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審決分類 |
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する E01C 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する E01C 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する E01C |
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管理番号 | 1080502 |
審判番号 | 訂正2003-39050 |
総通号数 | 45 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-06-05 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2003-03-14 |
確定日 | 2003-06-04 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3120150号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第3120150号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
1.請求の要旨 本件審判の請求の要旨は、特許第3120150号発明(平成11年11月25日特許出願、平成12年10月20日設定登録)の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり、すなわち、下記(a)及び(b)のとおりに訂正することを求めるものである。 訂正事項(a): 特許明細書の特許請求の範囲の【請求項1】の 『路面に下部溝に連続して幅の広い上部溝を掘削して行う工事中に溝を覆う路面覆工方法において、上部溝の溝壁に当接する縦壁と、上部溝の底面に当接する横壁とを備えた山留を、上部溝の溝壁に縦壁の背面を当接させ、上部溝の底面に横壁を当接させて配設し、両端が、対向する上部溝の縦壁に配置された山留の縦壁と山留の横壁上面とに当接する受桁を設置して、受桁上に上面が路面と一致する覆工板を設置することを特徴とする路面覆工方法。』を、 「路面に下部溝に連続して幅の広い上部溝を掘削して行う工事中に溝を覆う路面覆工方法において、 上部溝の掘削溝壁に当接させる縦壁と、上部溝の底面に当接させる横壁とを備えた山留部材を、上部溝の対向する掘削溝壁にそれぞれ縦壁の背面を当接させ、上部溝の底面にそれぞれ横壁を当接させて配設し、 次に、上部溝の対向する掘削溝壁に背面を当接させた山留部材の縦壁に両端を当接させて、山留部材の横壁上面に受桁を溝の幅方向に向け設置して、山留部材を保持固定し、 しかる後、受桁上に上面が路面と一致する覆工板を設置することを特徴とする路面覆工方法。」と訂正する。 訂正事項(b): 特許明細書の段落【0006】の 『【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために本発明の路面覆工方法は、路面に下部溝に連続して幅の広い上部溝を掘削して行う工事中に溝を覆う路面覆工方法において、上部溝の溝壁に当接する縦壁と、上部溝の底面に当接する横壁とを備えた山留を、上部溝の溝壁に縦壁を当接させ、上部溝の底面に横壁を当接させて配設し、両端が対向する縦壁に当接する受桁を設置して、受桁上に覆工板を設置することにより、 溝の開口周囲の路面の崩落を防止することができる。 また、覆工板を密に配置することができ、安定した通行のできる覆工結果が得られる。 請求項2において、山留を断面L字形の部材としたことにより、簡単な構成で効果的な山留の効果が得られる。 請求項3において、路面に下部溝に連続して幅の広い上部溝を掘削して行う工事中に溝を覆う路面覆工方法において、上部溝の溝壁に当接する外縦壁と、上部溝の底面に当接する横壁と、矢板に係合する下方に垂下する内縦壁を備え、断面クランク状に形成された山留を、上部溝の溝壁に外縦壁を当接させ、上部溝の底面に横壁を当接させ、矢板に横壁を係合させ、横壁上に覆工板を設置することにより、覆工板の厚さを薄いものから厚いものまで、任意のものを用いることができる。』を、 「【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために本発明の路面覆工方法は、路面に下部溝に連続して幅の広い上部溝を掘削して行う工事中に溝を覆う路面覆工方法において、上部溝の掘削溝壁に当接させる縦壁と、上部溝の底面に当接させる横壁とを備えた山留部材を、上部溝の対向する掘削溝壁にそれぞれ縦壁の背面を当接させ、上部溝の底面にそれぞれ横壁を当接させて配設し、次に、上部溝の対向する掘削溝壁に背面を当接させた山留部材の縦壁に両端を当接させて、山留部材の横壁上面に受桁を溝の幅方向に向け設置して、山留部材を保持固定し、しかる後、受桁上に上面が路面と一致する覆工板を設置するることにより、溝の間口周囲の壁の崩落を防止することができる。 また、覆工板を密に配置することができ、安定した通行のできる覆工結果が得られる。 請求項2において、山留を断面L字形の部材としたことにより、簡単な構成で効果的な山留の効果が得られる。 請求項3において、路面に下部溝に連続して幅の広い上部溝を掘削して行う工事中に溝を覆う路面覆工方法において、上部溝の溝壁に当接する外縦壁と、上部溝の底面に当接する横壁と、矢板に係合する下方に垂下する内縦壁を備え、断面クランク状に形成された山留を、上部溝の溝壁に外縦壁を当接させ、上部溝の底面に横壁を当接させ、矢板に横壁を係合させ、横壁上に覆工板を設置することにより、覆工板の厚さを薄いものから厚いものまで、任意のものを用いることができる。」と訂正する。 2.当審の判断 (2-1)訂正の目的、新規事項の有無及び拡張・変更について 上記訂正事項(a)において、訂正前の「溝壁」を「掘削溝壁」と訂正することは、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、その他の訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 上記訂正事項(b)は、上記訂正事項(a)の訂正に伴い、特許請求の範囲と発明な詳細な説明とを整合させる、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 また、上記訂正事項(a)において、 イ)訂正前の特許請求の範囲3行、4行(特許公報1欄4、5行)「上部溝の溝壁」、5行(特許公報1欄7行)「上部溝の縦壁」を「上部溝の・・・掘削溝壁」とする訂正は、訂正前の明細書「【0003】例えば、図6及び図7に示すように、舗装層(アスファルト等)aを土層bの上面に設けた舗装路において、下水管等の埋設または補修工事の際に、下部溝cと、下部溝cの上方に底部で連通し、下部溝cの上端に段差を形成する下部溝cより幅が広く且つ浅い上部溝dを掘削し、・・・」、「【0008】・・・図1乃至図3を参照して、本発明の路面覆工方法の第1実施例を説明すると、アスファルト等の舗装層1と土層2を備えた値面(地面の誤記・・・合議体注)に、図6に示す従来例と同様に下部溝(図6のc)と上部溝(図6のb)(dの誤記・・・合議体注)とから成る溝3を掘削し、・・・」、及び、「【0009】溝3の上部溝(図6のb)(dの誤記・・・合議体注)の底部両隅に、断面L字形の山留6の角部を合致させて山留6を設置し、山留6の長辺側61を縦壁として溝3の上部溝の側壁面に当接させ、短辺側62を横壁として上部溝の底面に当接させる。・・・」の記載から、上部溝が掘削された溝であることが明らかであり、このことに基づくものである。 ロ)訂正前の特許請求の範囲4行(特許公報1欄5行)「縦壁」、5行(特許公報1欄6行)「横壁」の前に「それぞれ」を加入する訂正は、訂正前の段落【0009】、【図1】及び【図3】の記載などから、「上部溝の両側に山留部材を配置する」ことが示されており、このことに基づくものである。 ハ)訂正前の特許請求の範囲6行(特許公報1欄8行)「受桁を設置して」を「受桁を溝の幅方向に向け設置して」とする訂正は、訂正前の明細書の段落【0010】「・・・受桁を、溝3の幅方向に横切り、・・・溝3の両側に受桁7の両端が…当接している(図1、3参照)。」(4欄35〜38行)の記載に基づくものである。 ニ)訂正前の特許請求の範囲6行(特許公報1欄8行)「受桁を設置して、」の後に「山留部材を保持固定し、」を加入する訂正は、訂正前の明細書の段落【0012】及び【0013】の記載に基づくものであり、特に「・・・受桁7の端部で・・・押圧し、・・・押圧し、山留6(6c)を保持固定する。」(5欄5〜10行)の記載に基づくものである。 ホ)訂正前の特許請求の範囲6行(特許公報1欄8ないし9行)「受桁上に」の前に「しかる後、」を加入する訂正は、訂正前の明細書の段落【0013】「・・・受桁7の上に覆工板8を載置して覆工作業を終了する。」(5欄11〜12行)の記載に基づくものである。 上記イ)ないしホ)に記載したとおり、訂正事項(a)は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、訂正事項(b)も同様である。 さらに、上記訂正事項(a)及び(b)は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (2-2)独立特許要件について (2-2-1)請求項1について 上記訂正事項(a)は、特許請求の範囲の請求項1の減縮を目的とするものであるから、独立特許要件について検討する。 (刊行物) 刊行物1:特開平6-257104号公報 刊行物2:「建設工事公衆災害防止対策要綱の解説 土木工事編 」、株式会社大成出版社、1993年4月30日発行、目次、94〜97頁 刊行物3:「NKKライナープレート」型録、日本鋼管ライトスチール株式会社、目次、12頁 刊行物4:「疑問に答える 路面覆工・仮桟橋の設計・施工ノウハウ」、近代図書株式会社、1996年6月15日発行、目次、130〜131頁 (1)本件特許の出願前に頒布された刊行物1には、以下の記載がある。 a「【産業上の利用分野】この発明は排水機能を有する開削用被覆板に係り、特に歩道や車道等の道路の開削工事の際に開削面を覆うべく使用されるとともに、開削面上の液体を排水できる機能を付加した排水機能を有する開削用被覆板に関する。・・・【従来の技術】一般に、歩道や車道等の道路下の地中には、水道管やガス管等の各種配管が埋設されている場合がある。・・・各種配管の新設あるいは保守・点検作業、または地下鉄工事等の作業時には、開削工事によって形成された開削空間の上面たる開削面を被覆板にて覆い、開削面上面の道路の使用を可能としつつ、開削空間内にて所定の作業が行われている。」(1欄22〜35行) b「図1〜図6はこの発明の第1実施例を示すものである。図1〜図3において、2は被覆板、4は道路、6は開削空間、8は開削面である。」(2欄45〜47行) c「なお符号36は前記開削空間6の上端縁に装着される支持枠、38は支持枠36を固定するアンカーである。・・・次に作用について説明する。・・・前記道路4の開削工事により、図1に示す如く、開削空間6が形成され、この開削空間6の上端縁に支持枠36を固定し、支持枠36内に被覆板2を装着し、この被覆板2によって開削空間6の開削面8を覆っている。」(3欄33〜41行) そして、刊行物1記載のものにおいて、支持枠36を配設してから、被覆板2を設置することは、当業者において明らかであるから、以上の記載並びに図1及び図2によれば、刊行物1には、 「路面に開削空間6を開削して行う工事中に開削空間を覆う路面覆工方法において、開削空間6の上部空間の壁に当接する縦壁と、該上部空間の底面に当接する横壁と、アンカー38とを備えた支持枠36を、該上部空間の対向する壁にそれぞれ縦壁の背面を当接させ、該上部空間の底面にそれぞれ横壁を当接させて配設し、しかる後、支持枠36上に上面が路面と一致する被覆板2を設置する路面覆工方法」 が記載されていると認められる。 (2)同じく本件特許の出願前に頒布された刊行物2には、 「第7章 覆工」との表題が付され、路面覆工について記載され、96頁下から9〜5行に、「覆工する部分は、掘削に際して多少の余堀が生ずることが通例である。この部分の埋戻しには、掘削した泥土を用いることは避け、良質な土砂を使用して十分締固めを行わなければならない。埋戻しの後、覆工部と舗装部とのすき間は、アスファルト合材等で充填して、なめらかな取付けを行っておかねばならない。」と記載され、97頁の「図-7 取付け部の例」には、受桁の端部に土留板を当接させ、受桁の上に覆工板を設置し、山留板の裏面を埋戻し、AS合材を充填した状態が図示されている。 (3)刊行物3には、12頁の「図-9 小判形立坑姿図」に、立坑の掘削した空間の上部の幅の広い空間を囲む断面L字形の支えコンクリートの対向する縦壁と横壁上面とに両端が当接する覆工桁を設置し、該覆工桁上に上面が地面と一致する覆工板を設置した立坑、が図示されている。 (4)本件特許の出願前に頒布された刊行物4には、 「第2章 路面覆工の施工」との表題が付され、覆工桁及び覆工板について記載され、130頁に、「桁端部の土留めは桁受け部材と覆工板の隙間には土留め矢板を使用して行うが,本箇所の土留めが不完全であったりした場合,埋戻し部分の沈下・陥没事故が起きる。したがって,土留め矢板は隙間のないように確実に取り付け,埋戻しは良質な土砂を使用して入念に転圧・締固めを行う。」と記載され、131頁の「図ー2.13 覆工受桁端部詳細図」に、覆工桁の端部に土留め矢板を当接させ、土留め矢板の裏面に埋土を埋戻し、覆工桁の上に覆工板を設置した状態が図示されている。 (対比・判断) 訂正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定されている発明(以下、訂正発明1という。)と上記刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明の「開削空間6」は、図1によると、水道管やガス管等の配管が埋設された下部空間と支持枠36及び被覆板2を設置する幅の広い上部空間からなり「開削空間6の下部空間」、「開削空間6の上部空間」は、訂正発明1の「下部溝」、「上部溝」に相当する。また、上部空間の「壁」は、訂正発明1の「溝壁」に相当する。そして、刊行物1記載の発明の「支持枠36」は、訂正発明1の「山留部材」に対応し、また、刊行物1記載の発明の「被覆板2」及び「開削」は、それぞれ訂正発明1の「覆工板」及び「掘削」に相当するから、両者は、 「路面に下部溝に連続して幅の広い上部溝を掘削して行う工事中に溝を覆う路面覆工方法において、上部溝の溝壁に当接させる縦壁と、上部溝の底面に当接させる横壁とを備えた山留部材を、上部溝の対向する溝壁にそれぞれ縦壁の背面を当接させ、上部溝の底面にそれぞれ横壁を当接させて配設し、しかる後、上面が路面と一致する覆工板を設置する路面覆工方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点 訂正発明1が「上部溝の掘削溝壁に当接させる縦壁と、上部溝の底面に当接させる横壁とを備えた山留部材を、上部溝の対向する掘削溝壁にそれぞれ縦壁の背面を当接させ、上部溝の底面にそれぞれ横壁を当接させて配設し、次に、上部溝の対向する掘削溝壁に背面を当接させた山留部材の縦壁に両端を当接させて、山留部材の横壁上面に受桁を溝の幅方向に向け設置して、山留部材を保持固定」したのに対し、刊行物1記載の発明は、受桁がないことから、受桁を、溝の幅方向に向け設置して、山留部材を保持固定したものではなく、又、山留部材(支持枠36)はアンカー38を有し、山留部材の縦壁は、溝壁に当接してはいるが、掘削溝壁に当接したものではない点。 すなわち、訂正発明1は、余堀り及び埋め戻しをすることなく、直接、掘削溝壁に山留部材の縦壁を当接した上で、受桁を、山留部材の縦壁に両端を当接させて、山留部材を保持固定したものであるのに対し、刊行物1記載の発明は、受桁が無いのに加え、支持枠36(訂正発明1の山留部材が相当)がアンカー38を有していることから、支持枠36より広い範囲を掘る余堀りと、支持枠36の設置後にその周囲を埋める埋め戻しを必要とする点で、両者は、相違する。 上記相違点を検討する。 刊行物2及び刊行物4には、上部の対向する溝壁に山留部材を配設し、該山留部材を両端に当接させた受桁を、溝に設置したことが記載されているが、山留部材を溝壁に設けるにあたっては、いずれも、余堀り及び埋戻しの必要なものである。 また、刊行物3には、断面L字形の支えコンクリート(訂正発明1の山留部材が相当)の対向する縦壁と横壁上面とに両端が当接する覆工桁を、竪坑に設置したことが記載されているが、溝に設置したものではなく、断面L字形の支えコンクリートがプレキャスト製であるとは記載されておらず、しかも、訂正発明1のように、掘削された溝壁に、支えコンクリートを当接して配置したことも記載されていないことから、技術常識的にみて現場打ちコンクリートからなり、余堀り及び埋戻しの必要なものであると認められ、上記相違点の訂正発明1に係る構成は記載されていない。 訂正発明1は、上記相違点に係る構成により、明細書の【0014】に記載した「上部溝の開口周縁の崩落を確実に防ぐことができる」等の格別の効果を奏する。 したがって、訂正発明1は、刊行物1ないし4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができるものではなく、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 (2-2-2)請求項2について 請求項1が訂正されたことにより、訂正発明1を引用する訂正後の特許請求の範囲の請求項2に記載されている事項により特定されている発明(以下、訂正発明2という。)は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正がなされたものとなり、独立特許要件について検討すると、訂正発明2は、訂正発明1を減縮したものであるから、上記(2-2-1)に検討したと同様の理由により、刊行物1ないし4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができるものではなく、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 3.むすび 以上のとおりであるから、本件審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書き第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第2項ないし第4項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 路面覆工方法 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 路面に下部溝に連続して幅の広い上部溝を掘削して行う工事中に溝を覆う路面覆工方法において、 上部溝の掘削溝壁に当接させる縦壁と、上部溝の底面に当接させる横壁とを備えた山留部材を、上部溝の対向する掘削溝壁にそれぞれ縦壁の背面を当接させ、上部溝の底面にそれぞれ横壁を当接させて配設し、 次に、上部溝の対向する掘削溝壁に背面を当接させた山留部材の縦壁に両端を当接させて、山留部材の横壁上面に受桁を溝の幅方向に向け設置して、山留部材を保持固定し、 しかる後、受桁上に上面が路面と一致する覆工板を設置することを特徴とする路面覆工方法。 【請求項2】 請求項1記載の路面覆工方法において、山留を断面L字形の部材としたことを特徴とする路面覆工方法。 【請求項3】 路面に下部溝に連続して幅の広い上部溝を掘削して行う工事中に溝を覆う路面覆工方法において、上部溝の溝壁に当接する外縦壁と、上部溝の底面に当接する横壁と、矢板に係合する下方に垂下する内縦壁を備え、断面クランク状に形成された山留を、上部溝の溝壁に外縦壁を当接させ、上部溝の底面に横壁を当接させ、矢板に横壁を係合させ、横壁上に覆工板を設置することを特徴とする路面覆工方法。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明が属する技術分野】 本発明は、地面に溝を掘削して道路等に下水管等を埋設する、或いは補修工事等の際に、工事の途中における安全を確保する路面覆工方法に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、道路等に下水管等を埋設する、或いは下水管の補修工事等において、地面に溝を掘削するものであるが、工事が1日で完了しないことが多く、夜間等の工事休止中は安全のために、溝の上部開口を覆工板で覆い、歩行者等の転落を防止することが行われている。 【0003】 例えば、図6及び図7に示すように、舗装層(アスファルト等)aを土層bの上面に設けた舗装路において、下水管等の埋設または補修工事の際に、下部溝cと、下部溝cの上方に底部で連通し、下部溝cの上端に段差を形成する下部溝cより幅が広く且つ浅い上部溝dを掘削し、下部溝cの内部下方に管(例えば、下水管、上水管等)が配置される。 下部溝cの両側壁及び端部の壁面に沿って矢板fを打ち込み、作業空間を確保する。 矢板fの上端の下部溝b内側に断面コ字形の内側桁受hと、下部溝b外側に断面L字形の外側桁受jとを設け、所定の間隔をもってH型鋼材から成り、下部溝c横切って受桁kを配設し、受桁kの両端を両桁受h,jで支持する。 受桁kの上に覆工板mを載置して覆工作業を終了するものである。 なお、図8及び図9に示すように、覆工板mの下面に断面L字形の板材を複数枚(例えば、4枚)設置して縦片部を下方に突設させて位置決め片pとし、位置決め片pを受桁kに係合させて位置決め、固定する。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上記従来の覆工作業においては、受桁kの端部が置かれている上部溝dの溝壁eが、雨水の流れや、覆工板m上面の通行に起因する振動によって崩れることになり、崩壊部nを生じるという問題があった。 また、覆工板mの厚さが大である必要があり、覆工板mの重量が大きく、覆工作業が困難になるという問題があった。 【0005】 本発明の目的は、上記問題点を解決し、上部溝の溝壁の崩壊を防ぎ、覆工作業を簡単且つ容易にして工事費用の低減を図ることである。 【0006】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために本発明の路面覆工方法は、路面に下部溝に連続して幅の広い上部溝を掘削して行う工事中に溝を覆う路面覆工方法において、上部溝の掘削溝壁に当接させる縦壁と、上部溝の底面に当接させる横壁とを備えた山留部材を、上部溝の対向する掘削溝壁にそれぞれ縦壁の背面を当接させ、上部溝の底面にそれぞれ横壁を当接させて配設し、次に、上部溝の対向する掘削溝壁に背面を当接させた山留部材の縦壁に両端を当接させて、山留部材の横壁上面に受桁を溝の幅方向に向け設置して、山留部材を保持固定し、しかる後、受桁上に上面が路面と一致する覆工板を設置することにより、溝の開口周囲の壁の崩落を防止することができる。 また、覆工板を密に配置することができ、安定した通行のできる覆工結果が得られる。 請求項2において、山留を断面L字形の部材としたことにより、簡単な構成で効果的な山留の効果が得られる。 請求項3において、路面に下部溝に連続して幅の広い上部溝を掘削して行う工事中に溝を覆う路面覆工方法において、上部溝の溝壁に当接する外縦壁と、上部溝の底面に当接する横壁と、矢板に係合する下方に垂下する内縦壁を備え、断面クランク状に形成された山留を、上部溝の溝壁に外縦壁を当接させ、上部溝の底面に横壁を当接させ、矢板に横壁を係合させ、横壁上に覆工板を設置することにより、覆工板の厚さを薄いものから厚いものまで、任意のものを用いることができる。 【0007】 【発明の実施の形態】 溝を掘削して行う工事中に溝を覆う路面覆工方法において、上部溝の溝壁に当接する縦壁と、上部溝の底面に当接する横壁とを備えた山留を、上部溝の溝壁に縦壁を当接させ、上部溝の底面に横壁を当接させて配設し、両端が対向する縦壁に当接する受桁を設置して、受桁上に覆工板を設置するものである。 【0008】 【実施例】 本発明の実施例を、図を参照して説明する。 図1乃至図3を参照して、本発明の路面覆工方法の第1実施例を説明すると、アスファルト等の舗装層1と土層2を備えた値面に、図6に示す従来例と同様に下部溝(図6のc)と上部溝(図6のb)とから成る溝3を掘削し、溝3の下部溝(図6のc)の両側壁面に矢板4を連続して埋設し、矢板4の上端部に断面コ字形鋼材で形成された桁受5が設けられる。 【0009】 溝3の上部溝(図6のb)の底部両隅に、断面L字形の山留6の角部を合致させて山留6を設置し、山留6の長辺側61を縦壁として溝3の上部溝の側壁面に当接させ、短辺側62を横壁として上部溝の底面に当接させる。 なお、上部溝の壁面高さに応じて、山留6の長辺側61を上部溝の底面に当接させ(縦壁)、短辺側62を上部溝の側壁面に当接させ(横壁)ても良い。 【0010】 ここで、上部溝の底面に当接している山留6の短辺側62(又は長辺側61)の上面を、矢板4の上端及び桁受5の上面と同じ高さにする。 断面H字形のH型鋼から成る受桁7を、溝3の幅方向に横切り、両端が溝3の両側に受桁7の両端が、上部溝の側壁面に当接している山留6の長辺側61(又は短辺側62)の内面側即ち溝3側に当接している(図1、3参照)。 【0011】 溝3の長手方向端部においては、上部溝の長手方向端部側壁に山留6の長辺側61(又は短辺側62)が当接しており(図3の6c)、長手方向端部側壁の崩落を防止する。 なお、溝3の長手方向端部に用いる山留6(6c)と、その両端に連結される山留6(6a)との接合部では、一方の山留6(6a)の上部溝の底面に当接している短辺側62(又は長辺側61)を、他方の山留6(6c)の上部溝の底面に当接している短辺側62(又は長辺側61)の幅と同じ長さ(実際は幅+板厚)だけ切除している。 【0012】 図3に示すように、受桁7の設置位置を、隣合った山留6(図3では、6aと6b)の接合部とにすることにより、受桁7の端部で、対向して配置され、上部溝の側壁面に当接している山留6(図3では、6aと6a)の長辺側61(又は短辺側62)を押圧する。 【0013】 また、溝3の長手方向端部においては、受桁7の端部で対向して配置された山留6(図3の6aと6a)の長辺側61(又は短辺側62)を押圧し、受桁7の長手方向側面は、上部溝の長手方向端部側壁面に当接している山留6(6c)の長辺側61(又は短辺側62)の内面に当接して押圧し、山留6(6c)を保持固定する。 舗装1の面と、山留6の上端と、受桁7の上面とを同一平面上に形成し、受桁7の上に覆工板8を載置して覆工作業を終了する。 【0014】 この構成によると、上部溝の開口周縁の崩落を確実に防ぐことができるとともに、山留により覆工板敷設位置を確定することができ、敷設した覆工板の移動やズレを防止することができるから、覆工板の下面に突設される位置決め片を不要とし、覆工板の構成を簡略化することができる。 また、覆工板を密に配置することができ、安定した通行のできる覆工結果が得られる。 【0015】 図4及び図5を参照して第2実施例を説明すると、山留9の断面をクランク状とする、即ち上部溝(図6のd)の底面に当接する平面部92(横壁)と、平面部92の一側端を上方に立ち上げて土留用の外縦壁91が設けられ、他側端を下方に垂下させて抑止用の内縦壁93が設けられている。 【0016】 上部溝(図6のd)の底面上と、矢板4の上端の上に山留9の平面部92を載せ、内縦壁93を矢板4に係合させることにより、山留9の外縦壁91の上端の高さが路面11に等しいものであるから、山留9が確実に設置され、覆工板10を安定して設置することができる。 【0017】 この構成によると、内縦壁の高さを調整することで、覆工板の厚さを適当に選択することができ、主として歩行者のみの通行する道路に適し、薄い覆工板(例えば、鋼板1枚)を載置することができるものであり、厚い覆工板を載置することもできる。 なお、第1実施例及び第2実施例において、山留を形成する鋼板の厚さは、所謂厚板とされる厚さ(例えば、20mm前後)とする。 【0018】 さらに、軟弱地盤における作業の場合、少なくとも山留の下にのみ改良土を用いて山留用基礎を築くことにより、該山留用基礎の上に山留を載置することで、容易且つ安全に軟弱地盤における覆工作業を行うことができる。 【0019】 【発明の効果】 本発明は、上述のとおり構成されているから次に述べる効果を奏する。 上部溝の掘削溝壁に当接する縦壁と、上部溝の底面に当接する横壁とを備えた山留を、上部溝の掘削溝壁に縦壁を当接させ、上部溝の底面に横壁を当接させて配設し、両端が対向する縦壁に当接する受桁を設置して、受桁上に覆工板を設置することにより、溝の開口周囲の路面の崩落を防止することができる。 また、覆工板を密に配置することができ、安定した通行のできる覆工結果が得られる。 また、山留を断面L字形の部材としたことにより、簡単な構成で効果的な山留の効果が得られる。 さらに、上部溝の溝壁に当接する外縦壁と、上部溝の底面に当接する横壁と、矢板に係合する下方に垂下する内縦壁を備え、断面クランク状に形成された山留を、上部溝の溝壁に外縦壁を当接させ、上部溝の底面に横壁を当接させ、矢板に横壁を係合させ、横壁上に覆工板を設置することにより、覆工板の厚さを薄いものから厚いものまで、任意のものを用いることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の第1実施例である路面覆工方法の説明図である。 【図2】 本発明の第1実施例に係る山留の拡大斜視図である。 【図3】 本発明の第1実施例の山留の平面図である。 【図4】 本発明の第2実施例である路面覆工方法の説明図である。 【図5】 本発明の第2実施例に係る山留の拡大斜視図である。 【図6】 従来の路面覆工方法における溝の説明図である。 【図7】 従来の路面覆工方法の説明図である。 【符号の説明】 1 舗装層 2 土層 3 溝 4 矢板 5 桁受 6 山留(第1実施例) 7 受桁 8 覆工板 9 山留(第2実施例) 10 覆工板 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2003-05-23 |
出願番号 | 特願平11-334251 |
審決分類 |
P
1
41・
853-
Y
(E01C)
P 1 41・ 851- Y (E01C) P 1 41・ 856- Y (E01C) |
最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
田中 弘満 |
特許庁審判官 |
鈴木 公子 山口 由木 木原 裕 山田 忠夫 |
登録日 | 2000-10-20 |
登録番号 | 特許第3120150号(P3120150) |
発明の名称 | 路面覆工方法 |
代理人 | 阿部 英幸 |
代理人 | 久力 正一 |
代理人 | 阿部 英幸 |
代理人 | 久力 正一 |