)のcDNAのヌクレオチド配列および予想されるアミノ酸配列を示す。右側の番号はヌクレオチドの位置であり、上の番号はアミノ酸の位置である。アミノ酸に関する正の番号は、既知のDerp IIのN-末端で始まり、既知の最初の40個の残基の配列と一致する。残基-1〜-16は、疎水性コアを有する典型的なリーダー配列に似ている。
第8図は、Derp IIおよびDerf IIのN-末端アミノ酸相同性を示す。(Derf II配列は文献30から引用)
実施例1
材料および方法
cDNAのクローニングおよび発現
コモンウエルス・シーラム・ラボラトリーズ(Commonwealth Serum Laboratories)[パークビル、オーストラリア]によって培養されたダニ デルマトファゴイデス・プテロニシヌスからポリアデニル化mRNAを単離し、キット[アマーシャム(Amersham)、インターナショナル、バックス]を用いてRNA-ase H法(5)によってcDNAを合成した。EcoRIリンカーを付加した後、cDNAをλgt11にライゲートし、大腸菌Y1090(r-)[プロメガ・バイオテック(Promega Biotec)、マディソン、ウィスコンシン]に植えつけ、5×105の組換え体ライブラリーをつくった。ウサギ抗-Derp 1抗血清を用い(7)、プラークラジオイムノアッセイによって(6)、スクリーニングを行った。125I-ブドウ球菌性タンパクAおよびオートラジオグラフィーによる展開(8)によって反応性を検出した。抗血清と反応性のあるプラークを産生するファージを、そのDNAが糞のDerp 1から得た3つのトリプシンペプチドから得られたアミノ酸配列をもとに構築された17-merオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする能力を有するかどうかについて検査した(17)。
すなわち、ゲル濾過、クロマトフォーカス処理(chromatofocusing)、およびTSK 3000 SWカラムによる高速液体タンパククロマトグラフィー、次いで高速逆相液体クロマトグラフィーによってDerp 1を単離した。標準的な技術(9)によって還元、カルボキシメチル化およびトリプシン消化を行い、Aが10mM KH2PO4(pH6.5)でありBがアセトニトリルである0〜60%A-Bの直線勾配液およびブラウンリー(Brownlee)Bu-300カラムを用いたHPLCによってペプチドを単離した。アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)(モデル470A)気相配列決定装置によってアミノ酸配列を決定した(9)。アプライド・バイオシステム・モデル370A合成器を用いてオリゴヌクレオチドを合成し、逆相HPLCによって精製した。ハイブリダイゼーションに関して、DNA 20ピコモルおよび1400Ci/ミリモルのγ-32P-ATP 20ピコモルを用い、ポリヌクレオチドキナーゼ(プロメガ・バイオテック)によってオリゴヌクレオチドを標識化した(10)。15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって、標識化したオリゴヌクレオチドを精製した。ニトロセルロース[シュライヒャー(Schleicher)およびシュール(Schull)、ダゼル、西ドイツ]上にプラークを拾い上げ、変性させ、焼いた(10)。6×塩化ナトリウム・クエン酸ナトリウム(SSC)(pH7)(10)、0.1%SDS中、37℃、106cpm/mlでハイブリダイゼーションを一晩行い、0.1%トリトン(Triton)X-100を含有する6×SSC中、37℃で1時間洗浄した。
ゲノムDNAの単離
改良グアニジウム-HCl/塩化セシウム(CsCl)法(15)によってダニゲノムDNAの抽出を行った。液体窒素および砂の存在下、生きているダニ10gを粉砕し、ペーストを形成した。次いで、0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.2)に入れた6Mグアニジン・塩酸塩8mlを添加し、混合物をホモジナイズし、ソーバル(Sorval)SS34ローター中、10,000rpmで30分間回転させた。上清を回収し、CsClパッド(10mM EDTA中、4.8M CsCl5ml)上に積層し、SW41 T1ローター[ベックマン・インストゥルメンツ・インコーポレイテッド(Beckman Instruments,Inc.)、フラートン、カリフォルニア]中、15℃で16時間、37,000rpmで遠心分離した。相内のDNAバンドを回収し、10mMトリス(Tris)HCl/1mM EDTA緩衝液(pH8.0)中、1:15に希釈した。標準的な方法によって、CsCl中のゲノムDNAのバンディングを行った。
λgt11p1 cDNAクローンからのDNAの単離
迅速な単離方法によって、λgt11p1クローン由来のファージDNAを調製した。透明なファージプレートリゼイト(1ml)と、2.5M NaClに入れた25重量/容量%ポリエチレングリコール(PEG6000)270μlとを混合し、室温で15分間インキュベートした。次いで、混合物をマイクロヒュージ[エッペンドルフ(Eppendorf、ドイツ連邦共和国]中で5分間回転させ、上清を除去した。このペレットを、1mM EDTAおよび100mM NaClを含有する10mMトリス/HCl(pH8.0)100μlに溶解した。このDNA調製物をフェノール/クロロホルム(1:1)で3回抽出し、DNAをエタノールによって沈澱させた。
DNAハイブリダイゼーション
ニック翻訳によって32Pで核酸を放射性標識化した(10)。供給者によって推奨された条件を用いて、適切な制限酵素でDNA試料を消化した。ゼータ-プローブ(Zeta-Probe)膜[バイオ-ラッド・ラボラトリーズ(Bio-Rad Laboratories)、リッチモンド、カリフォルニア]を用いてサザーン・ブロットを作成した。製造者の推奨に従って、プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション、ポストハイブリダイゼーション洗浄を行った(ブレチン1234、バイオ-ラッド・ラボラトリーズ)。
クローニングおよびDNA配列
クローンλgt11p1からプラスミドpUC8へ、0.8kb cDNA挿入物をクローンするために、EcoRI制限酵素でファージDNAを消化し、次いで、EcoRI消化pUC8 DNAにライゲートし、大腸菌JM83を形質転換するために用いた。得られた組換えプラスミドをpHDM 1と命名した。
DNA配列分析用のクローンを得るために、cDNA挿入物をpHDM 1から単離し、M13から誘導された配列決定用ベクターmp18およびmp19とライゲートした(16)。大腸菌JM107を用いて形質転換を行い、ジデオキシヌクレオチド鎖成長停止反応法によって配列決定を行った(11)。
結果
いくつかのファージクローンがウサギの抗Derp I血清と反応し、3つのオリゴヌクレオチドプローブ全てとハイブリダイズした。これらのうちの一つ、λgt11p1(13T)をさらに研究した。このクローン、λgt11p1からのcDNA挿入物のヌクレオチド配列を、第2図に示す配列決定ストラテジーを用いて決定した。完全な配列は857塩基の長さであり、69塩基の長さの5’近接末端配列、推定分子量が25,371である222アミノ酸からなる完全な天然Derp Iタンパクの暗号領域(coding region)、89塩基の長さの3’非暗号領域および33残基のポリ(A)尾部を含んでいることがわかった(第1図)。
Derp IのNH2末端アミノ酸としての位置1にあるトレオニン残基の帰属は、ダニの排泄物から単離した純粋なタンパクのNH2末端アミノ酸配列によって得られたデーターに基づいた(17)。予想したアミノ酸配列は、NH2末端領域のアミノ酸配列分析によって得られたデータ、およびトリプシンペプチドの分析によって得られた内部の配列と一致した(第1図)。完全な成熟タンパクは、ヌクレオチド位置736〜738のTAA停止コドンで終る単一のオープンリーディングフレームによってコードされている。現在、ヌクレオチド位置16〜18の第1ATGコドンが翻訳開始コドンであるかどうかは確かではない。これは、このATGコドンに隣接している配列(TTGATGA)が真核性翻訳開始部位に関するコザック・コンセンサス配列(Kozak consenses sequence)(ACCATGG)と相同性がないからである。また、5’近接末端配列は、典型的なシグナルペプチド配列をコードしていない(以下、参照)。
ヌクレオチド分析によって予想されるアミノ酸配列を第1図に示す。タンパクのデータ-ベースを調査することによって、Derp Iアミノ酸配列がシステインプロテアーゼ群との一致を示すことがわかった。以前のcDNA研究によって、リゾソームカテプシンB、マウスマクロファージプロテアーゼおよびアメーバーからのシステインプロテアーゼが一時的なプレ-およびプロ型中間体を有することがわかり(19〜21)、λgt11p1 cDNAクローンの5’近接末端のアミノ酸配列の検査によって、Derp Iが類似しているかもしれないことが示唆される。まず、成熟タンパク配列の前にある配列の親水性部分(22)が、シグナルペプチドの特徴的な疎水性領域を欠いており(23)、第2に、シグナルペプチダーゼ開裂部位の前にある最もよくある配列、Ala-X-Ala配列(24、25)が位置-13、-14、-15にある(第1図)。従って、プロ-Derp I配列とプレ-Derp I配列の間の開裂はAla(-13)とPhe(-12)との間で起こると考えられる。すなわち、プロ-Derp I配列は、残基Phe(-12)で始まり、残基Glu(-1)で終わる。故に、番号-13〜-23のアミノ酸残基は、部分的なシグナルペプチド配列に対応するのであろう。
857-bp cDNA挿入物を放射能標識化し、家塵埃ダニからのEcoRI消化ゲノムDNAのサザーンブロットに対してハイブリダイズし、1.5、0.5および0.35kbのバンドに対するハイブリダイゼーションが見られた(データーは示さない)。cDNA挿入物の制限酵素地図に示すように(第2図)、内部EcoRI部位がなく、観察された複数のハイブリダイゼーションバンドは、Derp Iが非隣接遺伝子によってコードされていることを示唆している。ハイブリダイゼーションが全長2.4kbを有するフラグメントに限られているので、この結果はまた、遺伝子重複の形跡が少ないことを示している。
N-末端は、デルマトファゴイデス・ファリナーエ(Derf 1)からの等価のタンパクのN-末端と比較することができる(12)。比較に使用することができる配列の11/20の位置において同一性がある(第3図)。
λgt11p1(13T)によって産生されるタンパクを試験するために、Y1089(r-)をファージで溶原化し、この細菌を30℃でブロス培養物中で増殖させた。温度切替えおよびイソプロピルチオガラクトピラノシド(IPTG)によってファージを誘導し(6)、培養物の容量の1/20になるようにバクテリアをPBS中に懸濁させて、抗原調製のために音波処理した。7.5%SDS-PAGE電気泳動によって試験して、λgt11p1(13T)がMr 116Kβ-ガラクトシダーゼバンドを生じず、代わりに、24kDa部分に相当するDerp Iとの融合タンパクと一致する140K バンドを生じたことがわかった(6)。ウサギ抗Derp Iがλgt11p1(13T)からのリゼイトと反応することがわかった(第4図)。
実施例2
アレルギー性血清からのIgEと反応性のあるDerp I cDNA産物の発現
Derp Iをコードしているλgt11p1(13T)からのDNA挿入物を、これをグルタチオントランスフェラーゼ分子との融合物として発現することができるプラスミド発現ベクター(pGEX)のEcoRI部位にサブクローンした(26)。このプラスミドpGEX-p1(13T)またはベクターだけで感染した大腸菌を対数増殖させ、遠心分離によって集めた。細菌を、培養物の容量の1/20になるようにPBS中に懸濁させ、凍結-解凍によって溶菌した。リゼイトは、ジドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミド電気泳動によって、予期されたMr 50,000を有する高濃度の融合タンパクを発現することがわかった。次いで、これらのリゼイトを、トーマス(Tomas)およびロッシイ(Rossi)によって開示された方法(27)によって行うラジオイムノ・ドット-ブロットによって、アレルギー性血清からのIgEと反応することができる能力を有するかについて試験した。ダニアレルギー性であることが知られている患者または非アレルギー性対照から血清を採取した。125I-モノクローナル抗IgEおよびオートラジオグラフィーによって反応性を調べた。第5図には、pGEX-P1(13T)からのリゼイトはアレルギー性血清中のIgEと反応するがベクター対照は反応せず、また前者は非アレルギー性血清とは反応しないことを示す。
実施例3
Derp IをコードするcDNAクローンからの産物での処理によるDerp Iに対するIgE抗体応答の抑制
λgt11p1(13T)によって溶原化した大腸菌を増殖させ、温度切替えによって誘導し、24kd Derp I部分と116kd β-ガラクトシダーゼ部分(p1(13T))に一致する組換え融合タンパクを産生させた(28)。このタンパクは、ほとんど不溶性であり、純度約90%(ナトリウム・ジドデシル・ポリアクリルアミド電気泳動、分画遠心分離によって判断した)まで単離することができた。別のgt11 cDNAダニクローンλgtpX(2c)から類似のタンパクを産生した。組換えタンパクがDerp Iに対するIgE抗体応答を変えることができるかどうかを試験をするために、p1(13T)またはpX(2c)融合タンパク2mgを1群4〜5匹のCBAマウスに腹腔内注射し、2日後、水酸化アルミニウムゲルに入れた天然のDerp I(ダニ培養培地から得た)5μgの皮下注射をした。3週間後および6週間後に、受身皮膚アナフィラキシー(PCA)によってIgE抗体力価を測定した。これらの応答に関する方法およびバックグランドデータは、スチュワート(Stewart)およびホルト(Holt)によって開示されている(29)。特異性対照として、p1(13T)またはpX(2c)を注射した一群のマウスに、ミョウバンに入れた卵アルブミン10μgを注射した。p1(13T)またはpX(2c)による前処理なしのマウスと応答を比較した(第1表)。3週間後、組換えタンパクを注射されなかったマウスおよび対照pX(2c)を注射されたマウスは、検出可能な抗Derp I PCA力価(1/2またはそれ以上)を有していた。組換えp1(13T)で処理したマウスの1/5だけが検出可能な力価を有し、これは、両対照グループの全ての力価よりも1/4低かった。6週目の全てのグループの力価は低いかまたは存在しなかった(示さない)。卵アルブミンに対するPCA応答は、組換えタンパクでの処理の影響をあまり受けなかった。これらのデータは、組換えタンパクが脱感作剤として必要とされる、IgE応答を特異的に減少させる能力を有することを示す。

2日前にマウスに前注射し、0日目にDerp Iまたは卵アルブミンで免疫した。21および42日目に、ラット皮膚でのPCAによって血清抗体力価を測定した。42日目には有意な抗Derp I力価は検出されなかった(示さない)。グループ1〜3についてはDerp Iについて、そしてグループ4〜6については卵アルブミンについてPCAを測定した。組換えDerp I p1(13T)で前処理をすると、抗Derp I力価は低かった(p<0.001)*。
*マン・ホワイトネイ(Mann Whitney)分析。
実施例4
λgt11p1(13T)からのcDNAのフラグメントによるDerp I抗原決定因子の発現
Derp Iをコードしているλgt11(13T)からのcDNAを、音波処理によってフラグメント化した。このフラグメント(さまざまなサイズ範囲で)を電気泳動によって単離し、クレノウ(Klenow)反応によって充填して、平滑末端を作成した。EcoIリンカーを付着させ、フラグメントライブラリーをλgt11にクローンした。フラグメントをクローニングするために用いられる方法は、cDNAクローニングに用いられる方法と同じであった(6)。ウサギ抗Derp Iでスクリーニングするためにプラークイムノアッセイを用いた。抗血清と反応する3つのファージクローンを単離し、クローンしたフラグメントのオリゴヌクレオチド配列を得た。これらのうちの2つは、Derp Iアミノ酸17〜55(番号付けについては第1図を参照)をコードし、1つはアミノ酸70〜100をコードすることがわかった。限定されたアレルゲン性を有する分子は脱感作の安全性を増大するだろうから、このようなフラグメントは、いずれは、エピトープ反応性を決定するための診断試薬および治療用に有用となろう。
実施例5
主要なダニアレルゲンDerp IIをコードしているcDNAのクローニングおよび発現
前述のλgt11におけるデルマトファゴイデス・プテロニシヌスcDNAライブラリーを、ニトロセルロースリフト(6)を用いてプラークラジオイムノアッセイによってスクリーニングした。特異的抗血清を用いる代わりに用いた血清は家塵埃ダニに対してアレルギー性であるヒトからのものであった。血清(1/2に希釈)を大腸菌で吸収した。反応性を検出するため、125I標識化モノクローナル抗IgEを用いた[2×106cpm/mlを有する30ng/ml(計数効率約30%)]。1時間後、フィルターを洗浄し、オートラジオグラフィーにかけた。この方法を用いて、ヒトIgEと反応する4つのクローンを単離した。それらがDNAハイブリダイゼーションと関連しており、アレルギー性血清のパネルに対して同一の反応性パターンを有することがわかった。第6図には、アレルギー性血清(AM)(最上列)または非アレルギー性(WT)に対するプラークラジオイムノアッセイにおけるIgE反応性を示す。ここで、クローン1、3および8は、アレルギー性血清に対してだけ、強く反応する。amp 1セグメント(1列目にある)は、λgt11ベクター対照である。最下列は125Iブドウ球菌タンパクAによって測定されたウサギ抗Derp Iによるイムノアッセイであり、有意な反応性は示さない。血清のパネルに対してクローンを試験した。ダニに対するアレルギーを有していない5人の患者からの血清は反応しなかったが、ダニアレルギーを有するヒトの14/17の血清は反応性を示した。クローンλgt11pII(C1)からのDNA挿入物を、M13 mp18およびM13 mp19にサブクローンし、鎖成長停止反応法によって配列決定した。ヌクレオチド配列(第7図)によって、(a)Derp IIのN-末端アミノ酸の配列と残基1〜40の推察されるアミノ酸配列との相同性(30)および(b)デルマトファゴイデス・ファリナーエからの等価のDerf IIアレルゲンとこの配列との相同性によって、このアレルゲンがDerp IIであることがわかった。
引用文献




(57)【特許請求の範囲】
1.第1図に示されたアミノ酸配列または第1図のアミノ酸残基1〜222に対応するその成熟部分を含むデルマトファゴイデス属のタンパクアレルゲンをコードする単離された核酸。
2.第1図に示されたヌクレオチド配列または第1図のヌクレオチド塩基1〜735に対応するコード領域を含む、デルマトファゴイデス属のタンパクアレルゲンをコードする単離された核酸。
3.タンパクアレルゲン又は抗原性ペプチドを製造する方法であって、
a)請求項1または2に記載の核酸で形質転換された宿主細胞を適当な培地中で培養して細胞および該タンパクアレルゲンまたはその抗原性ペプチドを含む培地の混合物を製造する工程;および
b)該混合物を精製して単離されたタンパクアレルゲンまたは抗原性ペプチドを製造する工程
を含む方法。
 
訂正の要旨 (訂正の要旨)
特許請求の範囲請求項1乃至4を特許請求の範囲の減縮を目的として以下のとおり訂正する。
(1) 特許請求の範囲の請求項1に係る記載「第1図もしくは第7図に示されたアミノ酸配列または第1図のアミノ酸残基1〜222もしくは第7図のアミノ酸残基1〜129に対応するその成熟部分を含むデルマトファゴイデス属のタンパクアレルゲンをコードする単離された核酸。」を、「第1図に示されたアミノ酸配列または第1図のアミノ酸残基1〜222に対応するその成熟部分を含むデルマトファゴイデス属のタンパクアレルゲンをコードする単離された核酸。」と訂正する。
(2)同請求項2に係る記載「第1図または第7図に示されたヌクレオチド配列または第1図のヌクレオチド塩基1〜735もしくは第7図のヌクレオチド塩基72〜506に対応するコード領域を含む、デルマトファゴイデス属のタンパクアレルゲンをコードする単離された核酸。」を、「第1図に示されたヌクレオチド配列または第1図のヌクレオチド塩基1〜735に対応するコード領域を含む、デルマトファゴイデス属のタンパクアレルゲンをコードする単離された核酸。」と訂正する。
(3)同請求項3を削除する。
(4)同請求項4に係る記載「タンパクアレルゲン又は抗原性ペプチドを製造する方法であって、a)請求項1〜3のいずれかに記載の核酸で形質転換された宿主細胞を適当な培地中で培養して細胞および該タンパクアレルゲンまたはその抗原性ペプチドを含む培地の混合物を製造する工程;およびb)該混合物を精製して単離されたタンパクアレルゲンまたは抗原性ペプチドを製造する工程を含む方法。」を、「タンパクアレルゲン又は抗原性ペプチドを製造する方法であって、a)請求項1または2に記載の核酸で形質転換された宿主細胞を適当な培地中で培養して細胞および該タンパクアレルゲンまたはその抗原性ペプチドを含む培地の混合物を製造する工程;およびb)該混合物を精製して単離されたタンパクアレルゲンまたは抗原性ペプチドを製造する工程を含む方法。」と訂正する。
異議決定日 2001-10-16 
出願番号 特願昭63-505220
審決分類 P 1 651・ 55- YA (C12N)
P 1 651・ 533- YA (C12N)
P 1 651・ 531- YA (C12N)
P 1 651・ 121- YA (C12N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 新見 浩一吉住 和之  
特許庁審判長 徳廣 正道
特許庁審判官 佐伯 裕子
斎藤 真由美
登録日 1999-10-22 
登録番号 特許第2993967号(P2993967)
権利者 インスティテュート・フォー・チャイルド・ヘルス・リサーチ
発明の名称 ダニアレルゲンのクローニング  
代理人 青山 葆  
代理人 田村 恭生  
代理人 箱田 篤  
代理人 青山 葆  
代理人 村社 厚夫  
代理人 大塚 文昭  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 西島 孝喜  
代理人 小川 信夫  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 竹内 英人  
代理人 中村 稔  
代理人 今城 俊夫  
代理人 田村 恭生  

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