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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E02B
管理番号 1075761
審判番号 不服2001-7937  
総通号数 42 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-10-04 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-05-14 
確定日 2003-04-14 
事件の表示 平成 5年特許願第 95220号「防舷材」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年10月 4日出願公開、特開平 6-280237]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成5年3月29日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成13年3月19日付け手続補正書により補正された内容を含む、平成5年7月10日付け手続補正書により全文補正された明細書および図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という)
【請求項1】全体がゴム弾性体にて形成された防舷材本体(2)からなる座屈型防舷材において、座屈点に隣接又は近接した防舷材本体(2)の内周領域の少なくとも片側に、内方に張り出す肉盛部(T)を設け、当該肉盛部(T)の高さ(t1 )及び長さ(L)を、防舷材本体(2)の肉厚(t)、高さ(H)に対し、0.01×t≦t1 ≦0.1×H、L≦0.3×Hとしたことを特徴とする防舷材。


2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に国内において頒布されている、特公昭55-50537号公報(以下、「引用例」という)には、
(1)「接げんをすべき船舶のげん側に面して突出する受衝壁を有するゴム又はゴム状弾性材料よりなり、受衝壁の接げん荷重に伴う座屈変形作用を緩衝に利用する型式の防げん材において、受衝壁の座屈変形領域に、該変形に際してその向きで亙いに対向する突起を設け、該突起自体の変形抵抗により受衝反力を増強したことを特徴とする座屈受衝式防げん材。」(特許請求の範囲)
(2)「この突起は、図のようにゴム筒2の両端に至るに従って低くなりその内周に収斂するようにしてもよいし、・・・・さらには、中央域で分断されるものであってもよく、」(3欄3〜7行)
(3)「この発明の突起は、受衝壁の座屈変形領域に設けることにより、該変形領域における受衝支持反力の増強に対して上記のように寄与するものであるからその適用は、筒形防げん材のみではなく、上記の受衝壁の座屈変形を利用する型式の妨げん材について当然に可能である。その一例についていわゆるアーチタイプ防げん材にこの発明を、適用した場合を、受衝壁の座屈変形の前後につき一括して示し図中2′は受衝壁、3は取付けフランジ、4は補強板、5はボルト孔、6はアンカー、7は岸壁である。
矢印方向に働く接げん荷重Wによって受衝壁2′が図のように曲げられ、ついで座屈変形を生じはじめる直前において互いに突き合わさる配置として受衝壁2′の内面に突起10′の対を設けることにより、この突起10′の圧縮変形抵抗が支持反力の増強をもたらすことでは、さきにのべた実施例と同様である。」(3欄28行〜4欄16行)
等の記載内容および第6図を参照すると、次の発明が記載されている。( )内は、対応する引用例記載の構成である。
「全体がゴム弾性体(ゴム状弾性材料)にて形成された防舷材本体(受衝壁)からなる座屈型防舷材(座屈受衝式防げん材)において、座屈点に隣接又は近接した防舷材本体(受衝壁)の内周領域(座屈変形領域)の少なくとも片側に、内方に張り出す肉盛部(突起)を設けた防舷材」


3.対比・判断
本願発明と、引用例記載の発明を対比すると、両者は「全体がゴム弾性体にて形成された防舷材本体からなる座屈型防舷材において、座屈点に隣接又は近接した防舷材本体の内周領域の少なくとも片側に、内方に張り出す肉盛部を設けた防舷材」である点で一致し、次の点で相違している。

相違点:本願発明においては、「肉盛部(T)の高さ(t1 )及び長さ(L)を、防舷材本体(2)の肉厚(t)、高さ(H)に対し、0.01×t≦t1 ≦0.1×H、L≦0.3×Hとした」のに対し、引用例記載の発明においては肉盛部の高さ、長さについての具体的な記載のない点。

なお、本件請求人は、審判請求書において、肉盛部は座屈点における空洞部を積極的になくすものである旨主張しているが、請求項1の記載からは、そのような限定された形状は把握出来ないので、本願発明における「肉盛部」と、引用例記載の発明における「突起」は同一のものであると認めた。

そこで上記相違点について検討する。
肉盛部の高さ、長さをどの程度にするかは、本来、反力-歪曲線等を考慮しつつ、当業者が適宜決定できる設計的事項であると言える 。
また、引用例記載の発明においても、その肉盛部(突起)は所要の高さ、長さを有しており、これから、たとえば上記相違点に係る本願発明の構成を想到することは、当業者であれば容易なこととも言える。
そして、本願発明の有する効果も、引用例記載の発明の有する効果以上に格別なものとは認められない。


4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2001-11-08 
結審通知日 2001-11-13 
審決日 2001-11-28 
出願番号 特願平5-95220
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 赤木 啓二横井 巨人  
特許庁審判長 安藤 勝治
特許庁審判官 伊波 猛
中田 誠
発明の名称 防舷材  
代理人 鈴木 悦郎  

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