ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 G03B 審判 全部申し立て 2項進歩性 G03B |
---|---|
管理番号 | 1079647 |
異議申立番号 | 異議2002-71395 |
総通号数 | 44 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1993-08-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-06-04 |
確定日 | 2003-04-28 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3234832号「閃光発光制御装置」の請求項1ないし5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3234832号の請求項1、2に係る特許を取り消す。 同請求項3、4に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第3234832号の発明は、平成4年1月31日に特許出願され、平成13年9月21日にその特許の設定登録がなされたものであり、その後、富岡 康之より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内に特許異議意見書が提出され、その後再度取消理由通知がなされ、その指定期間内の平成15年1月27日付けで訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否についての判断 (1)[訂正の内容] 訂正請求書による訂正事項は次のとおりである。 訂正事項a 特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1中の「測距手段からの距離情報に基づいてストロボ発光時の発光量を演算する」を「測距手段からの距離情報に基づいて、距離情報とストロボ発光時の発光量を対応させたテーブルを参照して発光量を演算する」に、そして、「所定の基準発光量と前記距離情報に基づいて」を「所定の基準発光量と前記測距手段からの距離情報に基づいて」に、それぞれ訂正する。 訂正事項b 特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1中の「前記所定の基準発光量と前記発光量演算手段にて演算された発光量との関係に応じて決定される量」を「前記所定の基準発光量と前記発光量演算手段にて演算された発光量との差分に応じた量」に訂正する。 訂正事項c 請求項2を削除し、以下項数を繰り上げて、請求項2、3、4と訂正すると共に、請求項4中の「請求項3記載」を「請求項2記載」に、請求項5中の「請求項4記載」を「請求項3記載」に、それぞれ訂正する。 訂正事項d 上記訂正事項a〜cに伴い、特許請求の範囲の請求項1〜4の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りようでない記載の釈明を目的として、本件明細書の【0011】中の「測距手段からの距離情報に基づいてストロボ発光時の発光量を演算する発光量演算手段と、所定の基準発光量と前記距離情報に基づいて絞り値情報を求めると共に、前記所定の基準発光量と前記発光量演算手段にて演算された発光量との関係に応じて決定される量、前記絞り値情報を変更する」を「測距手段からの距離情報に基づいて、距離情報とストロボ発光時の発光量を対応させたテーブルを参照して発光量を演算する発光量演算手段と、所定の基準発光量と前記測距手段からの距離情報に基づいて絞り値情報を求めると共に、前記所定の基準発光量と前記発光量演算手段にて演算された発光量との差分に応じた量、前記絞り値情報を変更する」に訂正する。そして、【0012】中の「請求項3」を「請求項2」に訂正し、【0142】中の「請求項1、2」を「請求項1」に、「請求項3」を「請求項2」に、「請求項4」を「請求項3」に、「請求項5」を「請求項4」に、それぞれ訂正する。 (2)[訂正の範囲の適否、拡張・変更の存否] 訂正事項aについては、請求項1に記載された発光量演算手段を、測距手段からの距離情報に基づいて、距離情報とストロボ発光時の発光量を対応させたテーブルを参照して発光量を演算するものに限定しようとするものである。 「距離情報とストロボ発光時の発光量を対応させたテーブルを参照して」という点は、本件明細書の【0033】中の「例えば、測距装置1からの被写体距離情報が「12m」の場合には、先ず図9(a)のテーブルを参照して距離コードを「4」とし、又この時のGnoを図9(b)のテーブルを参照して「25」とする。」及び図9などから直接的かつ一義的に導き出せるものである。 訂正事項bについては、訂正前の請求項1の「所定の基準発光量と……演算された発光量との関係に応じて決定される量」を訂正前の請求項2の「所定の基準発光量と……演算された発光量との差分に応じた量」に限定しようとするものである。 訂正事項cは、請求項2の削除に応じた訂正である。 訂正事項dは、訂正事項a〜cと整合させるための訂正である。 よって、訂正事項a〜dは、特許請求の範囲の減縮及び明りようでない記載の釈明を目的とするものである。 そして、訂正事項a〜dは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3)[結び] 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議の申立てについて (1)[申立ての理由の概要] 特許異議申立人富岡 康之は、下記甲第1〜5号証を提出し、請求項1に係る発明は甲第1号証記載の発明と、請求項3に係る発明は甲第2号証記載の発明と同一であり、また、請求項1〜5に係る発明は甲第1〜5号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、3に係る発明の特許は、特許法第29条第1項3号の規定に違反してされたものであり、 また、請求項1〜5に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから取り消すべき旨主張している。 甲第1号証:特開平3-149535号公報 甲第2号証:特開平3-154043号公報 甲第3号証:特開昭56-97331号公報 甲第4号証:特開平2-20838号公報 甲第5号証:特開昭62-151828号公報 (2)[本件発明] 特許第3234832号の請求項1〜4係る発明(以下、「本件発明1〜4」という。)は、平成15年1月27日付けの訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】測距手段からの距離情報に基づいて、距離情報とストロボ発光時の発光量を対応させたテーブルを参照して発光量を演算する発光量演算手段と、所定の基準発光量と前記測距手段からの距離情報に基づいて絞り値情報を求めると共に、前記所定の基準発光量と前記発光量演算手段にて演算された発光量との差分に応じた量、前記絞り値情報を変更する変更手段とを備えた閃光発光制御装置。 【請求項2】測距手段からの距離情報と、予め定められた所定のストロボ発光量とに基づいてストロボ発光時の絞り値を算出する絞り演算手段と、該絞り演算手段により求められた絞り値と、最小絞りより大きく、かつ、最大絞りよりも小さな所定の絞り値との差分を算出し、この差分に相当する量、前記予め定められたストロボ発光量に補正を加え、ストロボ発光量を決定する発光量算出手段とを備えた閃光発光制御装置。 【請求項3】前記発光量算出手段は、前記絞り演算手段にて演算された絞り値が前記所定の絞り値よりも大きい場合は不作動状態となり、前記演算された絞り値が前記所定の絞り値よりも小さい場合はその差分に相当する量、発光量を減少させるものであり、前記演算された絞り値が前記所定の絞り値よりも大きい場合は、前記演算された絞り値を撮影用絞り値として決定し、前記演算された絞り値が前記所定の絞り値よりも小さい場合は、前記所定の絞り値を撮影用絞り値として決定する絞り決定手段を有したことを特徴とする請求項2記載の閃光発光制御装置。 【請求項4】前記発光量算出手段により、前記絞り演算手段にて演算された絞り値が前記所定の絞り値よりも小さい場合にその差分に相当する量発光量を減少させられた際、該減少させられた発光量が最低の発光量以下である場合は、前記絞り決定手段は、その差分に相当する量、前記所定の絞り値を減少させることを特徴とする請求項3記載の閃光発光制御装置。」 (3)[当審が通知した取消しの理由に引用された刊行物] 当審が通知した平成14年11月14日付けの取消しの理由に引用された 刊行物1:特開昭49-27223号公報には、 「本発明はガイドナンバー即ちフラツシユの発光量を可変にしてフラツシユ撮影可能範囲を広くし、しかも絞りを自動的に設定し得る極めて使い易いフラツシユオート装置を得ることを目的とする。」(第2頁左上欄第3行〜第6行)、 「本発明はこの場合にガイドナンバーを距離に応じて変化させるようにしたもので、破線Cで示す如く直線的に変化させても又は鎖線A,Bで示す如く段階的に変化させることも出来る。」(第2頁右上欄第4行〜第8行)、 「切替リング21の目盛Aが・・・、目盛Fが指標22に合致する位置ではスイツチSAが開いてスイツチSFが閉じ、可変抵抗VR1がメーター15及び電源E2に接続する。距離リング23を回して距離合せを行うと可変抵抗VR2の抵抗値は距離に応じて変化しメーター指針15は距離に応じた位置に振れることになる。レリーズレバー1を押すと走査部材7が指針の振れ位置を走査し、これによって絞りリングの回動量が決つて絞りがEE撮影と同様に自動的に決定する。この時距離リング23の回動によつて可変抵抗VR2の抵抗値も同時に変化し第3図に於けるC2、VR2から成る時定数回路の時定数を変化させフラツシユのガイドナンバーを距離に応じて変化させることが出来る。」(第2頁右下欄第2行〜第3頁左上欄第3行)、 「上述の様に本発明は距離合せに連動して絞りを自動的に決めると同時にフラツシユの発光量を距離に応じて変化させるようにしたから撮影可能範囲が広く、しかも操作の容易なフラツシユオート撮影装置が得られる。」(第3頁右上欄第1行〜第5行) が記載されている。 当審が通知した平成14年8月5日付けの取消しの理由に引用された 刊行物2:特開平3-154043号公報(甲第2号証)には、 「第1の発明は、ストロボ光を投射するストロボ発光手段と、絞り値を複数段階に調整する有限段階絞りとを備えたカメラにおいて、被写体までの距離を測定する測距手段、および上記測距手段により測定された被写体までの距離と上記有限段階絞りに設定された絞り値とに応じて上記ストロボ発光手段の閃光時間を制御する手段を備えていることを特徴とする。」(第2頁右下欄第5行〜第12行)が記載されている。 (4)[対比・判断] [本件発明1について] 本件発明1と刊行物1に記載された発明を対比すると、刊行物1の「フラッシュの発光量」、「距離リング23の回動によって可変抵抗VR2の抵抗値も同時に変化しC2、VR2から成る時定数回路の時定数を変化させフラッシュのガイドナンバーを距離に応じて変化させる」は、本件発明1の「ストロボ発光時の発光量」、「測距手段からの距離情報に基づいてストロボ発光時の発光量を演算する」に相当するから、両者は、 「測距手段からの距離情報に基づいてストロボ発光時の発光量を演算する発光量演算手段を備えた閃光発光制御装置。」である点で一致し、 前者が、「距離情報とストロボ発光時の発光量を対応させたテーブルを参照して発光量を演算する発光量演算手段」を備えているのに対して、後者は、距離情報からストロボ発光時の発光量を演算する際にテーブルを参照する構成を備えていない点(相違点1)、 前者が「所定の基準発光量と前記距離情報に基づいて絞り値情報を求めると共に、前記所定の基準発光量と前記発光量演算手段にて演算された発光量との差分に応じた量、前記絞り値情報を変更する変更手段」を備えているのに対して、後者はそのような構成を有していない点(相違点2)の2点で相違する。 次に、上記相違点について検討する。 [相違点1について] 特許権者は、平成15年1月27日付けの特許異議意見書中で、『「近距離にいる人間を撮影する場合はガイドナンバを低下させる」閃光発光制御と、「近距離の被写体を撮影する際には被写界深度を深くする」閃光発光制御とは、被写体が近距離にいる場合の発光量が大きく異なるものであるが、これらの切り換えは、距離情報とストロボ発光時の発光量を対応させたテーブル値を変更するだけで容易に達成することができる。」と主張するが、この「テーブル値の変更」という技術思想は、請求項1には表現されてはいないから、前記主張は、請求項1の記載に基づかない主張であり採用することができない。 そして、ストロボ装置を有するカメラにおいては、露出制御に関する演算をCPUで行うに際して、CPUに内蔵されたメモリに格納された式やテーブルを用いることは周知(例えば、特開平3-141332号公報、特開昭63-257730号公報等参照)であるから、演算に際してテーブルを用いるという技術思想を刊行物1記載の発明に適用して本件発明1のように構成することは必要に応じて任意に採用しうる設計的事項に属するものと認められる。よって、この相違点は格別なものとはならない。 [相違点2について] 本件発明1の「所定の基準発光量」は特に定義されたものではなく、当該ストロボ装置のフル発光から最低発光可能な範囲における所定の値の発光量を特定するにとどまるものと認められる。ところで、刊行物1においては、第5図に示される線図からも明らかなように、例えば、関数を表す線A、B、C等に基づき距離情報から直ちにガイドナンバーが決定されると共に、絞りも決定される。これに対して本件発明1においては、最終的な絞り値を求める前に、予め、基準発光量と測定手段からの距離情報とから絞り値を求めておき、その後、距離情報から求められた発光量と所定の基準発光量との差分等の関係に応じて前記絞り値を変更する。しかしながら、刊行物1のもののように距離情報とこれに対応する発光量から絞り値を直接的な手法により求めるというものに対して、本願発明1のように最終的なストロボ発光時の絞り値を求める前に仮の絞り値を求め、ストロボ発光時の絞り値を間接的な手法により求めるものであるということに起因して格別な作用効果を新たに奏するとは認めることができない。 よって、この相違点は格別なものであるとは認めることができない。 したがって、本件発明1は、刊行物1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明1の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。また、前記各相違点を総合的に検討しても奏される効果は当業者が当然予測できる範囲内のものと認められる。 [本件発明2について] 本件発明2と甲第2号証に記載の発明とを対比すると、甲第2号証の「被写体までの距離」、「有限段階絞りに設定された絞り値」は、本件発明1の「測距手段からの距離情報」、「最小絞りより大きく、最大絞りよりも小さな所定の絞り値」に相当するから、両者は、 「測距手段からの距離情報と、最大絞りよりも小さな所定の絞り値とによりストロボ発光量を決定する発光量算出手段とを備えた閃光発光制御装置」 である点で一致し、 前者が、「測距手段からの距離情報と、予め定められた所定のストロボ発光量とに基づいてストロボ発光時の絞り値を算出する絞り演算手段と、該絞り演算手段により求められた絞り値と、最小絞りより大きく、かつ、最大絞りよりも小さな所定の絞り値との差分を算出し、この差分に相当する量、前記予め定められたストロボ発光量に補正を加え、」という構成を備えているのに対して、後者は、本件発明2のように、絞り演算手段により求められた絞り値と所定の絞り値との差分に相当する量、ストロボ発光量に補正を加えるという手法を採用していない点で一応相違する。 次に、この相違点について検討する。 特許権者は、平成14年10月15日付けの特許異議意見書において、 『刊行物2に記載のものと請求項3に係る本件特許発明との差異は、刊行物2では「上述の式」にしたがって発光量を決定するのに対し、請求項3に係る本件特許発明では、先に絞り値を演算し、この絞り値が所定の絞り値と異なる時にその差分に相当する量、予定の発光量を補正する点であって、発光量の補正という技術思想において両者は大きく相違するのである。』と主張をしている。(前記主張において、「請求項3」は、「本件発明2」に対応し、「刊行物2」は、「甲第2号証」に対応する。) ところで、本件発明2においては、実際にストロボ発光する時の発光量を求める前に、測距手段からの距離情報と、予め定められた所定のストロボ発光量とに基づいてストロボ発光時の絞り値を算出する絞り演算手段により仮に絞り値を求めているが、実際のストロボ発光時の発光量は、この仮の絞り値と所定の絞り値とを比較した場合の大小に依存することなく、すべての場合において距離情報と所定の絞り値とから一義的に決定されるものであるから、前記主張に係る「発光量の補正という技術思想」は技術的に格別意味があるとは認められないものであって、前記主張は採用できないものである。 よって、この相違点は格別なものであるとは認めることができない。 したがって、本件発明2は、甲第2号証に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明2の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 [本件発明3について] 本件発明3と甲第2号証に記載の発明とを対比すると、甲第2号証に記載の発明は、本件発明3を特定する事項である、「前記演算された絞り値が前記所定の絞り値よりも大きい場合は、前記演算された絞り値を撮影用絞り値として決定し、前記演算された絞り値が前記所定の絞り値よりも小さい場合は、前記所定の絞り値を撮影用絞り値として決定する絞り決定手段」という構成を備えておらず、当該事項により本件発明3は、所定絞りに対するストロボ発光量の調整で対応が可能か否かという判断ができるという顕著な効果を奏するものであるから、本件発明3は、甲第2号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。 また、前記相違点に係る構成は、刊行物1または異議申立人の提出した他の証拠のいずれにも記載されていないから、本件発明3は、刊行物1、甲第1〜5号証に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明することができたとも認めることはできない。 したがって、本件発明3は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。 [本件発明4について] 本件発明4は、本件発明3の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当するから、本件発明3について説示したのと同様の理由により、本件発明4は、甲第2号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。 また、本件発明4は、刊行物1、甲第1〜5号証に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明することができたとも認めることはできない。 したがって、本件発明4は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。 (5)[結び] 以上のとおり、本件発明1、2は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明1についての特許は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、取り消されるべきものである。 また、本件発明3、4についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 閃光発光制御装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 測距手段からの距離情報に基づいて、距離情報とストロボ発光時の発光量を対応させたテーブルを参照して発光量を演算する発光量演算手段と、所定の基準発光量と前記測距手段からの距離情報に基づいて絞り値情報を求めると共に、前記所定の基準発光量と前記発光量演算手段にて演算された発光量との差分に応じた量、前記絞り値情報を変更する変更手段とを備えた閃光発光制御装置。 【請求項2】 測距手段からの距離情報と、予め定められた所定のストロボ発光量とに基づいてストロボ発光時の絞り値を算出する絞り演算手段と、該絞り演算手段により求められた絞り値と、最小絞りより大きく、かつ、最大絞りよりも小さな所定の絞り値との差分を算出し、この差分に相当する量、前記予め定められたストロボ発光量に補正を加え、ストロボ発光量を決定する発光量算出手段とを備えた閃光発光制御装置。 【請求項3】 前記発光量算出手段は、前記絞り演算手段にて演算された絞り値が前記所定の絞り値よりも大きい場合は不作動状態となり、前記演算された絞り値が前記所定の絞り値よりも小さい場合はその差分に相当する量、発光量を減少させるものであり、 前記演算された絞り値が前記所定の絞り値よりも大きい場合は、前記演算された絞り値を撮影用絞り値として決定し、前記演算された絞り値が前記所定の絞り値よりも小さい場合は、前記所定の絞り値を撮影用絞り値として決定する絞り決定手段を有したことを特徴とする請求項2記載の閃光発光制御装置。 【請求項4】 前記発光量算出手段により、前記絞り演算手段にて演算された絞り値が前記所定の絞り値よりも小さい場合にその差分に相当する量発光量を減少させられた際、該減少させられた発光量が最低の発光量以下である場合は、前記絞り決定手段は、その差分に相当する量、前記所定の絞り値を減少させることを特徴とする請求項3記載の閃光発光制御装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、ストロボ発光量を変化させることのできる閃光発光制御装置の改良に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 従来より、カメラに備わった電源であるところの電池を昇圧し、所定の容量をメインコンデンサに蓄積させた後、所定の発光タイミングにてキセノン管を励起させて発光させる、所謂ストロボ装置が知られている。このストロボ装置を使用することによって、暗いシ-ンや逆光シ-ンの時に被写体が暗くなることを防ぐことが可能となっている。 【0003】 このストロボ装置の改良型として、ストロボ発光の際に被写体の反射光を測定し、所定の像面光量値になった時点でストロボ発光を停止させる、所謂ストロボ調光装置も知られている。このストロボ調光装置を用いれば、ストロボの連動範囲も広がり(近い距離で露出がオ-バ-にならない)且つカメラに近い距離に被写体が居た場合には極端に眩しい思いをせずに済むという利点が得られ、一眼レフカメラ等で良く使用されている。 【0004】 一方、被写体までの距離を自動的に測定する、所謂測距装置を持つカメラも最近増えてきている。また、焦点距離を切り換えることができるカメラ、高ガイドナンバのストロボ装置を持つカメラも増えてきている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、これらのカメラにおいて、前記ストロボ調光装置を装備しようとすると、ストロボ発光時の反射光を測定するための光学系や電気回路、さらには実装手段が必要になり、スペ-ス、コスト面で多大な影響が出ていた。一眼レフカメラは勿論、特に低価格でいろいろなバリエ-ションを持つレンズシャッタカメラ等においては必要なスペ-スが無かったり、必要なコストをかけることが困難であることから、このことが顕著であった。 【0006】 また、被写体からのストロボ反射光によりストロボ調光制御を行うと、被写体及び該被写体の周辺の反射率に依存し、適正な露出を得ることが困難な場合もあった。例えば、金屏風の前に人が立っている場合には、従来のストロボ調光方式では、人の顔が暗くなる場合が多く、反対に背景全体が黒っぽい場合には、人の顔は白くとんでしまう場合があった。 【0007】 さらに、従来のストロボ調光装置では、被写体からの反射光による光電流が微弱なため、ストロボ発光ノイズ等でストロボ発光と同時に調光が行われ、ストロボ発光量が極端に不足したり、又それを防ぐために実装上多大な検討及び部品等を必要とした。また、ストロボ調光光学系にゴミ或は水滴等がついたり、雨の日に撮影すると、ストロボ調光時の像面光量値がおかしくなってしまうこともあった。 【0008】 更に、例えば近距離に居る人物に対してストロボ発光すると、極端には眩しくはないがかなり眩しいために、子供の目に対しては危険であった。そのため、ガイドナンバをかなり低下させて撮影したいといった要望がある。また、広視野測距との絡みである距離の条件では、ストロボ光と日中光との比率を変えたいといったことや、近距離撮影時には被写界深度を深くして撮影したいといった要望もある。 【0009】 本発明の目的は、調光の為に従来必要であったストロボ反射光を受光して処理する光学系、電気回路、更にはその実装手段を不要とし、コスト、スペ-ス的に有利なものとすると共に、ストロボ反射光を用いないために被写体や背景の反射率に影響されることなく、広範囲にわたって最適な像面光量を与えることのできる閃光発光制御装置を提供することである。 【0010】 【0011】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、測距手段からの距離情報に基づいて、距離情報とストロボ発光時の発光量を対応させたテーブルを参照して発光量を演算する発光量演算手段と、所定の基準発光量と前記測距手段からの距離情報に基づいて絞り値情報を求めると共に、前記所定の基準発光量と前記発光量演算手段にて演算された発光量との差分に応じた量、前記絞り値情報を変更する変更手段とを備えた閃光発光制御装置とするものである。 【0012】 また、請求項2記載の本発明は、測距手段からの距離情報と、予め定められた所定のストロボ発光量とに基づいてストロボ発光時の絞り値を算出する絞り演算手段と、該絞り演算手段により求められた絞り値と、最小絞りより大きく、かつ、最大絞りよりも小さな所定の絞り値との差分を算出し、この差分に相当する量、前記予め定められたストロボ発光量に補正を加え、ストロボ発光量を決定する発光量算出手段とを備えた閃光発光制御装置とするものである。 【0013】 【0014】 【0015】 【実施例】 以下、本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。 【0016】 図1は本発明の第1の実施例を備えたレンズシャッタカメラの主要部分の構成を示すブロック図である。 【0017】 図1において、1はカメラから被写体までの距離を測定する公知の測距装置、2はフィルムカ-トリッジの表面に設置されているDXコ-ドからフィルムの感度を検知するフィルム感度検知手段、3はズ-ムレンズ等のレンズの焦点距離を検知し、この焦点距離情報から絞り情報を判定するレンズ焦点距離検知手段、4は後述するストロボ発光量演算手段にて演算されたストロボガイドナンバと測距装置1からの被写体距離情報よりストロボ発光時の絞り値を計算し、さらに検知されたフィルム感度,レンズの焦点距離情報によってその絞り値を補正する絞り演算手段である。5は測距装置1からの被写体距離情報よりストロボガイドナンバを決定するストロボ発光量決定手段、6は前述の絞り演算手段4及びストロボ発光量決定手段5を備え、カメラやストロボ調光装置の各種回路の制御を司るマイクロプロセッサ、7は前記絞り演算手段4からの情報を基にストロボ発光時の絞り値を制御する絞り制御手段、8は前記ストロボ発光量決定手段5により設定されたストロボ発光量になるようにその制御を行う、ストロボ調光装置の各種回路を含むストロボ発光量制御手段である。 【0018】 図2は前述のストロボ発光量を変えるストロボ発光量制御手段8の構成の一例を示す回路図である。 【0019】 図2において、21はストロボ発光させる為のエネルギ-を蓄えるメインコンデンサ、22はストロボ発光用のキセノン管、23はキノセン管22を励起させストロボ発光させるストロボ発光手段、24はキセノン管22とメインコンデンサの間に接続され、ストロボ発光電流を流したり発光途中でその電流を遮断したりするスイッチング素子、25はスイッチング素子24を制御することによってストロボ発光量を変化させるストロボ発光量可変手段、26は電源であるところの電池27に接続され、所定の電圧に昇圧しその電荷をメインコンデンサ21に蓄積させるストロボ充電手段である。 【0020】 図3は上記図2の構成におけるストロボ発光量制御手段8の動作を示すフロ-チャ-トであり、以下これにしたがって説明する。 [ステップ101] 図1のマイクロプロセッサ6より充電開始信号が入力することにより、ストロボ充電手段26は起動してメインコンデンサ21への充電を開始する。 [ステップ102] メインコンデンサ21に所定量の充電がなされたか否かの判別を行い、所定量の充電がなされていない場合にはこのステップに留まり、その後所定量の充電がなされることによりステップ103へ進む。 [ステップ103] レリ-ズボタンの第2ストロ-クによりONする不図示のレリ-ズスイッチがONしているか否かをカメラ側からの制御信号にて判別し、ONしていなければこのステップに留まり、その後ONすることによりステップ104へ進む。 [ステップ104] 上記レリ-ズスイッチのONにより撮影動作がスタ-トするが、これに伴ってストロボ発光量可変手段25はスイッチング素子24をONする。 [ステップ105] ストロボ発光タイミングになると、ストロボ発光手段23はトリガ信号を出力してキセノン管22を励起させる。これにより、ストロボ発光が開始する。 [ステップ106] ストロボ発光が開始されてから所定時間が達したか否かを判別し、所定時間に達していなければこのステップに留まり、その後所定時間に達することによりステップ107へ進む。 [ステップ107] ストロボ発光量可変手段25はスイッチング素子24をOFFにし、ストロボ発光を中断させる。 【0021】 以上により、ストロボ発光量制御動作が終了する。 【0022】 図4は、ストロボ発光開始からスイッチング素子24がOFFするまでの時間とその時のストロボ発光量との関係を示した図であり、図5は、ストロボ発光開始からスイッチング素子24がOFFするまでの時間とその時のストロボガイドナンバ(以下、Gnoと記す)との関係を示した図である。 【0023】 早い時期にストロボ発光を停止させると、発光量,Gnoとも低くなり、時間を長くするにつれて、発光量,Gnoとも上昇する。 【0024】 図6はストロボ発光量を変える図1に示したストロボ発光量制御手段8の構成の他の例を示す回路図である。 【0025】 図6において、31はストロボ発光させる為のエネルギを蓄えるメインコンデンサ、32はストロボ発光用のキセノン管、33はキノセン管32を励起させ、ストロボ発光を開始させるストロボ発光手段、34はキセノン管32とメインコンデンサの間に接続され、ストロボ発光電流の急激な変化を防ぐチョ-クコイル、35はストロボ発光途中でONさせ、キセノン管32の電流をバイパスさせることによってストロボ発光を中断させるスイッチング素子、36はスイッチング素子35を制御することによってストロボ発光量を変化させるストロボ発光量可変手段、37は電源であるところの電池38に接続され、所定の電圧に昇圧しその電荷をメインコンデンサ21に蓄積させるストロボ充電手段である。 【0026】 図7は上記図6の構成におけるストロボ発光量制御手段8の動作を示すフロ-チャ-トであり、以下これにしたがって説明する。 [ステップ201] 図1のマイクロプロセッサ6より充電開始信号が入力することにより、ストロボ充電手段37は起動してメインコンデンサ31への充電を開始する。 [ステップ202] メインコンデンサ31に所定量の充電がなされたか否かの判別を行い、所定量の充電がなされていない場合にはこのステップに留まり、その後所定量の充電がなされることによりステップ203へ進む。 [ステップ203] レリ-ズボタンの第2ストロ-クによりONする不図示のレリ-ズスイッチがONしているか否かをカメラ側からの信号にて判別し、ONしていなければこのステップに留まり、その後ONすることによりステップ204へ進む。 [ステップ204] ストロボ発光タイミングになると、ストロボ発光手段33はトリガ信号を出力してキセノン管32を励起させる。これにより、ストロボ発光が開始される。 [ステップ205] ストロボ発光が開始されてから所定時間が達したか否かを判別し、所定時間に達していなければこのステップに留まり、その後所定時間に達することによりステップ206へ進む。 [ステップ206] ストロボ発光量可変手段36はスイッチング素子35をONにし、ストロボ発光電流をバイパスさせ、ストロボ発光を中断させる。 [ステップ207] 一定時間が経過するのを待ってステップ208へ進む。 [ステップ208] スイッチング素子35をOFFにし、ストロボ発光を停止する。 【0027】 以上により、ストロボ発光量制御動作が終了する。 【0028】 ここで、上記図2及び図6のフロ-チャ-トを用いてストロボ発光量制御手段8の各構成例における動作について説明したが、このストロボ発光量制御手段8はこれら構成に限定されるものではない。 【0029】 つまり、ストロボ発光量を制御出来るものであればどの様な構成でも良く、例えば、転流コンデンサを用いた一般的な直流調光タイプでも、メインコンデンサを複数持っていて、それを切り換えるタイプでも、キセノン管とメインコンデンサの間に抵抗を挿入し、その抵抗値を可変するタイプでも良い。 【0030】 図8は図1のカメラの本発明に係る部分の動作を示すフロ-チャ-トであり、以下図9(a)〜(c)に示すテ-ブルを用いながら説明する。 【0031】 不図示のレリ-ズボタンの第1ストロ-クがなされることにより、マイクロプロセッサ6はステップ301からの動作を開始する。 [ステップ301] 測距装置1を駆動し、該カメラから被写体までの距離測定を開始する。 [ステップ302] ストロボ発光量決定手段5はマイクロプロセッサ6内に格納されているテ-ブルよりステップ301で得られた被写体距離情報をコ-ド化する(距離コ-ド化については図9(a)を用いて後述する)。 [ステップ303] 上記ステップ302にて得られた距離コ-ドを基に今度は図9(b)を参照してGnoを算出する。 [ステップ304] 上記ステップ302にて得られた距離コ-ド(或はステップ303で得られたGno)を基に図9(c)を参照してストロボ発光から停止までの時間を求める。 [ステップ305] 絞り演算手段4にてステップ303にて得られたGnoが、フル発光からどの程度Gnoを低下させた値であるかを演算する。 [ステップ306] 測距装置1からの被写体距離情報よりフル発光時の必要絞り値を算出する。 [ステップ307] ここでは上記ステップ305にて求めた差分(Gnoの)を上記ステップ306にて求めた絞り値よりシフトして基準の絞り値を算出する。 [ステップ308] 上記ステップ307において得られた絞り値に対し、フィルム感度検知手段2より入力されたフィルム感度にて補正をかける。 [ステップ309] 上記ステップ308において得られた絞り値に対し、レンズ焦点距離検知手段3より入力された焦点距離情報にてさらに補正をかけ、これを最終的なストロボ発光時の絞り値(以下、制御絞り値と記す)とする。 [ステップ310] 上記の制御絞り値に達する、シャッタ通電開始からストロボ発光開始直前までの時間を演算する。 [ステップ311] ここでは実際にシャッタに通電して該シャッタを開放させる。 [ステップ312] ステップ310にて算出された時間経過後に、つまり制御絞り値まで絞りが開いた時点でストロボ発光を開始する。 [ステップ313] ストロボ発光開始からステップ304にて決められた時間が経過することにより、つまりステップ303にて算出したGnoに達した時点でストロボ発光を停止させる。 [ステップ314] 予め定められた所定時間経過後にシャッタ通電を止め、シャッタを閉じさせる。これにより、露光動作が終了する。 【0032】 ここで、図9(a)〜(c)を用い、実際に得られた被写体距離情報からストロボ発光停止時間算出までの方法について説明する。 【0033】 例えば、測距装置1からの被写体距離情報が「12m」の場合には、先ず図9(a)のテ-ブルを参照して距離コ-ドを「4」とし、又この時のGnoを図9(b)のテ-ブルを参照して「25」とする。ここで、図9(b)のテ-ブルはフル発光時のGnoを「50」とし、その距離コ-ド順に0.25段づつ下げていったテ-ブルとなっている。次に、上記の距離コ-ド(或は上記のGno)を基に、図9(c)のテ-ブルを用いてストロボ発光停止時間を参照する。つまり、被写体距離情報が「12m」で距離コ-ドが「4」の場合には、ストロボ発光後から「204μsec」後にストロボ発光を停止させることにする。これにより、フル発光時のGnoが「50」の時にGnoが「25」となる。 【0034】 同様に、被写体距離情報が「7.1m」の場合には距離コ-ドは「7」,Gnoは「14.9」であり、ストロボ発光停止時間は「156μsec」となる。又、被写体距離情報「2.1m」の時には距離コ-ドは「14」,Gnoは「4.4」であり、ストロボ発光停止時間は「65.2μsec」となる。以下同様にして被写体距離情報より距離コ-ド及びGno、ストロボ発光停止時間を求める。 【0035】 図10は被写体距離とGnoとのテ-ブルをグラフ化した一例を示すものである。 【0036】 ここでは被写体距離がほぼ直線上に近くなればなる程、Gnoを低下させている。 【0037】 図11は被写体距離とGnoとのテ-ブルをグラフ化した他の例を示すものである。 【0038】 ここでは被写体距離が近い方ではGnoをかなり下げ、距離が遠くになるにつれて急激にGnoを上昇させている。これは図9(a)のテ-ブルにおいて、距離コ-ドと被写体距離の関係を変えるだけで実現可能である。 【0039】 このように、本実施例によれば、被写体距離と距離コ-ドのテ-ブルを変えるだけで、自由に距離に対応したGnoを算出することができる。 【0040】 (第2の実施例) 図12は本発明の第2の実施例におけるカメラの動作を示すフロ-チャ-トであり、回路構成は図1に示す第1の実施例と同様であるので、ここでは省略する。 【0041】 不図示のレリ-ズボタンの第1ストロ-クがなされることにより、マイクロプロセッサ6はステップ401からの動作を開始する。 [ステップ401] 測距装置1を駆動し、該カメラから被写体までの距離測定を開始する。 [ステップ402] ストロボ発光量決定手段5は後述する演算にてGnoを算出する。 [ステップ403] ここでは上記ステップ402にて得られたGnoになるようストロボ発光停止のタイミングを演算する。 [ステップ404] 上記ステップ402にて得られたGnoより絞り演算手段4はストロボ発光時の絞り値を算出する。 [ステップ405] 上記ステップ404において得られた絞り値に対し、フィルム感度検知手段2より入力されたフィルム感度にて補正をかける。 [ステップ406] 上記ステップ405において得られた絞り値に対し、レンズ焦点距離検知手段3より入力された絞り情報にてさらに補正をかけ、これを最終的なストロボ発光時の絞り値(以下、制御絞り値と記す)とする。 [ステップ407] 上記の制御絞り値に達する、シャッタ通電開始からストロボ発光開始直前までの時間を演算する。 [ステップ408] ここでは実際にシャッタに通電して該シャッタを開放させる。 [ステップ409] ステップ407にて算出された時間経過後にストロボ発光を開始する。 [ステップ410] ストロボ発光開始からステップ403にて決められた時間が経過することにより、ストロボ発光を停止させる。 [ステップ411] 予め定められた所定時間経過後にシャッタ通電を止め、シャッタを閉じさせる。これにより、露光動作が終了する。 【0042】 次に、上記ステップ402において、得られる被写体距離情報よりGnoを算出する方法を図13及び図14を用いて説明する。 【0043】 先ず、ストロボ発光量決定手段5に図13の計算式が入力されているものとする。 【0044】 ステップ401にて被写体距離情報が算出されると、ステップ402においてGnoは Gno=a×(距離)+b という計算式に基づいて算出する。例えば、a=1.5,b=2とすると、被写体距離が「4m」の場合のGnoは、 Gno=1.5×4+2 より「8」となり、また、被写体距離が「1m」の場合のGnoは、 Gno=1.5×1+2 より「3.5」となる。なお、a,bはそれぞれ係数である。 【0045】 図14の計算式が入力されている場合には、図に示す様に被写体距離によって使用する計算式が異なってくる。 【0046】 つまり、被写体距離がL1よりも近い場合には、 Gno=a1×(距離)+b1 にて計算され、また、被写体距離がL1からL2の範囲にある場合には、 Gno=a2×(距離)+b2 にて計算され、また、被写体距離がL2からL3の範囲にある場合には、 Gno=a3×(距離)+b3 にて計算され、距離がL4以上の場合は、 Gno=Gnomax にて計算される。なお、a1〜a3は係数であり、これら係数a1,a2,a3は、a1<a2<a3となるように設定されている。 【0047】 尚、ステップ402にて計算される計算式は、これに限定されるものではない。便宜上Gnoを被写体距離に対する一次式の形にて表現したが、実際には図14の様な式を高次式に代用すれば、被写体距離による場合分けをせずに行っても同様の効果を得ることができる。 【0048】 以上の第1及び第2の実施例によれば、カメラに備わっている測距装置からの被写体距離情報を基にGnoを決定するようにしているため、従来のストロボ調光装置の様な余分な光学系,電気回路,実装手段を用いること無く、ストロボ調光装置を実現することができ、スペ-ス(カメラに組み込んだ場合),コスト的に効果は絶大であり、さらには微弱な信号を用いていないためにノイズに強く、最近の低コスト、各種バリエ-ションを持つカメラに適している。 【0049】 さらに、従来のストロボ調光方式と異なり、被写体の反射率や被写体周辺の反射率に影響されることなく、常に一定の適正像面光量値によって撮影が可能となる。 【0050】 更に、被写体距離によってGnoを自由に設定できるので、目に優しい、子供撮影用ストロボ調光装置にしたり、被写界深度優先のストロボ調光装置にしたりというように、各種の要望に答えることのできるストロボ調光装置を実現することができる。 【0051】 (第3の実施例) この実施例は、先の第1及び第2の実施例の改良型のストロボ調光装置を提案するものであり、詳しくは、先の各実施例においては、測距装置より入力される被写体距離情報を基にストロボ発光時のGnoを決定し、このGnoとなるようにストロボ発光時の絞り値を演算する方式のものであったが、実際には絞り値は無制限にしかもリニアリティを保ちながら低下させることは、シャッタの制御バラツキ、姿勢差、部品バラツキ等を考慮すると不可能なことであった。そのため、安定して保証するためには、最小絞り値と言うものを設定しなければならないが、先の各実施例では絞り値が安定に小さくできる最小絞り値以下になった場合の処理については何等施していなかった。そこで、この点を改善すべく実施例として、この第3の実施例を以下に挙げる。 【0052】 図15は本発明の第3の実施例を備えたレンズシャッタカメラの主要部分の構成を示すブロック図である。 【0053】 図15において、101はカメラから被写体までの距離を測定する公知の測距装置、102はフィルムカ-トリッジの表面に設置されているDXコ-ドからフィルムの感度を検知するフィルム感度検知手段、103はズ-ムレンズ等のレンズの焦点距離を検知し、この焦点距離情報から絞り情報を判定するレンズ焦点距離検知手段、104は後述するストロボ発光量演算手段にて演算されたGnoと測距装置101からの被写体距離情報よりストロボ発光時の絞り値を計算し、さらに検知されたフィルム感度,レンズの焦点距離情報によってその絞り値を補正する絞り演算手段である。105は測距装置1からの被写体距離情報よりGnoを決定するストロボ発光量決定手段、106は前述の絞り演算手段104及びストロボ発光量決定手段105を備え、カメラやストロボ調光装置の各種回路の制御を司るマイクロプロセッサ、107は前記絞り演算手段104からの情報を基にストロボ発光時の絞り値を制御する絞り制御手段、108は前記ストロボ発光量決定手段105により設定されたストロボ発光量になるようにその制御を行う、ストロボ調光装置の各種回路を含むストロボ発光量制御手段である。 【0054】 上記ストロボ発光量制御手段108の構成は前述の図2又は図6と同一であり、又該ストロボ発光量制御手段108の動作は前述の図3又は図7のフローチャートと同様であるので、これらの説明は省略する。 【0055】 【0056】 【0057】 【0058】 【0059】 【0060】 【0061】 【0062】 【0063】 【0064】 【0065】 【0066】 図16は図15のカメラの本発明に係る部分の動作を示すフロ-チャ-トであり、以下図17(a)〜(c)に示すテ-ブルを用いながら説明する。 【0067】 不図示のレリ-ズボタンの第1ストロ-クがなされることにより、マイクロプロセッサ106はステップ501からの動作を開始する。 [ステップ501] 測距装置101を駆動し、該カメラから被写体までの距離測定を開始する。 [ステップ502] ストロボ発光量決定手段105はマイクロプロセッサ106内に格納されているテ-ブルよりステップ501で得られた被写体距離情報をコ-ド化する(距離コ-ド化については図17(a)を用いて後述する)。 [ステップ503] 上記ステップ502にて得られた距離コ-ドを基に今度は図17(b)を参照してGnoを算出する。 [ステップ504] 上記ステップ502にて得られた距離コ-ド(或はステップ503で得られたGno)を基に図17(c)を参照してストロボ発光から停止までの時間を求める。 [ステップ505] 絞り演算手段104にてステップ503にて得られたGnoが、フル発光からどの程度Gnoを低下させた値であるかを演算する。 [ステップ506] 測距装置101からの被写体距離情報よりフル発光時の必要絞り値を算出する。 [ステップ507] ここでは上記ステップ505にて求めた差分(Gnoの)を上記ステップ506にて求めた絞り値よりシフトして基準の絞り値を算出する。 [ステップ508] 上記ステップ507において得られた絞り値に対し、フィルム感度検知手段102より入力されたフィルム感度にて補正をかける。 [ステップ509] 上記ステップ508において得られた絞り値に対し、レンズ焦点距離検知手段103より入力された焦点距離情報にてさらに補正をかける(以下、この時の絞り値を演算絞り値と記す)とする。 [ステップ510] 上記ステップ509にて得られた演算絞り値が最小絞り値よりも大きいか小さいかを判別し、もし最小絞り値よりも大きい場合にはステップ511へ進み、最小絞り値よりも小さい場合にはステップ517へ進む。 [ステップ511] 最終的なストロボ発光時の絞り値(以下、これを制御絞り値と記す)を上記の演算絞り値とする。 [ステップ512] 上記の制御絞り値に達する、シャッタ通電開始からストロボ発光開始直前までの時間を演算する。 [ステップ513] ここでは実際にシャッタに通電して該シャッタを開放させる。 [ステップ514] ステップ512にて算出された時間経過後にストロボ発光を開始する。 [ステップ515] ストロボ発光開始からステップ504にて決められた時間が経過することにより、ストロボ発光を停止させる。 [ステップ516] 予め定められた所定時間経過後にシャッタ通電を止め、シャッタを閉じさせる。これにより、露光動作が終了する。 【0068】 上記ステップ510において、ステップ509にて得られた演算絞り値が最小絞り値よりも小さいと判別された場合には、前述したようにステップ517へ進む。 [ステップ517] ここでは最小絞り値よりもさらに小絞りにすることはできないので、最小絞り値を制御絞り値とする。 [ステップ518] 最小絞り値と演算絞り値との差分を演算する。 [ステップ519] 上記ステップ518にて得られた差分に対応するGnoだけ、上記503にて算出したGnoより減算する。そして、前述したステップ512以降の動作を進める。 【0069】 ここで、図17(a)〜(c)を用い、実際に得られた被写体距離情報からストロボ発光停止時間算出までの方法について説明する。 【0070】 例えば、測距装置101からの被写体距離情報が「8.8m」の場合には、先ず図17(a)のテ-ブルを参照して距離コ-ドを「4」とし、又この時のGnoを図17(b)のテ-ブルを参照して「25」とする。ここで、図17(b)のテ-ブルはフル発光時のGnoを「50」とし、その距離コ-ド順に0.25段づつ下げていったテ-ブルとなっている。次に、上記の距離コ-ド(或は前記のGno)を基に図17(c)のテ-ブルを用いてストロボ発光停止時間を参照して決定する。絞り値は、図18を参照して距離コ-ドが「4」の場合には「F2.83」とし、これにISO補正、ズ-ム補正を加える。例えば、ISOが「100」,WIDE端であれば、「F2.83」のままとなる。ストロボ発光停止タイミングは、距離が「8.8m」,距離コ-ドが「4」の場合には、ストロボ発光後から「204μsec」後にストロボ発光を停止させると、フル発光時のGnoが「50」の時にGnoが「25」となる。 【0071】 また、距離が「4.1m」の場合には、距離コ-ドは「7」,Gnoは「14.9」であり、ISO100でWIDE端時、絞り値は「F3.67」、ストロボ発光停止時間は「156μsec」となり、又、距離が「0.65m」の場合には、距離コ-ドは「14」,Gnoは「4.4」であり、ISOが「100」でWIDE端の時、絞り値は「F6.37」、ストロボ発光停止時間は「65.2μsec」となる。以下、同様にして距離より距離コ-ド及びGno、ストロボ発光停止時間を求める。 【0072】 距離が「0.23m」の場合には距離コ-ドは「18」となり、絞り値は「F9.51」となるが、ここでISOを「100」から「1600」にするとフィルム感度が4段上昇するから絞り値は「F9.51」から「F38.28」となり、ここで決められている最小絞り「F32.00」を越えてしまう。この場合には「F32.00」と「F38.28」との差分、つまり0.5段分だけGnoを低下させなければならない。Gnoは距離コ-ド「18」の場合には「2.21」となり、Gnoを0.5段シフトさせて「1.56」となる。このGnoになるようにストロボ発光時間を算出すると、「41.2μsec」となる。 【0073】 この第3の実施例によれば、測距情報に基づいてGnoを決定し、これに応じた絞り値を演算するが、この時の絞り値が安定して低下(小絞り側へ)にできる限界の最小絞り値に達した後は、今度はその必要絞り値と最小絞り値との差分だけGnoを低下させるようにしている為、シャッタ制御に伴う諸々のバラツキ等に左右されること無く、広範囲に渡って適正なストロボ発光量を与えることが可能となる。 【0074】 (第4の実施例) この実施例は、先の第1及び第2の実施例と同様の効果を得る為の別の構成例を示すものであり、以下にこれについて説明する。 図19は本発明の第4の実施例を備えたレンズシャッタカメラの主要部分の構成を示すブロック図である。 【0075】 図19において、201はカメラから被写体までの距離を測定する公知の測距装置、202はフィルムカ-トリッジの表面に設置されているDXコ-ドからフィルムの感度を検知するフィルム感度検知手段、203はズ-ムレンズ等のレンズの焦点距離を検知し、この焦点距離情報から絞り情報を判定するレンズ焦点距離検知手段、204は測距装置201からの被写体距離情報よりストロボ発光時の絞り値を計算し、さらに検知されたフィルム感度,レンズの焦点距離情報によってその絞り値を補正する絞り演算手段であり、所定絞り値に対する光量不足、過分を後述するストロボ発光量演算手段に伝達させる。205は絞り演算手段204からの所定絞り値に対する不足、過分を補正すべくストロボ発光量を演算するストロボ発光量決定手段、206は前述の絞り演算手段204及びストロボ発光量決定手段205を備えると共に、カメラやストロボ調光装置の各種回路の制御を司るマイクロプロセッサ、207は前記絞り演算手段204からの情報を基にストロボ発光時の絞り値を制御する絞り制御手段、208は前記ストロボ発光量決定手段205により設定されたストロボ発光量になるようにその制御を行う、ストロボ調光装置の各種回路を含むストロボ発光量制御手段である。 【0076】 上記ストロボ発光量制御手段208の構成は前述の図2又は図6と同一であり、又該ストロボ発光量制御手段108の動作は前述の図3又は図7のフローチャートと同様であるので、これらの説明は省略する。 【0077】 【0078】 【0079】 【0080】 【0081】 【0082】 【0083】 【0084】 【0085】 【0086】 【0087】 【0088】 図20は図19のカメラの本発明に係る部分の動作を示すフロ-チャ-トであり、以下これにしたがって説明する。 【0089】 不図示のレリ-ズボタンの第1ストロ-クがなされることにより、マイクロプロセッサ206はステップ601からの動作を開始する。 [ステップ601] 測距装置201を駆動し、該カメラから被写体までの距離測定を開始する。 [ステップ602] 予め記憶されているフル発光時のGnoを読み出し、これを設定する。 [ステップ603] 絞り演算手段204により、ステップ601において得られた被写体距離情報とステップ602により設定されたフル発光時のGnoを基にストロボ発光時の絞り値の演算を行う。 [ステップ604] 上記ステップ603にて得られた絞り値に対し、フィルム感度検知手段202より入力されたフィルム感度にて補正をかける。 [ステップ605] ここでは上記ステップ604にて得られた絞り値に対し、レンズ焦点距離検知手段203より入力された焦点距離情報にてさらに補正をかける。 [ステップ606] ストロボ発光量決定手段205にて予め決められている所定の絞り値と絞り演算手段204にて演算された演算絞り値(ステップ605にて得られた絞り値)とを比較し、演算絞り値が所定絞り値より小さい場合はステップ607へ進み、大きい場合にはステップ615へ進む。 [ステップ607] ここでは演算絞り値と所定絞り値の差分に相当するだけのGno分フル発光時のGnoから減算し、これを撮影時のGnoとする。 [ステップ608] ストロボ発光量決定手段205により、上記ステップ607により得られたGnoとなるストロボ発光停止タイミングを算出する。 [ステップ609] ここでは演算絞り値が所定の絞り値よりも小さい為、実際にストロボ発光させる時の絞り値(以下、制御絞り値と記す)を先程の所定絞り値に変更する。 [ステップ610] 上記の制御絞り値に達する、シャッタ通電開始からストロボ発光開始直前までの時間を演算する。 [ステップ611] ここでは実際にシャッタに通電して該シャッタを開放させる。 [ステップ612] ステップ610にて算出された時間経過後、つまり制御絞り値に達したであろう時間経過後にストロボ発光を開始する。 [ステップ613] ストロボ発光開始からステップ608にて決められた時間が経過することにより、ストロボ発光を停止させる。 [ステップ614] 予め定められた所定時間経過後にシャッタ通電を止め、シャッタを閉じさせる。これにより、露光動作が終了する。 【0090】 上記ステップ606において演算絞り値が所定絞り値より大きい場合には、前述した様にステップ615へ進む。 [ステップ615] 実際に発光させる時の制御絞り値を演算絞り値とし、ステップ610以降の動作を進める。 【0091】 次に、上記の被写体距離と絞り値との関係を図21により、又、被写体距離とGnoとの関係を図22により、それぞれ説明する。 【0092】 図20のステップ601における被写体距離が図21,図22で示すL4より遠い場合には、演算絞り値は最大絞り値[AVmax]となり、所定絞り値[AV1]より当然大きいので制御絞り値は演算絞り値(つまり最大絞り値[AVmax])に、そして、Gnoはフル発光となる。 【0093】 また、被写体距離がL4からL3の範囲にある場合には、演算絞り値は所定の絞り値[AV1]より大きいので、制御絞り値はこの場合も演算絞り値に、そして、Gnoはフル発光になる。 【0094】 また、被写体距離がL3より近い範囲にある場合には、演算絞り値は所定絞り値[AV1]より小さくなるので、制御絞り値は所定絞り値に、そして、Gnoはフル発光の光量から「所定絞り値-演算絞り値」の差分だけ発光量を制限したストロボ発光量として制御(調光)する。 【0095】 (第5の実施例) 図23は本発明の第5の実施例における動作を示すフロ-チャ-トであり、回路構成は図19に示した第4実施例と同様であるので、ここでは省略する。 【0096】 不図示のレリ-ズボタンの第1ストロ-クがなされることにより、マイクロプロセッサ206はステップ701からの動作を開始する。 [ステップ701] 測距装置201を駆動し、該カメラから被写体までの距離測定を開始する。 [ステップ702] 予め記憶されている所定のGnoを読み出し、これを設定する。 [ステップ703] 絞り演算手段204により、上記ステップ701において得られた被写体距離情報とステップ702により設定された所定のGnoを基にストロボ発光時の絞り値を演算する。 [ステップ704] 上記ステップ703にて得られた絞り値に対し、フィルム感度検知手段202より入力されたフィルム感度にて補正をかける。 [ステップ705] ここでは上記ステップ704にて得られた絞り値に対し、レンズ焦点距離検知手段203より入力された焦点距離情報にてさらに補正をかける。 [ステップ706] ストロボ発光量決定手段205にて予め決められている所定の絞り値と絞り演算手段204にて演算された演算絞り値(ステップ705にて得られた絞り値)とを比較し、演算絞り値が所定絞り値より小さい場合はステップ707へ進み、大きい場合にはステップ715へ進む。 [ステップ707] ここでは演算絞り値と所定絞り値の差分に相当するだけのGno分所定のGnoから減算し、これを撮影時のGnoとする。 [ステップ708] 上記ステップ707により得られたGnoとなるストロボ発光停止タイミングを算出する。 [ステップ709] ここでは演算絞り値が所定の絞り値よりも小さいので、実際にストロボ発光させる時の絞り値(以下、制御絞り値と記す)を先程の所定絞り値に変更する。 [ステップ710] 上記制御絞り値になる、シャッタ通電開始からストロボ発光開始直前までの時間を演算する。 [ステップ711] ここでは実際にシャッタに通電して該シャッタを開放させる。 [ステップ712] ステップ710にて算出された時間経過後にストロボ発光を開始させる。 [ステップ713] ストロボ発光開始からステップ708にて決められた時間経過後にストロボ発光を停止させる。 [ステップ714] 予め定められた所定時間経過後にシャッタ通電を止め、シャッタを閉じさせる。これにより、露光動作が終了する。 【0097】 上記ステップ706において演算絞り値が所定絞り値より大きい場合には、前述した様にステップ715へ進む。 [ステップ715] ここでは演算絞り値と最大開口絞り値との比較を行い、もし最大開口絞り値よりも演算絞り値が小絞りであればステップ716へ進み、最大開口絞り値より大絞りであればステップ717へ進む。 [ステップ716] 演算絞り値が最大開口絞り値よりも小絞りであるので、制御絞り値を演算絞り値にし、ステップ710以降の動作を進める。 【0098】 上記ステップ715において最大開口絞り値よりも演算絞り値が大絞りであった場合には、前述したようにステップ717へ進む。 [ステップ717] ここでは演算絞り値が最大開口絞り値よりどれだけ大きいかその差分を演算し、これに対応した分だけGnoを加算する。 [ステップ718] 上記の加算されたGnoになるようにストロボ発光タイミングを演算する。 [ステップ719] 制御絞りを最大開口の絞り値とし、ステップ710以降の動作を進める。 【0099】 次に、上記の被写体距離と絞り値との関係を図24により、又、被写体距離とGnoとの関係を図25により、それぞれ説明する。 【0100】 図23のステップ701における被写体距離がL5より近い範囲にある場合には、演算絞りは所定の絞り値[AV1]よりも小さくなり、所定のGno[Gno2]を「所定絞り値-演算絞り値」に相当する分だけ減算したGnoにて制御される。 【0101】 また、被写体距離がL6からL4の範囲内にある場合には、演算絞り値は所定絞り値[AV1]よりも大きく且つ最大開口絞り値[AVmax]よりも大きいので、制御絞り値は最大絞り値であり、Gnoは「最大絞り値-演算絞り値」の分に相当するだけ所定Gnoより加算したGnoにて制御される。 【0102】 以上の第4及び第5の実施例によれば、測距装置からの被写体距離情報を基にストロボ発光時の絞り値を演算し、その絞り値が所定の絞り値より小さい場合にはその差分に相当するだけGnoを下げる様にしている(第5の実施例では、更に、所定の絞り値より大きく且つ最大開口絞りより小さい場合には絞り値を大きくしたり、絞り値が最大開口絞りより大きくなった場合にはその差分だけGnoを上げたりしている)ため、従来のストロボ調光装置の様な余分な光学系,電気回路,実装手段を用いること無く、ストロボ調光装置を実現することができ、コスト、スペ-ス的に効果は絶大であり、最近の低コスト、各種バリエ-ションを持つカメラに最適なものとなる。 【0103】 また、従来のストロボ調光方式と異なり、被写体の反射率や被写体周辺の反射率に影響されることなく、常に一定の適正像面光量値によって撮影が可能となる。 (第6の実施例) この実施例は、先の第4の実施例の改良型のストロボ調光装置を提案するものであり、詳しくは、先の第4実施例においては、測距装置より入力される被写体距離情報を基にストロボ発光時の絞り値を算出し、その絞り値が所定の絞り値より小さい場合にはその差分だけGnoを下げる方式のものであったが、実際にはGnoは無制限にしかもリニアリティを保ちながら低下させることは、部品の電気的特性のバラツキ及びカメラのバラツキ等により不可能なことであった。そのため、安定して保証するためには、最低Gnoと言うものを設定しなければならないが、先の第4実施例ではGnoが安定に下げられる最低Gno以下になった場合の処理については何等施していなかった。そこで、この点を改善すべく実施例として、この第6の実施例を以下に挙げる。 【0104】 図26は本発明の第6の実施例を備えたレンズシャッタカメラの主要部分の構成を示すブロック図である。 【0105】 図26において、301はカメラから被写体までの距離を測定する公知の測距装置、302はフィルムカ-トリッジの表面に設置されているDXコ-ドからフィルムの感度を検知するフィルム感度検知手段、303はズ-ムレンズ等のレンズの焦点距離を検知し、この焦点距離情報から絞り情報を判定するレンズ焦点距離検知手段、304は測距装置301からの被写体距離情報よりストロボ発光時の絞り値を計算し、さらに検知されたフィルム感度,レンズの焦点距離情報によってその絞り値を補正する第1の絞り演算手段であり、所定絞り値に対する光量不足、過分を後述するストロボ発光量演算手段に伝達させる。305は絞り演算手段304からの所定絞り値に対する不足、過分を補正すべくストロボ発光量を演算するストロボ発光量決定手段、306は前述の第1の絞り演算手段304,ストロボ発光量決定手段305及び後述の第2の絞り演算手段を備えると共に、カメラやストロボ調光装置の各種回路の制御を司るマイクロプロセッサ、307は後述の第2の絞り演算手段からの情報を基にストロボ発光時の絞り値を制御する絞り制御手段、308は前記ストロボ発光量決定手段205により設定されたストロボ発光量になるようにその制御を行う、ストロボ調光装置の各種回路を含むストロボ発光量制御手段、309は前記ストロボ発光量決定手段305よりGno情報を基にそのGnoが最小Gno以下を要求する場合には、その差分を計算し、前記第1の絞り演算手段304よりの絞り値に補正をかける第2の絞り演算手段である。 【0106】 上記ストロボ発光量制御手段208の構成は前述の図2又は図6と同一であり、又該ストロボ発光量制御手段108の動作は前述の図3又は図7のフローチャートと同様であるので、これらの説明は省略する。 【0107】 【0108】 【0109】 【0110】 【0111】 【0112】 【0113】 【0114】 【0115】 【0116】 【0117】 【0118】 図27は図26のカメラの本発明に係る部分の動作を示すフロ-チャ-トであり、以下これにしたがって説明する。 【0119】 不図示のレリ-ズボタンの第1ストロ-クがなされることにより、マイクロプロセッサ306はステップ801からの動作を開始する。 [ステップ801] 測距装置301を駆動し、該カメラから被写体までの距離測定を開始する。 [ステップ802] 予め記憶されているフル発光時のGnoを読み出し、これを設定する。 [ステップ803] 第1の絞り演算手段304により、ステップ801において得られた被写体距離情報とステップ802により設定されたフル発光時のGnoを基にストロボ発光時の絞り値の演算を行う。 [ステップ804] 上記ステップ803にて得られた絞り値に対し、フィルム感度検知手段302より入力されたフィルム感度にて補正をかける。 [ステップ805] ここでは上記ステップ804にて得られた絞り値に対し、レンズ焦点距離検知手段303より入力された焦点距離情報にてさらに補正をかけ、絞り値を決定する(以下、これを第1の演算絞り値と記す)。 [ステップ806] 予め決められている所定の絞り値と絞り演算手段304にて演算された第1の演算絞り値とを比較し、第1の演算絞り値が所定絞り値より小さい場合はステップ807へ進み、大きい場合にはステップ720へ進む。 [ステップ807] ここでは第1の演算絞り値と所定絞り値の差分に相当するだけのGno分フル発光時のGnoから減算する。 [ステップ808] 減算することにより得られる上記Gnoが最低Gnoより小さいか否かを判別し、最低Gnoより小さければステップ816へ進み、最低Gno以上であればステップ809へ進む。 [ステップ809] ストロボ発光量決定手段305により、上記ステップ808により得られたGnoとなるストロボ発光停止タイミングを算出する。 [ステップ810] ここでは第1の演算絞り値が所定の絞り値よりも小さい為、実際にストロボ発光させる時の絞り値(以下、制御絞り値と記す)を先程の所定絞り値に変更する。 [ステップ811] 上記の制御絞り値に達する、シャッタ通電開始からストロボ発光開始直前までの時間を演算する。 [ステップ812] ここでは実際にシャッタに通電して該シャッタを開放させる。 [ステップ813] ステップ811にて算出された時間経過後、つまり制御絞り値に達したであろう時間経過後にストロボ発光を開始する。 [ステップ814] ストロボ発光開始からステップ809にて決められた時間が経過することにより、ストロボ発光を停止させる。 [ステップ815] 予め定められた所定時間経過後にシャッタ通電を止め、シャッタを閉じさせる。これにより、露光動作が終了する。 【0120】 上記ステップ806において第1の演算絞り値が所定絞り値より大きい場合には、前述した様にステップ820へ進む。 [ステップ820] 実際に発光させる時の制御絞り値を第1の演算絞り値とし、ステップ811以降の動作を進める。 【0121】 上記ステップ808において、ステップ807にて算出されたGnoが最低Gno未満であった場合には、前述した様にステップ816へ進む。 [ステップ816] 制御するGnoを最低Gnoに設定する。 [ステップ817] 最低Gnoに対応したストロボ発光停止タイミングを演算する。 [ステップ818] 最低Gnoと必要Gnoとの差分を第2の絞り演算手段309により演算し、これに相当する値だけ所定の絞り値より減算する(以下、この絞り値を第2の演算絞り値と記す)。 [ステップ819] ここでは制御絞り値を上記の第2の演算絞り値に設定する。そして、前述したステップ811以降の動作を進める。 【0122】 次に、上記の被写体距離と絞り値との関係を図28により、又、被写体距離とGnoとの関係を図29により、それぞれ説明する。 【0123】 図27のステップ801における被写体距離が図28,図29で示すL4より遠い場合には、第1の演算絞り値は最大絞り値[AVmax]となり、所定絞り値[AV1]より当然大きいので制御絞り値は演算絞り値(つまり最大絞り値[AVmax])に、そして、Gnoはフル発光となる。 【0124】 また、被写体距離がL4からL3の範囲にある場合には、第1の演算絞り値は最大絞り値[AVmax]より小さいが所定絞り値[AV1]より大きいので、制御絞り値は第1の演算絞り値に、そして、Gnoはフル発光になる。 【0125】 また、被写体距離がL3からL2の範囲にある場合には、第1の演算絞り値は所定絞り値[AV1]より小さくなるので、制御絞り値は所定絞り値に、そして、Gnoはフル発光の光量から「所定絞り値-第1の演算絞り値」の差分だけ発光量を制限したストロボ発光量として制御(調光)する。 【0126】 また、被写体距離がL2からL1の範囲にある場合には、第1の演算絞り値は所定絞り値[AV1]より当然小さいが、その分Gnoを低下させると最低Gnoよりも小さくなってしまう。そのため、「必要Gno-最低Gno」分だけ所定の絞り値から引いた第2の演算絞り値にて絞り制御を行い、この時のGnoは最低Gnoにて制御される。 【0127】 また、被写体距離がL1よりも近い範囲にある場合には、制御絞り値は最低絞り値、Gnoは最低Gnoにて制御されるが、実際には制御範囲を越えるので露出はオ-バ-になる。 【0128】 この第6の実施例によれば、測距情報に基づいてストロボ発光時の絞り値を演算し、その絞り値が所定の絞り値より小さい場合にはその差分に相当するだけGnoを下げるという方式において、安定して低下させられる最低Gnoに達した後は、今度は必要Gnoから最低Gnoの差分に相当する値だけ絞り値を小さくする様にしている為、部品やカメラのバラツキ等に左右されること無く、広範囲に渡って適正なストロボ発光量を与えることが可能となる。 【0129】 (第7の実施例) この実施例は、先の第5の実施例の改良型のストロボ調光装置を提案するものであり、詳しくは、先の第5の実施例においては、測距装置より入力される被写体距離情報を基にストロボ発光時の絞り値を算出し、その絞り値が所定の絞り値より小さい場合にはその差分だけGnoを下げる方式のものであったが、実際にはGnoは無制限にしかもリニアリティを保ちながら低下させることは、部品の電気的特性のバラツキ及びカメラのバラツキ等により不可能なことであった。そのため、安定して保証するためには、最低Gnoと言うものを設定しなければならないが、先の第5実施例ではGnoが安定に下げられる最低Gno以下になった場合の処理については何等施していなかった。そこで、この点を改善すべく実施例として、この第7の実施例を以下に挙げる。 【0130】 図30は本発明の第7の実施例における動作を示すフロ-チャ-トであり、回路構成は図26に示した第6実施例と同様であるので、ここでは省略する。 【0131】 不図示のレリ-ズボタンの第1ストロ-クがなされることにより、マイクロプロセッサ306はステップ901からの動作を開始する。 [ステップ901] 測距装置301を駆動し、該カメラから被写体までの距離測定を開始する。 [ステップ902] 予め記憶されている所定のGnoを読み出し、これを設定する。 [ステップ903] 第1の絞り演算手段304により、上記ステップ901において得られた被写体距離情報とステップ902により設定された所定のGnoを基にストロボ発光時の絞り値を演算する。 [ステップ904] 上記ステップ903にて得られた絞り値に対し、フィルム感度検知手段302より入力されたフィルム感度にて補正をかける。 [ステップ905] ここでは上記ステップ904にて得られた絞り値に対し、レンズ焦点距離検知手段303より入力された焦点距離情報にてさらに補正をかけ、絞り値を求める(以下、これを第1の演算絞り値と記す)。 [ステップ906] 予め決められている所定の絞り値と第1の絞り演算手段304にて演算された第1の演算絞り値とを比較し、第1の演算絞り値が所定絞り値より小さい場合はステップ907へ進み、大きい場合にはステップ920へ進む。 [ステップ907] ここでは第1演算絞り値と所定絞り値の差分に相当するだけのGno分所定のGnoから減算する。 [ステップ908] 減算することにより得られる上記Gnoが最低Gnoより小さいか否かを判別し、最低Gnoより小さければステップ916へ進み、最低Gno以上であればステップ909へ進む。 [ステップ909] ストロボ発光量決定手段305により、上記ステップ908により得られたGnoとなるストロボ発光停止タイミングを算出する。 [ステップ910] ここでは第1の演算絞り値が所定の絞り値よりも小さい為、実際にストロボ発光させる時の絞り値(以下、制御絞り値と記す)を先程の所定絞り値に変更する。 [ステップ911] 上記制御絞り値になる、シャッタ通電開始からストロボ発光開始直前までの時間を演算する。 [ステップ912] ここでは実際にシャッタに通電して該シャッタを開放させる。 [ステップ913] ステップ911にて算出された時間経過後にストロボ発光を開始させる。 [ステップ914] ストロボ発光開始からステップ909にて決められた時間経過後にストロボ発光を停止させる。 [ステップ915] 予め定められた所定時間経過後にシャッタ通電を止め、シャッタを閉じさせる。これにより、露光動作が終了する。 【0132】 上記ステップ906において第1の演算絞り値が所定絞り値より大きい場合には、前述した様にステップ920へ進む。 [ステップ920] ここでは第1の演算絞り値と最大開口絞り値との比較を行い、もし最大開口絞り値よりも第1の演算絞り値が小絞りであればステップ921へ進み、最大開口絞り値より大絞りであればステップ922へ進む。 [ステップ921] 第1の演算絞り値が最大開口絞り値よりも小絞りであるので、制御絞り値をこの第1の演算絞り値にし、先のステップ911以降の動作を進める。 【0133】 上記ステップ920において最大開口絞り値よりも第1の演算絞り値が大絞りであった場合には、前述したようにステップ922へ進む。 [ステップ922] ここでは第1の演算絞り値が最大開口絞り値よりどれだけ大きいかその差分を演算し、この差分に相当する分だけ所定のGnoに加算する。 [ステップ923] 上記の加算されたGnoになるようにストロボ発光タイミングを演算する。 [ステップ924] 制御絞りを最大開口の絞り値とし、先のステップ911以降の動作を進める。 【0134】 上記ステップ908において、ステップ907にて算出されたGnoが最低Gno未満であった場合には、前述した様にステップ916へ進む。 [ステップ916] 制御するGnoを最低Gnoに設定する。 [ステップ917] 最低Gnoに対応したストロボ発光停止タイミングを演算する。 [ステップ918] 最低Gnoと必要Gnoとの差分を第2の絞り演算手段309により演算し、これに相当する値だけ所定の絞り値より減算する(以下、この絞り値を第2の演算絞り値と記す)。 [ステップ919] ここでは制御絞り値を上記の第2の演算絞り値に設定する。そして、前述したステップ911以降の動作を進める。 【0135】 次に、上記の被写体距離と絞り値との関係を図31により、又、被写体距離とGnoとの関係を図32により、それぞれ説明する。 【0136】 図30のステップ901における被写体距離が図31,図32で示すL5からL2の範囲にある場合には、第1の演算絞り値は所定絞り値[AV1]より小さくなるので、Gnoは「所定絞り値-第1の演算絞り値」の差分だけ減算したGnoにて制御される。 【0137】 また、被写体距離がL5からL6の範囲にある場合には、第1の演算絞り値は所定絞り値[AV1]よりも大きいので、制御絞り値は第1の演算絞り値,Gnoは所定Gnoにて制御される。 【0138】 また、被写体距離がL6からL4の範囲にある場合には、第1の演算絞り値は所定絞り値[AV1]よりも大きく且つ最大絞り値[AVmax]よりも大きいので、制御絞り値は最大絞り値[AVmax],Gnoは「最大絞り値-第1の演算絞り値」の分だけ所定Gnoに加算したGnoにて制御される。 【0139】 また、被写体距離がL4より遠い場合には、L6からL4の範囲の時と同様の処理が行われるが、Gnoがフル発光時のGno以上になるため、制御絞り値は最大絞り値[AVmax],Gnoはフル発光となり、制御範囲を越えてしまっているために露出はアンダ-になる。 【0140】 また、被写体距離がL2からL1の範囲にある場合には、第1の演算絞り値は所定絞り値[AV1]よりも当然小さいがその分Gnoを低下させると最低Gnoより小さくなってしまう。そのため、「必要Gno-最低Gno」分だけ所定絞り値から引いた第2の演算絞り値にて絞り制御を行い、ストロボは最低Gnoにて発光される。 【0141】 また、被写体距離がL1よりも近い範囲にある場合には、制御絞りは最低絞り、ストロボは最低Gnoにて発光されるが、実際には制御範囲を越えるので露出はオ-バ-になる。 【0142】 この第7の実施例によれば、測距情報に基づいてストロボ発光時の絞り値を演算し、その絞り値が所定の絞り値より小さい場合にはその差分に相当するだけGnoを下げるという方式において、安定して低下させられる最低Gnoに達した後は、今度は必要Gnoから最低Gnoの差分に相当する値だけ絞り値を小さくする様にしている為、部品やカメラのバラツキ等に左右されること無く、広範囲に渡って適正なストロボ発光量を与えることが可能となる。 (各請求項と実施例の対応) 請求項1記載の本発明を実現する部分が上記第1の実施例に示す図8のステップ301〜307の動作部分に相当し、請求項2記載の本発明を実現する部分が上記第4の実施例に示す図20のステップ601〜607及び上記第5の実施例に示す図23のステップ701〜707の動作部分に相当し、請求項3記載の本発明を実現する部分が上記第4の実施例に示す図20のステップ606〜609,615及び上記第6の実施例に示す図27のステップ806〜810,820の動作部分に相当し、請求項4記載の本発明を実現する部分が上記第6の実施例に示す図27のステップ808,816〜819の動作部分に相当する。 【0143】 【発明の効果】 以上説明したように、本発明によれば、調光の為に従来必要であったストロボ反射光を受光して処理する光学系、電気回路、更にはその実装手段を不要とし、コスト、スペ-ス的に有利なものとすると共に、ストロボ反射光を用いないために被写体や背景の反射率に影響されることなく、広範囲にわたって最適な像面光量を与えることができる閃光発光制御装置を提供できるものである。 【0144】 【0145】 【0146】 【0147】 【0148】 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の第1の実施例を含んだカメラの概略構成を示すブロック図である。 【図2】 本発明の各実施例におけるストロボ発光量制御手段の構成の一例を示す回路図である。 【図3】 図2のストロボ発光量制御手段の動作を示すフロ-チャ-トである。 【図4】 図2におけるストロボ発光量とストロボ発光停止時間との関係を示す図である。 【図5】 図2におけるストロボGnoとストロボ発光停止時間との関係を示す図である。 【図6】 本発明の各実施例におけるストロボ発光量制御手段の構成の他の例を示す回路図である。 【図7】 図6のストロボ発光量制御手段の動作を示すフロ-チャ-トである。 【図8】 本発明の第1の実施例を備えたカメラの動作を示すフロ-チャ-トである。 【図9】 図8における被写体距離,距離コ-ド,Gno,ストロボ発光停止時間それぞれの関係を示す図である。 【図10】 図8における被写体距離とストロボGnoとの関係を示す図である。 【図11】 図8における被写体距離とストロボGnoとの関係の他の例を示す図である。 【図12】 本発明の第2の実施例を備えたカメラの動作を示すフロ-チャ-トである。 【図13】 図12における被写体距離とストロボGnoとの関係を示す図である。 【図14】 図12における被写体距離とストロボGnoとの関係の他の例を示す図である。 【図15】 本発明の第3の実施例を備えたカメラの概略構成を示すブロック図である。 【図16】 図15のカメラにおける動作を示すフロ-チャ-トである。 【図17】 図16における被写体距離,距離コ-ド,Gno,ストロボ発光停止時間それぞれの関係を示す図である。 【図18】 図16における距離コ-ドと絞り値との関係を示す図である。 【図19】 本発明の第4の実施例を備えたカメラの概略構成を示すブロック図である。 【図20】 図19のカメラにおける動作を示すフロ-チャ-トである。 【図21】 図20における被写体距離と絞り値との関係を示す図である。 【図22】 図20における被写体距離とGnoとの関係を示す図である。 【図23】 本発明の第5の実施例を備えたカメラの動作を示すフロ-チャ-トである。 【図24】 図23における被写体距離と絞り値との関係を示す図である。 【図25】 図23における被写体距離とGnoとの関係を示す図である。 【図26】 本発明の第6の実施例を備えたカメラの概略構成を示すブロック図である。 【図27】 図26のカメラにおける動作を示すフロ-チャ-トである。 【図28】 図26における被写体距離と絞り値との関係を示す図である。 【図29】 図26における被写体距離とGnoとの関係を示す図である。 【図30】 本発明の第7の実施例を備えたカメラの動作を示すフロ-チャ-トである。 【図31】 図30における被写体距離と絞り値との関係を示す図である。 【図32】 図30における被写体距離とGnoとの関係を示す図である。 【符合の説明】 1,101,201,301 測距装置 2,102,202,302 フィルム感度検知手段 3,103,203,303 レンズ焦点距離検知手段 4,104,204 絞り値演算手段 5,105,205,305 ストロボ発光量決定手段 6,106,206,306 マイクロプロセッサ 7,107,207,307 絞り制御手段 8,108,208,308 ストロボ発光量制御手段 304 第1の絞り演算手段 309 第2の絞り演算手段 |
訂正の要旨 |
▲1▼ 訂正事項a 特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1中の「測距手段からの距離情報に基づいてストロボ発光時の発光量を演算する」を「測距手段からの距離情報に基づいて、距離情報とストロボ発光時の発光量を対応させたテーブルを参照して発光量を演算する」に、そして、「所定の基準発光量と前記距離情報に基づいて」を「所定の基準発光量と前記測距手段からの距離情報に基づいて」に、それぞれ訂正する。 ▲2▼ 訂正事項b 特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1中の「前記所定の基準発光量と前記発光量演算手段にて演算された発光量との関係に応じて決定される量」を「前記所定の基準発光量と前記発光量演算手段にて演算された発光量との差分に応じた量」に訂正する。 ▲3▼ 訂正事項c 請求項2を削除し、以下項数を繰り上げて、請求項2,3,4と訂正すると共に、請求項4中の「請求項3記載」を「請求項2記載」に、請求項5中の「請求項4記載」を「請求項3記載」に、それぞれ訂正する。 ▲4▼ 訂正事項d 上記訂正事項a〜cに伴い、特許請求の範囲の請求項1〜4の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、本件明細書の【0011】中の「測距手段からの距離情報に基づいてストロボ発光時の発光量を演算する発光量演算手段と、所定の基準発光量と前記距離情報に基づいて絞り値情報を求めると共に、前記所定の基準発光量と前記発光量演算手段にて演算された発光量との関係に応じて決定される量、前記絞り値情報を変更する」を「測距手段からの距離情報に基づいて、距離情報とストロボ発光時の発光量を対応させたテーブルを参照して発光量を演算する発光量演算手段と、所定の基準発光量と前記測距手段からの距離情報に基づいて絞り値情報を求めると共に、前記所定の基準発光量と前記発光量演算手段にて演算された発光量との差分に応じた量、前記絞り値情報を変更する」に訂正する。そして、【0012】中の「請求項3」を「請求項2」に訂正し、【0142】中の「請求項1,2」を「請求項1」に、「請求項3」を「請求項2」に、「請求項4」を「請求項3」に、「請求項5」を「請求項4」に、それぞれ訂正する。 |
異議決定日 | 2003-03-03 |
出願番号 | 特願平4-40735 |
審決分類 |
P
1
651・
113-
ZD
(G03B)
P 1 651・ 121- ZD (G03B) |
最終処分 | 一部取消 |
前審関与審査官 | 越河 勉 |
特許庁審判長 |
高橋 美実 |
特許庁審判官 |
青木 和夫 柏崎 正男 |
登録日 | 2001-09-21 |
登録番号 | 特許第3234832号(P3234832) |
権利者 | キヤノン株式会社 |
発明の名称 | 閃光発光制御装置 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 中村 稔 |