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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1067333
審判番号 審判1997-2576  
総通号数 36 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1989-03-16 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1997-02-24 
確定日 2001-07-16 
事件の表示 昭和63年特許願第200323号「レーザ溶断導線を有する固体回路」拒絶査定に対する審判事件(平成6年6月15日出願公告、特公平6-46648)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本願は、昭和63年8月12日の出願(パリ条約による優先権主張、1987年8月12日、米国)であり、その請求項1に記載された発明(以下「本願発明」という。)の要旨は、平成10年3月31日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲請求項1に記載された以下のとおりのものである。
「輻射エネルギーの使用によって非導電状態となる導線(12)を含む下層を有し、前記下層は絶縁層(13)によって覆われ、更に前記絶縁層(13)上に上層の導線(14)が形成され、前記上層の導線(14)はクロスオーバ位置(25)で前記下層の導線(12)と交叉しており、エッチング防止マスキング層(24)が少なくとも前記クロスオーバ位置(25)上に形成され、前記下層の導線(12)上の前記絶縁層の厚さは、前記エッチングマスキング層(25)下の前記絶縁層の厚さより薄いことを特徴とするレーザ溶断導線を有する固体回路。」
2.当審の拒絶の理由
これに対して、当審において平成9年9月22日付けで通知した拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。
「本願発明は、その出願前に国内において頒布された刊行物1(「沖電気研究開発 123」VOL.51,No.2,沖電気工業株式会社沖時報編集委員会発行,p11〜18(前審における異議申立人重野裕之の提出する甲第1号証))及び刊行物2(特開昭60-180140号公報(同甲第3号証))に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が、容易に発明することができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」
3.刊行物記載の発明
上記刊行物1には、「大容量メモリにおける冗長技術」と題し、ポリシリコンヒューズのレーザビームによる切断に関する技術が開示されており、その第13頁左欄下から第8行〜第6行において、「適当なエネルギーで切断した場合の上層膜厚との関係を、図7に示す。これによると、それぞれのエネルギーレベルに応じて、膜圧に上限があることが分かる。」と記載され、また、第15頁左欄には、「4.プロセスフロー」の章において、「レーザトリミング方式による冗長プロセスを設定する場合、次の項目の検討が必要となる。
1)ヒューズ上層膜圧の設定
2)トリミング後の洗浄方法
3)ヒューズ部の保護法法
4.1 フロー
3節で述べた実験をもとに、図11(a)に示すようなプロセスを検討した。断面図を図11(b)に示す。アルミシンタ後、薄い第1パシベーション膜を成長する。次にホトリソエッチングを行い、パッド部開孔とヒューズ上膜厚の制御を行う。」と記載され、さらに、第17頁左欄には、「5.2.3 ポリシリコン-アルミ間リーク」の章において、「ヒューズをトリミングし、ヒューズとヒューズ上を横切るアルミとのリーク電流を測定した。レーザ照射の中心点からアルミまでの距離には水準が設けられており、そのパターン図を図18に示す。試験結果の一部を図19に示す。結果より、4.25μmの隣接距離においても問題ないことが確認された。」と記載されている。
すなわち、上記刊行物1には、以下の技術が示されている。
▲1▼ヒューズをレーザで溶断するには、ヒューズを覆っている絶縁膜の膜厚を制御する、すなわちホトリソエッチングの技術を応用して適当な厚さにエッチングする必要があること。
▲2▼第1層のポリシリコンヒューズ、それを覆う絶縁膜、その上にポリシリコンヒューズを横切る形でアルミ配線が配置されている場合に、該ポリシリコンヒューズを溶断(トリミング)しても、ポリシリコンヒューズとアルミ配線が4.25μm離れていれば両者間にリーク電流が生じないこと。
また、上記刊行物2には、「保護膜(14)の膜厚が1.5μm程度以上になると、膜厚が厚くなるにしたがって切断成功率が急激に低下してしまうことがわかる。ヒューズの切断成功率は常時100%でなければ、半導体装置に冗長回路を設けた意味が無くなってしまう。ヒューズの切断率の低下を防ぐには、第9図に示すようにヒューズ(11)真上及びその近傍の保護膜(14)の膜厚を、保護膜(14)を途中までエッチングすることにより部分的に薄くすればよい。」と記載されている。
4.比較及び検討
本願発明(以下「前者」という。)と刊行物1に記載された発明(以下「後者」という。)とを比較すると、後者における「レーザ」、「ヒューズ」及び「アルミ配線」は、前者における「輻射エネルギー」、「非導電となる導線」及び「上層の導線」に対応するので、両者は、輻射エネルギーの使用によって非導電状態となる導線を含む下層を有し、前記下層は絶縁層によって覆われ、更に前記絶縁層上に上層の導線が形成され、前記上層の導線はクロスオーバ位置で前記下層の導線と交叉するレーザ溶断導線を有する固体回路である点において一致し、相違するのは、前者においては、エッチング防止マスキング層が少なくとも前記クロスオーバ位置上に形成され、前記下層の導線上の前記絶縁層の厚さは、前記エッチングマスキング層下の前記絶縁層の厚さより薄く形成されているのに対し、後者においては、その点について明記されていない点である。
上記相違点について検討すると、まず、本願明細書には、上記特許請求の範囲における「エッチング防止マスキング層が少なくとも前記クロスオーバ位置上に形成する」点に関し、「マスキング層24は上層相互接続レベルの全部をカバーすることができ、下層とのリンクにのみ開口部を開ける。いわゆる“SiNキャップ”を形成するための、公知の工程にしたがって、上述した開口部を有するマスキング層24は、窒化シリコン(あるいは二酸化シリコン)から形成される。(中略)また、マスキング層24としては、所定の部分をエッチングするための開口部を有するリソグラフィックレジスト材料を代わりに用いることができ、このレジストはキャップ層の堆積及びパッケージ工程の前に除去される。」(本願の公告公報第7欄第14行〜第30行)と記載されているので、マスキング層は単に上下配線の交差部分を覆うのではなく、レーザ照射する部分のみに開口部を有し、その他の全ての部分を覆うものを包含するものである。
そこで、上記刊行物1及び2に記載されている技術を検討すると、刊行物1には、ヒューズをレーザで溶断するには、ヒューズを覆っている絶縁膜の膜厚を制御する、すなわちホトリソエッチングの技術を応用して適当な厚さにエッチングする必要があること及び刊行物2には、保護膜(絶縁膜)の膜厚が1.5μm程度以上になると、膜厚が厚くなるにしたがって切断成功率が急激に低下してしまうので、第9図に示すようにヒューズ真上及びその近傍の保護膜(絶縁膜)の膜厚を、途中までエッチングすることにより部分的に薄くすればよいことが知られているのであるから、その絶縁膜を薄くする手段として、半導体製造方法において周知のリソグラフィ技術を用いて、絶縁膜上にレジストを塗布し、該レジストに対しレーザで溶断する部分に対応する部分に開口部を設け、その開口部を通して絶縁膜をエッチングすることは当業者が容易になし得たことと認められる。そうすると、そのレジストの開口部に対応する絶縁膜はエッチングにより薄くなり、レジストが覆っている絶縁膜はエッチングされないので、以前の状態のままである。そして、上記レジストは、本願明細書にも記載されているように、エッチング防止マスキング層に相当するものである。したがって、本願発明の特徴とする、エッチング防止マスキング層が少なくとも前記クロスオーバ位置上に形成され、前記下層の導線上の前記絶縁層の厚さは、前記エッチングマスキング層下の前記絶縁層の厚さより薄く形成することは、当業者が容易になし得たことと認められる。
5.むすび
したがって、本件出願は当審で通知した上記拒絶の理由によって拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1998-06-03 
結審通知日 1998-06-16 
審決日 1998-06-23 
出願番号 特願昭63-200323
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今井 拓也  
特許庁審判長 小林 邦雄
特許庁審判官 小野田 誠
河口 雅英
発明の名称 レーザ溶断導線を有する固体回路  
代理人 三俣 弘文  

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