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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 E04H 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載 E04H |
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管理番号 | 1071860 |
異議申立番号 | 異議2002-72358 |
総通号数 | 39 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1996-04-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-09-27 |
確定日 | 2003-01-27 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第3270960号「制振建物」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第3270960号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第3270960号の請求項1ないし4に係る発明は、平成6年10月11日に特許出願され、平成14年1月25日にその特許権の設定登録がなされ、その後、請求項1ないし3に係る発明の特許について鹿島建設株式会社より特許異議の申立てがなされたものである。 2.特許異議の申立てについて (1)申立ての理由の概要 特許異議申立人鹿島建設株式会社は、甲第1号証(日本建築学会昭和63年度大会(関東)学術講演梗概集B分冊昭和63年9月1日発行、第595〜596頁)を提出し、請求項1〜3に係る特許発明は、その出願前に頒布された甲第1号証刊行物に記載された発明であるので、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであって、請求項1〜3に係る特許発明は取り消されるべきものであると主張している。 (2)本件発明 特許第3270960号の請求項1〜3に係る発明は、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された次のとおりのものである。(以下、「本件発明1〜3」という。) 「【請求項1】近接する隣棟間を複数個水平に分散した水平架構材にて連結し、該水平架構材の一端は一方の棟内に緊結固定し、他端を他方の棟内に制振ダンパーを介して固定し、かつ前記水平架構材は建物の上方部のスラブの下方の天井仕上材内に設置してなることを特徴とする制振建物。 【請求項2】一つの建物をエキスパンションジョイントを設けて複数の棟とし、複数の棟間を複数個水平に分散した水平架構材にて連結し、該水平架構材の一端は一方の棟内に緊結固定し、他端を他方の棟内に制振ダンパーを介して固定し、かつ前記水平架構材は建物の上方部のスラブの下方の天井仕上材内に設置してなることを特徴とする制振建物。 【請求項3】水平架構材の一端は一方の棟内に緊結固定し、他端を他方の棟内に複数の制振ダンパーを介して固定してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の制振建物。」 (3)甲第1号証に記載された発明 甲第1号証の595頁左欄9行〜19行の記載、同596頁の「図1」からみて、甲第1号証には、「近接するA棟とB棟の間が3ヶ所の渡り廊下で結ばれ、渡り廊下の屋根がエキスパンション・ジョイントを介して、前記棟とそれぞれ結ばれ、前記渡り廊下の屋根の下方の天井仕上材内に、その一端がB棟内に緊結固定され、他端を制振ダンパー(ベル・ダンパ)を介して渡り廊下に固定した水平部材を有する制振建物」が記載されているものと認められる。 (4)対比・判断 (ア)本件発明1について 本件発明1と甲第1号証に記載の発明とを比較すると、少なくとも甲第1号証に記載の発明には、本件発明の必須の構成要件のうち次に示す構成が記載されていない。 「棟間を複数個水平に分散した水平架構材にて連結し、該水平架構材の一端は一方の棟内に緊結固定し、他端を他方の棟内に制振ダンパーを介して固定していること」 そして、本件発明1は、上記構成により、明細書に記載された、「水平架構材とダンパーを複数個水平に分散して支持固定でき、多くの支持固定点で応力の伝達と吸収を行えるので応力の局所的な集中が防げ、水平架構は軽微な架構で構築できる。」(段落【0014】)という甲第1号証からは期待できない顕著な作用効果を奏するものと認められる。 したがって、本件発明1は、甲第1号証に記載の発明と同一の発明であるものとは認められないし、また、同号証に記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものとも認められない。 (イ)本件発明2について 本件発明2は本件発明1の少なくとも上記必須の構成要件を含むものであるから、「(ア)本件発明1について」の判断と同様の理由により、甲第1号証に記載の発明と同一の発明であるものとは認められないし、また、同号証に記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものとも認められない。 (ウ)本件発明3について 本件発明3は本件発明1又は2をさらに限定したものであるから、「(ア)本件発明1について」の判断と同様の理由により、甲第1号証に記載の発明と同一の発明であるものとは認められないし、また、同号証に記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものとも認められない。 (5)むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由によっては本件発明1〜3についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1〜3についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 したがって、本件発明1〜3についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認められない。 よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2003-01-07 |
出願番号 | 特願平6-270181 |
審決分類 |
P
1
652・
113-
Y
(E04H)
P 1 652・ 121- Y (E04H) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 山田 忠夫 |
特許庁審判長 |
木原 裕 |
特許庁審判官 |
山口 由木 藤原 伸二 |
登録日 | 2002-01-25 |
登録番号 | 特許第3270960号(P3270960) |
権利者 | 清水建設株式会社 |
発明の名称 | 制振建物 |
代理人 | 熊田 武司 |