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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1060358
審判番号 不服2000-5182  
総通号数 32 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-05-13 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-04-12 
確定日 2002-06-12 
事件の表示 平成7年特許願第285326号「生体情報収集装置および生体情報処理装置」拒絶査定に対する審判事件[平成9年5月13日出願公開、特開平 9-122084]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 [1]本件出願は平成7年11月1日に出願され、社団法人日本エム・イー学会の新規性の喪失の例外証明書および刊行物「医用電子と生体工学」第33巻特別号(第34回日本エム・イー学会大会論文集1995年5月)の第506頁の写しを添付して、特許法第30条第1項の規定の適用を受けようとしたが、原審では、その発表者と本件出願の発明者とが異なることを理由に同規定の適用を認めずに、本件出願の請求項1〜8に係る発明は、上記の刊行物(引用例1)に記載された発明に基づいて、また、請求項1〜7に係る発明は、特表平4-504966号(引用例2)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、と拒絶理由を通知し、「意見書並びに手続補正書の内容を検討したが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせない。」として拒絶査定をした。

[2]審判請求人は、審判請求書と同時に手続補正書(平成12年4月12日付け)を提出し、「同時提出の手続補正書において本願発明を拒絶査定の理由に含まれていない補正前請求項5乃至8のみに補正いたしましたので拒絶査定の理由は解消しものと確信いたします。即ち、同時提出の手続補正書において、補正前請求項1+5の発明を補正後の請求項1発明に、補正前請求項1+2+5を補正後の請求項2発明に、補正前請求項6を補正後の請求項3発明に、補正前請求項7補正後の請求項4発明に、補正前請求項8を補正後の請求項5発明にそれぞれ補正致しましたので本願発明は特許要件を具備した発明に成ったものと確信いたします。」と主張する。
しかしながら、原査定の「備考」に、「請求項1〜4に対して…引用例2記載の装置を携帯可能に構成することは、当業者であれば容易に想到し得たものと認められる。」と記載されているとしても、原査定の本文には、「この出願については、平成11年9月28日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶査定する。」と記載しており、その拒絶理由通知書では、本件出願の請求項1〜8に係る発明は、上記の刊行物(引用例1)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、とも通知してあるから、審判請求人の「拒絶査定の理由に含まれていない補正前請求項5乃至8」との解釈は誤りである。

[3]次に、本件において特許法第30条1項の規定の適用を受けることが出来るかどうかについて検討するに、提出された新規性の喪失の例外証明書および添付された刊行物の記載によれば、「中元隆明、桃木茂、鈴木英彦、長谷達也、加藤士朗、飯塚昌彦、玉村一樹、斎藤浩一」の8名が執筆者および発表者として記載されているとともに、その8名の者が同刊行物をもって第34回日本エム・イー学会において平成7年5月10日に発表したことが証明書に記載されている。(以下、これら8名を公開者という。)
これに対し、本件の願書には、「斎藤浩一、山田基晴、玉村一樹、中元隆明」の4名が発明者として記載されており、(1)発明者として記載された「山田基晴」は公開者として記載されていない、(2)公開者として記載された「桃木茂、鈴木英彦、長谷達也、加藤士朗、飯塚昌彦」は発明者として記載されていない、の2点において公開者と発明者が一致していない。そればかりでなく、本件の願書には出願人として、「フクダ電子株式会社、中元隆明」が記載されているのみで、発明者、公開者、出願人のすべてが相違する。

[4]審判請求人は、原審の平成11年12月1日付けの意見書において、「引用例1の執筆者としては…8名が記載されているが、この内実際に引用例1記載の発明をなしたのは本願の発明者の欄に記載した「斎藤浩一、玉村一樹、中元隆明」と引用例1の執筆者に記載されていない「山田基晴」の4名であり、発明者の指示のもと情報収集の補助、収集情報の処理作業の補助並びに引用例1執筆の補助を行なったのが、「桃木茂、鈴木英彦、長谷達也、加藤士朗、飯塚昌彦」の5名である。
引用例1の執筆者には刊行物記載の発明者のみを記載するのではなく、刊行物の執筆に寄与したものの名前も記載するのが一般的であり、本願の発明者との不一致があっても特許法第30条1項の規定の適用を受けることが出来ると思料いたします。…本願の発明者が願書記載の4名であることを証明するために他の発明者の宣誓書を添付いたします。」と主張して、「斎藤浩一、玉村一樹、中元隆明」の3名連名の、「本出願の発明者である「山田基晴」氏がME学会発表論文集に連名となっておりませんが連名にするにはME学会への会員登録が必要であり、時間的な関連も考慮し連名となっておりません。しかし、山田氏はME学会発表論文集の内容にも関与しており、また特許申請内容のソフトウエア開発等に携わった為、本願には連名といたしました。」の旨の、作成日が平成11年11月5日の宣誓書を提出している。
しかしながら、「斎藤浩一、玉村逸一樹、中元隆明」の3名のみの宣誓であり、山田基晴本人の宣誓がなく、山田基晴が本件出願に係る発明の発明者であると認めるには足りない。そして、審判請求人は山田基晴が公開者ではないことを認めており、仮に、山田基晴が本件出願に係る発明の発明者であったとしても、この点において公開者と発明者が一致しないばかりでなく、公開時において公開者が現に「特許を受ける権利」の正当な承継人であることが証明されていない。

また、審判請求人は審判請求書において、「…本願の発明者である「斎藤浩一、玉村一樹、中元隆明、山田基晴」による「桃木茂、鈴木英彦、長谷達也、加藤士朗、飯塚昌彦」の5名が本発明の発明者でない旨の宣誓書を追って補充致します。」と主張して、その旨の、作成日が平成12年6月8日の宣誓書を提出しているが、「斎藤浩一、山田基晴、玉村一樹、中元隆明」の4名のみの宣誓であり、発明者ではないとされた5名の宣誓がなく、「「桃木茂、鈴木英彦、長谷達也、加藤士朗、飯塚昌彦」の5名が本発明の発明者ではない」ことを認めるには足りない。

[5]したがって、公開者と本件出願に係る発明者とが一致すると認めることができないから、本件については特許法第30条第1項の規定の適用を受けることはできない。
なお、仮に、山田基晴が本件出願に係る発明の発明者であったとしても、公開時において公開者が現に「特許を受ける権利」の正当な承継人であることも証明されていないから、依然本件については特許法第30条第1項の規定の適用を受けることはできない

[6]平成12年4月12日付け手続補正書により補正された明細書及び図面によれば、本件出願の請求項1〜5に係る発明のうち、請求項1に係る発明は次のとおりのものと認められる。(以下、本件発明1という。)
【請求項1】長時間連続記録された、同時刻における生体より収集した心電図情報と生体より検出した動脈血酸素飽和度を入力する入力手段と、
前記入力手段より入力される心電図情報より被検者の心拍数を算出するとともに、前記検出した動脈血酸素飽和度より脈拍数を算出し、算出結果を測定動脈血酸素飽和度と共に所定時間毎にデジタル数値で出力する出力手段とを備え、
前記出力手段は、前記算出した脈拍数と心拍数とを比較し、所定拍以上の差異がある場合には測定誤りを示す態様で出力することを特徴とする生体情報処理装置。

[7]これに対し、引用例1には、次のように記載されている。
「〔緒言〕;慢性肺疾患患者(CL)において…今回、パルスオキシメータで測定したSpO2データを心電図と同時に24時間ホルタ記録し、再生出来る装置を開発し、本装置の呼吸不全と不整脈の診断法としての有用性につき検討した。
〔対象・方法〕;対象は健常者10名(N群)と当科入院あるいは外来通院CL患者7名(CL群)である。使用したSpO2・心電図ホルターはオプション情報収録可能なフクダ電子製携帯用ホルター装置(SM50)であり、第1,2chには心電図、第3chにはSpO2の各々のデータを入力した。すなわち全例にパルスオキシメーター(シーメンス社製MicrO2)を用いて入手したSpO2データを変換アダプタを経由してディジタルコード化してホルタ記録器に入力し、心電図と同時に記録した。入力されたデータの解析はホルタ解析装置(フクダ電子社製DMW-9000H)により行なった。図1に記録装置のブロックダイアグラムを示す。なお、SpO2測定用センサはネルコア社製ディスポセンサD・25を使用した。本装置によるSpO2レポートは一分間毎の心拍数、脈拍数、SpO2値および一分間毎の心拍数、STレベルとスロープ、脈拍数とSpO2のトレンドグラフを印字できるようにした。なお、SpO2に関するエラー情報については心電図から得た心拍数とパルスオキシメーターから得た脈拍数の差異が±20拍以上のデータをノイズ・エラーと判定し、自動的に削除するプログラムを考案・作製した。」

[8]本件発明1と引用例1に記載された発明を対比すると、引用例1に記載されたSpO2は動脈血酸素飽和度のことであるから、両者は、
「長時間連続記録された、同時刻における生体より収集した心電図情報と生体より検出した動脈血酸素飽和度を入力する入力手段と、前記入力手段より入力される心電図情報より被検者の心拍数を算出するとともに、前記検出した動脈血酸素飽和度より脈拍数を算出し、算出結果を測定動脈血酸素飽和度と共に所定時間毎にデジタル数値で出力する出力手段とを備える生体情報処理装置。」である点で一致するが、次の点で相違する。
本件発明1が、「前記出力手段は、前記算出した脈拍数と心拍数とを比較し、所定拍以上の差異がある場合には測定誤りを示す態様で出力する」ものであるのに対し、引用例1記載の発明では、「SpO2に関するエラー情報については心電図から得た心拍数とパルスオキシメータから得た脈拍数の差異が±20拍以上のデータをノイズ・エラーと判定し、自動的に削除するプログラム」を有する点。

上記相違点について検討するに、引用例1に記載された発明では、心電図から得た心拍数とパルスオキシメーターから得た脈拍数の差異が±20拍以上のデータをノイズ・エラーと判定するのであるから、そのような場合に測定誤りを示す態様を出力すること(さらには、その態様を表示すること)は当業者が容易に成しうることである。

[9]以上の検討によれば、本件請求項1に係る発明は引用例1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。そうである以上、本件請求項2〜5に係る発明についての検討結果にかかわらず、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-04-10 
結審通知日 2002-04-15 
審決日 2002-04-30 
出願番号 特願平7-285326
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小田倉 直人  
特許庁審判長 渡部 利行
特許庁審判官 関根 洋之
後藤 千恵子
発明の名称 生体情報収集装置および生体情報処理装置  
代理人 大塚 康徳  
代理人 大塚 康徳  
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