ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 訂正 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降) 訂正する H05K |
---|---|
管理番号 | 1060247 |
審判番号 | 訂正2002-39030 |
総通号数 | 32 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1992-07-15 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2002-02-05 |
確定日 | 2002-03-28 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3074728号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第3074728号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
1. 請求の要旨 本件審判請求の要旨は、特許第3074728号発明(平成2年11月26日特許出願、平成12年6月9日設定登録)の明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、下記(1)〜(3)のとおり訂正することを求めるものである。 (1) 特許請求の範囲の請求項1の「充填後に前記ビア導体の乾燥を行っ た後に、」とあるのを『充填後に前記フィルムを貼り付けたまま前記 ビア導体の加熱乾燥を行った後に、』と訂正する。 (2) 特許請求の範囲の請求項2の「充填後に前記ビア導体の乾燥を行っ た後、」とあるのを『充填後に前記フィルムを貼り付けたまま前記ビ ア導体の加熱乾燥を行った後に、』と訂正する。 (3) 特許請求の範囲の請求項2の「その形成した配線パターンを乾燥し 、」とあるのを『前記フィルムを貼り付けたままその形成した配線パ ターンを加熱乾燥し、』と訂正する。 2. 当審の判断 そこで、これらの訂正事項について検討する。 [訂正の目的の適否、新規事項の有無、拡張・変更の存否について] 前記(1)の訂正は、請求項1に係る発明におけるビア導体の乾燥工程が「加熱乾燥」であることを明記したものである。これは、ビア導体の乾燥工程をより下位概念である「加熱乾燥」に限定するものであるから、特許法第126条第1項第1号の特許請求の範囲の減縮に相当するものである。また、この限定は、特許公報第2頁右欄第25行目から第29行目に「しかし、本実施例のセラミック配線基板の製造方法に於いては、グリーンシートとプラスチックフィルムに2回の熱履歴が加わる。それは、ビア孔に充填した導体の乾燥とグリーンシートに配線印刷した導体の乾燥であり、その乾燥条件は例えば80〜100℃で約10分である。」と記載されているように、導体の乾燥が加熱乾燥であることが明らかであることから、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内のものである。さらに、この限定は、乾燥工程をより下位概念化するものであるから、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 前記(2)の訂正は、請求項2に係る発明におけるビア導体の乾燥工程が「加熱乾燥」であることを明記したものである。これは、ビア導体の乾燥工程をより下位概念である「加熱乾燥」に限定するものであるから、特許法第126条第1項第1号の特許請求の範囲の減縮に相当するものである。なお、「行った後に、」とする訂正は、特許請求の範囲の請求項1の記載との整合性を図るためのものであり、特許法第126条第1項第2号の誤記の訂正に相当するものである。また、この限定は、特許公報第2頁右欄第25行目から第29行目に「しかし、本実施例のセラミック配線基板の製造方法に於いては、グリーンシートとプラスチックフィルムに2回の熱履歴が加わる。それは、ビア孔に充填した導体の乾燥とグリーンシートに配線印刷した導体の乾燥であり、その乾燥条件は例えば80〜100℃で約10分である。」と記載されているように、導体の乾燥工程が加熱乾燥であることが明らかであることから、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内のものである。さらに、この限定は、乾燥工程をより下位概念化するものであるから、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 前記(3)の訂正は、請求項2に係る発明における配線パターンの乾燥工程が「加熱乾燥」であることを明記したものである。これは、配線パターンの乾燥工程をより下位概念である「加熱乾燥」に限定するものであるから、特許法第126条第1項第1号の特許請求の範囲の減縮に相当するものである。また、この限定は、特許公報第2頁右欄第25行目から第29行目に「しかし、本実施例のセラミック配線基板の製造方法に於いては、グリーンシートとプラスチックフィルムに2回の熱履歴が加わる。それは、ビア孔に充填した導体の乾燥とグリーンシートに配線印刷した導体の乾燥であり、その乾燥条件は例えば80〜100℃で約10分である。」と記載されているように、配線パターンの乾燥が加熱乾燥であることが明らかであることから、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内のものである。さらに、この限定は、乾燥工程をより下位概念化するものであるから、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 [独立特許要件について] 訂正後の本件請求項1及び請求項2に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された次のとおりのものである。 【請求項1】 表面にフィルムが配置されたグリーンシートを、前記フィルム側よりレーザー光を用いてビア孔を形成し、そのフィルム側よりビア導体を前記ビア孔に充填し、充填後に前記フィルムを貼り付けたまま前記ビア導体の加熱乾燥を行った後に、前記フィルムをグリーンシートより剥離し、焼成するようにしたセラミック配線基板の製造方法であって、前記フィルムは、100℃以上の熱処理を施した低収縮PETフィルム,ポリフェニレンサルファイドフィルム,ポリエーテルイミドフィルム,ポリエーテルサルホンフィルム,ポリエーテルケトンフィルムのいずれかよりなることを特徴とするセラミック配線基板の製造方法。 (以下、本件第1発明という) 【請求項2】 表面にフィルムが配置されたグリーンシートを、前記フィルム側よりレーザー光を用いてビア孔を形成し、そのフィルム側よりビア導体を前記ビア孔に充填し、充填後に前記フィルムを貼り付けたまま前記ビア導体の加熱乾燥を行った後に、グリーンシート面上に所定の配線パターンを形成し、前記フィルムを貼り付けたままその形成した配線パターンを加熱乾燥し、然る後に前記フィルムを剥離したグリーンシートを積層し、焼成するようにしたセラミック配線基板の製造方法であって、前記フィルムは、100℃以上の熱処理を施した低収縮PETフィルム,ポリフェニレンサルフアイドフィルム,ポリエーテルイミドフィルム,ポリエーテルサルホンフィルム,ポリエテールケトンフィルムのいずれかよりなることを特徴とするセラミック配線基板の製造方法。 (以下、本件第2発明という) 一方、本件特許第3074728号の特許異議申立事件において、その取消決定で引用した刊行物である特開昭64-9691号公報(以下、刊行物1という)には、「表面にマイラフイルムが配置されたグリーンシートを、前記フィルム側よりレーザー光を用いてスルホール孔を形成し、そのフィルム側より導電性のペースト(本件発明のビア導体に相当)を前記スルホール孔に充填し、その後、前記フィルムをグリーンシートより除去し、焼成するようにしたセラミック配線基板の製造方法」(以下、刊行物1の第1発明という)、及び「表面にマイラフィルムが配置されたグリーンシートを、前記フィルム側よりレーザー光を用いてスルホール孔を形成し、そのフィルム側より導電性のペーストを前記スルホール孔に充填し、その後、前記フィルムが貼付けられていない側のグリーンシート面上に所定の回路パターンを形成し、然る後に、前記フィルムを除去したグリーンシートを積層し、焼成するようにしたセラミック配線基板の製造方法」(以下、刊行物1の第2発明という)についての発明が、それぞれ記載されている。 本件第1発明及び第2発明と、刊行物1の第1発明及び第2発明とをそれぞれ対比すると、両者は大きく、(1)刊行物1の第1発明及び第2発明とも、ビア導体の乾燥工程及び配線パターンの乾燥工程について明記されていない点(以下、相違点1という)、及び(2)刊行物1の第1発明及び第2発明とも、フィルムがマイラフィルムである点(以下、相違点2という)で異なり、その余について概ね一致しているものと認められる。 これらの相違点につき検討すると、 相違点1について、同じく取消決定で引用した刊行物である特開昭61-270896号公報(以下、刊行物2という)には、セラミック基板の製造方法であって、スルーホールに導電ペースト(本件発明のビア導体に相当)を充填し、導電ペーストの乾燥後、グリーンシートからフィルムを剥離し、その後、グリーンシート上に配線パターンを形成し、その形成した配線パターンを乾燥し・・・・・焼成するという一連の工程を備えた技術が開示されている。しかしながら、刊行物2には、導電ペーストの乾燥工程及び配線パターンの乾燥工程が具体的に加熱乾燥であることについての開示はなく、加熱乾燥工程時におけるグリーンシートの収縮を抑制するという本件発明特有の課題についての示唆もないので、刊行物1の第1発明及び第2発明に刊行物2記載の乾燥工程を加えるという技術事項を採用したとしても、このことが直ちに本件第1発明及び第2発明のような加熱乾燥工程を伴うことを可能とするものではないし、加熱乾燥工程時のグリーンシートの収縮を抑制することを動機付けるものとはなりえない。それゆえ、本件第1発明及び第2発明における前記相違点1に係る構成は、刊行物2記載の技術事項から容易に想到しえるものではない。 また、相違点2について、特開平2-6126号公報(以下、刊行物3という)、及び特開平2-123138号公報(以下、刊行物4という)には、熱収縮性の少ないフィルム材料について開示されている。しかしながら、刊行物3及び刊行物4で開示されている技術は、透明電極の基材となるフィルムや転写印刷回路を載せるキャリアフィルムを熱収縮の少ないフィルムにすることによって、このフィルムの熱収縮が原因となって起こるフィルム上に形成されたリ一ド電極や発光体層の印刷ズレの防止や転写配線回路形成時の寸法精度の狂いを防止するというものであり、本件第1発明及び第2発明のように、収縮の少ないフィルムを収縮する基材に貼ることにより基材の収縮を抑制するという技術を開示したものではないので、この単に熱収縮に強いフィルムを用いるという部分だけを前記刊行物1の第1発明及び第2発明におけるマイラフィルムに代えて採用したとしても熱収縮性の少ないフィルムをグリーンシートに貼り、このフィルムによりビア導体や配線パターンの加熱乾燥時に起こるグリーンシートの収縮を抑制するという効果を発現する本件第1発明及び第2発明を容易に想到し得るものではない。 以上のとおりであるから、本件第1発明及び第2発明は、前記刊行物1〜刊行物4に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものとはいえず、特許出願の際に独立して特許を受けることができる発明であるといわざるをえない。 3. むすび したがって、本件審判の請求は、平成6年法律第116号附則第6条第1項の規定により適用される、同法律第116号による改正前の特許法第126条第1項第1号及び第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第2項及び第3項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 セラミック配線基板の製造方法 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】表面にフィルムが配置されたグリーンシートを、前記フィルム側よりレーザー光を用いてビア孔を形成し、そのフィルム側よりビア導体を前記ビア孔に充填し、充填後に前記フィルムを貼り付けたまま前記ビア導体の加熱乾燥を行った後に、前記フィルムをグリーンシートより剥離し、焼成するようにしたセラミック配線基板の製造方法であって、前記フィルムは、100℃以上の熱処理を施した低収縮PETフィルム,ポリフェニレンサルファイドフィルム,ポリエーテルイミドフィルム,ポリエーテルサルホンフィルム,ポリエーテルケトンフィルムのいずれかよりなることを特徴とするセラミック配線基板の製造方法。 【請求項2】表面にフィルムが配置されたグリーンシートを、前記フィルム側よりレーザー光を用いてビア孔を形成し、そのフィルム側よりビア導体を前記ビア孔に充填し、充填後に前記フィルムを貼り付けたまま前記ビア導体の加熱乾燥を行った後に、グリーンシート面上に所定の配線パターンを形成し、前記フィルムを貼り付けたままその形成した配線パターンを加熱乾燥し、然る後に前記フィルムを剥離したグリーンシートを積層し、焼成するようにしたセラミック配線基板の製造方法であって、前記フィルムは、100℃以上の熱処理を施した低収縮PETフィルム,ポリフェニレンサルファイドフィルム,ポリエーテルイミドフィルム,ポリエーテルサルホンフィルム,ポリエテールケトンフィルムのいずれかよりなることを特徴とするセラミック配線基板の製造方法。 【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】 本発明は、電子機器等に使用されるセラミック配線基板の製造方法に関するもので、特にセラミック多層配線基板の製造方法に適用して効果のあるものである。 【従来の技術】 近年、電子機器の小型化に伴い、多層配線基板の需要が増してきた。特にセラミック多層基板は、多層プリント基板よりもはるかに高密度な回路基板として注目されてきている。 以下、従来のセラミック多層配線基板の製造方法について説明する。グリーンシート積層法による多層基板の場合、第4図に示すように、まず、グリーンシート1にNCパンチもしくは金型でビア孔2をあけ、次に第5図に示すように前記ビア孔2に対応する位置に、ビア孔2より若干大なる透孔の形成されたメタルマスク10を載置し、そのメタルマスク10側より導体ペースト5をビア孔2に充填する。さらに配線導体7をグリーンシート1上にスクリーン印刷にて形成する。その後、メタルマスク10を剥離すると第6図に示すように、必然的にビア孔2より若干大なるランド部3が出来てしまう。そのようにして作成された配線パターン7の形成された複数枚のグリーンシートを積層し、焼成を行っていた。 最近、グリーンシートヘの孔あけ工程に於いて、レーザーを利用する試みもあるが、第7図に示す如く、レーザー光8の照射される側のグリーンシート1の表面にチッピング9が発生するという欠点を有していた。 本発明は、上記従来の問題点を解決するもので、グリーンシートの孔あけにレーザー光を用いても、ランドレスでビア導体が充填されたグリーンシートを得ることができ、高密度な回路基板が作成可能な製造方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 この目的を達成するために、本発明のセラミック配線基板の製造方法は、表面にフィルムが配置されたグリーンシートに、前記フィルム側よりレーザー光を用いてビア孔を形成し、そのフィルム側よりビア導体を前記ビア孔に充填し、充填後に前記ビア導体の乾燥を行った後に、前記フィルムをグリーンシートより剥離し、焼成するようにしたセラミック配線基板の製造方法であって、前記フィルムは、100℃以上の熱処理を施した低収縮PETフィルム,ポリフェニレンサルファイドフィルム,ポリエーテルイミドフィルム,ポリエーテルサルホンフィルム,ポリエーテルケトンフィルムのいずれかよりなることを特徴とする。 作用 本発明のセラミック配線基板の製造方法では、表面にフィルムが配置されたグリーンシートに、前記フィルム側よりレーザー光で孔あけを行うために、フィルム表面にチッピングができても、このフィルムは後工程で剥離され捨てられるので、チッピングがあっても問題とならない。よってレーザー光が使用できるためにパンチの寿命,孔あけスピード等の観点から、著しく孔あけ工程を改善することができる。また、ビア孔の形成された前記フィルムの配置されたグリーンシートの、そのフィルム側よりビア導体をビア孔に充填し、然る後前記フィルムをグリーンシートより剥離させるので、ランドレスでビア孔に導体が充填されたグリーンシートが得られ、結果として高密度な回路基板が作成可能となる。さらに本発明によれば、フィルムを貼り付けたままビア導体の乾燥工程を行うことができるため取り扱いが良く、また特に熱収縮の小さいフィルムを用いるので、ビア導体の乾燥時にグリーンシートの収縮を抑制することができ、フィルムを剥離したグリーンシートを複数枚積層したときに、層間のビアの導通の信頼性を保つことができる。 【実施例】 以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら説明する。 先ず、本発明のセラミック配線基板の製造方法で使用可能なプラスチックフィルムについて述べる。グリーンシート成形に用いられるプラスチックフィルムは、コストや汎用性の面からポリエステルフィルムが一般的である。しかし、本実施例のセラミック配線基板の製造方法に於いては、グリーンシートとプラスチックフィルムに2回の熱履歴が加わる。それは、ビア孔に充填した導体の乾燥とグリーンシートに配線印刷した導体の乾燥であり、その乾燥条件は例えば80〜100℃で約10分である。ポリエステルフィルムは熱による寸法変化が大きいため、上記乾燥温度でフィルムが縮むと同時に、グリーンシートも縮み、ビア孔の位置がずれ、層間でのビア接続不良が発生する可能性があるという問題点を有している。 よって次に述べる6種類のプラスチックフィルムを用いて実験を行った。 (1) ポリフェニレンサルファイドフィルム、以後PPSという。その化学式は、 (2) ポリエーテルイミドフィルム、以後PEIという。その化学式は (3) ポリエーテルサルホンフィルム、以後PESという。その化学式は、 (4) ポリエーテルエーテルケトンフィルム、以後PEEKという。その化学式は、 (5) ポリエステルフィルム、以後PETという。その化学式は、 (6) 上記PETフィルムを100℃以上の熱処理を施したもの、以後低収縮PETという。 表1にそれぞれのフィルムの特性表を示す。この表中の特性で、破断強度・伸び率についてはJISのC2318に従い、熱収縮率は100mm間隔で0.2mmφの孔をあけ、フィルムを製造する際の成形方向(MD)とその直角方向(TD)について、加熱処理後n=4で最も収縮率の大きな値を示した。 これら6種類の厚みが75μmのプラスチックフィルム4上に、それぞれ第1図に示す如く、厚みが200μmになるようグリーンシート1の成形を行い、そのグリーンシート1にプラスチックフィルム4を介して、レーザー光8(YAG,CO2)を用いて0.1〜0.2mmφのビア孔2の加工を行った。 やはり、プラスチックフィルム4上のレーザー照射側には、チッピング9が発生してしまうが、それはプラスチックフィルム4の表面部だけで、グリーンシート1には何ら損傷はなく、ストレートに0.1〜0.2mmφの孔があいていた。この時のレーザー条件は、平均出力2〜10W,繰り返し周波数100kHz,パルス幅1000μsで行った。 この時、前記6種類のフィルムの間で、孔あけ加工性の差は見られなかった。 次に、第2図に示す如く、プラスチックフィルム4側からメタルマスクにて導体ペースト5を充填し、90℃/10分乾燥を行った後、グリーンシート1側から配線導体7を印刷し、90℃/10分乾燥を行った。その後、第3図に示す如く、プラスチックフィルム4をグリーンシート1から剥離した後、これらのグリーンシートを積層後、焼成を行った。6種類のプラスチックフィルムを用いて作成された多層基板のビア接続の信頼性を確認したところ、PETフィルムを用いたもののみ不良であった。不良解析した結果、ビア・配線導体の乾燥工程でのPETフィルムの熱収縮が大きいために、積層時のビアの位置ずれ不良が原因であった。比較し易いように、各プラスチックフィルムの評価結果を表2にまとめた。表中の◎は優れている、○は十分に実用可、△は実用可、×は実用不可であることを示す。 すなわち、本発明のセラミック配線基板の製造方法に於いて、採用可能なプラスチックフィルムは、低収縮PET,PEEK,PES,PEI,PPSであることがわかった。 【発明の効果】 以上のように本発明は、表面にフィルムが配置されたグリーンシートを、前記フィルム側よりレーザー光を用いてビア孔を形成し、そのフィルム側よりビア導体を前記ビア孔に充填し、充填後に前記フィルムをグリーンシートより剥離し、焼成することを特徴とするため、従来のようにNCパンチや金型のピン寿命の問題がなくなり、かつ高速でビア孔を形成でき、さらにランドレスビア構造を有する高密度なセラミック配線基板を得ることができる。さらに本発明によれば、フィルムを貼り付けたままビア導体の乾燥工程やグリーンシート面への配線パターンの印刷及び乾燥工程を行うことができるため取り扱いが良く、また特に熱収縮の小さいフィルムを用いているので、ビア導体や配線パターンの乾燥時にグリーンシートの収縮を抑制することができ、フィルムを剥離したグリーンシートを複数枚積層したときに、層間のビアの導通の信頼性を保つことができるという優れた効果を有するものである。 【図面の簡単な説明】 第1図,第2図および第3図はそれぞれ本発明のセラミック配線基板の製造方法の一実施例における各工程を示す断面図、第4図,第5図,第6図はそれぞれ従来のセラミック配線基板の製造方法の各工程を示す断面図、第7図はグリーンシートに直接レーザー光を照射し、孔をあけようとした時にチッピングが発生した状態を示す断面図である。 1……グリーンシート、2……ビア孔、3……ランド、4……プラスチックフィルム、5……導体ペースト、6……ランドレスビア、7……配線導体、8……レーザー光、9……チッピング、10……メタルマスク。 |
訂正の要旨 |
特許第3074728号の明細書において、 1. 特許請求の範囲の請求項1の「充填後に前記ビア導体の乾燥を行った後に、」とあるのを『充填後に前記フィルムを貼り付けたまま前記ビア導体の加熱乾燥を行った後に、』と訂正する。 2. 特許請求の範囲の請求項2の「充填後に前記ビア導体の乾燥を行った後、」とあるのを『充填後に前記フィルムを貼り付けたまま前記ビア導体の加熱乾燥を行った後に、』と訂正する。 3. 特許請求の範囲の請求項2の「その形成した配線パターンを乾燥し、」とあるのを『前記フィルムを貼り付けたままその形成した配線パターンを加熱乾燥し、』と訂正する。 |
審決日 | 2002-03-18 |
出願番号 | 特願平2-323625 |
審決分類 |
P
1
41・
832-
Y
(H05K)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 中川 隆司、大畑 通隆 |
特許庁審判長 |
藤井 俊明 |
特許庁審判官 |
溝渕 良一 藤井 昇 |
登録日 | 2000-06-09 |
登録番号 | 特許第3074728号(P3074728) |
発明の名称 | セラミック配線基板の製造方法 |
代理人 | 岩橋 文雄 |
代理人 | 坂口 智康 |
代理人 | 内藤 浩樹 |
代理人 | 坂口 智康 |
代理人 | 内藤 浩樹 |
代理人 | 岩橋 文雄 |