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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  G06F
管理番号 1064256
異議申立番号 異議2001-73264  
総通号数 34 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-12-04 
確定日 2002-06-19 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3173352号「ディジタル著作物流通システム」の請求項3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3173352号の請求項3に係る特許を維持する。 
理由 第1.手続の経緯
本件特許異議の申立てに係る特許第3173352号は、平成7年11月15日の出願であって、平成13年3月30日に設定登録され、同年6月4日に特許公報が発行されたものである。
その後、平成13年12月4日に、日本電信電話株式会社より、請求項3に係る特許に対して特許異議の申立てがなされ、平成14年2月15日(発送日:平成14年2月26日)に取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成14年4月26日に訂正請求がなされたものである。

第2.取消理由通知の概要
平成14年2月15日付取消理由通知は、「本件特許第3173352号の請求項3に係る特許は、特許法第36条第5項及び第6項に規定する要件を満たしていない。」及び「本件特許第3173352号の請求項3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反する。」というもので、その概要は次のとおりである。
A.特許法第36条第5項及び第6項違反について
1.請求項3に係る発明は「利用者装置」に関するものであり、発明の詳細な説明の記載によれば、利用者装置は「本発明は全てのデータを暗号化するのではなく、差分データだけを暗号化するので、ステップ134の復号化する処理において復号化のオーバヘッドが少なくてすむという効果がある。」(段落72第2〜6行)ものであるところ、請求項3には「暗号化データ」、「複合オブジェクト」、「配布データ」、「オリジナルデータ」という事項が、それぞれ記載されているだけであるため、各事項の技術的意味及び関連が理解できず、「(復号化のオーバヘッドが少なくてすむ)利用者装置」という発明を特定するために必要な事項が記載されていない。
2.上記1に関連して、請求項3第4行に「復元オブジェクトに含まれる利用条件」と記載されており、この記載によれば、復元オブジェクトに含まれるものとして利用条件のみが記載されているため、第6行の「復元プログラム」が何に含まれているのか不明であり、発明が明確でない。
3.同じく上記1に関連して、第5〜6行「配布データからオリジナルデータを復元する復元プログラムを実行する手段」との記載によれば、「配布データからオリジナルデータが復元される」のであるから、この「配布データ」が暗号化されているデータ即ち「暗号化データ」のことと認められ、一方、発明の詳細な説明によれば、「配布データ」は誰もが無料で見ることのできる、暗号化などされていないデータのことであるから、「配布データ」について、その構成が何れのものか特定できず不明であり、したがって、「暗号化データ」、「配布データ」、「オリジナルデータ」が、どのようなもので、どのような関係にあるかも不明であり、発明が明確でない。

B.特許法第29条第2項違反について
刊行物1:
「NTT R&D Vol.44 No.10 1995」P.873〜P.879
「CD-ROM 情報流通サービスの構成と評価」の項参照
社団法人 電気通信協会 平成7年10月10日発行
刊行物2:
「電子情報通信学会技術研究報告 信学技法 Vol.94 No.240」P.59〜P.66
「超流通のためのシステムアーキテクチャ」の項参照
社団法人 電子情報通信学会 1994年9月21日発行
上記刊行物1には、特に第875〜877頁の記載からみて、「暗号化した情報をCD-ROMに格納し、該CD-ROMを雑誌等に同梱することにより利用者に配布する一方、利用者は、使用権を管理している鍵管理センタにオンラインでアクセスし、情報の使用料金を支払ってその使用権を入手する、情報流通サービスにおいて用いられる利用者端末であって、該端末は、鍵管理センタとオンラインで通信を行い、使用権(復号鍵)を暗号化した形で受信する機能と、受け取った使用権の種類(永久使用、一時使用)により、情報へのアクセスをコントロールする機能とを有している利用者端末。」に関するの発明が記載されている。
請求項3に係る発明(以下「前者」という。)と刊行物1に記載された発明(以下「後者」という。)とを対比する。
後者の「暗号化されCD-ROMに格納された情報」は、前者の「デジィタル著作物」であり、「暗号化データ」であり、又、「配布データ」でもあることは明らかである。同じく後者の「使用権」には、「復号鍵」と「使用権の種類」とが含まれており、後者の「使用権」、「復号鍵」、「使用権の種類」は、その機能からみて、前者の「復号オブジェクト」、「復号化手段」、「利用条件」に相当し、又、後者においては、使用権の種類(永久使用、一時使用)により情報へのアクセスコントロールがなされるのであるから、利用者端末は、その使用権の種類、即ち、利用条件により、利用の可否を判定していることは明らかである。さらに、利用者端末が、暗号化された情報を復号鍵を用いて、復元するプログラムを有しそれを実行する手段、及び、復合化した情報を再生する手段を有していることはいうまでもない。
(上記Aにおいて指摘したとおり、各データの構成が明確でないため、前者と後者とは上記のように対応付けることができ、矛盾しない。)
してみると、両者は次の一致点、相違点を有するものと認められる。
【一致点】
通信手段によってネットワークと接続され、デイジタル著作物を利用するための利用者装置であって、
暗号化データを復号化する復号化手段と、ネットワークから受信した復元オブジェクトに含まれる利用条件に基づき利用可否を判定する手段と、判定結果に基づき配布データからオリジナルデータを復元するための復元プログラムを実行する手段と、前記復元プログラムの実行により復元されたオリジナルデータを再生する手段とを有することを特徴とする利用者装置。
【相違点】
デジィタル情報が、前者においては、ネットワークを介して配布されるのに対して、後者においては、CD-ROMに格納されて配布される点。
該相違点について検討する。
上記刊行物2には、超流通のためのシステムにおいて、プログラム及びデータの電子情報(「コンテンツ」と総称:第60頁右欄第8〜9行参照)の流通について、該コンテンツには、CD-ROMなどで流通されるもの(第60頁右欄第19〜20行参照)、センタから直接ユーザに流れるもの(第61頁左欄第7〜9行参照)の2つがあることが記載されている。刊行物2にいう、センタから直接ユーザに流れるコンテンツとは、ネットワークを介して配信される電子情報に他ならず、電子情報(デジィタル情報)を、CD-ROMに格納して配布すること、ネットワークを介して配布することは共に、刊行物2に記載されるように公知の配布方法であるから、デイジタル著作物を流通させるに際し、CD-ROMに格納して配布するか、ネットワークを介して配布するかは、当業者が、必要に応じ選択し得る事項であって、上記相違点を格別のものとすることはできない。

第3.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
特許権者は、上記取消理由通知に対して、平成14年4月26日付けで訂正請求書を提出し、その請求の趣旨は、本件特許明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求める、というものであり、訂正の内容は次の(1)〜(5)のとおりである。
(1)訂正事項a
特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項3の「前記ネットワークから受信した暗号化データを複号化する復号化手段」を、「前記ネットワークから受信した暗号化データを復号化して、復元プログラムと差分データと利用条件とを含む復元オブジェクトを生成する復号化手段」と訂正する。
(2)訂正事項b
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許請求の範囲の請求項3の「前記ネットワークから受信した復元オブジェクトに含まれる利用条件に基づき利用可否を判定する手段」を、「前記利用条件に基づき利用可否を判定する利用条件判定手段」と訂正する。
(3)訂正事項c
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許請求の範囲の請求項3の「前記判定結果に基づき配布データから前記オリジナルデータを復元するための復元プログラムを実行する手段」を、「前記判定結果に基づき、前記復元プログラムを用いて配布デー夕と前記差分データとからオリジナルデータを復元する復元プログラム実行手段」と訂正する。
(4)訂正事項d
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許請求の範囲の請求項3の「前記復元プログラムの実行により復元されたオリジナルデータを再生する手段」を、「前記復元されたオリジナルデータを再生する復元データ再生手段」と訂正する。
(5)訂正事項e
誤記の訂正を目的として、発明の詳細な説明の段落【0044】第1行目及び第4行目の「利用伝達手段61」を「利用伝達手段62」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(1)訂正事項aについて
当該訂正は、「復号化手段」が復号する、暗号化データが何から構成されているかを具体的に限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮に当たり、又、複号化手段が復号する暗号化データについては、発明の詳細な説明の段落【0045】及び図1に記載されているから、当該訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
(2)訂正事項bについて
当該訂正は、「判定する手段」について発明の詳細な説明に具体手金生き際がなく曖昧であるため、発明の詳細な説明の記載された用語である「利用条件判定手段」と合致するように用語を明確にしたものであるから、明りょうでない記載の釈明に当たり、又、「利用条件判定手段」は、発明の詳細な説明の段落【0046】及び図1に記載されているから、当該訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
(3)訂正事項cについて
当該訂正は、「復元プログラムを実行する手段」を発明の詳細な説明に記載された用語「復元プログラム実行手段」と合致する記載にすると共に、復元されるオリジナルるデータについて、発明の詳細な説明に記載されるように、配布デー夕と差分データとから構成されるものであることを明確にするものであるから、明りょうでない記載の釈明に当たり、又、この点は、発明の詳細な説明の段落【0046】及び図1に記載されているから、当該訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
(4)訂正事項dについて
当該訂正は、「再生する手段」について、発明の詳細な説明に記載された用語である「復元データ再生手段」と合致するように用語を明確にするものであるから、明りょうでない記載の釈明に当たり、又、「復元データ再生手段」は、発明の詳細な説明の段落【0047】及び図1に記載されているから、当該訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
(5)訂正事項eについて
当該訂正は、「利用伝達手段」に付された参照番号「61」が「62」の誤りであり、それを訂正するものであるから、誤記の訂正に当たり、又、この点は、願書に最初に添付した図面1に明記されている事項であるから、当該訂正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
(6)さらに、上記訂正事項a〜eは、何れも、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

3.まとめ
以上のとおりであるから、上記各訂正は、特許法第120条の4第2項ただし書き各号に規定する目的に適合し、同法第120条の4第3項により準用する同法第126条第2項及び第3項の規定に違反するものではないから、当該訂正請求を認める。

第4.取消理由通知に関する特許法第36条に関する違反について
上記a〜dの訂正により、「復元オブジェクト」には「復元プログラム」、「差分データ」、「利用条件」が含まれること、「復元オブジェクト」を暗号化したものが「暗号化データ」であること、又、「オリジナルデータ」は「配布データ」と「差分データ」とからなるものであることが明確になったため、当審において、平成14年2月15日付けで通知した、取消理由のA.1〜3の点は、解消したものと認める。

第5.取消理由通知に関する特許法第29条に関する違反について
上記a〜dの訂正により、本件特許第3173352号の請求項3に係る発明は、「暗号化データ」である「復元オブジェクト」には「復元プログラム」、「差分データ」、「利用条件」が含まれること、又、「差分データ」と「配布データ」とから「オリジナルデータ」が構成されていることが、発明を特定する事項となったところ、当審における取消理由Bで引用した刊行物1、2には、何れにも、暗号化されているデータには「復元プログラム」、「差分データ」、「利用条件」が含まれること、又、「オリジナルデータ」を「配布データ」と「差分データ」とに分けて配信することは記載されておらず、又、それらを示唆する記載もないから、刊行物1、2を以てしては、請求項3に係る発明を、特許法第29条第2項に違反するものと言うことはできない。
したがって、当審において、平成14年2月15日付けで通知した、取消理由Bは解消したものと認める。

第6.特許異議の申立てについての判断
1.申立ての理由の概要
特許異議申立人 日本電信電話株式会社は、甲第1号証及び甲第2号証を提出し、本件請求項3に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得た発明であるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、特許法第113条第2項の規定により取り消されるべきものである、と主張する。
【証拠方法】
(1)甲第1号証:
「NTT R&D Vol.44 No.10 1995」P.873〜P.879
「CD-ROM 情報流通サービスの構成と評価」の項参照
社団法人 電気通信協会 平成7年10月10日発行
(2)甲第2号証:
「電子情報通信学会技術研究報告 信学技法 Vol.94 No.240」P.59〜P.66
「超流通のためのシステムアーキテクチャ」の項参照
社団法人 電子情報通信学会 1994年9月21日発行

2.本件発明
上記第3.に記載したとおり、請求項3に係る特許について訂正請求が認められたので、特許第3173352号の請求項3に係る発明は、訂正明細書及び図面の記載からみて、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項3に記載された次のとおりのものと認める(以下「本件発明」という。)。
「通信手段によってネットワークと接続され、前記ネットワークを経て提供されたディジタル著作物を利用するための利用者装置であって、
前記ネットワークから受信した暗号化データを復号化して、復元プログラムと差分データと利用条件とを含む復元オブジェクトを生成する復号化手段と、前記利用条件に基づき利用可否を判定する利用条件判定手段と、前記判定結果に基づき、前記復元プログラムを用いて配布データと前記差分データとからオリジナルデータを復元する復元プログラム実行手段と、前記復元されたオリジナルデータを再生する復元データ再生手段とを有することを特徴とする利用者装置。」

3.証拠方法に記載された事項及び発明
(1)甲第1号証には、第875〜877頁の記載からみて、「暗号化した情報をCD-ROMに格納し、該CD-ROMを雑誌等に同梱することにより利用者に配布する一方、利用者は、使用権を管理している鍵管理センタにオンラインでアクセスし、情報の使用料金を支払ってその使用権を入手する、情報流通サービスにおいて用いられる利用者端末であって、該端末は、鍵管理センタとオンラインで通信を行い、使用権(復号鍵)を暗号化した形で受信する機能と、受け取った使用権の種類(永久使用、一時使用)により、情報へのアクセスをコントロールする機能とを有している利用者端末。」が記載されている。
又、甲第2号証には、第60〜61頁の記載からみて、「超流通のためのシステムにおいて、プログラム及びデータの電子情報(「コンテンツ」と総称)の流通に関して、該コンテンツには、CD-ROMなどで流通されるものと、センタから直接ユーザに配信されるものとの2種類があること」、又、第63〜64頁の記載からみて、「データを秘密鍵で暗号化し、暗号化されているデータをライセンス情報に含まれる鍵で復号すること」が記載されている。

4.対比・判断
(1)甲第1号証及び甲第2号証には、サービスに供される情報を暗号化することは記載されているが、その暗号化される情報に何が含まれるのか、具体的に記載されていない。即ち、甲第1号証及び甲第2号証には、本件発明を特定する事項である「暗号化データが、復元プログラムと差分データと利用条件とを含む復号オブジェクト」であることは、何ら記載されていない。特に、本件発明の、復号オブジェクトに含まれる「差分データ」は、(無料でサービスに供される)配布データと共に、オリジナルデータを構成するものであること、換言すれば、暗号化される「差分データ」はオリジナルデータのすべてではないことは、甲第1号証及び甲第2号証には記載がなく、又、それを示唆する記載もない。そして、本件発明は該事項により、段落番号【0072】に記載された(オリジナルデータの)「すべてのデータを暗号化するのではなく、差分データだけを暗号化するので、…(略)…復号化のオーバヘッドが少なくてすむ」という格別の効果を奏するものである。
したがって、本件発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと言うことはできない。

5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件発明に係る特許を、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるとすることはできない。
又、他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由は見いだせない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ディジタル著作物流通システム
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】少なくともディジタル化されたデータを格納するためのメモリを備え、ディジタル化された著作物であるディジタル著作物を提供する第1の装置と、通信手段によって前記第1の装置と接続され、前記第1の装置によって提供された前記ディジタル著作物を利用するための第2の装置とを有するシステムであって、
前記第1の装置は、オリジナルデータを加工編集して配布データを作成する加工編集手段と、前記加工編集の履歴を管理する手段と、前記編集履歴に基づいて、前記配布データから前記オリジナルデータを復元するための復元プログラムを作成する手段と、前記オリジナルデータと前記配布データとの差分データを作成する差分データ作成手段と、前記第2の装置でディジタル著作物を利用する際の利用条件を設定する手段と、前記復元プログラム、前記差分データ、および前記利用条件をカプセル化してなる復元オブジェクトを作成する手段と、前記復元オブジェクトを暗号化して暗号化データを作成する暗号化手段とを有し、
前記第2の装置は、前記暗号化データを復号化する復号化手段と、前記復元オブジェクト内の利用条件に基づき利用可否を判定する手段と、前記判定結果に基づき前記復元プログラムを実行する手段と、前記復元プログラムの実行により前記配布データから復元されたオリジナルデータを再生する手段とを有することを特徴とするディジタル著作物流通システム。
【請求項2】通信手段によってネットワークに接続され、少なくともディジタル化されたデータを格納するためのメモリを備え、ディジタル化された著作物であるディジタル著作物を提供する流通センタ装置であって、
オリジナルデータを加工編集して配布データを作成する加工編集手段と、前記加工編集の履歴を管理する手段と、前記編集履歴に基づいて、前記配布データから前記オリジナルデータを復元するための復元プログラムを作成する手段と、前記オリジナルデータと前記配布データとの差分データを作成する差分データ作成手段と、
他の装置でディジタル著作物を利用する際の利用条件を設定する手段と、前記復元プログラム、前記差分データ、および前記利用条件をカプセル化した復元オブジェクトを作成する手段と、前記復元オブジェクトを暗号化する暗号化手段とを有することを特徴とする流通センタ装置。
【請求項3】通信手段によってネットワークと接続され、前記ネットワークを経て提供されたディジタル著作物を利用するための利用者装置であって、
前記ネットワークから受信した暗号化データを復号化して、復元プログラムと差分データと利用条件とを含む復元オブジェクトを生成する復号化手段と、前記利用条件に基づき利用可否を判定する利用条件判定手段と、前記判定結果に基づき、前記復元プログラムを用いて配布データと前記差分データとからオリジナルデータを復元する復元プログラム実行手段と、前記復元されたオリジナルデータを再生する復元データ再生手段とを有することを特徴とする利用者装置。
【請求項4】少なくともディジタル化されたデータを格納するためのメモリを備え、ディジタル化された著作物であるディジタル著作物を提供する第1の装置と、通信手段によって前記第1の装置と接続され、前記第1の装置によって提供された前記ディジタル著作物を利用するための第2の装置とを用いたディジタル著作物流通方法であって、
前記第1の装置は、オリジナルデータを加工編集して配布データを作成し、前記加工編集の履歴を管理し、前記編集履歴に基づいて、前記配布データから前記オリジナルデータを復元するための復元プログラムを作成し、前記オリジナルデータと前記配布データとの差分データを作成し、前記第2の装置でディジタル著作物を利用する際の利用条件を設定し、前記復元プログラム、前記差分データ、および前記利用条件をカプセル化してなる復元オブジェクトを作成し、前記復元オブジェクトを暗号化して暗号化データを作成し、
前記第2の装置は、前記暗号化データを復号化し、前記復元オブジェクト内の利用条件に基づき利用可否を判定し、前記判定結果に基づき前記復元プログラムを実行し、前記復元プログラムの実行により前記配布データから復元されたオリジナルデータを再生することを特徴とするディジタル著作物流通方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テキストや画像や動画像等のディジタル著作物を流通するシステムに関し、特に、著作物を利用する際の利用者による利用契約違反を阻止することにより情報提供者の権利と利益を保護するディジタル著作物流通システムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報のディジタル化が進むにともない、CD-ROMやネットワークによる情報提供が盛んになりつつある。特に、マルチメディアタイトルの普及やビデオジャーナリストの出現など、今後は画像や動画像による情報提供が盛んになると思われる。本発明では、これらディジタル化された画像や動画像及びそれらを用いて作成したマルチメディアタイトル等をディジタル著作物と呼ぶことにする。
【0003】このディジタル著作物を提供するサービスがビジネスとして成り立つためには、情報提供者の著作権を守り、かつ提供者に情報提供料等の対価を正当に支払うための仕組みが必要である。安心して情報提供できる環境が整わない限り、良質の情報は集まらず、扱う情報も少量に限られる。このため、利用者も増えず、ビジネスとしても立ち上がらない。逆に、情報提供者の権利と利益が保証された環境では、良質の情報が大量に集まるようになり、その結果、利用者も増えると思われる。また、いずれ市場原理が働き、情報も安価に提供されるようになるので、利用者のメリットも増え、ビジネスはますます拡大する可能性がある。
【0004】このディジタル著作物の流通において最も大きな問題は、利用者が著作権者の許可なく不正に行うコピー(不正コピー)である。ディジタルデータではコピーを簡単に作ることができるため、従来から不正コピーによる著作権侵害が問題になっていた。ネットワーク社会においては、不正に行ったコピーがネットワークを介していたるところにばらまかれる可能性があるので、問題はますます深刻になる。
【0005】不正コピーを防止する従来技術としては、著作物を再生する装置にコピー防止のハードウェアを追加する方法が一般的である。例えば、日経エレクトロニクス(日経BP社)1994年11月21日号(no.622)によると、ディジタル衛星放送ではコピー妨害信号を発生するテレビ信号処理LSIをセットトップボックス(家庭用衛星放送再生装置)内に設け、利用者が放送番組をきれいに録画できないようにしている。また、DAT(Digital AudioTaperecorder)等では、ディジタルコピーを一回だけしか認めないといったSCMC(Serial CopyManagement System)方式による機器構成が義務付けられている。
【0006】一方、利用頻度に応じて料金を徴収するシステムを構築し、不正コピーを無意味にするアプローチもある。例えば、特開昭64-68835には、装置に内蔵した専用プロセッサ内でのみ平文(復号化された情報)となるような暗号システムを用いて課金を行うソフトウェア権利管理制御方法が開示されている。この方法では、専用プロセッサで復号化処理が行われるたびに、情報が利用されたとみなして利用頻度を計算する。そして、その利用頻度に応じた料金を利用者から徴収する。配布される情報はすべて暗号化されているので、そのコピー自体には利用価値がない。利用するためには専用プロセッサで復号化する必要があるが、復号化するたびに利用頻度がカウントされるので、結果的に利用代金を支払うことになる。一般的にこの方法によるディジタル著作物流通システムは超流通システムと呼ばれている。
【0007】以上、ディジタル著作物の流通システムに関する従来技術は、先に述べた日経エレクトロニクス(日経BP社)1994年11月21日号(no.622)に詳しい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技術においては、両者ともに専用のハードウェアが必要になる。特に超流通システムでは専用プロセッサをすべての利用者の装置に組み込む必要があるため、導入コストが高くなるという問題があった。また、新しいハードウェアを導入すると、装置全体の構成が複雑になり、結果として機能が制限されて利用者の使い勝手や信頼性が低下するという問題があった。
【0009】また、上述の不正コピーを防止するアプローチをコンピュータに適用する場合、コピー機能は既にOS(オペレーティングシステム)の一機能となっているため、新たにOSを入れ替える必要があり、これにかかる導入コストも高くなる。つまり、従来技術で不正コピーを防止しようとする場合、利用者が使い慣れたハードウェア資産やソフトウェア資産を大きく変更しなければならないという問題があった。
【0010】一方、超流通システム等の従来のディジタル著作物流通システムでは、著作物をすべて暗号化して配布することを前提としている。暗号化方法にもよるが、一般に暗号化が頑丈であればあるほど復号化する際のオーバヘッドは大きくなる。このため、利用者側で暗号化データを復号化するのに時間がかかり、従来技術においては、これを解決するためにさらに専用の復号化ハードウェアが必要になるという問題があった。
【0011】また、暗号化されたデータは復号化しない限り内容を再生できないので、利用者が情報の内容を容易には確認できない。商品を購入する際には、その内容を確認して購入するのが一般的である。特に画像や動画像などのようにビジュアルな情報を利用する際には説明文等からだけでは利用者が真に欲しい情報かどうか判断しにくい。このため、従来技術では2回目以降の復号化から課金し、1回目の復号化で利用者は内容を確認できるといった方法を採用している。しかしながら、1回見ただけで情報の内容をすべて覚えれるほど人間の記憶力は豊かではなく、特に複数の画像や動画像を見比べたいといった場合や、以前に見た画像や動画像を実際に見ながら探したいといった場合には、従来技術では対応できないという問題があった。
【0012】上記問題点に鑑み、本発明は、利用者が現在使っているシステム構成に新たにハードウェアを導入することなく、また機能を制限することなく、流通ソフトウェアのインストールなどのわずかな変更だけで、著作権者の権利と利益を保証するディジタル著作物流通システムを提供することを第1の目的とする。
【0013】また、本発明は、利用者が使いなれたハードウェア資産やソフトウェア資産を大きく変更することなく不正コピーを防止するディジタル著作物流通システムを提供することを第2の目的とする。
【0014】また、本発明は、専用の暗号化または復号化のハードウェアを用いることなく暗号化または復号化のオーバヘッドを最小限に抑えるディジタル著作物流通システムを提供することを第3の目的とする。
【0015】さらに、本発明は、著作物提供者の著作権を守りつつ利用者がそのディジタル著作物の内容を容易に確認できるディジタル著作物流通システムを提供することを第4の目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明による第1の装置(以下、「流通センタ装置」という)には、オリジナルデータを加工編集して配布データを作成する手段(以下、「加工編集手段」という)と、当該加工編集の履歴を管理する手段(以下、「編集履歴管理手段」という)と、加工編集の履歴を参照して配布データからオリジナルデータを復元するプログラムを作成する手段(以下、「復元プログラム作成手段」という)と、オリジナルデータと配布データとの差分をとってなるデータである差分データを作成する手段(以下、「差分データ作成手段」という)と、第2の装置(以下、「利用者装置」という)でディジタル著作物を利用する際の条件を設定する手段(以下、「利用条件設定手段」という)と、復元プログラム作成手段、差分データ作成手段、および利用条件設定手段を含み、作成された復元プログラムおよび差分データを、設定された利用条件とともにカプセル化したオブジェクトを作成する手段(以下、「復元オブジェクト作成部」という)と、当該オブジェクトを暗号化する手段(以下、「暗号化手段」という)とを設ける。また、利用者装置には、暗号化データを復号化する手段(以下、「復号化手段」という)と、オブジェクト内の利用条件を見て利用可否を判定する手段(以下、「利用条件判定手段」という)と、当該判定結果に基づいて復元プログラムを実行する手段(以下、「復元プログラム実行手段」という)と、当該復元データを再生する手段(以下、「復元データ再生手段」という)とを設ける。
【0017】加工編集手段は、所定の方法によりオリジナルデータを加工編集して配布データを作成する。復元オブジェクト作成部は、復元プログラム作成手段および差分データ作成手段によって作成された復元プログラムおよび差分データを、利用条件設定手段によって設定された利用条件とともにカプセル化して復元オブジェクトを作成する。暗号化手段は、この復元オブジェクトを暗号化して暗号化データを作成する。
【0018】復号化手段は、流通センタ装置から送られてきた暗号化データを複合化して復元オブジェクトを元の平文にする。復元プログラム実行手段は、平文になった復元オブジェクトから復元プログラム、差分データ、および利用条件を取り出し、取り出された利用条件に基づき利用条件判定手段によって得られた判定結果に応じて、復元プログラムおよび差分データを使って配布データからオリジナルデータを復元する。
【0019】ここで、流通センタ装置には、著作権者がオリジナルデータに書き込むデータを指定する手段(以下、「書込みデータ指定手段」という)を設けてもよい。このとき、加工編集手段は、書込みデータ指定手段によって指定された著作権者所望の様式に基づき、書込みデータを変形し、変形された書込みデータを書き込むべきオリジナルデータ中の領域を決定し、当該領域に属するオリジナルデータ部分を切り出してメモリ上に確保しておき、当該領域に書込みデータを書き込む。後に差分データ作成手段が差分データを作成する際、メモリ上に確保しておいたオリジナルデータ部分を用いるようにしてもよい。
【0020】また、利用者装置には、復元されたオリジナルデータを編集して二次データを作成する手段(以下、「復元データ編集手段」という)と、その際の編集履歴を管理する手段と、前記復元データから二次データを自動生成するプログラムを前記編集履歴を参照して作成する手段とを設けてもよい。このとき、流通センタ装置を介して二次データを流通する場合は二次データ作成プログラムも暗号化して配布する。
【0021】また、書込みデータ指定手段が書込みデータの表示領域の形状を著作権者の指定に応じて設定するようにしてもよい。
【0022】また、書込みデータ指定手段には、著作権者所望の書込みデータ、その書込みデータのサイズ及びその書込みデータが書き込まれるオリジナルデータ中の領域からなる著作権者指定情報を著作権者別に記憶する著作権者指定情報記憶手段を設けてもよい。このとき、加工編集手段は、オリジナルデータが流通センタ装置に登録されるたび毎に著作権者指定情報記憶手段を参照し、登録した著作権者に対応する著作権者指定情報に基づき、対応する書込みデータを当該オリジナルデータに書き込む。書込みデータとしては、著作権者指定情報に登録された著作権者を識別する文字列または記号列から生成される情報を書込みデータとするようにしてもよい。
【0023】また、暗号化手段は、復元オブジェクトを利用者の公開鍵で暗号化して暗号化データを作成し、復号化手段は、暗号化データを利用者の秘密鍵で復号化して復元オブジェクトを平文にするようにしてもよい。
【0024】さらに、利用条件には利用者が使用できる期間が設定され、利用条件判定手段は、復号化手段が暗号化データを復号化した日時を検出する日時検出手段を有し、日時検出手段が検出した日時と複合化された暗号化データに係る利用条件に含まれる記載が示す期間とを比較し、その日時がその期間内にあるかどうかを判定するようにしてもよい。
【0025】本発明の最大の特徴は、ディジタル著作物を完全な形で扱えるのは著作者または信頼できる第三者が管理できる範囲にとどめ、一般には不完全な形でしか配布できないようにするという点である。具体的には、画像や動画像等のディジタル著作物をそのまま配布するのではなく、その内容を確認できる程度に情報量を落とすべく加工したデータを配布する。配布されたデータはサンプル版としての宣伝効果はあっても、無断利用によって著作権を侵害されるレベルのものではないので、不正コピーを無意味なものとすることができる。
【0026】逆に、配布するデータに著作権情報を埋め込むことによって、著作権の主張をより強固にすることができる。例えば、画像や動画像にコピーライト表示を画像として直接埋め込む。こうすることにより、利用者は配布されたデータが誰のものであるかを常に意識して利用することになる。
【0027】また、配布された不完全なデータを復元するためには、利用者は別途利用契約に基づく復元プログラムと場合によってはオリジナルデータと配布データとの差分をとった差分データを入手する必要がある。つまり、利用者がディジタル著作物を正式に利用するためには対価を支払わなければならないことになる。このとき、利用者は対価を支払うことによって、ディジタル著作物そのものを入手するのではなく、その著作物を利用する権利を入手する。この考え方に基づき、本発明では利用契約に応じた利用プログラムを利用者に渡すものとしている。例えば、ディジタル著作物を参照する権利を購入した場合は、不完全な配布データからオリジナルのデータを復元するプログラムとともにデータを再生するプログラムを送る。これに対して、ディジタル著作物を二次利用する権利を購入した場合は、不完全な配布データからオリジナルのデータを復元するプログラムとともにデータを編集するプログラムを送る。ここで、これら再生プログラムおよび編集プログラムを利用者装置にあらかじめ保持させておき、流通センタ装置からは復元プログラムとともにそれを上記の2つのプログラムのいずれかに渡すインタフェースが提供される構成でもよい。
【0028】本発明に係るディジタル著作物流通システムにおいては、上記の復元オブジェクトをいかに簡単に作成し、またそれを不正から保護するかといった点が重要になる。そこで本発明は以下の構成を採用した。
【0029】まず、復元オブジェクトを簡単に作成すべきという観点から、本発明は流通センタ装置内に編集履歴管理手段を設け、流通センタ装置でオリジナルデータを加工編集して配布データを作成する際にその編集履歴を保存しておき、当該編集履歴から容易に復元プログラムと差分データとを作成できるようにした。具体的には、編集操作が行われるたびにその逆の操作と関連データとを保存しておき、編集作業が終了した時点で保存されている操作及び関連データの列から冗長な操作等を適宜削除して得られる操作列およびデータに基づき、復元プログラム及び差分データを作成する。
【0030】また、復元オブジェクトを不正から保護すべきという観点から、第一に、本発明は復元オブジェクトを利用者に提供する際にこれを暗号化する。また、暗号方式として公開鍵暗号方式を採用して、復元オブジェクトを利用者ごとの公開鍵で暗号化する。こうすることにより、利用者は自分の秘密鍵以外では復号化できないことになる。このため、この復元オブジェクトを他人がコピーしても正規に購入した利用者の秘密鍵を同時に入手しない限りサービスを享受することはできない。また、この復元オブジェクトは暗号化によりガードされているので、その改ざんほぼ不可能である。同様に、配布データの改ざんを行ったとしても復元プログラムが正しく動作しなくなる可能性が高まるので、オリジナルデータとしての改ざんは不可能である。第二に、本発明は利用条件を復元オブジェクトとしてカプセル化し、それを暗号化する。こうすることにより、利用条件の改ざんは不可能となり、利用者による利用契約違反をほぼ完全に阻止できる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。なお、本実施形態ではディジタル著作物の代表例として、静止画像を取り上げて説明する。他のディジタル著作物、例えば動画像の場合は、動画像を静止画像の連続集合と考えて本実施形態と同様の構成で実施すればよい。また、テキスト、音声、及びマルチメディアタイトル等の場合は、静止画像に係る本実施形態と構成が異なる部分についてのみ適宜説明を加える。
【0032】まず、本実施形態の概要を説明する。
【0033】図1は、本実施形態に係るディジタル著作物流通システムの基本構成を示す図である。本システムは、ディジタル著作物を配布するための流通センタ装置10と当該ディジタル著作物を利用するための利用者装置70とから構成される。
【0034】著作物提供者は、ディジタル著作物のオリジナルデータ1を流通センタ装置10に登録する。流通センタ装置10は、登録されたオリジナルデータ1に基づき、内容が確認できる程度に情報量を落として配布データ3を作成する。この配布データ3は、無償で一般に配布することを前提とし、主に宣伝目的に利用される。また、著作物提供者が当該ディジタル著作物の著作権に関する情報である著作権表示データ2を流通センタ装置10に登録することにより、流通センタ装置10はオリジナルデータ1に著作権表示データ2を直接埋め込んで配布データ3を作成する。配布データ3に著作権表示データ2が直接埋め込まれていることにより、利用者は常に著作権表示部分4を意識して配布データ3を利用することになる。このため、宣伝効果を上げるとともに当該著作物の権利の帰属先を明確にする効果がある。
【0035】利用者は、利用契約61に基づきディジタル著作物を利用したい場合、何らかの対価を支払って、配布データ3をオリジナルデータ1に復元するためのプログラム41及び差分データ42を入手する。これらは利用する際の条件である利用条件43とともに復元オブジェクト40としてカプセル化されており、利用者には暗号化データ52として送られる。ここで、利用者にはオリジナルデータ1そのものを暗号化したデータではなく、オリジナルデータ1と配布データ3との差を取って作られる差分データ42、及びそれを配布データ3に埋め込んでオリジナルデータ1に復元するプログラム41を暗号化することに本発明の特徴がある。このことによって、オリジナルデータ1が完全な形で流通センタ装置10の管理外に出ることを防いでいる。また、オリジナルデータ1そのものを暗号化する場合に比べ、暗号化する情報量が少ないので、復号化にかかるオーバヘッドが少なくなるという効果がある。
【0036】復元オブジェクト40には利用契約61に基づく利用条件43も含まれており、利用者装置70はこれを解釈して利用可否および利用権限を判定する。利用可否の判定としては、例えば、利用条件43として利用期間が設定されている場合、利用者装置70は復元オブジェクト40の暗号化データ52を取得した現在日時とこの利用期間とを比較して、現在日時が利用期間内ならば利用可と判定し、利用期間外ならば利用不可と判定する。一方、利用権限の判定としては、例えば、利用に対して支払った対価等からなる利用契約に基づいて利用可能な機能あるいは範囲を利用者装置70で限定する。すなわち、ディジタル著作物の利用目的には主として鑑賞及び参照と加工編集による二次利用とがあるが、利用条件43に、鑑賞及び参照まで許可されているのか加工編集による二次利用まで許可されているのかという権限の許可範囲を記載しておくことにより、利用者装置70は対応する利用者の利用権限を判定し、その利用者が利用者装置70で操作できる機能を限定する。こうすることによって、利用者装置70内でもオリジナルデータ1の不正コピー防止及び改ざん防止を保証できる。
【0037】次に、本実施形態の詳細を説明する。
【0038】流通センタ装置10は、オリジナルデータ1を加工編集して配布データ3を作成する配布データ作成部20、復元プログラム41と差分データ42とを利用条件43とともにカプセル化した復元オブジェクト40を作成する復元オブジェクト作成部30、復元オブジェクト40を暗号化する暗号化手段50、および利用者との利用契約61を管理する利用管理手段60を有する。
【0039】配布データ作成部20は、加工編集のためのデータ切り出し手段22、データ書き込み手段23、データ変形手段24、およびこれら各手段22〜24による編集作業の履歴を管理する編集履歴管理手段21を有する。これら各手段22〜24は、内容が確認できる程度にオリジナルデータ1の情報量を落とすように編集し、また、著作権表示データ2をオリジナルデータ1のサイズにあうように変形して書き込むのに用いる。
【0040】復元オブジェクト作成部30は、オリジナルデータ1を再現するための復元プログラム41を作成する復元プログラム作成手段31、オリジナルデータ1と配布データ3から差分データ42を作成する差分データ作成手段32、および利用条件43を設定する利用条件設定手段33を有する。復元プログラム作成手段31および差分データ作成手段32は、それぞれその時点までの編集履歴を参照して復元プログラム41および差分データ42を作成する。この編集履歴は、データ編集順に配列された編集コマンドの列として編集履歴管理手段21によって管理されているので、復元プログラム作成手段31および差分データ作成手段32は、この編集コマンドの列を新しい順に参照していくとともに、冗長なコマンドを取り除いて、配布データ3を順に元のオリジナルデータ1に戻していけるような形の復元プログラム41および差分データ42を作成する。ここで、差分データ42は、復元プログラム41によって配布データ3の適切な位置に挿入されるべきものとして作成される。利用条件設定手段33は、あらかじめ利用条件43を複数設定しておき、これらの利用条件43を復元プログラム41および差分データ42とともに復元オブジェクト40としてカプセル化する。また、利用期間などは利用者が利用契約を結ぶたびに更新する必要があるので、利用条件設定手段33を利用管理手段60とリンクさせて、利用条件43を正しく設定できるようにしておく。
【0041】以上の過程を経て作成された復元オブジェクト40は、暗号化手段50によって暗号化データ52に変換されて利用者装置70に供給される。現在、多種多様な暗号化方式が知られているが、ここでは公開鍵暗号方式を用いる。公開鍵暗号方式は、公開鍵と秘密鍵という一対の鍵を用意し、一方で暗号化、もう一方で復号化を行う方式である。公開鍵は一般に公開された鍵であり、秘密鍵は利用者本人しか知らない鍵である。本実施形態では、暗号キー51を公開鍵とし、復号キー54を秘密鍵とする。したがって、復号化は利用者個人の秘密鍵でしか行えないことになる。このため、利用者がたとえ暗号化データ52を不正にコピーして他人に譲渡したとしても、同時に自分の秘密鍵を公開しない限り、譲渡された他人はその暗号化データ52を復号化してその内容を見ることはできない。つまり、その不正コピーは無意味となる。なお、利用者ごとの公開鍵および秘密鍵を管理するため、信頼できる第三者が運用するキー管理機関55を設ける。
【0042】利用者装置70は、配布データ3を再生する配布データ再生手段24、利用者がディジタル著作物の利用申し込みを行うための利用伝達手段62、並びに利用申し込み後に入手する暗号化データ52および配布データ3からオリジナルデータ1を復元して再生するデータ再生部80を有する。
【0043】配布データ再生手段24は、通常の画像表示プログラムによって構成される。前述したように、配布データ3は主として宣伝目的に利用されるべきものであり、配布データ3を再生するために特別なソフトウェアを必要とするようでは、充分な宣伝効果を上げることは難しいと考えられる。このため、配布データ3は汎用の画像データとし、配布データ再生手段24のような利用者一般に普及している画像表示プログラムで再生できようにしておく。
【0044】利用伝達手段62は、サービスを受けるに先立ち利用契約61を流通センタ装置10へ送るための手段であり、電子メール等のオンライン伝送装置または申込書等のオフライン伝送手段により構成される。利用者は利用伝達手段62によって作成された利用契約61に基づき、著作物提供者に対価を支払う。利用伝達手段61として、電子マネーや利用者認証等の要素技術を応用した電子取引装置を用いてもよい。また、最も確実な方法として、申込書郵送による利用伝達と銀行振り込みによる対価支払いとを組み合わせる方法を採用してもよい。
【0045】データ再生部80は、復号化手段53、復元プログラム実行手段81、利用条件判定手段82、復元データ再生手段83、および復元データ編集手段84を有する。先にも述べたように、復号化手段53は、利用者の秘密鍵である復号キー54を用いて暗号化データ52を復号化する。
【0046】利用条件判定手段82は、利用条件43中の各項目ごとに利用者装置70の現在状態を調べ、復元オブジェクト40内の利用条件43と比較して、現在状態が利用条件43満たすか否かを判定する。例えば、利用条件43として利用期間が設定されている場合は、利用日時がその利用期間内であるか否かを判定する。現在状態が利用条件43を満たす場合は、復元プログラム実行手段81によって復元プログラム41が実行される。復元プログラム41を実行する際には、復元プログラム41と差分データ42以外に配布データ3が必要になる。配布データ3はこの時点ではすでに利用者に渡っているはずであるが、配布データ3の紛失・損傷、あるいは配布データを受け取らずに利用契約をした場合等を考慮して、暗号化データ52とともに配布データ3も利用者に送るようにしてもよい。
【0047】復元データ再生手段83は、復元されたオリジナルデータ1を再生表示するプログラムである。同じく、復元データ編集手段84は、復元されたオリジナルデータ1を編集するプログラムである。利用条件判定手段82は、利用契約61に基づく利用条件43に従い、どちらのプログラムを利用者に使用させてよいかを判断し、プログラム選択スイッチ85を切り換えて復元データ再生手段83または復元データ編集手段84のいずれかに復元されたオリジナルデータ1を渡す。復元データ再生手段83及び復元データ編集手段84は、暗号化データ52の復号化手段53、利用条件判定手段82、および復元プログラム実行手段81とともに、すべてデータ再生部80に1つのプログラムとして埋め込まれているので、復号化された復元オブジェクト40を利用者が不正目的でローカルなディスクに保存したり、内容を改ざんすることが難しいという利点がある。
【0048】図2は、本実施形態に係るディジタル著作物流通システムにおいて利用者に配布される配布データ3の表示例を示す図である。まず、図2(A)の表示例90には、著作権表示100〜102が埋め込んである。著作権の帰属先を明確にするため、また改ざんによる二次利用を防ぐため、複数の著作権表示100〜102をオリジナルデータ1の画像全体に分散させて埋め込んでいる点に特徴がある。
【0049】また、図2(B)の表示例91には著作権者のマーク103が埋め込んである。表示例90では著作権表示に係るテキストを画像に変換し、これをオリジナルデータ1に埋め込んでいたが、マーク103のように著作権者個人のシンボルマークのような画像を直接埋め込むことによって、より自然な形で配布データ3を観賞できるという利点がある。絵画や書道では作者のサインや印を作品に入れることが一般化しているが、これを静止画像や動画像等のディジタル著作物に対して行おうとするものである。
【0050】また、図2(C)の表示例92には著作権表示104が矩形の画像データではなく、文字フォントの形の画像データとして挿入されている。ここでは文字フォントの形に限らず、他の様々な形の画像データを挿入してもよい。様々な形の画像データが埋め込んであるので、矩形の画像データを埋め込んである場合と比べて、復元プログラム41が複雑になりがちであるが、その分利用者による改ざんやオリジナルデータ1に対する不正な復元行為を効果的に防げるという利点もある。また、各文字フォントのスタイルを袋文字にし、文字枠だけ強調して内部にはバックグランドの模様を浮き上がらせることによって、さらに復元のプロセスを複雑にすることができる。
【0051】また、図2(D)の表示例93では、特に著作権に関するデータを表示していないが、人間の顔を識別するのに不可欠な目の部分を画像105で隠している。このように、画像にはそれが意味をなすのに中心的に働く部分があり、これを人手または自動的に指定し、当該部分を切り取るなどして隠すことにより、内容の確認はある程度できるが情報量は大幅に減っている配布データ3を作成することができる。他のメディアのディジタル著作物に対しても基本的に同じ考え方であって、その著作物の中で中心的な役割を果たしている部分を隠したデータを一般に配布する。前述したように配布データ3には宣伝効果があり、配布データ3を見て興味を持った利用者は著作物提供者と利用契約を結び、対価を支払って配布データ3をオリジナルデータ1に変換する復元オブジェクト40を入手する。
【0052】次に、本実施形態に係るディジタル著作物流通システムにおいてディジタル著作物を流通させる場合の処理について説明する。
【0053】図3は、流通センタ装置10で実行されるディジタル著作物流通処理110を示すフローチャートである。まず、オリジナルデータ1を入力する(ステップ111)。ここで、オリジナルデータ1の構成を表現する管理テーブル150を図5に示す。オリジナルデータ1は、X方向151およびY方向152それぞれのドット位置とその位置におけるピクセル値(RGB値)153との組の集合で表現される。ピクセル値153はR、G、B、各1バイトの合計3バイトで表現するものとし、ここでは各値を16進数で表現している。例えば、行154は、ドット位置(X,Y)=(610,451)のピクセル値がR=3F、G=B2、B=56であることを表す。このピクセル値153の表現様式については、図6および図7においても同様である。
【0054】次に、著作権表示データ2を読み出す(ステップ112)。図2の説明で述べたように、著作権表示データ2には、著作権に関するテキストを画像に変換して生成したデータと、著作権表示として代用するアイコンのような画像データとがある。いずれにしても、著作権者がディジタル著作物を流通センタ装置10に登録するたびごとに著作権表示データ2を入力するか、あるいはあらかじめ著作権者が登録してディスク等に格納しておいた著作権表示データ2をそのディスクから読み出すかする必要がある。
【0055】次に、著作権表示データの書き込み条件を設定する(ステップ113)。書き込み条件としては、書き込み位置や書き込む大きさ、そして書き込む際のスタイル等を設定する。例えば、著作権表示データ2がテキストである場合は、フォントの種類やサイズ及び表示スタイルを書き込み条件として設定する。図5は、切り出す部分として行154〜156で表されるドット位置が設定されたこcとを示す。
【0056】次に、設定された書き込み条件に従って、著作権表示データ2を変形する(ステップ114)。すなわち、書き込み条件に従ってテキストを画像に変換したり、書き込み条件に従う大きさに画像を拡大または縮小したりする。
【0057】次に、書き込み条件として設定された書き込み位置からオリジナルデータ1を切り出し(ステップ115)、当該書き込み位置に著作権表示データ2をオーバーライトする(ステップ116)。この際、切り出したオリジナルデータ部分は後に利用するのでメモリ上に残しておく。以上により、配布データが完成し、一般に公開される(ステップ117)。
【0058】図6は、配布データ3の構成を表現する管理テーブル160を示す図である。基本的には図5の管理テーブル150と同様の構成であるが、行164〜166のピクセル値153が、先に著作権表示のための切り出し位置として設定した図5の行154〜156のピクセル値153と異なる。ここでは、説明を簡単にするため、ピクセル値をすべて黒色(000000)に統一しているが、実際はここに著作権表示データ2が書き込まれ、すべてのピクセル値が黒色(000000)ということにはならない。
【0059】ステップ112からステップ117までの処理は、基本的には配布データ作成部20を構成するコンピュータが行う。そのため、著作権者は著作権表示データ2をあらかじめ登録しておき、オリジナルデータ1の加工編集作業も著作権者によってプログラム化されているものとする。もちろん、プログラム化の作業は対話的に行うものとし、著作権者の負担が増えないようにする。
【0060】次に、ステップ115でメモリ上に残しておいたデータを差分データ42として保存する(ステップ118)。同じく、差分データ42を配布データ3に反映するためのプログラムを作成する(ステップ119)。差分データ42の構成は図7に示す通りであるが、基本的な構成は図5および図6の管理テーブル150および160と同様である。ただし、両者の差分値を保存するので、データサイズはかなり小さくなる。単純には、管理テーブル150と管理テーブル160との差をとって値が0になるところ以外を差分データとして保存すればよい。また、復元プログラム41は、差分データ42の各ドット位置ごとにピクセル値153を配布データ3のピクセル値153に足し合わせるといった内容になる。復元プログラム41の例を図7に示す。
【0061】次に、利用条件43を設定する(ステップ120)。利用条件43の設定すべき項目はあらかじめ著作権者が指定しておく。そして、利用期間のように契約時に設定する必要がある条件や利用可能な機能範囲など利用者が契約時に選択できる条件は契約時に、それ以外の条件は事前に設定しておく。利用条件43の例を図7に示す。ここでは、利用条件43の項目として、利用期間、利用マシン名、および利用機能が指定されている。
【0062】次に、復元プログラム41、差分データ42、および利用条件43をカプセル化し(ステップ121)、復元オブジェクト40を完成する(ステップ122)。ここで、カプセル化とは、一つのデータ構造の中に値を埋め込むことをいう。
【0063】図7は、ステップ118〜120で作成した差分データ42、復元プログラム41、および利用条件43をカプセル化してできた復元オブジェクト40の例を示す図である。
【0064】最後に、復元オブジェクト40を暗号化し(ステップ123)、処理を終了する(ステップ124)。暗号化された復元オブジェクト40は利用者からの送信要求を待って利用者装置70に送信されることになる。
【0065】次に、本実施形態に係るディジタル著作物流通システムにおいてディジタル著作物を利用者が参照する場合の処理について説明する。
【0066】図4は、利用者装置70で実行されるディジタル著作物参照処理130を示すフローチャートである。まず、利用者が配布データを入手し、試行的に再生する(ステップ131)。この際、特別なハードウェアやソフトウェアは必要なく、画像の場合は通常の画像データ表示プログラムを利用者が持っていればよい。利用者が入手した配布データは暗号化など特別な処理を施していない通常の画像データなので、一般の画像データ表示プログラムで普通に再生できる。
【0067】次に、利用者が所望の画像の利用申し込みを行い、利用契約を結び、利用料金等の対価を支払う(ステップ132)。このステップは、近年のセキュリティ技術の進歩により、今後は電子取引等の方法で行うことが可能となるであろうが、先にも述べたように、契約書の郵送や利用料金の銀行振り込みなどの方法で行ってもよい。
【0068】流通センタ装置10から暗号化された復元オブジェクト40が送られてくると(ステップ133)、利用者装置70は、まず暗号化データ52を復号化し、復元オブジェクトを得る(ステップ134)。
【0069】次に、復元オブジェクト40から利用条件43を入手する(ステップ135)とともに、利用者装置70の現在の利用状況を入手し(ステップ136)、利用条件43と現在の利用状況とを互いに比較する(ステップ137)。ここでは、利用条件の項目として、図7のように、利用期間、利用マシン名、および利用機能をセットしている。そのため、現在の利用状況としても利用日時と暗号化データ52をインストールした利用マシン名とを入手しておく。そして、利用日時が平成7年9月20日を越えていないか、また利用マシンがyagawa.hitachi.co.jpであるかを判定する。これらの利用状況が条件に合致しないときは処理を終了し(ステップ138)、合致するときは処理をこのまま継続する(ステップ140)。
【0070】最後に、復元プログラムを実行して、オリジナルデータ1を復元し(ステップ141)、当該オリジナルデータ1を再生する(ステップ142)。
【0071】図7の利用条件43では、利用できる機能を参照機能のみと限定しているため、データ再生部80内の復元データ再生手段83が起動されるが、編集機能も利用可能であるように利用契約が結んである場合は、復元データ編集手段84が起動される。復元データ編集手段84は、復元されたオリジナルデータ1を編集して二次データを作成する手段と、その際の編集履歴を管理する手段と、復元されたオリジナルデータ1から二次データを自動生成するプログラムを上記の編集履歴を参照して作成する手段とを有する。ここで、流通センタ装置10を介して二次データを流通する場合は、二次データ作成プログラムも暗号化して配布する。
【0072】上記のステップ134からステップ142まではデータ再生部80が一括して行う処理である。本発明はすべてのデータを暗号化するのではなく、差分データだけを暗号化するので、ステップ134の復号化する処理において復号化のオーバヘッドが少なくてすむという効果がある。
【0073】なお、本実施形態ではディジタル著作物として特に静止画像を取り上げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、著作物としての性質を有するあらゆるディジタル情報を本発明におけるディジタル著作物として扱ってよい。
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、利用者に直接配布する画像データには著作権表示が埋め込まれるので、著作物提供者の権利を効果的に保護することができる。また、利用者がオリジナル画像を見たい場合は、差分データおよび復元プログラムを入手する必要があるため、著作物提供者への適切な対価支払いが期待できる。さらに、差分データはプログラム内に隠蔽化されているので、オリジナル画像の不正コピーは、画面のハードコピー等を行わない限りほぼ不可能であり、係る不正コピーを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るディジタル著作物流通システムの基本構成を表す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るディジタル著作物流通システムで利用者に配布する画像データの表示例を表す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るディジタル著作物流通システムでディジタル著作物を流通する際の処理を表す説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るディジタル著作物流通システムでディジタル著作物を参照する際の処理を表す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るディジタル著作物流通システムでオリジナルデータの構成を表す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るディジタル著作物流通システムで配布データの構成を表す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るディジタル著作物流通システムで復元オブジェクトの構成を表す説明図である。
【符号の説明】
1 オリジナルデータ
2 著作権表示データ
3 配布データ
4 著作権表示部分
10 流通センタ装置
20 配布データ作成部
21 編集履歴管理手段
22 データ切り出し手段
23 データ書き込み手段
24 データ変形手段
30 復号オブジェクト作成部
31 復元プログラム作成手段
32 差分データ作成手段
33 利用条件設定手段
40 復元オブジェクト
41 復元プログラム
42 差分データ
43 利用条件
50 暗号化手段
51 暗号キー
52 暗号化データ
53 復号化手段
54 復号キー
55 キー管理機関
60 利用管理手段
61 利用契約
62 利用伝達手段
70 利用者装置
80 データ再生部
81 復号プログラム実行手段
82 利用条件判定手段
83 復元データ再生手段
84 復元データ編集手段
85 プログラム選択スイッチ
90〜93 表示例
100〜102 著作権表示
103 マーク
104 著作権表示
105 画像
110 ディジタル著作物流通処理
130 ディジタル著作物利用処理
150 オリジナルデータ管理テーブル
160 配布データ管理テーブル
 
訂正の要旨 本件特許異議申立に係る特許についての訂正の要旨は、次のとおりである。
1.特許請求の範囲の減縮を目的として、
特許請求の範囲の請求項3の「前記ネットワークから受信した暗号化データを複号化する復号化手段」を、「前記ネットワークから受信した暗号化データを復号化して、復元プログラムと差分データと利用条件とを含む復元オブジェクトを生成する復号化手段」と訂正する。
2.明りょうでない記載の釈明を目的として、
(1)特許請求の範囲の請求項3の「前記ネットワークから受信した復元オブジェクトに含まれる利用条件に基づき利用可否を判定する手段」を、「前記利用条件に基づき利用可否を判定する利用条件判定手段」と訂正する。
(2)特許請求の範囲の請求項3の「前記判定結果に基づき配布データから前記オリジナルデータを復元するための復元プログラムを実行する手段」を、「前記判定結果に基づき、前記復元プログラムを用いて配布データと前記差分データとからオリジナルデータを復元する復元プログラム実行手段」と訂正する。
(3)特許請求の範囲の請求項3の「前記復元プログラムの実行により復元されたオリジナルデータを再生する手段」を、「前記復元されたオリジナルデータを再生する復元データ再生手段」と訂正する。
3.誤記の訂正を目的として、
発明の詳細な説明の段落【0044】第1行目及び第4行目の「利用伝達手段61」を「利用伝達手段62」と訂正する。
異議決定日 2002-05-31 
出願番号 特願平7-296478
審決分類 P 1 652・ 121- YA (G06F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 野崎 大進  
特許庁審判長 佐藤 荘助
特許庁審判官 久保田 健
岡 千代子
登録日 2001-03-30 
登録番号 特許第3173352号(P3173352)
権利者 株式会社日立製作所
発明の名称 ディジタル著作物流通システム  
代理人 作田 康夫  
代理人 澤井 敬史  
代理人 作田 康夫  

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