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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
審判 全部申し立て 発明同一  A63F
管理番号 1079492
異議申立番号 異議2001-72575  
総通号数 44 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-10-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-09-18 
確定日 2003-04-09 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3147301号「遊戯台」の請求項1ないし5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3147301号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。 
理由 第1.手続の経緯
本件特許第3147301号の請求項1ないし5に係る発明は、平成11年4月14日に特許出願され、平成13年1月12日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、荒川浩二より特許異議の申立てがなされ、平成14年6月10日付けで取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成14年8月20日に訂正請求(後日取下げ)がなされた後、平成14年10月15日付けで再度の取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成14年12月20日に訂正請求がなされたものである。
第2.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
平成14年12月20日付けの訂正請求書の内容は、以下のとおりである。
・訂正事項a
明細書の特許請求の範囲の請求項1における、
「抽選により内部入賞の当否又は該内部入賞の種類を確定し」を、
「抽選により複数種類ある入賞役の内部入賞の当否及びその種類を確定し、」
と訂正する。
.訂正事項b
明細書の特許請求の範囲の請求項1における、
「遊戯者に対する所定の報知であって、
前記リールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間に開始して終了する報知を、
各々の前記リールの停止操作毎に行う報知装置を備え」を、
「遊戯者に対する所定の報知であって、
ゲームの開始操作時に行われる報知と、
前記リールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間に開始して終了し、
各々の前記リールの停止操作毎の報知と、を行う報知装置を備え、」
と訂正する。
・訂正事項c
明細書の特許請求の範囲の請求項1における、
「該報知は、複数種類あり」を、
「該ゲームの開始操作時に行われる報知と該各々の前記リールの停止操作毎の報知とは、それぞれ複数種類あり」
と訂正する。
・訂正事項d
明細書の特許請求の範囲の請求項1における、
「前記報知装置は、確定した前記内部入賞の当否又は前記内部入賞の種類に基づいて、
各々の前記リールの停止操作毎の前記報知の種類を選択する」を、
「前記報知装置は、確定した前記内部入賞の当否及びその種類に基づいて、
前記ゲームの開始操作時に行われる報知及び前記各々の前記リールの停止操作毎の報知の種類の組合せを選択し、
前記報知装置は、前記絵柄を裏側から照明するバックライトを含み、
前記報知の種類には、少なくとも前記バックライトの点滅を含み、かつ、
前記各々の前記リールの停止操作毎の報知の場合における前記バックライトの点滅は、
複数種類設定されている」
と訂正する。
・訂正事項e
明細書の特許請求の範囲の請求項2及び5を削除する。
・訂正事項f
明細書の特許請求の範囲の請求項3を以下の通り訂正して請求項2とする。
「【請求項2】前記リールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間が200msであり、
前記バックライトがLEDから構成されたことを特徴とする請求項1に記載の遊戯台。」
・訂正事項g
明細書の特許請求の範囲の請求項4を以下の通り訂正して請求項3とする。
「【請求項3】前記報知は、音声も含むことを特徴とする請求項2に記載の遊戯台。」
・訂正事項h
明細書の【課題を解決するための手段】欄における、
「本発明によれば、複数種類の絵柄よりなるリールを複数列備え、メダルまたは玉等の遊戯媒体を投入し、ゲームの開始操作により前記複数列のリールを絵柄表示窓上で移動を開始させると同時に、抽選により内部入賞の当否又は該内部入賞の種類を確定し、各リールに対応した停止操作に対して、前記各リールを前記内部入賞の当否又は該内部入賞の種類に基づいた所定の組み合せで絵柄が絵柄表示窓上に表示されるように制御部の制御により停止させ、前記停止したリールの前記絵柄表示窓上の絵柄の組み合わせから入賞を定め、所定の数の遊戯媒体を払い戻す遊戯台であって、遊戯者に対する所定の報知であって、前記リールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間に開始して終了する報知を、各々の前記リールの停止操作毎に行う報知装置を備え、該報知は、複数種類あり、前記報知装置は、確定した前記内部入賞の当否又は前記内部入賞の種類に基づいて、各々の前記リールの停止操作毎の前記報知の種類を選択することを特徴とする遊戯台が提供される。」を、
「本発明によれば、複数種類の絵柄よりなるリールを複数列備え、メダルまたは玉等の遊戯媒体を投入し、ゲームの開始操作により前記複数列のリ一ルを絵柄表示窓上で移動を開始させると同時に、抽選により複数種類ある入賞役の内部入賞の当否及びその種類を確定し、各リールに対応した停止操作に対して、前記各リールを前記内部入賞の当否及びその種類に基づいた所定の組み合せで絵柄が絵柄表示窓上に表示されるように制御部の制御により停止させ、前記停止したリールの前記絵柄表示窓上の絵柄の組み合わせから入賞を定め、所定の数の遊戯媒体を払い戻す遊戯台であって、遊戯者に対する所定の報知であって、ゲームの開始操作時に行われる報知と、前記リールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間に開始して終了し、各々の前記リールの停止操作毎の報知と、を行う報知装置を備え、該ゲームの開始操作時に行われる報知と該各々の前記リールの停止操作毎の報知とは、それぞれ複数種類あり、前記報知装置は、確定した前記内部入賞の当否及びその種類に基づいて、前記ゲームの開始操作時に行われる報知及び前記各々の前記リールの停止操作毎の報知の種類の組合せを選択し、前記報知装置は、前記絵柄を裏側から照明するバックライトを含み、前記報知の種類には、少なくとも前記バックライトの点滅を含み、かつ、前記各々の前記リールの停止操作毎の報知の場合における前記バックライトの点滅は、複数種類設定されていることを特徴とする遊戯台が提供される。」
と訂正する。
・訂正事項i
明細書の【0032】欄における、
「本発明において、前記報知装置は、前記絵柄を裏側から照明するバックライトを含み、前記報知には、該バックライトの点灯、該バックライトの消灯、若しくは、該バックライトの点滅の少なくともいずれかを含むことができる。この場合、前記バックライトをLEDから構成することもできる。」を、
「本発明において、前記リールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間が200msであり、前記バックライトをLEDから構成してもよい。」
と訂正する。
・訂正事項j
明細書の【0034】ないし【0036】の記載事項を削除する。
・訂正事項k
明細書の【発明の効果】欄における、
「以上詳細に説明したように、本発明によれば、ゲームが開始されてリールが一定の速度に達し、遊戯者がストップボタン押下した時点より、対応するリールが所定の絵柄表示窓上に停止し次のストップボタンを押下するまでの間に、遊戯者へ制御部の内部情報(内部ゲーム状態)を、入賞の種類に応じて予め定められている報知パターンで報知することにより、従来のスロットマシンと違ったゲーム性が提供でき、初心者にも遊戯意欲を沸き立たせる遊戯台が提供できる。」を、
「以上詳細に説明したように、本発明によれば、ゲームの開始操作時に行われる報知、及び、リールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間に開始して終了し、各々のリールの停止操作毎の報知、が複数種類あり、その報知の種類の組合せが、確定した内部入賞の当否及びその種類に基づいて選択されるので、従来のスロットマシンと違ったゲーム性が提供でき、初心者にも遊戯意欲を沸き立たせる遊戯台が提供できる。」
2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張変更の存否の判断
上記訂正事項aは、特許明細書の請求項1に係る発明の構成に欠くことができない事項である「内部入賞の当否又は該内部入賞の種類」を「複数種類ある入賞役の内部入賞の当否及びその種類」と、特許明細書の図6、図7、図9、【0074】、【0089】、【0090】、【0100】、【0102】の記載に基づいて、入賞役が複数種類あり、また、内部入賞の抽選においては、内部入賞の当否とその種類、すなわち、内部入賞した入賞役の種類が抽選されることに限定しようとしたものであり、特許請求の範囲の滅縮を目的とするものである。
上記訂正事項bは、特許明細書の請求項1に係る発明の構成に欠くことができない事項である「報知の時期」を、特許明細書の図5、【0051】、【0078】、【0079】の記載に基づいて、更に、ゲームの開始操作時に行われることに限定しようとしたものであり、特許請求の範囲の滅縮を目的とするものである。
上記訂正事項cは、特許明細書の請求項1に係る発明の構成に欠くことができない事項である「報知の種類」を、特許明細書の図5、【0079】の記載に基づいて、「ゲーム開始操作時に行われる報知」も複数種類あることに限定しようとしたものであり、特許請求の範囲の滅縮を目的とするものである。
上記訂正事項dは、特許明細書の請求項1に係る発明の構成に欠くことができない事項である「前記報知装置は、確定した前記内部入賞の当否又は前記内部入賞の種類に基づいて、各々の前記リールの停止操作毎の前記報知の種類を選択する」を、特許明細書の図5、図6、図9、【0088】の記載に基づいて、報知装置が内部入賞の当否及びその種類に基づいて、ゲーム開始操作時の報知及びリール停止操作毎の報知の種類の組合せを選択することを限定しようとしたものであり、特許請求の範囲の滅縮を目的とするものである。
また、特許明細書の請求項1に係る発明の構成に欠くことができない事項である「報知装置」を、特許明細書の特許請求の範囲の請求項2、【0049】ないし【0051】の記載に基づいて、「絵柄を裏側から照明するバックライト」を含むことに限定しようとしたものであり、特許請求の範囲の滅縮を目的とするものである。
更に、特許明細書の請求項1に係る発明の構成に欠くことができない事項である「報知の種類」を、特許明細書の特許請求の範囲の請求頃2、図5、【0077】の記載に基づいて、「少なくとも前記バックライトの点滅」を含むことに限定すると共に、前記各々の前記リールの停止操作毎の報知の場合における前記バックライトの点滅は、複数種類設定されていること、に限定しようとしたものであり、特許請求の範囲の滅縮を目的とするものである。
上記訂正事項eは、請求項の削除であるから、特許請求の範囲の減縦を目的とするものである。
上記訂正事項fは、特許明細書の請求項1を引用する請求項3に係る発明の構成に欠くことができない事項である「リールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間」を「前記リールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間が200msであり」と、特許明細書の図4、【0071】の記載に基づいて、200msと限定しようとしたものであり、特許請求の範囲の滅縮を目的とするものである。また、請求項2を削除したことに伴い請求項の番号を繰り上げると共に引用形式を訂正したものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
上記訂正事項gは、特許明細書の請求項4について、請求項2を削除したことに伴い請求項の番号を繰り上げると共に引用形式を訂正したものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
上記訂正事項h〜kは、特許請求の範囲の訂正に伴って、訂正された特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
したがって、上記訂正事項a〜kは、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、変更するものではない。
3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
第3.特許異議の申立てについての判断
1本件発明
上記第2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1ないし3に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次の事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】複数種類の絵柄よりなるリールを複数列備え、メダルまたは玉等の遊戯媒体を投入し、ゲームの開始操作により前記複数列のリールを絵柄表示窓上で移動を開始させると同時に、抽選により複数種類ある入賞役の内部入賞の当否及びその種類を確定し、各リールに対応した停止操作に対して、前記各リールを前記内部入賞の当否及びその種類に基づいた所定の組み合せで絵柄が絵柄表示窓上に表示されるように制御部の制御により停止させ、前記停止したリールの前記絵柄表示窓上の絵柄の組み合わせから入賞を定め、所定の数の遊戯媒体を払い戻す遊戯台であって、
遊戯者に対する所定の報知であって、ゲームの開始操作時に行われる報知と、前記リールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間に開始して終了し、各々の前記リールの停止操作毎の報知と、を行う報知装置を備え、
該ゲームの開始操作時に行われる報知と該各々の前記リールの停止操作毎の報知とは、それぞれ複数種類あり、
前記報知装置は、確定した前記内部入賞の当否及びその種類に基づいて、前記ゲームの開始操作時に行われる報知及び前記各々の前記リールの停止操作毎の報知の種類の組合せを選択し、
前記報知装置は、前記絵柄を裏側から照明するバックライトを含み、
前記報知の種類には、少なくとも前記バックライトの点滅を含み、かつ、前記各々の前記リールの停止操作毎の報知の場合における前記バックライトの点滅は、複数種類設定されていることを特徴とする遊戯台。」(以下、「本件発明1」という。)
「【請求項2】前記リールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間が200msであり、
前記バックライトがLEDから構成されたことを特徴とする請求項1に記載の遊戯台。」(以下、「本件発明2」という。)
「【請求項3】前記報知は、音声も含むことを特徴とする請求項2に記載の遊戯台。」(以下、「本件発明3」という。)
2.取消理由の概要
当審が平成14年6月10日付けで通知した取消理由は、訂正前の本件請求項1ないし5に係る発明は、下記の刊行物1乃至3および5乃至9に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきというものである。
刊行物1:特開平10-305128号公報
刊行物2:パチスロ必勝ガイド10月号 表紙、第4、5頁 平成10年10月1日株式会社白夜書房発行
刊行物3:パチスロ必勝ガイド8月号増刊 サンダーV世紀末雷神伝説号 表紙、第8、9頁 平成10年8月1日株式会社白夜書房発行
刊行物5:特開昭58-41588号公報
刊行物6:特開平1-158989号公報
刊行物7:特開平6-312043号公報
刊行物8:特開平8-I17390号公報
刊行物9:特開平10-328350号公報
3.刊行物に記載の発明
(1)刊行物1〔特開平10-305128号公報〕には、以下の事項が記載されている。
「内部当りか否かを抽選する抽選部と、この抽選部における抽選結果が内部当りである場合にその結果を報知する報知部、及びこれら抽選部,報知部を制御する制御部を備えたスロットマシンの内部当り報知装置であって、前記制御部が、前記抽選部での抽選が内部当りとなった場合に、前記報知部に、前記スロットマシンのスタートレバー,複数のストップボタンのいずれかが操作された後に内部当りの報知を行わせることを特徴とするスロットマシンの内部当り報知装置。」【請求項1】、
「前記抽選部において二種類以上の内部当りが抽選されるとともに、前記制御部が、前記抽選部での抽選が内部当りとなった場合に、前記報知部に、前記二種類以上の内部当りの種類に応じて異なる種類の報知を行わせることを特徴とする。」【請求項2】、
「【発明の属する技術分野】本発明は、スロットマシン(回胴式遊技機)におけるいわゆる内部当りを報知する装置及び方法に関し、特に、内部当りの当選結果を報知する報知部の報知時期を任意に設定できるとともに、内部当りの種類に応じて異なる報知を行うことができるスロットマシンの内部当り報知装置及び方法に関する。」【0001】、
「【0002】【従来の技術】一般にスロットマシンは、遊技者が遊技用のメダルを投入してスタートレバーを押下すると、表面に図柄を表示した複数のドラム(通常は三つのドラム)が回転を開始し、続いてストップボタンを押すと各ドラムが順次停止し、停止したドラムの図柄の配列によって各種入賞が決定されて、入賞内容に応じた量のメダルが遊技者に払い出されるという遊技機器である。【0003】このようなスロットマシンにおいては、ゲームの面白さを増すため、一定の確率で、自動的に所定の入賞配列で図柄が停止するよう、内部当りと呼ばれるシステムが採用されている。【0004】この内部当りシステムは、スロットマシン内部で自動的に抽選を行い、抽選の結果当選した場合には、遊技者のストップボタンを押すタイミングにかかわらず、一定範囲内で図柄が入賞配列となるようドラムを停止制御するというもので、一定の確率で必ず当選が出るようになっている。【0005】具体的には、スロットマシン内部に備えられた内部当り抽選部によって、スタートレバーが押下された時点で、毎回自動的に抽選が行われて当選,不当選が決定される。そして、当選した場合には、以後所定量のメダルが払い出されるまでの間は、ゲームを続ける限り、各ドラムの特定の図柄(例えば「7」,「BAR」等)が、一定の範囲内で遊技者のストップボタンを押すタイミングにかかわらず一列に配列されて停止するようドラムが制御される。【0006】ここで、内部当り抽選部で抽選される内部当りには、通常、大当り(大ボーナス,BB)及び中当り(中ボーナス,RB)等と呼ばれる二種類以上の異なる種類の当選がある。例えば、大当りに当選した場合には、以後所定量のメダルが払い出されるまで、大当り用の特定の図柄が配列されるように(例えば「7,7,7」)ドラムが制御され、中当りに当選した場合は、中当り用の特定の図柄が配列されるように(例えば「BAR,BAR,BAR」)ドラムが制御され、大当りは中当りの約3倍の量のメダルが払い出されるように設定されている。」【0002】〜【0006】、
「【0037】図1は、本発明の第一実施形態にかかるスロットマシンの正面図である。図2は、本発明の第一実施形態にかかるスロットマシンの内部当り表示ランプを点灯させるための制御系を示すブロック図である。また、図3は、本実施形態にかかるスロットマシンの内部当り表示ランプの点灯処理動作を示すフローチャートである。【0038】まず、図1にもとづき、スロットマシンの全体構造を説明する。同図において、スロットマシン本体1の前面パネル2には、中央部に三つの表示窓3(3a,3b,3c)が設けられており、内部でそれぞれ独立して回転する三つのドラムの周面に描かれた図柄を、この表示窓3で識別できるようになっている。なお、表示窓3には、入賞ライン表示が描かれており、この入賞ライン表示上に配列した図柄の種類に応じて入賞が決定される。【0039】4はスタートレバーで、各ドラムを一斉に回転させるためのゲームスタート装置となっている。5はストップボタンで、回転する三つの各ドラムをそれぞれ任意に停止させるためのものであり、三つのドラムに対応して、三つのストップボタン5(第一ボタン5a,第二ボタン5b,第三ボタン5c)が設けてある。【0040】遊技者はこれらのスタートレバー4およびストップボタン5を操作することによって入賞の図柄を配列すべくゲームを楽しむ。6はメダル投入口、7は入賞メダル払出し口である。また、8はスピーカで、スロットマシン本体1の前面に設けられており、ドラムの図柄入賞時には、このスピーカ8から祝福のためのメロディーを流し、演出効果を高める。」【0037】〜【0040】、
「例えば、内部当り報知制御部12の設定がスタートレバー4の押下後であればその時点で(ステップ7)、設定が第一ボタン7aが押された後であればその時点で(ステップ8)、設定が第二ボタン5bが押された後であればその時点で(ステップ9)、また、設定が第三ボタン5cが押された後であればその時点で(ステップ10)、それぞれ内部当り表示ランプ20に信号が出力されることになる。」【0063】、
「すなわち、この内部当り報知制御部12は、例えばスタートレバー4の押下後、あるいは三つのストップボタン5a,5b,5cのいずれかが押された後に内部当り報知部50に報知させるよう、内部当りの報知時期をあらかじめ設定できるようにしてある。」【0131】、
図1、図2、図3、図7、図8、図9。
これらの記載を対比のためにまとめると、刊行物1には、以下の発明が記載されている。
「周面に図柄が描かれた回転する三つのドラム30を備え、メダルを投入し、スタートレバー4の押下により、各ドラムを一斉に回転させ、前面パネル2の中央部に設けられた三つの表示窓3(3a,3b,3c)で回転する三つのドラムの周面に描かれた図柄を、この表示窓3で識別できるようになっており、内部当り抽選部11によって、スタートレバーが押下された時点で、自動的に抽選が行われて大当り、中当り等の当選,不当選が決定され、各ドラムの特定の図柄(例えば「7」,「BAR」等)が、一定の範囲内で、三つのドラムに対応して設けられた三つのストップボタン5(第一ボタン5a,第二ボタン5b,第三ボタン5c)を押すタイミングにかかわらず、一列に配列されるよう制御部10の制御により停止され、停止したドラムの図柄の配列によって各種入賞が決定されて、入賞内容に応じた量のメダルが遊技者に払い出されスロットマシンであって、内部当り抽選部11での抽選結果が内部当りである場合にその結果を報知するランプ50a,スピーカ50bを有する内部当り報知部50を備え、スロットマシンのスタートレバー4,複数のストップボタン5a,5b,5cのいずれかが操作された後に、内部当り報知部50に二種類以上の内部当りの種類に応じて異なる種類の報知を行わせる内部当り報知制御部12を備えたスロットマシン」。(以下、「引用発明1」という。)
(2)刊行物2に記載の発明
刊行物2〔パチスロ必勝ガイド10月号〕には、以下の事項が記載されている。
「ハナビでは、ストップボタンを押した瞬間に「予告音」が鳴る事がある。まず、第1リール停止の瞬間に花火の点火音がすればチャンス到来。続いて第2リールで打ち上げ音、第3リールでは花火開花音と、段階を経てチャンスは広がってゆく。そして効果音毎に各リールのバックライトが消灯し、花火開花(全消灯)までいけば必ず何らかのフラッシュが出現するのである。」第4頁左中段。
上記記載から、リールの停止操作毎の報知を行うこと、報知に消灯が含まれることが明らかである。
(3)刊行物3に記載の発明
刊行物3(パチスロ必勝ガイド8月号増刊 サンダーV世紀末雷神伝説号)には、以下の事項が記載されている。
「チャンス予告システムは、3つの予告アクション…リール回転開始時の「予告音」、「リールを止めていく過程での「バックライト消灯」、全リール停止直後の「フラッシュ」によって構成される。…、各予告アクションがプレイヤーの動作にシンクロしながら出現し、その都度ボーナスへの期待感が段階的に高められていく…という寸法。」第9頁左上段、
「「1ゲームを消化する間に、如何にして期待感を盛り上げるか」を主眼としているわけで...各予告アクションの有無や種類、さらには成立子役や...ボーナスフラグの成否を見極めることが可能となる。」、「様々な予告アクションの組み合わせで段階的に期待感を盛り上げていくチャンス予告システム。」第9頁左中段、
「各予告アクションの有無や種類といった基本要素に...膨大なチャンスパターンが形成される 基本的なゲームの流れ スタート(レバーを叩く)→予告音が鳴った→連続なら期待大チャンス→リールランプが消灯→...」第9頁左下枠。
上記記載から、ゲームの開始操作時の報知と、リールの停止操作毎の報知を行うこと、報知に消灯が含まれることが明らかである。
(4)刊行物5に記載の発明
刊行物5(特開昭58-41588号公報)には、以下の事項が記載されている。
「前記パルスモータ38〜40が定速回転に入ってから、時間T3になると、発光ダイオード16、41、42が点灯する。この発光ダイオード41はストップスイッチ10に、また、発光ダイオード42はストップスイッチ11にそれぞれ設けられている。」第2頁右下欄第12〜17行、
「ストップ操作が可能な時期を表示することができるようにしたスロットマシンを提供することを目的とする。」(第1頁右段最下行〜第2頁左上欄第2行)。
(5)刊行物6に記載の発明
刊行物6(特開平1-158989号公報)には、以下の事項が記載されている。
「前記パルスモータの回転速度が少なくとも上記一定速度に達した後、かつ、回転を開始してから所定時間経過した後に、上記ストップスイッチが操作可能であることを点灯表示する表示手段とを備えた」(第1頁左欄最下行〜右欄第4行)、
「遊技者に対してストップボタンの操作時期を適確に報知することができるようになり、遊技者が無駄にストップボタンを操作したり、遊技者が必要以上に無為に時間の経過を待ったりすることがなく」第4頁左上欄第1〜5行。
(6)刊行物7に記載の発明
刊行物7(特開平 6-312043号公報)には、以下の事項が記載されている。
「11L,11C,11Rはそれぞれに左操作有効ランプ、中操作有効ランプ、右操作有効ランプであり、それぞれに対応するストップボタン9L,9C,9Rの押圧操作を有効に受付ける状態になった旨を点灯または点滅表示するための報知手段を構成するものである。 」【0016】、
「ランプ表示の場合は、ランプの点滅から点灯への変化あるいは点滅色や点灯色の変化により停止操作の有効化の報知をしてもよい。」【0061】。
(7)刊行物8に記載の発明
刊行物8(特開平8-I17390号公報 )には、以下の事項が記載されている。
「報知手段は、回転リールの内側に設置された発光体で構成される。」【請求項4】、
「前記報知手段は前記制御部からの制御信号に応じて動作する効果音発声手段で構成されていることを特徴とする遊技機。」【請求項5】、
「この報知手段としては、例えば各リール2、3、4の内側に取り付けられているバックライト(照明)を利用することができる。すなわち、遊技がスタートして乱数がサンプリングされ、入賞確率テーブルとの照合により内部的当選に該当する場合は、このバックライトを点滅又は点灯させることによって、遊技者に内部的当選を知らせる。これにより、遊技者は「当たり」への期待感を持つことができる。」【0080】、
「具体的には、図10及び図11に示すように、3つのリール2、3、4の各々について可変表示部の窓に現れるシンボルの裏面側に、3個のランプ(LED、電球などの発光体)41を縦方向に配列した基板42を設置し、これら3列のランプ41を、図3のCPU21により、例えばストップボタン12が押された直後に、図12(A),(B),(C)に示すような種々のパターンで点滅又は点灯するように制御する。なお、図12において、(A)は全てのランプを点灯又は点滅するパターン、(B)は上下及び中心部のランプを点灯又は点滅するパターン、(C)はランプを所定の方向に順次点灯又は点滅する動作を繰り返すパターンを示す。勿論、パターンはこれらのみに限らない。」【0081】、
「また、内部的当選の種類に応じて上述の点灯パターンを変えることにより、どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせることもできる。」【0082】、
図12(A)、(B)、(C)。
上記記載から、報知手段がリールの内側に取り付けられているバックライトを含み、報知の種類に、例えばストップボタンが押された直後のバックライトの点滅を含み、確定した内部入賞の当否およびその種類に基づいて、バックライトの点滅が複数種類設定されていることが明らかである。
(8)刊行物9に記載の発明
刊行物9(特開平10-328350号公報)には、以下の事項が記載されている。
「各リール帯をそれぞれ背後から照らす前記各リールドラムの内部に設けられる光源とを備えて構成される遊技機の回転リールユニットにおいて」【請求項1】、
「また、本発明による遊技機の回転リールユニットは、各リールドラムの回転を停止させる各ストップボタンの操作手順に関連づけられて各発光ダイオードが点灯制御されることを特徴とするものである。」【0026】、
「このように各発光ダイオードが各ストップボタンの操作手順に関連づけられて点灯制御される構成とすることにより、例えば、各発光ダイオードの点灯方向に沿った方向に各ストップボタンを操作するように遊技者に操作方向を示唆したり、また、遊技者の各ストップボタンの操作方向に沿って各発光ダイオードが点灯制御されるようにしたりすることが出来る。」【0027】。
4.対比判断
(1)本件発明1について
a.本件発明1と引用発明1との対比
本件発明1と上記引用発明1とを対比すると、
引用発明1の「周面に図柄が描かれたドラム30」、「三つ」、「スタートレバー4の押下げ」、「表示窓3」、「回転」、「抽選」、「大当り、中当り等」、「内部当りの当選、不当選や種類を決定」、「三つのドラムに対応して設けられたストップボタン5a、5b、5cの操作」、「一定の範囲内で、三つのストップボタン5を押すタイミングにかかわらず、一列に配列されるよう制御部10の制御により停止」、「三つのドラムの周面に描かれた図柄を表示窓で識別できるようになっていて、停止したドラムの配列によって各種入賞を決定し」、「入賞内容に応じた量のメダル」、「払い出され」、「内部当り報知部50」、「スロットマシンのスタートレバー4が操作された後の報知」、「複数のストップボタン5a,5b,5cのいずれかが操作された後の報知」、「異なる種類」、「スロットマシン」は、各々、
本件発明1の「複数種類の絵柄よりなるリール」、「複数列」、「ゲームの開始操作」、「絵柄表示窓」、「移動」、「抽選」、「複数種類ある入賞役」、「内部入賞の当否及びその種類を確定」、「各リールに対応した停止操作」、「各リールを前記内部入賞の当否及びその種類に基づいた所定の組み合せで絵柄が絵柄表示窓上に表示されるように制御部の制御により停止」、「停止したリールの絵柄表示窓上の絵柄の組み合わせから入賞を定め」、「所定の数の遊戯媒体」、「払い戻す」、「報知装置」、「ゲームの開始操作時に行われる報知」、「リールの停止操作が行われた時点の報知」、「複数種類」、「遊戯台」に相当するものと認められる。
そうすると、本件発明1と引用発明1の両者は、以下の点でそれぞれ、一致ならびに相違するものと認められる。
b.一致点及び相違点
一致点.「複数種類の絵柄よりなるリールを複数列備え、メダルまたは玉等の遊戯媒体を投入し、ゲームの開始操作により前記複数列のリールを絵柄表示窓上で移動を開始させると同時に、抽選により複数種類ある入賞役の内部入賞の当否及びその種類を確定し、各リールに対応した停止操作に対して、前記各リールを前記内部入賞の当否及びその種類に基づいた所定の組み合せで絵柄が絵柄表示窓上に表示されるように制御部の制御により停止させ、前記停止したリールの前記絵柄表示窓上の絵柄の組み合わせから入賞を定め、所定の数の遊戯媒体を払い戻す遊戯台であって、遊戯者に対する所定の報知であって、ゲームの開始操作時に行われる報知と、前記リールの停止操作が行われた後の報知と、を行う報知装置を備え、該ゲームの開始操作時に行われる報知と前記リールの停止操作後の報知とは、それぞれ複数種類ある遊戯台。」
(相違点1)リールの停止操作が行われた後の報知を、本件発明1が、リールの停止操作が行われた時点から次の停止操作の受付が可能となるまでの間に開始して終了するのに対し、引用発明1は、該報知の開始時点および終了時点について記載されていない点
(相違点2)リールの停止操作が行われた後の報知を、本件発明1が、リールの停止操作毎に行うのに対して、引用発明1は、リールの停止操作毎に報知を行っていない点。
(相違点3)確定した内部入賞の当否及びその種類に基づいて選択する報知を、本件発明1がゲームの開始操作時に行われる報知及び各々のリールの停止操作毎の報知の種類の組合せとしているに対して、引用発明1は、開始操作時に行われる報知、各々のリールの停止操作後の報知のいずれかとしており報知の種類の組合せとしていない点
(相違点4)報知装置が、本願発明1では、絵柄を裏側から照明するバックライトを含み、報知の種類には、少なくとも前記バックライトの点滅を含み、かつ、各々のリールの停止操作毎の報知の場合における前記バックライトの点滅は、複数種類設定されているのに対して引用発明1では、これらの構成がない点
c.相違点の検討
前記相違点1について検討すると
刊行物2には、リールの停止操作が行われた時点で報知を開始する点が記載されており、又、報知の種類にバックライトの消灯を含んでおり、バックライトの消灯は消灯した瞬間に報知が終了すると認められるので、次の停止操作の受付が可能となるまでの間に報知を終了する点も記載されている。
なお、刊行物3にも、リールの停止操作毎の報知に、バックライトの消灯が記載されており、上記した理由により、次の停止操作の受付が可能となるまでの間に報知を終了している点が記載されている。
したがって、リールの停止操作毎の報知が刊行物8に記載されたようなバックライトの点滅の場合についても、該報知をリールの停止操作が行われた時点から次の停止操作の受付が可能となるまでの間に開始して終了するようにすることは、刊行物2,3の記載から、容易に想定される程度のことである。
そして、刊行物1記載の発明の内部当り報知部に刊行物2、8記載の事項を適用して相違点1に係る本件発明のように構成することは当業者にとって格別困難ではなく、それによってもたらされる「次のストップボタンを押下するまでの間に、遊戯者へ制御部の内部情報(内部ゲーム状態)を報知する」という効果も事前に予測可能の範囲内のものである。
前記相違点2について検討すると
刊行物2には、第1リール停止操作後に点火音、第2リール停止操作後に打ち上げ音、第3リール停止操作後に開花音による報知が行われ、音毎にバックライトの消灯による報知も行われる構成が示されており、リールの停止操作毎の報知が記載されている。
刊行物3にも、リール回転開始時の「予告音」、リールを止めていく過程での「バックライト消灯」、全リール停止直後の「フラッシュ」によって構成される予告アクションが記載されており、ゲームの開始操作時に行われる報知と、各々のリールの停止毎の報知とを行う報知装置が記載されている。
そして、刊行物1記載の発明の内部当り報知部にいずれも、リールの停止操作毎に報知を行う刊行物2あるいは3記載の事項を適用して相違点2に係る本件発明のように構成することは当業者にとって格別困難ではなく、それによってもたらされる「遊戯者は従来にないゲーム性を感じ、即ち入賞の期待感と、意欲をもって参加でき...」という効果は刊行物2あるいは3記載の発明も有している。
前記相違点3について検討すると
確定した内部入賞の当否及びその種類に基づいてゲームの開始操作時に行われる報知及び各々のリールの停止操作毎の報知の種類の組合せを選択する点については、刊行物2にも、リールの停止操作毎の報知の種類をどのようにして選択するか、刊行物3にも、ゲームの開始操作時に行われる報知と、各々のリールの停止毎の報知の種類(予告アクションの組み合わせ)をどのようにして選択するかについて言及されていないが、報知の種類の組合せによって、内部入賞の当否及びその種類を報知しているのであるから、当然内部入賞の当否及びその種類に基づいて、報知の種類の組合せを選択しているものと認められる。この点については、刊行物3に記載されたサンダーVについて説明した、パチスロ攻略マガジン1998年4月号(「サンダーVでは、その間に前述の演出が絡むこれらの演出は、ボーナスフラグの成立未成立などのベースに加えて、子役フラグの有無を加味し、それぞれの状態毎に、各演出の発生を一括して振り分けるテーブルが存在している。」5頁最下段)、パチスロ必勝ガイド1998年4月号(「予告音・消灯・フラッシュがワンセットで管理されているもので、レバーを叩いた直後...すなわち「役判定の直後」に、数種類あるテーブルの中から当選役に応じて選択され、そこに記された内容に従って一連の動作が実行される仕組み。」第5頁上欄、「成立フラグや状態に対応して存在する「予告機能テーブル」である。...各テーブルでは予告音の有無一消灯の有無と消灯リール数→フラッシュの有無とその種類...と言った一連の動作が数パターンずづ事細かに指定されており」第6頁最上段)に記載されているように周知の事項である。
したがって、相違点3に係る本件発明1の構成も前記刊行物2及び3に示唆されており、本件発明1において、確定した内部入賞の当否及びその種類に基づいてゲームの開始操作時に行われる報知及び各々のリールの停止操作毎の報知の種類の組合せを選択した点は、当業者が刊行物2及び3記載の発明に基づいて容易に想到できたものと認められ、そのことによる効果も刊行物2及び3記載のものと格別の差異がない。
前記相違点4について検討すると
刊行物3には、報知装置は絵柄を裏側から照明するバックライトを含み、全リール停止直後の報知の場合報知の種類にバックライトの点滅を含み、点滅が複数種類設定されている点が記載されており、刊行物8には、ストップボタンが押された直後の報知の種類にバックライトの点滅を含み、点滅が複数種類設定されている点が記載されているように、報知装置としてバックライトを含み、報知の種類に複数種類の点滅を含ませることは従来から周知である。
そして、刊行物1記載の発明の内部当り報知部にいずれも、刊行物3あるいは8記載の周知の事項を適用して相違点4に係る本件発明のように各リールの停止毎の報知の場合の報知の種類に、バックライトの点滅を含ませ、点滅を複数種類設定することは当業者にとって格別困難ではなく、「複数種類のバックライトの点滅であるから、遊戯者にインパクトの強い報知を行うという」という効果も事前に予測可能の範囲内のものである。
d.よって、本件発明1は、刊行物1ないし3及び8記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
(2)本件発明2と引用発明との対比検討
a.本件発明2は、本件発明1におけるリールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間を更に200msと限定し、
本件発明1におけるバックライトを更にLEDから構成されると限定したものであるが、
更に、200msと限定した点は、法令で定められたリールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの時間(本件明細書段落【0028】)を適宜に設定したに過ぎないものと認められ、この点に格別の技術的意義は認められず、又、バックライトをLEDから構成することは従来から周知の事項である(必要ならば刊行物8、9)ので、上記限定した点にかかる本件発明2の構成は、当業者が容易に想到できる程度のものと認められる。
そして、本件発明2が本件発明1を引用した部分における一致点及び相違点、相違点の検討は前記4.(1)本件発明1についてのとおりである。
b.よって、本件発明2は、刊行物1ないし3、8記載の発明及び従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
(3)本件発明3と引用発明との対比検討
a.本件発明3は、本件発明1における報知を音声も含むと限定したものであるが、
報知に音声を含ませる点は従来から周知の事項である(必要ならば刊行物8、特開平10-33770号公報)から、上記限定した点にかかる本件発明3の構成は、当業者が容易に想到できる程度のものと認められる。
そして、本件発明3が本件発明2を引用した部分における一致点及び相違点、相違点の検討は前記4.(2)本件発明2についてのとおりである。
b.よって、本件発明3は、刊行物1ないし3、8記載の発明及び従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
(6)むすび
以上のとおりであるから、本件請求項1ないし3に係る発明は、上記刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1ないし3に係る発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件請求項1ないし3に係る発明についての特許は、特許法第113条第2項に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊戯台
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数種類の絵柄よりなるリールを複数列備え、メダルまたは玉等の遊戯媒体を投入し、ゲームの開始操作により前記複数列のリールを絵柄表示窓上で移動を開始させると同時に、抽選により複数種類ある入賞役の内部入賞の当否及びその種類を確定し、各リールに対応した停止操作に対して、前記各リールを前記内部入賞の当否及びその種類に基づいた所定の組み合せで絵柄が絵柄表示窓上に表示されるように制御部の制御により停止させ、前記停止したリールの前記絵柄表示窓上の絵柄の組み合わせから入賞を定め、所定の数の遊戯媒体を払い戻す遊戯台であって、
遊戯者に対する所定の報知であって、ゲームの開始操作時に行われる報知と、前記リールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間に開始して終了し、各々の前記リールの停止操作毎の報知と、を行う報知装置を備え、
該ゲームの開始操作時に行われる報知と該各々の前記リールの停止操作毎の報知とは、それぞれ複数種類あり、
前記報知装置は、確定した前記内部入賞の当否及びその種類に基づいて、前記ゲームの開始操作時に行われる報知及び前記各々の前記リールの停止操作毎の報知の種類の組合せを選択し、
前記報知装置は、前記絵柄を裏側から照明するバックライトを含み、
前記報知の種類には、少なくとも前記バックライトの点滅を含み、かつ、前記各々の前記リールの停止操作毎の報知の場合における前記バックライトの点滅は、複数種類設定されていることを特徴とする遊戯台。
【請求項2】 前記リールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間が200msであり、
前記バックライトがLEDから構成されたことを特徴とする請求項1に記載の遊戯台。
【請求項3】 前記報知は、音声も含むことを特徴とする請求項2に記載の遊戯台。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊戯媒体(メダル、玉等)を投入し、複数の種類の絵柄からなるリール(これは機械的なものであっても、CRTや液晶等による画面による表示でも同様)を移動(回転)させ、リールが停止した際に絵柄表示窓上に停止した絵柄の組み合せから入賞を定め、遊戯者が所定の遊戯媒体の払い戻しを受けることを楽しむ遊戯台(スロットマシン、パチンコ等)に関する。
【0002】
【従来の技術】
<遊戯台>従来の遊戯台(例えばスロットマシン)は複数の絵柄よりなるリール(絵柄列)を複数列(通常3列)備えており、次のように遊戯(以下ゲーム)を行う。
【0003】
(1)遊戯者はメダルを投入(ベット)し、
(2)スタートレバーを操作すると、リールが移動(回転)を開始し、ゲームがはじまる。
【0004】
(3)同時に制御部は内部的に抽選を行い、抽選の結果当選(内部入賞)すると、内部入賞状態とする。
【0005】
(4)次に遊戯者が各リールに対応するストップボタン押す操作をすると、制御部は対応するリールのストップボタンが押された絵柄位置(箇所)と、抽選結果の内部入賞状態を参照して、予め定めた所定の絵柄の組み合わせで絵柄が絵柄表示窓上に表示されるようにリールの停止位置を制御してリールを停止させる。
(5)制御部は、全てのリールが停止した後に、絵柄表示窓上に表示される絵柄の組み合わせに応じて、所定の数のメダル(遊戯媒体)を払戻す。
【0006】
<ビッグボーナス(BB)>
内部抽選の結果、BBに内部入賞すると、制御は内部BB入賞状態(内部BB当たり状態、BBフラグ成立状態等ともという)となる。
【0007】
内部BB入賞状態で、遊戯者が絵柄表示窓上にリールの絵柄を所定の組み合せ(例えば、777)に揃えて停止させることができるとBB入賞状態となり、制御部はBBゲームの制御を行う。
【0008】
BBゲーム中の一般ゲームは、所定の絵柄の入賞確率が所定の回数(例えば30回)に限って高くなる。この状態を「BBゲーム中の一般ゲーム」の状態という。
【0009】
<レギュラーボーナス(RB)1:BBゲーム中のRBゲーム>
BBゲーム中に抽選でRBに内部入賞すると、制御は内部RB1入賞状態(内部RB当たり状態、RBフラグ成立状態等ともいう)となる。この時の内部RB1入賞状態を、内部シフトRB入賞状態(略して内部SRB入賞状態とする)とする。
【0010】
内部SRB入賞状態で、遊戯者が絵柄表示窓上にリール絵柄を所定の組み合わせ(例えば、リプレイ絵柄)に揃えて停止させることができるとSRB入賞なり、制御部はSRBゲームの制御を行う。SRBゲームで制御部は、「BBゲーム中のRBゲーム」(JACゲーム)の制御を行う。
【0011】
JACゲームは、例えば、メダルを1枚だけ投入してゲームを行うゲームとなり、制御部は、遊戯者によるリールの停止操作により絵柄表示窓上の中段横一列にリプレイの絵柄が揃い易く制御し、リプレイの絵柄が揃った場合に限って、例えば15枚のメダルを払い戻す。
【0012】
SRBゲーム中になると上述のJACゲームを所定の回数(例えば8回)繰り返すことができ、JACゲームを終了し、SRBゲームを終了する。
【0013】
BBゲーム状態では、このSRBゲームを所定の回数(例えば3回)繰り返して行うことができる。
【0014】
<レギュラーボーナス(RB)2:通常ゲーム中のRB)
通常ゲーム中に抽選でRBに内部入賞すると、制御は内部RB2入賞状態(内部RB当たり状態、RBフラグ成立状態ともいう)となる。
【0015】
内部RB2入賞状態で、遊戯者が絵柄表示窓上にリール絵柄を内部RB1入賞状態とは異なる所定の組み合わせ(例えば「Bar・Bar・Bar」)に揃えて停止させることができるとRB2入賞となり、制御部はRB2ゲームの制御を行う。RB2ゲームで制御部は、「通常ゲーム中のRBゲーム」(JACゲーム)の制御を行う。
【0016】
RB2ゲーム中のJACゲームは、前述のJACゲームと同様にJACゲームを所定の回数(例えば8回)繰り返すことができ、JACゲームを終了する。
【0017】
JACゲームが終了すると、「通常ゲーム中のRBゲーム」が終了し、通常ゲーム状態に戻る。
【0018】
<内部入賞状態の保持>
制御が上述の内部入賞状態のうち、内部BB入賞状態、または通常ゲーム中内部RB2入賞状態の内部入賞状態になっているにもかかわらず、遊戯者がリールの停止操作時に、遊戯台の制御によっても絵柄表示窓上に所定の絵柄を揃えてリールを停止させることができない絵柄位置でストップボタンを押下した場合、遊戯者が絵柄を揃えて停止できるまでこの内部入賞状態を保持する。これを「内部入賞状態の保持」、または「内部フラグの持越し」という。
【0019】
<内部情報の報知>
従来、制御部は上述の内部入賞状態を内部情報として遊戯者に分かるように、リールの停止制御により、通常とは異なる所定の組合せの絵柄(リーチ目)が絵柄表示窓上に現れるようにリールを停止制御することにより、内部情報を報知していた。
【0020】
しかし、馴れた遊戯者はリーチ目が現れたことを逃さず発見して、制御が内部BB入賞状態にあるいは内部RB2入賞状態にあるかを判断または推定し(どちらかが分かる報知を行う遊戯台もある)、該当する絵柄が絵柄表示窓上に揃うようにストップボタンを押し、入賞状態を得、初心者よりも多くのメダルを獲得していた。
【0021】
<従来の問題点>
前述のように、従来技術の1つとして、遊戯台の内部入賞状態を内部情報(内部BB入賞状態や、内部RB入賞状態や、内部子役入賞状態などの内部情報)の報知を、制御部の制御により絵柄表示窓上に停止する絵柄の組み合わせ(リーチ目)により知らせる遊戯台があった。
【0022】
しかしリーチ目を表示しても、種類の異なる遊戯台毎にリーチ目が異なるために、初めてゲームを行う遊戯台では、その遊戯台のリーチ目が遊戯者に容易に分からず、無駄にメダルを消費してしまう問題があった。特に、初めてゲームを行う遊戯者にとっては、リーチ目が分からず、リーチ目になっていてもゲームを途中で止めてしまうことがあり、ビッグボーナスの入賞チャンスを他の遊戯者に与えてしまう可能性を含んでいた。
【0023】
他の従来の内部情報を報知する技術としては、リールの回転を開始するタイミング、即ちスタートレバーを操作した時点(同時)にバックライト等により内部情報を知らせる遊戯台があった。
【0024】
しかし、リールの回転を開始するタイミングに遊戯者に内部情報(内部入賞状態)を知らせると、遊戯者がストップボタンを押下する前に内部の抽選結果が分かってしまい、ゲームの面白味が半減していた。
【0025】
他の従来の内部情報を報知する技術としては、1回のゲームが終了した後に告知ランプ等を点灯させて内部入賞状態の内部情報を知らせる遊戯台があった。
【0026】
しかし、バックライト等の報知装置により演出を行わない遊戯台では、内部情報が告知ランプ等で知らされるまでの単なる消化ゲームとなり、やはりゲームの面白味が半減していた。
【0027】
更に、ゲーム終了後に内部入賞状態の内部情報が分かるので、次のゲームを開始するためにメダルを無駄に消費してしまうことがあった。
【0028】
また、現在の法令では、遊戯者がストップボタンを押下した時点から、対応するリールが停止制御によって停止し、次にストップボタンを押下することの受付が可能となるまでの時間(停止時間)が200msと定められている。
【0029】
従って、この短い停止時間内で遊戯台の内部情報をバックライト等により報知することは従来の技術としては困難とされていた。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような従来の問題点に鑑み提案されるものである。
【0031】
即ち、本発明の解決しようとする課題は、入賞の内部情報即ち入賞のチャンス(リーチ目)を、初めてゲームを行う遊戯者にも分かりやすく、初心者にも上級者にもゲームが楽しめる、単なる消化ゲームとならない、無駄に消費するメダルをできるだけ少なくする、変化に富んだ面白味の増した遊戯台を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、複数種類の絵柄よりなるリールを複数列備え、メダルまたは玉等の遊戯媒体を投入し、ゲームの開始操作により前記複数列のリールを絵柄表示窓上で移動を開始させると同時に、抽選により複数種類ある入賞役の内部入賞の当否及びその種類を確定し、各リールに対応した停止操作に対して、前記各リールを前記内部入賞の当否及びその種類に基づいた所定の組み合せで絵柄が絵柄表示窓上に表示されるように制御部の制御により停止させ、前記停止したリールの前記絵柄表示窓上の絵柄の組み合わせから入賞を定め、所定の数の遊戯媒体を払い戻す遊戯台であって、
遊戯者に対する所定の報知であって、ゲームの開始操作時に行われる報知と、前記リールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間に開始して終了し、各々の前記リールの停止操作毎の報知と、を行う報知装置を備え、
該ゲームの開始操作時に行われる報知と該各々の前記リールの停止操作毎の報知とは、それぞれ複数種類あり、
前記報知装置は、確定した前記内部入賞の当否及びその種類に基づいて、前記ゲームの開始操作時に行われる報知及び前記各々の前記リールの停止操作毎の報知の種類の組合せを選択し、
前記報知装置は、前記絵柄を裏側から照明するバックライトを含み、
前記報知の種類には、少なくとも前記バックライトの点滅を含み、かつ、前記各々の前記リールの停止操作毎の報知の場合における前記バックライトの点滅は、複数種類設定されていることを特徴とする遊戯台が提供される。
【0032】
本発明において、前記リールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間が200msであり、前記バックライトをLEDから構成してもよい。
【0033】
また、本発明において、前記報知には、音声も含むことができる。
【0034】
【0035】
【0036】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施の形態を、スロットマシンを例にとって、添付図面を用い詳細に説明する。
【0037】
<スロットマシンの外観構成>
図1は本発明を適用した実施の形態例におけるスロットマシンの外観を示す斜視図である。以下図1を用いて、スロットマシンの外観構成を説明する。
【0038】
図1に示すのスロットマシン本体100の中央部には、各々の外周面に複数種類の絵柄を配列したリールが3個(101〜103)収納され、本体100の内部で回転できるように構成されている。各リール101〜103の絵柄は、本体100の正面の絵柄表示窓131〜133より、各リール毎に縦方向に3つの絵柄が表示し、遊戯者に見ることができるようになっている。従って、リールが停止した時には絵柄表示窓には、3×3の合計9個の絵柄が遊戯者に表示されることになる。
【0039】
参照番号105は遊戯者によるリール101〜103の回転を開始させるためのスタートレバーであり、106は遊戯を開始するに当たって遊戯者がメダルを投入するメダル投入口である。107はメダルの払い出し口であり、108は払い出されたメダルの受け皿である。
【0040】
参照番号109、110、111はクレジットからのクレジットベットボタンで、109はメダル最大3枚掛ボタン、110はメダル最大2枚掛ボタン、111はメダル1枚掛ボタンで、押しボタン操作により1回のゲームに1〜3枚のメダルをクレジットのメダル残枚数表示器114に表示されている中から投入(ベット)できる。
【0041】
参照番号112はクレジットのメダル精算ボタン及びクレジット切替ボタン(クレジットメダル精算ボタン/クレジット切替ボタン)で、遊戯者が獲得したメダルを最大50枚までクレジットとして内部に蓄積するか、またはメダル残枚数表示器114に表示されているメダルを排出し、以後クレジットとして貯えないかを決めるボタンである。
【0042】
参照番号113は音声を出力するスピーカからの音を外に(遊戯者に)対して出力する音孔であり、ゲームの経過に応じて遊戯者に効果音を発生し出力する。115はメダル払い出し枚数表示器で、リール101〜103が停止した時に、絵柄表示窓101〜103に表示された絵柄の並びが入賞絵柄に揃っていると入賞し、遊戯者が獲得したメダルが排出されると、その排出されたメダル払い出し枚数を表示する。116はメダルインサートランプで、ゲーム開始のために遊戯者にメタルの投入を促すランプである。117は再遊戯開始ランプ、即ちリプレイに入賞した時に遊戯者にリプレイを知らせるランプである。118は告知ランプで、抽選に当選して制御部の内部状態が内部BB入賞状態、又は内部RB入賞状態になっていることを、内部情報として遊戯者に報知するランプである。
【0043】
参照番号119は入賞配当表示板で、オッヅパネルのことである。120は入賞有効ライン表示ランプであり、メダルの投入枚数に対応して、絵柄が揃った時に有効(入賞)となるライン、即ちゲームで有効となる入賞ライン(入賞有効ライン)を示す。入賞有効ラインは、本実施の形態例では、メダルを1枚投入した時は中段の水平ライン1本、メダルを2枚投入した時は中段の水平ラインに上下の水平ライン2本を加えて3本、メダルを3枚投入した時は更に左上から右下への斜めの線並びに左下から右上への斜めの線を加えて5ラインが入賞有効ラインとなる。なお、入賞ラインに関しては、予め定めた7ライン、9ライン、27ライン等、絵柄表示窓上の3X3からなる絵柄表示位置の組み合わせならばどの組み合わせでも良いことはいうまでもない。
【0044】
参照番号121〜123はストップボタンで、各リールに対応して各リールを遊戯者が停止するために設けてある。リール101に対してはストップボタン121、リール102に対してはストップボタン122、リール103に対してはストップボタン123が対応している。
【0045】
参照番号140はフリッカー表示ランプで、BBやRBに入賞した時、又は制御部のゲーム状態に応じて、制御部により演出または装飾用として点灯、点滅または消灯の制御をする。
【0046】
<ゲーム操作の概略>
次に本実施の形態例におけるゲームの概略を図1のスロットマシンの概観を示す斜視図を参照しながら説明する。ゲームの開始は、遊戯者がメダル投入口106からメダルを投入し、スタートレバー105を操作することにより開始する。ゲームが開始すると、3つのリール101,102,103が一斉に回転を開始し、各リールの回転速度が所定の速度に達した後に、各リールに対応して設けられたストップボタン121〜123の操作が有効化される。
【0047】
遊戯者はこれらの有効化されたストップボタンを押下し、対応するリールの回転を停止させる。次に、各リールが停止した時、メダルの投入枚数によって決まる入賞有効ライン上で停止したリール上の絵柄の組合せが所定の入賞組合せに該当していれば、入賞の種類に応じた枚数のメダルが受皿108に払出され1回の遊戯が終了する。
【0048】
<リールマウント>
本実施の形態例の図1に示すスロットマシン100に備える絵柄表示窓131、132、133の内側に収納されている3個のリール101、102、103は、図2に示すように1つリールマウントに組み込まれている。
【0049】
各リールに対応するストップボタン121〜123が押下され各リール101〜103が停止した時に、各絵柄表示窓131〜133に表示される、縦方向の3個の絵柄表示置に対応して、各リール毎に3個の絵柄を裏側から、制御部の制御に基づいて選択的に照らすように構成されたバックライト610が取り付けられている。
【0050】
参照番号600、601、602はバックライト610を取り付けたプリント基板でありる。バックライト610は、リール101〜103が停止した時に絵柄表示窓131〜133上に表示される3個の絵柄を、各々後ろから照らす位置(縦方向)に対応して各プリント基板600〜602上へ配置されている。バックライトは、左リール101のバックライトとして左基板600に上から下へL1、L2、L3が配置され、中央リールのバックライトとして中央基板601のL4、L5、L6が配置され、右リールのバックライトとして右基板602のL7、L8、L9が配置され、合計9箇所の絵柄を後ろ側から選択的に照らすことができる。
【0051】
本実施の形態例では、以上説明したバックライトL1〜L9を用い、制御部の制御によりバックライトL1〜L9の点灯、点滅消灯の動作を行い、抽選結果の報知として制御部の内部情報を報知したり、パターン演出を実行し、遊戯者にゲームを楽しませている。
【0052】
<制御部の構成>
以下、本実施例のスロットマシン100のマイクロプロセッサにより制御される制御部の構成を図3に示す。
【0053】
図3の参照番号22で示される部分は、本実施の形態例におけるスロットマシンの制御動作の中枢となるマイクロプロセッサ(CPU)で、バス50を介して周辺部との制御信号やデータの受け渡しを行う。
【0054】
参照番号23はメダル投入口106より投入された遊戯メダルを感知するメダルセンサ、24はリールを停止させる停止ボタン121、122、123が押されたときに作動する停止ボタンスイッチからのスイッチ入力信号、25はスタートレバー105が操作されたことを感知するセンサ、26はクレジットベットボタン109、110、111のいずれかが押されたときに作動するクレジットベットボタンスイッチからのスイッチ入力であり、これらは入力インターフェース27を経て、バス50を介して、CPU22と接続されている。
【0055】
参照番号28はリード・オンリー・メモリ(ROM)であり、本スロットマシンの制御を行うためのプログラムや、リール101、102、103の停止制御を行うための制御データやテーブル等の固定データや固定プログラムを記憶している。29はランダム・アクセス・メモリ(RAM)であり、プログラムのワークエリアや可変データ等を記憶する部分である。ROM28ならびにRAM29のメモリは、バス50を介してCPU22に接続されている。
【0056】
参照番号30はリール101、102、103の回転、停止を行うためのモータ制御部、31はメダル払い出しを行うためのホッパー制御部で、これらは入出力インターフェース32を経てバス50を介してCPU22へ接続されている。
【0057】
参照番号33は絵柄表示窓上の絵柄を上又は下から照らす照明や、前述のように絵柄を裏から照らすバックライトの点灯、点滅、消灯の制御や、遊戯者にスロットマシン100の制御の内部情報として制御の状態を知らる告知ランプ118や、フリッカー表示ランプ140等のランプをBBやRBに入賞したときとか、その他のゲーム状態に応じて演出または装飾用として点灯、点滅、消灯の制御を行うランプ制御部であり、CPU22よりバス50と出力インターフェース34を介してCPU22と接続され、CPU22の制御に従い制御される。
【0058】
参照番号35はスピーカであり、36のサウンド出力部の制御により、CPU22の指示に従い、数々の効果音(音声)を出力する。
【0059】
参照番号37は抽選に用いる乱数発生器であり、バス50を介して、CPU22と接続されている。
【0060】
<内部情報の報知方法>
以下、図4〜図8を用いて、本実施の形態例におけるスロットマシン100の制御部の内部情報(内部入賞状態)を、内部情報の表示装置としてバックライト610を用いた場合を例にとり、遊戯者へ内部情報を報知する方法について説明する。
【0061】
(報知タイミング)
図4は、遊戯台の制御部における内部入賞状態を遊戯者に報知する報知タイミングを示す図である。
【0062】
図4の一番上のタイミングT101は、スタートレバー105の操作を表すスタート操作信号であり、ONの状態はスタートレバー105が操作された(受け付けられた)ことを示す。
【0063】
タイミングT102は乱数発生器37より乱数を取得することを示す乱数取得信号で、ONの状態は乱数発生器37から絵柄及び演出抽選乱数の値を取得して、絵柄抽選及び内部入賞状態の報知パターンの抽選乱数値としてRAM29に格納することを示す。
【0064】
タイミングT103は抽選の実行を示す信号で、ONの状態はタイミングT102で取得しRAM29に格納された乱数を基に、ROM28に記憶してある抽選テーブルと比較をし、絵柄及び内部入賞状態の報知パターン(演出)の抽選を行うことを示す。
【0065】
タイミングT104はストップボタン121〜123の中のいずれかのストップボタンが押されたことを示す信号で、ON状態は遊戯者がストップボタン121〜123の中のいずれかのストップボタンを押下したことを示す。タイミングT105はリール101〜103の中のいずれか最初に停止するリールの回転を示す信号で、図4は特に最初に停止するリール(第1リール)に注目した図である。ONの状態は、第1リールが回転していることを示している。図4の一番下のタイミングT106はバックライト610の点灯と点滅のタイミングを示す信号で、タイミングT103での抽選の結果に応じて、内部入賞状態の場合はバックライト610を用い、内部入賞状態の報知パターンの抽選結果に応じて、点灯から点滅(または消灯でもよい)に切換ることを示したものであり、本発明の内部情報の報知として、重要なタイミングとなる。
【0066】
以上説明したように、本発明における内部情報(内部入賞状態)を報知する報知パターンの報知タイミングは整理すると次のようになる。
【0067】
(1)T101:遊戯者がスタート操作を行う。
【0068】
(2)T102:制御部が乱数を取得する。
【0069】
(3)T103:制御部が絵柄及び演出の抽選を行る。
【0070】
(4)T105:抽選後に第1リールに注視すると、回転を開始する。
【0071】
(5)T104:遊戯者が次にストップボタンを押下し、ストップボタンの信号がONになり、次にストップボタンの信号がOFFになった時点を報知の開始として、次のストップボタンを押下することが内部的に可能になる期間内(例えば図4では200ms)に、内部情報(内部入賞状態)の報知パターンの抽選結果に応じてバックライト610を所定の期間(リールが停止するまでの190ms又は次のストップボタンの押下が有効となる200ms)点滅(消灯でもよい)することにより内部情報を報知する。
【0072】
ここで、内部情報の報知のタイミングは、前のストップボタンが押下され、タイミングT104がONになり、OFFになった時点から、次のストップボタンの押下が有効になる間であれば(図4の例では200ms間)、図4に示す以外のどのタイミングに報知してもよいことはいうまでもない。
【0073】
更に、本実施の形態例においては、バックライト610により、内部情報(内部入賞状態)を報知しているが、遊戯者が容易に確認できる遊戯台前面に位置するランプ等の表示装置、またはスピーカ35からの音声(効果音)などのいずれであっても遊戯者が容易に確認できる報知装置であればよいことはいうまでもない。
【0074】
また、本実施の形態における表示装置としては、バックライトで説明しているが、遊戯台前面に取り付けられたランプ、液晶、LED、プラズマ、蛍光燈、EL、冷陰極管、ネオン管等いずれの表示装置、又はこれらの組み合わせでも良いことはいうまでもない。更に、内部情報として、BBやRBやそれ以外の子役に入賞している(絵柄が揃わなければその回限りで無効になる単純な入賞)の内部情報や、内部入賞しなかった場合のハズレの内部情報も含めることができることはいうまでもない。
【0075】
(内部入賞状態の報知パターン)
図5は、前述のように乱数発生器37から取得した乱数から内部入賞状態を得、制御部の該内部入賞状態に対する報知パターンの抽選結果に応じて、図4を用いて説明した前述の報知タイミングに、制御部によるバックライト610の表示制御で報知する、内部情報の報知パターンの例をNo.1〜No.16まで16パターンの例を示した図である。以下、図5のパターンの例を用いて、制御部の内部情報(内部入賞状態)の報知パターン例を説明する。
【0076】
ここで、図5に示す報知パターンNo.1〜No.16の全16パターンは、予めROM28に格納されているものとする。各報知パターンは、左の列(P100の列)に最初の表示開始時における表示のパターンを示し、左より2番目の列(P101の列)に第1ストップボタン押下時の表示のパターンを示し、左より3番目の列(P102の列)に第2ストップボタン押下時の表示のパターンを示し、右端の列(P103の列)に第3ストップボタン押下時の表示のパターンを示す。
【0077】
図5の各表示のパターン上に点線で仕切られているの9個のマスは、バックライト基板600〜602上のバックライトL1〜L9に対応したパターン(点滅パターン)を示している。図5は、各報知パターンに応じた点滅パターンを示している。
【0078】
前述の報知パターンの抽選結果に応じて、No.1を選択(当選)した時を例にとって表示の順の例を以下に説明する。
【0079】
(1)表示の開始時:(タイミング的にはスタート操作時に見える)図5のNo.1のP100の図中に矢印で示す順に従ってバックライトを点滅させる。(なお、図5において、白い部分はバックライトを点灯していることを示し、点線で塗りつぶしてある部分は消灯していることを示している)
(2)第1ストップボタン押下時:ストップボタン121〜123の中で最初にストップボタンが押下された時であって、P101の矢印で示す順(方向)に、バックライトを点滅させる。
【0080】
(3)第2ストップボタン押下時:2番目にストップボタンが押下された時であって、P102の矢印で示す順(方向)に、バックライトを点滅させる。
【0081】
(4)第3ストップボタン押下時:最後のストップボタンが押下された時であって、P103で示すように全てのバックライトを点灯状態に戻す。
【0082】
ここで、本実施の形態例のスロットマシン100における、バックライト610はLEDから構成されているため、ストップボタン押下時から次のストップボタンが受付可能になる短い時間でバックライトを低速点滅、高速点滅など切換えることをが容易である。即ち本実施の形態における、低速点滅、高速点滅の点灯/消灯の切替時間は、1.878msまで実現可能である。
【0083】
従って、本実施の形態例における表示時間は、次の第1の表示時間と、第2の表示時間を加えた195.312msと、200ms以内に納めており、このような数値は、従来公知のウェジ球(白熱球)からなるバックライト等では実現不可能であった。
【0084】
・第1の表示時間は、[点灯、又は消灯間:15.024msの時間間隔]と、[点灯、消灯の組み合わせを2回:2倍の時間]と、[点灯、消灯の組み合わせの2回を2セット]を繰り返す時間で、計算すると、[15.024ms×2×2=60.096ms]となる。
【0085】
・第2の表示時間は、[点灯、又は消灯:11.268msの時間間隔]と、[点灯、消灯の組み合わせを2回]と、[点灯、消灯の組み合わせの2回を6セット]を繰り返す時間で、計算すると[11.268ms×2×6=135.216ms]となる。
【0086】
・従って、両方に費やす時間は合計すると、[60.096ms+135.216ms=195.312ms]となる。
【0087】
即ち、本実施の形態例では、ストップボタンが押下されてから次のストップボタンが有効になるまでの時間(=200ms)以内に収まるように構成されている。
【0088】
(報知パターンの抽選確率一覧表)
図6は「通常ゲーム(遊戯)中」における各々の入賞の種類(入賞役)に応じた各報知パターンの抽選確率の例を示したものである。この場合の報知パターンの種類は、No1〜No15の15種類となる。図6の表に示してある数値を256で除すると、実際の報知パターンの抽選確率が得られる。例えば、絵柄抽選の結果、「ベル絵柄」に当選した場合、パターン抽選の結果、No.6の報知パターンで表示する確率は、図6の報知パターンのNo6で示されるベルに対応する場所から「120」の数字を得、ベルに内部入賞した時にNo6のパターンで表示する確率は[256分の120]になることを示している。
【0089】
図7は「BB又はRB内部フラグ成立ゲーム(遊戯)中」における各々の入賞役に応じた、報知パーンの抽選確率を示したものである。この場合も報知パターンの種類は、No1〜No15の15種類となる。図7も図6の場合と同様に、図中に記載してある数値を256で除することにより、BB又はRB内部フラグ成立中遊戯中の報知パターンの抽選確率が得られる。例えば、BBに内部入賞している時に、絵柄抽選の結果「スイカ絵柄」に当選し、パターン抽選の結果、No12の報知パターンで点滅させる確率は、図7の報知パターンのNo12に対応する、スイカの項より、40/256となることを示す。
【0090】
但し、内部フラグ成立ゲーム中では、BB又はRBのフラグが既に成立しているため、抽選の結果、BB又はRBに当選したとしても、内部的にはハズレとして処理され、結果的に図7に示すハズレの報知バターンが選択されることになる。
【0091】
図8は「BB中の一般ゲーム(遊戯)中」における各々の入賞役に応じた、報知パターンの抽選確率を示したものである。この場合の報知パターンの種類は、No15とNo16の2種類となる。例えば、絵柄抽選の結果、「SRB絵柄」に当選し、前記パターン抽選の結果、No16の報知パターンで点滅させる確率は、1/256となることを示す。
【0092】
以上図6〜図8を用いて説明した報知パターンの抽選確率は、内部入賞状態に応じた各入賞役が当選している否かを遊戯者に報知するための抽選確率である。また、図6〜図8中に記載されている数値と、図5に示す報知パターンを変更することにより容易に演出のパターン変更でき、遊戯者の遊戯意欲を増すような演出を作り出すことが容易にできることはいうまでもない。
【0093】
<本実施の形態における制御>
次に、本発明の実施形態におけるスロットマシンの制御について、図9、図10に示すフローチャートを用いて説明する。
【0094】
(図9参照)
ステップS40:(メダルの投入:ベット)
遊戯者の選択により1〜3枚の遊戯媒体であるメダルをメダル投入口106から投入するか、またはクレジットベットボタン(メダル最大3枚掛ボタン109、メダル最大2枚掛ボタン110、メダル1枚掛ボタン111)から選択して押下することにより、メダルのベットを行う。この時投入する遊戯メダルの枚数に応じて入賞有効ライン表示ランプ120を点灯し、また制御部はゲームができる状態にあることを遊戯者へ知らせる。
【0095】
ステップS41:(スタート操作)
遊戯者がスタートレバー105を操作することにより、スタートレバーセンサー25がONになり、制御部のCPU22はスタート操作の受付を認知し、ゲームが開始される。
【0096】
ステップS42:(乱数取得)
スタート操作と同時に、乱数発生器37から乱数を取得し、後の処理で絵柄および演出の抽選(照合)を行うために、RAM29へ格納する。
【0097】
ステップS43:(BB又はRBゲーム中)
制御部の制御の状態(ゲームの状態)がBBゲーム中又は通常ゲーム時のRBゲーム中にあるか、否かの判断を行う(BBフラグ、またはRBフラグがONであるか否かを検査する)。BB又はRBゲーム中のときは、ステップS44へ進み、それ以外は、ステップS46の処理を実行する。
【0098】
ステップS44:(BB又はRBゲーム中の絵柄抽選)
前のステップS42でRAM29に格納した取得乱数と、予めROM28に格納してある、BB又はRBゲーム中の絵柄抽選データと比較して絵柄抽選を行う。BBゲーム状態の時は、BB中のRB(RB1=SRB)ゲームを含むBB中の一般ゲームの絵柄抽選を行い、RBゲーム中の時は、JAC絵柄の抽選を行う。抽選の結果の当否はRAM29に格納する。
【0099】
ステップS45:(BBゲーム中の報知パターン抽選)
制御部の現在の制御(内部ゲーム状態)がBBゲーム中の場合、絵柄抽選の結果に基づいて、図8に示すBBゲーム中の一般ゲーム状態における報知パターンの抽選を、入賞の種類(ハズレを含む)に応じ行う。
【0100】
ステップS46:(内部BB又はRBに当選)
前のステップS42で取得しRAM29に格納してある乱数を、予めROM28に格納してあるクジ抽選データとを比較し、BB又はRBに抽選で当選しているか、否かを検査する。BB又はRBに当選(内部入賞)した時はステップS47へ進み、当選しなかった場合はステップS48へ進む。
【0101】
ステップS47:(BB又はRB中フラグON)
前のステップS46での抽選結果に基づいて、BBに内部当選(入賞)している時は、制御部のRAM29内にあるBBフラグを「ON」にして内部BB入賞状態とし、RBに内部当選(入賞)している時はRBフラグを「ON」にして内部RB入賞状態とする。
【0102】
ステップS48:(通常ゲーム中の小役絵柄抽選)
前のステップS46で、BB又はRBに当選していないことが確定しているため、ステップS42で取得した乱数を、予めROM28に格納してある子役のクジ抽選データと比較し、小役絵柄の抽選を行なう。
【0103】
ステップS49:(内部当たり中)
制御部が、前回のゲーム以前のゲームで内部BB又は内部RBに当選している状態(内部当たりゲーム状態)で、今回のゲームでも、いまだ内部BB入賞状態、又はRB入賞状態になっているか、否かの判定を行なう。内部入賞状態の場合はステップS50へ進み、それ以外の場合はステップS51へ進む。
【0104】
ステップS50:(内部当たり中の絵柄抽選)
前の図ステップS46でBB又はRBに当選していると判断されたか、ステップS49により内部入賞状態と判断されたことにより、図7に示すBB又はRB内部フラグゲーム中の報知パターンの抽選を入賞の種類に応じて実行する。
【0105】
ステップS51:(通常遊戯中の報知パターン抽選)
前のステップS48における通常ゲーム中の絵柄抽選の結果に対応した図6に示す通常ゲーム中の報知パターンの抽選を、入賞の種類(ハズレを含む)に応じて行う。
【0106】
(図10参照)
ステップS52:(リール回転開始)
制御部は、各リール101〜103の回転制御を開始する。
【0107】
ステップS53〜ステップS55:(リールストップ操作)
遊戯者により、左リールストップボタン121、または中リールストップボタン122、または右リールストップボタン123を順不同に押し各リールのストップ操作をすることにより、制御部は押されたストップボタンに対応する左リール101、中リール102、右リール103のいずれかのリールのストップ制御を行い各リールを停止させる。
【0108】
ステップS56:(報知パターンの報知)
制御部は遊戯者に対して、前のステップS45、ステップS50、ステップS51で行われた報知パターンの抽選結果に基づいて、各ゲーム状態(内部情報)の各報知パターンによる報知を行う。
【0109】
ステップS57:(全リール停止)
前のステップS56で各ストップボタンが操作される度に、ストップボタンに対応するステップ(S53〜S55)が実行され、その後、全リールが停止したか否かを検査し、全リールが停止していない場合は、ステップS52の次(ストップ操作を行うステップ)へ進み、全てのストップボタンが押されると、ステップS57へ進む。
【0110】
ステップS58:(絵柄入賞)
前のステップS57で、全リールが停止したことが検出されると実行されるステップで、入賞有効ライン上に所定の絵柄が揃っているか否かの入賞判定を行なう。所定の絵柄が入賞ライン上に揃っている場合は、ステップS59へ進み、揃っていないときは、ゲームを終了する。
【0111】
ステップS58:(メダル払出)
全リールが停止し(ステップS57で検出)、絵柄表示窓に所定の絵柄が揃い入賞であると判定された場合は、このステップで入賞に対応する入賞配当表示板(オッズパネル)119に記載されている所定枚数のメダルをメダル払出口107より、メダル受け皿108に払出し、ゲームを終了する。
【0112】
以上実施の形態例により、本発明を詳細に説明したが、本発明は、本実施の形態により制限されるものではない。
【0113】
以上詳細な説明により、本発明によれば、ゲームが開始されてリールが一定の速度に達し、遊戯者がストップボタン押下した時点より、対応するリールが所定の絵柄表示窓上に停止し次のストップボタンを押下するまでの間に、遊戯者へ制御部の内部情報(内部ゲーム状態)を、入賞の種類に応じて予め定められている報知パターンで報知することにより、遊戯者は従来にないゲーム性を感じ、即ち入賞の期待感と、意欲をもって参加でき、更に初心者にも分かりやすく、熟練者にも楽みながらゲームを行うことができる。
【0114】
更に、これに加えて、ストップボタンを操作する毎に、また全リールが停止した時に演出を与えることにより更に大きな期待感と興味を与える。
【0115】
また、遊戯者に報知する情報として、遊戯者が停止操作からを行なった時点から、リールが停止するまでの間に絵柄表示窓上を移動した絵柄の個数を含めることにより、遊戯者に停止操作の操作感覚をつかむことができる。
【0116】
ここで、内部情報の報知の手段として本実施の形態例では、リールのバックライトのバターン表示用いて説明したが、遊戯台前面に取り付けられたパネル上のランプ(例えば告知ランプ)や照明、液晶、LED、プラズマ、蛍光燈、冷陰極間、ネオン管のいずれかによる表示装置、又はこれらの組み合わせにより表示する表示装置や、音声(効果音)や、振動や、固体物による突出動作等の物理的手段またはこれらの組み合せを報知手段とすることができる。
【0117】
また、上記の表示装置は、絵や文字や図形やこれらの組み合せによる表示によりなおゲームを面白いものとする。更に、音声により盲人にもゲームが可能となり、更に、振動や突出物によって報知することにより、難聴者にもゲームが可能となる。盲人や難聴者に対しては、更にゲームの途中の内部状態(内部情報)を、振動や、突出物で知らせることにより、多くの人がゲームを楽しめるスロットマシンを提供できる。更に、必要に応じ前記突出物は、点字の表示を行う突出物であると更に効果は大きい。
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、ゲームの開始操作時に行われる報知、及び、リールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間に開始して終了し、各々のリールの停止操作毎の報知、が複数種類あり、その報知の種類の組合せが、確定した内部入賞の当否及びその種類に基づいて選択されるので、従来のスロットマシンと違ったゲーム性が提供でき、初心者にも遊戯意欲を沸き立たせる遊戯台が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本実施の形態例におけるスロットマシンの斜視図である。
【図2】
本実施の形態例のスロットマシンにおけるリールマウントの外観図である。
【図3】
本実施の形態例におけるスロットマシンの制御部のブロックダイヤグラムである。
【図4】
本実施の形態例におけるスロットマシンの内部入賞状態を報知する報知タイミングを示す図である。
【図5】
本実施の形態例におけるスロットマシンの内部入賞状態の報知パターンを示す図である。
【図6】
本実施の形態例におけるスロットマシンの通常ゲーム中における内部入賞状態の報知パターン抽選確率一覧表を示す図である。
【図7】
本実施の形態例におけるスロットマシンのBB又はRB内部フラグ成立ゲーム中(内部入賞状態)の報知パターン抽選確率一覧表を示す図である。。
【図8】
本実施の形態例におけるスロットマシンのBB中の一般ゲーム中における報知パターン抽選確率一覧表を示す図である。
【図9】
本発明の実施の形態例におけるスロットマシンの制御部による制御を示すフローチャートである。
【図10】
本発明の実施の形態例におけるスロットマシンの制御部による制御を示すフローチャート(図9の続き)である。
【符号の説明】
22 CPU
23 メダルセンサー
24 停止ボタンスイッチ
25 スタートレバーセンサー
26 クレジットベットボタンスイッチ
27 入力インターフェース
28 ROM
29 RAM
30 モータ制御部
31 ホッパー制御部
32 入出力インターフェース
33 ランプ制御部
34 出力インターフェース
35 スピーカ
36 サウンド出力部
37 乱数発生器
50 バス
100 スロットマシン
101 左リール
102 中リール
103 右リール
105 スタートレバー
106 メダル投入口
107 メダル払出口
108 メダル受け皿
109 メダル最大3掛ボタン
110 メダル最大2枚掛ボタン
111 メダル1枚掛ボタン
112 メダル精算ボタン/クレジット切替ボタン
113 音孔
114 クレジット残枚数表示器
115 メダル払出枚数表示器
116 メダルインサートランプ
117 再遊戯開始ランプ
118 ボーナスフラグ告知ランプ
119 入賞配当表示板(オッズパネル)
120 入賞有効ライン表示ランプ
121 左リールストップボタン
122 中リールストップボタン
123 右リールストップボタン
131〜133 リール表示窓
140 フリッカー表示ランプ
600〜602 バックライト基板
610 バックライト
 
訂正の要旨 ▲1▼ 特許請求の範囲の減縮
・訂正事項a
明細書の特許請求の範囲の請求項1における、
「抽選により内部入賞の当否又は該内部入賞の種類を確定し」を、
「抽選により複数種類ある入賞役の内部入賞の当否及びその種類を確定し、」
と訂正する。
・訂正事項b
明細書の特許請求の範囲の請求項1における、
「遊戯者に対する所定の報知であって、前記リールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間に開始して終了する報知を、各々の前記リールの停止操作毎に行う報知装置を備え」を、
「遊戯者に対する所定の報知であって、ゲームの開始操作時に行われる報知と、前記リールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間に開始して終了し、各々の前記リールの停止操作毎の報知と、を行う報知装置を備え、」
と訂正する。
・訂正事項c
明細書の特許請求の範囲の請求項1における、
「該報知は、複数種類あり」を、
「該ゲームの開始操作時に行われる報知と該各々の前記リールの停止操作毎の報知とは、それぞれ複数種類あり」
と訂正する。
・訂正事項d
明細書の特許請求の範囲の請求項1における、
「前記報知装置は、確定した前記内部入賞の当否又は前記内部入賞の種類に基づいて、各々の前記リールの停止操作毎の前記報知の種類を選択する」を、
「前記報知装置は、確定した前記内部入賞の当否及びその種類に基づいて、前記ゲームの開始操作時に行われる報知及び前記各々の前記リールの停止操作毎の報知の種類の組合せを選択し、
前記報知装置は、前記絵柄を裏側から照明するバックライトを含み、
前記報知の種類には、少なくとも前記バックライトの点滅を含み、かつ、前記各々の前記リールの停止操作毎の報知の場合における前記バックライトの点滅は、複数種類設定されている」
と訂正する。
・訂正事項e
明細書の特許請求の範囲の請求項2及び5を削除する。
・訂正事項f
明細書の特許請求の範囲の請求項3を以下の通り訂正して請求項2とする。
「【請求項2】 前記リールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間が200msであり、
前記バックライトがLEDから構成されたことを特徴とする請求項1に記載の遊戯台。」
・訂正事項g
明細書の特許請求の範囲の請求項4を以下の通り訂正して請求項3とする。
「【請求項3】 前記報知は、音声も含むことを特徴とする請求項2に記載の遊戯台。」
▲2▼ 明りょうでない記載の釈明
・訂正事項h
明細書の【課題を解決するための手段】欄における、
「本発明によれば、複数種類の絵柄よりなるリールを複数列備え、メダルまたは玉等の遊戯媒体を投入し、ゲームの開始操作により前記複数列のリールを絵柄表示窓上で移動を開始させると同時に、抽選により内部入賞の当否又は該内部入賞の種類を確定し、各リールに対応した停止操作に対して、前記各リールを前記内部入賞の当否又は該内部入賞の種類に基づいた所定の組み合せで絵柄が絵柄表示窓上に表示されるように制御部の制御により停止させ、前記停止したリールの前記絵柄表示窓上の絵柄の組み合わせから入賞を定め、所定の数の遊戯媒体を払い戻す遊戯台であって、遊戯者に対する所定の報知であって、前記リールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間に開始して終了する報知を、各々の前記リールの停止操作毎に行う報知装置を備え、該報知は、複数種類あり、前記報知装置は、確定した前記内部入賞の当否又は前記内部入賞の種類に基づいて、各々の前記リールの停止操作毎の前記報知の種類を選択することを特徴とする遊戯台が提供される。」を、
「 本発明によれば、複数種類の絵柄よりなるリールを複数列備え、メダルまたは玉等の遊戯媒体を投入し、ゲームの開始操作により前記複数列のリールを絵柄表示窓上で移動を開始させると同時に、抽選により複数種類ある入賞役の内部入賞の当否及びその種類を確定し、各リールに対応した停止操作に対して、前記各リールを前記内部入賞の当否及びその種類に基づいた所定の組み合せで絵柄が絵柄表示窓上に表示されるように制御部の制御により停止させ、前記停止したリールの前記絵柄表示窓上の絵柄の組み合わせから入賞を定め、所定の数の遊戯媒体を払い戻す遊戯台であって、
遊戯者に対する所定の報知であって、ゲームの開始操作時に行われる報知と、前記リールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間に開始して終了し、各々の前記リールの停止操作毎の報知と、を行う報知装置を備え、
該ゲームの開始操作時に行われる報知と該各々の前記リールの停止操作毎の報知とは、それぞれ複数種類あり、
前記報知装置は、確定した前記内部入賞の当否及びその種類に基づいて、前記ゲームの開始操作時に行われる報知及び前記各々の前記リールの停止操作毎の報知の種類の組合せを選択し、
前記報知装置は、前記絵柄を裏側から照明するバックライトを含み、
前記報知の種類には、少なくとも前記バックライトの点滅を含み、かつ、前記各々の前記リールの停止操作毎の報知の場合における前記バックライトの点滅は、複数種類設定されていることを特徴とする遊戯台が提供される。」
と訂正する。
・訂正事項i
明細書の【0032】欄における、
「本発明において、前記報知装置は、前記絵柄を裏側から照明するバックライトを含み、前記報知には、該バックライトの点灯、該バックライトの消灯、若しくは、該バックライトの点滅の少なくともいずれかを含むことができる。この場合、前記バックライトをLEDから構成することもできる。」を、
「 本発明において、前記リールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間が200msであり、前記バックライトをLEDから構成してもよい。」
と訂正する。
・訂正事項j
明細書の【0034】乃至【0036】の記載事項を削除する。
・訂正事項k
明細書の【発明の効果】欄における、
「以上詳細に説明したように、本発明によれば、ゲームが開始されてリールが一定の速度に達し、遊戯者がストップボタン押下した時点より、対応するリールが所定の絵柄表示窓上に停止し次のストップボタンを押下するまでの間に、遊戯者へ制御部の内部情報(内部ゲーム状態)を、入賞の種類に応じて予め定められている報知パターンで報知することにより、従来のスロットマシンと違ったゲーム性が提供でき、初心者にも遊戯意欲を沸き立たせる遊戯台が提供できる。」を、
「以上詳細に説明したように、本発明によれば、ゲームの開始操作時に行われる報知、及び、リールの停止操作が行われた時点から次の該停止操作の受付が可能となるまでの間に開始して終了し、各々のリールの停止操作毎の報知、が複数種類あり、その報知の種類の組合せが、確定した内部入賞の当否及びその種類に基づいて選択されるので、従来のスロットマシンと違ったゲーム性が提供でき、初心者にも遊戯意欲を沸き立たせる遊戯台が提供できる。」
と訂正する。
異議決定日 2003-02-18 
出願番号 特願平11-107275
審決分類 P 1 651・ 161- ZA (A63F)
P 1 651・ 121- ZA (A63F)
最終処分 取消  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 藤井 靖子
渡部 葉子
登録日 2001-01-12 
登録番号 特許第3147301号(P3147301)
権利者 株式会社大都技研
発明の名称 遊戯台  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康弘  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康徳  
代理人 高柳 司郎  
代理人 高柳 司郎  
代理人 大塚 康徳  
代理人 大塚 康弘  

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