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審決分類 |
審判 全部申し立て 発明同一 H04L 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 H04L 審判 全部申し立て 2項進歩性 H04L 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 H04L 審判 全部申し立て 特39条先願 H04L 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 H04L |
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管理番号 | 1077870 |
異議申立番号 | 異議2002-70375 |
総通号数 | 43 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2001-11-16 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-02-15 |
確定日 | 2003-03-19 |
異議申立件数 | 5 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3207192号「認証方法および装置」の請求項1ないし11に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3207192号の請求項1ないし10に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件特許第3207192号は、平成12年5月2日に出願がされ、同13年7月6日に特許権の設定の登録がされ、同13年9月10日に特許公報が発行されたものであって、その後、 同14年2月15日に北川晃一より請求項8、9に係る特許について、 同14年2月18日に真崎剛より請求項1、4、6、7、8、10、11に係る特許について、 同14年3月8日に明石英也より請求項1から11に係る特許の全てについて、 同14年3月11日にターゲットワン株式会社およびパテントワン株式会社より請求項6、8、9、10に係る特許について、 同14年3月11日に株式会社ブレインリフレッシュより、請求項1から11に係る特許の全てについて、 それぞれ特許異議の申立てがされたものである。 第2 訂正の可否 1 訂正の要旨 平成15年1月20日にされた訂正の請求に係る訂正の要旨は、当該訂正請求書の「(3)訂正の要旨」の欄に記載されたとおりの次のものである。 「1 訂正事項a 特許請求の範囲の請求項4中の”該バーコードを記憶するステップと”を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「該バーコードをバーコードデータべ一スに記憶するステップと」と訂正する。 これに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、発明の詳細な説明の段落【0008】の”該バーコードを記憶するステップと、を備えているバーコード付与方法が提供される。”を、「該バーコードをバーコードデータべースに記憶するステップと、を備えているバーコード付与方法が提供される。」と訂正する。 2 訂正事項b 特許請求の範囲の請求項6中の”前記バーコードを、前記被認証者に通信回線を通じて送ると共に、記録するステップ”を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「前記バーコードを、前記被認証者に通信回線を通じて送ると共に、バーコードデータべ一スに記録するステップ」と訂正する。 これに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、発明の詳細な説明の段落【0010】の”前記バーコードを、前記被認証者に通信回線を通じて送ると共に、記録するステップとを有する、バーコード付与方法が提供される。”を、「前記バーコードを、前記被認証者に通信回線を通じて送ると共に、バーコードデータべースに記録するステップとを有する、バーコード付与方法が提供される。」と訂正する。 3 訂正事項c 特許請求の範囲の請求項8中の”被認証者の要求に応答して生成され且つ該被認証者に伝送されたバーコード信号に基づいて”を、特許請求の範囲の減縮を目的として、「被認証者からのバーコードの付与の要求に応答して該被認証者がデータベースに記録されていると判定されたときに生成され且つ該被認証者に伝送され且つバーコードデータべ一スに記憶されたバーコードに対応するバーコード信号に基づいて」と訂正する。 これに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、発明の詳細な説明の段落【0012】の”被認証者の要求に応答して生成され且つ該被認証者に伝送されるバーコード信号に基づいて”を、「被認証者からのバーコードの付与の要求に応答して該被認証者がデータベースに記録されていると判定されたときに生成され且つ該被認証者に伝送され且つバーコードデータべ一スに記憶されたバーコードに対応するバーコード信号に基づいて」と訂正する。 4 訂正事項d 特許請求の範囲の請求項10中の”該受信したバーコードが、被認証者からの要求に応じて被認証者に対して送信されるとともバーコードデータべースに記憶されたバーコードと一致するか否かを判定するステップと”を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「該受信したバーコードが、被認証者からのバーコードの付与の要求に応じて被認証者に対して送信され且つバーコードデータべースに記憶されたバーコードと、一致するか否かを判定するステップと、」と訂正する。 5 訂正事項e 特許請求の範囲の減縮を目的として、請求項11を削除する。」 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 訂正事項aについて 訂正事項aは、バーコードの記憶先が「バーコードデータべ一ス」であるとしたものであるから、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号の「明りょうでない記載の釈明」に相当するものである。 また、この訂正は、願書に添付した明細書及び図面(例えば、段落【0018】、【0020】)に記載された事項の範囲内の訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもないから、特許法第120条の4第3項で準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである。 訂正事項bについて 訂正事項bは、バーコードの記録先が「バーコードデータべ一ス」であるとしたものであるから、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号の「明りょうでない記載の釈明」に相当するものである。 また、この訂正は、願書に添付した明細書及び図面(特に、段落【0018】、【0020】)に記載された事項の範囲内の訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもないから、特許法第120条の4第3項で準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである。 訂正事項cについて 訂正事項cは、請求項8の「バーコード信号」の内容を「被認証者からのバーコードの付与の要求に応答して該被認証者がデータベースに記録されていると判定されたときに生成され且つ該被認証者に伝送され且つバーコードデータべ一スに記憶されたバーコードに対応するバーコード信号」に限定したものであるから、特許法第120条の4第2項ただし書き第1号の「特許請求の範囲の減縮」に相当するものである。 また、この訂正は、例えば請求項1、請求項4、段落【0017】から段落【0018】に記載されている事項を請求項8および請求項8を引用する請求項9に追加することを内容とする訂正であるから、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内の訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもないから、特許法第120条の4第3項で準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである。 訂正事項dについて 訂正事項dは、「被認証者からの要求」の内容を明確にしたものであるから、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号の「明りょうでない記載の釈明」に相当するものである。 また、この訂正は、願書に添付した明細書及び図面(特に、段落【0016】、【0026】、【0028】)等に記載されている事項を請求項10に追加することを内容とする訂正であるから、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内の訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもないから、特許法第120条の4第3項で準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである。 訂正事項eについて 訂正事項eは、特許法第120条の4第2項ただし書き第1号の「特許請求の範囲の減縮」に相当するものである。 3.訂正の可否に関するむすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 第3 特許異議申立について 1 本件の請求項に係る発明 (1)請求項1に係る発明 前記第2に認定したとおり訂正が認められることから、本件の請求項1に係る発明は、訂正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次の事項により特定されるものである。 「バーコードを使用した認証方法であって、 被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者から受信するステップと、 前記被認証者がデータベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記被認証者が前記データベースに記録されていたときに、バーコードを生成するステップと、 該バーコードを前記被認証者の発信者番号に送信すると共に、該バーコードをバーコードデータべ一スに記憶させるステップと、 被認証者によって提示され認証を求める認証要求者から送信されてきたバーコードを受信するステップと、 該受信したバーコードが、前記バーコードデータべ一スに記憶されているバーコードと一致するか否かを判定するステップと、 受信したバーコードが前記バーコードデータべ一スに記憶されていたときに、当該被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に送信するステップと、 を備えている認証方法。」 (2)請求項2に係る発明 同じく、本件の請求項2に係る発明は、訂正された明細書の特許請求の範囲の請求項2に記載されたとおりの次の事項により特定されるものである。 「前記発信者番号が、被認証者の携帯電話番号であり、 前記被認証者へのバーコードの送信が、被認証者の携帯電話に対して行われる、請求項1に記載の認証方法。」 (3)請求項3に係る発明 同じく、本件の請求項3に係る発明は、訂正された明細書の特許請求の範囲の請求項3に記載されたとおりの次の事項により特定されるものである。 「前記発信者番号が、被認証者の固定電話の電話番号であり、 前記被認証者へのバーコードの送信が、被認証者の固定電話に対して行われる、請求項1に記載の認証方法。」 (4) 請求項4に係る発明 同じく、本件の請求項4に係る発明は、訂正された明細書の特許請求の範囲の請求項4に記載されたとおりの次の事項により特定されるものである。 「認証用バーコードを被認証者に付与するバーコード付与方法であって、 前記被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を、被認証者から受信するステップと、 前記被認証者がデータベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記被認証者が前記データベースに記録されていたときにバーコードを生成するステップと、 該バーコードを前記被認証者に送信すると共に、該バーコードをバーコードデータベースに記憶するステップと、 を備えているバーコード付与方法。」 (5) 請求項5に係る発明 同じく、本件の請求項5に係る発明は、訂正された明細書の特許請求の範囲の請求項5に記載されたとおりの次の事項により特定されるものである。 「前記発信者番号が、被認証者の携帯電話番号であり、 前記被認証者へのバーコードの送信が、被認証者の携帯電話に対して行われる、請求項4に記載のバーコード付与方法。」 (6) 請求項6に係る発明 同じく、本件の請求項6に係る発明は、訂正された明細書の特許請求の範囲の請求項6に記載されたとおりの次の事項により特定されるものである。 「通信回線を利用して被認証者に認証用バーコードを付与するバーコード付与方法であって、 前記被認証者からのバーコード要求信号を受信するステップと、 前記被認証者が所定のデータベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記被認証者が前記データベースに記録されていたときにはバーコードを生成するステップと、 前記バーコードを、前記被認証者に通信回線を通じて送ると共に、バーコードデータべ一スに記録するステップとを有する、 バーコード付与方法。」 (7) 請求項7に係る発明 同じく、本件の請求項7に係る発明は、訂正された明細書の特許請求の範囲の請求項7に記載されたとおりの次の事項により特定されるものである。 「バーコードを使用した認証装置であって、 被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者から受信する受信装置と、 所定の個人データが記録されたデータベースと、 前記被認証者が前記データベースに記録されているか否かを判定し、前記被認証者が前記データベースに記録されていたときにバーコードを生成するバーコード生成手段と、 バーコード生成手段が生成したバーコードを記録するバーコードデータべ一スと、 該バーコードを前記被認証者に送信すると共に、該バーコードを前記バーコードデータべ一スに記憶させるバーコード伝送手段と、認証要求者から認証を求めて送信されてきたバーコードを受信し、受信したバーコードが、前記バーコードデータべ一スに記憶されているバーコードと一致するか否かを判定し、受信したバーコードが、前記バーコードデータべ一スに記憶されていたとき、当該被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に送信するバーコード照合手段と、 を備えている認証装置。」 (8) 請求項8に係る発明 同じく、本件の請求項8に係る発明は、訂正された明細書の特許請求の範囲の請求項8に記載されたとおりの次の事項により特定されるものである。 「バーコードを使用した認証に使用される携帯端末装置であって、 被認証者からのバーコードの付与の要求に応答して該被認証者がデータベースに記録されていると判定されたときに生成され且つ該被認証者に伝送され且つバーコードデータべ一スに記憶されたバーコードに対応するバーコード信号に基づいて、該被認証者を認証するためのバーコードを表示する表示装置を備えている携帯端末装置。」 (9) 請求項9に係る発明 同じく、本件の請求項9に係る発明は、訂正された明細書の特許請求の範囲の請求項9に記載されたとおりの次の事項により特定されるものである。 「前記携帯端末装置が携帯電話器である、請求項8に記載の携帯端末装置。」 (10) 請求項10に係る発明 同じく、本件の請求項10に係る発明は、訂正された明細書の特許請求の範囲の請求項10に記載されたとおりの次の事項により特定されるものである。 「バーコードを使用した認証方法であって、 被認証者によって提示され認証を求める認証要求者から送信されてきたバーコードを受信するステップと、 該受信したバーコードが、被認証者からのバーコードの付与の要求に応じて被認証者に対して送信され且つバーコードデー夕べ一スに記憶されたバーコードと、一致するか否かを判定するステップと、 受信したバーコードが前記バーコードデータべ一スに記憶されていたときに、当該被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に送信するステップと、 を備えている認証方法。」 ここで、本件の請求項1から10の特許における「バーコード」について、本件明細書段落0006には「本件出願において「バーコード」とは、図2に示さているような横方向に並べられた複数の縦線によるパターンである一般的なバーコードに限定されるものではなく、光学的に読み取り判別可能な他の識別標識をも含むものである。」とあるが、これは、本件特許における「バーコード」とは光学的に読み取り判別可能な他の識別標識である、英数字に代表される文字をも含むという意味ではなく、バーコードの形式が横方向に並べられた複数の縦線によるパターンに限定されないという意味であり、バーコードという光学的に読み取り可能な識別標識の一形態を表す用語が有する通常の意味とは異なる意味の定義をしようとしたものではないものと認める。 2.特許異議の申立ての概要 (1)北川晃一の特許異議申立ての概要 異議申立人北川晃一は、請求項8、9に係る発明は、いずれも本件出願前に日本国内において頒布された甲1号証に記載された発明であるから、該請求項8、9に係る特許は、いずれも特許法第29条第1項第3項の規定に違反してなされたものであって、同法113条第2項の規定により取り消されるべきものである旨主張するとともに、甲1号証として、日経ビジネス、2000年4月24日号、日経BP社、P.29を提示している。 さらに、請求項8、9に係る発明は、本件明細書の発明の詳細な説明の欄において、当業者が実施可能な程度に記載されているということはできないから、請求項8、9に係る特許は、いずれも特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、同法113条第2項の規定により取り消されるべきものである旨主張している。 (2)真崎剛の特許異議申立ての概要 異議申立人真崎剛は、請求項1、4、6、7、8、10、11の記載は明確でないから、請求項1、4、6、7、8、10、11に係る特許は、いずれも特許法第36条第6号第2項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、同法113条第2項の規定により取り消されるべきものである旨主張している。 (3)明石英也の特許異議申立ての概要 異議申立人明石英也は、請求項1から11に係る発明は、いずれもその出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた甲1号証に関する特許出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないと認められるから、本件の請求項1から11に係る特許は、いずれも特許法第29条の2の規定に違反してなされたものであって、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである旨主張するとともに、甲1号証として平成12年4月19日に出願された特願2000-118446号の願書に最初に添付した明細書又は図面の内容を示す公開公報である特開2001-5883号公報を提示している。 (4)ターゲットワン株式会社及びパテントワン株式会社の特許異議申立ての概要 異議申立人ターゲットワン株式会社及びパテントワン株式会社は、請求項6、8、9、10に係る発明は同日出願した甲1号証に係る出願の発明と同一と認められるから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができないにもかかわらず、本件の請求項6、8、9、10に係る特許はこの規定に違反してなされたものであるということができ、同法113条第2号の規定により取り消すべきものである旨主張するとともに、甲1号証として平成12年5月2日に出願された特願2000-133754号の分割出願である特願2002-62859号の出願明細書及び図面を提示している。 (5)株式会社ブレインリフレッシュの特許異議申立ての概要 異議申立人株式会社ブレインリフレッシュは、請求項1から11に係る発明は、いずれもその出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた甲2号証に関する特許出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないと認められるから、本件の請求項1から11に係る特許は、いずれも特許法第29条の2の規定に違反してなされたものであって、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである旨主張するとともに、甲2号証として平成11年7月30日に出願された特願平11-216948号の願書に最初に添付した明細書又は図面の内容を示す公開公報である特開2001-45562号公報を提示しており、さらに、本件特許明細書及び甲2号証の記載の内容を解釈するにあたって参照すべきとして、甲1号証である、長尾真ほか編、岩波情報科学辞典、岩波書店、1990年5月25日発行、P.221を提示している。 さらに、請求項10に係る発明は、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が当該出願前に頒布された甲3号証ないし甲5号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものと認められるから、該請求項10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである旨主張するとともに、甲3号証ないし甲5号証としてそれぞれ特開2000-90157号公報、特開平10-260939号公報、特開平10-222574号公報を提示している。 3.各甲号証の内容 (1)特許異議申立人北川晃一提示分 甲1号証の日経ビジネス、2000年4月24日号、日経BP社、P.29には、 「携帯電話の購入者に個人を識別するためのバーコードを与え、来店時に携帯電話の画面にバーコードを呼び出してもらう。それを店員がバーコードリーダで読めば、現金やカードを使わずに決済ができる仕組みだ。」 (P.29中欄第19行から第24行) と記載されている。 (2)特許異議申立人明石英也提示分 甲1号証の特願2000-118446号(平成12年4月19日出願)の願書に最初に添付した明細書又は図面(特開2001-5883号公報)には、携帯型情報端末を用いた決済システムに関して次の記載がある。 (ア)「携帯型情報端末1は、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants)端末、あるいはノート型・ブック型コンピュータ端末等からなる。なお、携帯型情報端末1を、図2に示すような携帯電話を一例として以下、説明する。携帯型情報端末1は、図2に示すように、ディスプレイ11と、テンキー12とを含んで構成されている。」(段落0039、公報第9頁左欄第33行から第35行) (イ)「決済サーバ24は、例えば、通信制御装置及び、磁気記憶装置等を備えた汎用のワークステーション等からなり、専用回線5を介して、提携店舗3と接続する。 また、決済サーバ24は、具備した磁気記憶装置に、後述する決済情報生成処理にて生成される図4に示すような決済情報を記憶する。図4に示す決済情報は、決済管理番号、利用者ID、利用者氏名、商品番号、単価、及び、個数等からなる購入した利用者及び購入商品等を特定するための種々の情報である。 なお、図4に示す決済情報に、値引き額等の通常の商取引で生じる情報を含めてもよい。」(段落0046、公報第9頁右欄第27行から第37行) (ウ)「【0062】 まず、携帯型情報端末1は、利用者の操作に従って、インターネット4を介して認証サーバ22に接続する(ステップS31)。 【0063】 携帯型情報端末1は、利用者によりテンキー12から入力された決済管理番号等から図9(a)に示すような決済要求情報103を生成し、生成した決済要求情報103を認証サーバ22に送信する(ステップS32)。 【0064】 オンラインサービスサイト2の認証サーバ22は、決済要求情報103を受信すると、利用者ID及びパスワードを確認した後、決済要求情報103に含まれる決済管理番号及び利用者IDを決済サーバ24に供給する(ステップS41) 【0065】 決済サーバ24は、取得した決済管理番号及び利用者IDが、図4に示す決済情報に含まれることを確認すると、図9(b)に示すような決済確認情報104を生成する(ステップS42)。なお、決済サーバ24は、取得した決済管理番号及び利用者IDが、決済情報に含まれないと判別した場合、所定のエラーメッセージを携帯型情報端末1に送信し、処理を終了する。 【0066】 決済サーバ24は、生成した決済確認情報104をバーコード変換部23を使用して、バーコード情報に変換する(ステップS43)。なお、このバーコード情報は、決済確認情報104を表すためのバーコードパターンを規定する情報である。 【0067】 決済サーバ24は、変換したバーコード情報を認証サーバ22を介して携帯型情報端末1に送信する(ステップS44)。 【0068】 携帯型情報端末1は、認証サーバ22から送られたバーコード情報を受信すると、図9(c)に示すように、ディスプレイ11にバーコードパターン105を表示する(ステップS33)。なお、携帯型情報端末1は、バーコードパターン105を表示する際に、ディスプレイ11における表示位置や、表示輝度の調整、及び、不要情報の消去等を行い、バーコードリーダ31が、バーコードパターン105を読み取り易くする。 【0069】 提携店舗3のPOSレジスタ32は、ディスプレイ11に表示されたバーコードパターン105をバーコードリーダ31を介して読み取り、バーコードリーダ31にてデコードされた決済確認情報104を取得する(ステップS51)。POSレジスタ32は、取得した決済確認情報104を決済コントローラ33に供給する。 【0070】 決済コントローラ33は、決済確認情報104を取得すると、接続先記憶部34に記憶されている図5に示す接続先情報を参照し、決済サーバIDに従って定まる決済サーバ24へ、専用回線5を介して接続する(ステップS52)。 【0071】 決済コントローラ33は、決済サーバ24に決済管理番号及び利用者IDを送信する(ステップS53)。 【0072】 決済サーバ24は、決済管理番号及び利用者IDを受信すると(ステップS45)、受信した決済管理番号及び利用者IDが、図4に示す決済情報に含まれることを確認する。なお、決済サーバ24は、取得した決済管理番号及び利用者IDが、決済情報に含まれないと判別した場合、所定のエラーメッセージを決済コントローラ33に送信し、処理を終了する。 【0073】 決済サーバ24は、図4に示す決済情報から図9(d)に示すような決済情報明細106を抽出し、抽出した決済情報明細106を決済コントローラ33に送信する(ステップS46)。」 (段落0062から段落0073、公報第10頁右欄第23行から第11頁左欄第34行) (3)特許異議申立人ターゲットワン株式会社及びパテントワン株式会社提示分 甲1号証の特願2002-62859号(特願2000-133754号の分割出願、特許法第39条第2項の適用に関して出願日は平成12年5月2日に遡及することを認める)の特許請求の範囲には次のとおり記載されている。 「【請求項1】 サーバから通信回線を介して登録者の携帯端末装置に送信されるバーコードを発行するバーコード発行方法であって、 前記登録者の携帯端末装置から前記サーバにバーコード送信要求を行う第1ステップと、 前記送信要求に従って前記登録者の携帯端末装置から前記サーバに送られてくる登録者識別情報を、前記サーバが認証する第2ステップと、 前記第2ステップで前記登録者識別情報を承認した場合に、前記サーバから前記登録者の携帯端末装置にバーコードを送信する第3ステップとを含み、 前記登録者識別情報は、登録申込時において前記登録者に与えられて前記登録者の携帯端末装置が前記サーバから受領すると共に、前記サーバ装置内に設けられた登録者データベースに格納され、 前記バーコードは、前記登録者に与えられた登録者識別情報により前記サーバが発行して、前記登録者の携帯端末装置が受領するものであり、 前記バーコードは、前記登録者の認証のために用いることが可能である ことを特徴とするバーコード発行方法。 【請求項2】 前記サーバは、前記バーコードを発行する場合に、該発行したバーコードに関する登録を行う ことを特徴とする請求項1に記載のバーコード発行方法。 【請求項3】 表示装置を備え、登録者の要求に応答して発行されてサーバ装置から送信されたバーコードであって、前記登録者の認証に用いることが可能なバーコードの画面を表示する ことを特徴とする携帯端末装置。 【請求項4】 前記携帯端末装置は、携帯電話である ことを特徴とする請求項3に記載の携帯端末装置。 【請求項5】 サーバから通信回線を介して登録者の携帯端末装置に送信されたバーコードを用いて店舗にて登録者を認証することが可能な認証方法であって、 登録者が前記携帯端末装置に表示させ、前記店舗の端末装置で読み取られたバーコードを前記サーバに送信する第1ステップと、 前記サーバがバーコードを受信すると、該受信したバーコードの登録者を登録者データベースから検索する第2ステップと、 前記登録者データベースから登録者が検索されると、前記登録者毎に前記登録者データベースに登録された該登録者の登録者情報を読み出す第3ステップと、 前記読み出した登録者情報を前記サーバから通信回線を介して前記店舗の端末装置に送信する第4ステップとを含み、 前記登録者データベースに登録者情報を登録された登録者には、それぞれ他の登録者に対して使用されていないバーコードがバーコードデータベースに登録されており、 前記バーコードは、前記店舗での前記登録者の認証のために用いることも可能である ことを特徴とする認証方法。」 (4)特許異議申立人株式会社ブレインリフレッシュ提示分 (4-1)甲1号証 甲1号証である岩波情報科学辞典(1990年5月25日発行)のP.221には以下の記載がある。 「光学的文字読取装置 optical character reader OCRと略称する。紙面からの反射光を観測して文字を読み取る装置。現在の文字読取装置のほとんどがこれに属する。観測、前処理、正規化、特徴抽出、後処理の各部分から構成される(→パターン認識)。観測部分に関しては、読取用紙の紙質が問題となっているが、現在は上質紙や普通紙が扱えるようになっている。前処理で最も難しい問題は、個々の文字の切出し(→位置ぎめ)である。不定ピッチで書かれた文字や、’Tokyo’のような入り組み文字の切出しが可能になっている→漢字OCR」(P.221左欄第17行から第27行) (4-2)甲2号証 甲2号証である特願平11-216948号(平成11年7月30日出願)の願書に最初に添付した明細書又は図面(特開2001-45562号公報)には利用者認証システムに関して以下の記載がある。 (ア)「利用者認証システム1では、利用者10は、携帯電話機111を用いてパスワード発行部41にパスワードの発行・送信を要求する。ここで、携帯電話機111は原則として利用者10だけが使用するものとする。この条件が満足されるのであれば、パスワードの発行を要求する電話機は固定電話機121でも構わない。」(段落0059、公報第8頁右欄第17行から第23行) (イ)「一方、利用者10がパスワードを受け取る場合は、携帯電話機111や固定電話機121で音声として受け取ってもよいし、携帯電話機111や固定電話機121に画像表示手段があれば文字として画面表示しても構わない。」(段落0060、公報第8頁右欄第32行から第36行) (ウ)「登録テーブル31は、利用者が認証を要求する際に使用するパスワード発行要求端末の電話番号を含み、電話番号に関連付けて格納された利用者情報から構成される。他方、パスワードテーブル32は、特定の利用者10に対してパスワード発行部41が発行したパスワードを、登録テーブル31の該当する利用者に関連付けて格納する。」(段落0063、公報第9頁左欄第28行から第34行) (エ)「【0094】 利用者は、パスワード発行要求端末を用い、電話通信事業者の回線網を介して、公衆回線網接続部20に電話をかけ、呼出音を数回鳴動させた後、電話を切る(ステップT1)。この際、公衆回線網接続部20は発信者電話番号を示す信号は受信するが、呼の接続は行わない。この呼が発信者電話番号を非通知に設定された電話機からなされている場合、その呼は無視される(ステップT3)。 【0095】 発信者番号識別部21が発信者の電話番号を識別した場合、その電話番号はデータベース30に渡される。データベース30は、登録テーブル31に登録された全利用者のパスワード発行要求端末の電話番号から、その電話番号の登録の有無を検索する(ステップT2)。ここで該当する電話番号が登録テーブル31に存在しない場合、そのパスワード発行要求は無視される(ステップT3)。 【0096】 該当する電話番号が登録されている場合、データベース30は、パスワード発行部41にパスワードの発行を要請する(ステップT5)。これを受けたパスワード発行部41は、一定のロジックに従ってパスワードを発行する(ステップT5)。 【0097】 発行されたパスワードは、パスワードテーブル32に登録される(ステップT7)と共に、公衆回線接続部20またはメールサーバ50から利用者のパスワード受信端末に送信される(ステップT8)。)」(段落0094から段落0097、公報第11頁右欄第26行から第50行) (4-3)甲3号証 甲3号証である特開2000-90157号公報(平成12年3月31日発行)には、移動体用の認証システムに関して以下の記載がある。 (ア)「【0029】認証情報を受け取った車載情報端末16は、購入要求を生成し、通信路を介して取引先20に送信する。ここで、購入要求は、認証のための情報として、要求を発行した利用者の利用者ID、セキュリティモジュール140から得た認証情報、及びその認証情報の元のテストデータ、を含んだ形で生成される。これらの情報が、購入要求の内容を示す購入内容情報とともに、取引先に送られる。」(第5頁左欄第13行から第20行) (イ)「【0030】購入要求を受け取った取引先20は、認証機関30との間に通信路を設定し、購入要求に含まれる認証のための情報、すなわち利用者ID、認証情報、及びテストデータを認証機関30に送り、認証を依頼する。 【0031】認証依頼を受けた認証機関30では、認証処理部32により図4に示す手順で認証が行われる。」(第5頁左欄第30行から第36行) (ウ)「一方、復号化結果とテストデータとが一致した場合は、該認証依頼に係る通信アクセスが正当(OK)であると判断し、認証DB34から当該利用者IDに対応するクレジット情報を検索する(S110)。「そして、検索したクレジット情報を含む認証結果(OK)を生成し、取引先20に返信する(S112)。」(第5頁右欄第10行から第16行) (4-4)甲4号証 甲4号証である特開平10-260939号公報(平成10年9月29日発行)には、クライアントマシン認証方法に関して以下の記載がある。 「【0034】以上のようにしてクライアントマシンCMからマシン固有情報がホストマシンHMへ送信されると、ホストマシンHMでは予め個々のユーザが使用するマシン固有情報がユーザデータベース10に登録されているので、先に特定されているユーザIDとマシン固有情報とを照合する。この結果、一致すれば、以降のクライアントマシンCMからホストマシンHMへのアクセスが許可される (ステップS16)。」(第8頁右欄第7行から第14行) (4-5)甲5号証 甲5号証である特開平10-222574号公報(平成10年8月21日発行)には、オンラインショッピングシステムにおける認証システムについて以下の記載がある。 (ア)「IDカード10には、顧客の識別情報としての会員番号がアルファメリックとバーコードで記録されている。」(第3頁右欄第44行から第46行) (イ)「納品書11の少なくも会員番号と注文番号はIDカード10と同様にアルファメリックとバーコードで記録されている。」(第4頁左欄第6行から第8行) (ウ)「コンピュータ13はバーコードリーダ12で読み込んだ会員番号の上位の桁に媒体識別情報「&」が記録されていることを判別(検出)すると、その会員番号はIDカード10に記録されたものであると判定する。同様に、バーコードリーダ12で読み込んだ会員番号の上位の桁に媒体識別情報「%」が記録されていることを判別(検出)すると、その会員番号は納品書11に記録されたものであると判定する。」(第4頁左欄第26行から第33行) 4 特許異議申立てについての判断 (1)特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすか否かについて (ア)まず、異議申立人真崎剛より申し立てられた、請求項1、4、6、7、8、10の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすかどうかについて判断する。 段落0016には「被認証者である顧客から要求に応じてこの顧客に認証 用(身元確認用)バーコードを付与する」とあり、本件明細書においては、「認証」という語句を「被認証者が被認証者であることを確認する」という意味で用いているが、請求項1、4、6、7、8、10および明細書全体について、「認証」という語句を上記の意味で解釈して不明な点は存在しない。 (イ)次に、「バーコード」という用語の認定に関して、上記1の認定にあるように、本件特許において不明な点はない。 (ウ)また、その他にも簡潔かつ明確でないという事項はなく、請求項1から10の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たす。 (2)特許法第36条第4項に規定する要件を満たすかどうかについて (ア)まず、異議申立人北川晃一より申し立てられた、請求項8、9およびこれに対応する明細書の記載が特許法第36条第4項に規定する要件を満たしているかどうかについて判断する。 本件明細書段落0019および段落0029には「バーコード400を携帯電話の表示部206に表示させ」と記載されており、この記載から見て請求項8の「該被認証者を認証するためのバーコードを表示する表示装置を備えている携帯端末装置」、請求項9の「前記携帯端末装置が携帯電話器である」ことの具体的構成が裏付けられていることからみて、請求項8、9の発明は発明の詳細な説明中に当業者が実施可能な程度に明確かつ十分に記載されているものである。 (イ)また、その他にも請求項1から10の発明は、発明の詳細な説明中に当業者が実施可能な程度に明確かつ十分に記載されていないという理由はない。 (3)請求項に係る特許がその他条文の規定に反して特許されたものかどうかについて 上記1の認定にもあるように、本件発明における「バーコード」とは光学的に読み取り判別可能な他の識別標識である、英数字に代表される文字をも含むという意味ではなく、バーコードの形式が横方向に並べられた複数の縦線によるパターンに限定されないという意味であり、バーコードという光学的に読み取り可能な識別標識の一形態を表す用語が有する通常の意味とは異なる意味の定義をしようとしたものではない。 したがって、申立人ブレインリフレッシュが提出した甲1号証には、文字が光学的文字読み取り装置によって読み取られ、パターン認識される識別標識であることが記載されているが、上記のとおりであるから、本件請求項1から10に係る発明における「バーコード」は文字を含むというわけではない。 以上の点を考慮して、本件請求項1から10に係る特許が特許法第36条第4項及び第6項第2項以外の条文の規定に反して特許されたものかどうかを検討する。 (3-1)請求項1に係る発明について 請求項1に係る発明と、申立人明石英也が提出した甲1号証記載の発明および申立人ブレインリフレッシュが提出した甲2号証記載の発明を比較すると、該甲各号証のいずれにも、生成したバーコードを被認証者側に送信するとともに、バーコードデータベースに記憶させ、その後の認証処理に利用すること、すなわち、 「該バーコードを前記被認証者の発信者番号に送信すると共に、該バーコードをバーコードデータべ一スに記憶させるステップ」、 および 「該受信したバーコードが、前記バーコードデータべ一スに記憶されているバーコードと一致するか否かを判定するステップと、 受信したバーコードが前記バーコードデータべ一スに記憶されていたときに、当該被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に送信するステップ」 について記載されているということも、記載されているに等しいということもできない。 したがって、本件請求項1に係る発明は上記甲各号証のいずれに記載された発明とも同一の発明ではない。 また、他に本件請求項1に係る特許については取り消すべき理由を発見しない。 (3-2)請求項2に係る発明について 前記1(2)に認定のとおり、請求項2は請求項1を引用するものであり、本件の請求項1に係る発明については前記(3-1)のとおりであるから、本件の請求項2に係る発明がいずれの特許異議申立ての理由及び証拠によっても取り消すことができないのは明らかである。 また、他に本件請求項2に係る特許については取り消すべき理由を発見しない。 (3-3)請求項3に係る発明について 前記1(3)に認定のとおり、請求項3は請求項1を引用するものであり、本件の請求項1に係る発明については前記(3-1)のとおりであるから、本件の請求項3に係る発明がいずれの特許異議申立ての理由及び証拠によっても取り消すことができないのは明らかである。 また、他に本件請求項3に係る特許については取り消すべき理由を発見しない。 (3-4)請求項4に係る発明について 請求項4に係る発明と、申立人明石英也が提出した甲1号証記載の発明および申立人ブレインリフレッシュが提出した甲2号証記載の発明を比較すると、該甲各号証のいずれにも、生成したバーコードを被認証者側に送信するとともに、バーコードデータベースに記憶させること、すなわち、 「前記被認証者が前記データベースに記録されていたときにバーコードを生成するステップと、 該バーコードを前記被認証者に送信すると共に、該バーコードをバーコードデータベースに記憶するステップ」 について記載されているということも、記載されているに等しいということもできない。 したがって、本件請求項4に係る発明は上記甲各号証のいずれに記載された発明とも同一の発明ではない。 また、他に本件請求項4に係る特許については取り消すべき理由を発見しない。 (3-5)請求項5に係る発明について 前記1(5)に認定のとおり、請求項5は請求項4を引用するものであり、本件の請求項4に係る発明については前記(3-4)のとおりであるから、本件の請求項5に係る発明がいずれの特許異議申立ての理由及び証拠によっても取り消すことができないのは明らかである。 また、他に本件請求項5に係る特許については取り消すべき理由を発見しない。 (3-6)請求項6に係る発明について 請求項6に係る発明と、申立人明石英也が提出した甲1号証記載の発明および申立人ブレインリフレッシュが提出した甲2号証記載の発明を比較すると、該甲各号証のいずれにも、生成したバーコードを被認証者側に送信するとともに、バーコードデータベースに記憶させること、すなわち、 「前記被認証者が前記データベースに記録されていたときにバーコードを生成するステップと、 前記バーコードを、前記被認証者に通信回線を通じて送ると共に、バーコードデータべ一スに記録するステップ」 について記載されているということも、記載されているに等しいということもできない。 さらに、申立人ターゲットワン株式会社及びパテントワン株式会社が提出した甲1号証記載の請求項2の発明においては、 「(登録者識別情報を承認した場合に、前記)サーバから(前記)登録者の携帯端末装置にバーコードを送信する(第3)ステップとを含む」 および 「(前記)サーバは前記バーコードを発行する場合に、該発行したバーコードに関する登録を行う」 という発明特定事項を備えるが、これは上記 「前記被認証者が前記データベースに記録されていたときにバーコードを生成するステップと、 前記バーコードを、前記被認証者に通信回線を通じて送ると共に、バーコードデータべ一スに記録するステップ」 という事項と同一であるということはできない。 結局のところ、本件請求項6に係る発明は上記甲各号証のいずれに記載された発明とも同一の発明ではない。 また、他に本件請求項6に係る特許については取り消すべき理由を発見しない。 (3-7)請求項7に係る発明について 請求項7に係る発明と、申立人明石英也が提出した甲1号証記載の発明および申立人ブレインリフレッシュが提出した甲2号証記載の発明を比較すると、該甲各号証のいずれにも、生成したバーコードを被認証者側に送信するとともに、バーコードデータベースに記憶させ、その後の認証処理に利用すること、すなわち、 「バーコード生成手段が生成したバーコードを記録するバーコードデータべ一スと、 該バーコードを前記被認証者に送信すると共に、該バーコードを前記バーコードデータべ一スに記憶させるバーコード伝送手段と、 認証要求者から認証を求めて送信されてきたバーコードを受信し、受信したバーコードが、前記バーコードデータべ一スに記憶されているバーコードと一致するか否かを判定し、受信したバーコードが、前記バーコードデータべ一スに記憶されていたとき、当該被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に送信するバーコード照合手段」 について記載されているということも、記載されているに等しいということもできない。 したがって、本件請求項7に係る発明は上記甲各号証のいずれに記載された発明とも同一の発明ではない。 また、他に本件請求項7に係る特許については取り消すべき理由を発見しない。 (3-8)請求項8に係る発明について 請求項8に係る発明と、申立人北川晃一が提出した甲1号証記載の発明とを比較すると、請求項8に係る発明においては、携帯端末装置において表示されるバーコードの元となるバーコード信号が、 「被認証者からのバーコードの付与の要求に応答して該被認証者がデータベースに記録されていると判定されたときに生成され且つ該被認証者に伝送され且つバーコードデータべ一スに記憶されたバーコードに対応するバーコード信号」 であるのに対して、甲1号証記載の発明においてはバーコード信号がどのような過程を経て生成されるものであるかも、バーコードがどのように管理されているかについても記載がなく、また、上記発明特定事項について当業者が格別の困難無くなし得たものであるということもできない。 また、請求項8に係る発明と、申立人明石英也が提出した甲1号証記載の発明および申立人ブレインリフレッシュが提出した甲2号証記載の発明を比較すると、該甲各号証のいずれにも、携帯端末装置において表示されるバーコードの元となるバーコード信号が、 「被認証者からのバーコードの付与の要求に応答して該被認証者がデータベースに記録されていると判定されたときに生成され且つ該被認証者に伝送され且つバーコードデータべ一スに記憶されたバーコードに対応するバーコード信号」 であることについて記載されているということも、記載されているに等しいということもできない。 さらに、申立人ターゲットワン株式会社及びパテントワン株式会社が提出した甲1号証記載の請求項3ないし4の発明は、 「表示装置を備え、登録者の要求に応答して発行されてサーバ装置から送信されたバーコードであって、前記登録者の認証に用いることが可能なバーコードの画面を表示することを特徴とする携帯端末装置」 ないし 「前記携帯端末装置は、携帯電話であることを特徴とする請求項3に記載の携帯端末装置」 であるにすぎず、携帯端末装置に表示されるバーコードの元となるバーコード信号に関する発明特定事項が請求項8の発明とは異なることは明らかである。 結局のところ、本件請求項8に係る発明は上記甲各号証のいずれに記載された発明とも同一の発明ではない。 また、他に本件請求項8に係る特許については取り消すべき理由を発見しない。 (3-9)請求項9に係る発明について 前記1(9)に認定のとおり、請求項9は請求項8を引用するものであり、本件の請求項8に係る発明については前記(3-8)のとおりであるから、本件の請求項9に係る発明がいずれの特許異議申立ての理由及び証拠によっても取り消すことができないのは明らかである。 また、他に本件請求項9に係る特許については取り消すべき理由を発見しない。 (3-10)請求項10に係る発明について 請求項10に係る発明と、申立人株式会社ブレインリフレッシュが提出した甲3号証から甲5号証記載の発明とを比較すると、請求項10に係る発明においては、 被認証者から送られてきたバーコードとバーコードデータベースに記憶されたバーコードの一致を判定し、認証を行う場合、バーコードデータベースに記憶されたバーコードがどのようにして作られたかに関して、 「該受信したバーコードが、被認証者からのバーコードの付与の要求に応じて被認証者に対して送信され且つバーコードデータべ一スに記憶されたバーコードと、一致するか否かを判定するステップと、 受信したバーコードが前記バーコードデータべ一スに記憶されていたときに、当該被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に送信するステップ」 を備えるのに対して、甲3号証から甲5号証には、認証処理を行うにあたって利用されるバーコード信号がどのような過程を経て生成されるものであるかも、バーコードがどのように管理されているかについても記載がなく、また、上記発明特定事項について当業者が格別の困難無くなし得たものであるということもできない。 また、請求項10に係る発明と、申立人明石英也が提出した甲1号証記載の発明および申立人ブレインリフレッシュが提出した甲2号証記載の発明を比較すると、該甲各号証のいずれにも、被認証者から送られてきたバーコードとバーコードデータベースに記憶されたバーコードの一致を判定し、認証を行う場合、バーコードデータベースに記憶されたバーコードがどのようにして作られたかに関する事項、すなわち、 「該受信したバーコードが、被認証者からのバーコードの付与の要求に応じて被認証者に対して送信され且つバーコードデー夕べ一スに記憶されたバーコードと、一致するか否かを判定するステップと、 受信したバーコードが前記バーコードデータべ一スに記憶されていたときに、当該被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に送信するステップ」 について記載されているということも、記載されているに等しいということもできない。 さらに、申立人ターゲットワン株式会社及びパテントワン株式会社が提出した甲1号証記載の請求項5の発明は、 「前記サーバがバーコードを受信すると、該受信したバーコードの登録者を登録者データベースから検索する第2ステップと、 前記登録者データベースから登録者が検索されると、前記登録者毎に前記登録者データベースに登録された該登録者の登録者情報を読み出す第3ステップと、 前記読み出した登録者情報を前記サーバから通信回線を介して前記店舗の端末装置に送信する第4ステップとを含み、 前記登録者データベースに登録者情報を登録された登録者には、それぞれ他の登録者に対して使用されていないバーコードがバーコードデータベースに登録されており、」 ということを発明特定事項とするものの、 これは請求項10の発明特定事項である、バーコードデータベースのバーコードが 「被認証者からのバーコードの付与の要求に応じて被認証者に対して送信され且つバーコードデータべ一スに記憶されたバーコード」 という事項を含むものではない。 結局のところ、本件請求項10に係る発明は上記甲各号証のいずれに記載された発明とも同一の発明ではない。 また、他に本件請求項10に係る特許については取り消すべき理由を発見しない。 第4 結論 以上のとおりであるから、平成15年1月20日付訂正請求に係る明細書についての訂正を認めるものとし、また、これにより訂正された請求項1から10に係る特許については維持するものとする。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 認証方法および装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 バーコードを使用した認証方法であって、 被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者から受信するステップと、 前記被認証者がデータベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記被認証者が前記データベースに記録されていたときに、バーコードを生成するステップと、 該バーコードを前記被認証者の発信者番号に送信すると共に、該バーコードをバーコードデータベースに記憶させるステップと、 被認証者によって提示され認証を求める認証要求者から送信されてきたバーコードを受信するステップと、 該受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されているバーコードと一致するか否かを判定するステップと、 受信したバーコードが前記バーコードデータベースに記憶されていたときに、当該被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に送信するステップと、 を備えている認証方法。 【請求項2】 前記発信者番号が、被認証者の携帯電話番号であり、 前記被認証者へのバーコードの送信が、被認証者の携帯電話に対して行われる、請求項1に記載の認証方法。 【請求項3】 前記発信者番号が、被認証者の固定電話の電話番号であり、 前記被認証者へのバーコードの送信が、被認証者の固定電話に対して行われる、請求項1に記載の認証方法。 【請求項4】 認証用バーコードを被認証者に付与するバーコード付与方法であって、 前記被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を、被認証者から受信するステップと、 前記被認証者がデータベースに記録されているか否かを判定するステップと、前記被認証者が前記データベースに記録されていたときにバーコードを生成するステップと、 該バーコードを前記被認証者に送信すると共に、該バーコードをバーコードデータベースに記憶するステップと、を備えているバーコード付与方法。 【請求項5】 前記発信者番号が、被認証者の携帯電話番号であり、 前記被認証者へのバーコードの送信が、被認証者の携帯電話に対して行われる、請求項4に記載のバーコード付与方法。 【請求項6】 通信回線を利用して被認証者に認証用バーコードを付与するバーコード付与方法であって、 前記被認証者からのバーコード要求信号を受信するステップと、 前記被認証者が所定のデータベースに記録されているか否かを判定するステップと、 前記被認証者が前記データベースに記録されていたときにはバーコードを生成するステップと、 前記バーコードを、前記被認証者に通信回線を通じて送ると共に、バーコードデータベースに記録するステップとを有する、バーコード付与方法。 【請求項7】 バーコードを使用した認証装置であって、 被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者から受信する受信装置と、 所定の個人データが記録されたデータベースと、 前記被認証者が前記データベースに記録されているか否かを判定し、前記被認証者が前記データベースに記録されていたときにバーコードを生成するバーコード生成手段と、 バーコード生成手段が生成したバーコードを記録するバーコードデータベースと、 該バーコードを前記被認証者に送信すると共に、該バーコードを前記バーコードデータベースに記憶させるバーコード伝送手段と、認証要求者から認証を求めて送信されてきたバーコードを受信し、受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されているバーコードと一致するか否かを判定し、受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されていたとき、当該被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に送信するバーコード照合手段と、を備えている認証装置。 【請求項8】 バーコードを使用した認証に使用される携帯端末装置であって、 被認証者からのバーコードの付与の要求に応答して該被認証者がデータベースに記録されていると判定されたときに生成され且つ該被認証者に伝送され且つバーコードデータベースに記憶されたバーコードに対応するバーコード信号に基づいて、該被認証者を認証するためのバーコードを表示する表示装置を備えている携帯端末装置。 【請求項9】 前記携帯端末装置が携帯電話器である、請求項8に記載の携帯端末装置。 【請求項10】 バーコードを使用した認証方法であって、 被認証者によって提示され認証を求める認証要求者から送信されてきたバーコードを受信するステップと、 該受信したバーコードが、被認証者からのバーコードの付与の要求に応じて被認証者に対して送信され且つバーコードデータベースに記憶されたバーコードと、一致するか否かを判定するステップと、 受信したバーコードが前記バーコードデータベースに記憶されていたときに、当該被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に送信するステップと、を備えている認証方法。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は認証方法に関し、より詳細には、バーコード等を利用した認証方法等に関する。 【0002】 【従来の技術】 個人の身元確認等の認証は、印鑑、付与されたパスワード、カードに設けられたエンボスまたは磁気テープ等を照合することによって行われていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 これに対し、本発明は、従来とは全く異なった方式で個人の身元確認等の認証を行うことができる認証方法等を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】 本件出願によれば、バーコードを使用した認証方法であって、被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者から受信するステップと、前記被認証者がデータベースに記録されているか否かを判定するステップと、前記被認証者が前記データベースに記録されていたときに、バーコードを生成するステップと、該バーコードを前記被認証者の発信者番号に送信すると共に、該バーコードをバーコードデータベースに記憶させるステップと、被認証者によって提示され認証を求める認証要求者から送信されてきたバーコードを受信するステップと、該受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されているバーコードと一致するか否かを判定するステップと、受信したバーコードが前記バーコードデータベースに記憶されていたときに、当該被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に送信するステップと、を備えている認証方法が提供される。 【0005】 このような構成を備えた本発明によれば、データベースでの身元確認の後に、被認証者に付与されたバーコードが、被認証者を特定するための識別標識として用いられる。 【0006】 ここで、被認証者とは、認証により自らの身元、信用度等を明らかにすることを欲するものを指し、例えば、買い物をする顧客、クレジットカード使用者等である。又、認証要求者とは、被認証者の身元、信用度などの確認を欲するものを指し、例えば、店舗、クレジットカード会社、銀行等がある。又、本件出願において「バーコード」とは、図2に示さているような横方向に並べられた複数の縦線によるパターンである一般的なバーコードに限定されるものではなく、光学的に読み取り判別可能な他の識別標識をも含むものである。 【0007】 又、本発明の好ましい態様によれば、前記発信者番号が、被認証者の携帯電話番号であり、前記被認証者へのバーコードの送信が、被認証者の携帯電話に対して行われる。 【0008】 又、本件出願によれば、認証用バーコードを被認証者に付与するバーコード付与方法であって、前記被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を、被認証者から受信するステップと、前記被認証者がデータベースに記録されているか否かを判定するステップと、前記被認証者が前記データベースに記録されていたときにバーコードを生成するステップと、該バーコードを前記被認証者に送信すると共に、該バーコードをバーコードデータベースに記憶するステップと、を備えているバーコード付与方法が提供される。 【0009】 本発明の好ましい態様によれば、前記発信者番号が、被認証者の携帯電話番号であり、前記被認証者へのバーコードの送信が、被認証者の携帯電話に対して行われる。 【0010】 又、本件出願によれば、通信回線を利用して被認証者に認証用バーコードを付与するバーコード付与方法であって、前記被認証者からのバーコード要求信号を受信するステップと、前記被認証者が所定のデータベースに記録されているか否かを判定するステップと、前記被認証者が前記データベースに記録されていたときにはバーコードを生成するステップと、前記バーコードを、前記被認証者に通信回線を通じて送ると共に、バーコードデータベースに記録するステップとを有する、バーコード付与方法が提供される。 【0011】 さらに、本件出願によれば、バーコードを使用した認証装置であって、被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者から受信する受信装置と、所定の個人データが記録されたデータベースと、前記被認証者が前記データベースに記録されているか否かを判定し、前記被認証者が前記データベースに記録されていたときにバーコードを生成するバーコード生成手段と、バーコード生成手段が生成したバーコードを記録するバーコードデータベースと、該バーコードを前記被認証者に送信すると共に、該バーコードを前記バーコードデータベースに記憶させるバーコード伝送手段と、認証要求者から認証を求めて送信されてきたバーコードを受信し、受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されているバーコードと一致するか否かを判定し、受信したバーコードが、前記バーコードデータベースに記憶されていたとき、当該被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に送信するバーコード照合手段と、を備えている認証装置が提供される。 【0012】 又、本件出願によれば、バーコードを使用した認証に使用される携帯端末装置であって、被認証者からのバーコードの付与の要求に応答して被認証者がデータベースに記録されていると判定されたときに生成され且つ該被認証者に伝送され且つバーコードデータベースに記憶されたバーコードに対応するバーコード信号に基づいて、該被認証者を認証するためのバーコードを表示する表示装置を備えている携帯端末装置が提供される。 【0013】 本発明の好ましい態様によれば、前記携帯端末装置が携帯電話器である。 【0014】 【発明の実施の形態】 次に、図面に沿って本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。 【0015】 図1は、本発明の実施形態である認証装置100を備えている認証システムを示すブロック図であり、図2は、バーコードの表示例を示す図面であり、図3は、この認証装置100が識別標識となるバーコードを付与する際の処理動作を示すフローチャートであり、図4は、この認証装置100がバーコードの判定を行って顧客の認証を行う際の処理動作を示すフローチャートである。 【0016】 まず、図1に沿って、認証装置100の構成を説明する。認証装置100は、顧客管理用サーバであり、被認証者である顧客から要求に応じてこの顧客に認証用(身元確認用)バーコードを付与するバーコード付与手段110を備えている。バーコード付与手段110は、顧客データベース(DB)112と、バーコード生成手段114と、バーコード伝送手段116とを備えている。 【0017】 顧客データベース(顧客DB)112には、登録済み顧客の氏名と、携帯電話番号とを含む顧客情報が収容されている。また、バーコード生成手段114は、バーコード送受信端末である顧客の携帯電話200の発信装置(バーコード要求手段)202から電話回線(通信回線)を通してバーコード要求信号を受け、このバーコード要求信号に含まれる当該顧客の発信者番号、即ち、携帯電話番号に基づいて顧客データベース112を検索し、当該発信者番号を発見した場合にはバーコード、詳細には、バーコードに対応する信号(バーコード信号)を生成するように構成されている。このバーコードは、当該顧客が特定の店舗300で使用するためのものであり、顧客および店舗に対して一意的に生成される。即ち、バーコードは、当該顧客が、特定の店舗でしか使用できない固有のバーコードとなる。 【0018】 さらに、バーコード伝送手段116は、バーコード生成手段114が生成したバーコード、詳細には、バーコード信号を顧客およびバーコードデータベース122に伝送するように構成されている。この顧客へのバーコードの伝送は、通信回線を介して、顧客の携帯電話200の受信装置(バーコード受信手段)204にバーコード、詳細には、バーコード信号を伝送することによって行われる。バーコード信号は、例えば、GIF形式、JPEG形式に圧縮した画像フォーマットとして伝送されるのが好ましい。 【0019】 この実施形態では、携帯電話200は、伝送されたバーコード信号を記憶し、これに対応したバーコード400を、その場であるいはその後の呼び出しに応じて、液晶表示画面などの表示部206に表示できるように構成されている(図2)。携帯電話の所有者である顧客は、この認証システムの加盟者(店舗等)で買い物等を行う際、付与されたバーコード400を携帯電話の表示部206に表示させ、このバーコード400と自らが所有する携帯電話の番号(発信者番号)との組み合わせを、身元を確認させる手段(ID)として使用する。尚、表示部206には、バーコード400に加えて、登録の有効期限402や他のメッセージ404等を表示させるて利便性を向上させてもよい。 【0020】 尚、バーコードデータベース122には、バーコード信号と共に、当該バーコードを付与された顧客の発信者番号(携帯電話番号)も伝送され、両者が組み合わせて(対応付けられて)収容されるように構成されている。 【0021】 認証装置100は、さらに、顧客が買い物等をした店舗から送られてきた顧客のバーコード、詳細には、バーコード信号等に基づいて、当該顧客に認証を付与する即ち顧客の身元確認を行うバーコード判定装置120を備えている。 【0022】 バーコード判定装置120は、バーコードデータベース122と、バーコード照合手段124とを備えている。上述したように、バーコードデータベース122には、バーコード伝送手段116から伝送されたバーコード、詳細には、バーコード信号が、このバーコードが付与された顧客の発信者番号(携帯電話番号)と組み合わせて記憶されている。 【0023】 また、バーコード照合手段124は、認証要求者である店舗300のバーコード読取り装置302で読みとられバーコード確認手段304から送られてきたバーコード信号と携帯電話番号との組み合わせを、バーコードデータベース122に記憶されているバーコード信号とこのバーコードが付与された顧客の発信者番号(携帯電話番号)と組み合わせと照合して、店舗300から送られてきたバーコード信号と携帯電話番号との組み合わせが、適正であるか否かを判定するように構成されている。 【0024】 詳細には、店舗300から通信回線を介して送られてきたバーコード信号と携帯電話番号との組み合わせと同一の組み合わせが、バーコードデータベース122中に存在しているときには、店舗300から送られてきたバーコード信号と携帯電話番号との組み合わせが適正、即ち、当該店舗で買い物等をした顧客(バーコード使用者)は、顧客データベース112に登録された適正な使用者であると判定するように構成されている。そして、バーコード照合手段124は、店舗300のバーコード確認手段304に、当該店舗で買い物等をした顧客(バーコード使用者)が、適正な使用者である旨の信号、又は、適正な使用者でない旨の信号を伝送するように構成されている。 【0025】 次に、図3に沿って、認証装置100が認証用のバーコードを付与する際の作動(認証付与方法)を説明する。図3において、「S」は、認証装置100が実行する各処理のステップを示している。 【0026】 まず、この認証装置100による認証用のバーコードの付与を求める顧客が、認証装置100に対して通信回線を介してバーコード要求信号を発する。この実施形態では、顧客が携帯電話200から認証装置100に対して、電話をかけることにより、バーコード要求信号が、認証装置100に伝送されるように構成されている。顧客の携帯電話200のバーコード要求手段(発信装置)202からのバーコード要求信号には、当該携帯電話200の発信者番号(携帯電話番号)を示す信号が含まれているので、認証装置100に設けられたバーコード付与手段110のバーコード生成手段114が、顧客からのバーコード要求信号を受信することにより、発信者番号を受信することになる(S1)。 【0027】 次に、認証装置100では、バーコード生成手段114が、受信した顧客の発信者番号が顧客データベース112内に存在しているか否かを判定する(S2)ことによって、バーコードの付与を求める顧客が会員登録済みの顧客であるか否かをチェックする。受信した顧客の発信者番号が顧客データベース112内に存在していない場合には、登録済み顧客ではないので、作動を終了する。このとき、登録済みでは無い旨の、または、登録を促すメッセージを顧客側に返送するように構成してもよい。 【0028】 受信した顧客の発信者番号が顧客データベース112内に存在していた場合には、バーコード生成手段114が、当該顧客の特定の店舗300用のバーコード信号を生成し、バーコード伝送手段116に出力する(S3)。バーコード伝送手段116は、バーコード信号を、通信回線を介して、顧客の携帯電話200の受信装置(バーコード受信手段)204に伝送するとともに、バーコード判定手段120のバーコードデータベース122にも送る(S4)。このとき、バーコードデータベース122には、バーコード信号と共に、当該バーコードを発行された顧客の発信者番号(携帯電話番号)も伝送され、両者が組み合わせとして記録される(S4)。 【0029】 この実施形態の認証システムでは、携帯電話200は、伝送されたバーコード信号を記憶し、これに対応したバーコード400を、その場であるいはその後の呼び出しに応じて、表示部206に表示できるように構成されているので、携帯電話200の所有者である顧客は、この認証システムの加盟者(店舗300等)で買い物等を行う際、受信した(付与された)バーコード400を携帯電話の表示部206に表示させ、このバーコード400と自らが所有する携帯電話200の番号(発信者番号)とを組み合わせて、身元を確認させる手段(ID)として使用することになる。 【0030】 次に、図4に沿って、認証装置100が付与されたバーコードに基づいて認証を行う際の作動(認証方法)を説明する。図4において、「S」は、認証装置100が実行する各処理のステップを示している。 【0031】 この認証装置100による認証を求める顧客は、この認証システムの加入店300で買い物をする際、上述のようにして予め取得したバーコード400を、自らの携帯電話200の表示部206に表示させ(図3)、店舗300側のバーコード読取装置302に読取らせてバーコード確認手段304に入力させる。さらに、顧客は、当該携帯電話200の番号(発信者番号)を、バーコード確認手段304に、例えば、これに接続されたキーボードなど(図示せず)を介して、入力する。このようにして店舗300側で入力されたバーコード400に対応するバーコード信号と発信者番号との組み合わせが、認証装置100に送られ、顧客の身元確認、即ち、認証に使用される。 【0032】 認証装置100のバーコード照合手段124は、店舗300のバーコード読取り装置302で読みとられ、バーコード確認手段304から送られてきたバーコード、詳細には、バーコード信号と発信者番号との組み合わせを受信する(S10)。このときもバーコード信号は、例えば、GIF形式、JPEG形式に圧縮した画像フォーマットとして伝送されるのが好ましいが、他の方法で伝送されてもよい。 【0033】 バーコード照合手段124は、バーコードデータベース122に記憶されているバーコード信号とこのバーコードが付与された顧客の発信者番号(携帯電話番号)と組み合わせを検索して、店舗300から送られてきたバーコード信号と携帯電話番号との組み合わせが、バーコードデータベース122に存在しているか否かを判定する(S12)。存在していない場合には、正当な使用ではないと判断し、当該顧客は認証されていない旨の信号を確認手段304に送信する(S14)。又、存在している場合には、正当な使用である判断し、当該顧客が認証されている旨の認証信号をバーコード確認手段304に送信することによって、当該顧客の認証を行う(S16)。 【0034】 この認証システムは、例えば、買い物額に応じてキャッシュバック等を行う会員サービスのための顧客認証や、レンタルビデオ店の会員認証などの顧客管理に利用できるが、認証が必要とされるの他の種々の用途にも利用できる。 【0035】 尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された事項の範囲に内で種々の変更、変形が可能である。例えば、上記認証システムでは、認証が行われる店舗300が1つである場合を例に本発明を説明したが、このような店舗は複数であってもよい。この場合には、バーコード要求信号に、どの店舗で用いるバーコードを認証付与を要求するかを示す信号を含めるのがよい。また、バーコード要求信号に応答して、例えば図5に示すような、このシステムで認証を受けることができる店舗の選択肢A106、B108、C410、D412、E414を表示する画面を、顧客の携帯電話200の表示部206に送り、顧客に選択をさせるようにしてもよい。 【0036】 また、上記実施形態では、顧客データベース112は、登録済みの顧客名簿であったが、認証システムの利用形態によっては、電話会社の全ての加入者を含むもの、即ち、電話帳をデータベース化したものであってもよい。 【0037】 また、上記実施形態では、バーコード送受信端末が単一の携帯電話200である場合を例にしたが、バーコード装置受信端末が、電話回線に接続されたパソコン等であってもよい。この場合、発信者信号は、パソコンが接続された固定電話の電話番号となる。さらに、この態様では、認証装置からダウンロードしたバーコード信号を、一旦、パソコンで受信し、バーコードを表示可能な表示部を備えた携帯電話または他の携帯端末に入力することになる。また、この態様においては、パソコンからのバーコード要求信号に、顧客が所有する携帯電話の電話番号を示す信号を含ませることにより、バーコード信号を顧客の所有する携帯電話で直接ダウンロードさせ、パソコンをバーコード要求手段として、携帯電話をバーコード受信手段として使用することもできる。 【0038】 また、上記実施形態は、バーコードと発信者番号(携帯電話番号)の組み合わせで本人確認を行い認証を行うように構成されているが、バーコード生成手段が生成したバーコード(バーコード信号)のみに基づいて、または、バーコード信号とパスワード等の他の暗号或いは信号とを組み合わせて、確認、認証を行うように構成してもよい。 【0039】 さらに、顧客データベース112に、顧客の信用情報も記憶させる等などしておき、バーコード照合手段が、店舗からの確認要請に応答して、バーコード等の照合を行う際にこの信用情報も併せて確認して店舗側に通知するように構成してもよい。このように構成すると、本発明の認証システムに、例えば、クレジットカードのような機能を持たせることもできる。 【0040】 さらに、上記実施形態では、店舗300が顧客に提示されたバーコードを認証装置100側に照会しているが、店舗300側に、バーコードデータベースと連動するデータベースを設けておく構成としてもよい。このような構成により、店舗300は、バーコードの照会を行うたびに、認証装置100との間で信号の送受信を行う必要がなく、自店舗内での照会が可能となる。 【0041】 更に、上記実施形態は、認証を求める顧客が携帯電話にバーコード表示し、これを店舗で読取らせるものであるが、認証を求める顧客(被認証者)が通信回線を使って、付与されたバーコード(バーコード信号)等を店舗(認証要求者)側に送り、店舗がバーコードとしてこれを読み取って、認証装置に対して照会を行う構成としてもよい。このような構成は、店舗が、銀行、クレジット会社等であり、これら銀行等で顧客が決済や発注を行う場合に対応できる。 【0042】 又、バーコード要求信号、および、バーコード信号等は、インターネットなどのネットワークを介して、伝送されるものであってもよい。 【0043】 【発明の効果】 以上のように、本発明によれば、従来とは全く異なった方式で個人の身元確認等の認証を行うことができる認証方法等が提供される。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施形態である認証装置を備えている認証システムを示すブロック図である。 【図2】バーコードの表示例を示す図面である。 【図3】認証装置が被認証者にバーコードを付与する際の処理動作を示すフローチャートである。 【図4】認証装置がバーコードの判定を行って被認証者を認証する際の処理動作を示すフローチャートである。 【図5】本発明の他の実施形態で用いる表示部の図である。 【符号の説明】 100:認証装置 110:バーコード付与手段 112:顧客データベース(DB) 114:バーコード生成手段 116:バーコード伝送手段 120:バーコード判定装置 122:バーコードデータベース 124:バーコード照合手段 200:バーコード送受信端末(携帯電話機) |
訂正の要旨 |
▲1▼訂正事項a 特許請求の範囲の請求項4中の”該バーコードを記憶するステップと”を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「該バーコードをバーコードデータベースに記憶するステップと」と訂正する。 これに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、発明の詳細な説明の段落【0008】の”該バーコードを記憶するステップと、を備えているバーコード付与方法が提供される。”を、「該バーコードをバーコードデータベースに記憶するステップと、を備えているバーコード付与方法が提供される。」と訂正する。 ▲2▼訂正事項b 特許請求の範囲の請求項6中の”前記バーコードを、前記被認証者に通信回線を通じて送ると共に、記録するステップ”を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「前記バーコードを、前記被認証者に通信回線を通じて送ると共に、バーコードデータベースに記録するステップ」と訂正する。 これに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、発明の詳細な説明の段落【0010】の”前記バーコードを、前記被認証者に通信回線を通じて送ると共に、記録するステップとを有する、バーコード付与方法が提供される。”を、「前記バーコードを、前記被認証者に通信回線を通じて送ると共に、バーコードデータベースに記録するステップとを有する、バーコード付与方法が提供される。」と訂正する。 ▲3▼訂正事項c 特許請求の範囲の請求項8中の”被認証者の要求に応答して生成され且つ該被認証者に伝送されたバーコード信号に基づいて”を、特許請求の範囲の減縮を目的として、「被認証者からのバーコードの付与の要求に応答して該被認証者がデータベースに記録されていると判定されたときに生成され且つ該被認証者に伝送され且つバーコードデータベースに記憶されたバーコードに対応するバーコード信号に基づいて」と訂正する。 これに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、発明の詳細な説明の段落【0012】の”被認証者の要求に応答して生成され且つ該被認証者に伝送されるバーコード信号に基づいて”を、「被認証者からのバーコードの付与の要求に応答して該被認証者がデータベースに記録されていると判定されたときに生成され且つ該被認証者に伝送され且つバーコードデータベースに記憶されたバーコードに対応するバーコード信号に基づいて」と訂正する。 ▲4▼訂正事項d 特許請求の範囲の請求項10中の”該受信したバーコードが、被認証者からの要求に応じて被認証者に対して送信されるとともバーコードデータベースに記憶されたバーコードと一致するか否かを判定するステップと”を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「該受信したバーコードが、被認証者からのバーコードの付与の要求に応じて被認証者に対して送信され且つバーコードデータベースに記憶されたバーコードと、一致するか否かを判定するステップと、」と訂正する。 ▲5▼訂正事項e 特許請求の範囲の減縮を目的として、請求項11を削除する。 |
異議決定日 | 2003-03-03 |
出願番号 | 特願2000-133741(P2000-133741) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(H04L)
P 1 651・ 537- YA (H04L) P 1 651・ 536- YA (H04L) P 1 651・ 161- YA (H04L) P 1 651・ 113- YA (H04L) P 1 651・ 4- YA (H04L) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 梅沢 俊 |
特許庁審判長 |
吉岡 浩 |
特許庁審判官 |
川崎 優 大橋 隆夫 |
登録日 | 2001-07-06 |
登録番号 | 特許第3207192号(P3207192) |
権利者 | 株式会社ジェネス |
発明の名称 | 認証方法および装置 |
代理人 | 古溝 聡 |
代理人 | 大塚 文昭 |
代理人 | 大塚 文昭 |
代理人 | 小川 信夫 |
代理人 | 村社 厚夫 |
代理人 | 小川 信夫 |
代理人 | 今城 俊夫 |
代理人 | 西島 孝喜 |
代理人 | 竹内 英人 |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 古溝 聡 |
代理人 | 今城 俊夫 |
代理人 | 宍戸 嘉一 |
代理人 | 西島 孝喜 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 村社 厚夫 |
代理人 | 倉澤 伊知郎 |
代理人 | 竹内 英人 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 箱田 篤 |
代理人 | 宍戸 嘉一 |
代理人 | 倉澤 伊知郎 |
代理人 | 箱田 篤 |