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審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  G06F
管理番号 1059551
異議申立番号 異議2001-71649  
総通号数 31 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-02-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-06-11 
確定日 2002-03-14 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3117244号「EEPROMの制御装置」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3117244号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
特許第3117244号の請求項1に係る発明は、平成3年8月9日に特許出願され、平成12年10月6日に特許権の設定登録がなされ、その後、森山茂靖より特許異議の申立てがなされ、平成13年8月31日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成13年11月12日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
(ア)訂正事項a
本件特許請求の範囲の請求項1に係る記載に
「【請求項1】
(A)ページ単位でのデジタルデータの書き込みと、複数のページで構成されるブロック単位でのデジタルデータの消去とが可能なEEPROMにおいて、
(B)前記ブロックを構成する所定のページに対してデジタルデータの書き替えが要求された状態で、そのページを含むブロック単位のデジタルデータを書き込み可能な空き記憶領域を検索し、この空き記憶領域に、前記所定のページに対して書き替えが要求された新たなデジタルデータをページ単位で書き込むとともに、前記ブロック内の書き替えないデジタルデータをページ単位で順次書き移す制御手段を具備してなることを特徴とするEEPROMの制御装置。」
とあるのを
「【請求項1】
(A)パケットデータとこのパケットデータの管理情報であるページ単位のパケットヘッダデータとがブロック単位で書き込まれ、ページ単位でのデジタルデータの書き込みと、複数のページで構成されるブロック単位でのデジタルデータの消去とが可能なEEPROMにおいて、
(B)前記ブロックを構成する所定のページに対してデジタルデータの書き替えが要求された状態で、そのページを含むブロック単位のデジタルデータを書き込み可能な空き記憶領域を検索し、この空き記憶領域に、前記所定のページに対して書き替えが要求された新たなデジタルデータをページ単位で書き込むとともに、前記ブロック内の書き替えないデジタルデータをページ単位で順次書き移す制御手段を具備してなることを特徴とするEEPROMの制御装置。」
と訂正する。
(イ)訂正事項b
段落【0018】に
「【課題を解決するための手段】
この発明に係るEEPROMの制御装置は、ページ単位でのデジタルデータの書き込みと、複数のページで構成されるブロック単位でのデジタルデータの消去とが可能なEEPROMを対象としている。そして、ブロックを構成する所定のページに対してデジタルデータの書き替えが要求された状態で、そのページを含むブロック単位のデジタルデータを書き込み可能な空き記憶領域を検索し、この空き記憶領域に、所定のページに対して書き替えが要求された新たなデジタルデータをページ単位で書き込むとともに、ブロック内の書き替えないデジタルデータをページ単位で順次書き移す制御手段を備えるようにしたものである。」
とあるのを
「【課題を解決するための手段】
この発明に係るEEPROMの制御装置は、パケットデータとこのパケットデータの管理情報であるページ単位のパケットヘッダデータとがブロック単位で書き込まれ、ページ単位でのデジタルデータの書き込みと、複数のページで構成されるブロック単位でのデジタルデータの消去とが可能なEEPROMを対象としている。そして、ブロックを構成する所定のページに対してデジタルデータの書き替えが要求された状態で、そのページを含むブロック単位のデジタルデータを書き込み可能な空き記憶領域を検索し、この空き記憶領域に、所定のページに対して書き替えが要求された新たなデジタルデータをページ単位で書き込むとともに、ブロック内の書き替えないデジタルデータをページ単位で順次書き移す制御手段を備えるようにしたものである。」
と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張変更の有無
上記訂正事項aは、特許請求の範囲に「パケットデータとこのパケットデータの管理情報であるページ単位のパケットヘッダデータとがブロック単位で書き込まれ、」を追加することにより、特許請求の範囲を減縮することを目的とするものである。しかも、「パケットデータとこのパケットデータの管理情報であるページ単位のパケットヘッダデータとがブロック単位で書き込まれ、」については、願書に添付した明細書の段落【0014】【0032】及び第2図、第4図に記載されているから、新規事項の追加に該当しない。また、「パケットデータとこのパケットデータの管理情報であるページ単位のパケットヘッダデータとがブロック単位で書き込まれ、」は、ブロック単位で書き込むデジタルデータを下位概念化するものであって、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
上記訂正事項bは、上記訂正事項aと整合を図るために明細書を訂正するものであり、明瞭でない記載の釈明に該当する。

(3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについての判断
(1)本件発明
本件の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。
「パケットデータとこのパケットデータの管理情報であるページ単位のパケットヘッダデータとがブロック単位で書き込まれ、ページ単位でのデジタルデータの書き込みと、複数のページで構成されるブロック単位でのデジタルデータの消去とが可能なEEPROMにおいて、前記ブロックを構成する所定のページに対してデジタルデータの書き替えが要求された状態で、そのページを含むブロック単位のデジタルデータを書き込み可能な空き記憶領域を検索し、この空き記憶領域に、前記所定のページに対して書き替えが要求された新たなデジタルデータをページ単位で書き込むとともに、前記ブロック内の書き替えないデジタルデータをページ単位で順次書き移す制御手段を具備してなることを特徴とするEEPROMの制御装置。」

(2)先願に係る発明
当審における合議の結果通知した取消理由で引用した、本件の出願の日前の他の出願であって、その出願後に公開された特願平2-257374号(特開平4-137077号公報参照)の願書に最初に添付した明細書には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(ア)「技術分野 本発明は、たとえば、画像データや文字データなどのデータを記憶するためのメモリカードにおけるデータ記録方法およびメモリカードシステムに関する。
背景技術 近年、電子スチルカメラ等の画像データやワープロ等の文字データを記録する媒体として、フロッピーデイスクに代わり、半導体メモリを用いた小型なメモリカードが使用されるようになってきた。」(第2頁右上欄第10行目乃至第20行目)
(イ)「また、特別の配慮が必要である面としては、EEPROMの消去方法に一括消去型(フラッシュタイプ)と、ブロック単位との消去の2種類のタイプがあり、ブロック単位の消去ができるものではSRAMと同様に用いることができるが、フラッシュタイプを用いる場合、SRAMのようにバイト単位の書き替えが自由に行えないという問題があった。
目 的 本発明は、このような従来技術の欠点を解消して、EEPROMを用いた場合であってもメモリカードのピン数を増やす必要がなく、かつフラッシュタイプのEEPROMであってもバイト単位の書き替えを可能として、したがって従来のSRAMで構成されたメモリカードとの互換性を図ることができるメモリカードの記録方法およびメモリカードシステムを提供することを目的とする。
発明の開示 本発明に係るメモリカードの記録方法によれば、メインメモリに一括消去型のEEPROMを用いたメモリカードにおけるデータ記録方法において、メモリカード内に同一容量のEEPROMを少なくとも2つ以上備え、そのうちの少なくとも1つのEEPROMを何も書き込まれていない状態である予備メモリとしておき、前回までにデータが書き込まれた一のEEPROMにそのデータの書き換えが行われるアクセスが生じた場合、その書き換えを行うべきアドレスのメモリ内容を除く残りすべてのメモリ内容を一のEEPROMから前記予備メモリにコピーして、その際に、予備メモリとコピー元のEEPROMとの物理アドレスを交換することにより予備メモリを記憶保持メモリに変換して、かつ、コピー元のEEPROMを一括消去することにより、コピー元のEEPROMを予備メモリに変換して、その後に、データ保持メモリとなったEEPROMに、その空きアドレスに中断していたデータの書き込みを行うことにより、データの書き換えを行う。」(第2頁右下欄第11行目乃至第3頁右上欄第6行目参照)
(ウ)「この実施例におけるメモリカードは、第1図に示すように、データを記憶するためのメインメモリ部10と、このメインメモリ部10の書き込み制御、または読み出し制御を行うため制御部20とから構成されている。
メインメモリ部10は、同一容量、同一規格の複数のEEPROM(電気的に消去・書込可能な不揮発性メモリ)チップ1,2…から構成されており、そのうちの少なくとも1つのEEPROMチップはデータが何も書き込まれていない状態である予備メモリとなっている。この予備メモリのEEPROMチップは、データを保持したEEPROMにチップに上書きが生じた場合に使用される。詳しくは、上書きが生じたそのアドレスを除くメモリ内容がデータを保持したEEPROMチップから予備メモリのチップにコピーされて、予備メモリがデータ保持用のメモリとされて、その空きアドレスにデータが書き込まれる。コピー元のメモリは消去されて予備メモリとなり、メインメモリ10内に、常に1個以上の予備メモリが存在するようになっている。これらEEPROMチップ1,2…は、それぞれ一括消去型(フラッシュタイプ)のEEPROMであり、それぞれ消去信号が供給されると、記憶された内容がすべて“1”の状態となってデータが消去される。また、これらEEPROMチップ1,2…は、1バイト単位にデータの書き込みまたは読み出しが行われるようになっている。」(第3頁右下欄第10行目乃至第4頁左上欄第16行目参照)
(エ)「この実施例において、アドレス発生部24は、コネクタ22を介して入力される書き込みまたは読み出しのためのアドレスを保持するためのレジスタと、そのアドレスを除くEEPROMチップの残りのアドレスを発生するための機能を有している。詳しくは、このアドレス発生部24は、書込アドレスを外部装置から入力したときに、そのEEPROMチップの該当するアドレスに先のデータが記憶されている場合、システム制御部32からアドレス発生部24に、メインメモリ部10内にてコピーを行う旨のコピー信号CPが送出されて、このアドレス発生部24は、そのコピー信号CPを受けると、保持した書込アドレスを除く書き替えのためのアドレスを順次メインメモリ部10に送出してデータ保持したメモリと予備メモリとの書き換えを行い、書き替えが終了した後に、保持しているアドレスをメインメモリ部10に送出する機能を有している。すなわち、このアドレス発生部24は、外部装置から供給されたアドレスをメインメモリ部10へ送出する機能と、メインメモリ部10内におけるコピーのためのアドレスを発生する機能を有している。
データ制御部26は、2つのバッファメモリを有している。このデータ制御部26は、通常の書き込みの場合は、外部装置から入力したデータを第1のバッファメモリを介してメインメモリ部10へ転送して、読み出しの場合は、メインメモリ部10から読み出したデータを第2のバッファメモリを介して外部装置側に転送する。また、このデータ制御部26は、EEPROMチップに上書きが生じた場合にシステム制御部32からチップ間のコピーを行う旨のコピー信号が送出されることにより、第1のバッファメモリに外部装置から入力したデータを一時保持して、第2のバッファメモリにてEEPROM間のデータの移し換えのための作業を行い、移し換えが終了すると、第1のバッファメモリからメインメモリ部10へ保持したデータを転送する。」(第4頁右上欄第18行目乃至右下欄第13行目参照)
(オ)「また、システム制御部32は、外部装置からライト信号WRが送出されたことを判断して(210)、その書込アドレスが対象EEPROMへの上書きであると判断すると(226)、まず、BUSY信号を外部装置に送出して(246)、次いでアドレス発生部24とデータ制御部26にコピー信号CPを送出する(248)。これにより、アドレス発生部24は、外部装置より入力したアドレスを保持して(250)、データ制御部26は、外部装置から入力したデータをそのバッファメモリに保持する(252)。このとき、システム制御部32は、データ制御部26に保持されたデータの内容が“FF”すなわちオール“1”のデータか否かを判断して(254)、その内容が“FF”である場合は、メモリ管理テーブルのアドレスを“0”にセットする(256)。これにより、次にこの番地にデータを書き込む場合は、上書きではない状態で、データを書き込むことができる。また、データ制御部26に保持されたデータが“FF”でなければ、メモリ管理テーブルは“1”のままの状態で、次の処理を行う。たとえば、第2図に示すように、対象メモリを(1)のEEPROMチップとして、予備のメモリを(4)のEEPROMチップとし、(1)のEEPROMチップのX番地に上書きが生じている場合を考えると、システム制御部32は、チップセレクト制御部28に、(1)のEEPROMチップに読み出し許可信号を送出する指示と、(4)のEEPROMチップに書込許可信号を送出する指示とを選択信号SSとして送出する。これにより、(1)のEEPROMチップは、読み出し許可状態となって、(4)のEEPROMチップは、書き込み許可状態となる。一方、アドレス発生部24は、保持しているアドレスを除くコピーのためのアドレスを送出して、制御信号発生部30は、読み出しのためのタイミング信号を(1)のEEPROMに送出して、(4)のEEPROMに書き込みのためのタイミング信号を送出する。これにより、(1)のEEPROMからX番地のメモリ内容を除くデータが1バイト毎にデータ制御部に読み出されて、そのデータが(4)のEEPROMに書き込まれていき、データのコピーが予備メモリに行われる(258)。コピーが終了すると、チップセレクタ制御部28にてEEPROMチップのナンバーを入れ換える等の処理により物理的アドレスの交換が行われる(260)。次いで、システム制御部32は、制御信号発生部30に(1)のEEPROMチップの内容を消去するための消去指令OSを送出する(262)。これにより、制御信号発生部30は、消去するためのタイミング信号をメインメモリ10へ送出して、コピー元のEEPROMチップのメモリ内容を消去して、このチップが予備メモリとなる(264)。次いで、アドレス発生部24は、保持したアドレス信号をチップセレクタ制御部28およびメインメモリ部10へ送出する。また、データ制御部26は、保持していたデータをメインメモリ部10へ送出する。さらに、制御信号発生部30から書き込みのためのタイミング信号が送出されると、(4)のEEPROMチップのX番地にデータが書き込まれる(266)。次いで、システム制御部32は、外部装置へ送出しているBUSY信号を解除して、外部装置からの次の命令待ち状態となる(268)。このように、この実施例においては、1バイト毎のデータの書き込みおよび読み出しが行われ、上記各動作を繰り返すことにより、所望の量のデータの記録および再生を行うことができる。
なお、上記実施例においては、書き込みおよび読み出しさらにはメモリ管理を1バイト毎に行っていたが、ファイルのようなブロック型の情報の取り扱いがあらかじめわかっている場合は、それぞれの処理をブロック毎に行ってもよい。」(第6頁左上欄第5行目乃至右下欄第12行目参照)

上記記載から、本件の出願の日前の他の出願であって、その出願後に公開された特願平2-257374号(特開平4-137077号公報参照)の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「先願明細書等」という。)には、
バイト単位でのデータの書き込みと、一括消去とが可能な複数個のEEPROMを有し、電子スチルカメラの画像データを記録するメモリカードシステムにおいて、書込アドレスを外部装置から入力したときに、対象メモリであるEEPROMのX番地に上書きが生じている場合、対象メモリであるEEPROMからX番地のメモリ内容を除くデータを1バイト毎に予備メモリであるEEPROMに順次コピーを行うとともに、前記X番地のメモリ内容を予備メモリであるEEPROMのX番地に書き込むメモリカードシステムの発明(以下、「先願に係る発明」という。)が記載されているものと認める。

(3)本件発明と先願に係る発明の対比
先願に係る発明の「バイト単位」も、請求項1に係る発明の「ページ単位」も、どちらも、EEPROMに書き込みを行う単位であって、1ページの大きさを1バイトとするか複数バイトとするかは当業者が適宜決定すべき設計事項にすぎないから、先願に係る発明の「バイト単位」は、本件発明の「ページ単位」に相当し、
先願に係る発明の「一括消去が可能な複数個のEEPROM」は、それぞれのEEPROMをブロック単位であると見ることができるので、本件発明の「ブロック単位でのデジタルデータの消去が可能なEEPROM」に相当し、
先願に係る発明の「X番地に上書きが生じている場合」は、本件発明の「所定のページに対してデジタルデータの書き替えが要求された状態」に相当し、
先願に係る発明の予備メモリであるEEPROMが空き記憶領域となっているのは自明であるから、先願に係る発明の「対象メモリであるEEPROMからX番地のメモリ内容を除くデータを1バイト毎に予備メモリであるEEPROMに順次コピーを行う」「前記X番地のメモリ内容を予備メモリであるEEPROMのX番地に書き込む」は、それぞれ、本件発明の「前記ブロック内の書き替えないデジタルデータをページ単位で順次書き移す」「空き記憶領域に、前記所定のページに対して書き替えが要求された新たなデジタルデータをページ単位で書き込む」に相当するから、
本件発明と先願に係る発明は、どちらも、
ページ単位でのデジタルデータの書き込みと、複数のページで構成されるブロック単位でのデジタルデータの消去とが可能なEEPROMにおいて、所定のページに対してデジタルデータの書き替えが要求された状態で、空き記憶領域に、前記所定のページに対して書き替えが要求された新たなデジタルデータをページ単位で書き込むとともに、前記ブロック内の書き替えないデジタルデータをページ単位で順次書き移す制御手段を具備してなることを特徴とするEEPROMの制御装置である点で一致し、次の点で相違する。
相違点:
(A)本件発明は、パケットデータとこのパケットデータの管理情報であるページ単位のパケットヘッダデータとをブロック単位で書き込むのに対して、先願に係る発明は、画像データをどのようなフォーマットで書き込むのか不明である点。
(B)本件発明は、複数のページでブロック単位を構成し、ブロックを構成する所定のページに対してデジタルデータの書き替えが要求された状態で、そのページを含むブロック単位のデジタルデータを書き込み可能な空き記憶領域を検索するのに対して、先願に係る発明は、書き込み対象メモリであるEEPROMのX番地に上書きが生じている場合、予備メモリであるEEPROMを空き記憶領域とする点。

(4)相違点の検討
相違点(A)について:
電子スチルカメラの画像データを記憶するメモリカードにおいて、パケットデータとこのパケットデータの管理情報であるパケットヘッダデータをブロック単位で書き込むのは、特開平1-258091号公報(第6図)、特開平2-222384号公報(第3図)、特開平2-222385号公報(第3図)等に記載されているように、先願の出願時点で当業者により広く知られている周知技術である。
そして、本件発明の「ページ単位のパケットヘッダデータ」と「前記ブロックを構成する所定のページ」とは、共に大きさが「ページ」であっても相互の関連性が見出せず、前記周知技術を先願に係る発明に付加しても格別の作用効果は生じないから、上記相違点(A)は実質的な差異ではない。
相違点(B)について:
先願に係る発明の書き込み対象メモリであるEEPROMが複数の書き込み単位から構成されているのは自明であるし、書き込み単位は1バイトでも1ページでもよいから、1つのEEPROMをブロック単位であると見れば、先願に係る発明も複数のページでブロック単位を構成していると言うことができ、先願に係る発明の「X番地」「EEPROM」は、それぞれ、本件発明の「所定のページ」「そのページを含むブロック単位」に相当する。
そして、本件の発明の詳細な説明の欄には、空き記憶領域の検索について特に説明があるわけではないので、空き記憶領域の検索を、空き記憶領域がどこであるかを調べるという意味に解する。
一方、先願明細書等には、「詳しくは、上書きが生じたそのアドレスを除くメモリ内容がデータを保持したEEPROMチップから予備メモリのチップにコピーされて、予備メモリがデータ保持用のメモリとされて、その空きアドレスにデータが書き込まれる。コピー元のメモリは消去されて予備メモリとなり、メインメモリ10内に、常に1個以上の予備メモリが存在するようになっている。」「コピーが終了すると、チップセレクタ制御部28にてEEPROMチップのナンバーを入れ換える等の処理により物理的アドレスの交換が行われる(260)。」と記載されている。これらの記載事項及び技術常識を勘案すると、先願に係る発明は、コピーが終了する毎にデータ保持メモリと予備メモリのナンバーを交換するものであって、予備メモリの物理アドレスはその度変化するから、データ保持メモリから予備メモリにデータをコピーする前に、予備メモリの物理アドレスを調べる、すなわち、空き記憶領域がどこであるか調べるのは当然であるから、上記相違点(B)も実質的な差異ではない。
よって、本件発明と先願に係る発明は、実質的に同一である。

(5)むすび
以上のとおりであるから、本件発明は、先願に係る発明と同一であり、しかも、本件発明の発明者が先願に係る発明の発明者と同一であるとも、また、本件の出願時に、その出願人が上記他の出願の出願人と同一であるとも認められないので、本件発明についての特許は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものである。
したがって、本件発明についての特許は、特許法第113条第2項に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
EEPROMの制御装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 パケットデータとこのパケットデータの管理情報であるページ単位のパケットヘッダデータとがブロック単位で書き込まれ、ページ単位でのデジタルデータの書き込みと、複数のページで構成されるブロック単位でのデジタルデータの消去とが可能なEEPROMにおいて、前記ブロックを構成する所定のページに対してデジタルデータの書き替えが要求された状態で、そのページを含むブロック単位のデジタルデータを書き込み可能な空き記憶領域を検索し、この空き記憶領域に、前記所定のページに対して書き替えが要求された新たなデジタルデータをページ単位で書き込むとともに、前記ブロック内の書き替えないデジタルデータをページ単位で順次書き移す制御手段を具備してなることを特徴とするEEPROMの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、EEPROM(エレクトリカリィ・イレーサブル・アンド・プログラマブル・リード・オンリー・メモリ)の制御装置に係り、特に電子スチルカメラ装置のメモリカード等に使用して好適するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、撮影した被写体の光学像を固体撮像素子を用いて電気的な画像信号に変換し、この画像信号をデジタル画像データに変換して半導体メモリに記録する電子スチルカメラ装置が開発されている。そして、この種の電子スチルカメラ装置にあっては、半導体メモリをカード状のケースに内蔵してなるメモリカードを、カメラ本体に着脱自在となるように構成することによって、通常のカメラにおけるフィルムと等価な取り扱いができるようになされている。
【0003】
ここで、電子スチルカメラ装置のメモリカードは、現在、標準化が進められていて、内蔵される半導体メモリとしては、複数枚のデジタル画像データを記録するために大記憶容量のものが要求され、例えばSRAM(スタティック・ランダム・アクセス・メモリ),マスクROM及び電気的にデータの書き込みや消去が可能なEEPROM等が考えられており、SRAMを用いたメモリカードは既に商品化されている。
【0004】
ところで、SRAMを用いたメモリカードは、どのようなフォーマットのデータ構成にも対応することができるとともに、データの書き込みスピード及び読み出しスピードも速いという利点がある反面、書き込んだデータを保持するためのバックアップ電池をメモリカード内に収容する必要があるため、電池収容スペースを設置する分だけ記憶容量が削減されるとともに、SRAM自体のコストが高く経済的な不利を招くという問題を持っている。
【0005】
そこで、現在では、SRAMの持つ問題点を解消するために、メモリカードに用いられる半導体メモリとしてEEPROMが注目されている。このEEPROMは、磁気ディスクに代わる記録媒体として注目を浴びているもので、データ保持のためのバックアップ電池が不要であるとともに、チップ自体のコストを安くすることができる等、SRAMの持たない特有な利点を有することから、メモリカード用として使用するための開発が盛んに行なわれている。
【0006】
ここで、図3は、SRAMを用いたメモリカード(SRAMカード)とEEPROMを用いたメモリカード(EEPROMカード)との長短を比較して示している。まず、比較項目1,2のバックアップ電池及びコストについては、既に前述したように、SRAMカードはバックアップ電池が必要でありコストも高いという問題があるのに対し、EEPROMカードはバックアップ電池が不要でコストも低くすることができるという利点を有している。
【0007】
次に、比較項目3,4の書き込みスピード及び読み出しスピードについては、アドレスで任意に指定したバイトまたはビットに対して、データの書き込み及び読み出しを行なう、SRAMとEEPROMとに共通のランダムアクセスモードと、複数の連続するバイト(数百バイト)でなるページを指定することにより、ページ単位で一括してデータの書き込み及び読み出しを行なう、EEPROMに特有のページモードとに分けて考えられる。
【0008】
そして、ランダムアクセスモードおいて、SRAMは書き込みスピード及び読み出しスピードが共に速く、EEPROMは書き込みスピート及び読み出しスピードが共に遅くなっている。また、EEPROMは、ページモードにおいて、1ページ分の大量のデータを一斉に書き込み及び読み出しすることから、ランダムアクセスモードに比してデータの書き込みスピード及び読み出しスピードは速くなっている。
【0009】
さらに、比較項目5のイレース(消去)モードは、EEPROMに特有のモードであり、SRAMには存在しないモードである。すなわち、EEPROMは、既にデータの書き込まれている領域に新たにデータを書き込む場合、先に書き込まれているデータを一旦イレースしないと新たなデータを書き込むことができないため、データの書き込みを行なうに際して、このイレースモードが実行されるようになっている。そして、このイレースモードには、EEPROMの全ての記憶内容を一括して消去するチップイレースと、複数のページでなるブロック(数Kバイト)単位で記憶内容を消去するブロックイレースとがある。
【0010】
また、比較項目6の書き込みベリファイも、EEPROMに特有のモードであり、SRAMには存在しないモードである。すなわち、EEPROMは、データ書き込みを行なう場合、通常1回の書き込み動作では完全な書き込みが行なわれない。このため、EEPROMに対して1回の書き込み動作を行なう毎にEEPROMの書き込み内容を読み出し、正確に書き込まれているか否かをチェックする必要があり、これが書き込みベリファイである。
【0011】
具体的には、EEPROMに書き込みべきデータをバッファメモリに記録しておき、バッファメモリからEEPROMにデータを転送して書き込んだ後、EEPROMの書き込み内容を読み出し、バッファメモリの内容と一致しているか否かを判別している。そして、書き込みベリファイの結果、不一致(エラー)と判定された場合には、再度バッファメモリの内容をEEPROMに書き込む動作を繰り返すようにしている。
【0012】
以上の比較結果から明らかなように、EEPROMには、バックアップ電池が不要でありコストが安く、しかもページ単位のデータ書き込み及び読み出しが可能である等の、SRAMに見られない特有な利点が備えられている反面、ランダムアクセスモードにおけるデータの書き込みスピード及び読み出しスピードが遅いとともに、イレースモードや書き込みベリファイ等のようなSRAMにはないモードを必要とするという不都合もある。
【0013】
そこで、メモリカードに使用する半導体メモリとして、現在使用されているSRAMに代えてEEPROMを使用することを考えた場合、データの書き込みスピード及び読み出しスピードの問題や、イレースモード及び書き込みベリファイ等を必要とするという問題を解消し、SRAMを内蔵したメモリカードと等価な取り扱い方ができるように、つまりSRAMカードライクに使用できるように細部に渡って種々の改良を施すことが、肝要なこととなっている。
【0014】
この場合、特に問題となることは、EEPROMに対してデータの書き替えを行なう場合には、必ずイレースを行なう必要があるということと、EEPROMのデータ書き込みの最小単位が数百バイトのページであり、イレースの最小単位がページよりも大きい数Kバイトのブロック単位であるということである。すなわち、電子スチルカメラ装置のメモリカードに用いられるEEPROMには、主としてデジタル画像(音声を含む)データが記録されることになるが、このようなデータは、パケットデータと称され、図4に示すように、EEPROMの記憶領域中にブロック単位で書き込まれる。
【0015】
そして、各パケットデータには、そのパケットデータ特有の管理情報(日付けやタイトル等)である1ページのパケットヘッダデータが付加されるようになっている。このため、例えばパケットのタイトルを変えたい場合、パケットヘッダデータを一旦イレースして新たなデータに書き替えることになるが、イレースの最小単位がブロックであることから、パケットヘッダデータをイレースしようとすると、パケットヘッダデータだけでなく必要とするパケットデータまでもイレースされてしまうため、パケットヘッダデータのみの書き替えができないという問題が生じている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、EEPROMを内蔵した従来のメモリカードでは、イレースの最小単位がブロックであることから、ブロックよりも小さいページ単位でのデータの書き替えを行なうことができないという問題を有している。
【0017】
そこで、この発明は上記事情を考慮してなされたもので、ブロック単位のイレースしかできなくても、EEPROMの記憶内容をページ単位で書き替えることができるようにした極めて良好なEEPROMの制御装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るEEPROMの制御装置は、パケットデータとこのパケットデータの管理情報であるページ単位のパケットヘッダデータとがブロック単位で書き込まれ、ページ単位でのデジタルデータの書き込みと、複数のページで構成されるブロック単位でのデジタルデータの消去とが可能なEEPROMを対象としている。そして、ブロックを構成する所定のページに対してデジタルデータの書き替えが要求された状態で、そのページを含むブロック単位のデジタルデータを書き込み可能な空き記憶領域を検索し、この空き記憶領域に、所定のページに対して書き替えが要求された新たなデジタルデータをページ単位で書き込むとともに、ブロック内の書き替えないデジタルデータをページ単位で順次書き移す制御手段を備えるようにしたものである。
【0019】
【作用】
上記のような構成によれば、ブロックを構成する所定のページに対してデジタルデータの書き替えが要求された状態で、そのページを含むブロック単位のデジタルデータを書き込み可能な空き記憶領域を検索し、この空き記憶領域に、所定のページに対して書き替えが要求された新たなデジタルデータをページ単位で書き込むとともに、ブロック内の書き替えないデジタルデータをページ単位で順次書き移すようにしたので、EEPROMがブロック単位のイレースしかできなくても、ページ単位でデジタルデータを書き替えることが可能となる。また、検索した空き記憶領域に、新たなデジタルデータをページ単位で書き込むとともに、ブロック内の書き替えないデジタルデータをページ単位で順次書き移すようにしたので、例えば、新たなデジタルデータや元のブロックから読み出した書き替えないデジタルデータを、一旦バッファメモリに記憶させてから読み出して空き記憶領域に書き込むような構成をとった場合でも、バッファメモリとしては、ブロックの大きさに拘わらず、ページ単位のデジタルデータを記憶できる小容量のもので良いという利点を有する。
【0020】
【実施例】
以下、この発明を電子スチルカメラ装置に適用した場合の一実施例について図面を参照して詳細に説明する。図1において、11はメモリカード本体で、その一端部に設置されたコネクタ12を介して、図示しない電子スチルカメラ本体に接続されるようになされている。このコネクタ12には、電子スチルカメラ本体側から、メモリカード本体11に書き込むべきデジタルデータDAと、その書き込み場所を示すアドレスデータADとが供給される。これらデジタルデータDA及びアドレスデータADは、バスラインD0〜D7を介してデータ入出力制御回路13に供給されている。
【0021】
また、電子スチルカメラ本体からは、コネクタ12に対して、メモリカード本体11を選択したときH(ハイ)レベルとなるカードイネーブル信号CEと、バスラインD0〜D7に供給されたデータがアドレスデータADのときL(ロー)レベルとなりデジタルデータDAのときHレベルとなるアドレス/データ切替信号A/Dと、後述するEEPROMに対するデータ書き込み要求のときLレベルとなりデータ読み出し要求のときHレベルとなるリード/ライト切替信号R/Wと、アドレスデータADに同期したバスクロックBCKとが、供給されるようになっている。
【0022】
これらカードイネーブル信号CE,アドレス/データ切替信号A/D,リード/ライト切替信号R/W及びバスクロックBCKも、データ入出力制御回路13に供給されている。また、電子スチルカメラ本体からは、コネクタ12を介してEEPROMに対するデータのイレースを要求する命令も、データ入出力制御回路13に供給されるようになっている。また、このデータ入出力制御回路13からは、電子スチルカメラ本体からのデジタルデータDAの入力許可時にHレベルとなり、入力拒否時にLレベルとなるレディ/ビジィ切替信号RDY/BSYが発生されるようになっている。
【0023】
ここで、概略的な動作について説明すると、上記コネクタ12に供給されたデジタルデータDAは、データ入出力制御回路13の制御により、一旦バッファメモリ14に取り込まれ記録される。このときのバッファメモリ14のデジタルデータDAの取り込みタイミングは、アドレス発生回路15から出力されるアドレスデータによってコントロールされる。また、このアドレス発生回路15は、セレクタ16によって選択されたクロックCKをカウントして、バッファメモリ14へのアドレスデータを生成している。このセレクタ16には、上記バスクロックBCKとデータ入出力制御回路13から出力されるクロックYCKとが供給されるようになっている。
【0024】
そして、バッファメモリ14のデジタルデータDAの取り込み時には、セレクタ16が、データ入出力制御回路13から出力されるセレクト信号SELによってバスクロックBCKを選択し、クロックCKとしてアドレス発生回路15に導出している。このため、電子スチルカメラ本体からコネクタ12に送出されたデジタルデータDAは、バスクロックBCKに基づいて生成されるアドレスデータにしたがって、バッファメモリ14に書き込まれることになる。
【0025】
その後、データ入出力制御回路13は、バッファメモリ14に対するデジタルデータDAの書き込みが終了すると、セレクト信号SELを制御して、自己の生成するクロックYCKが、アドレス発生回路15に導出されるようにセレクタ16を切り替える。このため、クロックYCKに基づいてアドレス発生回路15で生成されるアドレスデータによって、バッファメモリ14からデジタルデータDAが読み出される。
【0026】
このとき、データ入出力制御回路13は、EEPROM17に対してチップイネーブル信号CEN及びライトイネーブル信号WEを出力するとともに、アドレスデータADを出力し、バッファメモリ14から読み出されたデジタルデータDAを、EEPROM17にページ単位で書き込むように制御する。そして、EEPROM17にデジタルデータDAが書き込まれた状態で、データ入出力制御回路13は、EEPROM17に対して、アウトイネーブルデータOE及び先にデータの書き込みを指定したアドレスデータADを出力して、EEPROM17から書き込んだデジタルデータDAを読み出させ、バッファメモリ14に記録されたデジタルデータDAと一致しているか否かを判別する、書き込みベリファイを実行する。
【0027】
そして、EEPROM17から読み出したデジタルデータDAと、バッファメモリ14に記録されたデジタルデータDAとが一致していないと、データ入出力制御回路13は、再度、バッファメモリ14からEEPROM17にデジタルデータDAを転送して書き込みを行ない、この動作が、EEPROM17から読み出したデジタルデータDAと、バッファメモリ14に記録されたデジタルデータDAとが完全に一致するまで繰り返され、ここにデジタルデータDAのEEPROM17への書き込みが行なわれる。
【0028】
また、電子スチルカメラ本体からEEPROM17に記録されたデータをイレースする命令が発生されると、データ入出力制御回路13は、その消去命令に基づいて消去回路18を駆動する。この消去回路18は、データ入出力制御回路13の制御に基づいて、EEPROM17のアドレスライン及びデータラインに消去用の信号を出力することにより、EEPROM17を電気的にチップイレースまたはブロックイレースする。
【0029】
次に、EEPROM17から、デジタルデータDAをメモリカード本体11の外部に読み出す動作について説明する。まず、電子スチルカメラ本体側からコネクタ12を介して読み出し要求と読み出すべきデータの記録されたアドレスが指定される。すると、データ入出力制御回路13は、EEPROM17に対してチップイネーブル信号CEN,アウトイネーブルデータOE及びアドレスデータADを出力し、EEPROM17からページ単位でデジタルデータDAを読み出すとともに、自己の生成するクロックYCKがアドレス発生回路15に導出されるようにセレクタ16を切り替え、バッファメモリ13に書き込ませる。
【0030】
その後、データ入出力制御回路13は、コネクタ12を介して電子スチルカメラ本体側から供給されるバスクロックBCKが、アドレス発生回路15に導出されるようにセレクタ16を切り替え、バスクロックBCKに基づいてアドレス発生回路15で発生されるアドレスデータで、バッファメモリ14からデータを読み出し、コネクタ12を介して電子スチルカメラ本体に導出させ、ここにデジタルデータDAの読み出しが行なわれる。
【0031】
したがって、上記のような構成によれば、電子スチルカメラ本体とメモリカード本体11との間におけるデータ転送は、必ずバッファメモリ14を介して行なわれるので、データの書き込みスピード及び読み出しスピードも向上し、SRAMカードライクに使用することができるようになる。また、EEPROM17に特有の書き込みベリファイも、メモリカード本体11の内部に設けられたバッファメモリ14を用いて行なうようにしているので、メモリカード本体11の取り扱いとしては、全くSARMカードライクに使用することができる。
【0032】
ここで、図2に示すように、EEPROM17は、複数(図示の場合は2つ)のチップ17a,17bから構成されており、EEPROMチップ17bにパケットヘッダデータ書替用記憶領域が設定されている。そして、今、EEPROMチップ17aの所定のパケットに対してそのパケットヘッダデータの書き替えが要求されると、まず、データ入出力制御回路13は、EEPROMチップ17bのパケットヘッダデータ書替用記憶領域中から、1ブロック分の空き領域を検索する。
【0033】
そして、データ入出力制御回路13は、EEPROMチップ17bの検索した空き領域に、電子スチルカメラ本体から出力される新たなパケットヘッダデータをページ単位で書き込み、この新パケットヘッダデータの書き込み終了後、EEPROMチップ17aのパケットデータをEEPROMチップ17bに先に書き込んだ新パケットヘッダデータに続けてページ単位で書き移すように動作する。その後、EEPROMチップ17aの書き移されたパケットデータは、データ入出力制御回路13の制御によってブロックイレースされ、新たなパケットヘッダデータ書替用記憶領域として保存される。
【0034】
したがって、上記実施例のような構成によれば、パケットヘッダデータの書き替えが要求された状態で、EEPROMチップ17bのパケットヘッダデータ書替用記憶領域中から1ブロック分の空き領域を検索し、この空き領域に新たなパケットヘッダデータをページ単位で書き込んだ後、EEPROMチップ17aのパケットデータをEEPROMチップ17bに先に書き込んだ新パケットヘッダデータに続けてページ単位で書き移すようにしたので、EEPROM17がブロック単位のイレースしかできなくても、ページ単位のパケットヘッダデータを書き替えるとが可能となる。なお、この発明は上記実施例に限定されるものではなく、この外その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0035】
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明によれば、ブロック単位のイレースしかできなくても、EEPROMの記憶内容をページ単位で書き替えることができるようにした極めて良好なEEPROMの制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
この発明に係るEEPROMの制御装置の一実施例を示すブロック構成図。
【図2】
同実施例の動作を説明するために示す図。
【図3】
SRAMとEEPROMとの長短を比較して示す図。
【図4】
EEPROM上における記録フォーマットを説明するために示す図。
【符号の説明】
11…メモリカード本体、12…コネクタ、13…データ入出力制御回路、14…バッファメモリ、15…アドレス発生回路、16…セレクタ、17…EEPROM、18…消去回路。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許第3117244号明細書を以下のとおり訂正する。
(1)訂正事項a
本件特許請求の範囲の請求項1に係る記載に
「【請求項1】
(A)ページ単位でのデジタルデータの書き込みと、複数のページで構成されるブロック単位でのデジタルデータの消去とが可能なEEPROMにおいて、
(B)前記ブロックを構成する所定のページに対してデジタルデータの書き替えが要求された状態で、そのページを含むブロック単位のデジタルデータを書き込み可能な空き記憶領域を検索し、この空き記憶領域に、前記所定のページに対して書き替えが要求された新たなデジタルデータをページ単位で書き込むとともに、前記ブロック内の書き替えないデジタルデータをページ単位で順次書き移す制御手段を具備してなることを特徴とするEEPROMの制御装置。」
とあるのを
「【請求項1】
(A)パケットデータとこのパケットデータの管理情報であるページ単位のパケットヘッダデータとがブロックで単位で書き込まれ、ページ単位でのデジタルデータの書き込みと、複数のページで構成されるブロック単位でのデジタルデータの消去とが可能なEEPROMにおいて、
(B)前記ブロックを構成する所定のページに対してデジタルデータの書き替えが要求された状態で、そのページを含むブロック単位のデジタルデータを書き込み可能な空き記憶領域を検索し、この空き記憶領域に、前記所定のページに対して書き替えが要求された新たなデジタルデータをページ単位で書き込むとともに、前記ブロック内の書き替えないデジタルデータをページ単位で順次書き移す制御手段を具備してなることを特徴とするEEPROMの制御装置。」
と訂正する。
(2)訂正事項b
段落【0018】に
「【課題を解決するための手段】
この発明に係るEEPROMの制御装置は、ページ単位でのデジタルデータの書き込みと、複数のページで構成されるブロック単位でのデジタルデータの消去とが可能なEEPROMを対象としている。そして、ブロックを構成する所定のページに対してデジタルデータの書き替えが要求された状態で、そのページを含むブロック単位のデジタルデータを書き込み可能な空き記憶領域を検索し、この空き記憶領域に、所定のページに対して書き替えが要求された新たなデジタルデータをページ単位で書き込むとともに、ブロック内の書き替えないデジタルデータをページ単位で順次書き移す制御手段を備えるようにしたものである。」
とあるのを
「【課題を解決するための手段】
この発明に係るEEPROMの制御装置は、パケットデータとこのパケットデータの管理情報であるページ単位のパケットヘッダデータとがブロック単位で書き込まれ、ページ単位のデジタルデータの書き込みと、複数のページで構成されるブロック単位でのデジタルデータの消去とが可能なEEPROMを対象としている。そして、ブロックを構成する所定のページに対してデジタルデータの書き替えが要求された状態で、そのページを含むブロック単位のデジタルデータを書き込み可能な空き記憶領域を検索し、この空き記憶領域に、所定のページに対して書き替えが要求された新たなデジタルデータをページ単位で書き込むとともに、ブロック内の書き替えないデジタルデータをページ単位で順次書き移す制御手段を備えるようにしたものである。」
と訂正する。
異議決定日 2002-01-22 
出願番号 特願平3-200311
審決分類 P 1 651・ 161- ZA (G06F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 漆原 孝治  
特許庁審判長 馬場 清
特許庁審判官 大橋 隆夫
堀田 和義
登録日 2000-10-06 
登録番号 特許第3117244号(P3117244)
権利者 東芝デジタルメディアエンジニアリング株式会社 株式会社東芝
発明の名称 EEPROMの制御装置  
代理人 坪井 淳  
代理人 橋本 良郎  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 村松 貞男  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 橋本 良郎  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 橋本 良郎  
代理人 村松 貞男  
代理人 坪井 淳  
代理人 坪井 淳  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 村松 貞男  

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