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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G11B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G11B
審判 査定不服 特39条先願 取り消して特許、登録 G11B
管理番号 1070197
審判番号 不服2001-20959  
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-11-22 
確定日 2003-01-22 
事件の表示 平成5年特許願第132809号「記録用媒体駆動装置」拒絶査定に対する審判事件〔平成6年11月25日出願公開、特開平6-325484、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 [1] 手続の経緯、本願発明
本願は、平成5年5月10日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成13年12月19日付けで補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 筒状部材の基部の環状端面に有する複数の突起が、薄板平板からなる基盤を貫通する複数の嵌合孔に嵌合してその基盤に固定されることにより、前記筒状部材が前記基盤に立設され、ステータコアの環状基部から径方向外方へ突設されたコア歯にステータコイルが巻回され、ステータコアの環状基部が前記筒状部材に嵌合固定されてなる記録用媒体駆動装置であって、
リング部材のリング部から軸線方向に突設された嵌合凸部が、コア歯の外周部同士の周方向間隙に嵌合し、
コア歯の外周部の底面に、リング部のうち軸線方向一方側が接し、
リング部のうち軸線方向他方側は、基盤に接しており、
基盤と、環状基部及び筒状部材と、コア歯及びリング部材とにより囲繞された空間内に充填接着剤が充填され、基盤、筒状部材、ステータコア、ステータコイル及びリング部材が、その充填接着剤により一体的に固定されていることを特徴とする記録用媒体駆動装置。」(以下、「本願発明」という。)

[2]原査定の概要
これに対して原査定の拒絶の理由の概要は次のとおりである。
(1)この出願の請求項1に係る発明は、下記の刊行物に記載された発明であり、さらに下記の刊行物に記載された発明に基いてその出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるからから、特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

1.実願平2-001462号(実開平3-094076号)のマイクロフィルム(以下「刊行物1」という。)
2.特開平1-290163号公報(以下「刊行物2」という。)


(2)この出願の請求項1に係る発明は、その出願日前の下記の特許出願に係る発明と同一であるから、特許法第39条第1項の規定により特許を受けることができない。

3.特願平5-051336号(特開平6-245457号)
4.特願平5-018038号(特開平6-203469号)

[3]原査定の拒絶理由に対する判断
理由(1)について
刊行物1,2には、以下の事項が記載されている。
刊行物1
「このような実施例においては、ステータコア18とモータフレーム11との間である本来無用な空間部分に樹脂材22が充填されることとなっており、これによりモータ内空間を有効に利用しつつモータフレーム11の剛性が向上されるようになっている。すなわちモータフレーム11の肉厚を増すことなくモータ剛性が増大されおり、・・・・・・樹脂材22のダンパー作用によって振動加速度が低減されて非再現振れ全体のレベルおよび騒音レベルが下げられている。」(第7頁第2行〜第13行)

刊行物2
「第10図の磁気ディスク駆動用モータ130は、第6実施例で、磁気ディスク装置A全体の厚みを薄くするために、下側のベアリング49を取り囲むように、ベース131に形成した環状の突壁135に電機子43を圧入したものである。」(第5頁右上欄第2行〜第7行)

以上、刊行物1,2には、いずれも本願発明の「筒状部材の基部の環状端面に有する複数の突起が、薄板平板からなる基盤を貫通する複数の嵌合孔に嵌合してその基盤に固定されることにより、前記筒状部材が前記基盤に立設」した点、「ステータコアの環状基部から径方向外方へ突設されたコア歯にステータコイルが巻回され、ステータコアの環状基部が前記筒状部材に嵌合固定され」、「リング部材のリング部から軸線方向に突設された嵌合凸部が、コア歯の外周部同士の周方向間隙に嵌合し、 コア歯の外周部の底面に、リング部のうち軸線方向一方側が接し、 リング部のうち軸線方向他方側は、基盤に接しており、 基盤と、環状基部及び筒状部材と、コア歯及びリング部材とにより囲繞された空間内に充填接着剤が充填され、基盤、筒状部材、ステータコア、ステータコイル及びリング部材が、その充填接着剤により一体的に固定されている」の点は記載も示唆もされていない。

そして、本願発明は、上記の点を備えることにより、明細書に記載された次の作用・効果を奏するものである。
(i) 基盤に対する筒状部材の固定、リング部材とステータコアとの嵌合、及び筒状部材に対するステータコアの環状基部の嵌合によって形成された、基盤と、ステータコアの環状基部及び筒状部材と、コア歯及びリング部材とによる囲繞空間内に、そのままの状態で容易に充填接着剤を充填して固化させることができる。また基盤は平板状であって、基盤に嵌合凸部及び筒状部材に対応する環状部分を一体に形成する場合のように基盤に加工を施す必要がない。それゆえ、全体として効率良く製造することができる。
(ii) リング部材の嵌合凸部の、コア歯の外周部同士の周方向間隙に対する嵌合、及び基盤立設した筒状部材に対するステータコアの環状基部の嵌合固定、並びに充填接着剤による、基盤、筒状部材、ステータコア、ステータコイル及びリング部材の一体的固定により、基盤が平板状であるにも拘らず、それら全体の強度及び剛性が高められ、それによってステータコアを含めたそれら全体の固有振動数が高められて共振の発生が良好に防止され、振動が効果的に抑制される。そのため、回転精度の向上させ、記録用媒体に対する記録密度を高めることが可能となる。そして、基盤が平板状であるから、嵌合凸部や環状部分等を加工することが困難な薄い板を使用することもでき、装置全体を薄型化する上で効果が高い。また、筒状部材及びリング部材が基盤に直接固定されるものであるため、ステータの底板が省略されて装置全体が薄型化される。

してみれば、本願発明は、上記刊行物の発明の何れとも同一のものとすることができないばかりでなく、また上記刊行物の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。

理由(2)について
刊行物3,4には、以下の事項が記載されている。
刊行物3
「【請求項1】
ステータコアの環状基部から径方向外方へ突設されたコア歯にステータコイルが捲回され、ステータコアの環状基部が、基盤に設けられた環状周壁部に嵌合固定されてなる記録用媒体駆動装置であって、
リング部材のリング部から軸線方向に突設された嵌合凸部が、コア歯の外周部同士の周方向間隙に嵌合し、
コア歯の外周部の底面に、リング部のうち軸線方向一方側が接し、
リング部のうち軸線方向他方側は、基盤に接しており、
基盤と、環状基部と、コア歯と、リング部材とにより囲繞された空間内に充填接着剤が充填され、少なくとも基盤、ステータコア、ステータコイル及びリング部材が、その充填接着剤により一体的に固定されていることを特徴とする記録用媒体駆動装置。」

刊行物4
「【請求項1】
基盤にスピンドルモータ部が設けられ、スピンドルモータ部におけるステータコアの環状基部から径方向外方へ突設されたコア歯にステータコイルが捲回され、ステータコアの環状基部が、基盤に設けられた環状周壁部に嵌合固定されてなる記録用媒体駆動装置であって、
前記コア歯の外周部の底面に、基盤に設けられたコア歯支持部が密接し、
コア歯支持部から軸線方向に突設された嵌合凸部が、コア歯の外周部同士の周方向間隙に密接に嵌合しており、
基盤と、環状基部と、コア歯と、コア歯支持部と、嵌合凸部とにより囲繞された空間内に充填接着剤が充填され、基盤、環状基部、コア歯、コア歯支持部、嵌合凸部及びステータコイルが、その充填接着剤により一体的に固定されていることを特徴とする記録用媒体駆動装置。」

以上、刊行物3,4には、何れも本願発明の「筒状部材の基部の環状端面に有する複数の突起が、薄板平板からなる基盤を貫通する複数の嵌合孔に嵌合してその基盤に固定されることにより、前記筒状部材が前記基盤に立設」した点の記載がない。

してみれば、本願発明は刊行物3,4のいずれの発明とも同一とすることはできない。

[4] むすび
以上のとおりであって、本願は、原査定の拒絶の理由によって、拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2002-12-06 
出願番号 特願平5-132809
審決分類 P 1 8・ 4- WY (G11B)
P 1 8・ 113- WY (G11B)
P 1 8・ 121- WY (G11B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 齊藤 健一  
特許庁審判長 張谷 雅人
特許庁審判官 相馬 多美子
田良島 潔
発明の名称 記録用媒体駆動装置  

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