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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A63F
審判 全部申し立て 出願日、優先日、請求日  A63F
管理番号 1071862
異議申立番号 異議2002-71439  
総通号数 39 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-06-16 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-06-10 
確定日 2003-02-03 
異議申立件数
事件の表示 特許第3237825号「遊技機」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3237825号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 (1)手続の経緯
特許第3237825号に係る発明についての出願は、平成2年12月28日に特許出願した特願平2-409507号(以下、「原出願」という)の一部を平成9年12月26日に新たな特許出願とし、平成13年10月5日にその発明について特許権の設定登録がなされた後、その特許について、特許異議申立人本間幹雄より特許異議の申立てがなされたものである。
(2)特許異議申立てについて
ア.本件発明
特許第3237825号の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「遊技機を制御するための電子装置が設けられた遊技制御メイン基板と、該遊技制御メイン基板を覆う基板用収容体とを含む遊技機であって、
打玉が打込まれる遊技領域を前面に形成している遊技盤と、
表示状態が変化可能であり表示結果が予め定められた特定の表示態様となった場合に遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御可能となるように定められた可変表示装置とを含み、
前記基板用収容体は、前記遊技制御メイン基板全体を外部から視認可能な態様で覆う合成樹脂製の透明カバー体で構成されており、
前記遊技制御メイン基板には、その表面と裏面とにグランドラインが形成されているとともに、前記両グランドラインが複数箇所で電気的に接続されており、かつ、前記可変表示装置を制御する電子回路が設けられたサブ基板に対し電気的に接続を行なうためのコネクタが設けられ、
遊技機背面側から見て前記可変表示装置およびそのサブ基板の左側でかつ前記遊技盤に前記基板用収容体を固定して、前記コネクタに接続されている配線を、前記遊技盤の裏面において架設し、
遊技機背面側から見て前記可変表示装置およびそのサブ基板の右側の間隔を隔てた位置でかつ機構板に、打玉の入賞に伴い景品玉を払出可能な玉払出装置が配設されていることを特徴とする、遊技機。」
イ.申立ての理由の概要
特許異議申立人本間幹雄は、
1.本件発明は、原出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内の発明ではないから、出願日の遡及が認められず、本件発明の出願日は、平成9年12月26日である。したがって、
1-1.本件発明は、特許法第17条の2第3項の規定により、特許を受けることができないものであり、
1-2.本件発明は、その詳細な説明に、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に、記載されておらず、特許法第36条第4条の規定により、特許を受けることができないものであるから、
特許法第113条第1項第1号及び第4号の規定により取り消されるべきものである。
2.本件発明は、出願日の遡及が認められたとしても、発明の詳細な説明に、当業者が容易にその実施をすることができる程度に記載されておらず、特許法(平成2年法)第36条第4項の規定により、特許を受けることができないものであるから、同法第113条第1項第4号の規定により取り消されるべきものである。
旨主張している。
ウ.判断
ウ-1-1.異議申立人の上記1-1の主張について
特許異議申立人本間幹雄は、原出願の願書に最初に添付した明細書又は図面には、
「図4は、この発明の第1実施例を備えたパチンコ遊技機...である。遊技盤の裏側には、MPU、RAMやROM等が実装された制御メイン基板を収容した基板ケース17が取り付けられている。」(段落番号0013)、
「また、遊技盤の裏側には、遊技制御サブ基板21、中継端子基板25が取り付けられている。遊技制御サブ基板21に設けられた電子回路で、可変表示装置9(図3参照)の制御を行なう。」(段落番号0014)、
「裏面には、主として合成樹脂で形成された機構板56が設けられ、機構板56には、景品玉払出装置35が取り付けられている。」(段落番号0017)との記載があるにすぎず、
本件発明の
「遊技機背面側から見て前記可変表示装置およびそのサブ基板の左側でかつ前記遊技盤に前記基板用収容体を固定し」た構成(以下、構成「1-1-1」という)及び
「遊技機背面側から見て前記可変表示装置およびそのサブ基板の右側の間隔を隔てた位置でかつ機構板に、打玉の入賞に伴い景品玉を払出可能な玉払出装置が配設されている」構成(以下、構成「1-1-2」という)は
原出願の願書に最初に添付した明細書又は図面には記載されていないと主張する。
そこで、これらの主張について検討する。
構成(1-1-1)について
原出願の図3によれば、遊技盤5のほぼ中央箇所に可変表示装置9が設けられており、その背面図である図4及び段落番号0014の記載によれば、遊技盤の裏側のほぼ中央に遊技制御サブ基板21が取り付けられている。又、図6によると、基板用収容体17は、遊技機背面側から見て遊技制御サブ基板21の左側でかつ遊技盤5に固定されている。
第3、4図から、可変表示装置9は遊技盤5の表面ほぼ中央に、該可変表示装置を制御する電子回路が設けられたサブ基板21は遊技盤5の裏側ほぼ中央に設けられていることが明らかであり、両者共、遊技盤5の表面、裏側のほぼ同位置に設けられているので、基板用収容体17が、遊技制御サブ基板21の遊技機背面側から見て遊技盤5の左側に位置するなら、当然、基板用収容体17は遊技機背面側から見て可変表示装置の左側に位置している。
したがって、原出願の図3、図4、図6及び段落番号0014の記載に基づけば、原出願には、「遊技機背面側から見て前記可変表示装置およびそのサブ基板の左側でかつ前記遊技盤に前記基板用収容体を固定し」た点が記載されている。
また、特許異議申立人は、「図4においては、基板用収容体(17)をサブ基板(21)の左側に配設したことすら記載されていないばかりか、基板用収容体(17)をサブ基板(21)の左側ではなく下側に配設したものが記載されている。」と主張しているが、図4は第1実施例を備えたパチンコ遊技機であり、本件発明は原出願に記載された第2実施例に係るものであり、第2実施例として、図6に遊技盤5の裏面に基板ケース17(基板用収容体17)を取り付け、その右側にサブ基板(21)を配設した状態の平面図が、詳細な説明に「この発明の第2実施例を以下説明していく。図6はこの発明の第2実施例であり、遊技盤5の裏面に基板ケース17を取り付けた状態の平面図である。...21は遊技制御サブ基板であり、遊技制御サブ基板21に...。」(段落番号0048)の記載がある。したがって、基板用収容体(17)をサブ基板(21)の左側に配設した点は、原出願に記載されているので、この点に関する異議申立人の主張も採用できない。
構成(1-1-2)について
特許異議申立人が主張するように原出願の発明の詳細な説明には「裏面には、主として合成樹脂で形成された機構板56が設けられ、機構板56には、景品玉払出装置35が取り付けられている。」(段落番号0017)と記載されている。図4によると、景品玉払出装置35は遊技機背面側から見てサブ基板21の右側の間隔を隔てた位置に取り付けられている。
上記構成(1-1-1)についてで検討したように図3、図4によれば、可変表示装置9も遊技制御サブ基板21も共に遊技盤の表面、裏側のほぼ同位置に取り付けられているので、玉払出装置35が、遊技機背面側から見て遊技制御サブ基板21の右側の間隔を隔てた位置に配設されていれば、当然、可変表示装置9の右側の間隔を隔てた位置に配設されている。
したがって、原出願の図3、図4及び段落番号0017の記載に基づけば、原出願には、「遊技機背面側から見て前記可変表示装置およびそのサブ基板の右側の間隔を隔てた位置でかつ機構板に、打玉の入賞に伴い景品玉を払出可能な玉払出装置が配設されている」 点が記載されている。
また、特許異議申立人は、「図6においては、玉払出装置(35)がサブ基板(21)の右側に配設したことすらも記載されていない。」と主張しているが、図6の遊技盤5を図4のパチンコ遊技機に取り付ければ、サブ基板21の右側に玉払出装置35が位置することは明らかであるから、この点に関する異議申立人の主張も採用できない。
以上のとおり、上記構成(1-1-1)、(1-1-2)は、原出願の明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものと認められるから、上記構成が原出願に記載されていないという特許異議申立人の主張を採用することはできない。
したがって、本件発明は、原出願である特願平2-409507号の出願の時に出願したものとみなされ、本件発明の出願日は、平成2年12月28日である。
以上のとおりであるから、特許法第17条の2第3項の規定は特許異議の申立の理由にはならず、本件発明は、特許法第17条の2第3項の規定により、特許を受けることができないものではない。
ウ-1-2.異議申立人の上記1-2の主張について
本件発明は、原出願である特願平2-409507号の出願の時に出願したものとみなされるから、特許法(平成8年法)第36条第4項の規定により、特許を受けることができないものではない。
ウ-2.異議申立人の上記2の主張について
異議申立人は、本件発明の「遊技機背面側から見て前記可変表示装置(9)およびそのサブ基板(21)の左側でかつ前記遊技盤(5)に前記基板用収容体(17)を固定して」という事項及び「遊技機背面側から見て前記可変表示装置(9)およびそのサブ基板(21)の右側の間隔を隔てた位置でかつ機構板(56)に、打玉の入賞に伴い景品玉を払出可能な玉払出装置(35)が配設されている」という事項は、当業者が容易に実施をすることができる程度に記載されていないと主張している。
この主張について検討するに、本件発明の詳細な説明には、「遊技機背面側から見てその可変表示装置およびそのサブ基板の左側でかつ前記遊技盤に前記基板用収容体を固定して...遊技機背面側から見て前記可変表示装置およびそのサブ基板の右側の間隔を隔てた位置でかつ機構板に、打玉の入賞に伴い景品玉を払出可能な玉払出装置が配設されている。」(段落番号0012)と記載されており、上記記載及び図3,4、6の記載に基づいて、遊技機背面側から見て可変表示装置およびそのサブ基板の左側でかつ遊技盤に基板用収容体を固定し、遊技機背面側から見て前記可変表示装置およびそのサブ基板の右側の間隔を隔てた位置でかつ機構板に、打玉の入賞に伴い景品玉を払出可能な玉払出装置を配設することは当業者にとって容易である。
したがって、本件発明が当業者が容易にその実施をすることができる程度に記載されていないとすることはできず、上記特許異議申立人の主張は採用することができないから、本件発明は、特許法(平成2年法)第36条第4項に違反し、特許を受けることができないものではない。

以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2003-01-15 
出願番号 特願平9-360467
審決分類 P 1 651・ 03- Y (A63F)
P 1 651・ 536- Y (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 土屋 保光澤田 真治  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 藤井 靖子
平瀬 博通
登録日 2001-10-05 
登録番号 特許第3237825号(P3237825)
権利者 株式会社三共
発明の名称 遊技機  
代理人 深見 久郎  
代理人 塚本 豊  
代理人 森田 俊雄  

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