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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 A41B 審判 一部申し立て その他 A41B 審判 一部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 A41B 審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 A41B 審判 一部申し立て 特39条先願 A41B |
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管理番号 | 1074826 |
異議申立番号 | 異議2002-70928 |
総通号数 | 41 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1999-09-07 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-04-15 |
確定日 | 2003-02-10 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3217792号「エモリエント剤およびポリオールポリエステル固定化剤を含むローション付けされたトップシートを有する使い捨て吸収製品」の請求項1〜9,13に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3217792号の請求項1〜9,13に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第3217792号の請求項1〜9及び13に係る各発明についての特許出願は,平成8年7月25日に出願され(国際出願による。優先権主張:平成7年8月3日(米国)),平成13年8月3日にその特許の設定登録がなされ,その後,山林和子より特許異議の申立てがなされ,取消理由の通知がなされ,その指定期間内である平成14年10月15日に訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否についての判断 (1) 訂正事項 請求項1を次のとおりに訂正する。 「使い捨て吸収製品であって, a)液体不透過性バックシート, b)前記バックシートに結合した液体透過性トップシートであって,前記トップシートは,前記吸収製品が装着されたとき前記吸収製品の内部に向かう内側表面と装着者の皮膚に向かう外側表面を有し,前記トップシートの外側表面の少なくとも一部は,装着者の皮膚に部分的に移動可能である有効量のローション被覆を含み,前記ローション被覆は, (i) 石油系エモリエント剤,脂肪酸エステルエモリエント剤,アルキルエトキシレートエモリエント剤,ポリシロキサンエモリエント剤,シリコーンワックスエモリエント剤,およびそれらの混合物からなる群より選択される成員を含むエモリエント剤(ただし,少なくとも2個から30個までの炭素原子を有する脂肪酸または他の有機基によりエステル化された少なくとも4つの水酸基を含有する多価アルコールを含む液体ポリオールポリエステルエモリエント剤を除く)5から95%, (ii) 前記トップシートの外側表面上に前記エモリエント剤を固定し得る固定化剤であって,少なくとも2個の炭素原子から30個までの炭素原子を有する脂肪酸または他の有機基によりエステル化された少なくとも4個の水酸基を含有する多価アルコールを含む固体ポリオールポリエステルを包含する固定化剤5から95%を含むところのトップシート,および c)前記トップシートと前記バックシートの間に位置する吸収体コア を具備することを特徴とする使い捨て吸収製品。」 (2) 訂正の目的の適否,新規事項の有無及び拡張・変更の適否 上記訂正は,特許請求の範囲の減縮を目的とし,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,または変更するものではない。 (3) むすび 以上のとおりであるから,上記訂正は,特許法第120条の4第2項並びに第3項で準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に違反するものではないので,当該訂正を認める。 3.特許異議の申立てについての判断 (1) 申立ての理由の概要 特許異議申立人は,下記甲第1〜6号証を提出し,次の理由により本件特許は特許法第113条第2号及び第4号に該当する旨主張している。 ○本件特許の請求項1〜5,7〜9及び13に係る各発明は,当業者が甲第1〜4号証各刊行物に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから,同請求項に係る特許はいずれも特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 ○本件特許の請求項1に係る発明は,先に出願された特許に係る発明(甲第5号証)と同一であるから,同請求項に係る特許は特許法第39条第1項の規定に違反してされたものである。 ○本件特許の請求項1に係る発明は,同日に出願された特許に係る発明(甲第6号証)と同一であるから,同請求項に係る特許は特許法第39条第2項の規定に違反してされたものである。 ○本件特許の請求項1,5及び6の記載は不明確であり,同請求項に係る特許はいずれも特許法第36条第6項に規定する要件を満たしてない特許出願に対してされたものである。 甲第1号証:特開昭62-90371号公報(S62.4.24公開) 甲第1号証の2:「ハンドブック-化粧品・製剤原料-改訂版」(日光ケミカルズ株式会社・日本サーファクタント工業株式会社), S52.2.1発行, pp.18〜19 甲第2号証:「化粧品新素材」(株式会社シーエムシー), 1986.9.25発行, pp.76〜77 甲第3号証:「化粧品製剤実用便覧」(日光ケミカルズ株式会社・日本サーファクタント工業株式会社), S57.5.28発行, pp.182〜184 甲第4号証:特開昭63-303184号公報(S63.12.9公開) 甲第5号証:特許第3222470号公報(H7.10.26出願(優先権主張H6.11.28),H13.8.17登録) 甲第6号証:特許第3217793号公報(H8.7.25出願(優先権主張H7.8.3),H13.8.3登録) (2) 本件特許に係る発明 上記したように,特許権者が請求した本件特許明細書の訂正が認められるものであるから,本件特許の請求項1〜9及び13に係る各発明は,本件訂正明細書の請求項1〜9及び13にそれぞれ記載された事項により特定されるとおりのものである。 (3) 甲号証記載の発明 特許異議申立人の提出した上記証拠には下記の事項が記載されている。 (a) 甲第1号証刊行物 (a-1) 界面活性剤を含有し柔らかくて皮膚を保護する吸湿性衛生用品用カバー不織布において,ラノリン,乳化剤及び界面活性剤の混合物を含有した加工処理剤で表面を仕上げ加工したことを特徴とするカバー不織布。(特許請求の範囲第1項) (a-2) この種のカバー不織布は周知であり,例えば乳児又は成人用おむつ,生理帯等の吸収性使い捨て衛生用品の製造に使用される。これらは,身体に面した側に透湿性材料,例えばカバー不織布,そして裏面に不透湿性材料,例えば合成樹脂フィルムを設けた吸湿層から成る。(1頁右下欄8〜13行) (a-3) この発明は,界面活性剤を含有する使い捨て衛生用品用カバー不織布を皮膚をいためないように改良し,又特に界面活性剤を含有する湿ったカバー不織布が皮膚表面に及ぼす悪影響を低減することを目的とする。(2頁左下欄12〜16行) (a-4) ラノリンは,繊維表面に吸着され又同時に湿った状態にして皮膚の著しい脱脂を防止するという2つの働きをはたす。…… あらゆる天然原料のうちラノリンはその化学組成及び生理学的性質が人間の皮膚脂肪に最も近いものであることが知られている。それゆえラノリンは皮膚脂肪の機能を代替することができる。ラノリンを加工処理剤に含めることにより,皮膚は柔軟性を保ち又は柔軟にされる。(2頁右下欄4行〜末行) (a-5) 実施例1〜4には,カバー不織布の処理剤としてラノリンに加え,セチルアルコールが添加されたものが記載されている。(4頁左上欄5行〜5頁右上欄13行) (b) 甲第4号証刊行物 (b-1) シリコーン含有率が50%以下でポリオキシアルキレン中のポリオキシエチレン含有率が40%以上である分子量1000〜100000を有するポリオキシアルキレン変性シリコーンを30〜70重量%含有することを特徴とするバインダー繊維用処理剤。(特許請求の範囲第1項) (b-2) アニオン界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤を30〜70重量%含有する特許請求の範囲第1項記載のバインダー繊維用処理剤(特許請求の範囲第2項) (b-3) 本発明はバインダー繊維用処理剤,特に合成ナプキンの体液輸送用不織布のバインダー繊維の紡績性と親水性を改良する処理剤に関する。(1頁10〜12行) (b-4) ノニオン界面活性剤としては……,(ポリオキシアルキレン)多価アルコール脂肪酸エステル,……等が例示される。…… ポリオキシアルキレン多価アルコール高級脂肪酸エステルとしては,重合度が0〜30のポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレンの重合体残基および/または共重合体残基を有する多価アルコール,例えばソルビタン,ソルビトール,グリセリン,トリメチロールプロパン,ペンタエリスルトール等に前記の高級脂肪酸を1〜3モル,好ましくは1モル反応させて得られるエステル,およびその酸化アルキレン付加物が挙げられる。(3頁右上欄4行〜左下欄17行) (b-5) 上記のノニオン界面活性剤は,……処理剤のバインダー繊維に対する付着性を著しく改善し,バインダー繊維のカード通過性を大きく向上させると共に,ポリオキシアルキレン変性シリコーンと組合わせることによってバインダー繊維の親水性と水に対する耐久性を著しく改善する。(4頁左上欄12行〜右上欄1行) (b-6) 実施例1に,ポリオキシエチレン(n=20)ソルビタンステアレートを使用したものが記載されている。(4頁右上欄3行〜左下欄8行) (c) 先願に係る発明(甲第5号証) 甲第5号証は,特許第3222470号の請求項1に係る発明であるが,当該特許は特許異議の申立て事件(異議2002-71075)の審理中に明細書の訂正請求がなされ,その請求項1に係る発明は次のとおりに訂正されている。 「吸収性用品であって, A)液体不透過性バックシート, B)液体透過性トップシート,および C)該トップシートと該バックシートの間に配置された吸収性コア を備え, 該トップシートの少なくとも一部には,着用者の肌に部分的に移行可能である有効量のローション組成物が適用されており,該ローション組成物は, (i) 10%から95%までの,石油系エモリエント,脂肪酸エステルエモリエント,アルキルエトキシレートエモリエント,脂肪酸エステルエトキシレートエモリエント,脂肪アルコールエモリエントおよびこれらの混合物からなる群の中から選ばれ,実質的に水を含まず,20℃で可塑性もしくは流動性コンシステンシーを有するエモリエント剤(ただし,少なくとも2個から30個までの炭素原子を有する脂肪酸または他の有機基によりエステル化された少なくとも4つの水酸基を含有する多価アルコールを含む液体ポリオールポリエステルエモリエント剤を除く),および (ii) 5%から90%までの,該エモリエント剤を該トップシート上に固定化し得る固定化剤であって,ポリヒドロキシ脂肪酸エステル,ポリヒドロキシ脂肪酸アミド,C14〜C22脂肪アルコール,C12〜C22脂肪酸,C12〜C22脂肪アルコールエトキシレート,ワックスおよびこれらの混合物からなる群の中から選ばれる固定化剤(ただし,少なくとも2個の炭素原子から30個までの炭素原子を有する脂肪酸または他の有機基によりエステル化された少なくとも4個の水酸基を含有する多価アルコールを含む固体ポリオールポリエステルを包含する固定化剤を除く)を含む 吸収性用品。」 (d) 同日出願に係る発明(甲第6号証) 甲第6号証は,特許第3217793号の請求項1に係る発明であるが,当該特許は特許異議の申立て事件(異議2002-70929)の審理中に明細書の訂正請求がなされ,その請求項1に係る発明は次のとおりに訂正されている。 「使い捨て吸収製品であって, a)液体不透過性バックシート b)前記バックシートに結合した液体透過性トップシートであって,前記トップシートは前記吸収製品が装着されたとき,前記吸収製品の内部に向かう内側表面および装着者の皮膚に向かう外側表面を有し,前記トップシートの外側表面の少なくとも一部は,装着者の皮膚に部分的に移動可能である有効量の,20℃で固体または半固体であるローション被覆を含み,前記ローション被覆は, (i) 少なくとも2個から30個までの炭素原子を有する脂肪酸または他の有機基によりエステル化された少なくとも4つの水酸基を含有する多価アルコールを含む液体ポリオールポリエステルエモリエント剤5から95%, (ii) 前記のトップシートの外側表面上に前記液体ポリオールポリエステルエモリエント剤を固定し得る固定化剤であって,ポリヒドロキシ脂肪酸エステル,ポリヒドロキシ脂肪酸アミド,C14〜C22脂肪アルコール,C12〜C22脂肪酸,C12〜C22脂肪アルコールエトキシレート,ろうおよびそれらの混合物からなる群の中から選択される固定化剤5%から95%, を含むところのトップシート,および c)前記トップシートおよび前記バックシートの間に位置する吸収体コアを具備することを特徴とする吸収製品。」 (4) 対比・判断 (A) 請求項1 (a) 進歩性 ◎甲第1号証刊行物 本件特許の請求項1に係る発明と甲第1号証刊行物に記載された発明とを対比すると, (i) 本件特許の請求項1に係る発明の吸収製品で使用されるエモリエント剤は「石油系エモリエント剤,脂肪酸エステルエモリエント剤,アルキルエトキシレートエモリエント剤,ポリシロキサンエモリエント剤,シリコーンワックスエモリエント剤,およびそれらの混合物からなる群より選択される成員を含む(ただし,少なくとも2個から30個までの炭素原子を有する脂肪酸または他の有機基によりエステル化された少なくとも4つの水酸基を含有する多価アルコールを含む液体ポリオールポリエステルエモリエント剤を除く)」ものであるが,甲第1号証刊行物に記載された発明においてはこのエモリエント剤に該当するものとして「ラノリン」が使用されている点,及び, (ii) 本件特許の請求項1に係る発明の吸収製品で使用される固定化剤は「少なくとも2個の炭素原子から30個までの炭素原子を有する脂肪酸または他の有機基によりエステル化された少なくとも4個の水酸基を含有する多価アルコールを含む固体ポリオールポリエステル」であるが,甲第1号証刊行物に記載された発明においてはこの固定化剤に該当するものが明示的に記載されていない点,の2つの点で少なくとも相違する。 相違点(i)に関し,特許異議申立人は,甲第1号証の2刊行物に,「ラノリンは各種脂肪酸と各種アルコールとのエステル混合物」である旨が記載されていることを理由に,「ラノリン」は「脂肪酸エステルエモリエント剤」に該当する旨主張する。しかし,甲第1号証の2刊行物に記載されているように,「ラノリン」は脂肪酸エステル以外に遊離アルコールや遊離脂肪酸,炭化水素などをも含有する複雑な混合物であり,このような「ラノリン」はそれらの混合物全体として「エモリエント剤」として機能するのであって,「脂肪酸エステルエモリエント剤」に「ラノリン」を含むことが明示されていない本件においては,必ずしも「ラノリン」を「脂肪酸エステルエモリエント剤」の一種であると解することは相当ではない。そして本件訂正明細書31頁14〜25行にエモリエント剤としてのラノリンが示されているが,このラノリンは,本件特許の請求項1に係る発明のエモリエント剤の他に少量含めることができる従来のエモリエント剤の範疇に属するものとして説明されているものであって,単独でエモリエント剤として使用されるものではないことはその記載から明らかである。この点からしても,ラノリン自体は本件特許の請求項1に係る発明で使用し得る「脂肪酸エステルエモリエント剤」に含まれないものと解することが相当である。したがって,甲第1号証刊行物に記載された発明で使用する「ラノリン」は本件特許の請求項1に係る発明で使用する「エモリエント剤」ではない。 さらに,相違点(ii)に関し,特許異議申立人は甲第1号証刊行物における実施例で使用されているセチルアルコールが固定化剤である旨主張しているが,甲第1号証刊行物にはセチルアルコールが固定化剤であることについて何ら記載されていない。かえって,甲第1号証刊行物においてセチルアルコールに触れている実施例1の記載とその特許請求の範囲の記載(上記摘記事項(a-1))とを対比すれば,セチルアルコールは乳化剤として使用されているものと認めるのが相当である。そして,甲第1号証刊行物に記載された発明おいては,特定の乳化剤を使用しようとするものではなく,また乳化剤であれば固定化剤として使用可能なわけではなく,乳化剤として使用する際の配合量は固定化剤として使用する場合のそれとは必ずしも一致するものではないことからすると,本件特許の請求項1に係る発明の固定化剤としてセチルアルコールが使用可能であることが本件訂正明細書に記載されているとしても,甲第1号証刊行物に記載された発明において乳化剤として使用されたセチルアルコールを固定化剤と認定することは適切ではない。 ところで,甲第1号証刊行物における上記摘記事項(a-3)及び(a-4)の記載からすれば,エモリエント剤に該当するものとして使用できるものは「ラノリン」のみであって,「ラノリン」以外のものをエモリエント剤として使用し得るとする記載も示唆も存在しないといえる。さらに,甲第1号証刊行物には,上記したように,固定化剤に関する記載が明示的にないのであるから,吸収製品の液体透過性トップシートの外側表面に「エモリエント剤」を「固定化剤」で固定化するという技術思想に関する示唆を読みとることができない。 そうすると,甲第2,3号証刊行物に,脂肪酸でエステル化される水酸基を4個以上有する多価アルコールのエステルであるポリグリセリン脂肪酸エステルが記載され,当該ポリグリセリン脂肪酸エステルが固体であって,増粘剤や油ゲル化剤として使用されることが記載されているとしても,エモリエント剤としてラノリンの代わりに本件特許の請求項1に係る発明で使用する「エモリエント剤」を使用することも,またこのようなエモリエント剤を「固定化剤」で吸収製品の液体透過性トップシートの外側表面に固定化することのいずれも,当業者が甲第1号証刊行物の記載にしたがって容易に想到することができたものであるということはできない。 ◎甲第4号証刊行物 本件特許の請求項1に係る発明と甲第4号証に記載された発明とを対比すると, (i) 本件特許の請求項1に係る発明の吸収製品で使用されるエモリエント剤は「石油系エモリエント剤,脂肪酸エステルエモリエント剤,アルキルエトキシレートエモリエント剤,ポリシロキサンエモリエント剤,シリコーンワックスエモリエント剤,およびそれらの混合物からなる群より選択される成員を含む(ただし,少なくとも2個から30個までの炭素原子を有する脂肪酸または他の有機基によりエステル化された少なくとも4つの水酸基を含有する多価アルコールを含む液体ポリオールポリエステルエモリエント剤を除く)」ものであるが,甲第4号証刊行物に記載された発明においてはこのエモリエント剤に該当するものが記載されていない点,及び, (ii) 本件特許の請求項1に係る発明の吸収製品で使用される固定化剤は「少なくとも2個の炭素原子から30個までの炭素原子を有する脂肪酸または他の有機基によりエステル化された少なくとも4個の水酸基を含有する多価アルコールを含む固体ポリオールポリエステル」であるが,甲第4号証刊行物に記載された発明においてはこの固定化剤に該当するものが明示的に記載されていない点,の2つの点で少なくとも相違する。 なお,特許異議申立人は,甲第4号証刊行物に記載された発明で使用するポリオキシアルキレン変性シリコーンがエモリエント剤であり,同じくその実施例1で使用されているポリオキシエチレン(n=20)ソルビタンステアレートが固定化剤である旨主張している。しかし,甲第4号証刊行物においては,ポリオキシアルキレン変性シリコーンはバインダー繊維の紡績性と親水性を改善するために使用することしか記載されておらず(上記摘記事項(b-3)及び(b-5)),これはエモリエント剤とは無関係のことであり,このような作用を有するポリオキシアルキレン変性シリコーンがエモリエントとしての性質を有することも明らかではない。さらに,甲第4号証刊行物には,ポリオキシアルキレン多価アルコール高級脂肪酸エステル等のノニオン界面活性剤が処理剤のバインダー繊維に対する付着性を著しく改善する旨記載されている(上記摘記事項(b-5))が,この「付着性の改善」は本件特許の請求項1に係る発明における「固定化剤」と同じことを意味するものか明らかではない。すなわち,本件特許の請求項1に係る発明においては,「固定化剤」を含むローション組成物は「剪断変形が加わらないとき,半固体の外観を有するが,しかし,剪断率が増加するとき,流動させられ得る」(訂正明細書18頁1から3行),「おむつのトップシートの外側表面に加えられたとき,通常の接触,装着者の動作,および/または体温により装着者の皮膚に移動し得る」(訂正明細書18頁下から4〜2行)という性質を有するものであるが,甲第4号証刊行物でいう「付着性の改善」はこのような性質を意図しているものかは明らかではなく,そのように認めることはできない。 そうすると,甲第4号証刊行物には「エモリエント剤」についても「固定化剤」についても記載がないのであるから,吸収製品の液体透過性トップシートの外側表面に適用するローション組成物中の「エモリエント剤」を「固定化剤」で固定化することに関し何ら知見を与えるものではない。 したがって,本件特許の請求項1に係る発明を,甲第4号証刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (b) 先後願 甲第5号証として提出された先願に係る特許の請求項1に係る発明は,上記したとおり,訂正により使用する固定化剤から本件特許の請求項1に係る発明で使用する固定化剤が除外された。 したがって,本件特許の請求項1に係る発明と甲第5号証として提出された先願に係る特許の請求項1に係る発明とはもはや同一の発明とはいえず,本件請求項1に係る特許は特許法第39条第1項の規定に違反してされたものではない。 (c) 同日出願 本件特許の請求項1に係る発明は,上記訂正により使用するエモリエント剤から甲第6号証として提出された同日出願に係る特許の請求項1に係る発明で使用するエモリエント剤が除外された。 したがって,本件特許の請求項1に係る発明と甲第6号証として提出された同日出願に係る特許の請求項1に係る発明とはもはや同一の発明とはいえず,本件請求項1に係る特許は特許法第39条第2項の規定に違反してされたものではない。 (B) 請求項2〜5,7〜9及び13 本件特許の標記請求項はいずれも請求項1の従属項であって,標記請求項に係る各発明はいずれも請求項1に係る発明の特定事項の一部または全部を限定するものであるが,上記したとおり,本件特許の請求項1に係る発明は,当業者が甲第1〜3号証刊行物に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえないのであるから,標記請求項に係る各発明もまた当業者が甲第1〜3号証各刊行物に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 (5) 明細書の記載要件について (a) 特許異議申立人は,本件特許の請求項1に係る発明において,同一の物質が「エモリエント剤」と「固定化剤」との両方で使用されている点を記載不備と指摘しているが,本件特許の請求項1に係る発明においては,吸収製品の液体透過性トップシートの外側表面に「エモリエント剤」を「固定化剤」で固定化するために,適用するローション組成物中に「エモリエント剤」と「固定化剤」の両方の成分を含有していることがその発明の特定に必要であって,「固定化剤」が固定化の用途に加えてさらに「エモリエント剤」としての性質を有することは何ら本件特許の請求項1に係る発明を不明確にするものではなく,そのことが記載不備に当たるとはいえない。 (b) 特許異議申立人は,本件特許明細書の記載からは発明の効果が不明瞭であると指摘するが,エモリエント剤を含有するローション組成物に関する技術常識に加え,実施例におけるエモリエント剤及び固定化剤を含有するローション組成物を使用したトップシートの製造に関する記載を参酌すると,本件訂正明細書の記載により当業者が容易に本件特許の請求項1,5及び6に係る発明の効果を理解することができるから,この点に関し記載不備とはいえない。 (c) 特許異議申立人は「シリコーンワックスエモリエント」に関する記載が発明の詳細な説明の欄にないことを記載不備と指摘するが,「シリコーンワックスエモリエント」との用語自体は特段不明確なものではなく,この記載により当業者は従来周知のエモリエント剤から一定のものを容易に選択し得るものである。したがって,本件訂正明細書の発明の詳細な説明に「シリコーンワックスエモリエント」に関する詳細な記載が存しないとしても,そのことをもって記載不備に該当するとはいえない。なお,特許異議申立人は従来「シリコーンワックスエモリエント」に該当するエモリエント剤が存在しなかったことまでを主張するものではない。 (d) 以上のとおりであるから,本件訂正明細書に特許異議申立人の指摘するような記載不備は存在しない。 4.むすび 以上のとおりであるから,特許異議の申立ての理由及び証拠によっては本件請求項1〜9及び13に係る発明の特許を取り消すことはできない。 また,他に本件請求項1〜9及び13に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 エモリエント剤およびポリオールポリエステル固定化剤を含むローション付けされたトップシートを有する使い捨て吸収製品 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 使い捨て吸収製品であって、 a)液体不透過性バックシート、 b)前記バックシートに結合した液体透過性トップシートであって、前記トップシートは、前記吸収製品が装着されたとき前記吸収製品の内部に向かう内側表面と装着者の皮膚に向かう外側表面を有し、前記トップシートの外側表面の少なくとも一部は、装着者の皮膚に部分的に移動可能である有効量のローション被覆を含み、前記ローション被覆は、 (i)石油系エモリエント剤、脂肪酸エステルエモリエント剤、アルキルエトキシレートエモリエント剤、ポリシロキサンエモリエント剤、シリコーンワックスエモリエント剤、およびそれらの混合物からなる群より選択される成員を含むエモリエント剤(ただし、少なくとも2個から30個までの炭素原子を有する脂肪酸または他の有機基によりエステル化された少なくとも4つの水酸基を含有する多価アルコールを含む液体ポリオールポリエステルエモリエント剤を除く)5から95%、 (ii)前記トップシートの外側表面上に前記エモリエント剤を固定し得る固定化剤であって、少なくとも2個の炭素原子から30個までの炭素原子を有する脂肪酸または他の有機基によりエステル化された少なくとも4個の水酸基を含有する多価アルコールを含む固体ポリオールポリエステルを包含する固定化剤5から95%を含むところのトップシート、および c)前記トップシートと前記バックシートの間に位置する吸収体コア を具備することを特徴とする使い捨て吸収製品。 【請求項2】 前記ローション被覆が20℃で固体または半固体である請求項1記載の使い捨て吸収製品。 【請求項3】 前記エモリエント剤が、20℃で塑性もしくは流体コンシステンシーを有する請求項2記載の使い捨て吸収製品。 【請求項4】 前記固体化剤が、少なくとも35℃の融点を有する請求項2記載の使い捨て吸収製品。 【請求項5】 前記固体ポリオールポリエステルのポリオールが、糖、糖誘導体、糖アルコール、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、およびそれらの混合物から選択される請求項1記載の使い捨て吸収製品。 【請求項6】 前記固体ポリオールポリエステルのポリオールが、アラビノース、リボース、キシリトール、エリスリトール、グルコース、メチルグルコシド、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルビトール、マルトース、ラクトース、スクロース、ラフィノース、およびマルトトリオース、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、グルコース、およびそれらの混合物から選択される、請求項1記載の使い捨て吸収製品。 【請求項7】 前記脂肪酸または基が8ないし22個の炭素原子を有するカルボン酸である請求項1記載の使い捨て吸収製品。 【請求項8】 前記脂肪酸または基が、脂肪族、芳香族、ポリマー性エステル形成基、二量体脂肪酸、およびそれらの混合物から選択される請求項1記載の使い捨て吸収製品。 【請求項9】 前記ポリオールポリエステルの少なくとも85%の水酸基がエステル化されている請求項1記載の使い捨て吸収製品。 【請求項10】 前記ポリオールポリエステルが、完全に水素化された大豆油脂肪酸メチルエステルと部分的に水素化された大豆油脂肪酸メチルエステルの混合物でエステル化されたシュークロースを含む請求項1記載の使い捨て吸収製品。 【請求項11】 前記固体糖ポリエステルは、固体糖ポリエステル、固体糖アルコールポリエステル、およびそれらの混合物を含み、前記固体糖ポリエステルおよび前記固体糖アルコールポリエステルは少なくとも14個の炭素原子を含む長鎖飽和脂肪酸基を含むエステル基を含む請求項5記載の使い捨て吸収製品。 【請求項12】 前記ポリオールポリエステルが2つのエステル基を含む異種エステル化されたポリオールポリエステルであり、前記2つのエステル基が、 (a)20から30の炭素原子を有する長鎖飽和脂肪酸基から形成された基、および (b)該長鎖飽和脂肪酸基とは相違する酸基であって、C12以上の不飽和脂肪酸基、C2〜C12飽和脂肪酸基、脂肪-脂肪酸、芳香族酸、ポリアクリル酸、二量体脂肪酸、超長鎖酸基、分岐した環式基、置換した酸基、およびそれらの混合物から選択された酸基から形成された基 である請求項1記載の使い捨て吸収製品。 【請求項13】 前記ローションが前記トップシートに、0.16g/m2(0.1mg/in2)から39g/m2(25mg/in2)までの範囲における付加レベルで適用されている請求項1記載の使い捨て吸収製品。 【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、エモリエント剤とポリオールポリエステル固定化剤を含有するローションが付与されたトップシートを有する使い捨て吸収製品に関する。ここで開示されるローション組成物は、おむつ、引張って着用する製品(プルーオン製品)(pull-on product)、成人失禁用装着具などのような吸収製品における使用にとって特に適切である。好ましい態様において本発明は、通常の接触および装着者の動作および/または体温により装着者の皮膚に移動することができる、トップシートの外側表面上にローション被覆を有する吸収製品に関する。 発明の背景 おむつのような、尿を吸収する高い能力を有する、多くのタイプの使い捨て吸収製品が入手できる。一般にこのタイプの使い捨て製品は、幾つかの種類の流体透過性トップシート材料、吸収体コア、および流体不透過性バックシート材料を具備する。これらのタイプの吸収構造は流体の吸収については非常に効率がよいが、それらは排便(bowel movement)(すなわち、以後「BM」と称する)の吸収はできない。典型的には、BMは、流体透過性トップシートの外側表面と装着者の皮膚との間に捕らえられ、その多くは装着者の皮膚に付着する。 BMが装着者の皮膚に付着することを避けるために、ケアの提供者はしばしば、吸収製品を装着者に取り付ける前に、臀部および肛門領域に、ワセリンまたは鉱油のような保護用品または「撥水性」用品を与える。この手続きは、通常、例えばケアの提供者の手の一方にオイルまたはローションを流し、両手を互いにこすってその手にその物質を塗り、次いで幼児の皮膚上のそれを拭くことに関連している。この不経済で、手の汚れる、そして容易に忘れられる行為のための必要をなくすため、トップシート上に保護的または治療的なスキンケア物質を含む吸収製品を作る、多くの以前からの試みが存在した。 おむつ製品に鎮静させる保護的被覆を与えるローションとして適用されてきた1つの物質が鉱油である。鉱油(液体ペトロラタムとしてもまた知られる)は、石油中の高温煮沸(すなわち300℃〜390℃)画分を蒸留することにより得られるさまざまな液体炭化水素の混合物である。鉱油は周辺温度、例えば20℃-25℃で液体である。結果として、鉱油は、おむつのトップシートに用いられたときでさえ、比較的流動的で可動性である。 鉱油は周辺温度で流動的で可動性であるので、トップシートの表面上に局所化されてとどまらず、代わりにおむつの内部にトップシートを通って移動する傾向がある。したがって、比較的高いレベルの鉱油が、望ましい治療的または保護的被覆ローションとしての便益を与えるためにトップシートに加えられる必要がある。このことはこれらのローション付けされたおむつ製品についてコストを増大させるだけでなく、その上、他の有害な効果をも導く。 これらの有害な効果の一つは、高いレベルの鉱油はトップシートの開口をブロックする傾向があるので、流体処理特性における減少である。また、鉱油はおむつの内部に移動するので、それは疎水性添加物として働く傾向があり、このようにして、人が用いるときに、下にある吸収体コアの吸収性が減少する。加えられる鉱油のレベルが増加すると、吸収性における減少はより顕著になる。 そのレベルを増加させなくてさえ、一度加えられた鉱油の移動する傾向は他の有害な影響を有する。例えば、加えられた鉱油は、ローション付けされたおむつ製品のためのパッケージまたはラップ材料に向かって、および通過して移動し得る。このことは、汚れまたはおむつ製品からの鉱油の他の漏出を避けるためにバリヤタイプのパッケージまたはラップフィルムについての必要を作り出し得る。 従って、次のようなローション付けされたおむつ製品を提供することが望ましいであろう、すなわち、(1)望ましい治療的または保護的に被覆するローションの便益を有し、(2)室温で液体である(例えば鉱油)比較的高いレベルの被覆を必要としないで、(3)逆におむつ製品の吸収性に影響を与えず、および(4)パッケージのための特別なラップまたはバリヤ材料を必要としない。 ヘイフォード(Hayford)らに与えられた米国特許第3,585,998号は、その内部ライナーが、ベビーオイルを含む圧力破裂性カプセルの列を有する使い捨て幼児おむつを教示する。その特許は、めん棒、ハンドアイロン(handiron)、その他のような家庭用品により圧力をかけることにより、おむつを使用する前にカプセルを破壊することが望ましいことを教示する。同じ原理の圧力破裂性カプセルが、障害部に薬効のある素材を放出することができる包帯を作るために、ゴールドファーブ(Goldfarb)らに与えられた米国特許3,464,413号において用いられる。両特許により開示された製品には重大な欠点がある。すなわち、そのおむつまたは包帯を用いる前に圧力をかけることによりカプセルが破裂させられない場合、カプセル中に含まれるスキンケア素材はまったく放出されないかまたは被覆されない皮膚の領域を残して不均一に放出されるかのいずれかである。 ブチャルター(Buchalter)に与えられた米国特許第3,896,807号は、それに湿分が加えられることによりクリームを形成する、クリーム製剤(cream formulation)の固体油脂相で含浸された製品を教示する。その参照文献により開示された製品の主要な不利益は、吸収体の基層から皮膚への有益な物質の移動が遅延し、体液が放出されるときのみ実現することである。 ダンカン(Duncan)らに与えられた米国特許第3,489,148号は、トップシートの一部が油性材料の不連続フィルムで被覆される疎水性および非親油性のトップシートを具備する幼児用おむつを教示する。ダンカンらの参照文献において開示されているおむつの主要な不利益は、疎水性及び非親油性のトップシートは、下にある吸収体コアへの尿の移動を促進する点において遅いことである。 従って、本発明の目的は、優れた流体処理特性を有するローション付けされたトップシートを有する使い捨て吸収製品を提供することである。 さらに本発明の目的は、装着者の皮膚に移動し、皮膚へのBMの粘着を減少させるのに有効であり、それによりBM清浄化の容易さを向上させる、トップシートの外側表面上にローション被覆を有するトップシートを提供することである。 更に本発明の目的は、ローション付けされた吸収製品であって、(1)望ましいBM放出、清浄化、治療的または保護的ローション被覆の便益を有し、(2)比較的高いレベルの鉱油を必要とせず、(3)おむつの流体処理特性に逆に影響を与えず、(4)パッケージに特別なラップまたはバリヤ材料を必要としないおむつ製品を提供することである。 その上さらに本発明の目的は、皮膚に対するBMの粘着を減少させることについて有効であり、また皮膚の柔軟性を向上させるスキンケア組成物を提供することである。 これらの、そして他の目的が本発明を用いて得られ、それは、次の開示を読むことにより容易に明らかとなるであろう。 発明の概要 本発明は、装着者の皮膚に移動するように適合するローション被覆をトップシートの外側表面に有する使い捨て吸収製品に関する。 簡潔にいえば、本発明の使い捨て吸収製品は、 a)液体不透過性バックシート、 b)前記バックシートに結合した液体透過性トップシートであって、前記トップシートは、前記吸収製品が装着されたとき前記吸収製品の内部に向かう内側表面と装着者の皮膚に向かう外側表面を有し、前記トップシートの外側表面の少なくとも一部は、装着者の皮膚に部分的に移動可能である有効量のローション被覆を含み、前記ローション被覆は、 (i)石油系エモリエント剤、脂肪酸エステルエモリエント剤、アルキルエトキシレートエモリエント剤、ポリシロキサンエモリエント剤、シリコーンワックスエモリエント剤、およびそれらの混合物からなる群より選択される成員を含むエモリエント剤5から95%、 (ii)前記トップシートの外側表面上に前記エモリエント剤を固定し得る固定化剤であって、少なくとも2個の炭素原子から30個までの炭素原子を有する脂肪酸または他の有機ラジカルによりエステル化された少なくとも4個の水酸基を含有する多価アルコールを含む固体ポリオールポリエステルを包含する固定化剤5から95%を含むところのトップシート、および c)前記トップシートと前記バックシートの間に位置する吸収体コア を具備する。 本発明のおむつのトップシートの少なくとも一部におけるローション被覆の量は、約0.16から約39g/m2(0.1から25mg/in2)の範囲を取ることが好ましく、約1.6から約16g/m2(0.1から25mg/in2)であることがより好ましい。本発明によるローション付けされた吸収製品のトップシートは、望ましいBM洗浄、治療的および/または保護的なローション被覆の便益を提供する。トップシートの表面上でエモリエント剤が実質的に固定されているので、望ましいスキンケアの利益を与えるために必要なローション組成物は少ない。加えて、本発明のローション付けされた吸収製品のパッケージにおいて、特別なバリヤまたはラップ材料は不必要である。 以後考察されるであろうが、本発明のローション組成物は、比較的固定しており、室温で吸収製品のトップシートに局在しており、体温で装着者に移動可能であり、その上極端な貯蔵条件下で完全には液体ではないような溶融プロフィールを有することが好ましい。 重要なことに、本発明のローション組成物は、通常の接触、装着者の動作、および/または体温を手段として、皮膚に容易に移動し得る。理論により拘束されるのではないが、ローション組成物は皮膚の表面エネルギーを変化させ、および/またはBMについての皮膚の親和性を減少させる「バリヤ」を形成すると思われる。したがってBMは、皮膚に粘着する傾向の減少を有し、除去しやすい。さらにポリオールポリエステル分子は容易には装着者の皮膚を通さず、しかし皮膚の表面においてか近くにとどまり、皮膚に、長く続く滑らかな感覚を与えると考えられる。 図面の簡単な説明 図1は、おむつトップシートに対して本発明のローション組成物を与えるための好ましいプロセスを例示する図式的表現である。 図2は、おむつトップシートに対して本発明のローション組成物を与えるための別のプロセスを例示する図式的表現である。 図3は、本発明によるおむつの形態における吸収製品である。 発明の詳細な説明 ここで用いられるものとして、「含む(具備する)(comprising)」という術語は、本発明を実施するに当たってさまざまな要素、成分、または工程が共同で用いられ得ることを意味する。したがって、「含む(具備する)」という術語は、より限定的な術語である「から基本的になる(consisting essentially of」および「からなる(consisting of)」を包含する。 別に特定しなければ、ここで用いられるすべてのパーセンテージ、比および割合は重量によるものである。 A.吸収製品 ここで用いられる「吸収製品」という術語は、体からの排出物を吸収し、保持する装着具(device)をいい、より特別には、体から排出されるさまざまな排出物を吸収し、保持するために装着者の皮膚に対して配置される装着具をいう。「使い捨て」という術語はここでは、1回の使用の後に、洗濯されるかまたはさもなければ吸収製品として修復されるかまたは再使用されることを意図しない吸収製品を記述するために用いられる。使い捨て吸収製品の例には、生理用ナプキンおよびパンティライナーのような女性用衛生着用品、おむつ、失禁ブリーフ、おむつホルダー、トレーニングパンツなどが含まれる。 使い捨て吸収製品は典型的に、液体透過性トップシート、該トップシートに結合した液体不透過性バックシート及び該トップシートと該バックシートとの間に位置する吸収体コアを具備する。トップシート、バックシート、吸収体コア、およびこれらの構成要素の何れの個別の層を含む、使い捨て吸収製品およびその構成要素は、体表面および着用品表面を有する。ここで用いられる、「体表面」とは装着者の体に向かってまたは近接して着用されることを意図された製品または構成要素の表面を意味し、一方、「着用品表面」とは、使い捨て吸収製品が装着されるときに、反対側にあり、装着者の体または下着に向けて身につけられるか隣接して配置されることを意図されている。 続く記載では一般的に、使い捨て吸収製品において有用である吸収体コア、トップシート、およびバックシート材料を考察する。この一般的記載は図3において示される特別の吸収製品のこれらの構成要素に当たるものであり、一般的にここで記載される他の使い捨て吸収製品のそれらに加えてさらに以下に記載されると理解されるべきである。 一般的に、吸収体コアは液体(例えば経血、尿、および/または他の体からの排出物)を吸収しまたは保持することができる。吸収体コアは、圧縮性があり、一致性があり、および装着者の皮膚に不快感がないことが好ましい。吸収体コアは、広いバラエティーのサイズと形状(例えば、長方形、長円形、砂時計形、「T」形状、ドッグボーン形、非対称形、その他)において製造され得る。本発明の吸収複合材料に加えて、吸収体コアは、一般的にエアフェルトと称される、細砕された木材パルプのような、吸収製品において一般的に用いられる多くのバラエティーの液体吸収材料の何れかを含み得る。吸収体コアに用いるための他の適切な吸収材料の例には、しわ形成されたセルロースの詰め物、コフォーム(coform)を含む溶融ブローポリマー、化学的に凝固し、改変されまたは架橋したセルロース性繊維、縮れたポリエステル繊維のような合成繊維、ミズゴケ、ティッシュ包装およびティッシュ積層物を含むティッシュ、吸収体フォーム、吸収体スポンジ、超吸収ポリマー、吸収ゲル化材料、またはいずれかの等価の材料または材料の組み合わせ、またはこれらの混合物が含まれる。 吸収体コアの形状と構造もまた変異し得る(例えば、吸収体コアは、厚さの変異する帯域を有し、および/または中央において厚くなるようなプロフィールを有し、親水性勾配を有し、超吸収性勾配の、本発明の吸収複合材料の勾配を有し、または、たとえば獲得帯域である、低い平均密度で低い平均坪量の帯域を有し、または1以上の層または構造を含み得る)。しかしながら、吸収体コアの全吸収能力は、設計された負荷および吸収製品の意図する使用と両立すべきである。さらに、吸収体コアの大きさと吸収能力は、おむつ、失禁パッド、パンティライナー、通常の生理用ナプキン、および夜間の生理用ナプキンのような異なる使用に適応させるため、および幼児から成人までの範囲を取る装着者に適応させるために、変異し得る。 吸収体コアは、装着者の快適感を高めるために、例えば、除塵層、芯材または捕捉層、または第2のトップシートのような、吸収製品においてしばしば用いられる他の吸収要素を含み得る。 トップシートは、装着者の皮膚に対して順応性があり(compliant)、柔軟な感触があり、および不快感がないことが好ましい。さらにトップシートは、液体透過性であり、液体(例えば経血および/または尿)がその厚さを通じて容易に貫通し得るものである。適切なトップシートは、製織および不織材料(例えば繊維の不織ウエブ)、有孔に形成された熱可塑性フィルム、有孔のプラスチックフィルム、およびハイドロフォーミングされた熱可塑性フィルムのようなポリマー材料、多孔性フォーム、網状フォーム、網状熱可塑性フィルム、および熱可塑性スクリムのような広い範囲の材料から製造し得る。適切な製織および不織材料は、天然繊維(例えば木材または綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、またはポリエチレン繊維のようなポリマー繊維)または天然繊維と合成繊維の組み合わせからなるものであってもよい。トップシートが不織ウエブを含むとき、そのウエブは、多くの数の既知の技術により製造され得る。例えばウエブは、紡糸結合、カード、湿式製造、溶融ブロー、水による絡ませ、上記の組み合わせなどにより作られ得る。 バックシートは液体(例えば経血および/または尿)に対して不透過性であり、他のフレキシブルな液体不透過性材料もまた用いることができるが、薄いプラスチックフィルムから製造されることが好ましい。ここで用いられる「フレキシブル」という術語は、順応性があり、一般的な形状に容易に一致し、人の体の外形に合わせられる材料をいう。バックシートは、吸収体コア中に吸収され、保持された排出物により、ベッドシーツ、パンツ、パジャマ、および下着のような吸収製品と接触する製品をぬらすことを回避させる。バックシートはこのように、製織または不織材料、ポリエチレンまたはポリプロピレンの熱可塑性フィルムのようなポリマーフィルム、またはフィルムで被覆された不織材料のような複合材料からなるであろう。適切なバックシートは、約0.012mm(0.5ミル)から約0.051mm(2.0ミル)の厚さを有するポリエチレンフィルムである。典型的なポリエチレンフィルムは、P18-1401の名称で、オハイオ州シンシナチのクロペイ・コーポレーション(Clopay Corporation)およびXP-39385の名称で、インディアナ州テールホート(Terre Haute)のトレデガー・フィルム・プロダクツ(Tredegar Film Products)により製造される。バックシートは、エンボス加工および/またはつや消し仕上げして、より布のような外観を与えることが好ましい。更に、バックシートは、排出物がバックシートを通過することを回避するが、蒸気が吸収体コアから出て行くことを許容すべきである(すなわち、バックシートは吸収可能である)。バックシートのサイズは、吸収体コアのサイズおよび選択された正確な吸収製品の設計により決定される。 バックシートとトップシートとは、吸収体コアの、それぞれ、着衣表面と体表面とに隣接して位置している。吸収体コアは、当該技術において周知のもののような付着手段(図3において示さず)により知られているものとしてのいずれかの様式において、トップシート、バックシート、または両方と結合することが好ましい。しかしながら本発明の態様は、吸収体コア全体の部分は、トップシート、バックシート、または両方のいずれかと付着していないものと考察される。 例えば、バックシートおよび/またはトップシートは、接着剤の均一の連続層、接着剤のパターン化された層、または接着剤の別々の線、螺旋、もしくは点の列により吸収体コアに、または互いに固定され得る。満足であることが見出された接着剤は、HL-1258またはH-2031の名称で、ミネソタ州セントポールのH.B.フラー・カンパニー(H.B.Fuller Company)により製造される。付着手段は、ここに参照により組み込まれている、1986年3月4日にミネトラ(Minetola)らに発行された米国特許第4,573,986号に開示される接着剤のフィラメントの開放パターンネットワークを含むことが好ましいであろう。フィラメントの開放パターンネットワークの典型的な付着手段は、1975年10月7日にスプラーグ・ジュニア(Sprague,Jr)に発行された米国特許第3,911,173号、1978年11月22日にツイーカー(Zwieker)らに発行された米国特許第4,785,996号、および1989年6月27日にウエレニッツ(Werenicz)に発行された米国特許第4,842,666号において示された装置および方法により例示されるような螺旋パターンに旋回する幾つかの線の接着剤フィラメントからなる。これらの特許のそれぞれはここで参照により組み込まれる。或いは、付着手段は、熱結合、圧力結合、超音波結合、動的機械的結合、またはいずれか他の適切な付着手段または当該技術において既知であるこれらの付着手段の組み合わせを含み得る。 本発明のローション付けされたトップシートを用い得る好ましい使い捨て吸収製品はおむつである。ここで用いられる「おむつ」という術語は、装着者の下部の胴に着けられる、一般的に幼児および失禁者により身につけられる吸収製品を言う。他の言葉で言えば、「おむつ」という術語は、幼児おむつ、トレーニングパンツ、成人失禁装着具などを含む。 図3は、構造の一部がおむつ50の構造をより明確に示すために切欠しており、おむつ50の一部が装着者から離れて位置している、見るものに向かっている外側表面で、その完全な、収縮していない状態(すなわち、ゴムひもにより誘発された収縮が除かれている)における本発明のおむつ50の概略図である。図3において示されるように、おむつ50は、液体透過性トップシート520、トップシート520と結合した液体不透過性バックシート530、トップシート520とバックシート530との間に位置する吸収体コア540で、その吸収体コア540は、着衣に面する表面542、身体に面する表面544、サイドエッジ546、ウエストエッジ548、および耳549を有するものを具備することが好ましい。おむつ50は更に、弾力性を持たせたレッグカフ550、560として示された弾性の腰部の特徴の多重プライ、および570として示された一般的に多重プライの固定系をも具備する。 おむつ50は、外側表面52、外側表面52の反対にある内側表面54、第1の腰部領域56、第2の腰部領域58、および長手側縁部は55で示され、末端縁部は57で示されるおむつ50の外側縁部により定義される周辺部51を有するものと図3において示される。(熟練した技術者は、おむつは通常1対の腰部領域および腰部領域の間の股領域を有することによって記述されると認識するであろうが、この応用においては、術語の単純性のために、おむつ50は、典型的には股領域の一部として示され得るおむつの部分を含む腰部領域のみを有するものとして記述される)。おむつ50の内部表面54は、使用時に装着者の体に接して位置するおむつ50の部分を含む(すなわち、内側表面54は一般的に、少なくともトップシート520のある部分とトップシート520に結合し得る他の要素により形成される)。外部表面52は、装着者の体から離れて位置するおむつ50の部分を含む(すなわち、外側表面52は、一般的に、少なくともバックシート530の一部およびバックシート530に結合しうる他の構成要素により形成される)。(ここで用いられるものとして、装着者に面するおむつ50の部分又はその構成要素もまた体に面する表面と称する。同様に、装着者から離れて位置する部分もまたここで、着衣に面する表面という。)第1の腰部領域56および第2の腰部領域58はそれぞれ、周辺部51の末端縁部57からおむつ50の側面の中央線53に伸びる。図3もまた長手側中央線59を示す。 図3は、トップシート520とバックシート530が、吸収体コア540のものより一般的に大きい長さと幅の寸法を有するおむつ50の好ましい態様を示す。弾性化されたレッグカフ550およびバックシート530は吸収体コア540の端部を超えて伸びてそれによりおむつ50の周辺部51を形成する。 本発明のおむつは、本発明に適するそれの吸収体コアについて多数の周知の形状を有し得る。典型的な形状は一般的に、1975年1月14日においてビュエル(Buell)に発行された米国特許第3,860,003号、1992年9月29日においてビュエルらに発行された米国特許第5,151,092号、1993年6月22日においてビュエルらに発行された米国特許第5,221,274号において記載される。これらの特許のそれぞれは、ここで参照により組み込まれる。本発明が容易に適合し得るもう一つのおむつ形状は、同時係属する1994年2月28日に出願された米国特許出願シリアル番号第08/203,456号において記載され、ここで参照により組み込まれている。これらの特許において記載されたおむつの吸収体コアは、ここでの教示の光のもとに適合し得て、それらにおいて記載される吸収体ゲル化素材として本発明の吸収体複合材料を含み得る。 おむつ50における使用について特に適切であるトップシート520は、布帛技術における当業者にとって周知の手段により、カード形成および熱的結合される。本発明にとって満足の行くトップシートは、約2.2のデニールを有するステープル長のポリプロピレン繊維からなる。ここで用いられるものとして、「ステープル長の繊維」という術語は、少なくとも約15.9mm(0.625インチ)の長さを有する繊維を称する。トップシートは、約14から約25グラム毎平方メートルの坪量を有することが好ましい。適切なトップシートは、P-8の名称で、マサチューセッツ州ウォルポール(Walpole)のインターナショナル・ペーパー・カンパニー(International Paper Company)の一部門であるベラテック(Veratec),Incにより製造される。 おむつ50のトップシート520は、トップシートを通して液体(例えば尿)の急速な移動を促進するために親水性素材から作られていることが好ましい。もしトップシートが疎水性材料から作られているならば、液体がトップシートをより急速に移動通過するように、少なくともトップシートの上部表面を親水性となるように処理する。このことにより、体からの排出物が、トップシートを通って引かれ、吸収体コアにより吸収されるよりもむしろトップシートから漏れ出る可能性が減る。トップシートは、それを界面活性剤で処理することにより、親水性にすることができる。トップシートを界面活性剤で処理するための適切な方法には、界面活性剤でトップシート材料をスプレーすることおよび材料を界面活性剤に浸漬することが含まれる。そのような処理および親水性のより詳細な考察は、1991年1月29日にレイジング(Reising)らに発行された「多層吸収層を有する吸収製品(Absorbent Articles with Multiple Layer Absorbent Layers)」という表題の 米国特許第4,988,344号および1991年1月29日にレイジングに発行された「高速獲得吸収体コアを有する吸収製品(Absorbent Articles with Rapid Acquiring Absorbent Cores)」という表題の米国特許第4,988,345号において含まれており、それらのそれぞれはここで参照により組み込まれている。 ここで記述されるおむつの好ましい態様において、バックシート530は、おむつ全体の周辺部を巡って、吸収体コアを超えて、約1.3cmから約6.4cm(約0.5から約2.5インチ)の最小距離に伸びる改良された砂時計形状を有する。 吸収体コア540は、おむつ50と両立するいかなる大きさまたは形状をも取り得る。おむつ50の1つの好ましい態様では、第1の腰部領域において耳を有するがしかし、第2の腰部領域においては一般的に長方形形状を有する、非対称の、改変されたT形状の吸収体コア540を有する。広範な受容と商業的成功を達成した本発明の吸収体コアとしての使用についての典型的な吸収体構造は、1986年9月9日にワイズマン(Weisman)らに発行された「高密度吸収体構造(High-Density Absorbent Structures)」という表題の米国特許第4,610,678号、1987年6月16日にワイズマンらに発行された「二重層のコアを有する吸収製品(Absorbent Articles with Dual-Layered Cores)」という表題の米国特許第4,673,402号、1989年12月19日にアンダスタッド(Angstadt)に発行された「除塵層を有する吸収体コア(Absorbent Core Having A Dusting Layer)」という表題の米国特許4,888,231号、および1989年5月30日にアレマニー(Alemany)らに発行された「低密度および低坪量獲得帯域を有する高密度吸収部材(High Density Absorbent Members Having Lower Density and Lower Basis Weight Acquisition Zones)」という表題の米国特許第4,834,735号において記載される。吸収体コアは更に、1993年8月10日にアレマニーらに発行された「弾力性を有する腰部の特徴および高められた吸収性を有する吸収製品(Absorbent Article with Elastic Waist Feature and Enhanced Absorbency)」という表題の米国特許第5,234,423号および1992年9月15日にヤング(Young)、ラボン(LaVon)およびテイラー(Taylor)に発行された「失禁管理のための高効率吸収製品(High Efficiency Absorbent Articles For Incontinence Management)」という表題の米国特許第5,147,345号において詳細に示されるような吸収貯蔵コア上に位置する化学的に堅固化された繊維の獲得/分布コアを含む二重コア系を具備し得る。これらの特許のすべてはここで参照により組み込まれる。 好ましい態様において、おむつ50は、さらに、液体および他の体からの排出物に高められた拘束を与えるための弾力性を有するレッグカフ550、向上した適合性および拘束を与える弾力性の腰部の特徴560、および側面の張力が、装着者についておむつを維持するように、おむつの周囲に沿って維持されるような、一部が重なり合う形状において第1の腰部領域56と第2の腰部領域58を維持する側面の閉鎖を形成する固定系570を具備する。おむつ50はまた、おむつ50のより快適で輪郭を描く適合性及びより効果的な利用を与える、弾性的に伸びる特徴を提供するために、腰部領域56および58において弾力性を有するサイドパネル(図示せず)を具備し得る。 弾力性を有するレッグカフ550は、米国特許第3,860,003号、1990年3月20日にアジズ(Aziz)らに発行された米国特許第4,909,803号、1987年9月22日にローソン(Lawson)に発行された米国特許第4,695,278号、および1989年1月3日にドラグー(Dragoo)に発行された米国特許第4,795,454号において記載されるものを含む多数の異なる形状において構築されることができ、上記のそれぞれはここで参照により組み込まれる。 弾力性を有する腰部の特徴は、1985年5月7日にキエビット(Kievit)らに発行された米国特許第4,515,595号、1991年6月25日にロバートソン(Robertson)に発行された米国特許第5,026,364号、および上記参照された1992年9月29日にビュエルらに発行された米国特許第5,151,092号において記載されたものを含む多数の異なる形状において構築され得る弾力性を有するウエストバンド(図示せず)を具備することが好ましく、これら参照文献のそれぞれは参照によりここで組み込まれる。 弾力性を有するサイドパネルは多数の形状において構築され得る。おむつの耳(イヤーフラップ)に位置する弾力性を有するサイドパネルを有するおむつの例は、1989年8月15日にウッド(Wood)らに発行された米国特許第4,857,067号、1983年5月3日にサイアラファ(Sciaraffa)らに発行された米国特許第4,381,781号、1990年7月3日にバンゴンペル(Van Gompel)らに発行された米国特許第4,938,753号、および1992年9月29日にビュエルらに発行された米国特許第5,151,092号において開示され、それらのそれぞれはここで参照により組み込まれる。 典型的な固定系570は、1989年7月11日にスクリップス(Scripps)に発行された米国特許第4,846,815号、1990年1月16日にネステガード(Nestegard)に発行された米国特許第4,894,060号、1990年8月7日にバットレル(Battrell)に発行された米国特許第4,946,527号、1974年11月19日にビュエルに発行された米国特許第3,848,594号、1987年5月5日にヒロツらに発行された米国特許第B1 4,662,875号、および1992年9月29日にビュエルらに発行された米国特許第5,151,092号において開示され、それらのそれぞれはここで参照により組み込まれる。 おむつ50は、装着者の背中の下に、好ましくは第2の腰部領域58であるおむつの腰部領域の1つを位置させ、好ましくは第1の腰部領域56である他の腰部領域が装着者の前に横断して位置するように、装着者の脚部の間をおむつの残りの部分を引くことにより装着者に当てることが好ましい。固定系は次いで、側面の閉鎖の効果を与えるために用いられる。 本発明のローション付けされたトップシートは、使い捨てプルーオン製品においてもまた有用である。ここで用いられる「プルーオン製品」という術語は、固定された側面と脚の開放部を有する使い捨て着用品をいう。プルーオン製品は、脚の開放部に装着者の脚を装入し、装着者の胴の下部についての位置にプルーオン製品を滑らせることにより装着者における位置に配置される。典型的なプルーオン製品は、1993年9月21日にハッセ(Hasse)らに発行された米国特許第5,246,433号において開示される。本発明のローション付けされたトップシートが有用であるもう一つの使い捨て吸収製品は失禁用品である。「失禁用品」という術語は、それらが成人または他の失禁者により身につけられるかどうかに関わりなく、パッド、下着(ベルトなどのような同じタイプの懸架系によりパッドが位置に保持される)、吸収製品への挿入物、吸収製品のための容量プースター、ブリーフ、ベッドパッドなどを称する。適切な失禁用品は、1981年3月3日にストリックランド(Strickland)らに発行された米国特許第4,253,461号、ビュエルに発行された米国特許第4,597,760号および第4,597,761号、上記の米国特許第4,704,115号、アー(Ahr)らに発行された米国特許第4,909,802号、1990年10月23日にジプソン(Gipson)らに発行された米国特許第4,964,860号、および1991年1月3日にノエル(Noel)らにより出願された米国特許出願シリアル番号第07/637,090号(1992年7月23日に公開されたPCT公開番号WO92/11830号)において開示される。 B.ローション組成物 本発明のローション組成物は、20℃、すなわち周囲の温度で、固体またはよりしばしば半固体である。「半固体」により、ローション組成物は偽可塑性または可塑性流体に典型的なレオロジーを有することを意味する。剪断変形が加わらないとき、ローション組成物は半固体の外観を有するが、しかし、剪断率が増加するとき、流動させられ得る。このことは、ローション組成物は主に固体成分を含んでいるが、それはまた副成分として液体成分を含んでいるという事実による。 本発明のローション組成物は少なくとも室温で半固体であり、こうしてローション組成物が使い捨て吸収製品のトップシートに加えられる態様において、ローションのマイグレーションが最小化する。加えて、そのローション組成物は、45℃を超え得る潜在的な「負荷の多い(stressful)」貯蔵条件(例えば、アリゾナの倉庫、フロリダの自動車のトランク、その他)を上回る最終融点(100%液体)を有することが好ましい。 特に、本発明のローション組成物は次の溶融プロフィールを有するべきである。 周囲の温度で固体または半固体であることにより、これらのローション組成物は、それらが加えられているおむつのトップシートの内部に流動および移動する傾向を有さない。このことは、望ましい治療的または保護的に被覆するローションの有益さを与えるためにより少ないローション組成物を必要とすることを意味する。 おむつのトップシートの外側表面に加えられたとき、本発明のローション組成物は、通常の接触、装着者の動作、および/または体温により装着者の皮膚に移動し得る。重要なことに、本発明において開示されるローションは、装着者の皮膚へのBMの粘着を減少させ、それによりBM清浄の容易さを向上させ、皮膚の柔軟性を向上させる。 本発明のおむつのトップシートは、有効量のローション組成物を含む。ここで用いられるものとして、「有効量のローション被覆」という術語は、おむつのトップシートに加えられたときに、皮膚へのBMの粘着の減少および/または装着者の皮膚の柔軟性の向上において有効である特定のローション組成物の量を称する。もちろんローション被覆の有効量は、大きな程度まで、用いられる特定のローション組成物に依存するであろう。 本発明のローション組成物は、(1)固体ポリオールポリエステルの潤滑性を向上させるためのエモリエント剤、(2)固体ポリオールポリエステル固定化剤、(3)場合に応じて親水性界面活性剤、および(4)他の任意の成分を含む。 エモリエント剤、固定化剤、および任意の成分を含む薬剤化されたローション組成物の粘度は、ローションがおむつの内部に流動しないように維持されることが可能であるだけ高くあるべきである。不運にも、高い粘度は、また、加工上の問題なしに加えることが困難であるローション組成物に導き得る。従って、粘度がおむつのトップシートの表面に局在するローション組成物を維持するのに十分高いがしかし、加工上の問題の原因となるほどには高くない平衡に到達されねばならない。ローション組成物のための適切な粘度は、60℃で測定して、典型的に約5から約200センチポイズの範囲を取り、好ましくは約15から約100センチポイズの範囲を取る。 ポリオールポリエステル 「ポリオール」とは、少なくとも4個の、好ましくは4ないし12個の、最も好ましくは6ないし8個のヒドロキシル基を含有する多価アルコールを意味する。ポリオールは、単糖類、二糖類、および三糖類、糖アルコール、他の糖誘導体(例えば、アルキルグリコシド)、ポリグリセロール(例えば、ジグリセロールおよびトリグリセロール)、ペンタエリトリトール、およびポリビニルアルコールを含む。好ましいポリオールは、キシロース、アラビノース、リボース、キシリトール、エリトリトール、グルコース、メチルグルコシド、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルビトール、マルトース、ラクトース、スクロース、ラフィノース、およびマルトトリオースを含む。スクロースが特に好ましいポリオールである。 「ポリオールポリエステル」とは、少なくとも4つのエステル基を有するポリオールを意味する。ポリオールのヒドロキシル基のすべてがエステル化されている必要はないが、二糖類ポリエステルは、せいぜい3つの、好ましくはせいぜい2つの未エステル化ヒドロキシル基を有するべきである。典型的に、ポリオールのヒドロキシル基の実質的に全て(例えば、少なくとも約85%)がエステル化されている。スクロースポリエステルの場合には、典型的に、ポリオールのヒドロキシル基の約7ないし8がエステル化されている。 「液体ポリオールポリエステル」とは、約37℃以下で流体コンシステンシーを有する、以後記載する群からのポリオールポリエステルを意味する。「固体ポリオールポリエステル」とは、約37℃以上で塑性もしくは固体コンシステンシーを有する、以下記載する群からのポリオールポリエステルを意味する。以下記載するように、液体ポリオールポリエステルおよび固体ポリオールポリエステルは、本発明のローション組成物において、それぞれ、エモリエント剤および固定化剤として首尾よく使用することができる。いくつかの場合、固体ポリオールポリエステルは、また、幾分かのエモリエント性(emolliency functonality)をも提供する。 少なくとも2個で、30個までの炭素原子を有する脂肪酸および/または他の有機基は、ポリオールをエステル化させるために使用することができる。典型的に、それらは、8〜22個の炭素原子を、より典型的には、少なくとも12〜16個の炭素原子を含有する。酸基は、飽和であっても、不飽和であってもよく、位置もしくは幾何異性体例えばシス-もしくはトランス-異性体、直鎖もしくは分枝鎖脂肪族もしくは芳香族を含み、また全てのエステル基について同じであってもよく、または異なる酸基の混合であってもよい。シクロヘキサンカルボキシル基のような環式脂肪族およびポリアクリル酸および二量体脂肪酸のようなポリマー性エステル生成基もポリオールをエステル化するために使用することができる。 液体ポリオールポリエステルおよび非消化性油(nondigestible oil)は、約37℃以下で完全な融点を有する。本発明に使用するために好適な液体非消化性食用油には、液体ポリオールポリエステル(1971年8月17日発行のマットソンおよびボルペンハインの米国特許第3,600,186号、1977年1月25日発行のジャンダセクの米国特許第4,005,195号を参照)、トリカルバリル酸の液体エステル(1985年4月2日発行のハムの米国特許第4,508,746号を参照)、マロン酸およびコハク酸の誘導体のようなジカルボン酸の液体ジエステル(1986年4月15日発行のフルチャーの米国特許第4,582,927号を参照)、アルファー分枝鎖カルボン酸の液体トリグリセリド(1971年5月18日発行のホワイトの米国特許第3,579,548号を参照)、ネオペンチル基を含有する液体エーテルおよびエステル(1960年11月9日発行のミニヒの米国特許第2,962,419号を参照)、ポリグリセロールの液体脂肪ポリエーテル(1976年1月13日発行のハンターらの米国特許第3,932,532号を参照)、液体アルキルグリコシド脂肪酸ポリエステル(1989年6月20日発行のメイヤーらの米国特許第4,840,815号を参照)、2つのエーテル結合ヒドロキシポリカルボン酸(例えば、クエン酸またはイソクエン酸)の液体ポリエステル(1988年12月19日発行のフーンらの米国特許第4,888,195号を参照)、およびエポキシド伸長ポリオールの液体エステル(1989年8月29日発行のホワイトらの米国特許第4,861,613号を参照)が含まれる。 好ましい液体非消化性油は、糖ポリエステル、糖アルコールポリエステル、およびそれらの混合物であって、好ましくは、8ないし22個の炭素原子を含有する脂肪酸で、最も好ましくは8ないし18個の炭素原子を有する脂肪酸からエステル化されたものである。体温(すなわち、98.6°F、37℃)で固体を最小限有するか全く有しないものは、通常、高い割合のC12もしくはそれより低い級の脂肪酸基を、さもなければ高い割合のC18もしくはそれより高級の不飽和脂肪酸基を有するエステル基を含有する。そのような液体ポリオールポリエステルにおける好ましい不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、またはそれらの混合物である。 本発明に用いて好適な非消化性ポリオールポリエステルハードストックまたは固体物質は、固体糖ポリエステル、固体糖アルコールポリエステルおよびそれらの混合物から選ぶことができ、長鎖飽和脂肪酸基から実質的になるエステル基、例えば一般に5ないし8個のエステル基を含有する。好適な飽和脂肪酸基は、少なくとも14個、好ましくは14ないし26個、最も好ましくは16ないし22個の炭素原子を含有する。長鎖飽和脂肪酸基は、単独で、または互いの混合物として使用することができる。加えて、直鎖(すなわち、ノルマル)脂肪酸基は、長鎖飽和脂肪酸基に典型的である。 その物性、すなわちその融点、粘度、剪断速度および剪断粘度、並びに結晶サイズおよび形状を規定する特定のレオロジーを有するある種の中間融点ポリオール脂肪酸ポリエステルが開発されている。(それぞれ、1987年9月26日および8月26日に刊行されたベルンハルトの欧州特許出願番号236,288および233,856を参照。)これらの中間融点ポリオールポリエステルは、粘稠であり、皮膚をコートするために良好なものとされる体温における高い液体/固体安定性を有する。そのような中間融点ポリオールポリエステルの例を挙げると、スクロースを完全水素化および部分水素化綿実油もしくは大豆油脂肪酸メチルエステルの55:45混合物で実質的に完全にエステル化することにより得られるものである。 好ましい液体ポリオールポリエステルは、スクロースポリエステルを包含する。殊に好ましい液体ポリオールポリエステルは、安全水素化および部分水素化綿実油もしくは大豆油脂肪酸メチルエステルの混合物もしくはそれらの混合物類でエステル化されたスクロース(以下、それぞれ、スクロースポリコットネート(sucrose polycottonate)、およびスクロースポリソヤエート(sucrose polysoyate)という)を包含する。 完全液体ポリオールポリエステルと、好ましくはC10〜C22飽和脂肪酸でエステル化された(例えば、スクロースオクタステアレート)、完全固体ポリオールポリエステルとのブレンドは、室温で固体であり得る。(例えば、それぞれ1977年1月25日に発行され、参照によりここに組み込まれるジャンダセクの米国特許第4,005,195号、およびジャンダセク/マットソンの米国特許第4,005,196号を参照。) 液体または固体ポリオールポリエステルは、当業者に知られた種々の方法で製造することができる。これらの方法には、種々の触媒を用いた所望の酸基を含有するメチル、エチルもしくはグリセロールエステルによるポリオール(すなわち、糖または糖アルコール)のエステル交換、酸クロライドによるポリオールのアシル化、酸無水物によるポリオールのアシル化、所望の酸自体によるポリオールのアシル化が含まれる。(例えば、ここに参照により組み込まれる米国特許第2,831,854号、第3,600,186号、第3,963,699号、第4,517,360号および第4,518,772号を参照。これらの特許は、すべて、ポリオールポリエステルを製造するための好適な方法を開示している。) 液体および固体非消化性および非吸収性物質の混合物を作る場合、非消化性粒子を離散した非凝集物として液体非消化性油に分散させることができる。しかしながら、これらの非消化性粒子は、また、互いに密集して液体非消化性油に分散される一層大きな凝集物を形成する。このことは、形状が小板状である非消化性粒子について特にいえることである。小板状非小性粒子の凝集物は、典型的に、性質が多孔質であり、従って有意の量の液体非消化性油を捕捉し得る球晶形状を取る。 固体非消化性粒子は、単独で使用することができるし、非消化性液体油成分中に分散させることもできる。異種エステル化(diversely esterified)ポリオールポリエステル 「異種エステル化ポリオールポリエステル」は、2つの基本タイプのエステル基、すなわち(a)長鎖飽和脂肪酸基から生成された基、および(b)これら長鎖飽和脂肪酸基とは「相違する」基から生成された基を含有する。 好適な長鎖飽和脂肪酸基は、20ないし30個の、最も好ましくは22〜26個の炭素原子を含有する。長鎖飽和脂肪酸基は、単独で、またはあらゆる割合の互いの混合物で使用することができる。通常、直鎖(すなわち、ノルマル)脂肪酸基が使用される。 相違する基は、C12またはより高級の不飽和脂肪酸基もしくはC2〜C12飽和脂肪酸基またはそれらの混合物を含み得、あるいは脂肪-脂肪酸(fatty-fatty acid)、芳香族酸基、または超長鎖脂肪酸または種々の分枝環式もしくは置換酸基であり得る。 好ましい「相違する」酸基は、少なくとも12個の、好ましくは12ないし26個の、より好ましくは18ないし22個の炭素原子を含有する長鎖不飽和脂肪酸基、および2ないし12個の、好ましくは6ないし12個の炭素原子を有する短鎖飽和脂肪酸基およびそれらの混合物を包含する。 より好ましい固体ポリオールポリエステルは、平均で、8個のスクロースヒドロキシル基のうち7個がベヘン酸でエステル化されており、残りの基が6ないし12個の炭素原子を有する短鎖脂肪酸でエステル化されているところのスクロースオクタエステルを含む。殊に好ましい態様において、短鎖脂肪酸は、オレイン酸を含む。約7個のスクロースヒドロキシル基がベヘン酸でエステル化されている該固体スクロースポリエステルを以下スクロースベヘネートと呼ぶ。 脂肪-脂肪酸基は、他の脂肪酸もしくは他の有機酸でそれ自体エステル化された少なくとも1つのヒドロキシル基を有する脂肪酸基である。リシノール酸が好ましいヒドロキシ脂肪酸である。ヒドロキシ脂肪酸の供給源には、水素化ヒマシ油、ストロファンタス種子油、カレンデュラ・オフィシナリス(calendula officinalis)種子油、水素化ストロファンタス種子油および水素化カレンデュラ・オフィシナリス種子油、カルダミン・インペイシェンス(cardamine impatiens)種子油、カマラ油、マロタス・ディスカラー(mallotus discolor)油、およびマロタス・クラオキロイズ(mallotus claoxyloides)油が含まれる。 ヒドロキシ脂肪酸は、過マンガン酸カリウム、四酸化オスミウム、過酢酸等の過酸のような酸化剤を用いた不飽和脂肪酸の酸化ヒドロキシル化により合成的に製造することもできる。この方法を用いて、9,10-ジヒドロキシ-オクタデカン酸をオレイン酸から作ることができ、9,10,12,13-テトラヒドロキシ-オクタデカン酸をリノール酸から作ることができる。10-ヒドロキシ-12-シス-オクタデセン酸および10-ヒドロキシ-12-シス,15-シス-オクタデカクタン酸を合成的に製造するための他の方法は、リノール酸およびリノレン酸のような脂肪酸のノカルディア・コレステロリイム(Norcadia Cholesteroliim)のような微生物による変換によるものである。 ポリオールのエステル化のために使用される同じ脂肪酸供給源がヒドロキシ脂肪酸基のヒドロキシル基をエステル化するために使用することができる。これらには、安息香酸またはトルイル酸のような芳香族酸;イソ酪酸、ネオオクタン酸またはメチルステアリン酸のような分枝鎖基;トリコンサン酸またはトリコンセン酸のような超長鎖飽和もしくは不飽和脂肪酸基;シクロヘキサンカルボン酸のような環式脂肪酸;およびポリアクリル酸および二量体脂肪酸のようなポリマー性エステル生成基が含まれる。 芳香族酸基は、また、相違するエステル基としても使用することができる。安息香酸またはトルイル酸のような安息香酸系化合物(benzoic compound);アミノ安息香酸およびアミノメチル安息香酸のようなアミノ安息香酸系化合物;ヒドロキシ安息香酸、バニリン酸およびサリチル酸のようなヒドロキシ安息香酸系化合物;アニス酸のようなメトキシ安息香酸系化合物;アセチルマンデル酸のようなアセトキシフェニル酢酸系化合物;クロロ安息香酸、ジクロロ安息香酸およびフルオロ安息香酸のようなハロ安息香酸系化合物;アセチル安息香酸、クミン酸、フェニル安息香酸、およびニコチン酸;並びにフルオレンカルボン酸等の多環式芳香族基が、単独で、またはあらゆる割合での互いの混合物として使用することができる。 他の種々のエステル生成基も、ここで使用する異種エステル化ポリオールポリエステル粒子の相違するエステル基を生成するものとして作用する。そのような他の基は、分枝アルキル鎖;超長鎖飽和もしくは不飽和基;シクロブタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキシル酢酸等の環式脂肪族基、およびアスコルビン酸のようなヒドロキシ環式基;アビエチン酸のような多環式脂肪族基;ポリアクリル酸および二量体脂肪酸のようなポリマー性エステル生成基;並びにハロゲン、アミノまたはアリール基を含有するアルキル鎖基であり得る。 異種エステル化ポリオールポリエステルは、ポリオールポリエステルを製造することに関して説明した方法により、所望のポリオールを所要のタイプのエステル生成基でエステル化することにより製造することができる。混合された相違する酸基と長鎖飽和脂肪酸基を有するこれらの異種エステル化固体ポリオールポリエステルを製造するためにメチルエステルルートを用いる場合、両タイプの酸の一方(例えば、相違する酸、または長鎖飽和脂肪酸)のオクタエステルをまず調製し、ついでこの初期反応生成物を他のタイプの酸のメチルエステルと部分的エステル交換させることができる。ポリオールポリエステルポリマー 他の固体非消化性ポリオールポリエステルは、ポリオールポリエステルポリマーを含む。ポリオールポリエステルポリマーは、脂肪酸基間での共有結合により結合した少なくとも2の別個のエステル化ポリオール基を有する分子を提供するために、ポリオールポリエステルモノマーを重合させることにより生成される。例えば、2つのスクロースオクタベヘネートモノマーを脂肪酸間で架橋させてポリマーを生成させることができる。そのようなポリオールポリエステルポリマーの繰り返し単位は、本文脈における総括用語「ポリマー」が具体的な用語「コポリマー」を含むように同一であっても異なっていてもよい。そのようなポリオールポリエステルポリマーを構成する繰り返しモノマー(もしくはコモノマー)単位の数は、約2ないし20、好ましくは約2ないし12であり得る。これらを製造する方法に依存して、ポリオールポリエステルポリマーは、しばしば、2ないし4個のモノマー単位を含有するオリゴマー、すなわち二量体、三量体または四量体である。 最も好ましいポリオールポリエステルポリマーは、約4000ないし約60,000の、好ましくは約4000ないし約36,000の、より好ましくは約5000ないし約12,000の数平均分子量を有するスクロースポリエステルポリマーである。 固体ポリオールポリエステルポリマーを製造するための1つの方法は、光化学反応および遷移金属イオン、熱もしくはジ-tert-ブチルペルオキシドのようなフリーラジカル開始剤を用いた反応などであるがこれに限定されないよく知られた方法を用いてポリオールポリエステルを重合させることによるものである。 あるいは、ポリオールポリエステルポリマーは、多塩基性重合化脂肪酸もしくはその誘導体によりポリオール物質をエステル化および/または内部エステル化(interesterifying)することにより直接製造することができる。例えば、ポリオールポリエステルポリマーは、好ましくは順次エステル化プロセスを用いて、所望のポリマー酸の酸クロライドもしくは酸無水物をスクロースと反応させることにより製造することができる。ポリオールポリエステルポリマーは、また、脂肪酸石鹸および炭酸カリウムのような塩基性触媒の存在下で、所望のポリマー酸のメチルエステルをスクロースと反応させることによっても製造することができる。 重合性酸の普通の例を挙げると、リノール酸、リノレン酸およびオレオステアリン酸、パリナリン酸、エイコサジエン酸、エイコサテトラエン酸、アラキドン酸、5,13-ドコサジエン酸およびイワシ酸のような2またはそれ以上の二重結合を有するもの(多飽和酸)である。オレイン酸、エライジン酸およびエルカ酸のような一不飽和脂肪酸も、好適な長鎖脂肪酸二量体を製造するに当たって使用することができ、ついでこれを固体ポリオールポリエステルポリマーを生成させるために使用することができる。ポリオールポリエステルを含有するポリマーを製造する上で好ましい多塩基性重合化脂肪酸および脂肪酸誘導体には、脂肪酸の2量化により製造された二塩基性酸、または大豆油もしくは綿実油のような多不飽和植物性油からまたは牛脂のような動物性油脂から誘導された脂肪酸低級エステルが含まれる。 全ての上記タイプの多塩基性重合化脂肪酸は、それ自体、当業者に知られている種々の方法により製造することができる。(ここに全てが参照により組み込まれるところの、1967年11月21日発行のラトンの米国特許第3,353,967号、1949年9月27日発行のゲーベルの米国特許第2,482,761号、1956年1月17日発行のハリソンらの米国特許第2,731,481号、および1957年5月21日発行のバレットらの米国特許第2,793,219号を参照のこと。) 1.エモリエント剤 本発明のローション組成物における鍵となる活性成分は1種またはそれ以上のエモリエント剤である。ここで用いるエモリエント剤は、皮膚をやわらかくし、緩和し、しなやかにし、被覆し、なめらかにし、加湿しまたは清潔にする物質である。エモリエント剤は、典型的に、これらの目的のいくつか、例えば皮膚を緩和し、加湿しおよびなめらかにすることを達成する。本発明の目的のために、これらエモリエント剤は、20℃すなわち周囲温度で塑性もしくは流体コンシステンシーを有する。この特別のエモリエントコンシステンシーにより、ローション組成物は、ソフトで、なめらかなローション様感触を与える。 本発明に有用なエモリエント剤は、また、実質的に水を含まない。「実質的に水を含まない」とは、水が意図的にエモリエント剤に加えられていないことを意味する。水のエモリエント剤への添加は、本発明のローション組成物の調製および使用には必要でないし、付加的な乾燥工程を必要とし得る。しかしながら、例えば周囲湿気の結果として捕らえられたエモリエント剤中の少量もしくは痕跡量の水は、悪影響なく許容され得る。典型的に、本発明において使用されるエモリエント剤は、約5%以下の水、好ましくは約1%以下の水、最も好ましくは約0.5%以下の水を含有する。 本発明に有用なエモリエント剤は、石油系、脂肪酸エステルタイプ、アルキルエトキシレートタイプ、脂肪酸エステルエトキシレート、脂肪アルコールタイプ、ポリシロキサンタイプまたはこれらエモリエント剤の混合物であり得る。好適な石油系エモリエント剤は、16ないし32個の炭素原子鎖長を有する炭化水素または炭化水素の混合物を含む。これらの鎖長を有する石油系炭化水素は、鉱油(「液体ペトロラタム」としても知られている)およびペトロラタム(「鉱物ろう」、「石油ゼリー」および「鉱物ゼリー」としても知られている)を含む。鉱油は、通常、16ないし20個の炭素原子を有するより粘稠でない炭化水素の混合物を指す。ペトロラタムは、通常、16ないし32個の炭素原子を有するより粘稠な炭化水素の混合物を指す。本発明のローション組成物にとってペトロラタムおよび鉱油が特に好ましいエモリエント剤である。 好適な脂肪酸エステルタイプのエモリエント剤は、C12〜C28脂肪酸、好ましくはC16〜C22飽和脂肪酸、および短鎖(C1〜C8、好ましくはC1〜C3)一価アルコールから誘導されるものを含む。そのようなエステルの代表例を挙げると、メチルパルミテート、メチルステアレート、イソプロピルルウレート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパラミテート、エチルヘキシルパルミテートおよびそれらの混合物である。好適な脂肪酸エステルエモリエント剤は、ラウリルラクテートやセチルラクテートのように、より長鎖の脂肪アルコール(C12〜C28、好ましくはC12〜C16)とより短鎖の脂肪酸例えば乳酸とのエステルから誘導することもできる。 好適なアルキルエトキシレートタイプのエモリエント剤は、約2ないし約30の平均エトキシル化度を有するC12〜C22脂肪アルコールエトキシレートを含む。好ましくは、脂肪アルコールエトキシレートエモリエント剤は、約2ないし約23の平均エトキシル化度を有する、ラウリルエトキシレート、セチルエトキシレートおよびステアリルエトキシレート、並びにそれらの混合物からなる群の中から選ばれる。そのようなアルキルエトキシレートの代表例を挙げると、ラウレス(laureth)-3(3の平均エトキシル化度を有するラウリルエトキシレート)、ラウレス-23(23の平均エトキシル化度を有するラウリルエトキシレート)、セテス(ceteth)-10(10の平均エトキシル化度を有するセチルアルコールエトキシレート)およびステアレス(steareth)-10(10の平均エトキシル化度を有するステアリルアルコールエトキシレート)である。これらのアルキルエトキシレートエモリエント剤は、典型的に、ペトロラタムのような石油系エモリエント剤と組合せて、約1:1ないし約1:5、好ましくは約1:2ないし約1:4のアルキルエトキシレートエモリエント剤対石油系エモリエント剤の重量比で、使用される。 好適な脂肪アルコールタイプのエモリエント剤は、C12〜C22脂肪アルコール、好ましくはC16〜C18脂肪アルコールを含む。代表例を挙げると、セチルアルコールおよびステアリルアルコール並びにそれらの混合物である。これらの脂肪アルコールエモリエント剤は、典型的に、ペトロラタムのような石油系エモリエント剤と組合せて、約1:1ないし約1:5、好ましくは約1:1ないし約1:2の脂肪アルコールエモリエント剤対石油系エモリエント剤の重量比で、使用される。 本発明に使用するために好適な他のタイプのエモリエント剤には、ポリシロキサン化合物が含まれる。一般に、本発明に使用するための好適なポリシロキサン物質は、以下の構造: (ここで、R1およびR2は、各独立のシロキサンモノマー単位について、それぞれ独立に、水素またはいずれものアルキル、アリール、アルケニル、アルカリール、アールアルキル、シクロアルキル、ハロゲン化炭化水素もしくは他の基であり得る)のモノマーシロキサン単位を有するものを含む。上記基のいずれもが置換されていてもよく、あるいは未置換でもよい。いずれもの個々のモノマー単位のR1およびR2基は、次の隣接するモノマー単位の対応する官能基と異なり得る。加えて、ポリシロキサンは、直鎖であるか、分枝鎖であるか、あるいは環構造を有し得る。基R1およびR2は、さらに、独立に、シロキサン、ポリシロキサン、シラン、およびポリシラン(これらに限定されない)のような他のケイ質官能基であり得る。R1およびR2基は、例えばアルコール、カルボン酸、フェニルおよびアミン官能基等の種々の有機官能基のいずれをも含有し得る。 例示的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、オクタデシル等である。例示的なアルケニル基は、ビニル、アリル等である。例示的なアリール基は、フェニル、ジフェニル、ナフチル等である。例示的なアルカリール基は、トイル、キシリル、エチルフェニル等である。例示的なアラルキル基は、ベンジル、アルファ-フェニルエチル、ベータ-フェニルエチル、アルファ-フェニルブチル等である。例示的なシクロアルキル基は、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等である。例示的なハロゲン化炭化水素基は、クロロメチル、ブロモメチル、テトラフルオロエチル、フルオロエチル、トリフルオロエチル、トリフルオロトイル、ヘキサフルオロキシリル等である。 有用なポリシロキサンの粘度は、ポリシロキサンがおむつのトップシートへの適用のために流動性であるか、流動性とされ得る限り、ポリシロキサン一般の粘度が変わるように広範に変わり得る。これには、5センチストークス(ガラス粘度計により37℃で測定)もの低粘度から約20,000,000センチストークスまでの粘度が含まれるが、これに限定されるものではない。好ましくは、ポリシロキサンは、37℃で約5ないし約5,000センチストークスの、より好ましくは約5ないし約2,000センチストークスの、最も好ましくは約100ないし約1000センチストークスの粘度を有する。それ自体流動に対して抵抗性である高粘度ポリシロキサンも、例示目的でのみ挙げるが例えば界面活性剤中にポリシロキサンを乳化するか、ヘキサンのような溶媒の補助によりポリシロキサンを溶液として提供するというような方法により、おむつのトップシート上に効果的に付着させることができる。ポリシロキサンエモリエント剤をおむつトップシートに適用するための具体的な方法は以後より詳細に説明する。 本発明に使用するために好ましいシロキサン化合物は、ここに参照により組み込まれる1991年10月22日発行の米国特許第5,059,282号(アンプルスキーら)に開示されている。本発明のローション組成物におけるエモリエント剤として用いるために特に好ましいポリシロキサン化合物には、多官能性ポリメチルシロキサン化合物(例えば、ダウ・コーニング556化粧用等級流体:ポリフェニルメチルシロキサン)、およびそれぞれダウ2502およびダウ2503ポリシロキサン流体のようなセチルもしくはステアリル官能化ジメチコーン(dimethicone)が含まれる。フェニル官能基もしくはアルキル基によるそのような置換に加えて、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エーテル基、ポリエーテル基、アルデヒド基、ケトン基、アミド基、エステル基、チオール基により効果的な置換を行うことができる。これらの効果的な置換基の中で、フェニル、アミノ、アルキル、カルボキシル、およびヒドロキシル基を含む族群がより好ましく、フェニル官能基が最も好ましい。 石油系エモリエント剤、脂肪酸エステルエモリエント剤、脂肪酸エステルエトキシレートエモリエント剤、アルキルエトキシレートエモリエント剤、脂肪アルコールエモリエント剤、およびポリシロキサンエモリエント剤以外に、本発明に有用なエモリエント剤は、少量(例えば、総エモリエント剤の約10%まで)の他の通常のエモリエント剤を含むことができる。これら他の通常のエモリエント剤には、プロピレングリコール、グリセリン、トリエチレングリコール、鯨ろうまたは他のろう、脂肪鎖中に12ないし28個の炭素原子を有する脂肪酸および脂肪アルコールエーテル例えば、ステアリン酸、プロポキシル化脂肪アルコール;C12〜C28脂肪酸のグリセリド、アセトグリセリドおよびエトキシル化グリセリド;ポリヒドロキシアルコールの他の脂肪エステル;ラノリンおよびその誘導体が含まれる。これらの他のエモリエント剤は、ローション組成物の固体もしくは半固体特性が維持されるような様態で含めるべきである。 他の好適なエモリエント剤には、上記液体ポリオールポリエステルが含まれる。 ローション組成物に含められ得るエモリエント剤の量は、含められるエモリエント剤、所望のローション様利益、ローション組成物の他の成分その他のファクター等の種々のファクターに依存する。ローション組成物は、約5ないし約95%のエモリエント剤を含み得る。好ましくは、ローション組成物は、約10ないし約90%の、最も好ましくは約15ないし約85%のエモリエント剤を含む。 2.固定化剤 本発明のローション組成物のもう一つの鍵となる成分は、ローション組成物が適用されるおむつトップシートの表面にエモリエント剤を固定し得る上記固体ポリオールポリエステルである。場合に応じて、以下に述べる付加的な固定化剤をローション組成物に含めることができる。組成物中のエモリエント剤は、普通の周囲温度(約20℃)で流体コンシシテンシーを有するので、、最も穏やかな剪断に供された場合でさえ、流れもしくは移行する傾向を示す。おむつトップシートに適用されたとき、特に溶融または融解状態においては、エモリエント剤は主としてトップシートの表面上に残ることがない。その代わり、エモリエント剤は、おむつの内部中に移行し流入する傾向を示す。 このエモリエント剤のおむつ内部中への移行は、本発明のローション組成物に使用されるエモリエント剤の多くの疎水性によりおむつ50コアの吸収性に不所望の影響を及ぼす。このことは、また、所望の治療的または保護的ローション利益を得るためにはより一層多くのエモリエント剤を適用しなければならないことを意味する。エモリエント剤のレベルを増加させることは、コストを増大させるばかりでなくおむつの吸収性に対して不所望の影響を発生させる。 固定化剤は、ローション組成物が適用されるおむつトップシートの表面にエモリエント剤を主として局在化させ続けることによって、エモリエント剤が移行または流れるこの傾向を阻止する。これは、一部には、固定化剤がローション組成物の融点をエモリエント剤のそれよりも高く高めるということによるものと信じられる。固定化剤は、また、エモリエント剤と混和性である(または適切な乳化剤の補助によりエモリエント剤中に溶解化される)ので、エモリエント剤をもおむつトップシートの表面に捕捉する。 また、固定化剤をペーパー表面に「ロック」することも有利である。これは、おむつトップシートの表面で迅速に結晶化(すなわち、固化)する固定化剤を用いることにより達成し得る。加えて、送風機、ファン等により処理済トップシートを外部冷却することにより当該固定化剤の結晶化を促進することができる。 エモリエント剤と混和性である(またはエモリエント剤に溶解化される)ことに加えて、固定化剤は、少なくとも約35℃の融点を有する必要がある。これは、固定化剤自体が移行もしくは流れる傾向を持たないようにするためである。好ましい固定化剤は、少なくとも40℃の融点を有する。典型的に、固定化剤は、約50°ないし約150℃の範囲内の融点を有する。 本発明のための好適な付加的固定化剤は、C14〜C22脂肪アルコール、C12〜C22脂肪酸、および2ないし約30の平均エトキシル化度を有するC12〜C22脂肪アルコールエトキシレート、並びにそれらの混合物からなる群の中から選ばれる1員を包含し得る。好ましい固定化剤は、C16〜C18脂肪アルコールを含み、最も好ましくはセチルアルコール、ステアリルアルコールおよびそれらの混合物からなる群の中から選ばれる。セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物が特に好ましい。他の好ましい固定化剤は、C6〜C18脂肪酸を含み、最も好ましくはパルミチン酸、ステアリン酸およびそれらの混合物からなる群の中から選ばれる。パルミチン酸とステアリン酸との混合物が最も好ましい。さらに他の好ましい固定化剤は、約5ないし約20の平均エトキシル化度を有するC16〜C18脂肪アルコールエトキシレートを含む。好ましくは、脂肪アルコール、脂肪酸および脂肪アルコールは、線状のものである。 重要なことに、C16〜C18脂肪アルコールのようなこれらの好ましい付加的固定化剤は、ローションの結晶化速度を増大させてローションを基材表面上に迅速に結晶化させる。従って、より低いローションレベルを用いることができ、あるいは優れたローション感触が得られる。伝統的に、これら液体のティッシュ中への流入故に、ソフトさを生じさせるためにはより多量のローションが必要であった。 他のタイプの固定化剤を単独でまたは上記脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪アルコールエトキシレートと組合せて使用することができる。これらの他のタイプの固定化剤の例を挙げると、ポリヒドロキシ脂肪酸エステル、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、およびそれらの混合物である。好ましいエステルおよびアミドは、ポリヒドロキシ部位に3個またはそれ以上の遊離ヒドロキシ基を有し、典型的に性質が非イオン性のものである。ローション組成物が適用されるおむつトップシートを使用する者のあり得る皮膚敏感性故に、これらエステルおよびアミドもまた、皮膚に対して比較的マイルドで非刺激性であるべきである。 本発明に用いて好適なポリヒドロキシ脂肪酸エステルは、式 (ここで、Rは、C5〜C31ヒドロカルビル基、好ましくは直鎖C7〜C19アルキルもしくはアルケニル、より好ましくは直鎖C9〜C17アルキルもしくはアルケニル、最も好ましくは直鎖C11〜C17アルキルもしくはアルケニル、またはそれらの混合物であり、Yは、当該鎖に直接結合した少なくとも2個の遊離ヒドロキシルを有するヒドロカルビル鎖を有するポリヒドロキシヒドロカルビル基であり、nは少なくとも1である)を有する。好適なY基は、グリセロール、ペンタエリトリトールのようなポリオール;ラフィノース、マルトデキストロース、ガラクトース、スクロース、グルコース、キシロース、フルクトース、マルトース、ラクトース、マンノースおよびエリトロースのような糖;エリトリトール、キシリトール、マリトール、マンニトールおよびソルビトールのような糖アルコール;およびソルビタンのような糖アルコールの無水物から誘導することができる。 本発明に用いて好適なポリヒドロキシ脂肪酸エステルの1つのクラスは、ある種のソルビタンエステル、好ましくはC16〜C22飽和脂肪酸のソルビタンエステルを包含する。それらが典型的に製造される方法故に、これらのソルビタンエステルは、通常、モノ-、ジ-、トリ-等のエステルの混合物を包含する。好適なソルビタンエステルの代表例を挙げると、ソルビタンパルミテート(例えば、スパン(SPAN)40)、ソルビタンステアレート(例えばスパン60)、およびソルビタンベヘネートであり、これらソルビタンエステルのモノ-、ジ-およびトリ-エステルバージョン、例えば、ソルビタンモノ-、ジ-およびトリ-パルミテート、ソルビタンモノ-、ジ-およびトリ-ステアレート、ソルビタンモノ-、ジ-およびトリ-ベヘネート、並びに混合タロウ脂肪酸ソルビタンモノ-、ジ-およびトリ-エステルを包含する。ソルビタンパルミテートとソルビタンステアレートのような異なるソルビタンエステルの混合物も使用できる。特に好ましいソルビタンエステルは、典型的にはスパン60のようなモノ-、ジ-およびトリ-エステル(プラス幾分かのテトラエステル)の混合物としての、ソルビタンエステル、およびロンザ社により商品名グリコムル(GLYCOMUL)-Sの下で販売されているソルビタンステアレートである。これらソルビタンエステルは、典型的に、モノ-、ジ-およびトリ-エステルの混合物プラス幾分かのテトラエステルを含有するが、モノ-およびジ-エステルが、通常、これら混合物の主たる種である。 本発明において用いるために好適なポリヒドロキシ脂肪酸エステルのもう一つのクラスは、ある種のグリセリルモノエステル、好ましくはグリセリルモノステアレート、グリセリルモノパルミテートおよびグリセリルモノベヘネートのようなC16〜C22飽和脂肪酸のグリセリルモノエステルを包含する。再び、ソルビタンエステルと同様に、グリセリルモノエステル混合物は、典型的に、幾分かのジ-およびトリエステルを含有する。しかしながら、そのような混合物は、本発明に有用であるためには、グリセリルモノエステル種を主に含有すべきである。本発明に用いるために好適なポリヒドロキシ脂肪酸エステルのもう一つのクラスは、ある種のスクロース脂肪酸エステル、好ましくはスクロースのC12〜C22飽和脂肪酸エステルを包含する。スクロースモノエステルおよびジエステルが特に好ましく、それらにはスクロースモノおよびジステアレート、並びにスクロースモノおよびジラウレートが含まれる。 本発明に用いるために好適なポリヒドロキシ脂肪酸アミドは、式: (ここで、R1は、H、C1〜C4ヒドロカルビル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、メトキシエチル、メトキシプロピルまたはそれらの混合物、好ましくはC1〜C4アルキル、メトキシエチルまたはメトキシプロピル、より好ましくはC1もしくはC2アルキルまたはメトキシプロピル、最も好ましくはC1アルキル(すなわちメチル)またはメトキシプロピルであり、R2は、C5〜C31ヒドロカルビル基、好ましくは直鎖C7〜C19アルキルもしくはアルケニル、より好ましくは直鎖C9〜C17アルキルもしくはアルケニル、最も好ましくは直鎖C11〜C17アルキルもしくはアルケニル、またはそれらの混合物であり、Zは、当該鎖に直接結合した少なくとも3個のヒドロキシル基を有する線状ヒドロカルビル鎖を有するポリヒドロキシヒドロカルビル基である)を有する。これらのポリヒドロキシ脂肪酸アミドおよびその製造方法を開示する1992年12月29日発行の米国特許第5,174,927号(ホンザ)(参照によりここに組み込む)を参照のこと。 Z基は、好ましくは、還元アミノ化反応において還元糖から誘導されるものであり、最も好ましくはグリシチルである。好適な還元糖には、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、ガラクトース、マンノース、およびキシロースが含まれる。高デキストロースコーンシロップ、高フルクトースコーンシロップおよび高マルトースコーンシロップ、並びに上に掲げた個々の糖を使用することができる。これらのコーンシロップは、Z基に対し糖成分の混合物を生成させ得る。Z基は、好ましくは、-CH2-(CHOH)n-CH2OH、-CH(CH2OH)-[(CHOH)n-1]-CH2OH、-CH2OH-CH2-(CHOH)2(CHOR3)(CHOH)-CH2OH(ここで、nは、3ないし5の整数、R3は、Hまたは環式もしくは脂肪族モノサッカライド)からなる群の中から選ばれる。最も好ましいものは、nが4であるグリセチルであり、特に-CH2-(CHOH)4-CH2OHである。 上記式において、R1は、例えば、N-メチル、N-エチル、N-プロピル、N-イソプロピル、N-ブチル、N-2-ヒドロキシエチル、N-メトキシプロピルまたはN-2-ヒドロキシプロピルであり得る。R2は、例えばココアミド、ステアルアミド、オレアミド、ラウルアミド、ミリストアミド、カプリクアミド、パルミトアミド、タロウアミド等を提供するように選ばれる。Z基は、1-デオキシグルシチル、2-デオキシフルクチチル、1-デオキシマルチチル、1-デオキシラクチチル、1-デオキシガラクチチル、1-デオキシマンニチル、1-デオキシマルトトリオチチル等であり得る。 最も好ましいポリヒドロキシ脂肪酸アミドは、一般式: (ここで、R1はメチルまたはメトキシプロピルであり、R2はC11〜C17直鎖アルキルもしくはアルケニル基である)を有する。これらには、N-ラウリル-N-メチルグルカミド、N-ラウリル-N-メトキシプロピルグルカミド、N-ココイル-N-メチルグルカミド、N-ココイル-N-メトキシプロピルグルカミド、N-パルミチル-N-メトキシプロピルグルカミド、N-タロウイル-N-メチルグルカミドまたはN-タロウイル-N-メトキシプロピルグルカミドが含まれる。 先に述べたように、いくつかの固定化剤は、エモリエント剤中の溶解化のために乳化剤を必要とする。このことは、特に、少なくとも約7のHLB値を有するN-アルキル-N-メトキシプロピルグルカミドのようなグルカミドの場合に該当する。好適な乳化剤は、典型的に、約7未満のHLB値を有するものを含む。この点で、約4.9以下のHLB値を有するソルビタンステアレートのような先に述べたソルビタンエステルが、これらグルカミド固定化剤をペトロラタム中に溶解化させる上で有用であることが見出されている。他の好適な乳化剤には、ステアレス-2(式CH3(CH2)17(OCH2CH2)nOH(ここで、nは、平均値2を有する)に一致するステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル)、ソルビタントリステアレート、イソソルビドラウレート、およびグリセリルモノステアレートが含まれる。乳化剤は、実質的に均質な混合物が得られるように固定化剤をエモリエント剤に溶解化させるに十分な量で含めることができる。例えば、通常は融けて単一相混合物にならないN-ココイル-N-メチルグルカミドとペトロラタムとの約1:1混合物は、乳化剤としてステアレス-2とソルビタントリステアレートとの1:1混合物を20%添加すると、融けて単一相混合物となる。 単独かあるいは上記固定化剤と組合せて固定化剤として使用し得る他のタイプの成分には、カルナウバろう、蜜ろう、カンデリラ、パラフィン、セレシン、エスパルト、ウーリクリ(ouricuri)、レゾワックス、および他の既知のろうのようなろうが含まれる。好ましくは、ろうは、パラフィンろうである。特に好ましいパラフィンろうの例は、P.O.ボックス1098ウエスト・バビロン、NY11704のストラール・アンド・ピッチ社からのパラフィンS.P.434である。 ローション組成物に含められるべき固定化剤の量は、含まれる具体的なエモリエント剤、含まれる具体的な固定化剤、エモリエント剤に固定化剤を溶解化するために乳化剤を要するか否か、ローション組成物中の他の成分等種々のファクターに依存する。ローション組成物は、約5ないし約90%の固定化剤を含み得る。好ましくは、ローション組成物は、約5ないし約50%、最も好ましくは約10ないし約40%の固定化剤を含む。 3.任意的親水性界面活性剤 上に述べたように、おむつトップシートは、トップシートを通しての迅速な液体(例えば、尿)の移行を促進させるために、親水性材料で作られていることが非常に望ましい。同様に、ローション組成物も、液体がトップシートをより迅速に通過させることを確保するために、十分に湿潤性であることが重要である。これにより、体浸出液が、トップシートを通して引き抜かれ吸収コアにより吸収されるよりもむしろローションコーティングを迂回する可能性が減少する。本発明のローション組成物に使用されるそれぞれの固定化剤に依存して、湿潤性を改善するために、付加的な親水性界面活性剤(または親水性界面活性剤の混合物)が要求されあるいは要求され得ない。例えば、N-ココイル-N-メトキシプロピルグルカミドのようないくつかの固定化剤は、少なくとも約7のHLB値を有し、親水性界面活性剤を添加することなく十分に湿潤性である。約7未満のHLB値を有するC16〜C18脂肪アルコールのような他の固定化剤は、ローション組成物がおむつトップシートに適用されるとき湿潤性を改善するために親水性界面活性剤の添加を必要とする。同様に、ペトロラタムのような疎水性エモリエント剤は、親水性界面活性剤の添加を必要とするであろう。 好適な親水性界面活性剤は、均質な混合物を生成させるためにエモリエント剤および固定化剤と混和性のものである。ローション組成物が適用された使い捨て吸収性製品を使用する者のあり得る皮膚敏感性故に、これらの界面活性剤も皮膚に対して比較的マイルドで、非刺激性であるべきである。典型的に、これらの親水性界面活性剤は、皮膚に対して非刺激性であるばかりでなく、下層ティッシュラミネート構造に対する望ましくない他の影響を避けるために、非イオン系である。 好適な非イオン系界面活性剤は、ローション組成物がティッシュペーパーに適用された後実質的に非移行性であり得、典型的に約4ないし約20の、好ましくは約7ないし約20の範囲内のHLB値を有する。非移行性であるためには、これらの非イオン系界面活性剤は、典型的に、貯蔵、輸送、商取引、および使い捨て吸収性製品の使用中に普通に遭遇する温度よりも高い溶融温度、例えば少なくとも30℃を有する。この点で、これらの非イオン系界面活性剤は、先に説明した固定化剤と似た融点を有することが好ましい。 本発明のローション組成物に使用するために好適な非イオン系界面活性剤には、アルキルグリコシド;1977年3月8日発行の米国特許第4,011,389号(ランドンら)に記載されているアルキルグリコシドエーテル;ペゴスパース(Pegosperse)1000MS(ロンザ社、フェア・ローン、ニュー・ジャージーから市販)のようなアルキルポリエトキシル化エステル;ツイーン60(約20の平均エトキシル化度を有するステアリン酸のソルビタンエステル)およびツイーン61(約4の平均エトキシル化度を有するステアリン酸のソルビタンエステル)のような約2ないし約20の、好ましくは約2ないし約10の平均エトキシル化度を有するエトキシル化ソルビタンC12〜C18脂肪酸モノ-、ジ-および/またはトリ-エステル;および脂肪族アルコールと約1ないし約54モルのエチレンオキサイドとの縮合生成物が含まれる。脂肪族アルコールのアルキル鎖は、典型的に、直鎖(線状)形態にあり、約8ないし約22個の炭素原子を含有する。特に好ましいものは、約11ないし約22個の炭素原子を含有するアルキル基を有するアルコールとアルコール1モル当たり約2ないし約30モルのエチレンオキサイドとの縮合生成物である。そのようなエトキシル化アルコールの例を挙げると、ミリスチルアルコールとアルコール1モル当たり7モルのエチレンオキサイドとの縮合生成物、ココやしアルコール(鎖長が10から14個までの炭素原子にわたるアルキル基を有する脂肪アルコールの混合物)とアルコール1モル当たり約6モルのエチレンオキサイドとの縮合生成物である。多くの好適なエトキシル化アルコールが市販されており、ユニオン・カーバイド社により販売されているテルジトール(TERGITOL)15-S-9(C11〜C15線状アルコールと9モルのエチレンオキサイドとの縮合生成物)、ザ・プロクター・アンド・ギャンブル社により販売されているカイロ(KYRO)EOB(C13〜C15線状アルコールと9モルのエチレンオキサイドとの縮合生成物)、シェル化学社により販売されているネオドール(NEODOL)というブランド名の界面活性剤、特に、ネオドール25-12(C12〜C15線状アルコールと12モルのエチレンオキサイドとの縮合生成物)およびネオドール23-6.5T(ある種の不純物を除去するために蒸留(常圧蒸留(top))されたC12〜C13線状アルコールと6.5モルのエチレンオキサイドとの縮合生成物)、および殊にBASF社により販売されているプルラファック(PLURAFAC)というブランド名の界面活性剤、特にプルラファックA-38(C18直鎖アルコールと27モルのエチレンオキサイドとの縮合生成物)である。(ある種の親水性界面活性剤、特にネオドール25-1のようなエトキシル化アルコールは、アルキルエトキシレートエモリエント剤としても作用する)。好ましいエトキシル化アルコール界面活性剤の他の例を挙げると、ICIのクラスのブリジ(Brij)界面活性剤およびその混合物であり、ブリジ72(すなわち、ステアレス-2)およびブリジ76(ステアレス-10)が殊に好ましい。また、約10ないし約20の平均エトキシル化度までエトキシル化されたセチルアルコールとステアリルアルコールの混合物も親水性界面活性剤として使用することができる。 本発明に使用するために好適な界面活性剤の他のタイプには、アメリカン・シアナミド社により販売されているスルホコハク酸のジオクチルエステルであるエアロゾル(Aerosol)OTが含まれる。 本発明に使用するために好適な界面活性剤のさらに他のタイプには、ジェネラル・エレクトリックSF1188(ポリジメチルシロキサンとポリオキシアルキレンエーテルとのコポリマー)およびジェネラル・エレクトリックSF1228(シリコーンポリエーテルコポリマー)のようなシリコーンコポリマーが含まれる。これらのシリコーン界面活性剤は、エトキシル化アルコールのような上記他のタイプの親水性界面活性剤とともに使用することができる。これらのシリコーン界面活性剤は、ローション組成物の0.1重量%もの低い濃度、好ましくは約0.25ないし約1.0重量%の濃度で効果的であることが見出されている。 ローション組成物の湿潤性を所望のレベルまで向上させるために要する親水性界面活性剤の量は、使用する固定化剤のHLB値およびレベル、使用する界面活性剤のHLB値およびレベル等のファクターに依存する。ローション組成物は、当該組成物の湿潤性を向上させる必要があるとき、約1ないし約50%の親水性界面活性剤を含み得る。好ましくは、ローション組成物は、湿潤性を向上させる必要があるとき、約1ないし25%、最も好ましくは約10ないし約20%の親水性界面活性剤を含む。 4.他の任意成分 ローション組成物は、エモリエント剤、クリームおよびこの種のローションに典型的に存在する他の任意成分を含むことができる。これらの任意成分には、水、pH低下系、緩衝系、ビタミン、皮膚緩和剤または抗炎症剤、粘度変性剤、香料、殺菌剤、抗菌剤、薬理剤、フィルム形成剤、防臭剤、不透明化剤、アストリンジェント、溶剤等がある。加えて、ローション組成物の保存寿命を増加させるためにセルロース誘導体、タンパク質およびレシチンのような安定剤または抗酸化剤を加えることができる。好適なpH緩衝系にはクエン酸塩が含まれる。好適なビタミンには、ビタミンAおよびEが含まれる。好適な皮膚緩和剤または抗炎症剤煮は、アロエ・ベラおよびパンテノールが含まれる。これらの物質の全ては、そのような組成物のための添加剤として当該分野でよく知られており、本発明のローション組成物中に適切な量で加えることができる。 C.ローション組成物によるおむつのトップシートの処理 本発明によるローション付けされたおむつ製品を製造するに当たって、ローション組成物がおむつのトップシートの外側表面(すなわち体に面する表面)に加えられる。溶融または液体濃度を有する滑らかな素材を均等に分布させるさまざまな付加方法のいずれもが用いられ得る。適切な方法には、スプレー、印刷(例えばフレキソ印刷プリンティング)、被覆(例えばグラビアコーティング)、押し出し、または、例えばローション組成物をカレンダーロールのような回転表面にスプレーし、次いで該組成物をおむつのトップシートの外側表面に移行させるようなそれらの付加技術の組み合わせが含まれる。 おむつのトップシートにローション組成物を加える方式は、トップシートがローション組成物によって飽和されないようにするべきである。もしトップシートがローション組成物で飽和するようになると、ローションがトップシートの開放をブロックするより大きな潜在性が存在し、下にある吸収体コアに流体を通すトップシートの能力を減少させる。また、トップシートの飽和は、治療的および/または保護的なローションの便益を得るために必要とされない。特に適切な適用方法では、ローション組成物を主におむつのトップシートの外側表面に加えるであろう。 おむつのトップシートに加えられるローションの最小レベルは、装着者の皮膚に対するBMの粘着が減少するために有効な量である。ローション組成物は、本発明のおむつのトップシートに、量として、約0.16から約39g/m2(0.1から25mg/in2)の範囲で加えられることが好ましく、約1.6から約16g/m2(0.1から25mg/in2)がより好ましい(被覆されたトップシートの平方インチ当たりのmgのローション)。エモリエント剤は実質的にトップシートの表面上に固定されるので、望ましいスキンケアの有益さを与えるために必要とされるのはより少ないローション組成物である。そのような比較的低いレベルのローション組成物がトップシートに望ましい治療的および/または保護的なローションの有益さを与えるためには適切であって、その上トップシートの吸収性および/または濡れ特性を飽和させない。 ローション組成物は、トップシートの全表面またはその部分に加え得る。ローション組成物は、使い捨て吸収製品の長手側中央線に沿って直線となり、集中している縞状に加えられることが好ましい。以後の例において記述されるように、ローション組成物は、例えば第2の腰部領域に一般的に配置される約9.5cm(3.75インチ)幅(おむつの側面方向)および約17.8cm(7インチ)長(おむつの長手方向)の部分のトップシートの個別の型に加えられることがもっとも好ましい。 ローション組成物はまた、おむつのトップシートの外側表面に不均一に加えることもできる。「不均一」により、ローション組成物の量、分布のパターン、その他がトップシートの表面にわたって変化し得ることが意味される。例えば、その上にローション組成物を有さない表面の部分を含めて、トップシートの処理された表面の幾つかの部分は、ローション組成物をより多い量またはより少ない量有し得る。 ローション組成物は、組み立ての間にいかなる点においてもトップシートに加え得る。例えば、ローション組成物は、梱包をされる前に、仕上げられた使い捨て吸収製品のトップシートに加え得る。またローション組成物は、他の原材料と組み合わせられる前にトップシートに加えられて、最終的な使い捨て吸収製品を形成させ得る。 ローション組成物は、典型的にその溶融物からおむつのトップシートに加えられる。ローション組成物は周囲の温度を顕著に超えた温度で溶融するので、通常トップシートにヒートコーティングにより加えられる。典型的に、おむつのトップシートに加れられるに先立って、ローション組成物は、約35℃から約100℃、好ましくは40℃から約90℃の範囲において、ある温度に加熱される。一度溶融されたローション組成物がおむつのトップシートに加えられると、冷却および固形化されて、トップシートの表面上に固形化された被覆物またはフィルムを形成する。添加プロセスは、ローションの冷却/固化(set up)を助けるように設計することが好ましい。 おむつのトップシートに本発明のローション組成物を加えることについては、スプレー、グラビア被覆および押し出し被覆法が好ましい。図1は、トップシートが他の原材料と組み合わせられて最終製品になる前におむつのトップシート上に被覆物をスプレーすることを関連させる1つのそのような好ましい方法を例示する。図1を参照すると、不織のトップシートウエブ1は親トップシートロール2(矢印2aにより示される方向に回転する)からほどかれ、ウエブの一方の側面が熱い溶融した(例えば65℃)ローション組成物によりスプレーされるスプレーステーションに前進する。スプレーステーション6を離れた後、不織トップシートウエブ1は、3により示されるローション付けされたトップシートウエブとなる。ローション付けされたトップシートウエブ3は次いで回転ロール4と回転ロール8を回って前進し、次いでローション付けされたトップシートの親ロール10(矢印10aにより示される方向に回転する)に巻き付けられる。 図2は、改造操作の間に、おむつのトップシートに、ローション組成物の連続性または間欠性のスプレー処理を関係させるほかの好ましい方法を例示する。図2を参照すると、コンベアベルト1は回転ロール3および4上で、矢印により示される方向に前進し、反転するコンベアベルト2となる。コンベアベルト1は、ローション付けされていないおむつ5を、トップシート断片7が熱い溶融した(例えば65℃)ローション組成物でスプレーされるスプレーステーション6に運ぶ。スプレーステーション6を離れた後、ローション付けされていないおむつ5は、ローション付けされたトップシートを有するローション付けされたおむつ8になる。トップシート断片7に移るローション組成物の量は、(1)溶融したローション組成物がスプレーステーション6からスプレーされる速度、および/または(2)コンベアベルト1がスプレーステーション6の下で動く速度により制御される。 ここで前述した態様は本発明の好ましい態様であるが、これらの好ましい態様のバリエーションもまた可能である。これらの別の好ましい態様の幾つかを以下で考察する。 例えば、ローション組成物が液体のみまたは固体のみがポリオールポリエステルを含む態様を考察する。固体ポリオールポリエステルの場合においては、エモリエント剤性は、固体ポリオールポリエステルそれ自体により与えられ得る。 他の別の態様において、ローション組成物は、おむつのトップシートの内側表面および/またはトップシートの下側に配置される層(例えばティッシュ)に加えられ得る。これらの場合において、装着者の体温に装着者の体重および動作に由来する圧力と摩擦を合わせたものは、ローションのどれほどかの部分がトップシートを通って装着者の皮膚に移行することに寄与する。 更に他の態様において、ローションは、装着者の皮膚と接触し得るおむつのいかなる部分に対しても加え得る。例えば、脚部のカフ(例えば、使い捨ておむつ製品においてここで前述した、弾性を有する内側のスタンディングカフまたは弾性を有する外側のガスケッティングカフ)は、本発明のローション組成物を加え得る部分である。 ここで記載されるローション組成物は、別個に、皮膚を保護し、柔軟にすることにおけるそれらの有効性により、保護用のハンドクリームおよびローションのようなスキンケア組成物として用いることもまたできる。 上記態様のすべては、本発明の範囲内に含まれることが明確に意図されている。そのことはまた、当業者には明らかであるはずであり、これらの態様に対して、本発明の精神および範囲から離れることなく他のさまざまな変更がなされ得る。本発明によるローション付けされたおむつのトップシートの製造についての特定の例示以下は、本発明にしたがったローション組成物によりおむつのトップシートを処理する特定の例示である。 成分の説明 1.ダウコーニング(ミシガン州、ミッドランド)556化粧水-ポリフェニルメチルシロキサン 2.ダウコーニング(ミシガン州、ミッドランド)2503シリコーンワックス-主に(89%)ジメチル、メチルオクタデシルシロキサン 3.ポリオールポリエステル(脂肪酸のスクロースポリエステル(SEFA))-プロクター&ギャンブル社、オハイオ州、シンシナチ 以下の例における液体ポリオールポリエステル-SEFAコットネート(スクロースポリコットネート): 以下の例における固体ポリオールポリエステル-SEFAベヘネート(スクロースポリベヘネート): 例1 A.ローション組成物の調製 水分のないローション組成物(ローションA)は、次の溶融した(すなわち液体の)成分を互いに混ぜ合わせることにより作られる、すなわち、ダウコーニング(ミシガン州、ミッドランド)2503シリコーンワックス、SEFAベヘネート(プロクター&ギャンブル社により作られたスクロースポリベヘネート)。これらの成分の重量パーセンテージは下の表Iにおいて示される。 B.ホットメルトスプレーによるおむつのトップシートの製造 ローション組成物Aを、約62.8℃(145°F)の温度で操作する加熱タンクに配置する。続いてその組成物を、約9.5cm(3.75インチ)幅(おむつの側面方向)および約17.8cm(7インチ)長(おむつの長手方向)の面積で、おむつのトップシートにスプレーし(約71℃(160°F)の温度およびゲージ圧で168.7g/cm2(2.40psig)の霧化圧で操作し、ダイナテック(Dynatec)E84B1758スプレーヘッドを用いる)、パッチは側面の中心線の約2.54cm(1インチ)前方から始まり、製品の後部に向かって伸びる。付加レベル=0.006g/in2(9.3g/m2)。 例2 A.ローション組成物の調製 水分のないローション組成物(ローションB)は、次の溶融された(すなわち液体の)成分を互いに混ぜ合わせることにより作られる、すなわち、ダウコーニング(ミシガン州、ミッドランド)556シリコーン化粧水、ダウコーニング(ミシガン州、ミッドランド)2503シリコーンワックス、SEFAベヘネート(プロクター&ギャンブル社により作られたスクロースポリベヘネート)。これらの成分の重量パーセンテージは、下の表IIにおいて示される。 B.ホットメルトスプレーによるおむつのトップシートの製造 ローション組成物Bを、約62.8℃(145°F)の温度で操作する加熱タンクに配置する。続いて、その組成物は、約9.5cm(3.75インチ)幅(おむつの側面方向)および約17.8cm(7インチ)長(おむつの長手方向)の面積において、おむつのトップシートにスプレーし(約71℃(160°F)の温度およびゲージ圧で168.7g/cm2(2.40psig)の霧化圧で操作し、ダイナテックE84B1758スプレーヘッドを用いる)、パッチは、側面中心線の約2.54cm(1インチ)前方から始まり、製品の後部に向かって伸びる。付加レベル=0.006g/in2(9.3g/m2)。 例3 A.ローション組成物の調製 水分のないローション組成物(ローションC)は、次の溶融した(すなわち液体の)成分を互いに混ぜ合わせることにより作られる、すなわち、SEFAコットネート(プロクター&ギャンブル社により作られたスクロースポリコットネート)、SEFAベヘネート(プロクター&ギャンブル社により作られたスクロースポリベヘネート)。これらの成分の重量パーセンテージは下の表IIIにおいて示される。 B.ホットメルトスプレーによるおむつのトップシートの製造 ローション組成物Cは、約62.8℃(145°F)の温度で操作する加熱されたタンクに配置される。続いて組成物を、約9.5cm(3.75インチ)幅(おむつの側面方向)および約17.8cm(7インチ)長(おむつの長手方向)の面積におけるおむつのトップシートにスプレーし(約71℃(160°F)の温度およびゲージ圧で168.7g/cm2(2.40psig)の霧化圧で操作し、ダイナテックE84B1758スプレーヘッドを用いる)、そのパッチは、側面中心線の約2.54cm(1インチ)前方から始まり、製品の後部に向かって伸びる。付加レベル=0.006g/in2(9.3g/m2)。 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 (a) 訂正事項1 特許請求の範囲の減縮を目的として、請求項1: 「 【請求項1】 使い捨て吸収製品であって、 a)液体不透過性バックシート、 b)前記バックシートに結合した液体透過性トップシートであって、前記トップシートは、前記吸収製品が装着されたとき前記吸収製品の内部に向かう内側表面と装着者の皮膚に向かう外側表面を有し、前記トップシートの外側表面の少なくとも一部は、装着者の皮膚に部分的に移動可能である有効量のローション被覆を含み、前記ローション被覆は、 (i)石油系エモリエント剤、脂肪酸エステルエモリエント剤、アルキルエトキシレートエモリエント剤、ポリシロキサンエモリエント剤、シリコーンワックスエモリエント剤、およびそれらの混合物からなる群より選択される成員を含むエモリエント剤5から95%、 (ii)前記トップシートの外側表面上に前記エモリエント剤を固定し得る固定化剤であって、少なくとも2個の炭素原子から30個までの炭素原子を有する脂肪酸または他の有機基によりエステル化された少なくとも4個の水酸基を含有する多価アルコールを含む固体ポリオールポリエステルを包含する固定化剤5から95%を含むところのトップシート、および c)前記トップシートと前記バックシートの間に位置する吸収体コアを具備することを特徴とする使い捨て吸収製品。」 を、 「 【請求項1】 使い捨て吸収製品であって、 a)液体不透過性バックシート、 b)前記バックシートに結合した液体透過性トップシートであって、前記トップシートは、前記吸収製品が装着されたとき前記吸収製品の内部に向かう内側表面と装着者の皮膚に向かう外側表面を有し、前記トップシートの外側表面の少なくとも一部は、装着者の皮膚に部分的に移動可能である有効量のローション被覆を含み、前記ローション被覆は、 (i)石油系エモリエント剤、脂肪酸エステルエモリエント剤、アルキルエトキシレートエモリエント剤、ポリシロキサンエモリエント剤、シリコーンワックスエモリエント剤、およびそれらの混合物からなる群より選択される成員を含むエモリエント剤(ただし、少なくとも2個から30個までの炭素原子を有する脂肪酸または他の有機基によりエステル化された少なくとも4つの水酸基を含有する多価アルコールを含む液体ポリオールポリエステルエモリエント剤を除く)5から95%、 (ii)前記トップシートの外側表面上に前記エモリエント剤を固定し得る固定化剤であって、少なくとも2個の炭素原子から30個までの炭素原子を有する脂肪酸または他の有機基によりエステル化された少なくとも4個の水酸基を含有する多価アルコールを含む固体ポリオールポリエステルを包含する固定化剤5から95%を含むところのトップシート、および c)前記トップシートと前記バックシートの間に位置する吸収体コア を具備することを特徴とする使い捨て吸収製品。」 と訂正する。 |
異議決定日 | 2003-01-22 |
出願番号 | 特願平9-508465 |
審決分類 |
P
1
652・
4-
YA
(A41B)
P 1 652・ 536- YA (A41B) P 1 652・ 537- YA (A41B) P 1 652・ 5- YA (A41B) P 1 652・ 121- YA (A41B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 千葉 成就 |
特許庁審判長 |
竹林 則幸 |
特許庁審判官 |
大宅 郁治 松浦 新司 |
登録日 | 2001-08-03 |
登録番号 | 特許第3217792号(P3217792) |
権利者 | ザ、プロクター、エンド、ギャンブル、カンパニー |
発明の名称 | エモリエント剤およびポリオールポリエステル固定化剤を含むローション付けされたトップシートを有する使い捨て吸収製品 |
代理人 | 中村 行孝 |
代理人 | 中村 行孝 |
代理人 | 横田 修孝 |
代理人 | 紺野 昭男 |
代理人 | 紺野 昭男 |
代理人 | 高村 雅晴 |
代理人 | 吉武 賢次 |
代理人 | 吉武 賢次 |
代理人 | 横田 修孝 |
代理人 | 高村 雅晴 |