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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H05K
管理番号 1056469
異議申立番号 異議2001-70579  
総通号数 29 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-05-15 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-02-21 
確定日 2001-12-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3079364号「電磁シールド性能を有する窓ガラス」の請求項1ないし7に係る発明についての特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3079364号の請求項1ないし3に係る発明についての特許を取り消す。 
理由 1手続きの経緯
本件特許3079364号の発明は、平成9年8月29日に出願(優先権主張平成8年8月30日)され、平成12年6月23にその特許の設定登録がなされ、その後、表記の異議申立人より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年7月19日に訂正請求がなされたものである。

2訂正の適否の判断
(1) 訂正の内容
(特許請求の範囲)
a 請求項1の「端部開放形状で、遮蔽しようとする電波」を「端部開放形状であるY字形で、中心から伸びるその一辺の長さ(電気長)を遮蔽しようとするPHSまたは無線LANの電波の1/4波長として遮蔽しようとする電波」と訂正する。
b 請求項1の「電波に共振させる長さの線状アンテナ素子」を「電波に共振させる長さの、また、体積抵抗率を少なくとも5×10-8(Ω・m)以下とする線状アンテナ素子」と訂正する。
c 特許請求の範囲の請求項2,5,6及び7を削除する。

(発明の詳細な説明)
d 明細書段落番号【0016】,【0021】,【0022】,【0023】及び【0024】中の記載について上記cと同じ趣旨の訂正をする。

(2) 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(特許請求の範囲)
上記訂正事項aについては、特許明細書の特許請求の範囲に記載された「線状アンテナ素子」の形状を同明細書に記載されたより具体的な構成に限定しようとするものである。
したがって、上記訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記訂正事項bについては、特許明細書の特許請求の範囲に記載された「線状アンテナ素子」の物性を同明細書に記載されたより具体的な構成に限定しようとするものである。
したがって、上記訂正事項bは、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
c 上記訂正事項cについては、請求項2,5,6及び7を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(発明の詳細な説明)
上記訂正事項dについては、明細書の記載と特許請求の範囲との整合をはかるためのもので不明瞭な記載の釈明を目的とするものである。

また上記訂正事項aないしdは、特許明細書又は図面に記載した事項の範囲内での訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

(4) むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法120条の4第2項及び同条第3項で準用する特許法126条の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3特許異議の申立てについての判断
(1) 本件発明
上記2で示したように上記訂正が認められるから、請求項1ないし3に係る発明は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりの次のものである。
「【請求項1】端部開放形状であるY字形で、中心から伸びるその一辺の長さ(電気長)を遮蔽しようとするPHSまたは無線LANの電波の1/4波長として遮蔽しようとする電波に共振させる長さの、また、体積抵抗率を少なくとも5×10-8(Ω・m)以下とする線状アンテナ素子を電磁遮蔽素子として、その素子の電磁界反射等価面積(散乱開口面積)または電磁界反射等価体積(散乱開口体積)を考慮し、かつ、各辺の端を隣接する線状アンテナ素子の中心に近づけて、ガラス表面またはガラス板間に配列させ、この線状アンテナ素子で電波を散乱させこれにより減衰させることを特徴とする電磁シールド性能を有する窓ガラス。
【請求項2】線状アンテナ素子は複数の周波数を遮蔽できるように複数種からなり、寸法、形状の異なる2種以上の線状アンテナ素子を組合せて配列させる請求項1に記載の電磁シールド性能を有する窓ガラス。
【請求項3】線状アンテナ素子は複数の周波数を遮蔽できるように複数種からなり、端部開放形状の線状アンテナ素子同士で、長さが異なるものを組合わせる請求項2記載の電磁シールド性能を有する窓ガラス。」

(2) 引用刊行物記載の発明
当審で通知した取消の理由で引用した刊行物1:R.Orta et al,”A UNIFIED FORMURATION FOR THE ANALYSIS OF GENERAL FREQUENCY SELECTIVE SURFACES”, Electromagnetics 5:307一329,1985(甲第1号証),刊行物4:E.A.PARKER et al,”ARRAYS OF CONCENTRIC RINGS AS FREQUENCY SELECTIVE SURFACES”,ELECTRONICS LETTERS 12th November 1981 vol.17 No.23 pp,880‐881(甲第4号証)及び刊行物13:株式会社丸善発行 東京天文台編纂、理科年表(昭和六十三年)「金属の電気抵抗」物107(512)(甲第13号証)には、以下のような事項が記載されている。
(刊行物1)
「 An example of dichroic composed of trioples, arranged in an equilateral triangular lattice, is shown in Fig.4.2a. When describing a tripole patch as a collection of strips, it is important to specify correctly the strip length. thethree strips must overlap at the center,as shown in Fig.4.2b, in order to describe correctly the current distribution. ln fact, all the expansion functions vanish at the strip ends.
In Fig.4.3 the frequency response of the structure of Fig.4.2a, backed by a dielectric sheet(εr=3, thickness=0.037mm.)is shown. In particular, the reflection and transmission coefficients for both principal polarizations and three incidence directions are plotted versus frequency.
Tripoles have a single type of resonating element, constituted by two of the three arms: resonance occurs when this element is approximately half wavelength long. Of course, there sonance frequency is influenced by the strip width, by the mutual coupling among the various patches and by the dielectric lording.」(321頁下から25行ないし下から12行)
及び322頁のFig. 4.2-a,Fig.4.2-b及びFig. 4.3

上記の翻訳文は以下のとおりである。
「等方向三角形格子状に配置された、トライポールから構成された、ダイクロイックの例が、図4.2aに示されている。トライポール片を帯状体の集合体として記述する際には、当該帯状体の長さを正確に特定することが重要である。電流の分布を正確に記述するために、3つの帯状体は、図4.2bに示すように中央で重なるように配置しなければならない。実際には、全ての展開式は、帯状体の終端において消滅する。
図4.3には、誘電シート(εr=3.、厚さ=37mm)によって裏打ちされた図4.2aの構造体の周波数応答が示されている。この図では特に、2個の偏波面及び3つの入射方向について、反射係数及び透過係数を、周波数との関係においてプロットしてある。
トライポールは1種類の共振要素を有しており、当該共振要素は3本の腕のうちの2本の腕から構成される。共振は当該共振要素の長さが波長の約半分である場合に生じる。もちろん、共振周波数は、帯状体の幅や、種々の片相互の組み合わせ方や、誘電負荷(dielectric loading)からの影響も受ける。」

更に、326頁のFig.4.9-Double grid tripole FSS with equilateral triangular latice.の説明a)では、「Front view. First grid (white): L=2.5mm.,W=0.15mm.. Second grid (black): L=2.2mm., W=0.15mm.」と記載され、第1グリッド(白)と第2グリッド(黒)とでは、長さLが2.5mmと2.2mmで長さが異なっている。
そして、Fig.4.10には、Fig.4.9に示されたFSSの反射特性と透過特性が示され、反射曲線は幅広で複雑化している。

そして、上記記載からみれば刊行物1には、以下のとおりの発明が記載されていると認められる
『等方向三角形格子状に配置された、トライポールから構成され〈本件発明の「端部開放形状であるY字形で」に相当している。〉[以下、〈〉内には、本件発明で相当している事項の用語を示す。]、中心から伸びるその帯状体〈一辺〉の長さ(電気長)を遮蔽しようとする電波の1/4波長として遮蔽しようとする電波に共振させる長さのトライポール〈線状アンテナ素子〉を電磁遮蔽素子として、各帯状体〈一辺〉の端を隣接するトライポール〈線状アンテナ素子〉の中心に近づけて、配列させ、このトライポール〈線状アンテナ素子〉で電波を散乱させこれにより減衰させることを特徴とする電磁シールド性能を有するシート。』と、
『複数種からなり、端部開放形状のトライポール〈線状アンテナ素子〉同士で、長さが異なるものを組合わせる』こと。

(刊行物4)
Fig. 1には、単一のリングに同心円リングを追加した周波数選択面の要素配列例が示され、Fig. 2には、Fig. 1の選択面へ入射角を変えて測定した透過曲線と計算式から得た曲線が示されている。
そして該曲線から、2ヶ所で反射共振が起こり、透過率が減衰している様を見ることができる。
したがって刊行物4には、『周波数選択面の要素配列〈アンテナ素子〉で、複数の周波数を遮蔽できるように複数種からなり』の構成が示されている。

(刊行物13)
金、銀及び銅の体積抵抗率が、0℃,100℃及び300℃において、いずれも5×10-8(Ω・m)以下である点が記載されている。

(3) 対比・判断
本件各発明と刊行物1に記載された発明とを比較すると、
両者は、請求項1に係る発明においては、「端部開放形状であるY字形で、中心から伸びるその一辺の長さ(電気長)を遮蔽しようとする電波に共振させる長さの線状アンテナ素子を電磁遮蔽素子として、各辺の端を隣接する線状アンテナ素子の中心に近づけて、配列させ、このトラ線状アンテナ素子で電波を散乱させこれにより減衰させることを特徴とする電磁シールド性能を有するシート。」である点
及び、請求項2に係る発明においては、上記請求項1に係る発明との一致点に加えて「複数種からなり、寸法、形状の異なる2種以上の線状アンテナ素子を組合せて配列させる」点で
請求項3に係る発明においては、上記請求項1に係る発明との一致点に加えて「複数種からなり、端部開放形状の線状アンテナ素子同士で、長さが異なるものを組合わせる」点で一致し、
A:本件請求項1に係る発明においては、遮蔽しようとする電波をPHSまたは無線LANとしているのに対して、刊行物1には、遮蔽しようとする電波を限定する記載がない点と、
B:本件請求項1に係る発明においては、線状アンテナ素子の体積抵抗率を少なくとも5×10-8(Ω・m)以下としているのに対して、刊行物1には、体積抵抗率についての記載がない点、
C:本件請求項1に係る発明においては、電磁遮蔽素子の電磁界反射等価面積(散乱開口面積)または電磁界反射等価体積(散乱開口体積)を考慮して配列しているのに対して、刊行物1には、当該事項を考慮する点の記載がない点、
D:本件請求項1に係る発明においては、電磁遮蔽素子を、
ガラス表面またはガラス板間に配列した窓ガラスであるのに対し、刊行物1には、該点の記載がない点、
E:上記相違点に加えて 、本件請求項2及び3に係る発明においては、共に「複数の周波数を遮蔽できるように」しているのに対し、刊行物1のFig.4.10からは反射曲線が幅広で複雑化してはいるが、明確に複数の周波数を遮蔽できているとは言い難い点で相違する。

しかしながら、
Aの点については、どの周波数帯の電波を遮蔽するかは、当然考慮しなければならない事項であるから、該相違点は単なる設計上の事項にすぎない。
Bの点については、刊行物13に見られるように、線状アンテナ素子として通常用いられる物質を、その物性を用いて表示しただけであるから、該相違点は周知の物質の採用を言う以上のものではなく、単なる設計上の事項にすぎない。
Cの点については、アンテナを設計する際、実際は、アンテナの線状体そのものの寸法ではなく、電気的な等価面積及び等価体積を考慮せざるを得ないのであって、刊行物1に示された線状アンテナ素子も、電気的な等価面積及び等価体積を考慮してY字形のものの配列とし、遮蔽を行っているのであるから、該相違点は実質的なものではなく、単に表現上の相違にすぎない、
Dの点については、電磁遮蔽素子の用途を、電磁遮蔽素子が通常用いられる用途に限定したにすぎないのであるから、該相違点は単なる用途の限定である。
また、Eの点に関しては、刊行物4に示された同心円の如く、寸法、形状を明確に相違させることにより、複数の周波数の遮蔽を得ることが知られているのであるから、該相違点は、当業者であれば容易になし得ることと認められる。

(5) むすび
以上のとおり、本件請求項1ないし3に係る発明は、上記引用刊行物に記載された発明及び周知事実に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、本件発明についての特許は特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件請求項1ないし3に係る発明についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、本件発明についての特許は、特許法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
電磁シールド性能を有する窓ガラス
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 端部開放形状であるY字形で、中心から伸びるその一辺の長さ(電気長)を遮蔽しようとするPHSまたは無線LANの電波の1/4波長として遮蔽しようとする電波に共振させる長さの、また、体積抵抗率を少なくとも5×10-8(Ω・m)以下とする線状アンテナ素子を電磁遮蔽素子として、その素子の電磁界反射等価面積(散乱開口面積)または電磁界反射等価体積(散乱開口体積)を考慮し、かつ、線状アンテナ素子相互は減衰量の関係を考慮して各辺の端を隣接する線状アンテナ素子の中心に近づけて、ガラス表面またはガラス板間に配列させ、この線状アンテナ素子で電波を散乱させこれにより減衰させることを特徴とする電磁シールド性能を有する窓ガラス。
【請求項2】 線状アンテナ素子は複数の周波数を遮蔽できるように複数種からなり、寸法、形状の異なる2種以上の線状アンテナ素子を組合せて配列させる請求項1記載の電磁シールド性能を有する窓ガラス。
【請求項3】 線状アンテナ素子は複数の周波数を遮蔽できるように複数種からなり、端部開放形状の線状アンテナ素子同士で、長さが異なるものを組合わせる請求項2記載の電磁シールド性能を有する窓ガラス。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の窓に使用する窓ガラス、その他、自動車や列車等の乗り物の窓ガラスや、間仕切りやボックス等の什器の窓、ガラス等種々の窓ガラスで、電磁シールド性能を持つものに関する。
【0002】
【従来の技術】
建築物や建物内部または乗り物内部の電磁シールドの必要性は、無線技術を応用したパーソナルな携帯機器を法に定められた枠内で活用する場合などの周波数の再利用や、電波の干渉妨害対策や、通信のセキュリティ対策の目的から求められる。
【0003】
例えば、特定の建物内で、事業所用PHS(自営--屋内専用)やWireless-LAN(無線LAN)を設ける場合、いずれも技術基準に基づいて製造され、その技術内容は公開され、しかも分析する測定機が市販されているので、屋内業務に使われる通信情報は屋外から容易にアクセスされ通信内容の傍受が可能となる。
【0004】
公衆使用と兼用されているPHS端末では暗号化等による通信内容漏洩保護は大変に難しいのでセキュリティの維持を行うには一般には通信エリア外への電波の漏洩を防止する電磁シールドしか方法がない。
【0005】
また、利用できる周波数チャンネルが制限されているので、可能な限りの使用台数を確保するためには使用エリアに応じて電波を閉じ込めるためのシールドが必要となる。
【0006】
さらに、電磁シールドの必要性は、病院等医療分野で電磁波が医療機器や患者へ干渉して障害を発生させる場合や、レストランや車輛内などの公共のエリアで他人に携帯電話の使用で迷惑をかけないようにすること、さらに、コンサートホール等で観客に静寂を求められる場合などに、携帯電話等が作動しないようにすることからも要請される。
【0007】
電波に対する電磁シールドは現在でもすでに広く使用されており、金属板や金属メッシュあるいは電波吸収材による研究が多くなされている。例えば、ビル構造の電磁シールドとして、従来は、各床面はデッキプレートその他の鉄板などにより十分な電磁遮蔽が行え、外部壁面並びにテナント間のパーテーションには銅箔や金属メッシュをすきまなく貼り付けることによりマイクロ波帯でも有効な電磁遮蔽が行える。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
これに対してガラス窓は光の透過性を確保することからも、電磁遮蔽が困難である。そのため、電磁遮蔽を行うにはビルの各室における窓ガラスを全く無くして壁面とし、その壁面を前記電磁シールド構造とすることがあるが、この場合には視界がなく極めて閉塞感の伴った住環境を強いられる結果となる。
【0009】
また、窓ガラスに電磁シールド構造を施すには、内部に金網を入れることも行われているが、例えばPHSで使用する電波(周波数が1.9GHz帯)の電磁遮蔽では0.1mm程度の非常に細かい網目が必要となって、電磁遮蔽は行われるものの透明感は損なわれてしまい住環境としては良好のものとは言えない。
【0010】
窓ガラスに電磁シールド構造を施す他の例として、タングステン、アルミなどの極めて薄い金属蒸着膜をガラス表面または内部に全面にわたりラミネートすることがあり実用されている。この方法ではPHS(1.9GHz)あるいは無線LAN(2.45GHz)に対して最大20〜30dB(=1/100〜1/1,000)に減衰させうることは知られている。これによれば、可視光線に対しては30〜35%の減少に留まるので視界制限はない。
【0011】
しかし、この方法では採光あるビルの解放感を損なうことなく屋外からの侵入電波を遮蔽することはある程度は可能であるが、全ての範囲の周波数帯にわたり遮蔽するので確かに電波遮蔽は行うが、それでは遮蔽すると困る通常の通信、例えば、公衆携帯電話、ポケベル、各種放送、警察や消防に緊急通信、コードレス電話などの日常通信まで遮蔽されることになる。
【0012】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、採光性・可視性を損なうことなく、しかも必要な周波数の電波帯のみを選択して電磁シールドが可能であり、また、窓枠の金属サッシ等の電磁シールド部材間の隙間部分の導電材による通電処理や接地処理をする必要もない電磁シールド性能を有する窓ガラスを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するため、第1に、端部開放形状で、遮蔽しようとする電波に共振させる長さの線状アンテナ素子を電磁遮蔽素子として、その素子の電磁界反射等価面積(散乱開口面積)または電磁界反射等価体積(散乱開口体積)を考慮し、かつ、各辺の端を隣接する線状アンテナ素子の中心に近づけて、ガラス表面またはガラス板間に配列させ、この線状アンテナ素子で電波を散乱させこれにより減衰させることを要旨とするものである。
【0014】
第2に、線状アンテナ素子は、中心から伸びるその一辺の長さ(電気長)を遮蔽しようとする電波の1/4波長(一本形状の場合は1/2波長)とすること、第3に、線状アンテナ素子は複数の周波数を遮蔽できるように複数種からなり、寸法、形状の異なる2種以上の線状アンテナ素子を組合せて配列させること、第4に、線状アンテナ素子は複数の周波数を遮蔽できるように複数種からなり、端部開放形状の線状アンテナ素子同士で、長さが異なるものを組合わせることを要旨とするものである。
【0015】
第5に、線状アンテナ素子相互は、減衰量の関係を考慮して配列間隔を決定すること、第6に、線状アンテナ素子は、体積抵抗率を少なくとも5×10-8(Ω・m)以下とすること、第7に、線状アンテナ素子は、導電性に優れ、耐久性、耐候性に優れる素材とし、少量のガラス質を混入させることを要旨とするものである。
【0016】
請求項1記載の本発明によれば、線状アンテナ素子はアンテナの金属部分が占める面積のみが電磁波エネルギーを反射するのではなく、金属部分の近傍のある範囲の電磁界を広い範囲で反射させる。そしてこの線状アンテナ素子をこの電磁界反射等価面積あるいは等価体積を考慮して空間中あるいは非導電性材料上に平面的あるいは立体的に配置することにより電磁シールドができる。また、間隔を存していて全面を覆うことがないので、採光性・可視性を損なうことがない。
【0017】
しかも、パターン化した小さな線状アンテナ素子はその長さを特定することにより、特定の周波数を遮蔽でき、その結果、他の電波を通過させるので、警察、消防無線などの無線、テレビ電波など、外部からの情報の収集が必要な電波は遮蔽せず、建物内部で使用する特定の電波のみの外部漏れを防ぎ、セキュリティを高めるとともに周波数チャンネルの再利用ができる。
【0018】
また、このように線状アンテナ素子はほとんどが反射損失により遮蔽し、一方、吸い取られた(受信した)電力の多くは熱損失として吸収されるので、線状アンテナ素子を窓枠の金属サッシ等に導通させて接地させる必要もなく、導電接続に限定されずに自由な設定ができる。
【0019】
さらに、実際の電波では偏波面が一様ではなく様々な傾きをもっているが、線状アンテナ素子を環状線路形状または方向性をもたせた端部開放形状とすることで、あらゆる偏波面の電波にも対応できる。
【0020】
これに加えて、線状アンテナ素子の電界の高い所と低い所が近接する配置とすることで、電界の高い所同士が近接して素子間の相互干渉が起こることを防止できる。また、素子密度を高くし、減衰度をあげることができる。
【0021】
請求項2および請求項3記載の本発明によれば、長さの異なる線状アンテナ素子を組合せて規則的に配列させることで、複数の周波数帯の電波を電磁シールドすることができ、このように、遮蔽する電波を複数の周波数帯のものに特定することで幅広く対応できる。例えば携帯電話に関しては、900MHz帯、および1.5GHz帯割り当てられた2つの周波数帯のすべてを対象として電磁シールドをかけることができる。
【0022】
高度な減衰量を確保するには線状アンテナ素子を極力近接させて配列することが望ましいが、反面、必要以上に近接させてガラス面に配置すると視覚的に問題(目障り)を発生させる。本発明によれば、線状アンテナ素子の配列間隔と減衰量の関係に相関関係があることを発見し、必要とされる減衰量から線状アンテナ素子相互の配列間隔を決定することで極力線状アンテナ素子相互間に隙間を大きく確保して、よりよい視覚性をガラス面に確保できる。
【0023】
高度な減衰量を確保するには、線状アンテナ素子の損失抵抗を極力低くすることが望ましい。これには線幅を広くすることにより損失抵抗の低減を図ることが望ましい。しかし、線状アンテナ素子の線幅を増すことはこれを配列した場合のガラス面の光学的透過性を損なうことになる。線状アンテナ素子を0.5mm程度の線幅とした場合、本発明によれば、望ましくは体積抵抗率を5×10-8(Ω・m)以下とすることにより十分性能を確保することができる。
【0024】
同様に高度な減衰量を確保するため線状アンテナ素子の損失抵抗を極力低くするには電気抵抗の低い素材を採用することが望ましい。線状アンテナ素子の素材としては銅や銀、金が最適であるが、金はコスト高であり、銅は酸化により抵抗値の上昇がある。本発明によれば、価格がそれほど高くなく、酸化により抵抗値が上昇するおそれのない銀を採用するものであり、少量例えば、5%程度のガラス質を混入させることでガラスと一体化させ線状アンテナ素子の寿命をガラスと同程度とすることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面について詳細に説明する。図1は本発明の電磁シールド性能を有する窓ガラスの第1実施形態を示す斜視図で、図中1は窓ガラス、2はサッシ枠を示し、遮蔽しようとする電波の周波数に対応した長さの線状アンテナ素子5を電磁界反射等価面積または体積を考慮して窓ガラス1上に規則的に配列させ、この線状アンテナ素子5で電波を減衰させることとした。
【0026】
先に、本発明に関連する基本原理について説明する。導体片が空中にある場合、この面に電波が入射すると、1部は反射、1部は吸収、残りは透過する。この導体片による電波の減衰量は導体片の形状や大きさによって異なる。この導体片を図3に示すように端部が開放の線状アンテナ素子(ダイポール)3としたとすれば、電波を反射するとともに一部は吸収される。
【0027】
図4に示すように、平面電磁界に平行に置かれた半波長(λ/2)の線状アンテナ素子(ダイポール)3はアンテナ素子の金属部分の面積のみが電磁波エネルギーを受信するのではなく、金属面の近傍の電磁界を吸い取っている。その広がりは均一ではないが等価断面積Aeは、下記式1で計算値が表示される。
【0028】
【式1】
Ae≒0.13λ2(λ/2×λ/4の面積)
【0029】
この等価断面積Aeの範囲の電磁波の約3/4は反射され、残り約1/4が受信電力となる。これが実効開口である。
【0030】
図5に示すように、このような半波長(λ/2)の線状アンテナの受信入力抵抗をゼロにすると、理想的な損失のないアンテナ素子であれば、空間に電力がすべて反射され、その等価な面積は前記の実効開口の4倍になり(散乱開口)、このような線状アンテナ素子3による素子を前記等価面積4×Ae(散乱開口)に応じて図6に示すように窓ガラス1に配列すれば、あたかも金属膜を貼ったのと同様な電波反射効果を示す。アンテナ素子は一般に周波数依存性をもつが、その特性と受信端抵抗=0がこの線状アンテナ素子3による素子の基本動作であり、もし線状アンテナに損失があれば、電波の一部は電力としてアンテナ損失抵抗に吸い取られる。
【0031】
しかも線状アンテナ素子3は散在するものなので、窓ガラス1の採光性・可視性を損なうこともない。なお、線状アンテナ素子3をなす導線の太さは視界の妨げにならないように細く、かつ損失の少ないものを選択する。
【0032】
ところで1885〜1950MHzは、現行のパーソナル通信(PHS-JAPAN.,PCS-US.DECT-Europe)および西暦2000年から実用になるFPLMTS(Future Public Land Mobile Telephone System)の周波数帯であり、2420〜2480MHzはITUで定めるISM(Industrial-Scientific-Medical---工業、科学、医療)用の周波数帯でビル内では無線LANに割り当てられているほか電子レンジや大電力の非破壊検査用線形加速機にも使われている。
【0033】
PHSの場合は周波数が1.90GHzであるとすると、波長がλ=約158mm、無線LANの場合は周波数が2.45GHzであるとすると、波長がλ=約122mmだから、それぞれの線状アンテナ素子3は面積4×Ae=12,980mm2(PHS)、4×Ae=7,740mm2(LAN)に相当し、これをガラス表面またはガラス板間に前記電磁界反射等価面積4×Aeを考慮して規則的に配列、すなわち点在させればよい。
【0034】
しかし、図6に示すように線状アンテナ素子3を横一列に配置するのでは、実際の電波の偏波面がこのように横一列でなく、様々な偏波面には対応できない。そこで線状アンテナ素子3はこれを後述のような方向性をもつ端部開放形状か、環状線路形状とする。このようにすることであらゆる面の傾きの異なる電波にも対応できる。
【0035】
図1、図2は本発明の第1実施形態を示すもので、線状アンテナ素子5は端部開放形状とし、遮蔽しようとする電磁波の波長をλ、ガラス面に線状アンテナ素子を配列した時の等価比誘電率をεqとした場合、一辺の長さが略λ/(4√εq)の逆Y字形素子であるとした。すなわち、空気中ではεqが1であるので、線状アンテナ素子5は中心5aから伸びる一辺の長さが遮蔽しようとする電波の1/4波長となる。しかしこの線状アンテナ素子5をガラス上に配置するとガラスや境界面の誘導率により一辺の長さは変わる。
【0036】
なお、前記線状アンテナ素子3や線状アンテナ素子5を設ける窓ガラス1としては、フロートガラスまたはグレーペンガラス等がよく、またガラス表面またはガラス板間に線状アンテナ素子3や線状アンテナ素子5をこのアンテナ素子が有する電磁界反射等価面積を考慮して規則的に配列させる方法としては、銀、銅、金などの金属ペーストシルク印刷やフィルム膜の貼り付けによる方法が考えられる。
【0037】
このうち、フィルム膜の貼り付けはガラスの破損時の飛散防止や、日射量の調整も可能である。また、建設後から追加施工することもできるし、相対的に安価な方法である。フィルム材として、ポリイミドフィルムやポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム等の合成樹脂フィルムに、線状アンテナ素子5を回線パターンとしてエッチング法やラミネート法やスクリーン印刷法で設け、これをガラス等に貼ることになる。
【0038】
前記エッチング法はフレキシブル基板としてのフィルムに銅箔を張り付けたものを基材として使用し、パターン部にマスキングをして残る部分を溶剤で溶解する一般のプリント基板と同様な手法からなる。これに対してスクリーン印刷法は基材上に銀、金などの金属ペースト印刷を施すことにより回線パターンを構成するものである。
【0039】
前記Y字形の線状アンテナ素子5を配置した電磁波シールドガラスの性能確認を行うためにガラス表面に銀ペーストにより線状アンテナ素子5を焼成印刷して行った実験結果を図7に示す。
【0040】
最大減衰量は35dB(中心周波数1.9GHz)で、目標とした30dBの減衰帯域幅は35MHz程度となりPHS電波使用帯域に対して十分なシールド性能を持つことが確認された。
【0041】
下記表-1にこのガラス仕様を、表-2に実験概要を示す。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
図8は線状アンテナ素子5を4角形、すなわち十字形の素子とした場合である。この場合、中心5aが電位の低い所となり、各辺5bの端が電位の高い所となる。図8の場合と比べて図2の場合は、線状アンテナ素子5の電位の高い所と低い所が近接する3角形を配置することで、電位の高い所同士が近接して素子間の相互干渉が起こることを防止できる。また、3角形として配列することで素子密度を高くすることができる。
【0045】
図9に端部開放形状の線状アンテナ素子5のさらなる変形例を示す。このうち左側に示す一字形のものは、全長が遮蔽しようとする電波の1/2波長と同じくなる。
【0046】
また、前記線状アンテナ素子5を配列した窓ガラス1は、ガラスの突き合わせ(ガラス間の隙間)間にパッキン等の配置部分でアンテナ素子5がない部分があっても十分対応できることを実験結果で確認した。これによれば、ガラス間隙サイズ変更によるシールド中心周波数変移がわずかに見られるが、30mm程度までシールド要求性能は満足できる。
【0047】
この実験は図13に示すように、開口部(幅51cm×高さ111cm)を有するシールドルームの室内のアンテナより一定出力で電波を発信し、シールドルーム室外のアンテナよりこの電波を受信するもので、開口部に2枚の前記供試体による本発明の窓ガラス1を組込み、この窓ガラス1間の隙間の間隔を変化させた時の受信電界強度をスペクトラムアナライザにて計測したものである。
【0048】
ところで、先に線状アンテナ素子5は電磁界反射等価面積または体積を考慮して窓ガラス1上に規則的に配列させ、この線状アンテナ素子5で電波を減衰させることとしたと述べたが、さらに、線状アンテナ素子5同士の最適間隔については必要とする減衰量を考慮し定めることができる。
【0049】
高度な減衰量を確保するには線状アンテナ素子5を極力近接させて配列することが望ましいが、反面、必要以上に近接させて窓ガラスのガラス面に配置すると視覚的に問題(目障り)を発生させる。
【0050】
図14、図15はこのような線状アンテナ素子の配列間隔と減衰量の関係を見るための実験装置であるが、銅の棒を線状アンテナ素子に見立てて実験を行なった結果、図24に示すような相関関係を得た。
【0051】
そこで、線状アンテナ素子5相互は、減衰量の関係を考慮して配列間隔を決定することとし、必要とされる減衰量から線状アンテナ素子相互の配列間隔を決定することで極力線状アンテナ素子相互間に隙間を大きく確保して、よりよい視覚性をガラス面に確保できる。
【0052】
また、前記実験結果で、線状アンテナ素子5の素材は銀ペースト焼成印刷、線幅0.5mmとしたが、線状アンテナ素子5は、体積抵抗率を5×10-8(Ω・m)以下することが望ましい。
【0053】
高度な減衰量を確保するには、線状アンテナ素子の損失抵抗を極力低くすることが望ましい。これには線幅を広くすることにより損失抵抗の低減を図ることあるいは導電性の良い素材を採用することが望ましい。しかし、線状アンテナ素子の線幅を増すことはこれを配列した場合のガラス面の光学的透過性を損なうことになる。前記のごとく、線状アンテナ素子を0.5mm程度の線幅とした場合、請求項11記載の本発明によれば、体積抵抗率が少なくとも5×10-8(Ω・m)以下であれば十分性能を確保することができる。
【0054】
また、線状アンテナ素子の素材としては銅や銀、金が電気抵抗の低い素材として最適であるが、金はコスト高であり、銅は酸化により抵抗値の上昇がある。前記のごとく、銀を採用することにより、価格がそれほど高くなく、酸化により抵抗値が上昇するおそれのないものとなる。さらに、5%程度のガラス質を混入させることでガラスと一体化させ線状アンテナ素子の寿命をガラスと同程度とすることができる。
【0055】
素子が短いので、電界が低くガラスに誘電率の影響を少なくでき、また、ループ幅を広げるとZob(平行2線の特性インピーダンス)が高くなり、ガラスの影響を低くする効果が得られる。さらに、幅を広げると等価半径が大きくなり細い線で広い帯域が実現できる。
【0056】
図10は前記端部開放形状の線状アンテナ素子5のさらなる変形例として、この線状アンテナ素子5の部分が環状線路形状5cであるようにした。いわば、端部開放形状の線状アンテナ素子の部分に環状線路形状の線状アンテナ素子を組み込んだ複合形とする。
【0057】
このようにすることで、細い線を多数並列に使うことになり、反射表面積を増加させることができるとともに透視性を劣化させないで高周波損失抵抗値を低下させ、高帯域化と高減衰化が可能となる。
【0058】
ところで、例えば、携帯電話では周波数帯は900MHz帯と1,500MHz帯の2種類がある。同様に、PHSは周波数が1.9GHzであり、無線LANの場合は周波数が2.45GHzである。これらの電波帯に電磁シールドを行うには、複数周波数帯に対応することが必要となる。
【0059】
このような複数周波数帯対応を有する電磁シールド方法の実施形態として、長さの異なる線状アンテナ素子を組合せて規則的に配列させることとする。図12に示すように端部開放形状の線状アンテナ素子5同士で、長さが異なるものを組合わせる場合も可能である。
【0060】
なお、前記の実施形態は建物の窓に使用する窓、ガラスについて述べたが、その他、自動車や列車等の乗り物の窓ガラスや、パーテーションやボックス等の什器の窓ガラスにも適用できる。
【0061】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の窓ガラスは、アンテナ素子長に応じた周波数帯の電波のみシールドし、これ以外の電波は透過できるので必要な周波数の電波帯のみを選択して電磁シールドが可能なものである。
【0062】
また、最大40dB程度のシールドが可能で、アンテナ素子周囲に反射領域ができるため、ある程度隙間が存在してもシールド性能は確保でき、アンテナ素子の細線化が可能なので、採光性・可視性を損なうことがない。
【0063】
さらに、これを施した部材間の隙間部分の処理や接地のための導電材による通電処理をする必要もないものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の窓ガラスの第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】
本発明の窓ガラスの第1実施形態を示す要部の正面図である。
【図3】
線状アンテナ素子を短絡型ダイポールとした場合の説明図である。
【図4】
本発明窓ガラスにおける電磁シールド方法の原理を示すその1の説明図である。
【図5】
本発明窓ガラスにおける電磁シールド方法の原理を示すその2の説明図である。
【図6】
線状アンテナ素子を配置した窓ガラスの正面図である。
【図7】
Y字形の線状アンテナ素子を配置した本発明の窓ガラスの性能確認を行った実験結果のグラフである。
【図8】
線状アンテナ素子を十字形とした場合の配置を示す説明図である。
【図9】
端部開放形状の線状アンテナ素子の変形例を示す説明図である。
【図10】
端部開放形状の線状アンテナ素子の変形例を示す正面図である。
【図11】
図10に示す線状アンテナ素子の電磁シールド効果を示すグラフである。
【図12】
端部開放形状の線状アンテナ素子同士で、長さが異なるものを組合わせ例を示す説明図である。
【図13】
窓ガラス相互に隙間の遮蔽性能を確認する実験設備の説明図である。
【図14】
線状アンテナ素子の配列間隔と減衰量の関係を見るための実験装置の正面図である。
【図15】
線状アンテナ素子の配列間隔と減衰量の関係を見るための実験装置の縦断側面図である。
【図16】
線状アンテナ素子の配列間隔と減衰量の関係の実験結果のグラフである。
【符号の説明】
1…窓ガラス 2…サッシ枠
3…線状アンテナ素子 4…線状アンテナ素子
5…線状アンテナ素子 5a…中心
5b…辺 5c…環状線路形状
 
訂正の要旨 特許第3079364号の明細書を以下のとおりに訂正する。
(特許請求の範囲)
a 請求項1の「端部開放形状で、遮蔽しようとする電波」を特許請求の範囲の減縮を目的として「端部開放形状であるY字形で、中心から伸びるその一辺の長さ(電気長)を遮蔽しようとするPHSまたは無線LANの電波の1/4波長として遮蔽しようとする電波」と訂正する。
b 請求項1の「電波に共振させる長さの線状アンテナ素子」を特許請求の範囲の減縮を目的として「電波に共振させる長さの、また、体積抵抗率を少なくとも5×10-8(Ω・m)以下とする線状アンテナ素子」と訂正する。
c 特許請求の範囲の請求項2,5,6及び7を特許請求の範囲の減縮を目的として削除する。
(発明の詳細な説明)
d 明細書段落番号【0016】,【0021】,【0022】,【0023】及び【0024】中の記載については、不明瞭な記載の釈明を目的として、上記cと同じ趣旨の訂正をする。
異議決定日 2001-10-17 
出願番号 特願平9-233411
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (H05K)
最終処分 取消  
前審関与審査官 内田 博之  
特許庁審判長 粟津 憲一
特許庁審判官 柴田 由郎
鈴木 法明
登録日 2000-06-23 
登録番号 特許第3079364号(P3079364)
権利者 鹿島建設株式会社
発明の名称 電磁シールド性能を有する窓ガラス  
代理人 久保 司  
代理人 久保 司  

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