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審決分類 審判 全部申し立て 特174条1項  E01D
管理番号 1056826
異議申立番号 異議2001-71339  
総通号数 29 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-06-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-04-27 
確定日 2002-04-03 
異議申立件数
事件の表示 特許第3106300号「構造物用弾性支承体とその製造方法」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3106300号の請求項1ないし2に係る特許を取り消す。 
理由 一 手続の経緯
本件特許第3106300号の請求項1及び2に係る発明は、平成8年12月11日に特許出願され、平成12年9月8日にその特許権の設定登録がなされ、その後、請求項1及び2に係る発明の特許についてオイレス工業株式会社より特許異議の申立てがなされ、平成13年8月27日付けで取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年11月5日付けで特許異議意見書及び訂正請求書が提出され、さらに、当該訂正請求に対し、平成13年11月20日付けで訂正拒絶理由が通知され、その指定期間内である平成14年1月28日付けで特許異議意見書が提出されたものである。

二 訂正の適否について
1.訂正の内容
平成13年11月5日付け訂正請求書において特許権者は、誤記の訂正を目的として、特許請求の範囲の請求項1及び2の、「通常の鉛プラグよりも表面積比にして2分の1ないし3分の1に減縮した鉛プラグ」を、「通常の鉛プラグよりもゴム支承平面内に占める鉛プラグの専有面積比にして2分の1ないし3分の1に減縮した鉛プラグ」と訂正するとともに、当該訂正に伴う、明りょうでない記載の釈明を目的として発明の詳細な説明を訂正することを求めている。

2.訂正の適否
しかしながら、立体の表面全体の面積を意味する「表面積」と、断面積を意味すると解される「ゴム支承平面内に占める専有面積」とは、その意味するところが明らかに相違するから、「通常の鉛プラグよりも表面積比にして2分の1ないし3分の1に減縮した鉛プラグ」を「通常の鉛プラグよりもゴム支承平面内に占める鉛プラグの専有面積比にして2分の1ないし3分の1に減縮した鉛プラグ」と訂正することは、鉛プラグの量を変更することとなる。したがって、上記請求項1及び2の訂正は実質上特許請求の範囲を変更するものである。

3.むすび
以上のとおり、上記訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する特許法第126条第3項の規定に適合しないから、当該訂正は認められない。

三 異議の申立てについて
1.本件特許明細書
上記「二 訂正の適否について」で示したように、平成13年11月5日付けの訂正請求は認められないから、本件特許明細書は特許査定時の明細書である。

2.取消理由通知
これに対し、平成13年8月27日付けの取消理由通知において次の理由を示している。

『1.特許法第17条の2第3項違反について
平成12年3月24日付けの手続補正書による補正後の明細書には、以下の記載がある。

「【請求項1】 ゴム層と補強板とが積層一体化されて、かつ、この弾性体と補強板とを軸方向に貫通して鉛プラグが設けられて弾性支承本体が構成され、前記弾性支承本体の上下に各々上下取付け部材が一体的に取付けられている構造物用弾性支承体であって、前記ゴム層を、高減衰ゴム材の非線形性よりの動的特性値に比して、線形性寄りの動的特性値を付与して減衰性能を低下させるように材料配合(分子設計)した高減衰ゴム材で構成すると共に、前記高減衰ゴム材の減衰性能低下分を補うためのみに限定して、通常の鉛プラグよりも表面積比にして2分の1ないし3分の1に減縮した鉛プラグを弾性支承本体の中央部に1個ないし複数個嵌入し、前記線形性寄りの動的特性値を付与された高減衰ゴム材と前記鉛プラグとの相乗効果によって、耐久性と減衰性能の調和を図りうるように、減衰定数の所期値が設定されてなる構成を特徴とする構造物用弾性支承体。
【請求項2】 支持台上に載置した下部取付け部材の上面に鉛プラグを立設し、高減衰ゴム材の非線形性よりの動的特性値に比して、線形性寄りの動的特性値を付与するように材料配合(分子設計)した高減衰ゴム材と補強板とを交互に積層してなり、かつプラグ挿入孔を有する積層体を、僅少の隙間を介して、減衰性能を低下させるように前記線形性寄りの動的特性値を付与された高減衰ゴム材の減衰性能低下分を補うためのみに限定して、通常の鉛プラグよりも表面積比にして2分の1ないし3分の1に減縮した鉛プラグを嵌入し、前記積層体の上部から突出した鉛プラグの上部を上部取付け部材の下面に当接して、積層体上面と上部取付け部材の下面との間に間隙Lを形成し、モールド型内において前記上部取付け部材を介して、前記鉛プラグを軸方向に押圧しながら前記線形性寄りの動的特性値を有する高減衰ゴム材を加熱,加圧して加硫することを特徴とする構造物用弾性支承体の製造方法。

【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ゴム層と補強板とが積層一体化されて、かつ、この弾性体と補強板とを軸方向に貫通して鉛プラグが設けられて弾性支承本体が構成され、前記弾性支承本体の上下に各々上下取付け部材が一体的に取付けられている構造物用弾性支承体であって、前記ゴム層を、高減衰ゴム材の非線形性よりの動的特性値に比して、線形性寄りの動的特性値を付与して減衰性能を低下させるように材料配合(分子設計)した高減衰ゴム材で構成すると共に、前記高減衰ゴム材の減衰性能低下分を補うためのみに限定して、通常の鉛プラグよりも表面積比にして2分の1ないし3分の1に減縮した鉛プラグを弾性支承本体の中央部に1個ないし複数個嵌入し、前記線形性寄りの動的特性値を付与された高減衰ゴム材と前記鉛プラグとの相乗効果によって、耐久性と減衰性能の調和を図りうるように、減衰定数の所期値が設定されてなる構成を特徴とする。
本発明の製造方法は、支持台上に載置した下部取付け部材の上面に鉛プラグを立設し、高減衰ゴム材の非線形性よりの動的特性値に比して、線形性寄りの動的特性値を付与するように材料配合(分子設計)した高減衰ゴム材と補強板とを交互に積層してなり、かつプラグ挿入孔を有する積層体を、僅少の隙間を介して、減衰性能を低下させるように前記線形性寄りの動的特性値を付与された高減衰ゴム材の減衰性能低下分を補うためのみに限定して、通常の鉛プラグよりも表面積比にして2分の1ないし3分の1に減縮した鉛プラグを嵌入し、前記積層体の上部から突出した鉛プラグの上部を上部取付け部材の下面に当接して、積層体上面と上部取付け部材の下面との間に間隙Lを形成し、モールド型内において前記上部取付け部材を介して、前記鉛プラグを軸方向に押圧しながら前記線形性寄りの動的特性値を有する高減衰ゴム材を加熱,加圧して加硫することを特徴とする。」

上記請求項1及び明細書段落番号【0014】8ないし10行には、「通常の鉛プラグよりも表面積比にして2分の1ないし3分の1に減縮した鉛プラグを弾性支承本体の中央部に1個ないし複数個嵌入し」、上記請求項2及び明細書段落番号【0014】18ないし19行には、「通常の鉛プラグよりも表面積比にして2分の1ないし3分の1に減縮した鉛プラグを嵌入し」との記載があり、通常の鉛プラグよりも表面積比にして2分の1ないし3分の1に減縮した鉛プラグが記載されていると認められる。
これに対し、本件の願書に最初に添付した明細書には、「鉛プラグは従来の1/2〜1/3の使用量とし」(段落番号【0013】)との記載があるが、「使用量」という用語は、通常、質量又は体積に対して用いる用語であって、「表面積」に対して用いるものではない。また、「鉛プラグ入り弾性支承体の鉛の専有面積も1/2ないし1/3にとどめ」(段落番号【0018】)との記載があるが、「専有面積」の意味するところが不明であり、また、鉛の専有面積を何に対して1/2ないし1/3にとどめるのかが不明である。なお、本件の願書に最初に添付した明細書には、「鉛プラグと減衰性能の関係は、ゴム支承平面内に占める鉛の面積が大(例えば4%〜12%で、中心は6%前後)では減衰性能が大。」(段落番号【0007】)との記載があることから、「専有面積」を「ゴム支承平面内に占める鉛の面積」と解したとしても、立体の表面全体の面積を意味する「表面積」とは明らかに相違する。
したがって、通常の鉛プラグよりも表面積比にして2分の1ないし3分の1に減縮した鉛プラグは、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されておらず、また、同明細書又は図面から直接的かつ一義的に導き出せたものともいえない。
よって、請求項1及び明細書段落番号【0014】8ないし10行の「通常の鉛プラグよりも表面積比にして2分の1ないし3分の1に減縮した鉛プラグを弾性支承本体の中央部に1個ないし複数個嵌入し」、請求項2及び明細書段落番号【0014】18ないし19行の「通常の鉛プラグよりも表面積比にして2分の1ないし3分の1に減縮した鉛プラグを嵌入し」との記載は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされた補正とはいえず、平成12年3月24日付けの手続補正書による補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。』

そして、上記取消理由は妥当なものと認められるから、請求項1及び2に係る発明の特許は取り消されるべきものである。

3.むすび
以上のとおりであるから、本件の請求項1及び2に係る発明の特許は、特許法第17条の2第3項の規定に違反してなされたものである。
したがって、本件の請求項1及び2に係る発明の特許は、特許法第113条第1号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2002-02-14 
出願番号 特願平8-346456
審決分類 P 1 651・ 55- ZB (E01D)
最終処分 取消  
前審関与審査官 川島 陵司  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 鈴木 憲子
中田 誠
登録日 2000-09-08 
登録番号 特許第3106300号(P3106300)
権利者 株式会社カイモン
発明の名称 構造物用弾性支承体とその製造方法  
代理人 林 信之  
代理人 池田 仁士  
代理人 森 俊秀  
代理人 片寄 武彦  
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