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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 A61B 審判 全部申し立て 2項進歩性 A61B 審判 全部申し立て 特174条1項 A61B |
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管理番号 | 1071712 |
異議申立番号 | 異議2002-71078 |
総通号数 | 39 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1997-10-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-04-25 |
確定日 | 2002-10-21 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3222775号「簡易型内視鏡装置」の請求項1ないし5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3222775号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第3222775号の請求項1〜5に係る発明は、平成8年7月22日(優先権主張平成8年2月14日)に特許出願され、平成13年8月17日にその特許権の設定登録がなされ、その後、オリンパス光学工業株式会社より特許異議の申立がなされ、取消の理由が通知され、その指定期間内である平成14年9月13日に訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否 2-1.訂正の内容 (1)発明の詳細な説明の段落【0011】の「図3は、」を「図3は本発明の参考例を示しており、」に訂正する。 (2)発明の詳細な説明の段落【0054】の「図6ないし図8は、本発明の第2の実施の形態を示しており、」を「図6ないし図8は、本発明の実施例を示しており、」に訂正する。 (3)発明の詳細な説明の段落【0055】の「この第2の実施の形態においては、」を「この実施例においては、」に訂正する。 (4)発明の詳細な説明の段落【0058】の「第2の実施の形態のその他の部分は、前述の第1の実施の形態と同様に構成されている。」を「この実施例のその他の部分は、前述の参考例と同様に構成されている。」に訂正する。 (5)図面の簡単な説明の【図1】、【図2】、【図3】、【図4】及び【図5】の「本発明の第1の実施の形態」を「本発明の参考例」に訂正する。 (6)図面の簡単な説明の【図6】、【図7】及び【図8】の「本発明の第2の実施の形態」を「本発明の実施例」に訂正する。 2-2.訂正の目的、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項(1)〜(6)は、特許請求の範囲の記載との整合をとるために訂正するものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。そして、訂正事項(1)〜(6)は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 2-3.むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項から第4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議申立の概要 3-1. 特許異議申立人オリンパス光学工業株式会社は、請求項1〜5に係る発明の特許は、特許法第17条の2第3項の規定に違反してなされたものであるから、同法第113条第1号に該当し、取り消されるべきものである旨主張している。 3-2. 同特許異議申立人は、請求項1〜5に係る発明の特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してなされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである旨主張している。 3-3. 同特許異議申立人は、証拠として 甲第1号証:実願昭54-141145号(実開昭56-59005号) のマイクロフィルム 甲第2号証:特開平8-10220号公報 を提出し、 本件請求項1〜5に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反するので、同法第113条第2号に該当し、特許を取り消されるべきものである旨主張している。 4.特許異議申立についての判断 4-1.請求項1〜5に係る発明 本件特許第3222775号の請求項1〜5に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 被写体を照明する照明光を伝達するためのライトガイドの入射端部を操作部に配置すると共に、上記ライトガイドに照明光を供給するための光源ランプを有する照明光供給ユニットを上記操作部に着脱自在に接続した簡易型内視鏡装置において、 上記照明光供給ユニットは、上記光源ランプを内蔵して上記操作部に対して略垂直の向きに着脱自在に配置されたランプ室部と、上記光源ランプの電源となる電池を収容して上記ランプ室部の軸線を中心に所定の範囲内で回転自在に上記ランプ室部の軸線方向に対して略垂直の向きに上記ランプ室部の突端側に連結された電池室部とを有していて、 上記ランプ室部の上記操作部との接続部付近には、上記操作部に対する上記ランプ室部の軸線回りの向きを規制するための回転方向規制手段と、上記回転規制手段によって上記操作部に対して所定の向きに規制されて接続された上記ランプ室部を上記操作部に対して固定するための接続固定手段とが設けられていることを特徴とする簡易型内視鏡装置。 【請求項2】 上記接続固定手段が、上記操作部に対して螺合するように上記ランプ室部の軸線回りに回転自在に設けられた締め環である請求項1記載の簡易型内視鏡装置。 【請求項3】 上記電池室部が上記操作部から突出する突出部品と干渉しないように、上記電池室部の回転範囲が設定されている請求項1又は2記載の簡易型内視鏡装置。 【請求項4】 上記電池室部が内視鏡観察時の観察者顔面と干渉しないように、上記電池室部の回転範囲が設定されている請求項1又は2記載の簡易型内視鏡装置。 【請求項5】 上記光源ランプを点灯及び消灯させるためのスイッチ部材と、上記光源ランプの電源となる電池を上記電池室部に出し入れするための蓋部材の少なくとも一方が、上記電池室部の軸線回り方向に回転操作されるように上記電池室部に設けられている請求項1、2、3又は4記載の簡易型内視鏡装置。」 4-2.17条の2違反について 本件請求項1に記載された、照明光供給ユニットの「上記光源ランプを内蔵して上記操作部に対して略垂直の向きに着脱自在に配置されたランプ室部と、上記光源ランプの電源となる電池を収容して上記ランプ室部の軸線を中心に所定の範囲内で回転自在に上記ランプ室部の軸線方向に対して略垂直の向きに上記ランプ室部の突端側に連結された電池室部とを有し」という構成(以下、構成Aという。)は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲外のものであると、申立人は主張している。 しかし、上記構成Aは、本件の願書に最初に添付した明細書段落【0055】及び【0056】の「この第2の実施の形態においては、位置決めピン38と係合するようにユニット接続口金27の突端部に形成された規制溝128が、照明光供給ユニット30をユニット接続口金27の軸線回りに90°回転させることができるように、周方同こ幅広に形成されている。その結果、図8に示されるように、照明光供給ユニット30を、電池室部30bが操作部2の後方向きになる状態から下向きになる状態の90°の範囲で任意に回動させて、その時の操作の邪魔にならない位置にセットすることができる」という構成に該当していることが認められるので、申立人の主張は採用できない。 よって、請求項1に係る発明の特許は、特許法第17条の2第3項の規定に違反した出願に対してなされたものとすることができない。 また、請求項2〜5に係る発明は、請求項1に係る発明に従属しているので、前述した請求項1に係る発明の特許と同様に、請求項2〜5に係る発明の特許は、特許法第17条の2第3項の規定に違反した出願に対してなされたものとすることができない。 4-3.36条違反について 本件請求項1に記載された、上記構成Aは、発明の詳細な説明に記載したものではないと、申立人は主張している。 しかし、前述のとおり、請求項1に係る発明は、本件の願書に添付した明細書と図面中の第2の実施の形態に該当するものであり、かつ、訂正によって請求項1に係る発明が第2の実施の形態に対応することが明りょうになったので、請求項1に係る発明の特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反した出願に対してなされたものとすることができない。 また、請求項2〜5に係る発明は、請求項1に係る発明に従属しているので、前述した請求項1に係る発明の特許と同様に、請求項2〜5に係る発明の特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反した出願に対してなされたものとすることができない。 4-4.29条違反について 4-4-1.引用刊行物 当審が通知した取消の理由に引用した刊行物には、以下の事項が記載されている。 刊行物1:実願昭54-141145号(実開昭56-59005号) のマイクロフィルム(甲第1号証) 刊行物2:特開平8-10220号公報(甲第2号証) 上記刊行物1には、以下の記載がある。 「(1)電池および照明ランプを内蔵する小型の光源装置を手元操作部に直接取り付ける硬性内視鏡において、光源装置の長手方向を手元操作部の長手方向に合わせてその光源装置を取り付けたことを特徴とする硬性内視鏡。 (2)上記照明ランプは、着脱自在に装着してなることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第1項に記載の硬性内視鏡。」(実用新案登録請求の範囲) 「一方、手元操作部3の本体4には、上記口金16を利用して後述する小型の光源装置17が直接に取り付けられている。・・・また、口金16の外周には突起24が設けられており、これに対向してつば21の内面には、軸方向に沿って長溝25が形成されていて、突起24が長溝25に嵌まり込む状態で・・・第1図で示すようにその長手方向が手元操作部3の長手方向に一致する平行な状態に常に定まるようになっている。」(第3頁第20行〜第5頁第3行) 上記刊行物2には、以下の記載がある。 「【0024】本体ケース31の電池収容部の端部開口部には、プラスチック製の電池ケース蓋39が着脱自在に螺合されており、・・・ 【0025】・・・ 【0026】なお、その配線の途中には光源ランプ32への通電をオンオフ操作するためのスイッチが設けられている・・・。」 「【0030】また、接続筒受け筒46の外周側には、接続筒23の雄ネジ23aに螺合する雌ネジ50aが形成された締め付け輪50が軸方向に抜け出さないように取り付けられている。 【0031】したがって、図1に示される状態から、照明光供給ユニット30を操作部2側に接近させて、接続筒23と接続筒受け筒46のテーパ面どうしを密着させ、締め付け輪50の雌ネジ50aを接続筒23の雄ネジ23aに締め込めば、図3に示されるように、照明光供給ユニット30が操作部2に接続された状態になる。」 「【0034】 接続筒23と接続筒受け筒46とはテーパ面で密着するので、締め付け輪50を接続筒23に対してきつく締め込むことによって、照明光供給ユニット30は操作部2に対して全く動かないように固定される。 【0035】 しかし、締め付け輪50の締め込みを少し緩めれば、照明光供給ユニット30は照明光の光軸を中心にして自由に回動させることができる。したがって、図2にθで示される操作部2に対する照明光供給ユニット30の取り付け角度を任意に調整し、その状態で締め付け輪50をきつく締め込むことによって、照明光供給ユニット30を最も使いやすい状態にセットすることができる。」 4-4-2.対比・判断 請求項1に係る発明と刊行物1又は2に記載された発明とを対比すると、請求項1に係る発明においては、ランプ室部を操作部に対して所定の範囲内で回転自在とし、ランプ室部の上記操作部との接続部付近に、上記操作部に対する上記ランプ室部の軸線回りの向きを規制するための回転方向規制手段が設けられているのに対し、刊行物1又は2に記載された発明では、そのようになっていない点において相違する。 相違点について検討する。 刊行物1に記載された発明の「突起24」と「長溝25」は、嵌合することで光源装置と手元操作部との配置関係を常に定まるようにするものであり、「所定の範囲」でその配置関係を可変にする技術思想はない。 一方、刊行物2には、「図2にθで示される操作部2に対する照明光供給ユニット30の取り付け角度を任意に調整し、その状態で締め付け輪50をきつく締め込むことによって、照明光供給ユニット30を最も使いやすい状態にセットすることができる。」と記載されるように、取り付け角度を任意に調整する技術思想はあるものの、その取り付け角度の設定に際しては、照明光供給ユニットの使いやすい状態である角度位置とするという程度に止まり、角度範囲を規制するまでの技術思想を導き出すことはできない。そして、請求項1に係る発明は、規制手段を有することで、向きを一定の「範囲内」で変化可能にし、また、照明光供給ユニットを操作部に着脱する際に、照明光供給ユニットがくるくる回らず、着脱に支障がなく、取り付け後の方向性にも問題が生じないという、刊行物1、2に記載された発明にはない効果を奏するものである。 してみると、刊行物1又は2に記載された発明から請求項1に係る発明に至ることが、当業者にとって容易であるとはいえない。 5.むすび 以上のとおり、請求項1に係る発明は刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 また、請求項2〜5は請求項1を引用しているから、請求項2〜5に係る発明は、刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 さらに、他に拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 簡易型内視鏡装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】被写体を照明する照明光を伝達するためのライトガイドの入射端部を操作部に配置すると共に、上記ライトガイドに照明光を供給するための光源ランプを有する照明光供給ユニットを上記操作部に着脱自在に接続した簡易型内視鏡装置において、 上記照明光供給ユニットは、上記光源ランプを内蔵して上記操作部に対して略垂直の向きに着脱自在に配置されたランプ室部と、上記光源ランプの電源となる電池を収容して上記ランプ室部の軸線を中心に所定の範囲内で回転自在に上記ランプ室部の軸線方向に対して略垂直の向きに上記ランプ室部の突端側に連結された電池室部とを有していて、 上記ランプ室部の上記操作部との接続部付近には、上記操作部に対する上記ランプ室部の軸線回りの向きを規制するための回転方向規制手段と、上記回転規制手段によって上記操作部に対して所定の向きに規制されて接続された上記ランプ室部を上記操作部に対して固定するための接続固定手段とが設けられていることを特徴とする簡易型内視鏡装置。 【請求項2】上記接続固定手段が、上記操作部に対して螺合するように上記ランプ室部の軸線回りに回転自在に設けられた締め環である請求項1記載の簡易型内視鏡装置。 【請求項3】上記電池室部が上記操作部から突出する突出部品と干渉しないように、上記電池室部の回転範囲が設定されている請求項1又は2記載の簡易型内視鏡装置。 【請求項4】上記電池室部が内視鏡観察時の観察者顔面と干渉しないように、上記電池室部の回転範囲が設定されている請求項1又は2記載の簡易型内視鏡装置。 【請求項5】上記光源ランプを点灯及び消灯させるためのスイッチ部材と、上記光源ランプの電源となる電池を上記電池室部に出し入れするための蓋部材の少なくとも一方が、上記電池室部の軸線回り方向に回転操作されるように上記電池室部に設けられている請求項1、2、3又は4記載の簡易型内視鏡装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 この発明は、ライトガイドに照明光を供給するための照明光供給ユニットが操作部に着脱自在に連結された簡易型内視鏡装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 操作部に照明用の発光体を設けたいわゆる簡易型内視鏡装置では、一般に、被写体を照明する照明光を伝達するためのライトガイドの入射端部が内視鏡の操作部に配置されていて、その操作部に、ライトガイドに照明光を供給するための光源ランプとその電源となる電池等を内蔵した照明光供給ユニットが着脱自在に取り付けられている。 【0003】 従来、そのような照明光供給ユニットの着脱は、照明光供給ユニットの先端近傍に設けられたネジマウントを、操作部側の受け口金に形成されたネジ部に螺合させて行われていた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 しかし、ネジマウントは照明光供給ユニットに固定されているので、照明光供給ユニットが操作部に取り付けられた状態で、照明光供給ユニットに設けられたスイッチを操作したり電池交換操作等を行うと、照明光供給ユニット全体が回転して、操作部に対する連結状態が緩んでしまったり、逆に強く締まりすぎて後で外れ難くなってしまう場合がある。 【0005】 また、照明光供給ユニットを操作部に着脱する際に、照明光供給ユニット全体がくるくる回ってしまうことにより、ユニットの一部突出部が手にぶつかって着脱操作がやり難かったり、突出部が不都合な方向に向いた状態に取り付けられてしまう場合があった。 【0006】 そこで本発明は、操作部に対する照明光供給ユニットの着脱が容易であり、且つその連結状態が安定していて、操作部に取り付けられた状態の照明光供給ユニットに対して各種操作を行っても、操作部に対する連結状態が乱れない簡易型内視鏡装置を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成するため、本発明の簡易型内視鏡装置は、被写体を照明する照明光を伝達するためのライトガイドの入射端部を操作部に配置すると共に、上記ライトガイドに照明光を供給するための光源ランプを有する照明光供給ユニットを上記操作部に着脱自在に連結した簡易型内視鏡装置において、上記操作部に対する上記照明光供給ユニットの、接続部の軸線回りの向きを規制するための回転方向規制手段と、上記回転規制手段によって上記操作部に対して所定の向きに規制されて接続された上記照明光供給ユニットを、上記操作部に対して固定するための接続固定手段とを設けたことを特徴とする。 【0008】 なお、上記接続固定手段が、上記操作部に対して螺合するように上記照明光供給ユニットに回転自在に設けられた締め環であってもよい。 【0009】 また、上記照明光供給ユニットが、所定の範囲内で向きを変化させて上記操作部に対して連結固定可能であってもよい。その場合、上記照明光供給ユニットが上記操作部から突出する突出部品と干渉しないように、上記所定の範囲が設定されていてもよく、上記照明光供給ユニットが内視鏡観察時の観察者顔面と干渉しないように、上記所定の範囲が設定されていてもよい。 【0010】 そして、上記照明光供給ユニットが、上記操作部に対する接続部の軸線方向に対して垂直な方向に部分的に突出する形状に形成されていてもよい。 また、上記光源ランプを点灯及び消灯させるためのスイッチ部材と、上記光源ランプの電源となる電池を上記照明光供給ユニットに出し入れするための蓄部材の少なくとも一方が、上記接続部の軸線回り方向に回転操作されるように上記照明光供給ユニットに設けられていてもよい。 【0011】 【発明の実施の形態】 図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図3は本発明の参考例を示しており、内視鏡の操作部2部分の側面図、図4は正面図であり、操作部2の下端部には、可撓管によって外装された操入部1の基端が連結されている。 【0012】 操作部2の下側約4分の3の部分は握り部2aであり、その握り部2aと挿入部1との間に、鉗子挿入口部4が斜め前方に向けて突出して設けられている。3は、気密に構成された内視鏡の内部の圧力を調整するための圧力調整弁である。 【0013】 操作部2の握り部2aより上方の操作機構部5には、挿入部1内に挿通された鉗子チャンネル(図示せず)を通して吸引操作を行うための吸引操作弁6と、挿入部1の先端部分に形成された湾曲部(図示せず)を遠隔的に屈曲操作するための湾曲操作レバー7とが前面と後面に配置され、接眼部8が上面に突設されている。 【0014】 被写体を照明する照明光を伝達するための照明用ライトガイドファイババンドル9は、入射端部が操作機構部5内に配置されていて、操作部2の握り部2a内から挿入部1内を通って、射出端部は挿入部1の先端に配置されている。 【0015】 そして、ライトガイドファイババンドル9に対して照明光を供給するための照明光供給ユニット30が、操作機構部5の側面部分に着脱自在に接続、連結されて側方に突出している。 【0016】 図4に示されるように、照明光供給ユニット30には、ライトガイドファイババンドル9に供給するための照明光を放射する光源ランプ32と、その光源ランプ32を点灯させるための電源である電池100等が内蔵されている。電池100としては、乾電池または充電可能なニッケルカドミウム電池等どのような電池を用いてもよい。 【0017】 電池100は、照明光供給ユニット30の端部に着脱自在に取り付けられたキャップ部50を外すことにより交換自在であり、電池100に代えて、交流/直流変換アダプタなどを接続してもよい。 【0018】 図5は、照明光供給ユニット30が操作部2から取り外された状態を示している。操作部2側には、後述するようにユニット接続口金27が突設されていて、その突端部分に雄ネジ部27aが形成されている。26は、プラスチック製のカバー筒である。 【0019】 一方、照明光供給ユニット30には、操作部2側の雄ネジ部27aと螺合する雌ネジが内面部分に形成された締め環37が、軸線周りに回転自在に設けられている。 【0020】 そして照明光供給ユニット30には、ユニット接続口金27の突端部分に形成された規制溝28に嵌まる位置決めピン38が突設されていて、照明光供給ユニット30が操作部2に接続されて連結固定される際の操作部2に対する照明光供給ユニット30の向き(接続部の軸線回りの向き)の規制が行われるようになっている。25は、位置合わせ用の指標である。 【0021】 図1は、操作部2と照明光供給ユニット30との連結部付近を示しており、操作部2の操作機構部5部分を外装する本体ケース11は、電気絶縁性のプラスチックにより形成されている。 【0022】 本体ケース11に大きく形成された側面開口には、電気絶縁性のプラスチックからなる蓋体15が嵌め込まれ、その嵌合面にはシール用のOリング16が装着されていて、隙間から操作部2の内部に水が侵入しないようになっている。 【0023】 また、蓋体15と本体ケース11との嵌合部には、両者の相対的回転を規制するための回転止め(図示せず)が形成されている。なお、Oリング16は装着されることによって潰されるが、図には潰される前の自然状態の断面が示されている(以下、同じ)。 【0024】 蓋体15の中央部分に穿設された貫通孔の中心軸位置には、基部が操作部2内の金属フレーム13に固定された支持筒17が配置されている。そして、支持筒17の頭部に螺合するナット14によって、接続口金受け18が蓋体15に押圧固定されている。ただし、接続口金受け18とナット14との間には、両者が接触しないように電気絶縁性のプラスチックからなる絶縁座19が介装されている。 【0025】 接続口金受け18は蓋体15の外表面に大きく開口しており、そこに、照明光供給ユニット30を受ける(連結接続する)ために筒状に形成されて外方に向けて突出する例えばステンレス鋼製のユニット接続口金27の基部が、ビス止め固定されている。そして、ユニット接続口金27と接続口金受け18の外周面を被覆するように、熱伝導率の低いプラスチック製のカバー筒26が取り付けられている。 【0026】 ユニット接続口金27の底部の中心軸線位置には、ライトガイドファイババンドル9の入射端部がネジ止め固定されている。そして、ライトガイドファイババンドル9の入射端面に対向して、凸メニスカスレンズ20が、ユニット接続口金27の底面部分に螺合する押さえナット21によって固定されている。 【0027】 なお、蓋体15の孔の内側に配置された各部材間の嵌合部には、シール用のOリングが装着されていて、操作部2は、全ての部分において外部から水が侵入しない水密構造に構成されている。挿入部1が同様に水密構造に形成されていることは勿論である。 【0028】 照明光供給ユニット30は、全体として真っ直ぐな筒状に形成されていて、操作部2との連結部に近いランプ室部30aと、操作部2との連結部から離れた電池室部30bとに分かれており、図1にはランプ室部30aの全体が示されている。 【0029】 ユニット接続口金27内に嵌合するランプ室ケース35の先端部分の内側には、光源ランプ32から放射された照明光をライトガイドファイババンドル9の入射端面に向けて収束させるための反射鏡34が、光源ランプ32を囲むように固定されている。 【0030】 そして、その反射鏡34の前端面には、透明なカバーガラス49が押さえナット40によって固定されている。カバーガラス49の内端外縁部にはOリング48が装着されていて、外部からランプ室ケース35内に水が侵入しないように封止されている。 【0031】 光源ランプ32から後方に突出する2本の電極は、ソケット33内に挿入されてその後方の接続ピンに電気的に接続されており、各接続ピンは、絶縁座44を間に挟んで配置された二つの導電部材43a,43bに分かれて固定されている。 【0032】 その一方の導電部材43aには、電池100のプラス電極が常時接触している。そしてもう一方の導電部材43bには、電池室ケース31が、電気的にも接続される状態で螺合連結されていて、それによって導電部材43aと絶縁板44が電池室ケース31に固定されている。 【0033】 36は、ランプ室ケース35と電池室ケース31とを連結するように両部材に対して螺合固定された連結筒であり、ソケット33は連結筒36と導電部材43bとの間に、絶縁部材を介して挟み込まれて固定されている。位置決めピン38は、この連結筒36に突設されている。 【0034】 45,46は、ランプ室ケース35と連結筒36との間及び電池室ケース31と連結筒36との間の嵌合面をシールするためのOリングである。なお、連結筒36の先端側部分はユニット接続口金27内に嵌挿される。 【0035】 締め環37は、先端部分がその他の部分より少し細い径に形成されていて、その部分に、ユニット接続口金27の雄ネジ部27aと螺合する雌ネジ部37aが螺設されている。 【0036】 また、締め環37の中間部分の内周面には、電池室ケース31の外周面に回転自在に嵌合する環状部材39がネジ止め固定されており、連結筒36に突設された鍔部36aが、環状部材39と雌ネジ部37aとの間に緩く挟まれている。 【0037】 したがって、締め環37は軸線方向にはほとんど動かないが、軸線回りには回転自在であり、締め環37を回転させることによって、その先端部分に形成された雌ネジ部37aを、ユニット接続口金27の雄ネジ部27aと螺合させ、あるいは螺合状態を解くことができる。 【0038】 したがって、操作部2に突設されたユニット接続口金27内に照明光供給ユニット30の先端のランプ室ケース35を差し込み、位置決めピン38が規制溝28内に嵌まるように回転方向の位置を合わせた状態で締め環37を回転させ、締め環37の雌ネジ部37aをユニット接続口金27の突端の雄ネジ部27aに螺合させて適度に締め付ければ、照明光供給ユニット30が操作部2に連結された状態になる。その状態では、連結筒36の先端側部分もユニット接続口金27内に嵌合し、その嵌合面がOリング41によってシールされる。 【0039】 そのようにして、照明光供給ユニット30が操作部2に連結された状態においては、光源ランプ32から放射された照明光が、反射鏡34で反射されたあと、カバーガラス49及び凸メニスカスレンズ20を通過して、ライトガイドファイババンドル9の入射端面に収束、入射する。そして、ユニット受け口金27と締め環37との螺合を解けば、図5に示されるように照明光供給ユニット30が操作部2から取り外される。 【0040】 図2は、電池室部30bを示している。電池100を収容した筒状の電池室ケース31の端部には、キャップ部50が着脱自在に螺合されており、このキャップ部50には、電池100と光源ランプ32との間の通電をオン、オフさせるためのスイッチが組み込まれている。 【0041】 51は、良導電性の金属からなるキャップ部本体であり、電池室ケース31の端部外周面とキャップ部本体51の内周面との嵌合部には、シール用のOリング53が装着されていて、そこから内部に水が入らないようになっている。 【0042】 キャップ部本体51内には、キャップ部本体51に一端が受けられた第1の圧縮コイルスプリング55が、軸線方向に移動自在に設けられた押し環56を介して、電池100をランプ室部30aの方向に付勢している。これによって、電池100のプラス電極と導電部材43aとの接触が確保されている。 【0043】 第1の圧縮コイルスプリング55は電池100と同軸に配置されていて、押し環56は、電池100のマイナス電極に接触しないように、電池100の周縁部に当接している。57は、滑りのよいリング状の座金である。 【0044】 また、キャップ部本体51の内側には、キャップ部50の軸線を中心に回転自在な回転カム筒63が嵌合しており、キャップ部50の突端側に突出する回転カム筒63の頭部には、スイッチ操作環64が螺合接着されて一体的に連結されている。スイッチ操作環64は、ほぼ椀状に形成されてキャップ部50の端部を囲むように配置されている。65は飾り板である。 【0045】 回転カム筒63の頭部部分はキャップ部本体51の端部内周面に回転自在に嵌合しており、その嵌合部にはシール用のOリング67が装着されている。このようにして、照明光供給ユニット30は、全ての部分において外部から水が侵入しない水密構造に構成されている。 【0046】 58は、電池100のマイナス電極に接触する可動接点部材であり、良導電性金属からなる剛体によって底面を有する筒状に形成されていて、軸方向に進退自在に回転カム筒63内に嵌挿されている。 【0047】 そして、可動接点部材58の底面に形成された接点が、第2の圧縮コイルスプリング66によって付勢されて、電池100のマイナス電極の中央部分に押し付けられている。 【0048】 可動接点部材58の外周面に突設された良導電部材からなる一対のガイドピン59は、回転カム筒63に形成されたカム溝63a内を貫通して、キャップ部本体51に軸方向に形成された長溝54aに係合している。 【0049】 したがって、ガイドピン59と長溝54aとの係合によって、可動接点部材58は軸線回りには回転せず、スイッチ操作環64を回転操作すると、それと共に回転カム筒63が軸線回りに回転して、可動接点部材58と一体のガイドピン59がカム溝63aによって軸線方向に変位し、可動接点部材58が電池100のマイナス電極と接触するオン状態と、離れるオフ状態とが切り換わる。 【0050】 60は、ガイドピン59の頭部に当接してキャップ部本体51との間の電気的導通を確保するための板バネである。スイッチオン状態においては、電池100のマイナス電極が、可動接点部材58、ガイドピン59、板バネ60、キャップ部本体51、電池室ケース31などを介して、マイナス側導電部材43bに電気的に導通する。 【0051】 電池100が消耗したときは、キャップ部本体51を軸線回りに回転させることにより、キャップ部50全体が照明光供給ユニット30から外れるので、電池100を容易に交換することができる。なお、キャップ部本体51を回転させる際に電池室ケース31を保持し易いように、電池室ケース31には目の粗いローレット部47が太めに形成されている。 【0052】 このようにして、スイッチ操作環64を回転操作したり、キャップ部本体51を回転させたりすると、その際に電池室ケース31に対しても回転力が作用するが、電池室ケース31に連結固定された連結筒36と操作部側のユニット接続口金27とが、位置決めピン38と規制溝28との係合によって回転不能に係合しているので、電池室ケース31は回転しない。 【0053】 そして、仮に電池室ケース31が少し回転したとしても、ユニット接続口金27の雄ネジ部27aと螺合する締め環37の雌ネジ部37aには回転力は全く伝わらないので、操作部2に対する照明光供給ユニット30の連結状態には全く影響しない。 【0054】 図6ないし図8は、本発明の実施例を示しており、照明光供給ユニット30の電池室ケース131をL字状に直角に曲げた形状に形成することにより、電池室部30bをランプ室部30aに対して直角に曲げて配置したものである。101は、直角に曲がった部分で正電極側の電気的導通をするためのリード線である。 【0055】 この実施例においては、位置決めピン38と係合するようにユニット接続口金27の突端部に形成された規制溝128が、照明光供給ユニット30をユニット接続口金27の軸線回りに90°回転させることができるように、周方向に幅広に形成されている。 【0056】 その結果、図8に示されるように、照明光供給ユニット30を、電池室部30bが操作部2の後方向きになる状態から下方向きになる状態の90°の範囲で任意に回動させて、その時の操作の邪魔にならない位置にセットすることができる。また、照明光供給ユニット30を操作部2に着脱する際に、電池室部30がぐるぐる回転しないので、着脱を容易に行うことができる。 【0057】 なお、電池室ケース131の回動範囲は、照明光供給ユニット30が吸気操作弁6近傍に突出して設けられた送水管取付部と干渉しないように、また接眼部8に近づけた観察者の顔と干渉しないように設定されている。 【0058】 この実施例のその他の部分は、前述の参考例と同様に構成されている。したがって、操作部2に対する照明光供給ユニット30の固定は、照明光供給ユニット30に回転自在に設けられた締め環37によって行われ、電池室ケース131の回動と締め環37の回転とは完全に独立した関係にある。 【0059】 【発明の効果】 本発明によれば、操作部に対する照明光供給ユニットの回転を回転方向規制手段で規制した状態で、接続固定手段により照明光供給ユニットを操作部に対して接続、固定することができるので、操作部に連結された状態の照明光供給ユニットに対して各種操作を行っても、操作部に対する照明光供給ユニットの連結状態が乱れず、操作部に対する照明光供給ユニットの取り付け状態が非常に安定している。そして、その向きを一定の範囲内で変化可能にすることもできる。 【0060】 また、照明光供給ユニットを操作部に着脱する際に、照明光供給ユニットがくるくる回らないので、ユニットが部分的に側方に突出しているような形状であっても着脱に支障がなく、取り付け後の方向性にも問題が生じない。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の参考例の内視鏡操作部と照明光供給ユニットとの接続部の断面図である。 【図2】 本発明の参考例の照明光供給ユニットの電池室部とキャップ部の断面図である。 【図3】 本発明の参考例の簡易型内視鏡装置の側面図である。 【図4】 本発明の参考例の簡易型内視鏡装置の正面図である。 【図5】 本発明の参考例の操作部から照明光供給ユニットが取り外された状態の部分正面図である。 【図6】 本発明の実施例の操作部から照明光供給ユニットが取り外された状態の部分正面図である。 【図7】 本発明の実施例の照明光供給ユニットの断面図である。 【図8】 本発明の実施例の簡易型内視鏡装置の側面図である。 【符号の説明】 2 操作部 27 ユニット接続口金 27a 雄ネジ部 28,128 規制溝 30 照明光供給ユニット 32 光源ランプ 37 締め環 37a 雌ネジ部 38 位置決めピン |
訂正の要旨 |
(1)発明の詳細な説明の段落【0011】の「図3は、」を「図3は本発明の参考例を示しており、」に訂正する。 (2)発明の詳細な説明の段落【0054】の「図6ないし図8は、本発明の第2の実施の形態を示しており、」を「図6ないし図8は、本発明の実施例を示しており、」に訂正する。 (3)発明の詳細な説明の段落【0055】の「この第2の実施の形態においては、」を「この実施例においては、」に訂正する。 (4)発明の詳細な説明の段落【0058】の「第2の実施の形態のその他の部分は、前述の第1の実施の形態と同様に構成されている。」を「この実施例のその他の部分は、前述の参考例と同様に構成されている。」に訂正する。 (5)図面の簡単な説明の【図1】、【図2】、【図3】、【図4】及び【図5】の「本発明の第1の実施の形態」を「本発明の参考例」に訂正する。 (6)図面の簡単な説明の【図6】、【図7】及び【図8】の「本発明の第2の実施の形態」を「本発明の実施例」に訂正する。 |
異議決定日 | 2002-10-02 |
出願番号 | 特願平8-191822 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(A61B)
P 1 651・ 55- YA (A61B) P 1 651・ 537- YA (A61B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 安田 明央 |
特許庁審判長 |
渡部 利行 |
特許庁審判官 |
関根 洋之 森 竜介 |
登録日 | 2001-08-17 |
登録番号 | 特許第3222775号(P3222775) |
権利者 | 旭光学工業株式会社 |
発明の名称 | 簡易型内視鏡装置 |
代理人 | 三井 和彦 |
代理人 | 三井 和彦 |
代理人 | 伊藤 進 |