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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 G11B 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備 G11B |
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管理番号 | 1077792 |
異議申立番号 | 異議2001-70604 |
総通号数 | 43 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1994-03-04 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-02-26 |
確定日 | 2003-03-15 |
異議申立件数 | 2 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3081082号「光情報媒体とその表面印刷方法」の請求項1ないし10に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3081082号の請求項1ないし10に係る特許を維持する。 |
理由 |
I.手続の経緯 本件特許第3081082号発明についての出願は、平成5年5月8日(優先権主張平成4年6月13日)に特許出願され、平成12年6月23日にその発明について特許登録の設定がなされ、その後、特許異議申立人金子 しの、及び、テイーデイーケイ株式会社より特許異議の申立てがなされ、平成13年8月17日に取消理由通知(平成13年8月28日発送)がなされ、その指定期間内である平成13年10月27日に訂正請求がなされたものである。 II.訂正の適否についての判断 II-1.訂正の内容 (1)訂正事項1 特許明細書の特許請求の範囲を、 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 板状の透光性基板上に直接または他の層を介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を備え、レーザ光により光学的に読み取り可能な情報が再生及び/または記録し得る光情報媒体において、前記透光性基板の再生光が入射する側の裏面側に紫外線硬化性樹脂からなる保護層が形成され、この保護層上に、表面に水性の印刷用インクが定着可能な親水性樹脂膜が、前記保護層との層界が一体となった結着状態で形成されており、この親水性樹脂膜の表面は、微細な粗面であることを特徴とする光情報媒体。 【請求項2】 板状の透光性基板上に直接または他の層を介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を備え、レーザ光により光学的に読み取り可能な情報が再生及び/または記録し得る光情報媒体において、前記透光性基板の再生光が入射する側の裏面側に紫外線硬化性樹脂からなる保護層が形成され、この保護層上に、表面に水性の印刷用インクが定着可能な親水性樹脂膜が、前記保護層との層界が一体となった結着状態で形成されており、この親水性樹脂膜の表面は、微細な粗面であり、この親水性樹脂膜の表面上に水性インクが定着されて、表示が施されたことを特徴とする光情報媒体。 【請求項3】 前記請求項1または2の光情報媒体において、保護層を形成する紫外線硬化性樹脂は、その架橋物の側鎖にヒドロキシル基、カルボキシル基、アクリル基、アミノ基または酢酸ビニル基を含むか、または架橋物の主鎖または側鎖に塩素基を含んでいることを特徴とする光情報媒体。 【請求項4】 前記請求項3の光情報媒体において、親水性樹脂膜を形成する樹脂は、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルホルマール、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ポリビニルピロリドン、モルホリンのうちの少なくとも1つを含む樹脂であることを特徴とする光情報媒体。 【請求項5】 前記請求項1〜4の何れかの光情報媒体において、親水性樹脂膜の表面は、平均粗さRaが2.0〜0.1μmの粗面であることを特徴とする光情報媒体。 【請求項6】 前記請求項1〜5の何れかの光情報媒体において、親水性樹脂膜の表面の微細な粗面は、親水性樹脂膜中に有機または無機顔料が分散されていることにより形成されていることを特徴とする光情報媒体。 【請求項7】 前記請求項1〜5の何れかの光情報媒体において、親水性樹脂膜の表面の微細な粗面は、親水性樹脂膜を形成した後、その表面に粗面加工を施すことにより形成されていることを特徴とする光情報媒体。 【請求項8】 前記請求項1または2の光情報媒体において、親水性樹脂膜の表面が親水性に改質処理されていることを特徴とする光情報媒体。 【請求項9】 板状の透光性基板上に直接または他の層を介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を備え、レーザ光により光学的に読み取り可能な情報が記録及び/または記録し得る光情報媒体の表面に印刷する方法において、前記透光性基板の再生光が入射する側の裏面側に紫外線硬化性樹脂からなる保護層が形成され、この保護層上に、表面に水性の印刷用インクが定着可能な親水性樹脂膜が、前記保護層との層界が一体となった結着状態で形成されており、この親水性樹脂膜の表面は、微細な粗面である光情報媒体を用意し、前記親水性樹脂膜の表面に向けて水性インクを噴出させて、同表面にインクを付着させ、この水性インクを同表面に定着させることを特徴とする光情報媒体の表面印刷方法。 【請求項10】 前記請求項9の光情報媒体の表面印刷方法において、水性インクは、インクジェットプリンタによって親水性表面に向けて噴出されることを特徴とする光情報媒体の表面印刷方法。」 を、 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 板状の透光性基板上に他の層を介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を備え、レーザ光により光学的に読み取り可能な情報が再生及び/または記録し得る光情報媒体において、前記透光性基板の再生光が入射する側の裏面側に紫外線硬化性樹脂からなる保護層が形成され、この保護層上に、表面に水性の印刷用インクが定着可能な親水性樹脂膜が、前記保護層との層界が一体となった結着状態で形成されており、この親水性樹脂膜の表面は、微細な粗面であることを特徴とする光情報媒体。 【請求項2】 板状の透光性基板上に他の層を介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を備え、レーザ光により光学的に読み取り可能な情報が再生及び/または記録し得る光情報媒体において、前記透光性基板の再生光が入射する側の裏面側に紫外線硬化性樹脂からなる保護層が形成され、この保護層上に、表面に水性の印刷用インクが定着可能な親水性樹脂膜が、前記保護層との層界が一体となった結着状態で形成されており、この親水性樹脂膜の表面は、微細な粗面であり、この親水性樹脂膜の表面上に水性インクが定着されて、表示が施されたことを特徴とする光情報媒体。 【請求項3】 前記請求項1または2の光情報媒体において、保護層を形成する紫外線硬化性樹脂は、その架橋物の側鎖にヒドロキシル基、カルボキシル基、アクリル基、アミノ基または酢酸ビニル基を含 んでいることを特徴とする光情報媒体。 【請求項4】 前記請求項3の光情報媒体において、親水性樹脂膜を形成する樹脂は、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルホルマール、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ポリビニルピロリドン、モルホリンのうちの少なくとも1つを含む樹脂であることを特徴とする光情報媒体。 【請求項5】 前記請求項1〜4の何れかの光情報媒体において、親水性樹脂膜の表面は、平均粗さRaが2.0〜0.1μmの粗面であることを特徴とする光情報媒体。 【請求項6】 前記請求項1〜5の何れかの光情報媒体において、親水性樹脂膜の表面の微細な粗面は、親水性樹脂膜中に有機または無機顔料が分散されていることにより形成されていることを特徴とする光情報媒体。 【請求項7】 前記請求項1〜5の何れかの光情報媒体において、親水性樹脂膜の表面の微細な粗面は、親水性樹脂膜を形成した後、その表面に粗面加工を施すことにより形成されていることを特徴とする光情報媒体。 【請求項8】 前記請求項1または2の光情報媒体において、親水性樹脂膜の表面が親水性に改質処理されていることを特徴とする光情報媒体。 【請求項9】 板状の透光性基板上に他の層を介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を備え、レーザ光により光学的に読み取り可能な情報が記録及び/または記録し得る光情報媒体の表面に印刷する方法において、前記透光性基板の再生光が入射する側の裏面側に紫外線硬化性樹脂からなる保護層が形成され、この保護層上に、表面に水性の印刷用インクが定着可能な親水性樹脂膜が、前記保護層との層界が一体となった結着状態で形成されており、この親水性樹脂膜の表面は、微細な粗面である光情報媒体を用意し、前記親水性樹脂膜の表面に向けて水性インクを噴出させて、同表面にインクを付着させ、この水性インクを同表面に定着させることを特徴とする光情報媒体の表面印刷方法。 【請求項10】 前記請求項9の光情報媒体の表面印刷方法において、水性インクは、インクジェットプリンタによって親水性表面に向けて噴出されることを特徴とする光情報媒体の表面印刷方法。」 と訂正する。 (2)訂正事項2 本件特許明細書の発明の詳細な説明の【0008】欄を、 「【0008】 【課題を解決するための手段】 すなわち、前記第一の目的を達成するため、本発明において採用した手段は、板状の透光性基板上に直接または他の層を介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を備え、レーザ光により光学的に読み取り可能な情報が再生及び/または記録し得る光情報媒体において、前記透光性基板の再生光が入射する側の裏面側に紫外線硬化性樹脂からなる保護層が形成され、この保護層上に、表面に水性の印刷用インクが定着可能な親水性樹脂膜が、前記保護層との層界が一体となった結着状態で形成されており、この親水性樹脂膜の表面は、微細な粗面であることを特徴とするものである。 さらに、前記光情報媒体の親水性樹脂膜の表面上に水性インクが定着されて、表示が施されたことを特徴とするものである。」 から、 「【0008】 【課題を解決するための手段】 すなわち、前記第一の目的を達成するため、本発明において採用した手段は、板状の透光性基板上に他の層を介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を備え、レーザ光により光学的に読み取り可能な情報が再生及び/または記録し得る光情報媒体において、前記透光性基板の再生光が入射する側の裏面側に紫外線硬化性樹脂からなる保護層が形成され、この保護層上に、表面に水性の印刷用インクが定着可能な親水性樹脂膜が、前記保護層との層界が一体となった結着状態で形成されており、この親水性樹脂膜の表面は、微細な粗面であることを特徴とするものである。ここで、「層界が一体となった結着状態」とは、保護層と親水性樹脂膜との層界が不可分の同一体となって結びついた状態を言う。 さらに、前記光情報媒体の親水性樹脂膜の表面上に水性インクが定着されて、表示が施されたことを特徴とするものである。」 と、訂正する。 (3)訂正事項3 本件特許明細書の発明の詳細な説明の【0009】欄を、 「【0009】 この光情報媒体の望ましい実施態様を挙げると、次の通りである。 CDの保護層は、紫外線硬化性樹脂からなるが、この保護層と親水性樹脂膜との結着性を高めるため、保護層を形成する紫外線硬化性樹脂は、その架橋物の側鎖にヒドロキシル基、カルボキシル基、アクリル基、アミノ基または酢酸ビニル基を含むか、または架橋物の主鎖または側鎖に塩素基を含んでいるのがよい。」 から、 「 【0009】 この光情報媒体の望ましい実施態様を挙げると、次の通りである。 CDの保護層は、紫外線硬化性樹脂からなるが、この保護層と親水性樹脂膜との結着性を高めるため、保護層を形成する紫外線硬化性樹脂は、その架橋物の側鎖にヒドロキシル基、カルボキシル基、アクリル基、アミノ基または酢酸ビニル基を含んでいるのがよい。」 と訂正する。 (4)訂正事項4 本件特許明細書の発明の詳細な説明の【0034】欄を、 「【0034】 これらの架橋物の防湿性を向上させるために、側鎖にフルオロカーポン等を含んでいてもよいし、ハロゲン化水素による劣化を防止するためにエポキシ樹脂を含んでいてもよい。 保護層25と親水性樹脂膜26との密着性を向上させるために、望ましくは、前記架橋物の側鎖にヒドロキシル基、カルポキシル基、アクリル基、アミノ基、酢酸ビニル基等を含んでいてもよいし、主鎖または側鎖に塩素基が含まれていてもよい。」 から、 「【0034】 これらの架橋物の防湿性を向上させるために、側鎖にフルオロカーポン等を含んでいてもよいし、ハロゲン化水素による劣化を防止するためにエポキシ樹脂を含んでいてもよい。 保護層25と親水性樹脂膜26との密着性を向上させるために、望ましくは、前記架橋物の側鎖にヒドロキシル基、カルポキシル基、アクリル基、アミノ基、酢酸ビニル基等を含んでいてもよい。」 と訂正する。 II-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1、請求項2及び請求項9について、「板状の透光性基板上に直接または他の層を介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を備え、」という記載のうち、「直接または」の文字を削除し、「板状の透光性基板に他の層を介して密着されて形成された樹脂かなる保護層を備え、」と訂正し、及び請求項3について、「保護層を形成する紫外線硬化性樹脂は、その架橋物の側鎖にヒドロキシル基、カルボキシル基、アクリル基、アミノ基または酢酸ビニル基を含むか、または架橋物の主鎖または側鎖に塩素基を含んでいる」という記載のうち、「むか、または架橋物主鎖または側鎖に塩素基を含」の文字を削除し「保護層を形成する紫外線硬化性樹脂は、その架橋物の側鎖にヒドロキシル基、カルボキシル基、アクリル基、アミノ基または酢酸ビニル基を含んでいる」と訂正するものであるが、これは、それらの請求項に記載された一部の構成の択一的部分の一つを削除するものであることから、これらの訂正は、「特許請求の範囲の減縮」に該当する。 訂正事項2は、発明の詳細な説明の【0008】欄の「板状の透光性基板上に直接または他の層を介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を備え、」という記載のうち、「直接または」の文字を削除し、「板状の透光性基板に他の層を介して密着されて形成された樹脂かなる保護層を備え、」と訂正するもので、この欄の記載を上記訂正事項1による特許請求の範囲の請求項1の訂正に整合させるためのものであり、 「微細な粗面であることを特徴とするものである。」と「さらに、」との間に、「ここで、『層界が一体となった結着状態』とは、保護層と親水性樹脂膜の層界が不可分の同一体となって結び着いた状態を言う。」という記載を追加することは、「層界が一体となった結着状態」の意味をより明確にするためのもので、これらの訂正は「不明瞭な記載の釈明」に該当する。 訂正事項3,4の訂正も、訂正事項1において請求項3を訂正したことに伴い、その記載を整合させるためのもので、やはり「不明瞭な記載の釈明」に該当する。 II-3.独立特許要件 II-3-1.取消理由通知の概要 当審が平成13年8月13日付でした取消理由通知の概要は以下のとおりである。 (1)特許法第36条第3項及び第4項違反 (1)-1.本件特許の特許請求の範囲の請求項1、請求項1を引用する各請求項、請求項9、請求項10及び段落番号【0008】、【0014】において、「層界が一体となった決着状態」、段落番号【0046】に「層界が一体となって決着性を向上させる」とあるが、具体的にどうのような状態なのか不明であるため、発明が明確でなく、当業者が容易にこの発明を実施することができない。 (1)-2.各請求項の板状の透光性基板上に直接樹脂からなる保護層を形成する例は、発明の詳細な説明のどの部分に対応するのか不明。 (2)特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項違反 (2)-1.出願日 請求項3には、「前記請求項1または2の光情報媒体において、・・・保護層を形成する紫外線硬化樹脂は、・・・または架橋物の主鎖または側鎖に塩素基を含んでいることを特徴とする光情報媒体。」と記載されているが、本件の出願時に願書に添付した明細書及び図面(特開平6-60432号公報参照)には、塩素基を含む紫外線硬化樹脂は明記も示唆もされていない。 しかるに、平成11年11月18日付け手続補正書において、「塩基」は官能基ではなく「塩素基」の誤りであるとして「塩素基」に補正して登録されており、本件特許は、願書に添付した明細書又は図面についてした特許をすべき旨の査定の謄本の送達前にした補正がこれらの要旨を変更するものと認められる特許出願に対してなされたものであると認められるので、本件特許に係る出願は、特許法等の一部を改正する法律(平成5年法律第26号)附則第2条第2項の規定により、なお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第40条の規定により、その出願について補正書を提出した時にしたものと見なされることから、「塩素基」への補正のなされた平成11年11月18日になされたと見なされる。 (2)-2.引用刊行物 刊行物1:特開平6-60432号公報 刊行物2:特開昭64- 43826号公報 刊行物3:特開昭62-134287号公報 刊行物4:特開平 3-131605号公報 刊行物5:特開昭62-160278号公報 刊行物6:特開昭63-218770号公報 刊行物7:特開平 3- 31309号公報 刊行物8:特開平 3- 35075号公報 刊行物9:特開昭59-168946号公報 刊行物10:特開昭51-63703号公報 刊行物11:特開昭59-67050号公報 刊行物12:特開平1-225582号公報 刊行物13:特開平64-58542号公報 刊行物14:特開昭51-45173号公報 刊行物15:特開昭62-235339号公報 (2)-3.判断 (2)-3-1.特許法第29条第1項第3号違反 本件の請求項1〜10に係る発明のうち請求項3に係る発明の択一部分である「架橋物の主鎖または側鎖に塩素基を含んでいる」を除く部分は全て上記刊行物1に記載されているので、請求項1〜10に係る発明は、上記刊行物1に記載の発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。 (2)-3-2.特許法第29条第2項違反(1) 本件の請求項1〜10に係る発明のうち請求項3に係る発明の択一部分である「架橋物の主鎖または側鎖に塩素基を含んでいる」を除く部分は全て上記刊行物1に記載されており、架橋物にハロゲンを含有させて接着性を向上させることも、刊行物2,6〜8にも記載されるように当業者の周知事項で、特に刊行物8の2-クロロエチル(メタ)アクリレートは塩素基を含有している。 従って本件の請求項1〜10に係る発明は請求項1に記載の発明に刊行物2,6〜8及び本件出願時の周知事項を勘案することにより、当業者が容易に想到可能であると認められる。 (2)-3-3.特許法第29条第2項違反(2) 出願日を本件の優先権主張日である平成4年6月13日と認めても、やはり公知である上記刊行物2と各請求項に係る発明を対比すると、上記刊行物2の透明基材、光記録層、ウラ材、インク吸収層(インク受容層)、光カードが、それぞれ本件の各請求項に係る発明の透光性基板、記録層、保護層、樹脂膜、光情報媒体に対応し、 (i)請求項1、2に係る発明 請求項1,2に係る発明において、保護層が紫外線硬化性樹脂で形成される点は、刊行物9等で公知、該保護層上に設ける樹脂膜を親水性樹脂膜とし水性インクでの印刷書込みを可能とする点は、刊行物3の水性インクを受容する(親水性の)インク吸収層を参照することにより容易に想到可能。 印刷層を粗面化してインクの乗りを良くすることも刊行物10,11に例示されるような周知事項に過ぎない。 本件請求項1、2に係る発明で、親水性樹脂膜が保護層と「層界が一体となった決着状態」で形成される点は、それがどのような状態か不明なため差異とはできない。 従って、請求項1,2に係る発明は、刊行物2,3,9,10,11に基づいて当業者が容易に発明可能。 (ii)請求項3に係る発明 保護層を形成する紫外線硬化性樹脂を、その架橋物の側鎖にヒドロシル基、カルボキシル基、アクリル基、アミノ基または酢酸ビニル基を含むか、または架橋物の主鎖または側鎖に塩素基を含ませることは、保護層、ウラ材に相当する刊行物3のアンカーコート層の形成材料を参照することにより容易に想到されるので、やはり請求項3に係る発明も、刊行物2,3,9,10,11に基づいて当業者が容易に発明可能。 (iii)請求項4に係る発明 親水性樹脂膜を形成する樹脂を、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルホルマール、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ポリビニルロリドン、モルホリンのうちの少なくとも1つを含む樹脂とする点は、刊行物2の実施例1,2のインク吸収層、刊行物3のインク吸収層の材料として該当物が用いられており、格別な差異とは認められない。 (iv)請求項5に係る発明 親水性樹脂の表面の平均粗さRaが2.0〜0.1μmの粗面とすることは、数値の臨界的意義を裏付けるデータが無く、刊行物10,11で示される粗面の粗さの範囲と重複しており、やはり刊行物2,3,9,10,11に基づいて当業者が容易に発明可能。 (v)請求項6に係る発明 親水性樹脂膜の表面の微細な粗面を、親水性樹脂膜中に有機または無機顔料が分散させて形成する点は、刊行物12,13に示される周知の粗面形成方法を採用したものに過ぎない。従って、請求項6に係る発明も刊行物2,3,9,10,11,12,13に基づいて当業者が容易に発明可能。 (vi)請求項7に係る発明 粗面加工が被膜形成の後になるのは当然。 (vii)請求項8に係る発明 被膜の親水性を高めるために改質処理を施すことは刊行物14,15に示されるように周知技術で、インクの乗りを考えれれば当然の処理。請求項8に係る発明も刊行物2,3,9,10、11,12,13,14,15に基づいて当業者が容易に発明可能。. (viii)請求項9に係る発明 請求項1に係る発明と同様に刊行物2,3,9,10,11に基づいて当業者が容易に発明可能。 (ix)請求項10に係る発明 インクジェットプリンタによって表面印刷を行うものは刊行物2に記載されているので、請求項10に係る発明も刊行物2,3,9,10,11に基づいて当業者が容易に発明可能。 さらに請求項1〜6、請求項9,請求項10については刊行物4及び5記載の発明に基づいても当業者が容易に想到可能である。 以上のとおり、本件の請求項1〜10に係る発明は、上記の刊行物1〜15に記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたと認められ特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (3)むすび 以上のとおり、本件特許出願の明細書及び本件請求項1〜10に係る発明は特許法第36条、第29条第1項第3号、第29条第2項に違反しており、本件に対する特許は特許法第113条第2項及び第4項の規定により取り消すべきであると認める。 II-3-2.当審の判断 上記訂正事項1で訂正された明細書、特許請求の範囲をもとに、上記取消理由の夫々について再度検討する。 (1)特許法第36条第3項及び第4項違反について (1)-1.「層界が一体となった決着状態」とは 言葉とおりの解釈で、「層界」は「保護層と親水性樹脂膜の境界部分」を指し、「一体」とは「不可分の同一体」を、「決着状態」は「結び着いた状態」を指すので、「層界が一体となった決着状態」とは「2つの層(保護層と親水性樹脂膜)がその間で不可分の同一体なって結び着いた様」を意味し、具体的には、異議申立人金子しのも認める、「(親水性樹脂膜を構成する成分と保護層を構成する)成分とが相互に移動・相溶し、組成が連続的に変化した第さんの層が形成されてなる状態」や、「2つの層がその層界で分子間結合している」状態、「溶接」のように接合部分で互いに溶け合い、金属結合している状態を指すと解して格別の不都合はないので、当業者が発明を容易に実施出来ないほど不明確とは言えない。 (1)-2.「板状の透光性基板上に直接樹脂からなる保護層を形成する」例 訂正事項1.2で各請求項及び発明の詳細な説明の関連箇所から「板状の透光性基板上に直接または他の層を介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を備え、」という記載のうち、「直接または」の文字を削除し、「板状の透光性基板に他の層を介して密着されて形成された樹脂かなる保護層を備え、」と訂正したので、その例は必要なくなった。 (1)-3.従って特許法第36条第3項及び第4項違反は解消した。 (2)特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項違反について 訂正事項1.3,4で請求項3及び発明の詳細な説明の関連箇所から「または架橋物の主鎖または側鎖に塩素基を含んでいるのがよい。」の部分を削除したため、「塩素基」に関する要旨変更の可能性は解消した。 従って、特許法第120条の4第3項で準用する特許法第128条に規定により、訂正後の明細書により特許出願、出願公開、特許査定、特許権の登録がなされたことになり、本件の出願日はその優先日である平成4年6月13日と見なされる。 その結果、(2)-3-1での刊行物1に記載の発明と同一とした特許法29条第1項第3号違反、(2)-3-2での、刊行物1に記載の発明と刊行物2,6〜8に記載の発明に基づく特許法第29条第2項違反(1)は解消した。 残る(2)-3-3について詳細に検討する。 訂正された特許請求の範囲の請求項1,2,これらを引用する請求項3〜8、請求項9、請求項9を引用する請求項10は、いずれも「保護層上に、表面に水性の印刷用インクが定着可能な親水性樹脂膜が、前記保護層との層界が一体となった結着状態で形成され」ているという構成を有している。 すでにII-3-2、(1)、(1)-1で述べたように「層界が一体となった結着状態」とは、「2つの層がその間で不可分の同一体なって結び着いた様」を意味し、単に一般的な2つの樹脂層の層界が一体になった決着状態ではなく、具体的には、水分の浸透を阻止して、反射層や記録層等の下層を保護する「保護層」と水性インクが定着容易な「親水性樹脂膜」という特別に相反する機能が要請される2つの樹脂層の層界が一体になった決着状態を意味する。層界が不可分の同一体と成り実質的に界面が消失する結果、明細書の【0014】欄の「親水性樹脂膜を設けたことによる耐候性の低下も来さず、通常の使用環境下でも光情報媒体の反り等が発生せず、光情報媒体への記録再生特性の劣化等も起こさない。 親水性樹脂膜は吸湿性を有するが、特に親水性樹脂膜は、前記保護層との層界が一体となった結着状態で設けられているので、親水性樹脂膜が吸湿したりインクを吸収しても、これらの水分が保護層と浸水性樹脂膜との層界に沿って浸透しない。これにより、保護層上に吸湿性のある親水性樹脂膜を設けても、同親水性樹脂膜の剥がれを確実に防止することができる。」の作用効果を奏する。 刊行物2〜15の何れにも、この様な構成ないしはこの様な構成を示唆する記載も認められない。 従って、訂正された特許請求の範囲の請求項1〜10に係る発明は、上記引用された刊行物1〜15に記載の発明と同一であるとも、それら刊行物に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることが出来たとも認められないので、特許法第29条第2項に違反しない。従って、上記各発明はその出願に際し独立して特許を受けることができると認められる。 II-4.まとめ 以上、いずれの訂正も、特許明細書又は図面に記載した範囲内のもので、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものでもなく、また、その訂正された発明はその出願に際し独立して特許を受けることができるものであるから、上記訂正請求は、特許法の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120の4第2項、同条第3項で準用する同法第126条第2〜4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 III.特許異議申立について III-1.本件発明 上記、検討の結果、訂正が認められ、訂正後の発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜10に記載された通りのものである(以後、「本件発明」という)。 III-2.特許異議申立の理由の概要 III-2-1.特許異議申立人金子 しのの申立て理由の概要 (1)特許法第36条違反 本発明に係る光情報媒体では、親水性樹脂膜と保護層との「層界が一体となった決着状態」で形成されてなることを特徴の一つとしているが、「層界が一体」なる規定は、その範囲が不明りょうであり、当業者といえどもその意味するところを理解できず、実施できない。 (2)特許法第29条第2項違反 甲第1号証(特開平3-131605号公報、上記刊行物4と同一物)には、保護層が紫外線硬化方樹脂組成物から成るコンパクトディスクが開示されている。また、保護層に印刷を施す際に、保護層に対するインクの接着性が問題になることが教示され、係る問題が、印刷に用いるインキに応じて保護層の表面張力を適宜設定することで解決されることも教示されている。 甲第2号証(特開昭62-160276号公報、上記刊行物5と同一物)には、疎水性基材表面に、インクジェット印刷等により水性塗料印刷を施す際に、該疎水性基材表面に、水溶性〜親水性ポリマーからインク受容層を設ける旨が教示されている。 甲第1号証に開示されているようなコンパクトディスクの紫外線硬化方樹脂層に、水性塗料によりインクジェット印刷を施す際に、外資凱旋硬化型樹脂層上に親水性樹脂膜を設けることは、甲第2号証の開示に鑑みれば当業者が容易に相当しうる程度のものに過ぎない。 III-2-2.特許異議申立人テイー・デイー・ケイ株式会社の申立て理由の概要 (1)特許法第40条 要旨変更 請求項3には、「前記請求項1または2の光情報媒体において、・・・保護層を形成する紫外線硬化樹脂は、・・・または架橋物の主鎖または側鎖に塩素基を含んでいることを特徴とする光情報媒体。」と記載されているが、本件の出願時に願書に添付した明細書及び図面(特開平6-60432号公報参照)には、塩素基を含む紫外線硬化樹脂は明記も示唆もされていないので塩素基を含むと規定することは要旨を変更する。その結果、出願日は補正書提出日である平成11年11月18日となる。 (II-3-1,(2),(2)-1参照) (1)-1.特許法第29条第1項第3号違反 「架橋物の主鎖または側鎖に塩素基を含む」点以外は、本件の公開公報である甲第3号証(特開平6-60432号公報、上記刊行物1と同一物)に記載されており、本件の請求項1,2、8〜10に係る発明と同一。 (1)-2.特許法第29条第2項違反(1) 請求項3〜7に係る発明は、上記甲第3号証と甲第4号証(特開昭64-43826号公報、上記刊行物2と同一物)、甲第5号証(特開昭62-134287号公報、上記刊行物3と同一物)に記載の発明より容易に想到可能である。 (2)特許法第29条第2項違反(2) 要旨変更で無い場合でも、甲第4,5号証に記載の発明から容易に想到可能である。 III-3.当審の判断 III-3-1.特許異議申立人金子 しのの申立てについて (1)特許法第36条違反について II-3-2、(1)、(1)-1「層界が一体となった決着状態」とは を参照。 (2)特許法第29条第2項違反について 甲第1,2号証はいずれも、「保護層上に、表面に水性の印刷用インクが定着可能な親水性樹脂膜が、前記保護層との層界が一体となった結着状態で形成され」ているという構成を有しないし、甲第2号証の水溶性から親水性ポリマーから成るインク受容層を甲第1号証に適用して、金属膜保護用紫外線硬化型樹脂組成物上にインク受容層を設ける動機付けは何処にも見られず、また設け得たとしても、塗布層であり、本件発明のものとは異なる。まして量層の「層界が一体となった結着状態」によって得られる特有の作用効果は期待し得ない。 従って、本件発明が甲第1,2号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明できたとは言えない。 II-3-2、(2)-3-3参照 III-3-2.特許異議申立人テイー・デイー・ケイ株式会社の申立てについて (1)要旨変更、要旨変更に伴う出願日の繰下げ及び出願日繰下げに伴う 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項違反について 訂正事項1.3,4で請求項3及び発明の詳細な説明の関連箇所から「または架橋物の主鎖または側鎖に塩素基を含んでいるのがよい。」の部分を削除したため、「塩素基」に関する要旨変更の可能性は解消した。その結果、本件の出願日はその優先日である平成4年6月13日と見なされることになり、本件の公開公報である甲第3号証(特開平6-60432号公報)は公知性を失うので特許法第29条第1項第3号違反、特許法第29条第2項違反(1)は解消した。 (2)特許法第29条第2項違反(2)について 甲第4号証のものは、光情報媒体である光カードの記録及び再生光入射側と反対側カード基材(ウラ材)に、顔料とバインダーから成る塗液を適当な支持体或は直接ウラ材の上に塗工してインクジェット記録方式のインクの定着が可能なインク吸収能力を持つ層状の構成を有するインク受容層を積層したものであり、ウラ材または支持体は、塗液を適当量吸収し接着する能力を持つプラスチック、紙、セラミックス、金属等が用いられる。第1図の実施例では、コロナ処理したポリエステルフィルムからなる支持体上に、ポリビニルアルコール、コロイダルシリカより成る塗布液をエアナイフコーターで塗布してインク受容層とし、その積層膜をアクリル樹脂からなるカードのウラ材に熱圧着した後、光記録層が形成されたアクリル樹脂からなる透明基材とEVA系ホットメルト型接着剤で接合して光カードを得ており、熱圧着の代りに接着層で結合しても良い。 第2図の実施例ではポリビニルピロリドン、メチルホルムアミド溶液とノボラック型フェノール樹脂溶液を混合した塗工液をポリカーボネートフィルムから成るウラ材上にバーコーター法で塗工、乾燥してインク受容層を形成するものである。これらはいずれもインク受容層を塗布、ないしはインク受容層を設けた支持体をウラ材に熱圧着ないしは接着するもので、一般的には「層界が一体となった結着状態」とはならない。インク受容層のポリエステルフィルムからなる支持体をアクリル樹脂からなるカードのウラ材に熱圧着すると溶着することが考えられるが、ポリエステルフィルムからなる支持体に親水性はない。 甲第5号証には、基材と該基材上に設けられたインク受容層とから成る被記録材において、基材上に、水及び水溶性有機溶剤を含む液媒体から成る記録液を不透過性のアンカーコート層を形成した被記録材が示されており、アンカーコート層は反応性あるいは架橋性のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、反応性の基を有する任意の樹脂に適当な架橋材を配合した反応性或は「硬化性樹脂組成物で、有機溶剤に対して耐久性のあるポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化フッ化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニル系樹脂が適する旨の記載がある。名カーコート層はこれらの樹脂を溶剤中に溶解して塗工液とし、これらを基材上にロールコーティング法等により塗布、乾燥、加熱架橋等して形成される。インク受容層は水溶性〜親水性の合成樹脂からなり、この樹脂のポリマーの単独あるいは混合物を、適当な溶剤に溶解または分散させて塗工液を調整し、該塗工液をロールコーティング等によりアンカーコート層状に塗工し、その後速やかに乾燥させて形成される。また水溶性〜親水性の合成樹脂の材料から、熱展伸法、Tダイ法等により単独のインク受容層を形成し、インク受容層に支持体としての機能を併せ持つようにして、該シートをアンカーコート層上にラミネートしたり、ポリマー材料をホットメルトコーティングする等によりアンカーコート層上にインク受容層を形成してもよいことが示されている。 これらは保護層であるアンカーコート層上に塗布によりインク受容層を形成するものが殆どであり、シート状に形成したインク受容層をアンカーコート層にラミネートないしはホットメルトコーティングするものも、必ずしも両者間に「層界が一体となった結着状態」が生じるとは限らないため、この「状態」の形成を示唆するものとは言えない。従って、甲第5号証のインクジェット記録の被記録材の技術を、光情報媒体である甲第号4証のものに適用しても、保護層と水溶性インク印刷用の親水性樹脂膜間に「層界が一体となった結着状態」を有し、特有の効果を有する本件発明を得ることは出来ない。 従って、甲第4,5号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に本件発明を想到できたとは言えない。 IV.むすび 以上のとおりであるから、異議申立ての理由及び証拠によっては本件発明及び本件出願に対する特許を取消すことは出来ない。 また他に本件発明及び本件出願に対する特許を取消す理由を発見しない。 よって結論お通り決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 光情報媒体とその表面印刷方法 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 板状の透光性基板上に他の層を介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を備え、レーザ光により光学的に読み取り可能な情報が再生及び/または記録し得る光情報媒体において、前記透光性基板の再生光が入射する側の裏面側に紫外線硬化性樹脂からなる保護層が形成され、この保護層上に、表面に水性の印刷用インクが定着可能な親水性樹脂膜が、前記保護層との層界が一体となった結着状態で形成されており、この親水性樹脂膜の表面は、微細な粗面であることを特徴とする光情報媒体。 【請求項2】 板状の透光性基板上に他の層を介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を備え、レーザ光により光学的に読み取り可能な情報が再生及び/または記録し得る光情報媒体において、前記透光性基板の再生光が入射する側の裏面側に紫外線硬化性樹脂からなる保護層が形成され、この保護層上に、表面に水性の印刷用インクが定着可能な親水性樹脂膜が、前記保護層との層界が一体となった結着状態で形成されており、この親水性樹脂膜の表面は、微細な粗面であり、この親水性樹脂膜の表面上に水性インクが定着されて、表示が施されたことを特徴とする光情報媒体。 【請求項3】 前記請求項1または2の光情報媒体において、保護層を形成する紫外線硬化性樹脂は、その架橋物の側鎖にヒドロキシル基、カルボキシル基、アクリル基、アミノ基または酢酸ビニル基を含んでいることを特徴とする光情報媒体。 【請求項4】 前記請求項3の光情報媒体において、親水性樹脂膜を形成する樹脂は、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルホルマール、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ポリビニルピロリドン、モルホリンのうちの少なくとも1つを含む樹脂であることを特徴とする光情報媒体。 【請求項5】 前記請求項1〜4の何れかの光情報媒体において、親水性樹脂膜の表面は、平均粗さRaが2.0〜0.1μmの粗面であることを特徴とする光情報媒体。 【請求項6】 前記請求項1〜5の何れかの光情報媒体において、親水性樹脂膜の表面の微細な粗面は、親水性樹脂膜中に有機または無機顔料が分散されていることにより形成されていることを特徴とする光情報媒体。 【請求項7】 前記請求項1〜5の何れかの光情報媒体において、親水性樹脂膜の表面の微細な粗面は、親水性樹脂膜を形成した後、その表面に粗面加工を施すことにより形成されていることを特徴とする光情報媒体。 【請求項8】 前記請求項1または2の光情報媒体において、親水性樹脂膜の表面が親水性に改質処理されていることを特徴とする光情報媒体。 【請求項9】 板状の透光性基板上に他の層を介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を備え、レーザ光により光学的に読み取り可能な情報が記録及び/または記録し得る光情報媒体の表面に印刷する方法において、前記透光性基板の再生光が入射する側の裏面側に紫外線硬化性樹脂からなる保護層が形成され、この保護層上に、表面に水性の印刷用インクが定着可能な親水性樹脂膜が、前記保護層との層界が一体となった結着状態で形成されており、この親水性樹脂膜の表面は、微細な粗面である光情報媒体を用意し、前記親水性樹脂膜の表面に向けて水性インクを噴出させて、同表面にインクを付着させ、この水性インクを同表面に定着させることを特徴とする光情報媒体の表面印刷方法。 【請求項10】 前記請求項9の光情報媒体の表面印刷方法において、水性インクは、インクジェットプリンタによって親水性表面に向けて噴出されることを特徴とする光情報媒体の表面印刷方法。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、再生光が入射するのと反対側の面に、印刷インクを用いて印刷が可能な光情報媒体と、その表面への印刷方法に関する。 【0002】 【従来の技術】 現在、オーディオや情報処理等の分野で、コンパクトディスクの名称を有する光情報媒体(以下「CD」と称する。)が広く普及している。このCDは、ポリカーボネート等のドーナツ状の円板からなる基板の上に金やアルミニウム等を蒸着して反射層を設け、さらにその上を紫外線硬化性樹脂等の保護層で覆った構造になっている。そして、データは、前記基板の表面に螺旋状の配列に従って凹凸状のピットを形成することで記録してあり、このピットは、基板を成形するときにスタンパー等の型に倣って予め形成しておき、その上に前記の反射層が設けられいる。従って、このCDは、製造されたときは、既にデータが記録されており、再生専用の光情報媒体として使用される。 【0003】 このCDは、それに記録された内容を示すインデックス表示や各種のデザインを紫外線硬化性インクや油性インクによって保護層の表面に印刷してある。これらの印刷は、通常、スクリーン印刷、タンポ印刷或はオフセット印刷といった版の転写による印刷手段により行なわれている。これらの印刷手段は、同一パターンを同時に多数印刷する、いわゆる多量印刷に適する印刷手段である。 【0004】 一方、いわゆるカラオケブームに象徴されるように、アマチュアによる自演熱が高まり、その裾野が広がるに伴い、アマチュア演奏家が比較的少数の自作CDを作る活動も盛んになってきた。これらの自作CDは、例えば、プロモーション用、オーディション用、テスト用或は自費出版用等として作られる。特に、レーザーを用いて1回だけ記録することができ、その記録内容をCDプレーヤーで再生できる、いわゆるCD-WO等のライトワンス型の光情報媒体が開発されるに至り、こうした自作CDがより手軽に作ることができるようになった。また、コンピュータの分野においてもいわゆるCD-ROMが広く普及し、いわゆるライトワンス型の光情報媒体の普及に伴い、CD-WOを用いてユーザが自作のCD-ROMを作ることも行われるようになっている。 【0005】 【発明が解決しようとしている課題】 こうして作られた自作CD等の光情報媒体の保護層には、何も記載されていないか、或は紫外線硬化性インクや油性インクによって共通の文字や図柄が印刷されてるだけであり、パーソナルな情報を光情報媒体に記録する前、或は後に保護層の表面或はレーベルの印刷面に記録内容のインデックスや、さらに必要があればその他のデザインを表示する必要が生じる。 【0006】 しかし、前記の印刷手段は、保護層を設けた後、その製造工程で印刷するものであり、保護層の面も印刷面も共に疎水性であるために、パーソナルな情報の記録後に保護層の表面に印刷するには過大な設備を要し、個人的に任意の情報を自由に印刷することは困難である。このため、一般に油性のフエルトペン等を用いて保護層の表面に書き込む方法や、ラベル等を貼って表示を施す手段がとられる。しかし、1枚ずつ手で書き込まなければならないため、面倒であると共に、描いたパターンや描画品質にバラツキが出たりするため、体裁が悪く、折角作った光情報媒体の外観を損なうという問題があった。また、特にラベルを貼った場合は、表示面がラベルの厚さだけ盛り上がり、再生や追記の際に光情報媒体の偏心や面ブレ等を招くという問題があった。 【0007】 本発明は、このような従来の問題点に鑑み、第一に光情報媒体の保護層の表面に一定の文字や図柄を容易かつ良好に形成することができる光情報媒体を提供することを目的とする。第二に、比較的少数の光情報媒体について、一定の文字や図柄を容易に、且つほぼ一定の品質で光情報媒体表面に印刷可能な光情報媒体への印刷方法を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】 すなわち、前記第一の目的を達成するため、本発明において採用した手段は、板状の透光性基板上に他の層を介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を備え、レーザ光により光学的に読み取り可能な情報が再生及び/または記録し得る光情報媒体において、前記透光性基板の再生光が入射する側の裏面側に紫外線硬化性樹脂からなる保護層が形成され、この保護層上に、表面に水性の印刷用インクが定着可能な親水性樹脂膜が、前記保護層との層界が一体となった結着状態で形成されており、この親水性樹脂膜の表面は、微細な粗面であることを特徴とするものである。ここで、「層界が一体となった結着状態」とは、保護層と親水性樹脂膜との層界が不可分の同一体となって結び着いた状態を言う。 さらに、前記光情報媒体の親水性樹脂膜の表面上に水性インクが定着されて、表示が施されたことを特徴とするものである。 【0009】 この光情報媒体の望ましい実施態様を挙げると、次の通りである。 CDの保護層は、紫外線硬化性樹脂からなるが、この保護層と親水性樹脂膜との結着性を高めるため、保護層を形成する紫外線硬化性樹脂は、その架橋物の側鎖にヒドロキシル基、カルボキシル基、アクリル基、アミノ基または酢酸ビニル基を含んでいるのがよい。 【0010】 親水性樹脂膜を形成する樹脂は、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルホルマール、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ポリビニルピロリドン、モルホリンのうちの少なくとも1つを含む樹脂により成膜されてなることが望ましい。 【0011】 親水性樹脂膜の表面は、その平均粗さRaが2.0〜0.1μmの粗面であることが望ましく、例えばその微細な粗面は、親水性樹脂膜中に顔料を分散させて形成するか、あるいは親水性樹脂膜を形成した後、その表面に粗面加工を施すことにより形成することができる。 【0012】 さらに本発明では、前記第二の目的を達成するため、光情報媒体の表面に印刷する方法として、前記のような光情報媒体の親水性樹脂膜の表面に向けて水性インクを噴出させて、同表面にインクを付着させ、この水性インクを同表面に定着させることを特徴とする光情報媒体の表面印刷方法を提供する。この場合、印刷は、インクジェットプリンタによって行うことができる。 【0013】 【作用】 本発明による光情報媒体では、再生光が入射する側の裏面側に、印刷用インクが定着可能な親水性樹脂膜を形成したことにより、水性インクを用いる筆記具や油性インクの用いる筆記具の何れの筆記手段によっても任意に文字や図柄を描くことができる。もちろん、紫外線硬化インク等の他の方法によることも可能である。 【0014】 前記親水性樹脂膜の表面上に水性インクが定着して施された表示を有する光情報媒体は、ラベル等を貼って表示を施したものに比べて、表示面が平坦となるために、再生や追記の際の偏心や面ブレ等が発生するのを防止することができる。 光情報媒体の保護層は、紫外線硬化樹脂からなり、この保護層上に親水性樹脂膜を、前記保護層との層界が一体となった結着状態で設けることにより、保護層の保護機能が向上する。これにより、光情報媒体の表層の親水性樹脂膜の剥がれが起こらず、信頼性の高い光情報媒体を得ることができる。しかも、親水性樹脂膜を設けたことによる耐候性の低下も来さず、通常の使用環境下でも光情報媒体の反り等が発生せず、光情報媒体への記録再生特性の劣化等も起こさない。親水性樹脂膜は吸湿性を有するが、特に親水性樹脂膜は、前記保護層との層界が一体となった結着状態で設けられているので、親水性樹脂膜が吸湿したりインクを吸収しても、これらの水分が保護層と浸水性樹脂膜との層界に沿って浸透しない。これにより、保護層上に吸湿性のある親水性樹脂膜を設けても、同親水性樹脂膜の剥がれを確実に防止することができる。 【0015】 このような要請にかない、しかも、インクの塗れ性や親水性等の印刷性を良好にするための親水性樹脂膜として、前述したポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルホルマール、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ポリビニルピロリドン、モルホリンのうちの少なくとも1つを含む樹脂により成膜されているものがあげられる。 【0016】 親水性樹脂膜の表面は、微細な粗面であることにより、インクの接触角が粗面でない場合よりも小さくなるため、インクの付着が良好になり、印刷性が向上する。また、光情報媒体を手で扱っても指紋等が付着することがなくなるため、取扱性も良好となる。 【0017】 前記親水性樹脂膜の表面に向けて水性インクを噴出させて、同表面にインクを付着させ、この水性インクを同表面に定着させる本発明の表面印刷方法によれば、保護層や基板を傷めることなく光情報媒体の表面に表示を施すことができる。また、光情報媒体の表面が平坦となり、再生や追記の際の偏心や面ブレ等が発生するのを防止できる。 【0018】 特に、インクジェットプリンタによってインクを噴出させて印刷する方法では、例えば予めパーソナルコンピューターで印刷する文字や図柄等を作っておき、それを繰り返し印刷できるため、印刷パターンや印刷品質のバラツキの少ない表示が容易に施せる。 【0019】 【実施例】 次に、図面を参照しながら、本発明の実施例について具体的に説明する。 図1は、光情報媒体を再生光が入射する面の裏面側から見たもので、透光性基板21は同図において下面側となっている。この図に示すように、紫外線硬化樹脂層25の表面に親水性樹脂膜26が形成されている。光情報媒体の中心に設けられた孔は、CDプレーヤーに光情報媒体をセットしたとき、スピンドルのクランパーでクランプするためのクランプ孔4である。 【0020】 図2は、前記光情報媒体の例として、いわゆるライトワンス型の光情報媒体の断面を模式的に示している。ポリカーボネート樹脂等からなる透光性基板21の上に螺旋状にトラッキング用の案内溝22が形成され、その上に色素記録層23がコーティングされている。この色素記録層23の上に金、銀、アルミニウム等の金属膜からなる反射層24が形成され、その上に保護層25が設けられている。さらに、この保護層25の上に後述する親水性樹脂膜26が形成されている。この親水性樹脂膜26の表面に後述するような粗面加工や改質処理を施すこともできる。 【0021】 【0022】 図4は、このようなライトワンス型の光情報媒体の前記親水性樹脂膜26にインクジェット記録を行う印刷装置の要部構成を示す断面図であり、図3は、このような装置でインクジェット記録を行うときに、光情報媒体2を保持するホルダ31である。 【0023】 ホルダ31は矩形であり、その中心に光情報媒体2の外径よりごく僅かに大きな円形の孔33が設けられ、この内側に光情報媒体2の外周縁を保持する段部32が全周にわたって設けられている。この段部3の深さは、光情報媒体2の厚さより僅かに浅い。このため、図3に示すように、親水性樹脂膜26側を上にして光情報媒体2をホルダ31の孔33の中に嵌め込み、光情報媒体2の再生光の入射面側の外周部を段部32で支持すると、光情報媒体2は、その親水性樹脂膜26の表面がホルダ31の表面より僅かに上に出るように同ホルダ31に保持される。 【0024】 こうしたホルダ31に保持された光情報媒体2を、図4に示す印刷装置の送りテーブル41の上に伸せ、ローラ42、43をホルダ31の端の部分に当たる位置に送る。コンピュータ等から印刷信号が印刷装置に入力すると、ローラ42、43の駆動によりホルダ31の送りが開始される。この光情報媒体2がテーブル41上を通過する位置の真上に印字ヘッド44が配置され、この印字ヘッド44から印刷用インクの粒を光情報媒体2の親水性樹脂膜26の表面に噴出させ、同膜26の表面に文字や図柄等を印刷する。 【0025】 既に述べた通り、図4に示す印刷装置はインクジェット印刷を行うインクジェットプリンタである。この種のプリンタでは、周知のように、印字ヘッド44に複数本の細い印字ノズルが配列されている。この印字ノズルは、例えば、電気信号により動作する電気熱変換体によって印字ノズル中のインクにバブルを発生させ、ノズル先端からインクを噴出させる。これにより、前述のように、送りテーブル41に沿って搬送される光情報媒体2の親水性樹脂膜26の表面上の所定の位置にインクを付着させる。 【0026】 光情報媒体2に使用される前記の板状の透光性基板21は、レーザ光に対する屈折率が1.4〜1.6の範囲の透明度の高い材料で、耐衝撃性に優れた樹脂が使用される。具体的には、ポリカーボネート、ポリオレフィン、アクリル等が例示できるが、これらに限られる訳ではない。 透光性基板21は、このような樹脂材料を用いて、例えば、射出成形法等の手段により成形される。図2に示されたように、このような透光性基板21の表面には、スパイラル状の案内溝22または、他の形状によるトラッキングガイド手段を設けておいても良い。このようなトラッキングガイド手段は、通常、スタンパを用い、公知の方法にて形成できる。 【0027】 この光情報媒体は、レーザ光により光学的に読み取り可能な情報を記録するための部分か、或は記録した部分の少なくとも何れかを備えており、これは例えば、レーザ光を照射することにより、光学的に情報を再生または記録し得る層や、記録または再生に関与する基板表面或はそれ以外の表面を意味する。例えば、図2に示した前述のライトワンス型の光情報媒体の場合、透光性基板21の上に形成された色素記録層23とその上に形成された反射層24により、情報の記録と再生を可能にする。他方、基板上に光反射層及び保護層が順次積層されたCD等の読み出し専用の光情報媒体では、透光性基板21上に形成されたピット列とそれを覆う反射層とにより情報の再生を行う。 【0028】 記録や再生の方式は、光学的なものであり、レーザ光によるものや光磁気記録再生方式等が一般的である。このような情報の記録や再生は、光情報媒体の片面側から行われ、具体的には透光性基板21の表面側からレーザ光を入射させる等の手段で行われる。他方の面側から光学的な情報の記録や再生は行われない。 記録光、再生光としてレーザ光を用いる場合、波長770〜830nmのものが一般的であるが、これ以外の波長のレーザ光を使用してもよい。 【0029】 さらに、図2に示した色素記録層23や反射層24の他に、他の層を設けることもある。例えば、結着性を向上させるための層等、情報を記録する以外に信頼性を向上させるための層等を設けることもある。また図2では、色素記録層23が透光性基板21上に直接被着されているが、その間に他の層が設けられる場合もある。 【0030】 保護層25は、透光性基板21と反対側から受ける物理的または機械的障害に対して情報記録部分を保護する層であり、透光性基板21側と反対側に設けられる。このような保護層25は、耐衝撃性に優れた樹脂が望ましい。保護層25の厚みは、5〜10ミクロンの範囲が望ましく、それは材質の異なる複数の層からなるものであっても構わない。 【0031】 保護層25は、一般には重合してポリマーとなり得る有機化合物のモノマー及びオリゴマーを塗布後、架橋反応させることによりこれを得ることができる。架橋反応により有機ポリマーとしてこれを得る場合には、作業性の面から分子中にひとつ以上の反応性アクリロイル基(-CH=CH2)を持つ有機重化合物のモノマー及びオリゴマーの混合物に反応開始剤、反応触媒を少量加え、メチルエチルケトン、アルコール等の溶剤で液状としたこれらの混合物を塗布し、紫外線を照射することにより架橋させる。保護層25の形成の際の基板や情報層への悪影響を防止し、短時間で形成できるため、紫外線硬化樹脂を使用する。 【0032】 このような紫外線硬化樹脂は、光情報媒体に用いるものであれば、公知の紫外線硬化樹脂が適用可能である。具体的には、Nビニルピロリドン、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート等の樹脂を例示できる。 【0033】 こうして得られた架橋物の主鎖及び側鎖は、飽和もしくは不飽和系の直鎖状炭化水素であってもよいし、メラミン、ビスフェノール系等の環状化合物を含んでいてもよい。また、この架橋物の主鎖または側鎖の途中に一個以上のエーテル結合を含むポリエーテル、エステル結合を含むポリエステル、ウレタン結合を含むポリウレタン、イオン結合を含むアイオマー、アミド結合を含むポリアミド、イミド結合を含むポリイミド、スルホン結合を含むポリスルホン、スルフィド結合を含むポリスルフィド等に例示されるその他の結合を含んでいてもかまわない。これらの結合をふたつ以上含む共重合化合物であってもよいし、ブロックポリマーであってもかまわない。 【0034】 これらの架橋物の防湿性を向上させるために、側鎖にフルオロカーボン等を含んでいてもよいし、ハロゲン化水素による劣化を防止するためにエポキシ樹脂を含んでいてもよい。 保護層25と親水性樹脂膜26との密着性を向上させるために、望ましくは、前記架橋物の側鎖にヒドロキシル基、カルボキシル基、アクリル基、アミノ基、酢酸ビニル基等を含んでいてもよい。 【0035】 保護層25の形成の際には、塗布中に樹脂とその反応剤、反応開始剤等のほかに、塗布性を向上させるために、溶剤、希釈剤が含まれていてもよい。また、塗膜の安定化を図るために、レベリング剤や、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、等が含まれていてもよい。必要に応じて、顔料や染料により着色してあってもかまわない。 【0036】 樹脂の硬化は、架橋構造の架橋密度ないしは反応性アクロイル濃度によってこれを変えることができ、主鎖となり得るオリゴマー自体の分子回転の自由度によっても変わってくる。この保護層25の硬化の際の収縮率を低くすると、これを硬化させた後に、樹脂の歪みが残らないようにヒートサイクル試験を行ったときでも、保護層25に割れが生じにくくなる。機械的強度を考慮すると、この収縮率は12%以下が望ましく、さらには10%以下がより望ましい。 【0037】 なお、光反射層24と保護層25との間に、光反射層24の酸化を防止する耐酸化層を介在させることもできる。 【0038】 本発明では、このような光情報媒体において、読み取りレーザ光入射側と反対側の面を印刷用インクが定着できるように、前記保護層25上に親水性樹脂膜26を形成し、その表面を親水性表面27としている。この親水性表面27とは、水性のインクを滴下し、30分後に手で触れてもインクがにじまない程度にそのインクを定着するのに充分な親水性を有する表面である。すなわち、インクの乾燥により単にインクが付着した状態ではなく、容易に消すことができない程度にインクが定着可能な膜をいう。親水性表面27上に印刷されたインクは、その付着面積を縮小することなく、親水性表面27に定着する。 【0039】 例えば、図2に示すように、保護層25の表面に親水性の樹脂をコーティングし、薄い親水性樹脂膜26を形成することで、その表面を親水性表面27とし、そこに印刷用インクが定着できるようにしている。このような親水性樹脂の例としては、例えば、ポリエチレンオキサイド(polyethylen oxide)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)、ポリビニルメチルエーテル(polyvinylmethyl ether)ポリビニルホルマール(polyvinyl formal)、カルボキシビニルポリマー(carboxyvinyl polymer)、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethyl cellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxypropyl cellulose)、メチルセルロース(methyl cellulose)、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(sodium carboxymethyl cellulose)、ポリビニルピロリドン(polyvinyl prrolidone)、モルホリン(morpholine)等を挙げることができる。これらの親水性樹脂を少なくとも1種以上を用意し、必要に応じて他の添加剤を配合してコーティングする。 【0040】 これらの樹脂は、光情報媒体の耐候性、耐水性、反り等の信頼性や製造性を考慮し、配合バランスを調整して混合する。親水性樹脂の添加量は、5重量%以上、溶解限度(例えば50重量%)程度が考えられるが、5〜20重量%の範囲とすることが望ましい。多すぎると耐水性が悪くなり、印刷作業性も悪化しやすくなる。少くなすぎると、インクのぬれ性が悪くなり、印刷後のかすれが生じやすくなる。 【0041】 前記親水性材料中に、別に添加剤を配合することもできる。例えば、吸水性顔料、湿潤剤、消泡剤、表面張力調整剤等を配合することも望ましい。具体的には、微粉シリカ等の無機顔料、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、メチルセルロース等の微粉末、特殊コーティングにより、アミド系アクリレート等に不溶とされたポリビニルピロリドン、アクリル酸ビニルアルコール共重合体(スミカゲルSP-510:住友化学製)等の有機顔料、アニオン系またはノニオン系の公知の湿潤剤(ノプコ2272RSN、ノプコウェツト50、ノプコウェツトSN20T:いずれもサンノプコ製)、消泡剤(ノプコ8034:サンノプコ製、デヒドラン1620:ヘンケル製)、表面張力調整剤(ペレノールs43、同s5:ヘンケル製)、ポリエチレンイミン(SP103 日本触媒(株))等の増粘剤を例示することができる。 【0042】 添加剤としての吸水性顔料は、インクの印刷性の調整や親水性膜形成の際の作業性等を調整するという役割を果たす。湿潤剤は湿潤性を向上させ、流動性を調整し、低起泡性のものを得ることができ、スクリーン印刷等の光情報媒体の製造工程中における他の層形成工程と同様の設備にて形成することが可能になるため、製造効率を向上させることができる。消泡剤や表面張力調整剤は、ムラなく塗膜を形成することができる。 【0043】 親水性樹脂中に顔料を添加することにより、親水性樹脂膜26を不透明または濁色としたり着色することも可能である。このようにすることにより、インクの色や印刷の程度に応じて適した光情報媒体を選択することができ、美観の向上を図ることができる。また、保護層下に設けられた層の色彩を活かして、いわゆるヌキ部分を形成することにより浮き彫り模様とすることも可能である。 【0044】 前記親水性樹脂膜26には、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、エチルセロソルブ、ジメチルフォルムアミドその他の溶剤は含まないことが望ましい。溶剤は、下の保護層や紫外線硬化樹脂を侵し、信頼性が低下する場合もある。また、溶剤を含むとスクリーン印刷等の手段により親水性樹脂膜26を形成する際の粘度等が変化し、製造上不都合が生じるからである。 【0045】 親水性樹脂膜26の厚みは、光情報媒体としての記録再生特性に影響が生じることを防止するため5〜30ミクロンの範囲とすることが望ましい。このような膜厚は、上記の材料を適宜配合して粘度等を調整することにより得ることができる。 【0046】 親水性樹脂膜26は紫外線硬化樹脂かなる保護層25の上に形成する。この場合に、保護層25としての紫外線硬化樹脂膜を成膜した直後、すなわち、下地となる紫外線硬化樹脂が完全に硬化する前の活性が損なわれない状態の間に、親水性樹脂膜26を形成することにより、それらの層界が一体となって結着性を向上させることができる。 【0047】 親水性樹脂膜26は、保護層25の全表面にわたって設けてもよいが、例えば、図1に示すように、保護層25の内外周の縁部を除いて設けることもできる。 親水性樹脂膜26の表面は微細な粗面とし、この微細表面状態により、親水性樹脂膜26の表面に印刷インクが付着したとき、微細な凹部に印刷インクが保持されて定着する、いわゆる投錨効果が付与される。また、粗面によって親水性樹脂膜26の表面積が増大され、インク吸収を促進することができる。 【0048】 ここにいう粗面とは、水性インクに対する接触角が粗面としない場合よりも小さいものをいい、望ましくは触針式表面粗さ測定器による平均粗さ(Ra)が2.0〜0.1μm程度がよい。この表面粗さの水性インクに対する効果は、膜の物性により多少の違いがあるが、総じて、表面粗さが小さい場合には、ファインラインは解像度良好に描くことができるものの、ベタにインクを形成した場合にかすれが生じる恐れがあり、表面粗さが大きすぎると、ファインラインもベタも共ににじみやすい。特に、平均粗さ(Ra)を1.0〜0.5μm程度とすることにより、ファインライン印刷もベタ印刷も共に実用上良好に印刷することが可能になる。 【0049】 このような親水性樹脂膜26の微細な粗面は、保護層25の表面に親水性樹脂をグラビア塗工することで形成できるが、例えば、保護層25の表面にフィラーを混合した親水性樹脂をスクリーン印刷やスピンコーティングによりコーディングすることで形成することもできる。例えば親水性樹脂膜26中に、フィラーとして有機または無機顔料を分散すると、容易に粗面を形成でき、その投錨効果も大きい。顔料の粒径は、1〜10μm程度が適当であり、特に3〜5μmの大きさであると、ベタ印刷性が良好になる。また、親水性樹脂膜の表面の微細な粗面は、保護層25の上に親水性樹脂膜26を形成した後、この親水性樹脂膜26の表面に粗面加工を施すことによっても形成することができる。 【0050】 また、親水性樹脂膜26の表面をプラズマ処理することにより改質処理し、その親水性表面27の親水性をより高めることも可能である。具体的には、真空状態の希薄不活性ガス雰囲気中にこの光情報媒体を配置し、このガス中でプラズマを発生させて処理する。このように処理すると、処理された表面に付着したインクの表面張力が小さく、インクの接触角が小さくなり、いわゆるインクの濡れ性が向上する。この表面へのインクの印刷は、プラズマ処理後、なるべく早く行うことが望ましい。 なお、本発明の光情報媒体に適用可能なインクは、水性インクであることが望ましいが、油性インクや紫外線硬化インク等であっても良い。 【0051】 既に述べた通り、親水性表面27に文字等を印刷する場合、筆記やスクリーン印刷等によることもできるが、特にインクジェットプリンターで印刷するのがよい。周知の通り、インクジェットプリンターは、パーソナルコンピューター等のプリンターとして用いられており、コンピューターで作成した印刷文字や印刷図柄を前記親水性表面27に繰り返し印刷することが可能である。従って、比較的少数の光情報媒体に一定の文字や図柄を印刷するのに適している。また、印刷に際して打撃等の機会的な衝撃や印刷インクの定着のための熱等を加える必要がないため、光情報媒体に損傷を与えることもない。同様にして、ノズル部分をヒーター加熱するバブルジェット方式により、インク粒子を作成し印刷する、いわゆるバブルジェット方式にも適応できる事は言うまでもない。 【0052】 次に、本発明の具体的な実施例を述べる。スタンパによりスパイラル状にトラッキングガイドを行うための幅0.8μm、深さ0.08μm、トラックピッチ1.6μmのガイド溝が直径の46〜117mmφの範囲に形成された外形120mmφ、内径15mmφ、厚み1.2mmのポリカーボネート基板を用意する。 【0053】 0.65gの1、1、-ジブチル3、3、3、3、テトラメチル4、5、4、5、-ジベンゾインドジカーボシアニンパークロレートをジアセトンアルコール10mlに溶解し、これを上記基板上に回転数を適当に変化させながら平均膜厚130nmになるようにスピンコートし、乾燥させて、色素記録層を形成した。この上に、金をスパッタリングし、厚さ100nmの反射層を形成した。 【0054】 次にスピンコート法によりアクリルを主成分とする紫外線硬化樹脂(SD-17:大日本インキ製)を塗布し、高圧水銀灯で230mj/cm2の紫外線を照射し、厚さ10μmの保護層を形成した。 【0055】 さらに、エタノールを溶媒としてポリビニルピロリドンを10重量%、ポリビニルブチラールを5重量%配合して充分溶解混合した後、この液体中に粒径約4μmの合成非晶質微粉シリカを5重量%配合し、これらを21ポットの12個のボールを入れたボールミルを用い、24時間かけて分散し、濃度40%の親水性樹脂溶液を用意した。 【0056】 前記保護層形成した直後、この保護層を形成する紫外線硬化性樹脂が完全に硬化する前の活性が損なわれない状態の間に、前記の親水性樹脂溶液を、スクリーン印刷により該保護層上に塗布し、50度の温度で1時間乾燥させることにより、厚さ10μmの親水性樹脂膜を形成し、親水性樹脂膜を有する光情報媒体を得た。 また、エタノールを溶媒としてポリビニルアルコールを10重量%、ヒドロキシプロピルセルロースを10重量%配合して充分溶解混合した後、この液体中に粒径約4μmの合成非晶質微粉シリカを5重量%配合した他は上記と同様にして親水性樹脂膜を有する光情報媒体を得た。 【0057】 このようにして形成さた親水性樹脂膜の表面状態は、半透明の粗面であり、その表面粗さ(Ra)を触針式表面粗さ測定器(DEKTAK3030:ビーコインスツルメンツインク製)により測定したところ、0.9〜0.6μmであった。 このようにして得られた光情報媒体にEFM信号に変調された波長780nmの半導体レーザを、パワー7.8mW、線速1.4m/secにて案内溝に沿って照射することにより、所定の光学的情報を記録した。 【0058】 その後、温度70℃、湿度0%RH(DRY)の加速劣化試験を行い、その前後のインクジェット印刷性能(IJP性能)を調べた。すなわち、インクジェットプリンタの「●」や「■」を印字し、網目状にならずに印字できるかどうかのベタ印字性と、画数の多い漢字を印字し、線の間が潰れずに印字できるかどうかの漢字印字性を調べた。その結果を表1に示す。 【0059】 【表1】 【0060】 また、実施例2と同様の光情報媒体を用意し、親水性樹脂膜26を形成後、0.1〜1toorの環境下でアルゴンガスを用いてプラズマ処理を施し、その後、インクジェットプリンタにて上記と同様のIJP性能を調べたところ、いずれも良好な印刷性能を得ることができた。 【0061】 また、その場合の光情報媒体の反り角を表2に示す。また、温度23℃、湿度50%RHの標準時間に98時間放置した後の反り角も同様にして表2に示した。なお、反り角は、CD規格に従い、中心からの半径55mmの位置における径方向のものを測定し、その平均値を示した。なお、比較例は、厚さ25μmの保護層を有し、親水性樹脂膜を有しないものである。何れもCD規格で規定した0.6°以下となっている。 【0062】 【表2】 【0063】 さらに、光情報媒体の親水性樹脂膜の表面にインクジェットプリンターで前述のようなIJP試験用の印字をし、これを温度70℃、湿度85%RH及び温度70℃で8時間、湿度0%RH(DRY)の条件で100時間の加速劣化試験を行い、印字のかすれやにじみを確認したところ、何れのものも殆どにじみやかすれを見ることはできなかった。また、親水性樹脂膜の表面に印字後、3分後に手で印刷面を擦ってみたが、かすれ等は生じなかった。 保護層と親水性樹脂膜との間の結着性を比較するため、剥離試験(碁盤目試験)を行った結果、保護層部分においては、97/100であったのに対し、親水性樹脂膜部分においては100/100であった。 【0064】 【発明の効果】 以上説明した通り、本発明の光情報媒体によれば、通常の水性インクや油性インクを用いて光情報媒体の保護層の表面に一定の文字や図柄を容易かつ良好に書き込むことができる。しかも、光情報媒体の保護機能にも優れ、さらに耐候性にも優れた光情報媒体を提供することができる。 また、本発明の方法によれば、比較的少数の光情報媒体について、一定の文字や図柄を容易かつほぼ一定の品質で光情報媒体表面に印刷可能な光情報媒体への印刷方法を提供することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 光情報媒体の外観斜視図である。 【図2】 本発明の実施例を示す光情報媒体の要部模式縦断面図である。 【図3】 光情報媒体の表面にインクジェットプリンタを用いて印刷するときに使用するホルダと光情報媒体との分解斜視図である。 【図4】 本発明の実施例に用いられるインクジェットプリンタを示す要部模式断面図である。 【符号の説明】 2 光情報媒体 4 クランプ孔 21 透光性基板 22 案内溝 23 色素記録層 24 反射層 25 保護層 26 親水性樹脂膜 27 親水性表面 |
訂正の要旨 |
▲1▼ 別紙訂正明細書の通り、請求項1、請求項2及び請求項9について、「板状の透光性基板上に直接または他の層を介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を備え、」という記載のうち、「直接または」の文字を削除し、「板状の透光性基板上に他の層を介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を備え、」と訂正する。 本願明細書の発明の詳細な説明の【0008】欄の補正のうち、3行目の訂正はこれに対応するものである。 ▲2▼ 別紙訂正明細書の通り、請求項3について、「保護層を形成する紫外線硬化性樹脂は、その架橋物の側鎖にヒドロキシル基、カルボキシル基、アクリル基、アミノ基または酢酸ビニル基を含むか、または架橋物の主鎖または側鎖に塩素基を含んでいる」という記載のうち、「むか、または架橋物の主鎖または側鎖に塩素基を含」の文字を削除し、「保護層を形成する紫外線硬化性樹脂は、その架橋物の側鎖にヒドロキシル基、カルボキシル基、アクリル基、アミノ基または酢酸ビニル基を含んでいる」と訂正する。 本願明細書の発明の詳細な説明の【0009】欄及び【0034】欄の訂正はこれに対応するものである。 ▲3▼ 別紙訂正明細書の通り、本件明細書の発明の詳細な説明の【0008】欄の9行目の末尾に、「ここで、『層界が一体となった結着状態』とは、保護層と親水性樹脂膜との層界が不可分の同一体となって結び着いた状態を言う。」という記載を追加する。 |
異議決定日 | 2003-02-27 |
出願番号 | 特願平5-131298 |
審決分類 |
P
1
651・
531-
YA
(G11B)
P 1 651・ 121- YA (G11B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 馬場 慎 |
特許庁審判長 |
麻野 耕一 |
特許庁審判官 |
田良島 潔 張谷 雅人 |
登録日 | 2000-06-23 |
登録番号 | 特許第3081082号(P3081082) |
権利者 | 太陽誘電株式会社 ソニー株式会社 |
発明の名称 | 光情報媒体とその表面印刷方法 |
代理人 | 北條 和由 |
代理人 | 北條 和由 |
代理人 | 北條 和由 |
代理人 | 内山 英夫 |
代理人 | 小林 邦雄 |