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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1066769
審判番号 不服2000-16707  
総通号数 36 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-02-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-10-19 
確定日 2002-10-17 
事件の表示 平成11年特許願第252346号「パチンコ機」拒絶査定に対する審判事件[平成12年 2月29日出願公開、特開2000- 61091]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1・手続きの経緯及び発明の要旨
この出願は、昭和62年5月28日に出願された実用新案登録出願(実願昭62-79990号)の一部が、(旧)実用新案法第9条第1項の規定で準用する特許法第44条の規定により、平成3年5月27日に新たな実用新案登録出願(実願平3-46751号)とされ、この新たな実用新案登録出願が、特許法第46条第1項の規定により、平成3年5月28日に特許出願(特願平3-150907号)に変更され、この特許出願の一部が、特許法第44条の規定により、平成8年3月11日に新たな特許出願(特願平8-82033号)とされ、この新たな特許出願の一部が、同規定により、平成9年1月27日に新たな特許出願(特願平9-27188号)とされ、この新たな特許出願の一部が、同規定により、平成10年9月28日に新たな特許出願(特願平10-272384号)とされ、この新たな特許出願の一部が、同規定により、平成11年9月6日に新たな特許出願とされたものであって、その発明の要旨は、平成13年8月13日付け手続補正によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの、
「遊技盤に設けられた始動口における球の検出に基づいて、表示装置で複数図柄の可変表示による特別遊技を行うと共に、特定の図柄の組合せにより大入賞口を開放するようにしたパチンコ機において、
前記特別遊技及び大入賞口の開放に関わる遊技の制御を行う制御装置と、該制御装置から送信されるデータに基づいて図柄、文字等を前記表示装置に表示する表示の制御を行うコンピュータを有する処理部とを、前記制御装置はパチンコ機の背面側に配設し、前記処理部は前記表示装置の背面側に配設して各々個別に分離構成し、
前記表示装置に設けられている基板は第1の基板と第2の基板とが背中合わせに構成され、第1の基板の前記背中合わせ側の面に対する反対側の面には表示部を設け、第2の基板の前記背中合わせ側の面に対する反対側の面には前記処理部及び外部接続端子を、パチンコ機の背面側に向ってそれぞれ設け、前記表示部と前記処理部はコネクタを介して電気的に接続し、
遊技盤に設けたセンター役物の取付板の表示窓に、前記表示装置の表示部を背面側から臨ませ、前記表示装置の第1の基板及び第2の基板が前記取付板の背面側に位置するようにし、
前記制御装置と前記処理部は前記外部接続端子を介して電気的に接続したことを特徴とするパチンコ機」
にあるものと認められる。
2・引用刊行物に記載された発明
これに対して、当審の拒絶理由に引用された、この出願の出願前に国内において頒布された刊行物である実願昭58-199954号(実開昭60-109683号)のマイクロフィルム(以下「刊行物1」という)には、
特に、
(1)「第1ゲーム装置駆動制御部100は、特定入賞装置(特定入賞口6)へ入賞したとき第1ゲーム装置・・・を作動させ・・・第1ゲーム装置の表示態様の連続的作動・・・を停止させる・・・第2ゲーム装置駆動制御部200は、第1ゲーム装置の表示態様の連続的作動が停止したときその停止時の表示態様の重み・・・を判別する・・・判別結果に対応して、前記第2ゲーム装置のゲームの進行を指示する予め複数設定された作動情報のいずれかを選択する・・・選択された作動情報に従って第2ゲーム装置のゲームの進行を・・・行なわせしめる・・・変動入賞装置駆動制御部300は、第2ゲーム装置での表示態様が所定の賞態様を形成・・・したとき所定期間だけ変動入賞装置5を開状態に変換する」(明細書第14頁第7行ないし第15頁第9行)の記載から、
第1ゲーム装置駆動制御部100,第2ゲーム装置駆動制御部200及び変動入賞装置5に対する駆動制御部300が、特定入賞口6における球の検出に基づいて、第1ゲームを作動させ、次いで液晶画像表示装置40で第2ゲームを行うと共に、第2ゲームでの表示態様が所定の賞態様を形成したとき変動入賞装置5を開放するものと認められること、
(2)図面第4,5及び7図並びに「液晶駆動基板430には、上記ゴムコネクタ47と対応する位置にドライバ(IC)48が設けてある」(明細書第11頁第2乃至5行)及び「液晶表示パネル41の電極は、ゴムコネクタ47を介してドライバ(IC)48と電気的に接続される」(明細書第11頁第8乃至10行)の記載から、
液晶画像表示装置40の背面側にドライバ(IC)48が配設され、前記液晶画像表示装置40に設けられている基板は液晶画像パネル41と液晶駆動基板430とが背中合わせに構成され、液晶駆動基板430の前記背中合わせ側の面に対する反対側の面には前記ドライバ(IC)48及び接続線を、パチンコ機の背面側に向ってそれぞれ設け、前記液晶画像パネル41と前記ドライバ(IC)48はゴムコネクタ47を介して電気的に接続されているものと認められること、
(3)図面第4,5,7及び9図の記載から、
液晶駆動基板430の背面側に第2ゲーム装置駆動制御部200と接続するための接続線が設けられているものと認められること、
からみて、
「遊技盤2に設けられた特定入賞口6における球の検出に基づいて、第1ゲームを作動させ、次いで液晶画像表示装置40で第2ゲームを行うと共に、第2ゲームでの表示態様が所定の賞態様を形成したとき変動入賞装置5を開放するようにしたパチンコ機において、
第1ゲーム、前記第2ゲーム及び変動入賞装置5の開放に関わる遊技の制御を行う第1ゲーム装置駆動制御部100,第2ゲーム装置駆動制御部200及び変動入賞装置5に対する駆動制御部300と、ドライバ(IC)48とを、該ドライバ(IC)48は前記液晶画像表示装置40の背面側に配設して各々個別に構成し、
前記液晶画像表示装置40に設けられている基板は液晶画像パネル41と液晶駆動基板430とが背中合わせに構成され、液晶駆動基板430の前記背中合わせ側の面に対する反対側の面には前記ドライバ(IC)48及び接続線を、パチンコ機の背面側に向ってそれぞれ設け、前記液晶画像パネル41と前記ドライバ(IC)48はゴムコネクタ47を介して電気的に接続し、
遊技盤2に設けたゲーム盤4と変動入賞装置5とを有するユニットのユニット基板22の開口(窓)23に、前記液晶画像表示装置40の液晶画像パネル41を背面側から臨ませ、前記液晶画像表示装置40の液晶画像パネル41及び液晶駆動基板430が前記ユニット基板22の背面側に位置するようにし、
前記第1ゲーム装置駆動制御部100,第2ゲーム装置駆動制御部200及び変動入賞装置5に対する駆動制御部300と前記ドライバ(IC)48は前記接続線を介して電気的に接続したパチンコ機」を構成とする発明が、
同じくこの出願の出願前に国内において頒布された刊行物である特開昭60-29168号公報(以下「刊行物2」という)には、
「遊戯盤2に設けられたGOチャッカー4a〜4cにおける球の検出に基づいて、表示器3a〜3dに予め定められた順序で異なる複数の表示態様を表示させると共に、予め定められた態様により開閉扉5aを開放するようにしたパチンコ機」を構成とする発明が、
同じくこの出願の出願前に国内において頒布された刊行物である特開昭61-209681号公報(以下「刊行物3」という)には、
「遊技盤1に設けられた第1特定入賞領域11〜13における球の検出に基づいて、表示器23で所定桁の数の組合せを表示する第1の表示モードをとらせると共に、奇数のゾロ目により第2特定入賞領域14を開放するようにしたパチンコ遊技機」を構成とする発明が、
同じくこの出願の出願前に米国内において頒布された刊行物である米国特許第4517654号明細書(クラス364)(以下「刊行物4」という)には、
特に、
「例えば、ピンボールマシンは今やビデオゲームであり、スロットマシンは今やビデオゲーム装置である」(第1欄下から第48,47行)、「本発明は、入力バスから供給されるデータを受け取り、供給されたデータから画像を形成する技術に関する。そしてデータがゲーム回路から供給されることを特徴とする。ゲームの動画と、ゲームの画像表示のためのデータは、図1に示すように、ビデオ中央処理装置(CPU)10に供給される。CPUは、ゲームの操作信号に基づいて、ビデオに関する全ての制御を行う」(第3欄下から第19乃至11行)及び「ビデオプロセッサはゲームプロセッサアドレス線を含み、それによってビデオプロセッサはゲームプロセッサデータバスに接続される。ゲームプロセッサ(図示されていない)からのデータは、ビデオプロセッサ10によってデータバスを介して受け取られる。更に、ビデオプロセッサはゲームプロセッサから割り込みを受け、それによって、ビデオプロセッサはデータ処理のサイクルの途中でゲームプロセッサのコマンドに応答することができる。ビデオプロセッサはゲームプロセッサデータバスにデータ出力信号を与えてビデオプロセッサの状態を示す。ビデオプロセッサがゲームプロセッサから命令を受け取ると、プログラムメモリ19はアドレスラッチ12を介してアドレス指定される。プログラムメモリ19はビデオプロセッサを動作するための命令及びゲームプロセッサコマンドに従って図形画像を形成するための命令を含む。一旦アドレス指定されると、プログラムメモリによってビデオプロセッサが他のビデオプロセッサ回路に与えられるデータの形でコマンドを発生することができる」(第4欄第63行乃至第5欄第14行)の記載から、
ビデオプロセシングアーキテクチャがゲーム用であり、ビデオプロセッサ回路はゲーム回路から送信されるデータに基づいて図形画像をビデオに表示する表示の制御を行い、ゲーム回路とビデオプロセッサ回路とは各々個別に構成されているものと認められること、
からみて、
「ゲーム用ビデオプロセシングアーキテクチャにおいて、
ゲーム回路と、該ゲーム回路から送信されるデータに基づいて図形画像をビデオに表示する表示の制御を行うビデオプロセッサ回路とを各々個別に構成したゲーム用ビデオプロセシングアーキテクチャ」を構成とする発明が、
同じくこの出願の出願前に国内において頒布された刊行物である実願昭59-162330号(実開昭61-77078号)のマイクロフィルム(以下「刊行物5」という)には、
「遊戯盤1に設けられたセーフ穴2における球の検出に基づいて、表示装置7の表示によりアタッカ5を開放するようにした弾球遊技機において、
前記アタッカ5の開放に関わる遊技の制御を行う制御回路33と、該制御回路33から送信される制御信号に基づいて画面9及びバーグラフ10を前記表示装置7に表示する液晶駆動回路16とを、前記制御回路33は弾球遊技機の背面側に配設し、前記液晶駆動回路16は前記表示装置7の上部に配設して各々個別に分離構成し、
前記表示装置7には液晶板12を設け、前記表示装置7の上部の面にはソケット35を、弾球遊技機の上部側に向って設け、前記液晶板12と前記液晶駆動回路16は結線を介して電気的に接続し、
遊戯盤1に設けた前板21の開口24に、前記表示装置7の液晶板12を背面側から臨ませ、
前記制御回路33と前記液晶駆動回路16は前記ソケット35を介して電気的に接続した弾球遊技機」を構成とする発明が、
同じくこの出願の出願前に国内において頒布された刊行物である実願昭56-66789号(実開昭57-180381号)のマイクロフィルム(以下「刊行物6」という)には、
特に、第1図の記載からみて、
「表示装置に設けられている基板が印刷配線基板3と印刷配線基板4とが背中合わせに構成され、印刷配線基板3の前記背中合わせ側の面に対する反対側の面にはプラズマディスプレイパネル1の矩形状表示部2を設け、印刷配線基板4の前記背中合わせ側の面に対する反対側の面にはコネクタを、前記プラズマディスプレイパネル1の矩形状表示部2と反対側に向けて設けた表示装置」を構成とする発明が、
それぞれ記載されているものと認められる。
3・対比及び判断
そこで、この出願の発明(前者)と刊行物1に記載された発明(後者)とを対比するに、
後者の
「特定入賞口6」、「液晶画像表示装置40」、「変動入賞装置5」、「第1ゲーム装置駆動制御部100,第2ゲーム装置駆動制御部200及び変動入賞装置5に対する駆動制御部300」、「液晶画像パネル41」、「液晶駆動基板430」、「ゴムコネクタ47」、「ゲーム盤4と変動入賞装置5とを有するユニット」、「ユニット基板22」及び「開口(窓)23」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「始動口」、「表示装置」、「大入賞口」、「制御装置」、「表示部」、「第2の基板」、「コネクタ」、「センター役物」、「取付板」及び「表示窓」
に相当するものと認められるから、
両者は、
「遊技盤に設けられた始動口における球の検出に基づいて、表示装置で遊技を行うと共に、表示結果により大入賞口を開放するようにしたパチンコ機において、
前記大入賞口の開放に関わる遊技の制御を行う制御装置と、表示装置に関わる部材とを、該表示装置に関わる部材は前記表示装置の背面側に配設して各々個別に構成し、
前記表示装置に設けられている基板は表示部に関わる部材と第2の基板とが背中合わせに構成され、第2の基板の前記背中合わせ側の面に対する反対側の面には前記表示装置に関わる部材及び接続に関わる部材を、パチンコ機の背面側に向ってそれぞれ設け、前記表示部に関わる部材と前記表示装置に関わる部材はコネクタを介して電気的に接続し、
遊技盤に設けたセンター役物の取付板の表示窓に、前記表示装置の表示部を背面側から臨ませ、前記表示装置の前記表示部に関わる部材及び第2の基板が前記取付板の背面側に位置するようにし、
前記制御装置と前記表示装置に関わる部材は前記接続に関わる部材を介して電気的に接続したパチンコ機」である、
点において一致し、
(1)前者においては、遊技が複数図柄の可変表示による特別遊技であり、表示結果が特定の図柄の組合せである、
のに対し、
後者においては、遊技が第1ゲーム及び第2ゲームであり、表示結果が第2ゲームでの所定の賞態様の形成である、
(2)表示装置に関わる部材が、
前者は、制御装置から送信されるデータに基づいて図柄、文字等を表示装置に表示する表示の制御を行うコンピュータを有する処理部である、
のに対し、
後者は、ドライバ(IC)である、
(3)制御装置が、
前者は、パチンコ機の背面側に配設されている、
のに対し、
後者は、何処に配設されているのか明らかではない、
(4)制御装置と表示装置に関わる部材とが、
前者は、分離されている、
のに対し、
後者は、分離されているのか否か明らかではない、
(5)表示部に関わる部材が、
前者は、第1の基板と、第1の基板の背中合わせ側の面に対する反対側の面に設けられる表示部とで構成されている、
のに対し、
後者は、表示部である、
(6)接続に関わる部材が、
前者は、外部接続端子である、
のに対し、
後者は、接続線である、
点において相違しているものと認められる。
しかし、前記相違点(1)についてみるに、
前記相違点(1)の前者の構成である、「遊技が複数図柄の可変表示による特別遊技であり、表示結果が特定の図柄の組合せである」という構成は、
刊行物2に記載された発明の
「遊戯盤2」、「GOチャッカー4a〜4c」、「表示器3a〜3dに予め定められた順序で異なる複数の表示態様を表示させる」、「予め定められた態様」及び「開閉扉5a」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「遊技盤」、「始動口」、「表示装置で複数図柄の可変表示による特別遊技を行う」、「特定の図柄の組合せ」及び「大入賞口」
に相当するものと認められ、
又、
刊行物3に記載された発明の
「第1特定入賞領域11〜13」、「表示器23」、「所定桁の数の組合せを表示する第1の表示モードをとらせる」、「奇数のゾロ目」、「第2特定入賞領域14」及び「パチンコ遊技機」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「始動口」、「表示装置」、「複数図柄の可変表示による特別遊技を行う」、「特定の図柄の組合せ」、「大入賞口」及び「パチンコ機」
に相当するものと認められるから、
刊行物2及び3に記載された各発明にも備わっているように、
パチンコ機において、従来周知の構成にすぎないものと認められ、
しかも、「始動口における球の検出」を切っ掛けとして「大入賞口を開放する」というゲームの大筋は、後者も、従来周知の構成も、一致しているのであるから、
後者に従来周知の構成を適用し、後者において、前記相違点(1)の後者の構成に代え、従来周知の構成、すなわち、前記相違点(1)の前者の構成、を採用することは、当業者が格別創意工夫を要することではないというべきである。
又、前記相違点(1)の前者の効果が、後者及び従来周知の構成のそれぞれの効果の総和以上の格別のものとは認められない。
前記相違点(2)についてみるに、
刊行物4に記載された発明の
「ゲーム回路」、「図形画像」、「ビデオ」及び「ビデオプロセッサ回路」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「遊技の制御を行う制御装置」、「図柄、文字等」、「表示装置」及び「コンピュータを有する処理部」
に相当するものと認められるから、
刊行物4に記載された発明には、
「ゲーム用ビデオプロセシングアーキテクチャにおいて、
遊技の制御を行う制御装置と、該遊技の制御を行う制御装置から送信されるデータに基づいて図柄、文字等を表示装置に表示する表示の制御を行うコンピュータを有する処理部とを各々個別に構成したゲーム用ビデオプロセシングアーキテクチャ」という構成、
すなわち、前記相違点(2)の前者の構成である、「遊技の制御を行う制御装置から送信されるデータに基づいて図柄、文字等を表示装置に表示する表示の制御を行うコンピュータを有する処理部」という構成、
が備わっているものと認められる。
そうすると、(ア)刊行物4に記載された発明の「ゲーム用ビデオプロセシングアーキテクチャ」は、後者の「パチンコ機」と同様の技術分野のものであると認められること、(イ)後者のドライバ(IC)も、刊行物4に記載された発明の処理部も、表示装置に関わる部材であると認められること、(ウ)第1のコンピュータの負荷の軽減を図るために第2のコンピュータを設けること自体、従来周知の技術的事項である(必要なら、特開昭59-64082号公報、特開昭57-132260号公報を参照されたい)ものと認められること、を勘案すると、
後者に刊行物4に記載された発明を適用し、後者の表示装置に関わる部材である「ドライバ(IC)」に代え、刊行物4に記載された発明の「遊技の制御を行う制御装置から送信されるデータに基づいて図柄、文字等を表示装置に表示する表示の制御を行うコンピュータを有する処理部」を採用することは、当業者が格別創意工夫を要することではなく、そして、後者の表示装置に関わる部材である「ドライバ(IC)」が、そもそも表示装置の背面側に配設され、且つ、パチンコ機の背面側に向って設けられているのであるから、刊行物4に記載された発明の表示装置に関わる部材である「処理部」を、そのように配設し、且つ、そのように設けることは、当業者が格別創意工夫を要することではないというべきである。
又、前記相違点(2)の前者の効果が、後者、刊行物4に記載された発明及び従来周知の技術的事項のそれぞれの効果の総和以上の格別なものとは認められない。
前記相違点(3)及び(4)についてみるに、
前記相違点(3)の前者の構成である、「制御装置がパチンコ機の背面側に配設されている」という構成は、
刊行物5に記載された発明の
「遊戯盤1」、「セーフ穴2」、「アタッカ5」、「弾球遊技機」、「制御回路33」、「制御信号」、「画面9及びバーグラフ10」、「液晶板12」、「ソケット35」、「結線」、「前板21」及び「開口24」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「遊技盤」、「始動口」、「大入賞口」、「パチンコ機」、「制御装置」、「データ」、「図柄、文字等」、「表示部」、「外部接続端子」、「コネクタ」、「取付板」及び「表示窓」
に相当するものと認められるから、
刊行物5に記載された発明にも備わっているところ、
そもそも「制御装置」を「パチンコ機」のどの面側に配設するにしろ、その面は、「パチンコ機」の上下左右前後(背)の6つの内にしかなく、前側に配設しては遊技者の邪魔になり、且つ、防犯上好ましくないのは明白であるから、上下左右後(背)の5つの内から選ばれることは技術常識であると認められる。しかして、「制御装置」を「パチンコ機の背面側」に配設するにつき、これを困難乃至不可能にする技術的理由があって、前者がこれを解決したとか、或いは、「制御装置」を「パチンコ機の背面側」に配設するにつき、発明力を要する工夫をしたとかいうことであれば別にして、「制御装置」を「パチンコ機の背面側」に配設すること自体は、前記技術常識である上下左右後(背)の5つの内から単に背面側を選択した単なる設計事項にすぎない。
してみると、後者において、前記相違点(3)の前者の構成を採用することは、刊行物5に記載された発明にも備わっているような単なる設計事項であるというべきである。
又、後者において、制御装置と表示装置に関わる部材であるドライバ(IC)とが一緒に設けられなければならないとする技術的理由はなく、むしろ、不正手段の防止、メンテナンスの容易性の確保、部品交換の便宜等の理由から、これらを分離して設けることの意味も認められるのであるから、後者において、これらが分離されているとみても一向に差し支えが無く、したがって、前記相違点(4)は、実質的な相違ではないというべきである。
前記相違点(5)及び(6)についてみるに、
刊行物6に記載された発明の
「印刷配線基板3」、「印刷配線基板4」、「プラズマディスプレイパネル1の矩形状表示部2」及び「コネクタ」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「第1の基板」、「第2の基板」、「表示部」及び「外部接続端子」
に相当するものと認められるから、
刊行物6に記載された発明には、
「表示装置に設けられている基板が第1の基板と第2の基板とが背中合わせに構成され、第1の基板の前記背中合わせ側の面に対する反対側の面には表示部を設け、第2の基板の前記背中合わせ側の面に対する反対側の面には外部接続端子を、前記表示部と反対側に向けて設けた表示装置」という構成、
すなわち、
表示部に関わる部材が、「第1の基板と、第1の基板の背中合わせ側の面に対する反対側の面に設けられる表示部とで構成されている」という前記相違点(5)の前者の構成、
及び、
接続に関わる部材が、「外部接続端子」であるという前記相違点(6)の前者の構成、
がそれぞれ備わっているものと認められる。
しかして、刊行物6に記載された発明の表示装置を、パチンコ機の表示装置として用いるにつき、これを困難乃至不可能にする技術的理由があるとは認められず、又、後者の「表示装置」も、刊行物6に記載された発明の「表示装置」も、二つの基板を背中合わせにするという構成を備える点で、共通するものであるから、
後者に刊行物6に記載された発明を適用し、後者の表示部に関わる部材を、「第1の基板と、第1の基板の背中合わせ側の面に対する反対側の面に設けられる表示部とで構成する」ことは、当業者が格別創意工夫を要することではないというべきである。
又、
パチンコ機において、「制御装置と液晶駆動回路とを外部接続端子を介して電気的に接続する」という構成が刊行物5に記載された発明にも備わっているように、接続に関わる部材を接続端子とする構成自体は従来周知の構成にすぎないと認められるから、
刊行物6に記載された発明の存在の基に、後者の接続に関わる部材である「接続線」を、「外部接続端子」とすることは、当業者が格別創意工夫を要することではなく、しかも、接続に関わる部材である「接続線」が、そもそも第2基板にパチンコ機の背面側に向って設けられているのであるから、接続に関わる部材である「外部接続端子」をそのように設けることは、当業者が格別創意工夫を要することではないというべきである。
そして、前記相違点(5)及び(6)の前者の効果が、後者、刊行物6に記載された発明及び従来周知の構成のそれぞれの効果の総和以上の格別なものとは認められない。
なお、意見書において、「後者において、変動入賞装置5に対する駆動制御部300とドライバ(IC)48とを電気的に接続する必然性はない」旨述べているところ、審決及び当審の拒絶理由では、第1ゲーム装置駆動制御部100,第2ゲーム装置駆動制御部200及び変動入賞装置5に対する駆動制御部300を総合して制御装置として捉え、この制御装置に含まれる第2ゲーム装置駆動制御部200がドライバ(IC)48と接続されていると認めて、制御装置がドライバ(IC)48と接続されていると認定しているのであり、第1ゲーム装置駆動制御部100,第2ゲーム装置駆動制御部200及び変動入賞装置5に対する駆動制御部300を総合する制御装置は、ドライバ(IC)48だけと接続されているわけではなく、変動入賞装置5とも接続されているのである。このことは、この出願の図面第4図において、第1の制御装置16と表示装置1とが接続されていると共に、第1の制御装置16にソレノイド駆動回路が接続されていることと同じである。
4・まとめ
以上のとおり、この出願の発明は、刊行物1、4乃至6に記載された各発明、及び従来周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-06-20 
結審通知日 2002-06-25 
審決日 2002-08-23 
出願番号 特願平11-252346
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 久保 竜一
鈴木 寛治
発明の名称 パチンコ機  
代理人 福田 伸一  
代理人 福田 武通  
代理人 福田 賢三  

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