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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効としない A61K
管理番号 1075659
審判番号 無効2000-35682  
総通号数 42 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-06-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-12-18 
確定日 2003-02-10 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第2995154号発明「精製されたポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を含有する皮膚化粧料」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 I.手続の経緯
(1)本件特許第2995154号の請求項1〜3に係る発明についての出願は、平成7年12月21日に出願され(優先権主張平成7年10月9日)、平成11年10月22日にその発明について特許権の設定登録がされた。
(2)これに対して、請求人は、平成12年12月18日付けで本件特許の請求項1〜3に係る発明についての特許を無効とすることについて本件審判を請求し、証拠方法として甲第1号証〜甲第12号証を提出した。
(3)被請求人は、平成13年4月23日付けで答弁書を提出するとともに、訂正請求書を提出して訂正を求めた。
(4)上記訂正請求及びそれ以降の手続の概要は以下のとおりである。

1.訂正請求(及び答弁書) 平成13年4月23日付け
2.無効理由通知 平成13年7月23日
3.訂正請求(及び意見書) 平成13年9月18日付け
4.訂正拒絶理由通知 平成13年10月26日
5.意見書(訂正案提示) 平成13年12月21日付け
6.無効理由通知 平成14年2月14日
7.訂正請求(及び意見書) 平成14年2月22日付け
8.訂正請求取下書(上記1および3の) 平成14年2月22日付け
9.弁駁書 平成14年4月30日付け

II.訂正の適否
(1)上記I(4)の1及び3の訂正請求は、同8による訂正請求取下書によって取り下げられた。
したがって、被請求人の求める訂正は、同7に係るものであり、その内容は、以下のとおりである。

(i)訂正事項a
願書に添付した明細書の特許請求の範囲、
「【請求項1】末端に炭素-炭素二重結合を有するポリオキシアルキレンとヒドロポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により合成されたポリエーテル変性ポリシロキサン組成物に、水素添加反応を行うことにより得られた無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を、0.01〜80重量%含有することを特徴とする皮膚化粧料。
【請求項2】無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物は、該組成物中に残存する白金触媒を0.5ppm以下にまで除去されることを特徴とする請求項1に記載の皮膚化粧料。
【請求項3】無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物は、さらに該組成物全量に対して10〜1000ppmの酸化防止剤を添加されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の皮膚化粧料。」

「【請求項1】両末端メタリルエーテル化ポリオキシアルキレンと両末端ヒドロポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により合成されたポリエーテル変性ポリシロキサン組成物に、水素添加反応を行うことにより得られた無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物であって、該組成物中に残存する白金触媒を0.5ppm以下にまで除去し、かつ該組成物全量に対して10〜1000ppmの酸化防止剤を添加してなる無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を、0.01〜80重量%含有することを特徴とする皮膚化粧料。」
と訂正する。

(ii)訂正事項b
明細書中の【発明の概要】欄中(特許公報第2頁第4欄11行〜24行)の、
「(1)末端に炭素-炭素二重結合を有するポリオキシアルキレンとヒドロポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により合成されたポリエーテル変性ポリシロキサン組成物に、水素添加反応を行うことにより得られた無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を、0.01〜80重量%含有することを特徴とする皮膚化粧料
(2)無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物は、該組成物中に残存する白金触媒を0.5ppm以下にまで除去されることを特徴とする上記(1)に記載の皮膚化粧料、および
(3)無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物は、さらに該組成物全量に対して10〜1000ppmの酸化防止剤を添加されることを特徴とする上記(1)及び(2)に記載の皮膚化粧料が提供される。」

「(1)両末端メタリルエーテル化ポリオキシアルキレンと両末端ヒドロポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により合成されたポリエーテル変性ポリシロキサン組成物に、水素添加反応を行うことにより得られた無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物であって、該組成物中に残存する白金触媒を0.5ppm以下にまで除去し、かつ該組成物全量に対して10〜1000ppmの酸化防止剤を添加してなる無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を、0.01〜80重量%含有することを特徴とする皮膚化粧料が提供される。」
と訂正する。

(iii)訂正事項c
【0047】の表10(同第8〜9頁)の左欄「化合物2」を「化合物3」に、「化合物5」を「化合物6」にそれぞれ訂正する。

(2)判断
(i)訂正事項aについて
訂正事項aは、願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1における無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物の原料である「末端に炭素-炭素二重結合を有するポリオキシアルキレンとヒドロポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により合成されたポリエーテル変性ポリシロキサン組成物」を「両末端メタリルエーテル化ポリオキシアルキレンと両末端ヒドロポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により合成されたポリエーテル変性ポリシロキサン組成物」に限定し、さらに同請求項2及び請求項3に記載されていた発明特定事項を、請求項1に組み入れることによって、請求項1の発明特定事項を限定すると共に、請求項2及び請求項3を削除するものであるので、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。

(ii)訂正事項bについて
訂正事項bは、上記特許請求の範囲の訂正に対応して、明細書の発明の詳細な説明の欄の記載を整合させるものであるので、明りょうでない記載の釈明に該当する。

(iii)訂正事項c
訂正事項cは、表10の左欄の化合物名をそれに先立つ説明(【0046】)における化合物名と一致させるものであり、誤記の訂正に該当する。

そして、訂正事項a〜訂正事項cのいずれも願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内での訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものでもない。

したがって、本件訂正は、特許法第134条第2項但し書き及び同法134条第5項において準用する同法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、この訂正を認める。

ところで、請求人に上記訂正請求について意見を求めたところ、平成14年2月22日付けで弁駁書が提出された。
請求人は、当該弁駁書において、訂正事項aに係るポリシロキサン組成物が好ましいとは記載されておらず、実施例では、その他のヒドロポリシロキサンとその他のポリオキシアルキレンとのヒドロシリル化反応により合成されたポリエーテル変性ポリシロキサンに比べて効果の面ですぐれているとはいえないから当該訂正は認められるか疑問がある旨述べている。
しかしながら、好ましいと記載されていること、他との比較で効果がすぐれていることは、無効審判の請求に係る請求項の訂正の要件を定める特許法第134条第2項但し書き及び同法134条第5項において準用する同法第126条第2項〜第3項において要件とされていない。
したがって、請求人のこの主張は採用できない。

III.本件特許発明に対する判断
III-1 本件特許発明
上記IIで述べたように、上記訂正(上記I(4)の7)が認められるので、本件請求項1に係る発明(以下、本件特許発明という)は、当該訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである(上記II(1)訂正事項a参照。)。

III-2 無効理由についての検討
(1)請求人は、本件請求項1〜3の発明(訂正前)の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたと主張しているところ、その概要は以下のとおりである。

本件の請求項1に係る特許発明(訂正前)は、甲第1号証に記載された発明と、甲第2号証、甲第4号証〜甲第7号証および甲第11号証により明らかな周知技術とに基づいて当業者が容易に発明し得たものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
本件の請求項2に係る特許発明(訂正前)は、甲第1号証に記載された発明と、甲第2号証、甲第4号証〜甲第7号証および甲第11号証により明らかな周知技術と、甲第10号証に記載された発明とに基づいて当業者が容易に発明し得たものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
本件の請求項3に係る特許発明(訂正前)は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証〜甲第4号証に記載された発明と甲第4号証〜甲第7号証および甲第11号証により明らかな周知技術とに基づいて、あるいは、さらに甲第10号証に記載された発明とに基づいて、当業者が容易に発明し得たものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(2)請求人が証拠方法として提出した甲第1号証〜甲第12号証は、下記のものである。



甲第1号証:米国特許第5,225,509号明細書
甲第2号証:特開昭60-18525号公報
甲第3号証:特公昭55-41210号公報
甲第4号証:特開平5-331021号公報
甲第5号証:特開平4-235122号公報
甲第6号証:特開平5-229928号公報
甲第7号証:特開平6-145524号公報
甲第8号証:特公昭56-5414号公報
甲第9号証:特公昭61-5486号公報
甲第10号証:特表平4-501741号公報
甲第11号証:Information about Cosmetic Ingredients(Dow Corning Corporation 1979年発行)
甲第12号証:特開平2-302438号公報

そして、上記甲第1号証〜甲第12号証には、以下の事項が記載されている。

(2-1)甲第1号証(米国特許第5225509号)
1欄15行〜68行
「ポリシロキサンブロックがポリエーテルブロックとSiC結合により連結しているポリオキシアルキレンポリシロキサン混合ブロックポリマーは、白金触媒存在下でアルケンポリエーテル、特にはアリルポリエーテルとハイドロジェンシロキサンの付加反応によって製造される。・・・(略)・・・ポリオキシアルキレンポリシロキサン混合ブロックポリマーは一般に未反応アリルポリエーテルとプロペニルポリエーテルを含有している。・・・(略)・・・しかし、それらははっきりした不快な刺激臭を強く顕著に持っており、貯蔵中に強くなる傾向がある。この臭気は示された種類の用途、特に化粧品製造時の活性成分として使用されるときに障害となる。」と記載されている。

2欄45行〜3欄38行
「本発明の目的は、ポリオキシアルキレンポリシロキサン混合ブロックポリマーの簡単であり、産業用に好適な脱臭方法を提供することにある。・・・(略)・・・該混合ブロックポリマーに、水素添加触媒存在下で20℃〜200℃の温度、1〜100バールの圧で0.5から10時間水素を作用させる。・・・(略)・・・周知の水素添加触媒が使用される。特にはニッケル、銅、クロム、白金族の金属が好適である。触媒は金属としてポリエーテルシロキサンに対して0.003〜1重量%使用する。・・・(略)・・・水素を作用させた後、触媒は適当な方法で分離できる。例えば、ポリオキシアルキレンポリシロキサン混合ブロックポリマーからのろ過や遠心分離である。・・・(略)・・・本発明に従って処理されたポリオキシアルキレンポリシロキサン混合ブロックポリマーは不快臭がない。貯蔵中にも、化粧品組成に組み込まれた後も臭気が現れない。」と記載されている。

4欄6行〜29行
「実施例1
25〜30のケイ素原子、60〜70のオキシエチレン単位、10〜20のオキシプロピレン単位を有し、平均分子量が6000であるポリオキシアルキレンポリシロキサン混合ブロックポリマーについて実験した。ポリマーは使用したSiHから計算して40%過剰の、付加反応できないポリオキシエチレンを含有していた。このポリマー700グラムをニッケル触媒1グラムの存在下で水素添加した。窒素雰囲気下で120℃でろ過すると、無色透明な製品が得られた。不快な刺激臭はなく、2週間貯蔵後も同様であった。」と記載されている。

(2-2)甲第2号証(特開昭60‐18525号公報)
2頁左上欄11行〜左下欄11行
「ポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン液状物は、シャンプー、ハンドクリーム等の化粧品製剤に対する配合剤として汎用されているが、ポリオキシアルキレン部分が酸化を受けやすいため酸敗に起因する着臭が不可避である。その合成反応中に酸化されて製造直後でさえ酸敗臭がする。近年、化粧品製剤用材料は、無臭もしくは低臭気のものが要請されており、フェノール系化合物を酸化防止剤として添加する方法が知られている。特公昭55-41210号公報にはポリオルガノシロキサン、特に水溶性ポリオルガノシロキサンの酸敗による経時的着臭の防止方法として、ビタミンEとして周知のトコフェロールを添加する方法が開示されている」旨記載されている。

3頁〜5頁実施例1〜7
「片末端ヒドロキシル基封鎖ポリオキシエチレンアリルエーテルとトリメチルシリル基末端のポリメチルハイドロジェンシロキサンを塩化白金酸存在下で反応させてポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサンを作成した」旨記載されている。

(2-3)甲第3号証(特公昭55‐41210号公報)
2欄実施例1
「水溶性(又は油溶性)シリコーンオイル 100gr、トコフェロール10%溶液 0.1grからなる潤滑剤」が記載されている。(水溶性(又は油溶性)シリコーンオイルに0.01重量%、すなわち、100ppmのトコフェロールが添加されている。)

1頁〜2頁表
水溶性シリコーンオイルは2年経過すると酢酸が検出され、臭気があるが、本発明の水溶性シリコーンオイルとトコフェロールからなる潤滑剤は2年経過しても酢酸が検出されず、臭気がしないことが示されている。

4欄
「本発明の酸化防止作用については、水溶性シリコーンオイル中に発生したラジカルをトコフェロール自身が奪って、トコフェロール自身は安定ラジカルを形成するためと推定される」と記載されている。

(2-4)甲第4号証(特開平5-331021号公報)
【0002】、【0003】
「化粧料等においては、その原料として水溶性シリコーンが汎用されている。この水溶性シリコーンは、保存中に加水分解を受けて、ホルマリンやプロピオンアルデヒド等の低分子物質を生ずるが、これらの物質が変臭を放つことが問題になっている。従来、このような変臭を防止するために、ジブチルヒドロキシトルエンやビタミンE等の抗酸化剤を配合することが行われている」と記載されている。

5頁〜6頁実施例4、3頁左欄上段、手続補正書
「水落性シリコーン(5)(シリコーン SH3771E)を2重量%含有する乳液」が記載されており、「シリコーンSH3771Eはジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体である」と記載されている。

(2-5)甲第5号証(特開平4-235122号公報)
特許請求の範囲、【0015】
「本発明のポリエーテル変性シリコーンを含有する皮膚洗浄剤組成物は、水性媒体に溶解又は分散した状態で用いることが好ましく、その濃度は2〜60重量%が好ましい」旨記載されている。

(2-6)甲第6号証(特開平5-229928号公報)
特許請求の範囲、【0012】
「多価アルコール、水溶性高分子及びポリエーテル変性シリコーンオイルを含有することを特徴とする化粧水であり、ポリエーテル変性シリコーンオイルの配合量は、通常0.01〜1.0重量%が好ましい」旨記載されている。

(2-7)第7号証(特開平6-145524号公報)
特許請求の範囲、【0029】、【0032】
「一般式(I)で示されるオルガノポリシロキサンと粘度が1〜500センチストークスのオルガノポリシロキサンとHLB値が5〜12のポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンを水に乳化してなる水中油型シリコーン乳化組成物であり、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの配合量は組成物全体の1〜50重量%が好ましく、クリーム、乳液等の皮膚化粧料に使用し得る」旨記載されている。

(2-8)甲第8号証(特公昭56-5414号公報)
特許請求の範囲
「ポリアルキレングリコール誘導体にフェノール系抗酸化剤を添加してから水蒸気または窒素ガスを用いて脱臭することを特徴とするポリアルキレングリコール誘導体の精製方法」と記載されている。

1欄29行〜36行
「化粧品用のポリアルキレングリコール誘導体は、用途の性質上きわめて高度に精製された製品が要求される。特に臭いに関する要求は厳しい。」と記載されている。

2頁実施例2
「ポリプロピレングリコール約2076gに抗酸化剤である 2,2‐メチレンビス(4‐メチル‐6‐t‐ブチルフェノール)1.6gを添加し、窒素ガスを吹き込んで脱臭した」旨記載されている。該抗酸化剤の添加量は約771ppmである。

(2-9)甲第9号証(特公昭61-5486号公報)
特許請求の範囲、3欄39行〜4欄16行
「ポリオキシアルキレン化合物100重量部に五酸化リン0.005〜0.5重量部と酸化防止剤0.001〜0.5重量部を添加して加熱処理すれば脱臭され、経時安定性が良好になる。」旨記載されている。(10〜5000ppmの酸化防止剤が添加されている。)

1欄12行〜18行
「ポリオキシアルキレン化合物は、化粧品基剤などとして用いられるが、製造の際、異臭又は不快臭が生成化合物についてしまうので、従来、水素添加などの脱臭精製法が実施されてきた」旨記載されている。

3頁表
BHTを0.01重量%、0.05重量%、0.10重量%、すなわち、100ppm、500ppm、1000ppm含有すると記載されている。

(2-10)甲第10号証(特表平4‐501741号公報)
2頁右上欄7行〜16行
「有機シランと有機シリコーン重合体との合成はよく知られており、一般に、少量の酸性白金触媒、例えば、塩化白金酸の存在下、脂肪族の不飽和化合物と、反応性のシラン-水素単位及び/または水素-シロキシ単位を含むシランまたはシリコン重合体との触媒ヒドロシリル化を伴う。比較的高い有機シラン及び有機シロキサンへの転化率が達成されるが、その粗生成物は、極めて低いレベルの残存白金触媒の連行により引き起こされる曇った外観または琥珀色の着色のため、多くの用途に適さない。このような製品は特に化粧品及び身辺用途への応用に適さない。」旨記載されている。

2頁右下欄23行〜3頁左上欄5行
「本発明に従い、微量の酸性白金族触媒を含む液状の製品混合物は、塩基性陰イオン交換樹脂と接触させることにより、中和、透明化及び脱色される。触媒除去のために処理される液状の製品混合物は、5000ppmまでの酸性白金族触媒、最も好ましくは白金または白金/パラジウム触媒を含む有機シランまたは有機シロキサン製品混合物であることが好ましい。」旨記載されている。

3頁右下欄8行〜4頁左上欄18行
「ヒドロシリル化反応は、約15ppm〜約5000ppmの酸性白金触媒存在下、シリコーン重合体のシラン-水素またはシラン-シロキサン単位が、アルケンまたはアルキンの不飽和の炭素-炭素部位を介して付加され、この触媒は重合性有機シリコーン製品中に連行される。本発明に従い、微量の酸性白金族触媒を含む液状の製品混合物は、塩基性陰イオン交換樹脂と接触させることにより、中和、透明化及び脱色される。塩基性陰イオン交換樹脂を約 0.7%から約5%添加することにより充分に触媒が除去される。イオン交換樹脂と接触する間に、製品中に連行されている白金触媒は樹脂に結合することにより効果的に除去される。」旨記載されている。

例2、例4〜例7
「市販のジメチルポリシロキサングリコール共重合体を粒状弱塩基性陰イオン交換樹脂と接触させることにより、白金含量が大幅に減少し(例2では、処理前77.40ppm、処理後0.39ppm。例4では、処理前15.30ppm、処理後0.24ppm。例5では、DC190について、処理前8.22ppm、処理後〈0.30ppm。)、曇り、琥珀色が透明無色になった」旨記載されている。

(2-11)甲第11号証(Information about Cosmetic Ingredients)
1頁左欄2行〜下から22行
「Dow Corning l90と193界面括性剤は、化学式・・・(略)・・・のシリコーングライコールコポリマーである。CTFA名はジメチコーンコポリオールである。Dow Corning l90と193界面活性剤は本質的に非毒性の液体であり、広範囲の化粧料およびパーソナルケア製品における界面張力低下剤、湿潤剤、乳化剤および起泡剤として作用する。・・・(略)・・・加えて、これらは泡の嵩を増し、スキンローション、ひげ剃りローションおよび皮革の湿潤性と潤滑性を改善する」と記載されている。

1頁左欄下から8行〜末行
「用途
Dow Corning l90と193界面活性剤は、広範囲の化粧料およびパーソナルケア製品に使用できる。これらはヘアスプレー、シャンプー、スキンケアローション、髭剃りローション、髭剃り用石鹸、香水およびコロンを含む」と記載されている。

(2-12)甲第12号証(特開平2-302438号公報)
1頁右下欄13行〜2頁右上欄10行
「ポリエーテルシリコーンはハイドロジェンシロキサンと末端二重結合有するポリオキシアルキレンとを、塩化白金酸等の貴金属触媒下に付加反応させることによって製造されている。しかしながら、このようにして得られたポリエーテルシリコーンを乳化系で使用した場合には経時によって着臭するので化粧品等の用途には、臭いの為に配合が難しいという欠点があった。・・・(略)・・・プロペニルエーテル化ポリエーテルが生ずる。このプロペニルエーテル化ポリエーテルは・・・(略)・・・不純物として残存する上、未反応のアリル化ポリエーテルも不純物として前記ポリエーテル中に残存する。・・・(略)・・・」と記載されている。

2頁左下欄17行〜右下欄19行
「本発明のポリエーテルシリコーンは構造式・・・(略)・・・のハイドロジェンシロキサンの少なくとも1種と、・・・(略)・・・で表されるポリオキシアルキレン(ポリエーテル)の白金触媒下における付加反応により製造される。」と記載されている。

5頁右上欄9行〜右下欄11行
「実施例1
平均組成・・・(略)・・・で表されるハイドロジェンシロキサン717g、平均組成・・・(略)・・・で表されるアリル化ポリエーテル219g、塩化白金酸(白金がアリル化ポリエーテルに対して重量で5ppmとなる量)を80℃で5時間反応させ、反応液を減圧下でストリップ精製し濾過することによりポリエーテルシリコーン(VIII)を得た」旨記載されている。

(3)ところで、当審は、平成13年4月23日付け訂正請求に係る請求項1の発明(訂正前の請求項1に請求項2及び請求項3で特定される事項を組み入れた訂正に係るもの)の特許は、特許法第29条第2項の規定に係る無効理由(特許法第123条第1項第2号)がある旨を通知した(上記I(2)の2)。
証拠として引用したものは下記刊行物1〜14であり、そのうち、刊行物1〜刊行物12は、それぞれ上記甲第1号証〜甲第12号証で示すものである。
当審が追加した証拠は、下記刊行物13 〜14であり、これら刊行物には、下記(i)及び(ii)で示す事項が記載されている。



刊行物1〜12:記載事項は上記III-2(2)参照。
刊行物13:Curtis D.Kaassen外2監修「トキシコロジーII」第606〜607,644頁(1988同文書院発行)
刊行物14:「ザックス 有害物質データブック」第440頁(平成2年丸善株式会社発行)

(i)刊行物13
白金が皮膚に対して免疫反応を誘発すること、白金に対する皮膚等の反応は、過敏反応によること(第607頁左欄第25〜36行)、白金は一般に金属状態では毒性はないが特別な状態では毒性をもつこと(第644頁左欄第31行〜同頁下から5行)、白金化合物特にヘキサクロロ白金酸は強力なアレルゲンとして作用すること、アレルゲン性は分子内に存在する塩素の数に関係しているようにも見えるが、塩素をもたない他の可溶性白金化合物もアレルゲン性をもつこと(第644頁右欄第27〜33行)

(ii)刊行物14
白金塩を使用して働いている多くの人々は皮膚に炎症を起こすこと(第440頁右欄第22〜23行)

(4)対比・判断
本件特許発明について、請求人の主張する無効理由及び当審の通知した無効理由について検討する。
ところで、当審が無効理由通知において追加した証拠(刊行物13、14)は、上述のように(上記(3))白金塩等の皮膚アレルギーに関するものであって、上記訂正請求に係る発明の構成の一部(残存白金触媒を除去する点)を当業者が採用する動機付けに係るものとして提示したものであるが、請求人の主張する無効理由と当審の通知した無効理由の内容はこの点に関して相違するのみであるから、以下、両者をまとめて検討する。
甲第1号証(刊行物1)には、アルケンポリエーテルとヒドロポリシロキサンを付加反応させることによって得られるポリエーテル変性ポリシロキサンを化粧品の活性成分として使用することが記載され、その脱臭のために触媒存在下で水添を行い、触媒を濾過により除去して不快な刺激臭のないポリエーテル変性ポリシロキサンが得られることが記載されている。
しかしながら、甲第1号証(刊行物1)では、アルケンポリエーテルとしてアリルポリエーテルを使用し、ハイドロジェンシロキサンの付加反応によって得られたポリエーテル変性ポリシロキサンを水添により脱臭しているのに対して、本件特許発明で使用するアルケンポリエーテルは、両末端メタリルエーテル化ポリオキシアルキレンであり、さらにヒドロポリシロキサンとしても両末端ヒドロポリシロキサンを使用するものであるから原料が異なり、その結果、得られるポリエーテル変性ポリシロキサンは甲第1号証(刊行物1)のものとは相違するものとなる。
そして、甲第1号証(刊行物1)には、本件特許発明で使用する両末端メタリルエーテル化ポリオキシアルキレン及び両末端ヒドロポリシロキサンから得られるポリエーテル変性ポリシロキサン及びそれを水添した無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンについては、記載も示唆もされていない。
さらに、甲第2号証〜甲第12号証(刊行物2〜刊行物12)及び刊行物13〜刊行物14を検討しても、本件特許発明の無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンについては記載も示唆もなく、甲第1号証(刊行物1)で使用するポリエーテル変性ポリシロキサンに代えて、両末端メタリルエーテル化ポリオキシアルキレンと両末端ヒドロポリシロキサンから製造した本件特許発明の無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンを皮膚化粧料に配合することを、当業者が容易になし得たとすべき根拠は見出せない。
したがって、本件特許発明は、甲第1号証〜甲第12号証に記載された発明(周知技術を含む)に基づいて当業者が容易に発明できたものとすることはできないし、刊行物1〜刊行物14に記載された発明(周知技術含む)に基づいて当業者が容易に発明できたものとすることもできない。

なお、当審は、請求人に上記I(4)の4で示す訂正拒絶理由通知(特許法第134条第2項ただし書きに規定する訂正要件を満たすものではない旨のもの)に対する同5の意見書(特許請求の範囲の減縮に係る訂正案を示すもの)を送付して意見を求め、次いで、同6の無効理由通知(上記特許請求の範囲を減縮する訂正のため)に係る職権審理結果を通知して意見を求め、さらに、同7の平成14年2月22日付け訂正請求及び上記無効理由に対して提出された意見書を送付して意見求めた。
これに対して、請求人は、上述のように(II(2))、II(4)の9で示される弁駁書で、訂正の適否についての意見を述べたものの、本件審判請求書で主張している無効理由等に係る意見は何も述べていない。

IV.結び
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び証拠方法、並びに、当審による無効理由通知に示された理由及び証拠方法によっては、本件特許発明の特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
精製されたポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を含有する皮膚化粧料
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 両末端メタリルエーテル化ポリオキシアルキレンと両末端ヒドロポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により合成されたポリエーテル変性ポリシロキサン組成物に、水素添加反応を行うことにより得られた無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物であって、該組成物中に残存する白金触媒を0.5ppm以下にまで除去し、かつ該組成物全量に対して10〜1000ppmの酸化防止剤を添加してなる無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を、0.01〜80重量%含有することを特徴とする皮膚化粧料。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を含有する皮膚化粧料に関する。更に詳しくは、本発明は、クレンジングクリーム、コールドクリーム、ハンドクリーム、パウダー、化粧水、ファンデーション、アイシャドー、ローション、マニキュア、口紅、リップクリーム、日焼け防止クリーム、制汗剤、洗顔剤、身体洗浄剤等として使用され、精製されたポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を含有する、臭気および刺激性等の非常に少ない、保存安定性に優れる皮膚化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
皮膚化粧料には、使用目的によってクレンジングクリーム、コールドクリーム、ハンドクリーム、パウダー、化粧水、ファンデーション、アイシャドー、ローション、マニキュア、口紅、リップクリーム、日焼け防止クリーム、制汗剤、洗顔剤、身体洗浄剤等種々の種類がある。ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物は、各化粧料の原料成分の相溶性を向上させ、光沢性および滑らかさを改善することができ、また、湿潤性、起泡性、整泡性、乳化性、洗浄性、帯電防止能を向上させることができるので、各種皮膚化粧料に配合され広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一方、近年、無香料タイプの皮膚化粧料が普及するにつれて、皮膚化粧料の個々の成分の臭いが問題視されている。中でも、ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物はその機能性とは逆に、臭いに関してはマイナスの影響を与えている。つまり、ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物はヒドロシリル基をもつポリシロキサンと不飽和結合を有するポリオキシアルキレンとのヒドロシリル化反応によって合成されているため、皮膚化粧料の製造時および保存においてポリエーテル変性ポリシロキサン組成物中の未反応不飽和基含有ポリエーテルからアルデヒド等の臭い物質が生成し、製品が着臭する。
【0004】
また、臭いの問題に加えて、生成したアルデヒドは皮膚刺激性等の安全性等での問題が考えられるので、皮膚化粧料中にこのような物質が大量に生成した場合、皮膚への悪影響が懸念される。係る欠点を解消するため、例えば、特開平2-302438号では未反応ポリオキシアルキレンを酸存在下で加水分解し、ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を脱臭する方法が開示されており、これを皮膚化粧料の成分として用いることが考えられる。しかし、この方法で精製したポリエーテル変性ポリシロキサン組成物の脱臭は完全ではなく、皮膚化粧料に配合した後に経時で着臭してしまう。また、この脱臭方法では工業的に安定して製造することは困難である。
【0005】
さらに、ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を製造に使用する白金触媒が皮膚化粧料中に高濃度で残存した場合アレルギーを起こすなどの問題がある。係る欠点を解消するため、ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物中の残留白金をけい藻土等で吸着させ除去しているが、その工程が長く生産性が悪くなっている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決すべくポリエーテル変性ポリシロキサン組成物の脱臭方法について種々検討した結果、ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物に触媒存在下水素ガスを用い水素添加反応を実施することにより、加水分解および酸化反応等により臭気物質を発生することがなく、経時的にも安定な組成物を開発した。また、この水素添加工程により残存白金量を殆どなくすことができた。そこで、このようにして精製したポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を皮膚化粧料に配合することにより、本発明を完成させた。
【0007】
【発明の概要】
本発明は、水素添加反応からなる工程により生成したポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を成分として用いた皮膚化粧料に関するものである。即ち、本発明によれば、
(1)両末端メタリルエーテル化ポリオキシアルキレンと両末端ヒドロポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により合成されたポリエーテル変性ポリシロキサン組成物に、水素添加反応を行うことにより得られた無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物であって、該組成物中に残存する白金触媒を0.5ppm以下にまで除去し、かつ該組成物全量に対して10〜1000ppmの酸化防止剤を添加してなる無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を、0.01〜80重量%含有することを特徴とする皮膚化粧料が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で使用するポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を製造するためのヒドロシリル化反応に用いるヒドロポリシロキサンとしては、例えば次式:
【化1】

[ここで、R1は同一または異なる置換または非置換の1価の炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基等の炭素原子数1〜19のアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基、ナフチル基、アルキルナフチル基、フェニルアルキル基、3-アミノプロピル基、3-(N-2-アミノエチルアミノ)プロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等)または次式で表されるもの、
【化2】
-(R22SiO)qSiR23
{ここで、R2は同一または異なる置換または非置換の1価の炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基等の炭素原子数1〜19のアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキル基、3-アミノプロピル基、3-(N-2-アミノエチルアミノ)プロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等)または水素基、qは0または正の整数である。}または水素基、nは0または正の整数である。但し、1分子中に少なくとも1つのケイ素原子に直接結合した水素基を有する。]で表されるものや、次式:
【化3】

(ここで、R1は上で記載のものに同じ、mは3以上の整数である。但し、1分子中に少なくとも1つのケイ素原子に直接結合した水素基を有する。)で表されるものが挙げられる。これらのヒドロポリシロキサンは単独で用いることもできるが、組合せで用いることも可能である。また、ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を製造するためのヒドロシリル化反応に用いるポリオキシアルキレンとしては、例えば以下のようなものが挙げられる。
【化4】
R’O(R”O)xR’
{ここで、R’は同一または異なる、不飽和置換または非置換の1価の炭化水素基(例えば、アリル基、メタリル基、3-ブテニル基、炭素原子数1〜19のアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基、ナフチル基、アルキルナフチル基等)、アシル基または水素基、R”は同一または異なる、置換または非置換の2価の炭化水素基(例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンテン基、フェニレン基、アルキル置換フェニレン基、フェニル置換アルキレン基、ナフチレン基、アルキル置換ナフチレン基等)、xは0または正の整数、ただし、1分子中のR’のうち少なくとも一つは不飽和置換基を有する炭化水素基である。}
これらのポリオキシアルキレンはそれぞれ単独で用いることもできるが組合せで用いることも可能である。上記ヒドロシリル化反応は、公知の技術を用いて行うことができる。すなわち、この反応は、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系、ジオキサン、THF等のエーテル系、脂肪族炭化水素系、塩素化炭化水素系の有機溶剤中または無溶媒で行われる。また、反応温度は通常50〜150℃であり、塩化白金酸等の触媒を用い反応させることができる。通常、ポリオキシアルキレンを過剰にして反応させる。
【0009】
通常のポリエーテル変性ポリシロキサン組成物は上記反応溶液から溶剤を留去することにより精製される。このため未反応のポリオキシアルキレンはポリエーテル変性ポリシロキサン組成物中に残存する。アリルエーテル化ポリオキシアルキレンは白金等の触媒の存在により異性化を起こす。例えば末端アリルエーテル化ポリオキシアルキレンの場合にはプロペニルエーテル化ポリオキシアルキレンが生成する。従って、ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物中には過剰のプロペニルエーテル化ポリオキシアルキレンが残存する。このプロペニルエーテル化ポリオキシアルキレンはビニルエーテル型の化合物であるため容易に加水分解を起こし、軽質分を生成する。すなわちプロペニルエーテル化ポリオキシアルキレンは空気中の水分および僅かな酸の存在により徐々に加水分解し臭気物質であるプロピオンアルデヒドを生成する。
【0010】
また、未反応の末端アリルエーテル化ポリオキシアルキレンはポリエーテル変性ポリシロキサン組成物に残存する白金触媒の作用で徐々にプロペニルエーテル化ポリオキシアルキレンを生成し臭気の原因となるばかりでなく、末端アリルエーテル化ポリオキシアルキレン自体酸化に対する安定性は通常の飽和炭化水素と比較しあまり良くないのでこの酸化物等が臭気の原因になりうる。また、ヒドロシリル化反応で副生するビニルシラン型の化合物ができる場合、この化合物は酸化安定性が悪いと考えられる。従って、加水分解および酸化により臭気物質を発生することがなく、経時的にも安定な組成物を得るには、プロペニルエーテル化ポリオキシアルキレンを除去するだけではなく、臭気原因となる不安定置換をもつ化合物をポリエーテル変性ポリシロキサン組成物に残存させないようにすることが必要である。
【0011】
本発明では炭素-炭素二重結合等の不飽和置換基をもつ化合物、および加水分解および酸化に由来する化合物に水素添加反応を行い、精製したポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を皮膚化粧料の成分として用いた。
【0012】
水素添加反応としては公知の水素添加触媒が用いられる。例えば、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、コバルト、クロム、銅、鉄等の単体または化合物がある。触媒担体は無くてもよいが、用いる場合は活性炭、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、ゼオライト等が用いられる。また、ヒドロシリル化反応に使用した白金触媒をそのまま利用することもできる。これらの触媒は単独で用いることもできるがその組合せで用いることも可能である。
【0013】
水素添加反応の溶媒は使用しなくてもよいが、使用する場合は、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系、ジオキサン、THF等のエーテル系、脂肪族炭化水素系、塩素化炭化水素系などの水素添加条件に不活性な有機溶剤中で行われ、ヒドロシリル化反応に使用した溶媒をそのまま使用することもできる。
【0014】
水素添加反応は、常圧および加圧下で行うことができる。現実的には水素加圧下で、即ち水素圧1〜200Kg/cm2で行う。
【0015】
水素添加反応は、0〜200℃で行うことができるが、反応時間の短縮のため、50〜170℃で行うことが望ましい。
【0016】
水素添加反応は回分式でも連続式でも良い。回分式の場合、反応時間は触媒量および温度等に依存するが概ね3〜12時間である。
【0017】
回分式の場合、水素添加反応の終点は、水素圧の減少がほとんど観測されなくなった時点からさらに1〜2時間反応させた時点とすることができる。反応途中で水素圧が減少した場合、水素を再び導入し水素圧を高く保つことが反応時間短縮のために望ましい。
【0018】
水素添加反応後は窒素加圧下にけい藻土または活性炭を用い、ろ過を行いヒドロシリル化反応および水素添加反応に使用した触媒を分離する。
【0019】
反応に溶媒を使用した場合および水素添加後に軽質分が存在する場合には必要に応じて、減圧下に窒素を吹き込みながらこれらの軽質分を留去しポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を精製する。また、この軽質分除去操作は水添反応を行う前処理として行ってもよく、さらに、水添反応前後で2回行ってもよい。
【0020】
精製されたポリエーテル変性ポリシロキサン組成物は、フェノール類、ヒドロキノン類、ベンゾキノン類、芳香族アミン類、およびビタミン類等の酸化防止剤を入れ酸化に対する安定性を増加させることができる。このような酸化防止剤としては、例えば、BHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)、ビタミンCおよびビタミンEなどを用いることができる。このとき、使用する酸化防止剤の添加量は精製されたポリエーテル変性ポリシロキサン組成物に対し10〜1000ppm、好ましくは50〜500ppmである。また、酸化防止剤の添加は、軽質分の留去操作前に行うこともできる。
【0021】
本発明は上記ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を含有する皮膚化粧料であり、様々な形態で使用できる。例えば、それらをアルコール類、炭化水素類、揮発性環状シリコーン類等に溶解または分散させて用いてもよいし、更には乳化剤を用いて水に分散させてエマルジョンの形態で用いることもできる。また、プロパン、ブタン、トリクロルモノフルオロメタン、ジクロルジフルオロメタン、ジクロルテトラフルオロエタン、炭酸ガス、窒素ガス等の噴射剤を併用してスプレーとして用いることもできる。それらの形態でクレンジングクリーム、ハンドクリーム、パウダー、化粧水、ファンデーション、アイシャドー、ローション、マニキュア、口紅、リップクリーム、日焼け防止クリーム、制汗剤、洗顔剤、身体洗浄剤等として使用できる。
【0022】
また、皮膚化粧料中の上記ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物の配合量は限定されないが、好ましくは0.01重量%〜80重量%であり、特に好ましくは0.1〜50重量%である。
【0023】
本発明の皮膚化粧料には通常皮膚化粧料に配合されている成分を製品の臭いに悪影響を与えない範囲で配合することができる。例えば、オイル、樹脂、ガム、ゴム、粉末等の形状のシリコーン化合物[例えば、ジメチルポリシロキサンやジメチルメチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン、エポキシ変性ジメチルポリシロキサン、ポリカプロラクトン変性ジメチルポリシロキサン等]、各種油分(例えばツバキ油、ナタネ油、ゴマ油、サフラワー油、綿実油、ヒマシ油、大豆油、ヤシ油、パーム油、ミツロウ、モンタンロウ、ラノリン、スクワレン等)、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル、アルキル硫酸エステル、アルカンスルホン酸塩、アルキルエトキシカルボン酸塩、コハク酸誘導体、アルキルアミンオキサイド、イミダゾリン型化合物、ポリオキシエチレンアルキルまたはアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキサイド付加物等)、高分子化合物(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カチオン化セルロース、カチオン化高分子、ポリビニルヒドリロン、ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体、ビニルピロリドン-酢酸ビニル-アルキルアミノアクリレート共重合体、メチルビニルエーテル-無水マレイン酸共重合体の低級アルキルハーフエステル、酢酸ビニル-クロトン酸共重合体、アクリル酸-アクリル酸エステル-N-アルキルアクリルアミド共重合体等)、アミノ酸(グリシン、セリン、プロリン)、粉体(セリサイト、シリカアルミナ、シリカゲル、カオリン、タルク、ベンガラ、グンジョウ、雲母、雲母チタン、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化アンチモン、一酸化亜鉛、二酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化クロム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ポリエチレン粉体等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、保湿剤、香料、染料、顔料、色素、防腐剤、ビタミン剤、ホルモン剤、消臭剤、固着剤、消炎剤等を適量配合しても良い。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を参考例、実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものでなく、本発明の技術思想を利用する実施態様はすべて本発明の範囲に含まれるものである。
【0025】
参考例
次の平均組成
【化5】

を有するヒドロポリシロキサンと次の平均組成
【化6】

を有するアリルエーテル化ポリオキシアルキレンとをそれらのヒドロシリル基と不飽和基との当量比が1:1.2になるような原料比で、公知のヒドロシリル化反応を行い合成した変性ポリシロキサン組成物を化合物1とした。また、次の平均組成
【化7】

を有するヒドロポリシロキサンと次の平均組成
【化8】
CH2=CHCH2O(CH2CH2O)10CH3
を有するアリルエーテル化ポリオキシアルキレンとをそれらのヒドロシリル基と不飽和基との当量比が1:1.2になるような原料比で、公知のヒドロシリル化反応を行い合成した変性ポリシロキサン組成物を化合物2とした。さらに、次の平均組成
【化9】

を有する両末端ヒドロポリシロキサンと次の平均組成
【化10】

を有する両末端メタリルエーテル化ポリオキシアルキレンとをそれらのヒドロシリル基と不飽和基との当量比が1:1.2になるような原料比で、公知のヒドロシリル化反応を行い合成した(AB)n 型変性ポリシロキサン組成物を化合物3とした。
【0026】
実施例1
ガラス製の1Lの3つ口フラスコに化合物1、200gおよびトルエン500mlを加え、さらに活性炭担持パラジウム(5wt%)0.5gを加えた後、マグネチックスターラーで撹拌しながら、吹き込み管から水素を20ml/分で吹き込んだ。トルエンが緩やかに還流するようにオイルバスを用いてフラスコの温度を徐々に上げた。水素を吹き込み始めてから12時間後に水素の吹き込みおよび加温を止めた。室温に冷却するまで水素の代わりに窒素を吹き込みフラスコ内の余剰の水素を置換した。反応溶液にフィルターセルを加え、窒素圧下でろ過を行った。ろ液にBHT(300ppm)を添加した後、減圧下で窒素を吹き込みながら蒸留し、トルエンおよび軽質分を除去した。収量170g。この精製された変性ポリシロキサン組成物を化合物4とした。化合物1および化合物4について白金含有量を原子吸光法にて測定した。結果を表1に示す。化合物4の含有量は測定限界以下であり、白金はほぼ残存していないといえる。
【0027】
【表1】

【0028】
実施例2
ステンレス製の1Lのオートクレーブに化合物2、545.5gおよびラネーニッケル25gを加え、水素で内部を置換した後、水素圧50Kg/cm2にまで加圧した。備え付けの撹拌機で撹拌しながら、130℃まで徐々に温度を上げた。約5時間同温度で反応させた後、冷却した。この時点での収量545.4g。反応液にフィルターセルを加え、窒素圧下でろ過を行った。ろ液にBHT(300ppm)を添加した後減圧下で窒素を吹き込みながら蒸留し、軽質分を除去した。収量535g。この精製された変性ポリシロキサン組成物を化合物5とした。
【0029】
実施例3
化合物2の代わりに3を用いた以外は実施例2と同様な方法で行った。この精製された変性ポリシロキサン組成物を化合物6とした。
【0030】
実施例4:ハンドクリーム
下記の表2に示す組成物を常法により混合し、ハンドクリームを調製した。
【0031】
【表2】

【0032】
評価:
手に塗布すると、べとつき感はなく、皮膚感触がよくしっとりとしていた。本品40gを50mlのふた付きサンプル瓶に入れ上部空間を窒素で置換した後、密栓し1年間室温で保存した。化合物4の代わりに化合物1を用い上記処方により調製した比較品を同条件下で保存し、臭いの比較を行った。結果を表3に示す。化合物1を用いたハンドクリームではかなり着臭したが、化合物4では着臭は認められなかった。
【0033】
【表3】

【0034】
経時変化後のそれぞれの製品についてパッチテストを行った。
1)試験方法:健康な男女50名(男性25名、女性25名)を対象とし、上腕部内側皮膚面に、フィンチャンバー(大正製薬株式会社製)の円形金属部にてハンドクリームを接着した。24時間閉塞貼付後、試料を精製水にて除去し、除去1時間後および24時間後にそれぞれ負荷部の皮膚症状を肉眼的に観察し、評価した。(対照として、局方精製水を同様の方法にて接着した。)
2)評価方法:被験物質および対照物質負荷部の皮膚所見については、刺激症状(紅斑、浮種、丘疹、水疱)の有無を確認し、次の規準に準じて行った。
- 反応なし
± 軽い紅斑
+ 紅斑
++ 紅斑+浮種
+++ 紅斑+浮種+丘疹〜水疱
++++ 大水疱
結果を表4に示す。化合物1と比較して化合物4を使用したハンドクリームは皮膚に対する刺激が非常に少ないことが分かった。なお、精製水についての軽微な紅斑は金属による影響が考えられる。
【0035】
【表4】

【0036】
実施例5:日焼け防止クリーム
下記の表5に示す組成物を常法により混合し、日焼け防止クリームを調製した。
【0037】
【表5】

【0038】
評価:
背中に塗布するときの伸びが良く、べとつき感がせずにしっとりとした好ましい感触であった。本品40gを50mlのふた付きサンプル瓶に入れ上部空間を窒素で置換した後、密栓し4ケ月間室温で保存した。化合物4の代わりに化合物1を用い上記処方により調製した比較品を同条件下で保存し、臭いの比較を行った。結果を表6に示す。化合物1を用いた日焼け防止クリームではかなり着臭したが、化合物4では着臭は認められなかった。
【0039】
【表6】

【0040】
実施例6:ローション
下記の表7に示す組成物を常法により混合し、ローションを調製した。
【0041】
【表7】

【0042】
評価:
肌に塗布するとき非常に滑らかに塗布でき、肌を滑らかでしっとりとした風合いに仕上げることができた。また、ローション乳液の相分離が起こらず安定であった。本品40gを50mlのふた付きサンプル瓶に入れ上部空間を窒素で置換した後、密栓し4ケ月間室温で保存した。化合物5の代わりに化合物2を用い上記処方により調製した比較品を同条件下で保存し、臭いの比較を行った。結果を表8に示す。化合物2を用いたローションではかなり着臭したが、化合物5では着臭は認められなかった。
【0043】
【表8】

【0044】
実施例7:口紅
下記の表9に示す組成物を常法により混合し、口紅を調製した。
【0045】
【表9】

【0046】
評価:
肌に塗布したが光沢がよく、しっとりとした好ましい感触であった。塗布した肌に水のシャワーを3分間あびせたが、シコニンの紫色はそのまま残存していた。本品40gを50mlのふた付きサンプル瓶に入れ上部空間を窒素で置換した後、密栓し3ケ月間室温で保存した。化合物6の代わりに化合物3を用い上記処方により調製した比較品を同条件下で保存し、臭いの比較を行った。結果を表10に示す。化合物3を用いた口紅ではかなり着臭したが、化合物6では着臭は認められなかった。
【0047】
【表10】

【0048】
実施例8:化粧水
下記の表11に示す組成物を常法により混合し、化粧水を調製した。
【0049】
【表11】

【0050】
評価:
肌に塗布するとき非常に伸びが良く気持ちがよく、肌に光沢とひきしめ感を与え肌をしっとりした感じに仕上げた。本品40gを50mlのふた付きサンプル瓶に入れ上部空間を窒素で置換した後、密栓し2ケ月間室温で保存した。化合物6の代わりに化合物3を用い上記処方により調製した比較品を同条件下で保存し、臭いの比較を行った。結果を表12に示す。化合物3を用いた化粧水ではかなり着臭したが、化合物6では着臭は認められなかった。
【0051】
【表12】

【0052】
実施例9:デオドラントスティック
下記の表13に示す組成物を常法により混合し、デオドラントスティックを調製した。
【0053】
【表13】

【0054】
評価:
肌に塗布するとき非常に伸びが良く、肌あたりが柔らかく、べとついた感じがなかった。本品40gを50mlのふた付きサンプル瓶に入れ上部空間を窒素で置換した後、密栓し2ケ月間室温で保存した。化合物5の代わりに化合物2を用い上記処方により調製した比較品を同条件下で保存し、臭いの比較を行った。結果を表14に示す。化合物2を用いたデオドラントスティックではかなり着臭したが、化合物5では着臭は認められなかった。
【0055】
【表14】

【0056】
実施例10:洗浄剤組成物
下記の表15に示す組成物を常法により混合し、洗浄剤組成物を調製した。
【0057】
【表15】

【0058】
評価:
実際に、両手を洗浄したところ、洗浄中の泡立ちおよび乾燥後のしっとり感が良かった。本品40gを50mlのふた付きサンプル瓶に入れ上部空間を窒素で置換した後、密栓し2ケ月間室温で保存した。化合物5および6の代わりに化合物2および3を用い上記処方により調製した比較品を同条件下で保存し、臭いの比較を行った。結果を表16に示す。化合物2および3を用いた洗浄剤組成物ではかなり着臭したが、化合物5および6では着臭は認められなかった。
【0059】
【表16】

【0060】
実施例11:洗顔剤組成物
下記の表17に示す組成物を常法により混合し、洗顔剤組成物を調整した。
【0061】
【表17】

【0062】
評価:
実際に、洗顔したところ、洗浄中の泡立ちおよび乾燥後のしっとり感が良かった。本品40gを50mlのふた付きサンプル瓶に入れ、上部空間を窒素で置換した後、密栓し、2ヶ月間室温で保存した。化合物4の代わりに化合物1を用いて上記処方により調整した比較品を同一条件下で保存し、臭いの比較を行った。結果を表18に示す。化合物1を用いた洗顔剤組成物ではかなり着臭したが、化合物4では着臭は認められなかった。
【0063】
【表18】

【0064】
【発明の効果】
本発明の皮膚化粧料は、従来、皮膚化粧料の成分において、着臭の原因となっていたポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を水素添加し精製したものである。これにより、ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物の経時による着臭および刺激性のあるアルデヒドの生成を著しく抑えることができ、さらに、アレルギーの原因となる可能性のある残存触媒の白金をなくしたものである。この精製されたポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を、クレンジングクリーム、コールドクリーム、ハンドクリーム、パウダー、化粧水、ファンデーション、アイシャドー、ローション、マニキュア、口紅、リップクリーム、日焼け防止クリーム、制汗剤、洗顔剤、身体洗浄剤等の皮膚化粧料の成分として用いることにより、化粧料の各原因成分の相溶性を向上させ、光沢性および滑らかさを改善でき、さらに、湿潤性、起泡性、整泡性、乳化性、および帯電防止等の優れた効果を損なうことなく、臭気および刺激性等の非常に少なく、かつ、保存安定性にも優れた製品を調製することができるので、産業上非常に有用である。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
(i)訂正事項a
願書に添付した明細書の特許請求の範囲、
「【請求項1】末端に炭素-炭素二重結合を有するポリオキシアルキレンとヒドロポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により合成されたポリエーテル変性ポリシロキサン組成物に、水素添加反応を行うことにより得られた無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を、0.01〜80重量%含有することを特徴とする皮膚化粧料。
【請求項2】無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物は、該組成物中に残存する白金触媒を0.5ppm以下にまで除去されることを特徴とする請求項1に記載の皮膚化粧料。
【請求項3】無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物は、さらに該組成物全量に対して10〜1000ppmの酸化防止剤を添加されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の皮膚化粧料。」
を特許請求の範囲の減縮を目的として
「【請求項1】両末端メタリルエーテル化ポリオキシアルキレンと両末端ヒドロポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により合成されたポリエーテル変性ポリシロキサン組成物に、水素添加反応を行うことにより得られた無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物であって、該組成物中に残存する白金触媒を0.5ppm以下にまで除去し、かつ該組成物全量に対して10〜1000ppmの酸化防止剤を添加してなる無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を、0.01〜80重量%含有することを特徴とする皮膚化粧料。」
と訂正する。
(ii)訂正事項b
明細書中の【発明の概要】欄中(特許公報第2頁第4欄11行〜24行)の、
「(1)末端に炭素-炭素二重結合を有するポリオキシアルキレンとヒドロポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により合成されたポリエーテル変性ポリシロキサン組成物に、水素添加反応を行うことにより得られた無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を、0.01〜80重量%含有することを特徴とする皮膚化粧料
(2)無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物は、該組成物中に残存する白金触媒を0.5ppm以下にまで除去されることを特徴とする上記(1)に記載の皮膚化粧料、および
(3)無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物は、さらに該組成物全量に対して10〜1000ppmの酸化防止剤を添加されることを特徴とする上記(1)及び(2)に記載の皮膚化粧料が提供される。」
を明瞭でない記載の釈明を目的として、
「(1)両末端メタリルエーテル化ポリオキシアルキレンと両末端ヒドロポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により合成されたポリエーテル変性ポリシロキサン組成物に、水素添加反応を行うことにより得られた無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物であって、該組成物中に残存する白金触媒を0.5ppm以下にまで除去し、かつ該組成物全量に対して10〜1000ppmの酸化防止剤を添加してなる無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を、0.01〜80重量%含有することを特徴とする皮膚化粧料が提供される。」
と訂正する。
(iii)訂正事項c
誤記の訂正を目的として、【0047】の表10(同第8〜9頁)の左欄「化合物2」を「化合物3」に、「化合物5」を「化合物6」にそれぞれ訂正する。
審理終結日 2002-11-22 
結審通知日 2002-11-27 
審決日 2002-12-26 
出願番号 特願平7-348981
審決分類 P 1 112・ 121- YA (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 塚中 直子福井 悟  
特許庁審判長 田中 倫子
特許庁審判官 竹林 則幸
深津 弘
登録日 1999-10-22 
登録番号 特許第2995154号(P2995154)
発明の名称 精製されたポリエーテル変性ポリシロキサン組成物を含有する皮膚化粧料  
代理人 河備 健二  
代理人 河備 健二  
代理人 久保田 芳譽  

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