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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 H01G 審判 全部申し立て 2項進歩性 H01G |
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管理番号 | 1070387 |
異議申立番号 | 異議2002-70299 |
総通号数 | 38 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1999-09-17 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-02-05 |
確定日 | 2002-10-21 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3196713号「セラミック電子部品の製造方法」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3196713号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第3196713号の請求項1ないし2に係る発明の手続きの経緯は、以下のとおりである。 出願 平成10年3月2日 設定登録 平成13年6月8日 特許異議の申立て 平成14年2月5日 (雨山範子) 取消理由通知 平成14年4月26日(起案日) 意見書、訂正請求書 平成14年7月15日 取消理由通知 平成14年9月9日(起案日) 平成14年7月15日付け訂正請求取下書 平成14年9月18日 意見書、訂正請求書 平成14年9月18日 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 特許権者が求めている、平成14年9月18日付け訂正請求書に添付された訂正明細書における訂正の内容は以下のとおりである。 ア.訂正事項a 特許請求の範囲の請求項1の記載について、「この導電体層を前記セラミックシート上に転写するステップ」を「加熱により前記導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて、前記導電体層を前記セラミックシート上に転写するステップ」と、「さらにその上に前記セラミックシートおよび前記導電体層を交互に複数回転写し、積層体を得るステップ」を「さらにその上に前記セラミックシートおよび前記導電体層を加熱により前記導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて、交互に複数回転写し、積層体を得るステップ」と、「前記導電体層中に含まれる有機物は、前記セラミックシート中に含まれる有機物と少なくとも1種類以上が同一である」を「前記導電体層中に含まれる有機物は、前記導電体層と前記セラミックシート間の接着力を高めることができるように前記セラミックシート中に含まれる有機物と少なくとも1種類以上が同一である」と訂正する。 イ.訂正事項b 明細書の段落【0007】の記載について、 「 【課題を解決するための手段】 この目的を達成するために本発明のセラミック電子部品の製造方法は、セラミック成分と少なくとも1種類以上の有機物からなるセラミックシートを準備するステップと、支持体上に離型層を介して金属成分と少なくとも1種類以上の有機物からなる導電体層を形成するステップと、この導電体層を前記セラミックシート上に転写するステップと、さらにその上に前記セラミックシートおよび前記導電体層を交互に複数回転写し、積層体を得るステップと、この積層体を焼成するステップとを有し、前記導電体層中に含まれる有機物は、前記セラミックシート中に含まれる有機物と少なくとも1種類以上が同一であることを特徴とするものであり、支持体からの離型性が従来よりも向上し、支持体から導電体層を完全にセラミックシート上に転写、移行させることができ、上記目的を達成することができる。」を 「 【課題を解決するための手段】 この目的を達成するために本発明のセラミック電子部品の製造方法は、セラミック成分と少なくとも1種類以上の有機物からなるセラミックシートを準備するステップと、 支持体上に離型層を介して金属成分と少なくとも1種類以上の有機物からなる導電体層を形成するステップと、 加熱により前記導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて、前記導電体層を前記セラミックシート上に転写するステップと、 さらにその上に前記セラミックシートおよび前記導電体層を加熱により前記導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて、交互に複数回転写し、積層体を得るステップと、 この積層体を焼成するステップとを有し、 前記導電体層中に含まれる有機物は、前記導電体層とセラミックシート間の接着力を高めることができるように前記セラミックシート中に含まれる有機物と少なくとも1種類以上が同一であることを特徴とするものであり、支持体からの離型性が従来よりも向上し、支持体から導電体層を完全にセラミックシート上に転写、移行させることができ、上記目的を達成することができる。」と訂正する。 ウ.訂正事項c 明細書の段落【0008】の記載について、 「 【発明の実施の形態】 本発明の請求項1に記載の発明は、セラミック成分と少なくとも1種類以上の有機物からなるセラミックシートを準備するステップと、支持体上に離型層を介して金属成分と少なくとも1種類以上の有機物からなる導電体層を形成するステップと、この導電体層を前記セラミックシート上に転写するステップと、さらにその上に前記セラミックシートおよび前記導電体層を交互に複数回転写し、積層体を得るステップと、この積層体を焼成するステップとを有し、前記導電体層中に含まれる有機物は、前記セラミックシート中に含まれる有機物と少なくとも1種類以上が同一であるセラミック電子部品の製造方法であり、支持体上に導電体層が離型層を介して形成されているとともに、導電体層中に含まれる有機物の少なくとも1種類以上がセラミックシート中に含まれる有機物と同一であるために、導電体層とセラミックシート間の接着性が向上し、導電体層のセラミックシートへの移行が容易となり、支持体からの離型性が従来よりも向上し、支持体から導電体層を完全にセラミックシート上に転写、移行させることができ、安定した電気的特性を有するセラミック電子部品を得ることができる。」を 「 【発明の実施の形態】 本発明の請求項1に記載の発明は、セラミック成分と少なくとも1種類以上の有機物からなるセラミックシートを準備するステップと、 支持体上に離型層を介して金属成分と少なくとも1種類以上の有機物からなる導電体層を形成するステップと、 加熱により前記導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて、前記導電体層を前記セラミックシート上に転写するステップと、 さらにその上に前記セラミックシートおよび前記導電体層を加熱により前記導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて、交互に複数回転写し、積層体を得るステップと、 この積層体を焼成するステップとを有し、 前記導電体層中に含まれる有機物は、前記導電体層とセラミックシート間の接着力を高めることができるように前記セラミックシート中に含まれる有機物と少なくとも1種類以上が同一であるセラミック電子部品の製造方法であり、支持体上に導電体層が離型層を介して形成されているとともに、導電体層中に含まれる有機物の少なくとも1種類以上がセラミックシート中に含まれる有機物と同一であるために、導電体層とセラミックシート間の接着性が向上し、導電体層のセラミックシートへの移行が容易となり、支持体からの離型性が従来よりも向上し、支持体から導電体層を完全にセラミックシート上に転写、移行させることができ、安定した電気的特性を有するセラミック電子部品を得ることができる。」と訂正する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 上記訂正事項aは、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された「この導電体層を前記セラミックシート上に転写するステップと、さらにその上に前記セラミックシートおよび前記導電体層を交互に複数回転写し、積層体を得るステップと、この積層体を焼成するステップとを有し、前記導電体層中に含まれる有機物は、前記セラミックシート中に含まれる有機物と少なくとも1種類以上が同一である」をより下位概念である「加熱により前記導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて、前記導電体層を前記セラミックシート上に転写するステップと、さらにその上に前記セラミックシートおよび前記導電体層を加熱により前記導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて、交互に複数回転写し、積層体を得るステップと、この積層体を焼成するステップとを有し、前記導電体層中に含まれる有機物は、前記導電体層と前記セラミックシート間の接着力を高めることができるように前記セラミックシート中に含まれる有機物と少なくとも1種類以上が同一である」と訂正するものであり、この訂正事項aは、願書に添付した明細書の段落番号【0019】の「導電体層14の転写とは、加熱により導電体層14中およびセラミックシート中の有機成分をやや軟化させ、加圧により両者の接触面積を増大させ、両者の接着性を誘発すると同時に離型層13からの分離を促すものである。」及び「さらに導電体層14中にセラミックシート11中に含まれる有機成分と同一の有機成分を混入させることは、導電体層14とセラミックシート11間の接着力を高めることができるために導電体層14の転写を容易にすることができる。」部分の記載を根拠にしているので、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、上記訂正事項b及びcは、上記訂正事項aにより訂正された特許請求の範囲の記載との整合を図るためのものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正に該当する。 そして、いずれも、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内であり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 (3)むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項から第4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議の申立てについて (1)申立の理由及び取消理由通知について a.申立の理由の概要 特許異議申立人は、本件訂正前明細書の請求項1に係る特許発明は、甲第1号証(特開平9-227703号公報)に開示されたものであるから、特許法第29条第1項の規定に該当し、特許法第113条第2項の規定により取り消すべきものであり、また、本件訂正前明細書の請求項2に係る特許発明は、甲第1号証(特開平9-227703号公報)から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当し、特許法第113条第2項の規定により取り消すべきものである旨、主張している。 b.取消理由通知の内容 平成14年4月26日付け(起案日)、及び平成14年9月9日付け(起案日)の取消理由通知の内容は、いずれも同じ内容であり、次のとおりのものである。 「刊行物.特開平9-227703号公報(申立人の提出した甲第1号証) 本件請求項1ないし2に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 上記刊行物には、特許異議申立書第3頁第32行〜第4頁第29行記載の発明が記載されている(ただし、「甲第1号証」は、「刊行物」と読み替える。)。 そして、特許異議申立書第4頁第30行〜第5頁第27行記載の理由(ただし、「甲第1号証」は、「刊行物」と読み替える。)により、本件請求項1に係る発明は、その出願前に国内において頒布された上記刊行物に記載の発明と同一であり、また、本件請求項2に係る発明は、その出願前に国内において頒布された上記刊行物に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたも のである。 また、本件請求項1に係る発明が「セラミックシートおよび導電体層を交互に複数回転写し、積層体を得る」のに対して、上記刊行物に記載された発明が「必要な枚数のシートを積み重ね、加熱加圧し、多層基板からなるシートを作製する」点で、相違しているとしても、積層体を得るために、セラミックシートおよび導電体層を交互に複数回転写することは周知技術(この点、必要ならば、例えば、特開平2-26620号公報、特開昭59-56719号公報、特開昭57-40913号公報、特開昭56-37619号公報)であるから、必要な枚数のシートを積み重ね、加熱加圧することに代えて、セラミックシートおよび導電体層を交互に複数回転写するように構成することは、当業者が適宜なし得た程度のことであり、本件請求項1に係る発明は、上記刊行物に記載の発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本件請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、また、本件請求項1ないし2に係る発明は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるので、本件請求項1ないし2に係る発明の特許は取り消されるべきである。」 (2)本件請求項1ないし2に係る発明 上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件請求項1ないし2に係る発明は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】セラミック成分と少なくとも1種類以上の有機物からなるセラミックシートを準備するステップと、 支持体上に離型層を介して金属成分と少なくとも1種類以上の有機物からなる導電体層を形成するステップと、 加熱により前記導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて、前記導電体層を前記セラミックシート上に転写するステップと、 さらにその上に前記セラミックシートおよび前記導電体層を加熱により前記導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて、交互に複数回転写し、積層体を得るステップと、 この積層体を焼成するステップとを有し、 前記導電体層中に含まれる有機物は、前記導電体層と前記セラミックシート間の接着力を高めることができるように前記セラミックシート中に含まれる有機物と少なくとも1種類以上が同一であるセラミック電子部品の製造方法。 【請求項2】離型層の大きさは、セラミックシートよりも大きい請求項1に記載のセラミック電子部品の製造方法。」 (3)刊行物に記載された発明 当審で通知した取消しの理由で引用した刊行物(特開平9-227703号公報(申立人の提出した甲第1号証))には、以下のような事項が記載されている。 「本発明におけるセラミックグリーンシート基板としては、通常のセラミックグリーンシート、感光性グリーンシートまたはこれらの焼成基板を使用できる。すなわち、セラミックス粉末、有機バインダー、可塑剤、溶媒および必要に応じて分散剤などを適宜配合した後、混合してスラリーとした後、該スラリーをドクターブレード法などの公知の方法によってシートとしたものである。通常、セラミックグリーンシートの厚みは50〜300μm程度である。セラミックグリーンシート基板に含有されるセラミック粉末としては特に限定されず、低温あるいは高温焼成用などの公知のセラミック絶縁原料がいずれも適用できる。通常、低温用は850〜1000℃、高温用は1400〜1650℃で焼結できるセラミック絶縁材料である。」(【0013】段落)こと、「(a)セラミックス粉末 ;70〜95重量% (b)側鎖にカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体と光反応性化合物;30〜5重量部 (c)光重合開始剤 ;(b)に対して2〜25重量% (d)紫外線吸光剤 ;(a)に対して0.01〜5重量% 上記においてより好ましくは、セラミックス粉末(a)、(b)および(d)成分のそれぞれを75〜90重量%、25〜10重量%、および0.05〜1重量%の範囲に選択するのがよい。この範囲にあると露光時において紫外線が良く透過し、光硬化の機能が十分発揮され、後の現像時における未露光部の残膜の発生をほとんどなくすことができ、高い真円度を有するビアホールの形成ができる。また特に(b)成分であるアクリル系共重合体と光反応性化合物の合計量をこの範囲にすることにより焼成後の焼結体が緻密になり、高強度のセラミックス基板が得られる利点がある。感光性樹脂組成物中には、必要に応じて安定化剤、増感剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、分散剤、有機あるいは無機の沈殿防止剤などを添加することもできる。感度を向上させるために、2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンなどの増感剤を用いてもよい。増感剤の中には光重合開始剤としても使用できるものがある。」(【0018】段落)こと、「転写用のベースフィルムとしては、たとえばポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルムなどが用いられる。本目的のフィルムとしては転写や露光・現像時のハンドリング性に優れ、適度な離型性を有するフィルムが好ましい。とりわけ、ベースフィルムとして、耐熱性、耐久性に優れ、パンチング性がよく、汎用で安価なポリエステルフィルムを用いるのが好ましい。この様な転写フィルムの物性としては次の範囲で選択するのが好ましい (a)フィルム厚み ;25〜300μm (b)引張強度 ;3000〜5000MPa (c)表面状態 ;0.02〜0.15μm 上記のフィルムには、表面にワックスコート、メラミンコートあるいはシリコンコートなどの離型処理が施されることが必要である。」(【0024】段落)こと、「塗布方法は、塗布液をフィルム上にバーコート、ディップコート、スピンコートなどの一般的な方法で塗布し、乾燥を90〜160℃、10〜60秒で行う。一定厚みに塗布された溶液は乾燥後、溶媒部分が揮発して離型剤による剥離層が形成される。剥離層の厚みは、離型剤溶液の濃度と、塗布膜の厚みに依存する。たとえば、濃度0.1%の離型剤溶液をフィルム上に、厚さ10μmで均一に塗布した後、乾燥により溶媒を揮発させると、約10nmの剥離層が形成されることになる。」(【0025】段落)こと、「こうして得た転写フィルムをセラミックグリーンシート、またはセラミック焼成基板に重ね合わせた後、100℃〜150℃に加熱した加圧用ローラーで1〜1.5MPaで加圧して導体パターンをセラミックグリーンシートに転写する。」(【0030】段落)こと、「次に必要な枚数のシートをガイド孔を用いて積み重ね、90〜130℃の温度で5〜20MPaの圧力で接着し、多層基板からなるシートを作製する。」(【0032】段落)こと、「次に、焼成炉にて上記のシートを焼成し、ビアホールへの導体充填およびパターン形成されたセラミックス多層基板が作製される。」(【0033】段落)こと、「つぎに、パターン形成に用いるペーストの作製方法について述べる。」(【0035】段落)こと、「感光性導電ペーストの作製に用いる導電粉末は、銅、銀、金、パラジウム、ニッケル、モリブデンおよびタングステンがある。」(【0036】段落)こと、「これに、40%のメタアクリル酸(MAA)、30%のメチルメタアクリレート(MMA)および30%のスチレン(St)からなる共重合体のカルボキシル基(MAA)に対して0.4当量(40%に相当する)のグリシジルメタアクリレート(GMA)を付加反応させたポリマーとトリメチロール・プロパン・トリアクリラートを添加したモノマーを加える。」(【0037】段落)こと、「さらに、溶媒として、γ-ブチロラクトン、光重合開始剤として、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパノン-1と2,4-ジエチルチオキサントンを添加した(ポリマーとモノマーとの総和に対してそれぞれ20%)が用いる。」(【0038】段落)ことが記載されている。 また、当審で通知した取消しの理由で周知例とした特開平2-26620号公報、特開昭59-56719号公報、特開昭57-40913号公報、特開昭56-37619号公報には、積層体を得るために、セラミックシートおよび導電体層を交互に複数回転写するという周知技術が記載されている。 (4)対比・判断 a.本件請求項1に係る発明について 本件請求項1に係る発明と前記刊行物に記載の発明とを対比すると、刊行物の「セラミックグリーンシート」、「導体パターン」は、それぞれ本件請求項1に係る発明の「セラミックシート」、「導電体層」に相当するので、両者は、「セラミック成分と少なくとも1種類以上の有機物からなるセラミックシートを準備するステップと、支持体上に離型層を介して金属成分と少なくとも1種類以上の有機物からなる導電体層を形成するステップと、前記導電体層を前記セラミックシート上に転写するステップと、積層体を得るステップと、この積層体を焼成するステップとを有し、前記導電体層中に含まれる有機物は、前記セラミックシート中に含まれる有機物と少なくとも1種類以上が同一であるセラミック電子部品の製造方法。」である点で一致しているが、転写にあたり、本件請求項1に係る発明が、加熱により導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて転写しているのに対して、前記刊行物に記載の発明は、熱圧着により導電体層をセラミックシート上に転写している点(相違点1)、積層体を得るステップとして、本件請求項1に係る発明が、さらにその上に前記セラミックシートおよび前記導電体層を加熱により前記導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて、交互に複数回転写しているのに対して、前記刊行物に記載の発明は、必要な枚数のシートを積み重ね、加熱加圧している点(相違点2)、本件請求項1に係る発明が、前記セラミックシート中に含まれる有機物と少なくとも1種類以上が同一である前記導電体層中に含まれる有機物は、前記導電体層と前記セラミックシート間の接着力を高めることができるものであるのに対して、前記刊行物に記載の発明は、セラミックシート中に含まれる有機物と同一である導電体層中に含まれる有機物は、2,4-ジエチルチオキサントンであり、光重合開始剤、又は増感剤である点(相違点3)で相違している。 そこで、上記相違点のうち、まず、相違点3について検討すると、前記刊行物には、前記2,4-ジエチルチオキサントンが、導電体層とセラミックシート間の接着力を高めることができるものであることについては、記載も示唆もなく、本件請求項1に係る発明は、相違点3に係る構成要件により、「導電体層中にセラミックシート中に含まれる有機成分と同一の有機成分を混入させることは、導電体層とセラミックシート間の接着力を高めることができるために導電体層の転写を容易にすることができる。」という明細書記載の顕著な作用効果を奏するものである。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件請求項1に係る発明は、前記刊行物に記載の発明であるとはいえず、また、前記刊行物に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。 b.本件請求項2に係る発明について 本件請求項2に係る発明は、本件請求項1に係る発明を引用し、さらに限定した発明であるから、本件請求項1に係る発明と同様に、前記刊行物に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1ないし2に係る発明の特許を取り消すことができない。 そして、他に本件請求項1ないし2に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 セラミック電子部品の製造方法 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 セラミック成分と少なくとも1種類以上の有機物からなるセラミックシートを準備するステップと、 支持体上に離型層を介して金属成分と少なくとも1種類以上の有機物からなる導電体層を形成するステップと、 加熱により前記導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて、前記導電体層を前記セラミックシート上に転写するステップと、 さらにその上に前記セラミックシートおよび前記導電体層を加熱により前記導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて、交互に複数回転写し、積層体を得るステップと、 この積層体を焼成するステップとを有し、 前記導電体層中に含まれる有機物は、前記導電体層と前記セラミックシート間の接着力を高めることができるように前記セラミックシート中に含まれる有機物と少なくとも1種類以上が同一であるセラミック電子部品の製造方法。 【請求項2】 離型層の大きさは、セラミックシートよりも大きい請求項1に記載のセラミック電子部品の製造方法。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、例えば積層セラミックコンデンサ等のセラミック電子部品の製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 図4は本発明に関する技術の背景となるセラミック電子部品の一例としての一般的な積層セラミックコンデンサの一部を破断して示す切り欠き斜視図である。図4において、1はセラミック誘電体層、2は内部電極、3は外部電極であり、内部電極2はおのおの外部電極3に接続されている。 【0003】 以下に従来の積層セラミックコンデンサの製造方法について説明する。 まずセラミック誘電体層1となるセラミックシートは、チタン酸バリウム等の誘電体材料と、ポリビニルブチラール等のバインダ成分と、ベンジルブチルフタレート等の可塑剤成分と、溶剤成分等とを混合し、スラリー化した後、ドクターブレード法を用いてPET等の支持体上に形成する。通常、乾燥後のセラミックシートの厚みは約5〜50μmである。 【0004】 次にポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETフィルムとする)等の支持体上に、例えばパラジウムやニッケル等の内部電極2となる導電体ペーストを印刷法により導電体層を複数形成し、乾燥する。導電体層の厚みは、薄い場合には焼成時の焼結収縮により、非連続的な状態となり、静電容量の低下を招く恐れがあるために、約2〜4μmに形成する。次いでPETフィルム上に形成した導電体層とセラミックシートとを交互に熱転写によって積み重ね、積層体を得る。積層体は所望の大きさに切断された後、焼成し、両端面に外部電極3を設けて いた(例えば、特公平5-25381号公報参照)。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、支持体上に形成した導電体層をセラミックシート上に熱転写する場合において、導電体層が支持体上からセラミックシート上に完全に転写、移行しないことがある。この場合には、焼成後内部電極2が非連続的な状態となり、十分な静電容量が得られなかったり、ばらつきが発生するといった積層セラミックコンデンサとしての品質の不具合が発生する。 【0006】 そこで本発明は、支持体から導電体層を完全にセラミックシート上に転写、移行させることにより、安定した電気的特性を有するセラミック電子部品を提供することを目的とするものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】 この目的を達成するために本発明のセラミック電子部品の製造方法は、セラミック成分と少なくとも1種類以上の有機物からなるセラミックシートを準備するステップと、 支持体上に離型層を介して金属成分と少なくとも1種類以上の有機物からなる導電体層を形成するステップと、 加熱により前記導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて、前記導電体層を前記セラミックシート上に転写するステップと、 さらにその上に前記セラミックシートおよび前記導電体層を加熱により前記導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて、交互に複数回転写し、積層体を得るステップと、 この積層体を焼成するステップとを有し、 前記導電体層中に含まれる有機物は、前記導電体層とセラミックシート間の接着力を高めることができるように前記セラミックシート中に含まれる有機物と少なくとも1種類以上が同一であることを特徴とするものであり、支持体からの離型性が従来よりも向上し、支持体から導電体層を完全にセラミックシート上に転写、移行させることができ、上記目的を達成することができる。 【0008】 【発明の実施の形態】 本発明の請求項1に記載の発明は、セラミック成分と少なくとも1種類以上の有機物からなるセラミックシートを準備するステップと、 支持体上に離型層を介して金属成分と少なくとも1種類以上の有機物からなる導電体層を形成するステップと、 加熱により前記導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて、前記導電体層を前記セラミックシート上に転写するステップと、 さらにその上に前記セラミックシートおよび前記導電体層を加熱により前記導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて、交互に複数回転写し、積層体を得るステップと、 この積層体を焼成するステップとを有し、 前記導電体層中に含まれる有機物は、前記導電体層とセラミックシート間の接着力を高めることができるように前記セラミックシート中に含まれる有機物と少なくとも1種類以上が同一であるセラミック電子部品の製造方法であり、支持体上に導電体層が離型層を介して形成されているとともに、導電体層中に含まれる有機物の少なくとも1種類以上がセラミックシート中に含まれる有機物と同一であるために、導電体層とセラミックシート間の接着性が向上し、導電体層のセラミックシートへの移行が容易となり、支持体からの離型性が従来よりも向上し、支持体から導電体層を完全にセラミックシート上に転写、移行させることができ、安定した電気的特性を有するセラミック電子部品を得ることができる。 【0009】 【0010】 【0011】 請求項2に記載の発明は、離型層の大きさをセラミックシートよりも大きくすることを特徴とする請求項1に記載のセラミック電子部品の製造方法であり、導電体層をセラミックシート上に転写する際に、セラミックシートと支持体の接着を防止し、セラミックシート間の剥離を抑制することができる。 【0012】 【0013】 以下、本発明の一実施の形態について、積層セラミックコンデンサを例に図面を参照しながら説明する。 【0014】 (実施の形態1) 図1は本実施の形態における離型層13を介して、PETフィルムなどの支持体であるベースフィルム12上に形成された導電体層14を示す断面図である。 【0015】 図2はベースフィルム12上に形成されたセラミックシート11を示す断面図である。 【0016】 図3は積層工程を示す工程図である。支持台15上に複数のセラミックシート11を転写後、ベースフィルム12上に離型層13を介して形成された導電体層14を、セラミックシート11上に転写するものである。 【0017】 図4はセラミック電子部品の一例として示す積層セラミックコンデンサの切り欠き斜視図である。1はセラミック誘電体層、2は内部電極、3は外部電極であり、内部電極2はおのおの外部電極3に接続されている。 【0018】 次にニッケルを内部電極2とする積層セラミックコンデンサの製造方法について説明する。 【0019】 まずチタン酸バリウム等の誘電体材料と、ポリビニルブチラール系のバインダ成分と、可塑剤成分としてジブチルフタレート、溶剤成分として酢酸ブチルを混合し、スラリー化した後、ドクターブレード法を用いて図2に示すベースフィルム12上にセラミックシート11を形成する。一方、図1に示すように離型層13を形成しておいたベースフィルム12を準備し、離型層13上に内部電極2となる導電体層14としてニッケルペーストを所定のパターン状にスクリーン印刷やグラビア印刷の印刷法などで形成し、乾燥する。ニッケルペースト中には、ニッケル粉末と溶剤の他、有機バインダ成分が含まれている。溶剤としては、脂肪族ナフサ、芳香族ナフサ、テルピネオール、有機バインダ成分としてはエチルセルロースを用いることが一般的である。乾燥後のニッケルペースト中には、大部分の有機溶剤は飛散し、金属成分と有機バインダ成分のみとなる。次に、積層工程について図3を参照しながら説明する。まず支持台15上に複数枚セラミックシート11を積層後、導電体層14を被導電体層形成面側から加圧かつ加熱により、セラミックシート11上に転写する。次に、セラミックシート11と導電体層14を交互に所望の回数転写し、その上にセラミックシート11を複数枚積層することによって切断前の積層体を得ることができる。導電体層14の転写とは、加熱により導電体層14中およびセラミックシート中の有機成分をやや軟化させ、加圧により両者の接触面積を増大させ、両者の接着性を誘発すると同時に離型層13からの分離を促すものである。ニッケルペースト中に含まれる有機バインダとして、一般的なエチルセルロース系を用いた場合、60℃〜140℃、50kg/cm2〜150kg/cm2の条件で十分な転写を行うことができる。60℃以下の場合には有機成分の十分な軟化は望めないし、150℃以上の場合にはPETフィルムなどのベースフィルム12が劣化してしまう。さらに導電体層14中にセラミックシート11中に含まれる有機成分と同一の有機成分を混入させることは、導電体層14とセラミックシート11間の接着力を高めることができるために導電体層14の転写を容易にすることができる。このように本発明はニッケルペーストなどの金属ペーストを用いて行うものであり、金属ペーストは金属成分と有機成分とからなる場合についてのみ効果を発揮するものである。しかしながら、高積層品を作製する場合には、転写時の熱が積層体内部に蓄積し、有機成分の軟化を誘発するためにセラミックシート11が伸びて、精度良く積層を行うことができないこともある。そのため、転写時の積層体の温度を、積層体中の有機成分の軟化点よりも低くしておくことが好ましい。また、離型層13がベースフィルム12よりも小さくかつセラミックシート11よりも小さい場合には導電体層14を転写するときにベースフィルム12とセラミックシート11が直接接触し、セラミックシート11を剥離させてしまう場合がある。その結果焼結体は構造欠陥を有し、良品を得ることができなくなるので、離型層13の大きさはセラミックシート11よりも大きくしておくことが重要である。 【0020】 その後積層体をチップ状に切断し、大気中、350℃にて脱脂が行われた後、窒素、水素からなる還元雰囲気中1300℃で焼成される。この焼成によりチタン酸バリウムを主成分とするセラミック誘電体層1とニッケルを主成分とする内部電極2が同時に焼結した焼結体を得る。なお、焼成後の焼結体寸法は約縦3.1mm、横1.5mmであり、内部電極2間のセラミック誘電体層1の厚みは5μm、内部電極2の厚みは1.8μmであった。次いでこの焼結体の内部電極2の露出した両端面に銅の外部電極3が形成され、図4に示す積層セラミックコンデンサとなる。本発明の一実施の形態として、厚み9μmのセラミックシート11と厚み2.5μmの導電体層14を用い、各々100枚転写、積層を行い、そのときの導電体層14のセラミックシート11上への転写性および焼成後の積層セラミックコンデンサの静電容量を測定し、評価を行った。比較のために、離型層13を形成していないベースフィルム12も準備し、同様に導電体層14を形成し、転写性および静電容量を離型層13を形成した場合と比較している。転写性については、導電体層14を転写後のベースフィルム12側に残留する導電体層14の割合を全パターン重量に対する割合で示している。転写性および静電容量の測定結果を(表1)に示す。 【0021】 【表1】 【0022】 離型層13を設けた場合については、転写がほぼ完全に行われていることがわかる。一方、離型層13を設けなかった場合については、導電体層14の転写が不十分であるために十分な静電容量が得られていない。この結果から、ベースフィルム12上に離型層13を介して有機成分を含む導電体層14を形成し、セラミックシート11上に転写することにより、転写性を十分に改善することができると言える。その結果、導電体層14の転写不良による静電容量のばらつきや低下といった積層セラミックコンデンサとしての致命的な不良を抑制することができ、歩留まりの向上に対して絶大な効果がある。 【0023】 以下本発明に関し、重要な点について記載する。 (1)離型層13は、ニッケルペーストの印刷時に、はじきが発生を防ぎ、離型層13上に精度良く導電体層14を形成するために、ニッケルペースト中の溶剤成分と離型層13とのぬれ性が良いことが必要である。 (2)また離型層13は、転写時の導電体層14の離型性が著しく劣化するのを防ぐため、ニッケルペースト中の溶剤成分と化学反応を起こさないことが望まれる。 (3)さらに離型層13は、積層精度を向上させるため、積層時の圧力および熱によって軟化したり、変質したりしないことといった性能が要求される。 (4)さらにまた離型層13とベースフィルム12との結合強度よりも、離型層13と導電体層14との結合強度の方が小さくできるもので形成することが必要である。 (5)本実施の形態においては厚み75μmのベースフィルム12上に厚み1μmの離型層13を形成し、その上に厚み5μmの導電体層14を形成した。離型層13の厚みは、導電体層14の転写性への関与は少ない。重要なことは導電体層14とベースフィルム12が必ず非接触の状態であり、つまり、導電体層14とベースフィルム12間の離型層13には欠陥等なく、また、離型層13の導電体層14を形成する面はできるだけ平滑で水平面にすることである。 (6)上記(1)〜(5)の性能を満足するためにアクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂またはそれらの混合系樹脂を離型層13として用いることが有効である。アクリル樹脂を用いる際は、熱的安定性を向上させるために、エポキシ樹脂、メラミン樹脂と混合させて用いることが好ましい。 (7)上記(4)で記載したように、離型層13とベースフィルム12間の結合強度を向上させるためにベースフィルム12の離型層13の形成面に凹凸を設けて離型層13との接触面積を増加させることが好ましい。 (8)離型層13の軟化を防ぐために、導電体層14の乾燥時の温度や転写時の温度については、離型層13の軟化点以下で行う必要がある。 (9)脱バイの時の温度は、溶剤が積層体から除去でき、かつ導電体層14中の金属成分(本実施の形態においてはニッケル)の酸化が進みすぎない程度にすることが望ましく、具体的には350℃以下で行うことが望ましい。 (10)導電体層14の材料としてニッケルを用いたが銅などの卑金属やまたパラジウム、銀-パラジウムなどの貴金属を用いてもかまわない。 (11)積層体を焼成する際は、導電体層14中の金属成分(本実施の形態においてはニッケル)の酸化が進みすぎて内部電極2としての役割を果たさなくならないように、還元雰囲気中で行うのである。 (12)上記実施の形態においては積層セラミックコンデンサを例に説明したが、本発明はセラミックシートと金属ペーストを用いて形成した導電体層との積層工程を有する一般的なセラミック電子部品、例えば積層バリスタ、積層サーミスタ、積層フィルタ、フェライト部品、セラミック多層基板の製造においても同様の効果が得られる。 【0024】 【発明の効果】 【発明の効果】 以上本発明によると、支持体上に離型層を介して導電体層を形成するとともに、導電体層中に含まれる有機物の少なくとも1種類以上をセラミックシート中に含まれる有機物と同一とすることにより、支持体から導電体層が離型し易くなりセラミックシート上への導電体層の転写性が向上する。 【0025】 その結果、導電体層のセラミックシートへの転写不良による特性不良を削減でき、安定した電気的特性を有するセラミック電子部品を、歩留まりよく製造することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の一実施の形態における離型層上に形成した導電体層の断面図 【図2】 本発明の一実施の形態におけるベースフィルム上に形成されたセラミックシートの断面図 【図3】 本発明の一実施の形態における転写積層工程を示す断面図 【図4】 一般的な積層セラミックコンデンサの一部切り欠き斜視図 【符号の説明】 1 セラミック誘電体層 2 内部電極 3 外部電極 11 セラミックシート 12 ベースフィルム 13 離型層 14 導電体層 15 支持台 |
訂正の要旨 |
(1)特許請求の範囲の請求項1を次のとおり訂正する。 「【請求項1】セラミック成分と少なくとも1種類以上の有機物からなるセラミックシートを準備するステップと、 支持体上に離型層を介して金属成分と少なくとも1種類以上の有機物からなる導電体層を形成するステップと、 加熱により前記導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて、前記導電体層を前記セラミックシート上に転写するステップと、 さらにその上に前記セラミックシートおよび前記導電体層を加熱により前記導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて、交互に複数回転写し、積層体を得るステップと、 この積層体を焼成するステップとを有し、 前記導電体層中に含まれる有機物は、前記導電体層と前記セラミックシート間の接着力を高めることができるように前記セラミックシート中に含まれる有機物と少なくとも1種類以上が同一であるセラミック電子部品の製造方法。」 (2)明細書中の【0007】を次のとおり訂正する。 「【0007】 【課題を解決するための手段】 この目的を達成するために本発明のセラミック電子部品の製造方法は、セラミック成分と少なくとも1種類以上の有機物からなるセラミックシートを準備するステップと、 支持体上に離型層を介して金属成分と少なくとも1種類以上の有機物からなる導電体層を形成するステップと、 加熱により前記導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて、前記導電体層を前記セラミックシート上に転写するステップと、 さらにその上に前記セラミックシートおよび前記導電体層を加熱により前記導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて、交互に複数回転写し、積層体を得るステップと、 この積層体を焼成するステップとを有し、 前記導電体層中に含まれる有機物は、前記導電体層とセラミックシート間の接着力を高めることができるように前記セラミックシート中に含まれる有機物と少なくとも1種類以上が同一であることを特徴とするものであり、支持体からの離型性が従来よりも向上し、支持体から導電体層を完全にセラミックシート上に転写、移行させることができ、上記目的を達成することができる。」 (3)明細書中の【0008】を次のとおり訂正する。 「【0008】 【発明の実施の形態】 本発明の請求項1に記載の発明は、セラミック成分と少なくとも1種類以上の有機物からなるセラミックシートを準備するステップと、 支持体上に離型層を介して金属成分と少なくとも1種類以上の有機物からなる導電体層を形成するステップと、 加熱により前記導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて、前記導電体層を前記セラミックシート上に転写するステップと、 さらにその上に前記セラミックシートおよび前記導電体層を加熱により前記導電体層中およびセラミックシート中の有機物をやや軟化させて、交互に複数回転写し、積層体を得るステップと、 この積層体を焼成するステップとを有し、 前記導電体層中に含まれる有機物は、前記導電体層とセラミックシート間の接着力を高めることができるように前記セラミックシート中に含まれる有機物と少なくとも1種類以上が同一であるセラミック電子部品の製造方法であり、支持体上に導電体層が離型層を介して形成されているとともに、導電体層中に含まれる有機物の少なくとも1種類以上がセラミックシート中に含まれる有機物と同一であるために、導電体層とセラミックシート間の接着性が向上し、導電体層のセラミックシートへの移行が容易となり、支持体からの離型性が従来よりも向上し、支持体から導電体層を完全にセラミックシート上に転写、移行させることができ、安定した電気的特性を有するセラミック電子部品を得ることができる。」 |
異議決定日 | 2002-10-02 |
出願番号 | 特願平10-49149 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(H01G)
P 1 651・ 113- YA (H01G) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 竹井 文雄 |
特許庁審判長 |
松本 邦夫 |
特許庁審判官 |
浅野 清 橋本 武 |
登録日 | 2001-06-08 |
登録番号 | 特許第3196713号(P3196713) |
権利者 | 松下電器産業株式会社 |
発明の名称 | セラミック電子部品の製造方法 |
代理人 | 岩橋 文雄 |
代理人 | 岩橋 文雄 |