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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01F |
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管理番号 | 1068411 |
審判番号 | 不服2001-19391 |
総通号数 | 37 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-02-06 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-10-31 |
確定日 | 2002-11-20 |
事件の表示 | 特願2000-164014「コンバイン」拒絶査定に対する審判事件[平成13年2月6日出願公開、特開2001-28936]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯、本願発明 本願は、昭和61年2月19日に出願した実願昭61-23637号の一部を、平成6年6月20日に実用新案法第9条第1項において準用する特許法第44条第1項の規定により分割して新たな実用新案登録出願としたものである実願平6-8465号を、平成9年5月12日に特許法第46条第1項の規定により特許出願としたものである特願平9-137717号の一部を、平成10年7月7日に特許法第44条第1項の規定により分割して新たな特許出願としたものである特願平10-208730号の一部を、平成12年6月1日に同じく分割して新たな特許出願としたものであって、その特許請求の範囲第1項に係る発明は、平成13年6月22日付けの手続補正書、および、平成13年11月26日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の第1項に記載された以下のとおりのものである。(以下、「本願発明」という。) 「【請求項1】運転席(17)を設ける運転台(16)後方の機台(3)上面に穀粒タンク(14)を側方に回動自在に装設させると共に、前記タンク(14)底部の横送りオーガ(19)前端部にワンタッチ連結クラッチ(36)を介して出力軸(35)を連結させるコンバインにおいて、出力軸(35)回りにワンタッチ連結クラッチ(36)が係合して横送りオーガ(19)と出力軸(35)を一体回転させ、後側支点回りに回動可能な穀粒タンク(14)前側を摺接させる機台(3)上面に軸受体(34)を固定して出力軸(35)を軸支させると共に、ワンタッチ連結クラッチ(36)が係合または離脱する方向に移動させる穀粒タンク(14)の前部遊端側に、穀粒タンク(14)の水平回動を阻止するロック部材(27)と、前記軸受体(34)を設け、前記穀粒タンク(14)前側と運転台(16)後側の間にワンタッチ連結クラッチ(36)が外側から目視可能な空間を設けたことを特徴とするコンバイン。」 2.引用文献記載の発明 (1)原査定の拒絶理由に引用された実願昭58-62643号(実開昭59-166634号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献1」という。)には、以下の記載が認められる。 (イ)「本考案はコンバインの籾受部における籾タンクの取付構造に関する。」(1頁16〜17行)、 (ロ)「第1図はコンバイン全体の側面図を示し、両クローラ(8)により支持する機体の前部に刈取部(C)を、その後方に脱穀部(A)をそれぞれ装設し、刈取部(C)の右側方となる機体の前部右側方に架設したステップ(9)の前後には操縦コラム(10)とシート(11)をそれぞれ立設し、ステップ(9)の後方にはエンジン部(E)を装設して従来形構造同様に構成する。前記エンジン部(E)の後方側で前記脱穀部(A)の右側方に沿わせて機台(1)の上方に大形籾タンク(B)を架設するが、該籾タンク(B)の内部下方には前後方向水平の搬出用横オーガ(12)を軸装し、」(2頁12行〜3頁2行)、 (ハ)「前記籾タンク(B)の後部となる前記縦オーガ(3)の中心下方部には軸支部(5)を垂設し、機台(1)の後方側上面に固設したメタル(6)に前記軸支部(5)を回動自由に嵌合するとともに籾タンク(B)全体が軸支部(5)を中心にして外側方に回動できるよう装設し、籾タンク(B)の中間部寄り下面には機台(1)上に接合できる支持部(17)を垂設し、籾タンク(B)の前方寄り下部の側面より垂設する連結片(7)には固定ボルト(18)を挿通する孔(19)を形成し、連結片(7)に挿通するボルト(18)を、機台(1)の外側面に形成したねじ孔(20)に螺挿できるように装設して構成する。下部の側面より垂設する連結片(7)には固定ボルト(18)を挿通する孔(19)を形成し、連結片(7)に挿通するボルト(18)を、機台(1)の外側面に形成したねじ孔(20)に螺挿できるように装設して構成する。また、籾タンク(B)の上部側方には脱穀部(A)より延出する揚穀機(2)の上端放出口(21)が接離自在に嵌合できるように装設し、前記横オーガ(12)に伝動する入力プーリ(22)を籾タンク(B)の前部下方に軸架し、前記エンジン部(E)側の伝動プーリ(23)と前記入力プーリ(22)にはベルト(24)を掛廻するとともに、該ベルト(24)には操作自在のテンションプーリ(25)を当接できるように装設して構成する。」(3頁14行〜4頁12行)、 (ニ)「また、ベルト(24)を入力プーリ(22)から外し、ボルト(18)を取外して、籾タンク(B)全体を軸支部(5)中心に外方側に回動させると、第4図に示すように脱穀部(A)の内側方を広く開放することができることになつて、各部の保守点検等を行なうことができることになる。」(5頁8〜13行)。 また、引用文献1には、明記されていないが、伝動プーリ(23)を取り付ける際には、軸に軸支されるものであり、図面から見てもこの軸はステップ(9)後方の機台(1)に固定されているというべきものである。また、伝動プーリ(23)、ベルト(24)および入力プーリ(22)は図面の記載からみて外側から目視可能な空間を設けられているということができるから、上記(イ)〜(ニ)の記載及び図面の記載からみて、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる。(以下、「引用文献1の発明」という。) 「シート(11)を設けるステップ(9)後方の機台(1)上方に大形籾タンク(B)を外側方に回動できるよう装設させると共に、前記大形籾タンク(B)の内部下方の横オーガ(12)前部の入力プーリ(22)をベルト(24)を介して伝動プーリ(23)と掛廻するコンバインにおいて、伝動プーリ(23)回りにベルト(24)が掛廻して横オーガ(12)と伝動プーリ(23)を回転させ、後側の軸支部(5)を中心に回動可能な大形籾タンク(B)前側を接合させる機台(1)に軸を固定して伝動プーリ(23)を軸支させると共に、外側方に移動させる大形籾タンク(B)の前部遊端側に、大形籾タンク(B)の水平回動を阻止するボルト(18)と、前記軸を設け、前記穀粒タンク(14)前側とステップ(9)後側の間にベルト(24)が外側から目視可能な空間を設けたコンバイン。」 (2)原査定の拒絶理由に引用された実願昭59-82115号(実開昭60-194942号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献2」という。)には、以下の記載が認められる。 (ホ)「以上のような横送りコンベアの駆動は、次のようにして行われる。すなわち、第1、2図に示す如く本機側の籾受台(6)上にセットされたギヤケース(7)にはギヤ(9)(10)が設けられ、エンジンからの動力はVプーリ(8)を介してプーリ軸(11)のギヤ(9)とこれと噛合する駆動軸(12)のギヤ(10)に伝達されるようになっている。駆動軸(12)にはこれに対して鉛直方向に丸棒(13)が設けられてクラッチのジョイントを形成している。一方カセットタンク(3)の横送りコンベア軸(4)の端部に支板(15)が設けられ、これに水平方向に丸棒(16)が一対設けられている。したがってカセットタンク(3)を籾受台(6)上にセットしたとき丸棒(13)(16)同志が接触するようになる。Vプーリ(8)への動力の伝達は第7図に示す如くエンジンから図示しない伝動装置を介してプリー(38)からVベルト(17)に伝達されるが、テンションクラッチ(18)をクラッチアーム(19)を介してクラッチレバー(20)で操作することにより丸棒(13)への動力を入、切とすることができる。」(4頁9行〜5頁12行)、 (ヘ)「以上のようなカセットタンク(3)を籾受台(6)上にセットするとき、第8図に示すようにカセットタンク(3)の下面に設けた案内ピン(21)を籾受台(6)のガイド(22)に嵌合することによりカセットタンク(3)とジョイントクラッチの位置合わせを行うことができ、案内ピン(21)でジョイントのセンターズレが発生しない。したがって本機とカセットタンクの係合はワンタッチでできる。」(7頁11〜20行)。 上記(ホ)〜(ヘ)の記載及び図面の記載からみて、引用文献2には、次の発明が記載されていると認められる。 「カセットタンク(3)底部の横送りコンベア軸(4)前端部にワンタッチの連結クラッチを介して駆動軸(12)を連結させるコンバインにおいて、駆動軸(12)回りにワンタッチの連結クラッチが係合して横送りコンベア軸(4)と駆動軸(12)を一体回転させるコンバイン。」 3.本願発明と引用文献1の発明との対比 (1)本願発明と引用文献1の発明とを対比すると、 引用文献1の発明における、 「シート(11)」、「ステップ(9)」、「機台(1)」、「大形籾タンク(B)」、「横オーガ(12)」、「伝動プーリ(23)」、「掛廻する」、「軸支部(5)を中心に回動可能」、「軸」、および、「ボルト(18)」は、 本願発明における、 「運転席(17)」、「運転台(16)」、「機台(3)」、「穀粒タンク(14)」、「横送りオーガ(19)」、「出力軸(35)」、「連結させる」、「後側支点回りに回動可能」、「軸受体(34)」、および、「ロック部材(27)」にそれぞれ対応しているから、 両者は、 「運転席を設ける運転台後方の機台上面に穀粒タンクを側方に回動自在に装設させると共に、前記タンク底部の横送りオーガ前端部に出力軸を連結させるコンバインにおいて、横送りオーガと出力軸を回転させ、後側支点回りに回動可能な穀粒タンク前側を摺接させる機台上面に軸受体を固定して出力軸を軸支させると共に、穀粒タンクの前部遊端側に、穀粒タンクの水平回動を阻止するロック部材と、前記軸受体を設け、前記穀粒タンク前側と運転台後側の間に外側から目視可能な空間を設けたことを特徴とするコンバイン。」で一致するが、 下記の点で相違する。 本願発明では、「ワンタッチ連結クラッチ(36)」を介して出力軸を連結させ、「出力軸(35)回りにワンタッチ連結クラッチ(36)が係合して」横送りオーガと出力軸を「一体」回転させ、穀粒タンクの前部遊端側は「ワンタッチ連結クラッチ(36)が係合または離脱する方向に移動させる」構成であって、 「ワンタッチ連結クラッチ(36)」が外側から目視可能な空間を設けたものであるのに対して、 引用文献1の発明ではベルトを介しているため、「入力プーリ(22)をベルト(24)を介して伝動プーリ(23)と掛廻」し、「伝動プーリ(23)回りにベルト(24)が掛廻して横オーガ(12)と伝動プーリ(23)を回転させ」、大形籾タンク(B)は「ベルト(24)が係合または離脱する方向に移動させる」構成となり、「ベルト(24)」が外側から目視可能な空間を設けたものである点。 4.当審の判断 上記相違点について検討する。 引用文献2には、カセットタンク(3)底部の横送りコンベア軸(4)前端部にワンタッチの連結クラッチを介して駆動軸(12)を連結させるコンバインにおいて、駆動軸(12)回りにワンタッチの連結クラッチが係合して横送りコンベア軸(4)と駆動軸(12)を一体回転させる点が記載されており、駆動軸(12)と、駆動軸(12)に係合または離脱方向に移動する横送りコンベア軸(4)との間に、ワンタッチの連結クラッチを用いる技術が開示されている。 そして、引用文献1の発明は、入力プーリ(22)が設けられている軸と伝動プ ーリ(23)が設けられている軸とは、大形籾タンク(B)を収納して近接した状態ではベルト(24)を掛廻して動力伝達するものであり、大形籾タンク(B)を側方に回動し離間した状態ではベルト(24)を外して動力伝達を断つものであり、近接あるいは離間する、入力プーリ(22)が設けられている軸と伝動プーリ(23)が設けられている軸との動力伝達を、引用文献2に記載されているワンタッチの連結クラッチを適用して本願発明のような構成とすることは当業者が容易に想到し得ることである。 そして、本願発明が奏する効果は、引用文献1及び2に記載された発明から予測できる程度のことであって格別顕著なものではない。 よって、本願発明は、引用文献1および2の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 5.結論 以上のとおり、本願発明は引用文献1および2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-09-05 |
結審通知日 | 2002-09-10 |
審決日 | 2002-09-26 |
出願番号 | 特願2000-164014(P2000-164014) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A01F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山田 昭次 |
特許庁審判長 |
藤井 俊二 |
特許庁審判官 |
佐藤 昭喜 松川 直樹 |
発明の名称 | コンバイン |
代理人 | 藤原 忠治 |