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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B |
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管理番号 | 1058897 |
審判番号 | 不服2000-2248 |
総通号数 | 31 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1992-10-01 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-02-23 |
確定日 | 2002-05-17 |
事件の表示 | 平成3年特許願第37628号「信号検出装置」拒絶査定に対する審判事件[平成4年10月1日出願公開、特開平4-276235]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
[1]経緯 本願は、平成3年3月4日の出願であって、その請求項1と2に係る発明は平成11年10月4日付けの手続補正書によって補正された明細書および図面の記載からみて、次のとおりのものと認める。 なお、平成12年3月25日付け提出の手続補正書に係る手続きは、特許法第133条の2第1項の規定により却下された。(平成12年10月23日付の却下決定。) 「【請求項1】心電波信号を検出する心電波信号検出手段と、 該心電波信号検出手段によって検出される心電波信号の検出時間間隔を計時する計時手段と、 前記計時手段によって計時される時間間隔において脈拍信号を検出する脈拍信号検出手段と、 該脈拍信号検出手段によって検出された脈拍信号を増幅する増幅手段と、 該脈拍信号検出手段によって脈拍信号が検出されないとき、前記増幅手段の増幅率を制御する手段と、 を具備することを特徴とする信号検出装置。 【請求項2】脈拍信号を検出する脈拍信号検出手段と、 該脈拍信号検出手段によって検出される脈拍信号の検出時間間隔を計時する計時手段と、 前記計時手段によって計時される時間間隔において心電波信号を検出する心電波信号検出手段と、 該心電波信号検出手段によって検出された心電波信号を増幅する増幅手段と、 該心電波信号検出手段によって心電波信号が検出されないとき、前記増幅手段の増幅率を制御する手段と、 を具備することを特徴とする信号検出装置。」 [2]一方、原査定の拒絶理由に引用された特表昭62-500843号公報(以下、引用例という。)には次の各記載とFig1からFig9Bの図示が認められる。 ア「従って、この発明の目的は光信号の脈拍成分を検知して血液成分量とパルス数とを測定する改良された方法および装置を提供するにあり、・・・上下均一にすることにある。」(3頁右下欄12行から4頁左上欄13行) イ「好適な実施例において、前記方法は、・・・患者の心パルス数を測定する手段を含む。」(4頁左上欄24行から右上欄3行) ウ「ノッチフイルタ380の出力すなわち心電図信号は、帯域幅限定反転増幅器142に入力され、そしてAGC増幅器140に入力される。このAGC増幅器140は、・・・利得を調整することができ、これらはフィードバックループにおける可変抵抗器として利用される。」(6頁右下欄9行から23行) カ「R波パルスの検出に伴って、マイクロプロセッサ16は光パルスの時間の算定を開始する。・・・表示する。 第3の処理段階は、時間窓が確立された後に開始する。R波パルスの検出に伴って、マイクロプロセッサ16は時間窓を付勢する。その結果、R波パルスの発生に追従しこの時間窓内に検出される光信号のみが受理されるかまたは排除されるかの判定を受け、これが酸素濃度、脈波および脈拍数等の生命に関する測定値の計算および表示に使用される。・・・10msecである。」(10頁左下欄23行から右下欄18行) キ「時間窓が開いている間に一つも光パルスが検出されなかった場合、マイクロプロセッサ16は下げられた基準を使用して光パルスの検索を行う。・・プログラムが初期状態に戻る。」(10頁右下欄22行から11頁左上欄9行) [3]対比 上記引用例の記載において、R波パルスと時間窓内に検出される光信号は、心電波信号と脈拍信号であり、R波パルスの発生に追従しこの時間窓内に検出される光信号のみが受理されるかまたは排除されるかの判定を受けることは、心電波信号の発生から所定時間後に脈拍信号が検出されるか否かを判定していることになる。 そうすると、「時間窓が開いている間に一つも光パルスが検出されなかった場合、マイクロプロセッサ16は下げられた基準を使用して光パルスの検索を行う。」(上記キ)とは、心電波信号の発生から所定時間時間内に脈拍信号が一つも検出されなかった場合には、脈拍信号の処理回路を適切な条件に制御することであり、 本件請求項1に係る発明と引用例に記載された発明とは、心電波信号検出手段によって検出される心電波信号の発生から所定時間後に脈拍信号が検出されるか否かを判定して、脈拍信号の処理回路を適切な条件に制御する信号検出装置として一致するが、次の2点で相違する。 相違点1; 本件請求項1に係る発明では、心電波信号の検出時間間隔を計時する計時手段を有し、その検出時間間隔において脈拍信号の有無を検出しているのに対し、引用例に記載された発明では、心電波信号の発生後の所定の時間窓内において脈拍信号の有無を検出している点。 相違点2; 脈拍信号の処理回路を適切な条件に制御することが、本件請求項1に係る発明では、脈拍信号が検出されないとき、脈拍信号を増幅する増幅手段の増幅率を制御する手段であるのに対し、引用例に記載された発明では、「下げられた基準を使用して光パルスの検索を行う」手段である点。 [4]当審の判断 相違点1について そして、引用例に記載された心電波信号の発生後の所定の時間窓は、心電波信号(パルス)間に存在することは明らかであり、上記クの「R波DRWパルスと光パルスとの相関性」とは、心電波信号の発生から所定時間後に光パルスが発生することばかりでなく、心電波信号(パルス)間に脈波信号が発生することでもあるから、そのような観点から、本件請求項1の相違点1に係る構成を得ることは当業者が容易になしうることである。 相違点2について 引用例には、心電波信号についてではあるが、「R波パルスが発生しない場合は、しきい値電圧(および信頼水準)をR波パルスが発生するまで低下させることができる。」(上記エ)、「心電図信号は、帯域幅限定反転増幅器142に入力され、そしてAGC増幅器140に入力される。このAGC増幅器140は、・・・利得を調整することができ、」(上記ウ)との制御が記載されており、本来検出されるはずである脈拍信号が検出されないときに、下げられた基準を使用するかわりに、そのような制御を脈拍信号についても実行することは、当業者が容易になしうることである。 そして、本件請求項1に係る発明の効果も引用例の記載から当業者が容易に予測しうる程度のものであって、格別のものではない。 [5]むすび 以上のとおりであるから、本件請求項1に係る発明は引用例に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。そうである以上、本件請求項2に係る発明についての検討結果にかかわらず、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-03-01 |
結審通知日 | 2002-03-12 |
審決日 | 2002-03-27 |
出願番号 | 特願平3-37628 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A61B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 米澤 英彦 |
特許庁審判長 |
渡部 利行 |
特許庁審判官 |
森 竜介 関根 洋之 |
発明の名称 | 信号検出装置 |