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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  H04N
管理番号 1059550
異議申立番号 異議2001-71243  
総通号数 31 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-11-08 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-04-23 
確定日 2002-03-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3101125号「画像形成装置の遠隔管理システム」の請求項1、2、4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3101125号の請求項1、2、4に係る特許を取り消す。 
理由 1 手続の経緯
本件特許第3101125号に係る出願は、平成5年4月28日に出願されたものであって、平成12年8月18日に特許の設定登録がされ、その後その特許請求の範囲における請求項1、2及び4に係る発明について、異議申立人相原光政により特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年11月12日に訂正請求がなされたものである。
2 訂正の適否
(1)訂正の内容
訂正事項a
明細書における特許請求の範囲の請求項1の記載を特許請求の範囲の減縮を目的として、
「少なくとも1以上の画像形成装置に関するデータを管理するホストコンピュータと、
前記ホストコンピュータと画像形成装置とを通信させるためのインタフェースと、
前記インタフェースを介して前記ホストコンピュータと画像形成装置とを接続する通信回線とを備え、
前記ホストコンピュータへ通信を開始要求するための開始要求信号と予め決められた電文種別を送信し、前記開始要求信号を受信した前記ホストコンピュータからのデータ送信を要求するデータ要求信号を受信し、前記データ要求信号に基づくデータを前記ホストコンピュータへ送信する、少なくとも1以上の画像形成装置に設けられているデータ送受信手段とで構成したことを特徴とする画像形成装置の遠隔管理システム。」と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張、変更の存否
上記訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項、及び第3項で準用する同第126条第2、3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3 特許異議の申立ての概要
異議申立人は、甲第1号証(特開平2-306259号公報)、甲第2号証(特開平4-318861号公報)を提出し、請求項1、2及び4に係る発明の特許は、特許法第29条第1項3号、または、同法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、取り消すべき旨主張している。
4 特許異議の申立てについての判断
(1)本件発明
訂正明細書の請求項1、2及び4に係る発明(以下、それぞれ「本件請求項1に係る発明」、「本件請求項2に係る発明」、及び「本件請求項4に係る発明」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1、2及び4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである(上記2(1)訂正事項a参照)。
「 【請求項1】(省略 上記2(1)訂正事項a参照)
【請求項2】 前記開始要求信号を送信してから前記データ要求信号を受信するまでの間に、前記データ送受信手段が、予め決められた所定のデータを前記ホストコンピュータへ送信することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置の遠隔管理システム。
【請求項4】 前記開始要求信号を送信する際に、前記データ送受信手段が、画像形成装置毎に予め設けられている識別コード番号を、前記ホストコンピュータへ送信することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置の遠隔管理システム。」
(2)引用刊行物
当審が通知した取消しの理由に引用した刊行物1(前記甲第1号証)には、「コピーデータ管理システム」の発明に関し、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「本発明は、複数の複写機を集中管理するためのコピーデータ管理システムに関する。」(1頁右下欄16行〜17行)
イ 「上記の如きポーリング方式のコピーデータ管理システムでは、端末装置から集中管理装置を呼び出すことができず、例えば複写機の故障やメンテナンス時期の到来を複写機側から入力することは不可能であった。本発明は、個々の複写機に設けた端末装置側から集中管理装置を呼び出すことができ、従って、コピー枚数や使用者以外の情報、例えば修理を要する故障の発生やメンテナンス時期の到来等(以下、コピーデータという。)を送信することができるコピーデータ管理システムを提供することを目的としている。」(2頁左上欄6行〜17行)
ウ 「第1図において、このコピーデータ管理システムは、複写機10a乃至10d(以下、総称する場合は10とする)におけるコピー枚数、ジャム発生回数、及びトラブル発生回数等のコピーデータを計数する端末システム1と、端末システム1で計数された各複写機10に関するコピーデータを集計するセンターシステム2からなり、」(2頁右下欄20行〜3頁左上欄6行)
エ 「端末システム1は、複写機10と、コピーデータコントローラ20a乃至20d(以下、総称する場合は20とする。)と、オンラインコントローラ30a,30b(以下、総称する場合は30とする。)と、電話機40a,40b(以下、総称する場合は40とする。)とを備える。コピーデータコントローラ20は、各複写機10に1対1で接続され、接続された複写機10の上記コピーデータを計数しかつ当該複写機10の電源のオン・オフ、コピー中であるか否か等の複写機10の動作状態を検出する」(3頁左上欄10行〜20行)
オ 「オンラインコントローラ30は、1個又は複数のコピーデータコントローラ20並びに1個の電話機40a,40b(以下、総称する場合は40とする。)と接続され、電話機モードのとき電話機40を電話回線4a,4bを介して交換機3に接続するとともに、一方、通信モードのときコピーデータコントローラ20とセンター制御装置50を接続し各装置20,50間の通信の制御を行う」(3頁右上欄6行〜14行)
カ 「センターシステム2は、センター制御装置50と、パーソナルコンピュータ60と、CRTディスプレイ装置70とを備える。センタ制御装置50は、電話回線4cを介して交換機3に接続され、端末システム1から送信されるコピーデータを受信して当該コピーデータを格納した後予め設定される締切時刻において、当該コピーデータの集計を行う。パーソナルコンピュータ60は、センター制御装置50に接続され該センター制御装置50の動作を制御するとともに、該装置の50から出力される集計されたコピーデータをCRTディスプレイ装置70に表示する。」(3頁右上欄19行〜左下欄11行)
キ 「第6図(B)のステップS2において、所定の送信開始時刻に、オンラインコントローラ30は、モデム33に対してセンター制御装置50との回線接続の処理を行わせる。次いで、ステップS3において、センター制御装置50は時刻要求信号をオンラインコントローラ30に送信し、これに応答してオンラインコントローラ30は時刻データをセンター制御装置50に送信する。次いで、ステップS4において、センター制御装置50は、チャンネル1のコピーデータコントローラ20の動作モードを通信モードに切り替えるため、オンラインコントローラ30に対してモード確認信号を送信する。これに応答してオンラインコントローラ30は、コピーデータコントローラ20に対して通信モード要求信号を送信し、これに応答して、コピーデータコントローラ20は自己の動作モードを通信モードに設定した後、通信モードアンサー信号を、オンラインコントローラ30を介してセンター制御装置50に送信する。次いで、ステップS5において、センター制御装置50は、コピーデータコントローラ20のシリアル番号を知らせることを要求するシリアル番号要求信号、オンラインコンロトローラ30を介してコピーデータコントローラ20に送信し、これに応答してコピーデータコントローラ20は、シリアル番号データをオンラインコントローラ30を介してセンター制御装置50に送信する。次いで、センター制御装置50とコピーデータコントローラ20との間で、上記コピーデータの送受信が行われる。ここでは、センター制御装置50がコピーデータコントローラ20に対して詳細後述するデータ要求信号を送信し、これに応答してコピーデータコントローラ20が受信されたデータ要求信号に対応するコピーデータをセンター制御装置50に送信する形式で行われる。」(6頁左下欄10行〜7頁左上欄5行)
同じく当審が通知した取消しの理由に引用した刊行物2(前記甲第2号証)には、「複写装置」の発明に関し、図面とともに次の事項が記載されている。
ク 「この発明は、通信回線による外部装置との通信手段を有する複写装置に関するものである。」(段落番号【0001】)
ケ 「図1は、一実施例の複写装置の構成を示すブロック図である。100は複写装置本体、800は複写動作を制御する制御手段、900は外部通信回線との間でデータの送受信を行う為の通信制御手段(モデムボード)、908は外部通信回線であるところの公衆回線、999は外部装置であり例えば複写装置を管理する為の管理拠点におかれたホストコンピュータシステムである。」(段落番号【0010】)
コ 「複写装置100内部のデータを管理側コンピュータ等の外部装置999に電話回線で転送するとき、或いは逆に、管理側コンピュータ999から複写装置100側にデータを送るときは、複写装置本体と管理側コンピュータの両方に登録された機種ID、パスワード及び複写装置本体に登録された通信先の電話番号を用いてデータの転送が開始される。(中略)そして、前記のID、パスワード、通信先の電話番号を通信開始のための初期値という。(中略)まず、初期値を使用してデータ転送の概要を説明する。複写装置側からの呼出時は複写装置本体に登録されている通信相手電話番号に対して発呼し、回線接続後、複写装置側からの機種IDを管理側のコンピュータで判断し、対応するパスワードを返信する。複写装置側でこのパスワードをチェックし正常のときデータ転送を開始する。」(段落番号【0046】〜【0048】)
(3)対比・判断
(3)-1 本件請求項1に係る発明について
本件請求項1に係る発明と刊行物1に記載された発明とを対比すると、
(a) 刊行物1に記載された発明は、複数の複写機を集中管理するためのコピーデータ管理システムに関するものであり(上記(2)ア参照)、センターシステム2に設けられたセンター制御装置50とパーソナルコンピュータ60(ホストコンピュータに相当)は、端末システム1(画像形成装置に相当)における複数の複写機10に関するコピーデータを受信、集計し、CRTディスプレイ装置70に表示するものである(上記(2)カ参照)から、かかるパーソナルコンピュータは、本件請求項1に係る発明における「少なくとも1以上の画像形成装置に関するデータを管理するホストコンピュータ」に相当する。
(b) 刊行物1に記載された発明は、複写機10のコピーデータを計数するコピーデータコントローラ20とセンターシステム2におけるパーソナルコンピュータ60との間の通信を、オンラインコントローラ30とセンター制御装置50を用いて行うものである(上記(2)ウ〜オ参照)から、かかるオンラインコントローラ30は、本件請求項1に係る発明における「前記ホストコンピュータと画像形成装置とを通信させるためのインタフェース」に相当する。
(c) 刊行物1に記載された発明は、オンラインコントローラ30とセンター制御装置50との間を電話回線4a〜4cと交換機3で接続し、通信を行うものであるから、かかる電話回線4a〜4cと交換機3は、本件請求項1に係る発明における「前記インタフェースを介して前記ホストコンピュータと画像形成装置とを接続する通信回線」に相当する。
(d) 刊行物1に記載された発明におけるオンラインコントローラ30は、第6図(B)のステップS2において、所定の送信開始時刻に、モデム33に対してセンター制御装置50との回線接続の処理を行わせるものであり(上記(2)キ参照)、この回線接続処理は、センター制御装置50に対して通信の開始を要求すること意味し、また、刊行物1に記載された発明におけるコピーデータコントローラ20は、センター制御装置との間の回線接続後、センター制御装置50から所定のデータ要求信号が送信されると、これに応答して、受信されたデータ要求信号に対応するコピーデータをセンター制御装置50に送信するものである(上記(2)キ参照)から、前記コピーデータコントローラ20及びオンラインコントローラ30は、通信開始の要求のために「通信開始要求信号」を送信し、「予め決められた電文種別を送信」する点を除き、「前記ホストコンピュータへ通信の開始を要求し、前記開始要求に応じて前記ホストコンピュータからのデータ送信を要求するデータ要求信号を受信し、前記データ要求信号に基づくデータを前記ホストコンピュータへ送信する、少なくとも1以上の画像形成装置に設けられているデータ送受信手段」である点で、本件請求項1に係る発明の「データ送受信手段」と一致する。
したがって、両者は、
「少なくとも1以上の画像形成装置に関するデータを管理するホストコンピュータと、前記ホストコンピュータと画像形成装置とを通信させるためのインタフェースと、前記インタフェースを介して前記ホストコンピュータと画像形成装置とを接続する通信回線とを備え、前記ホストコンピュータへ通信の開始を要求し、前記開始要求に応じて前記ホストコンピュータからのデータ送信を要求するデータ要求信号を受信し、前記データ要求信号に基づくデータを前記ホストコンピュータへ送信する、少なくとも1以上の画像形成装置に設けられているデータ送受信手段とで構成したことを特徴とする画像形成装置の遠隔管理システム。」
である点で一致し、次の点で相違する。
(あ)本件請求項1に係る発明は、「前記ホストコンピュータへ通信を開始要求するための開始要求信号と予め決められた電文種別を送信」するのに対して、刊行物1に記載された発明は、そのような構成を備えるものではない点。
そこで、相違点(あ)について検討すると、
相手側装置との間で通信を開始する際に通信開始要求信号を送信すること、及び通信しようとする電文の種別を送信することは、当業者に周知である(必要であれば、特開昭64-60037号公報、特開平3-12790号公報参照)から、刊行物1に記載された発明において、「前記ホストコンピュータへ通信を開始要求するための開始要求信号と予め決められた電文種別を送信」するものとすることは、当業者が格別の創意工夫を要することなく容易になし得ることである。
なお、電文の種別として定期通信等があることは周知のことであるから、特許請求の範囲の請求項1には記載されていないが、電文種別を定期送信等示す種別とすることも、当業者が格別の創意工夫を要することなく容易になし得ることである。
(3)-2 本件請求項2に係る発明について
本件請求項2に係る発明と刊行物1に記載された発明とを対比すると、
(e) 刊行物1に記載された発明は、センター制御装置50に対する回線接続(通信開始要求)を行った後、センター制御装置50からの時刻データ要求信号に応じて時刻データを送信し、また、センター制御装置50からのシリアル番号要求信号に応答して、コピーデータコントローラ20のシリアル番号をオンラインコントローラ30を介して、センター制御装置50に伝送し、その後、センター制御措置50からのデータ要求信号に応答して対応するコピーデータをセンター制御装置50に送信するものである(上記(2)キ参照)から、「開始要求してから前記データ要求信号を受信するまでの間に、前記データ送受信手段が、予め決められた所定のデータを前記ホストコンピュータへ送信する」点で、本件請求項2に係る発明と差異がない。
したがって、両者は、前記本件請求項1に係る発明で示した一致点に加え、「開始要求してから前記データ要求信号を受信するまでの間に、前記データ送受信手段が、予め決められた所定のデータを前記ホストコンピュータへ送信」する点で一致し、前記相違点(あ)で相違するので、同請求項1に係る発明で示した理由により、本件請求項2に係る発明も当業者が格別の創意工夫を要することなく容易になし得ることである。
(3)-3 本件請求項4に係る発明について
本件請求項4に係る発明と刊行物1に記載された発明とを対比すると、
(f) 前記(e)に記載したように、刊行物1に記載された発明は、センター制御装置50に対する回線接続(通信開始要求)を行った後、センター制御装置50からのシリアル番号要求信号に応答して、コピーデータコントローラ20のシリアル番号をオンラインコントローラ30を介して、センター制御装置50に伝送し、その後、センター制御措置50からのデータ要求信号に応答して対応するコピーデータをセンター制御装置50に送信するものであるから、「前記データ送受信手段が、画像形成装置毎に予め設けられている識別コード番号を、前記ホストコンピュータへ送信」する点で、本件請求項4に係る発明と差異がない。
したがって、両者は、前記本件請求項1に係る発明で示した一致点に加え、「前記データ送受信手段が、画像形成装置毎に予め設けられている識別コード番号を、前記ホストコンピュータへ送信」する点で一致し、前記相違点(あ)に加え、次の点で更に相違する。
(い)本件請求項4に係る発明は、画像形成装置毎に予め設けられている識別コード番号を「前記開始要求信号を送信する際に」送信するのに対して、刊行物1に記載された発明は、回線接続後、シリアル要求信号を受信した際に送信するようにしている点。
そこで検討すると、相違点(あ)については、前記したとおりであり、相違点(い)については、通信を開始する際に、装置毎に予め設けられている識別コードを、ホストコンピュータ等、相手方装置に送信することは、刊行物2に記載されている(上記(2)ク〜コ参照)ように、当業者に周知の技術にすぎないから、刊行物1に記載された発明において、「前記開始要求信号を送信する際に、前記データ送受信手段が、画像形成装置毎に予め設けられている識別コード番号を、前記ホストコンピュータへ送信する」ことは、当業者が格別の創意工夫を要することなく容易になし得ることである。
そして、本件請求項1、2、及び4に係る発明の構成によりもたらされる効果も刊行物1、2及び周知技術から当業者が容易に予測し得る程度のものであり、格別のものではない。
(4) むすび
以上のとおりであるから、本件請求項1、2、及び4に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件請求項1、2、及び4に係る発明の特許は、拒絶をすべき特許出願に対してなされたものである。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年制令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
画像形成装置の遠隔管理システム
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも1以上の画像形成装置に関するデータを管理するホストコンピュータと、
前記ホストコンピュータと画像形成装置とを通信させるためのインタフェースと、
前記インタフェースを介して前記ホストコンピュータと画像形成装置とを接続する通信回線とを備え、
前記ホストコンピュータへ通信を開始要求するための開始要求信号と予め決められた電文種別を送信し、前記開始要求信号を受信した前記ホストコンピュータからのデータ送信を要求するデータ要求信号を受信し、前記データ要求信号に基づくデータを前記ホストコンピュータへ送信する、少なくとも1以上の画像形成装置に設けられているデータ送受信手段とで構成したことを特徴とする画像形成装置の遠隔管理システム。
【請求項2】 前記開始要求信号を送信してから前記データ要求信号を受信するまでの間に、前記データ送受信手段が、予め決められた所定のデータを前記ホストコンピュータへ送信することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置の遠隔管理システム。
【請求項3】 前記データ送受信手段が、前記ホストコンピュータへ通信を終了要求するための終了要求信号を送信することによって、前記データ送受信手段と前記ホストコンピュータとの通信を終了させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像形成装置の遠隔管理システム。
【請求項4】 前記開始要求信号を送信する際に、前記データ送受信手段が、画像形成装置毎に予め設けられている識別コード番号を、前記ホストコンピュータへ送信することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置の遠隔管理システム。
【請求項5】 前記識別コード信号が前記ホストコンピュータに登録されていない場合に、前記データ送受信手段が、前記ホストコンピュータからの未登録信号を受信してから、前記ホストコンピュータへ登録要求信号を送信して、前記ホストコンピュータに識別コード信号を記憶させることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置の遠隔管理システム。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はホストコンピュータと複数の画像形成装置とが通信回線を介して接続されたシステムにおける画像形成装置の遠隔管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】ホストコンピュータと複数の画像形成装置(例えば複写機)とが通信回線を介して接続され、データ収集を行なうシステムがある。図16は従来システムの構成概念図である。図において、1はホストコンピュータ、2は電話網等の通信回線、3は複数の複写機である。ホストコンピュータ1と複数の複写機3が通信回線2を介して接続されている。この種のシステムは、市場にある複写機と販社,ディーラとを結び、情報をオンラインで集中管理することにより、機械の信頼性,サービス性の向上,販社の省力化を図ることを目的として用いられる。
【0003】従来のこの種のシステムでは、ホストコンピュータ(以下単にホストと略す)1から複写機のデータを収集する場合、ホスト1から複写機3をポーリングして順次呼び出し、データを収集する方法と、複写機3からホスト1を自動呼び出ししてデータを送信する方法とがある。
【0004】また、新規に複写機を設置する場合の、ホスト側1への登録は、ホスト管理者がマニュアルで入力していた。複写機特有のデータとしては、以下のようなものがある。
○カウントデータ
各サイズ別,特定ユーザ別等のカウントデータ
○故障データ
各部位別等
○ジャムデータ
○使用モードデータ
○消耗品管理データ
○機械調整データ
メモリ書替,定着温度変更,バイアス電圧変更等
○ROMバージョンデータ
バグ発見時等
○オプション機器別データ
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記した従来のシステムで、複写機3のデータを収集する場合、前記の方法では、外線着信できない構内交換機(PBX)設置場所では通信できず、また複写機3の都合のよい時間に送信できないという問題があった。また、前記の方法では、予め複写機側で送信データを設定しておく必要があった。
【0006】更に、従来のシステムで新規に複写機3を設置する場合、その都度ホスト管理者がマニュアルで登録する必要があり、不便であった。本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、画像形成装置の負荷を軽減すると共に、新規登録時の自動セットアップを行なうことができる画像形成装置の遠隔管理システムを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】少なくとも1以上の画像形成装置に関するデータを管理するホストコンピュータと、前記ホストコンピュータと画像形成装置とを通信させるためのインタフェースと、前記インタフェースを介して前記ホストコンピュータと画像形成装置とを接続する通信回線とを備え、前記ホストコンピュータへ通信を開始要求するための開始要求信号と予め決められた電文種別を送信し、前記開始要求信号を受信した前記ホストコンピュータからのデータ送信を要求するデータ要求信号を受信し、前記データ要求信号に基づくデータを前記ホストコンピュータへ送信する、少なくとも1以上の画像形成装置に設けられているデータ送受信手段とで構成したことを特徴としている。
【0008】
【作用】画像形成装置からホストを呼び出し、送信権をホストに譲渡し、ホスト側からの問い合わせに対して画像形成装置が応答するようにした。この結果、画像形成装置からはホストを呼び出すのみにし、送信データはホストからのデータ問い合わせに画像形成装置が応答する形で行なうことになり、画像形成装置の負荷を軽減することができる。また、本発明によれば新規登録時の自動セットアップを行なうことができる。
【0009】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。図1は本発明の原理ブロック図である。図1と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、1はホストコンピュータ(ホスト)、2は通信回線、3は複数の画像形成装置としての複写機である。1Aはホスト1内に設けられた、複写機3側とデータ通信を行なうインタフェース手段である。複写機3は、複写機本体10と外部とのデータ通信を行なう通信インタフェース11より構成される。20は通信インタフェース11と接続されるモデム(変復調器)、30はホスト1側に設けられたモデムである。このように構成されたシステムの動作を説明すれば、以下のとおりである。
【0010】先ず、本発明で用いる電文の種類について説明する。ここでは、転送ブロックの最初と最後の電文区切り記号を除いた部分を電文と定義する。本発明で用いる電文には、業務の開始と終了を制御する始業電文,始業要求電文,終業電文,終業要求電文(制御電文)と、業務の中でホストと複写機端末間でデータ送受信と送信権の切り替えを行なうために使用する応答電文(処理電文)がある。以下に、各電文の説明を行なう。
(1)始業要求電文(ホスト←複写機)
複写機端末3から発呼時、複写機3からホスト1に始業を依頼する。この電文は、ホストにホストパスワード,複写機ID等を通知する。
(2)始業電文(ホスト→複写機)
ホスト1から発呼時、複写機3に始業を指示する。また複写機3に複写機パスワードを通知する。また、複写機3から発呼時、始業要求電文に対してホスト1が始業したことの応答である。
(3)要求電文1(ホスト→複写機)
ホスト1から複写機3に要求がある場合に送信される電文。
(4)応答電文1(ホスト←複写機)
要求電文1に対応して複写機3からホスト1に送信される電文。
(5)要求電文2(ホスト←複写機)
複写機3からホスト1に要求がある場合に送信される電文。
(6)応答電文2(ホスト→複写機)
要求電文2に対応してホスト1から複写機3に送信される電文。
(7)終業要求電文(ホスト←複写機)
複写機3から発呼時、ホスト1に終業を依頼する電文。
(8)終業電文(ホスト→複写機)
ホスト1から発呼時、複写機3に終業を指示する電文。また、複写機3から発呼時、終業要求電文に対してホスト1が終業したことの応答を返す電文。
【0011】次に、始業/終業について説明する。始業は、ホスト1が始業電文を送信することにより行われる。ホスト1から複写機3に発呼した場合、接続終了後、ホスト1が複写機3に対して始業電文を送信する。複写機3からホスト1に発呼した場合、接続終了後、ホスト1は複写機3から始業要求電文を受信することにより、始業電文を送信する。
【0012】終業は、ホスト1が終業電文を送信することにより行われる。ホスト1から複写機3に発呼した場合、ホスト1は要求処理終了時に終業電文を送信する。複写機3からホスト1に発呼した場合、ホスト1は要求電文1送信後、複写機3から終業要求電文を受信することにより、終業電文を送信する。
【0013】ホスト1が着呼した場合でも、終業電文又は要求電文1を送信直後に受信した要求電文2がターミネート(Terminate)の時は終業電文を送信する。複写機3が着呼した場合でも、要求電文2送信直後に受信した電文が要求電文1の時は、終業要求電文を送信する。
【0014】次に、データの送受信について説明する。データの送受信は、ホスト1と複写機3が要求電文と応答電文を使用して行なう。
(送信権制御)複写機3とホスト1の間で、同時に(任意のタイミングで)要求電文を送信することはできない。つまり、ホスト1と複写機3は、ホスト主導の処理と複写機主導の処理を同時に行なうことはできない。このため、本発明では、ホスト1と複写機3の間で要求電文を送信する権利(送信権)を受け渡すことで同期をとるようにしている。このような送信権制御は、ホスト1のインタフェース手段1Aと複写機3の通信インタフェース11との間で行なう。
【0015】今、送信権のある側を主局、送信権のない側を従局とする。主局と従局は、送信権の譲渡により逆転する。送信権制御は、以下に示すような方式で行なう。先ず、始業時(ホスト1が始業電文送信後)は、複写機3が主局となる。複写機3は、始業時にホスト1への送信データがある場合、要求電文2によりデータ送信処理を行なう。複写機3にホスト1への送信データがない場合、又はホスト1ヘデータを全て送信し終わった場合、要求電文2を送信し、ホスト1へ送信権を渡す。
【0016】ホスト1は、送信権獲得時に複写機3への送信データがある場合、要求電文1によりデータ送信処理を行なう。ホスト1に複写機3への送信データがない場合、又は複写機3ヘデータを全て送信し終わった場合、要求電文1を送信し、送信権を複写機3に渡す。
(応答権制御)従局は主局からの要求電文を受信しなければ、応答電文を送信することができない。但し、送信権の譲渡時は、応答電文の送信は行わない。主局が従局に要求電文により応答電文を送信する契機(応答権)を制御することで、半二重制御を行なう。
【0017】応答権制御は、以下のような方法で行なう。応答権は、従局が要求電文受信時に発生し、応答電文送信時に終結する。従局に応答権がある場合、主局は要求電文を送信することはできない。このような制御も、ホスト1のインタフェース手段1Aと複写機3の通信インタフェース11との間で行なう。
(連送処理)応答電文2でユーザデータを1電文で送信できない場合、送信権又は応答権を移行せずに連続して同種(コマンドコードが同じ)の電文を送信することができる。応答電文2を連送する場合、センスコードをモア(More)にして送信する。この時、ホスト1と複写機3は、状態移行を行わず、送信処理又は受信処理を続行する。そして、最後に必ずセンスコードがノーマルエンドの電文を送信する。コマンドモードがターミネート(Terminate)の要求電文又は応答電文はセンスコードをモアにすることはできない。
【0018】図2は定期データ送信のシーケンスを示す図である。このシーケンスは、ホスト1のインタフェース手段1Aと複写機3の通信インタフェース11との間で行われるものである。実際には、それぞれのモデム20,30を介して行われるが、その動作は省略してある。
【0019】先ず、複写機からホストの呼び出しを行なう(S1)。次に、複写機からホストに対して始業要求電文を送出する(S2)。この始業要求電文中に、複写機のパスワード等を入れ込んでおく。ホストは、この始業要求電文を受けてパスワードの確認を行なう。パスワードの確認がとれたら、ホストは複写機に対して始業電文を送出する(S3)。
【0020】複写機はこの始業電文を受けると、ホストへ要求電文2を送出し、定期送信要求を行なう(S4)。ホストは、この定期送信要求に対してOKすると、複写機に対して応答電文2を送出する(S5)。複写機はこの応答電文2を受けると、送信権を譲渡するための要求電文2をホストに送信する(S6)。この場合、複写機は送信権譲渡前に、最低限必要なデータをホスト側に転送するようにしている。
【0021】ホストはこの要求電文2を受けると、送信権を獲得する。そして、ホストから複写機に問い合わせや設定変更等の要求がある場合、複写機に対して要求電文1を送出する(S7)。複写機はこの要求電文1を受けて、データを回答する場合、応答電文1を送出する(S8,S9)。この応答電文1の送出は、データが終了するまで連送処理となる。
【0022】ホストは、複写機からの応答データを受け取ると、送信権を複写機側に譲渡するための要求電文1を送出する(S10)。これにより、複写機側に送信権が移行する。複写機は、送信権を獲得すると、ホストに対して終業要求電文を送出する(S11)。ホストは、終業要求電文を受け取ると、終業電文を複写機に送出する(S12)。複写機は、この終業電文を受けると、ホストに対して呼切断処理を行なう(S13)。なお、複写機はS10で送信権を獲得した場合、終業処理に入らないで、S1に戻りデータ送信処理を続行することもできる。
【0023】次に、システムに新たに複写機が追加設置される場合のセットアップ(SETUP)動作について説明する。図3は自動セットアップ時の動作シーケンスを示す図である。このシーケンスも、ホスト1のインタフェース手段1Aと複写機3の通信インタフェース11との間で行われる。
【0024】先ず、複写機がホストに対して呼び出しを行なう(S1)。次に、複写機はホストに対して始業要求電文が送出する(S2)。ホストは、この始業要求電文を受け取ると、ID未登録を確認し、パスワードを確認できない旨の始業電文を複写機に送信する(S3)。
【0025】複写機は、この始業電文を受け取ると、セットアップ要求のための要求電文2をホストに送信する(S4)。ホストでは、この要求電文2を受け取ると、ID等の登録を行い、応答電文2を複写機に送出する(S5)。これにより、セットアップが終了する。
【0026】次に、複写機は送信権を譲渡するための要求電文2をホストに送信する(S6)。ホストでは、この要求電文2を受けると、送信権を獲得する。次に、ホストは複写機に対して送信権を譲渡するための要求電文1を送信する(S7)。複写機側では、送信権を獲得すると、終業処理に移行する。つまり、ホストに対して終業要求電文を送出する(S8)。ホストはこの始業要求電文を受けると、複写機に対して終業電文を送出する(S9)。複写機は、これに対して呼切断を行なう(S10)。このように、このシーケンスでは、送信権が複写機側に譲渡されて処理が終了する。
【0027】なお、複写機がステップS7で送信権を獲得してから、終業処理に移行するのではなく、図2に示したようなデータ転送シーケンスに移行することもできる(複合処理)。
【0028】次に、データ転送中にエラーが発生した時の処理について説明する。
(1)受信エラー
電文チェックエラーと、伝送エラーがある。
(電文チェックエラー)電文長エラー,ヘッダエラー,状態エラー及びユーザデータエラーがある。電文長エラーは、電文長(電文区切り記号を含まない)が規定長以下の場合と、規定長以上の場合がある。規定長以下の場合には、システムの電文として認識できないため、廃棄する。規定長以上の場合には、電文長が最大電文長を超過した時に、回線を切断する。
【0029】ヘッダエラーは電文フォーマットに従わない電文を受信した場合の処理である。
電文種別不正
電文種別が規定種類以外の時、システムの電文として認識できないため、廃棄する。
コマンドコード不正
コマンドコードが規定外の場合、文法エラーとする。
センスコード不正
センスコードが規定外の要求電文を受信した時、文法エラーとする。
パラメータエラー1
パラメータがつかない電文にパラメータが付いていた場合、電文は正常扱いとし、パラメータ部分を無視する。
パラメータエラー2
パラメータが付く電文にパラメータが付いていない場合、文法エラーとする。
【0030】状態エラーは、電文フォーマットは正常であるが、状態遷移表で規定していないタイミングで電文を受信した場合である。この場合には、受信した電文は廃棄する。
【0031】次に、ユーザデータエラーについて説明する。
ユーザデータエラー1
ユーザデータがつかない電文にユーザデータが付いている場合、電文は正常扱いとし、ユーザデータの部分を無視する。
ユーザデータエラー2
ユーザデータが付く電文にユーザデータが付いていない場合、文法エラーとする。
転送フォーマットエラー
転送フォーマットが規定外の場合、文法エラーとする。
(伝送エラー)伝送コードエラー(伝送文字以外の文字を受信した場合の場合、エラー文字(伝送文字以外の文字)のみ無視する。そして、電文の受信は続行する。
【0032】次に、エラーの回復動作について説明する。
(2)各種電文受信時のエラー回復動作
始業電文受信時のエラー
複写機が始業電文受信時にエラーを検出した場合、センスコードにエラーコードをセットして終業電文を送信する。
始業要求電文受信時のエラー
ホストが始業要求電文受信時にエラーを検出した場合、センスコードにエラーコードをセットして終業電文を送信する。
終業電文受信時のエラー
複写機が終業電文受信時にエラーを検出した場合、正常時と同じ処理となる。即ち、終業電文を受信後、回線を切断する。
終業要求電文受信時のエラー
ホストが終業要求電文受信時にエラーを検出した場合、正常時と同じ処理となる。即ち、終業電文を受信後、回線を切断する。
要求電文1受信時のエラー
複写機が要求電文1受信時にエラーを検出した場合、センスコードにエラーコードをセットして応答電文1を送信する。ホストは、応答電文1にエラーコードが設定されている場合、要求電文1を再送する。リトライアウト時は、終業電文を送信する。
応答電文1受信時のエラー
ホストは応答電文1受信時にエラーを検出した場合、応答電文1受信後に要求電文1を再送する。リトライアウト時はセンスコードにエラーコードをセットして終業電文を送信する。
要求電文2受信時のエラー
ホストが要求電文2受信時にエラーを検出した場合、センスコードにエラーコードをセットして応答電文2を送信する。複写機は、応答電文2にエラーコードが設定されている場合、要求電文2を再送する。リトライアウト時は、終業要求電文を送信する。
応答電文2受信時のエラー
複写機は応答電文2受信時にエラーを検出した場合、応答電文2受信後に要求電文2を再送する。リトライアウトの場合には、センスコードにエラーコードをセットして終業要求電文を送信する。
(3)要求電文の再送とリトライアウト
○ホストの再送処理
処理により以下の手順で再送する。
手動送信…オペレータの再送指示。
自動送信…再送回数
リトライアウト時には終業する。
○複写機の再送処理
再送回数に従い再送する。リトライアウト時には終業する。
【0033】図4,図5は移動時の動作シーケンスを示す図である。図4に示すシーケンスは、既に登録されいる時には登録は受け付けない様子を示している。ステップS1〜S4までの動作は図3と同じである。ステップS4で複写機がホストに対して誤ってセットアップ要求を送出すると、ホスト側では登録済みエラーと判断する。そして、終業処理に移行する。
【0034】図5に示すシーケンスは、未登録の複写機からの定期データ送信は受け付けない様子を示している。ステップS1からS3までの動作は図2と同じである。ステップS4で複写機が定期データ送信要求を出しても(S4)、ホスト側では未登録エラーと判断する。この結果、終業処理に移行する。
【0035】図6は複写機側の通信インタフェース11のメイン動作ルーチンを示すフローチャートである。通信インタフェース11は、時刻管理サブルーチンS10→モデム制御線監視サブルーチンS20→着信監視サブルーチンS30→イベント監視サブルーチンS40→モデム初期化サブルーチンS50→データ送信サブルーチンS60→データ書換サブルーチンS70→ホスト1との通信サブルーチンS80の順に繰り返し実行している。従って、通信サブルーチンS80を終了すると、時刻管理サブルーチンS10に戻るようになっている。つまり、通信インタフェース11は、図に示すような各種処理をマルチタスクで行っている。以下、それぞのサブルーチンの動作について説明する。
【0036】図7はタイマ割込処理を示すフローチャートである。このタイマ割込は、図6のどの状態でも起こるものである。この処理は、データを受信して(S1)、タイマカウンタを更新(インクリメント)する(S2)ものである。
【0037】図8は時刻管理サブルーチンの動作を示すフローチャートである。この処理では、カレンダICのデータをNOVRAMに書き込む処理(S11)からなっている。
【0038】図9はモデム制御線監視サブルーチンの動作を示すフローチャートである。通信インタフェース11がモデム20の制御線を監視する処理を示している。先ず、制御線を監視して異常があるかどうかチェックする(S21)。異常がない場合にはそのまま終了する。異常がある場合には、その異常が復帰したかどうかチェックする(S22)。復帰した場合には、ホスト1に復帰を連絡する(S23)。復帰しない場合には、ホスト1に異常通知する(S24)。
【0039】図10は着信監視サブルーチンの動作を示すフローチャートである。先ず、データ線上にデータがあるかどうかチェックする(S31)。データがある場合には、呼が接続されているかどうかチェックする(S32)。呼が接続されている場合には、通信開始イベントを発行する(S33)。また、通信中であるかどうもチェックしており(S34)、そうでない場合には着信監視処理に入る。
【0040】図11はイベント監視サブルーチンの動作を示すフローチャートである。先ず、呼び出しイベントがあるかどうかチェックする(S41)。ある場合には、通信中でないかどうかチェックする(S42)。通信中でない場合には、通信開始イベントを発行する。なお、NOVRAMに呼び出しイベントが記憶されている場合も、ステップS42に進んで、通信中でないかどうかチェックする。
【0041】図12はモデム初期化サブルーチンの動作を示すフローチャートである。先ず、モデム初期化が必要であるかどうかチェックする(S51)。必要な場合には、モデム20の初期化を行なう(S52)。
【0042】図13はデータ送信サブルーチンの動作を示すフローチャートである。このサブルーチンは、複写機3からホスト1ヘデータを送信する場合に用いられる。先ず、送信データがあるかどうかチェックする(S61)。送信データがある場合には、データ送信を行なう(S62)。
【0043】図14はデータ書換サブルーチンの動作を示すフローチャートである。先ず、データ書換があるかどうかチェックする(S71)。ある場合には、通信インタフェース11内のデータを書き換え(S72)、次にホスト1側のデータを書き換える(S73)。
【0044】図15はホスト1との通信を行なう通信サブルーチンの動作を示すフローチャートである。先ず、受信待ちかどうかチェックする(S81)。受信待ちの場合には、受信が完了したかどうかチェックする(S82)。受信完了の場合には、データ処理を行い(S83)、送信イベントを発行する(S84)。
【0045】ステップS81において、受信待ちでない場合には、送信完了であるかどうかチェックする(S85)。送信完了である場合には、受信イベントを発行する(S86)。ステップS82において、受信完了でない場合には、タイムアウトになったかどうかチェックし(S87)、タイムアウトした場合には、回線を切断する(S88)。
【0046】上述の実施例では、モデム20,30をそれぞれ通信インタフェース11,インタフェース手段1Aとは分離したものとして説明したが、本発明はこれに限るものではなく、それぞれのインタフェース11,1A中に包含することもできる。また、前述の実施例では、画像形成装置として複写機を用いた場合を例にとったが、本発明はこれに限るものではなく、その他の種類の画像形成装置を用いることができる。
【0047】以上、詳細に説明したように、本発明によれば複写機からホストへのデータ送信の場合に、複写機側からホストを呼び出し、送信権を複写機側からホスト側に譲渡することにより、以後のシーケンスをホスト主導で行なうことにより、複写機側の負荷を軽減することができる。また、複写機を追加設置した場合等に、複写機側の設定完了時に自動セットアップを行ない、ホスト側に自動的に登録することにより、オペレータの登録処理を不要とすることができる。更に、通信時間のタイムアウト監視を行なうことにより、システムの通信効率をアップし、システムの暴走,デッドロックを防止し、サービス性の向上を図ることができる。また、各複写機毎にコピーカウント数を遠隔集計して、請求書発行を自動化することができ、不具合発生をホストに自動表示することによりサービス履歴管理を行なうことができ、販社の省力化が可能となる。
【0048】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明によれば画像形成装置の負荷を軽減すると共に、しかも新規登録時の自動セットアップを行なうことができる画像形成装置の遠隔管理システムを提供することができ、実用上の効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理ブロック図である。
【図2】本発明による定期データ送信のシーケンスを示す図である。
【図3】本発明による自動セットアップ時の動作を示すシーケンス図である。
【図4】異常時の動作シーケンスを示す図である。
【図5】異常時の動作シーケンスを示す図である。
【図6】複写機側のメイン動作ルーチンを示す図である。
【図7】タイマ割込サブルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図8】時刻管理サブルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図9】モデム制御線監視サブルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図10】着信監視サブルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図11】イベント監視サブルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図12】モデム初期化サブルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図13】データ送信サブルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図14】データ書換サブルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図15】通信サブルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図16】従来システムの構成概念図である。
【符号の説明】
1 ホストコンピュータ
1A インタフェース手段
2 通信回線
3 複写機
11 通信インタフェース
12 複写機本体
20 モデム
30 モデム
 
訂正の要旨 訂正の要旨
訂正事項a
明細書における特許請求の範囲の請求項1の記載を特許請求の範囲の減縮を目的として、
「少なくとも1以上の画像形成装置に関するデータを管理するホストコンピュータと、
前記ホストコンピュータと画像形成装置とを通信させるためのインタフェースと、
前記インタフェースを介して前記ホストコンピュータと画像形成装置とを接続する通信回線とを備え、
前記ホストコンピュータへ通信を開始要求するための開始要求信号と予め決められた電文種別をを送信し、前記開始要求信号を受信した前記ホストコンピュータからのデータ送信を要求するデータ要求信号を受信し、前記データ要求信号に基づくデータを前記ホストコンピュータへ送信する、少なくとも1以上の画像形成装置に設けられているデータ送受信手段とで構成したことを特徴とする画像形成装置の遠隔管理システム。」と訂正する。
異議決定日 2002-01-16 
出願番号 特願平5-102228
審決分類 P 1 652・ 121- ZA (H04N)
最終処分 取消  
前審関与審査官 堀井 啓明  
特許庁審判長 東 次男
特許庁審判官 江頭 信彦
佐藤 聡史
登録日 2000-08-18 
登録番号 特許第3101125号(P3101125)
権利者 コニカ株式会社
発明の名称 画像形成装置の遠隔管理システム  

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