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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G03G
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  G03G
審判 全部申し立て 2項進歩性  G03G
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  G03G
管理番号 1056517
異議申立番号 異議2000-74139  
総通号数 29 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1991-11-06 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-11-15 
確定日 2002-01-21 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3041010号「電子写真用磁性トナー、電子写真用磁性トナーの製造方法および画像形成方法」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3041010号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 1 手続きの経緯
特許第3041010号の請求項1ないし4に係る発明は、平成2年2月26日に特許出願され、平成12年3月3日にその特許権の設定登録がなされた後、近藤英生より特許異議の申立てがなされ、その後、取消理由通知がなされ、その指定期間内の平成13年3月6日に訂正請求がなされたものである。

2 訂正の適否についての判断
2-1 訂正の内容
平成13年3月6日付け訂正請求における訂正内容は次のとおりである。
2-1-1 訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1ないし4の記載について
「【請求項1】磁性粉と、樹脂とを含有し、平均粒子径dが3〜25μm、粒子径がd/2以下の粒子が5体積%以下、粒子径が2d以上の粒子が5体積%以下である磁性トナー粒子を有する磁性トナーを酸化ケイ素の外添を行わずに作製し、
この磁性トナーに、酸化ケイ素を添加して、逆極性に帯電している荷電粒子の含有量を30個数%以下に減少させ、かつ平均帯電量の絶対値を増加させる電子写真用磁性トナーの製造方法。
【請求項2】前記逆極性に帯電している荷電粒子の含有量を、40個数%以上の含有量から30個数%以下に減少させる請求頂1の電子写真用磁性トナーの製造方法。
【請求項3】請求項1または2の製造方法によって得られた電子写真用磁性トナー。
【請求項4】請求唄3の電子写真用磁性トナーを現像剤として用い、この現像剤を磁石ロ-ルと現像スリーブを具えた現像器中に収納し、前記現像スリーブ上の前記現像剤厚さを300μm以下に規制して静電潜像を現像することを特徴とする画像形成方法。」を
「【請求項1】磁性粉と、樹脂とを含有し、平均粒子径dが3〜25μm、粒子径がd/2以下の粒子が5体積%以下、粒子径が2d以上の粒子が5体積%以下である磁性トナー粒子を有する磁性トナーを酸化ケイ素の外添を行わずに粉砕法により作製し、
この磁性トナーに、酸化ケイ素を0.3〜1.6重量%添加して、逆極性の正極に帯電している荷電粒子の含有量を30個数%以下に減少させ、かつ平均帯電量の絶対値を増加させる電子写真用磁性トナーの製造方法。
【請求項2】前記逆極性に帯電している荷電粒子の含有量を、40個数%以上の含有量から30個数%以下に減少させる請求頂1の電子写真用磁性トナーの製造方法。
【請求項3】請求項1または2の製造方法によって得られた電子写真用磁性トナー。
【請求項4】請求唄3の電子写真用磁性トナーを現像剤として用い、この現像剤を磁石ロ-ルと現像スリーブを具えた現像器中に収納し、前記現像スリーブ上の前記現像剤厚さを300μm以下に規制して静電潜像を現像することを特徴とする画像形成方法。」と訂正する。

2-1-2 訂正事項b
明細書第7頁第5行〜第8頁第14行(特許公報第4欄第13〜33行)
「このような目的は下記の(1)〜(4)の本発明によって達成される。
(1)磁性粉と、樹脂とを含有し、平均粒子径dが3〜25μm、粒子径がd/2以下の粒子が5体積%以下、粒子径が2d以上の粒子が5体積%以下である磁性トナー粒子を有する磁性トナーを酸化ケイ素の外添を行わずに作製し、
この磁性トナーに、酸化ケイ素を添加して、逆極性に帯電している荷電粒子の含有量を30個数%以下に減少させ、かつ平均帯電量の絶対値を増加させる電子写真用磁性トナーの製造方法。
(2)前記逆極性に帯電している荷電粒子の含有量を、40個数%以上の含有量から30個数%以下に減少させる請求頂1の電子写真用磁性トナーの製造方法。
(3)上記(1)または(2)の製造方法によって得られた電子写真用磁性トナー。
(4)上記(3)の電子写真用磁性トナーを現像剤として用い、この現像剤を磁石ロ-ルと現像スリーブを具えた現像器中に収納し、前記現像スリーブ上の前記現像剤厚さを300μm以下に規制して静電潜像を現像することを特徴とする画像形成方法。」を
「このような目的は下記の(1)〜(4)の本発明によって達成される。
(1)磁性粉と、樹脂とを含有し、平均粒子径dが3〜25μm、粒子径がd/2以下の粒子が5体積%以下、粒子径が2d以上の粒子が5体積%以下である磁性トナー粒子を有する磁性トナーを酸化ケイ素の外添を行わずに粉砕法により作製し、
この磁性トナーに、酸化ケイ素を0.3〜1.6重量%添加して、逆極性の正極に帯電している荷電粒子の含有量を30個数%以下に減少させ、かつ平均帯電量の絶対値を増加させる電子写真用磁性トナーの製造方法。
(2)前記逆極性に帯電している荷電粒子の含有量を、40個数%以上の含有量から30個数%以下に減少させる請求頂1の電子写真用磁性トナーの製造方法。
(3)上記(1)または(2)の製造方法によって得られた電子写真用磁性トナー。
(4)上記(3)の電子写真用磁性トナーを現像剤として用い、この現像剤を磁石ロ-ルと現像スリーブを具えた現像器中に収納し、前記現像スリーブ上の前記現像剤厚さを300μm以下に規制して静電潜像を現像することを特徴とする画像形成方法。」と訂正する。

なお、平均粒子径dの「d」は、本件明細書ではdの上にアッパーライン( ̄)が付されている。

2-2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
2-2-1 訂正事項aは、【請求項1】における、「酸化ケイ素の外添を行わずに作製し」、「酸化ケイ素を添加して」、「逆極性に帯電」の記載を、
それぞれ「酸化ケイ素の外添を行わずに粉砕法により作製し」、「酸化ケイ素を0.3〜1.6重量%添加して」、「逆極性の正極に帯電」に訂正するものであって、
願書に添付された明細書の第26頁第8〜9行、第24頁第10行、第24頁第20行にそれぞれ記載されており、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、

2-2-2 訂正事項bは、上記訂正事項aと整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、

また、訂正事項a、bはいずれも願書に添付した明細書に記載された範囲内の訂正であるから、新規事項を追加するものではないし、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

2-3 むすび
したがって、上記訂正は特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3 特許異議申立について
3-1 本件発明
上記 2 で示したように訂正が認められるから、本件の請求項1ないし4に係る発明は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲に記載されたとおりのものである(上記2-1-1参照)。

3-2 特許異議の申立ての概要
特許異議申立人近藤英生は、証拠として、
甲第1号証:特開昭63-243963号公報(以下「刊行物1」という)
甲第2号証:”Japan HardCopy′89”論文集 EP-2(第
5〜8頁)1989年7月5〜7日・東京大手町農協ホールに
於いて開催(以下「刊行物2」という)
甲第3号証:特開昭59-34539号公報(以下「刊行物3」という)
甲第4号証:表面・薄膜分子設計シリーズ5 表側・高分子と静電気 共立
出版 1988年8月1日発行 第16〜17頁(以下「刊行物
4」という)を提出して、
本件特許明細書の記載は、刊行物4、刊行物3の記載からみて、不明りょうであるから、特許法第36条第4項又は第6項に規定する要件を満たしていない、
請求項1ないし4に係る発明は、刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされた発明であり、また刊行物1ないし3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、その特許は取り消されるべきである旨主張する。

さらに、取消理由通知では、刊行物1〜4に加えて、特開昭56-142541号公報(以下「刊行物5」という)、特開平2-80号公報(以下「刊行物6」という)も通知しているので併せて検討する。

3-3 各刊行物の記載事項
3-3-1 刊行物1には、
(1a)「必要に応じて着色剤その他の必要な微粒子を含む平均粒径10μ以下の球形樹脂微粒子(A)を、場合によっては着色剤もしくはその他の必要な微粒子とともに疎水性樹脂により被覆し、次いで該被覆微粒子を凝集せしめ、該凝集物を複数個の球形樹脂微粒子(A)を含む集合体に解砕するとともに、解砕時の機械的歪力により上記疎水性樹脂を熱溶融せしめ粉体トナーとして好ましい形状に上記集合体の表面を成形する静電荷像現像用粉体トナーの製造方法。」(特許請求の範囲第3項)、
(1b)「体積基準粒度分布のモード径10〜25μ程度とした後、例えば、気流分級等により実質的に25μ以上の粒子を除去し、体積基準のメディアン径(以下平均粒径と呼ぶ)を5〜15μに調節する。(4)この段階でのトナー粒子は未だ凹凸の多い多孔質の形状を保っており、また、トナーとして不適当な粒径5μ以下の粒子が多数含まれている。次に、上記粒子にやや強い衝撃力を加えて上記粒子の平均粒径が8〜20μの範囲となる条件において機械的歪力をかけることにより、実質的に微細な粒子のない、表面の平滑なトナー粒子を得ることができる。」(第3頁右上欄第6〜16行)、
(1c)「トナーはバインダーとしての樹脂以外に必要に応じて平均粒径2μ以下の微粒子、即ち着色材、磁性粉、ワックス、電荷制御材等を含有させる。これらの微粒子は樹脂微粒子(A)と共に凝集させても樹脂微粒子(A)内に予め含有させても良い。」(第3頁右下欄第12〜15行)、
(1d)「電荷制御剤としては、・・・コロイダルシリカ等がある。」(第4頁左下欄第21行〜右下欄第10行)、
(1e)「実施例1
攪拌機、温度計、コンデンサ、滴下ロート、ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに予め80℃に加熱した2.0%ポリビニルアルコール(日本合成化学(株)商品名GH-20)水溶液1500g及び下記処方に従い予め混合した液状物を入れ、容積3lのウルトラホモミキサー(日本精機(株)製)を用い、10000rpmで10分間撹拌した。
スチレン 240g
メチルメタアクリレート 60g
過酸化ベンゾイル60%キシレン溶液 12g
撹拌停止後、上記乳化剤を、窒素置換を施しながら、90℃で7時間低速撹拌し、重合反応を続け、平均粒径8μの球状樹脂微粒子を得た。これを樹脂微粒子(A1)とする。次に上記樹脂微粒子(A1)を一旦濾過し、生成したケーキをn-ヘキサン中へ投入し、水をn-ヘキサンに置換した後、再度濾過した。
次に下記処方に従い原料を秤量した後予備混合し、この混合物に100gをケトン樹脂の10%エチルアルコール溶液300g中に投入してTKホモミキサーに5分間撹拌した。
樹脂微粒子(A1) 60部
四三酸化鉄粉(粒径0.3μ) 40部
ポリプロピレンワックス(商品名;ビスコール550P,三洋化成工業(株)製) 2部
電荷制御剤(商品名;スピロンブッラックTRH,保土谷化学工業(株)製) 0.5部
カーボンブラック(商品名;Mogul-L,米国キャボット社製) 1部
このスラリー状物に低速で攪拌を続けながら滴下ロートにてn-ヘキサン100gを5分間で徐々に加えた。この操作により、ケトン樹脂で被覆された凝集物が得られた。これから、溶剤を濾過して除去し、乾燥した。
次にこれをハンマーミル(サンプルミル、ホソカワミクロン(株)製)に導入し、高速回転で処理した。捕集機へ排出した生成物を計8回、同様な操作で繰り返し処理し、目的とする平均粒径が13μのトナー粒子を得た。これには5μ以下の粒子は実質的に含まれておらず、25μ以上の粒子もほとんど含まれていなかった。また、電子顕微鏡による目視観察では表面は平滑で丸みを帯びた形状となっていた。
これに分級処理を施し、25μ以上の粒子を完全に除去した後、トナー100部に対し0.3部のコロイダルシリカ(商品名;R-972,日本エアロジル(株)製)を添加して市販の複写機商品名;NP-300Z,キャノン(株)製)にセットした。
この複写において、荷電安定性、耐ブロッキング性及び画像性をは極めて良好であった。」(第4頁右下欄12行〜第5頁右上欄20行)、
(1f)「実施例2
容積10lの加圧反応器を用い、窒素置換を施しながら20℃に保ち、乳化重合法により、下記の処方で重合反応を行った。
スチレン 80部
ブチルメタクリレート 20部
ジビニルベンゼン 0.2部
これを200部の水に分散させた。また乳化剤として脂肪酸カリウム塩2部及びリン酸カリウム0.5部を用いた。24時間、低速撹拌して重合反応を続け、平均粒径0.8μのラテックスを得た。これを樹脂微粒子(A2)とする。以下、実施例1と同様にn-ヘキサン置換し、次に下記処方の混合物を用いて、実施例1と同様なコーティング処理を行った。
樹脂微粒子(A2) 60部
四三酸化鉄粉(粒径0.3μ) 40部
ポリプロピレンワックス(商品名;ビスコール550P,三洋化成工業(株)製) 2部
電荷制御剤(商品名;スピロンブラックTRH,保土谷化学工業(株)製) 0.5部
カーボンブラック(商品名;Mogul-L,米国キャボット社製) 1部
得られた凝集物は、まずサンプルミルで解砕し、引き続き循環式の衝撃式粉砕器(商品名タイプNHS-1;奈良機械製作所製)に150g導入し6000rpmで2分間処理した。こうして得られた12μのトナーに実施例1と同様な処理を施し、画像試験を行ったところ、ブロッキングを発生せず、良好な画像を得ることができた。」(第5頁左下欄第9行〜右下欄第16行)、と記載されている。

3-3-2 刊行物2には、
(2a)「正極性トナーであるCトナーとCキャリアにシリカをトナーに対して0.2wt%,0.4wt%の割合で加え摩擦帯電を行った。Fig.3,Fig.5,Fig.6に帯電量と粒径の関係を示す。これよりシリカを加えるにしたがって逆極性のトナーの割合が減少し、正極性のトナーの割合が増加していることが分る。また、Fig.7に示す帯電量分布、Fig.8に示す電荷密度分布からもシリカを加えることにより逆極性のピークが減り、正極性のピークが増加していることによりも同様に、シリカを加えることにより逆極性トナーの割合が減少していることが分る。これより、シリカを加えることにより流動性が良くなりトナーとキャリアの接触する回数が増しトナーとキャリアが接触帯電しやすくなるために逆極性トナーの割合が減少するのではないかと考えられる。また、今日まで、シリカを加えることにより帯電量が増すと言われてきたがこれはトナー個々の帯電量が増すのではなく正極性と負極住のトナーの割合が変わることにより全体の平均的な目的としている帯電量が増すことと考えられる。」(第7頁右欄下から第6行〜第8頁左欄第16行)、と記載されている。

3-3-3 刊行物3には、
(3a)「また、これらの処理されたシリカ微粉体の適用量は現像剤重量に対して、0.01〜20%のときに効果を発揮し、特に好ましくは0.1〜3%添加した際に優れた安定性を有する正の帯電性を示す。添加形態について好ましい態様を述べれば、現像剤重量に対して0.01〜3重量%の処理されたシリカ微粉体がトナー粒子表面に付着している状態にあるのが良い。
ここで、本発明の現像剤が潜像に忠実な現像及び転写を行わしめる理由について推察する。
まず、特公昭53-22447号明細書の提案である現像剤の構成成分として、アミノシランのみで処理した金属酸化物粉末を含有させる方法では、前述した様にいくつかの欠点を有している。
これらの欠点の原因としては、種々考えらえるが、本発明者は上記の減少について研究せる結果、主たる原因は、得られた現像剤の摩擦帯電量分布に問題がある事を見出した。
すなわち、アミノシラン化合物のみで処理したシリカ微粉体など金属酸化物粉末を現像剤に含有した際には、多くの場合、潜像を忠実に再現するのに好ましい特性を保持しえないが、その現像剤の摩擦帯電量分布は、きわめてブロードであり、その値も、使用する環境条件によって変化しバラツキを生じてしまう。また、負帯電性を有する現像剤が存在する事も確認される。」(第6頁右下欄第11行〜第7頁左上欄第16行)、
(3b)「すなわち、アミノシラン化合物のみで処理したシリカ微粉体など金属酸化物粉末を現像剤に含有した際には、多くの場合、潜像を忠実に再現するのに好ましい特性を保持しえないが、その現像剤の摩擦帯電量分布は、きわめてブロードであり、その値も、使用する環境条件によって変化しバラツキを生じてしまう。また、負帯電性を有する現像剤が存在することも確認される。」(第7頁左上欄第9〜16行)、
(3c)「この様なブロードな摩擦帯電量分布を有する現像剤では、その帯電量の小さい現像剤成分はカブリや潜像のエッジ部での飛び散りの原因となり、逆帯電成分も同様な悪影響を及ぼす。」(第7頁右上欄第11〜14行)、
(3d)「この様なアミノシラン化合物のみで処理したシリカ微粉体を含有せしめた現像剤の摩擦帯電量分布は環境条件によって変化しやすく、特に高温高湿度及び低温低湿度の条件において現像に適さない分布となる。すなわち、高温高湿度においては帯電量の小さい現像剤成分が増加し、カブリ、画像濃度の低下、潜像のエッジ部での飛び散り、転写効率の低下がさらに顕著となる。この一例を第1図の(b)に示す。各図において、横軸は摩擦帯電量、縦軸は各々の帯電量を示したトナーの割合である。
例えば、アミノシラン化合物のみで処理したシリカ微粉体を含有せしめた現像剤の摩擦帯電量分布は、シリカ微粉体に対するアミノシラン化合物の種類や量を変化させても、いずれもブロードであり、キャリヤーや現像スリーブの如きトナー担持体に対する摩擦帯電量の小さい成分からきわめて大きい成分まで存在する現像剤が得られるだけである。また、値の大きい逆帯電成分も僅かに存在する。現像剤に該シリカ微粉体を含有させた現像剤の摩擦帯電量分布の例を第4図の(a)に示す。」(第7頁右上欄第18行〜左下欄第
19行)
(3e)「低温低湿度においては、帯電量の大きい現像剤成分が増加し,画像濃度の低下、ガサツキ、カブリ、が顕著となり、転写の際の飛び散りや中抜けも増大する。低温低湿下での摩擦帯電量分布の一例を第1図の(c)に示す。また、特に低温低湿度においては、現像剤の連続使用によってこの傾向はさらに顕著となり初期の特性を維持し得ず使用に耐えないものになる。」(第7頁右下欄第6〜13行)、
(3f)「一方、本発明の現像剤の摩擦帯電量分布の一例を第2図の(a)から(c)に示す。図から分かる様に、その分布がきわめてシャープである。この様なシランカップリング剤で処理され、かつ、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示す様に疎水化処理されたシリカ微粉体を含有する現像剤がこの様に均一でシャープな摩擦帯電分布を有する事の詳細な理由は明らかではないが、(おそらくは、カップリング剤と疎水化財の相互作用により過剰の電荷のリークと、電荷蓄積がある平衡値で安定化しているためであろう)現像、転写に悪影響を及ぼす成分が少なく、その分布と値は高温高湿度及び低温低湿度の条件下でも変化が少ない。」(第7頁右下欄第14行〜第8頁左上欄第7行)、
(3g)「また本発明のトナーを磁性トナーとして用いるために、磁性粉を含有せしめても良い。このような磁性粉としては、磁場の中に置かれて磁化される物質が用いられ、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの合金や化合物がある。この磁性粉の含有量はトナー重量に対して15〜70重量%である。」(第8頁左下欄第9〜16行)、
(3h)「〔実施例1〕
スチレン-ブチルメタクリレート 100重量部
カーボンブラック 2 〃
ニグロシン 3 〃
上記材料をブレンダーでよく混合した後150℃に熱した2本ロールで混練した。混練物を自然放冷後、カッタ-ミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて粉砕し、さらに風力分級機を用いて分級して粒径5〜20μの微粉体を得た。
次にシリカ微粉体アエロジル200(日本アエロジル社製)を70℃に加熱した密閉型へンシェルミキサー中に入れ、シリカに対してシランカップリング剤2.0重量パーセントの処理量となる様にアルコールで希釈したγ‐アミノプロピルトリエトキシシランを滴下しながら高速で攪拌した。得られた微粉体を120℃にて乾燥した後、再びへンシェルミキサー中に入れ、攪拌しながら該シリカに対してジメチルジクロルシランが2.0重量パーセントとなる様に噴霧した。室温で2時間高速攪拌し、さらに80℃で24時間攪拌し、ついでミキサーを大気圧まで開放した。この混合物をさらに低速にて大気圧で60℃5時間乾燥した。疎水化度は50であった。
該処理シリカ微粉体を上記微粉体に対し0.6重量パーーセント加えヘシェルミキサーで混合したもの5部に、粒径50〜80μの鉄粉キヤリヤー100部加え混合して現像剤を得た。
次いでopc感光体上に従来公知の電子写真法により、負の静電荷像を形成し、これを上記の現像剤を用い磁気ブラシ法で粉体現像してトナー画像を作り、普通紙に転写し加熱定着させた。得られた転写画像は濃度が1.5と充分高く、かぶりも全くなく、画像周辺のトナー飛び散りがなく解像力の高い良好な画像が得られた。上記現像剤を用いて連続して転写画像を作成し、耐久性を調べたが、30000枚後の転写画像も初期の画像と比較して、全く、そん色のない画像であった。
また、環境条件を35℃、85%にしたところ画像濃度は1.39と常温常温とほとんど変化のない値であり、カブリや飛び散りもなく鮮明な画像が得られ耐久性も30000枚まではほとんど変化なかった。次に10℃10%の低温低湿度において転写画像を得たところ画像濃度は1.60と高く、べタ黒も極めて滑らかに現像、転写され飛び散りや中抜けのない優秀な画像であった。この環境条件で耐久を行ったが、連続、及び間けつでコピーしたが、やはり30000枚まで濃度変動は土0.2と実用上充分であった。
この現像剤の摩擦帯電量分布の測定結果を第2図の(a)から(c)に示したが、常温常湿、高温高湿、低温低湿の各条件において、シャープな分布状態を示した。」(第9頁左下欄第2行〜第10頁左上欄第14行)、
(3i)「〔比較例1〕
アエロジル200をγ-アミノプロピルトリエトキシシランと、ジメチルジクロルシランで処理しない他は実施例1と同様に現像剤を得、現像、転写を行なったが、反転した画像が得られたのみであり、摩擦帯電量は-3.2μc/gと負の帯電性を示した。」(第10頁左上欄第15行〜右上欄第1行)、
(3j)第2図(a)、(b)、(c)〔(a)、(b)、(c)の各図の測定条件が、それぞれ、「22℃60%RH」、「35℃85%RH」、「10℃10%RH」であることが記入され、摩擦帯電量の曲線が(b)、(a)、(c)の順で正帯電の多い方向に移動していることが読み取れる。〕(第12頁)、と記載されている。

3-3-4 刊行物4には、
(4a)「金属同士の接触帯電では,移動する電荷量は両方の金属の仕事関数差によって決まるから,ある金属の帯電量は,これに接触する相手金属の仕事関数に依存することになる。高分子と金属の接触帯電においても,高分子の帯電は接触する金属の仕事関数に依存することを示す結果が得られている。図4.2はポリカーボネートの測定例で,接触する金属の仕事関数が小さい場合には負極性に,大きい場合には正極性に帯電し,帯電量と接触する金属の仕事関数の間には,ほば直線関係があることがわかる。図4.3は,ナイロン6の繊維を,酸化の程度をコントロールして仕事関数を変化させたニッケルと接触させた場合である。この例でも,仕事関数と帯電量との間には直線関係があるように見受けられる。高分子の帯電と,接触する金属の仕事関数の相関関係を示すデータは,数多く発表されている。総じて測定値のバラッキは大きいが,このような傾向を示すものが多い。しかし,帯電量と仕事関数の関係については,直線関係にならないものや,まったく相関が見いだされないとする結果もある(後出)。」(第16頁第3行〜第17頁下から第8行)、と記載されている。

3-3-5 刊行物5には、
(5a)「(1)トナー材料を混練冷却した固形物に対し、流動性向上剤を加えた後に粉砕することを特徴とするトナー製造方法。(2)流動性向上剤が疎水性コロイダルシリカである特許請求の範囲第1項記載のトナー製造方法。
(3)流動性向上剤を0.3〜1.8重量%加える特許請求の範囲第1項記載のトナー製造方法。
(4)トナー材料を混練冷却した固形物を5mm径以下に粗粉砕した後、流動性向上剤を加え、100μ以下に微粉砕する特許請求の範囲第1項記載のトナー製造方法。」(特許請求の範囲)、
(5b)「トナーの製造において、トナー材料を混練して冷却した後、5mm径以下(より好ましくは1〜2mm径程度)に粗粉砕を行い、次いで超音速ジエツト粉砕機やエアージエツト粉砕機を用いて100μ以下(より好ましくは35μ以下)に微粉砕を行う。本発明はこの微粉砕工程の前に流動性向上剤を加えるものである。
このようにして得たトナー粒子は、その個数分布を測定すると長さ平均粒子径と重量平均粒子径の差が3〜6μで好ましい粒度分布を呈している。」(第2頁左下欄第8〜19行)、と記載されている。

3-3-6 刊行物6には、
(6a)「結着剤樹脂及び磁性体を少なくとも含有する負帯電性磁性トナー及び負帯電性疎水性シリカを有する負帯電性一成分系現像剤において、該磁性トナーは、球状磁性体及び負帯電性制御剤を含有しており、該球状磁性体は、タップ密度1.2〜2.5g/cm3及びアマニ油吸油量5〜30ml/100gを有していることを特徴とする負帯電性一成分系現像剤。」(特許請求の範囲第2項)、
(6b)「さらに、鉄製の磁性ドクターブレード17を円筒表面に近接して(間隔50μm〜500μm)、多極永久磁石の一つの磁極位置に対向して配置することにより、現像剤層の厚さを薄く(30μm〜300μm)且つ均一に規制して、現像部における静電像保持体1と現像持担体4の間隙よりも薄い現像剤層を非接触となるように形成する。」(第6頁右下欄第15行〜第7頁左上欄第1行)、
(6c)「キヤノン製レーザビームプリンタLBP-8AJ1の改造機を使用し、積層型の有機光導電体(OPC)感光ドラム表面に-700Vの一次帯電をおこない、レーザ光の露光部における電位を-100Vとしてデジタル潜像を形成し、直流バイアス-500V、交流バイアス(1800Hz、ピークトゥピーク1600V)を印加して、第5図に示すチェッカー模様の原画を反転現像法により複写した。現像部における現像スリーブ(ステンレス製)と感光ドラムとの最近接間隙を300μmに設定して、バイアスを印可していない状態での現像部におけるスリーブ上の現像剤層の層厚を約100μmにして、現像を行った。」(第7頁左下欄第15行〜右下欄第7行)、と記載されている。

3-4 対比判断
3-4-1 特許法第36条第3項、第4項違反ついて
特許異議申立人は、刊行物4に記載されるように、帯電部材の材質によってトナーの摩擦帯電特性が変化することは技術常識であるから、金属撹拌針の材質によっては、「逆極性の正極に帯電している荷電粒子の含有量を30個数%以下に減少させ」るという構成を満たさない場合があり得るし、また、刊行物3に記載されるように、温度及び湿度の環境条件を変えるとトナーの帯電量分布が変動するものであるから、逆極性に帯電している荷電粒子の含有量も変動するものであるが、如何なる環境条件で測定を行った際のトナー帯電量分布を規定したのか不明であるので、本件特許明細書の特許請求の範囲、及び発明の詳細な説明の記載には不備がある旨主張している。

しかしながら、刊行物4には、高分子と金属との接触帯電として、ポリカーボネートと金属の仕事関数との測定例、及びナイロン6と仕事関数を変化させた酸化ニッケルとの測定例が記載され、これらの測定例では、帯電量は金属の仕事関数とほぼ直線関係にあるが、直線関係にならないものや、まったく相関が見いだされないとする結果もある(摘記事項(4a)参照)ことが記載されている。
これからみて、金属の材質によって帯電特性は変化するが、一定の関係が成立するといえるものではなく、また、刊行物4には、ポリカーボネート、ナイロン6の樹脂表面と金属表面との間の接触帯電において、帯電した樹脂に逆極性の帯電が生じることについては全く示唆するところはない。その接触もトナーの接触帯電のように樹脂粒子が粒子相互で接触しつつ金属面と接触するようなものではないもので、ましてや磁性粉等多数の成分を混合した樹脂粒子である磁性トナーに、酸化ケイ素を含む状態で金属撹拌針による接触帯電において生じる逆極性に帯電する荷電粒子の含有量についてまで、金属撹拌針の材質が材質以外の条件に比較して特に著しい影響を及ぼすことを、刊行物4の記載が示唆するものであるとはいえない。

刊行物3には、摩擦帯電量分布は環境条件によって変化しやすく、特に高温高湿及び低温低湿の条件において現像に適さない分布となる(摘記事項(3d)参照)が、二成分現像の非磁性トナーの正帯電において、高温多湿、低温低湿、その中間の常温常湿というような、温度及び湿度の環境条件の変化してもシリカをシランカップリング剤によって特定の疎水化処理すると摩擦帯電量分布が安定する(摘記事項(3f)参照)、正帯電の測定条件は「22℃60%RH」、「35℃85%RH」、「10℃10%RH」の3者である(摘記事項(3h)、(3j)参照)ことが記載されている。
これからみると、環境条件は、高温高湿が35℃、85%RH、低温低湿が10℃、10%RHであって、その中間の22℃、60%RHが常温常湿で、複写機の通常の使用環境であり、帯電特性もこの常温常湿から、高温高湿、低温低湿での変化を抑えるために検討しているものである。さらに磁性粉を含有せしめて磁性トナーに適用してもよい(摘記事項(3g)参照)とも記載されているが、負極帯電の帯電特性については何も示していないものであるから、刊行物3の記載は、湿度、温度の環境変化でトナーの帯電特性が変動するということを単に示すにとどまるものであって、磁性トナーの負極帯電における逆極性の正極帯電している荷電粒子の含有量を減少をも示唆するものではない。
複写機は、常温常湿の室内で通常使用するものであるから、トナーの画像形成の性能である帯電特性についても特段の環境条件を明示していないのであれば、常温常湿の通常の使用環境で測定されたものを意味するとするのが当然のことである。
一方、本件特許明細書には、帯電量の測定について、「PES-Laboratorium製q/d-meterという測定装置を用いて下記のように帯電量q/dの分布を求めた。
測定方法(1)トナーを約400mg採取し、装置のセル中に導入する。
(2)セル中には、回転可能な長さ5mmの金属製撹拌針を入れておく。そして、下部磁石により撹拌針を回転させ、この撹拌針の回転によってトナーを撹拌混合する。
(3)円筒チャンバー内に一定速度の空気を流し、トナーを円筒チャンバー内に導く。そして、円筒チャンバー内の上下一対の電極間に電界によりトナーを偏向させる。
条件は、下記のとおりである。
極電圧:10[kV]
エアーフロー:10[l/分]
トナーフロー:60[ml/分]
トナー放出時間:10[秒]
(4)セルから放出され、上部電極に付着したトナーをテープ上に移しとる。
(5)上下の電極性のの極性を入れかえて(1)〜(4)の操作を行う。
(6)画像処理を行い、電極単位面積当りの付着トナー面積と、原点からのトナー飛距離とから、トナーの帯電量分布をプロットする。」(明細書第35頁第11行〜第37頁第3行;特許公報第第14欄第3〜26行参照)と具体的に記載されている。
ここには、トナーの帯電測定時の金属撹拌針の材質、環境条件を示していないが、測定に用いた撹拌針はアルミニウムで、測定時の環境条件は、常温常湿の温度20℃、湿度60%であると、特許権者が意見書で述べているように通常の測定に用いる針、環境条件下のものであると理解できる。
よって、「この磁性トナーに、酸化ケイ素を0.3〜1.6重量%添加して、逆極性の正極に帯電している荷電粒子の含有量を30個数%以下に減少させる」という帯電量分布に関する記載、及びその技術的意義について不明りょうであるとすることまではできないので、上記特許異議申立人の主張は採用しない。

3-4-2 特許法第29条第1項3号違反について
本件発明1と、刊行物1の実施例1(摘記事項(1e)参照)に記載のものとを対比すると、
後者は、「・・・ケトン樹脂で被覆された凝集物が得られた・・・ハンマーミルに導入し、高速回転で処理した・・・捕集機へ排出した生成物を計8回、同様な操作で繰り返し処理し、目的とする平均粒径が13μのトナー粒子を得た。これには5μ以下の粒子は実質的に含まれておらず、25μ以上の粒子もほとんど含まれていなかった。また、電子顕微鏡による目視観察では表面は平滑で丸みを帯びた形状となっていた。これに分級処理を施し、25μ以上の粒子を完全に除去した後、トナー100部に対し0.3部のコ
ロイダルシリカ(商品名;R-972,日本エアロジル(株)製)を添加し」たものであるが、
これを、本件発明1の粒子径の規定で表すと、平均粒子径dが13μ、d/2が6.5μ、2dが26μとなり、「6.5μ以下の粒子が5体積%以下、26μ以上の粒子が5体積%以下」ということであって、 本件発明1の粒子径とは、平均粒子径の半分以下及び2倍以上のような範囲の粒子径の粒子は全く含まないかなるべく少なくなるよう粒子径を調整するということで共通するもので、別異な粒子径をとるものではなく単に表現上の相違するので、
両者は、「磁性粉と、樹脂とを含有し、平均粒子径dが13μm、粒子径がd/2以下の粒子が5体積%以下、粒子径が2d以上の粒子が5体積%以下である磁性トナー粒子に、酸化ケイ素を0.3重量%添加する電子写真用磁性トナーの製造方法」である点で一致し、
(1) 粒子を、前者は、酸化ケイ素の外添を行わずに粉砕法により作製したのに対して、後者は、疎水性樹脂の被覆を有する球形樹脂微粒子の複数個を機械的歪力で集合体としたものである点、
(2) 帯電について、前者は、逆極性の正極に帯電している荷電粒子の含有量を30個数%以下に減少させ、かつ平均帯電量の絶対値を増加させるものであるのに対して、後者は、明示していない点、で相違する。
したがって、後者は、粒子を機械的歪力で集合体としたものであり、しかも「逆極性の正極に帯電している荷電粒子の含有量を30個数%以下」にしているとはいえないものである。
よって、本件発明1は刊行物1に記載された発明ではない。

上に述べたように、本件発明1が、刊行物1に記載された発明ではない以上、本件発明1の構成をすべて引用してさらに限定を加える、請求項2、4に係る発明についても、全く同じ理由で、刊行物1に記載された発明であるとすることはできない。
また、本件発明1または2の製造方法によって製造された請求項3の電子写真用磁性トナーも、当然に刊行物1に記載された発明ではない。

3-4-3 特許法第29条第2項違反について
本件発明1と、刊行物1の実施例1(摘記事項(1e)参照)に記載のものとを対比すると、上記 3-4-2 の(1)、及び(2)の点で相違する。

上記相違点(2)について検討する。
刊行物2には、トナーとキャリアが接触して摩擦帯電する2成分系の現像剤で、非磁性トナーを正極に帯電するときにシリカを添加すると、逆極性の負極トナーの割合が減少すること(摘記事項(2a)参照)は記載されているが、磁性トナーでなく、かつ特定の粒子径を有するトナーでもないので、本件発明1の逆極性の正極に帯電することを直接的に意味するものでなく、逆極性の荷電粒子の含有量も具体的には示されていない。
刊行物3には、アミノシラン化合物のみで疎水化処理した酸化ケイ素を添加して正極に摩擦帯電すると帯電量分布がブロードで、帯電量も使用する環境条件によって変化し、逆極性の負極に帯電した荷電粒子も存在すること(摘記事項(3c)参照)、逆極性の負極に帯電した荷電粒子が画質に悪影響を及ぼすこと(摘記事項(3b)参照)、及び〔比較例1〕として、アエロジル200(酸化ケイ素)をγ-アミノプロピルトリエトキシシランと、ジメチルジクロルシランで処理しないと、正極に帯電しようとしても、逆極性の負極に帯電してしまうようなことがあること(摘記事項(3i)参照)が記載されているが、これらの記載は逆極性の負極に帯電する荷電粒子に関することであって、本件発明1の負帯電する際の逆極性の正極に帯電すること、及びその逆極性の荷電粒子の含有量に関するものではない。
刊行物6には、負極帯電性磁性トナーを用いて現像スリーブ上のトナーの厚さを300μm以下に規制して静電潜像を現像して画像を形成すること(摘記事項(6a)〜(6c)参照)が記載されているが、逆極性の正極に帯電する荷電粒子に関しては何ら示唆するところがない。
してみると、刊行物2、3、6の記載から、当業者が、逆極性の正極に帯電している荷電粒子の含有量を30個数%以下に減少させるという構成を導き出すことはできない。
そして、本件発明1は、負極帯電において平均帯電量の絶対値を増加させるという、明細書記載の顕著な効果を奏するものである。
したがって、本件発明1は、上記相違点(1)について検討するまでもなく、刊行物1〜3、5、6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

上に述べたように、本件発明1が、刊行物1〜3、5、6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない以上、本件発明1の構成をすべて引用してさらに限定を加える、請求項2、4に係る発明についても、全く同じ理由で、刊行物1〜3、5、6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではあるとすることはできない。
また、本件発明1または2の製造方法によって製造された請求項3の電子写真用磁性トナーも、同様に刊行物1〜3、5、6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

3-5 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠方法によっては、本件請求項1ないし4に係る発明の特許を取り消すことができない。
また、他に本件請求項1ないし4に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
電子写真用磁性トナー、電子写真用磁性トナーの製造方法および画像形成方法
(57)【特許請求の範囲】
(1)磁性粉と、樹脂とを含有し、平均粒子径dが3〜25μm、粒子径がd/2以下の粒子が5体積%以下、粒子径が2d以上の粒子が5体積%以下である磁性トナー粒子を有する磁性トナーを酸化ケイ素の外添を行わずに粉砕法により作製し、
この磁性トナーに、酸化ケイ素を0.3〜1.6重量%添加して、逆極性の正極に帯電している荷電粒子の含有量を30個数%以下に減少させ、かつ平均帯電量の絶対値を増加させる電子写真用磁性トナーの製造方法。
(2)前記逆極性に帯電している荷電粒子の含有量を、40個数%以上の含有量から30個数%以下に減少させる請求項1の電子写真用磁性トナーの製造方法。
(3)請求項1または2の製造方法によって得られた電子写真用磁性トナー。
(4)請求項3の電子写真用磁性トナーを現像剤として用い、この現像剤を磁石ロールと現像スリーブを具えた現像器中に収納し、前記現像スリーブ上の前記現像剤厚さを300μm以下に規制して静電潜像を現像することを特徴とする画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
<産業上の利用分野>
本発明は、電子写真において静電潜像を現像するための電子写真用磁性トナーと、電子写真用磁性トナーの製造方法と、画像形成方法とに関する。
<従来の技術>
静電潜像を現像するための現像剤として、磁性トナーを用いた一成分系現像剤が広く知られてる。
また、特開昭55-48754号公報、同57-45555号公報、同57-45556号公報、同57-45557号公報等に示されるように磁性トナーに荷電制御剤を添加した荷電型磁性トナーも知られている。
そして、画像品質をより一層向上させるため現像剤について種々の提案もされている。
例えば、特公昭63-41061号公報には、トナー粒子の平均粒径が7〜30μmであり、粒径が1.0μm以下の微細トナー粒子を実質的に含まず、かつシリカをトナー粒子の総重量に対して1重量%以下含有し、トナー粒子の表面上あるいはトナー粒子間にシリカを存在させた一成分系現像剤が開示されている。
この場合、公報記載の実施例では、シリカの添加量は最大0.2重量%である。
そして、この公報によれば、磁性トナーの製造時にシリカを混合することによって、トナーの相互摩擦による帯電電位、つまり帯電量を増加させながら流動性を改善することができ、従来に比べ画像品質を向上させることができるとされている。
<発明が解決しようとする課題>
ところで、一成分系の現像剤を用いて静電潜像を現像するには、解像度を向上させたり、ニジミを防止するため、スリーブロールと対向して配置したブレードにより、現像スリーブ上に100〜300μm程度の薄い現像剤層を形成して現像を行う、いわゆる薄層現像を行うことが好ましい。
しかし、前記公報のシリカを0.2重量%以下添加した磁性トナーを用いて薄層現像を行うと、スリーブロール表面にトナーが付着する、いわゆるスリーブ付着が顕著になる。
このスリーブ付着は、スリーブロール上にて波状に生じ、これが甚しいと、画像に波模様が生じてしまう。
また、トナー飛散が生じたり、カブリが高い等の画像欠陥も生じる。
そして、このような現像剤を用いてデジタル記録後に現像を行う場合、ドット再現力の不十分な画像しか得られない。
また、特に、デジタル記録にてベタ画像を再生しようとすると、先端部が欠けたり、濃度がうすくなってしまう先端欠けや、後端部の濃度が極端に高くなったり、ふくらんだり尾引いてしまう後端溜りなどの画像欠陥が生じる。
そして、これら画像品質は環境特性に影響を受けてしまう。
そこで、磁性トナーのトナー粒子間の帯電の帯電量分布について実験を行ったところ、第1図に示されるように磁性トナーは帯電量q/d(q:電荷、d:粒径)の分布で、逆極性トナーが40個数%程度以上含まれていることが判明した。
さらには、同じ平均粒子径の磁性トナーを用いて現像を行っても、粒度分布の違いによって画像品質が異なることが判明した。
つまり、磁性トナーの粒子径が均一化していないと、特に薄層現像では、磁性トナー粒子の凝集が生じ、流動性が低下する。
この結果、スリーブ付着が顕著になる。
本発明の主たる目的は、トナー凝集がなく、白スジの発生がなく、トナー飛散がなく、カブリが低く、しかもスリーブ付着が解消し、しかもドット再現力等の画像品質が良好かつ安定である電子写真用磁性トナーと、このような電子写真用磁性トナーの製造方法と、画像品質が良好かつ安定である画像形成方法とを提供することにある。
<課題を解決するための手段>
このような目的は下記の(1)〜(4)の本発明によって達成される。
(1)磁性粉と、樹脂とを含有し、平均粒子径dが3〜25μm、粒子径がd/2以下の粒子が5体積%以下、粒子径が2d以上の粒子が5体積%以下である磁性トナー粒子を有する磁性トナーを酸化ケイ素の外添を行わずに粉砕法により作製し、
この磁性トナーに、酸化ケイ素を0.3〜1.6重量%添加して、逆極性の正極に帯電している荷電粒子の含有量を30個数%以下に減少させ、かつ平均帯電量の絶対値を増加させる電子写真用磁性トナーの製造方法。
(2)前記逆極性に帯電している荷電粒子の含有量を、40個数%以上の含有量から30個数%以下に減少させる上記(1)の電子写真用磁性トナーの製造方法。
(3)上記(1)または(2)の製造方法によって得られた電子写真用磁性トナー。
(4)上記(3)の電子写真用磁性トナーを現像剤として用い、この現像剤を磁石ロールと現像スリーブを具えた現像器中に収納し、前記現像スリーブ上の前記現像剤厚さを300μm以下に規制して静電潜像を現像することを特徴とする画像形成方法。
<作用>
本発明では、磁性トナー粒子にさらに酸化ケイ素を添加して磁性トナーを構成する。
そして、トナー粒子間の帯電量(q/d)分布を、第2図に示されるように、逆極性帯電荷電粒子の含有量を所定値に規制する。
このような磁性トナーは、帯電の立ち上がりが格段と迅速となり、帯電量も安定となる。そして、環境変化による帯電量の変化も格段と小さくなる。
この結果、トナー凝集が減少し、スリーブ付着や白スジの発生やトナー飛散がきわめて小さくなり、さらにカリブも減少する。
また、デジタル記録の現像を行う場合、ドット再現性が格段と向上する。
そして、べた記録の際の先端欠けや、後端溜りも解消する。
おもに、このような効果は、スリーブ表面に薄層の現像剤層を形成して現像を行う薄層現像にて極めて顕著に発現する。
なお、前記公報では、ブレードによりスリーブ上の現像剤層の厚さを規制せず、1mm程度の現像剤層にて現像を行っている。
そして、酸化ケイ素を比較的少量添加して、逆極性帯電トナー粒子の含有比を低下させることなく、正負それぞれの極性の帯電量をそれぞれ増加させる。
このような構成では、薄層現像における本発明の効果は実現しない。
<発明の具体的構成>
以下、本発明の具体的構成を詳細に説明する。
本発明の電子写真用トナーは、磁性粉および樹脂を含有する磁性トナー粒子を有する。
磁性粉としては、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、クロムなどの金属ないしそれらの、合金や、酸化クロム、三二酸化鉄、四三酸化鉄などの金属酸化物や、一般式MO・Fe2O3(MはFe、Mn、Co、Ni、Mg、Zn、Cd、Ba、Li等の1価または2価の金属群より選ばれる1種または2種以上の金属)で表わされるフェライトなど、従来より磁性材料として知られているものはいずれも使用可能である。
そして、磁性粉は、平均粒子径が0.01〜10μm、特に0.05〜3μmであることが好ましい。
この場合、平均粒子径は、下記の方法により測定する。
BET一点法により島津科学機器製マイクロメリテックス フローソープ2300形を用いて、比表面積(BET一点法)Swを実測する。
そして、粒度と比表面積の関係から、平均粒子径Dを求めればよい。

Sw :比表面積(実測値)
Di :粒子径
ni :粒子の数
ρ :粉体の密度

また、磁性粉は、5000 Oeでの保磁力HCが60〜250 Oe、特に60〜220 Oeであることが好ましい。
前記範囲未満では、ライン部のエッジ等に溜まりが多く見られる傾向にある。
前記範囲をこえると、印字部まわりの白字部にトナーの飛び散りが見られる傾向にある。
また、磁性粉は、5000 Oeでの飽和磁化σmが50〜100emu/g、特に70〜90emu/gであることが好ましい。
これら磁気特性は、振動型磁力計(東英工業社製VSM-3型)を用いて測定すればよい。
また、磁性トナー粒子中の磁性粉の含有量は、20〜70重量%、特に30〜60重量%であることが好ましい。
前記範囲未満では、現像器内部での磁石からの磁力が十分伝わらず、カブイやトナー落ち等が悪化する傾向にある。前記範囲をこえると、トナーの定着性が悪化する傾向にある。
一方、樹脂としては、例えば、従来トナーに用いられているものはいずれも使用可能であるが、特に、スチレン系共重合樹脂が好適である。
スチレン系共重合樹脂は、スチレン系単量体と共重合可能なビニル系単量体との共重合反応により得られるものである。
この場合、共重合可能な単量体としては、スチレンおよびその誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸α-エチルヘキシル、アクリル酸α-ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸α-ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなどのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル類、
アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドなどのアミド類、
その他、ビニルエステル類、エチレン系オレフィン類、エチレン系不飽和カルボン酸類などが挙げられる。
この他、ポリエステル樹脂も使用可能である。
ポリエステル樹脂は多塩基酸成分と多価アルコール成分の縮重合反応により得られるものである。
この場合の多塩基酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セベシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シキロヘキサンジカルボン酸に代表される、樹脂族ポリカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸、脂環族ポリカルボン酸およびその無水物が挙げられる。
また、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ピナコール、ヒドロベンゾイン、ベンズピナコール、シクロペンタン-1,2-ジオール、シクロヘキサン-1,2-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジオールに代表される脂肪族ポリアルコール、芳香族ポリアルコール、脂環族ポリアルコールが挙げられる。
その他の樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレンなどが挙げられる。
これらの樹脂は1種類だけを用いてもよいが、必要に応じて、2種類以上混合して用いることも出来る。さらに、これら樹脂の製造法としては、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、塊状重合法、熱重合法、接触重合法、高圧重合法、低圧重合法および、これらの重合法の適当な組合せなど、従来公知の重合法において製造が可能である。
また、磁性粉トナー粒子中の樹脂の含有量は30〜80重量%、特に40〜70重量%であることが好ましい。
前記範囲未満では、定着性が悪化し、画像品質に問題が生じる傾向にある。
前記範囲をこえると、磁性粉の量が少ないことから、現像器内での搬送性が劣る傾向にある。
本発明では、磁性粉と、樹脂に加え、さらに荷電制御剤が添加されていることが好ましい。
本発明に用いる荷電制御剤としては、有機染料が好ましい。
そして、アゾ色素、特にモノアゾ色素の金属、特にクロム錯体やニグロシン色素等が好適である。
このようなモノアゾ色素の金属錯体としては、例えば下記の構造式のものがある。

(ただし、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ、芳香族系極性基を表わし、Mは金属を表わし、Catはカチオンを表わす。)
この他、公知の各種アゾ色素の金属錯体も好適である。
また、ニグロシン色素としては、公知の各種のものが包含される。
さらに、金属錯体系の色素も好ましい。
そして、これらアゾ色素の金属錯体およびニグロシン色素としては、アイゼンスピロンブラックTRH、T-37、T-77[以上、保土谷化学株式会社]、ボントロンS-34、S-31、S-32、E-81、E-82、N-01、N-02、N-03、N-04、N-05、N-07[以上、オリエント化学工業株式会社]、カヤセットブラックT-2、カヤセットブラックT-3、カヤセットブラック004[以上、日本化薬株式会社]等がある。
なお、他の電荷制御剤を使用することはもちろん可能であるが、本発明では、上記荷電制御剤のうち負帯電性の有機染料、特にアゾ系の色素が好ましい。
この場合、磁性トナー粒子中の荷電制御剤の含有量は0.1〜5重量%、特に0.5〜2重量%であることが好ましい。
前記範囲未満では、例えば帯電の安定、帯電の立ち上がり速度の向上等の荷電制御剤の添加効果があらわれない傾向にある。
前記範囲をこえると、転写性が悪化し、トナー消費量が増加し、さらに感光体の寿命も低下する傾向にある。
また、このような磁性トナー粒子中には、さらに、種々の内添剤が添加されていてもよい。
内添剤の1例として、ワックス類がある。
ワックス類は、定着ロールによる定着の際に発生するいわゆるオフセット現像対策などのためのものであり、例えば低分子量のポリエチレン、ポリプロピレンや脂肪酸の金属塩、シリコーン油などが使われる。
このようなものとして、ハイワックス100P、ハイワックス110P[三井石油化学工業(株)]などのポリエチレン、ビスコール550P、ビスコール330P[三洋化成工業(株)]などのポリプロピレン、ステアリン酸亜鉛601、ステアリン酸亜鉛CP[日東化成工業(株)]などの脂肪酸金属塩、シリコーンオイルKF96、シリコーンオイルKF69H[信越シリコーン(株)]などのシリコーン油等が挙げられる。
このような機能を有する離型剤としては、フッ素樹脂も有効である。
これら離型作用を有する物質は磁性トナー粒子中、0.1〜10重量%、より好ましくは1〜6重量%含有させることが好ましい。また、色目調整剤や抵抗制御剤として、カーボンブラックMA-100[三菱化成工業(株)]、ケッチェンブラックEC-DJ600[ライオンアクゾ(株)]、671ミロリブルー[大日精化工業(株)]、導電性酸化チタン[チタン工業(株)]などの無機ないし有機顔料も使用できる。
この他、内添剤としては、後述の流動性改良剤、抵抗調整剤等も挙げられる。
これらは磁性トナー粒子中、0.1〜10重量%、特に0.1〜5重量%含有させることが好ましい。
このような磁性トナー粒子には、抵抗調整剤、色目調整剤ないし着色剤、流動性改良剤等を外添することができる。
これらの例として、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナなどの金属酸化物、炭化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、珪酸カルシウムなどの無機微粉末、
PMMA、ポリエチレン、ナイロン、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリエステルなどのポリマービーズ、
4フッ化エチレン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデンなどの含フッ素有機微粉末、
ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、
カーボンブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、アニリンブラック等の黒色顔料、
ダイヤライトエローGR、バリオリールエロー1090などの黄色顔料、
パーマネントレッドE5B、ローダミン2Bなどの赤色顔料、
銅フタロシアニン、コバルトブルーなどの青色顔料、
ピグメントグリーンBなどの緑色顔料、
ピラゾロンオレンジなどの燈色顔料などが挙げられる。
なお、これらの物質は1種類だけを用いても良いが、必要に応じて、2種類以上を組合せて使用することもできる。
また、上記の離型剤も外添可能である。
これらは、上記のとおり、トナー粒子組成中に内添して練りこまれた場合であってもよく、あるいは外添されて、トナー粒子表面に乾式混合されたり、熱的あるいは機械的に固着されている場合など必要に応じた形態を組合せることができる。
さらに各物質は、表面疎水化処理、表面分散改良処理のためにチタネート系、アルミニウム系、シラン系などのカップリング剤やシリコーンオイル、その他の有機処理、無機処理をほどここともできる。
そして、これら外添剤は0.001〜5μm程度の粒径とする。また、外添量は磁性トナー粒子100重量部に対し、0.1〜5重量部程度とする。
本発明では、このような磁性トナー粒子にさらに酸化ケイ素を添加して磁性トナーを構成する。
用いる酸化ケイ素としてはシリカやコロイダルシリカ等の二酸化ケイ素が好適である。
この場合、酸化ケイ素には、表面疎水化処理、表面分散改良処理のためにチタネート系、アルミニウム系、シラン系などのカップリング剤やシリコーンオイル、その他の有機処理、無機処理をほどこすことが好ましい。
用いる酸化ケイ素の平均粒子径は6〜2000nm、特に6〜100nmであることが好ましい。
平均粒子径は電子顕微鏡写真から算出して求めればよい。
このような酸化ケイ素は、磁性トナー粒子に外添される。
すなわち、酸化ケイ素は、磁性トナー粒子と乾式混合されて、磁性トナー粒子と混合されたり、粒子表面に付着、吸着ないし固着されたり、さらに機械的な歪力や熱等により、トナー粒子表面に固着一体化されたり、埋め込まれたりされているものである。
また、添加量は、磁性トナー粒子100重量部に対し、0.3重量部以上、より好ましくは0.3〜1.6重量部、特に好ましくは0.4〜1.2重量部であることが好ましい。
前記範囲未満では、磁性トナーを摩擦帯電させたとき、逆極性に帯電している荷電粒子の含有量を減少させることが困難であり、本発明の効果が得られない傾向にある。
ただし、あまり多すぎると、スリーブ付着等をひきおこす傾向にある。
なお、本発明の電子写真用磁性トナーは、通常負荷電性トナーであり、この場合は、負極を順極、正極を逆極とし、正極帯電している逆極性帯電荷電粒子の含有量を減少させる。
このように構成される本発明の磁性トナーは、トナーを摩擦帯電させたときに逆極性に帯電している荷電粒子の含有量が30個数%以下、より好ましくは25個数%以下、特に好ましくは10〜25個数%であるものとする。
前記範囲をこえると、ドット再現性が低下したり、ベタ記録の際の先端欠けや、後端溜り等の画像欠陥が生じる。
ただし、あまり小さいことはトナーの製造が困難である。
磁性トナーの逆極性帯電荷電粒子の含有量は、q/dメーターの帯電量分布から求めればよい。
この場合、帯電量分布は、電荷をq、荷電粒子の粒径をdとして換算した際の帯電量q/dの分布とする。
また、本発明の磁性トナーの平均帯電量▲q/d▼は、負帯電性トナーの場合、-0.2(fc/10μm)程度以下であることが好ましい。
なお、平均帯電量▲q/d▼とは、帯電量q/dの個数平均値である。
本発明の電子写真用トナーを製造するには、1つの例として、上記の磁性粉および樹脂に、さらに必要に応じ荷電制御剤等の各種内添剤を添加し、ヘンシェルミキサーにて、十分混合し、ついで熱溶解混練機にて、混練する。その後、冷却し、ハンマーミルにて粗粉砕後、ジェットインパクトミルにて微粉砕を行う。
ついで、過剰の微粉域を風力分級機にて除去後、ヘンシェルミキサーにて酸化ケイ素や上記外添剤を乾式ミキシング等したのちに、過剰の粗粉域を風力分級機にて除去し、所定の粒子径分布のトナーを得る。
また、その他の公知の種々の方法を用いてもよいことはもちろんである。
この場合、酸化ケイ素を磁性トナー粒子に添加することによって、平均帯電量▲q/d▼の絶対値を増加させ、しかも逆極性帯電荷電粒子の含有量を30個数%以下、より好ましくは25個数%以下、特に好ましくは10〜25個数%に減少させる。
そして、特に、酸化ケイ素添加前は、逆極性帯電荷電粒子の含有量が40個数%以上であったものを、前記のとおり逆極性帯電荷電粒子の含有量が、30個数%以下の所定の値をもつ帯電量q/d分布を得るように規制する。
本発明の磁性トナー粒子の平均粒子径dは、3〜25μm、好ましくは5〜25μm、より好ましくは6〜25μm、特に好ましくは8〜20μmとする。
平均粒子径dが3μm未満となると、現像剤の流動性が悪化し、現像剤のケーキングやスリーブ付着が生じやすくなり、また25μmをこえると、解像度の悪化や、定着性の不良を生じる傾向となる。
トナー粒子の平均粒子径dの測定には、コールターカウンタ法により、測定値の体積粒子径を算出し、その50%平均粒子径を平均粒子径dとする。
コールターカウンタ法においては、電解液としてイソトンII(コールターエレクトロニクス社製)を用い、例えばアパーチャー径100μmのコールターカウンタTA-II(コールターエレクトロニクス社製)を用いて体積基準の測定を行う。
また、本発明の磁性トナー粒子の粒子径分布は、前記のとおり、体積基準の平均粒子径をdとしたとき、2d以上が5体積%以下、好ましくは1体積%以下、d/2以下が5体積%以下、好ましくは1体積%以下とする。
2d以上の粒子径のトナーが5体積%をこえると、解像力が低下し、画像品質が悪化する傾向にある。
そして、d/2以下の粒子径のトナーが5体積%をこえると、トナーの凝集が生じ、流動性が低下し、この結果スリーブ付着が生じる傾向にある。
また、本発明の磁性トナーの磁気特性としては、5000 Oeにおける保磁力Hcが60〜250 Oe、特に60〜220 Oeであることが好ましい。
Hcが250 Oeをこえると、トナーの穂が硬くなり、トナー濃度が低下する傾向にある。
Hcが60未満であると現像性が悪化してライン部エッジ等に溜りが見られる傾向にある。
また、5000 Oeにおける飽和磁化σmは15〜60emu/g、特に20〜50emu/gであることが好ましい。
σmが60emu/gをこえると、現像性が悪化し、濃度が低下する傾向にあり、また15emu/g未満となると、トナー落ちが生じやすくなる。
なお、トナーのJIS Z2504によるカサ密度は0.2〜0.8g/cm3、特に0.4〜0.7g/cm3であることが好ましい。
このような本発明の電子写真用磁性トナーは、主に1成分系現像剤として用いられ所定の効果を発揮する。
このような現像剤を用いて潜電潜像を現像するには、例えば以下のように行えばよい。
まず、上記の現像剤を現像器中に収納する。
用いる現像方式としては種々の方式が適用できるが、特に磁気ブラシ現像方式のものが好ましく、磁石および/またはスリーブの相対的回転により現像剤を磁気的に現像領域に搬送する方式が好適である。
第3図には本発明に用いる磁気ブラシ現像方式の現像部の1例が示される。
第3図において、現像タンク2内には内部に磁石ロール4を収納したスリーブロール3が配置される。磁石ロール4とスリーブロール3とはいずれか一方あるいは両方が回転し、相対的に回転するように構成される。
このスリーブロール3に対向して、剛性のブレード5が配置され、スリーブロール3上に現像剤1の現像剤層11が形成されるようにする。そして、この現像剤層11にて、対向するドラム状の感光体6を現像するものである。
現像剤層11の厚みは、300μm以下、好ましくは50〜250μmとする。
現像剤層11の厚みが300μmをこえると解像度が低下し、あまり小さいと搬送がまにあわなくなり、画像濃度が低下したり、スリーブ上に残像がのこる傾向にある。
この場合、ブレード5は図示のようにブレード・スリーブギャップを決定する剛体として構成しても、あるいはブレード5に圧接磁石を一体的に設け、これによりスリーブに圧接される弾性体構造としてもよい。
このような現像器では本発明の効果が特に顕著に実現する。
そして、現像方法は、有機光導電体を感光体とする反転型の現像方法が好ましい。
反転現像が行なわれる場合、負荷電性トナーと負帯電性感光体の組み合わせが好ましく、この場合本発明の効果はより一層顕著となる。
第3図に示される例では、負帯電性の感光体6を設置した上で、ブレード5およびスリーブロール3に負のバイアス電圧を印加して、負荷電性トナーにてポジ像を得る構成とされている。
このように、静電潜像を現像したのち、公知の方法により、普通紙等の各種支持体上に、トナー像を転写し、定着する。
トナー像は、磁性トナー粒子と、酸化ケイ素とを有し、良好な画像品質がえられる。
この他、本発明の現像剤は公知の種々の現像方式にも適用でき、感光体、特に有機感光体複写機やプリンタの構造等は公知のいずれものも適用可能である。
<実施例>
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明を詳細に説明する。
実施例1
下記のトナー組成物をヘンシェルミキサーにて十分混合し、ついで熱溶解混練機にて、混練後、冷却し、ハンマーミルにて粗粉砕した。その後、ジェットインパクトミルにて微粉砕を行った。
ついで、過剰の微粉域を風力分級機にて除去後、ヘンシェルミキサーにて、下記の酸化ケイ素および外添剤を乾式ミキシングした。そののちに過剰の粗粉域を風力分級機にて除去し、所定の粒子径分布の負荷電性の磁性トナーT1を得た。
磁性トナーT1
トナー組成物:
磁性粉 BL-500 40重量部
[チタン工業(株)製]
平均粒子径 0.4μm
HC(5000 Oe)800e
σm(5000 Oe)85emu/g
スチレン-ブチルアクリル系樹脂 57.5重量部
[三井東圧化学(株)製]
ポリプロピレン ビスコール 550P 2.5重量部
[三洋化成(株)製]
荷電制御剤
スピロンブラックTRH 1重量部
[保土谷化学(株)製]
酸化ケイ素:
(トナー組成物100重量部に対して)
シリカ R-974 0.8重量部
[日本アエロジル(株)製]
平均粒子径 10nm
また、酸化ケイ素の含有量をかえたトナーT2、T3、酸化ケイ素を添加しない比較用トナーT4、および粒度分布をかえた比較用トナーT5、T6を作製した。
各トナーT1〜T6の共通の物性等は下記のとおりである。
カサ密度:0.500±0.050g/cm3
飽和磁化σm:34±2emu/g(5000 Oe)
保磁力Hc:80 Oe(5000 Oe)
このようなトナーT1〜T6に対し、PES-Laboratorium製q/d-meterを用いて下記のように帯電量q/dの分布を求めた。
測定方法
(1)トナーを約400mg採取し、装置のセル中に導入する。
(2)セル中には、回転可能な長さ5mmの金属性撹拌針を入れておく。そして、下部磁石により撹拌針を回転させ、この撹拌針の回転によってトナーを撹拌混合する。
(3)円筒チャンバー内に一定速度の空気を流し、トナーを円筒チャンバー内に導く。そして、円筒チャンバー内の上下一対の電極間の電界によりトナーを偏向させる。
条件は、下記のとおりである。
極電圧:10[kV]
エアーフロー:10[リットル/分]
トナーフロー:60[ml/分]
トナー放出時間:10[秒]
(4)セルから放出され、上部電極に付着したトナーをテープ上に移しとる。
(5)上下の電極のの極性を入れかえて(1)〜(4)の操作を行う。
(6)画像処理を行い、電極単位面積当りの付着トナー面積と、原点からのトナー飛距離とから、トナーの帯電量分布をプロットする。
結果は、第1図(トナーT1)および第2図(トナーT4)に示されるとおりである。
また、各トナー中の逆極性帯電荷電粒子、すなわち正帯電している荷電粒子の含有量および各トナーの平均帯電量▲q/d▼は表1に示されるとおりである。

次に、1成分系の現像剤として、各トナーT1〜T6を、有機光導電体を感光体とする、反転型のトナー像転写型電子写真ページプリンタ内の現像器に収納した。なお、現像器において、現像スリーブは感光体ドラムとの間に微少間隙をおいて平行に配置され、かつ固定された磁石ローラを内蔵するものである。
ここで現像スリーブは感光体と同方向に低速度で回転され、さらには、現像スリーブに対して現像バイアスが印加されている。
そして、この現像器において、トナーは現像スリーブの回転によって混合撹拌され、摩擦帯電されつつ、現像スリーブの周面へと供給される。この場合、現像スリーブ上に積層される現像剤層の厚みを200μmに規制した。
また、プリンタにおける静電潜像の現像条件は次の通りである。
スリーブロール
65rpm、径20mm
磁気ロール
固定、8極、
表面磁束700G
ドラム-スリーブギャップ
0.25mm
ブレード-スリーブギャップ
0.23mm
現像バイアス
-350V(DC)
表面電位
-400V(OPCドラム)
このような現像条件にて、各トナーT1〜T6について、下記の評価を行った。
1)ドット再現力
300DPIの解像力をもつプリンターにて1ドットラインパターンをプリント後、ラインの巾を拡大写真より求める(Aμm)。
この値と計算によるライン巾85μmとの比A/85を求める。
潜像が忠実に定着時に再現しているかについては、下記により判定する。
A/85=0.95超1.10未満 :○良好
A/85=0.85〜0.95 または1.10〜1.20 :△やや劣る
A/85=0.85未満または1.20超 :×劣る
2)解像度
主走査および副走査のラインパターン(300DPI)の一部を光学顕微鏡にて50倍(必要に応じ150倍)に拡大し、写真を撮り、それぞれのラインが独立したラインとして確認できるかどうかを目視により総合判定する。
判定基準
独立のラインとしてみえる:○
独立のラインとしてみえない:×
3)画像濃度および濃度変化巾
東京電色(株)製 REFLECTOMETER MODEL TC-6Dにおいて、画像濃度を測定する。
4)トナー飛散
実機にて、連続2000枚プリントを行い飛散を目視にて確認し、ありを×、なしを○とする。
5)白スジ
白スジは、スリーブ-ブレード・ギャップ上に存在する現像剤凝集粉や粗大粒子が現像剤の流れを妨害するために、スリーブ上に新規現像剤が補充されず、プリント時に画像・文字の1部が欠落することであり、これを下記のように判定した。
この場合、白スジの判定に際しては、初期サンプリング画像をとり、200枚ごとのピッチでサンプリングを行いつつ、連続2000枚のプリントを行った。この場合、サンプリング時以外の連続プリント中は、黒字部が全面積の5%になる5%印字パターンにて通紙を行った。
○:常になし
△:ランニング中に発生したが、ランニング中に発生しなくなった。
×:常に1本以上あり
6)スリーブ付着
100枚連続プリントを行ったのち、スリーブ表面をエアーで飛ばし、スリーブ状に凝集塊が残るか否か、画像に凝集塊に起因する波模様が生じるか否かを目視で識別した。
凝集塊のみの発生を△、凝集塊および波模様の発生を×、スリーブ付着の発生なしを○として判定した。
7)画像先端欠けおよび後端溜り
目視により、プリント画像の先端欠けと、後端溜りとを確認する。
○…先端欠けおよび後端溜りなし
×…先端欠けおよび/または後端溜りあり
結果は表2に示されるとおりである。

表2の結果より本発明の効果が明らかである。
<発明の効果>
本発明の電子写真用磁性トナーを用いて現像を行うと、トナー凝集が少なく、スリーブ付着や白スジの発生やトナー飛散がきわめて小さく、加えてカブリも小さい。
また、デジタル記録後に現像を行う場合、ドット再現性が格段と向上する。
そしてベタ記録の際の先端欠けや、後端溜りも解消する。
そして、このような効果は、スリーブ表面に薄層の現像剤層を形成して現像を行う薄層現像にてきわめて顕著に発揮する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、比較用の磁性トナーの帯電量分布の1例を示すグラフである。
第2図は、本発明の電子写真用磁性トナーの帯電量分布の1例を示すグラフである。
第3図は、本発明の画像形成方法に用いる現像部の1例を示す断面図である。
符号の説明
1……現像剤
11……現像剤層
2……現像タンク
3……スリーブロール
4……磁石ロール
5……ブレード
6……感光体
61……有機光導電体
65……感光体ドラム
 
訂正の要旨 訂正の要旨 2000-74139 (特許第3041010号)
(1)訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1ないし4を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「【請求項1】磁性粉と、樹脂とを含有し、平均粒子径dが3〜25μm、粒子径がd/2以下の粒子が5体積%以下、粒子径が2d以上の粒子が5体積%以下である磁性トナー粒子を有する磁性トナーを酸化ケイ素の外添を行わずに粉砕法により作製し、
この磁性トナーに、酸化ケイ素を0.3〜1.6重量%添加して、逆極性の正極に帯電している荷電粒子の含有量を30個数%以下に減少させ、かつ平均帯電量の絶対値を増加させる電子写真用磁性トナーの製造方法。
【請求項2】前記逆極性に帯電している荷電粒子の含有量を、40個数%以上の含有量から30個数%以下に減少させる請求頂1の電子写真用磁性トナーの製造方法。
【請求項3】請求項1または2の製造方法によって得られた電子写真用磁性トナー。
【請求項4】請求唄3の電子写真用磁性トナーを現像剤として用い、この現像剤を磁石ロールと現像スリーブを具えた現像器中に収納し、前記現像スリーブ上の前記現像剤厚さを300μm以下に規制して静電潜像を現像することを特徴とする画像形成方法。」と訂正する。
(2)訂正事項b
明細書第7頁第5行〜第8頁第14行(特許公報第4欄第13〜33行)の、「このような目的は・・・画像形成方法。」を明りょうでない記載の釈明を目的として、
「このような目的は下記の(1)〜(4)の本発明によって達成される。
(1)磁性粉と、樹脂とを含有し、平均粒子径dが3〜25μm、粒子径がd/2以下の粒子が5体積%以下、粒子径が2d以上の粒子が5体積%以下である磁性トナー粒子を有する磁性トナーを酸化ケイ素の外添を行わずに粉砕法により作製し、
この磁性トナーに、酸化ケイ素を0.3〜1.6重量%添加して、逆極性の正極に帯電している荷電粒子の含有量を30個数%以下に減少させ、かつ平均帯電量の絶対値を増加させる電子写真用磁性トナーの製造方法。
(2)前記逆極性に帯電している荷電粒子の含有量を、40個数%以上の含有量から30個数%以下に減少させる請求頂1の電子写真用磁性トナーの製造方法。
(3)上記(1)または(2)の製造方法によって得られた電子写真用磁性トナー。
(4)上記(3)の電子写真用磁性トナーを現像剤として用い、この現像剤を磁石ロールと現像スリーブを具えた現像器中に収納し、前記現像スリーブ上の前記現像剤厚さを300μm以下に規制して静電潜像を現像することを特徴とする画像形成方法。」と訂正する。
異議決定日 2001-12-26 
出願番号 特願平2-45304
審決分類 P 1 651・ 531- YA (G03G)
P 1 651・ 113- YA (G03G)
P 1 651・ 121- YA (G03G)
P 1 651・ 534- YA (G03G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 井上 彌一木村 史郎  
特許庁審判長 城所 宏
特許庁審判官 阿久津 弘
六車 江一
登録日 2000-03-03 
登録番号 特許第3041010号(P3041010)
権利者 ティーディーケイ株式会社
発明の名称 電子写真用磁性トナー、電子写真用磁性トナーの製造方法および画像形成方法  
代理人 石井 陽一  
代理人 石井 陽一  

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