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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
管理番号 1065822
異議申立番号 異議2001-73138  
総通号数 35 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-01-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-11-21 
確定日 2002-07-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3167983号「予約可能な画像形成方法」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3167983号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
特許第3167983号の請求項1、2に係る発明についての出願は、平成2年5月9日に出願した特願平2-119034号の一部を平成11年5月7日に新たな特許出願としたものであって、平成13年3月9日にその発明について特許の設定登録がされ、その後、その請求項1、2に係る特許について、異議申立人コニカ株式会社により特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成14年4月22日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。
ア.訂正事項a
請求項1を削除し、請求項2を請求項1に繰り上げ、
「【請求項2】 画像形成処理を行うための画像形成方法において、
上記画像形成処理のために新たな原稿の画像形成処理を実行できない時に、その新たな原稿の画像の読取りを可能にするための指示操作に基づき、予約モードを設定し、
上記予約モードが設定された状態で、上記新たな原稿にかかる画像形成処理の条件入力、および入力された条件を記憶手段に記憶させ、
上記入力された条件の記憶後に上記新たな原稿の画像の読取りの開始を指示するための指示操作を受け、上記新たな原稿の画像を読取り、該読取った画像データを上記入力条件と共に記憶手段に記憶させ、
上記新たな原稿の画像形成処理を実行できるようになった時に、上記記憶手段に記憶された画像データ及び入力条件にて画像形成処理を実行するようにしたことを特徴とする予約可能な画像形成方法。」を
「【請求項1】 画像形成処理を行うための画像形成方法において、
上記画像形成処理のために新たな原稿の画像形成処理を実行できない時に、その新たな原稿の画像の読取りを可能にするための指示操作に基づき、予約モードを設定し、
上記予約モードが設定された状態で、上記新たな原稿にかかる画像形成処理の条件入力、および入力された条件を記憶手段に記憶させ、
上記入力された条件の記憶後に上記新たな原稿の画像の読取りの開始を指示するためのキーによる指示操作がなされ、これに基づき上記新たな原稿の画像を読取りを開始し、該読取った画像データを上記入力条件と共に記憶手段に記憶させ、
上記新たな原稿の画像形成処理を実行できるようになった時に、上記記憶手段に記憶された画像データ及び入力条件にて画像形成処理を実行するようにしたことを特徴とする予約可能な画像形成方法。」
と訂正する。
イ.訂正事項b
特許請求の範囲の訂正に伴い、発明の詳細な説明との整合性を図るため、段落【0007】及び【0008】を削除する。
ウ.訂正事項c
段落【0010】について、
「【0010】また上述した目的を達成するための本発明による予約可能な画像形成方法は、画像形成処理を行うための画像形成方法において、上記画像形成処理のために新たな原稿の画像形成処理を実行できない時に、その新たな原稿の画像の読取りを可能にするための指示操作に基づき、予約モードを設定し、上記予約モードが設定された状態で、上記新たな原稿にかかる画像形成処理の条件入力、および入力された条件を記憶手段に記憶させ、上記入力された条件の記憶後に上記新たな原稿の画像の読取りの開始を指示するための指示操作を受け、上記新たな原稿の画像を読取り、該読取った画像データを上記入力条件と共に記憶手段に記憶させ、上記新たな原稿の画像形成処理を実行できるようになった時に、上記記憶手段に記憶された画像データ及び入力条件にて画像形成処理を実行するようにしたことを特徴とする。このように、新たな原稿による画像形成処理を実行できないときに、所定の指示操作を行うことで予約モードを設定し、その画像形成処理のための条件入力を行い、これを記憶させた後、新たな原稿の画像の読取りを開始させる指示操作を行うことで、該原稿の読取り走査が開始され、その読取り画像データが、画像形成のための入力条件と共に記憶される。そのため、予約のための指示を行い新たな原稿のセット後に画像の読取り開始を行えるため、誤走査するようなこともなく、確実に予約のための原稿の画像形成処理を実行できる。」を
「【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するための本発明による予約可能な画像形成方法は、画像形成処理を行うための画像形成方法において、上記画像形成処理のために新たな原稿の画像形成処理を実行できない時に、その新たな原稿の画像の読取りを可能にするための指示操作に基づき、予約モードを設定し、上記予約モードが設定された状態で、上記新たな原稿にかかる画像形成処理の条件入力、および入力された条件を記憶手段に記憶させ、上記入力された条件の記憶後に上記新たな原稿の画像の読取りの開始を指示するためのキーによる指示操作がなされ、これに基づき上記新たな原稿の画像を読取りを開始し、該読取った画像データを上記入力条件と共に記憶手段に記憶させ、上記新たな原稿の画像形成処理を実行できるようになった時に、上記記憶手段に記憶された画像データ及び入力条件にて画像形成処理を実行するようにしたことを特徴とする。このように、新たな原稿による画像形成処理を実行できないときに、所定の指示操作を行うことで予約モードを設定し、その画像形成処理のための条件入力を行い、これを記憶させた後、新たな原稿の画像の読取りを開始させる指示操作を行うことで、該原稿の読取り走査が開始され、その読取り画像データが、画像形成のための入力条件と共に記憶される。そのため、予約のための指示を行い新たな原稿のセット後に画像の読取り開始を行えるため、誤走査するようなこともなく、確実に予約のための原稿の画像形成処理を実行できる。」
と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア.上記訂正事項aに関連する記載として、願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)の発明の詳細な説明の段落【0021】に「こののち、予約モード設定キー10が再び押下されると原稿台1上の原稿2の画像が読み取られ、」との記載、段落【0023】に「コピー条件の受け付け(n13)、再度の予約モード設定キー10の操作の確認(n14)を行うことで、原稿走査(読み取り)が行われ(n15)」との記載が認められる。
そうすると、上記訂正事項aは、請求項1の削除は、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、また、請求項2の訂正も、請求項2に記載された「指示動作」と「原稿の画像を読取り」時期を限定したものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
イ.また、上記訂正事項b、cは、訂正事項aでの特許請求の範囲の訂正に伴い、付随的に生じる記載の不備を解消するものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とする明細書の訂正に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する第126条第2、3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて
(1)申立の理由の概要
特許異議申立人コニカ株式会社は、第3167983号の請求項1、2に係る発明の特許に対して、証拠として、甲第1号証(特開平1-258550号公報)、甲第2号証(特開平1-261966号公報)、甲第3号証(異議2001-70548号の平成13年7月9日付けの訂正請求書)を提出し、本件請求項1、2に係る発明の特許は特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、さらに、甲第3号証に記載された発明と同一であるから特許法第39条第1項の規定に違反してなされたものであるから、本件発明についての特許を取り消すべき旨主張している。

(2)本件発明
特許第3078299号の請求項1、2に係る発明は、平成14年4月22日付けの訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】 画像形成処理を行うための画像形成方法において、
上記画像形成処理のために新たな原稿の画像形成処理を実行できない時に、その新たな原稿の画像の読取りを可能にするための指示操作に基づき、予約モードを設定し、
上記予約モードが設定された状態で、上記新たな原稿にかかる画像形成処理の条件入力、および入力された条件を記憶手段に記憶させ、
上記入力された条件の記憶後に上記新たな原稿の画像の読取りの開始を指示するためのキーによる指示操作がなされ、これに基づき上記新たな原稿の画像を読取りを開始し、該読取った画像データを上記入力条件と共に記憶手段に記憶させ、
上記新たな原稿の画像形成処理を実行できるようになった時に、上記記憶手段に記憶された画像データ及び入力条件にて画像形成処理を実行するようにしたことを特徴とする予約可能な画像形成方法。」

(2)刊行物に記載された発明
当審が平成14年2月6日付けで通知した取消理由で引用した刊行物は、刊行物1(特開平1-258550号公報)、刊行物2(特開平1-261966号公報)、刊行物3(特開平4-14947号公報)、出願1(特許3078299号に係る出願)である。
(ア)刊行物1(特開平1-258550号公報)
(a)「原稿を光電的に読み取る画像読取手段と、読み取った画像情報を記憶する画像情報記憶手段と、記憶された画像情報を複写する複写手段と、上記画像読取手段、画像情報記憶手段、複写手段を制御する制御手段と、上記制御手段に指令を与える操作手段と、上記制御手段、操作手段の情報を表示する表示手段を有し、先行原稿に対応する上記複写手段の作動中に読み取るべき後続原稿に対応する所要の操作を上記操作手段に入力し、上記操作手段への入力に対応した制御手段の制御により、後続原稿を読み取り、記憶手段に記憶し、先行原稿に対応する複写手段の作動終了後、後続原稿に対応する複写手段の作動を開始するよう制御されるデジタル画像形成装置において」(特許請求の範囲)
(b)「複数の記憶領域を有し、違う原稿に対する書き込みと読み取りを同時に行う事が出来るデジタル複写機は広く知られている。この場合の操作手順としては、まず先行原稿に対応する、操作手段への操作入力(複写条件設定)を行い、これを確認する意味で、表示手段に表示する。尚、この場合の表示は、セット枚数、コピー枚数、複写サイズ、濃度等の一般の複写機でも行っている表示である。次に先行原稿の読み取りが終了し、書き込みが開始されたら、後読原稿の複写条件を操作手段により設定する。そしてこれも表示手段に表示する。」(第1頁下右欄第19行目〜第2頁上左欄第11行目)
(c)「本発明に係る画像形成装置は、第1図に示すように原稿を読み取る読取り手段としての読取装置10、読み取られた原稿情報を記憶する記憶手段としての記憶装置11、記憶された原稿情報を紙に書き込むための一連のプロセスを実行するする書込手段としての書込装置12と、これら読取装置10、記憶装置11、書込装置12等を制御する制御手段たる制御装置13、制御装置13にキー入力を行う操作手段としての操作装置14等で構成されている。尚、操作装置14には各種情報を表示するデイスプレイが含まれる。」(第2頁下左欄20行〜同頁下右欄10行)
(d)「読取装置10の具体的構成は、第3図、第4図に示されている。これらの図において、オペレーターが原稿15をローラ16に挿入すると、この原稿はローラの回転に応じてコンタクトガラス18と反射板19との間を副走査方向に搬送される。
そして、この搬送中に蛍光灯20からの光により主走査方向に原稿面が走査される。反射光はレンズ21を介して撮像素子CCD22に結像され原稿情報が読み取られる。」(3頁上左欄2〜10行)
(e)「違う原稿に対する書き込みと読み取りを同時に行う事をクイツクスタートと呼ぶこととする。例えば、メモリー1を書込装置12より用紙に書き込んでいる時に、メモリー2〜4は読取装置10によって原稿を読取る事ができる。読み取られた画像情報は蓄えられ、現在の書き込が終了した後、書き込みが開始される。」(3頁下右欄8〜14行)
(f)「第8図に操作部表示データ及びクイツクスタート表示データのRAMマップを示す。ここで操作部表示データは現在操作部に表示されたいるデータであり、キー押下によりデータが書き換えられ、表示内容が変化する。操作部表示データは原稿が読み取られた時にクイツクスタート表示バッフアの内、原稿カウンタで示される領域に転送する。原稿カウンタは原稿が挿入された時にインクリメントする。」(3頁下右欄16行〜4頁4行)
と記載されている。

これより、刊行物1には次のことが記載されている。
「原稿を光電的に読み取る画像読取手段と、
読み取った画像情報を記憶する画像情報記憶手段と、
記憶された画像情報を複写する複写手段と、
上記画像読取手段、画像情報記憶手段、複写手段を制御する制御手段と、
上記制御手段に指令を与える操作手段と、
上記制御手段、操作手段の情報を表示する表示手段と
を有し、
先行原稿に対応する上記複写手段の作動中に読み取るべき後続原稿に対応する所要の操作をキー押下により後続原稿の複写条件を上記操作手段に入力し、
上記操作手段への入力に対応した制御手段の制御により、後続原稿を読み取り、記憶手段に記憶し、
先行原稿に対応する複写手段の作動終了後、後続原稿に対応する複写手段の作動を開始するよう制御されるデジタル画像形成装置。」

(4)対比・判断
(ア)請求項1に係る発明について
請求項1に係る発明と刊行物1に記載の発明とを対比すると、刊行物1の「後続原稿」は、請求項1に係る発明の「新たな原稿」に相当し、
刊行物1の「先行原稿に対応する複写手段の作動中」とは、請求項1に係る発明の「新たな原稿の画像形成処理を実行できない時」に相当し、
画像の読取を可能にするための操作は、読み取るべき後続原稿を読み取ることができるようにする操作する点では変わらないから、刊行物1の「読み取るべき後続原稿に対応する所要の操作」は、請求項1に係る発明の「新たな原稿の画像の読取りを可能にするための指示操作」に相当し、
刊行物1の「複写条件」は、請求項1に係る発明の「入力条件」に相当し、
また、刊行物1に記載された発明は装置として表現されているが、これを方法として表現し得ることは自明であって、単なる表現上の問題にすぎないから、
両者は、
「画像形成処理を行うための画像形成方法において、
上記画像形成処理のために新たな原稿の画像形成処理を実行できない時に、その新たな原稿の画像の読取りを可能にするための指示操作に基づき、
上記新たな原稿にかかる画像形成処理の条件を入力し、および入力された条件を記憶手段に記憶させ、
上記新たな原稿の画像の読取りの開始し、該読取った画像データを記憶手段に記憶させ、
上記新たな原稿の画像形成処理を実行できるようになった時に、上記記憶手段に記憶された画像データ及び入力条件にて画像形成処理を実行するようにしたことを特徴とする予約可能な画像形成方法。」
で一致し、次の点で相違する。
(相違点)
(相違点1)
本件請求項1に係る発明は、新たな原稿の画像の読取りを可能にするための指示操作に基づき、予約モードを設定し、上記予約モードが設定された状態で、上記新たな原稿にかかる画像形成処理の条件入力、および入力された条件を記憶手段に記憶させるのに対して、刊行物1は予約モードを設定しておらず、刊行物1の第9図に示されるように、クイツクスタートの動作は、キー押下により開始され、操作部表示データは、キー押下によりデータが書き換えられ、操作部表示データは原稿が読み取られた時にクイツクスタート表示バッフアの内の領域に転送される点。
(相違点2)
新たな原稿の画像を読取りが、本件請求項1に係る発明では、上記入力された条件の記憶後に上記新たな原稿の画像の読取りの開始を指示するためのキーによる指示操作がなされ、これに基づき読取りを開始しするのに対して、刊行物1では、読取の開始が、読取装置に原稿が挿入されたときであるのと、複写条件は読取開始時にバッファに記憶されている点。
(相違点3)
記憶手段に記憶するのが、本件請求項1に係る発明では、読取った画像データと入力条件と共に記憶手段に記憶させるのに対して、刊行物1では、後続原稿の画像情報は記憶手段に、複写条件はクイツクスタート表示バッファに記憶させる点。

上記相違点を検討すると。
(相違点1)について
一般的に、予約制御を行うときに、予約釦を押すことにより、予約モードに移行するようにすることは通常に行われていることであるから、刊行物1のものにおいても、後続原稿のための複写条件の入力は、キー押下により開始されるのであるから、このような動作を、予約モードにおいて行うようにすることは、当業者が容易に推考することができることであり、また、刊行物1でもキー押下により後続原稿に対する複写条件を入力しており、この複写条件を記憶手段の一種であるバッフアに記憶させている。
(相違点2)について
原稿の読取をキーによる指示操作で行うことは、通常に行われていることであることを考えれば、刊行物1における、原稿の読取装置への挿入により読取を開始することを、原稿を読取装置においた後に、キーによる操作により、原稿の読取を開始するようにすることは、当業者が何の困難性もなく考えることと認められる。
また、条件の記憶後に原稿の読取を開始するか、条件の記憶と一緒に原稿の読取を開始するかは当業者が適宜設定できることである。
(相違点3)について
刊行物1のものも、複写条件も、後続原稿の画像情報も、記憶手段に記憶しており、この記憶手段をどのようなものにするかは当業者が適宜選択できることである。

(5)むすび
以上のとおりであるから、本件請求項1に係る発明は、上記刊行物1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1に係る発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定により特許をうけることができない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
予約可能な画像形成方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 画像形成処理を行うための画像形成方法において、
上記画像形成処理のために新たな原稿の画像形成処理を実行できない時に、その新たな原稿の画像の読取りを可能にするための指示操作に基づき、予約モードを設定し、
上記予約モードが設定された状態で、上記新たな原稿にかかる画像形成処理の条件入力、および入力された条件を記憶手段に記憶させ、
上記入力された条件の記憶後に上記新たな原稿の画像の読取りの開始を指示するためのキーによる指示操作がなされ、これに基づき上記新たな原稿の画像を読取りを開始し、該読取った画像データを上記入力条件と共に記憶手段に記憶させ、
上記新たな原稿の画像形成処理を実行できるようになった時に、上記記憶手段に記憶された画像データ及び入力条件にて画像形成処理を実行するようにしたことを特徴とする予約可能な画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電源投入時のウォームアップ時や大量のコピー中に、新たな原稿による画像形成処理を予約できるようにした画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に普及している複写機は、光導電性を有する感光体を帯電したのち造像露光し、これによって形成される静電潜像にトナーを付着させ、さらにこのトナー像を用紙に転写して定着させるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような複写機では電源投入後に定着器が定着可能温度に昇温するまでにある程度時間(ウォームアップ時間)が必要である。この間には、コピー処理を行うことができず、ウォームアップ終了まで待たねばらなない。
【0004】
また大量のコピーには時間が掛かり、他の使用者が新たな原稿をコピーするには前者のコピー終了を待つか、大量コピーの途中で割込機能を動作させ、前者のコピー処理時に後者のコピー処理を割り込ませるしかない。しかし後者のコピー量が多い場合には割り込みが難しく、前者のコピー終了まで待たなければならない。
【0005】
従来の場合、ウォームアップや大量コピー中には、それらが終了してコピー可能な状態になってから新たな原稿をセットし、コピー処理を行わなければならず、それらの終了を常に心掛けていなければならないし、また複写機まで何度も足を運ばなければならない不都合があり、ユーザの負担が大きくなっている。
【0006】
本発明の目的は、上述したように新たな原稿の画像形成処理が行えない場合においても、その新たな原稿の画像形成処理を効率よく行えるようにし、ユーザの負担を軽減できる予約可能な画像形成方法を提供することにある。
【0007】 (削除)
【0008】
【0009】 (削除)
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するための本発明による予約可能な画像形成方法は、画像形成処理を行うための画像形成方法において、上記画像形成処理のために新たな原稿の画像形成処理を実行できない時に、その新たな原稿の画像の読取りを可能にするための指示操作に基づき、予約モードを設定し、上記予約モードが設定された状態で、上記新たな原稿にかかる画像形成処理の条件入力、および入力された条件を記憶手段に記憶させ、上記入力された条件の記憶後に上記新たな原稿の画像の読取りの開始を指示するためのキーによる指示操作がなされ、これに基づき上記新たな原稿の画像を読取りを開始し、該読取った画像データを上記入力条件と共に記憶手段に記憶させ、上記新たな原稿の画像形成処理を実行できるようになった時に、上記記憶手段に記憶された画像データ及び入力条件にて画像形成処理を実行するようにしたことを特徴とする。このように、新たな原稿による画像形成処理を実行できないときに、所定の指示操作を行うことで予約モードを設定し、その画像形成処理のための条件入力を行い、これを記憶させた後、新たな原稿の画像の読取りを開始させる指示操作を行うことで、該原稿の読取り走査が開始され、その読取り画像データが、画像形成のための入力条件と共に記憶される。そのため、予約のための指示を行い新たな原稿のセット後に画像の読取り開始を行えるため、誤走査するようなこともなく、確実に予約のための原稿の画像形成処理を実行できる。
【0011】
【本発明の実施の形態】
本発明の実施形態について以下に図面を参照に詳細に説明する。図1及び図2は本発明における画像形成処理のためのフローチャートであり、図3は本発明にかかる画像形成装置の一例を示す複写機の正面図である。
【0012】
図3において、複写機本体の上面には透明な硬質ガラス体からなる原稿台1が備えられ、コピーすべき原稿2が載置される。原稿台1の下方にはLEDアレイ、CCDアレイを含む走査部3が図中矢印A,B方向に移動可能に設けられている。原稿台1上に載置された原稿2は、上記走査部3によって読み取られ、図示しないPWBに設けられたメモリに記憶される。
【0013】
走査部3の下方には、レーザ発振器4が備えられている。レーザ発振器4は、上記メモリに記憶された画像データに基づいてレーザ光を照射する。このレーザ光は、ミラー5a,5b,5cを介して感光体6に導かれる。感光体6は、このレーザ光照射の前に予め帯電されており、レーザ光によりその帯電電荷がキャンセルされて静電潜像を得る。静電潜像には、現像器7によって、トナーが付着され、このトナー像が用紙に転写されて画像が得られる。
【0014】
図4は同複写機の画像読み取り、書き込み部の回路構成を示すブロック図である。
【0015】
CCDアレイ31は、Vドライバ32、タイミングIC33によるタイミング制御に基づいて、原稿2の画像データを読み取る。読み取られた画像データは、CDS,S/HIC34により、一旦制御基盤PWBのRAM35に書き込まれる。そして、印字時には、その画像データが読み出され、先に説明したレーザ発振器4に送られる。
【0016】
上記RAM35には、通常のコピー処理時に用いられるエリアと、予約モードの時に予約コピーの条件や画像データを記憶するエリアと、が備えられている。
【0017】
図5は、複写機本体上に設けられた操作部のパネルを示す平面図である。この図5に示す操作部には、コピー枚数、画像濃度、倍率等を入力するテンキー、各種入力キー、通常のコピー開始を命令するプリントキー9、予約モードの設定キー10等が設けられている。
【0018】
以上のように構成される複写機において、以下に本発明によるウォームアップ時や大量コピー中での新たな画像形成処理を行うための予約処理について説明する。
【0019】
図1及び図2は、予約処理時の処理手順を示したフローチャートであり、図1はウォームアップ時の予約処理による画像形成処理を、図2は大量コピー中の予約処理及びその画像形成処理のための制御手順を示している。
【0020】
まず図1を参照してウォームアップ中の予約処理の手順を説明する。電源投入に応じたウォームアップ中に予約モード設定キー10がオンされると(n1)、予約コピーの条件を受け付けが可能になる。すなわちテンキー等によって、入力された倍率、濃度等を受け付けてRAM35の予約モード時の記憶エリアM1に記憶する(n2)。
【0021】
こののち、予約モード設定キー10が再び押下されると原稿台1上の原稿2の画像が読み取られ、RAM35の記憶エリアM1に記憶される(n3→n4)。そしてウォームアップが終了したとき、前記記憶エリアM1に記憶されている画像データが読み出され、レーザ発振器によって造像光に変換されて感光体6を照射し、画像を形成される(n5→n6)。
【0022】
このようにして、ウォームアップ時に予めコピー処理を予約することができ、ウォームアップ完了後に自動的に予約された既に読み込まれた画像データによる画像形成処理(コピー)が実行される。
【0023】
次に大量コピー中の予約処理手順を図2を用いて説明する。大量コピーを実行されている時に、予約モード設定キー10がオンされると(n11)、現在行っているコピー処理を一旦中断(n12)し、コピー条件の受け付け(n13)、再度の予約モード設定キー10の操作の確認(n14)を行うことで、原稿走査(読み取り)が行われ(n15)、前者のコピー処理を再開(n16)する。
【0024】
そして、前者のコピー処理が終了(n17)したのち、先の通り予約された原稿によるコピー処理を実行(n18)する。
【0025】
この処置においても同様に、大量コピーの最中に予め新たな原稿による画像形成処理のための読み取りの予約を行え、先の画像形成処理が完了した時点で、自動的に既に読み取られた画像データのコピー処理を実行することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の画像形成方法によれば、新たな原稿による画像形成処理が実行できない状態で、事前に原稿の読み取りを行い記憶する予約処理を実行でき、新たな画像形成処理が可能となった時に、先に記憶されている新たな原稿による画像データを読み出し画像形成処理を自動的に実行できる。
【0027】
そのためユーザの手間を大幅に軽減でき、画像形成装置の効率的な利用を可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明におけるウォームアップ時の予約モードによる処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図2】
本発明における画像形成処理中での予約モードによる処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図3】
本発明にかかる画像形成装置の一例とする複写機の構造を示す正面該略図である。
【図4】
図3における複写機の画像読取り、書き込み部の制御回路構成を示すブロック図である。
【図5】
図3における複写機の操作部を示す平面図である。
【符号の説明】
1 原稿台
2 原稿
3 走査部(読取手段)
4 レーザ照射部
6 感光体
7 現像器
8 転写器
10 予約モード設定キー(指示手段)
31 CCDアレイ(読取部)
35 RAM(記憶手段)
 
訂正の要旨 訂正の要旨
ア.訂正事項a
請求項1を削除し、請求項2を請求項1に繰り上げ、
「【請求項2】 画像形成処理を行うための画像形成方法において、
上記画像形成処理のために新たな原稿の画像形成処理を実行できない時に、その新たな原稿の画像の読取りを可能にするための指示操作に基づき、予約モードを設定し、
上記予約モードが設定された状態で、上記新たな原稿にかかる画像形成処理の条件入力、および入力された条件を記憶手段に記憶させ、
上記入力された条件の記憶後に上記新たな原稿の画像の読取りの開始を指示するための指示操作を受け、上記新たな原稿の画像を読取り、該読取った画像データを上記入力条件と共に記憶手段に記憶させ、
上記新たな原稿の画像形成処理を実行できるようになった時に、上記記憶手段に記憶された画像データ及び入力条件にて画像形成処理を実行するようにしたことを特徴とする予約可能な画像形成方法。」を
「【請求項1】 画像形成処理を行うための画像形成方法において、
上記画像形成処理のために新たな原稿の画像形成処理を実行できない時に、その新たな原稿の画像の読取りを可能にするための指示操作に基づき、予約モードを設定し、
上記予約モードが設定された状態で、上記新たな原稿にかかる画像形成処理の条件入力、および入力された条件を記憶手段に記憶させ、
上記入力された条件の記憶後に上記新たな原稿の画像の読取りの開始を指示するためのキーによる指示操作がなされ、これに基づき上記新たな原稿の画像を読取りを開始し、該読取った画像データを上記入力条件と共に記憶手段に記憶させ、
上記新たな原稿の画像形成処理を実行できるようになった時に、上記記憶手段に記憶された画像データ及び入力条件にて画像形成処理を実行するようにしたことを特徴とする予約可能な画像形成方法。」
と訂正する。
イ.訂正事項b
特許請求の範囲の訂正に伴い、発明の詳細な説明との整合性を図るため、段落【0007】及び【0008】を削除する。
ウ.訂正事項c
段落【0010】について、
「【0010】また上述した目的を達成するための本発明による予約可能な画像形成方法は、画像形成処理を行うための画像形成方法において、上記画像形成処理のために新たな原稿の画像形成処理を実行できない時に、その新たな原稿の画像の読取りを可能にするための指示操作に基づき、予約モードを設定し、上記予約モードが設定された状態で、上記新たな原稿にかかる画像形成処理の条件入力、および入力された条件を記憶手段に記憶させ、上記入力された条件の記憶後に上記新たな原稿の画像の読取りの開始を指示するための指示操作を受け、上記新たな原稿の画像を読取り、該読取った画像データを上記入力条件と共に記憶手段に記憶させ、上記新たな原稿の画像形成処理を実行できるようになった時に、上記記憶手段に記憶された画像データ及び入力条件にて画像形成処理を実行するようにしたことを特徴とする。このように、新たな原稿による画像形成処理を実行できないときに、所定の指示操作を行うことで予約モードを設定し、その画像形成処理のための条件入力を行い、これを記憶させた後、新たな原稿の画像の読取りを開始させる指示操作を行うことで、該原稿の読取り走査が開始され、その読取り画像データが、画像形成のための入力条件と共に記憶される。そのため、予約のための指示を行い新たな原稿のセット後に画像の読取り開始を行えるため、誤走査するようなこともなく、確実に予約のための原稿の画像形成処理を実行できる。」を
「【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するための本発明による予約可能な画像形成方法は、画像形成処理を行うための画像形成方法において、上記画像形成処理のために新たな原稿の画像形成処理を実行できない時に、その新たな原稿の画像の読取りを可能にするための指示操作に基づき、予約モードを設定し、上記予約モードが設定された状態で、上記新たな原稿にかかる画像形成処理の条件入力、および入力された条件を記憶手段に記憶させ、上記入力された条件の記憶後に上記新たな原稿の画像の読取りの開始を指示するためのキーによる指示操作がなされ、これに基づき上記新たな原稿の画像を読取りを開始し、該読取った画像データを上記入力条件と共に記憶手段に記憶させ、上記新たな原稿の画像形成処理を実行できるようになった時に、上記記憶手段に記憶された画像データ及び入力条件にて画像形成処理を実行するようにしたことを特徴とする。このように、新たな原稿による画像形成処理を実行できないときに、所定の指示操作を行うことで予約モードを設定し、その画像形成処理のための条件入力を行い、これを記憶させた後、新たな原稿の画像の読取りを開始させる指示操作を行うことで、該原稿の読取り走査が開始され、その読取り画像データが、画像形成のための入力条件と共に記憶される。そのため、予約のための指示を行い新たな原稿のセット後に画像の読取り開始を行えるため、誤走査するようなこともなく、確実に予約のための原稿の画像形成処理を実行できる。」
と訂正する。
異議決定日 2002-05-29 
出願番号 特願平11-126714
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (H04N)
最終処分 取消  
前審関与審査官 辻本 泰隆  
特許庁審判長 小川 謙
特許庁審判官 江頭 信彦
関川 正志
登録日 2001-03-09 
登録番号 特許第3167983号(P3167983)
権利者 シャープ株式会社
発明の名称 予約可能な画像形成方法  
代理人 小池 隆彌  
代理人 小池 隆彌  
代理人 木下 雅晴  
代理人 木下 雅晴  

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