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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 H01L 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 H01L 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 H01L 審判 全部申し立て 発明同一 H01L 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 H01L |
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管理番号 | 1059500 |
異議申立番号 | 異議2001-70130 |
総通号数 | 31 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1997-05-02 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-01-12 |
確定日 | 2002-04-03 |
異議申立件数 | 2 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3064891号「3-5族化合物半導体とその製造方法および発光素子」の請求項1ないし14に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3064891号の請求項1ないし11に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続きの経緯 特許第3064891号の請求項1ないし14に係る発明についての出願は、平成8年1月31日に特許出願(優先権主張、平成7年2月3日、平成7年4月4日、平成7年8月11日、日本国)され、平成12年5月12日にその発明について特許の設定登録がなされ、その後、その特許の請求項1ないし11及び14に係る発明について、異議申立人シャープ株式会社より、また、請求項1ないし14について異議申立人中村和雄より特許異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成13年7月23日に訂正請求がされた後、訂正拒絶理由が通知され、その指定期間内である平成14年3月8日に手続補正書が提出されたものである。 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正請求に対する補正の適否について 特許権者は、訂正明細書の請求項3、請求項5、第10段落、及び、第11段落における化学式のサフィックスの誤記を訂正するものであり、当該訂正請求に対する補正は、訂正請求書の要旨を変更するものでなく、特許法第120条の4第3項において準用する同法第131条第2項の規定に適合する。 (2)訂正の内容 特許権者が求めている訂正は以下のとおりである。 訂正事項a:特許請求の範囲の請求項1の「一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層(ただし、p型を除く)と、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体。」との記載を 「一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層の上に、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層(ただし、p型を除く)を積層し、さらにその上に、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層を積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体(ただし、第3の層が厚み0.25〜0.5μm、不純物濃度7×1017〜1×1018cm-3であるp型GaN層であり、かつ、第2の層が厚み0.03〜0.05μmのアンドープAlGaN層であり、かつ、第1の層が厚み60Å以上のアンドープInGaN層である場合を除く)。」と訂正する。 訂正事項b:特許請求の範囲の請求項2、3、4を削除する。 訂正事項c:特許請求の範囲の請求項5の「一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層の上に、一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層を積層し、さらにその上に、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を積層することにより得られる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体。」との記載を 「一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層の上に、一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表され、上記第5の層より不純物濃度が低い3-5族化合物半導体からなる第4の層を積層し、さらにその上に、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を積層することにより得られる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体(ただし、第5の層が厚み0.5〜1.0μm、不純物濃度5×1017〜1×1018cm-3であるn型GaN層であり、かつ、第4の層が厚み0.03〜0.05μmであるアンドープAlGaN層であり、かつ、第1の層が60Å以上のアンドープInGaN層である場合を除く)。」と訂正し、請求項2に繰り上げる。 訂正事項d:特許請求の範囲の請求項6の「一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体。」との記載を 「一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体(ただし、第4の層が厚み0.03〜0.05μmであるアンドープAlGaN層であり、かつ、第1の層が60Å以上のアンドープInGaN層であり、かつ、第2の層が厚み8nmであるアンドープGaN層である場合と、第4の層が厚み8nmであるアンドープGaN層であり、かつ、第1の層が60Å以上のアンドープInGaN層であり、かつ、第2の層が厚み0.03〜0.05μmであるアンドープAlGaN層である場合を除く)。」と訂正し、請求項3に繰り上げる。 訂正事項e:特許請求の範囲の請求項7の「一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体。」との記載を「一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体(ただし、第4の層が厚み8nmであるアンドープGaN層であり、かつ、第1の層が60Å以上のアンドープInGaN層であり、かつ、第2の層が厚み0.03〜0.05μmのアンドープAlGaN層であり、かつ、第3の層が厚み0.25〜0.5μm、不純物濃度7×1017〜1×1018cmー3であるp型GaN層である場合を除く)。」と訂正し、請求項4に繰り上げる。 訂正事項f:特許請求の範囲の請求項8の「一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層と、一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体。」との記載を 「一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層と、一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表され、上記第5の層より不純物濃度が低い3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体。」と訂正し、請求項5に繰り上げる。 訂正事項g:特許請求の範囲の請求項9に記載された「請求項1、6、7または8」を「請求項1、3、4または5」と訂正し、請求項9を新たな請求項6とする。 特許請求の範囲の請求項10に記載された「請求項1〜9」を「請求項1〜6」と訂正し、請求項10を新たな請求項7とする。 特許請求の範囲の請求項11に記載された「請求項1、6、7または8」を「請求項1、3、4または5」と訂正し、請求項11を新たな請求項8とする。 特許請求の範囲の請求項12、13を請求項9、10とする。 特許請求の範囲の請求項14に記載された「請求項1〜11のいずれか、または13」を「請求項1〜8のいずれか、または10」と訂正し、請求項14を新たな請求項11とする。 訂正事項h:発明の詳細な説明の項中 「【0008】すなわち本発明は、[1]一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層(ただし、p型を除く)と、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。 【0009】また、本発明は、[2]一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層(ただし、p型を除く)と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層とが、積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。また、本発明は、[3]一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層の上に、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を積層することにより得られる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。 【0010】さらに、本発明は、[4]一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層と、一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層(ただし、p型を除く)と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。また、本発明は、[5]一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層の上に、一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層を積層し、さらにその上に、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を積層することにより得られる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。さらに、本発明は、[6]一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。さらに、本発明は、[7]一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。 【0011】本発明は、[8]一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層と、一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。 【0012】本発明は、また[9]一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を成長させた後に、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層を1000℃を超える温度で成長させる3-5族化合物半導体の成長方法において、該第1の層を成長した後、該第3の層を成長させる前に、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層を、1000℃以下の温度で成長させる3-5族化合物半導体の製造方法に係るものである。。また、本発明は、[10]一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を成長させた後に、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層を、1000℃以下の温度で成長させ、次に一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層を1000℃を超える温度で成長させることにより得られる3-5族化合物半導体に係るものである。 【0013】そして、本発明は、[11]このような3-5族化合物半導体を用いる発光素子に係るものである。以下、本発明を詳細に説明する。」との記載を 「【0008】すなわち本発明は、[1]一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層の上に、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層(ただし、p型を除く)を積層し、さらにその上に、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層を積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。 【0009】また、本発明は、[2]一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層の上に、一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表され、上記第5の層より不純物濃度が低い3-5族化合物半導体からなる第4の層を積層し、さらにその上に、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を積層することにより得られる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。 【0010】さらに、本発明は、[3]一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。 また、本発明は、[4]一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。 【0011】本発明は、[5]一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層と、一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表され、上記第5の層より不純物濃度が低い3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。 【0012】本発明は、また[6]一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を成長させた後に、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層を1000℃を超える温度で成長させる3-5族化合物半導体の成長方法において、該第1の層を成長した後、該第3の層を成長させる前に、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層を、1000℃以下の温度で成長させる3-5族化合物半導体の製造方法に係るものである。 また、本発明は、[7]一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を成長させた後に、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層を、1000℃以下の温度で成長させ、次に一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層を1000℃を超える温度で成長させることにより得られる3-5族化合物半導体に係るものである。 【0013】そして、本発明は、[8]このような3-5族化合物半導体を用いる発光素子に係るものである。以下、本発明を詳細に説明する。」と訂正する。 (3)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項aの「一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層の上に、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層(ただし、p型を除く)を積層し、さらにその上に、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層を積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体」とする訂正は、各層の積層関係を明確に限定しており、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。また、「(ただし、第3の層が厚み0.25〜0.5μm、不純物濃度7×1017〜1×1018cm-3であるp型GaN層であり、かつ、第2の層が厚み0.03〜0.05μmのアンドープAlGaN層であり、かつ、第1の層が厚み60Å以上のアンドープInGaN層である場合を除く)」を付加する訂正は、特許請求の範囲を減縮するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 訂正事項bは、請求項を削除するもので、特許請求の範囲の減縮に当たる。またこの訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 訂正事項cの、「、上記第5の層より不純物濃度が低い3-5族化合物半導体からなる第4の層を積層し」の訂正は、特許請求の範囲を減縮するものでありまた、この訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。また、「(ただし、第5の層が厚み0.5〜1.0μm、不純物濃度5×1017〜1×1018cm-3であるn型GaN層であり、かつ、第4の層が厚み0.03〜0.05μmであるアンドープAlGaN層であり、かつ、第1の層が厚み60Å以上のアンドープInGaN層である場合を除く)」を付加する訂正は、特許請求の範囲を減縮するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 訂正事項dは、「(ただし、第4の層が厚み0.03〜0.05μmであるアンドープAlGaN層であり、かつ、第1の層が60Å以上のアンドープInGaN層であり、かつ、第2の層が厚み8nmであるアンドープGaN層である場合と、第4の層が厚み8nmであるアンドープGaN層であり、かつ、第1の層が60Å以上のアンドープInGaN層であり、かつ、第2の層が厚み0.03〜0.05μmであるアンドープAlGaN層である場合を除く)」の限定を付加するもので、特許請求の範囲の減縮に当たる。またこの訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 訂正事項eは、「(ただし、第4の層が厚み8nmであるアンドープGaN層であり、かつ、第1の層が60Å以上のアンドープInGaN層であり、かつ、第2の層が厚み0.03〜0.05μmのアンドープAlGaN層であり、かつ、第3の層が厚み0.25〜0.5μm、不純物濃度7×1017〜1×1018cmー3であるp型GaN層である場合を除く)」の限定を付加するもので、特許請求の範囲の減縮に当たる。またこの訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 訂正事項fは、第4の層について「上記第5の層より不純物濃度が低い」との限定を付加するもので、特許請求の範囲の減縮に該当する。この訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 訂正事項gは、請求項の削除に伴う項数の繰り上げであり、明りょうでない記載の釈明に当たる。またこの訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 訂正事項hは、特許請求の範囲の訂正に伴う訂正であり、この訂正は、明りょうでない記載の釈明に相当し、かつ、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 (4)むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する第126条第2、3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議の申立てについての判断 (1)異議申立の理由の概要及び取消理由について 申立人シャープ株式会社は、本件請求項1乃至7、9、10、11および14に記載の特許発明は、甲第1号証と同一であり、かつ出願人も発明者も同一でないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができず、さらに、本件特許発明の請求項1乃至11及び14に記載の発明は、発明の詳細な説明に記載したものでないものも含むので特許法第36条第6項の規定により特許を受けることができない旨主張している。 申立人中村和雄は、請求項1〜14に記載の発明は、特許法第29条第2項の規定により、及び請求項2〜5に記載の発明は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、また、本件特許は特許法第36条第4項及び第6項の規定に違反するものであり、特許法第113条第2項及び第4項の規定により取り消されるべきである旨主張している。 取消理由は、次のとおりである。 「1.刊行物1:特願平7-41583号(特開平8-18159号公報、優先権主張 平成6年4月25日、日本) (申立人シャープ株式会社の提出した申立書第6頁「証拠の説明、甲第1号証」の欄に記載のとおりの発明が記載されている。) 2.刊行物2:特開平6-21511号公報(申立人中村和雄の提出した申立書第8頁「証拠の説明、甲第1号証」の欄に記載のとおりの発明が記載されている。) 3.刊行物3:特開平6-268257号公報(申立人中村和雄の提出した申立書第10頁「証拠の説明、甲第2号証」の欄に記載のとおりの発明が記載されている。) 4.刊行物4:特開平4-297023号公報(申立人中村和雄の提出した申立書第12頁「証拠の説明、甲第3号証」の欄に記載のとおりの発明が記載されている。) 2.本件発明 特許第3064891号の請求項1ないし14係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるとおりである。 3.特許法第29条の2の拒絶理由について 請求項1乃至11及び14について 申立人シャープ株式会社の提出した申立書第6頁「(i)特許法第29条の2違反」の欄に記載された理由により、請求項1乃至11及び14に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開された刊行物1の出願の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であると認められ、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一であるとも、また、この出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一であるとも認められないので、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものである。」 4.特許法第29条第1項第3号、及び、特許法第29条第2項の拒絶理由について 申立人中村和雄の提出した申立書第12頁「(ウ)本件発明と証拠との対比」の欄に記載された理由により、請求項1乃至14に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 また、申立人中村和雄の提出した申立書第12頁「(ウ)本件発明と証拠との対比」の欄に記載された理由により、請求項2乃至5に係る発明の特許は特許法第29条第1項第3号の規定する発明に該当し、本件請求項2乃至5に係る発明の特許は取り消されるべきものである。 5.特許法第36条第6項第2号の理由について 1)申立人シャープ株式会社の提出した申立書第9頁「(ii)特許法第36条第6項違反」の欄に記載された理由により請求項1乃至11及び14に係る発明の特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものである。 2)申立人中村和雄の提出した申立書第20頁「12-2 特許法第36条第4項の適用」の欄、及び、第21頁「13 請求項13に記載の特許発明について」の欄、に記載された理由により請求項12及び13に係る発明の特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものである。 3)請求項1、2、4、9,10,11及び14に係る発明の特許は、第2の層又は第4の層に「ただし、p型を除く」構成を付加しているが、この構成による作用効果が不明である。(申立人中村和雄の提出した申立書第21頁「15 請求項1、2及び4について」の欄参照)」 (2)刊行物に記載の発明 刊行物1(申立人シャープ株式会社の提出した甲第1号証、特願平7-41583号(特開平8-18159号公報))には、「n型GaN光導波層25’(d=0.5〜1.0μm、ND=5×1017〜1×1018cm-3)、アンドープAlGaN光導波層26’(d=0.03〜0.05μm)、アンドープInGaN(d=6nm、歪量1.8%)歪量子井戸層2層と、アンドープGaN(d=8nm)量子障壁層1層からなる多重量子井戸活性層27’、アンドープAlGaN光導波層28’(d=0.03〜0.05μm)、p型GaN光導波層29’(d=0.25〜0.5μm,NA=7×1017〜1×1018cm-3)をMOCVDにより選択成長した。」(第30段落)が、第7図と共に開示されている。 刊行物2(申立人中村和雄の提出した甲第1号証、特開平6-21511号公報)には、 「【0014】〔実施例3〕(分離閉じ込め多重量子井戸構造) 図3は、本発明の第3の実施例の構造を示す図であって、図において、81はサファイア(0001)基板、82は膜厚5μm及び電子濃度5×1018cm-3のSiドープn型GaAlN電流注入及び光閉じ込め層、83は膜厚2μm及び電子濃度1019cm-3のSiドープn型GaNキャリア閉じ込め層、84は膜厚10nmのアンドープIn0.1 Ga0.9 Nと膜厚10nmのアンドープGaN層を交互に10層積層した多重量子井戸層、85は膜厚2μm及びホール濃度1018cm-3のMgドープp型GaNキャリア閉じ込め層、86は膜厚2μm及びホール濃度5×1017cm-3のMgドープGaAlN電流注入及び光閉じ込め層電流注入層、87はn側電極、88はp側電極である。電極87に対して正の電圧を88に加えることにより、電子及び正孔を多重量子井戸層84に注入した。その結果、立ち上がり電圧6Vの電流対電圧特性が得られ、波長375nm帯にのみ発光ピークを持つ発光を観測できた。最大光出力は5mWであり、外部量子効率は6%であった。また、InGaN発光層83の組成を変化することによって、発光波長を600nmまで長波長化することができた。この構造は、図2の構造のInGaN発光層74の代わりにInGaN/GaN多重量子井戸を導入した構造となっているため、図2の構造で得られたと全く同様の作用が働く上、実質的な発光層であるInGaN井戸層の層数が増加しているため上記のように大きな光出力を得ることができる。本実施例の各層に、【化1】を用いても良いことは明らかである。」(第14段落) 「【0003】図7には、従来の【化1】を用いた半導体発光素子の第2の例として、GaAlN/GaNヘテロ接合ダイオードの構成図を示した。図中、21はサファイア基板、22はn型GaAlN電流注入層、23はGaN発光層、24はp型GaAlN電流注入層、25はn側電極、26はp側電極である。この構造では、GaN発光層23をこれよりバンドギャップエネルギの大きいn型GaAlN電流注入層22及びp型GaAlN電流注入層24で挟んだ構造となっているため、GaN発光層23に注入された電子及び正孔はn型GaAlN電流注入層22及びp型GaAlN電流注入層24へ拡散することなくGaN発光層23に閉じ込められる。また、シリーズ抵抗低減のためn型GaAlN電流注入層22及びp型GaAlN電流注入層24に高濃度ドーピングを行っても、GaN発光層23の発光スペクトルに影響を及ぼさないという利点を持つ。図7の構造を改良した構造として、図7のGaN発光層23の代わりにGaAlN/GaN単一量子井戸あるいは多重量子井戸を発光層として用い、発光効率の高効率化を図った構造も公知である。この構造では、n型GaAlN電流注入層22及びp型GaAlN電流注入層24よりAl組成の低いGaAlN層をGaAlN/GaN量子井戸のバリア層として選ぶ。しかし以上述べたように、図7の構造及びこれを改良した構造では、発光層としてGaNあるいはGaAlN三元混晶を用いているため、発光波長を200〜370nmの範囲内でしか選択できない。」(第3段落)が、第3図と共に記載されている。 刊行物3(申立人中村和雄の提出した甲第2号証、特開平6-268257号公報)には、 「【0008】InXGa1-XN層は、X値の異なるInXGa1-XN(但し、Xは0<X<1)層を交互に積層した多層膜層構造とし、その多層膜を構成するInXGa1-XN層の各膜厚は5オングストローム〜50オングストロームの範囲に調整する必要がある。X値の異なるInXGa1-XN層を交互に積層することにより、多層膜が量子井戸構造となり、発光出力を増大させると共に、n型窒化ガリウム系化合物半導体および、p型窒化ガリウム系化合物半導体との格子定数不整を緩和することができる。また、多層膜とせず単一のInGaN層で形成したものよりも、結晶中の格子欠陥が少なくなり、結晶性が向上する。さらに、InXGa1-XN層の膜厚を5オングストローム〜50オングストロームの範囲に調整することにより、発光出力を向上させることができる。なぜなら、この範囲に膜厚を調整することにより、多層膜を構成するInXGa1-XN層の格子欠陥を少なくすることができ、結晶性が向上するため、発光出力が増大する。InXGa1-XN層の膜厚は、例えばMOCVD法を用いた成長方法であると、原料ガスであるGa源の流量を調整したり、また成長時間を調整することにより調整可能である。また、InXGa1-XN層の組成比は原料ガスであるIn源のガス流量、または成長温度を調整することにより調整可能である。さらに、InXGa1-XN層にn型ドーパント、p型ドーパントをドープして成長させてもよいことはいうまでもない。」(第8段落) 「【0014】[実施例1]サファイア基板1を反応容器内に配置し、サファイア基板1のクリーニングを行った後、成長温度を510℃にセットし、キャリアガスとして水素、原料ガスとしてアンモニアとTMG(トリメチルガリウム)とを用い、サファイア基板上にGaNよりなるバッファ層2を約200オングストロームの膜厚で成長させる。 【0015】バッファ層2成長後、TMGのみ止めて、温度を1030℃まで上昇させる。1030℃になったら、同じく原料ガスにTMGとアンモニアガス、ドーパントガスにシランガスを用い、Siをドープしたn型GaN層4を4μm成長させる。 【0016】n型GaN層4成長後、原料ガス、ドーパントガスを止め、温度を800℃にして、キャリアガスを窒素に切り替え、原料ガスとしてTMGとTMI(トリメチルインジウム)とアンモニアを用い、井戸層としてIn0.2Ga0.8N層4を20オングストローム成長させる。次に、TMIの流量を1/5に減らすことにより、障壁層としてIn0.04Ga0.96N層4’を20オングストロームの膜厚で成長させる。この操作を繰り返し、各20オングストロームの膜厚で第1にIn0.2Ga0.8N層4、第2にIn0.04Ga0.96N層4’、第3にIn0.2Ga0.8N層4、第4にIn0.04Ga0.96N層4’、第5にIn0.2Ga0.8N層4を交互に積層した総膜厚100オングストロームの多層膜を成長する。 【0017】次に、原料ガスを止め、再び温度を1020℃まで上昇させ、原料ガスとしてTMGとアンモニア、ドーパントガスとしてCp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)とを用い、Mgをドープしたp型GaN層5を0.8μm成長させる。 【0018】p型GaN層5成長後、基板を反応容器から取り出し、アニーリング装置にて窒素雰囲気中、700℃で20分間アニーリングを行い、最上層のp型GaN層をさらに低抵抗化する。以上のようにして得られた発光素子の構造を示す断面図を図1に示す。 」(第14段落〜第18段落)が、第1図と共に記載されている。 刊行物4(申立人中村和雄の提出した甲第3号証、特開平4-297023号公報)には、 「【0002】 【従来の技術及びその問題点】最近、窒化ガリウム系化合物半導体、例えば、一般式が[GaXAl1-XN(但し、Xは0≦X≦1の範囲にある)]の青色発光デバイスが注目されている。窒化ガリウム系化合物半導体の結晶を成長させる方法として、有機金属化合物気相成長法(以下MOCVD法という。)がよく知られている。この方法はサファイア基板を設置した反応容器内に、反応ガスとして有機金属化合物ガスを供給し、結晶成長温度をおよそ900℃〜1100℃の高温で保持して、基板上に化合物半導体結晶のエピタキシャル層を成長させる方法である。例えばGaNエピタキシャル層を成長させる場合には、III族ガスとしてトリメチルガリウムと、V族ガスとしてアンモニアガスとを使用する。」(第2段落)が記載されている。 (3)本件発明 本件の請求項1〜11に係る発明は以下のとおりのものである。 【請求項1】一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層の上に、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層(ただし、p型を除く)を積層し、さらにその上に、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層を積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体(ただし、第3の層が厚み0.25〜0.5μm、不純物濃度7×1017〜1×1018cm-3であるp型GaN層であり、かつ、第2の層が厚み0.03〜0.05μmのアンドープAlGaN層であり、かつ、第1の層が厚み60Å以上のアンドープInGaN層である場合を除く)。 【請求項2】一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層の上に、一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表され、上記第5の層より不純物濃度が低い3-5族化合物半導体からなる第4の層を積層し、さらにその上に、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を積層することにより得られる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体(ただし、第5の層が厚み0.5〜1.0μm、不純物濃度5×1017〜1×1018cm-3であるn型GaN層であり、かつ、第4の層が厚み0.03〜0.05μmであるアンドープAlGaN層であり、かつ、第1の層が60Å以上のアンドープInGaN層である場合を除く)。 【請求項3】一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体(ただし、第4の層が厚み0.03〜0.05μmであるアンドープAlGaN層であり、かつ、第1の層が60Å以上のアンドープInGaN層であり、かつ、第2の層が厚み8nmであるアンドープGaN層である場合と、第4の層が厚み8nmであるアンドープGan層であり、かつ、第1の層が60Å以上のアンドープInGaN層であり、かつ、第2の層が厚み0.03〜0.05μmであるアンドープAlGaN層である場合を除く)。 【請求項4】一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体(ただし、第4の層が厚み8nmであるアンドープGaN層であり、かつ、第1の層が60Å以上のアンドープInGaN層であり、かつ、第2の層が厚み0.03〜0.05μmのアンドープAlGaN層であり、かつ、第3の層が厚み0.25〜0.5μm、不純物濃度7×1017〜1×1018cmー3であるp型GaN層である場合を除く)。 【請求項5】一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層と、一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表され、上記第5の層より不純物濃度が低い3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体。 【請求項6】一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層の膜厚が50Å以上1μm以下であることを特徴とする請求項1、3、4または5記載の3-5族化合物半導体。 【請求項7】一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層に含まれるSi、Ge、Zn、CdおよびMgの各元素の濃度がいずれも1×1019/cm3以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の3-5族化合物半導体。 【請求項8】一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層に含まれるMgの濃度が1019/cm3 以下であることを特徴とする請求項1、3、4または5記載の3-5族化合物半導体。 【請求項9】一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を成長させた後に、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層を1000℃を超える温度で成長させる3-5族化合物半導体の成長方法において、該第1の層を成長した後、該第3の層を成長させる前に、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層を、1000℃以下の温度で成長させることを特徴とする3-5族化合物半導体の製造方法。 【請求項10】一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を成長させた後に、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層を、1000℃以下の温度で成長させ、次に一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層を1000℃を超える温度で成長させることにより得られることを特徴とする3-5族化合物半導体。 【請求項11】請求項1〜8のいずれか、または10に記載の3-5族化合物半導体を用いたことを特徴とする発光素子。 (4)対比・判断 (4-1)特許法第36条の取消理由について 申立人シャープ株式会社が申し立て、取消理由で指摘した記載不備の点は、上記訂正により解消された。 次に、申立人中村和雄の申し立て、取消理由で指摘した、旧請求項12、13の成長温度を1000℃を境とする点については、1000℃を境とする技術的意義が本件特許明細書に記載されている。 また、申立人中村和雄の申し立て、取消理由で指摘した、請求項1の、「p型を除く」点は、p型を除く限定を加えることで特許法36条第6項の規定に違反しているとはいえない。また、旧請求項2,4は訂正により削除された。 よって、本件発明が、特許法第36条第4項、第6項の規定を満たさない特許出願に対してなされたものであるとすることはできない。 (4-2)本件請求項1に係る発明と刊行物1記載の発明とを対比する。 刊行物1に記載の発明には、第30段落の記載からみて、「アンドープAlGaN光導波層26’」上に、「アンドープInGaN歪量子井戸層2層と、アンドープGaN量子障壁層1層からなる多重量子井戸活性層27’」が形成されていることが記載されている。そして、第7図では、多重量子井戸活性層27’として4層の半導体層が積層されている図が示されている。しかし、第7図に示される4層の半導体層の各一層が多重量子井戸活性層27’と対応するのか、その場合、2つの多重量子井戸活性層27’の間の接触関係はどうなっているのか、あるいは、第7図の4層の半導体層のうちの3層がそれぞれアンドープInGaN歪量子井戸層2層と、アンドープGaN量子障壁層1層に対応するのか不明であり、また、この場合、残りの1層の構成が不明であり、かつ、多重量子井戸活性層27’のどの層が、その上下に接するアンドープAlGaN光導波層26’およびアンドープAlGaN光導波層28’と接触しているのかその接触関係も不明である。 したがって、刊行物1には、InxGayAlzN第1の層の上に、Gax'Aly'N第2の層を積層し、さらにその上に、Gax''Aly''N第3の層を積層した構成が記載されているとは認められない。 (4-3) また、同様の理由により、本件請求項2から8、及び、11に係る発明が刊行物1記載された発明とは認められない。 (4-4) 次に、本件請求項1〜8に係る発明と刊行物2〜4に記載の発明とを対比する。 刊行物2〜4に記載の発明には、本件請求項1〜8に係る発明の「一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である」構成の記載がない。そして、本件請求項1〜8に係る発明は、刊行物2〜4にはない、発光効率の高い良好な発光特性を示す発光素子を提供するという明細書に記載の作用効果を有しており、本件請求項1〜8に係る発明は、刊行物2〜4に記載の発明と同一とも、また、刊行物2〜4から容易に成し得たものとも認められない。 (4-5)次に、本件請求項9、10に係る発明と刊行物2〜4に記載の発明とを対比する。 刊行物2〜4に記載の発明には、本件請求項9、10に係る発明の「InxGayAlzN第1の層を成長した後、Gax'Aly'N第2の層を、1000℃以下の温度で成長させ、Gax''Aly''N第3の層を1000℃を超える温度で成長させる」構成の記載がない。本件請求項9、10に係る発明は、刊行物2〜4にはない、活性層を劣化させず、欠陥の少ない高品質の3-5化合物半導体を得るという明細書に記載の作用効果を有しており、本件請求項9、10に係る発明は、刊行物2〜4に記載の発明と同一とも、また、刊行物2〜4から容易に成し得たものとも認められない。 (4-6) 請求項11に係る発明は、上記請求項1〜8のいずれか、または10を引用して記載しているため、上記(4-4)、(4-5)と同様の理由により、刊行物2〜4に記載の発明と同一とも、また、甲第2〜4号証から容易に成し得たものとも認められない。 (5)むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立の理由および証拠によっては、本件請求項1ないし11に係る特許を取り消すことができない。 また、他に本件請求項1ないし11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 3-5族化合物半導体とその製造方法および発光素子 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層の上に、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層(ただし、p型を除く)を積層し、さらにその上に、一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層を積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体(ただし、第3の層が厚み0.25〜0.5μm、不純物濃度7×1017〜1×1018cm-3であるp型GaN層であり、かつ、第2の層が厚み0.03〜0.05μmのアンドープAlGaN層であり、かつ、第1の層が厚み60Å以上のアンドープInGaN層である場合を除く)。 【請求項2】一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層の上に、一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表され、上記第5の層より不純物濃度が低い3-5族化合物半導体からなる第4の層を積層し、さらにその上に、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を積層することにより得られる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体(ただし、第5の層が厚み0.5〜1.0μm、不純物濃度5×1017〜1×1018cm-3であるn型GaN層であり、かつ、第4の層が厚み0.03〜0.05μmであるアンドープAlGaN層であり、かつ、第1の層が60Å以上のアンドープInGaN層である場合を除く)。 【請求項3】一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体(ただし、第4の層が厚み0.03〜0.05μmであるアンドープAlGaN層であり、かつ、第1の層が60Å以上のアンドープInGaN層であり、かつ、第2の層が厚み8nmであるアンドープGaN層である場合と、第4の層が厚み8nmであるアンドープGaN層であり、かつ、第1の層が60Å以上のアンドープInGaN層であり、かつ、第2の層が厚み0.03〜0.05μmであるアンドープAlGaN層である場合を除く)。 【請求項4】一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体(ただし、第4の層が厚み8nmであるアンドープGaN層であり、かつ、第1の層が60Å以上のアンドープInGaN層であり、かつ、第2の層が厚み0.03〜0.05μmのアンドープAlGaN層であり、かつ、第3の層が厚み0.25〜0.5μm、不純物濃度7×1017〜1×1018cm-3であるp型GaN層である場合を除く)。 【請求項5】一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層と、一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表され、上記第5の層より不純物濃度が低い3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体。 【請求項6】一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層の膜厚が50Å以上1μm以下であることを特徴とする請求項1、3、4または5記載の3-5族化合物半導体。 【請求項7】一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層に含まれるSi、Ge、Zn、CdおよびMgの各元素の濃度がいずれも1×1019/cm3以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の3-5族化合物半導体。 【請求項8】一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層に含まれるMgの濃度が1019/cm3以下であることを特徴とする請求項1、3、4または5記載の3-5族化合物半導体。 【請求項9】一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を成長させた後に、一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層を1000℃を超える温度で成長させる3-5族化合物半導体の成長方法において、該第1の層を成長した後、該第3の層を成長させる前に、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層を、1000℃以下の温度で成長させることを特徴とする3-5族化合物半導体の製造方法。 【請求項10】一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を成長させた後に、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層を、1000℃以下の温度で成長させ、次に一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層を1000℃を超える温度で成長させることにより得られることを特徴とする3-5族化合物半導体。 【請求項11】請求項1〜8のいずれか、または10に記載の3-5族化合物半導体を用いたことを特徴とする発光素子。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は3-5族化合物半導体とその製造方法および発光素子に関する。 【0002】 【従来の技術】紫外もしくは青色の発光ダイオードまたは紫外もしくは青色のレーザダイオード等の発光素子の材料として一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0≦x<1、0<y≦1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体が知られている。以下、上記一般式中のx、yおよびzをそれぞれIn濃度、Ga濃度およびAl濃度と記すことがある。該3-5族化合物半導体でIn濃度が10%以上のものはIn濃度に応じて可視領域での発光波長を調整できるため、表示用途に重要である。ところで、該3-5族化合物半導体には、これを用いた発光素子の実用化に際して、次のような大きな問題があった。すなわち、第1に該3-5族化合物半導体の結晶成長に用いることができる適切な基板がないこと、第2に該3-5族化合物半導体の熱安定性の問題である。以下この点について詳しく説明する。まず、第1の問題は、該3-5族化合物半導体は、サファイア、GaAs、ZnO等の種々の基板の上に成膜することが試みられているが、格子定数や化学的性質が該3-5族化合物半導体と大きく異なるため、充分高品質の結晶が得られていないことである。このため、該3-5族化合物半導体と格子定数や化学的性質がよく似ているGaNの結晶をまず成長し、この上に該3-5族化合物半導体を成長することで優れた結晶を得ることが試みられている(特公昭55-3834号公報)。しかし、この場合でもIn濃度が増加するにつれて該3-5族化合物半導体とGaNの格子定数のずれが大きくなり、結晶性が低下し、欠陥が多くなることが知られている。したがって、高品質で高いInN混晶比の該3-5族化合物半導体を製造することが難しかった。 【0003】第2に、該化合物半導体のうちInを含むものは、Inを含まないものに比べて分解温度がかなり低いことが知られている。例えば、GaN、AlNおよびその混晶は1000℃以上でも比較的安定であるが、InNの熱分解温度は約600℃である。このため、Inを含む化合物半導体はIn組成にもよるが、一般的に1000℃を超える温度で結晶の劣化が生じ、欠陥が多くなる。 【0004】ところで、低電圧で駆動できる発光素子作製のためには、p型およびn型の電流注入層で活性層をはさむことが必要である。該化合物半導体ではn型のものを作製することは容易であるのに対して、p型のものを作製するのは非常に難しいことが知られている。 【0005】また、高いp型伝導を得るためには、アクセプタ型不純物をドープした層に熱アニール処理や電子線照射処理などの後処理が効果がある場合がある。これらの処理は一般にアクセプタ型不純物をドープした層が表面に露出している場合に高い効果が期待できる。このため、p型の電流注入層は活性層より後に成長することが好ましい。更に、該化合物半導体ではInを含むものに対してInを含まないものの方が、容易にp型伝導を示すものが得られることが知られている。そこで、p型の電流注入層にはInを含まないGax″Aly″N(ただし、x″+y″=1、0<x″≦1、0≦y″<1)が用いられている。ところが、良好なp型伝導を示す該Gax″Aly″Nを得るためには1000℃を超える温度で成長させることが必要である。このため、p型の該Gax″Aly″Nを1000℃を超える温度で成長させる間にInを含む活性層が劣化してしまうという問題があった。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、欠陥の少ない高品質の3-5族化合物半導体、およびInを含む層を成長させた後、p型不純物をドープしたGaAlNを1000℃を超える温度で成長させてもInを含む層を劣化させず、良好な発光特性を示す3-5族化合物半導体の製造方法、さらに該3-5族化合物半導体を用いた良好な発光特性を示す発光素子を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、3-5族化合物半導体について種々検討の結果、特定の積層構造を有し、かつ一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる層を特定の薄い層とすることにより、欠陥の少ない高品質の3-5族半導体結晶が得られること、またInを含む層を成長し、つぎに比較的低温で保護層としてGaAlN層を成長させることで、該化合物半導体層の耐熱性が向上することを見出し、本発明に至った。 【0008】すなわち本発明は、[1]一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層の上に、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層(ただし、p型を除く)を積層し、さらにその上に、一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層を積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。 【0009】また、本発明は、[2]一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層の上に、一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表され、上記第5の層より不純物濃度が低い3-5族化合物半導体からなる第4の層を積層し、さらにその上に、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を積層することにより得られる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。 【0010】さらに、本発明は、[3]一般式Gaa′Alb′Nただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。 また、本発明は、[4]一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。 【0011】本発明は、[5]一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層と、一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表され、上記第5の層より不純物濃度が低い3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。 【0012】本発明は、また[6]一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を成長させた後に、一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層を1000℃を超える温度で成長させる3-5族化合物半導体の成長方法において、該第1の層を成長した後、該第3の層を成長させる前に、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層を、1000℃以下の温度で成長させる3-5族化合物半導体の製造方法に係るものである。 また、本発明は、[7]一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を成長させた後に、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層を、1000℃以下の温度で成長させ、次に一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層を1000℃を超える温度で成長させることにより得られる3-5族化合物半導体に係るものである。 【0013】そして、本発明は、[8]このような3-5族化合物半導体を用いる発光素子に係るものである。以下、本発明を詳細に説明する。 【0014】 【発明の実施の形態】本発明の3-5族化合物半導体は、一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層(ただし、p型を除く)と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする。該第1の層の厚みが5Åより小さいかまたは90Åより大きいと、該化合物半導体を用いて発光素子とした場合、発光効率が充分でないので好ましくない。 【0015】第1の層に不純物をドープすることで、第1の層のバンドギャップとは異なる波長で発光させることができる。これは不純物からの発光であるため、不純物発光とよばれる。不純物発光の場合、発光波長は第1の層の3族元素の組成と不純物元素により決まる。この場合、表示用発光素子では第1の層のIn濃度は5%以上が好ましい。In濃度が5%より小さい場合、発光する光はほとんど紫外線であり、肉眼に充分な明るさを感じることができないので好ましくない。In濃度を増やすにつれて発光波長が長くなり、発光波長を紫から青、緑へと調整できる。不純物発光に適した不純物としては、2族元素が好ましい。2族元素のなかでは、Mg、Zn、Cdをドープした場合、発光効率が高いので好適である。特にZnが好ましい。これらの元素の濃度は、1018〜1022/cm3が好ましい。第1の層はこれらの2族元素とともにSiまたはGeを同時にドープしてもよい。Si、Geの好ましい濃度範囲は1018〜1022/cm3である。 【0016】不純物発光の場合、一般に発光スペクトルがブロードになる。このため、高い色純度が要求される場合、または狭い波長範囲に発光パワーを集中させることが必要な場合にはバンド端発光を利用する。バンド端発光による発光素子を実現するためには、第1の層に含まれる不純物の量を低く抑えなければならない。具体的には、Si、Ge、Zn、CdおよびMgの各元素の濃度がいずれも1019/cm3以下が好ましく、さらに好ましくは1018/cm3以下である 【0017】バンド端発光の場合、発光波長は第1の層の3族元素の組成で決まる。可視部で発光させる場合、In濃度は10%以上が好ましい。In濃度が10%より小さい場合、発光する光はほとんど紫外線であり、肉眼に充分な明るさを感じることができない。In濃度を増やすにつれて発光波長が長くなり、発光波長を紫から青、緑へと調整できる。 【0018】上述の構造の第1の層は高品質の結晶性を有するが、熱的な安定性が充分でない場合がある。以下に述べる層構造により、第1の層が熱的な劣化を受けることなく次の層以降の成長を行なうことができ、更に高い発光効率の発光素子が製造できる。すなわち、本発明の3-5族化合物半導体は、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層(ただし、p型を除く)と、一般式Gax″Aly″N(ただし、x″+y″=1、0<x″≦1、0≦y″<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする。該第1の層の厚みは、10Å以上80Å以下が好ましい。 【0019】第2の層の厚みは50Å以上1μm以下が好ましい。さらに好ましくは70Å以上5000Å以下である。層厚が50Åより小さい場合、第1の層の耐熱性が充分でなく、第3の層の成膜中に劣化を起こし、1μmより大きい場合には最終的に素子化した場合、充分な発光強度が得られないので好ましくはない。 【0020】第2の層のAlの濃度(x″)は活性層の熱安定性という点では0.05≦x″が好ましい。ただし、Al濃度が高くなるにつれて電気抵抗が増す傾向があり、素子の電気抵抗が特に高くならない範囲としてはx″≦0.5が好ましい。さらに好ましいAl濃度の範囲は、0.1≦x″≦0.45である。第2の層はp型であることが電気的特性の観点、からは好ましい。第2の層がp型を示すためには、アクセプタ不純物を高濃度にドープする必要がある。アクセプタ型不純物としては、具体的には2族元素が挙げられる。これらのうちでは、Mg、Znが好ましく、Mgがさらに好ましい。ただし、第2の層がp型伝導を示すためには、第2の層には1020/cm3程度以上の高濃度のアクセプタ型不純物がドープされていることが好ましいが、第2の層が高濃度に不純物を含む場合、結晶性が低下し、かえって素子としての特性を悪化させる場合がある。このような場合には、不純物濃度を低くする必要がある。結晶性を低下させない不純物濃度の範囲としては、好ましくは1019/cm3以下、さらに好ましくは1018/cm3以下である。 【0021】最上部に設けたp型層は、成長後にアニール処理によりさらに低抵抗化してもよい。このp型の第3の層、第2の層、および第1の層を部分的にエッチングにより取り除いてn型層を露出させ、露出した部分にn電極を設け、またp型の第3の層に直接p電極を設けて発光素子とし、これらの電極を通じて順方向に電流を流すことで、目的とする発光を得ることができる。第1の3-5族化合物半導体の層については、前記と同様である。 【0022】本発明の3-5族化合物半導体を用いた発光素子の構造の例を図1と図2に示す。図1は、第5の層の上に、第1の層を成長し、第1の層の上に、第1の層よりも大きなバンドギャップを持つ第2の層を成長し、さらに第5の層とは異なる伝導性の第3の層を成長した例である。電極は第5の層と第3の層に形成されており、2つの電極に電圧を加えることで電流が流れ、第1の層で発光する。図2は第2の層に第5の層とは異なる伝導性を持たせたものである。図1の例と同様に、電圧を加えることで発光する。結晶成長の容易さから、図1の例では第5の層はn型、第3の層はp型とするのが一般的である。第3の層がない図2の例では、第2の層がp型である。 【0023】ここで、n型の第5の層は不純物が高濃度にドープされているため結晶性が低下している場合がある。このような場合には、n型の第5の層と第1の層が直接接していると、発光効率や電気的特性が低下することがある。そこで、n型の第5の層と第1の層の間に不純物濃度の低い第4の層を設けることで、このような問題を低減できることがある。この例を図3に示す。 【0024】すなわち、本発明の3-5族化合物半導体は、一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層と、該第5の層より不純物濃度が小さい一般式Gaa′Alb′N(ただし、a′+b′=1、0≦a′≦1、0≦b′≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とするn型不純物としてSiを用いる場合、この不純物濃度が低い第4の層における好ましいSiの濃度は1018/cm3、さらに好ましくは1017/cm3以下である。また、好ましい層厚の範囲は10Å以上1μm以下であり、さらに好ましくは、20Å以上5000Å以下である。層厚が10Åより小さい場合、その効果は充分でなく、また1μmより大きい場合、電気的特性を低下させるので好ましくない。 【0025】これまでに述べた本発明の3-5族化合物半導体の積層構造を組み合わせて、さらに高い発光効率を有する発光素子を提供できる3-5族化合物半導体が挙げられる。すなわち、本発明の3-5族化合物半導体は、一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層と、該第5の層より不純物濃度が小さい一般式Gaa′Alb′N(ただし、a′+b′=1、0≦a′≦1、0≦b′≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax″Aly″N(ただし、x″+y″=1、0<x″≦1、0≦y″<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする。この少なくとも5層からなる3-5族化合物半導体を用いることにより、優れた発光効率を有する発光素子が得られる。図3に該発光素子の積層構造の例を示す。なお、図1、図2および図3に示した発光素子の例では、発光層は1つの層であるが、発光層として機能する層は複数の層の積層構造であってもよい。発光層として機能する具体的な積層構造としては、複数の発光層がこれよりバンドギャップの大きい層と積層されたいわゆる多重量子井戸構造が挙げられる。本発明の3-5族化合物半導体用基板としては、Si、SiC、サファイア等を用いることができる。これらの基板を用いる場合、基板上にまず低温でAlN、GaN、または一般式GasAltN(ただし、s+t=1、0<s<1、0<t<1)で表される化合物半導体、またはこれらの積層構造をバッファ層として成長し、つぎに本発明の3-5族化合物半導体を成長することで結晶性の高い該化合物半導体を成長できる。なお、本発明の半導体において、効率よく第1の層に電荷を閉じ込めるためには、第1の層に接する2つの層のバンドギャップが第1の層より0.1eV以上大きいことが好ましい。さらに好ましくは0.3eV以上である。 【0026】本発明の3-5族化合物半導体の製造方法としては、分子線エピタキシー(以下、MBEと記すことがある。)法、有機金属気相成長(以下、MOVPEと記すことがある。)法、ハイドライド気相成長(以下、HVPEと記すことがある。)法などが挙げられる。なお、MBE法を用いる場合、窒素原料としては、窒素ガス、アンモニア、及びその他の窒素化合物を気体状態で供給する方法である気体ソース分子線エピタキシー(以下、GSMBEと記すことがある。)法が一般的に用いられている。この場合、窒素原料が化学的に不活性で、窒素原子が結晶中に取り込まれにくいことがある。その場合には、マイクロ波などにより窒素原料を励起して、活性状態にして供給することで、窒素の取り込み効率を上げることができる。 【0027】MOVPE法の場合、以下のような原料を用いることができる。3族元素の原料として、トリメチルガリウム〔(CH3)3Ga、以下TMGと記すことがある。〕、トリエチルガリウム〔(C2H5)3Ga、以下TEGと記すことがある。〕等の一般式R1R2R3Ga(ここで、R1、R2、R3は低級アルキル基を示す。)で表されるトリアルキルガリウム;トリエチルアルミニウム〔(C2H5)3Al、以下TEAと記すことがある。〕、トリイソブチルアルミニウム〔i-(C4H9)3Al、以下TEAと記すことがある。〕等の一般式R1R2R3Al(ここで、R1、R2、R3は前記と同じ定義である。)、トリメチルインジウム〔(CH3)3In、以下TMIと記すことがある。〕、トリエチルインジウム〔(C2H5)3In〕等の一般式R1R2R3In(ここで、R1、R2、R3は前記と同じ定義である。)で表されるトリアルキルインジウム等が挙げられる。これらは単独または混合して用いられる。 【0028】次に、5族原料としては、アンモニア、ヒドラジン、メチルヒドラジン、1、1-ジメチルヒドラジン、1、2-ジメチルヒドラジン、t-ブチルアミン、エチレンジアミン等が挙げられる。これらは単独または混合して用いられる。これらの原料のうち、アンモニアとヒドラジンは分子中に炭素原子を含まないため、半導体中への炭素の汚染が少なく好適である。MOVPE法で本発明の3-5族化合物半導体を成長する場合、成長圧力は1気圧以下0.001気圧以上が好ましい。成長圧力が1気圧より高い場合、原料の使用効率が低く、また成長膜の膜厚の均一性が低下する場合がある。成長圧力が低くなるにつれて、膜厚の均一性が向上するが、0.001気圧より小さくても均一性の向上にはあまり効果がなく、かえって結晶性が低下する場合がある。更に好ましい成長圧力の範囲は1気圧以下0.01気圧以上である。 【0029】以下特に、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を成長させた後に、一般式Gax″Aly″N(ただし、x″+y″=1、0<x″≦1、0≦y″<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層を1000℃を超える温度で成長させる3-5族化合物半導体の成長方法について説明する。本発明の3-5族化合物半導体の製造方法は、第1の層を成長した後、第3の層を成長させる前に、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層を、1000℃以下の温度で成長させることを特徴とする。MOVPE法で成膜する場合、第2及び第3の層の成長は水素を含まない雰囲気で行なうことが好ましい。水素を含んだ雰囲気で成長させた場合、第1の層が劣化し、良好な特性の素子を作製することができない。 【0030】ここで、前記の第2の層の成長温度は、1000℃以下であり、400℃以上1000℃以下であることが好ましい。さらに好ましくは500℃以上900℃以下である。成膜温度が高すぎる場合、活性層である第1の層が第2の層の成膜中に劣化を起こし、最終的に発光素子とした場合、活性層中の各元素の組成から期待される発光色を示さなかったり、発光強度が充分でないなどの問題が生じる。また、成膜温度が低すぎる場合、成膜速度が小さくなり、実用的でない。 【0031】この3-5族化合物半導体の製造方法の場合、第1の層の膜厚は5Å以上500Å以下であることが好ましい。特に発光強度が大きい発光素子として用いる場合には、5Å以上90Å以下であることが好ましい。膜厚が5Åより小さいかまたは500Åより大きいと、該化合物半導体を用いて発光素子とした場合、発光効率が充分でないので好ましくない。 【0032】 【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 図3に示す構造の発光素子を作製した。以下、図3に基づいて説明する。ここで、3-5族化合物半導体層は、有機金属気相成長法により作製した。なお、n型ドーパントとしてSiをドープするために、窒素で希釈したシラン(SiH4)を、p型ドーパントとしてMgをドープするために、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム〔(C5H5)2Mg、以下Cp2Mgと記すことがある。〕を用いた。基板としてサファイヤのC面を鏡面研磨したもの9を有機洗浄して用いた。まず、水素をキャリアガスとし、1100℃で塩化水素ガスを供給して、反応炉および基板のクリーニングを行なった。クリーニング終了後、基板温度550℃で、TMGとアンモニアを供給して膜厚500ÅのGaNのバッファ層8を形成した。次に基板温度を1100℃まで上げ、TMG、アンモニア、及びシランガスを供給して、Siをドープしたn型キャリア濃度1×1019/cm3、膜厚約3μmのGaN層5を成長し、さらに同じ温度にてノンドープのGaN層4を1500Å成長した。Siドープ層およびノンドープ層の成膜速度は、各々1000Å/分、200Å/分であった。 【0033】次に基板温度を785℃まで下げ、キャリアガスを窒素に換え、TEG、TMI及びアンモニアをそれぞれ0.04sccm、0.08sccm、4slm供給して、発光層であるIn0.3Ga0.7N層1を70秒間成長した。さらに、同じ温度にてTEG、TEA及びアンモニアをそれぞれ0.032sccm、0.008sccm、4slm供給して、保護層であるGa0.8Al0.2N層2を10分間成長した。ただし、slmおよびsccmとは気体の流量の単位で、1slmは1分当たり、標準状態で1リットルの体積を占める重量のガスが流れていることを示し、1000sccmは1slmに相当する。なお、この2層の層厚に関しては、同一の条件でより長い時間成長した層の厚さから求めた成長速度が43Å/分、30Å/分であるので、上記成長時間から求められる層厚はそれぞれ50Å、300Åと計算できる。 【0034】次に、基板温度を1100℃まで上げ、Cp2Mg、およびアンモニアを供給して40秒間の空流し工程を行ったのち、TMG、Cp2Mgおよびアンモニアを供給してMgをドープしたGaN層3を5000Å成長した。以上により作製した3-5族化合物半導体試料を反応炉から取り出したのち、窒素中で800℃、20分アニール処理を施し、MgをドープしたGaN層を低抵抗のp型層にした。こうして得た試料に常法により電極を形成し、LEDとした。p電極としてNi-Au合金、n電極としてAlを用いた。このLEDに順方向に電流を流したところ、発光波長4570Åの明瞭な青色発光を示した。20mAでの輝度1200mcdであった。 【0035】実施例2 図1に示す構造の発光素子を作製した。以下、図1に基づいて説明する。窒化ガリウム系半導体は、MOVPE法による気相成長により作製された。基板はサファイアC面を鏡面研磨したものを有機洗浄して用いた。成長は、まず水素中で基板を1100℃に加熱し、この状態でHClガスにより反応炉、サセプタおよび基板を気相エッチングした。HClガスを止めた後、さらに水素中、1100℃で基板のクリーニングを行なった。次に、バッファ層として600℃でTMGとアンモニアによりGaNを500Å成膜した後、TMG、アンモニアおよびドーパントとしてシラン(SiH4)を用いて1100℃でSiをドープしたGaN層5を3μmの厚みで成膜した。 【0036】800℃まで降温した後、キャリアガスを水素から窒素に変え、TEG、TMI、TEAを用いて、In0.17Ga0.83N層1を60Å、Ga0.8Al0.2Nの層2を300Å成長した。次に、温度を1100℃に昇温し、TMG、アンモニアおよびドーパントとしてビスメチルシクロペンタジエニルマグネシウム〔(CH3C5H4)2Mg、以下、MCp2Mgと記すことがある。〕を用いてMgをドープしたGaNの層3を5000Å成長した。成長終了後、基板を取り出し、窒素中800℃で熱処理を行なった。このようにして得られた試料を常法に従い、電極を形成し、LEDとした。p電極としてNi-Au合金、n電極としてAlを用いた。このLEDに順方向に20mAの電流を流したところ、明瞭な青色発光を示し、輝度は120mcdであった。 【0037】比較例1 InGaN層の厚みを100Åとしたことを除いては実施例2と同様にしてLEDを作製し、実施例2と同様の評価を行なったところ、試料のごく一部で青色発光を示したものの、ほとんどの部分で輝度は10mcd以下であっった。 【0038】実施例3 発光層である第1の層の層厚を21Å、32Å、86Åとしたことを除いては、実施例1と同様にして3-5族化合物半導体試料を作製した。実施例1と同様にして電極を形成してLEDとし、順方向電流を流したところいずれの試料も明瞭な青色発光を示し、20mAでの輝度は20mcd以上であった。第1の層の層厚と20mAでの外部量子効率の関係を図4に示す。 【0039】比較例2 発光層である第1の層の層厚を150Åとしたことを除いては、実施例1と同様にして3-5族化合物半導体試料を作製した。実施例1と同様にして電極を形成しLEDとして順方向電流を流したところ、わずかに青白く発光するのみであった。20mAでの輝度は実施例1の1万分の1以下であった。 【0040】実施例4、5、6 図5に示す試料を、以下述べる方法に従い作製した。まず、1100℃で第5の層であるノンドープのGaN層5を3μm、785℃から825℃の範囲で第1の層であるノンドープのInGaN層1を50Å成長した後、第1の層と同じ温度で第2の層であるノンドープのGaAlN層2を成長した。成長後、第1の層であるInGaN層1の熱的安定性を確認するために熱処理を行ない、熱処理前後でのInGaN層1からのフォトルミネッセンススペクトル(以下、PLスペクトルと記すことがある。)を測定した。 【0041】表1に、本実施例で作製した試料の成長条件、熱処理条件、およびPLスペクトルのピーク強度の熱処理前後の変化をまとめる。表1から、いずれの試料も熱処理によりPLスペクトルの強度がほとんど変化しておらず、本発明の第2の層が第1の層の熱的安定性に重要であることが分かる。 【0042】 【表1】 1)熱処理条件:チッ素とアンモニア同体積の混合ガス雰囲気中、1100℃、10分。 2)熱処理後のPLスペクトル強度の熱処理前に対する減少の割合 【0043】 【発明の効果】本発明の3-5族化合物半導体は、欠陥が少なく高品質であり、これを用いることにより発光効率の高い良好な発光特性を示す発光素子を提供することができる。また、本発明の3-5族化合物半導体の製造方法により、Inを含む層を成長させた後、p型GaAlNを1000℃を超える温度で成長させても活性層を劣化させず、欠陥の少ない高品質の3-5族化合物半導体が得られる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の発光素子の構成を示す図(実施例2で作製した発光素子の構成を示す図)。 【図2】本発明の発光素子の構成を示す図。 【図3】本発明の発光素子の構成を示す図(実施例1で作製した発光素子の構成を示す図)。 【図4】実施例で作製したLEDでの、第1の層の層厚と20mAでの外部量子効率の関係を示す図(ただし、第1の層の層厚が50Åのものは実施例1に相当し、それ以外のものは実施例3に相当する。)。 【図5】実施例4、5、6で作製した3-5族化合物半導体の構成を示す図。 【符号の説明】 1...一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層 2...一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層 3...一般式Gax″Aly″N(ただし、x″+y″=1、0<x″≦1、0≦y″<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層 4...一般式Gaa′Alb′N(ただし、a′+b′=1、0≦a′≦1、0≦b′≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層 5...一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層 Siドープn型GaN層 6...p電極 7...n電極 8...バッファ層 9...サファイア基板 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 訂正事項a:特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1の「一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層(ただし、p型を除く)と、一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体。」との記載を 「一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層の上に、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層(ただし、p型を除く)を積層し、さらにその上に、一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層を積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体(ただし、第3の層が厚み0.25〜0.5μm、不純物濃度7×1017〜1×1018cm-3であるp型GaN層であり、かつ、第2の層が厚み0.03〜0.05μmのアンドープAlGaN層であり、かつ、第1の層が厚み60Å以上のアンドープInGaN層である場合を除く)。」と訂正する。 訂正事項b:特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項2、3、4を削除する。 訂正事項c:特許請求の範囲を減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項5の「一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層の上に、一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層を積層し、さらにその上に、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を積層することにより得られる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体。」との記載を 「一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層の上に、一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表され、上記第5の層より不純物濃度が低い3-5族化合物半導体からなる第4の層を積層し、さらにその上に、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を積層することにより得られる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体。(ただし、第5の層が厚み0.5〜1.0μm、不純物濃度5×1017〜1×1018cm-3であるn型GaN層であり、かつ、第4の層が厚み0.03〜0.05μmのアンドープAlGaN層であり、かつ、第1の層が厚み60Å以上のアンドープInGaN層である場合を除く)」と訂正し、請求項2に繰り上げる。 訂正事項d:特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項6の「一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体。」との記載を 「一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体。(ただし、第4の層が厚み0.03〜0.05μmであるアンドープAlGaN層であり、かつ、第1の層が厚み60Å以上のアンドープInGaN層であり、かつ、第2の層が厚み8nmであるアンドープGaN層である場合と、第4の層が厚み8nmであるアンドープGaN層であり、かつ、第1の層が60Å以上のアンドープInGaN層であり、かつ、第2の層が厚み0.03〜0.05μmであるアンドープAlGaN層である場合を除く)」と訂正し、請求項3に繰り上げる。 訂正事項e:特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項7の「一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体。」との記載を「一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体。(ただし、第4の層が厚み8nmであるアンドープGaN層であり、かつ、第1の層が60Å以上のアンドープInGaN層であり、かつ、第2の層が厚み0.03〜0.05μmのアンドープAlGaN層であり、かつ、第3の層が厚み0.25〜0.5μm、不純物濃度7×1017〜1×1018cm-3であるp型GaN層である場合を除く)」と訂正し、請求項4にする。 訂正事項f:特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項8の「一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層と、一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体。」との記載を 「一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層と、一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表され、上記第5の層より不純物濃度が低い3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3-5族化合物半導体。」と訂正し、請求項5とする。 訂正事項g:明りょうでない記載の釈明を目的として、特許請求の範囲の請求項9に記載された「請求項1、6、7または8」を「請求項1、3、4または5」と訂正し、請求項9を新たな請求項6とし、 特許請求の範囲の請求項10に記載された「請求項1〜9」を「請求項1〜6」と訂正し、請求項10を新たな請求項7とし、 特許請求の範囲の請求項11に記載された「請求項1、6、7または8」を「請求項1、3、4または5」と訂正し、請求項11を新たな請求項8とし、 特許請求の範囲の請求項12、13を請求項9、10とし、 特許請求の範囲の請求項14に記載された「請求項1〜11のいずれか、または13」を「請求項1〜8のいずれか、または10」と訂正し、請求項14を新たな請求項11とする。 訂正事項h:明りょうでない記載の釈明を目的として、発明の詳細な説明の項中「【0008】すなわち本発明は、[1]一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層(ただし、p型を除く)と、一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。 【0009】また、本発明は、[2]一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層(ただし、p型を除く)と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層とが、積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。また、本発明は、[3]一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層の上に、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を積層することにより得られる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。【0010】さらに、本発明は、[4]一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層と、一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層(ただし、p型を除く)と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。また、本発明は、[5]一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層の上に、一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層を積層し、さらにその上に、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を積層することにより得られる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。さらに、本発明は、[6]一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。さらに、本発明は、[7]一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。 【0011】本発明は、[8]一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層と、一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。 【0012】本発明は、また[9]一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を成長させた後に、一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層を1000℃を超える温度で成長させる3-5族化合物半導体の成長方法において、該第1の層を成長した後、該第3の層を成長させる前に、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層を、1000℃以下の温度で成長させる3-5族化合物半導体の製造方法に係るものである。。また、本発明は、[10]一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を成長させた後に、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層を、1000℃以下の温度で成長させ、次に一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層を1000℃を超える温度で成長させることにより得られる3-5族化合物半導体に係るものである。 【0013】そして、本発明は、[11]このような3-5族化合物半導体を用いる発光素子に係るものである。以下、本発明を詳細に説明する。」との記載を 「【0008】すなわち本発明は、[1]一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層の上に、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層(ただし、p型を除く)を積層し、さらにその上に、一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層を積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。 【0009】また、本発明は、[2]一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層の上に、一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表され、上記第5の層より不純物濃度が低い3-5族化合物半導体からなる第4の層を積層し、さらにその上に、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を積層することにより得られる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。 【0010】さらに、本発明は、[3]一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。 また、本発明は、[4]一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。 【0011】本発明は、[5]一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3-5族化合物半導体からなる第5の層と、一般式Gaa′Alb′N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表され、上記第5の層より不純物濃度が低い3-5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3-5族化合物半導体に係るものである。 【0012】本発明は、また[6]一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を成長させた後に、一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層を1000℃を超える温度で成長させる3-5族化合物半導体の成長方法において、該第1の層を成長した後、該第3の層を成長させる前に、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層を、1000℃以下の温度で成長させる3-5族化合物半導体の製造方法に係るものである。 また、本発明は、[7]一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第1の層を成長させた後に、一般式Gax′Aly′N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第2の層を、1000℃以下の温度で成長させ、次に一般式Gax″Aly″N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3-5族化合物半導体からなる第3の層を1000℃を超える温度で成長させることにより得られる3-5族化合物半導体に係るものである。 【0013】そして、本発明は、[8]このような3-5族化合物半導体を用いる発光素子に係るものである。以下、本発明を詳細に説明する。」と訂正する。 |
異議決定日 | 2002-03-14 |
出願番号 | 特願平8-15228 |
審決分類 |
P
1
651・
113-
YA
(H01L)
P 1 651・ 537- YA (H01L) P 1 651・ 536- YA (H01L) P 1 651・ 161- YA (H01L) P 1 651・ 121- YA (H01L) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 國島 明弘、國島 明弘 |
特許庁審判長 |
松本 邦夫 |
特許庁審判官 |
橋本 武 岡 和久 |
登録日 | 2000-05-12 |
登録番号 | 特許第3064891号(P3064891) |
権利者 | 住友化学工業株式会社 |
発明の名称 | 3-5族化合物半導体とその製造方法および発光素子 |
代理人 | 辻 良子 |
代理人 | 辻 良子 |
代理人 | 辻 邦夫 |
代理人 | 木下 雅晴 |
代理人 | 辻 邦夫 |
代理人 | 佐々木 晴康 |
代理人 | 小池 隆彌 |