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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A23G
審判 全部申し立て 2項進歩性  A23G
管理番号 1076438
異議申立番号 異議2002-72573  
総通号数 42 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-06-18 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-10-21 
確定日 2003-04-14 
異議申立件数
事件の表示 特許第3276038号「粒状物入り粘弾性食品」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3276038号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.本件発明
特許第3276038号(平成6年11月30日出願、平成14年2月8日設定登録。)の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】粒状物入り粘弾性食品において、該粒状物が核部(但しチューインガムを除く)と糖衣層とからなり、該核部及び該糖衣層のうちの少なくとも一方が呈味成分を含有していることを特徴とする粒状物入り粘弾性食品。」

2.異議申立ての理由の概要
異議申立人 澄川広司は、下記の甲第1号証〜甲第10号証を提出して、
(1)本件発明は、本件特許出願前に公然に実施された発明であるから、あるいは本件特許出願前に頒布された甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第2号または第3号に該当し、特許を受けることができない、
(2)本件発明は、甲第1号証ないし甲第3号証及び甲第7号証ないし甲第10号証の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである、
旨主張している。

甲第1号証:平成5年5月27日発行 毎日新聞 第9頁「機能性ガム新 製品続々」の欄
甲第2号証:平成5年発行 ワーナー・ランバート社 「スティング」カ タログ
甲第3号証:平成5年8月2日発行 日経産業新聞 第16頁「ワーナー ランバート ガムも色彩感覚鋭く」の欄
甲第4号証:ワーナー・ランバート社製「スティング」の実際に販売され た商品の写真
甲第5号証:ワーナー・ランバート社製「スティング」の実際に販売され た商品の顕微鏡写真
甲第6号証:ワーナー・ランバート社製「スティング」の実際に販売され た商品の包装紙の写し
甲第7号証:1989年4月28日発行 仏英独=和 洋菓子用語辞典
第177頁
甲第8号証:昭和42年5月25日発行 栄養・食品用語事典 第182 頁
甲第9号証:昭和60年9月1日発行 簡明 食辞林 第525〜526 頁
甲第10号証:昭和60年9月1日発行 簡明 食辞林 第317頁

3.甲各号証記載の事項
甲第1号証には、「機能性ガム新製品続々」との見出しの下に「しかし、粒状のガムを売り物に、86年に登場した「クロレッツ」は、ロッテのグリーンガムを脅かすまでに急成長。発売元のワーナー・ランバートはその余勢をかって今年3月、眠気防止の新ブランド「スティング」を投入した。カフェインを封じ込んだカプセルが板ガムにちりばめてあり、シャリシャリとした独特の食感が売り物だ。」と記載されている。
甲第2号証には、そのカタログ上段に「眠気に刺激!カフェイン粒子入り『スティング』新発売!」と、その中段に「テレビコマーシャルでご拡販を強力にサポート。5月中旬から」と、その下段に「消費者調査でも実力を立証!発売前の調査の結果では、他社のBガムに比較して『スティング』は下のグラフのような高い評価を獲得しました」と、それぞれ記載されている。
甲第3号証には、「ワーナーランバートの菓子事業本部プロダクトマネジャー、丸山紳一郎氏は初めてチームの中心となってカフェイン粒子入りガム『STING』を商品化した。」、「眠気を覚ますという機能の即効性とおいしさのバランスをとるために、『STING』にたどり着くまで50種類以上の試作品をつくった。『ミントの香りが強すぎると気分はすっきりするが、おいしくない』。おいしさを保ちつつ、板ガムにミントとカフェイン入り粒子を織り込むことで口をすっきりさせる刺激を出すことに成功した。」、及び「発売から半年。」と記載されている。
甲第7号証には、「nonpareille」の項に「菓子やプティ・フールの飾りに使う粟粒状の着色した糖衣粒。小粒のドラジェ。」と記載されている。
甲第8号証には、「Non-pareils ノンパレイル」の項に「菓子類の飾りに用いる銀粒で、砂糖に銀箔やアルミニウムと銅の合金でコーティングしたもの。」と記載されている。
甲第9号証には、「チャイナマーブル[China marble]」の項に「かたい糖衣をつくるハード掛け物菓子の一種。変わり玉ともいう。回転パンの中で、グラニュ糖を核として、薄い砂糖の皮膜を繰り返し重ねて大きくし、直径1.5cmくらいとする。」と記載されている。
甲第10号証には、「こんぺいとう[金平糖]」の項に「とげとげの角(つの)のある直径1cmぐらいの掛け物菓子の一種。」と記載されている。

4.対比・判断
29条1項2号又は3号違反について>
甲第1及び3号証には、カフェインを封じ込んだカプセルが板ガムにちりばめてあり、シャリシャリとした独特の食感を有する「スティング」という商品名の板ガムが記載されている。
本件発明と甲第1及び3号証に記載の発明を対比すると、甲第1及び3号証に記載の「カフェイン」、「カプセル」及び「板ガム」は、本件発明の「呈味成分」、「粒状物」及び「粘弾性食品」にそれぞれ該当し、また、甲第1及び3号証においては、カフェインを任意の食品材料に担持させた状態でカプセルに封入していることは明らかであるから、カプセル内の封入されたカフェインを含有する内容物は、本件発明の「核部」に該当するといえる。
してみると、両者は、粒状物入り粘弾性食品において、該粒状物が核部とコーティング層とからなり、該核部が呈味成分を含有している点で共通するものと認められる。
しかしながら、甲第1及び3号証には、(a)核部上のコーティング層を構成するカプセル自体がいかなる材料を用いて調製されたものであるのか具体的な記載は何もなく、また、(b)カプセル内に封入されたカフェインを担持する内容物としていかなる食品材料が用いられるのか具体的な記載は何もない。
したがって、糖衣層でもってカプセルを形成することが甲第1及び3号証に記載されているといえるか否か、及びカプセル内に封入されたカフェインを担持する内容物(核部)がチューインガム以外の材料を用いて調製されたものであるのか否かについて、甲第1及び3号証の記載から直ちに判断することはできない。
そこで、これらの点についてさらに検討する。
審査段階で審査官が拒絶理由に引用した特開平4-222558号公報、特開平4ー228035号公報等の記載からも明らかなとおり、チューインガム生地にフレーバー等を含有するマイクロカプセルを配合して粒状物(マイクロカプセル)入り板ガムを製造することは、本件特許の出願前公知あるいは周知であったといえるが、かかる従来技術においては、マイクロカプセルを形成する材料として、ゼラチン、アラビアゴム等を用いるのが通常であったと認められる。
粒状物(マイクロカプセル)入り板ガムを製造する際に、該カプセルを糖衣層でもって形成することが本件特許の出願前公知あるいは周知であったという事実を見出すことはできない。(異議申立人は、上記事実を裏付ける証拠を何も提出していない。)
そうすると、甲第1及び3号証に記載の「カプセル」は、通常の材料であるゼラチン、アラビアゴム等を用いて作製されたものと解するのが自然であり、カフェインを封じ込むカプセルを糖衣層でもって形成することが甲第1及び3号証に実質的に記載されているとすることはできない。
この点について、異議申立人は、甲第4ないし6号証を提出して、その中の「スティング」の粒状物を分割して得られた断面写真と、常法により作製された糖衣の粒を分割して得られた断面写真とが類似していることを根拠に「スティング」の粒がマイクロカプセルなどではなく糖衣物であることは明らかである旨主張しているが、甲第4ないし6の写真A〜写真K’からは、「スティング」の粒状物の材質が何であるかを確認することはできず、異議申立人の上記主張は採用しない。
なお、甲第2号証には、「スティング」という商品名の板ガムが、本件特許の出願前の平成5年5月頃発売されたことが記載されているのみである。
してみると、上記(b)の点で両者が実質的に相違するかどうか検討するまでもなく、本件発明は、本件特許出願前に公然に実施された発明であるということはできず、また、本件特許出願前に頒布された甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明であるということはできない。

29条2項違反について>
本件特許明細書の記載によれば、本件発明は、粒状物入り粘弾性食品において、粒状物として、呈味成分を核部に含有させた糖衣物または/および呈味成分を糖衣層に含有させた糖衣物を用いることにより、呈味成分が早期に発現し、特徴ある風味を咀嚼開始持から終了持まで継続的に味わうことができ、しかも、食品の粘弾性と、粒状物のカリカリとした軽い歯触りとが共に感じられる特徴的食感を有し、また、呈味成分の経日安定性に優れた粒状物入り粘弾性食品を得ることができるという効果を奏するものである。
これに対して、甲第1及び3号証には、カフェインを封じ込んだカプセルが板ガムにちりばめてあり、シャリシャリとした独特と食感を有する「スティング」という商品名の板ガムが記載され、甲第2号証には、上記商品「スティング」が平成5年5月頃発売されたことが記載されているが、これらの刊行物には、先に記載したとおり、呈味成分であるカフェインを封じ込むカプセルを糖衣層でもって形成することについては記載されていない。
この点について、異議申立人は、甲第7ないし10号証に示されるとおり、核部を糖衣層で被覆して得られる粒状物を菓子の材料として用いることは周知であったから、甲第1及び3号証に記載の「カプセル」を糖衣層でもって形成ていることは、当業者において容易に想到し得ることである旨主張している。
上記主張について検討するに、甲第7号証には、着色した糖衣粒を菓子やプティ・フールの飾りに使用することが、甲第8号証には、砂糖に銀箔やアルミニウムと銅の合金でコーティングした銀粒を菓子類の飾りに用いることが記載されているが、粒状の糖衣物を板ガム等の粘弾食品に配合すること、及びそれに基づく上記効果を教示する記載は何もない。
また、甲第9号証には、かたい糖衣をつくるハード掛け物菓子の一種であるチャイナマーブルが、甲第10号証には、とげとげの角のある直径1cmぐらいの掛け物菓子の一種である金平糖が記載されているが、これらの掛け物菓子は、他の食品に配合することを目的としたものではなく、それ自身糖菓子として喫食されるものである。
甲第9及び10号証には、粒状の糖衣物を板ガム等の粘弾食品に配合すること、及びそれに基づく上記効果を教示する記載は何もない。
してみると、甲第1及び3号証に記載の「カプセル」を糖衣層でもって形成することは、甲第7ないし10号証の記載に基づいて当業者が容易に想到し得ることではない。
したがって、本件発明は、甲第1号証ないし甲第3号証及び甲第7号証ないし甲第10号証の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び提出した証拠方法によっては本件の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2003-03-25 
出願番号 特願平6-323742
審決分類 P 1 651・ 113- Y (A23G)
P 1 651・ 121- Y (A23G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 冨士 良宏引地 進  
特許庁審判長 田中 久直
特許庁審判官 種村 慈樹
田村 聖子
登録日 2002-02-08 
登録番号 特許第3276038号(P3276038)
権利者 カネボウフーズ株式会社 カネボウ株式会社
発明の名称 粒状物入り粘弾性食品  
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