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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H04N
管理番号 1056440
異議申立番号 異議2001-71187  
総通号数 29 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-05-12 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-04-16 
確定日 2001-12-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3099609号「プリンタ」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3099609号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3099609号の発明は、平成5年10月25日に特許出願され、平成12年8月18日にその特許の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人有限会社オフィスアテナより特許異議の申立がなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成13年10月9日に訂正請求(後日取下げ)がなされた後、再度の取消の理由が通知され、その指定期間内である平成13年11月21日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のa〜cのとおりである。
a.特許請求の範囲の請求項1にある「指定された暦に応じてカレンダー画像を生成する手段と、」の記載を、「前記指定された暦の月のうちの特定の日の曜日のデータに基づいて日付及び曜日を配列したカレンダーデータを算出し、そのカレンダーを予め記憶したキャラクタジェネレータによって文字データに変換してカレンダー画像を生成する手段と、」に訂正する。
b.特許請求の範囲の請求項2にある「指定された暦に応じてカレンダー画像を生成する手段と、」の記載を、「前記指定された暦の月のうちの特定の日の曜日のデータに基づいて日付及び曜日を配列したカレンダーデータを算出し、そのカレンダーデータを予め記憶したキャラクタジェネレータによって文字データに変換してカレンダー画像を生成する手段と、」に訂正する。
c.上記訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との整合をとるために、明細書段落番号[0004]に2カ所ある「指定された暦に応じてカレンダー画像を生成する手段と、」の記載を、「指定された暦の月のうちの特定の日の曜日のデータに基づいて日付及び曜日を配列したカレンダーデータを算出し、そのカレンダーデータを予め記憶したキャラクタジェネレータによって文字データに変換してカレンダー画像を生成する手段と、」に訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
以下、上記訂正事項a〜cについて検討する。
上記訂正事項aは、願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)の「【0012】カレンダープリントモードでは、制御部18がキーボード28で指定した年月のカレンダー画像をカレンダー画像生成部29で生成する。このカレンダー画像生成部29は、カレンダーメモリ30,キャラクタジェネレータ31,及びRAM32とから構成されている。カレンダーメモリ30には、各年月の最初の日の曜日のデータが記憶されており、記憶するために、例えば「年」:8bit、「月」:4bit、「曜日」:3bit、合計8×8bit=64bitが使用される。【0013】制御部18は、カレンダーメモリ30のデータを用いてキーボード28で指定した年月の週及び各週の曜日を算出したカレンダーデータをキャラクタジェネレータ31によってカレンダー画像に変換する。」(特許公報2頁右欄39行〜49行)との記載に基づいて、特許請求の範囲を限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
上記訂正事項bは、上記訂正事項aと同様、特許請求の範囲を限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
また、上記訂正事項cは、上記訂正事項a、bと整合を図るものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当する。
そして、上記訂正事項a〜cは、いずれも特許明細書に記載されている事項の範囲内のものであり、新規事項の追加に該当せず、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない、
(3)以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び第3項において準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議の申立てについての判断
(1)申立ての理由の概要
異議申立人有限会社オフィスアテナは、証拠として、
甲第1号証:特開平5-158211号公報(以下「刊行物1」という。)
甲第2号証:特開平2-9672号公報(以下「刊行物2」という。)
参考資料1:特開平1-239586号公報 (以下「刊行物3」という。)
を提出し、特許請求の範囲の請求項1ないし2に係る発明についての特許は、特許法第29条第1項3号、または特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許を取り消すべき旨、主張している。
(2)本件発明
上記訂正請求により訂正された訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし2に係る発明は、その請求項1ないし2に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】画像を取り込んでハードコピーを作成するプリンタにおいて、前記画像を取り込む手段と、ユーザーの意図する暦を指定する手段と、前記指定された暦の月のうちの特定の日の曜日のデータに基づいて日付及び曜日を配列したカレンダーデータを算出し、そのカレンダーデータを予め記憶したキャラクタジェネレータによって文字データに変換してカレンダー画像を生成する手段と、前記画像にカレンダー画像を合成する手段と、合成した画像を記録してカレンダーを作成する手段とを設けたことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】再生中のビデオレコーダから出力されたビデオ画像を取り込んでハードコピーを作成するプリンタにおいて、前記ビデオレコーダからビデオ画像を取り込む手段と、ユーザーの意図する暦を指定する手段と、前記指定された暦の月のうちの特定の日の曜日のデータに基づいて日付及び曜日を配列したカレンダーデータを算出し、そのカレンダーデータを予め記憶したキャラクタジェネレータによって文字データに変換してカレンダー画像を生成する手段と、前記ビデオ画像にカレンダー画像を合成する手段と、合成したビデオ画像を記録してカレンダーを作成する手段とを設けたことを特徴とするプリンタ。」
(3)刊行物記載の発明
本件請求項1ないし2に係る発明に対して、当審が通知した取消理由で引用した刊行物1には、
「カレンダーの製作方法」(発明の名称)に関し、図面と共に次の(1-1)〜(1-4)のとおりの記載がある。
(1-1)「本発明は、カレンダー類の製作方法、特に画像、文字などを各種コンピュータデータとして処理して版下フィルムまたは印刷物としてカレンダーを製作する方法に関する。」(公報2頁左欄15行〜18行)
(1-2)「図1はこの発明の一実施例を表わすブロック図であり、1はカレンダー製作用の画像データ、文字データおよび付加的文字画像データをそれぞれ入力する入力手段、2はカレンダー製作用の画像データ、文字データおよび付加的文字画像データをそれぞれ記憶する記憶手段、3は装置全体を制御する制御手段で入力手段及び記憶手段から入力された各種データを基本レイアウト様式に従って配列したり、その修正を行ったりする。4は表示手段5を見ながらカレンダーの割り付け、レイアウト、および製作指示、出力指示を行う画面内指示手段であり、6は制御手段3から所望の結果を出力する出力手段である。」 (公報3頁左欄33行〜44行)
(1-3)「画像データ8は記憶手段2に記憶されており、さまざまな写真、絵画、イラストなどを含んでいる。記憶手段2から所望の画像をキーワードにて検索し、画面内指示手段4により、基本レイアウト様式に従って割り付けを行なう。9、10、11、12はカレンダー用の文字データである。9は年号データであり、西暦、平成などの年号、あるいは所望の書体等を選択し、画面内指示手段4により、レイアウトデータに割り付ける。10は月データ、11は曜日データであり、所望の書体を選定し、画面内指示手段4により割り付ける。12は日付データであり、年号データ9および月データ10が選択された時点で自動的に検索され、基本レイアウト様式に従って表示手段5に表示される。日付データ12も、所望の書体を選定し、画面内指示手段4により割り付ける。」(公報3頁左欄45行〜右欄12行)
(1-4)「静電トナー式カラープリンターや昇華性感熱リボン式プリンターなどによって直接にハードコピーとして出力してもよい。」(公報3頁右欄24行〜27行)
(2)同じく刊行物2には、「プリンタ」(発明の名称)に関し、図面と共に次のとおりの記載がある。
(2-1)「カラービデオプリンタ(1)に接続出来るビデオ機器としてはNTSCコンポジットビデオ信号を出力するVTR、ビデオカメラ、ビデオディスクプレーヤ、静止画伝送機器や、S映像信号出力を持ったVTRや、コンポーネント信号(色差信号)の出力を持ったVTR、静止画記録用の所謂スチールカメラ、静止画伝送機並にR(赤),G(緑),B(青)信号出力を持ったパーソナルコンピュータ,スチールカメラ,静止画伝送機器等がある。」(公報2頁左下欄10行〜18行)
(3)同じく刊行物3には、「画像合成出力装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次のとおりの記載がある。
(3-1)「次に画像本体をスキャナ部6から読み取り、割り付け位置情報と比較して画像の大きさを拡大又は縮小した後記憶装置9へ文字と画像の間で処理してはめ込む。」(公報2頁左下欄7行〜10行)
4.対比・判断
《本件請求項1に係る発明について》
(1)本件請求項1に係る発明と、刊行物1に記載された発明とを対比すると、次のことが認められる。
ア.刊行物1には、1はカレンダー製作用の画像データ、文字データおよび付加的文字画像データをそれぞれ入力する入力手段と記載されており(刊行物1の上記(1-2)の記載参照)、上記入力手段が、本件請求項1に係る発明の“画像を取り込む手段”といえる。
イ.刊行物1には、4は表示手段5を見ながらカレンダーの割り付け、レイアウト、および製作指示、出力指示を行う画面内指示手段であることが記載されており(刊行物1の上記(1-2)の記載参照)、上記画面内指示手段が、本件請求項1に係る発明の“ユーザーの意図する暦を指定する手段”といえる。
ウ.刊行物1には、3は装置全体を制御する制御手段で入力手段及び記憶手段から入力された各種データを基本レイアウト様式に従って配列したり、その修正を行ったりすると記載されており(刊行物1の上記(1-2)の記載参照)、上記制御手段が、本件請求項1に係る発明の“指定された暦に基づいてカレンダー画像を生成する手段”と“画像にカレンダー画像を合成する手段”といえる。
エ.刊行物1に記載の出力手段は、プリンターなどによって直接にハードコピーとして出力してもよいものであるから(刊行物1の上記(1-4)の記載参照)、本件請求項1に係る発明でいう“合成した画像を記録してカレンダーを作成する手段”といえる。
オ.以上の点ア〜エを踏まえると、本件訂正発明がプリンタに関する発明であるのに対し、刊行物1の発明がカレンダーの製作方法に関する発明ではあるが、「画像を取り込む手段と、ユーザーの意図する暦を指定する手段と、前記指定された暦に基づいてカレンダー画像を生成する手段と、前記画像にカレンダー画像を合成する手段と、合成した画像を記録してカレンダーを作成する手段」を有する点で共通している。
しかしながら、刊行物1には、ユーザー独自のオリジナルカレンダーを迅速に作成すること、すなわち本件請求項1に係る発明の「 前記指定された暦の月のうちの特定の日の曜日のデータに基づいて日付及び曜日を配列したカレンダーデータを算出し、そのカレンダーデータを予め記憶したキャラクタジェネレータによって文字データに変換してカレンダー画像を生成する手段」(以下「構成A」という。)については、何ら記載がなく、示唆もない。
(2)刊行物2には、本件発明と同様のプリンタにおいて、プリントする画像の信号源としてVTR等の出力を用いることは示されているものの(刊行物2の上記記載参照)、刊行物2にも本件請求項1に係る発明の上記構成Aについては何ら記載がなく、示唆もない。
(3)刊行物3には、割り付ける画像の大きさをを拡大又は縮小することは示されているものの(刊行物3の上記記載参照)、刊行物3にも本件請求項1に係る発明の上記構成Aについては何ら記載がなく、示唆もない。
(4)以上のように、上記各刊行物のいずれにも本件請求項1に係る発明の上記構成Aについて何ら記載がなく、示唆もないのであるから、上記刊行物の記載内容を組み合わせても本件請求項1に係る発明が容易に想到し得るとはいえない。
そして、本件請求項1に係る発明は、上記構成Aを採用することによって「ユーザー独自の絵柄を記録したカレンダーを迅速に作成することができる。」(特許明細書の【発明の効果】の項)等の明細書記載の顕著な効果を奏するものといえる。
したがって、本件請求項1に係る発明は、上記各刊行物に記載された発明と同一とはいえず、また、上記各刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものでない。
《本件請求項2に係る発明》
本件請求項2に係る発明は、本件請求項1に係る発明に更に限定事項を付加したものであるから、上記本件請求項1に係る発明についての判断と同様の理由により、上記各刊行物に記載の発明から当業者が容易に発明できたものではない。
5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1ないし2の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
プリンタ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 画像を取り込んでハードコピーを作成するプリンタにおいて、
前記画像を取り込む手段と、ユーザーの意図する暦を指定する手段と、前記指定された暦の月のうちの特定の日の曜日のデータに基づいて日付及び曜日を配列したカレンダーデータを算出し、そのカレンダーデータを予め記憶したキャラクタジェネレータによって文字データに変換してカレンダー画像を生成する手段と、前記画像にカレンダー画像を合成する手段と、合成した画像を記録してカレンダーを作成する手段とを設けたことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】 再生中のビデオレコーダから出力されたビデオ画像を取り込んでハードコピーを作成するプリンタにおいて、
前記ビデオレコーダからビデオ画像を取り込む手段と、ユーザーの意図する暦を指定する手段と、前記指定された暦の月のうちの特定の日の曜日のデータに基づいて日付及び曜日を配列したカレンダーデータを算出し、そのカレンダーデータを予め記憶したキャラクタジェネレータによって文字データに変換してカレンダー画像を生成する手段と、前記ビデオ画像にカレンダー画像を合成する手段と、合成したビデオ画像を記録してカレンダーを作成する手段とを設けたことを特徴とするプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、カレンダーの作成機能を備えたプリンタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
写真プリントの分野では、ユーザー独自のオリジナルカレンダーを提供するプリントサービスが行われている。このオリジナルカレンダーは、フジカラーマイカレンダー(商品名)と呼ばれており、ユーザーが提示したネガフイルムのコマとカレンダー画像とをカラーペーパーに焼き付けることによって作成される。この焼付けは、ネガフイルムのコマとカレンダー画像とを2回に分けて手作業的に行うものであるから、注文してからカレンダーが仕上がるまでにかなりの時間がかかるという問題がある。
【0003】
本発明は、ユーザー独自のオリジナルカレンダーを迅速に作成することができるプリンタを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のプリンタには、画像を取り込む手段と、ユーザーの意図する暦を指定する手段と、前記指定された暦の月のうちの特定の日の曜日のデータに基づいて日付及び曜日を配列したカレンダーデータを算出し、そのカレンダーデータを予め記憶したキャラクタジェネレータによって文字データに変換してカレンダー画像を生成する手段と、前記画像にカレンダー画像を合成する手段と、合成した画像を記録してカレンダーを作成する手段とを設けたものである。また、請求項2記載のプリンタでは、ビデオレコーダからビデオ画像を取り込む手段と、ユーザーの意図する暦を指定する手段と、前記指定された暦の月のうちの特定の日の曜日のデータに基づいて日付及び曜日を配列したカレンダーデータを算出し、そのカレンダーデータを予め記憶したキャラクタジェネレータによって文字データに変換してカレンダー画像を生成する手段と、取り込んだビデオ画像にカレンダー画像を合成する手段と、合成したビデオ画像を記録してカレンダーを作成する手段とを設けたものである。ユーザーの意図する暦を指定すれば、指定された暦に応じてカレンダー画像を生成し、このカレンダー画像とビデオレコーダから取り込んだビデオ画像とを合成して記録するから、ユーザー独自のオリジナルカレンダーを簡単に作成することができる。
【0005】
【実施例】
図1において、本発明に係るビデオプリンタ10には、外部映像入力端子11が設けられており、この外部映像入力端子11とVTR12の外部映像出力端子とが接続される。
【0006】
VTR12は、再生時にビデオヘッドでピックアップした映像信号をエンコード処理し、NTSC信号として外部映像出力端子に出力する。なお、VTR12の代わりは、例えばビデオカメラ、スチルビデオカメラ、現像済みフイルムを撮像して映像信号を出力するフォトビデオカメラ等を用いることができる。
【0007】
NTSC信号は、ビデオプリンタ10の外部映像入力端子11を介してY/C分離回路13に取り込まれる。Y/C分離回路13は、NTSC信号を輝度信号(Y)と色信号(C)とに分離し、デコーダ14に送る。デコーダ14は、輝度信号(Y)と色信号(C)とをイエロー,マゼンタ,シアンの3原色信号に変換し、A/D変換器15に送る。A/D変換器15は、各色の色信号を量子化して例えば256階調数のデジタル信号に変換し、メモリ16及びスイッチ17に送る。
【0008】
メモリ16は、3色のビデオ画像(画像データ)をそれぞれ独立に2フィールド(1フレーム分)ずつ記憶する3つのメモリ部で構成されており、制御部18の制御に従ってビデオ画像の書込み及び読出し動作が行われる。スイッチ17は、通常、各色のビデオ画像をそのまま出力する状態となっており、D/A変換器19、及びエンコーダ20を介して外部出力映像端子21に接続されたモニタ22に再生中のビデオ画像を表示するとともに、ビデオ画像の取込み後は画像合成部23から出力される合成画像をモニタ系に送り出す。
【0009】
メモリ16は、制御部18の制御に従って読み出し動作が行わる。通常プリントモードでは1フレーム分のビデオ画像を画像合成部23に送る。カレンダープリントモードのときには、1フレーム分のビデオ画像を間引き処理によって縮小して画像合成部23に送る。画像合成部23は、通常プリントモードでは、ビデオ画像をそのままモニタ系又はプリント系に送る。カレンダープリントモードのときには、ビデオ画像とカレンダー画像生成部29から得られるカレンダー画像とを合成する。
【0010】
プリント時には、画像合成部23から出力された1ライン分の画像データがラインメモリ24を介してヘッド駆動部25に送られる。このヘッド駆動部25は、この1ライン分の画像データに基づいてサーマルヘッド26を駆動する。このサーマルヘッド26は、周知のように、多数の発熱素子が主走査方向にライン状に配列されており、感熱記録紙27を加熱して3色面順次記録を行う。感熱記録紙27は、シアン,マゼンタ,イエローの各感熱発色層が順次設層されている。なお、1色の熱記録が行われた後に、この色の感熱発色層に対応した紫外線ランプ(図示せず)の照射によって光定着が行われ、その後、次の色が熱記録される。
【0011】
ビデオプリンタ10の制御部18には、キーボード28が接続されている。キーボード28には、プリントキー,フリーズキー,モード切換えキー,タイプ切替えキー、及びユーザーが意図する年月を指定するための数字キー等が設けられている。モード切換えキーは、1回押すごとに、通常プリントモードと、カレンダープリントモードとに交互に切り換える。また、カレンダープリントモードに切り換えた際には、タイプ切換えキーによってビデオ画像とカレンダー画像とを分離して表示したポストカードタイプと、ビデオ画像とカレンダー画像とを合成して表示したフルサイズタイプとを選択する。
【0012】
カレンダープリントモードでは、制御部18がキーボード28で指定した年月のカレンダー画像をカレンダー画像生成部29で生成する。このカレンダー画像生成部29は、カレンダーメモリ30、キャラクタジェネレータ31、及びRAM32とから構成されている。カレンダーメモリ30には、各年月の最初の日の曜日のデータが記憶されており、記憶するために、例えば「年」:8bit、「月」:4bit、「曜日」:3bit、合計8×8bit=64bitが使用される。
【0013】
制御部18は、カレンダーメモリ30のデータを用いてキーボード28で指定した年月の週及び各週の曜日を算出したカレンダーデータをキャラクタジェネレータ31によってカレンダー画像に変換する。このカレンダーメモリ30には、「1〜12」、「月」、「年」の14個の大文字と、「日〜土」、「1〜31」の38個の小文字とをそれぞれ記憶するために、それぞれ17Kbitずつ使用する。RAM32には、カレンダー画像が制御部18の制御によってビット展開されて書き込まれる。このビット展開は、垂直方向(V)480ドット、水平方向(H)に720ドットの画像サイズ内に、大文字が60×20ドットで、また、小文字が32×14ドットで展開される。なお、画面サイズについては、これに限られることはない。そして、カレンダー画像は、制御部18の制御によって画像合成部23に8bitのパラレル方式で送り出される。この送り出しの際には、各文字が水平方向に3倍され、図2に示すビットマップの状態で出力される。
【0014】
次に、上記構成の作用について図3を参照しながら説明する。ビデオプリンタ10でカレンダーを作成する場合には、VTRの外部映像入出力端子をビデオプリンタ10の外部映像入出力端子11に接続し、またビデオプリンタ10の外部映像出力端子21にモニタ22を接続する。
【0015】
キーボード28からモード切換キーを操作してカレンダープリントモードを選択し、その後、タイプ切換えキーでポストカードタイプとフルサイズモードとのどちらかを選択した後に、意図する年月、例えば「1993-6」を入力する。制御部18は、カレンダーメモリ30を参照し、キーボード28で指定した年月から第5週から順に各週の曜日を算出する。算出されたカレンダーデータは、キャラクタジェネレータ31によりカレンダー画像に変換されRAM32にビット展開して書き込まれる。書き込まれたカレンダー画像は、制御部18の制御によって画像合成部23に送られる。
【0016】
一方、VTR12を再生状態にすると、これから出力されたNTSC信号は、ビデオプリンタ10の外部映像入力端子11を介してY/C分離回路13に取り込まれ、ここで、輝度信号(Y)と色信号(C)とに分離される。これらの輝度信号(Y)と色信号(C)とはデコーダ14によりイエロー,マゼンタ,シアンの3原色信号に変換される。3原色信号は、A/D変換器15によって量子化されてデジタル信号に変換されてから、スイッチ17に送られる。このビデオ画像は、スイッチ17を介してそのままD/A変換器19に送られ、エンコーダ20を介して外部映像出力端子21に接続されたモニタ22に再生中の画像が表示される。
【0017】
モニタ22の画像を確認しながら、プリントしたいシーンが現れてきたら、キーボード28からフリーズキーを操作する。フリーズキーが操作されると指定されたコマの1フレーム分のビデオ画像がメモリ16に書き込まれるとともに、スイッチ17が切り換えられる。書き込まれたビデオ画像は、間引き処理によって縮小されて画像合成部23に送られる。画像合成部23では、カレンダー画像とビデオ画像とを合成した合成画像を作成する。この合成画像は、スイッチ17、D/A変換器19及びエンコーダ20を介してモニタ21に出力され、スクリーンにプリントしようとする画像を表示する。
【0018】
そして、モニタ22のビデオ画像を確認した後、キーボード28でプリントキーを操作すると、前述したタイプ切換えキーで入力されたポストカードタイプ、又はフルサイズタイプとのいずれかを確認し、ポストカードタイプの場合には、ビデオ画像とカレンダー画像と分離した合成画像とし、また、フルサイズカードタイプの場合には、ビデオ画像とカレンダー画像とを合成した合成画像とする。
【0019】
合成画像は、画像合成部23から1色のビデオ画像が1ラインずつ読み出され、ラインメモリ24に書き込まれる。このラインメモリ24は、制御部18の制御に従ってビデオ画像が読み出され、ヘッド駆動部25に送られる。ヘッド駆動部25は、1ライン分のビデオ画像に基づいてサーマルヘッド26を駆動する。
【0020】
サーマルヘッド26の駆動は、先ず、1ライン分のイエロービデオ画像が供給されると、カラー感熱記録紙27のイエロー感熱発色層を加熱してイエロー画像を1ラインずつ記録する。このイエロー画像が記録された部分は、イエロー用の紫外線ランプによって所定波長の紫外線が照射されて光定着される。
【0021】
イエロー画像の記録の光定着後に、カラー感熱記録紙27がサーマルヘッド26に対面されマゼンタ画像の熱記録が開始される。これにより、カラー感熱記録紙27のマゼンタ感熱発色層が1ラインずつ熱記録され、記録完了後にマゼンタ用紫外線ランプで光定着される。最後に、シアンビデオ画像によってカラー感熱記録紙27のシアン感熱発色層が1ラインずつ熱記録される。3色面順次記録が終了すると、カラー感熱記録材料27が送り出され、カレンダーとして排出口34からトレイ35の上に排出される。
【0022】
ポストカードタイプを選択した場合には、図4に示すように、カレンダー36にビデオ画像の絵柄36aとカレンダー画像の絵柄36bとが二分割に合成されて記録されている。また、フルサイズタイプを選択した場合には、図5に示すように、カレンダー37にビデオ画像の絵柄37aとカレンダー画像の絵柄37bとが合成されて記録されている。なお、ポストカードタイプを選択した場合には、カレンダー36にビデオ画像の絵柄36aとカレンダー画像の絵柄36bとを別々に合成するため、横長になる。そこで、この長手方向をカラー感熱記録紙27の長手方向に合わせるように画像合成部23で変換するのが望ましい。
【0023】
上記実施例では、カレンダーメモリ30に各年月の1日の曜日のデータを記憶させているが、ある年月の最初の1日の曜日データだけを記憶させ、このデータから指定した年月の1日の曜日を算出するようにしてもよい。また、上記実施例では、画像合成部23へ8bitのパラレル通信としているが、シリアル通信でもよい。さらに、1ビットのビットマップを用いて単色のカレンダー画像を生成しているが、複数ビットのビットマップを用いて多色のカレンダー画像を生成するようにしてもよい。さらにまた、カレンダー画像の文字配置は、RAM32への書込み時に一義的に決定されるが、外部操作からの入力によって任意に決められるようにしてもよい。
【0024】
感熱発色層が積層されたカラー感熱記録紙に画像を記録するビデオプリンタについて説明したが、本発明は、これに限定されることなく、例えばインクシートを使用する昇華型熱転写記録方式のサーマルプリンタ等でよい。また、ラインプリンタについて説明したが、本発明はシリアルプリンタにも適用することができる。
【0025】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、画像にカレンダー画像を電気的に合成してプリントするから、ユーザー独自の絵柄を記録したカレンダーを迅速に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明のビデオプリンタの概略説明図である。
【図2】
RAMにカレンダー画像が展開されたビット展開の概念図である。
【図3】
カレンダー作成時のフローチャート図である。
【図4】
ビデオプリンタで作成されたポストカードタイプのカレンダーを示す平面図である。
【図5】
ビデオプリンタで作成されたフルサイズタイプのカレンダーを示す平面図である。
【符号の説明】
10 ビデオプリンタ
16 メモリ
18 制御部
23 画像合成部
28 キーボード
29 カレンダー画像生成部
30 カレンダーメモリ
31 キャラクタジェネレータ
32 RAM
 
訂正の要旨 a. 特許請求の範囲の請求項1にある「指定された暦に応じてカレンダー画像を生成する手段と、」の記載を、「前記指定された暦の月のうちの特定の日の曜日のデータに基づいて日付及び曜日を配列したカレンダーデータを算出し、そのカレンダーデータを予め記憶したキャラクタジェネレータによって文字データに変換してカレンダー画像を生成する手段と、」に訂正する。
b. 特許請求の範囲の請求項2にある「指定された暦に応じてカレンダー画像を生成する手段と、」の記載を、「前記指定された暦の月のうちの特定の日の曜日のデータに基づいて日付及び曜日を配列したカレンダーデータを算出し、そのカレンダーデータを予め記憶したキャラクタジェネレータによって文字データに変換してカレンダー画像を生成する手段と、」に訂正する。
c. 上記に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるために、
明細書段落番号[0004]に2カ所ある「指定された暦に応じてカレンダー画像を生成する手段と、」の記載を、「指定された暦の月のうちの特定の日の曜日のデータに基づいて日付及び曜日を配列したカレンダーデータを算出し、そのカレンダーデータを予め記憶したキャラクタジェネレータによって文字データに変換してカレンダ画像を生成する手段と、」に訂正する。
異議決定日 2001-11-28 
出願番号 特願平5-266367
審決分類 P 1 651・ 121- YA (H04N)
P 1 651・ 113- YA (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松元 伸次  
特許庁審判長 谷川 洋
特許庁審判官 小松 正
小林 秀美
登録日 2000-08-18 
登録番号 特許第3099609号(P3099609)
権利者 富士写真フイルム株式会社
発明の名称 プリンタ  
代理人 飯嶋 茂  
代理人 小林 和憲  
代理人 小林 和憲  
代理人 飯嶋 茂  

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