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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H02J
管理番号 1068812
異議申立番号 異議2000-70365  
総通号数 37 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1989-07-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-01-28 
確定日 2002-09-30 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2927354号「電池の充電方法及び充電装置」の請求項1乃至3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2927354号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1.手続の経緯
本件特許第2927354号の請求項1乃至3に係る発明は、昭和63年1月19日に出願され、平成11年5月14日に特許の設定登録がなされ、その後、依光保及び酒見高広より特許異議の申立があり、平成12年7月24日付けで特許を取り消すとの決定がなされたところ、特許権者は該決定の取消を求めて東京高等裁判所に訴えを提起し、これが平成12年(行ケ)第332号特許取消決定取消請求事件として審理され、平成14年1月30日に決定を取り消すとの判決がなされて特許庁に差し戻され、平成14年5月9日付けで取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成14年7月19日に訂正請求がなされたものである。

第2.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
i.訂正事項a
発明の名称「電池の充電方法及び充電装置」を「電池の充電装置」に訂正する。
ii.訂正事項b
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1を削除する。
iii.訂正事項c
特許明細書の特許請求の範囲の請求項2を削除する。
iv.訂正事項d
特許明細書の特許請求の範囲の請求項3を、
請求項1に繰り上げるとともに、
「直列接続された複数の電池及び該電池の少なくとも1個の近傍に設けられた一つの感温素子からなる電池組を急速充電する充電装置であって、電池組に充電電流を供給するスイッチング素子を有する充電電源と、電池組の充電装置への接続と電池組の温度を感温素子の両端子間の電圧を検出することにより検出する第1の検出手段と、接続された電池組の電池電圧を検出する第2の検出手段と、第1及び第2の検出手段の検出信号を受け、電池組の充電の制御を行うマイクロコンピュータとを備え、該マイクロコンピュータは、第1の検出手段の検出信号により電池組が充電装置に接続された時の電池組の温度が高温でなく充電可能であることを検出した時、スイッチング素子をオンさせて充電を開始させるステップと、充電開始後、電池組が高温で充電すべきでない温度に上昇したことを第1の検出手段の検出信号により検出した時、スイッチング素子をオフして充電を停止するステップと、さらにその後は、第2の検出手段の検出信号により電池組が充電装置から取り外されたことを検出するまでスイッチング素子のオフ状態を維持するステップとからなる制御機能と、第1の検出手段の検出信号により電池組が充電装置に接続された時の電池組の温度が高温で充電すべきでないことを検出した時、スイッチング素子をオンさせずに充電を開始させないようにするステップと、電池組の温度が高温でなく充電可能な温度に低下したことを第1の検出手段の検出信号により検出した時、充電を自動的に開始させるステップとからなる制御機能とを含んでなることを特徴とする電池の充電装置。」
と訂正する。
v.訂正事項e
特許明細書の発明の詳細な説明の欄の〔発明の利用分野〕の項の「本発明は急速充電を行う電池の充電方法及び充電装置に関するものである。」を、「本発明は急速充電を行う電池の充電装置に関するものである。」
と訂正する。
vi.訂正事項f
特許明細書の発明の詳細な説明の欄の〔発明の概要〕の項の「本発明は、電池組が充電装置に接続されたことを感温素子の端子電圧を検出することにより検出し、…電池組の温度が所定値以下に低下したら充電を自動的に開始させるようにしたことを特徴とするものである。」を、「本発明は、直列接続された複数の電池及び該電池の少なくとも1個の近傍に設けられた一つの感温素子からなる電池組を急速充電する充電装置であって、電池組に充電電流を供給するスイッチング素子を有する充電電源と、電池組の充電装置への接続と電池組の温度を感温素子の両端子間の電圧を検出することにより検出する第1の検出手段と、接続された電池組の電池電圧を検出する第2の検出手段と、第1及び第2の検出手段の検出信号を受け、電池組の充電の制御を行うマイクロコンピュータとを備え、該マイクロコンピュータは、第1の検出手段の検出信号により電池組が充電装置に接続された時の電池組の温度が高温でなく充電可能であることを検出した時、スイッチング素子をオンさせて充電を開始させるステップと、充電開始後、電池組が高温で充電すべきでない温度に上昇したことを第1の検出手段の検出信号により検出した時、スイッチング素子をオフして充電を停止するステップと、さらにその後は、第2の検出手段の検出信号により電池組が充電装置から取り外されたことを検出するまでスイッチング素子のオフ状態を維持するステップとからなる制御機能と、第1の検出手段の検出信号により電池組が充電装置に接続された時の電池組の温度が高温で充電すべきでないことを検出した時、スイッチング素子をオンさせずに充電を開始させないようにするステップと、電池組の温度が高温でなく充電可能な温度に低下したことを第1の検出手段の検出信号により検出した時、充電を自動的に開始させるステップとからなる制御機能とを含んでなることを特徴とする。」と訂正する。
vii.訂正事項g
特許明細書の発明の詳細な説明の欄の〔発明の効果〕の項の「電池組が冷却して所定温度に低下すると」を、「電池組が冷却して高温でない充電可能な温度に低下すると」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張変更の存否
i.訂正事項aは、発明の名称を特許請求の範囲の訂正に整合させて、明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。
ii.上記訂正事項b及びcは、特許明細書の請求項1及び2を削除して特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。
iii.訂正事項dは、特許明細書の請求項3を請求項1に繰り上げるとともに、特許請求の範囲の「感温素子」、「電池組を充電する充電装置」、「充電電源と接続される電池組との間に設けられたスイッチング素子」、「電池組の充電装置への接続を感温素子の端子電圧を検出することにより検出し、電池組の接続を検出した時スイッチング素子をオンさせて充電を開始させる電池組接続検出制御手段とを備え」、「電池組接続検出制御手段が高温でなく充電可能な電池組の接続を検出した時スイッチング素子をオンさせて充電を開始させ」、「電池組接続検出制御手段が高温で充電すべきでない電池組の接続を検出した時スイッチング素子をオンさせずに充電を開始させないようにすると共に電池組の温度が所定値以下に低下したら充電を自動的に開始させるようにした」をそれぞれ、「一つの感温素子」、「電池組を急速充電する充電装置」、「電池組に充電電流を供給するスイッチング素子を有する充電電源」、「電池組の充電装置への接続と電池組の温度を感温素子の両端子間の電圧を検出することにより検出する第1の検出手段と、接続された電池組の電池電圧を検出する第2の検出手段と、第1及び第2の検出手段の検出信号を受け、電池組の充電の制御を行うマイクロコンピュータとを備え」、「該マイクロコンピュータは、第1の検出手段の検出信号により電池組が充電装置に接続された時の電池組の温度が高温でなく充電可能であることを検出した時、スイッチング素子をオンさせて充電を開始させるステップと、充電開始後、電池組が高温で充電すべきでない温度に上昇したことを第1の検出手段の検出信号により検出した時、スイッチング素子をオフして充電を停止するステップと、さらにその後は、第2の検出手段の検出信号により電池組が充電装置から取り外されたことを検出するまでスイッチング素子のオフ状態を維持するステップとからなる制御機能と」、「第1の検出手段の検出信号により電池組が充電装置に接続された時の電池組の温度が高温で充電すべきでないことを検出した時、スイッチング素子をオンさせずに充電を開始させないようにするステップと、電池組の温度が高温でなく充電可能な温度に低下したことを第1の検出手段の検出信号により検出した時、充電を自動的に開始させるステップとからなる制御機能とを含んでなる」とする訂正は、充電装置における、感温素子により電池組の温度及び接続状態を検出する構成と、接続された電池組の電圧を検出する構成と、マイクロコンピュータにより充電制御を行う構成とについて具体的に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮ないし明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、その訂正は、特許明細書に記載された事項の範囲内において構成を付加するものであるから新規事項の追加にも該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもないと認められる。
iv.訂正事項e乃至gは、特許請求の範囲の訂正に整合させて発明の詳細な説明の欄を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、かつ、本件特許明細書に記載された事項の範囲内において訂正するものであるから新規事項の追加にも該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもないと認められる。

3.むすび
したがって、上記訂正は特許法第120条の4第3項で準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

第3.特許異議申立てについての判断
1.異議申立ての理由の概要
(1)異議申立人である依光保の申立て
異議申立人である依光保は、証拠として下記の甲第1号証を提出し、本件請求項1乃至3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は取り消されるべきものである、旨主張している。
甲第1号証:実公昭63-16292号公報
(実開昭57-141640号)

(2)異議申立人である酒見高広の申立て
異議申立人である酒見高広は、証拠として下記の甲第1号証乃至甲第3号証を提出し、本件請求項1乃至3に係る発明は、甲第1号証乃至甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は取り消されるべきものである、旨主張している。
甲第1号証:実願昭59-88695号(実開昭61-7226号)
のマイクロフィルム
甲第2号証:特開昭61-109428号公報
甲第3号証:特開昭62-193518号公報

2.本件発明
設定登録時の本件請求項1乃至3に係る発明は、訂正が認められるから、訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1(以下、「本件発明」という。)に記載された事項(前記第2.1.iv.訂正事項d参照)により特定されるものである。

3.異議申立人である依光保が提示する甲第1号証に記載の発明
(1)甲第1号証〔実公昭63-16292号公報〕の出願に係る実願昭56-27962号(実開昭57-141640号)のマイクロフィルムの記載事項
「被充電蓄電池の表面に蓄電池の充電終了時を検出する感温素子を設けてある蓄電池組立体と、該蓄電池組立体に接続する充電器とより構成される過充電防止機能を有する充電回路において、前記蓄電池組立体の感温素子と並列に充電開始時を検出する低温感温素子を接続し、前記充電器のコンデンサと抵抗器との並列回路を有する過充電防止回路の前記抵抗器に直列に前記充電器を前記蓄電池組立体に接続したときに開路するスイッチを接続し、前記低温感温素子は前記過充電防止回路に直列に接続する構成としたことを特徴とする充電回路。」(第1頁第4〜15行)、
「第1図において、1は充電器、2は蓄電池組立体で、これらを図示のように接続して充電回路を構成してある。充電器1は直流電源装置3とスイッチング回路4とよりなり、スイッチング回路4は、過充電防止保持回路5と制御回路6とより構成してある、また、蓄電池組立体2は、被充電蓄電池7と被充電蓄電池7の表面に取り付けた蓄電池の充電終了時を検出するサーモスタットで代表される感温素子8とより構成してあり、これらが図示のように接続してある。」(第2頁第9〜18行)」、
「本考案は上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、蓄電池の表面温度が所定値以上に高いときに充電器に接続しても、蓄電池が冷却されれば自動的に充電が開始される充電回路を提供することにある。」(第4頁第12〜16行)、
「本考案の特徴は、被充電蓄電池に充電終了時を検出する感温素子のほかに並列に充電開始時を検出する低温感温素子を接続し、かつ、充電器のコンデンサと抵抗器との並列回路を有する過充電保持回路の上記抵抗器に直列に上記充電器に蓄電池組立体を接続したときに開路するスイッチを接続し、上記低温感温素子は上記過充電防止回路に直列に接続し、上記過充電防止保持回路が蓄電池組立体と充電器との接続時でなく上記低温感温素子が上記蓄電池表面温度の低下によって閉路したときにセットされるようにした点にある。」(第4頁第17行〜第5頁第7行)、
「第3図においては、被充電蓄電池7に充電終了時を検出する所定温度T2で開路する感温素子8のほかに、充電開始時を検出する温度T2より低い温度T1で開路する低温感温素子10を設け、低温感温素子10を介して充電器1の過充電防止保持回路5に接続するようにし、また、保持回路5には蓄電池組立体2と充電器1とをコネクタ9を用いて接続すると開路し、接続をはずすと閉路するスイッチ11を図示のように接続した。第3図によれば、蓄電池7の表面温度がT1より低いときに充電器1に蓄電池組立体2を接続して電源を投入すると、低温感温素子10が閉路しているから、電解コンデンサ5aを充電するための大きな電流がゲート付制御素子6aのゲート回路に通電され、ゲート付制御素子6aがオン状態となり、充電が開始される。ゲート付制御素子6aは、一旦オン状態になると、ゲートに電圧が印加されなくともそのままオン状態を保つ性質を持っているため、充電末期に蓄電池7の表面温度が上昇してT1以上となって低温感温素子10が開路してもそのまま充電が継続される。そして表面温度がT2以上となって感温素子8が開路すると充電終了となる。」(第5頁第12行〜第6頁第15行)、
「そして、一旦充電が終了すると、蓄電池7が冷却され、それの表面温度がT1以下となり、感温素子10、8がともに閉路しても、電解コンデンサ5aがすでに充電されているため、ゲート回路に大きな電流が流れることはなく、再びゲート付制御素子がオン状態となって充電が開始されることはなく、従来と同様、第2図に示す特性となり、過充電が防止される。また充電を終了し、充電器1から蓄電池組立体2を分離すると、スイッチ11が閉路し、電解コンデンサ5aに充電されていた電荷は抵抗器5bを通して放電されるので、再び充電可能な状態に復帰する。」(第6頁第15行〜第7頁第7行)、
「次に、蓄電池7の表面温度がT1より高いときに充電器1に蓄電池組立体2を接続したとすると、接続直後は低温感温素子10が開路しているので充電は開始されない。しかし、時間の経過と共に蓄電池7が冷却し、その表面温度がT1以下となって感温素子10が閉路すると、電解コンデンサ5aを充電する電流がゲート回路に流れ、ゲート付制御素子6aがオン状態となり、充電が開始される。」(第7頁第8〜16行)。
これらの記載及び図面第1乃至4図によれば、依光保が提示する甲第1号証にかかる公開明細書には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「蓄電池7及び該蓄電池7の近傍に設けられた感温素子8と低温感温素子10からなる蓄電池組立体2を充電する充電器1であって、直流電源装置3に直列に接続された蓄電池組立体2の蓄電池7と感温素子8とゲート付制御素子6aと、ゲート付制御素子6aのゲートと蓄電池7を含む電源との間に低温感温素子10を介して接続された電解コンデンサ5a及び該電解コンデンサ5aに並列接続されたスイッチ11と抵抗5bとの直列回路を有してなる過充電防止保持回路5と、ゲート付制御素子6aのゲートとカソードとの間を接続する抵抗とからなるスイッチング回路4を備え、スイッチング回路4は、低温感温素子10が閉路されている所定温度T1以下の蓄電池組立体2が接続されたときは、低温感温素子10を介して電解コンデンサ5aに流れる電流によってゲート付制御素子6aをオンさせて充電を開始させ、充電開始後、蓄電池組立体2の温度が所定温度T2以上となって感温素子8が開路するとゲート付制御素子6aをオフさせて充電を停止すると共に、過充電防止保持回路5の電解コンデンサ5aがすでに充電されていることによりゲート付制御素子6aのオフ状態を維持し、さらにその後充電器1から蓄電池組立体2が分離されると閉路するスイッチ11により電解コンデンサ5aが放電されることにより再び充電可能な状態に復帰させる機能と、低温感温素子10が開路されている所定温度T1より上の蓄電池組立体2が接続されたときは、低温感温素子10を介して電解コンデンサ5aに電流が流れないことによってゲート付制御素子6aをオンさせずに充電を開始させないようにすると共に蓄電池組立体2の温度が所定温度T1以下に低下したら閉路されている低温感温素子10を介して電解コンデンサ5aに流れる電流によってゲート付制御素子6aをオンさせて充電を自動的に開始させる機能とを含んでなる蓄電池の充電器。」

4.異議申立人である酒見高広が提示する各甲号証に記載の発明
(1)甲第1号証〔実願昭59-88695号(実開昭61-7226号)のマイクロフィルム〕の記載事項
「充電電源と被充電電池の間の充電路にスイッチング回路部を介挿し、該スイッチング回路部にゲート付制御素子を前記充電路より側路させて接続するとともに、該ゲート付制御素子のカソードを前記電池から影響を受けるサーモスタットを介して該電池に接続し、且ゲートを前記電池の電圧検出回路部に接続してなる充電装置。」(第1頁第4〜10行)、
「(23)は前記電池(5)の充電電流経路(7)に側路して設けられ、該電池(5)の満充電時の温度を検出するサーモスタットであり、前記サイリスタ(21)のカソードに接続される」(第5頁第14〜17行)、
「パック電池(33)を充電器(32)に接続すると、充電器(32)の出力端子(34)の電圧が前記二次コイル(1)の出力電圧から電池(5)の充電電圧にまで下がり、前記トランジスタ(15)のベース電圧も降下するので該トランジスタ(15)は非導通となる。このとき同時に前記サイリスタ(21)のゲートにトリガ電圧が印加されるので該サイリスタ(21)が導通する。こうしてサイリスタ(21)が導通すると、トランジスタ(8)(9)が導通しスイッチング回路部(6)がオンとなるので電池(5)に充電電流が供給され、」(第7頁第5〜14行)、
「電池(5)が満充電になると、その温度が上昇する。この電池温度をサーモスタット(23)が検出し、該サーモスタット(23)は開成する。従って前記サイリスタ(21)は強制的に非導通とされ、前記スイッチング回路部(6)はオフとなり電池(5)への充電電流の供給が停止する。」(第7頁第19行〜第8頁第4行)、
「尚充電終了後電池(5)の温度が降下し、サーモスタット(23)は再び閉成するが、トランジスタ(15)が非導通状態であるので、コンデンサ(20)の電荷が放電されず、サイリスタ(21)の非導通状態を維持するため、過充電の心配はない。」(第8頁第8〜12行)、
「充電開始用のスイッチを必要としない利点がある。」(第9頁第8〜9行)。

(2)甲第2号証〔特開昭61-109428号公報〕の記載事項
「バツテリ(2)は例えば密閉型ニッケル・カドミウム蓄電池を複数個直列接続した集合電池であり、・・・(9)はマイナス端子(11)と端子(12)間に接続されたサーモスタットであり、バッテリ(2)の満充電の情報を端子(12)に結合される接続端子(15)を通して充電信号作成回路(5)に与える」(第1頁右下欄第18行〜第2頁左上欄第6行)、
「第2スイッチ回路(7)は入力端子(4)にローレベルが印加されたときに充電信号作成回路(5)の第9端子(25)からHレベルが端子(36)を通してトランジスタ(Q4)のベースに与えられることによってトランジスタ(Q4)(Q5)(Q6)がオンし、電源回路(1)の第2端子(18)に発生する定電流をトランジスタ(Q6)を通して端子(37)に導出する」(第2頁左下欄第1〜7行)、
「接続手段(3)をバツテリ(2)に完全に接続すると、・・・トランジスタ(Q22)及びトランジスタ(Q23)が共にオンになり第9端子(25)にHレベルが生じる。第9端子(25)がHレベルになった場合には第8図に関して述べたようにバッテリ(2)の充電がなされる」(第4頁右上欄第18行〜右下欄第6行)、
「本発明では入力端子を充電指示の状態にしておけばバッテリを完全に接続しさえすれば充電がなされうるという効果があり、別途充電開始釦などを設けて操作する煩雑さを解消できる」(第6頁右上欄第8〜11行)」。

(3)甲第3号証〔特開昭62-193518号公報〕の記載事項
「(1)被充電用の2次電池の温度を計測して該温度に対応した電圧を出力する温度検出回路と、温度検出回路の出力をクロック発生回路のクロックパルスによりサンプル・ホールドするサンプル・ホールド回路と、サンプル・ホールド回路の出力より単位時間当たりの温度上昇値に対応した信号を発生する減算増幅回路と、この減算増幅回路の出力と予め設定した基準電圧とを比較して減算増幅回路出力が大のときに出力信号を出す比較回路とを備え、上記比較回路からの出力により上記2次電池への充電を制御するようにして成る充電器の制御回路。」(第1頁左下欄第6〜17行)、
「(5)温度検出回路の出力と基準電圧とを第2の比較回路に入力し、電池高温時に電池への充電を停止するように基準電圧を設定して、安全温度に下がった後に自動的に充電をスタートさせる電池温度保護回路を備えたことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の充電器の制御回路。」(第1頁右下欄第12〜17行)、
「次に、電池温度保護回路18について説明する。第9図に示すように、電池8を放電した直後に充電を開始した場合、電池8内部のセパレータが高い温度になっていると、その時点から充電をスタートすると充電中電池8が自然冷却する前に充電電気量が満杯になり、温度上昇を起こす可能性がある。この時、電池8内部のセパレータが例えば70℃という値を超えるとセパレータが破壊する恐れがある。このため、ある温度に自然冷却するまで、充電をストップしておき、その後、自動的に充電をスタートさせようとするものである。すなわち、ボリュームVR3により適宣に設定される基準電圧と、温度検出回路9の出力とを比較するコンパレータCOP2を設け、電池8の温度が設定した値に下がるまで、トランジスタQ5をオンして電池8への充電をスットプし、そして、電池8の温度が下がると、コンパレータCOP2の出力がLレベルとなってトランジスタQ5をオフせしめ、充電をスタートさせるものである。このように、電池8が高温のまま充電を行なうと電池8内部のセパレータが破損する恐れがあるが、電池温度保護回路18により安全温度まで待つことによって、劣化を防止することができるものである。また、絶対温度検知方式のように高温となっている電池8をそのまま充電すると、ラッチがかかったままで温度が下がっても再充電しないという状態にはならず、ユーザーが電源を抜いて再投入する必要はないものである。」(第5頁右上欄第14行〜右下欄第1行)。

5.本件発明と各甲号証に記載された発明との対比判断
(1)本件発明と引用発明との対比
i.本件発明と引用発明とを対比すると、引用発明における、「蓄電池7」、「感温素子8及び低温感温素子10」、「蓄電池組立体2」、「ゲート付制御素子6a」、「直流電源装置3」、「過充電防止保持回路5」、「スイッチ11」、「所定温度T1」、「所定温度T2」、「充電器1」は、本件発明における、「直列接続された複数の電池」、「感温素子」、「電池組」、「スイッチング素子」、「充電電源」、「第1の検出手段」、「第2の検出手段」、「電池組の温度が高温でなく充電可能な温度」、「電池組が高温で充電すべきでない温度」、「充電装置」に相当する。
また、引用発明における「スイッチング回路4」は、電池組の充電装置への接続と電池組の温度を感温素子により検出して充電開始及び充電停止とを制御すると共に、電池組が充電装置から取り外されたことを検出するまでスイッチング素子のオフ状態を維持する「制御回路」の機能において、本件発明における「マイクロコンピュータ」と一致する。
ii.そうすると、本件発明と引用発明の両者は、以下の点でそれぞれ、一致ならびに相違するものと認められる。
一致点 「直列接続された複数の電池及び該電池の少なくとも1個の近傍に設けられた感温素子からなる電池組を急速充電する充電装置であって、電池組に充電電流を供給するスイッチング素子を有する充電電源と、電池組の充電装置への接続と電池組の温度を感温素子により検出する第1の検出手段と、電池組が充電装置から取り外されたことを検出する第2の検出手段と、第1及び第2の検出手段の検出信号を受け、電池組の充電の制御を行う制御回路とを備え、該制御回路は、第1の検出手段の検出信号により電池組が充電装置に接続された時の電池組の温度が高温でなく充電可能であることを検出した時、スイッチング素子をオンさせて充電を開始させる手段と、充電開始後、電池組が高温で充電すべきでない温度に上昇したことを第1の検出手段の検出信号により検出した時、スイッチング素子をオフして充電を停止する手段と、さらにその後は、第2の検出手段の検出信号により電池組が充電装置から取り外されたことを検出するまでスイッチング素子のオフ状態を維持する手段とからなる制御機能と、第1の検出手段の検出信号により電池組が充電装置に接続された時の電池組の温度が高温で充電すべきでないことを検出した時、スイッチング素子をオンさせずに充電を開始させないようにする手段と、電池組の温度が高温でなく充電可能な温度に低下したことを第1の検出手段の検出信号により検出した時、充電を自動的に開始させる手段とからなる制御機能とを含んでなる電池の充電装置。」
相違点A.充電制御を行うために、電池組の充電装置への接続と電池組の温度を感温素子により検出する第1の検出手段が、本件発明では、一つの感温素子の両端子間の電圧を検出することにより検出する構成であるのに対して、引用発明では、二つの感温素子の開閉状態に応じて所定の端子に電圧あるいは電流が導出されるのを検出することにより検出する構成である点。
相違点B.充電制御を行うために、電池組が充電装置から取り外されたことを検出する第2の検出手段が、本件発明では、接続された電池組の電池電圧を検出する構成であるのに対して、引用発明では、充電装置から電池組が分離されると閉路するスイッチ11により検出する構成である点。
相違点C.電池組の充電装置への接続と電池組の温度を検出して充電開始及び充電停止とを制御すると共に、電池組が充電装置から取り外されたことを検出するまでスイッチング素子のオフ状態を維持するように充電制御を行う制御回路が、本件発明では、マイクロコンピュータによる構成であるのに対して、引用発明では、スイッチング回路4による構成である点。

(2)相違点の検討
i.相違点Aについて
本件発明は、電池組の充電装置への接続と電池組の温度を一つの感温素子の両端子間の電圧を検出することにより検出する第1の検出手段に基づいて、充電装置に接続された時の電池組の温度が高温で充電すべきでない温度を検出した時に充電を開始させないようにし、その後、電池組の温度が高温でなく充電可能な温度に低下した時に充電を自動的に開始させると共に、充電開始後、電池組が高温で充電すべきでない温度に上昇した時に充電を停止する制御を行う充電装置であるところ、このように、電池組の充電開始及び充電停止を行う所定の第1及び第2の温度を設定して、電池組の温度が所定の第2の温度にあるときは充電を開始させないようにして、その後所定の第1の温度に低下した時に充電を自動的に開始させると共に、所定の第2の温度に上昇した時に充電を自動的に停止させるように制御することを一つの感温素子からなる検出手段に基づいて行う構成は、他の証拠として異議申立人である酒見高広が提示する甲第1号証乃至甲第3号証の何れにも記載も示唆もない。
そして、本件発明は、前記した充電制御を一つの感温素子をもって達成するという、異議申立人である依光保及び酒見高広が提示する各甲号証に記載の発明からは予測できない格別顕著な作用効果を奏するものである。
ii.相違点Bについて
充電を停止した電池組が充電装置から取り外されるのを検出する検出手段を充電装置に設けて充電制御を行うことは慣用技術であって、本件発明のように、電池組の電池電圧を検出することによって接続状態を検出することは、当業者が適宜に採用すべき単なる設計的手段に過ぎない。
iii.相違点Cについて
マイクロコンピュータを用いて電池の充電制御を行う技術は周知(例えば、特開昭57-134868号公報、特開昭57-186931号公報、実開昭61-92147号公報参照)であるから、引用発明におけるスイッチング回路4による制御回路に代えて、マイクロコンピュータにより制御回路を構成する前記周知技術を採用して本件発明の構成のようにすることは、当業者が容易に想到できるものと認められる。
iv.したがって、本件発明は、前記相違点Aに係り、異議申立人である依光保及び酒見高広が提示する各甲号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)まとめ
よって、本件発明は、異議申立人である依光保及び酒見高広が提示する各甲号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないので、本件発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

6.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては本件請求項1に係る発明の特許を取り消すことができない。
また、他に本件請求項1に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件請求項1に係る発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
電池の充電装置
(57)【特許請求の範囲】
1.直列接続された複数の電池及び該電池の少なくとも1個の近傍に設けられた一つの感温素子からなる電池組を急速充電する充電装置であって、
電池組に充電電流を供給するスイッチング素子を有する充電電源と、電池組の充電装置への接続と電池組の温度を感温素子の両端子間の電圧を検出することにより検出する第1の検出手段と、接続された電池組の電池電圧を検出する第2の検出手段と、第1及び第2の検出手段の検出信号を受け、電池組の充電の制御を行うマイクロコンピュータとを備え、
該マイクロコンピュータは、
第1の検出手段の検出信号により電池組が充電装置に接続された時の電池組の温度が高温でなく充電可能であることを検出した時、スイッチング素子をオンさせて充電を開始させるステップと、充電開始後、電池組が高温で充電すべきでない温度に上昇したことを第1の検出手段の検出信号により検出した時、スイッチング素子をオフして充電を停止するステップと、さらにその後は、第2の検出手段の検出信号により電池組が充電装置から取り外されたことを検出するまでスイッチング素子のオフ状態を維持するステップとからなる制御機能と、
第1の検出手段の検出信号により電池組が充電装置に接続された時の電池組の温度が高温で充電すべきでないことを検出した時、スイッチング素子をオンさせずに充電を開始させないようにするステップと、電池組の温度が高温でなく充電可能な温度に低下したことを第1の検出手段の検出信号により検出した時、充電を自動的に開始させるステップとからなる制御機能とを含んでなることを特徴とする電池の充電装置。
【発明の詳細な説明】
〔発明の利用分野〕
本発明は急速充電を行う電池の充電装置に関するものである。
〔発明の背景〕
従来、定電流充電制御装置及び-ΔV満充電検出制御装置等を付加した急速充電装置は、充電を開始するためには電源スイッチ投入等の何らかの操作を必要とするため操作性に問題があった。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、上記した従来技術の欠点をなくし、操作性を向上させることである。
〔発明の概要〕
本発明は、直列接続された複数の電池及び該電池の少なくとも1個の近傍に設けられた一つの感温素子からなる電池組を急速充電する充電装置であって、電池組に充電電流を供給するスイッチング素子を有する充電電源と、電池組の充電装置への接続と電池組の温度を感温素子の両端子間の電圧を検出することにより検出する第1の検出手段と、接続された電池組の電池電圧を検出する第2の検出手段と、第1及び第2の検出手段の検出信号を受け、電池組の充電の制御を行うマイクロコンピュータとを備え、該マイクロコンピュータは、第1の検出手段の検出信号により電池組が充電装置に接続された時の電池組の温度が高温でなく充電可能であることを検出した時、スイッチング素子をオンさせて充電を開始させるステップと、充電開始後、電池組が高温で充電すべきでない温度に上昇したことを第1の検出手段の検出信号により検出した時、スイッチング素子をオフして充電を停止するステップと、さらにその後は、第2の検出手段の検出信号により電池組が充電装置から取り外されたことを検出するまでスイッチング素子のオフ状態を維持するステップとからなる制御機能と、第1の検出手段の検出信号により電池組が充電装置に接続された時の電池組の温度が高温で充電すべきでないことを検出した時、スイッチング素子をオンさせずに充電を開始させないようにするステップと、電池組の温度が高温でなく充電可能な温度に低下したことを第1の検出手段の検出信号により検出した時、充電を自動的に開始させるステップとからなる制御機能とを含んでなることを特徴とする。
〔発明の実施例〕
第1図は本発明の一実施例を示す回路図、第2図〜第4図は本発明の動作説明用フローチャートである。図において、1は交流電源、2はトランス、3、4、9、10はダイオード、5、6は本発明スイッチング素子を構成するSCRで、定電流充電制御及び充電停止制御を行う。7は複数の電池7a及び該電池7aの少なくとも1個に近接して設けられ、電池7aから熱影響を受け、電池7aが所定温度になるとその接点を開くサーモスタット7bからなる電池組、8は抵抗からなる電流検出手段、11はダイオード11a、平滑用コンデンサ11b、3端子ボルテージレギュレータ11cからなる定電圧電源で、後述するシングルチップマイクロコンピュータ(以下マイコンという)12及び演算増幅器16a等の電源となる。12は演算手段(CPU)12a、ROM12b、RAM12c、タイマ12d、A/Dコンバータ12e、外部割り込み入力ポート12f、入力ポート12g、出力ポート12hからなるマイコンである。RAM12cは、A/Dコンバータ12eを介して得た充電電流データInew、電池電圧データVnew及び演算手段12aで処理された電池電圧データVold、ピーク電池電圧データVpeak、降下電圧データーΔV等を保存記憶する。タイマ12dは電源電圧がゼロボルトの時動作を開始し、タイマセット時間経過後、SCR5、6の点弧制御の割り込みを処理する。
13はトランジスタ13a、抵抗13bと13cからなる電源ゼロクロス検出手段で、電源電圧がゼロボルトの時、マイコン12の外部割り込み入力ポート12fに割り込み信号を発生する。14はトランジスタ14a、ダイオード14b、抵抗14c、14dと14eからなるサーモスタット状態信号発生手段で、マイコン12の入力ポート12gにサーモスタット7bの状態信号を発生する。サーモスタット状態信号発生手段14は、電池組7を後述する充電装置18に接続した時のサーモスタット7bの閉状態の信号と、電池組7を充電装置18から外した時あるいは満充電によりサーモスタット7bが作動した時のサーモスタット7bの開状態の信号を発生するもので、サーモスタット7bと共に電池組接続検出手段を構成する。すなわち、電池組7が充電装置18に接続された時、電池組7が高温でなくサーモスタット7bの接点が閉じていれば、サーモスタット7bの端子電圧すなわち抵抗14cと14dの接続点の電位は接地電位となるから、トランジスタ14aはオフしサーモスタット状態信号発生手段14はマイコン12の入力ポート12gに論理値1の状態信号を送る。一方電池組7が高温でサーモスタット7bの接点が開いていれば、サーモスタット7bの端子電圧は、トランジスタ14aのベース・エミッタ電圧(Vbe)及び抵抗14c(R14c)、14d(R14d)によって決定される電圧(Vbe+(5-Vbe)*R14d/(R14c+R14d))となり、トランジスタ14aがオンしサーモスタット状態信号発生手段14はマイコン12の入力ポート12gに論理値0の状態信号を送る。なお電池組7が接続されていなければ、サーモスタット7bが開いた状態と同じであり、上記同様論理値0の状態信号がマイコン12に送られる。
従ってマイコン12は、電池組7の接続をサーモスタット7bの状態を含めて検出判断することが可能となり、接続された電池組7が、高温で充電すべきでない電池組7かまたは高温でなく充電できる電池組7かを検出判断することが可能となる。15は抵抗15aと15bからなる電池電圧検出手段で、電池組7の電池電圧を分圧して前記A/Dコンバータ12eに入力する。16は演算増幅器16a、抵抗16b、16c、コンデンサ16dからなる積分手段で、電流検出手段8の出力を直流電圧に平滑する。17はトランジスタ17a、ダイオード17b、抵抗17c、17dからなるSCR点弧手段である。18は以上のトランス2、ダイオード3、4、9、10、SCR5、6、電流検出手段8、定電圧電源11、マイコン12、電源ゼロクロス検出手段13、サーモスタット状態信号発生手段14、電池電圧検出手段15、積分手段16とSCR点弧手段17からなる充電装置である。
次に第2図〜第4図のフローチャートをもとに動作の説明をする。電池組7が充電装置18に接続され、サーモスタット状態信号発生手段14→入力ポート12gを介してサーモスタット7bが閉状態であるのを演算手段12aで判別する(ステップ103)と、マイコン12は電源ゼロクロス検出手段13からの外部割り込みを許可し(ステップ104)て充電を開始し、定電流制御(ステップ201〜205)及び満充電検出制御(ステップ301)を行う。電池組7が充電装置18に接続された時、電池組7が例えば大電流放電した直後で高温となってサーモスタット7bが開状態の場合、再度ステップ103に戻りサーモスタット7bが閉状態になったか否かを判別し、このループをサーモスタット7bが閉状態になるまで繰り返す。サーモスタット7bが閉状態になったらステップ104に進み充電を開始する。
定電流充電制御は、電流検出手段8→A/Dコンバータ12eを介して得たデータInewと、あらかじめROM12bに書き込まれた充電電流設定データIrefとの差をもとにタイマセット時間(SCR5、6の点弧時間)を演算し、電池7aへの充電電流を一定になるように制御する。すなわち、InewとIrefが等しい時はタイマセット時間をそのままにしてSCR5、6の導通角を変えず、InewがIrefより小さい時はタイマセット時間を減らしてSCR5、6の導通角を大きくする(ステップ204)。逆にInewがIrefより大きい時は、タイマセット時間を増やし、SCR5、6の導通角を小さくし(ステップ205)、電池7aへの充電電流がIrefになるように制御する。
満充電検出制御は充電途中でサーモスタット7bが開いたか否かを検出することにより行う。すなわち、演算手段12aでサーモスタット7bの状態を監視し、サーモスタット7bが閉状態にある時は充電を継続し、サーモスタット7bが開状態にある時は、外部割り込みを禁止し(ステップ303)て充電を停止し、電池電圧データVnewが零かどうか判断する(ステップ305)。電池電圧Vnewが零でない時は電池組7が充電装置18に接続されたまますなわち満充電となった電池組7が取り外されていないとしてステップ304、305を繰り返す。電池電圧Vnewが零の時には、電池組7が充電装置18から取り外されたと判断し、ステップ103に戻って次の電池組7の充電のための待機をする。
なお、充電途中で電池組7を充電装置18から外すと、マイコン12はサーモスタット状態信号発生手段14からの信号により、サーモスタット7bが開状態にあると判別し(ステップ301)、外部割り込みを禁止して(ステップ303)充電を停止し、電池電圧データVnewが零であるのを判別し(ステップ305)、次の電池組7の充電のための待機をする。
ここで、マイコン12は、第3図、第4図に示すように電源ゼロクロス検出手段13からの外部割り込みでタイマセット時間を設定し(ステップ401)、充電電流のデータを電流検出手段8→積分手段16→A/Dコンバータ12eを介して入力し、RAM12cのInewデータエリヤにストアし(ステップ403)、電池電圧のデータを電池電圧検出手段15→A/Dコンバータ12eを介して入力し、RAM12cのVnewデータエリヤにストアする(ステップ404)。一方、内部タイマ12dのタイマ割り込みでは、SCR5、6の点弧制御をする(ステップ501〜504)。
第5図は本発明の他の実施例を示すフローチャートである。充電開始、定電流充電制御及び充電停止の動作は第2図〜第4図と同じである。ここでは、-△V満充電検出制御について説明する(ステップ601〜610)。
-△V満充電検出制御は、ピーク値フラグがリセットされていて(電池電圧がピークに達していない時)A/Dコンバータ12eを介して新しく得たデータVnewが前に入力したデータVoldより大きい時、RAM12cのVoldデータエリヤにVnewデータを書き込み(ステップ604)、再度次の新しいデータと比較をする。充電が満充電近くになると、VnewがVoldより小さくなる点が生じる。
この時、ピーク値フラグをセットし(ステップ605)、Voldをピーク電圧データVpeakとする(ステップ606)。更に充電が続いて電池電圧が降下し、電池電圧がピーク電圧Vpeakより-△V降下すると、外部割り込みを禁止して(ステップ608)充電を停止し、サーモスタット7bの状態を監視し(ステップ609)、電池組7が充電装置18から取り出され、サーモスタット7bが開状態になったと判断された時、ピーク値フラグをリセットし(ステップ610)、次の電池組7の充電のための待機をする。
〔発明の効果〕
以上のように本発明によれば、電池組を接続するだけで充電を自動的に開始するようにしたので、電源スイッチを投入するという操作が不要となり操作性を向上できる。また充電装置に接続した電池組が高温になっていた場合、接続した状態のままであっても、電池組が冷却して高温でない充電可能な温度に低下すると充電が自動的に開始されるので、操作性が更に向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示すブロック回路図、第2図〜第4図は本発明の動作説明用フローチャート、第5図は本発明の他の実施例を示すフローチャートである。
図において、5、6はSCR、7は電池組、7aは電池、7bはサーモスタット、8は充電電流検出手段、12はマイコン、12aは演算手段(CPU)、12bはROM、12cはRAM、12dはタイマ、12eはA/Dコンバータ、12fは割り込み入力ポート、12gは入力ポート、12hは出力ポート、14はサーモスタット状態判別手段、15は電池電圧検圧手段、17はSCR点弧手段、18は充電装置である。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
i.訂正事項a
発明の名称「電池の充電方法及び充電装置」を「電池の充電装置」に訂正する。
ii.訂正事項b
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1を削除する。
iii.訂正事項c
特許明細書の特許請求の範囲の請求項2を削除する。
iv.訂正事項d
特許明細書の特許請求の範囲の請求項3を、
請求項1に繰り上げるとともに、
「直列接続された複数の電池及び該電池の少なくとも1個の近傍に設けられた一つの感温素子からなる電池組を急速充電する充電装置であって、電池組に充電電流を供給するスイッチング素子を有する充電電源と、電池組の充電装置への接続と電池組の温度を感温素子の両端子間の電圧を検出することにより検出する第1の検出手段と、接続された電池組の電池電圧を検出する第2の検出手段と、第1及び第2の検出手段の検出信号を受け、電池組の充電の制御を行うマイクロコンピュータとを備え、該マイクロコンピュータは、第1の検出手段の検出信号により電池組が充電装置に接続された時の電池組の温度が高温でなく充電可能であることを検出した時、スイッチング素子をオンさせて充電を開始させるステップと、充電開始後、電池組が高温で充電すべきでない温度に上昇したことを第1の検出手段の検出信号により検出した時、スイッチング素子をオフして充電を停止するステップと、さらにその後は、第2の検出手段の検出信号により電池組が充電装置から取り外されたことを検出するまでスイッチング素子のオフ状態を維持するステップとからなる制御機能と、第1の検出手段の検出信号により電池組が充電装置に接続された時の電池組の温度が高温で充電すべきでないことを検出した時、スイッチング素子をオンさせずに充電を開始させないようにするステップと、電池組の温度が高温でなく充電可能な温度に低下したことを第1の検出手段の検出信号により検出した時、充電を自動的に開始させるステップとからなる制御機能とを含んでなることを特徴とする電池の充電装置。」と訂正する。
v.訂正事項e
特許明細書の発明の詳細な説明の欄の〔発明の利用分野〕の項の「本発明は急速充電を行う電池の充電方法及び充電装置に関するものである。」を「本発明は急速充電を行う電池の充電装置に関するものである。」と訂正する。
vi.訂正事項f
特許明細書の発明の詳細な説明の欄の〔発明の概要〕の項の「本発明は、電池組が充電装置に接続されたことを感温素子の端子電圧を検出することにより検出し、…電池組の温度が所定値以下に低下したら充電を自動的に開始させるようにしたことを特徴とするものである。」を、「本発明は、直列接続された複数の電池及び該電池の少なくとも1個の近傍に設けられた一つの感温素子からなる電池組を急速充電する充電装置であって、電池組に充電電流を供給するスイッチング素子を有する充電電源と、電池組の充電装置への接続と電池組の温度を感温素子の両端子間の電圧を検出することにより検出する第1の検出手段と、接続された電池組の電池電圧を検出する第2の検出手段と、第1及び第2の検出手段の検出信号を受け、電池組の充電の制御を行うマイクロコンピュータとを備え、該マイクロコンピュータは、第1の検出手段の検出信号により電池組が充電装置に接続された時の電池組の温度が高温でなく充電可能であることを検出した時、スイッチング素子をオンさせて充電を開始させるステップと、充電開始後、電池組が高温で充電すべきでない温度に上昇したことを第1の検出手段の検出信号により検出した時、スイッチング素子をオフして充電を停止するステップと、さらにその後は、第2の検出手段の検出信号により電池組が充電装置から取り外されたことを検出するまでスイッチング素子のオフ状態を維持するステップとからなる制御機能と、第1の検出手段の検出信号により電池組が充電装置に接続された時の電池組の温度が高温で充電すべきでないことを検出した時、スイッチング素子をオンさせずに充電を開始させないようにするステップと、電池組の温度が高温でなく充電可能な温度に低下したことを第1の検出手段の検出信号により検出した時、充電を自動的に開始させるステップとからなる制御機能とを含んでなることを特徴とする。」と訂正する。
vii.訂正事項g
特許明細書の発明の詳細な説明の欄の〔発明の効果〕の項の「電池組が冷却して所定温度に低下すると」を、「電池組が冷却して高温でない充電可能な温度に低下すると」と訂正する。
異議決定日 2000-07-24 
出願番号 特願昭63-9341
審決分類 P 1 651・ 121- YA (H02J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 矢島 伸一  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 佐藤 秀一
山本 春樹
登録日 1999-05-14 
登録番号 特許第2927354号(P2927354)
権利者 日立工機株式会社
発明の名称 電池の充電装置  
代理人 吉岡 宏嗣  
代理人 鵜沼 辰之  
代理人 吉岡 宏嗣  
代理人 鵜沼 辰之  

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