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審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  G03G
審判 全部申し立て 特39条先願  G03G
管理番号 1059643
異議申立番号 異議2002-70707  
総通号数 31 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-08-19 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-03-18 
確定日 2002-06-24 
異議申立件数
事件の表示 特許第3210753号「電子写真用転写紙及びその製造方法」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3210753号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 1.本件発明
本件特許第3210753号(平成5年2月4日出願、平成13年7月13日設定登録)の請求項1ないし4に係る発明は、特許明細書の記載からみて、その請求項1ないし4に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】 主として木材パルプよりなる電子写真用転写紙において、該電子写真用転写紙が、パルプに対して、填料としてカオリンが3〜20重量%、内添サイズ剤としてアニオン性の中性ロジンサイズ剤を0.1〜1.2重量%並びにサイズ発現剤として水溶性アルミニウム塩を0.8〜3.0重量%含有するものであり、且つ該転写紙の冷水抽出pHが7.0以上であることを特徴とする電子写真用転写紙。
【請求項2】 電子写真用転写紙が、古紙パルプを含有してなることを特徴とする請求項1記載の電子写真用転写紙。
【請求項3】 主として木材パルプよりなる電子写真用転写紙の製造方法において、パルプに対して、填料としてカオリンが3〜20重量%、内添サイズ剤としてアニオン性の中性ロジンサイズ剤を0.1〜1.2重量%並びにサイズ発現剤として水溶性アルミニウム塩を0.8〜3.0重量%含有するパルプスラリーを調整し、該パルプスラリーとアルカリ性塩との混合物を用いて抄造するか、又は該パルプスラリー或は該混合物を用いて原紙を抄造してのち該原紙上にアルカリ性塩をサイズプレスにより塗抹して該電子写真用転写紙を製造し、該転写紙の冷水抽出pHを7.0以上にすることを特徴とする電子写真用転写紙の製造方法。
【請求項4】 アルカリ性塩が、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、又はアルカリ金属の炭酸水素塩から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項3記載の電子写真用転写紙の製造方法。」

2.申立て理由の概要
特許異議申立人 白井雅恵は、証拠として、
甲第1号証 特願平4-181195号(特開平6-73692号公報参照、以下、「先願1」という。)、
甲第2号証 紙パ技協誌第46巻第12号、第1497〜1507頁、1992年12月1日発行、
甲第3号証 紙パルプ技術タイムス 臨時増刊号 第37巻第11号、第158頁、1994年9月10日発行、
甲第4号証 製紙薬品一覧表 荒川化学工業株式会社、1994年10月発行、
甲第5号証 「サイズパイン」荒川化学工業株式会社のパンフレット、
甲第6号証 特開昭57-128346号公報、及び
甲第7号証 特願平4-251421号(特許第3198166号明細書参照、以下、「先願2」という。)を提示し、
(1)本件請求項1ないし4に係る発明は、先願1(甲第1号証)の出願当初の明細書(以下、「先願1の明細書」という。)に記載された発明であるから、当該発明に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり(理由1)、また、
(2)本件請求項1ないし4に係る発明は、先願2(甲第7号証)の発明と同一の発明であるから、当該発明に係る特許は、特許法第39条第1項の規定に違反してされたものであり(理由2)、
同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである旨主張している。

3.甲号各証の記載事項
先願1の明細書(甲第1号証、特開平6-73692号公報参照)には、以下の事項が記載されている。
(1a)「【請求項1】少なくとも一種の填料、並びに、硫酸アルミニウム、疎水化変性ロジンエマルジョン系サイズ剤及び水溶性アルカリ性塩を含む抄紙用パルプスラリーを以て抄紙するに際し、塗工を施された紙であって、
前記少なくとも一種の填料は水に対して10重量%分散させたときの分散液のpHが4〜8であり、前記抄紙用パルプスラリーはそのpHを6.5〜7.5に調整され、前記塗工は25℃の水溶液におけるpKaが5〜14の酸のアルカリ金属塩を塗工することによってなされ、かつ、前記塗工された紙の冷水抽出pHが7.5〜9.0であることを特徴とする紙。
【請求項2】間接静電複写用転写用紙として使用される請求項1記載の紙。」(特許請求の範囲)
(1b)「本発明の目的は、硫酸アルミニウムを使用したサイズ法であるにもかかわらず、紙の劣化を防止し、しかも操業性に優れた紙及びその製造方法を提供することにある。」(【0005】)
(1c)「疎水化変性ロジンエマルジョン系サイズ剤は、荒川化学工業株式会社より市場に供給されている商標『サイズパインNTS』等で知られているものであり、紙パルプ技術タイムス1992年1月号に詳しく記載されている。」(【0010】)
(1d)「上記填料としては、例えば、カオリナイト、イライト、二酸化チタン、プラスチックピグメント等又はこれらの2種以上の混合物を挙げることができるが、分散時の液のpHが4〜8とすることができる範囲内であれば、他の填料を併用して使用することもできる。また、pHが4以下、若しくは8以上の填料であっても填料に表面処理又はコーティングによって分散時の液のpHを4〜8に調整することができるものであれば、これを使用することもできる。本発明においては、操業性の観点から特にカオリナイト、イライト又は二酸化チタンを使用することが好ましい。なお、填料は通常、紙中に3〜30重量%添加される。」(【0012】)
(1e)「本発明でサイズ剤として使用される疎水化変性ロジンエマルジョン系サイズ剤は、通常の抄紙用薬品として用いられるものであり、その添加量は0.05〜0.7%が適当である。」(【0013】)
(1f)「本発明では、操業性の観点から硫酸アルミニウムが使用される。硫酸アルミニウムの使用量としては、0.1〜5.0%であり、好ましくは、0.5〜3.0%である。硫酸アルミニウムを使用した酸性抄紙用のパルプスラリーはpH4〜5になるため、パルプスラリーのpHを、水溶性アルカリ性塩により、6.5〜7.5に調整する。水溶性アルカリ性塩としては、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等の水酸化物、ケイ酸ナトリウム等のケイ酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩並びに炭酸水素塩、リン酸ナトリウム及びリン酸水素二ナトリウム等のリン酸塩並びにリン酸水素塩がある。水溶性アルカリ性塩の添加量としては、抄紙用パルプスラリーのpHが6.5〜7.5になる範囲で適当に加減することができるが、0.01〜5.0%が適当である。
本発明に用いられるパルプは劣化防止という観点から化学パルプを主な対象としているが、再生パルプや機械パルプを用いた場合でも相対的に劣化の少ない紙が得られる。」(【0014】)
(1g)「【発明の効果】 以上詳述したように、本発明の紙は、硫酸アルミニウムを使用したサイズ法であるにも拘わらず、填料の10重量%分散時の液のpHが4〜8であり、これを用いた抄紙用パルプスラリーのpHが6.5〜7.5に調整されて抄紙するのに際し、25℃水溶液におけるpKa5〜14の酸のアルカリ金属塩を塗工し、紙の冷水抽出pHが7.5〜9.0に調整されているため、サイズの発現、紙の劣化防止に優れ、しかも操業性にすぐれた紙である。本発明では抄紙スラリーを中性付近にしておき、シートが形成された後に抄紙工程の途中でサイズプレス等によりシートの表面層のみを微アルカリ性にし、紙の劣化を防止するものである。紙の劣化には光による影響が大きいが、紙の表面層の対策で十分な効果が得られるものである。」(【0019】)
(1h)「実施例1 LBKP(c.s.f.390ml)80重量部、カオリナイト(10重量%分散時のpHが4.9)20重量部、硫酸アルミニウム1.5%、疎水化変性ロジンエマルジョン系サイズ剤(サイズパインNTS、荒川化学工業株式会社製)0.3%、水酸化ナトリウム0.3%で抄紙用パルプスラリーを調製した。このpHは6.6であった。この抄紙用パルプスラリーを抄紙し、64.0g/m2 の上質紙を製造するに際に、サイズプレスにより炭酸ナトリウム(pKa10.33)の0.3%水溶液を塗工した。このときの炭酸ナトリウムの塗工量は0.2g/m2 であり、また、冷水抽出pHは7.9であった。この上質紙のステキヒトサイズ度、フェードメーターでの処理後の黄変度及び耐折強度を表1に示した。抄紙時のドライヤーの汚れ等の操業性は問題なかった。」(【0021】)

甲第2号証には、以下の事項が記載されている。
(2a)「当社はこれらの中性からアルカリ性に対する要望に対し、ロジンを特殊疎水化変性した新規ロジン系中性サイズ剤「サイズパインNTシリーズ」を開発した。」(第1501頁左欄第11〜13行)
(2b)「サイズパインNTシリーズには抄紙pH6〜7で特に優れた効果を発揮する様に設計したNT-70と、抄紙pH7〜8の炭カル抄紙用に開発したNT-80がある。」(第1501頁右欄第20〜22行)

甲第3号証の第158頁の表中には、サイズ剤の銘柄とその主要特性(特にイオン性)が記載されており、サイズパインNT71-45はカチオン性であること、また、サイズパインNT-72及びサイズパインNT-80はアニオン性であることが記載されている。

甲第4号証には、内添用サイズ剤であるサイズパインNT-72及びサイズパインNT-80のイオン性の項は、「-」と記載されている。

甲第5号証には、「サイズパイン NT-70シリーズ NT-80シリーズ ロジン系中性サイズ」の記載があり、また、サイズパインNT-76及びサイズパインNT-85のイオン性はアニオン性であることが記載されている。
甲第6号証には、以下の事項が記載されている。
(2f)「脱墨古紙パルプを30%以上配合した紙に、導電剤を含有させることを特徴とする電子複写用及びフォーム用紙。」(特許請求の範囲)

先願2(甲第7号証)の請求項1〜4に係る発明は次のとおりである。
「【請求項1】内添サイズ剤として中性ロジンサイズ剤を含有し、シート坪量に対するサイズプレス液の吸液量の比(以下、吸液係数と表示)が0.47以上、且つコッブサイズ度が13±2g/m2 であることを特徴とする転写用シート。
【請求項2】サイズプレス液が分子量200〜330万のポリアクリルアミド系樹脂水溶液を主体としたことを特徴とする請求項1記載の転写用シート。
【請求項3】サイズプレス液にアルカリ性塩を配合したことを特徴とする請求項2記載の転写用シート。
【請求項4】シートが、古紙パルプを含有してなることを特徴とする請求項1記載の転写用シート。」(特許請求の範囲)に関する発明が記載されている。

4.対比・判断
4-1.請求項1に係る発明について
4-1-1.理由1について
本件請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という。)と、先願1の明細書に記載された発明とを対比すると、先願1の「間接静電複写用転写用紙」、「化学パルプ」は、本件発明1の「電子写真用転写紙」、「木材パルプ」に相当するから、両者は、「主として木材パルプよりなる電子写真用転写紙において、電子写真用転写紙が、填料、及び内添サイズ剤として中性ロジンサイズ剤をパルプに対して0.1〜0.7重量%、サイズ発現剤として水溶性アルミニウム塩をパルプに対して0.8〜3.0重量%含有し、且つ転写紙の冷水抽出pHが7.0以上である、電子写真用転写紙」の点で一致し、次の点で相違する。
(イ).本件発明1は、填料としてカオリンをパルプに対して3〜20重量%含有するとしているのに対し、先願1の明細書に記載の発明は、水に対して10重量%分散させたときの分散液のpHが4〜8となる少なくとも一種の填料を3〜30重量%(パルプに対しては約3〜43%)としている点。
(ロ).本件発明1は、内添サイズ剤としてアニオン性の中性ロジンサイズ剤をパルプに対して0.1〜1.2重量%含有する、としているのに対し、先願1の明細書に記載の発明は、疎水化変性ロジンエマルジョン系サイズ剤を、その添加量は0.05〜0.7%とし、一方、そのイオン性については特に規定されてはいない点。
以下、相違点について検討する。
近年、紙の保存性の向上等を目的として、電子写真用転写紙に中性サイズ剤(アルキルケテンダイマー、アルケニル琥珀酸等)を使用することが知られているが、サイズ剤の添加量を増すと、紙の表面エネルギーが低下し、トナーの定着性が悪化、また、紙の摩擦係数が低下し、紙が滑りやすくなり複写機で重送が発生する等の問題を生じる(段落番号0002〜0004等参照)。本件発明は、これらを解決することを目的として、本件の請求項に記載した構成、すなわち、ロジンサイズ剤とサイズ発現剤として水溶性アルミニウム塩(例えば硫酸アルミニウム)を用いるものにおいて、特に、ロジンサイズ剤として、アニオン性の中性ロジンサイズ剤を、また、填料として、パルプに対して3〜20重量%のカオリンを転写紙に含有するものである。
これに対して、先願1の明細書に記載の発明は、「硫酸アルミニウムを使用したサイズ法であるにもかかわらず、紙の劣化を防止し、しかも操業性に優れた紙及びその製造方法を提供すること」(上記(1b)参照)を目的とするものであり、先願1の明細書に記載された紙が、電子写真(間接静電複写)用転写紙として用いられることも記載されている(上記(1a)参照)が、電子写真用転写紙に用いた場合の「トナーの定着性あるいは、複写機での重送」に関する目的効果については、記載も示唆もされていない。
すなわち、先願1の明細書には、水に対して10重量%分散させたときの分散液のpHが4〜8である填料の好ましいものとして、カオリナイト(カオリンと同じ)、イライト、二酸化チタンを例示すると共に、その使用量は3〜30重量%(パルプに対して約3〜43重量%)と記載され、また、カオリンを用いた実施例1も記載されているが、カオリンの使用量は、パルプに対して25重量%と、本件発明1で規定している3〜20重量%の範囲外ではあるし、実施例で用いられているロジンサイズ剤のイオン性も不明である。
また、実施例で評価しているのは、ステキヒトサイズ度以外は、黄変度、耐折強度、操業性であって、本件の課題とするトナー定着性、走行性、ないしはそれらに関連する用紙の摩擦係数等についての評価は行っていない。
そして、先願1の明細書には、他に、填料としてカオリンをパルプに対して3〜20重量%、且つ内添サイズ剤として、アニオン性の中性ロジンサイズ剤を選択して使用することを示唆する記載もないし、また、これら構成と、請求項1に記載された他の構成とを組み合わせることで、電子写真用転写紙として用いた場合に、トナー定着性がよく、また走行性に優れる等の、本件発明1が奏する作用効果(特に本件の実施例、及び、サイズ剤のイオン性がカチオン性及び酸性ものを用いた比較例4、5、カオリンの使用割合が、甲第1号証の実施例1と同じである比較例7等参照)について、記載も示唆もされていない。
また、甲第2〜5号証には、ロジンを特殊疎水化変性したロジン系中性サイズ剤「サイズパインNTシリーズ」に関する記載があり、また、甲第6号証には、古紙パルプを配合した紙を電子複写用紙(電子写真用転写紙)として使用する旨の記載はあるが、いずれも上記相違点(イ)、(ロ)についての記載はない。
してみると、甲第2〜6号証の記載を参酌しても、本件発明1が、先願1の明細書に記載された発明と同一の発明であるとすることはできない。

4-1-2.理由2について
本件発明1と先願2の請求項1に係る発明(以下、「先願2の発明1」という。)とを比較すると、先願2の発明1の「転写用シート」は、本件発明1の「電子写真用転写紙」に相当するから、両者は、「内添サイズ剤として中性ロジンサイズ剤を含有する電子写真用転写紙」である点で一致する。しかしながら、先願2の発明1は、「シート坪量に対するサイズプレス液の吸液量の比(以下、吸液係数と表示)が0.47以上、且つコッブサイズ度が13±2g/m2 である」と、「サイズプレス液の吸液量の比」及び「コッブサイズ度」に注目しているのに対し、本件発明1は、「パルプに対して、填料としてカオリンが3〜20重量%、内添サイズ剤としてアニオン性の中性ロジンサイズ剤を0.1〜1.2重量%並びにサイズ発現剤として水溶性アルミニウム塩を0.8〜3.0重量%含有するものであり、且つ該転写紙の冷水抽出pHが7.0以上である」と、「サイズに用いる填料、サイズ剤等の種類及び使用量」及び「転写紙の冷水抽出pH」に注目していて、両者は、発明の技術的思想が全く相違している。
また、先願2の請求項2及び4に係る発明は、先願2の請求項1を引用して記載し、請求項3に係る発明は、請求項2を引用して記載し、更に「サイズプレス液が分子量200〜330万のポリアクリルアミド系樹脂水溶液を主体としたこと」(請求項2)、「サイズプレス液にアルカリ性塩を配合したこと」(請求項3)、「シートが古紙パルプを含有してなること」(請求項4)を特定するものであるから、本件発明1と先願2の請求項2〜4に係る発明とは、本件発明1と先願2の発明1と同様に、発明の技術的思想が全く相違している。
したがって、本件発明1が先願2の請求項1〜4に係る発明と同一の発明であるとすることはできない。

4-2.請求項2に係る発明について
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明を全て引用して記載し、更に「古紙パルプを含有してなる」と限定するものであるから、上記請求項1に係る発明についての判断と同様の理由により、先願1(甲第1証)の明細書に記載された発明と同一の発明であるとも、先願2(甲第7証)の発明と同一の発明であるともすることはできない。

4-3.請求項3に係る発明について
請求項3に係る発明は、電子写真用転写紙の製造方法に関するものであるが、請求項1に係る発明の電子写真用転写紙の構成を全て有し、更に、「パルプスラリーを調製し、該パルプスラリーとアルカリ性塩との混合物を用いて抄造するか、又は該パルプスラリー或いは混合物を用いて原紙を抄造した後原紙上にアルカリ性塩をサイズプレスにより塗抹して電子写真用転写紙を製造する」とするものであるから、上記請求項1に係る発明についての判断と同様の理由により、先願1(甲第1証)の明細書に記載された発明と同一の発明であるとも、先願2(甲第7証)の発明と同一の発明であるともすることはできない。

4-4.請求項4に係る発明について
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明を全て引用して記載し、更に「アルカリ性塩が、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、又はアルカリ金属の炭酸水素塩から選ばれる1種」と限定するものであるから、上記請求項3に係る発明についての判断と同様の理由により、先願1(甲第1証)の明細書に記載された発明と同一の発明であるとも、先願2(甲第7証)の発明と同一の発明であるともすることはできない。

5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件請求項1ないし4に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし4に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件請求項1ないし4に係る発明の特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対して付与されたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2002-06-03 
出願番号 特願平5-17497
審決分類 P 1 651・ 4- Y (G03G)
P 1 651・ 161- Y (G03G)
最終処分 維持  
特許庁審判長 嶋矢 督
特許庁審判官 六車 江一
阿久津 弘
登録日 2001-07-13 
登録番号 特許第3210753号(P3210753)
権利者 三菱製紙株式会社
発明の名称 電子写真用転写紙及びその製造方法  

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