• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  G02B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G02B
審判 全部申し立て 2項進歩性  G02B
管理番号 1076286
異議申立番号 異議2002-70947  
総通号数 42 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-07-21 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-04-12 
確定日 2003-02-24 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3219052号「カラーフィルター用カラーペーストおよびその製造方法並びにカラーフィルター」の請求項1ないし9に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3219052号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 
理由 I.手続きの経緯
特許第3219052号に係る発明は、平成10年5月12日の出願(平成9年10月31日の日本国優先権主張を伴う)で、平成13年8月10日に特許の設定登録がなされた。
本件特許公報は、平成13年10月15日に発行され、それに対して、森田昭司、大日本インキ化学工業株式会社および東洋インキ製造株式会社よりそれぞれ特許異議の申立があり、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成14年10月8日に訂正請求がなされた。
II.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
訂正を請求する内容は次のとおりである。
訂正事項a
特許請求の範囲の、請求項1および2を削除する。
訂正事項b
請求項3〜9の項番を1〜7に繰り上げる。
訂正事項c
段落【0005】および【0006】の記載を削除する。
訂正事項d
段落【0008】〜【0012】中の、「3)」、「4)」、「5)」、「6)」、「7)」との記載を、それぞれ同順で、「1)」、「2)」、「3)」、「4)」、「5)」と訂正する。
2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否
・訂正事項aは、訂正前の請求項1および2を削除するものであるから、特許法第120条の4第2項第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
・訂正事項bは、請求項3〜9の項番号を繰り上げるものであるが、請求項1、2の削除に伴い不連続となる項番号を訂正するものであるから、特許法第120条の4第2項第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
・訂正事項c、dは、訂正事項aによる特許請求の範囲の減縮の訂正に伴い、特許請求の範囲と、発明の詳細な説明及び図面の記載との間に生じた不整合を正すものであるから、特許法第120条の4第2項第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
そして、上記訂正事項a〜dは、願書に添付された明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
3.訂正の適否の結論
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第120条の4第3項において準用する特許法第126条第1項ただし書、第2項ないし第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
III.特許異議申立について
1.本件発明
本件の請求項1ないし7に係る発明は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲、請求項1ないし7に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】 少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料と有機溶剤を含有する顔料分散液からイオン交換法により、該顔料分散液の臭素イオンの全部または一部を除去する工程を含むことを特徴とするカラーフィルター用カラーペーストの製造方法。
【請求項2】 少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料、有機溶剤と樹脂とを含有するカラーペーストからイオン交換法により、該カラーペースト中の臭素イオンの全部または一部を除去する工程を含むことを特徴とするカラーフィルター用カラーペーストの製造方法。
【請求項3】 少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料と有機溶剤とを含有する顔料分散液に溶出している臭素イオンが該顔料分散液に対して15ppm以下であることを特徴とするカラーフィルター用カラーペースト。
【請求項4】 少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料、有機溶剤と樹脂とを含有するカラーペーストに溶出している臭素イオンが該カラーペーストに対して10ppm以下であることを特徴とするカラーフィルター用カラーペースト。
【請求項5】 任意の色数で各色別に所望のパターン状に設けられた着色層からなり、少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑画素を有するカラーフィルターにおいて、画素から水で抽出される臭素イオン濃度が10ppm以下であることを特徴とするカラーフィルター。
【請求項6】 任意の色数で各色別に所望のパターン状に設けられた着色層からなる画素を有するカラーフィルターにおいて、該着色層が請求項3、4のいずれかに記載のカラーペーストからなる着色被膜であることを特徴とするカラーフィルター。
【請求項7】 請求項5または6のいずれかに記載のカラーフィルターを用いた液晶表示素子。」
2.特許異議申立の理由の概要
・特許異議申立人 森田昭司は、
甲第1号証:特開平7-198928号公報(以下「刊行物1」という)、
甲第2号証:特開平9-160037号公報(以下「刊行物2」という)、
甲第3号証:特開平5-281414号公報(以下「刊行物3」という)、
甲第4号証:日本顔料技術協会編「改訂新版 顔料便覧」誠文堂新光社(1989年3月10日発行)第484〜486頁(以下「刊行物4」という)を提出して、
本件訂正前の請求項1〜9に係る発明は、刊行物1〜4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから《理由C》、該請求項に係る特許は取り消されるべきものである旨、主張する。
・特許異議申立人 大日本インキ化学工業株式会社は、
甲第1号証:特開平8-313718号公報(以下「刊行物5」という)、
甲第2号証:大日本インキ化学工業株式会社作成「ウオーターゾル S-751 製品安全データシート」(以下、「データシート1」という)、
甲第3号証:大日本インキ化学工業株式会社分析センター 山西万里作成になる平成14年4月1日付実験証明書(以下、単に「実験証明書」という)、
甲第4号証:特開平9-160037号公報(刊行物2に同じ)、
甲第5号証:「第19回液晶討論会講演予稿集」液晶討論会世話人会(平 成5年9月10日発行)第150〜151頁(以下「刊行物6」という)、
を提出して、
本件訂正前の請求項1、5〜9に係る発明は、刊行物5、データシート1、実験証明書に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定に違反して特許されたものであるから《理由A》、また、
本件訂正前の請求項1〜9に係る発明は、刊行物2、刊行物5〜6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから《理由C’》、該請求項に係る特許は取り消されるべきものである旨、主張する。
・特許異議申立人 東洋インキ製造株式会社は、
甲第1号証:特開平2-199404号公報(以下「刊行物7」という)、
甲第2号証:特開平6-184482号公報(以下「刊行物8」という)、
甲第3号証:特開平6-289601号公報(以下「刊行物9」という)、
甲第4号証:特開平5-100112号公報(以下「刊行物10」という)、
甲第5号証:特願平8-164834号(「先願」という)の願書に最初に添付した明細書(以下「先願明細書」という)、
参考資料1:東洋インキ製造(株)開発研究所解析グループ諸橋信夫の作成になる、2002年3月20日付分析報告書(以下「分析報告書」という)、
参考資料2:colour index international Forth Edition Online Finger prints「C.I.Pigment Green 36」の項(以下「フィンガープリント」という)、
参考資料3:「シアニングリーンS-537-2Y」に関する化学物質等安全データシート(以下「データシート2」という)
を提出して、
本件訂正前の請求項1、5〜9に係る発明は、刊行物7〜10にそれぞれ記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定に違反して特許されたものであるから《理由A’》、また、
本件訂正前の請求項1、5〜9に係る発明は、その出願日前の出願であって、その出願後に出願公開された先願明細書に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許発明の発明者は、該先願に係る発明の発明者と同一でなく、本件特許の出願人が、該先願の出願時において該先願の出願人と同一の者でもないので、請求項1、5〜9に係る発明は、特許法第29条の2第1項の規定に違反して特許されたものであるから《理由B》、該請求項に係る特許は取り消されるべきものである旨、主張する。
3.各刊行物、先願明細書等に記載された発明
・刊行物1には、
1a.「少なくとも樹脂成分、着色成分および溶剤を含有するカラーフィルター製造用カラーペーストにおいて、不揮発分中にナトリウム原子とナトリウムイオンを合計で0.001〜30ppm含有することを特徴とする電子工業用カラーペースト。」(請求項9)、
1b.「少なくとも樹脂成分、着色成分、溶剤、ナトリウムおよび/またはカリウムの原子および/またはイオンを含有するカラーペーストからイオン交換法により含有ナトリウムおよび/またはカリウムの原子および/またはイオンの全部または一部を除去することを特徴とする電子工業用カラーペーストの製造方法。」(請求項15)、
1c.「少なくとも顔料および溶剤を含有する顔料分散液において、不揮発分中にナトリウム原子とナトリウムイオンを合計で0.002〜60ppm含有することを特徴とする顔料分散液。」(請求項18)、
1d.「少なくとも顔料、溶剤、ナトリウムおよび/またはカリウムの原子および/またはイオンを含有する顔料分散液からイオン交換法により含有ナトリウムおよび/またはカリウムの原子および/またはイオンを除去することを特徴とする顔料分散液の製造方法。」(請求項23)、
1e.「・・・、その目的とするところは、電子工業界で半導体素子や液晶に近接あるいは密着させて使用してもアルカリ金属イオン汚染の心配のないカラーペーストおよびそれを用いて製造されたカラーフィルターを提供することにあり、さらに詳しくは、カラーフィルター膜上のオーバーコート膜形成を省略したとしても、液晶中へのナトリウムイオンおよびカリウムイオンなどのアルカリ金属イオンの混入がなく、信頼性の高い液晶ディスプレイを提供することにある。」(【0007】)、
1f.「本発明は、上述したように、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の3色の画素またはブラックマトリックス用のBK(黒)を加えた4色の画素を具備するカラーフィルターにおいて、3色または4色の画素に含有されるナトリウム量またはナトリウムとカリウムの合計量を低レベルに抑えることにより、オーバーコート膜を形成しなくとも、液晶へのナトリウムイオンおよびカリウムイオンの溶出を防ぐことができ、また、製造コストを低く抑えることができる。これにより、電圧保持率を実用上問題のないレベルに維持し、信頼性の高い液晶表示素子を提供できる。」(【0047】)
ことが記載されている。
・刊行物2には、
2a.「液晶層と接する上側ガラス基板に各種の成膜パターン化した複数の薄膜層から成る構造の内表面を各種の手法で清浄化処理した部材を使用しても、液晶層と接する上側ガラス基板に各種の成膜パターン化した複数の薄膜層中に所望とする制御領域の量以上のフッ素、塩素、臭素、等のハロゲン及び前記ハロゲン以外の硫黄等から成るそれぞれの陰イオンが分布していると、フラットディスプレイ液晶表示装置を長時間動作中にフッ素、塩素、臭素、等のハロゲン及び前記ハロゲン以外の硫黄等から成るそれぞれの陰イオンが液晶と接する界面に溶出し、前記各陰イオンが液晶や電極パターン等と反応してそれぞれに悪影響を及ぼして液晶表示装置の全面または部分的な液晶の表示ムラ、電極パターンの断線や腐食等が生じるケースがある。」(【0040】)、
2b.「・・・液晶層と接する上側ガラス基板の各種の成膜パターン化した複数の薄膜層から成る構造の内表面から深さ方向に分布する上記フッ素、塩素、臭素、等のハロゲン及び前記ハロゲン以外の硫黄等を高感度に測定する手法の確立とそれの適用により、必要とする特性を確保可能な領域の含有量内に上記フッ素、塩素、臭素、等のハロゲン及び前記ハロゲン以外の硫黄等を制御確認した部材を使用してフラットディスプレイ液晶表示装置を製造することが必要不可欠である。」(【0041】)、
2c.「図1では表面にSiO2等の透明の薄膜を必要により形成した、あるいは形成しない上ガラス基板1Aの表面に3色のカラーフィルター12R、12G、12Bとブラックマトリックス11Bを形成後、この表面に順次ITO電極パターン(上透明電極)4Aと下配向膜6Aが形成されている。下ガラス基板1bにも同様にITO電極パターン(下透明電極)4Bと絶縁層5Bおよび下配向膜6B等が形成される。」(【0044】)、
2d.「図2ではカラー液晶表示装置の所望とする特性を確保するため、ガラス基板の表面にSiO2等の透明の薄膜を形成した、あるいは形成しない表面にカラーフィルタ12R、12G、12Bとブラックマトリックス11Bを形成後、この表面に順次オーバーコート層13とITO電極パターン(上透明電極)4Aと上配向膜6Aを形成したものである。」(【0046】)、
ことが記載されている。
・刊行物3には、
3a.「有機高分子と有機顔料からなる組成物であって、該有機顔料が2種類以上の顔料の固溶体であることを特徴とするカラーフィルター用顔料の組成物。」(請求項1)、
3b.「・・・・用いうる顔料の具体例としては、・・・・ハロゲン化フタロシアニン系顔料・・・・等が挙げられるが・・・・」(【0012】)、
3c.顔料固溶体を形成する一方の成分として、ビグメントグリーン36を使用したこと(第6頁表1)、
が記載されている。
・刊行物4には、
4a.ピグメントグリーン36の化学構造名が「ヘキサブロモ-デカクロロ-Cu-フタロシアニン」であること(第47頁、G.K.No299)、
4b.フタロシアニン顔料の精製法として、「Acid Pasting法 metastable-α型の結晶をもつ顔料は,最も一般的な製品で通常Acid Pasting法と呼ばれる方法で作られる。たとえば,8〜15倍(重量)の濃硫酸に合成を終わったクルードを溶解し,多量の水に注入し,析出させる。この場合,理論的には銅フタロシアニンに対し,2モルの硫酸が必要であるが,実際には硫酸による精製を兼ねるため,大過剰の硫酸が使用される。」(第486頁左欄)、
ことが記載されている。
・刊行物5には、
5a.「本発明は、カラー液晶テレビやラップトップ型パソコンなどのカラー液晶ディスプレイの液晶表示素子・・・・に用いるカラーフィル夕を製造するための材料として有用なアニオン性マイクロカプセル化顔料を含有するカラーフィルタ用水性分散液、その分散液を含有する電着塗料に関する。」(【0001】)、
5b.「 これらの種々の方法で得られるアニオン性マイクロカプセル化顔料水性分散液は、実用に供される形態によって、そのまま使用することもでき、あるいは脱溶剤を行って水性分散体として使用することもできる。」(【0053】)、
5c.「<製造例1>(ブロム化銅フタロシアニングリーンのマイクロカプセル化顔料の製造)
合成例1で得た樹脂溶液(A-1)33.3部、ファストゲン・グリーン2YK(大日本インキ化学工業(株)製のC.I.ピグメント・グリーン36)10.0部、メチルエチルケトン80.0部、「スーパー・ベツカミン L-117-60」(大日本インキ化学工業(株)製のメラミン樹脂)6.7部及びセラミック・ビーズ300部を、ステンレス製容器に入れた後、その混合物を、ビーズミル分散機を用いて分散させて、マイクロカプセル化顔料用べ一ストを調製した。次に、上記マイクロカプセル化顔料用ペースト40.0部及びジメチルアミノエタノール0.5部をポリカップに入れた後、撹拌機を用いて混合して、有機相とした後、この有機相を撹拌しながら、かつ有機相に45KHzの超音波を照射しながら、有機相中にイオン交換水50部を12分間かけて滴下して、自己分散(転相乳化)を行い、マイクロカプセル化顔料分散液を得た。更に、このマイクロカプセル化顔料分散液を、85℃で蒸留することによって溶剤を留去させた後、同温度で5時間保持して、カプセル壁のゲル化処理を行った。このようにして得たマイクロカプセル化顔料の分散液中のマイクロカプセル化顔料の粒径を「UPA-150」(日機装社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機)を用いて測定した結果、マイクロカプセル化顔料の体積平均粒子径は0.113μmであった。また、マイクロカプセル化顔料分散液の不揮発分濃度は21.0%であった。」(【0082】〜【0085】)、
5d.「<実施例1>(電着法によるカラーフィルタの製造)
製造例1で得たプロム化銅フタロシアニングリーンのマイクロカプセル化顔料分散液10.0部に、イオン交換水90部を混合して緑色アニオン電着塗料とした。・・・・。次に、上記アニオン電着塗料中に、ガラス基板上にITOでパターンニングした透明電極基板とステンレス基板を浸潰し、透明電極基板の赤色着色する部分を+極に接続して、ステンレス基板を-極ととして通電し、透明電極上に塗膜を析出させた。電着条件は、印加電圧30V、塗料温度20℃、電着時間20秒とした。電着終了後、ガラス基板を水洗し、水切りした後、150℃で焼き付けて、赤色のカラーフィルタを得た。同様に、緑色及び青色のアニオン性マイクロカプセル化顔料含有電着塗料をそれぞれ用いてこの操作を繰り返し、RGBのストライプ状のカラーフィルタを得た。この電着カラーフィルタは、従来のカラーフィルタに比べ、発色、透明性に優れていた。」(【0103】〜【0107】)、
5e.「<比較例1>アクリル樹脂(大日本インキ化学工業(株)社製のウオータゾルS-751)80部及びメラミン樹脂(三和ケミカル社製のニカラックMX-041)14.3部から成る混合樹脂の固形分50重量%水溶液4部、赤色顔料としてファストゲン・スーパー・マルーン・PSK(大日本インキ化学工業(株)製)1.0部及びイオン交換水10部をビーズミル分散機を用いて2時間分散させた後、イオン交換水85.0部を混合して赤色アニオン電着塗料を調製した。同様にして、赤色顔料に代えて、青色顔料としてファストゲン・ブルー・EP-7S(大日本インキ化学工業(株)製)、緑色顔料としてファストゲン・グリーン・2YK(大日本インキ化学工業(株)製。)をそれぞれ使用した以外は、赤色アニオン電着塗料と同様にして、青色アニオン電着塗料及び緑色アニオン電着塗料をそれぞれ調製した。・・・・次に、上記アニオン電着塗料を用いた以外は、実施例1と同様にしてRGBのストライプ状のカラーフィルタを得た。このカラーフィルタは、従来のカラーフィルタと同様に、発色、透明性に必ずしも満足するものではなかった。」(【0108】〜【0111】)、
ことが記載されている。
・刊行物6には、
6a.「液晶デバイスでの焼き付き、コントラストむら等の不良は液晶中に存在するイオンの関与によるものと考えられている。そこで液晶中に無機イオン、有機イオン及びイオン性化合物を添加し、液晶中での挙動を電流値(Ir)、保持率(HR)により観察した。また液晶の組成、イオンの化学構造によるイオン挙動の変化についても検討したので報告する。」(第150頁第8〜11行)、
6b.「図1、2にΔε〜+7のフェニルシクロヘキサン系液晶、及びエステル系液晶に対して塩化ナトリウム(NaCl)、塩化テトラブチルアンモニウム(TBA-Cl)を添加したときのイオン(性)化合物添加量とIr、HRの関係を示す。図1、2により無機物NaClは液晶中でIr、HRに対してほとんど影響を及ぼさないことがわかる。一方、有機物であるTBA-Clは添加量が増加すると著しくIrは増加し、HRは低下する。またこのときΔεが一定であってもエステル系液晶はフェニルシクロヘキサン系液晶より高いIrを示した。図3、4に臭化テトラブチルアンモニウム(TBA-Br)を6×10-9mol/g添加した場合の△εとIr、HRの関係をプロットした。Δεが大きくなるほどIrは増加し、HRは低下する。これはΔεが大きくなるとイオン解離が進むためと考えられる。」(図1、2の転記を省略)(予稿集第150頁第19行〜第151頁第3行)、
6c.「1)液晶のIr、HRに対して無機イオンの寄与は非常に小さく有機イオンがその大半を担っている。
2)液晶のΔεが大きいほどIrは小さくなり、HRは低下する。
3)Δεが一定の場合、液相の骨格構造によりイオン性化合物のIr、HRに及ぼす影響は異なる。」(第151頁「4.まとめ」欄)、
が記載されている。
・刊行物7には、
7a.「基板上に、アクリル樹脂、有機色素、分散剤、および溶剤を主成分とする着色樹脂組成物をコーティングして、任意の色数で所望のパターン形状に設けることを特徴とするカラーフィルター」(請求項1)に関する発明が記載され、
7b.カラー液晶表示装置の液晶セル内に設けることにより好適なカラーフィルターをすることができる色分解用カラーフィルターおよびその製造方法に関するものであること(第2頁左上欄第9行〜第16行)、
7c.使用する有機色素の一例として、「C.I.緑色顔料 7,36」が挙げられること(第4頁右上欄第6行)、
7d.実施例には、アクリル樹脂を樹脂濃度10%になる様にエチルセロソルブで希釈した希釈樹脂90.1gに対し顔料9.0g、分散剤0.9gを添加して、3本ロールで十分混練して緑色のワニスを作成し、基板上にスピンコートして乾燥後、露光、現像、ベーキングを経て、青色フィルターパターンを形成したこと、同様にして、緑、赤色パターンを定着させ、カラーフィルターを完成したこと、緑色フィルター用顔料としては、リオノールグリーン2YS(東洋インキ製造(株)製C.I.ピグメントグリーン36)6.75gとリオノーゲンエロー3G(東洋インキ製造(株)製C.I.ピグメントエロー154)2.25gとの混合物を使用したこと、
が記載されている。
・刊行物8には、
8a.「A.一般式[I](省略)で示される構成単位からなるポリマーと、B.ジアジド化合物を溶媒に溶解させてなる感光性樹脂組成物に、C.着色顔料を分散せしめてなることを特徴とするカラーフィルター用インキ。」(【請求項1】)に関する発明が記載され、
8b.該インキは、カラー液晶表示素子、カラー固体撮像素子などにおいて用いられるカラーフィルターを製造するためのカラーフィルター用インキに関するものであること(【0001】)、
8c.顔料について、「緑の顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系のC.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン7などが、単独またはアゾ系のC.I.ピグメントイエロー83などと共に用いられる。」(【0012】)、
8d.溶媒について「・・・・などのアルコール類および・・・・などのエステル類が好ましく用いられる」(【0013】)、
8e.実施例1には、ポリマー17g、4,4-ジアジドスチルベン-2,2’-ビス(ヒドロキシプロピルスルホンアミド)0.8g、シアニングリーンS537-2y(大日精化社、商品名)6g、Seikafast Yellow 2700(大日精化社、商品名)6g、ジエチレングリコールモノエチルエーテル90ml、N-メチル-2-ピロリドン10mlからなる緑色インキをガラス基板に塗布し、カラーフィルターを作成したこと、
が記載されている。
・刊行物9には、
9a.「高分子結合剤、炭素-炭素二重結合を有する光重合性化合物、光重合開始剤、顔料、及び溶剤を含有してなるカラーフィル夕用感光性樹脂組成物」(【請求項1】)に関する発明が記載され、
9b.高解像度の液晶表示装置のカラーフィル夕作成に用いる感光性樹脂組成物に関するものであること(【0001】)、
9c.実施例3に、
高分子結合剤メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体(25/75重量%比、重量平均分子量約30000) 15重量部
光重合性化合物ペンタエリトリトールテトラアクリレート 9重量部
光重合開始剤2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フエニルプロパン-1-オンとトリメチルベンゾイルジフエニルホスフィンオキシドの50%/50%混合物(チノベガイギー社製:DAROCUR4265) 4重量部
顔料リオノールグリーン2Y-301(東洋インキ製造社製)20重量部
溶剤3-メチル-3-メトキシブチルアセテート 45重量部
エチレングリコ一ルモノメチルエーテル 10重量部、
からなる感光性樹脂組成物をガラス基板上に塗布して緑色カラーフィルタ層を形成したこと、
が記載されている。
・刊行物10には、
10a.「基板上に、感光性基を分子内に有する低温硬化型ボリイミド樹脂中に着色材料を分散してなる着色樹脂の層を設け、該膜を露光し、硬化させて得たカラーフィルターを有し、該カラーフィルター上に保護層およびパターン形状の透明電極を順次積層してなることを特徴とするカラーフィルター基板。」(【請求項1】)に関する発明が記載され、
10b.液晶表示素子や液晶-光シャッターアレイ等に用いるカラーフィルター基板および液晶素子に関するものであること(【0001】)、
10c.実施例には、ガラス基板上に青色着色樹脂材、緑色着色樹脂材、赤色着色樹脂材を用いて3色ストライプパターンを形成してカラーフィルター基板を得たことが記載されており、緑色着色樹脂材として、「リオノールグリーン6YK(商品名,東洋インキ社製,C.I.No.74265)をPI-400C(商品名,宇部興産社製,ポリマー分=10%、溶剤:N-メチル-2-ピロリドン、顔料:ポリマー=1:2配合)に分散させ作製した感光性の着色樹脂材」(【0057】)を使用したこと、
が記載されている。
・先願明細書には、
11a.「少なくともバインダー樹脂、顔料および溶剤を含むカラーフィル夕用インキにおいて、前記顔料がハロゲン化フタロシアニン系グリーン顔料と、イソインドリン系および/ またはイソインドリノン系イエロー顔料とを含み、前記グリーン顔料と前記イエロー顔料との総量がインキの総重量に対して10〜40重量%の割合で配合されており、かつ前記イエロー顔料の配合量が前記グリーン顔料の配合量の5〜40重量%であることを特徴とする緑色のカラーフィルタ用インキ。」(【請求項2】)に関する発明が記載され、
11b.液晶カラーディスプレイにおけるカラーフィルタの製造に用いられるインキに関する(【0001】)こと、
11c.グリーン顔料として、「C.I.ピグメントグリーン7(BASF社製のヘリオゲングリーンL8605,L8690)、C.I.ピグメントグリーン36(前出のヘリオゲングリーンL9140,L9361、東洋インキ社製のリオノールグリーン6YKP-N)等のハロゲン化フタロシアニン系グリーン顔料」(【0016】)が挙げられること、
11d.実施例15〜29には、樹脂41〜69重量%、グリーン顔料(ヘリオゲングリーンL9361)9〜35重量%、イエロー顔料(パトリオールイエローL1820)1〜10重量%、体質顔料(乾式シリ力)0〜5重量%、溶剤(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)15〜20重量%からなる緑色フィルタ層用インキを製造し、これを透明基板上に印刷した例(【0037】段落、【0038】段落、【表7】、【表8】)、
が記載されている。
・分析報告書には、
12a.リオノールグリーン2YSの水抽出臭素イオン濃度が2.9μg/g(=ppm)であり、
シアニングリーンS537-2yの水抽出臭素イオン濃度が12μg/g(=ppm)であり、
リオノールグリーン2Y-301の水抽出臭素イオン濃度が11μg/g(=ppm)であり、
リオノールグリーン6YKの水抽出臭素イオン濃度が28μg/g(=ppm)であり、
ヘリオゲングリーンL9361の水抽出臭素イオン濃度が15μg/g(=ppm)であったこと、
が記載されている。
・データシート1には、
13a.「製品名:ウオーターゾールS-751」が「混合製品」であり、
「 物質名 含有率(%)
アクリル樹脂 50
ブチルセロソルブ 31
イソプロピルアルコール 16
トリエチルアミン 3 」
からなることが示されている。
・実験証明書には、
14a.大日本インキ化学工業社製ファーストゲン・グリーン・2YKの下記4つの試料について、それぞれ、「超純水」で抽出したときの臭素イオン濃度(ppm)が測定され示されている。
試料1(1994年12月製造、Lot No.00395):44ppm
試料2(1995年09月製造、Lot No.01593):38ppm
試料3(1998年01月製造、Lot No.04063):23ppm
試料4(2002年01月製造、Lot No.07076):31ppm
・フィンガープリントには、
15a.「ピグメントグリーン36」が「塩素化及び臭素化した銅フタロシアニン」であり、そのC.I.Constitution Numberが、C.I.No.74265であること、
15b.「ピグメントグリーン36」の市販品として、「リオノールグリーン2Y-301」、「ヘリオゲングリーンL9361」があること、
が記載されている。
・データシート2には、
16a.「シアニングリーンS-537-2Y」が、C.I.Pigment Green36、即ち、一般名「ピグメントグリーン36」であることが記載されている。
4.対比・判断
4.1.特許法第29条第1項第3号違反について《理由A、A’》
4.1.1.刊行物5に記載された発明との対比・判断
4.1.1.1.請求項3(訂正前の請求項5)に係る発明について
・刊行物5では、緑顔料としてファストゲン・グリーン・2YKを、アクリル樹脂としてウオーターゾルS-751を、イオン交換水等と共に配合してカラーフィルター用の電着塗装用顔料組成物、即ち、カラーフィルター用カラーペーストが調製されており(5e)、「データシート1」を参照すると、ウオーターゾルS-751は、アクリル樹脂に加えて、有機溶剤として、ブチルセロソルブ、イソプロピルアルコールおよびトリエチルアミンを含有するものであり(12a)、また、「実験証明書」によれば、ファストゲン・グリーン・2YKは、臭素化銅フタロシアニンであると認められるので、
臭素化銅フタロシアニン、有機溶剤、樹脂、イオン交換水等を構成成分とするカラーフィルター用カラーペーストが記載されているといえる。
そこで、請求項3に係る発明と、刊行物5に記載の発明とを対比すると、
両者は、「臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料と有機溶剤とを含有する顔料分散液を含有するカラーフィルター用カラーペースト。」で一致し、
顔料分散液中に溶出する臭素イオン量について、請求項3に係る発明では、「15ppm以下」と規定されるのに対して、
刊行物5に記載の発明では、何ら記載がない点で、相違する。
・該相違点について、特許異議申立人(大日本インキ化学工業株式会社)は、ファストゲン・グリーン2YK顔料(本件出願前に製造された試料1、2で実験)の水抽出臭素イオン量が38〜44ppmである旨の「実験証明書」(13a)を提示して、
「顔料分散液では、顔料由来の臭素イオンが、その系中に絶対量を変えることなく存在し、単に、希釈媒体が、種類と量で増えたものにすぎないから、それら系中の臭素イオン濃度は、顔料の水抽出臭素イオン量を、希釈媒体の割合、即ち希釈倍率で単純に除算すれば算出でき、38〜44ppmの1/3倍ないし1/100倍と把握できるから、当然に規定範囲内にあるので、該相違点は解消される。」旨主張している。(特許異議申立書第23〜25頁)
・そこで検討するに、当該分野の技術常識から判断して、
顔料を実験証明書のように「超純水」のみからなる希釈媒体で抽出した水抽出臭素イオン量と、顔料を「水」のみならず「有機溶媒」を含む希釈媒体で分散させた液中の溶出臭素イオン量とが、それぞれの系中の臭素イオンを取り巻く状況の相違にもかかわらず、同じ度合いにイオン化して溶出し、ppmオーダーまで一致した値にあるものとは、考えられない。
したがって、「希釈媒体の種類や量が変わっても、顔料由来の臭素イオンの絶対量は不変」との前提下に「顔料分散液の臭素イオン濃度は、顔料の水抽出臭素イオン量を、希釈媒体の割合、即ち希釈倍率で除算すれば単純に算出できる」とする特許異議申立人の主張は認められず、刊行物5に係る顔料分散液中に溶出する臭素イオン量が、15ppm以下であるとは、認定できない。
(特許異議申立人の主張する、上記算出方法とその前提条件が、妥当性を欠くことは、例えば、本件特許明細書の実施例で開示されている顔料分散液の臭素イオン濃度の実測値に対して、上記算出方法に基づく算出値を対比させた場合、大きく乖離することからも明らかである。)(特許権者の提出した特許異議意見書第5頁〜8頁参照)
したがって、請求項3に係る発明は、刊行物5に記載された発明であるとすることはできない。
4.1.1.2.請求項4(訂正前の請求項6)に係る発明について
・請求項4に係る発明と、刊行物5に記載の発明とを対比するに、刊行物5に記載の発明では、4.1.1.1で検討したとおり、臭素化銅フタロシアニン、有機溶剤、樹脂、イオン交換水等を構成成分とするカラーフィルター用カラーペーストが示されているから、
両者は、「臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料,有機溶剤と樹脂とを含有するカラーフィルター用カラーペースト。」で一致し、
カラーペーストに溶出する臭素イオン量について、請求項4に係る発明では、「10ppm以下」と規定されるのに対して、
刊行物5に記載の発明では、何ら記載がない点で、相違する。
・該相違点について、特許異議申立人(大日本インキ化学工業株式会社)は、ファストゲン・グリーン2YK顔料(本件出願前に製造された試料1、2で実験)の水抽出臭素イオン量が38〜44ppmである旨の「実験証明書」(13a)を提示して、
「カラーペーストでは、顔料由来の臭素イオンが、その系中に絶対量を変えることなく存在し、単に、希釈媒体が、種類と量で増えたものにすぎないから、それら系中の臭素イオン濃度は、顔料の水抽出臭素イオン量を、希釈媒体の割合、即ち希釈倍率で単純に除算すれば算出でき、38〜44ppmの1/3倍ないし1/100倍と把握できるから、当然に規定範囲内にあるので、該相違点は解消される。」旨主張している。(特許異議申立書第23〜26頁)
・そこで検討するに、当該分野の技術常識から判断して、
顔料を実験証明書のように「超純水」のみからなる希釈媒体で抽出した水抽出臭素イオン量と、顔料を「水」のみならず「有機溶媒」や「樹脂」を含む希釈媒体で分散させた液中の溶出臭素イオン量とが、それぞれの系中の臭素イオンを取り巻く状況の相違にもかかわらず、同じ度合いにイオン化して溶出し、ppmオーダーまで一致した値にあるものとは、考えられない。
したがって、「希釈媒体の種類や量が変わっても、顔料由来の臭素イオンの絶対量は不変」との前提下に「カラーペーストの臭素イオン濃度は、顔料の水抽出臭素イオン量を、希釈媒体の割合、即ち希釈倍率で除算すれば単純に算出できる」とする特許異議申立人の主張は認められず、刊行物5に係るカラーペーストに溶出する臭素イオン量が、10ppm以下であるとは、認定できない。
よって、請求項4に係る発明は、刊行物5に記載された発明であるとすることはできない。
4.1.1.3.請求項5(訂正前の請求項7)に係る発明について
・請求項5に係る発明と、刊行物5に記載の発明とを対比するに、刊行物5に記載の発明では、4.1.1.1で検討したとおり、臭素化銅フタロシアニン、有機溶剤、樹脂、イオン交換水等を構成成分とするカラーフィルター用カラーペースト、および、該カラーペーストを塗工したカラーフィルターが示されているから、
両者は、「任意の色数で各色別に所望のパターン状に設けられた着色層からなり、少なくとも臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑画素を有するカラーフィルター。」で一致し、
カラーフィルターの画素から水で抽出される臭素イオン濃度について、請求項5に係る発明では、「10ppm以下」と規定されるのに対して、
刊行物5に記載の発明では、何ら記載がない点で、相違する。
・該相違点について、特許異議申立人(大日本インキ化学工業株式会社)は、ファストゲン・グリーン2YK顔料(本件出願前に製造された試料1、2で実験)の水抽出臭素イオン量が38〜44ppmである旨の「実験証明書」(13a)を提示して、
「塗工されたカラーペーストでは、顔料由来の臭素イオンが、その系中に絶対量を変えることなく存在し、単に、希釈媒体が、種類と量で増えたものにすぎないから、それら系中の臭素イオン濃度は、顔料の水抽出臭素イオン量を、希釈媒体の割合、即ち希釈倍率で単純に除算すれば算出でき、38〜44ppmの1/3倍ないし1/100倍と把握でき、該塗工カラーペースト由来の画素から水で抽出される臭素イオン濃度も、同様に低いppmの値と推察され、当然に規定範囲内にあるので、該相違点は解消される。」旨主張している。(特許異議申立書第23〜25頁)
・そこで検討するに、該塗工カラーペーストの臭素イオン濃度が、38〜44ppmの1/3倍ないし1/100倍という低いppm値にあるとはいえず(前掲4.1.1.2参照)、
しかも、当該分野の技術常識からして、該塗工カラーペーストが、ガラス基板のITO透明電極上に電着塗工、水洗、焼き付け等の多段階の工程を経てカラー画素となる過程で、臭素イオン濃度が変動することは明らかであるから、
「カラーフィルターの画素から水で抽出される臭素イオン濃度は、顔料の水抽出臭素イオン量から単純に推計できる」とする特許異議申立人の主張は認められず、刊行物5に係るカラーフィルターの画素から水で抽出される臭素イオン濃度が、10ppm以下であるとは、認定できない。
したがって、請求項5に係る発明は、刊行物5に記載された発明であるとすることはできない。
4.1.1.4.請求項6(訂正前の請求項8)に係る発明について
・請求項6に係る発明は、請求項3、4のカラーペーストを用いたカラーフィルターであるが、上記4.1.1.1及び4.1.1.2で検討したとおり、刊行物5には、請求項3、4のカラーペーストが記載されているとすることはできない。
したがって、請求項3、4のカラーペーストを構成要素とする請求項6に係る発明が、刊行物5に記載されているとすることはできない。
4.1.1.5.請求項7(訂正前の請求項9)に係る発明について
・請求項7に係る発明は、請求項5、6のカラーフィルターを用いた液晶表示素子であるが、上記4.1.1.3及び4.1.1.4で検討したとおり、刊行物5には、請求項5、6のカラーフィルターが記載されているとすることはできない。
したがって、請求項5、6のカラーフィルターを構成要素とする請求項7に係る発明が、刊行物5に記載されているとすることはできない。
・なお、特許異議申立人 大日本インキ化学工業株式会社は、「データシート1」(甲第2号証)、「実験証明書」(甲第3号証)を提出して、
本件訂正前の請求項1、5〜9に係る発明は、これらと同一である旨主張するが、甲第2、3号証は、本件出願前頒布された刊行物ではない。
4.1.2.刊行物7に記載された発明との対比・判断
4.1.2.1.請求項3に係る発明について
・刊行物7では、エチルセロソルブで希釈したアクリル樹脂に、緑顔料としてリオノールグリーン2YS(C.I.ピグメントグリーン36)および分散剤を、添加し、混練して緑色ワニスを製造し、それを溶剤で希釈して基板上に塗布し、カラーフィルターを作製したことが示されており(7d)、「フィンガープリント」を参照すると、「リオノールグリーン2YS(C.I.ピグメントグリーン36)」は、塩素化及び臭素化銅フタロシアニンであると認められ、また、緑色ワニスの溶剤希釈塗工液は、顔料分散液のカラーペーストにあたるから、
「塩素化及び臭素化銅フタロシアニン、有機溶剤、樹脂、イオン交換水等を構成成分とするカラーフィルター用カラーペースト」が記載されているといえる。
・請求項3に係る発明と、刊行物7に記載の発明とを対比すると、
両者は、「少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料と有機溶剤とを含有する顔料分散液を含有するカラーフィルター用カラーペースト。」で一致し、
顔料分散液中に溶出する臭素イオン量について、請求項3に係る発明では、「15ppm以下」と規定されるのに対して、
刊行物7に記載の発明では、何ら記載がない点で、相違する。
・該相違点について、特許異議申立人(東洋インキ製造株式会社)は、リオノールグリーン2YS顔料(製造時期不明の試料で実験)の水抽出臭素イオン量が2.9ppmである旨の「分析報告書」(14a)を提示して、
「顔料分散液中では、顔料由来の臭素イオンが、顔料に含まれる臭素イオンと平衡して存在しているので、顔料の水抽出イオン量の値を越えることはないから、また、顔料の含有割合の低下に伴い、濃度低下するから、15ppm以下と推計されるので、該相違点は解消される。」旨主張する。(特許異議申立書第9〜16頁)
・しかし、下記《ア》、《イ》の理由により、該「分析報告書」によっては、刊行物7のカラーペーストの水抽出臭素イオン量が、請求項3で規定される「15ppm以下」の範囲内にあることが裏付けられているとすることはできない。
《ア》「分析報告書」には、測定に供した緑色顔料について、それぞれの製造元の商品名を記すだけで、製造時期の記載も、ロット番号の表示すらないため、試料とした顔料の製造時期が明らかでないので、分析報告書の臭素イオン量の測定値を、刊行物7のカラーペーストと結び付けることには無理がある。
即ち、本件出願前には、カラーフィルター用フタロシアニン系緑色顔料中の臭素イオンの存在やその量の問題について認識する証拠が見出されず(次の「4.3」参照)、かつ、
カラーフィルターを用いたカラー液晶表示素子の製造技術及び関連資材の調製技術は、近年の液晶表示素子産業の急拡大に伴い、日増しに高度化しつつあり、顔料の不純物コントロールも漸次進展していると認められるから(例えば、前掲の実験報告書14a参照)、
本件出願後の最近製造された試料である場合、その臭素イオン量の分析値はごく低いものとなろうが、本件出願前の刊行物7の技術水準に対応したものとはいえず、一方、本件出願前に製造された試料である場合、その臭素イオン量の分析値は、該分析報告書に記載された値よりも、はるかに高いものである可能性が否定できないからである。
《イ》仮に、「分析報告書」の分析試料が、本件出願前に製造されたものと確認できたとしても、そこに記載される「顔料自体の水抽出臭素イオン量」から、顔料分散液中の臭素イオン量を、単純に推計できないことは、上記4.1.1に於ける検討から明らかである。(それら系中の臭素イオン量は、本件明細書第48〜50段落に明記されているように、分散液の状態のものをサンプリングして実測することにより、はじめて特定され得るものである。)
・したがって、請求項3に係る発明は、刊行物7に記載された発明であるとすることはできない。
4.1.2.2.請求項4〜7に係る発明について
・刊行物7では、「塩素化及び臭素化銅フタロシアニン、有機溶剤、樹脂、イオン交換水等を構成成分とするカラーフィルター用カラーペースト、該カラーペーストを使用して調製されたカラーフィルター、該カラーフィルターを使用して組み立てられた液晶表示素子等」が記載されているといえるが、臭素イオン量について何らの記載もない点で、臭素イオン量に係る規定を持つ請求項4〜7に係る各発明と、相違する。
・該相違点について、特許異議申立人(東洋インキ製造株式会社)は、リオノールグリーン2YS顔料(製造時期不明の試料で実験)の水抽出臭素イオン量が2.9ppmである旨の「分析報告書」(14a)を提示して、
刊行物7のカラーペースト、カラーフィルター、液晶表示素子も、それぞれ、請求項4〜7に係る各発明の臭素イオン量に係る規定を満足していると推計されるので、該相違点は解消される。」旨主張する。(特許異議申立書第9〜16頁)
・しかし、4.1.2.1で指摘した《ア》、《イ》の理由により、該「分析報告書」によっては、刊行物7のカラーペースト、カラーフィルター、液晶表示素子が、それぞれ、請求項4〜7に係る各発明の臭素イオン量に係る規定を満足していることが裏付けられているとすることはできない。
したがって、刊行物7に、請求項4〜7に係る発明が記載されているとはいえない。
4.1.3.刊行物8〜10にそれぞれ記載された発明との対比・判断
4.1.3.1.請求項3に係る発明について
・刊行物7と同じく、特許異議申立人(東洋インキ製造株式会社)が提出した刊行物8には、ポリマーと、緑色顔料シアニングリーンS537-2y、溶剤からなる緑色インキを用いてカラーフィルターを作製、液晶表示素子に用いること(8e)、刊行物9には、樹脂原料、溶剤に加えて、緑色顔料リオノールグリーン2Y-301を混練してカラーフィルター用感光性組成物を得て、カラーフィルターを作製、液晶表示素子に用いること(9c)、刊行物10には、緑色顔料としてリオノールグリーン6YKおよびポリマー溶液を、溶剤に分散させて製造した感光性の着色樹脂材を使用して、カラーフィルターを作製、液晶表示素子に用いること(10c)がそれぞれ記載されており、
各顔料は、「フィンガープリント」(15a、15b)、「データシート2」(16a)を参照すれば、塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンであると認められ、また、それら緑色インキ、緑色感光性組成物、感光性緑色樹脂材は、顔料分散液のカラーペーストにあたるから、
それぞれ「塩素化及び臭素化銅フタロシアニン、有機溶剤、樹脂、イオン交換水等を構成成分とするカラーフィルター用カラーペースト」が記載されているといえる。
・請求項3に係る発明と、刊行物8、刊行物9又は刊行物10に記載の発明とを対比すると、
両者は、「少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料と有機溶剤とを含有する顔料分散液を含有するカラーフィルター用カラーペースト。」で一致し、
顔料分散液中に溶出する臭素イオン量について、請求項3に係る発明では、「15ppm以下」と規定されるのに対して、
刊行物8、刊行物9又は刊行物10に記載の発明では、何ら記載がない点で、相違する。
・該相違点について、特許異議申立人(東洋インキ製造株式会社)は、シアニングリーンS537-2y、リオノールグリーン2Y-301、リオノールグリーン6YK顔料(いずれも製造時期不明の試料で実験)の水抽出臭素イオン量がそれぞれ12ppm、11ppm、28ppmである旨の「分析報告書」(14a)を提示して、
「顔料分散液中では、顔料由来の臭素イオンが、顔料に含まれる臭素イオンと平衡して存在いるので、顔料の水抽出イオン量の値を越えることはないから、また、顔料の含有割合の低下に伴い、濃度低下するから、15ppm以下と推計されるので、該相違点は解消される。」旨主張する。(特許異議申立書第9〜16頁)
・しかし、4.1.2.1で指摘した《ア》、《イ》と同様の理由により、該「分析報告書」によっては、刊行物8、刊行物9又は刊行物10に記載のカラーペーストが、請求項3に係る発明で規定される15ppm以下の範囲内にあることが裏付けられているとすることはできない。
したがって、請求項3に係る発明は、刊行物8、刊行物9又は刊行物10に記載された発明であるとすることはできない。
4.1.3.2.請求項4〜7に係る発明について
・刊行物8、刊行物9又は刊行物10には、実質的に「塩素化及び臭素化銅フタロシアニン、有機溶剤、樹脂、イオン交換水等を構成成分とするカラーフィルター用カラーペースト、該カラーペーストを使用して調製されたカラーフィルター、該カラーフィルターを使用して組み立てられた液晶表示素子等」が記載されているといえるが、いずれも、臭素イオン量について何らの記載もない点で、臭素イオン量に係る規定を持つ請求項4〜7に係る各発明と、相違する。
・該相違点について、特許異議申立人(東洋インキ製造株式会社)は、シアニングリーンS537-2y、リオノールグリーン2Y-301、リオノールグリーン6YK顔料(いずれも製造時期不明の試料で実験)の水抽出臭素イオン量がそれぞれ12ppm、11ppm、28ppmである旨の「分析報告書」(14a)を提示して、
刊行物8、刊行物9又は刊行物10のカラーペースト、カラーフィルター、液晶表示素子も、それぞれ、請求項4〜7に係る各発明の臭素イオン量に係る規定を満足していると推計されるので、該相違点は解消される。」旨主張する。(特許異議申立書第9〜16頁)
・しかし、4.1.2.1で指摘した《ア》、《イ》と同様の理由により、該「分析報告書」によっては、刊行物8、刊行物9又は刊行物10に記載のカラーペーストが、請求項4〜7に係る各発明の臭素イオン量に係る規定を満たしていることが裏付けられているとすることはできない。
したがって、請求項4〜7に係る発明は、いずれも、刊行物8、刊行物9又は刊行物10に記載された発明であるとすることはできない。
4.2.特許法第29条の2第1項違反について《理由B》
4.2.1.請求項3に係る発明について
・先願明細書には、樹脂、緑色顔料ヘリオゲングリーンL9361および溶剤等を含有する緑色フィルタ用インキペーストを製造し、透明基板上に印刷してカラーフィルターとしたこと(11d)が記載されており、「フィンガープリント」を参照すると、「ヘリオゲングリーンL9361」は、塩素化及び臭素化銅フタロシアニンであると認められるから、
「塩素化及び臭素化銅フタロシアニン、有機溶剤、樹脂、イオン交換水等を構成成分とするカラーフィルター用カラーペースト」が示されているといえる。
・請求項3に係る発明と、先願明細書の発明とを対比すると、
両者は、「少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料と有機溶剤とを含有する顔料分散液を含有するカラーフィルター用カラーペースト。」で一致し、
顔料分散液中に溶出する臭素イオン量について、請求項3に係る発明では、「15ppm以下」と規定されるのに対して、
先願明細書の発明では、何ら記載がない点で、相違する。
・該相違点について、特許異議申立人(東洋インキ製造株式会社)は、ヘリオゲングリーンL9361(製造時期不明の試料で実験)の水抽出臭素イオン量が15ppmである旨の「分析報告書」(14a)を提示して、
「顔料分散液中では、顔料由来の臭素イオンが、顔料に含まれる臭素イオンと平衡して存在いるので、顔料の水抽出イオン量の値を越えることはないから、また、顔料の含有割合の低下に伴い、濃度低下するから、15ppm以下と推計されるので、該相違点は解消される。」旨主張する。(特許異議申立書第9〜16頁)
・しかし、4.1.2.1で指摘した《ア》、《イ》と同様の理由により、該「分析報告書」によっては、先願明細書に記載のカラーペーストが、請求項3に係る発明で規定される15ppm以下の範囲内にあることが裏付けられているとすることはできない。
したがって、請求項3に係る発明は、先願明細書に記載された発明であるとすることはできない。
4.2.2.請求項4〜7に係る発明について
・先願明細書は、実質的に「塩素化及び臭素化銅フタロシアニン、有機溶剤、樹脂、イオン交換水等を構成成分とするカラーフィルター用カラーペースト、該カラーペーストを使用して調製されたカラーフィルター、該カラーフィルターを使用して組み立てられた液晶表示素子等」が記載されているといえるが、いずれも、臭素イオン量について何らの記載もない点で、臭素イオン量に係る規定を持つ請求項4〜7に係る各発明と、相違する。
・該相違点について、特許異議申立人(東洋インキ製造株式会社)は、ヘリオゲングリーンL9361(いずれも製造時期不明の試料で実験)の水抽出臭素イオン量が15ppmである旨の「分析報告書」(14a)を提示して、先願明細書のカラーペースト、カラーフィルター、液晶表示素子も、それぞれ、請求項4〜7に係る各発明の臭素イオン量に係る規定を満足していると推計されるので、該相違点は解消される。」旨主張する。(特許異議申立書第9〜16頁)
・しかし、4.1.2.1で指摘した《ア》、《イ》と同様の理由により、該「分析報告書」によっては、先願明細書のカラーペースト、カラーフィルター、液晶表示素子が、それぞれ請求項4〜7に係る発明の臭素イオン量に係る規定を満足していることが裏付けられているとすることはできない。
したがって、請求項4〜7に係る発明が、先願明細書に記載された発明であるとすることはできない。
4.3.特許法第29条第2項違反について《理由C、C’》
4.3.1.請求項1(訂正前の請求項3)に係る発明について
・請求項1に係る発明と、刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、「少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料と有機溶剤を含有する顔料分散液からイオン交換法により、該顔料分散液のイオンの全部または一部を除去する工程を含むことを特徴とするカラーフィルター用カラーペーストの製造方法。」である点で一致し、
除去する対象となるイオンが、本件発明では臭素イオンであるのに対して、刊行物1のものは、ナトリウムイオンおよびカリウムイオンである点で相違する。
・相違点について検討する。
刊行物1には、カラーペースト中のナトリウムイオンおよびカリウムイオンの濃度を所定値以下とした、顔料分散液、カラーペースト、カラーフィルタが記載され、カラーペーストからイオン交換法によりナトリウムイオンおよびカリウムイオンを低減することが記載されていが、この、刊行物1に記載された発明は、カラーフィルターの赤、緑、青、あるいは黒の全ての色の顔料中にアルカリイオンが存在することで生じる不都合に着目してなされた発明である(【0003】)。
それに対して、本件特許発明は、緑色顔料中に含まれる臭素イオンをイオン交換法で除去するものであり、除去する対象イオンが全く異なる。それは、「ナトリウムイオンあるいはカリウムイオンが液晶中に存在すると、これらの移動度が他のアルカリ金属イオンと比べて大きいため電圧保持率は低下する。」(刊行物1【0004】)と、「分子量数十から千程度のイオン性の有機臭素化合物は液晶への溶解力が強く、また、分子量が大きいためにイオン化した後の拡散が遅いために表示ムラが顕在化しやすい。」(本件特許明細書【0013】)とあるとおり、別異の課題認識に基づくものである。アルカリイオンと臭素イオンの液晶中での移動、あるいは拡散といった挙動は大きく相違しており、相容れない性質を有するものであることは明らかである。従って、このような着目する対象およびその性質が全く異なる刊行物1からは、緑顔料に含まれる臭素イオンをイオン交換法により除去するという本件特許発明の技術思想が容易に導き出せたものとは言えない。
・次に、刊行物1記載の発明に、刊行物2〜6記載のものを適用して、請求項1に係る発明が容易になし得たものか否かについて検討する。
刊行物2〜6のうち、カラーフィルター中のハロゲンイオンについて何らかの記載があるものは、刊行物2および刊行物6の2点のみである。
・刊行物2には、カラー液晶表示装置において、ガラス基板の表面近傍も含めて、ガラス基板上に重畳して設けられる、カラーフィルター層、透明電極、配向層等の各種薄膜層の全体を通して、最外表面から深さ方向に分布するハロゲンイオン全般の量について検討し、制御すべきことは記載されているが、「カラーフィルター層の顔料分散液中に含まれる臭素イオン」という特定箇所の特定のハロゲンイオンのみを特に着目し、それをイオン交換法により低減することについては何らの記載も示唆もない。
・刊行物6では、例えば、図1に見られるとおり、TBA-Clと、NaClとのIrに及ぼす影響の違いのように、陽イオンであるTBAと、Naとの作用の相違には、顕著なものが認められる。それに対して、図1によれば、エステル系液晶に対して、TBA-Cl(添加量約6×10-9mol/g)のΔε〜+7におけるIr値は、約2.5(μA/cm2)程度であるのに対して、図3によれば、TBA-Br(添加量6×10-9mol/g)のΔε〜+7におけるIr値は、約2.7程度と観察され、陰イオンであるClとBrとの相違によっては、ほとんど変わりがない。
してみれば、刊行物6の記載をもって、顔料中の、特に臭素イオンのみについて、これを減少させるべきとする動機は存在しない。
・刊行物3〜5には、顔料と顔料含有組成物について記載されているが、顔料中の臭素イオンの存在や、臭素イオンの除去について何ら記載がない。
したがって、刊行物1に記載された発明の、ナトリウムイオン、カリウムイオンの低減方法において、それを臭素イオンの低減方法に適用すべきことを想起することは、ありえない。
結局、請求項1に係る発明は、刊行物1〜6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
4.3.2.請求項2(訂正前の請求項4)に係る発明について
・請求項2に係る発明と、刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、「少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料と有機溶剤と樹脂とを含有するカラーペーストからイオン交換法により、該カラーペーストのイオンの全部または一部を除去する工程を含むことを特徴とするカラーフィルター用カラーペーストの製造方法。」である点で一致し、
除去する対象となるイオンが、本件発明では臭素イオンであるのに対して、刊行物1のものは、ナトリウムイオンおよびカリウムイオンである点で相違する。
・該相違点は、4.3.1で検討したものと同じであり、刊行物2〜6に記載のものを併せて考慮しても、該相違点に係る構成を見出すことができないことは、4.3.1の検討から明らかである。
・結局、請求項2に係る発明は、刊行物1〜6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
4.3.3.請求項3(訂正前の請求項5)に係る発明について
・請求項3に係る発明と、刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、「少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料と有機溶剤とを含有するカラーフィルター用カラーペースト。」である点で一致し、
顔料分散液に溶出している臭素イオン量について、前者では、15ppm以下と制限されるのに対し、後者では、臭素イオンに係る制限規定は一切無く、ペーストの不揮発分当たりのナトリウムイオンとカリウムイオンの合計量が制限されるのみである点で相違する。
相違点について検討する。
両者においてそれぞれ制限されるイオンは、4.3.1の検討で明らかなように、物質そのものの特性や挙動が相違しており、低減し制限すべき理由もそれぞれ別異の課題認識に基づくものであるから、刊行物1で制限されるナトリウムイオン、カリウムイオンを、臭素イオンに置き換える動機が存在しない。
・次に、刊行物1記載の発明に、刊行物2〜6記載のものを適用して、請求項3に係る発明が容易になし得たものか否かについて検討する。
刊行物2〜6のうち、カラーフィルター中のハロゲンイオン(臭素イオンを包含する)について何らかの記載があるものは、刊行物2および刊行物6の2点のみであるが、これらを含めていずれにも、フィルター層中の顔料系の臭素イオンという特定箇所の特定のハロゲンイオンのみを特に着目しての記載は一切無い。(4.3.1参照)
したがって、刊行物1に記載された発明の、ナトリウムイオン、カリウムイオンの制限を、臭素イオンの制限に置き換えることを着想することはできない。
結局、請求項1に係る発明は、刊行物1〜6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
4.3.4.請求項4(訂正前の請求項6)に係る発明について
・請求項4に係る発明と、刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、「少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料と有機溶剤と樹脂とを含有するカラーフィルター用カラーペースト。」である点で一致し、
カラーペーストに溶出している臭素イオン量について、前者では、10ppm以下と制限されるのに対し、後者では、臭素イオンに係る制限規定は一切無く、ペーストの不揮発分当たりのナトリウムイオンとカリウムイオンの合計量が制限されるのみである点で相違する。
相違点について検討する。
両者においてそれぞれ制限されるイオンは、4.3.1の検討で明らかなように、物質そのものの特性や挙動が相違しており、低減し制限すべき理由もそれぞれ別異の課題認識に基づくものであるから、刊行物1で制限されるナトリウムイオン、カリウムイオンを、臭素イオンに置き換える動機が存在しない。
・次に、刊行物1記載の発明に、刊行物2〜6記載のものを適用して、請求項4に係る発明が容易になし得たものか否かについて検討する。
刊行物2〜6のうち、カラーフィルター中のハロゲンイオン(臭素イオンを包含する)について何らかの記載があるものは、刊行物2および刊行物6の2点のみであるが、これらを含めていずれにも、フィルター層中の顔料系の臭素イオンという特定箇所の特定のハロゲンイオンのみを特に着目しての記載は一切無い。(4.3.1参照)
したがって、刊行物1に記載された発明の、ナトリウムイオン、カリウムイオンの制限を、臭素イオンの制限に置き換えることを着想することはできない。
結局、請求項4に係る発明は、刊行物1〜6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
4.3.5.請求項5〜7(訂正前の請求項7〜9)に係る発明について
請求項3、4に係る発明のカラーフィルター用カラーペーストを使用することに特徴を有するカラーフィルター(請求項5、6)、同じく液晶表示素子(請求項7)の発明も、請求項3、4に係る発明に対する判断と同様の理由により、刊行物1〜6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
・なお、訂正前の請求項1、請求項2は、訂正の結果削除されたので、これら請求項に係る発明に対する特許異議申立人の主張については、判断する対象が存在しない。
IV.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、請求項1〜7に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1〜7に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
カラーフィルター用カラーペーストおよびその製造方法並びにカラーフィルター
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料と有機溶剤を含有する顔料分散液からイオン交換法により、該顔料分散液の臭素イオンの全部または一部を除去する工程を含むことを特徴とするカラーフィルター用カラーペーストの製造方法。
【請求項2】 少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料、有機溶剤と樹脂とを含有するカラーペーストからイオン交換法により、該カラーペースト中の臭素イオンの全部または一部を除去する工程を含むことを特徴とするカラーフィルター用カラーペーストの製造方法。
【請求項3】 少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料と有機溶剤とを含有する顔料分散液に溶出している臭素イオンが該顔料分散液に対して15ppm以下であることを特徴とするカラーフィルター用カラーペースト。
【請求項4】 少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料、有機溶剤と樹脂とを含有するカラーペーストに溶出している臭素イオンが該カラーペーストに対して10ppm以下であることを特徴とするカラーフィルター用カラーペースト。
【請求項5】 任意の色数で各色別に所望のパターン状に設けられた着色層からなり、少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑画素を有するカラーフィルターにおいて、画素から水で抽出される臭素イオン濃度が10ppm以下であることを特徴とするカラーフィルター。
【請求項6】 任意の色数で各色別に所望のパターン状に設けられた着色層からなる画素を有するカラーフィルターにおいて、該着色層が請求項3、4のいずれかに記載のカラーペーストからなる着色被膜であることを特徴とするカラーフィルター。
【請求項7】 請求項5または6のいずれかに記載のカラーフィルターを用いた液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラーフィルター用カラーペーストおよびカラーフィルター用カラーペーストの製造方法ならびにカラーフィルターに関するものであり、さらに詳しくは、液晶表示素子にしたときに表示ムラが発生しにくいカラーペーストおよびカラーペーストの製造方法ならびに該カラーペーストを使用した液晶表示素子用のカラーフィルターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子をカラー化するために、透明基板上にR(赤)、G(緑)、B(青)の3色の画素を、ライン状またはモザイク状に配置したカラーフィルターが用いられている。たとえば、現在広く普及しているTFT(薄膜トランジスター)カラー液晶表示素子は、カラーフィルターが形成された透明ガラス基板とTFTが形成された透明ガラス基板の間に液晶を封入したパネルと、バックライトと称される光源から構成される。バックライトから発する光が液晶パネルを通る際、その透過率を液晶への印加電圧により制御することによって、画像が表示される。各画素はCRT蛍光体の色度特性に類似させる必要があるため、顔料はバックライトと液晶表示素子の光線透過特性に合うよう選択され、また2種類以上の顔料を一定の割合で調色されて用いられることが多い。例えばカラーフィルターのR(赤)画素は、赤色、橙色、黄色の顔料を2種類以上を選び、一定の割合で調色して用いられる。同様にG(緑)画素も、緑色、橙色、黄色の顔料を2種類以上を選び、調色して用いられる。顔料はこのように要求される色度特性を重視して選ばれ、イオン性不純物については考慮されていないのが実情である。一般に市販されている顔料にはナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウムなどのアルカリ金属を始めイオン性不純物が多く含まれている。また、イオン性不純物、特にナトリウム、カリウムイオンについては、特開平7-198928号公報にアルカリ金属であるナトリウム、カリウムを合計で0.001〜80ppm含有するカラーペーストおよびイオン交換法でナトリウム、カリウムの全部または一部を除去する電子工業用カラーペーストの製造方法が示されている。本発明者らは顔料に含まれるイオン性不純物のうち特に緑顔料である塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料に含まれる臭素イオンとそのカウンターイオンが液晶表示素子の表示特性に悪影響を与えることを見出した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来技術の欠点に鑑み創案されたもので、その目的とするところは、特定のイオン性不純物を低減させたカラーペーストおよびその製造方法を提供し、このカラーペーストを用いることにより、表示性能に優れたカラーフィルターおよびカラー液晶表示素子を作製することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は以下の構成により達成される。
【0005】
【0006】
【0007】
【0008】1)少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料と有機溶剤を含有する顔料分散液からイオン交換法により、該顔料分散液の臭素イオンの全部または一部を除去する工程を含むことを特徴とするカラーフィルター用カラーペーストの製造方法
【0009】2)少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料、有機溶剤と樹脂とを含有するカラーペーストからイオン交換法により、該カラーペースト中の臭素イオンの全部または一部を除去する工程を含むことを特徴とするカラーフィルター用カラーペーストの製造方法。
【0010】3)少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料と有機溶剤とを含有する顔料分散液に溶出している臭素イオンが該顔料分散液に対して15ppm以下であることを特徴とするカラーフィルター用カラーペースト。
【0011】4)少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料、有機溶剤と樹脂とを含有するカラーペーストに溶出している臭素イオンが該カラーペーストに対して10ppm以下であることを特徴とするカラーフィルター用カラーペースト。
【0012】5)任意の色数で各色別に所望のパターン状に設けられた着色層からなり、少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑画素を有するカラーフィルターにおいて、画素から水で抽出される臭素イオン濃度が10ppm以下であることを特徴とするカラーフィルター。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる顔料としては水で抽出される臭素イオンが顔料に対して重量で50ppm以下であることが重要である。特に製法上臭素を使用する緑顔料であるピグメントグリーン36に代表される塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料において臭素イオン量を低減することが重要である。臭素化合物は、液晶への溶解力が強く、液晶中でイオン化して、液晶表示素子の表示性能に悪影響を与えやすい。特に、分子量数十から千程度のイオン性の有機臭素化合物は液晶への溶解力が強く、また、分子量が大きいためにイオン化した後の拡散が遅いために表示ムラが顕在化しやすい。本発明は、溶出不純物が少なく表示ムラをおこしにくい顔料の選択指標として、顔料から水で抽出される臭素イオン濃度が重要であることを発見したものである。水で抽出される臭素イオンの量は30ppm以下であることが更に好ましく10ppm以下であることが最も好ましい。本発明では臭素含有量が対象でなく、溶解しイオン化する臭素を対象としている。
【0014】本発明のカラーフィルターは、任意の色数で各色別に所望のパターン状に設けられた着色層からなる画素を有するカラーフィルターであって、画素から水で抽出される臭素イオン濃度が、削り取った画素に対して重量で10ppm以下であることが重要である。画素から検出される臭素イオンの量は、5ppm以下であることが更に好ましく、3ppm以下であることが最も好ましい。
【0015】緑顔料の色調を調色するために黄色顔料などを添加することは適宜許される。黄色顔料の例としてはピグメントイエロー13、17、20、24、83、86、93、95、109、110、117、125、137、138、139、147、148、153、154、166、168、185などが挙げられるがこれらに限定されない。顔料は必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性処理などの表面処理がされている。
【0016】本発明で使用する樹脂は、顔料を分散保持するためのものであり、通常、カラーフィルター用ペーストに使用される樹脂であれば特に限定されず、どのようなものも使用が可能である。例えば、アクリル樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルアルコール、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミドなど種々の樹脂を用いることができる。特にアルカリ水溶液に溶解する樹脂は現像あるいはエッチング工程で設備が簡略化出来るので望ましい。アルカリ水溶液に溶解する樹脂のなかでは、カルボキシル基を有する樹脂が好ましく使用され、具体的にはアクリル樹脂、ポリイミドが耐溶剤性の点で好ましい。ポリイミドの場合、ポリイミドの前駆体類が顔料の分散剤として機能するのでより一層好ましい。また、カラーフィルターの耐熱性の面からも、ポリイミドの使用が好ましい。
【0017】本発明においてポリイミド前駆体とは、ポリアミド酸およびその一部分をエステル化した物をいう。ポリイミド前駆体は、熱または化学的処理により、イミド環を形成する。ここで言うポリアミド酸は、次の一般式(1)で表される。
【0018】
【化1】

ここでR1は炭素数2〜22の4価の有機基、R2炭素数1〜22の2価の有機基、nは1および/または2で、重量平均分子量が最低2000をもつ重合体である。
【0019】ポリアミド酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させることにより得ることができる。テトラカルボン酸二無水物として、たとえば、脂肪族系または脂環式系のものを用いることができ、その具体的な例として、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,5-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-ビシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオンなどが挙げられる。また、芳香族系のものを用いると、耐熱性の良好なポリイミドに変換しうるポリイミド前駆体組成物を得ることができ、その具体的な例として、3,3´,4,4´-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4´-オキシジフタル酸二無水物、3,3´,4,4´-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´-パラターフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´-メタターフェニルテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。また、フッ素系のものを用いると、短波長領域での透明性が良好なポリイミドに変換しうるポリイミド前駆体組成物を得ることができ、その具体的な例として、4,4´-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物などが挙げられる。なお、本発明は、これらに限定されずにテトラカルボン酸二無水物が1種または2種以上用いられる。
【0020】本発明ではジアミンとして、たとえば、脂肪族系または脂環式系のものを用いることができ、その具体的な例として、エチレンジアミン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、4,4´-ジアミノ-3,3´-ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4´-ジアミノ-3,3´-ジメチルジシクロヘキシルなどが挙げられる。また、芳香族系のものを用いると、耐熱性の良好なポリイミドに変換しうるポリイミド前駆体組成物を得ることができ、その具体的な例として、4,4´-ジアミノジフェニルエーテル、3,4´-ジアミノジフェニルエーテル、4,4´-ジアミノジフェニルメタン、4,4´-ジアミノベンズアニリド、3,3´-ジアミノジフェニルメタン、4,4´-ジアミノジフェニルスルホン、3,3´-ジアミノジフェニルスルホン、4,4´-ジアミノジフェニルサルファイド、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノトルエン、2,5-ジアミノトルエン、2,6-ジアミノトルエン、ベンジジン、3,3´-ジメチルベンジジン、3,3´-ジメトキシベンジジン、o-トリジン、4,4”-ジアミノターフェニル、1,5-ジアミノナフタレン、3,3´-ジメチルー4,4´-ジアミノジフェニルメタン、4,4´-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホンなどが挙げられる。また、フッ素系のものを用いると、短波長領域での透明性が良好なポリイミドに変換しうるポリイミド前駆体組成物を得ることができ、その具体的な例として、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられる。
【0021】また、ビス-3-(アミノプロピル)テトラメチルシロキサンに代表されるシロキサンジアミンを用いると、無機基板との接着性を良好にすることができる。シロキサンジアミンは、通常、全ジアミン中の1〜20モル%量用いる。シロキサンジアミンの量が少なすぎれば接着性向上効果が発揮されず、多すぎれば耐熱性が低下する。本発明は、これらに限定されずにジアミンが1種または2種以上用いられる。
【0022】ポリアミド酸の合成は、極性有機溶媒中でジアミンとテトラカルボン酸二無水物を反応させることにより行うのが一般的である。この時、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物の混合比により得られるポリアミド酸の重合度を調節することができる。また、上記のポリアミド酸のエステル化物などの誘導体に対しても適用が可能である。溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミドなどのアミド系極性溶媒が使用される。ポリアミド酸は顔料の分散効果を高めるため、ラクトン類が主成分もしくはラクトン類単独からなる溶媒中で合成するのが望ましい。ここでラクトン類が主成分もしくはラクトン類単独からなる溶媒とはラクトン類が50重量%以上含有されていることをいう。ラクトン類以外の溶媒としては上記アミド系極性溶媒の他にメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトールなどを挙げることができる。
【0023】ラクトン類とは脂肪族環状エステルで炭素数3〜12の化合物をいう。具体的な例として、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、ε-カプロラクトンなどが挙げられるがこれらに限定されない。とくにポリアミド酸の溶解性の点で、γ-ブチロラクトンが好ましい。
【0024】本発明のカラーフィルター用カラーペーストは、顔料、有機溶剤と樹脂を含有する。
【0025】本発明で用いられる有機溶剤としては溶媒に特に制限はなく、一般的な有機溶媒を用いることができる。画素のマトリクスの成分として、ポリイミドを用いる場合、カラーペーストの樹脂はポリイミド前駆体を用いるのが好ましいが、その際用いられる溶剤は、ポリイミド前駆体を溶解する溶媒であることが望ましい。ポリイミド前駆体を溶解する溶媒としては、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミドなどのアミド類、γ-ブチロラクトンなどのラクトン類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドンなどのピロリドン類などの極性有機溶媒が挙げられる。また、通常、単独ではポリイミド前駆体を溶解しない、エタノール、ブタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのプロピレングリコール誘導体類等の有機溶媒をポリイミド前駆体を溶解する溶媒と混合して用いることができる。顔料の分散効果を高めるため、ラクトン類が主成分の溶媒が好ましい。溶剤の使用量は特に限定されないが、樹脂の溶解に十分な量でありかつ適度な粘度を有する量であることが望ましい。
【0026】カラーペーストは、分散機を用いて樹脂溶液中に直接顔料を分散させる方法や、分散機を用いて水または有機溶媒中に顔料を分散して顔料分散液を作製し、その後樹脂溶液と混合する方法などにより製造される。顔料の分散方法には特に限定はなく、ボールミル、サンドグラインダー、3本ロールミル、高速度衝撃ミルなど、種々の方法がとりうる。
【0027】本発明のカラーペーストは、通常、樹脂:顔料=5:5〜8:2(重量比)の範囲において製造される。
【0028】本発明の少なくとも顔料と有機溶剤を含有する顔料分散液からおよび/または少なくとも顔料、有機溶剤と樹脂とを含有するカラーペーストからイオン交換法により、該顔料分散液中の臭素イオンの全部または一部を除去し、カラーペーストを得る方法について説明する。1〜3級アミノ基および/または4級アンモニウム基の陰イオン交換基をもつ陰イオン交換樹脂、陰イオン交換膜、陰イオン交換繊維や無機の陰イオン交換体、例えば、含水酸化ビスマス、水酸化燐酸鉛などを用いることにより、顔料と有機溶剤を含有する顔料分散液、樹脂を含有する該顔料分散液またはカラーペーストから、臭素イオンを吸着またはイオン交換し、その量を低減することができる。イオン交換樹脂によるイオン交換法の一例を示すと、粒状のイオン交換樹脂をカラムに充填し、そのカラムに顔料分散液またはカラーペーストを流し、臭素イオンを吸着またはイオン交換し、その量を低減することができる。また、顔料分散液またはカラーペーストと粒状のイオン交換樹脂を混合、攪拌し、その後、濾過などによりイオン交換樹脂を取り除くという方法もある。顔料を分散しながら同時にイオン交換する方法が除去効果が大きく好ましい。例えば、アルミナ、ジルコニアなどのセラミックビーズを充填したミル型分散機と粒状のイオン交換樹脂を充填したカラムを直結し、顔料を分散しながら同時にイオン交換することができる。また、カラーペーストをイオン交換すると、顔料分散液からカラーペースト化後溶解してきた臭素イオンも除去することができ好ましい。
【0029】上記はイオン交換樹脂によるイオン交換法の例を示したが、本発明ではそれらの個別の方法には限定されず、任意のイオン交換法を使用し得る。
【0030】また、イオン交換法以外にも、純水や有機溶剤による顔料の洗浄を繰り返し行うという方法もある。例えば、純水と顔料を混合し攪拌後、静置して顔料を沈殿させる。上澄み液を除去後、また純水を加えて攪拌後、顔料を沈殿、上澄み液を除去する。これを何回か繰り返し、その後乾燥することにより、顔料中の臭素イオンを低減することができる。また、ソックスレーのような連続抽出器を用いる方法や、透析などの方法も使用可能である。顔料製造工程で顔料を洗浄することが生産性が高く好ましいが、この場合は、顔料またはクルードの状態でフィルタープレス装置にて、水洗、湯洗や溶剤洗浄をおこなうことができる。フィルタープレスに先立ち顔料を分散液中に分散させる工程を入れることは洗浄効果を上げ好ましい。また、顔料の洗浄は複数回実施することがロット内ばらつきを抑えて均一な顔料を得られる点で好ましい。
【0031】本発明では、強酸に溶解して析出・再結晶させて精製したアシッドペースト法による顔料を採用することが好ましい。例えば、塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンであるピグメントグリーン36においては、発煙硫酸に該顔料を溶解し、硫酸塩化反応させてから、水中に注入して顔料を析出・再結晶させることで含有される不純物を非常に少なくすることができる。また、アシッドペースト法よりも低濃度の硫酸を用いた場合、ピグメントグリーン36は溶解に至らず、硫酸塩結晶が見られるスラリーになる。このスラリーを水中に注入して顔料を生成させる方法はアシッドスラリー法と呼ばれる。アシッドスラリー法はアシッドペースト法に比べて顔料の粒径が大きくなるためカラーフィルター用には適していないことがあるが、アシッドペースト法と同様に不純物低減の効果がある。
【0032】本発明の少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料と有機溶剤とを含有する顔料分散液は、そこに溶出している臭素イオンが該顔料分散液に対して15ppm以下であることが重要である。顔料分散液に溶出している臭素イオンは該分散液に分散されている顔料に含まれる臭素イオンと平衡しているので、分散液に溶出している臭素イオンの濃度が高いことは、溶出可能な臭素が顔料に濃度高く残存していることを意味する。分散液中の臭素イオン濃度が15ppmを越えるとカラーフィルターにしたときに液晶表示素子に表示ムラを引き起こしやすい。該臭素イオン濃度は、10ppm以下であることがさらに好ましく、5ppm以下であることが最も好ましい。
【0033】本発明の少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料、有機溶剤と樹脂とを含有するカラーペーストは、そこに溶出している臭素イオンが該カラーペーストに対して10ppm以下であることが重要である。上記の顔料分散液と同様に、カラーペーストに溶出している臭素イオンは該カラーペーストに分散されている顔料に含まれる臭素イオンと平衡しているので、カラーペーストに溶出している臭素イオンの濃度が高いことは、溶出可能な臭素が顔料に濃度高く残存していることを意味する。カラーペースト中の臭素イオン濃度が10ppmを越えるとカラーフィルターにしたときに液晶表示素子に表示ムラを引き起こしやすい。該臭素イオン濃度は、5ppm以下であることがさらに好ましく、3ppm以下であることが最も好ましい。
【0034】本発明の溶出している臭素イオン濃度が低い顔料分散液もしくはカラーペーストを得る方法の例としては、上述した臭素イオン溶出が少ない顔料の採用や顔料分散液もしくはカラーペーストでのイオン交換を挙げることができる。
【0035】また、本発明では少なくとも顔料と有機溶剤を含有する顔料分散液からイオン交換法により該顔料分散液中の臭素イオンの全部または一部を除去する工程の後、もしくは、同時に陽イオンを除去する工程を含むことも適宜許される。
【0036】陽イオン交換は具体的には、スルホン酸やカルボン酸などの陽イオン交換基を持つ陽イオン交換樹脂、陽イオン交換膜、陽イオン交換繊維や無機の陽イオン交換体を用いることにより、陽イオンを吸着または、イオン交換しその量を低減することができる。
【0037】また、顔料分散液に、カルボキシル基を有する樹脂、例えば、カルボキシル基を有するアクリル樹脂、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸が含有されている場合、樹脂自身が陽イオン交換樹脂として作用し、陽イオンを補足するので、陰イオン交換のみでも同様な効果が得られる。
【0038】カラーペーストの塗布性および着色膜の表面の均一性を良好にする目的で、あるいは、顔料の分散性を良好にする目的で、本発明のカラーペーストに界面活性剤を添加することができる。カラーペーストを基板上に塗布する方法としては、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ダイコーター、スクリーン印刷法などで基板に塗布する方法、基板をカラーペースト中に浸漬する方法、カラーペーストを基板に噴霧するなどの種々の方法を用いることができる。基板としては通常、ソーダガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどの透明基板が用いられるが、特にこれらに限定されない。なお、基板上にカラーペーストを塗布する場合、シランカップリング剤などの接着助剤で基板表面を処理しておくと、着色膜と基板の接着力を向上させることができる。
【0039】カラーペーストを用いて形成される着色膜の厚みには特に制限は無いが、通常、0.1〜10μm、好ましくは、0.5〜5μmである。膜厚が小さすぎれば、光の吸収が小さくなりすぎ、カラーフィルターとしての光学特性が満足されない。膜厚が大きすぎる場合は、逆に光の吸収が大きくなりすぎるなどの問題が生じ、カラーフィルターとしての光学特性が満足されないおそれがある。
【0040】次に画素のマトリクスの樹脂成分としてポリイミドを、その前駆体としてポリアミド酸を使用した場合の、カラーフィルターの作製法の一例を説明する。カラーペーストを、前記のような方法で透明基板上に塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、ポリイミド前駆体着色膜を形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、50〜180℃の範囲、より好ましくは80〜120℃で30秒〜3時間行う。温度が低すぎる場合、溶媒がなかなか蒸発せず、逆に温度が高すぎると現像液への溶解性が低下する。このようにして得られたポリイミド前駆体着色膜に、通常の湿式エッチングによりパターンを形成する。まず、ポリイミド前駆体着色膜上にポジ型フォトレジストを塗布し、フォトレジスト被膜を形成する。続いて該フォトレジスト被膜上にマスクを置き、露光装置を用いて紫外線を照射する。露光後、ポジ型フォトレジスト用アルカリ現像液により、フォトレジスト被膜とポリイミド前駆体着色膜のエッチングを同時に行う。エッチング後、不要となったフォトレジスト被膜を剥離する。
【0041】ポリイミド前駆体着色膜は、その後、加熱処理することによって、ポリイミド着色膜に変換される。加熱処理は通常、空気中、窒素雰囲気中、あるいは、真空中などで、150〜450℃、好ましくは180〜350℃、より好ましくは200〜320℃の温度のもとで、0.5〜5時間、連続的または段階的に行われる。以上の工程を3原色すなわちR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)もしくはY(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)の3色のカラーペーストおよび必要に応じてブラックのカラーペーストについて行うと、液晶ディスプレイ用カラーフィルターが作製できる。シアンは塩素化及び臭素化した顔料が採用されるので本発明の緑顔料に包含される。
【0042】3原色の着色膜の上に平坦性を向上する目的で透明樹脂からなるオーバーコートが付与されることがあるが、一方で、積層数が増えることによるコスト増のデメリットもある。本発明は、着色膜を覆うオーバーコートがない場合に特に効果が大きい。STN方式、TN方式、垂直配向方式などを採用した場合には着色膜上に液晶駆動用の透明導電膜が形成される。該透明導電膜にはITO膜などの酸化金属薄膜が好適に採用される。
【0043】コントラストを向上させるために画素周囲にブラックマトリックスが形成されることがある。反射率が低いことやクロムを使用しておらず環境に優しい点でブラックマトリックスには樹脂に遮光材を分散したブラックペーストでブラックマトリックスを作製する例が増えてきている。分光スペクトルが平らにしてニュートラルな黒を実現するためにブラックマトリックス用ブラックペーストに顔料を添加する場合があるが、本発明はブラックマトリックスおよびブラックマトリックス用ペーストにも適用される。
【0044】本明細書では、製法上臭素を使用する塩素化及び臭素化銅フタロシアニンであるピグメントグリーン36について主に記載したが、不純物として臭素が混入する畏れがある臭素化銅フタロシアニンや塩素化銅フタロシアニン顔料についても同様に適用されるものである。塩素化に用いられる塩素ガスは不純物として臭素ガスが不可避に混入している。
【0045】また、本発明のカラーフィルターは、液晶を挟み込む透明基板のどちら側に形成されていても表示不良を低減する効果がある。バックライトを備えた透過型液晶表示素子だけでなく、外光を反射して使用する反射型液晶表示素子においても同様の効果がある。カラーフィルターをTFTなどの能動素子が形成された基板側に作製する場合(カラーフィルター・オン・アレイ:COA)は、開口率向上や絶縁膜による電圧低下を防ぐために、着色層の下に能動素子を置き、着色層に形成したスルーホールを介して、着色層上の透明導電膜もしくは反射電極と能動素子との電気的接続をとる構成が一般的である。この構成では、着色膜にスルーホールを開けた際に、スルーホール内壁に樹脂にくるまれず液晶に露出した状態の顔料ができやすい上に液晶駆動のための電圧ストレスがかかって不純物が溶出しやすいので、特に本発明の効果が大きい。また、能動素子が設けられた基板とは対向する側の基板にカラーフィルターが設けられた場合は、透明樹脂によるオーバーコートで着色膜全体を覆い顔料からの不純物溶出を低減することが可能であるが、COAの場合は、上記のスルーホール部分はオーバーコートにて覆うことができないことも、COAで本発明の効果が大きい理由の一つである。
【0046】本発明のカラー液晶表示素子は、パソコン、ワードプロセッサー、エンジニアリング・ワークステーション、ナビゲーションシステム、テレビ、ビデオなどの表示に用いられる他、光変調素子としても利用可能である。
【0047】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。尚、実施例中に記載された測定法の、具体的な手法は以下に示すとおりである。
【0048】(測定法)
臭素イオン濃度の測定
顔料0.5gにメタノール1mlを滴下し湿らせる。蒸留水50mlを加え、20分間超音波振動を加えた後、100℃で10分間煮沸する。室温まで冷却後、蒸発した分の水を補充して、0.4μmメンブレンフィルターで濾過した。濾液をイオンクロマトグラフィー(横河電機製 IC-200)で分析し、臭素イオン量を測定した。用いた顔料に対する重量比で濃度を示した。
【0049】画素から抽出される臭素イオンを測定する場合は、ガラス基板から画素を削り取って十分に粉砕してから顔料の測定と同様にして臭素イオンの測定をする。臭素イオン濃度は削り取った画素に対する重量比で示す。ITO膜などの無機透明電極膜がカラーフィルター表面にある場合には、塩化第二鉄と硝酸の混合液などで無機透明電極膜をエッチングしてから画素を削り取ることが望ましい。
【0050】顔料が分散された分散液もしくはカラーペーストに溶出している臭素イオン濃度を測定するには、キャピラリー電気泳動法を用いた。分散液もしくはカラーペーストをサンプリングし、2〜5倍に水で希釈してから0.4μmメンブレンフィルターで濾過した。これをキャピラリー電気泳動測定装置(大塚電子製)のキャピラリーに注入して測定する。得られたUV吸収スペクトルを標準サンプルと比較して濃度を算出する。臭素イオン濃度はサンプリングした分散液もしくはカラーペーストに対する重量比で示す。
(表示品質)無アルカリガラス上に評価するカラーペーストを塗布し乾燥してからキュアする。この上に厚さ0.1μmのITO膜を全面に形成した後、フォトソングラフィにて、直径100μmの孔をITO膜に形成する。すなわち、ITO膜上にフォトレジストを塗布しプリベークした後、マスクパターンを露光し、フォトレジストを現像液に浸漬して現像する。試料を水洗いしてからポストベータし、塩化第二鉄:硝酸=1:1のエッチング液に浸漬して、ITO膜に孔を形成する。フォトレジストを剥離液で剥離し水洗、乾燥する。別途、無アルカリガラス上に全面にITO膜を形成した基板を対向基板として用意する。カラーペースト塗布した基板(着色層基板)と対向基板とに配向膜を印刷しラビングして配向させる。これらの2つの基板をマイクロロッドを練り込んだシール剤で貼り合わせてから4V駆動対応のTN液晶を注入して液晶注入口を封口剤で塞ぐ。
【0051】単一カラーぺースト評価ではなく、赤、青、緑がパターニングされてカラーフィルターに加工された基板を評価する場合は、着色層上に形成するITO膜に明ける直径100μmの孔位置を露光時に位置合わせするか、ランダムに多数用意するかして、緑画素が評価できるようにする。
【0052】かくして得られた液晶セルを±4V、30Hzの矩形波で100時間駆動した後、直交して配置した偏光フィルムにはさんで表示を観察する。
【0053】着色層基板のITO膜に明けた孔から不純物が溶出してイオン性不純物が発生するとしきい値低下により、グレイレベル表示で該孔周辺が他の部分に比べて暗く見える。イオン性不純物によるしきい値低下が起きない方が望ましい方向である。
【0054】参考例1 ポリマ分散剤の合成
4,4’-ジアミノベンズアニリド161.93g、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン176.70g、およびビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン18.64gをγ-ブチロラクトン3266g、N-メチル-2-ピロリドン622gと共に仕込み、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物439.09gを添加、70℃で3時間反応させた後、無水フタル酸2.22gを添加し、更に70℃で1時間反応させ、その後、粘度45ポアズ(25℃)のポリマ分散剤の17%溶液(P-1)を得た。
【0055】参考例2 オリゴマー分散剤の合成
3,3’-ジアミノジフェニルスルホン204.79gおよびビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン13.62gをγ-ブチロラクトン3809gと共に仕込み、ピロメリット酸二水物59.98g、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二水物295.6gを添加、60℃で3時間反応させた後、2-アミノアントラキノン98.22gを添加し、さらに60℃で1時間反応させ、オリゴマ分散剤の15%溶液(O-1)を得た。
【0056】参考例3 ポリアミド酸の合成
3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二水物144.1gをγ-ブチロラクトン1095g、N-メチル-2-ピロリドン209gと共に仕込み、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル95.1gおよびビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン6.20gを添加し、70℃で3時間反応させた後、無水フタル酸2.969を添加し、さらに70℃で1時間反応させ、ポリアミド酸の16%溶液(PAA1)を得た。
【0057】参考例4 ポリアミド酸の合成
3,3’-ジアミノジフェニルスルホン372.4g、パラフェニレンジアミン146.0g、およびビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン32.3gをN-メチル-2-ピロリドン5750gに溶解し、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 873.9gを添加し、70℃で3時間反応させた後、無水マレイン酸5.88gを添加、さらに70℃で1時間反応させ、ポリアミド酸の20%溶液(PAA2)を得た。
【0058】実施例1、比較例1
緑顔料であるピグメントグリーン36を水で抽出し、臭素イオンを測定したところ、153ppmであった(顔料B)。該顔料200gにイソプロパノール400gとイオン交換水4000gとを加え30分間攪拌した。遠心分離機で濾過後、イオン交換水4000gで2回洗浄する洗浄プロセスを3回実施した。得られたケークを70℃で48時間真空乾燥した。得られた顔料を水で抽出し、臭素イオン濃度を測定したところ、臭素イオン濃度は5ppmであった(顔料A)。
【0059】顔料A、Bを83.79g計量し、それぞれゼネカ社製分散剤”ソルスパーズ”12000を4.41g、γ-ブチロラクトンを557g、3-メトキシ-5-メチル-1-ブタノールを323g、ポリマ分散剤(P-1)を494gをジルコニアビーズと共にミル型分散機に仕込み、3000rpmで2時間分散し、2種の分散液を得た。
【0060】顔料Aの分散液に溶出していた臭素イオン濃度は4ppmであった(実施例1)。顔料Bの分散液に溶出していた臭素イオン濃度は22ppmであった(比較例1)。
【0061】該分散液300gとポリマ分散剤(P-1)156.3gをγ-ブチロラクトン198.3g、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール185.3gで希釈した溶液とを混合し、緑ペーストを得た。
【0062】顔料Aの緑ペーストに溶出していた臭素イオン濃度は3ppmであった(実施例1)。顔料Bの分散液に溶出していた臭素イオン濃度は14ppmであった(比較例1)。
【0063】該緑ペーストをガラス上にキュア後の膜厚が1.5μmになるようにスピンナーで塗布した後、120℃で20分間乾燥した。次いで240℃で30分間キュアして着色層を形成した。該着色層基板を用いて液晶セル組みして表示品質を調べたところ、臭素イオンが多かった顔料Bでは、イオン性不純物の発生によると考えられるしきい値低下でグレイレベル表示のとき着色層基板のITO膜の孔の部分がその周囲よりも暗く観察された液晶セルが10セル中10セルであった(比較例1)。一方、臭素イオンが少なかった顔料Aでは10セル中2セルで着色層基板のITO膜の孔の部分がその周囲より暗く見え、改善が見られた(実施例1)。
【0064】実施例2
ピグメントオレンジ38を191.4g、ピグメントレッド177を138.6gおよびγ-ブチロラクトン3267g、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール1266g、オリゴマ分散剤(O-1)73.92g、ポリマー分散剤(P-1)562.95gをミル型分散機に充填し、4000rpmで5時間分散した。かくして顔料濃度6%の赤色分散液を得た。
【0065】該分散液450gにポリマー溶液(PAA1)156.3gをγ-ブチロラクトン108.3gと3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール185.3gで希釈した溶液を添加混合し、赤色ペーストを得た。
【0066】ピグメントブルー15:6 を157.5g、ポリマー溶液PAA2を337.5g、γ-ブチルラクトン637.5gおよびN-メチル-2-ピロリドン367.5gをミル型分散機に仕込み、3000rpmで2時間分散した。かくして顔料濃度10.5%の青色分散液を得た。
【0067】該青色分散液624gにポリマー溶液PAA2を702g、γ-ブチルラクトン374g、N-メチル-2-ピロリドン836gおよび3-メトキシ-3-メチル-ブチルアセテート415gを添加混合し、青色ペーストを得た。
【0068】無アルカリガラス上にスパッタリング法によって厚さ0.1μmの酸化クロム膜を形成した。酸化クロム膜上にフォトレジストを塗布し、90℃で10分間乾燥した。該フォトレジストをフォトマスクを介して露光し、次いで現像液に浸漬して現像した。フェリシアン化カリウム:水酸化ナトリウム:水=1000:350:4365の割合で混合したエッチング液で酸化クロム膜をエッチングした後、アセトンでフォトレジストを剥離した。かくして、一方は100μmピッチ、これと直交する方向には300μmピッチで線幅が20μmの格子状ブラックマトリックスを得た。
【0069】ブラックマトリックスが形成されたガラス基板上にポリイミド転換後に厚さ1.5μmになるように赤色ペーストを塗布し、120℃で20分乾燥し、この上にフォトレジストを塗布し、90℃で10分乾燥した。ブラックマトリックスの100μmピッチで配列された格子の2つおきの開口部を埋めるようにパターニングされたフォトマスクを介してフォトレジストを露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.38%の水溶液からなる現像液に浸漬し、フォトレジストの現像、ポリイミド前駆体の着色塗膜のエッチングを同時におこなった。エッチング後、不要となったフォトレジスト層をアセトンで剥離した。さらにポリイミド前駆体の赤色塗膜を240℃で30分熱処理し、ポリイミドに転換した。かくして赤画素を形成した。
【0070】青色ペーストをブラックマトリックスが形成されたガラス基板上にポリイミド転換後に厚さ1.5μmになるように塗布し、120℃で20分乾燥した。以下、赤ペーストの場合と同様にして、赤画素に隣り合うように青画素を形成した。
【0071】実施例1で得た緑顔料Aを用いた緑色ペーストをブラックマトリックスが形成されたガラス基板上にポリイミド転換後に厚さ1.5μmになるように塗布し、120℃で20分乾燥した。以下、赤ペーストの場合と同様にして、赤画素に隣り合うように緑画素を形成した。
【0072】かくして得られた着色層を削り取って、乳鉢で十分粉砕した後、水による抽出をおこなった。削り取った着色層に対して、2ppmの臭素イオンが検出された。
【0073】該着色層の上にスパッタリング法により厚さ0.1μmのITO膜を形成し、カラーフィルターを得た。全面にITO電極が形成された無アルカリガラスを用意し、液晶セル組みして、表示品質を調べたところ、緑画素上に設けられたITO膜の孔の部分がその周囲よりも暗く観察された液晶セルが10セル中2セルであり、比較例2に比べて良好であった。
【0074】比較例2
比較例1で得た緑顔料Bを用いた緑色ペーストを用いたこと以外は実施例2と同様にして赤、青、緑の着色層を得た。かくして得られた着色層を削り取って、乳鉢で十分粉砕した後、水による抽出をおこなった。削り取った着色層に対して、12ppmの臭素イオンが検出された。
【0075】該着色層の上にスパッタリング法により厚さ0.1μmのITO膜を形成し、カラーフィルターを得た。全面にITO電極が形成された無アルカリガラスを用意し、液晶セル組みして、表示品質を調べたところ、緑画素上に設けられたITO膜の孔の部分がその周囲よりも暗く観察された液晶セルが10セル中10セルであった。
【0076】実施例3
比較例1と同様の緑顔料Bを用いた分散液を作る際にジルコニアビーズが充填されたミル型分散機とオルガノ(株)製弱陰イオン交換樹脂”アンバーリスト”A-21が充填されたカラムとをパイプで接続し、顔料を分散しながら同時にイオン交換した。該分散液を比較例1と同様にして緑色ペースト化した。
【0077】該分散液に溶出していた臭素イオン濃度は3.3ppmであった。また、該緑ペーストに溶出していた臭素イオン濃度は3ppmであった。
【0078】該緑色ペーストを使用し、実施例2と同様にして赤、青、緑からなる着色層を得た。これを液晶セル組みして表示品質を調べたところ、緑画素上に設けられたITO膜の孔の部分がその周囲よりも暗く観察された液晶セルは10セル中2セルであり、比較例2に比べ改善が見られた。
【0079】ITO膜付け前に該着色層を削り取り細かく粉砕した後、水で抽出して臭素イオン濃度を測定したところ着色層に対して2ppmであった。
【0080】実施例4
比較例1と同様にして緑顔料Bを用いた緑色ペースト500gを得た。該緑ペーストにオルガノ(株)製弱陰イオン交換樹脂”アンバーリスト”A-21を入れて3時間攪拌した。濾過により緑色ペーストからイオン交換樹脂を除いた。
【0081】該緑ペーストに溶出していた臭素イオン濃度は1.9ppmであった。
【0082】該緑色ペーストを使用し、実施例2と同様にして赤、青、緑からなる着色層を得た。これを液晶セル組みして表示品質を調べたところ、緑画素上に設けられたITO膜の孔の部分がその周囲よりも暗く観察された液晶セルは10セル中0セルであり、比較例2に比べ改善が見られた。
【0083】ITO膜付け前に該着色層を削り取り細かく粉砕した後、水で抽出して臭素イオン濃度を測定したところ着色層に対して1ppmであった。
【0084】実施例5
塩素化及び臭素化した銅フタロシアニン顔料であるピグメントグリーン36を50gとり、1500gの発煙硫酸を加え常温で30分間攪拌して溶解させた。次に溶液を80℃に昇温して4.5時間攪拌した。これを40リットルのイオン交換水に静かに注入し充分攪拌して、析出・再結晶させた。得られた顔料を濾過し、イオン交換水で洗浄してから70℃で48時間真空乾燥した。かくして得た塩素化及び臭素化した銅フタロシアニン顔料を水で抽出して臭素イオン濃度を測定したところ、臭素イオン濃度は2.7ppmであった。
【0085】実施例1と同様にして該顔料を顔料分散液化し、ついで緑ペースト化した。該顔料分散液に溶出していた臭素イオン濃度は2.6ppmであった。また、該緑ペーストに溶出していた臭素イオン濃度は1.8ppmであった。
【0086】実施例1と同様にして液晶セル組みして表示品質を調べたところ、ITO膜の孔の部分がその周囲よりも暗く観察された液晶セルは10セル中0セルであり、良好であった。
【0087】
【発明の効果】本発明によれば顔料に含まれる臭素の内、イオン化しやすい状態にあるものを低減させることによって液晶ディスプレイの表示不良を抑制・防止することができる。臭素化合物は液晶中でイオン化しやすく、特に表示不良に繋がりやすいと考えられる。
 
訂正の要旨 訂正事項
a.特許第3219052号発明の明細書中の特許請求の範囲の請求項1〜9において、特許請求の範囲の減縮を目的として、もとの請求項1、2を削除し、以下項数を繰り上げ、
「【請求項1】 少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料と有機溶剤を含有する顔料分散液からイオン交換法により、該顔料分散液の臭素イオンの全部または一部を除去する工程を含むことを特徴とするカラーフィルター用カラーペーストの製造方法。
【請求項2】 少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料、有機溶剤と樹脂とを含有するカラーペーストからイオン交換法により、該カラーペースト中の臭素イオンの全部または一部を除去する工程を含むことを特徴とするカラーフィルター用カラーペーストの製造方法。
【請求項3】 少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料と有機溶剤とを含有する顔料分散液に溶出している臭素イオンが該顔料分散液に対して15ppm以下であることを特徴とするカラーフィルター用カラーペースト。
【請求項4】 少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑顔料、有機溶剤と樹脂とを含有するカラーペーストに溶出している臭素イオンが該カラーペーストに対して10ppm以下であることを特徴とするカラーフィルター用カラーペースト。
【請求項5】 任意の色数で各色別に所望のパターン状に設けられた着色層からなり、少なくとも塩素化及び臭素化した銅フタロシアニンもしくは臭素化した銅フタロシアニンを含有する緑画素を有するカラーフィルターにおいて、画素から水で抽出される臭素イオン濃度が10ppm以下であることを特徴とするカラーフィルター。
【請求項6】 任意の色数で各色別に所望のパターン状に設けられた着色層からなる画素を有するカラーフィルターにおいて、該着色層が請求項3、4のいずれかに記載のカラーペーストからなる着色被膜であることを特徴とするカラーフィルター。
【請求項7】 請求項5または6のいずれかに記載のカラーフィルターを用いた液晶表示素子。」
と訂正する(クレーム対応表参照)。

b.もとの請求項1、2の削除に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との整合をとるため、明細書第【0005】段、および【0006】段を削除する。
c.もとの請求項1、2の削除に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との整合をとるため、明細書【0008】段「3)少なくとも」とあるのを「1)少なくとも」と訂正する。
d.もとの請求項1、2の削除に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との整合をとるため、明細書【0009】段「4)少なくとも」とあるのを「2)少なくとも」と訂正する。
e.もとの請求項1、2の削除に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との整合をとるため、明細書【0010】段「5)少なくとも」とあるのを「3)少なくとも」と訂正する。
f.もとの請求項1、2の削除に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との整合をとるため、明細書【0011】段「6)少なくとも」とあるのを「4)少なくとも」と訂正する。
g.もとの請求項1、2の削除に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との整合をとるため、明細書【0012】段「7)任意の色数で」とあるのを「5)任意の色数で」と訂正する。
異議決定日 2003-01-31 
出願番号 特願平10-128716
審決分類 P 1 651・ 161- YA (G02B)
P 1 651・ 121- YA (G02B)
P 1 651・ 113- YA (G02B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 森口 良子  
特許庁審判長 嶋矢 督
特許庁審判官 阿久津 弘
伏見 隆夫
登録日 2001-08-10 
登録番号 特許第3219052号(P3219052)
権利者 東レ株式会社
発明の名称 カラーフィルター用カラーペーストおよびその製造方法並びにカラーフィルター  
代理人 高橋 勝利  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ