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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備 B41J 審判 全部申し立て 2項進歩性 B41J 審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 B41J |
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管理番号 | 1065836 |
異議申立番号 | 異議2001-71283 |
総通号数 | 35 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1996-05-14 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-04-27 |
確定日 | 2002-08-03 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3103871号「周辺機器脱着機構」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3103871号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第3103871号(以下、「本件」という。)の請求項1、2に係る特許は、平成6年10月19日に特許出願され、平成12年9月1日にその特許権の設定の登録がされ、平成13年4月27日付け特許異議申立人キャノン株式会社より特許異議の申立てがなされ、平成13年8月16日付け取消しの理由が通知され、その指定期間内の平成13年10月26日に訂正請求(以下「第1回訂正請求」という。)がされた後、平成14年3月4日付け再度の取消しの理由が通知され、その指定期間内の平成14年4月26日付けで、第1回訂正請求が取り下げられるとともに新たに訂正請求がされたものである。 2.訂正の適否 (1)訂正の内容 ア.訂正事項a(a-1.〜a-3.) 訂正事項a-1.は、特許請求の範囲の請求項1に記載の『本体に周辺機器を脱着自在に』を、『コネクタが備えられた本体と、該本体側コネクタに接続可能なコネクタが備えられた周辺機器を脱着自在に』と訂正するものである。 訂正事項a-2.は、特許請求の範囲の請求項1に記載の『前記固定側保持部近傍を中心として周辺機器が回動可能な間隔を空けて配置するとともに、周辺機器の回動により前記可動係止部に前記可動側保持部が係合する位置に、前記可動側保持部を設け、』を、『前記固定側保持部近傍を中心として前記周辺機器が回動可能な間隔を空けて配置するとともに、前記本体側コネクタと前記固定側保持部との間に位置し、且つ前記周辺機器の回動により前記可動係止部に前記可動側保持部が係合する位置に、前記可動側保持部を設け、』と訂正するものである。 訂正事項a-3.は、特許請求の範囲の請求項1に記載の『前記可動側保持部を設け、前記可動系止部と前記可動側保持部との係合により前記固定側保持部近傍を中心とした周辺機器の回動を規制する、』を、『前記可動側保持部を設け、前記固定係止部と前記固定側保持部が係合され、前記可動係止部が前記可動側保持部に係止されて前記状態保持部によって係止状態が保持されることで、前記固定側保持部近傍を中心とした前記周辺機器の回動を規制する、』と訂正するものである。 以上の訂正により、請求項1全体を『コネクタが備えられた本体と、該本体側コネクタに接続可能なコネクタが備えられた周辺機器を脱着自在に取り付けるための周辺機器脱着機構であって、前記本体の前記周辺機器との脱着面には前記周辺機器を保持するための固定側保持部と可動側保持部とを設ける一方、前記周辺機器の前記本体との脱着面には前記固定側保持部に係止する位置に移動不能に固定係止部を、前記可動側保持部に係止する位置に移動可能に可動係止部をそれぞれ設けるとともに、さらに前記周辺機器には前記可動係止部を前記可動側保持部に係止する方向に押圧する状態保持部材を設け、前記固定側保持部と前記可動側保持部とを、前記固定側保持部近傍を中心として前記周辺機器が回動可能な間隔を空けて配置するとともに、前記本体側コネクタと前記固定側保持部との間に位置し、且つ前記周辺機器の回動により前記可動係止部に前記可動側保持部が係合する位置に、前記可動側保持部を設け、前記固定係止部と前記固定側保持部が係合され、前記可動係止部が前記可動側保持部に係止されて前記状態保持部によって係止状態が保持されることで、前記固定側保持部近傍を中心とした前記周辺機器の回動を規制する、ことを特徴とする周辺機器脱着機構。』と訂正するものである。 イ.訂正事項b 特許請求の範囲の請求項2に記載の『前記本体がコネクタを備えており、また、前記周辺機器が前記コネクタに接続可能なコネクタを備えており、前記可動側保持部と前記可動係止部とがそれぞれ前記固定側保持部と前記固定係止部よりも前記両コネクタに近い位置に設けてなることを特徴とする請求項1に記載の周辺機器脱着機構。』を、『さらに前記周辺機器は係止後の周辺機器自体の移動を規制する規制部材を設け、前記規制部材は、前記固定係止部が前記固定側保持部に、前記可動係止部が前記可動側保持部に、それぞれ係合した状態での前記固定側保持部と前記可動側保持部を結ぶ軸上に、前記固定係止部と前記可動係止部とを配置するとともに、前記同一軸上に平行に前記状態保持部材も備え、前記状態保持部材によって、前記可動係止部を前記固定係止部の方向に付勢することで前記可動係止部の前記可動側保持部への係止状態を解除し、前記可動係止部を前記両コネクタの方向に付勢することで前記可動係止部の前記可動側保持部への係止状態を保持し、前記固定側保持部近傍を中心とした周辺機器の回動を規制する、ことを特徴とする請求項1記載の周辺機器脱着機構。』と訂正するものである。 以上の訂正により、請求項2全体を『さらに前記周辺機器は係止後の周辺機器自体の移動を規制する規制部材を設け、前記規制部材は、前記固定係止部が前記固定側保持部に、前記可動係止部が前記可動側保持部に、それぞれ係合した状態での前記固定側保持部と前記可動側保持部を結ぶ軸上に、前記固定係止部と前記可動係止部とを配置するとともに、前記同一軸上に前記状態保持部も備え、前記状態保持部材によって、前記可動係止部を前記固定係止部の方向に付勢することで前記可動係止部の前記可動側保持部への係止状態を解除し、前記可動係止部を前記両コネクタの方向に付勢することで前記可動係止部の前記可動側保持部への係止状態を保持し、前記固定側保持部近傍を中心とした周辺機器の回動を規制する、ことを特徴とする請求項1記載の周辺機器脱着機構。』と訂正するものである。 ウ.訂正事項c 特許請求の範囲の請求項3を削除するものである。 エ.訂正事項d 明細書の段落【0003】に記載の『(特開平2ー2411号参照)』を、『(特開平2-2411号参照)』と訂正するものである。 オ.訂正事項e 明細書の段落【0008】に記載の『第1の発明は、請求項1に示すように、前記本体の前記周辺機器との脱着面には前記周辺機器を保持するための固定側保持部と可動側保持部とを設ける一方、前記周辺機器の前記本体との脱着面には前記固定側保持部に係止する位置に移動不能に固定係止部を、前記可動側保持部に係止する位置に移動可能に可動係止部をそれぞれ設けるとともに、さらに前記周辺機器には前記可動係止部を前記可動側保持部に係止する方向に押圧する状態保持部材を設け、前記固定側保持部と前記可動側保持部とを、前記固定側保持部近傍を中心として周辺機器が回動可能な間隔を空けて配置するとともに、周辺機器の回動により前記可動係止部に前記可動側保持部が係合する位置に、前記可動側保持部を設け、前記可動系止部と前記可動側保持部との係合により前記固定側保持部近傍を中心とした周辺機器の回動を規制することを特徴としている。』を、『本発明は、請求項1に示すように、コネクタが備えられた本体と、該本体側コネクタに接続可能なコネクタが備えられた周辺機器を脱着自在に取り付けるための周辺機器脱着機構であって、前記本体の前記周辺機器との脱着面には前記周辺機器を保持するための固定側保持部と可動側保持部とを設ける一方、前記周辺機器の前記本体との脱着面には前記固定側保持部に係止する位置に移動不能に固定係止部を、前記可動側保持部に係止する位置に移動可能に可動係止部をそれぞれ設けるとともに、さらに前記周辺機器には前記可動係止部を前記可動側保持部に係止する方向に押圧する状態保持部材を設け、前記固定側保持部と前記可動側保持部とを、前記固定側保持部近傍を中心として前記周辺機器が回動可能な間隔を空けて配置するとともに、前記本体側コネクタと前記固定側保持部との間に位置し、且つ前記周辺機器の回動により前記可動係止部に前記可動側保持部が係合する位置に、前記可動側保持部を設け、前記固定係止部と前記固定側保持部が係合され、前記可動係止部が前記可動側保持部に係止されて前記状態保持部によって係止状態が保持されることで、前記固定側保持部近傍を中心とした前記周辺機器の回動を規制する、ことを特徴としている。』と訂正するものである。 カ.訂正事項f 明細書の段落【0013】に記載の『第2の発明は、請求項2で示すように、前記本体がコネクタを備えており、また、前記周辺機器が前記コネクタに接続可能なコネクタを備えており、前記可動側保持部と前記可動係止部とがそれぞれ前記固定側保持部と前記固定係止部よりも前記両コネクタに近い位置に設けてなることを特徴としている。第3の発明は、請求項3に示すように、係止後の周辺機器の移動を規制する規制部材を設けることを特徴としている。』を、『さらに本発明は、請求項2で示すように、さらに前記周辺機器は係止後の周辺機器自体の移動を規制する規制部材を設け、前記規制部材は、前記固定係止部が前記固定側保持部に、前記可動係止部が前記可動側保持部に、それぞれ係合した状態での前記固定側保持部と前記可動側保持部を結ぶ軸上に、前記固定係止部と前記可動係止部とを配置するとともに、前記同一軸上に前記状態保持部も備え、前記状態保持部材によって、前記可動係止部を前記固定係止部の方向に付勢することで前記可動係止部の前記可動側保持部への係止状態を解除し、前記可動係止部を前記両コネクタの方向に付勢することで前記可動係止部の前記可動側保持部への係止状態を保持し、前記固定側保持部近傍を中心とした周辺機器の回動を規制する、ことを特徴とする請求項1記載の周辺機器脱着機構。』と訂正するものである。 キ.訂正事項g 明細書の段落【0013】に記載の『第1の発明によれば、』を、『本発明によれば、』と訂正するものである。 ク.訂正事項h 明細書の段落【0020】に記載の『第2の発明は前記可動側保持部と前記可動係止部をそれぞれ前記固定側保持部と前記固定係止部よりも前記両コネクタに近い位置に設けたから、固定係止部を固定側保持部に先に係止させ、』を、『さらに、コネクタは固定側保持部と可動側保持部との間ではなく、固定側保持部から見て可動側保持部よりも遠い位置に設けていることから、固定係止部を固定側保持部に先に係止させ、』と訂正するものである。 ケ.訂正事項i(i-1.及びi-2.) 訂正事項i-1.は、明細書の段落【0028】に記載の『図10および図11は本発明の実施例2に係る』を、『図10および図11は本発明の実施に参考となる参考例に係る』と訂正するものである。 i-2.訂正事項i-2 訂正事項i-2.は、明細書の段落【0028】に記載の『実施例2では』(特許公報第8欄第25行、第36行)を、『参考例では』と訂正するものである。 j.訂正事項j 明細書の段落【0029】に記載の『図12は実施例2の』を、『図12は本発明の実施に参考となる参考例の』と訂正するものである。 k.訂正事項k 明細書の段落【0030】に記載の『実施例2』(特許公報第9欄第8行、第26行)を、『参考例』と訂正するものである。 l.訂正事項l 特許明細書の【図面の簡単な説明】の【図10】に記載の『本発明の実施例2の』を、『本発明の実施に参考となる参考例の』と訂正するものである。 m.訂正事項m 特許明細書の【図面の簡単な説明】の【図11】〜【図16】に記載の『実施例2の』(特許公報第10欄第21行、第23行、第24行、第26行、第28行、第30行)を、『参考例の』と訂正するものである。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 ア.訂正事項a(a-1.〜a-3.) 訂正事項a-1.は、特許請求の範囲の請求項1に記載の『本体に周辺機器を脱着自在に』を、『コネクタが備えられた本体と、該本体側コネクタに接続可能なコネクタが備えられた周辺機器を脱着自在に』と訂正するものであるところ、この訂正は、訂正前の「周辺機器を脱着自在に」する事項について、明細書の「コネクタを備えて本体に接続されるもの」(段落【0022】、本件特許公報第5欄第49行)ないしは「前記本体がコネクタを備えており」(請求項2、本件特許公報第2欄第6行)という記載に基づいて、脱着自在にする事項として「コネクタ」を備えるものであることを技術的に具体化し限定したものである。 してみると、訂正事項a-1.は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 訂正事項a-2.は、特許請求の範囲の請求項1に記載の『前記固定側保持部近傍を中心として周辺機器が回動可能な間隔を空けて配置するとともに、周辺機器の回動により前記可動係止部に前記可動側保持部が係合する位置に、前記可動側保持部を設け、』を、『前記固定側保持部近傍を中心として前記周辺機器が回動可能な間隔を空けて配置するとともに、前記本体側コネクタと前記固定側保持部との間に位置し、且つ前記周辺機器の回動により前記可動係止部に前記可動側保持部が係合する位置に、前記可動側保持部を設け、』と訂正するものであるところ、この訂正は、まず、訂正前の「周辺機器」を「前記周辺機器」と規定することによって訂正前の記載をよりわかりやすくしたものであり、次に、「前記可動側保持部を設け」る位置について、明細書の「図1および図2を参照して、本体1は(中略)凹部3を有している。(中略)本体1の凹部3の両側壁3a、3bには周辺機器2を保持するための保持部として(中略)可動側保持穴8とがそれぞれ設けられている。(中略)本体1の両保持穴7,8は凹部3の両内側壁3a、3b間の間隔だけ互いに離間されている。」(段落【0023】、本件特許公報第6欄第1行ないし第22行)又は図1ないし図8における符号「8」という記載に基づいて、「前記本体側コネクタと前記固定側保持部との間に位置」するものに限られることを技術的に具体化し限定的に規定したものである。 してみると、訂正事項a-2.は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、且つ、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 訂正事項a-3.は、特許請求の範囲の請求項1に記載の『前記可動側保持部を設け、前記可動系止部と前記可動側保持部との係合により前記固定側保持部近傍を中心とした周辺機器の回動を規制する、』を、『前記可動側保持部を設け、前記固定係止部と前記固定側保持部が係合され、前記可動係止部が前記可動側保持部に係止されて前記状態保持部によって係止状態が保持されることで、前記固定側保持部近傍を中心とした前記周辺機器の回動を規制する、』と訂正するものであるところ、この訂正は、まず、「前記固定側保持部近傍を中心とした前記周辺機器の回動を規制する」態様について、訂正前の「前記可動系止部と前記可動側保持部との係合により」当該「回動を規制」していたものを、明細書の「図4ないし図7を参照して本体への周辺機器の脱着について説明すると、(中略)固定突起5と固定側保持穴7との係止位置を中心にして矢印B方向に回動させると、(中略)該可動突起6は(中略)保持穴8内に入り込む。こうして周辺機器2は本体1に取り付けられる。」(段落【0026】、本件特許公報第7欄第32行ないし第48行)又は図1ないし図8における符号「5」ないし「8」という記載に基づいて、「前記可動側保持部を設け、前記固定係止部と前記固定側保持部が係合され」と技術的に具体化し限定した事項を付加したものであり、次に、訂正前の「周辺機器」を「前記周辺機器」と規定することによって訂正前の記載をよりわかりやすくしたものである。 してみると、訂正事項a-3.は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、且つ、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 以上の訂正により、請求項1は、全体として、特許請求の範囲の減縮を目的とし、且つ、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 イ.訂正事項b 訂正事項bは、「係止後の周辺機器の移動を規制する規制部材」の規制の態様(当該「規制部材」の配置の態様と周辺機器の回動の規制振り)について、「係止後の周辺機器の移動を規制する規制部材を設ける」(特許請求の範囲の【請求項3】)、及び「バネ部材24(請求項における状態保持部材に相当する)(段落【0024】、本件特許公報第7欄第10行ないし第11行)、「可動突起6はこれによりバネ部材24を圧縮させながらこのバネ部材力に抗して図6のようにガイド溝23内を移動していき、周辺機器2の凸部4の可動突起6が本体1の凹部3の側壁の可動側保持穴8に対向すると、図7のように該可動突起6は(中略)保持穴8内に入り込む。こうして周辺機器2は本体1に取り付けられる。」(段落【0026】、本件特許公報第7欄第42行ないし第48行)、又は図1ないし図8における符号「6」、「10」、「24」という記載に基づいて、訂正前の請求項3の発明を請求項2に移行するとともに請求項3を削除し、請求項2について「前記規制部材は、前記固定係止部が前記固定側保持部に、前記可動係止部が前記可動側保持部に、それぞれ係合した状態での前記固定側保持部と前記可動側保持部を結ぶ軸上に、前記固定係止部と前記可動係止部とを配置するとともに、前記同一軸上に平行に前記状態保持部材も備え、前記状態保持部材によって、前記可動係止部を前記固定係止部の方向に付勢することで前記可動係止部の前記可動側保持部への係止状態を解除し、前記可動係止部を前記両コネクタの方向に付勢することで前記可動係止部の前記可動側保持部への係止状態を保持し、前記固定側保持部近傍を中心とした周辺機器の回動を規制する」と、技術的に具体化し限定した事項を付加したものである。 してみると、訂正事項bは、特許請求の範囲の減縮を目的とし、且つ、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 以上の訂正により、請求項2は、全体として、特許請求の範囲の減縮を目的とし、且つ、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ.訂正事項c 訂正事項cは、特許請求の範囲の請求項3を削除するものであって、当該削除によって、その余の請求項の記載について変更又は拡張をもたらすものではない。 してみると、訂正事項cは、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 エ.訂正事項d 訂正事項は、明細書の段落【0003】に記載の『(特開平2ー2411号参照)』を、『(特開平2-2411号参照)』と訂正するものであるから、誤記の訂正に当たるものである。 してみると、訂正事項dは、誤記の訂正を目的とするものであって、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 オ.訂正事項e 訂正事項eは、請求項1を訂正事項aのように訂正したことに整合させて、段落【0008】の内容を訂正された請求項1の内容に符合させたものである。 そうとすると、上記ア.の説示を援用し、訂正事項eは、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 カ.訂正事項f 訂正事項fは、請求項2を訂正事項bのように訂正したことに整合させて、段落【0013】の内容を訂正された請求項2の内容に符合させたものである。 そうとすると、上記イ.の説示を援用し、訂正事項fは、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 キ.訂正事項g 訂正事項gは、請求項1、2を訂正事項a、bのように訂正したことに整合させて、段落【0014】の内容を訂正された請求項1、2の内容に符合させたものである。 そうとすると、上記ア.及びイ.の説示を援用し、訂正事項gは、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ク.訂正事項h 訂正事項hは、請求項2を訂正事項bのように訂正したことに整合させて、段落【0020】の内容を訂正された請求項2の内容に符合させたものである。 そうとすると、上記イ.の説示を援用し、訂正事項hは、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ケ.訂正事項i(i-1、i-2) 訂正事項i-1.は、訂正事項aによる請求項1の訂正と訂正事項bによる請求項2の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合性を図るためになされた訂正であって、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正を行うために、実施例2に関わる本件の発明の内容を特許請求の範囲の請求項から削除したことに伴って、この実施例2自体が本件の発明に係る実施例ではなくなったことから、この「本発明の実施例2に係る」という表現を「本発明の実施に参考になる参考例に係る」という表現に訂正したものである。 また、訂正事項i-2.は、訂正事項aによる請求項1の訂正と訂正事項bによる請求項2の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合性を図るためになされた訂正であって、特許請求の範囲の滅縮を目的とする訂正を行うために、実施例2に関わる本件の発明の内容を特許請求の範囲の請求項から削除したことに伴って、この実施例2自体が本件の発明に係る実施例ではなくなったことから、この「実施例2では」という表現を「参考例では」という表現に訂正したものである。 してみると、この訂正事項i(i-1.、i-2.)は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 コ.訂正事項j 訂正事項jは、訂正事項aによる請求項1の訂正と訂正事項bによる請求項2の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合性を図るためになされたものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正を行うために、実施例2に関わる本件の発明の内容を特許請求の範囲の請求項から削除したことに伴って、この実施例2自体が本件の発明に係る実施例ではなくなったことから、この「本発明の実施例2の」という表現を「本発明の実施に参考になる参考例の」という表現に訂正したものである。 そのため、この訂正事項jは、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 サ.訂正事項k 訂正事項kは、訂正事項aによる請求項1の訂正と訂正事項bによる請求項2の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合性を図るためになされたものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正を行うために、実施例2に関わる本発明内容を特許請求の範囲の請求項から削除したことに伴って、この実施例2自体が本発明に係る実施例ではなくなったことから、この「実施例2」という表現を「参考例」という表現に訂正したものである。 してみると、訂正事項kは、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 シ.訂正事項l 訂正事項lは、訂正事項aによる請求項1の訂正と訂正事項bによる請求項2の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合性を図るためになされたものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正を行うために、実施例2に関わる本件の発明の内容を特許請求の範囲の請求項から削除したことに伴って、この実施例2自体が本件の発明に係る実施例ではなくなったことから、この「本発明の実施例2の」という表現を「本発明の実施に参考になる参考例の」という表現に訂正したものである。 してみると、訂正事項lは、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ス.訂正事項mについて 訂正事項mは、訂正事項aによる請求項1の訂正と訂正事項bによる請求項2の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合性を図るためになされたものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正を行うために、実施例2に関わる本件の発明の内容を特許請求の範囲の請求項から削除したことに伴って、この実施例2自体が本件の発明に係る実施例ではなくなったことから、この「実施例2」という表現を「参考例」という表現に訂正したものだり、訂正事項mは、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)まとめ 以上のとおりであって、訂正事項aないしmは、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面ないし願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、本件の訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議の申立てについて (1)特許異議の申立ての理由の概要 特許異議の申立ての理由は、概要、 「理由1.本件請求項1,2及び3に係る特許は、平成12年6月16日付けの手続補正書により、請求項1の「前記周辺機器には前記可動係止部を前記可動側保持部に係止する方向に押圧するバネ部材を設け」との記載を「前記周辺機器には前記可動係止部を前記可動側保持部に係止する方向に押圧する状態保持部材を設け」と補正(以下、「本件補正」という。)したが、当該「状態保持部材」についての記載は、出願当初の明細書には存在せず、「バネ部材」を「状態保持部材」とする本件補正は出願当初の明細書及び図面に含まれない事項を追加する補正であるから、本件の特許は特許法第17条第2項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してなされたものであり、特許法第113条第1号の規定により取消すべきものである。 理由2.本件請求項1,2及び3に係る特許発明は、甲第1号証(特開昭61-256797号公報)に記載された発明と同一であり、また、本件請求項1,3に係る特許発明は、甲第2号証(実開平6-27359号公報)に記載された発明と同一であるから、本件請求項1,2及び3に係る特許は、特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第113条第2号の規定により取消すべきものである(なお、理由1において述べた「状態保持部材」を「バネ部材」と訂正した場合には、本件請求項1に係る特許発明は、当業者が甲第1,2号証に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである旨をも説示(特許異議申立書第11頁cの項))。」 というものである。 (2)特許異議の申立てについての判断 (2)-1.理由1について 特許異議申立人の主張につき検討すると、まず、出願当初の明細書には、「係止状態を解除させる」(請求項5、段落【0012】、【0019】、特開平8-118763号公報の第1欄第28行、第3欄第40行、第4欄第38行)と記載されていることから判断すると、「係止状態を解除させる」前の段階では当該「係止状態を保持させている」段階が存在し、この「係止状態を保持させている」段階に用いられる「係止の状態を保持させている部材」が存在しているという技術的思想が記載されており、この「係止の状態を保持させている部材」について検討すると、明細書には「このガイド溝23には上面に操作部10を一体に形成した可動突起6が挿入される。可動突起6はまたその後部がバネ部材24を挿通せるための挿通部6aを有している。(中略)可動突起6はガイド溝23に挿入された状態で、可動突起6の挿通部6aに挿通されかつリブ25に端部が固定されたバネ部材24でその一端側が挿通用穴(切り欠き18,19で構成される)から突出する、つまり、本体1の可動側保持穴8に係止する方向に押圧されている。この操作部10は可動突起6を可動側保持穴8との係止状態を解除させる際に操作されるものである。」(特開平8-118763号公報の段落【0024】、第6欄第20行〜第32行)、「図4ないし図7を参照して本体への周辺機器の脱着について説明すると、(中略)周辺機器2の凸部4の側壁4bの可動突起6は本体1の凹部3の側壁上端部と接触してその接触圧を受けて押される。可動突起6はこれによりバネ部材24を圧縮させながらこのバネ部材力に抗して図6のようにガイド溝23を移動していき、周辺機器2の凸部4の可動突起6が本体1の凹部3の側壁の可動側保持穴8に対向すると、図7のように該可動突起6はバネ部材24の復帰による付勢力でその保持穴8内に入り込む。こうして周辺機器2は本体1に取り付けられる。」(特開平8-118763号公報の段落【0026】、第6欄第43行〜第7欄第16行)と記載されており、これらの記載からみると、「バネ部材」が当該「係止状態を保持させている」段階に係る技術的事項(部材)として記載されていると認められる(特開平8-118763号公報の第6欄第22行、第28行、第37行、第7欄第3行、第7行の「バネ部材24」、特許公報では、第7欄第13行、第17行、第26行、第42行、第46行参照。)。 してみると、請求項1に係る発明の「前記周辺機器には前記可動係止部を前記可動側保持部に係止する方向に押圧するバネ部材を設け」を「前記周辺機器には前記可動係止部を前記可動側保持部に係止する方向に押圧する状態保持部材を設け」と補正する本件補正前後において当該双方の「部材」の技術的意義は変わらないと認められる。 そうとすると、本件補正において「状態保持部材」という用語を用い、「バネ部材」とは表現は異ならしめても、本件補正は、新しい事項を付加した補正ではなく出願当初の明細書に記載している事項の範囲内の補正である。 したがって、本件補正は出願当初の明細書及び図面に含まれない事項を追加する補正ではなく、特許法第17条第2項に規定する要件を満たしている補正であり、これに反し、本件の特許は同項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してなされたものであるとの特許異議申立人の主張は理由がない。 (2)-2.理由2について まず、特許異議申立人が取消しを求めた本件特許の請求項3に係る特許は、上記2.訂正の適否において説示したように、特許異議申立て後の訂正請求により削除されており、存在しないものとなったので、請求項3に係る特許についての特許異議申立人の申立ては不適法なものに帰し、理由がない(なお、「状態保持部材」を「バネ部材」と訂正した場合には、本件請求項1に係る特許発明は、当業者が甲第1,2号証に記載された発明に基いて容易に想到できたものであるから、本件請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである旨の主張は、当該主張の前提となる訂正が存しないから、理由がない。)。 したがって、(2)-3.ないし(2)-5において、請求項1,2に係る特許について検討する。 (2)-3.本件の請求項1、2に係る発明 本件の請求項1,2に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲に記載された次のとおりである(なお、符号AないしMを挿入して分説した。)。 請求項1に係る発明 A.コネクタが備えられた本体と、該本体側コネクタに接続可能なコネクタが備えられた周辺機器を脱着自在に取り付けるための周辺機器脱着機構であって、 B.前記本体の前記周辺機器との脱着面には前記周辺機器を保持するための固定側保持部と可動側保持部とを設ける一方、 C.前記周辺機器の前記本体との脱着面には前記固定側保持部に係止する位置に移動不能に固定係止部を、 D.前記可動側保持部に係止する位置に移動可能に可動係止部をそれぞれ設けるとともに、 E.さらに前記周辺機器には前記可動係止部を前記可動側保持部に係止する方向に押圧する状態保持部材を設け、 F.前記固定側保持部と前記可動側保持部とを、前記固定側保持部近傍を中心として前記周辺機器が回動可能な間隔を空けて配置するとともに、 G.前記本体側コネクタと前記固定側保持部との間に位置し、且つ前記周辺機器の回動により前記可動係止部に前記可動側保持部が係合する位置に、前記可動側保持部を設け、 H.前記固定係止部と前記固定側保持部が係合され、前記可動係止部が前記可動側保持部に係止されて前記状態保持部によって係止状態が保持されることで、前記固定側保持部近傍を中心とした前記周辺機器の回動を規制する、ことを特徴とする周辺機器脱着機構。 請求項2に係る発明 I.さらに前記周辺機器は係止後の周辺機器自体の移動を規制する規制部材を設け、 J.前記規制部材は、前記固定係止部が前記固定側保持部に、前記可動係止部が前記可動側保持部に、それぞれ係合した状態での前記固定側保持部と前記可動側保持部を結ぶ軸上に、前記固定係止部と前記可動係止部とを配置するとともに、 K.前記同一軸上に平行に前記状態保持部も備え、 L.前記状態保持部によって、前記可動係止部を前記固定係止部の方向に付勢することで前記可動係止部の前記可動側保持部への係止状態を解除し、前記可動係止部を前記両コネクタの方向に付勢することで前記可動係止部の前記可動側保持部への係止状態を保持し、前記固定側保持部近傍を中心とした周辺機器の回動を規制する、 M.ことを特徴とする請求項1に記載の周辺機器脱着機構。 (2)-4.刊行物 刊行物1 特開昭61-256797号公報 刊行物2 実願平4-64757号(実開平6-27359号公報)のCD-ROM ア.刊行物1 刊行物1には、電子機器の着脱機構に関するものとして、「ホストコンピュータ1とプリンター10を接続する閉動作の時は(中略)ホストコンピューター1とプリンター10を接続状態から分離する開動作の時は」(第3頁右上欄第15~18行)(以下「記載事項A”」という。)と記載され、「2はホストコンピューター1とプリンター10を接続するコの字状をしたフック部材であるスプリング」(図1及び第3頁左上欄第6~7行目)(以下「記載事項B”」という。)と記載され、「ピボットプレート12はプリンター10のラッチハンドル16の反対側に固定ネジ13により取り付けられている。ピボットプレート12を第2図及び第3図の如く折り曲げ形状をなしホストコンピュータ1の後部片側側面部に固定されているフックスプリング2に係合し」(第2図及び第3図並びに第3頁右下欄第15行~第4頁左上欄第1行)(以下「記載事項C”」という。)と記載され、「ラッチプレート15はラッチハンドル16の開閉動作と連動して矢印D及び矢印Eのごとき曲線動作をするもので、すなわちラッチハンドル16の矢印Bの開動作の時はラッチプレート15は矢印Dの動きをしラッチプレート15の折り曲げ形状となっている引っ掛け部15aは相手のホストコンピュータ1のフックプレート2の平面部を押し付けることとなり(中略)またラツチハンド16の矢印C方向の閉動作は同様にラッチプレート15の矢印E方向の動作となりラッチプレート15の引っ掛け部15aは相手側のホストコンピュータ1のコの字状をしたフックスプリング2の引っ掛け部2bを引っ掛け」(第2図、第4図及び第5図並びに第3頁右上欄第20行〜左下欄第13行)(以下「記載事項D”」という。)と記載され、「ラッチプレートホルダ一19はラッチハンドル16と1体動作をするようにラッチプレート側に配置され、又ラッチプレート15の支点となる支点部を有している。(中略)ラッチプレート15はプリンター10のガイド穴端面部10aとの位置関係により、ラッチハンドル16の矢印B及び矢印Cの開閉動作と連動し、矢印D及び矢印Eの動きとなる。ラッチプレート15の矢印Eの動きはホストコンピュータ1のフックスプリング2と係合を可能にし、」(第4図及び第5図並びに第4頁右上欄第7行〜19行)(以下「記載事項E”」という。)と記載され、「第3図はラッチホールド時の回動支点となるプリンター10のピボットプレート側のホストコンピュータ1との接続状態図で、(中略)ピボットプレート12を第2図及び第3図の如く折り曲げ形状をなしホストコンピュータ1の後部片側側面部に固定されているフックスプリング2に係合し、ラッチハンドル16の開閉動作によりプリンタ10の矢印F及び矢印Cの回動動作の支点となるものである。」(第1図及び第3頁右下欄第13行~第4頁左上欄第3行)(以下「記載事項F”」という。)と記載され、「第3図はラッチホールド時の回動支点となるプリンター10のピボットプレート側のホストコンピュータ1との接続状態図で、」(第3頁右下欄第13~15行)及び「第5図のラッチホールド状態ではホストコンピュータ1のフックスプリング2とラッチプレート15の引っ掛け部15aは係合され」(以下、これらの記載を「記載事項G”」という。)(第4頁左下欄第1〜3行)と記載され、「第5図のラッチホールド状態ではホストコンピュータ1のフックスプリング2とラッチプレート15の引っ掛け部15aは係合されホストコンピュータ1のフックスプリング2のバネ性により常にプリンター10をホストコンピュータ1側に引き寄せ、ホストコンピュータとプリンタ10とのガタを少くしコネクター接続を確実にする構造となっている。」(第4頁左下欄第1~8行)(以下「記載事項H”」という。)と記載され、「ホストコンピュータ1の後部には切り欠き窓がありシェルコネクター4が接続基板のカードエッジ部4aを覆うようにガイドされており、」(第1図及び第3頁右上欄第4~6行)(以下「記載事項I”」という。)と記載され、及び、「それに対応し接続されるプラグコネクター14はプリンター側の同位置に配置されており、ラッチホールド時には確実に接続される構造となる。」(第2図及び第3頁右上欄第6~9行)(以下「記載事項J”」という。)と記載され、第1図及び第2図によれば、「シェルコネクター4(第3頁右上欄第5行)及びプラグコネクター14(同欄第7行)はピボットプレート12と対応するフックスプリング2よりもラッチプレート15と対応するフックスプリング2に近い位置に配置されている。」構成(以下「記載事項K”」という。)が認められ、及び、第3図及び第5図によれば、「係止後のプリンタ10の筺体背面の凸部がフックスプリング2をホストコンピュータに固定する固定ねじ3が係合してプリンタ10の移動を規制している」構成(以下「記載事項L1”」という。)が認められ、また、「ロックプレート17は第7図,第8図の如くラッチハンドル16のガイド面16a(第4頁左下欄第9行)に沿って矢印I、Jの如く上下することができ、ラッチフレームの端部上にある切欠窓20b(同欄第15行)にロックプレート17が挿入されているか否かによりロックされているか、解放されているかが決まるものである。第7図はロックプレート17がラッチフレーム20の切欠窓20bの中に挿入されているのでラッチハンドル16はロック状態であり、矢印Bの如くに回動することを防止している。」(第7図及び第8図並びに第4頁左下欄第8〜17行)(以下「記載事項L2”」という。)と記載されている。 これらの記載事項A”ないしL2”及び図面によれば、刊行物1には、記載事項A”によれば、「ホストコンピュータ1とプリンター10を接続・分離する」構成が、記載事項B”によれば、「ホストコンピューター1とプリンター10を接続するコの字状をしたフック部材であるスプリング2を備える」構成が、記載事項C”によれば、「プリンター10のラッチハンドル16の反対側に固定ネジ13により取り付けられているピボットプレート12をコンピュータ1の後部片側側面部に固定されているフックスプリング2に係合する」構成が、記載事項D”によれば、「ラッチ部材であるラッチハンドル16の開閉動作と連動して矢印D及び矢印Eのごとき曲線動作をなすラッチプレート15の折り曲げ形状となっている引っ掛け部15aは相手のホストコンピュータ1のフックプレート2の平面部を押し付け、ラツチハンドル16の矢印C方向の閉動作の際は、ラッチプレート15の矢印E方向の動作となりラッチプレート15の引っ掛け部15aがホストコンピュータ1のコの字状をしたフックスプリング2の引っ掛け部2bを引っ掛ける」構成が、記載事項E”によれば、「ラッチハンドル16と一体動作をするラッチプレートホルダ一19に支点部22を備えるラッチプレート15は、ラッチハンドル16の開閉動作(矢印B及び矢印C)と連動し、矢印D及び矢印Eの動きとなり、ホストコンピュータ1のフックスプリング2と離脱・係合する」構成が、記載事項F”によれば、「ラッチホールド時の回動支点となるプリンター10のピボットプレート12側のホストコンピュータ1との接続状態図を示す第3図の如く、ピボットプレート12を折り曲げ形状をなし、ホストコンピュータ1の後部片側側面部に固定されているフックスプリング2に係合し、ラッチハンドル16の開閉動作によりプリンタ10の矢印F及び矢印Cの回動動作の支点となる」構成が、記載事項G”によれば、「ホストコンピュータ1のフックスプリング2とプリンタ10のラッチプレート15の引っ掛け部15aが係合され」る構成が、記載事項H”及びG”によれば、「ラッチホールド状態ではホストコンピュータ1のフックスプリング2が、一端ではラッチホールド時の回動支点となりつつフックスプリング2のバネ性により常にプリンター10をホストコンピュータ1側に引き寄せ、かつ、他端ではフックスプリング2が、ラッチプレート15の引っ掛け部15aと係合されつつフックスプリング2のバネ性により常にプリンター10をホストコンピュータ1側に引き寄せ、ホストコンピュータとプリンタ10とのガタを少なくしコネクター接続する」構成が、記載事項I”によれば、「ホストコンピュータ1の後部には切り欠き窓20bがあり、シェルコネクター4が接続基板のカードエッジ部4aを覆うようにガイドされている」構成が、記載事項J”によれば、「プラグコネクター14はプリンター側の対応する位置に配置されており、ラッチホールド時に接続される」構成が、記載事項K”によれば、「シェルコネクター4及びプラグコネクター14はピボットプレート12と対応するフックスプリング2よりもラッチプレート15と対応するフックスプリング2に近い位置に配置されている」構成が、記載事項L1”によれば、「係止後のプリンタ10の筺体背面の凸部がフックスプリング2をホストコンピュータに固定する固定ねじ3が係合してプリンタ10の移動を規制している」構成が、及び、記載事項L2”によれば、「ラッチハンドル16のガイド面16aに沿って矢印I、Jの如く上下することができるロックプレート17が、ラッチフレームの端部上にある切欠窓20bに挿入されているか否かによりロックされているか、解放されているかが決まる」構成が、それぞれ認められる。 したがって、刊行物1には、電子機器の着脱機構に関するものとして、本件の発明の構成に照応対置して、便宜符号a.ないしl.を冠記挿入して分説すると、 「a.ホストコンピュータ1とプリンター10を接続・分離する電子機器の着脱機構として、 b.ホストコンピューター1とプリンター10を接続するコの字状をしたフック部材であるスプリング2を備え、 c.プリンター10のラッチハンドル16の反対側に固定ネジ13により取り付けられているピボットプレート12をコンピュータ1の後部片側側面部に固定されているフックスプリング2に係合する構成を備え、 d.ラッチ部材であるラッチハンドル16の開閉動作と連動して矢印D及び矢印Eのごとき曲線動作をなすラッチプレート15の折り曲げ形状となっている引っ掛け部15aは相手のホストコンピュータ1のフックプレート2の平面部を押し付け、ラツチハンドル16の矢印C方向の閉動作の際は、ラッチプレート15の矢印E方向の動作となりラッチプレート15の引っ掛け部15aがホストコンピュータ1のコの字状をしたフックスプリング2の引っ掛け部2bを引っ掛ける構成を備え、 e.ラッチハンドル16と一体動作をするラッチプレートホルダ一19に支点部22を備えるラッチプレート15は、ラッチハンドル16の開閉動作(矢印B及び矢印C)と連動し、矢印D及び矢印Eの動きとなり、ホストコンピュータ1のフックスプリング2と離脱・係合する構成を備え、 f.ラッチホールド時の回動支点となるプリンター10のピボットプレート12側のホストコンピュータ1との接続状態図を示す第3図の如く、ピボットプレート12を折り曲げ形状をなし、ホストコンピュータ1の後部片側側面部に固定されているフックスプリング2に係合し、ラッチハンドル16の開閉動作によりプリンタ10の矢印F及び矢印Cの回動動作の支点となる構成を備え、 g.ホストコンピュータ1のフックスプリング2とプリンタ10のラッチプレート15の引っ掛け部15aが係合される構成を備え、 h.ラッチホールド状態ではホストコンピュータ1のフックスプリング2が、一端ではピボットプレート12と係合してラッチホールド時の回動支点となりつつフックスプリング2のバネ性により常にプリンター10をホストコンピュータ1側に引き寄せ、かつ、他端ではフックスプリング2が、ラッチプレート15の引っ掛け部15aと係合されつつフックスプリング2のバネ性により常にプリンター10をホストコンピュータ1側に引き寄せ、ホストコンピュータとプリンタ10とのガタを少なくしコネクター接続する構成を備え、 i.ホストコンピュータ1の後部には切り欠き窓20bがあり、シェルコネクター4が接続基板のカードエッジ部4aを覆うようにガイドされている構成を備え、 j.プラグコネクター14はプリンター側の対応する位置に配置されており、ラッチホールド時に接続される構成を備え、 k.シェルコネクター4及びプラグコネクター14はピボットプレート12と対応するフックスプリング2よりもラッチプレート15と対応するフックスプリング2に近い位置に配置されている構成を備え、 l.係止後のプリンタ10の筺体背面の凸部がフックスプリング2をホストコンピュータに固定する固定ねじ3が係合してプリンタ10の移動を規制している構成及びラッチハンドル16のガイド面16aに沿って矢印I、Jの如く上下することができるロックプレート17が、ラッチフレームの端部上にある切欠窓20bに挿入されているか否かによりロックされているか、解放されているかが決まる構成を備えている」発明が記載されている。 イ.刊行物2 刊行物2には、車載用音響機器の操作用パネル着脱機構に関するものとして、「この考案のパネル着脱機構は操作用のパネルが取外し可能な車載用電子機器のパネル着脱機構において、」(段落番号【0008】))(以下「記載事項r」という。)と記載され、「突起2aを凹部laと係合させて操作用パネル2を押し込むと、ロックレバー3のフック3aは後退して、操作用パネル2が音響機器本体1に装着された状態で音響機器本体1の右端に設けられた係合凹部lbに突入して操作用パネル2を係止する。」(図1及び図2並びに段落番号【0015】の第2〜5行)(以下「記載事項s」という。)と記載され、、「lbは音響機器本体1の右端に設けられた係合凹部である。3はロックレバーであり、操作用パネル2に設けられた支点軸2cにより回動自在に支持され、トーションバネ4によって反時計方向(当審注;段落番号【0017】の「ロックレバー3が回動付勢力により時計方向に回動するため」との記載からみて「時計方向」の誤記と認められる。)に回動付勢されている。3aはフック、3bは当接部である。」(図1及び図2並びに段落番号【0013】の第3〜6行)(以下、「記載事項t」という。)と記載され、「ロックレバー3のフック3aは後退して、操作用パネル2が音響機器本体1に装着された状態で音響機器本体1の右端に設けられた係合凹部lbに突入して操作用パネルを係止する。」(段落番号【0015】の第3〜5行)(以下「記載事項u」という。)と記載され、及び「(図1、図2とともに)操作用パネル2の筺体の背面側の部分は音響装置本体1として指示されている断面コの字形状の内側面に収納される」構成(以下「記載事項v」という。)が記載されている。 記載事項vによれば、「操作用パネル2の筺体の背面側の部分は音響装置本体1として指示されている断面コの字形状の内側面に収納される」ことによって、本体1とパネル2の相互の移動が規制されることが認められるから、刊行物2には、記載事項r乃至vによれば、 「車載用電子機器のパネルを着脱するために、走査パネル2の突起2aを音響本体1の凹部laと係合させて操作用パネル2を押し込むと、ロックレバー3のフック3aは後退して、操作用パネル2が音響機器本体1に装着された状態で音響機器本体1の右端に設けられた係合凹部lbに突入して操作用パネルを係止する構成と、フック3a、当接部3bを備えたロックレバー3は、操作用パネル2に設けられた支点軸2cにより回動自在に支持され、トーションバネ4によって時計方向に回動付勢されるように構成され、操作用パネル2の筺体の背面側の部分は音響装置本体1として指示されている断面コの字形状の内側面に収納されることによって、本体1とパネル2の相互の移動が規制されるように構成された車載用電子機器のパネル着脱機構」の発明が記載されている。 (2)-5.対比・判断 (ア) 請求項1に係る発明について 本件特許の請求項1に係る発明と刊行物1に記載された発明を比較すると、請求項1に係る発明のAの「本体」、「周辺機器」は、刊行物1に記載された発明のaの「ホストコンピュータ1」、「プリンター10」に対応し、Bの「固定側保持部と可動側保持部」は、刊行物1に記載されたbの「スプリング2」に対応し、Cの「固定係止部」は、刊行物1に記載されたcの「ピボットプレート12」に対応し、Dの「可動係止部」は、刊行物1に記載されたdの「ラッチプレート15」に対応し、Fの「前記固定側保持部と前記可動側保持部とを、前記固定側保持部近傍を中心として周辺機器が回動可能な間隔を空けて配置するとともに、」は、刊行物1に記載されたfの「ラッチホールド時の回動支点となるプリンター10のピボットプレート12側のホストコンピュータ1との接続状態図を示す第3図の如く、ピボットプレート12を折り曲げ形状をなし、ホストコンピュータ1の後部片側側面部に固定されているフックスプリング2に係合し、ラッチハンドル16の開閉動作によりプリンタ10の矢印F及び矢印Cの回動動作の支点となる構成」に対応し(fにおける当該「回動」のためには「回動可能な間隔」は当然に設けられる。)、Gの「周辺機器の回動により前記可動係止部に前記可動側保持部が係合する位置に、」設けられる「前記可動側保持部」は、刊行物1に記載されたgの「フックスプリング2とラッチプレート15の引っ掛け部15aが係合される構成」に対応し、及びHの「前記可動係止部が前記可動側保持部に係止され」の構成は、刊行物1に記載されたhにおける「フックスプリング2が、一端ではピボットプレート12と係合してラッチホールド時の回動支点となりつつ、かつ、他端ではフックスプリング2が、ラッチプレート15の引っ掛け部15aと係合されプリンター10をホストコンピュータ1側に引き寄せ、ホストコンピュータとプリンタ10とのガタを少なくしコネクター接続する」構成に対応するから、双方の発明は、「本体に周辺機器を脱着自在に取り付けるための周辺機器脱着機構であって、前記周辺機器との脱着面には前記周辺機器を保持するための固定側保持部と可動側保持部とを設ける一方、前記周辺機器の前記本体との脱着面には前記固定側保持部に係止する位置に移動不能に固定係止部を、前記可動側保持部に係止する位置に移動可能に可動係止部をそれぞれ設けるとともに、前記固定側保持部と前記可動側保持部とを、前記固定側保持部近傍を中心として周辺機器が回動可能な間隔を空けて配置するとともに、周辺機器の回動により前記可動係止部に前記可動側保持部が係合する位置に、前記可動側保持部を設け、前記可動係止部が前記可動側保持部に係止される構成を有する周辺機器脱着機構。」である点で一致し、次の点において相違する。 (相違点) 本件特許の請求項1に係る発明が、Eの「さらに前記周辺機器には前記可動係止部を前記可動側保持部に係止する方向に押圧する状態保持部材を設け」、及びGの「本体側コネクタと固定側コネクタの間に位置するように可動側保持部を設け」る構成と相俟って、更にHの「前記固定係止部と前記固定側保持部が係合され、前記可動係止部が前記可動側保持部に係止されて前記状態保持部によって係止状態が保持されることで、前記固定側保持部近傍を中心とした前記周辺機器の回動を規制する」構成を備えているものであるのに対し、刊行物1の発明がeの「ラッチハンドル16と一体動作をするラッチプレートホルダ一19に支点部22を備えるラッチプレート15は、ラッチハンドル16の開閉動作(矢印B及び矢印C)と連動し、矢印D及び矢印Eの動きとなり、ホストコンピュータ1のフックスプリング2と離脱・係合する構成」を備えるものであって、「押圧する」態様で「状態保持部材」を設けているものではない上に、Gの「本体側コネクタと固定側コネクタの間に位置するように可動側保持部を設け」る構成にHの「前記固定係止部と前記固定側保持部が係合され、前記可動係止部が前記可動側保持部に係止されて前記状態保持部によって係止状態が保持されることで、前記固定側保持部近傍を中心とした前記周辺機器の回動を規制する」構成を備えているものではない点。 この相違点について検討する。 刊行物2に記載されている発明において、係合部の着脱機構として、係合部材であるロックレバー3を係止方向に押圧する(回動付勢の態様で)バネ部材であるトーションバネ4が記載されているが、前記相違点の構成を備えているものではない。 したがって、当業者が本件の請求項1に係る発明は、刊行物1、2に記載された発明ではなく、また、刊行物1、2に記載された発明に基いて想到する基因を見出すことはできない。 (イ) 請求項2に係る発明について 本件特許の請求項2に係る発明は請求項1に係る発明を技術的に限定したものであるから、上記(ア)の説示が該当し、更に、刊行物1、2の発明は、請求項2に係る発明の「I.さらに前記周辺機器は係止後の周辺機器自体の移動を規制する規制部材を設け、J.前記規制部材は、前記固定係止部が前記固定側保持部に、前記可動係止部が前記可動側保持部に、それぞれ係合した状態での前記固定側保持部と前記可動側保持部を結ぶ軸上に、前記固定係止部と前記可動係止部とを配置するとともに、K.前記同一軸上に平行に前記状態保持部も備え、L.前記状態保持部によって、前記可動係止部を前記固定係止部の方向に付勢することで前記可動係止部の前記可動側保持部への係止状態を解除し、前記可動係止部を前記両コネクタの方向に付勢することで前記可動係止部の前記可動側保持部への係止状態を保持し、前記固定側保持部近傍を中心とした周辺機器の回動を規制する」構成を備えているものではない。 したがって、本件の請求項2に係る発明は、刊行物1、2に記載された発明ではなく、また、当業者が刊行物1、2に記載された発明に基いて想到する基因を見出すことはできない。 (ウ) まとめ 以上のとおり、本件の請求項1,請求項2に係る発明は、その出願前国内において頒布された刊行物に記載された発明ではなく、またその出願前その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその出願前国内において頒布された刊行物に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものではないから、本件請求項1、請求項2に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 4.むすび 以上のとおりであるから、本件の訂正請求については、これを認め、本件の特許異議申立については、特許異議申立人の証拠及び理由によっては、本件の請求項1、請求項2に係る発明についての特許を取り消すことはできず、また、他に本件の請求項1、請求項2に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 したがって、本件の発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 周辺機器脱着機構 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 コネクタが備えられた本体と、該本体側コネクタに接続可能なコネクタが備えられた周辺機器を脱着自在に取り付けるための周辺機器脱着機構であって、 前記本体の前記周辺機器との脱着面には前記周辺機器を保持するための固定側保持部と可動側保持部とを設ける一方、前記周辺機器の前記本体との脱着面には前記固定側保持部に係止する位置に移動不能に固定係止部を、前記可動側保持部に係止する位置に移動可能に可動係止部をそれぞれ設けるとともに、さらに前記周辺機器には前記可動係止部を前記可動側保持部に係止する方向に押圧する状態保持部材を設け、 前記固定側保持部と前記可動側保持部とを、前記固定側保持部近傍を中心として前記周辺機器が回動可能な間隔を空けて配置するとともに、前記本体側コネクタと前記固定側保持部との間に位置し、且つ前記周辺機器の回動により前記可動係止部に前記可動側保持部が係合する位置に、前記可動側保持部を設け、 前記固定係止部と前記固定側保持部が係合され、前記可動係止部が前記可動側保持部に係止されて前記状態保持部材によって係止状態が保持されることで、前記固定側保持部近傍を中心とした前記周辺機器の回動を規制する、 ことを特徴とする周辺機器脱着機構。 【請求項2】 さらに前記周辺機器は係止後の周辺機器自体の移動を規制する規制部材を設け、 前記規制部材は、前記固定係止部が前記固定側保持部に、前記可動係止部が前記可動側保持部に、それぞれ係合した状態での前記固定側保持部と前記可動側保持部を結ぶ軸上に、前記固定係止部と前記可動係止部とを配置するとともに、前記同一軸上に平行に前記状態保持部材も備え、 前記状態保持部材によって、前記可動係止部を前記固定係止部の方向に付勢することで前記可動係止部の前記可動側保持部への係止状態を解除し、前記可動係止部を前記両コネクタの方向に付勢することで前記可動係止部の前記可動側保持部への係止状態を保持し、前記固定側保持部近傍を中心とした周辺機器の回動を規制する、 ことを特徴とする請求項1記載の周辺機器脱着機構。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、ポケットコンピュータ等の本体に、プリンタ等の周辺機器を脱着自在に取り付けるための周辺機器脱着機構に関する。 【0002】 【従来の技術】 例えばポケットコンピュータの動作内容をそれに搭載されているディスプレイではなくオプションとしてのプリンタを用いてこれに必要に応じてプリントさせたい場合がある。このようなときにはポケットコンピュータとプリンタとを電気配線で接続することが考えられるが、このような配線では不便であるから配線ではなくポケットコンピュータとプリンタそれぞれにコネクタをあらかじめ取り付けておき、それぞれのコネクタどうしが接続されるようにポケットコンピュータとプリンタとを脱着自在にし、ポケットコンピュータとプリンタとをコンパクトに使用できるようにすると便利である。そこで、ポケットコンピュータのような本体にプリンタのような周辺機器を脱着自在にする周辺機器脱着機構が提案されている。 【0003】 図17および図18はこのような周辺機器脱着機構の従来例であり(特開平2-2411号参照)、図17は本体と周辺機器との外観斜視図であり、図18は周辺機器の外観斜視図である。これらの図に示される周辺機器脱着機構ではポケットコンピュータのような本体100にオプションとしてのプリンタのような周辺機器101を脱着自在とするために、本体100の周辺機器101との脱着面には、1つの方向を除いて周辺機器101の脱着の際のガイドとなる突状のコ字型ガイドリブ102と、周辺機器を保持するために長手方向に一定の間隔を隔てて2つの取り付けアングル103,104と、固定孔105とを設け、周辺機器101の本体100との脱着面には本体100に脱着する際にガイドリブ102によってガイドされる受けリブ106と、前記取り付けアングル103,104によって係止される取り付けアングル107,108と、固定レバー109とを設けてなる。そして、本体100に周辺機器101を取り付けるときは、周辺機器101の受けリブ106の内面を本体100のガイドリブ102の外面にガイドさせながら、周辺機器101を同図の矢印Aの方向に移動させる。こうすると、周辺機器101の取り付けアングル107,108が本体100の取り付けアングル103,104にかみ合って係止され、さらに固定レバー109をスライドさせながら本体100の固定孔105に挿入させロックさせることで周辺機器101を本体100に取り付ける。また、周辺機器101を本体100から取り外すときは固定レバー109をスライドさせて固定孔105から引き抜き、周辺機器101を矢印Aの方向とは逆の方向に移動させることで、取り付けアングル107,108が外れて周辺機器101が本体100から取り外される。 【0004】 図19は他の従来例に係る周辺機器脱着機構の外観斜視図であり、同図に示される周辺機器脱着機構では、本体110にネジ穴111を設け、周辺機器112にはこのネジ穴111に入り込むネジ113を設け、周辺機器112を本体110に取り付けるときは、周辺機器112の操作部114を回転させてネジ113をネジ穴111に入れて締め込む。この取り付けの際は、本体110の開口115に臨むコネクタ116と周辺機器112のコネクタ117とを接続できるようにしている。なお同図の(a)は取り付け前の状態、(b)は取り付け後の状態をそれぞれ示している。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 このような従来例の周辺機器脱着機構において図17および図18のものにあっては、周辺機器を本体に対してスライドさせる方式であるから、本体と周辺機器との接続にコネクタ等を使用している場合での脱着には使用できず、その使用範囲が限定されたものとなる。 【0006】 また、図19のものにあってはネジによって周辺機器を本体に脱着させる方式であるから使い勝手がたいへん悪くワンタッチでの脱着には不向きである。 【0007】 したがって、本発明においては、その使用範囲の広い、かつ、使い勝手がよく、そのうえワンタッチでの脱着が容易な周辺機器脱着機構を提供することを目的としている。 【0008】 【課題を解決するための手段】 このような目的を達成するために、本発明は、請求項1に示すように、コネクタが備えられた本体と、該本体側コネクタに接続可能なコネクタが備えられた周辺機器を脱着自在に取り付けるための周辺機器脱着機構であって、前記本体の前記周辺機器との脱着面には前記周辺機器を保持するための固定側保持部と可動側保持部とを設ける一方、前記周辺機器の前記本体との脱着面には前記固定側保持部に係止する位置に移動不能に固定係止部を、前記可動側保持部に係止する位置に移動可能に可動係止部をそれぞれ設けるとともに、さらに前記周辺機器には前記可動係止部を前記可動側保持部に係止する方向に押圧する状態保持部材を設け、前記固定側保持部と前記可動側保持部とを、前記固定側保持部近傍を中心として前記周辺機器が回動可能な間隔を空けて配置するとともに、前記本体側コネクタと前記固定側保持部との間に位置し、且つ前記周辺機器の回動により前記可動係止部に前記可動側保持部が係合する位置に、前記可動側保持部を設け、前記固定係止部と前記固定側保持部が係合され、前記可動係止部が前記可動側保持部に係止されて前記状態保持部材によって係止状態が保持されることで、前記固定側保持部近傍を中心とした前記周辺機器の回動を規制する、ことを特徴としている。 【0009】 【0010】 【0011】 【0012】 【0013】 さらに本発明は、請求項2で示すように、さらに前記周辺機器は係止後の周辺機器自体の移動を規制する規制部材を設け、前記規制部材は、前記固定係止部が前記固定側保持部に、前記可動係止部が前記可動側保持部に、それぞれ係合した状態での前記固定側保持部と前記可動側保持部を結ぶ軸上に、前記固定係止部と前記可動係止部とを配置するとともに、前記同一軸上に平行に前記状態保持部材も備え、前記状態保持部材によって、前記可動係止部を前記固定係止部の方向に付勢することで前記可動係止部の前記可動側保持部への係止状態を解除し、前記可動係止部を前記両コネクタの方向に付勢することで前記可動係止部の前記可動側保持部への係止状態を保持し、前記固定側保持部近傍を中心とした周辺機器の回動を規制する、ことを特徴としている。 【0014】 【作用】 本発明によれば、周辺機器を本体に互いの脱着面が接触するように近付けて周辺機器の固定係止部をまず本体の固定側保持部に係止させ、次にバネ部材に抗して周辺機器の可動係止部を移動させてその可動係止部が本体の可動側保持部に係止できるようにし、その後はバネ部材の力で可動係止部を可動側保持部に係止の状態を保持させる。また、周辺機器を本体から取り外すときはバネ部材に抗して可動係止部を移動させて可動側保持部との係止を解除させる。 【0015】 したがって、本発明における周辺機器の本体への取り付けは周辺機器を互いの脱着面が近付ける方向であって従来のようなスライド方式ではないから、コネクタを備えた周辺機器をこのコネクタに対応したコネクタを備えた本体に脱着できる。また、ネジなどを用いないから使い勝手がたいへんよくワンタッチでの脱着も可能である。 【0016】 【0017】 【0018】 【0019】 【0020】 さらに、コネクタは固定側保持部と可動側保持部との間ではなく、固定側保持部から見て可動側保持部よりも遠い位置に設けていることから、固定係止部を固定側保持部に先に係止させ、次いで可動係止部を可動側保持部に係止させるときには、周辺機器と本体との脱着面の平行度が高くなる結果、互いのコネクタどうしの接続時にかかるストレスが軽減され、この脱着を繰り返す場合のコネクタの損傷がなくなる。 【0021】 【実施例】 以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。 【0022】 本発明の実施例1に係る周辺機器脱着機構は本体に設けられた部分と周辺機器に設けられた部分とで構成されており、図1は、周辺機器側の周辺機器脱着機構部分を特に示すための斜視図であり、図2は本体側の周辺機器脱着機構部分を特に示すための斜視図である。この実施例1の周辺機器脱着機構が備えられる本体としては例えばポケットコンピュータその他の電子機器があり、コネクタを備えたものであればよい。またこの実施例1の周辺機器脱着機構が備えられる周辺機器としては例えばプリンタ、電池パックその他の電子機器があり、コネクタを備えて本体に接続されるものであればよい。 【0023】 図1および図2を参照して、本体1は周辺機器2が脱着される面に平坦な底壁とこの底壁両側縁からそれぞれ垂直に立ち上がる平坦な側壁とで囲まれた凹部3を有している。また周辺機器2は本体1に脱着される面に前記凹部3に入り込める形状の凸部4(請求項における規制部材に相当する)を有している。周辺機器2は、本体1に周辺機器2を係止させるための係止部として移動不能に固定された固定突起5と移動可能な可動突起6とが凸部4の両側壁4a,4bからそれぞれ突き出ている。本体1の凹部3の両側壁3a,3bには周辺機器2を保持するための保持部として前記各突起4a,4bが入り込める形状の固定側保持穴7と可動側保持穴8とが設けられている。周辺機器2の両突起5,6のそれぞれは本体1の対応する前記両保持穴7,8に入り込むことで本体1に脱着可能にされている。本体1の両保持穴7,8それぞれは周辺機器2を保持するためにその断面形状が非円形例えば本実施例では矩形形状を有している。周辺機器2の両突起5,6は凸部4の側壁4a,4bの間隔だけ少なくとも互いに離間されている。本体1の両保持穴7,8は凹部3の両内側壁3a,3b間の間隔だけ互いに離間されている。周辺機器2の固定突起5は該周辺機器2に固定され移動不能に、可動突起6は凸部4の側壁4b内に出入り自在にそれぞれ設けられている。周辺機器2の凸部4の上面には横長の操作部挿入穴9が設けられ、この操作部挿入穴9を介して可動突起6を凸部4の側壁4b内から出入り操作するための操作部10が設けられている。本体1は周辺機器2と脱着する面側に矩形状開口部11が形成され、その開口部11内にコネクタ12が設けられている。周辺機器2は本体1のコネクタ12が取り付けられた面に対応した位置に本体側コネクタ12に接続可能なコネクタ13が設けられている。周辺機器2の可動突起6はこの構造によって固定突起5よりもコネクタ13に近いところに位置していることになる。 【0024】 図3を参照して周辺機器の構造をさらに詳しく説明する。周辺機器2は上キャビネット14と下キャビネット15との2分割構造を有している。上下両キャビネット14,15内にはコネクタ13付きの回路基板16が設けられている。この回路基板16はその平面の大きさが上下両キャビネット14,15それぞれの凸部4c,4d(両凸部4c,4dが突き合わされて前記凸部4を構成する)を除いた平面形状と一致しており、これによって上下両キャビネット14,15間に挟持されるようになっている。そして、この回路基板16の一端側縁部にはコ字型枠17が固定されており、この枠17に周辺機器側コネクタ13が回路基板16から前方に突き出るようにして取り付けられている。上キャビネット14の凸部4c上面に操作部挿入穴9が形成されている。上下両キャビネット14,15それぞれの凸部4c,4d側面には互いに突き合わされることで可動突起6の挿通用穴を形成する切り欠き18,19が形成されている。上下両キャビネット14,15それぞれには互いに突き合わされることでコネクタ13の挿通用穴を形成する切り欠き20,21が形成されている。下キャビネット15の凸部4d側面の前記切り欠き19に連通してガイドリブ22が設けられており、このガイドリブ22は凸部4dの内側面との間で可動突起用ガイド溝23を形成している。このガイド溝23には上面に操作部10を一体に形成した可動突起6が挿入される。可動突起6はまたその後部がバネ部材24(請求項における状態保持部材に相当する)を挿通させるための挿通部6aを有している。下キャビネット15にはこのガイド溝23から若干後方の位置に離間してバネ部材24の端部を固定するための一対のリブ25が形成されている。可動突起6はガイド溝23に挿入された状態で、可動突起6の挿通部6aに挿通されかつリブ25に端部が固定されたバネ部材24でその一端側が挿通用穴(切り欠き18,19で構成される)から突出する、つまり、本体1の可動側保持穴8に係止する方向に押圧されている。この操作部10は可動突起6を可動側保持穴8との係止状態を解除させる際に操作されるものである。 【0025】 両突起5,6のそれぞれは、上述のようにして本体1に周辺機器2を脱着する方向とは直交またはほぼ直交する周辺機器2の凸部4の側壁4a,4bから突き出されており、可動突起6は周辺機器2を本体1に取り付けるときにはバネ部材24に抗して該本体1との接触圧で押圧されてガイド溝23に沿って移動することができるようになっている。また可動突起6は本体1との接触面6bが傾斜していることで本体1からの接触圧を受けてガイド溝23方向に容易に移動できるようになっている。 【0026】 図4ないし図7を参照して本体への周辺機器の脱着について説明すると、図4に示すように本体1の凹部3の側壁3aの固定側保持穴7に周辺機器2の固定突起5を係止させ、この係止状態で、周辺機器2を図5に示すようにそれの固定突起5と固定側保持穴7との係止位置を中心にして矢印B方向に回動させると、周辺機器2のコネクタ13は本体1の開口部11内に入り込むとともに、その開口部11内のコネクタ12に接続されていき、周辺機器2の凸部4の側壁4bの可動突起6は本体1の凹部3の側壁上端面と接触しその接触圧を受けて押される。可動突起6はこれによりバネ部材24を圧縮させながらこのバネ部材力に抗して図6のようにガイド溝23内を移動していき、周辺機器2の凸部4の可動突起6が本体1の凹部3の側壁の可動側保持穴8に対向すると、図7のように該可動突起6はバネ部材24の復帰による付勢力でその保持穴8内に入り込む。こうして周辺機器2は本体1に取り付けられる。また、周辺機器2を本体1から取り外すときは、操作部10を図7に示すように矢印C方向に操作すると、可動突起6は本体1の可動側保持穴8から抜けるから、その後で周辺機器2は図6に示すように矢印D方向に回動させると、周辺機器2は本体1から容易に取り外すことができる。図8は周辺機器2を本体1に取り付けた状態が示されている。 【0027】 ここで、周辺機器2の突起5,6の断面形状とこれに対応した本体1の保持穴7,8も断面形状が円形である場合には例えば図8のEーE線に沿う断面図である図9の(a)に示すように一方の突起5がその保持穴7内で容易に回転してしまい、周辺機器2は本体1に対してがたついた状態になるが、このがたつきの抑えは本体1の凹部3の底壁面と周辺機器1の凸部4との間で行われるから、がたつきの範囲は図中のFで示すように大きくなる。これに対し、実施例1ではその断面形状が非円形の矩形であるために、図9の(b)に示すように周辺機器2の本体1に対する脱着状態でのがたつきは矩形の突起5と矩形の保持穴7とで行われることになり、そのがたつきの範囲も図中のGで示すように小さくなる。したがって、実施例1では周辺機器2を本体1に取り付けた状態でのがたつきが小さくなってその取り付け状態が安定したものとなる。 【0028】 図10および図11は本発明の実施に参考となる参考例に係る周辺機器脱着機構を示すものであり、実施例1では本体1の凹部3の側壁両側にそれぞれ保持穴7,8が形成されていたのが、参考例ではその凹部3の一方の側壁3aには固定側保持穴7が形成されているが、他方の側壁3bには可動側保持穴8が形成されておらず、その代わりにコネクタ12が取り付けられる面の開口部11から突出するようにして保持部としての保持爪26が設けられている。また、実施例1では周辺機器2の凸部4の側壁4bに可動突起6が設けられていたが、参考例ではこの凸部4の側壁4bに可動突起6が設けられておらず、その代わりにコネクタ13が取り付けられる開口部27から係止部としての可動爪28が設けられている。また、実施例1では操作部10が周辺機器2の凸部4の上面に設けられていたが、参考例では操作部29は周辺機器2の側面2aに設けられている。 【0029】 図12は本発明の実施に参考となる参考例の周辺機器の内部の詳細な構造を示す分解斜視図であり、同図を参照して、この周辺機器2は上キャビネット30と下キャビネット31とを有している。上下両キャビネット30,31それぞれにおける正面側にはコネクタ挿通穴を構成するための切り欠き32,33が、側面側には操作部29の挿通用穴を構成するための切り欠き34(ただし上キャビネットの切り欠きは図にあらわれない)がそれぞれ形成されている。操作部29は両キャビネット30,31それぞれの側面の切り欠き34の突き合わせで構成される操作部挿通用穴からバネ部材35の付勢力で外部に臨むようにしてキャビネット内に収納されている。操作部29はバネ部材35と共に上キャビネット30の図にあらわれないボスにネジ36でもって取り付けられるとともに、バネ部材35の一端側35aでその側部29aが押圧されてキャビネット外に突出する方向に付勢されている。なお、両キャビネット30,31間に挟持される回路基板37には本体に対するコネクタ12の他に所要のコネクタ部品38が設けられている。両キャビネット30,31はネジ39でもって一体に組み付けられる。 【0030】 図13ないし図16を参照して参考例に係る周辺機器脱着機構による本体1への周辺機器2の脱着操作について説明すると、まず、図13で示すように本体1の凹部側壁の固定側保持穴7に周辺機器2の固定突起5を係止させ、この係止状態で、周辺機器2を図14で示すようにそれの固定突起5と固定側保持穴7との係止位置を中心にして矢印B方向に回動させると、周辺機器2のコネクタ13は本体1の開口部11内に入り込むとともに、その開口部11内のコネクタ12に接続されていき、周辺機器2の可動爪28は図15の状態を経て図16で示すようにバネ部材35に抗して本体1の開口部11内の保持爪26に係止される。こうして周辺機器2は本体1に取り付けられる。また、周辺機器2を本体1から取り外すときは、操作部29を図16で示すように矢印C方向に押圧操作すると、可動爪28は本体1の保持爪26との係合状態が解除されるから、その後で周辺機器2は図15で示すように矢印D方向に回動させると、周辺機器2は本体1から容易に取り外すことができる。参考例では周辺機器2を本体1から取り外す操作が押圧操作であるから、実施例1の操作部が周辺機器を本体から取り外すときの摺動操作に比較してその操作が容易となる。 【0031】 【発明の効果】 以上のように本発明によれば、周辺機器の固定係止部をまず本体の固定側保持部に係止させ、次にバネ部材に抗して周辺機器の可動係止部を移動させてその可動係止部が本体の可動側保持部に係止できるようにし、その後はバネ部材の力で可動係止部を可動側保持部に係止の状態を保持させて周辺機器を本体に取り付け、また、バネ部材に抗して可動係止部を移動させて可動側保持部との係止を解除させて周辺機器を本体から取り外すことができるから、周辺機器の本体への取り付けは周辺機器を互いの脱着面が近付ける方向であって従来のようなスライド方式ではないから、コネクタを備えた周辺機器をコネクタを備えた本体に対してコネクタに不要なストレスをかけることなく脱着できるうえ、ネジなどを用いないから使い勝手がたいへんよくワンタッチでの脱着も可能である。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の実施例1に係る周辺機器脱着機構を備えた周辺機器と本体との外観斜視図である。 【図2】 図1の本体の異なる角度から見た外観斜視図である。 【図3】 実施例1の周辺機器脱着機構を備えた周辺機器の分解斜視図である。 【図4】 実施例1の周辺機器脱着機構による周辺機器の本体への脱着操作の説明に供する図である。 【図5】 実施例1の周辺機器脱着機構による周辺機器の本体への脱着操作の説明に供する図である。 【図6】 実施例1の周辺機器脱着機構による周辺機器の本体への脱着操作の説明に供する図である。 【図7】 実施例1の周辺機器脱着機構による周辺機器の本体への脱着操作の説明に供する図である。 【図8】 実施例1の周辺機器脱着機構により周辺機器を本体に取り付けた状態を示す図である。 【図9】 図8のEーE線に沿う断面図であり、実施例1の周辺機器脱着機構において、(a)は保持穴と突起との断面形状が円形である場合の周辺機器と本体とのがたつきの説明に供する図であり、(b)は保持穴と突起との断面形状が矩形である場合の周辺機器と本体とのがたつきの説明に供する図である。 【図10】 本発明の実施に参考となる参考例の周辺機器脱着機構を備えた周辺機器と本体との外観周辺機器脱着機構である。 【図11】 参考例の異なる角度から見た本体の外観斜視図である。 【図12】 参考例の周辺機器の分解斜視図である。 【図13】 参考例の周辺機器脱着機構による周辺機器の本体への脱着操作の説明に供する図である。 【図14】 参考例の周辺機器脱着機構による周辺機器の本体への脱着操作の説明に供する図である。 【図15】 参考例の周辺機器脱着機構による周辺機器の本体への脱着操作の説明に供する図である。 【図16】 参考例の周辺機器脱着機構による周辺機器の本体への脱着操作の説明に供する図である。 【図17】 従来例の周辺機器脱着機構を備えた周辺機器と本体との外観斜視図である。 【図18】 図17の本体の異なる角度から見た外観斜視図である。 【図19】 他の従来例の周辺機器脱着機構を備えた周辺機器と本体との外観斜視図であり、(a)は周辺機器が本体に取り付けられていない状態を示す図であり、(b)は周辺機器が本体に取り付けられた状態を示す図である。 【符号の説明】 1 本体 2 周辺機器 3 凹部 4 凸部 5 固定突起 6 可動突起 7 固定側保持穴 8 可動側保持穴 10 操作部 12 コネクタ 13 コネクタ |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 本件訂正は、特許請求の範囲の減縮、明りょうでない記載の釈明を目的として、願書に添付した明細書を以下のa〜mのように訂正するものである。 a.訂正事項a a-1.訂正事項a-1. 特許請求の範囲の請求項1に記載の『本体に周辺機器を脱着自在に』を、特許請求の範囲の減縮を目的として『コネクタが備えられた本体と、該本体側コネクタに接続可能なコネクタが備えられた周辺機器を脱着自在に』と訂正するものである。 a-2.訂正事項a-2. 特許請求の範囲の請求項1に記載の『前記固定側保持部近傍を中心として周辺機器が回動可能な間隔を空けて配置するとともに、周辺機器の回動により前記可動係止部に前記可動側保持部が係合する位置に、』を、特許請求の範囲の減縮を目的として『前記固定側保持部近傍を中心として前記周辺機器が回動可能な間隔を空けて配置するとともに、前記本体側コネクタと前記固定側保持部との間に位置し、且つ前記周辺機器の回動により前記可動係止部に前記可動側保持部が係合する位置に、』と訂正するものである。 a-3.訂正事項a-3. 特許請求の範囲の請求項1に記載の『前記可動側保持部を設け、前記可動系止部と前記可動側保持部との係合により前記固定側保持部近傍を中心とした周辺機器の回動を規制する、』を、特許請求の範囲の減縮を目的として『前記可動側保持部を設け、前記固定係止部と前記固定側保持部が係合され、前記可動係止部が前記可動側保持部に係止されて前記状態保持部によって係止状態が保持されることで、前記固定側保持部近傍を中心とした前記周辺機器の回動を規制する、』と訂正するものである。 以上の訂正により、請求項1全体を、特許請求の範囲の減縮を目的として『コネクタが備えられた本体と、該本体側コネクタに接続可能なコネクタが備えられた周辺機器を脱着自在に取り付けるための周辺機器脱着機構であって、前記本体の前記周辺機器との脱着面には前記周辺機器を保持するための固定側保持部と可動側保持部とを設ける一方、前記周辺機器の前記本体との脱着面には前記固定側保持部に係止する位置に移動不能に固定係止部を、前記可動側保持部に係止する位置に移動可能に可動係止部をそれぞれ設けるとともに、さらに前記周辺機器には前記可動係止部を前記可動側保持部に係止する方向に押圧する状態保持部材を設け、前記固定側保持部と前記可動側保持部とを、前記固定側保持部近傍を中心として前記周辺機器が回動可能な間隔を空けて配置するとともに、前記本体側コネクタと前記固定側保持部との間に位置し、且つ前記周辺機器の回動により前記可動係止部に前記可動側保持部が係合する位置に、前記可動側保持部を設け、前記固定係止部と前記固定側保持部が係合され、前記可動係止部が前記可動側保持部に係止されて前記状態保持部によって係止状態が保持されることで、前記固定側保持部近傍を中心とした前記周辺機器の回動を規制する、ことを特徴とする周辺機器脱着機構。』と訂正するものである。 b.訂正事項b 特許請求の範囲の請求項2に記載の『前記本体がコネクタを備えており、また、前記周辺機器が前記コネクタに接続可能なコネクタを備えており、前記可動側保持部と前記可動係止部とがそれぞれ前記固定側保持部と前記固定係止部よりも前記両コネクタに近い位置に設けてなることを特徴とする請求項1に記載の周辺機器脱着機構。』を、特許請求の範囲の減縮を目的として『さらに前記周辺機器は係止後の周辺機器自体の移動を規制する規制部材を設け、前記規制部材は、前記固定係止部が前記固定側保持部に、前記可動係止部が前記可動側保持部に、それぞれ係合した状態での前記固定側保持部と前記可動側保持部を結ぶ軸上に、前記固定係止部と前記可動係止部とを配置するとともに、前記同一軸上に平行に前記状態保持部材も備え、前記状態保持部材によって、前記可動係止部を前記固定係止部の方向に付勢することで前記可動係止部の前記可動側保持部への係止状態を解除し、前記可動係止部を前記両コネクタの方向に付勢することで前記可動係止部の前記可動側保持部への係止状態を保持し、前記固定側保持部近傍を中心とした周辺機器の回動を規制する、ことを特徴とする請求項1記載の周辺機器脱着機構。』と訂正するものである。 以上の訂正により、請求項2全体を、特許請求の範囲の減縮を目的として『さらに前記周辺機器は係止後の周辺機器自体の移動を規制する規制部材を設け、前記規制部材は、前記固定係止部が前記固定側保持部に、前記可動係止部が前記可動側保持部に、それぞれ係合した状態での前記固定側保持部と前記可動側保持部を結ぶ軸上に、前記固定係止部と前記可動係止部とを配置するとともに、前記同一軸上に前記状態保持部も備え、前記状態保持部材によって、前記可動係止部を前記固定係止部の方向に付勢することで前記可動係止部の前記可動側保持部への係止状態を解除し、前記可動係止部を前記両コネクタの方向に付勢することで前記可動係止部の前記可動側保持部への係止状態を保持し、前記固定側保持部近傍を中心とした周辺機器の回動を規制する、ことを特徴とする請求項1記載の周辺機器脱着機構。』と訂正するものである。 c.訂正事項c 特許請求の範囲の減縮を目的として、同範囲の請求項3を削除するものである。 d.訂正事項d 明細書の段落【0003】に記載の『(特開平2ー2411号参)』(特開平8-118763号公報第2欄第9行)を、誤記の訂正を目的として『(特開平2-2411号参)』と訂正するものである。 e.訂正事項e 明細書の段落【0008】に記載の『第1の発明は、請求項1に示すように、前記本体の前記周辺機器との脱着面には前記周辺機器を保持するための固定側保持部と可動側保持部とを設ける一方、前記周辺機器の前記本体との脱着面には前記固定側保持部に係止する位置に移動不能に固定係止部を、前記可動側保持部に係止する位置に移動可能に可動係止部をそれぞれ設けるとともに、さらに前記周辺機器には前記可動係止部を前記可動側保持部に係止する方向に押圧する状態保持部材を設け、前記固定側保持部と前記可動側保持部とを、前記固定側保持部近傍を中心として周辺機器が回動可能な間隔を空けて配置するとともに、周辺機器の回動により前記可動係止部に前記可動側保持部が係合する位置に、前記可動側保持部を設け、前記可動系止部と前記可動側保持部との係合により前記固定側保持部近傍を中心とした周辺機器の回動を規制することを特徴としている。』を、特許請求の範囲の減縮を目的として『本発明は、請求項1に示すように、コネクタが備えられた本体と、該本体側コネクタに接続可能なコネクタが備えられた周辺機器を脱着自在に取り付けるための周辺機器脱着機構であって、前記本体の前記周辺機器との脱着面には前記周辺機器を保持するための固定側保持部と可動側保持部とを設ける一方、前記周辺機器の前記本体との脱着面には前記固定側保持部に係止する位置に移動不能に固定係止部を、前記可動側保持部に係止する位置に移動可能に可動係止部をそれぞれ設けるとともに、さらに前記周辺機器には前記可動係止部を前記可動側保持部に係止する方向に押圧する状態保持部材を設け、前記固定側保持部と前記可動側保持部とを、前記固定側保持部近傍を中心として前記周辺機器が回動可能な間隔を空けて配置するとともに、前記本体側コネクタと前記固定側保持部との間に位置し、且つ前記周辺機器の回動により前記可動係止部に前記可動側保持部が係合する位置に、前記可動側保持部を設け、前記固定係止部と前記固定側保持部が係合され、前記可動係止部が前記可動側保持部に係止されて前記状態保持部によって係止状態が保持されることで、前記固定側保持部近傍を中心とした前記周辺機器の回動を規制する、ことを特徴としている。』と訂正するものである。 f.訂正事項f 明細書の段落【0013】に記載の『第2の発明は、請求項2で示すように、前記本体がコネクタを備えており、また、前記周辺機器が前記コネクタに接続可能なコネクタを備えており、前記可動側保持部と前記可動係止部とがそれぞれ前記固定側保持部と前記固定係止部よりも前記両コネクタに近い位置に設けてなることを特徴としている。第3の発明は、請求項3に示すように、係止後の周辺機器の移動を規制する規制部材を設けることを特徴としている。』を、特許請求の範囲の減縮を目的として『さらに本発明は、請求項2で示すように、さらに前記周辺機器は係止後の周辺機器自体の移動を規制する規制部材を設け、前記規制部材は、前記固定係止部が前記固定側保持部に、前記可動係止部が前記可動側保持部に、それぞれ係合した状態での前記固定側保持部と前記可動側保持部を結ぶ軸上に、前記固定係止部と前記可動係止部とを配置するとともに、前記同一軸上に前記状態保持部も備え、前記状態保持部材によって、前記可動係止部を前記固定係止部の方向に付勢することで前記可動係止部の前記可動側保持部への係止状態を解除し、前記可動係止部を前記両コネクタの方向に付勢することで前記可動係止部の前記可動側保持部への係止状態を保持し、前記固定側保持部近傍を中心とした周辺機器の回動を規制する、ことを特徴とする請求項1記載の周辺機器脱着機構。』と訂正するものである。 g.訂正事項g 明細書の段落【0013】に記載の『第1の発明によれば、』を、特許請求の範囲の減縮と明瞭でない記載の釈明を目的として『本発明によれば、』と訂正するものである。 h.訂正事項h 明細書の段落【0020】に記載の『第2の発明は前記可動側保持部と前記可動係止部をそれぞれ前記固定側保持部と前記固定係止部よりも前記両コネクタ に近い位置に設けたから、固定係止部を固定側保持部に先に係止させ、』を、特許請求の範囲の減縮を目的及び明りょうでない記載の釈明を目的として『さらに、コネクタは固定側保持部と可動側保持部との間ではなく、固定側保持部から見て可動側保持部よりも遠い位置に設けていることから、固定係止部を固定側保持部に先に係止させ、』と訂正するものである。 i.訂正事項i i-1.訂正事項i-1 明細書の段落【0028】に記載の『図10および図11は本発明の実施例2に係る』を、特許請求の範囲の減縮を目的とする請求項1,2の訂正に合わせ、明りょうでない記載の釈明を目的として『図10および図11は本発明の実施に参考となる参考例に係る』と訂正するものである。 i-2.訂正事項i-2 明細書の段落【0028】に記載の『実施例2では』(特許公報第8欄第25行、第36行)を、特許請求の範囲の減縮を目的とする請求項1、2の訂正に合わせ、明りょうでない記載の釈明を目的として『参考例では』と訂正するものである。 j.訂正事項j 明細書の段落【0029】に記載の『図12は実施例2の』を、特許請求の範囲の滅縮を目的とする請求項1、2の訂正に合わせ、明りょうでない記載の釈明を目的として『図12は本発明の実施に参考となる参考例の』と訂正するものである。 k.訂正事項k 明細書の段落【0030】に記載の『実施例2』(特許公報第9欄第8行、第26行)を、特許請求の範囲の減縮を目的とする請求項1、2の訂正に合わせ、明りょうでない記載の釈明を目的として『参考例』と訂正するものである。 l.訂正事項l 特許明細書の【図面の簡単な説明】の【図10】に記載の『本発明の実施例2の』を、特許請求の範囲の減縮を目的とする請求項1、2の訂正に合わせ、明りょうでない記載の釈明を目的として『本発明の実施に参考となる参考例の』と訂正するものである。 m.訂正事項m 特許明細書の【図面の簡単な説明】の【図11】〜【図16】に記載の『実施例2の』(特許公報第10欄第21行、第23行、第24行、第26行、第28行、第30行)を、特許請求の範囲の減縮を目的とする請求項1,2の訂正に合わせ、明りょうでない記載の釈明を目的として『参考例の』と訂正するものである。 |
異議決定日 | 2002-07-12 |
出願番号 | 特願平6-253588 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(B41J)
P 1 651・ 534- YA (B41J) P 1 651・ 531- YA (B41J) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 松川 直樹 |
特許庁審判長 |
佐田 洋一郎 |
特許庁審判官 |
渡辺 努 番場 得造 |
登録日 | 2000-09-01 |
登録番号 | 特許第3103871号(P3103871) |
権利者 | シャープ株式会社 |
発明の名称 | 周辺機器脱着機構 |
代理人 | 小池 隆彌 |
代理人 | 木下 雅晴 |
代理人 | 小池 隆彌 |
代理人 | 川口 嘉之 |
代理人 | 佐々木 晴康 |
代理人 | 佐々木 晴康 |
代理人 | 木下 雅晴 |
代理人 | 和久田 純一 |
代理人 | 世良 和信 |