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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A61K
審判 全部申し立て 特39条先願  A61K
管理番号 1064338
異議申立番号 異議2002-70144  
総通号数 34 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-02-03 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-01-17 
確定日 2002-07-03 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3195444号「健康飲料およびその製造方法」の請求項1〜7に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3195444号の請求項1〜7に係る特許を維持する。 
理由 1.手続きの経緯
本件特許第3195444号の請求項1〜7に係る発明は、平成4年11月6日に特許出願(特願平4-297453号)され、平成13年6月1日に特許権の設定登録がされた。その後、特許異議申立人・株式会社ジェー・ビー・ビーにより、特許異議の申し立てがなされた。平成14年5月17日付(差出日:同年5月16日)で特許権者から上申書が提出され、特許取消理由が通知された後、意見書提出の指定期間内である平成14年6月11日に明細書の訂正の請求がなされた。

2.訂正請求について
(1)訂正の内容
(イ)訂正事項イ
本件特許明細書、第【0004】段落の
「特願平3-193301号」
を、
「特願平3-193301号(特公平7-13021号として出願公告され、特許第1984018号として特許されている)」
に訂正する
(ロ)訂正事項ロ
本件特許明細書、第【0026】段落の
「得られた液剤」

「なお、上記先願発明で得られた液剤」
に訂正する。

(2)訂正の可否について
(イ)訂正事項イ
訂正事項イは、本件特許出願時に出願番号しか知ることができなかった先願発明について、その公告番号及び特許番号を明らかにするものであるので、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正である。
(ロ)訂正事項ロ
訂正事項ロは、本件明細書に記載されていた「液剤」の分析結果及び急性毒性試験が、本件明細書第【0004】段落において言及している液剤(先願発明の液剤)によることを明らかにするものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正である。なお、斯かる分析結果及び急性毒性試験が先願発明のものであることは、先願発明の公告公報(特公平7-13021号公報)の第【0021】段落に示されている社団法人日本食品衛生協会第01-4651号、第01-6559号の試験結果、及び同第【0025】段落以下に示されている社団法人日本食品衛生協会第01-4651号の2号の試験結果の記載からも明らかである。

そして、上記訂正事項イ〜ロは、いずれも、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。

(3)むすび
したがって、本件訂正は、特許法第120条の4第2項並びに同条第3項で準用する同法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、訂正を認める。

3.特許異議申立についての判断
(1)異議申立の理由の概要
特許異議申立人・株式会社ジェー・ビー・ビーは、特許第3195444号の請求項1〜請求項7に係る発明は、甲第1号証に記載された先願発明と同一であり、また、甲第1号証〜甲第5号証に記載された発明から当業者が容易に発明できたものであるので、本件特許は特許法第113条第1項第2号に該当し、取り消されるべきものである旨を主張する。

(2)本件発明
上記2.に示したように、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1〜請求項7に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜請求項7に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】 ステビア茎部の抽出液の濃縮液と高麗人参の混合物を熟成させたことを特徴とする健康飲料。
【請求項2】 前記茎部の抽出液の濃縮液が成熟ステビアの茎部の抽出液を濃縮したものである請求項1記載の健康飲料。
【請求項3】 前記茎部の抽出液の濃縮液が糖度20ないし25である請求項1または2記載の健康飲料。
【請求項4】 高麗人参が6年根である請求項1ないし3のいずれか1記載の健康飲料。
【請求項5】 ステビア茎部の濃縮液に高麗人参を添加混合する工程と、該混合物を熟成させる工程を含むことを特徴とする健康飲料の製造方法。
【請求項6】 ステビア抽出液が成熟ステビア茎部の抽出液の濃縮液である請求項5記載の健康飲料の製造方法。
【請求項7】 熟成工程が、混合物を10ないし25℃で90日ないし360日行われる請求項5または6記載の健康飲料の製造方法。」

(3)刊行物に記載された発明
特許異議申立人・株式会社ジェー・ビー・ビーが甲第1号証〜甲第5号証として提出した刊行物には、それぞれ以下の事項が記載されている。

(イ)甲第1号証:特公平7-13021号公報
(a)「ステビア茎部から抽出した醗酵濃縮液を有効成分とする消化器系疾患治療用内服薬剤。」(【特許請求の範囲】、【請求項1】)

(ロ)甲第2号証:漢方薬医学双書-別巻2 薬用人参
(a)人参は、播種から収穫まで6年もの年月を必要とすること。(第20頁第9行〜第10行)
(b)人参の薬理効果として、鎮静作用と抗疲労作用(興奮作用)という相反する作用を持っていたこと。(第158頁末行〜第159頁第1行)

(ハ)甲第3号証:特開平3-151321号公報
(a)「ステビア濃縮醗酵液を有効成分とすることを特徴とする浴用剤。」(特許請求の範囲第1項)
(b)ステビア濃縮醗酵液の製造方法に関し、ステビア茎粉末(0.6μm以上、10.0μ以下に粉砕したもの)1kgに対して、6リットルの水を入れて煮詰め、その濃縮液から分離した残渣に、更に4リットルの水を加えて煮詰め、両濃縮液を混合して加熱下に煮詰め、混合濃縮液が約1リットル程度になったところで濃縮工程を終了すること。;15〜30℃、好ましくは20〜25℃の条件下に、90〜360日間の長期醗酵を行うこと。(第2頁左下欄第1行〜右下欄第10行)
(c)「皮膚に対する美肌効果ならびに血行促進効果」があること(第2頁右下欄第17行〜第18行)

(ニ)甲第4号証:特開平3-127959号公報
(a)「成熟したステビア葉を乾燥後、粉砕して平均粒径10μ以下の粉末とし、これを煮沸してステビア濃縮液を得、さらに、これを熟成させることを特徴とするステビア甘味濃縮液の製造方法」(特許請求の範囲第1項)
(b)ステビア濃縮醗酵液の製造方法に関し、ステビア葉粉末(10μ以下に粉砕したもの)1kgに対して、6リットルの水を入れて煮詰め、その濃縮液から分離した残渣に、更に4リットルの水を加えて煮詰め、両濃縮液を混合して加熱下に煮詰め、混合濃縮液が約1リットル程度になったところで濃縮工程を終了すること。;15〜30℃、好ましくは20〜25℃の条件下に、90〜360日間の長期醗酵を行うこと。(第2頁左下欄第3行〜第3頁左上欄第3行)。

(ホ)甲第5号証:特開平4-66535号公報
(a)「ステビア茎部の醗酵濃縮液を有効成分とする皮膚病治療剤ないし血行促進剤。」(特許請求の範囲第1項)
(b)ステビア茎部の醗酵濃縮液の製造方法に関し、ステビア茎粉末(15μ以下に粉砕したもの)1kgに対して、6リットルの水を入れて煮詰め、その濃縮液から分離した残渣に、更に4リットルの水を加えて煮詰め、両濃縮液を混合して加熱下に煮詰め、混合濃縮液が約1リットル程度になったところで濃縮工程を終了すること。;15〜30℃、好ましくは15〜25℃の条件下に、90〜360日間の長期醗酵を行うこと。(第2頁左下欄第6行〜第3頁左上第2行)

(4)対比・判断
(イ)特許法第39条第1項について
甲第1号証は、平成7年7月28日に登録査定がなされ、同年8月28日に登録料が納付されており(特許第1984018号)、先願としての地位が確定している。
甲第1号証に記載の発明は、「ステビア茎部から抽出した醗酵濃縮液を有効成分とする消化器系疾患治療用内服薬剤。」であるのに対して、本件特許の請求項1に係る発明(以下、本件第1発明とする)は、「ステビア茎部の抽出液の濃縮液と高麗人参の混合物を熟成させたことを特徴とする健康飲料」であり、本件第1発明が甲第1号証に記載された先願発明と同一であるとすることができない。
本件特許の請求項2〜請求項4に係る発明は、本件第1発明を更に特定したものであるので、上記と同様の理由により、甲第1号証に記載された先願発明と同一であるとすることができない。
そして、本件特許の請求項5〜請求項7に係る発明は、「ステビア茎部の濃縮液に高麗人参を添加混合する工程と、該混合物を熟成させる工程を含むことを特徴とする健康飲料の製造方法。」であるから、上記と同様に、甲第1号証に記載された先願発明と同一であるとすることができない。

(ロ)特許法第29条第2項について
甲第3号証及び甲第5号証には、ステビア茎部濃縮醗酵液についての記載(上記の(2)(ハ)(b)及び(2)(ホ)(b)参照)はあるが、そのような濃縮醗酵液を製造する濃縮液に、高麗人参を加えて醗酵させることについては、記載も示唆もない。
また甲第4号証には、ステビア葉部を用いた濃縮醗酵液についての記載(上記の(2)(ニ)(a)及び(b)参照)はあるが、ステビア茎部を用いること、そして、ステビア茎部からの濃縮液に、高麗人参を加えて醗酵させることについては、記載も示唆もない。
これに対して本件第1発明は、ステビア茎部の抽出液の濃縮液と高麗人参の混合物を熟成させた健康飲料に係るものであり、甲第1号証〜甲第5号証から当業者が容易に発明できたものと認めることができない。
本件特許の請求項2〜請求項4に係る発明は、本件第1発明を更に特定したものであるので、上記と同様の理由により、甲第1号証〜甲第5号証から当業者が容易に発明できたものと認めることができない。
そして、本件特許の請求項5〜請求項7に係る発明は、「ステビア茎部の濃縮液に高麗人参を添加混合する工程と、該混合物を熟成させる工程を含むことを特徴とする健康飲料の製造方法。」であるから、上記と同様に、甲第1号証〜甲第5号証から当業者が容易に発明できたものと認めることができない。

4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1〜請求項7に係る発明についての特許を取り消すことができない。
また、他に本件特許の請求項1〜請求項7に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
健康飲料およびその製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 ステビア茎部の抽出液の濃縮液と高麗人参の混合物を熟成させたことを特徴とする健康飲料。
【請求項2】 前記茎部の抽出液の濃縮液が成熟ステビアの茎部の抽出液を濃縮したものである請求項1記載の健康飲料。
【請求項3】 前記茎部の抽出液の濃縮液が塘度20ないし25である請求項1または2記載の健康飲料。
【請求項4】 高麗人参が6年根である請求項1ないし3のいずれか1記載の健康飲料。
【請求項5】 ステビア茎部の濃縮液に高麗人参を添加混合する工程と、該混合物を熟成させる工程を含むことを特徴とする健康飲料の製造方法。
【請求項6】 ステビア抽出液が成熟ステビア茎部の抽出液の濃縮液である請求項5記載の健康飲料の製造方法。
【請求項7】 熟成工程が、混合物を10ないし25℃で90日ないし360日行われる請求項5または6記載の健康飲料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は天然植物を原料とした健康飲料およびその製造方法に関するものであって、より詳しくは、ステビア茎部からの抽出液を濃縮したものに高麗人参を混合し、これを熟成させて得られる健康飲料およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】
天然植物を原料として、該植物の抽出液から医薬品、飲食物などの各種の有用なものを製造することは古くから行われていた。そして、天然植物としてステビアに着目し、該植物から甘味料、医薬品、浴用剤あるいは園芸用肥料等を製造する技術はすでに知られている。
【0003】
例えば、本願出願人によって開発された技術として、特開平3-127959号公報には、ステビアの甘葉からの抽出液を濃縮し、熟成させて甘味料を製造する技術が開示されているのをはじめとして、特開平4-65380号公報、特開平4-66535号公報、特開平3-151321号公報および特開平3-230632号公報には、それぞれステビア植物を原料とした園芸用肥料、浴用剤、皮膚用外用剤、畜産用内服液を製造する技術を提案している。
【0004】
また、本発明者は、すでにステビアを原料とした内服液を開発し、特願平3-193301号(この出願は、特公平7-13021号として出願公告され、特許第1984018号として特許されている)としてすでに特許出願済(以下、先願発明ということがある)であるが、本発明者は前記先願発明を追試し、更に有用な液剤を求めて研究を継続する過程において、特定のステビア抽出液の濃縮に高麗人参を混合して熟成したものが、飲用した場合には優れた健康増進効果を示すと共に、皮膚に塗布した場合には、アトピー性皮膚炎やしもやけなどの皮膚疾患を有効に改善するという知見を得、本発明を完成するに至った。
即ち、前記先願発明のステビア抽出液を有効成分とする内服液は優れた作用を与えるものであるが、本発明の健康飲料は、飲用しても、皮膚に塗布しても、各種の疾病に有効に作用するものであり、この効果は、特定のステビア抽出液の濃縮液と高麗人参を混合して、これを熟成することによって初めて得られるものである。
【0005】
【発明の目的】
そこで本発明の目的は、合成品を含まず、天然品だけを原料として製造され優れた作用を有する健康飲料およびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【問題点を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、ステビア茎部の抽出液の濃縮液と高麗人参の混合物を熟成させたことを特徴とする健康飲料が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、前記茎部の抽出液の濃縮液が成熟ステビアの茎部の抽出液を濃縮し、糖度が20ないし25のものである上記健康飲料が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、高麗人参が6年根である上記健康飲料が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、ステビア茎部の濃縮液に高麗人参を添加混合する工程と、該混合物を熟成させる工程を含むことを特徴とする健康飲料の製造方法が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、ステビア抽出液が成熟ステビア茎部の抽出液の濃縮液である上記健康飲料の製造方法が提供される。
【0011】
また、本発明によれば、前記熟成工程が、混合物を10ないし25℃で90日ないし360日行われる上記健康飲料の製造方法が提供される。
【0012】
【発明の具体的な説明】
以下、本発明を具体的に説明する。
〈ステビア抽出液の濃縮液の調製〉
本発明の原料の一つであるステビア植物は、南米パラグアイおよびブラジルを原産とするキク科の多年生植物で、学名をステビア、レバウディアナ、ベルトニー(Stevia、Rebaudiana、Bertoni )といわれるものである。通常、4月から5月にかけて、株苗あるいは挿し木苗を定植し、育てるものである。
【0013】
そのステビア植物を十分に成熟させ、10月から11月頃に収穫する。本発明の健康飲料を製造するには、その成熟したステビア植物の茎部分のものをとくに選別し、抽出用の原料とすることが重要である。
ステビア植物の茎以外の部分あるいは成熟していないステビア植物を原料とすると優れた作用を有する健康飲料を製造することはできない。
【0014】
成熟したステビア植物の茎部から収穫した抽出用原料は、まず乾燥工程にて乾燥することが好ましい。通常、約70ないし80℃で24時間程度乾燥する。次いで、乾燥処理したステビアを15μ以下、好ましくは1ないし8μ程度に粉砕する。
【0015】
この粉砕物を抽出工程にて抽出処理する。通常抽出処理は粉砕物を水に浸し、加熱することにより行われる。本発明においては、健康飲料を製造可能である範囲において、水に他の溶媒を併用することができる。
抽出温度は、通常水を沸騰させる温度が好適である。ステビア原料と水との量割合は、原料粉末1kgに対して、水5ないし7リットルがよい。
抽出時間はステビア植物の成熟の程度、含水量などにより異なるものであるが、30分ないし2時間程度が好適である。
なお、ステビア原料を1回抽出処理したら廃棄してもよいが、数回抽出処理することも可能である。
【0016】
抽出工程にて得られた抽出液を濃縮工程にて濃縮する。抽出液の濃縮は、釜などの容器に抽出液を入れ、加熱する方法、あるいは減圧状態にて加熱する方法などにより行われる。
濃縮液の糖度が20ないし25度になったところで、濃縮を中止することが好ましい。
【0017】
〈高麗人参熟成液の調製〉
本発明のもう一方の原料である高麗人参は、学名をPanax schineng.Nといい、ウコギ科の多年生植物で、肉質の、直生し分岐した根を有することを特徴とする。古来からその根は薬として重宝がられているものである。本発明ではこの高麗人参の根を、4年以上6年未満高麗人参の根を使用することが好適である。
高麗人参は6年以上のものでもよいが、価格的に高価になるため、経済的に不利である。
この高麗人参の根を、前記ステビア抽出液に加え熟成させることが、本発明においては重要である。この際、高麗人参を適切な大きさに調整してステビア抽出液に加えることが好ましい。また、ステビア抽出液として、前記ステビア濃縮液を用いるととくに優れた健康飲料を得ることができる。
【0018】
高麗人参の根の使用量は、ステビア抽出液10リットルに対して、通常、生の場合には0.5ないし2kg,乾燥人参の場合には100gないし300gとすることが好ましい。
【0019】
ステビア抽出液と高麗人参との混合液を熟成する際には、該混合液を、通常、10ないし30℃、好ましくは10ないし25℃にて90ないし720日、好ましくは、180ないし360日にわたって保持する。
【0020】
なお、本発明における熟成とは、前記混合液を一定条件下にて放置することを意味するものであり、その混合液の中に微生物が存在する場合と存在しない場合との二つの場合が有り得る。
ステビア植物から、酵母菌の1)Candida kruseiおよび2)Trichosporon penicillatumが見出されているので、前記ステビア抽出液と高麗人参との混合液の熟成工程中において、該混合液内に酵母菌が存在するとその酵母菌により発酵されることもありうるのであって、このような場合には、本発明の熟成はいわゆる発酵と呼ぶことができる。
なお、熟成工程に入る前に先立ち、予め培養した該酵母菌を濃縮液に加え、次いで熟成工程に入ることもできることは当然のことである。
【0021】
かくして得られた熟成液を、熟成液原液のまま、あるいは水にて5ないし15倍好ましくは10ないし15倍に希釈し、健康飲料とする。
【0022】
【発明の効果】
本発明の健康飲料は、ステビア植物の茎部に存在する薬効成分に加えて高麗人参の有する薬効成分が相まって、格別に優れた作用をもたらすものである。すなわち、該健康飲料を飲用すると、生体内にて血行が促進されるとともに、前記薬効成分が微妙な効果を及ぼし、弱体化した生体を健康な体に戻す作用を有するものと推察されるのである。
したがって、本発明の健康飲料の適応症状としては、滋養強壮、虚弱体質、肉体疲労、胃腸病、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃アトニー、胃炎、胃酸過多、胃部不快感、胃重、胃痛、むかつき、タバコ吸いすぎ、アルコール中毒、食欲不振、消化不良、腹部膨張感、消化促進、目の疲労、便秘症状、下痢、軟化便、冷え性、頭痛、肝臓病、肺炎、糖尿病、腫瘍、口内炎、腫肉炎、歯槽膿漏、二日酔い、やけど、皮膚病等が挙げられるが、とくに、疲労回復、消化器系疾患の症状改善に優れている。
【0023】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限られるものでないことはいうまでもない。
実施例
成熟したステビア植物を11月上旬に収穫し、面積6.6mのたばこ乾燥機を使用して、75±3℃にて24時間、風量30m/分乾燥した。次にこれを棒で軽くたステビアの茎、葉、小枝等の今日雑物に分離し、茎のみを集めた。この茎をカッターで3ないし5cm程度の小片に切断し、次いで粉砕機(日立製作所製)を用いて粉砕し微粉末を得た。平均粒径は5ミクロンであった。
【0024】
鉄製の釜に6リットルの水を入れて沸騰するまで加熱する。一度加熱を中断し、攪拌下に前記ステビア茎部の微粉末1kgを静かに投入し、再度沸騰させ、1時間攪拌しながら加熱する。
これを搾り機にかけ、ステビア液と搾り滓に分離した。かくしてステビア抽出液約4リットルを得た。
前記鉄製の釜に4リットルの水を入れて沸騰するまで加熱する。一度加熱を中断し、前記搾り滓を静かに投入し、再度沸騰させ、1時間攪拌しながら加熱する。
これを搾り機にかけ、ステビア液と搾り滓に分離した。かくしてステビア抽出液約3リットルを得た。
この抽出液と前記抽出液とを合一し、釜にいれ約4時間加熱沸騰させ、糖度が23の時に作業を中止し、約1リットルの濃縮液を得た。この濃縮液を濾別後、濾液をステンレススチール製の貯蔵タンクに入れる。
【0025】
次に、これに高麗人参6年根を100g加え、25℃で360日熟成させる。糖度が31度で甘い芳香を有するきわめて低い粘度の液体原液が得られた。
かくして得られた熟成液に、水を加え10倍に希釈して健康飲料とした。
【0026】
なお、上記先願発明で得られた液剤を、社団法人日本食品衛生協会に委託して成分の検査ならびに急性毒性試験(LD50)を実施した結果を下記に示す。
【0027】
1.成分分析
エネルギー 47Kcal
水分 84.2g
たんぱく質 3.6g
脂質 0.4g
炭水化物(糖質) 7.3g
(繊維) φ
灰分 4.5g
カルシウム 120mg
鉄 1.3mg
ナトリウム 22mg
カリウム(原子吸光光度法) 2200mg
リン(モリブデンブルー法) 200mg
レチノール 0
β-カロチン 23μg
ビタミンA効力 13IU
ビタミンB1 0
ビタミンB2 0.21mg
ビタミンC(高速液体クロマトグラフィー) 0
ナイアシン(微生物学的定量法)試料100g当たり 2.4mg
ヒ素(As2O3)として 検出せず(検出限界0.1ppm)
(日本薬学会編衛生試験法注解・グットツァイト法)
重金属(Pbとして) 10ppm
(第5版食品添加物公定書重金属試験法)
【0028】
2.急性毒性試験(LD50)
(1)使用動物
マウス ddy系統 5週令 雄 1群10匹 3群
(2)試験方法
投 与:健康なマウスを選択し、18時間絶食させマーゲンゾンデを用いて、試験液(原液)を強制経口投与した。
投与量 :10匹を1群として、各群毎に試験液を1ml/20g,0.75ml/20g,0.5ml/20gになるように投与した。
飼育条件:恒温恒湿の条件で投与日を0として7日間、水と餌料は自由に与えて飼育した。
【0029】
(3)観察経過
最大投与量1ml/20g群では、全匹に投与直後から30分程度自発運動の低下、呼吸抑制などが見られたが、以後30分以内に全匹回復した。
また、0.75ml/20gでは、投与直後わずかに自発運動の低下が見られたが、投与後20分程度で回復した。
【0030】
(4)試験結果
上気飼育条件により毎日体重の測定を行い一般症状を観察したが、期間中、体重は正常に増加し、7日間特筆すべき所見は認められなかった。
以上の結果から、本ステビア濃縮液のLK50は、50ml/kg以上であり、急性毒性は極めて低いものと推察される。
 
訂正の要旨 (1)訂正事項1
明りょうでない記載の釈明を目的として、
本件特許明細書、第【0004】段落の
「特願平3-193301号」
を、
「特願平3-193301号(特公平7-13021号として出願公告され、特許第1984018号として特許されている)」
に訂正する
(2)訂正事項2
明りょうでない記載の釈明を目的として、
本件特許明細書、第【0026】段落の
「得られた液剤」

「なお、上記先願発明で得られた液剤」
に訂正する。
異議決定日 2002-06-17 
出願番号 特願平4-297453
審決分類 P 1 651・ 4- YA (A61K)
P 1 651・ 121- YA (A61K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 榎本 佳予子  
特許庁審判長 竹林 則幸
特許庁審判官 守安 智
深津 弘
登録日 2001-06-01 
登録番号 特許第3195444号(P3195444)
権利者 堂園 文夫 深澤 修 山名 俊彦
発明の名称 健康飲料およびその製造方法  
代理人 庄子 幸男  
代理人 鈴木 定子  
代理人 庄子 幸男  
代理人 庄子 幸男  
代理人 庄子 幸男  

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