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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  F25D
審判 全部申し立て 特174条1項  F25D
管理番号 1065947
異議申立番号 異議2001-71726  
総通号数 35 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-08-18 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-06-15 
確定日 2002-07-29 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3119064号「冷蔵庫扉の収納装置成形用金型」の請求項1乃至5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3119064号の請求項1、2に係る特許を維持する。 特許異議申立人松野靖恵の特許異議の申立てを却下する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3119064号(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成6年2月2日に特許出願され、平成12年12月8日に設定登録され、その後、松野靖恵、株式会社東芝、三洋電機株式会社、株式会社富士通ゼネラルより特許異議申立がなされ、取消理由が通知された後、平成14年5月17日付けで訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)本件訂正請求は、以下の事項について訂正するものである。
(ア)特許請求の範囲の請求項1〜請求項5において、請求項1〜請求項3を削除し、請求項4、請求項5を繰り上げて、下記のように訂正する。
「【請求項1】 冷蔵庫扉の周縁部に支持され、上記周縁部から庫内側へ突出しかつ上方及び後方が開口した箱体からなるポケット本体と、このポケット本体を前ポケット及び後ポケットに仕切り左右端部がそれぞれ上記ポケット本体の左右側面部に接続された仕切り板とを合成樹脂で一体成形する金型において、上記金型を少なくとも上記ポケット本体の外面部を成形する下部金型と、上記前ポケットを成形する前部金型と、上記後ポケットを成形する後部金型とで構成したことを特徴とする冷蔵庫扉の収納装置成形用金型。
【請求項2】 下部金型は下方向に、前部金型は上方向に、後部金型は後方向に型を抜くものとしたことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫扉の収納装置成形用金型。」
(イ)〔発明の名称〕の「冷蔵庫、冷蔵庫扉の収納装置及びその成型用金型」を、「冷蔵庫扉の収納装置成型用金型」と訂正する。
(ウ)段落〔0007〕の「この発明の第1の発明に係る冷蔵庫は、冷蔵庫本体を開閉する扉体の内側に下部及び側部が係合して支持され、上方及び後方が開口するポケットを着脱可能に設け、このポケット本体内を前後に仕切り、左右端部がそれぞれポケット本体の両側面部に一体成形された仕切り板を備えたものである。」を、
「この発明に係る冷蔵庫扉の収納装置成形用金型は、上方及び後方が開口した箱体からなるポケット本体と、このポケット本体を前ポケット及び後ポケットに仕切る仕切り板とを合成樹脂で一体成形する金型を、ポケット本体の外面部を形成する下部金型と、前ポケットを形成する前部金型と、後ポケットを形成する後部金型とで構成したものである。」と訂正する。
(エ)段落〔0008〕の「また、第2の発明に係る冷蔵庫は、第1の発明のものにおいて、仕切り板の上縁部を下部よりも厚肉部とし、この厚肉部を左右端部間に連続して設けたものである。」を、
「また、この発明に係る冷蔵庫扉の収納装置成形用金型は、下部金型は下方向に、前部金型は上方向に、後部金型は後方向に型を抜くようにしたものである。」と訂正する。
(オ)段落〔0009〕〜〔0011〕を削除する。
(カ)段落〔0012〕の「この発明の第1の発明においては、」を、「この発明においては、」と訂正する。
(キ)段落〔0013〕の「また、第2の発明においては、」を、「また、この発明においては、」と訂正する。
(ク)段落〔0014〕の「また、第3の発明においては、」を、「また、この発明においては、」と訂正する。
(ケ)段落〔0015〕の「また、第4の発明においては、」を「また、この発明においては、」と、「第5の発明においては、」を「また、」と訂正する。
(コ)段落〔0026〕の「以上説明したとおり、この発明の第1発明では、」を、「以上説明したとおり、この発明では、」と訂正する。
(サ)段落〔0027〕の「また、第2の発明においては、」を、「また、この発明においては、」と訂正する。
(シ)段落〔0028〕の「また、第3の発明では、」を、「また、この発明では、」と訂正する。
(ス)段落〔0029〕の「また、第4の発明では、」を「また、この発明では、」と、「第5の発明では、」を「また、」と訂正する。

(2)そこで、上記訂正事項について検討する。
訂正事項(ア)の特許請求の範囲に係る訂正は、訂正前の請求項1乃至3を削除し、請求項4,5を繰り上げて請求項1,2と訂正したものであって、特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。
また、訂正事項(イ)は、冷蔵庫に係る発明に関する訂正前の請求項1乃至3を削除して、冷蔵庫扉の収納装置成型用金型に係る発明に関する請求項1,2のみと訂正したことに伴い、発明の名称を訂正したもので、明りょうでない記載の釈明を目的としたものである。
訂正事項(ウ),(エ)は、訂正前の請求項1乃至3を削除して、請求項4,5を繰り上げて請求項1,2と訂正したことに伴い、発明の詳細な説明中の訂正前の請求項1乃至3に関する説明を削除し、請求項4,5に関する説明を繰り上げたもので、明りょうでない記載の釈明を目的としたものである。
訂正事項(オ)〜(ス)は、訂正前の請求項1乃至3を削除して、請求項4,5を繰り上げて請求項1,2と訂正したことに伴い、発明の詳細な説明中の発明の指示代名詞を訂正したものであって、明りょうでない記載の釈明を目的としたものである。
そして、各訂正事項は、いずれも特許明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
そうすると、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立ての概要
特許異議申立人松野靖恵は、甲第1号証(実願昭56-20645号(実開昭57-134594号)のマイクロフィルム)、甲第2号証(実願昭55-52880号(実開昭56-153790号)のマイクロフィルム)、甲第3号証(実願昭58-188674号(実開昭60-96581号)のマイクロフィルム)を提出し、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項に違反してなされたものであると主張している。
また、特許異議申立人株式会社東芝は、甲第1号証(実願昭53-121552号(実開昭55-39403号)のマイクロフィルム)、甲第2号証(実願昭53-177314号(実開昭55-96384号)のマイクロフィルム)、甲第3号証(実願昭55-52880号(実開昭56-153790号)のマイクロフィルム)、甲第4号証(特開平5-296648号公報)を提出し、請求項1乃至5に係る特許は、特許法第29条第2項に違反してなされたものであると主張している。
また、特許異議申立人三洋電機株式会社は、甲第1号証(実願平3-48060号(実開平5-3879号)のCD-ROM)、甲第2号証(実願昭55-52880号(実開昭56-153790号)のマイクロフィルム)、甲第3号証(「射出成型用金型」、日刊工業新聞社、昭和53年12月10日第6版発行、第16〜21頁、)、甲第4号証(特開平6-849号公報)を提出し、請求項1乃至5に係る特許は、特許法第29条第2項に違反してなされたものであり、請求項1乃至3の記載は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条第2項に違反してなされたものであると主張している。
さらに、特許異議申立人株式会社富士通ゼネラルは、甲第1号証(特開平1-219483号公報)、甲第2号証(実願昭55-52880号(実開昭56-153790号)のマイクロフィルム)、甲第3号証(実願昭53-177314号(実開昭55-96384号)のマイクロフィルム)、甲第4号証(「新プラスチック金型設計技術講座」、第1分冊、プラスチック成形技術と金型計画、第10〜11頁、株式会社工学研究社、昭和52年4月発行)、甲第5号証(「冷蔵庫総合カタログ」、シャープ株式会社、1993年12月発行)、甲第6号証(「冷蔵庫総合カタログ」、三洋電機株式会社、1991年2月発行)、甲第7号証(「冷蔵庫総合カタログ」、株式会社日立製作所、1993年10月発行)、甲第8号証(「プラスチックス」、工業調査会、1974年11月発行、Vol.25、No.11、第105〜106頁)、甲第9号証(「プラスチックス」、工業調査会、1980年9月発行、Vol.31、No.9、第18〜22頁)を提出し、請求項1乃至5に係る特許は、特許法第29条第2項に違反してなされたものであると主張している。

4.特許異議の申立てについての判断
(1)特許異議申立人松野靖恵が取消しを求めた請求項1に係る特許は、上記2.訂正の適否についての判断において示したように、請求項の削除による訂正により、存在しないものとなった。
その結果、特許異議申立人松野靖恵による特許異議の申立ては、不適法な申立てであって、その補正をすることができないものであるので、特許法第120条の6第1項で準用する第135条の規定によって却下すべきものである。
したがって、以下、特許異議申立人株式会社東芝、三洋電機株式会社及び株式会社富士通ゼネラルによる特許異議の申立てについて検討する。

(2)本件特許の請求項1及び2に係る発明(以下「本件第1発明及び本件第2発明」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。(上記2.(1)(ア))

(3)当審が通知した取消しの理由に引用された実願昭53-121552号(実開昭55-39403号)のマイクロフィルム(以下「刊行物1」という。)には、
「冷蔵庫に設けられ、収納物を冷却する室を開閉する開閉扉と、この開閉扉の内側に側部が嵌合して支持され、前面部、底面部及び両側面部を有し、上方及び後方が開口して収納物を収納するとともに上記開閉扉に、着脱可能に設けられた棚部材と、この棚部材の本体内を前後に仕切り、左右端部がそれぞれ上記棚部材本体の両側面部に一体成形にて接続された仕切り板とを備えてなる冷蔵庫。」の発明が記載されていると認められるものの、本件第1発明及び本件第2発明の「ポケット本体」が、「周縁部から庫内側へ突出し」ており、かつ、「上方及び後方が開口」し、かつ、「このポケット本体を前ポケット及び後ポケットに仕切り左右端部がそれぞれ上記ポケット本体の左右部に接続され」ている「仕切り板」をそなえ、さらに、「ポケット本体」が「仕切り板」と「合成樹脂で一体成形」されているものであり、これらの構成要件を全て備えた「ポケット本体」を成形する金型についての構成は、刊行物1に記載されておらず、また、この構成は、特許異議申立人が提出した証拠のいずれにも記載されていない。
そして、この構成が自明であるとも、もしくは、当業者が容易に成し得るとすることはできず、本件第1発明及び本件第2発明が、特許異議申立人が提出した刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認めることはできない。
また、特許異議申立人三洋電機株式会社は、請求項1乃至3の記載が、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでなく、特許法第17条第2項に違反してなされたものであると主張しているが、上記のとおり、請求項1乃至3は、訂正により削除されており、訂正後の明細書中の記載が、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないということはできない。

5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては、本件第1発明及び本件第2発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件第1発明及び本件第2発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件第1発明及び本件第2発明についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願にされたものと認めない。
また、特許異議申立人松野靖恵による特許異議の申立ては、不適法な申立てであって、その補正をすることができないものであるので、特許法第120条の6第1項で準用する第135条の規定によって却下すべきものである。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
冷蔵庫扉の収納装置成形用金型
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 冷蔵庫扉の周縁部に支持され、上記周縁部から庫内側へ突出しかつ上方及び後方が開口した箱体からなるポケット本体と、このポケット本体を前ポケット及び後ポケットに仕切り左右端部がそれぞれ上記ポケット本体の左右側面部に接続された仕切り板とを合成樹脂で一体成形する金型において、上記金型を少なくとも上記ポケット本体の外面部を成形する下部金型と、上記前ポケットを成形する前部金型と、上記後ポケットを成形する後部金型とで構成したことを特徴とする冷蔵庫扉の収納装置成形用金型。
【請求項2】 下部金型は下方向に、前部金型は上方向に、後部金型は後方向に型を抜くものとしたことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫扉の収納装置成形用金型。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、冷蔵庫、冷蔵庫の扉に取り付けられビン等を収納する装置、及びその成形用金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7〜図9は、例えば実開平3-124188号公報に示された従来の冷蔵庫扉の収納装置を示す図で、図7は開扉正面図、図8は図7の収納ポケット部の要部縦断面図、図9は前ポケットの湾曲説明図である。
【0003】
図において、(1)は冷蔵庫本体、(2)は冷蔵庫本体(1)の冷蔵室、(3)は冷蔵室(2)を開閉する扉、(4)は扉(3)の裏側に設けられた扉内板、(5)は扉内板(4)の周縁部で、互いに平行する縦周縁部(5a)及び互いに平行する横周縁部(5b)からなっており、扉(3)の裏側から突出している。(6)は周縁部(5)の下部に設けられた前ポケット、(7)は扉内板(4)の中央部に設けられ縦方向に延在する支持部、(8)は支持部(8)と縦周縁部(5a)との間に設けられた上下2段の後ポケットである。
【0004】
従来の冷蔵庫扉の収納装置は上記のように構成され、前ポケット(6)は縦周縁部(5a)と横周縁部(5b)により支持されており、前ポケット(6)にはビン等の比較的大形で重い物品が収納される。また、後ポケット(8)には小物品が収納される。このようにして、収納性の向上を図るようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の冷蔵庫扉の収納装置では、図9に示すように縦周縁部(5a)の内側に縦方向に延在する凸部(5c)が形成され、これに前ポケット(6)の側面に形成された凹部(11d)が係合して前ポケット(6)を支持しているため、前ポケット(6)にビン等の比較的大形かつ重い物品が収納されると、前ポケット(6)が湾曲しやすく、凹部(11d)が凸部(5c)から脱出する虞れがあるという問題点がある。
【0006】
この発明は上記問題点を解消するためになされたもので、前ポケット及び後ポケットの強度を向上し、かつコストを低減することができるようにした冷蔵庫、冷蔵庫扉の収納装置及びその成形用金型を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る冷蔵庫扉の収納装置成形用金型は、上方及び後方が開口した箱体からなるポケット本体と、このポケット本体を前ポケット及び後ポケットに仕切る仕切り板とを合成樹脂で一体成形する金型を、ポケット本体の外面部を形成する下部金型と、前ポケットを形成する前部金型と、後ポケットを形成する後部金型とで構成したものである。
【0008】
また、この発明に係る冷蔵庫扉の収納装置成形用金型は、下部金型は下方向に、前部金型は上方向に、後部金型は後方向に型を抜くようにしたものである。
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【作用】
この発明においては、冷蔵庫の扉体の内側に着脱可能に設けられ上方及び後方が開口するポケットの本体内に、その両側面部に一体成形された仕切り板を備えたため、ポケット本体の側面部の外方向への変形に対しては扉体の内側が支持し、内方向への変形に対しては仕切り板が支持する。また、ポケットの容積は拡大する。
【0013】
また、この発明においては、仕切り板の上縁部を下部よりも厚肉部とし、この厚肉部を左右端部間に連続して設けたため、ポケット本体上部の強度は高くなる。
【0014】
また、この発明においては、ポケットを透明合成樹脂で形成し、仕切り板に文字、模様等を表示したため、これらの文字、模様等はポケット外部から透視可能となる。
【0015】
また、この発明においては、ポケット本体を成形する金型を少なくとも、ポケット本体の外面部を成形する下部金型と、前ポケットを成形する前部金型と、後ポケットを成形する後部金型とで構成し、また、ポケット本体を形成する各金型を各方向へ抜くようにしたため、前ポケット、後ポケット及び仕切り板が一体化して成形される。
【0016】
【実施例】
実施例1.
図1及び図2はこの発明の第1及び第3の発明の一実施例を示す図で、図1は要部分解斜視図、図2は冷蔵庫の開扉正面図であり、従来装置と同様の部分は同一符号で示す(以下の実施例も同様)。
【0017】
図において、(10)は透明合成樹脂製のポケット、(11)は上方及び後方が開口したポケット本体で、底面部(11a)とその周縁を三方から包囲する前面部(11b)及び側面部(11c)を有し、側面部(11c)に扉内板(4)の縦周縁部(5a)に形成された凸部(5c)に嵌入される凹部(11d)が形成されている。(12)はポケット本体(11)内を前ポケット(13)及び後ポケット(14)に仕切る仕切り板で、その両端は側面部(11c)(11c)に接続されている。(12a)は仕切り板(12)に設けられた模様線である。
【0018】
上記のように構成された冷蔵庫扉の収納装置においては、仕切り板(12)でポケット本体(11)内を前ポケット(13)及び後ポケット(14)に仕切ることにより、前ポケット(13)にはビン等の比較的大形で重い物品を収納し、後ポケット(14)に小物品等を収納するなど、分離利用が可能である。また、後ポケット(14)の後方は開口しており、壁等の部材はないため、収納容積は大きい。
【0019】
ポケット本体(11)の側面部(11c)は、内側からの仕切り板(12)の接続による支持と、外側からの凹部(11d)と凸部(5c)との嵌入により挟持され変形が抑制されている。また、前ポケット(13)に重量物を収納し、ポケット本体(11)が重量のため湾曲しようとしても、仕切り板(12)が側面部(11c)(11c)に接続支持されているため、湾曲が規制されポケット本体(11)の変形、凹部(11d)と凸部(5c)の外れは防止される。そのため、ポケット本体(11)の肉厚を従来品よりも薄くしても、ポケット本体(11)として必要な強度を保つことが可能となる。
【0020】
実施例2.
図3及び図4はこの発明の第4及び第5の発明の一実施例を示す図で、図3は金型の縦断面図、図4は図3のIV-IV線断面図である。
図において、(16)は図1に示すポケット本体(11)及び仕切り板(12)を成形する金型で、ポケット本体(11)の底面部(11a)、前面部(11b)、側面部(11c)の前部の各外面を成形する下部金型(16a)、前ポケット(13)の各内面を成形する前部金型(16b)、後ポケット(14)の各内面及び模様線(12a)を成形する後部金型(16c)及び側面部(11c)の後部及び凹部(11d)を成形する側部金型(16d)により構成されている。
【0021】
各金型(16a)〜(16d)により形成される間隙(17)に熱可塑性透明合成樹脂材料が注入されてポケット(10)が成形される。成形後、下部金型(16a)は矢印Aが示す下方向へ、前部金型(16b)は矢印Bが示す上方向へ、後部金型(16c)は矢印Cが示すポケット本体(11)の後方へ、側部金型(16d)は矢印Dが示す横方向へ抜かれる。
【0022】
このようにして、ポケット本体(11)及び仕切り板(12)は一体成形され一部品で済み、金型コストが安くなる。また、模様線(12a)(文字、図形等でもよく、これらを凸設又は凹設することは自在である)が透明合成樹脂を透視して見ることができ、見栄えの良いものとすることが可能となる。
なお、図1に示すポケット本体(11)の幅は、縦周縁部(5a)に挿入される部分が前部よりも狭く形成されているが、これが前部と同幅の場合は、側部金型(16d)(16d)は不要である。
【0023】
実施例3.
図5はこの発明の第1の発明の他の実施例を示す要部斜視図である。
この実施例では、ポケット本体(11)及び仕切り板(12)は実施例2で示したように、透明合成樹脂で一体成形されており、仕切り板(12)の側面部(11c)との接続支持部(12b)は、ポケット本体(11)が周縁部(5)に装着されたとき、縦周縁部(5a)の内側に隠れるように配置されている。また、仕切り板(12)の下端部(12c)とポケット本体(11)の底面部(11a)との間には間隔が設けられている。
【0024】
透明なポケット本体(11)は収納物品が一見して分かると同時に、外観も優れている。また、仕切り板(12)の接続支持部(12b)は外部からは見えないので、見栄えは良い。
また、仕切り板(12)の下端部(12c)とポケット本体(11)の底面部(11a)との間の間隔は、狭いポケット本体(11)内の清掃に役立つ。
【0025】
実施例4.
図6はこの発明の第2の発明の一実施例を示す仕切り板の要部拡大縦断面図である。
この実施例では、仕切り板(12)の上縁部(12d)の肉厚を下部よりも厚く形成したものである。
ポケット本体(11)の側面部(11c)は下部よりも上部の方が、ポケット本体(11)の湾曲時に変形しやすいが、仕切り板(12)の上縁部(12d)で側面部(11c)の上部は下部よりも強く支持されるため、変形に対する強度が向上する。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したとおり、この発明では、冷蔵庫の扉体の内側に着脱可能に設けられ上方及び後方が開口するポケットの本体内に、その両側面部に一体成形された仕切り板を備えたため、ポケット本体の側面部の外方向への変形に対しては扉体の内側が支持し、内方向への変形に対しては仕切り板が支持し、前ポケット及び後ポケットの湾曲及び扉体からの脱出を防止できる効果がある。また、ポケットの容積は拡大し、収納容積を大きくできる効果がある。
【0027】
また、この発明においては、仕切り板の上縁部を下部よりも厚肉部とし、この厚肉部が左右端部間に連続して設けられたため、ポケット本体上部の強度は高くなり、ポケットの変形を防止できる効果がある。
【0028】
また、この発明では、ポケットを透明合成樹脂で形成し、仕切り板に文字、模様等を表示したので、これらの文字、模様等はポケット外部から透視可能となり、装飾的に優れたものとすることができる効果がある。
【0029】
また、この発明では、ポケット本体を成形する金型を、少なくともポケット本体の外面部を成形する下部金型と、前ポケットを成形する前部金型と、後ポケットを成形する後部金型とで構成し、また、ポケット本体を形成する各金型を各方向へ抜くようにしたので、前ポケット、後ポケット及び仕切り板が一体化して成形され、金型コストを安価にできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1を示す要部分解斜視図。
【図2】 この発明の実施例1を示す冷蔵庫の開扉正面図。
【図3】 この発明の実施例2を示すポケット成形用金型の縦断面図。
【図4】 図3のIV-IV線断面図。
【図5】 この発明の実施例3を示す要部斜視図。
【図6】 この発明の実施例4を示す仕切り板の要部拡大縦断面図。
【図7】 従来の冷蔵庫扉の収納装置を示す開扉正面図。
【図8】 図7の収納ポケット部の要部縦断面図。
【図9】 図8の前ポケットの湾曲説明図。
【符号の説明】
1 冷蔵庫本体
3 扉
4 扉内板
5 扉内板の周縁部
10 ポケット
11 ポケット本体
11a ポケット本体底面部
11b ポケット本体前面部
11c ポケット本体側面部
12 仕切り板
12a 模様線
12b 仕切り板接続支持部
12c 仕切り板下端部
12d 仕切り板上縁部
13 前ポケット
14 後ポケット
16 ポケット成形用金型
16a ポケット下部金型
16b ポケット前部金型
16c ポケット後部金型
 
訂正の要旨 (ア)特許請求の範囲の請求項1〜請求項5において、請求項1〜請求項3を削除し、請求項4、請求項5を繰り上げて、下記のように訂正する。
「【請求項1】 冷蔵庫扉の周縁部に支持され、上記周縁部から庫内側へ突出しかつ上方及び後方が開口した箱体からなるポケット本体と、このポケット本体を前ポケット及び後ポケットに仕切り左右端部がそれぞれ上記ポケット本体の左右側面部に接続された仕切り板とを合成樹脂で一体成形する金型において、上記金型を少なくとも上記ポケット本体の外面部を成形する下部金型と、上記前ポケットを成形する前部金型と、上記後ポケットを成形する後部金型とで構成したことを特徴とする冷蔵庫扉の収納装置成形用金型。
【請求項2】 下部金型は下方向に、前部金型は上方向に、後部金型は後方向に型を抜くものとしたことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫扉の収納装置成形用金型。」
(イ)〔発明の名称〕の「冷蔵庫、冷蔵庫扉の収納装置及びその成型用金型」を、「冷蔵庫扉の収納装置成型用金型」と訂正する。
(ウ)段落〔0007〕の「この発明の第1の発明に係る冷蔵庫は、冷蔵庫本体を開閉する扉体の内側に下部及び側部が係合して支持され、上方及び後方が開口するポケットを着脱可能に設け、このポケット本体内を前後に仕切り、左右端部がそれぞれポケット本体の両側面部に一体成形された仕切り板を備えたものである。」を、
「この発明に係る冷蔵庫扉の収納装置成形用金型は、上方及び後方が開口した箱体からなるポケット本体と、このポケット本体を前ポケット及び後ポケットに仕切る仕切り板とを合成樹脂で一体成形する金型を、ポケット本体の外面部を形成する下部金型と、前ポケットを形成する前部金型と、後ポケットを形成する後部金型とで構成したものである。」と訂正する。
(エ)段落〔0008〕の「また、第2の発明に係る冷蔵庫は、第1の発明のものにおいて、仕切り板の上縁部を下部よりも厚肉部とし、この厚肉部を左右端部間に連続して設けたものである。」を、
「また、この発明に係る冷蔵庫扉の収納装置成形用金型は、下部金型は下方向に、前部金型は上方向に、後部金型は後方向に型を抜くようにしたものである。」と訂正する。
(オ)段落〔0009〕〜〔0011〕を削除する。
(カ)段落〔0012〕の「この発明の第1の発明においては、」を、「この発明においては、」と訂正する。
(キ)段落〔0013〕の「また、第2の発明においては、」を、「また、この発明においては、」と訂正する。
(ク)段落〔0014〕の「また、第3の発明においては、」を、「また、この発明においては、」と訂正する。
(ケ)段落〔0015〕の「また、第4の発明においては、」を「また、この発明においては、」と、「第5の発明においては、」を「また、」と訂正する。
(コ)段落〔0026〕の「以上説明したとおり、この発明の第1発明では、」を、「以上説明したとおり、この発明では、」と訂正する。
(サ)段落〔0027〕の「また、第2の発明においては、」を、「また、この発明においては、」と訂正する。
(シ)段落〔0028〕の「また、第3の発明では、」を、「また、この発明では、」と訂正する。
(ス)段落〔0029〕の「また、第4の発明では、」を「また、この発明では、」と、「第5の発明では、」を「また、」と訂正する。
異議決定日 2002-06-27 
出願番号 特願平6-10713
審決分類 P 1 651・ 121- YA (F25D)
P 1 651・ 55- YA (F25D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 上原 徹山本 忠博  
特許庁審判長 粟津 憲一
特許庁審判官 長浜 義憲
井上 茂夫
登録日 2000-10-13 
登録番号 特許第3119064号(P3119064)
権利者 三菱電機株式会社
発明の名称 冷蔵庫扉の収納装置成形用金型  
代理人 蔦田 璋子  
代理人 富田 克幸  
代理人 宮田 金雄  
代理人 芝野 正雅  
代理人 高瀬 彌平  
代理人 中村 哲士  
代理人 高瀬 彌平  
代理人 蔦田 正人  
代理人 宮田 金雄  

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