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審決分類 審判 全部申し立て 特174条1項  A63B
審判 全部申し立て 2項進歩性  A63B
管理番号 1076548
異議申立番号 異議2002-72865  
総通号数 42 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-08-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-11-27 
確定日 2003-05-19 
異議申立件数
事件の表示 特許第3287944号「アイアンゴルフクラブヘッド」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3287944号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯

本件特許第3287944号の請求項1に係る発明についての出願は、平成6年2月17日に特許出願され、平成14年3月15日にその特許権の設定の登録がなされ、請求項1に係る特許について、特許異議申立人坪田あづみより特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成15年4月16日に特許異議意見書が提出されたものである。

2.本件発明
特許第3287944号の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「ヘッド本体とこのヘッド本体から立ち上がりシャフトと接合するホーゼルとからなるアイアンゴルフクラブヘッドにおいて、
ホーゼルの外径全体がヘッド本体部側に向かってテーパ形状に縮小し、
ホーゼルのテーパ形状がホーゼルの中心軸線に対して対称であり、
ヘッドの振り抜き方向にホーゼルの断面形状が長軸を有するように形成されていることを特徴とするアイアンゴルフクラブヘッド。」

3.特許異議申立ての概要
特許異議申立人坪田あづみは、本件発明に対して、概略以下の理由で本件発明の特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してなされたものである旨主張している。
(1)平成13年12月26日付けで行われた手続補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものではないから、特許法第17条の2第2項において準用する特許法第17条第2項に規定する要件を満たしていない。
(2)本件発明は、証拠として提出された本件出願前公知の甲第1号証(特開平5-123424号公報)、甲第2号証(特開平3-267076号公報)及び甲第3号証(特開平1-94875号公報)に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得た発明であるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4.引用刊行物の記載事項
当審が平成15年2月6日付けで通知した取消理由に引用した刊行物1乃至3には、以下の記載がある。

[刊行物1:特開平5-123424号公報(異議申立人提出の甲第1号証)]
(ア)「図面に示された、ゴルフクラブ10、たとえばアイアンには、ヘッド11とフェルール12が備わる。また図示のホーゼル13は、金属もしくは他の材料からなる前記ヘッドの1部として、典型的例として形成するか鋳造したものである。ソケット14はヘッドに付属し、それには内壁が備わり、それの下域は縦下方方向、概ねヘッドのヒールにおいて底部15方向にテーパーが付いている。」(第2頁第2欄第41行〜第48行)
(イ)「図5と7は、ソケットのテーパーが、ホーゼル内の長手方向に真直ぐで円形断面の内腔19の下の線または面18で示される帯域で始まり、ホーゼルの上端21から水平面18まで伸びることを示す。好ましくは、前記ソケットの内壁22のテーパー角が、たとえば、図5と7に出ているように変化するが、このようなテーパーが変化してゼロになって、円錐が画定しても差支えない。このようにして、壁22の前側面前縁22aには、垂直面に対して相対的に大きいテーパー角度αがつき、また前記内壁22の後側面(後縁)には、図示のように微分テーパーを条件にして、垂直線に対して相対的に小さい角度β(典型的な場合ではゼロになる)がつく。側面22cと22dのテーパー角度はαとβの間に広がっている。このようにして、テーパー内腔80は、面18の上の上部ホーゼルの円筒外面13aに対し、また前記面の上のホーゼル内腔13bに対し偏心している。」(第3頁第3欄第3行〜第19行)
(ウ)「図8と9においては、黒鉛シャフト60は環状で、軸62が備わる円筒中腔61を画定する。シャフトには、軸62に直角の面63の下に、下部60aが備わり、前記下部60aは前記シャフトの最下端60bの方向にテーパーが付いている。シャフト壁厚は内腔の片側(壁部64参照)では内腔の反対側の厚さ(面63のレベルの下の壁厚65参照)より大きい。図9に示すように壁部65には、端60bに向ってテーパーの付いた外面65aが備わる一方、壁部64には軸62に平行の外面64aが備わる。65aと64aの間のシャフト面のテーパーの度は、軸62の回りで65aから64aに向って減少する。」(第4頁第5欄第3行〜第14行)
(エ)「図10は、アイアンクラブヘッド67にあるホーゼルソケット66に集成された黒鉛シャフト示す。前記ホーゼルソケットには、円筒形の上部内腔68が備わり、面63の上の部分に相当する円筒シャフトの長さを収容する。ソケットにはさらに下部内腔70が備わり、テーパーがつけられていてシャフト下部60aのテーパーに適合する。このようにして、ホーゼルソケット下部も軸62に対応する軸を画定し、また前記方向に対し、縦方向にテーパーが付いた内壁70aが備わり、シャフトテーパー面65aを収容、座に嵌める。ソケットの対向壁73はシャフト面65aをホーゼルテーパー壁70aに対して締付ける結果として、シャフト壁面64aとの横向き締付係合を支えることになる。接着剤たとえばエポキシは、シャフトとホーゼル壁との接着に使用できる。シャフトテーパー壁65は前方方向、すなわちヘッドボール打撃フェース82と同一方向、すなわちヘッドスイングの方向に向いている。」(第4頁第5欄第15行〜第31行)
(オ)図10には、ホーゼルソケット66のホーゼルテーパー壁70aは、ヘッド側に向かってテーパ形状に形成されていることが図示されている。
[刊行物2:特開平3-267076号公報(異議申立人提出の甲第2号証)]
(カ)「次に、第11図に示すような、ゴルフクラブ1において、ゴルフクラブのヘッド2は、スイング時の空気抵抗値を減少させるため、ヘッド2のネック部5aの長さは、ヒール部端部からホーゼル上端部5bまでが40mmから75mmまでの範囲で、且つネック部5aの断面形状が略楕円若しくは流線形であり、更にスイング時ヘッドに乱流境界層を形成させ空気抵抗値を減少させるための粗面処理部4をヘッド2のネック部5aとソケット部6aとシャフト3の少なくともヘッド寄りの部分に形成したことを特徴とするゴルフクラブである。
このような構成にしたことにより、ネック部をショートネック化した点及び断面形状を略楕円若しくは流線形にすることにより空気抵抗値は減少すると共に、ショートネック化したことにより、ヘッドの重心が低重心化し、打球が上がりやすくなると言った作用も生じる。」(第11頁右上欄第20行〜左下欄第17行)
(キ)「なお、本発明に係るゴルフクラブは、ウッドタイプのゴルフクラブだけでなく、第21図乃至第22図に示すように、アイアンタイプのゴルフクラブにも適用することが出来る。」(第14頁右下欄第1行〜第4行)

[刊行物3:特開平1-94875号公報(異議申立人提出の甲第3号証)]
(ク)「この発明の重要な目的は中空を通過するときのゴルフのクラブヘッドにおける抗力を減じ、それによってクラブのヘッドスピードおよび安定性を増すことである。」(第3頁右上欄第17行〜20行)
(ケ)「上述の目的の双方とも、ゴルフボールの位置を通過するクラブの運動の方向に垂直である範囲において実質的にシャンクを薄くし、その一方でクラブヘッドの動きの方向に平行である寸法を先行技術のゴルフクラブヘッドと実質的的に同じに維持することによって、少なくとも一部で達成される。」(第3頁左下欄第6行〜第12行)
(コ)「第2図および第4図を参照すると、シャフトとの推移の場所におけるシャンクの幅の寸法はシャフトおよび環状ショルダ21の外径と等しく、その一方で第3図および第5図に見られる薄い寸法は実質的にシャフトおよび環状ショルダの直径より小さい。」(第4頁右上欄第9行〜第14行)

5.特許異議申立てについての判断
(1)特許法第17条第2項について
特許異議申立人は、 平成13年12月26日付けの手続補正書(以下、「本件補正」という)により 補正された特許請求の範囲の請求項1における「ホーゼルの外径全体がヘッド本体部側に向かってテーパ形状に縮小し、」は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないと主張する。
しかし、願書に最初に添付した明細書には、「図2はヘッド本体1のトウ側から見たアイアンゴルフクラブヘッドであり、ホーゼル2の外径がヘッド本体部1側に向かって縮小し、このフェース寄りのホーゼル2の部分はテーパ形状に形成してある。このテーパの勾配率は3/100〜20/100である。ホーゼル2のテーパ形状はホーゼル2の中心軸線に対して対称に形成し、またテーパ形状がフェース側で傾斜角度が大きくなっている。このホーゼル2の外径が縮小している部分を符号2Aで示す。この縮小部分2Aの肉厚はフェース寄りのみ薄くする必要はなく、均等であってよい。この縮小部分2Aのテーパの勾配率は好ましくは5/100程度である。」(段落【0009】)と記載されており、これら記載内容と図5及び図6に基づけば、ホーゼルは、全周に亘ってヘッド本体部側に向かってテーパ形状に縮小するものと理解される。そして、それを「外径全体」という表現を用いて記載したとしても、その記載は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内と認識することができるから、上記特許異議申立人の主張を採用することはできない。
したがって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第17条の2第2項において準用する特許法第17条第2項に規定する要件を満たしている。

(2)特許法第29条第2項について
(2)-1.刊行物1記載の発明の認定
上記4.(ア)〜(オ)の記載を含む明細書及び図面の記載からみて、刊行物1には、
「ヘッド11とこのヘッド11から立ち上がり黒鉛シャフト60と接合するホーゼルソケット66とからなるアイアンクラブヘッド67において、
ホーゼルソケット66のヘッドスイング方向側のみがヘッド11に向かってテーパ形状に縮小するように形成されているアイアンゴルフクラブヘッド。」
の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認めることができる。

(2)-2.対比・判断
本件発明と、刊行物1発明とを対比する。
刊行物1発明の「ヘッド11」、「黒鉛シャフト60」、「ホーゼルソケット66」、「アイアンクラブヘッド67」は、それぞれの機能に照らしそれぞれ、本件発明の「ヘッド本体」、「シャフト」、「ホーゼル」、「アイアンゴルフクラブヘッド」に相当する。
そうすると、本件発明と刊行物1発明とは、
「ヘッド本体とこのヘッド本体から立ち上がりシャフトと接合するホーゼルとからなるアイアンゴルフクラブヘッドにおいて、
ホーゼルがヘッド本体部側に向かってテーパ形状に縮小するように形成されているアイアンゴルフクラブヘッド。」
である点で一致し、先ず次の点で相違する。

[相違点]
ヘッド本体部側に向かってテーパ形状に縮小するように形成される箇所に関して、本件発明は、ホーゼルの外径全体であるのに対し、刊行物1発明は、ホーゼルのストローク方向側のみである点。

上記相違点について検討するに、刊行物1には、ヘッド本体部側に向かってテーパ形状に縮小するように形成される箇所を、ホーゼルの外径全体とする点について、記載も示唆もされていない。
ここで、上記刊行物2及び3においても、この点に対応する構成を備えることは記載も示唆もされておらず、また、この点は、当該技術分野において周知の技術でもない。さらに、刊行物1発明、刊行物2に記載された発明及び刊行物3に記載された発明を相互に適用しても本件発明に到達できたと認定することもできない。
そして、この点を具備する本件発明は、フェースに隣接するホーゼルの部分がフェースから遠ざかり、ボールをホーゼル寄りでヒットしてもシャンクすることがないという上記刊行物1乃至3に記載されていない作用効果を奏するものである。
したがって、本件発明と刊行物1発明との他の相違点についての検討、判断を示すまでもなく、本件発明は、刊行物1発明、刊行物2に記載された発明及び刊行物3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

6.むすび
以上のとおり、本件発明についての特許は、特許異議申立ての理由によっては取り消すことはできなく、また、他に、本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものとは認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2003-05-06 
出願番号 特願平6-43137
審決分類 P 1 651・ 55- Y (A63B)
P 1 651・ 121- Y (A63B)
最終処分 維持  
特許庁審判長 佐田 洋一郎
特許庁審判官 中村 圭伸
鈴木 秀幹
登録日 2002-03-15 
登録番号 特許第3287944号(P3287944)
権利者 ブリヂストンスポーツ株式会社
発明の名称 アイアンゴルフクラブヘッド  
代理人 醍醐 邦弘  
代理人 清水 徹男  
代理人 増田 竹夫  
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