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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1070099
審判番号 不服2002-18189  
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-05-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-09-19 
確定日 2003-01-28 
事件の表示 平成 6年特許願第247879号「ポインティングディバイスおよび情報処理装置」拒絶査定に対する審判事件〔平成 8年 5月 7日出願公開、特開平 8-115165、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 【1】本願発明
本願は、平成6年10月13日に特許出願されたものであって、その請求項1乃至4に係る発明は、平成12年1月20日付け、平成13年12月17日付け及び平成14年10月18日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至4に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】球状の回転操作体と、
前記回転操作体の回転角度を検出するエンコーダ部と、
前記回転操作体を、該回転操作体の表面における対向部位を含む2箇所を指で挟んで操作可能に露出した状態で回転自在に保持する保持体と、
を備えたことを特徴とするポインティングディバイス。
【請求項2】前記2箇所は前記保持体の表裏の位置であることを特徴とする請求項1記載のポインティングディバイス。
【請求項3】球状の回転操作体と、
前記回転操作体の回転角度を検出するエンコーダ部と、
前記回転操作体を、該回転操作体の表面における対向部位を含む2箇所を指で挟んで操作可能に露出した状態で回転自在に保持するディスプレイ部と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】前記2箇所は前記ディスプレイ部の表裏の位置であることを特徴とする請求項3記載の情報処理装置。」
【2】原査定の拒絶理由
原査定における拒絶の理由の概要は、下記の刊行物1〜3を引用して、
「1.この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
2.平成12年1月20日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第2項において準用する同法第17条第2項に規定する要件を満たしていない。」
というものである。
<引用刊行物>
引用例1.特表平5-504430号公報
引用例2.特開昭61-42024号公報
引用例3.特開平5-265589号公報
【3】当審の判断
(1)引用刊行物について
(1-1)上記引用例1(特表平5-504430号公報)は、「コンピュータシステムのための制御手段とそのような制御手段を有する表示装置」に関するものであって、その実施例及び図面、殊にFIG.5〜FIG.8に係わる記載を参酌すると、この引用例1には以下のような発明が開示されている。
「ボール(24)からなる回転操作体と、
前記回転操作体の回転角度を検出する検出手段と、
前記回転操作体を、該回転操作体の表面における対向部位を含む2箇所を操作可能に、側部の凹所(38)(40)に露出した状態で回転自在に保持するハウジング(10A)と、
前記ハウジング(10A)の凹所(38)(40)の上に取り外し可能で、いずれか一方に締結されるガード板(42)と、
を備えたコンピュータシステムのための制御装置。」
また、具体的構成についての記載として、以下の記載が認められる。
・「本発明は、在来マウスのボールの位置をハウジングの底からその一側壁へ移転することと、前記ボールまたは何らかのその他の制御装置が、ハウジングが水平の支持パッドまたはプレート上に横たわるときまたは手によって自由に保持されとき、それによってハウジングが掴まれる手の親指によって快適に操作され得るようにボールを位置させることを含む新規の特徴に存すると言われ得る。既知マウスのハウジングの周囲に掴持と同様に、本発明マウスの周囲の掴持は、親指が一方の側壁、即ちボールまたは何らかのその他の制御装置が本発明に従って配置される壁、に接しそしてボールが親指によって操作されるように確保され、これと同時に、小指及び/または薬指が他方の側壁に接して支持し、そして人差し指及び中指がハウジングの上側のキー上に横たわるようにして達成される。」(第4頁左下欄第1〜15行)、
・「ボール24Aが前記ハウジング内に回転可能にジャーナルによって支持されており、そして前記ボールの部分がハウジングの二つの側部に設けた開口を通って自由に突出しそしてその自由に接近できる部分34、36を前記ハウジングの側部の凹所38、40内に存在させて位置する。
前記ボールが妨害されることなしに回転することを可能ならしめ、一方、前記ハウジングの左側の前記ボールの自由部分34が前記ハウジングを上から掴保する右手の親指によって容易に接触され得るように、ガード板42が右側の凹所40の上に取り外し可能に締結される。
もし本制御手段が左利きの人によって使用されるべく意図されるならば、前記ガード板は前記ハウジングの反対側へ移転され、その結果、右側のボールの部分36が左手の親指にとって接近可能である。」(第5頁右下欄第21行〜第6頁左上欄第10行)
(1-2)同じく上記引用例2(特開昭61-42024号公報)は、「座標指示機」に関するものであって、その実施例及び図面、殊に第3、4図に係わる記載を参酌すると、これには以下のような発明が開示されている。
「球状の回転操作体(32)と、
前記回転操作体(32)の回転角度を検出する回転量検出器(33)と、
前記回転操作体(32)を、該回転操作体(32)の表面における対向部位を含む2箇所を操作可能に露出した状態で回転自在に保持する筐体(31)と、
を備えた座標指示機(マウス)。」
(1-3)同じく上記引用例3(特開平5-265589号公報)は、「可搬型情報処理機器」に関するものであって、その実施例及び図面第1〜4図に係わる記載を参酌すると、これには以下のような発明が開示されている。
「トラックボール(5)と、
前記トラックボール(5)の回転角度を検出する手段と、
前記トラックボール(5)を、操作可能に露出した状態で回転自在に保持する表示部筐体(2)と、
クリックボタン(6a〜7b)と、を備え、
前記クリックボタン(6a〜7b)を、前記表示部筐体(2)の前記トラックボール(5)と対向する他側面で、前記トラックボール(5)を操作する片手の指の範囲内の位置に配置した可搬型情報処理機器。」
(2)請求項1に係る発明について
(2-1)対比・判断
本願の請求項1に係る発明と上記刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、少なくとも以下の相違点を有するものと認められる。
(相違点)
回転操作体を、本願の請求項1に係る発明にあっては、回転操作体の表面における対向部位を含む「2箇所を指で挟んで操作可能に露出した状態」で回転自在に保持する構成であるのに対して、刊行物1にあっては、この構成が明示されていない点、
(2-2)検討
上記相違点について検討すると、上記引用例2、3のいずれにも、前記相違点に係る構成である回転操作体の表面における対向部位を含む「2箇所を指で挟んで操作可能に露出した状態」で回転自在に保持する構成は開示されていない。
また、上記引用例1においても、ボール(24)を操作可能に露出した状態で回転自在に保持するものではあるが、この引用例1では、ハウジング側部の凹所から突出するボール(24)は、一方の側部凹所がガード板(42)で覆われたものであり、該ガード板(42)は、前記摘記したように一方の側部凹所のボール(24)を覆うように設けることが必須構成として記載され、このガード板(42)を取り除いた状態で使用すること、すなわちハウジングの左右の両側部から突出したボール(24)を指で挟んで操作することを予定して構成したものではなく、このことは引用例1における本発明の目的(「融通性のある操作」)、ガード板(42)の移転に係わる作用効果の記載からも認められる。
そして、この相違点に係る構成(回転操作体の表面における対向部位を含む「2箇所を指で挟んで操作可能に露出した状態」で回転自在に保持する構成)について、本件出願時における当業者の技術常識を勘案しても、この構成が当業者に自明乃至周知の技術的事項、あるいは設計上の事項であるとも認められない。
したがって、少なくとも前記相違点に係る構成において、本願の請求項1に係る発明は、上記引用例1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
(2)請求項2乃至4に係る発明について
本願の請求項2乃至4に係る発明についても、各請求項に係る発明と前記引用例1に記載された発明とを対比すると、前記請求項1に係る発明と同様に、少なくとも前記相違点を有するものであり、その判断も同様であるからこれを引用することとし、本願の請求項2乃至4に係る発明は、いずれも上記引用例1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
【4】むすび
以上のとおりであるから、本願は、原査定の拒絶の理由を検討してもその理由によっては拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2003-01-15 
出願番号 特願平6-247879
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 久保田 昌晴前田 仁  
特許庁審判長 吉村 宅衛
特許庁審判官 下野 和行
治田 義孝
発明の名称 ポインティングディバイスおよび情報処理装置  
代理人 山川 雅男  

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