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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A41B
管理番号 1065899
異議申立番号 異議2001-71760  
総通号数 35 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-06-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-06-18 
確定日 2002-07-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3119443号「使い捨ておむつ」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3119443号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
特許第3119443号の請求項1に係る発明についての出願は、平成9年4月28日に特許出願(優先権主張平成8年10月8日)され、平成12年10月13日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人ダイオーペーパーコンバーティング株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成14年1月11日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
訂正事項ア:
特許請求の範囲の請求項1の、訂正前の記載
「【請求項1】液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体を具備し、背側部の左右両側縁部に、一対のおむつ止着用のファスニングテープが配された展開型の使い捨ておむつにおいて、
上記ファスニングテープは、下記積層シート(1)を用いて形成されていることを特徴とする使い捨ておむつ。
積層シート(1):不織布/工ラストマーフイルム/不織布の3層構造からなり、該不織布は少なくとも横方向に伸長可能な不織布であり、表面及び裏面の不織布は、それぞれの横方向が同一の方向となるように積層されており、各層は、多数の不連続な接合点により、表面及び裏面の不織布が工ラストマーフイルムを介して互いに同じ接合点で接合されるように接合固定されてなる積層シートであって、
上記接合点の面積の合計は、積層シート全体の面積に対して30%以下であり、
100%伸長時における伸縮特性が、100g/25mm以上であり、
100%伸長させて戻した際の永久歪みが、30%以下であり、
上記不織布の目付は、一層あたり15g/m2〜50g/m2であり、
上記工ラストマーフイルムの目付は、10〜100g/m2であり、
ノッチが入った際の破断伸度が、200%以上であり、ノッチが入った際の破断強度が、1300g/40mm以上である積層シート。」を、
「【請求項1】液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体を具備し、背側部の左右両側縁部に、一対のおむつ止着用のファスニングテープが配され、また、腹側部の略中央部に、該ファスニングテープ止着用のランディングテープが設けられている展開型の使い捨ておむつにおいて、
上記ファスニングテープは、上記背側部に接合された基端部と、上記表面シート側の一面に係止手段を具備する係止部と、該基端部と該係止部との間に位置する伸縮部と、該係止部に設けられた摘み部とからなり、該基端部及び該伸縮部は、下記積層シート(1)を用いて一体に形成されていることを特徴とする使い捨ておむつ。
積層シート(1):熱可塑性工ラストマーの溶融状態で成形されたフィルム状物が溶融状態のまま不織布の間に挟み込まれて積層体とされた、不織布/工ラストマーフイルム/不織布の3層構造からなり、該不織布は少なくとも横方向に伸長可能な不織布であり、表面及び裏面の不織布は、それぞれの横方向が同一の方向となるように積層されており、各層は、多数の不連続な接合点により、表面及び裏面の不織布が工ラストマーフイルムを介して互いに同じ接合点で接合されるように接合固定されてなる積層シートであって、
上記接合点の面積の合計は、積層シート全体の面積に対して30%以下であり、
100%伸長時における伸縮特性が、100g/25mm以上であり、
100%伸長させて戻した際の永久歪みが、30%以下であり、
上記不織布の目付は、一層あたり15g/m2〜50g/m2であり、
上記工ラストマーフイルムの目付は、10〜100g/m2であり、
ノッチが入った際の破断伸度が、200%以上であり、
ノッチが入った際の破断強度が、1300g/40mm以上である積層シート。」
と訂正する。
訂正事項イ:
明細書の段落【0006】を、
「本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体を具備し、背側部の左右両側緑部に、一対のおむつ止着用のファスニングテープが配され、また、腹側部の路中央部に、該ファスニングテープ止着用のランディングテープが設けられている展開型の使い捨ておむつにおいて、
上記ファスニングテープは、上記背側部に接合された基端部と、上記表面シート側の一面に係止手段を具備する係止部と、該基端部と該係止部との間に位置する伸縮部と、該係止部に設けられた摘み部とからなり、該基端部及び該伸縮部は、下記積層シート(1)を用いて一体に形成されていることを特徴とする使い捨ておむつ。
積層シート(1):熱可塑性工ラストマーの溶融状態で成形されたフィルム状物が溶融状態のまま不織布の間に挟み込まれて積層体とされた、不織布/工ラストマ一フィルム/不織布の3層構造からなり、該不織布は少なくとも横方向に伸長可能な不織布であり、表面及び裏面の不織布は、それぞれの横方向が同一の方向となるように積層されており、各層は、多数の不連続な接合点により、表面及び裏面の不織布が工ラストマーフィルムを介して互いに同じ接合点で接合されるように接合固定されてなる積層シートであって、上記接合点の面積の合計は、積層シート全体の面積に対して30%以下であり、100%伸長時における伸縮特性が、100g/25mm以上であり、100%伸長させて戻した際の永久歪みが、30%以下であり、上記不織布の目付は、一層あたり15g/m2〜50g/m2であり、上記工ラストマーフイルムの目付は、10〜100g/m2であり、ノッチが入った際の破断伸度が、200%以上であり、ノッチが入った際の破断強度が、1300g/40mm以上である積層シート。」
と訂正する。
訂正事項ウ:
明細書の段落【0008】を、
「【発明の実施の形態】
以下、本発明の使い捨ておむつについて更に詳細に説明する。
本発明の使い捨ておむつは、ファスニングテープが、上記背側部に接合された基端部と、上記表面シート側の一面に係止手段を具備する係止部と、該基端部と該係止部との間に位置する伸縮部と、該係止部に設けられた摘み部とからなり、該基端部及び該伸縮部が、下記積層シート(1)を用いて一体に形成されていることを特徴とする
積層シート(1):熱可塑性工ラストマーの溶融状態で成形されたフィルム状物が溶融状態のまま不織布の間に挟み込まれて積層体とされた、不織布/工ラストマーフイルム/不織布の3層構造からなり、該不織布は少なくとも横方向に伸長可能な不織布であり、表面及び裏面の不織布は、それぞれの横方向が同一の方向となるように積層されており、各層は、多数の不連続な接合点により、表面及び裏面の不織布が工ラストマーフイルムを介して互いに同じ接合点で接合されるように接合固定されてなる積層シートであって、上記接合点の面積の合計は、積層シート全体の面積に対して30%以下であり、100%伸長時における伸縮特性が、100g/25mm以上であり、100%伸長させて戻した際の永久歪みが、30%以下であり、上記不織布の目付は、一層あたり15g/m2〜50g/m2であり、上記工ラストマーフイルムの目付は、10〜100g/m2である積層シート。」
と訂正する。
訂正事項エ:
明細書の段落【0035】の「としての上記の第1の方法」及び「(第1の方法)」を削除する。
訂正事項オ:
明細書の段落【0036】の「尚、後述の図5に示す製造方法(第2の方法)においても、工ラストマーフイルムをロール状に巻とらなくてすむため、チルロールあるいはバックアップロールに巻きとられないレベルの量で滑剤を用いれば良い。また、チルロール及びバックアップロールに剥離処理を施せば滑剤の量をさらに低減できる。」を削除する。
訂正事項カ:
明細書の段落【0041】の「上記製造方法(第1の方法)の1形態」を「上記積層シート(1)の製造方法の1形態」に訂正する。
訂正事項キ:
明細書の段落【0043】〜【0048】を削除する。
訂正事項ク:
明細書の【図面の簡単な説明】の【図5】を削除する。
訂正事項ケ:
図面の【図5】を削除する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項アについて:
訂正事項アによって追加された「また、腹側部の略中央部に、該ファスニングテープ止着用のランディングテープが設けられている」は、展開型使い捨ておむつの具体的構成を更に限定するものであり、また、同じく追加された「上記背側部に接合された基端部と、上記表面シート側の一面に係止手段を具備する係止部と、該基端部と該係止部との間に位置する伸縮部と、該係止部に設けられた摘み部とからなり、該基端部及び該伸縮部は、・・・・・・一体に」は、ファスニングテープの具体的構成を更に限定するものであるので、訂正事項アは、特許請求の範囲の減縮を目的としてなされた訂正である。
そして、上記訂正された事項は願書に添付した明細書又は図面に記載されており、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
訂正事項イ〜訂正事項カについて:
特許請求の範囲の記載の訂正に対応させた訂正なので、明りょうでない記載の釈明を目的としてなされた訂正であり、上記訂正された事項は願書に添付した明細書又は図面に記載されており、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
訂正事項キ〜訂正事項ケについて:
特許請求の範囲の減縮に伴い、図5に示された製造方法を削除する訂正であるので、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正である。

(3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項から第4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立について
(1)本件発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲に記載された事項により特定される次のものである。
「液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体を具備し、背側部の左右両側綾部に、一対のおむつ止着用のファスニングテープが配され、また、腹側部の路中央部に、該ファスニングテープ止着用のランディングテープが設けられている展開型の使い捨ておむつにおいて、
上記ファスニングテープは、上記背側部に接合された基端部と、上記表面シート側の一面に係止手段を具備する係止部と、該基端部と該係止部との間に位置する伸縮部と、該係止部に設けられた摘み部とからなり、該基端部及び該伸縮部は、下記積層シート(1)を用いて一体に形成されていることを特徴とする使い捨ておむつ。
積層シート(1):熱可塑性工ラストマーの溶融状態で成形されたフィルム状物が溶融状態のまま不織布の間に挟み込まれて積層体とされた、不織布/工ラストマーフィルム/不織布の3層構造からなり、該不織布は少なくとも横方向に伸長可能な不織布であり、表面及び裏面の不織布は、それぞれの横方向が同一の方向となるように積層されており、各層は、多数の不連続な接合点により、表面及び裏面の不織布が工ラストマーフイルムを介して互いに同じ接合点で接合されるように接合固定されてなる積層シートであって、
上記接合点の面積の合計は、積層シート全体の面積に対して30%以下であり、
100%伸長時における伸縮特性が、100g/25mm以上であり、
100%伸長させて戻した際の永久歪みが、30%以下であり、
上記不織布の目付は、一層あたり15g/m2〜50g/m2であり、
上記工ラストマーフイルムの目付は、10〜100g/m2であり、
ノッチが入った際の破断伸度が、200%以上であり、
ノッチが入った際の破断強度が、1300g/40mm以上である積層シート」

(2)引用刊行物に記載された発明
取消理理由に引用された特開平7-252762号(異議申立人の提出した甲第1号証、以下、引用刊行物という。)には、おむつに使用される複合弾性体に関し、以下の記載がある。
記載A:「このような伸長活性型の複合弾性体として望ましい条件は、前述のように初期伸長にはあまり応力がかからず、しかも伸長率がある範囲を越えると抵抗が急激に増大し、これにより破断に至る前にブレーキがかけられるということである。さらに、多数回の伸縮を繰り返しても同じような伸縮弾性を有するということも重要である。つまり残留ひずみが小さいことも重要な基体的性能である。」(段落【0038】参照)
記載B:「以下に示す物理的諸特性の測定は、この分野で一般的に使用されている、JIS規格に基づいた方法で行われた。要点は下記の通りである。
1.試供サンプル
幅:5cm
長さ:15cm
2.S-Sカーブ測定条件
チャック間隔:10cm
ローディングスピード:20cm/min
3.サイクルテスト
150%伸長時で3回のロード・アンロードを繰り返してそのヒステリシス曲線を得る。そのヒステリシス曲線の最終戻り点から30%および100%時の応力を読み取る。なお各サイクルの間には緩和時間として、下記のような5分間の間隔がおかれた。
・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・
本発明の複合弾性体の伸長活性化には、100%伸長時では400g以上の応力が必要であり、好ましくは600g以上、さらに好ましくは800g以上とすることによって、1度の伸長で伸長活性化が達成される。」(段落【0041】〜【0043】参照)
記載C:「さらに伸長回復力の目安として重要なのは、回復率の高いことであり、換言すると、残留歪みの少ない構造が望ましい。この伸長回復率は、一般には150%時の伸長回復を3回繰り返したのち測定してその性能を評価するが、このような条件下で回復率で表現すると、60%以上、望ましくは70%以上である。」(段落【0047】参照)
記載D:「まず、用いられるシート状弾性体としては、好ましくは200%以上の伸長性と、60%以上の伸長回復性を持つ素材から選択される。このようは性能の素材としては、たとえばウレタン、ゴムラッテクスのフォーム類、イソプレン、ブタジエン系合成ゴムフィルム、SIS,SEBS,SEPS等のスチレン系エラスマーフィルム、EVA,EMA,EPDM等のポリオレフィン系エラスマーフィルム、そしてポリウレタン、SIS,SEBS等のメルトブローン化エラスマー不織布等が挙げられる。特に望ましくは、熱接着性の良好なSIS,SEBS等のスチレン系エラスマー及びそのブレンドエラスマーからなるフィルム、ネット状成形品及びメルトブローン不織布が挙げられる。」(段落【0049】参照)
記載E:「本発明の複合弾性体は、このような伸長性不織布を、シート状弾性体の表面もしくは表裏両面に結合させた構造を有する。この結合の方式は、基本的にはどのようなものでもよいが、適用される結合方式に応じて、得られる複合弾性体の性能に差異が生じることがある。どのような結合方式を採用する場合にも、次のような要因が重要となる。
・・・不織布の易伸長方向とシート状弾性体の易伸長方向とを一致させて結合する。
・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・
シート状弾性体と不織布の両面接合構造体において、弾性体フィルム厚をたとえば50μmと仮定すると、そのフィルム厚さは、50μmのフィルム1枚でも、25μmのフィルム2枚でも達成できる。そこでシート状弾性体と不織布との組合わせとして、図15?図17にそれぞれ示した3つのケースが考えられる。
・・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・・・・
(3)厚さ50μmの1枚の弾性体フィルム13の両面に2枚の不織布21,22を重ねて、結合部3で結合する場合(図17)。」(段落【0063】〜【0067】参照)
記載F:「図18-図20は、不連続な結合部の集合からなる結合部列のパターンの代表例を示している。すなわち図18では、比較的短い線状の結合部31を、複合弾性体の易伸張方向とほぼ直交する方向に適当間隔で配置した、互いに平行な方向に延びる複数の結合部列30が形成されている。図19の例では、結合部列30を構成している多数の結合部31は、結合部列の長さ方向とほぼ直角に向けられている。また図20の場合には、各結合部31は、「×」に類似した形状をもつ。各結合部31は、図示した形状の他、どのような形状のものでもよい。
あるいは、図21に示すように、適当な角度で交差する2組の平行線で構成した格子に沿って、微細なドットを適当な密度で配置したパターン、および図22に示すように、互いに直行する向きの長方形を交互に配置し、各長方形の4辺に沿って微細なドットを配置したパターンも好ましいものである。
シート状弾性体と不織布とを結合する結合部では、これらの材料が有している伸長性を大幅に減殺して、実質的に不伸長性とされている。したがって図18に示したような、易伸張方向とほぼ直交する方向に延びるように結合部列30を設けた場合には、易伸張方向の伸長性はほとんど変化しないが、これと平行する方向では、もし素材がこの方向にも大きい伸長性を有していたとしても、その伸長性は大幅に減少する。したがって図18に示した複合弾性体は、結合部列30の長さ方向にはほとんど伸長しない。
・・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・。このことは、全方向に大きい伸長性をもつシート状弾性体と不織布とで構成された複合弾性体も、特定の条件で結合部もしくは結合部列を新たに設けることにより、その伸長性を所望の方向のみに限定することが可能であるということを意味する。」(段落【0074】〜【0080】参照)
記載G:「このように伸長性の大きい領域と伸長性の小さい領域とを所望のパターンで混在させた複合不織布は、種々の用途に適用可能である。一例を示すと、図26に示したような、伸長性の大きい領域110の両側に伸長性の小さい領域111を形成した複合不織布はテープレス形(パンツタイプ)の吸収体製品に適用することができる。
図30に示した吸収体製品すなわちテープレス形オムツは、液体透過性のトップシートと液体不透過性のバックシートの間に吸収体を収容した構造の本体121をその中央部でほぼU字形に湾曲させ、その対向側縁を、レッグホール122となる部分を除いて、図26に示した複合弾性体100からなるサイドパネル123により連結した構造を有する。この複合不織布100は、その両端部に位置する伸長性の小さい領域111で本体121に結合され、中央部の伸長性の大きい領域110では結合されない。したがって複合不織布100の領域110の大きい伸長性は阻害されることがなく、サイドパネルとして機能するとともに、両端部の強度の大きい領域11で本体121に強固に結合される。
また図31は、図26に示した複合弾性体100からなるサイドバンド124を本体121に取り付けた構造のテープ形オムツを示している。このサイドバンド124は、複合弾性体100の一端の伸長性の小さい領域111で本体121に結合され、他端の伸長性の小さい領域111には、本体121に設けた結合領域125に着脱可能に連結されるファスナー126が取り付けられている。このような構成を有するオムツは、ファスナー126を取り外すことで容易に着脱ができるとともに、図30の場合と同様に、領域110の大きい伸長性により、オムツの腰部が着用者の腰部に密着する。」(段落【0086】〜【0088】参照)
記載H:「上部ロール(グリッドロール)・山の高さ :1.0mm
・頂点の巾 :1.5mm
・グリッド間隔:3.0mm
・内部熱媒加熱
・処理温度 :130℃
・表面加工 :クロムメッキ加工
下部ロール(フラットロール)・表面加工 :クロムメッキ加工
・処理温度 :35℃
圧力 :40kg/cm2巻取りスピード :20n/minこのようにしてフィルムと不織布との接合体である複合弾性体が得られた。その複合弾性体の接合パターンは図18のような模様を持っていた。」(段落【0097】参照)
記載I:「<シート状弾性体の用意>シート状弾性体として、EMA/EPDMのポリオレフィンエラスマーからなるブレンド樹脂を押し出し成形して25μのフィルムを用意する。このシート状弾性体のCD方向のS-Sカーブは、図32のBのとおりであった。」(段落【0108】参照)

(3)対比・判断
本件発明と引用刊行物に記載されたものを対比すると、引用刊行物記載のものの「複合弾性体の伸長性の大きい部分(記載G参照)」は、本件発明の「積層シート」に相当し、取付けの対象となるものは、いずれも「液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体を具備したおむつ」である。
本件発明は、腹側部の略中央部に、ファスニングテープ止着用のランディングテープが設けられている展開型の使い捨ておむつであって、基端部と、係止部と、伸縮部と、摘み部とからなるファスニングテープの基端部及び伸縮部を「積層シート」を用いて一体に形成しているのに対して、引用刊行物記載のものは、複合弾性体からなるサイドバンド124を本体121に取り付けた構造のテープ形おむつであって、このサイドバンド124は、複合弾性体100の一端の伸長性の小さい領域111で本体121に結合され、他端の伸長性の小さい領域111には、本体121に設けた結合領域125に着脱可能に連結されるファスナー126が取り付けられている。このような構成を有するオムツは、ファスナー126を取り外すことで容易に着脱ができるものである。(記載G参照)
次に、引用刊行物に記載された「複合弾性体の伸長性の大きい部分」は、以下の特徴を有している。
(特徴1)不織布/エラストマーフィルム/不織布の3層構造からなっており、不織布の易伸長方向とシート状弾性体の伸長方向とは一致しているので、本件発明と同様、「不織布は少なくとも横方向に伸長可能な不織布であり、表面及び裏面の不織布は、それぞれの横方向が同一の方向となるように積層されて」いるものである。(記載E参照)
(特徴2)各層は、本件発明と同様、「多数の不連続な接合点により、表面及び裏面の不織布がエラストマーフィルムを介して互いに同じ接点で接合されるように接合固定されて」いる。(記載F参照)接合点の面積の合計は、明記されていないが、記載Hに示すような条件で図18に示す形態で融着結合を行った場合、異議申立人が異議申立書第6頁で試算しているように、接合点の面積は、少なくとも33.4%を越えるものではないことは明らかである。18図に記載された接合点は、一直線ではなく、不連続であるので、仮に接合部分の距離と、非接合部分の距離の比が、2対1であれば、約22%となることが推測できる。8対1の場合でも、29.6%となり、30%を下回ることとなる。
(特徴3)記載Bには、引用刊行物記載のものの物理的諸特性の測定値が記載されているが、幅5cmの試供サンプルにおいて、100%伸長時では400g以上の応力が必要であると記載されているので、幅が「25mm」の場合には、200g以上のものとなり、本件発明の伸縮特性に関する条件を満たしている。
(特徴4)記載Cには、残留歪みの少ない構造が望ましいことが記載されており、150%伸長時においても、回復率が望ましくは70%以上とされており、「100%伸長させて戻した際の永久歪みが、30%以下であり、」という、本件発明の永久歪みに関する条件を満たしている。
(特徴5)引用刊行物に記載された不織布の目付を実施例毎に見てみると、30g/m2、25g/m2であるので、本件発明の不織布の目付と同程度のものである。また、エラストマーフィルもの目付については、引用刊行物には具体的な記載はないものの、フィルの厚みは50μmとすることが記載されており(記載E参照)、また、実施例に示されたエラストマーフィルムの密度が記載Iの材料で作る場合、EMAの密度がおおよそ0.94程度、EPDMの密度がおおよそ0.88程度であることを考慮すると、EMA/EPDMのポリオレフィンエラストマーからなるブレンド樹脂のフィルムの密度は、おおよそ0.9程度のものと考えられるが、仮に0.9と考えれば、引用刊行物記載のもののエラストマーフィルムの目付は、45g/m2となり、本件発明で特定されるエラストマーフィルムと同様のものである。

よって、本件発明と引用刊行物記載のものとは、
「液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体を具備し、背側部の左右両側綾部に、一対のおむつ止着用のファスニングテープが配されているおむつにおいて、
上記ファスニングテープは、上記背側部に接合された基端部と、上記表面シート側の一面に係止手段を具備する係止部と、該基端部と該係止部との間に位置する伸縮部とからなり、該伸縮部は、下記積層シート(1)を用いて形成されていることを特徴とする使い捨ておむつ。
積層シート(1):熱可塑性工ラストマーの溶融状態で成形されたフィルム状物が溶融状態のまま不織布の間に挟み込まれて積層体とされた、不織布/工ラストマーフィルム/不織布の3層構造からなり、該不織布は少なくとも横方向に伸長可能な不織布であり、表面及び裏面の不織布は、それぞれの横方向が同一の方向となるように積層されており、各層は、多数の不連続な接合点により、表面及び裏面の不織布が工ラストマーフイルムを介して互いに同じ接合点で接合されるように接合固定されてなる積層シートであって、
100%伸長時における伸縮特性が、100g/25mm以上であり、
100%伸長させて戻した際の永久歪みが、30%以下であり、
上記不織布の目付は、一層あたり15g/m2〜50g/m2であり、
上記工ラストマーフイルムの目付は、10〜100g/m2である積層シート」である点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1:本件発明のおむつは使い捨ておむつであって、ファスニングテープの係止部は、腹側部の略中央に設けられたランディングテープに係止するものであり、ファスニングテープの基端部と伸縮部を積層シートを用いて一体に形成するとともに、係止部には摘み部が設けられているのに対し、引用刊行物に記載されたものにおいては、使い捨ておむつか否かは明記されておらず、また、ファスニングテープであるサイドバンド124は、腹側部の両端に設けられた結合領域125に係止されるものとなっており、基端部の伸縮性は大きくない点。
相違点2:本件発明の不織布/工ラストマーフィルム/不織布の3層構造からなる積層体は、熱可塑性工ラストマーの溶融状態で成形されたフィルム状物が溶融状態のまま不織布の間に挟み込まれて積層されたものと特定されているのに対し、引用刊行物に記載されたものにおいては、そのような特定がなされていない点。
相違点3:本件発明では、積層シートの接合点の面積の合計は、積層シート全体の面積に対して30%以下であると特定されているのに対し、引用刊行物に記載されたものにおいては、比率について具体的に明記されていない点。
相違点4:本件発明の積層シートはノッチが入った際の破断伸度ならびに破断強度が具体的数字で特定されているのに対し、引用刊行物に記載されたものにおいては、破断伸度や破断強度に関して具体的な特定がされていない点。

上記相違点について、検討する。

相違点1について:
おむつが使い捨てか否かは、おむつのシートの素材によって決まる程度のものなので、本件発明が、おむつのシート素材と格別の関連がない以上、ファスニングテープを取り付ける対象を使い捨ておむつとした点には、格別のものはない。
また、腹側部の略中央部にランディングテープを設けてファスニングテープを係止することも、従来から広く知られていることなので何ら格別のものではなく、また、引用刊行物記載のものにおいても係止部を摘んで係止することは明らかであるから、摘みやすいように摘み部を設けることは当業者が容易に想到できた程度のものである。
さらに、本件発明において、ファスニングテープの基端部と伸縮部を積層シートを用いて一体に形成するようにした点について検討すると、基端部は伸縮部と一体に形成するとはいっても背側部に接合されているものである。一方、引用刊行物記載の基端部は、本来は、伸長性を有する複合弾性体に新たな熱圧着処理を行ったものである。(段落【0083】の「両端に位置する第2の領域111では、新たな熱圧着処理によってほとんど伸長性を有さなくなる・・・」を参照)してみると、引用刊行物記載のものも、本来は、基端部と伸縮部とは一体に形成されていたといえるので、本件発明において、基端部と伸縮部とを一体に形成すると特定した点は、引用例のものと実質上差がないものである。

ところで、特許権者は、平成14年1月11日付け特許異議意見書において、「本件特許発明の使い捨ておむつは、ファスニングテープの形態(省略)及びファスニングテープ止着用のランディングテープが腹側部の略中央部に設けられていること(省略)を具備するので、このような構成要件を具備しない引用文献のテープ形おむつとは構成を大きく異にするものである。」(第6頁第12〜15行参照)、「引用文献の図17に記載の複合弾性体100を、本件特許発明におけるファスニングテープを構成する積層シートとして用いることの動機付けについては何らの記載も示唆もない。」(第7頁26行〜第8頁第2行参照)と主張している。
確かに、権利者が主張するように、引用刊行物に記載された複合体は、おむつの腹側部と背側部とを伸縮可能に連結するサイドパネルを構成する部材であって、本件特許発明の使い捨ておむつのような、腹側部の略中央部に設けられたランディングテープに止着されるようなファスニングテープとは相違している。
しかしながら、その使用形態においては異なるとはいうものの、部材の伸縮性能を活用して、おむつがずれないようにするものである点では同様の機能を有しており、何度も繰り返しての使用に耐えるため、伸長性が高く、かつ、永久歪みの低さが要求されている点、また、肌に直接触れるため、皮膚に対して刺激の少ないものであることが要求されている点でも、両者は共通しているといえよう。
本件発明は、そうした課題に応えるためのものであり、伸縮性能や繰り返しての性能を確保するために、積層シートの具体的性能特性を数値で特定したものであり、さらに皮膚にも優しい伸縮性部材とするために、不織布/工ラストマーフィルム/不織布の3層構造とし、肌には不織布が触れるものとしたものであるが、やはり同様に、「伸縮性能が要求され」、「繰り返しての使用に耐えることが要求され」、かつ、「肌に優しい」ことが要求されているサイドパネルにおいて、その課題を解決するための手段が引用刊行物に記載されている以上、引用刊行物に開示された課題解決手段を、同様の課題を抱えている本件発明の「ファスニングテープ」に適用することには格別の困難があったとは認められない。

相違点2について:
3層構造の積層体を製造するに際し、予め成形したシートを重ね合わせて製造したり、あるいは、シートを成形しつつ重ね合わせるようにすることは必要に応じて当業者が適否選択できる程度のことであり、この点に格別の困難があったとは認められない。

相違点3について:
引用刊行物に記載されたものは、その接合点の面積比率に関しては具体的記載はないものの、記載Hのような接合を行った場合、上記(特徴2)で述べたように、接合点の面積比率を30%以上にすることの方が稀というべきものである。
一般に、接合点の面積比率を小さくすればより伸縮性が期待できることは当業者に明らかであり、また、30%という上限値に格別の意味があるとも認められないので、接合点の面積比率を30%以下とした点には、格別の困難があったとは認められない。

相違点4について:
これら数値限定は、単にノッチが入った状態でも、破断伸度が大きくかつ破断強度が大きいものが望ましいと述べているに過ぎず、数値限定における下限値に格別の意味があるとも認められないので、このような限定を行うことは単なる設計的事項に過ぎない。

したがって、本件発明は、引用刊行物に記載されたものから当業者が容易に発明できたものである。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本件発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第113条第2項に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
使い捨ておむつ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体を具備し、背側部の左右両側縁部に、一対のおむつ止着用のファスニングテープが配され、また、腹側部の略中央部に、該ファスニングテープ止着用のランディングテープが設けられている展開型の使い捨ておむつにおいて、
上記ファスニングテープは、上記背側部に接合された基端部と、上記表面シート側の一面に係止手段を具備する係止部と、該基端部と該係止部との間に位置する伸縮部と、該係止部に設けられた摘み部とからなり、該基端部及び該伸縮部は、下記積層シート▲1▼を用いて一体に形成されていることを特徴とする使い捨ておむつ。
積層シート▲1▼:熱可塑性エラストマーの溶融状態で成形されたフィルム状物が溶融状態のまま不織布の間に挟み込まれて積層体とされた、不織布/エラストマーフィルム/不織布の3層構造からなり、該不織布は少なくとも横方向に伸長可能な不織布であり、表面及び裏面の不織布は、それぞれの横方向が同一の方向となるように積層されており、各層は、多数の不連続な接合点により、表面及び裏面の不織布がエラストマーフィルムを介して互いに同じ接合点で接合されるように接合固定されてなる積層シートであって、
上記接合点の面積の合計は、積層シート全体の面積に対して30%以下であり、
100%伸長時における伸縮特性が、100g/25mm以上であり、
100%伸長させて戻した際の永久歪みが、30%以下であり、
上記不織布の目付は、一層あたり15g/m2〜50g/m2であり、
上記エラストマーフィルムの目付は、10〜100g/m2であり、
ノッチが入った際の破断伸度が、200%以上であり、
ノッチが入った際の破断強度が、1300g/40mm以上である積層シート。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィット性に優れ、皮膚刺激性が低く、成形加工性の良い使い捨ておむつに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明の解決しようとする課題】
従来より、使い捨ておむつとしては、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体を具備し、背側部の左右両側縁部に、一対のおむつ止着用のファスニングテープが配されたものが、広く用いられている。
そして、最近においては、おむつのフィット性と漏れ防止性とを更に向上させるために、上記ファスニングテープ自体に弾性伸縮性をもたせることが提案されている。
【0003】
しかし、ファスニングテープ弾性伸縮性を付与する場合、通常のゴム等によりファスニングテープを形成していたため、装着中に該ファスニングテープが装着者の皮膚に当たり、装着者の皮膚が刺激される等の問題があった。
また、上記の通常のゴムでは、成形加工性が悪く、生産性に劣るという問題もあった。
【0004】
従って、本発明の目的は、フィット性に優れ、皮膚刺激性が低く、成形加工性に優れた使い捨ておむつを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題の解消すべく鋭意検討した結果、特定の積層シートを用いて形成したファスニングテープを有する使い捨ておむつが上記目的を達成しうることを知見した。
【0006】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体を具備し、背側部の左右両側縁部に、一対のおむつ止着用のファスニングテープが配され、また、腹側部の略中央部に、該ファスニングテープ止着用のランディングテープが設けられている展開型の使い捨ておむつにおいて、
上記ファスニングテープは、上記背側部に接合された基端部と、上記表面シート側の一面に係止手段を具備する係止部と、該基端部と該係止部との間に位置する伸縮部と、該係止部に設けられた摘み部とからなり、該基端部及び該伸縮部は、下記積層シート▲1▼を用いて一体に形成されていることを特徴とする使い捨ておむつ。
積層シート▲1▼:熱可塑性エラストマーの溶融状態で成形されたフィルム状物が溶融状態のまま不織布の間に挟み込まれて積層体とされた、不織布/エラストマーフィルム/不織布の3層構造からなり、該不織布は少なくとも横方向に伸長可能な不織布であり、表面及び裏面の不織布は、それぞれの横方向が同一の方向となるように積層されており、各層は、多数の不連続な接合点により、表面及び裏面の不織布がエラストマーフィルムを介して互いに同じ接合点で接合されるように接合固定されてなる積層シートであって、上記接合点の面積の合計は、積層シート全体の面積に対して30%以下であり、100%伸長時における伸縮特性が、100g/25mm以上であり、100%伸長させて戻した際の永久歪みが、30%以下であり、上記不織布の目付は、一層あたり15g/m2〜50g/m2であり、上記エラストマーフィルムの目付は、10〜100g/m2であり、ノッチが入った際の破断伸度が、200%以上であり、ノッチが入った際の破断強度が、1300g/40mm以上である積層シート。
【0007】
また、本発明は、上記表面シート上には、防漏シートをおむつの外方側に固定して形成された、おむつの内方側に自由端を有する立体ガードが配されており、該自由端には、上記弾性部材が配されている上記使い捨ておむつを提供するものである。
また、本発明は、上記ファスニングテープは、その係止手段として機械的ファスナーの凸部材又は凹部材を具備する上記使い捨ておむつを提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の使い捨ておむつについて更に詳細に説明する。
本発明の使い捨ておむつは、ファスニングテープが、上記背側部に接合された基端部と、上記表面シート側の一面に係止手段を具備する係止部と、該基端部と該係止部との間に位置する伸縮部と、該係止部に設けられた摘み部とからなり、該基端部及び該伸縮部が、下記積層シート▲1▼を用いて一体に形成されていることを特徴とする
積層シート▲1▼:熱可塑性エラストマーの溶融状態で成形されたフィルム状物が溶融状態のまま不織布の間に挟み込まれて積層体とされた、不織布/エラストマーフィルム/不織布の3層構造からなり、該不織布は少なくとも横方向に伸長可能な不織布であり、表面及び裏面の不織布は、それぞれの横方向が同一の方向となるように積層されており、各層は、多数の不連続な接合点により、表面及び裏面の不織布がエラストマーフィルムを介して互いに同じ接合点で接合されるように接合固定されてなる積層シートであって、上記接合点の面積の合計は、積層シート全体の面積に対して30%以下であり、100%伸長時における伸縮特性が、100g/25mm以上であり、100%伸長させて戻した際の永久歪みが、30%以下であり、上記不織布の目付は、一層あたり15g/m2〜50g/m2であり、上記エラストマーフィルムの目付は、10〜100g/m2である積層シート。
【0009】
以下、上記積層シート▲1▼について詳細に説明する。
上記積層シート▲1▼は、伸長可能な特定の目付を有する不織布と、特定の目付を有するエラストマーフィルムとを、特定の面積を有する接合点を介して一体に接合してなり、更に特定の伸縮特性及び永久歪みを有する。
【0010】
上記積層シート▲1▼において用いられる上記不織布が有する上記の特定の目付は、一層あたり15g/m2〜50g/m2であり、好ましくは、20〜30g/m2である。
上記目付が15g/m2未満であると、不織布の風合いが悪くなり、また積層シートの伸び止まり感が低下する。また、50g/m2を超えると、横方向への伸長力が高くなり過ぎる他、コストも高くなる。
尚、上記「伸び止まり感」とは、積層シート▲1▼を伸長させた際に不織布が伸長しきった状態で伸張応力が高くなり手ごたえが変化する長さを有することをいう。
【0011】
本発明において、「伸長可能」とは、100%以上の破断伸長を有し、且つ50%伸長時の応力が150g/25mm以下であることをいう。尚、該応力は、後述する伸縮特性と同様の条件で、50%伸長させた時の応力である。このような特性は、上記不織布としてスパンレース不織布、スパンボンド不織布又はヒートロール不織布を用いることによって実現される。
また、本発明においては、上記不織布の100%伸長回復率が40%以上であること、即ち永久歪みが60%以下であるのがより好ましい。このような特性は、上記不織布としてスパンボンド不織布又はヒートロール不織布を用いることによって実現される。
【0012】
上記不織布としては、上記目付を満足し且つ少なくとも横方向に伸長可能な不織布であれば特に制限されないが、下記するものなどが好ましく用いられる。
尚、ここで「横方向」とは、製造過程における積層シート(不織布及びエラストマーフィルム)の流れ方向に対する垂直方向を意味する。
本発明において用いられる上記不織布としては、接合点あるいは融着点を有さない不織布であるために伸長性を発現できるスパンレース不織布、融着点は有するが各融着点間を捲縮させる等して伸長あるいは構造変形が可能になされたスパンボンド不織布やヒートロール不織布等が挙げられる。
【0013】
また、上記スパンレース不織布を構成する繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンからなるポリオレフィン系繊維;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルからなるポリエステル系繊維;6ナイロン、6,6ナイロン、12ナイロン等のナイロン系樹脂からなるナイロン系繊維;レーヨン、コットン、絹等の繊維等が用いられ、これらは単独で若しくは2種以上併用して用いることができる。また、これらの繊維の繊度は、1.0〜10デニール(d)とするのが好ましい。
また、上記スパンボンド不織布を構成する繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンからなるポリオレフィン系繊維;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルからなるポリエステル系繊維;6ナイロン、6,6ナイロン、12ナイロン等のナイロン系樹脂からなるナイロン系繊維、あるいは上記樹脂から成る芯鞘構造の繊維、サイドバイサイド構造の繊維等の複合繊維等が用いられ、これらは単独で若しくは2種以上併用して用いることができる。また、これらの繊維の繊度は、1.0〜10dとするのが好ましい。
また、上記ヒートロール不織布を構成する繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンからなるポリオレフィン系繊維;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルからなるポリエステル系繊維;6ナイロン、6,6ナイロン、12ナイロン等のナイロン系樹脂からなるナイロン系繊維、あるいは上記樹脂から成る芯鞘、サイドバイサイドの繊維等が用いられ、これらは単独で若しくは2種以上併用して用いることができる。また、これらの繊維の繊度は、1.0〜10dとするのが好ましい。
また、併用する場合の各繊維の配合割合は任意である。
【0014】
換言すると、本発明において用いられる上記不織布としては、上記ポリオレフイン系繊維を含む不織布、上記ポリエステル系繊維を含む不織布、上記ナイロン系繊維を含む不織布、及びレーヨン、コットン、絹の繊維等からなる不織布等が挙げられる。
【0015】
本発明において用いられる上記エラストマーフィルムが有する上記の特定の目付は、10〜100g/m2であり、好ましくは、15〜60g/m2である。
上記目付が10g/m2未満であると、発現する伸縮物性が低くなり、100g/m2を超えると、伸長させるために要する力が高くなりすぎる他、コスト高となる。
【0016】
上記エラストマーフィルムとしては、上記の目付を有するエラストマーフィルムであり、弾性伸縮性を有するものであれば特に制限されないが、下記する熱可塑性エラストマーにより形成されてなるフィルムなどが好ましく用いられる。
公知のメタロセン触媒を用いて、公知の重合方法に準じて重合されたポリエチレン(該ポリエチレンは、密度0.90以下であるのが好ましく、コモノマーがブテン、ヘキセン、オクテン等の炭素数3以上のα-オレフィンでその含有率が10mol%以上、更には、20〜60mol%以上であるのが好ましい);
スチレンーイソプレンースチレン(SIS)、スチレンーブタジエンースチレン(SBS)、スチレンーエチレンーブタジエンースチレン(SEBS)、スチレンーエチレンープロピレンースチレン(SEPS)等のスチレン系エラストマー;
ハードセグメントにウレタン結合を有し、ソフトセグメントにポリエーテル、ポリエステル、カプロラクトン、ポリカーボネート等を有するウレタン系エラストマー;
ハードセグメントにエステル結合を有し、ソフトセグメントにポリエステル、ポリエーテル等を有するエステル系エラストマー。
上記エラストマーフィルムの永久歪み(該エラストマーフィルムを100%伸長させて戻した際の永久歪み)は、30%以下であるのが好ましい。
【0017】
尚、本発明においては、上記エラストマーフィルムに滑剤やアンチプロッキング剤を添加する必要はないが、エラストマーの成形加工性を向上させるために滑剤を添加してもよい。この際の添加量は、従来の積層シートにおいて用いられていた添加量よりも少なくてよい。具体的には、エラストマーフィルム全体に対して750ppm以下とするのが好ましい。
上記滑剤としては、「プラスチックの滑性と滑剤」(日刊工業新聞社、昭和52年6月30日発行)に記載の滑剤等が挙げらる。
【0018】
本発明においては、上記不織布と上記エラストマーフィルムとの組合せとして、下記の組合せ▲1▼又は▲2▼が好ましい。
▲1▼上記不織布として、ポリオレフイン系繊維を含有する不織布を用い、上記エラストマーフィルムとして、上記のメタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレン又は上記スチレン系エラストマーを用いる組合せ。
▲2▼上記不織布として、ポリエステル系繊維又はナイロン系繊維を含有する不織布を用い、上記エラストマーフィルムとして、上記スチレン系エラストマー、上記ウレタン系エラストマー又は上記エステル系エラストマーを用いる組合せ。
【0019】
ここで用いられる上記不織布としては、上述のようにポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ナイロン系繊維等を含有するものであれば良いが、特に積層シートにおける復元特性(引っ張った後に外力を開放した際に初期の状態に戻る戻り方の特性)を良くするためには、不織布自体が戻りの応力を発現できるタイプのもの(即ち、伸縮力を有する不織布)が好ましく用いられる。このため、一部のスパンボンド不織布やヒートロール不織布にみられるように、捲縮あるいは構造変形可能な加工を施した不織布は、伸長された後ももとの形になる力を発現できるため、本発明において好ましく用いることができる。
尚、上記不織布(の構成繊維)と上記エラストマーフィルムとの組み合わせのうち好ましいものを明記するのは、上記の組合せが該エラストマーフィルムを該不織布に熱接着させるために特に好ましいからである。
【0020】
そして、上記積層シート▲1▼は、不織布/エラストマーフィルム/不織布の3層構造からなり、該不織布は少なくとも横方向に伸長可能な上記不織布であり、表面及び裏面の不織布は、それぞれの横方向が同一の方向となるように積層されており、各層は、多数の不連続な接合点により、表面及び裏面の不織布がエラストマーフィルムを介して互いに同じ接合点で接合されるように接合固定されてなる。
【0021】
以下、図面を参照して、上記積層シート▲1▼の構造について説明する。
ここで、図1は上記積層シート▲1▼の1形態を拡大して示す拡大斜視図である。
図1に示す形態の積層シート1は、表面の不織布層2a及び裏面の不織布2b、並びに両不織布の間に介在するエラストマーフィルム3が、多数の不連続な点状の接合点4で、一体に接合されてなる、不織布2a/エラストマーフィルム3/不織布2bの3層構造からなる。
また、各層2a,3,2bは、それぞれ、各上記接合点4により、表面及び裏面の不織布2a,2bがエラストマーフィルム3を介して同じ接合点で接合されている。即ち、各接合点4において、各層2a,3,2bは一体になされている。
そして、表面及び裏面の上記不織布層2a,2bは、それぞれの横方向(図1に示す矢印方向D1,D2)が同一方向(矢印方向D3)となるように積層されている。即ち、各不織布の伸長可能な方向が同一方向であり積層シート1が少なくと横方向(矢印方向D3)には伸縮可能となるようになされている。
【0022】
上記接合点4の面積の合計(上記の特定の面積)は、積層シート1全体の面積に対して30%以下であり、好ましくは1〜20%である。
上記接合点4の面積の合計が30%を超えると、接合面積が大きくなりすぎるため積層シートが固定化されて、伸縮物性が低下する。
【0023】
また、多数の上記接合点4は、好ましくはそれぞれ1mm以上、更に好ましくは1〜10mmの間隔をあけて配されているのが望ましい。
上記接合点4の間隔が、1mm未満であると、接合面積が大きくなりすぎて、伸縮物性が低下するので好ましくない。
ここで、上記「間隔」とは、図1のdに示されるように、各接合点4間の最も距離の短い位置における間隔である。
【0024】
また、上記接合点4の大きさは、図1に示すような点状(ドット状)である場合には、0.1〜20.0mm2であるのが好ましく、0.1〜10.0mm2であるのが更に好ましく、0.1〜2.0mm2であるのが最も好ましい。
上記接合点4の大きさが、0.1mm2未満であると、接合力が低く、伸縮によって積層シートの各層の剥離を生じやすく、20.0mm2を超えると、不織布の伸長可能な領域を固定化させることになるので、積層シートの伸縮性を防げるため、好ましくない。
【0025】
上記接合点4の形状は、上記の図1に示す形態には制限されず、例えば、図2に示す積層シート1Aのように、長方形状の接合点4Aが、積層シート1Aの縦方向(製造時におけるシートの流れ方向)に沿って配されてなる形状とすることができる。また、図3に示す積層シート1Bのように、長方形状の接合点4Bが、積層シート1Bの縦方向(製造時におけるシートの流れ方向)に対して斜めの方向に向けて(左下方に傾けて)配してなる列B1と右下方に傾けて配してなる列B2とを交互に配してなる形状とすることもできる。
また、このように接合点の形状が長方形状である場合には、該接合点の大きさは、1.0〜3.0mm2であるのが好ましい。
【0026】
そして、上記積層シート▲1▼は、少なくとも横方向には伸縮可能なシートである。即ち、少なくとも上記不織布の伸長可能な方向には伸縮可能となされたシートである。
そして、上記積層シート▲1▼における上記の特定の伸縮特性は、積層シートの横方向に100%伸長時における伸縮特性が、100g/25mm以上であり、好ましくは300〜1500g/25mmである。
上記伸縮特性が100g/25mm未満であると、おむつのフィット性が向上しない。
ここで、上記伸縮特性は、下記の如くして測定できるものである。
伸縮特性の測定法;上記積層シート▲1▼により幅25mmの試料を作成し、該試料を積算装置付伸長試験機にチャック間距離が100mmとなるように固定する。次いで、固定された試料を300mm/minの速度で100%延伸し、この際の応力を測定し、これを伸縮特性値とした。
【0027】
上記積層シート▲1▼における上記の特定の永久歪みは、積層シート▲1▼の横方向に100%伸長させて戻した際の永久歪みが、30%以下であり、好ましくは20〜0%である。
上記永久歪みが30%を超えると、おむつのフィット性が向上しない。
ここで、上記永久歪みは、下記の如くして測定できるものである。
永久歪みの測定法;上記積層シート▲1▼により幅25mmの試料を作成し、該試料を積算装置付伸長試験機にチャック間距離が100mmとなるように無張力で固定し、次いで、各試料を300mm/minの速度で100%延伸する。次いで、300mm/minの速度で初期のチャック間距離まで戻した際(即ち、無張力状態とした際)の試料の長さを測定し、このときの初期長さよりも伸びて長くなった部分の長さの初期長さの初期のチャック間距離に対する割合(%)を求め、これを永久歪みとした。
【0028】
また、上記積層シート▲1▼は、その拡幅試験後の剥離力が、50g/25mm以上であるのが好ましく、70g/25mm以上であるのが更に好ましく、125g/25mm以上であるのが最も好ましい。
上記剥離力が50g/25mm未満であると、積層シート▲1▼を伸び縮みさせて使用する際に不織布とエラストマーフィルムとが剥離しやすく好ましくない。
【0029】
ここで、上記の拡幅試験後の剥離力は、下記の如くして測定されるものである。
即ち、先ず、積層シート▲1▼を幅25mm、長さ150mmの長方形状に切断してサンプルシートを得る。尚、ここで、「幅」方向は、該積層シート▲1▼の縦方向に沿った方向であり、「長さ」方向は、該積層シート▲1▼の横方向(伸縮方向)に沿った方向である(他の測定法の説明においても同様である)。
次いで、得られたサンプルシートを上記長さ方向に向けて200%伸張・回復させ、その後、ラミ強力を測定し、その値を上記剥離力とする。
尚、上記伸張回復させる際の条件は、測定機械として「テンシロンRTA-100」(オリエンテック社製)を用い、チャック間距離100mm、引張速度300mm/min、戻り速度300mm/minとした。
また、上記ラミ強力の測定条件は、測定機械として「テンシロンRTA-100」(オリエンテック社製)を用い、チャック間距離30mm、引張速度300mm/min、戻り速度300mm/minとし、上記サンプルシートの長さ方向方向に向けて、エラストマーフィルムと不織布とを剥離させる(表面の不織布とエラストマーフィルム及び裏面の不織布とを剥離させるか、若しくは裏面の不織布とエラストマーフィルム及び表面の不織布とを剥離させる)ことにより行った。
【0030】
また、上記積層シート▲1▼は、ノッチが入った際の破断伸度が、200%以上であり、250%以上であるのが好ましく、300%以上であるのが更に好ましい。また、上記積層シート▲1▼は、ノッチが入った際の破断強度が1300g/40mm以上であり、1500g/40mm以上であるのが好ましく、2000g/40mm以上であるのが更に好ましい。
尚、伸度200%とは、初期状態(非応力下)における長さの3倍の長さにまで伸ばした状態を意味する。
【0031】
ここで、上記破断伸度及び上記破断強度は、それぞれ下記の如くして測定されるものである。
〔破断伸度及び破断強度の測定法〕
先ず、積層シート▲1▼を幅40mm×長さ70mmの長方形状に切断してサンプルシートを得る。
得られたサンプルシートにノッチを一つ入れる。ここで、ノッチは、該サンプルシートの長手方向1端部における幅方向中央に設け、その長さは10mmとする。
そして、ノッチが設けられたサンプルシートのノッチが設けられて2つに分割された端部をそれぞれ下記測定機械にチャック間距離20mmで把持させ、次いで下記条件で、該サンプルシートの長さ方向に向けて引張り、破断したときの伸度及び強度を測定し、これらをそれぞれノッチを入れた際の破断伸度及び破断強度とする。
条件:測定機械;「テンシロンRTA-100」(オリエンテック社製)
引張速度;300mm/min
【0032】
尚、上記積層シート▲1▼の破断伸度は、200%以上であるのが好ましく、破断強度は、500g/25mm以上であるのが好ましく、750g/25mm以上であるのが更に好ましく、1000g/25mm以上であるのが最も好ましい。
破断伸度及び破断強度は、積層シート▲1▼を幅25mm、長さ150mmに切断してサンプルシートを得、得られたサンプルシートを下記測定機械にチャック間距離100mmで装着し、引っ張り速度300mm/1分(往復)で引っ張り、サンプルシートが破断する際の伸度及び強度を測定し、これらを破断伸度及び破断強度とした。
【0033】
また、上記積層シート▲1▼全体の厚さは、40〜120μmとするのが好ましく、50〜90μmとするのが更に好ましい。
また、上記積層シート▲1▼の目付は、60〜120g/m2とするのが好ましい。
【0034】
上記積層シート▲1▼は、上述の如く構成されているので、伸縮特性に優れ、しかも、ブロッキングを起こさないものである。
【0035】
次いで、上記積層シート▲1▼の好ましい製造方法について説明する。
上記積層シート▲1▼は、熱可塑性エラストマーを溶融状態でフィルム状に成形し、得られたフィルム状物を溶融状態のまま横方向に伸長可能な2枚の不織布間に挟み込んで積層体とし、該積層体を横方向に不連続なパターンで多数の凸状部が配されてなるエンボスロールによりエンボス処理して、各層を接合して一体化させる積層工程を行うことにより製造することができる。
【0036】
ここで、上記「横方向」とは、上記フィルム状物、上記不織布、上記積層体及び得られる積層シート▲1▼の流れ方向に対して垂直の方向である。
上記熱可塑性エラストマーとしては、上記のエラストマーフィルムの形成材料として具体的に例示した熱可塑性エラストマーが用いられる。
尚、上記熱可塑性エラストマーは、上記ブロッキング防止剤又は上記滑剤を実質的に含有しないのが好ましい。換言すると、本発明においては、このようなブロッキング防止剤及び滑剤を用いなくてもエラストマーフィルムがブロッキングすることがない。
ここで、上記エラストマーフィルムをフィルム単体として取り扱うためには、かなり多量の滑剤やブロッキング防止剤としてのフィラーを添加しなければならないが、該フィラーを多量に添加することはエラストマーフィルム自体の伸縮物性を阻害することになるし、また、滑剤の添加はホットメルトの接着性を低下させたりする。さらに、おむつ、ナプキン等の肌に近いところで使用するものの部材として用いるには、皮膚刺激性の問題が生じる。従って、本発明において、上記「実質的に含有しない」とは、エラストマーフィルムの生産性を向上させるために、ブロッキングを防止する目的で用いる時の使用量とは比べものにならないほどの少量のブロッキング防止剤又は滑剤を用いることは許容する趣旨、換言すると、ブロッキング防止効果は発現し得ない程度の少量で用いることは許容する意味である。
上記不織布は、具体的に例示した上記目付を有する上記不織布である。
【0037】
また、上記「熱可塑性エラストマーを溶融状態でフィルム状に成形する」とは、該熱可塑性エラストマーをその融点以上の温度でフィルム状に成形することを意味する。
また、上記「フィルム状物を溶融状態のまま」とは、該フィルム状物を構成する該熱可塑性エラストマーをその凝固点以上の温度を維持したまま後の工程に供することを意味する。即ち、溶融状態の熱可塑性エラストマーは、熱源(Tダイ)からはなれて押し出された後、自然(環境温度に対して)的に冷却されていくので、この冷却過程の熱可塑性エラストマーを不織布に挟み込む工程を有することを意味する。
【0038】
また、上記エンボスロールとしては、上記のパターンで上記凸状部が配されてなるロールであれば、その形成材料などは特に制限されないが、金属(例えば、スチール)ロール面に種々のパターンを彫刻等により凹凸をつけたロールを用いることができる。
また、上記凸状部の形状は特に制限されず、所望の上記接合部の形状に即した形状、即ち、点状(ドット状)、長方形状等とすることができる。また、多数の上記凸状部は、それぞれ1mm以上の間隔をあけて配されているのが好ましく、1〜10mmの間隔をあけて配されているのが更に好ましい。また、該凸状部の高さは、0.2mm以上であるのが好ましく、0.3〜1.5mmであるのが更に好ましい。
【0039】
また、上記エンボス処理は、Tダイによるチルロールに該当するロールにエンボス処理を処してあれば(即ち、該チルロールをエンボスロールとして用いれば)その条件は特に制限されず、溶融したエラストマーを冷却できれば良い。従って、エンボス処理は、その温度を0〜50℃とし、圧力を0.1〜20kg/cm2とするのが好ましい。また、この際のバックアップロール(押し付けロール)は、チルロールに形成されたパターンにめり込むほど柔らかいものは避けるべきである。該バックアップロールの材質は、金属、樹脂、及びシリコーンの何れでも用いられるが、チルロールに形成されたパターンにめり込むほど柔かくない範囲で硬度を選定する必要がある。
【0040】
また、バックアップロールとして比較的柔らかい材料を用いた場合、例えばショアーD硬度で20くらいのラバーロールを用いた場合、チルロールに押しつける際の圧力を低くすべきであろうし、逆にショアーD硬度で80くらいのエポキシ樹脂ロールを用いた場合、ある程度押しつけ圧を上げることが可能である。
加えて、この押しつけ圧とバックアップロールへのパターンのめり込みとは、製造される積層シートの伸縮性に大きな影響を与えるものである。
即ち、柔軟なバックアップロールを用いることにより、めり込みが少ないようにすると押しつけ圧を低くする必要があるため、積層シートの接合力が低下する。逆に接合力を上げるために押しつけ圧を上げると、不織布への熱可塑性エラストマー樹脂のしみ込みが多くなり良好な伸縮物性が得られにくい。
このため、積層シートの接合力と伸縮物性と風合いとを同時に向上させるには、ある程度の硬度を有したバックアップロールを用いる方が製造が容易になり、ショアーD硬度で40以上のバックアップロールを用いると、比較的安定した製造が可能である。
また、バックアップロールの硬度により得られる積層シートの風合いが変化する。具体的には、ショアーD硬度20くらいのラバーロールをバックアップロールとして用いると、エンボスロールの凹凸に積層シートとバックアップロールとが入り込むために手触りが硬めのシートになる。一方、硬度を高くしてショアーD硬度80くらいのエポキシ樹脂ロールをバックアップロールとして用いると、エンボス処理の圧力を高めにしても凹凸に入り込まないため、手触りの柔らかいシートに仕上がる。
また、上記積層シート▲1▼はエンボスの面積率が比較的低いため、特にバックアップロールとエンボスの面積率及び深さとを適宜選定する必要がある。また、エンボスロールは金属で作られているためバックアップロールは摩耗しないような材料を用いることが良い。
【0041】
以下、更に図4を参照して、上記積層シート▲1▼の製造方法の1形態について詳述する。
ここで、図4は上記製造方法の要部を示す概略図である。
図4に示すように、上記の積層シート▲1▼の製造方法は、次のように行う。即ち、Tダイ11から熱可塑性エラストマーを溶融状態(該熱可塑性エラストマーの軟化点以上の温度)でフィルム状に押出成形して連続したフィルム状物3’を得る。得られたフィルム状物3’を、溶融状態のまま連続した不織布2,2間に挟み込んで積層体1’を製造する。
この際、各不織布2,2間に挟み込むと同時にエンボスロール12によりエンボス処理を行う。該エンボスロール12には、その表面に、多数のドット状の凸状部12aが形成されている。また、エンボス処理は、上記積層体1’を該エンボスロールとバックアップロール13,14とで加圧・狭持することにより行う。該バックアップロール13,14としては、金属、樹脂、シリコーン等からなるロールを用いることができる。
そして、エンボス処理されて、各層が接合されて一体化されてなる積層シート1は、引き取りロール15により引き取られ、巻き取りロール16に巻き取られる。
【0042】
尚、上記製造方法において、上記積層工程以外の工程は、通常の積層シートの製造方法と同様に行うことができる。
【0043】
(削除)
【0044】
(削除)
【0045】
(削除)
【0046】
(削除)
【0047】
(削除)
【0048】
(削除)
【0049】
次に、図面を参照して本発明の使い捨ておむつの一形態について、更に詳細に説明する。
ここで、図6は、本発明の使い捨ておむつの一形態における裏面シート側を示す一部破断平面図であり、図7は、図6に示す使い捨ておむつにおけるファスニングテープを示す拡大斜視図である。また、図8及び9は、本発明に用いられるファスニングテープの他の形態を示す拡大斜視図である。
【0050】
図6に示す本形態の使い捨ておむつ101は、液透過性の表面シート102、液不透過性の裏面シート103及び両シート102,103間に介在された液保持性の吸収体104を具備し、背側部Bの左右両側縁部B1,B2に、一対のおむつ止着用のファスニングテープ110が配されている。
また、腹側部Aの略中央部には、上記ファスニングテープ止着用のランディングテープ109が設けられている。
【0051】
また、上記表面シート102上には、防漏シート108aをおむつの外方側に固定して形成された、おむつの内方側に自由端108bを有する立体ガード108が配されている。尚、上記防漏シートとしては通常公知のものを特に制限なく用いることができるが、疎水性不織布や撥水処理された不織布などが好ましく用いられる。
このような構成は、従来の使い捨ておむつと同様であり、各部材も公知の材料を特に制限なく用いて形成することができる。
【0052】
そして、上記ファスニングテープ110は、図7に示すように、上記積層シート1を用いて形成されている。
【0053】
更に詳述すると、上記ファスニングテープ110は、テープ本体111と、おむつの表面シート102に固着され、表面が剥離自在になされており、非使用時において、上記係止部13の粘着剤が塗布された面を当接させて該面を保護するリリーステープ(図示せず)とからなる。
また、上記テープ本体111は、図6に示すように、裏面シート103に固着された基端部112と、一面(表面シート側)に粘着剤が塗布されて形成された係止部113と、上記弾性部材116(図7参照)が配されて形成された伸縮部115と、先端を折り返して形成された摘み部114とからなる。
上記ファスニングテープ110の構造について、図7を参照して更に詳述すると、上記基端部112と上記伸縮部115とは、同じ材料により一体に形成されており、上記伸縮部115と上記係止部113とは、接合部118を介して連結されている。
【0054】
そして、上記基端部112と上記伸縮部115とは、積層シート1(上記積層シート▲1▼)により形成されている。即ち、上記基端部112と上記伸縮部115とは、上記不織布2a、2bとエラストマーフィルム3との3層からなる長方形状の積層シート1により形成されている。
また、上記係止部113は、通常のファスニングテープに用いられているフィルムシート及び粘着剤により形成されている。
また、上記接合部118は、通常の接合方法を特に制限なく用いて上記伸縮部115と上記係止部113とを接合することにより形成されるが、本形態においては、上記伸縮部115の一端と上記係止部113の一端とを部分的に加熱融着させる等して部分的に接着することにより接合している。
【0055】
また、上記基端部112は、部分的に加熱融着させる等して部分的に接着することにより上記背側部に接合しても良く、また、ヒートエンボスや超音波シールなどにより接合してもよい。
【0056】
また、おむつの着用時において着用者のウエストに位置するウエスト部5及び脚周りに位置するレッグ部6にも、それぞれ、通常の弾性部材120,130が配されている。
また、上記立体ガード108においても、その上記自由端108bには、通常の弾性部材140が配されている。上記弾性部材140は、該立体ガード108におけるおむつの内方側の自由端108bにおいて、上記防漏シート108aの端縁側を管状に折り返すことより、該防漏シート108aにより被覆されて配されている。
【0057】
本形態の使い捨ておむつは、上述の如く構成されているので、上記テープ本体111の係止部113を伸ばしておむつの止着をすることができ、フィット性に優れ、漏れ防止性に優れると共に、装着中に上記ファスニングテープが装着者の当たっても皮膚刺激性の少ないものである。
【0058】
次に、図8を参照して、本発明の使い捨ておむつに用いられるファスニングテープの他の形態について詳述する。
図8に示す形態のファスニングテープ110Aは、基端部112Aが幅広となされており、また、伸縮部115Aが基端部112A側に向かうに従って幅広となるように形成されており、これによってフィット性が更に向上されている。尚、これ以外の点は、全て上述した図6及び7に示す形態のファスニングテープと同じであり、上述した説明が適宜適用される。
【0059】
また、図9を参照して、本発明の使い捨ておむつに用いられるファスニングテープの他の形態について詳述する。
図9に示す形態のファスニングテープ110Bは、全体が、上記積層シートからなり、先端部111Bから基端部112Bに向かうに従って幅広となされており、基端部112Bの長さは、おむつの背側部の左右両側縁B1,B2の長さと同じになされている。
また、係止部113Bは、図6及び7に示すファスニングテープと同様にフィルムシート及び粘着剤により形成されており、先端部111B側においてその端縁から若干の距離を置いて、上記積層シート上に固着されて配されている。これにより、先端部111Bには、上記積層シートからなるつまみ部114Bが形成されていると共に、基端部112B側に上記積層シートからなる伸縮部115Bが形成されている。また、基端部112Bは、通常公知の方法により側縁B1,B2に固着されている。
尚、これら以外の点は、全て上述した図6及び7に示す形態のファスニングテープと同じであり、上述した説明が適宜適用される。
【0060】
尚、本発明の使い捨ておむつは、図6に示す形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。例えば、上記ファスニングテープ110は、上述の粘着剤に代えて、その係止手段として、上記係止部の表面側(おむつの表面シート側)に、機械的ファスナーの凸部材又は凹部材を具備していてもよい。この際用いられる上記凸部材又は凹部材としては、通常の凸部材及び凹部材を特に制限なく用いることができる。また、上記係止手段として上記凸部材を用いた場合には、上記ランディングテープ109が凹部材であり、上記係止手段として上記凹部材を用いた場合には、上記ランディングテープ109が凸部材である。
【0061】
【発明の効果】
本発明の使い捨ておむつは、フィット性に優れ、皮膚刺激性が低く、成形加工性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、積層シート▲1▼の1形態を拡大して示す拡大斜視図である。
【図2】
図2は、積層シート▲1▼の他の形態を拡大して示す拡大斜視図である。
【図3】
図3は、積層シート▲1▼の他の形態を拡大して示す拡大斜視図である。
【図4】
図4は、積層シート▲1▼の製造方法の要部を示す概略図である。
【図5】
(削除)
【図6】
図6は、本発明の使い捨ておむつの一形態における裏面シート側を示す一部破断平面図である。
【図7】
図7は、図6に示す使い捨ておむつにおけるファスニングテープを模式的に示す拡大斜視図である。
【図8】
図8は、本発明に用いられるファスニングテープの他の形態を模式的に示す拡大斜視図である。
【図9】
図9は、本発明に用いられるファスニングテープの他の形態を模式的に示す拡大斜視図である。
【符号の説明】
1 積層シート
2a 表面の不織布
2b 裏面の不織布
3 エラストマーフィルム
4 接合点
101 使い捨ておむつ
102 表面シート
103 裏面シート
104 吸収体
110 ファスニングテープ
111 テープ本体
112 基端部
113 係止部
114 摘み部
 
訂正の要旨 訂正の要旨
訂正事項ア:
特許請求の範囲の請求項1の、訂正前の記載
「【請求項1】液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体を具備し、背側部の左右両側縁部に、一対のおむつ止着用のファスニングテープが配された展開型の使い捨ておむつにおいて、
上記ファスニングテープは、下記積層シート▲1▼を用いて形成されていることを特徴とする使い捨ておむつ。
積層シート▲1▼:不織布/工ラストマーフイルム/不織布の3層構造からなり、該不織布は少なくとも横方向に伸長可能な不織布であり、表面及び裏面の不織布は、それぞれの横方向が同一の方向となるように積層されており、各層は、多数の不連続な接合点により、表面及び裏面の不織布が工ラストマーフイルムを介して互いに同じ接合点で接合されるように接合固定されてなる積層シートであって、
上記接合点の面積の合計は、積層シート全体の面積に対して30%以下であり、
100%伸長時における伸縮特性が、100g/25mm以上であり、
100%伸長させて戻した際の永久歪みが、30%以下であり、
上記不織布の目付は、一層あたり15g/m2〜50g/m2であり、
上記工ラストマーフイルムの目付は、10〜100g/m2であり、
ノッチが入った際の破断伸度が、200%以上であり、ノッチが入った際の破断強度が、1300g/40mm以上である積層シート。」を、
「【請求項1】液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体を具備し、背側部の左右両側縁部に、一対のおむつ止着用のファスニングテープが配され、また、腹側部の略中央部に、該ファスニングテープ止着用のランディングテープが設けられている展開型の使い捨ておむつにおいて、
上記ファスニングテープは、上記背側部に接合された基端部と、上記表面シート側の一面に係止手段を具備する係止部と、該基端部と該係止部との間に位置する伸縮部と、該係止部に設けられた摘み部とからなり、該基端部及び該伸縮部は、下記積層シート▲1▼を用いて一体に形成されていることを特徴とする使い捨ておむつ。
積層シート▲1▼:熱可塑性工ラストマーの溶融状態で成形されたフィルム状物が溶融状態のまま不織布の間に挟み込まれて積層体とされた、不織布/工ラストマーフイルム/不織布の3層構造からなり、該不織布は少なくとも横方向に伸長可能な不織布であり、表面及び裏面の不織布は、それぞれの横方向が同一の方向となるように積層されており、各層は、多数の不連続な接合点により、表面及び裏面の不織布が工ラストマーフイルムを介して互いに同じ接合点で接合されるように接合固定されてなる積層シートであって、
上記接合点の面積の合計は、積層シート全体の面積に対して30%以下であり、
100%伸長時における伸縮特性が、100g/25mm以上であり、
100%伸長させて戻した際の永久歪みが、30%以下であり、
上記不織布の目付は、一層あたり15g/m2〜50g/m2であり、
上記工ラストマーフイルムの目付は、10〜100g/m2であり、
ノッチが入った際の破断伸度が、200%以上であり、
ノッチが入った際の破断強度が、1300g/40mm以上である積層シート。」
と訂正する。
訂正事項イ:
明細書の段落【0006】を、
「本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体を具備し、背側部の左右両側緑部に、一対のおむつ止着用のファスニングテープが配され、また、腹側部の路中央部に、該ファスニングテープ止着用のランディングテープが設けられている展開型の使い捨ておむつにおいて、
上記ファスニングテープは、上記背側部に接合された基端部と、上記表面シート側の一面に係止手段を具備する係止部と、該基端部と該係止部との間に位置する伸縮部と、該係止部に設けられた摘み部とからなり、該基端部及び該伸縮部は、下記積層シート▲1▼を用いて一体に形成されていることを特徴とする使い捨ておむつ。
積層シート▲1▼:熱可塑性工ラストマーの溶融状態で成形されたフィルム状物が溶融状態のまま不織布の間に挟み込まれて積層体とされた、不織布/工ラストマ一フィルム/不織布の3層構造からなり、該不織布は少なくとも横方向に伸長可能な不織布であり、表面及び裏面の不織布は、それぞれの横方向が同一の方向となるように積層されており、各層は、多数の不連続な接合点により、表面及び裏面の不織布が工ラストマーフィルムを介して互いに同じ接合点で接合されるように接合固定されてなる積層シートであって、上記接合点の面積の合計は、積層シート全体の面積に対して30%以下であり、100%伸長時における伸縮特性が、100g/25mm以上であり、100%伸長させて戻した際の永久歪みが、30%以下であり、上記不織布の目付は、一層あたり15g/m2〜50g/m2であり、上記工ラストマーフイルムの目付は、10〜100g/m2であり、ノッチが入った際の破断伸度が、200%以上であり、ノッチが入った際の破断強度が、1300g/40mm以上である積層シート。」
と訂正する。
訂正事項ウ:
明細書の段落【0008】を、
「【発明の実施の形態】
以下、本発明の使い捨ておむつについて更に詳細に説明する。
本発明の使い捨ておむつは、ファスニングテープが、上記背側部に接合された基端部と、上記表面シート側の一面に係止手段を具備する係止部と、該基端部と該係止部との間に位置する伸縮部と、該係止部に設けられた摘み部とからなり、該基端部及び該伸縮部が、下記積層シート▲1▼を用いて一体に形成されていることを特徴とする
積層シート▲1▼:熱可塑性工ラストマーの溶融状態で成形されたフィルム状物が溶融状態のまま不織布の間に挟み込まれて積層体とされた、不織布/工ラストマーフイルム/不織布の3層構造からなり、該不織布は少なくとも横方向に伸長可能な不織布であり、表面及び裏面の不織布は、それぞれの横方向が同一の方向となるように積層されており、各層は、多数の不連続な接合点により、表面及び裏面の不織布が工ラストマーフイルムを介して互いに同じ接合点で接合されるように接合固定されてなる積層シートであって、上記接合点の面積の合計は、積層シート全体の面積に対して30%以下であり、100%伸長時における伸縮特性が、100g/25mm以上であり、100%伸長させて戻した際の永久歪みが、30%以下であり、上記不織布の目付は、一層あたり15g/m2〜50g/m2であり、上記工ラストマーフイルムの目付は、10〜100g/m2である積層シート。」
と訂正する。
訂正事項エ:
明細書の段落【0035】の「としての上記の第1の方法」及び「(第1の方法)」を削除する。
訂正事項オ:
明細書の段落【0036】の「尚、後述の図5に示す製造方法(第2の方法)においても、工ラストマーフイルムをロール状に巻とらなくてすむため、チルロールあるいはバックアップロールに巻きとられないレベルの量で滑剤を用いれば良い。また、チルロール及びバックアップロールに剥離処理を施せば滑剤の量をさらに低減できる。」を削除する。
訂正事項カ:
明細書の段落【0041】の「上記製造方法(第1の方法)の1形態」を「上記積層シート▲1▼の製造方法の1形態」に訂正する。
訂正事項キ:
明細書の段落【0043】〜【0048】を削除する。
訂正事項ク:
明細書の【図面の簡単な説明】の【図5】を削除する。
訂正事項ケ:
図面の【図5】を削除する。
異議決定日 2002-05-29 
出願番号 特願平9-111356
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (A41B)
最終処分 取消  
前審関与審査官 植前 津子  
特許庁審判長 吉国 信雄
特許庁審判官 鈴木 美知子
山崎 豊
登録日 2000-10-13 
登録番号 特許第3119443号(P3119443)
権利者 花王株式会社
発明の名称 使い捨ておむつ  
代理人 羽鳥 修  
代理人 羽鳥 修  
代理人 永井 義久  

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