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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  H04N
管理番号 1071784
異議申立番号 異議2001-71234  
総通号数 39 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1991-12-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-04-23 
確定日 2002-11-14 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3109677号「画像圧縮及びディジタル記憶を利用した電子スチルカメラ」の請求項1、2、6、8に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3109677号の請求項6に係る特許を取り消す。 同請求項1、2、8に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯

特許第3109677号の請求項1ないし8に係る発明についての出願は、平成2年5月9日(パリ条約による優先権主張1989年5月9日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成12年9月14日にその特許の設定登録がなされ、その後、上記特許の請求項1,2,6,8に係る発明に対して佐藤勝明より、また上記特許の請求項8に係る発明に対して佐々木次男より特許異議の申立がなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成14年6月18日に訂正請求がなされたものである。



2.訂正の適否についての判断

(1)訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりの訂正事項である。

ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項2を請求項1の従属項とし、
「【請求項2】視覚表示器(30)をさらに具備し、
前記制御処理手段(20)が、前記バッファ一杯信号の状態に応じて前記視覚表示器(30)を駆動するものである請求項1に記載の電子静止画像化装置。」
と訂正する。

イ.訂正事項b
特許請求の範囲の請求項8を請求項1の従属項とし、
「【請求項8】前記ディジタル処理手段(22)が、圧縮アルゴリズムを介して前記ディジタル画像信号を処理し、前記画像の性質に依存する可変ビット長を有する圧縮信号の流れを生成するためのディジタル処理手段(22)であって、各画像に対して前記取り外し可能なディジタルメモリ(24)中に可変長記憶空間を割り付けるものであり、
故障あるいは欠陥に対して前記取り外し可能なディジタルメモリを検査する診断手段と、圧縮された信号を、連続する記憶空間が各画像の性質に依存して長さが相違することもある割り付けられた画像空間にダウンロードするための手段(26)とをさらに具備する請求項1に記載の電子静止画像化装置。」
と訂正する。


(2)訂正の目的の適否、新規事項事項の有無及び拡張・変更の存否

ア.訂正事項aについて
訂正事項aは、訂正前の請求項2に記載されていた事項の一部である「視覚表示器を具備し、制御処理手段が、バッファ一杯信号の状態に応じて前記視覚表示器を駆動する」という事項により、請求項1を引用して限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

イ.訂正事項bについて
訂正事項bは、訂正前の請求項8に記載されていた事項の一部である「ディジタル処理手段が、圧縮アルゴリズムを介して前記ディジタル画像信号を処理し、前記画像の性質に依存する可変ビット長を有する圧縮信号の流れを生成するためのディジタル処理手段であって、各画像に対して前記取り外し可能なディジタルメモリ中に可変長記憶空間を割り付けるものであり、故障あるいは欠陥に対して前記取り外し可能なディジタルメモリを検査する診断手段と、圧縮された信号を、連続する記憶空間が各画像の性質に依存して長さが相違することもある割り付けられた画像空間にダウンロードするための手段とをさらに具備する」という事項により、請求項1を引用して限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。


(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法改正前の特許法第126条第1項ただし書き、及び第2項の規定に適合するので、上記訂正を認める。



3.特許異議の申立ての概要

(1)申立人佐藤勝明は、以下の甲第1ないし5号証より、請求項1,2,6,8に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから取り消すべき旨主張している。
甲第1号証:特開昭62-269581号公報
甲第2号証:特開昭63-64485号公報
甲第3号証:特開昭63-32660号公報
甲第4号証:特開昭62-62675号公報
甲第5号証:特開昭58-197971号公報

(2)申立人佐々木次男は、以下の甲第1ないし9号証より、請求項8に係る発明の特許は、特許法29条2項の規定に違反してなされたものであるから取り消すべき旨主張している。
甲第1号証:特開昭62-269581号公報
甲第2号証:米国特許第4,772,956号明細書
甲第3号証:実願昭62-117956号
(実開昭64-23173号公報)のマイクロフィルム
甲第4号証:特開昭59-171231号公報
甲第5号証:特開昭63-305684号公報
甲第6号証:特開昭57-14260号公報
甲第7号証:特開昭59-183582号公報
甲第8号証:特開昭63-122392号公報
甲第9号証:特開昭63-304377号公報


4.本件発明

上記2.で示したように上記訂正請求は認められるところとなったから、本件の請求項1,2,6,8に係る発明(以下それぞれ「本件発明1」,「本件発明2」,「本件発明3」,「本件発明4」という。)は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1,2,6,8にそれぞれ記載された事項により特定される次に掲げるとおりのものである。
「【請求項1】画像の画素に対応したホトサイトの2次元配列を有する面イメージセンサ(12)と、それぞれのホトサイト中にアナログ画像情報が生成されるように前記センサ(12)を画像光に露光させる手段(10)と、画素に対応してアナログ画像情報をディジタル画像信号に変換する手段(16)と、を具備する静止画像に対応する画像信号のディジタル処理および取り外し可能なディジタルメモリ(24)中への処理された画像信号の記憶を使用する電子静止画像化装置であって、複数の静止画像に対応するディジタル画像信号を記憶する記憶容量を有する画像バッファ(18)と、前記露光手段(10)の操作を開始するための使用者の指示に応答して前記センサ(12)からの画像情報をクロックし、前記ディジタル信号を前記画像バッファ(18)に伝送するための前記変換手段(16)を制御し、画像化装置の通常の操作と釣り合った入力レートで前記複数の静止画像に対応するディジタル画像信号を前記画像バッファに転送する制御処理手段(20)であって、前記画像バッファの残りの記憶容量を監視するための手段(32)、前記バッファが完全にロードされたときにバッファ一杯信号を供給する手段(30)、及び前記バッファ一杯信号に応答して前記露光装置を遮断し前記画像センサの更なる露光を阻止する手段を含む制御処理手段(20)と、前記入力レートと異なる処理スループットレートで、記憶されたディジタル画像信号のブロック上に作用し、ディジタル画像信号のブロックを変換係数信号の組に変換するための手段、および、変換係数信号を処理されたディジタル画像信号の圧縮された流れに符号化するための手段を含むディジタル処理手段(22)と、前記ディジタル処理手段に応答して処理された画像信号を前記取り外し可能なディジタルメモリ(24)にダウンロードするための手段(26)と、を具備する電子静止画像化装置。

【請求項2】上記2.(1)ア.のとおり。

【請求項6】画像の画素に対応したホトサイトの2次元配列を有する面イメージセンサ(12)と、それぞれのホトサイト中にアナログ画像情報が生成されるように前記センサ(12)を画像光に露光させる手段(10)と、画素に対応してアナログ画像情報をディジタル画像信号に変換する手段(16)と、を具備する静止画像に対応する画像信号のディジタル処理および取り外し可能なディジタルメモリ(24)中への処理された画像信号の記憶を使用する電子静止画像化装置であって、少なくとも1枚の静止画像に対応するディジタル画像信号を記憶する記憶容量を有する画像バッファ(18)と、前記露光手段(10)の操作を開始するための使用者の指示に応答して前記センサ(12)からの画像情報をクロックし、前記ディジタル信号を前記画像バッファ(18)に伝送するための前記変換手段(16)を制御し、画像化装置の通常の操作と釣り合った入力レートで前記少なくとも1枚の静止画像に対応するディジタル画像信号を前記画像バッファに転送する制御処理手段(20)であって、前記画像バッファの残りの記憶容量の監視するための手段(32)、前記バッファが完全にロードされたときにバッファ一杯信号を供給する手段(30)、及び前記バッファ一杯信号に応答して前記露光装置を遮断し前記画像センサの更なる露光を阻止する手段を含む制御処理手段(20)と、前記入力レートと異なる処理スループットレートで、記憶されたディジタル画像信号のブロック上に作用し、ディジタル画像信号のブロックを変換係数信号の組に変換するための手段、および、変換係数信号を処理されたディジタル画像信号の圧縮された流れに符号化するための手段を含むディジタル処理手段(22)と、前記ディジタル処理手段に応答して処理された画像信号を前記取り外し可能なディジタルメモリ(24)にダウンロードするための手段(26)と、を具備する電子静止画像化装置。

【請求項8】上記2.(1)イ.のとおり。」



5.引用刊行物に記載された発明

当審が平成13年12月7日付で通知した取消の理由において引用した刊行物1ないし5には、それぞれ次のとおりの発明が記載されている。

(1)刊行物1:特開昭62-269581号公報(申立人佐藤勝明、佐々木次男が提出した甲第1号証)
ア.2頁右上欄17行ないし左下欄1行には、「同図では2はレンズ、3は被写体光をある瞬間だけ撮像装置4に導くシャツ夕、撮像装置4はCCDやMOSなどの固体撮像素子などがあり、駆動回路5によって被写体光を光電変換して、アナログ画像信号を出力する。」と記載されている。

イ.2頁左下欄5行ないし9行には、「このメモリパック10への画像信号の書き込みは駆動回路9によって制御され、さらに以上述べた一連のシーケンスはカメラ本体1内あるシステム制御回路によって制御される。」と記載されている。

ウ.2頁左下欄10行ないし16行には、「メモリパック10はこのカメラ本体1とコネク夕等によって着脱自在に構成されている。上記した画像符号化器8としては、一般によく知られている。予測符号化器やアダマール変換などに代表される変換符号化器が利用でき、元の画像信号の情報量を一般に1/2以下に圧縮することができる。」と記載されている。

エ.3頁左上欄17行ないし右上欄5行には、「撮像装置4から出力されたアナログ画像信号はアナログ信号処理回路7で標準テレビジョン信号のような一般性のある映像信号とされた後に、A-D変換器20でデジタル映像信号とされた後に、一画面分の映像信号を蓄積することのできるバッファメモリ21に一時的に記憶される。そしてこのバッファメモリ21から読み出された信号は画像符号化器22で情報量が圧縮された後にメモリパック10に記録される。」と記載されている。

オ.3頁右上欄10行ないし15行には、「このように、バッファメモリを設けた構成とすることによって、画像符号化の方式は、2次元の画像符号化方法を行うことができ画像情報の圧縮率を大きくすることができる長所と、バッファメモリまでの信号の処理を標準のテレビジョン方式の時間レートで行う事ができ、」と記載されている。

カ.3頁右上欄18行ないし20行には、「画像符号化器以降のデータ転送がテレビジョン方式の時間レートにしばられないという長所もある。」と記載されている。


(2)刊行物2:特開昭63-64485号公報(申立人佐藤勝明が提出した甲第2号証)
キ.2頁右上欄12行ないし20行には、「図において、1は光学レンズ、2はしぼり、3はシャツ夕であり、これらは光学系を形成している。4は、光学レンズ1からの被写体画像が結像され光量が電気信号に変換され蓄積・取出されるCCDなどの固体撮像素子、5は固体撮像素子4からの画像信号の増幅器、6はアナログ・デジタル変換のためのA/D変換器である。」と記載されている。

ク.2頁左下欄1行ないし12行には、「7は、フレームメモリFM1,FM2,FM3を構成するダイナミックRAM(DRAM)であり、本実施例では3個のDRAMが並列に配置されている。DRAM7はその構造上高密度に形成されるので、複数個配置しても嵩張らない。また、各DRAM7は、一画面分の記憶容量を持つものである。そして、このDRAM7を複数個配置して、各画面ごとに1個のDRAM7を割り当てて用いると、複数画面(本実施例では3画面)分、記憶することができる。こうして、DRAM7にて複数画面が記憶されることになる。」と記載されている。

ケ.2頁左下欄13行ないし右下欄14行には、「8はフレームメモリFM1,FM2,FM3とA/D変換器6との間に備えられた書き込みメモリ選択回路であり、DRAM7を一画面ごとに順にアクセスする選択回路である。すなわち、この選択回路8により一画面ごとにDRAM7が例えばFM1,FM2,FM3,FM1,FM2・・・という具合にA/D変換器6に接続されることになる。書き込みメモリ選択回路8の切換タイミングは、一画面が所定のフレームメモリFM1,FM2 あるいはFM3のいずれかに記憶された後、次のフレームメモリを選択する。書き込みコントローラ9は、このフレームメモリの選択指令回路であって、書き込みメモリ選択回路8を制御するものである。書き込みコントローラ9のタイミングはカメラのメインコントローラ13から与えられる。また、未だ読み出していないフレームメモリに新たな画像情報を書き込めないので、読み出していないフレームメモリを検出するため後述する読み出しコントローラによる読み出し情報も加味される。」と記載されている。

コ.2頁右下欄15行ないし19行には、「10はフレームメモリFM1、FM2、FM3の後段に備えられた読み出しメモリ選択回路であり、所定のフレームメモリFM1、FM2あるいはFM3のいずれかを選択しその内容をメモリパック11に読み出せるようにする。」と記載されている。

サ.3頁左欄3行ないし12行には、「読み出しコントローラ12は、このフレームメモリの選択指令回路であって、読み出しメモリ選択回路10を制御するものである。なお、読み出しコントローラ12は、選択指令を読み出しメモリ選択回路に出力すると共に、メモリパック11にも選択情報を送出して書き込み箇所の選択を行ない、更に書き込みコントローラ9による選択情報を受けフレームメモリに書き込み済の内容を重複して読み出さないようにしている。」と記載されている。

シ.3頁左欄13行ないし20行には、「例えばメモリパック11の書き込み速度を(1画面/3秒)とした場合、カメラにて(1画面/1秒)の撮像を行なえるようにしたいときには、図の如く3組のDRAM7からなるフレームメモリを備えればよい。この場合、更に短時間の連写を予定する場合には、更に多数のDRAM7を配置すればよい。」と記載されている。


(3)刊行物3:米国特許第4772956号明細書(申立人佐々木次男が提出した甲第2号証)
ス.3欄3行ないし5行には、「The density of the compressed video data varies, depending upon the image content of each portion of the video frame,(圧縮されたビデオデータの密度は、ビデオフレームの個々の部分の画像内容に依存して変化する)」と記載されている。

セ.4欄32行ないし45行には、「The compression algorithm of FIG. 2 begins with the discrete cosine transforming of each successive block of the video data to generate a corresponding block of cosine transform coefficients. The cosine transform coefficients are thenrearranged in serial order by a block-to-serial conversion step best illustrated in FIG. 3. The block-to-serial conversion step consists of arranging the discrete cosine transform coefficients in order of increasing spatial frequency, which corresponds to the zig-zag pattern of FIG. 3. The resulting serial string of transform coefficients is then subject to thresholding, normalization, quantization and minimum redundancy encoding (described previously on page 1 hereof).(第2図の圧縮アルゴリズムは、余弦変換係数の相当するブロックを生成するために、ビデオデータの各連続ブロックの離散余弦変換から開始する。その後、余弦変換係数は、図3に良く示されているように、ブロック直列変換のステップによって直列の順で再配列される。ブロック直列変換のステップは、図3のジグザグパターンに相当して、空間周波数を増大させる順に、離散余弦変換係数を配列することからなる。その後、その結果の変換係数の直列の列は、しきい値設定、正規化、量子化、最小冗長度符号化を受ける(1頁で既に述べた))」と記載されている。

ソ.8欄38行ないし51行には、「The compressed data thus generated by the microprocessor 20 from the transformed version of block A is loaded sequentially into the temporary buffer 26, where it is queued. The microprocessor 20 increments the compressed buffer address pointer to the next available (empty) byte location in the compressed buffer 4b. Then, the microprocessor 20 unloads one byte of data from the temporary buffer 26 and loads it into the compressed buffer 4b at the memory location indicated by the compressed buffer address pointer. This queuing and unloading process continues in the temporary buffer as long as compressed data is generated by the microprocessor 20. This same process is repeated with block B.(ブロックAの変換されたものからマイクロプロセッサ20によって生成された圧縮データは直列に一時的バッファ26に保存され、ここで列を作られる。マイクロプロセッサ20は、圧縮バッファのアドレスポイン夕を、圧縮バッファ4bのなかの次の使用可能な(空の)バイト位置にインクリメントする。その後、マイクロプロセッサ20は、一時的バッファ26から1バイトのデータをアンロードして、圧縮バッファのアドレスポイン夕で指定されたメモリ位置において圧縮バッファ4bへ保存する。圧縮データがマイクロプロセッサ20によって生成されている限り、この列化とアンロードのプロセスが一時的バッファのなかで継続する。この同じプロセスがブロックBについても繰り返される。)」と記載されている。

タ.11欄16行ないし18行には、「the individual transform coefficients in said batch of compressed transform coefficients are of various bit-lengths(前記一群の圧縮された変換係数のなかの前記個々の変換係数は可変ビット長である)」と記載されている。


(4)刊行物4:特開昭57-14260号公報(申立人佐々木次男が提出した甲第6号証)
チ.1頁左欄8行ないし9行には、「上記被写体像の1フレーム分の電気信号を夫夫記憶する複数個のメモリセルとを具備する」と記載され、同欄16行ないし17行には、「上記各メモリセルは、上記撮像部に対して、着脱可能な記憶部に内蔵されており」と記載され、同頁右欄20行ないし2頁左上欄2行には、「また、複数のメモリセルをカメラ本体に着脱自在な記憶部に内蔵し」と記載されている。

ツ.7頁左上欄15行ないし右上欄4行には、「回路101はピン207、切換えスイッチ124によって伝えられたフレーム数だけアドレスパルスをφAを発しても回路113の出力がHレベルとならない場合は記憶部2の中の各メモリセルが全て使用済であることを検知する。そうすると該回路101は端子101mから断続信号を発して表示装置18を点滅させ、発音体119に断続音を出させると共に撮影シーケンスを停止する。これにより撮影者は未使用のメモリセルが無いことを知る。」と記載されている。


(5)刊行物5:特開昭59-171231号公報(申立人佐々木次男が提出した甲第4号証)
刊行物5には、テスト桁パターンを用いて、1フレーム又はマルチ・フレーム・メモリのような大型メモリを含むデジタル・ビデオ信号処理装置の故障状態を検出するものについて記載されている。



6.本件発明と引用刊行物発明との対比・判断

(1)本件発明1について
本件発明1と、刊行物1に記載された発明とを対比すると、本件発明1は入力レートと異なる処理スループットレートで、記憶されたディジタル画像信号のブロック上に作用し、ディジタル画像信号のブロックを変換係数信号の組に変換するための手段、および、変換係数信号を処理されたディジタル画像信号の圧縮された流れに符号化するための手段を含むのに対し、刊行物1に記載された発明は、入力レートと異なる処理スループットレートで、処理されたディジタル画像信号の圧縮された流れに符号化するための手段を含む点において相違するとともに、以下の主要な相違点において両発明は相違している。

(主要な相違点)
本件発明1は「複数の静止画像に対応するディジタル画像信号を記憶する記憶容量を有する画像バッファと、画像バッファの残りの記憶容量を監視するための手段、前記バッファが完全にロードされたときにバッファ一杯信号を供給する手段、及び前記バッファ一杯信号に応答して露光装置を遮断し画像センサの更なる露光を阻止する手段を含む制御処理手段」を有しているのに対し、刊行物1に記載された発明は一画面分の映像信号を蓄積することのできるバッファメモリを有しているにすぎない点

これに対して、刊行物2には複数のバッファを設ける技術について記載されている。また、刊行物4には外部記憶装置が一杯になったときに撮影シーケンスを停止することについて記載されており、撮影シーケンスには画像センサを露光する過程も含まれると通常解されるから、刊行物4には露光装置を遮断し前記画像センサの更なる露光を阻止する手段について記載されているといえる。
しかしながら、連写を可能とするために画像バッファが複数ある場合は、1枚撮影する毎にバッファが確実に一杯になる単一のバッファの場合とは異なり、バッファが一杯であるか否かを撮影者は容易に判別できない。そこで、本件発明1は、連写を可能とする複数の画像バッファ備えるのに加え、さらに複数の画像バッファが一杯になったときに露光を阻止する構成を同時に備えることにより、画像バッファが一杯のときにユーザが誤って撮影してしまうことを確実に回避できるという格別の効果を奏するものである。そして、このように格別の効果を奏するために、複数の画像バッファを具備する技術とバッファが一杯になったときに露光を阻止する技術を組み合わせることについて、上記刊行物1ないし5には何らの記載も示唆もされていないし、当業者が容易に成しえたものともいえない。
したがって、本件発明1は、刊行物1ないし5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
なお、申立人佐藤勝明、佐々木次男の提出した他の甲各号証を検討しても、本件発明1が当業者によって容易に発明できたものとはいえない。


(2)本件発明3について
本件発明3と上記刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は何れも電子スチルカメラの基本構成を有していることから、両者は「画像の画素に対応したホトサイトの2次元配列を有する面イメージセンサと、それぞれのホトサイト中にアナログ画像情報が生成されるように前記センサを画像光に露光させる手段と、画素に対応してアナログ画像情報をディジタル画像信号に変換する手段と、を具備する静止画像に対応する画像信号のディジタル処理および取り外し可能なディジタルメモリ中への処理された画像信号の記憶を使用する電子静止画像化装置であって、1枚の静止画像に対応するディジタル画像信号を記憶する記憶容量を有する画像バッファと、前記露光手段の操作を開始するための使用者の指示に応答して前記センサからの画像情報をクロックし、前記ディジタル信号を前記画像バッファに伝送するための前記変換手段を制御し、画像化装置の通常の操作と釣り合った入力レートで前記1枚の静止画像に対応するディジタル画像信号を前記画像バッファに転送する制御処理手段と、前記入力レートと異なる処理スルーフットレートで、処理されたディジタル画像信号の圧縮された流れに符号化するための手段を含むディジタル処理手段と、前記ディジタル処理手段に応答して処理された画像信号を前記取り外し可能なディジタルメモリにダウンロードするための手段と、を具備する電子静止画像化装置。」の点で一致し、以下の点で相違している。

(相違点ア)
画像バッファが、本件発明3は、少なくとも1枚の静止画像に対応するディジタル画像信号を記憶する記憶容量を有し、制御処理手段により、少なくとも1枚の静止画像に対応するディジタル画像信号を転送されるのに対し、刊行物1に記載された発明は、一枚の静止画像に対応するディジタル画像信号を記憶する記憶容量を有し、制御処理手段により、一枚の静止画像に対応するディジタル画像信号が転送される点

(相違点イ)
制御処理手段が、本件発明3は、画像バッファの残りの記憶容量を監視するための手段、バッファが完全にロードされたときにバッファー杯信号を供給する手段、及びバッファー杯信号に応答して露光装置を遮断し画像センサの更なる露光を阻止する手段を含むのに対し、刊行物1に記載された発明は、そのような手段を有していない点

(相違点ウ)
ディジタル処理手段が、本件発明3は、入力レートと異なる処理スループットレートで、記憶されたディジタル画像信号のブロック上に作用し、ディジタル画像信号のブロックを変換係数信号の組に変換するための手段、および、変換係数信号を処理されたディジタル画像信号の圧縮された流れに符号化するための手段を含むのに対し、刊行物1に記載された発明は、入力レートと異なる処理スループットレートで、処理されたディジタル画像信号の圧縮された流れに符号化するための手段を含む点

そこで、上記各相違点について検討する。

(相違点ア)について
画像バッファが1枚分である場合については、刊行物1に記載されており、本件発明3も1枚の静止画像に対応する画像バッファを有する場合を含むから、この点で両発明に相違は認められない。

(相違点イ)について
刊行物1に記載された発明においても、メモリである画像バッファが、使用されている場合に上書きがされないようにする程度のことは、適宜なされるところ、刊行物1と同一技術分野に属する刊行物4にはメモリセルが全て使用済みであることを検知して、撮影シーケンスを停止する技術が記載されており、このメモリセルが使用済みであることを検知し撮影シーケンスを停止する技術を刊行物1の画像バッファに採用することに格別困難であるという事情は無いから、相違点イは、当業者が容易に採用することができたものである。

(相違点ウ)について
入力レートと異なる処理スループットレートで、記憶されたディジタル画像信号のブロック上に作用し、ディジタル画像信号のブロックを変換係数信号の組に変換するための手段、および、変換係数信号を処理されたディジタル画像信号の圧縮された流れに符号化するための手段を用いてディジタル画像信号を圧縮することは、例えば、刊行物3に記載されているように周知であり、刊行物1に記載された発明もディジタル画像信号を圧縮するものであるから、刊行物1に記載された発明において、そのディジタル画像信号の圧縮手段に代え、刊行物3に記載されたディジタル画像信号の圧縮手段を採用し、ディジタル処理手段が、入力レートと異なる処理スループットレートで、記憶されたディジタル画像信号のブロック上に作用し、ディジタル画像信号のブロックを変換係数信号の組に変換するための手段、および、変換係数信号を処理されたディジタル画像信号の圧縮された流れに符号化するための手段を含む構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

したがって、本件発明3は、当業者が、刊行物1,3及び4に記載された発明に基いて、容易に発明をすることができたものである。


(3)本件発明2及び4について

本件発明2及び4は、何れも、本件発明1を直接引用して、その構成を更に限定したものであるから、上記「(1)本件発明1について」と同じ理由により、上記刊行物1ないし5から容易に発明をすることができたものともいえない。


(4)むすび

以上のとおりであるから、本件発明3の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、他に本件発明1,2及び4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
画像圧縮及びディジタル記憶を利用した電子スチルカメラ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 画像の画素に対応したホトサイトの2次元配列を有する面イメージセンサ(12)と、
それぞれのホトサイト中にアナログ画像情報が生成されるように前記センサ(12)を画像光に露光させる手段(10)と、
画素に対応してアナログ画像情報をディジタル画像信号に変換する手段(16)と、
を具備する静止画像に対応する画像信号のディジタル処理および取り外し可能なディジタルメモリ(24)中への処理された画像信号の記憶を使用する電子静止画像化装置であって、
複数の静止画像に対応するディジタル画像信号を記憶する記憶容量を有する画像バッファ(18)と、
前記露光手段(10)の操作を開始するための使用者の指示に応答して前記センサ(12)からの画像情報をクロックし、前記ディジタル信号を前記画像バッファ(18)に伝送するための前記変換手段(16)を制御し、画像化装置の通常の操作と釣り合った入力レートで前記複数の静止画像に対応するディジタル画像信号を前記画像バッファに転送する制御処理手段(20)であって、前記画像バッファの残りの記憶容量を監視するための手段(32)、前記バッファが完全にロードされたときにバッファ一杯信号を供給する手段(30)、及び前記バッファ一杯信号に応答して前記露光装置を遮断し前記画像センサの更なる露光を阻止する手段を含む制御処理手段(20)と、
前記入力レートと異なる処理スループットレートで、記憶されたディジタル画像信号のブロック上に作用し、ディジタル画像信号のブロックを変換係数信号の組に変換するための手段、および、変換係数信号を処理されたディジタル画像信号の圧縮された流れに符号化するための手段を含むディジタル処理手段(22)と、
前記ディジタル処理手段に応答して処理された画像信号を前記取り外し可能なディジタルメモリ(24)にダウンロードするための手段(26)と、を具備する電子静止画像化装置。
【請求項2】 視覚表示器(30)をさらに具備し、
前記制御処理手段(20)が、前記バッファ一杯信号の状態に応じて前記視覚表示器(30)を駆動するものである請求項1に記載の電子静止画像化装置。
【請求項3】 画像の画素に対応したホトサイトの2次元配列を有する面イメージセンサ(12)と、
それぞれのホトサイト中にアナログ画像情報が生成されるように前記センサ(12)を画像光に露光させる手段(10)と、
画素に対応してアナログ画像情報をディジタル画像信号に変換する手段(16)と、
を具備する静止画像に対応する画像信号のディジタル処理および取り外し可能なディジタルメモリ(24)中への処理された画像信号の記憶を使用する電子静止画像化装置であって、
複数の静止画像に対応するディジタル画像信号を記憶する記憶容量を有する画像バッファ(18)と、
前記露光手段(10)の操作を開始するための使用者の指示に応答して前記センサ(12)からの画像情報をクロックし、前記ディジタル信号を前記画像バッファ(18)に伝送するための前記変換手段(16)を制御し、画像化装置の通常の操作と釣り合った入力レートで前記複数の静止画像に対応するディジタル画像信号を前記画像バッファに転送する制御処理手段(20)と、
前記入力レートと異なる処理スループットレートで、記憶されたディジタル画像信号のブロック上に作用して、ディジタル画像信号のブロックを対応する変換係数信号の組に変換するための手段、および、変換係数信号を処理されたディジタル画像信号の圧縮された流れ中に符号化するための圧縮アルゴリズムを含む手段を含み、圧縮アルゴリズムが動作していることを示す動作信号を発生するディジタル処理手段(22)と、
前記ディジタル処理手段に応答して処理された画像信号を前記取り外し可能なディジタルメモリ(24)にダウンロードするための手段(26)と、を具備する電子静止画像化装置。
【請求項4】 画像の画素に対応したホトサイトの2次元配列を有する面イメージセンサ(12)と、
それぞれのホトサイト中にアナログ画像情報が生成されるように前記センサ(12)を画像光に露光させる手段(10)と
画素に対応してアナログ画像情報をディジタル画像信号に変換する手段(16)と、
を具備する静止画像に対応する画像信号のディジタル処理および取り外し可能なディジタルメモリ(24)中への処理された画像信号の記憶を使用する電子静止画像化装置であって、
複数の静止画像に対応するディジタル画像信号を記憶する記憶容量を有する画像バッファ(18)と、
前記露光手段(10)の操作を開始するための使用者の指示に応答して前記センサ(12)からの画像情報をクロックし、前記ディジタル信号を前記画像バッファ(18)に伝送するための前記変換手段(16)を制御し、画像化装置の通常の操作と釣り合った入力レートで前記複数の静止画像に対応するディジタル画像信号と前記画像バッファに転送する制御処理手段(20)と、
前記入力レートと異なる処理スループットレートで、記憶されたディジタル画像信号のブロック上に作用して、ディジタル画像信号のブロックを対応する変換係数信号の組に変換する手段、および、変換係数信号を処理されたディジタル画像信号の圧縮された流れ中に符号化するための圧縮アルゴリズムを含む手段を含み、圧縮アルゴリズムが動作していることを示す動作信号を発生するディジタル処理手段(22)と、
前記動作信号の状態に応じてディジタル処理手段(22)によって駆動される視覚表示器(30)と、
前記ディジタル処理手段に応答して処理された画像信号を前記取り外し可能なディジタルメモリ(24)にダウンロードするための手段(26)と、を具備する電子静止画像化装置。
【請求項5】 画像の画素に対応したホトサイトの2次元配列を有する面イメージセンサ(12)及び前記ホトサイトに向けられた多色パターンを有し且つ輝度を表す一色を含む色フィルタ配列(39)と、
それぞれのホトサイト中にアナログ画像情報が生成されるように前記センサ(12)を画像光に露光させる手段(10)と、
画素に対応してアナログ画像情報をディジタル画像信号に変換する手段(16)と、
を具備する静止画像に対応する画像信号のディジタル処理および取り外し可能なディジタルメモリ(24)中への処理された画像信号の記憶を使用する電子静止画像化装置であって、
複数の静止画像に対応するディジタル画像信号を記憶する記憶容量を有する画像バッファ(18)と、
前記露光手段(10)の操作を開始するための使用者の指示に応答して前記センサ(12)からの画像情報をクロックし、前記ディジタル信号を前記画像バッファ(18)に伝送するための前記変換手段(16)を制御し、画像化装置の通常の操作と釣り合った入力レートで前記複数の静止画像に対応するディジタル画像信号を前記画像バッファに転送する制御処理手段(20)であって、前記画像バッファ(18)中に残存するメモリ空間に応じて前記露光手段(10)を間欠的に動作不能及び再動作可能とする制御処理手段(20)と、
前記入力レートと異なる処理スループットレートでの後続の静止画像に対応するディジタル信号の前記バッファ(18)への入力に関係なく、最初に記憶された画像から出力される記憶されたディジタル画像信号のブロック上に作用するために前記バッファ(18)に接続されるディジタル処理手段(22)であって、ディジタル画像信号のブロックを対応する変換係数信号の組に変換し、変換係数信号を処理されたディジタル画像信号の圧縮された流れ中に符号化するための手段を含み、ブロック区域の全域に少なくとも輝度成分を補間し、補間された信号を含むディジタル信号の各ブロックを変換するディジタル処理手段(22)と、
前記ディジタル処理手段に応答して処理された画像信号を前記取り外し可能なディジタルメモリ(24)にダウンロードするための手段(26)と、を具備する電子静止画像化装置。
【請求項6】 画像の画素に対応したホトサイトの2次元配列を有する面イメージセンサ(12)と、
それぞれのホトサイト中にアナログ画像情報が生成されるように前記センサ(12)を画像光に露光させる手段(10)と、
画素に対応してアナログ画像情報をディジタル画像信号に変換する手段(16)と、
を具備する静止画像に対応する画像信号のディジタル処理および取り外し可能なディジタルメモリ(24)中への処理された画像信号の記憶を使用する電子静止画像化装置であって、
少なくとも1枚の静止画像に対応するディジタル画像信号を記憶する記憶容量を有する画像バッファ(18)と、前記露光手段(10)の操作を開始するための使用者の指示に応答して前記センサ(12)からの画像情報をクロックし、前記ディジタル信号を前記画像バッファ(18)に伝送するための前記変換手段(16)を制御し、画像化装置の通常の操作と釣り合った入力レートで前記少なくとも1枚の静止画像に対応するディジタル画像信号を前記画像バッファに転送する制御処理手段(20)であって、前記画像バッファの残りの記憶容量の監視するための手段(32)、前記バッファが完全にロードされたときにバッファ一杯信号を供給する手段(30)、及び前記バッファ一杯信号に応答して前記露光装置を遮断し前記画像センサの更なる露光を阻止する手段を含む制御処理手段(20)と、
前記入力レートと異なる処理スループットレートで、記憶されたディジタル画像信号のブロック上に作用し、ディジタル画像信号のブロックを変換係数信号の組に変換するための手段、および、変換係数信号を処理されたディジタル画像信号の圧縮された流れに符号化するための手段を含むディジタル処理手段(22)と、
前記ディジタル処理手段に応答して処理された画像信号を前記取り外し可能なディジタルメモリ(24)にダウンロードするための手段(26)と、を具備する電子静止画像化装置。
【請求項7】 画像の画素に対応したホトサイトの2次元配列を有する面イメージセンサ(12)と、
それぞれのホトサイト中にアナログ画像情報が生成されるように前記センサ(12)を画像光に露光させる手段(10)と、
画素に対応してアナログ画像情報をディジタル画像信号に変換する手段(16)と、
を具備する静止画像に対応する画像信号のディジタル処理および取り外し可能なディジタルメモリ(24)中への処理された画像信号の記憶を使用する電子静止画像化装置であって、
少なくとも一枚の静止画像に対応するディジタル画像信号を記憶する記憶容量を有する画像バッファ(18)と、前記露光手段(10)の操作を開始するための使用者の指示に応答して前記センサ(12)からの画像情報をクロックし、前記ディジタル信号を前記画像バッファ(18)に伝送するための前記変換手段(16)を制御し、画像化装置の通常の操作と釣り合った入力レートで前記少なくとも1枚の静止画像に対応するディジタル画像信号を前記画像バッファに転送する制御処理手段(20)と、
前記入力レートと異なる処理スループットレートで、記憶されたディジタル画像信号のブロック上に作用し、ディジタル画像信号のブロックを対応する変換係数信号の組に変換するための手段、および、変換係数信号を処理されたディジタル画像信号の圧縮された流れ中に符号化するための圧縮アルゴリズムを含む手段を含み、圧縮アルゴリズムが動作していることを示す動作信号を発生するディジタル処理手段(22)と、
前記ディジタル処理手段に応答して処理された画像信号を前記取り外し可能なディジタルメモリ(24)にダウンロードするための手段(26)と、を具備する電子静止画像化装置。
【請求項8】 前記ディジタル処理手段(22)が、圧縮アルゴリズムを介して前記ディジタル画像信号を処理し、前記画像の性質に依存する可変ビット長を有する圧縮信号の流れを生成するためのディジタル処理手段(22)であって、各画像に対して前記取り外し可能なディジタルメモリ(24)中に可変長記憶空間を割り付けるものであり、
故障あるいは欠陥に対して前記取り外し可能なディジタルメモリを検査する診断手段と、
圧縮された信号を、連続する記憶空間が各画像の性質に依存して長さが相違することもある割り付けられた画像空間にダウンロードするための手段(26)とをさらに具備する請求項1に記載の電子静止画像化装置。
【発明の詳細な説明】
技術的分野
この発明は一般に電子的静止画像化の分野に、更に詳細には、電子式イメージセンサから得られた画像信号のディジタル処理、及び処理済み信号の取外し可能な記憶媒体におけるディジタル記憶を取り入れた電子カメラに関係している。
背景技術
ディジタル画像信号の持久記憶を使用した電子スチルカメラが米国特許第4489351号に記載されている。三つの電荷結合素子(CCD)イメージセンサからのアナログカラー情報はディジタルビット流に変換されて周辺記憶装置制御ユニットを通して集積回路記憶装置に送られる。この記憶装置は、電気コネクタによりカメラ本体に分離可能に取り付けられた「カセット」の凹所に置かれた多くの、例えば24の記憶ユニットのうちの一つのユニットである。高品質のディジタル画像を得るためには、多くの画素、従ってディジタル情報の多くのビットが短時間に処理されなければならない。スミヒサ・ハシグチによる「ディジタル電子スチルカメラの可能性」(「シャシン・コーガク」1988年2月、110〜111ページ所載)と題する論文(an articlc entitled“Possibilities of the Digital Electronic Still Camera”、by Sumihis a Hashiguchi(Shashin Kogaku,pp.110〜111,February 1988))において、著者は、それぞれの層におけるセンサ、アナログ-ディジタル(A/D)変換器、及び8ビットバッファ記憶セルからなる多層画像処理集積回路を提案している。個個の画素からの出力信号はA/D変換器を通して包含された記憶セルに「垂直に」転送されるので、高速演算を伴わないで実時間処理量が得られる。記憶された信号は小形フロッピディスクを組み込んだ記憶装置駆動機構において、ことによると圧縮後に、ディジタル記憶を行うためにゆっくりと読み出されることができる。(ディジタル準拠式電子スチルカメラの別の例は公表された英国特許出願第2089169号に示されており、これにおいてはカメラはディジタル画像信号をバブルメモリカセットへロードする。)
クレジットカードの大きさ及び形式のスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)カードは上述の開示において記載された諸装置に代わる魅力的な記憶装置である。例えば、公表された欧州特許出願289944はディジタル電子スチルカメラにおける使用のための離脱可能なSRAMモジュールを示している。このモジュールは32Mビット(4Mバイト)SRAM集積回路として開示されたが、しかしカードにおけるこのような記憶容量はこの時点においては一般に利用可能ではない。512KバイトSRAMカードが現在利用可能である(ミツビシ・エレクトロニクス・アメリカ社(Mitsubishi Electronics America,Inc.)が一供給者である)。しかしながら、スミヒサ・ハシグチ(Sumihisa Hashiguchi)による論文(「画像記録と電力消費量」シャシン・コーギョー、1988年4月、94〜95ページ所載(“Picture Recording and Electric Power Consumption,”Shashin Kogyo,pp.94-95,April 1988))において指摘されたように、記憶量についての重要な問題がある。例えば、CCDイメージセンサからの780×490画素を記録する場合、各画素に8ビットを割り当てると、ただ一つの単色ビデオフレームについて382200バイトが必要とされる。これは実質上(512Kバイトの)メモリカードにおけるただ一つの画像に相当する。これは、スチルカメラが通常のフィルムの一つのカセットで多くの写真、例えば24又は36の写真を撮るために使用されるので、相当な障害である。更に、カラー写真は単色写真の記憶容量の3倍を通常必要とするであろう。
ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)は適宜の体積でより多くの記憶量を提供するが、電力消費量が記憶容量の増大と共に急速にぼう大になる。ハシグチの論文はそれゆえに10又は100の因数による画像情報の圧縮に基づいた記憶の新しい技法の開発を要求する。ハシグチが指摘しているように、幾つかの画像圧縮技法が現在利用可能である。例えば、前述の欧州特許出願289944は、信号処理装置がアダマール変換、余弦変換又は直交変換のようなデータ圧縮、及びビデオ信号における符号化を行うように構成され、そしてこのように処理された信号が離脱可能なSRAMカードに転送されて記憶されるようになっている実施例を提案している。(1978年12月26日に発行された米国特許4131919がディジタル静止画像信号を磁気テープにより効率よく記録するために源及び/又はチャネル符号化方式の使用を提案していることも又関心のあることである。)適応差分パルス符号変調は静止画像を符号化するための別の既知の圧縮アルゴリズムである。
カメラ内ディジタル処理のための基本的構造は通常は普通のアナログカメラに基づいており、ディジタル処理技法は色分解、白色バランス、ガンマ補正などのような機能的アナログブロックに適用される。この通常の転置は、カメラ内ディジタル処理が、できるかぎり、イメージャに迅速に接近し、結果として生じる画像信号を処理し、そして処理済み画像信号を正規のビデオフレームレートの範囲内で記憶装置に書き込むことによって実時間アナログ処理レートをエミュレートしようと努めるので、実時間処理に達する。(もっとも、前述の1988年2月の「シャシン・コーガク」の論文、米国特許第4489351号、及び英国特許出願2089169においては、装置又はその他の限界のために多くの場合画像捕獲レート未満である所望のレートでの画像データの記録装置への伝送を可能にするためにバッファ又は一時的記憶装置が準備されている。)それにもかかわらず、ハシグチの論文によって容認されているように、利用可能な技法は電子スチルカメラにより必要とされるような実時間処理のための要件をも又単にカメラに圧縮ハードウェアを含めるための要件をも十分に満たさない。
発明の開示
利用可能な諸技法の問題は実時間処理量がその焦点である。この発明はカメラの入力機能を処理機能と区別し、一方では複数の静止画像からの画像信号がカメラの正常動作と釣り合ったレートで蓄積し、且つ他方では、蓄積した画像信号が蓄積レートとは異なった処理量レートでディジタル的に処理されるようにすることによって、この焦点から外れる。
従来の諸技法は速度にその焦点があるために、差分パルス符号変調(DPCM)のような、極めて高速度でデータ流を処理することのできるものへ圧縮選択肢を導く傾向があるだけでなく、又一度に一つの画像について処理を行うことに焦点を合わせる傾向がある。多画像入力バッファを準備し且つディジタル処理を入力要件から分離することによって、ディジタル処理装置は画像信号のブロックについて動作し、特に信号のブロックの変換符号化について動作するのにより多くの時間を有するだけでなく、又入力バッファにおける画像の「積重ね」を乱すことなくそのような処理利点を獲得する。この発明は更に、取外し可能なディジタル記憶装置、例えばSRAMメモリカードを利用して、圧縮された画像信号を記憶する。例えば、10:1の圧縮により、画像に対するバイト必要量は10の因数によって低減されることができ、従ってより多くの画像をメモリカードに記憶することができる。
図面の簡単な説明
この発明は図面に関して説明されるが、この図面中、
図1Aはこの発明によるディジタル処理を使用した電子スチルカメラの構成図であり、
図1Bはこの発明に関連して使用される例示的形式の画像圧縮の構成図であり、
図2Aは多画像入力バッファリングを示した機能的順序図であり、
図2Bは入力バッファ及び付随した遅延器の完全利用を示した更なる機能的順序図であり、
図3は電子スチルカメラのための特定の処理アーキテクチャの詳細を示した構成図であり、
図4Aは図1Aのカメラで撮られた写真を再現する際に使用され得る電子スチルプレーヤの構成図であり、又
図4Bは図4Aのプレーヤと関連して使用される例示的形式の画像伸長の構成図である。
発明を実施するための最良の方法
電荷結合素子(CCD)センサを使用した電子スチルカメラは周知であるので、この説明は特に、この発明による装置の一部分を形成し、又はこの装置とより直接的に共働する諸素子に向けられる。ここで明確に図示され又は説明されない素子は技術上既知のものから選択されることができる。
最初に図1A及び1Bに言及すると、電子スチルカメラは概括的に入力部分2及び圧縮・記録部分4に分割されている。入力部分2には被写体(図示されていない)からの画像光をイメージセンサ12の方へ導くための露光部分10がある。図示されていないけれども、露光部分10には光学的開口を調整する絞り、及び露光時間を調整するシャッタを通して画像光を導くための通常の光学系がある。センサ12は、画像の画素に対応するホトサイト二次元配列を備えたものであって、周知のインタライン(線間)転送又はフレーム転送技術を用いた通常の電荷結合素子(CCD)である。センサ12は画像光に露光させられ、従ってアナログ画像電荷情報がそれぞれにホトサイトにおいて発生される。この電荷情報は出力ダイオード14に加えられ、そしてこのダイオードは電荷情報をそれぞれの画素に対応するアナログ画像信号に変換する。このアナログ画像信号はA/D変換器16に加えられ、そしてこの変換器は各画素に対するアナログ入力信号からディジタル画像信号を発生する。
ディジタル信号は画像バッファ18に加えられるが、これは複数の静止画像のための記憶容量を持ったランダムアクセスメモリ(RAM)である。画像バッファ18における記憶空間を個個のフレームに割り当てるための構成は変化することができる。しかしながら、この説明のために、フレームは、新しいフレームがバッファにおける他のフレームに影響を及ぼすことなく古いフレームの上に直接書き込まれ得るように特定の同定可能な記憶空間に割り当てられる。これは、後程示されるように、古い方のフレームが処理されるや否や新しいフレームのためにバッファ18をアンロードし且つ記憶空間を空にするのに好都合になる。
制御処理装置20は、(露光部分10における絞り及びシャッタ(図示されていない)の操作により)露光を開始し且つ制御することによって、センサ12を駆動し且つこれから画像情報をクロックするために必要とされる水平及び垂直クロックを発生することによって、且つ画素に関する各信号区分に対して画像バッファ18と関連してA/D変換器を可能化することによってカメラの入力部分2を全般的に制御する。(制御処理装置20はシステムタイミング回路と結合されたマイクロプロセッサを通常備えているであろう。)ある数のディジタル画像信号が画像バッファ18に蓄積されると、記憶された信号はディジタル信号処理装置22に加えられ、そしてこれはカメラの圧縮記録部分4に対する処理量(スループット)処理レートを制御する。処理装置22は圧縮アルゴリズムをディジタル画像信号に適用し、そして圧縮された信号をコネクタ26経由で取外し可能なメモリカード24に送る。代表的なメモリカードはミツビシ会社(Mitsubishi Corp)から入手可能な512Kバイトのスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)である。
圧縮及び関係の処理は通常数段階にわたって行われるので、処理アルゴリズムの中間生成物は処理バッファ28に記憶される。(処理バッファ28も又画像バッファ18の記憶空間の一部分として構成されることができる。)ディジタル処理が始まり得る前に画像バッファ18において必要とされる画像信号の数は処理の種類に依存する。すなわち、ブロック変換を始めるためには、ビデオフレームを構成する画像信号の少なくとも一部分を含む信号のブロックが利用可能でなければならない。従って、大抵の環境においては、必要なブロック、16×16画素のブロックがバッファ18に存在するや否や圧縮は始まることができる。
入力部分2はカメラの正常動作と釣り合ったレートで動作するが、より多くの時間を消費する圧縮は入力レートとは相対的にかけ離れることができる。露光部分10は露光要件に依存した時間、例えば1/1000秒と数秒との間の時間、の間センサ12を画像光に露光させる。画像電荷は次にセンサ12におけるホトサイトから運び去られ、ディジタル形式に変換され、そして、例えば標準ビデオフィールド又はフレームレートに一致するように標準レートの間中画像バッファ18へ書き込まれる。制御処理装置20によりセンサ12、A/D変換器16及びバッファ18に供給される駆動信号の繰返し率はそれに応じてそのような転送を達成するように発生される。圧縮・記録部分4の処理スループットレートは画像の性質、すなわち細部対冗長情報の量、及びディジタル信号処理装置22の速度、によって決定され、特に複雑な画像に対しては数秒までを要することがある。
このアーキテクチャの一つの望ましい結果は、圧縮・記録部分に使用された処理アルゴリズムが処理量速度に対してではなく画像の品質処理に対して選択され得ることである。これは、もちろん、写真発生間の時間に依存して、使用者に影響を及ぼすかもしれない連続した写真間の遅延を入れることがある。静止ビデオ記録の分野ではディジタルスチルカメラが連続した系列の画像に対する連続的撮影能力を備えるべきであることは周知であり且つ理解されているので、それは問題である。この理由のために、図1に示された画像バッファ18は複数の画像の記憶の準備をしており、実質的に一連の画像がビデオレートで「積み重なる」ことを可能にする。バッファの大きさは大抵の写真撮影状況を包含するために十分な連続した画像を保持するように確立されている。図2A及び2Bは三つの別別の画像に対するバッファ区域を持ったカメラについての典型的な機能的順序を示している。各画像が捕獲されると(線D)、次の利用可能なバッファ区域がロードされ(線E)且つ画像圧縮が始まる(線F)。図2Aはシャッタレリーズ(線C)が三つすべてのバッファ区域をロードするのに不十分な隔置された時点で操作されている典型的な状況を図解している。図2Bにおいて、シャッタレリーズは連続的に保持され(線C)、そして露光のバーストが後に続く。三つのバッファ区域は迅速にロードされ(線E)、そしてバッファ全信号(線H)に応答して制御処理装置20は露光部分10を遮断する。それでバッファが空にされるまで更なる画像は捕獲されない。例えば線E及びFにおいて、1番目の画像が圧縮されてカード24に転送された後、1番目のバッファ区域が空にされ、そして4番目の露光が行われる。
動作表示パネル30はカメラの動作に有用な情報を表示するために制御処理装置20に接続されている。そのような情報は典型的な写真データ、例えばシャッタ速度、開口、露光偏り、カラーバランス(自動、タングステン、蛍光、昼光)、フィールド/フレーム、電池低下、光量不足、露光モード(絞り優先、シャッタ優先)などを含んでいるかもしれない。更に、この形式のカメラに独特の他の情報が表示される。例えば、メモリカード24は各記憶画像の始め及び終わりを示す登録簿を通常含んでいるであろう。これは、記憶された画像の数又は残っている若しくは残っていると推定される画像空間の数、又はこれらの両方として表示装置30上に示されるであろう。
制御装置20は又メモリカード24の状態についての重要な情報を生成するためにカード診断記憶装置31にアクセスする。明確には、コネクタ26はカード24の存在について質問され、そしてカードが接続されていないならば、動作表示装置30上に「カードなし」表示が生成される。同様に、カードは存在しているが画像で一杯であるならば、「カード一杯」表示が生成される。カード診断記憶装置31は又故障又は欠陥についてカード24を検査するための確認ルーチンを準備している。例えば、記憶場所を確認するために一組の符号パターン(例えば、010101…及び101010…)をカードへ書き込み、又カードから読み取ることができる。これは、圧縮データがカード24に記憶されており且つ一つの欠陥記憶場所でさえ伸長された画像において大規模な可視アーティファクトを生成することがあるので、特に重要である。カード24が確認試験で不合格点を取ったならば、動作表示装置30上に「欠陥カード」表示が生成される。
画像バッファ18の状態についてのある種の情報を生成するために記憶装置32にバッファ診断が保持されている。これの主要な目的は、バッファ空間の利用状態を監視して、図2Bの線Hに示されたように、もはやバッファ空間が利用できないときには「バッファ一杯」信号を生成することである。表示装置30にはそれに対応する表示が生成されるが、これは、バッファ空間が空にされるまで更なる画像を捕獲することができないので、使用者にとって重要である。ディジタル信号処理装置22は更に、線30aにおける圧縮動作を示す信号、すなわち圧縮が進行中であることを示す信号を動作表示装置30に供給する。それに対応する表示、「圧縮進行中」が表示装置30によって活動化される。
ディジタル信号処理装置22は図1Bに示された既知の画像圧縮アルゴリズムに従って画像バッファ18に記憶された各静止ビデオ画像を圧縮する。圧縮アルゴリズムは画像データの各連続ブロックの離散的余弦変換(ブロック33)から始まって、余弦変換係数の対応するブロックが生成される。周知のことであるが、圧縮技術は離散的余弦変換アルゴリズムに従って既に変換されている画像データに適用されたときには著しく高められる。そして、余弦変換係数は、1988年9月20日にロッシュ(Roche )外に対して発行され、この発明の譲受人に譲渡とれたものであってこの特許出願に援用される米国特許4772956「二重ブロック静止ビデオ圧伸器処理装置(Dual Block Still Video Compander Processor)」に記載され且つ図解されたブロック-直列変換段階(ブロック34)によって直列順序に再配列される。このブロック-直列変換段階は離散的余弦変換係数を増大する空間周波数の順序に配列することからなっており、これはロッシュ外の特許に図解されたジグザグパターンに対応している。結果として生じる変換係数の直列ストリングは次にしきい値設定、正規化及び量子化(ブロック36)並びに最小冗長度符号化(ブロック38)を受ける。
しきい値設定はしきい値数未満の大きさのデータ語を捨てる。正規化は各データ語を除数で除算して商を与えることを必然的に伴う。最小冗長度符号化は従来技術において周知の技法であって、二つの相補的段階、すなわち振幅符号化及びランレングス符号化を使用する。振幅符号化(又は「ハフマン符号化」)は非冗長表現のために最少数のビットを必要とするように設計された第2ビットパターンを有限集合の可能な振幅のそれぞれに割り当てる。ランレングス符号化はデータにおける0の任意の連続したランをこのランにおける0の数を計数するために必要とされる最少非冗長ビットパターンとして表現する。可能な語振幅のそれぞれを表すビットパターンの集合及び可能な0ラン長のそれぞれを表すビットパターンの集合は周知の原理に従って選択されて、圧縮過程中における使用のために探索表に記憶されることができる。この圧縮技術は画像品質における低減を伴うことなく、静止ビデオ情報のフレームを表すために必要とされるビットの数を大いに減少させ、これにより、SRAMカード24において各静止フレームに割り当てられなければならない記憶の量を大いに低減する。
画像バッファ18に記憶された未圧縮の静止ビデオデータはテレビジョン画像の方法で、すなわち、各ブロックが例えば16列及び16行のバイトからなっている正方ブロックのバイトへ分割可能な(対応する画素を表す)垂直列及び水平行のビデオデータバイトにおいて構成されている。制御処理装置20はディジタル信号処理装置22が圧縮アルゴリズムを実行しようとするたびごとにデータのブロックを取り出す。圧縮過程は各ブロックのビデオデータに含まれた多くのビットを除去し、従って圧縮されたビデオデータは処理装置22から標準長の流れのビットとしては現れず、画像の複雑さ及びビットを切り捨てるために使用された規則に依存した可変数のビットとして現れる。それゆえSRAMカード24において各画像に対して割り当てられた記憶空間は画像ごとに変わることができる。従って、処理装置22は画像のための各圧縮順序が完了された後にSRAMカード24における記憶空間を割り当て、画像が圧縮画像データの連続体としてカードへ「詰め込まれる」ことができるようにする。これはSRAMカードの、実際の画像に関しての記憶容量が初めに未知であり、それから写真が撮られてカードが「満たされる」につれて徐徐に明確化されることを意味する。制御処理装置20は画像の数を監視して現在の総計を動作表示パネル30に供給し、そして更に残りの記憶空間が所定数の、例えばもう一つの画像のために十分であるときに特別の「もう一つの写真」表示をトリガする。別の方法として、SRAMカード24において各画像に対して固定した「最大の」空間を割り当てることができ、この場合には、全容量が常に知られているけれども、より少ない画像を記憶することができる。
これまでに説明された事柄は、カラー写真が付加的な処理を必要とすることを除いては、単色又はカラー写真に対して等しく適用される。例えば、(図1Aに破線で示された)多スペクトル色フィルタ配列がイメージセンサ12の上に重なっているならば、種種の色が分類され且つ各色について別別に処理される。これはディジタル信号処理装置22において付加的なルーチンによって行われるであろう。そのような色フィルタ配列処理は画像圧縮が各色について別別に行われ得るように離散的余弦変換ブロック33(図1B)に先行することになり且つ三つの圧縮されたフレームはメモリカード24において各画像に対して記憶されることになるであろう。
図3は画像バッファ39が図1Aに示された画像バッファ18及び処理バッファ28の機能を兼備した特定の処理アーキテクチャの詳細を図解している。イメージセンサ12の出力ダイオード14からのアナログ信号は通常の線形-ガンマ補正回路74においてガンマ補正されてA/D変換器16に加えられる。A/D変換器16の出力はラッチ76a,76b,76c及び76dからなる8ビット-32ビット・ラッチ配列76に接続されている。実際には、ラッチ配列76は時間を節約するために二重バッファ動作を行う。すなわち、ラッチされたバイトは、次のように、32ビット幅入力データ母線22aにより処理装置22へ対でアンロードされる。ラッチ76a及び76bがA/D変換器16によって与えられた最初の二つのバイトをロードされた後、ラッチされたバイトは並列にデータ母線22aに加えられる。その間に、他の二つのラッチ76c及び76dは次の二つのバイトをロードされている。ラッチ76c及び76dが一杯になると、ラッチされたバイトは並列に入力データ母線22aに加えられ、その間他のラッチ76aおよび76bは新しいバイトをロードされている。
それゆえ、このアーキテクチャにおいては、ディジタル信号処理装置22は、圧縮に先立って対の入力バイトをランダムアクセスメモリ(RAM)78a,78b,78c及び78dからなる画像バッファ39に転送するという初期機能を持っている。バイトの記憶装置への割当に関して、RAM 78aはラッチ76aから、RAM 78bはラッチ76bから(以下同様)データを受ける。ディジタル信号処理装置22はRAM 78a〜78dに接続されたアドレス母線22c上にアドレス語を生成する。このアドレス語はアドレスラッチ80に保持され且つアドレス語の一部分は画像バッファRAM 78a〜78dの適当なチップ可能化ポートを活動化するために復号器82において復号化される。図3に示されたように、バッファ39は対のバイトがラッチ76a〜76dから転送されることに対応するようにRAM 78a〜78dの対において可能化される。
図3の実施例はディジタル処理装置22のための内在の非破壊メモリを備えていない。従って、カメラのための動作プログラム符号は制御処理装置20のアドレス及びデータ母線に接続されたプログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)84に記憶される。これらの母線は又それぞれのバッファ86及び88を通してディジタル処理装置22の出力アドレス母線22c及び出力データ母線22dに接続されている。制御処理装置20はディジタル処理装置22の動作のための必要に応じて動作プログラムの一部分をPROM84から画像バッファ39にダウンロードする。例えば、シャッタレリーズ73が押し下げられて線73aが活動化されると、制御処理装置20はデータ獲得符号をデータ母線22dにより画像バッファ39における指定の場所へダウンロードする。次に適当なアドレス語が制御処理装置20によってアドレス母線22cに加えられ、そして動作符号がディジタル処理装置22における揮発性メモリへ書き込まれる。それで処理装置22は到来画像バイトをラッチ配列76へラッチし且つ対のバイトを画像バッファ39に転送する準備ができている。
静止写真のすべての画像バイトが画像バッファ39にあるときには、制御処理装置20は離散的余弦変換のための動作符号をPROM84から画像バッファ39における指定された未使用の記憶空間へダウンロードする。DCT符号は処理装置22の揮発性記憶装置へ書き込まれ、そして離散的余弦変換は画像バッファにおける画像バイトのブロックについて行われる。各ブロックが変換された後に、変換係数は画像バッファ39へ書き込まれる。制御処理装置20は次にブロック-直列変換のための動作符号を同様の方法でダウンロードし、変換が行われ、そして直列ストリングがバッファへ書き込まれる。次に、しきい値設定、正規化及び量子化のための符号が類似の方法でダウンロードされ、処理が行われて処理済みデータが記憶され、そして最小冗長度符号化のための符号がダウンロードされて振幅及びラン長符号化が行われる。画像データが今ではその最終的に圧縮された形式になっていて、圧縮データをもう一度バッファ39へ書き込む代わりに、圧縮データは直接メモリカード24へ書き込まれる。動作符号をPROM84に記憶し且つ必要に応じてそれの一部分をダウンロードする上述の技法は処理装置22に専用の、高速の、従って高価な持久記憶装置の必要性を保存している。
メモリカード24に圧縮形式に記憶されたディジタル画像信号から写真を再現するための又はハードコピープリントを作成するための静止ビデオプレーヤの簡単化された構成図が図4aに示されている。カード24がコネクタ100へ挿入されて、ディジタル信号はアクセスされ且つ伸長器102において処理される。伸長アルゴリズムは、基本的には図1Bの圧縮アルゴリズムの逆であって、図4Bに示されており、伸長器102によって実現される。ディジタル画像データはブロックごとに伸長されて、圧縮解除画像として画像バッファ104に記憶される。圧縮解除画像からハードコピー熱形プリントを作成するためにバッファ104に通常の熱形プリント106が接続されている。更に、圧縮解除画像信号はディジタル-アナログ(D/A)変換器108によってアナログ形式に変換され、そして通常のCRTモニタ110上に表示される。
この発明は現在採択の実施例に特に言及して詳細に説明されたが、この発明の精神及び範囲内において種種の変形及び変更が行われ得ることは理解されるであろう。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
本特許の特許請求の範囲の請求項2及び8を下記の通り訂正する。
【請求項2】 視覚表示器(30)をさらに具備し、
前記制御処理手段(20)が、前記バッファ一杯信号の状態に応じて前記視覚表示器(30)を駆動するものである請求項1に記載の電子静止画像化装置。
【請求項8】 前記ディジタル処理手段(22)が、圧縮アルゴリズムを介して前記ディジタル画像信号を処理し、前記画像の性質に依存する可変ビット長を有する圧縮信号の流れを生成するためのディジタル処理手段(22)であって、各画像に対して前記取り外し可能なディジタルメモリ(24)中に可変長記憶空間を割り付けるものであり、
故障あるいは欠陥に対して前記取り外し可能なディジタルメモリを検査する診断手段と、
圧縮された信号を、連続する記憶空間が各画像の性質に依存して長さが相違することもある割り付けられた画像空間にダウンロードするための手段(26)とをさらに具備する請求項1に記載の電子静止画像化装置。
異議決定日 2002-06-28 
出願番号 特願平2-507598
審決分類 P 1 652・ 121- ZD (H04N)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 木方 庸輔  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 橋本 恵一
山本 章裕
登録日 2000-09-14 
登録番号 特許第3109677号(P3109677)
権利者 イーストマン・コダック・カンパニー
発明の名称 画像圧縮及びディジタル記憶を利用した電子スチルカメラ  
代理人 石田 敬  
代理人 西山 雅也  
代理人 石田 敬  
代理人 樋口 外治  
代理人 樋口 外治  
代理人 鶴田 準一  
代理人 妻鹿 恒雄  
代理人 妻鹿 恒雄  
代理人 西山 雅也  
代理人 鶴田 準一  

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