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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効とする(申立て全部成立) B65B
管理番号 1080508
審判番号 無効2002-35059  
総通号数 45 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-07-07 
種別 無効の審決 
審判請求日 2002-02-20 
確定日 2002-09-30 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3187332号発明「有底カートンの直進搬送装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第3187332号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3187332号の発明は、平成8年12月24日に特願平8-356262号として出願されたものであって、平成13年5月11日に特許の設定登録がなされたものであり、平成14年2月20日に本件特許に対する無効審判請求がなされ、平成14年5月16日付けで答弁書の提出とともに、訂正請求がなされ、平成14年7月24日に口頭審理が行われたものである。
口頭審理においては、請求人及び被請求人の双方より口頭審理陳述要領書が提出された。

2.訂正の適否
(1)訂正の内容
平成14年5月16日付けの訂正請求は、以下のア.〜ウ.の事項を訂正しようとするものである。
ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1に係る記載「一対の無端チェーンコンベアをその同一進行側を同一平面上に対向させて平行に配置し、かつ、その無端チェーンコンベア間に搬送レールを設置し、各無端チェーンコンベアに互いに対応させ、定間隔で搬送方向に前後一組のキャリアを取り付け、キャリアの挟持片で有底力一トンの各角部を挟持した状態で搬送レール上の有底力一トンを間欠搬送しながら停止時に、内容液の充填、上部開口部の折り畳み、融着密封等の各工程を行う装置であって、無端チェーンコンベアの支柱との支持部を巾方向に調節可能とする手段と、有底力一トンが自然状態で捻れて水平面がひし形状に変形して形成される各角部のうち、鋭角部に対応するキャリアの挟持片を鈍角部に対応するキャリアの挟持片が間に存在しない範囲で互いに無端チェーンコンベアを反対方向へ同一長さだけ進退させて、有底カートンの前後長に位置決めする手段とを備え、大きさの異なる複数種類の有底力ートンに対して装置を搬送駆動した際に有底力一トンの中心位置が搬送中の諸工程を行う機器との関係で移動しないようにしたことを特徴とする有底力一トンの直進搬送装置。」を「一対の無端チェーンコンベアをその同一進行側を同一平面上に対向させて平行に配置し、かつ、その無端チェーンコンベア間に搬送レールを設置し、各無端チェーンコンベアに互いに対応させ、定間隔で搬送方向に前後一組のキャリアを取り付け、キャリアにおいて各無端チェーンコンベアから離れた状態にて設けた挟持片で有底力一トンの各角部を挟持した状態で搬送レール上の有底力一トンを間欠搬送しながら停止時に、内容液の充填、上部開口部の折り畳み、融着密封等の各工程を行う装置であって、無端チェーンコンベアの支柱との支持部を巾方向に調節可能とする手段と、有底力一トンが自然状態で捻れて水平面がひし形状に変形して形成される各角部のうち、鋭角部に対応するキャリアの挟持片を鈍角部に対応するキャリアの挟持片が間に存在しない範囲で互いに無端チェーンコンベアを反対方向へ同一長さだけ進退させて、有底カートンの前後長に位置決めする手段とを備え、大きさの異なる複数種類の有底力ートンに対して装置を搬送駆動した際に有底力一トンの中心位置が搬送中の諸工程を行う機器との関係で移動しないようにしたことを特徴とする有底力一トンの直進搬送装置。」とする訂正。
イ.訂正事項b
段落【0013】の記載「【課題を解決するための手段】本発明装置は、一対の無端チェーンコンベアをその同一進行側を同一平面上に対向させて平行に配置し、かつ、その無端チェーンコンベア間に搬送レールを設置し、各無端チェーンコンベアに互いに対応させ、定間隔で搬送方向に前後一組のキャリアを取り付け、キャリアの挟持片で有底力一トンの各角部を挟持した状態で搬送レール上の有底力一トンを間欠搬送しながら停止時に、内容液の充填、上部開口部の折り畳み、融着密封等の各工程を行う装置であって、無端チェーンコンベアの支柱との支持部を巾方向に調節可能とする手段と、有底力一トンが自然状態で捻れて水平面がひし形状に変形して形成される各角部のうち、鋭角部に対応するキャリアの挟持片を鈍角部に対応するキャリアの挟持片が間に存在しない範囲で互いに無端チェーンコンベアを反対方向へ同一長さだけ進退させて、有底カートンの前後長に位置決めする手段とを備え、大きさの異なる複数種類の有底力ートンに対して装置を搬送駆動した際に有底力一トンの中心位置が搬送中の諸工程を行う機器との関係で移動しないようにしたことを特徴とするものである。」を「【課題を解決するための手段】本発明装置は、一対の無端チェーンコンベアをその同一進行側を同一平面上に対向させて平行に配置し、かつ、その無端チェーンコンベア間に搬送レールを設置し、各無端チェーンコンベアに互いに対応させ、定間隔で搬送方向に前後一組のキャリアを取り付け、キャリアにおいて各無端チェーンコンベアから離れた状態にて設けた挟持片で有底力一トンの各角部を挟持した状態で搬送レール上の有底力一トンを間欠搬送しながら停止時に、内容液の充填、上部開口部の折り畳み、融着密封等の各工程を行う装置であって、無端チェーンコンベアの支柱との支持部を巾方向に調節可能とする手段と、有底力一トンが自然状態で捻れて水平面がひし形状に変形して形成される各角部のうち、鋭角部に対応するキャリアの挟持片を鈍角部に対応するキャリアの挟持片が間に存在しない範囲で互いに無端チェーンコンベアを反対方向へ同一長さだけ進退させて、有底カートンの前後長に位置決めする手段とを備え、大きさの異なる複数種類の有底力ートンに対して装置を搬送駆動した際に有底力一トンの中心位置が搬送中の諸工程を行う機器との関係で移動しないようにしたことを特徴とするものである。」とする訂正。
ウ.訂正事項c
段落【0019】の「・・・・・・・・・搬送する有底カートン6の四つの角部を挟持する平面L型の高さを有する挟持片・・・・・・・・。」を「・・・・・・・・・搬送する有底カートン6の四つの角部を挟持する平面L型の高さを有し、無端チェーンコンベア1A、1Bから離れた状態にて設けた挟持片・・・・・・・・。」とする訂正。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア.訂正事項aについて
挟持片が設けられる位置を特定する訂正であるので、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
そして、無端チェーンコンベアに取り付けられたキャリアに挟持片が設けられており、挟持片だけでカートンを挟持しているのであるから、挟持片は無端チェーンコンベアに接して設ける必要がないことは明らかであり、また、図面には、挟持片が無端チェーンコンベアから離れた状態にあることが記載されているので、この訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
イ.訂正事項bについて
訂正事項aの訂正と整合をとるための訂正であるので、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正であって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
ウ.訂正事項cについて
訂正事項aの訂正と整合をとるための訂正であるので、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正であって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)むすび
よって、平成14年5月16日付け訂正請求による訂正は、特許法第134条第2項及び特許法第134条第5項の規定によって準用する特許法第126条第2,3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.請求人の主張
請求人は、下記の甲第1号証〜甲第5号証を提出するとともに、本件特許の発明は、甲第1号証乃至甲第3号証に記載されたもの及び周知慣用手段により当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである旨主張している。

-請求人の提出した証拠-
甲第1号証:特公昭51-14950号公報
甲第2号証:特開昭49-87484号公報
甲第3号証:特開平4-317916号公報
甲第4号証:実公昭59-11841号公報
甲第5号証:特開平6-286729号公報
4.被請求人の主張
甲第2号証刊行物の開示内容に関する請求人の主張は明白に誤っているので、本件特許の発明は、甲第1号証乃至甲第3号証に記載されたもの及び周知慣用手段により当業者が容易に発明できたものではないと主張している。

5.本件特許発明
本件特許の請求項1に係る発明は、平成14年5月16日付けの訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のものである。
「一対の無端チェーンコンベアをその同一進行側を同一平面上に対向させて平行に配置し、かつ、その無端チェーンコンベア間に搬送レールを設置し、各無端チェーンコンベアに互いに対応させ、定間隔で搬送方向に前後一組のキャリアを取り付け、キャリアにおいて各無端チェーンコンベアから離れた状態にて設けた挟持片で有底力一トンの各角部を挟持した状態で搬送レール上の有底力一トンを間欠搬送しながら停止時に、内容液の充填、上部開口部の折り畳み、融着密封等の各工程を行う装置であって、無端チェーンコンベアの支柱との支持部を巾方向に調節可能とする手段と、有底力一トンが自然状態で捻れて水平面がひし形状に変形して形成される各角部のうち、鋭角部に対応するキャリアの挟持片を鈍角部に対応するキャリアの挟持片が間に存在しない範囲で互いに無端チェーンコンベアを反対方向へ同一長さだけ進退させて、有底カートンの前後長に位置決めする手段とを備え、大きさの異なる複数種類の有底力ートンに対して装置を搬送駆動した際に有底力一トンの中心位置が搬送中の諸工程を行う機器との関係で移動しないようにしたことを特徴とする有底力一トンの直進搬送装置。」

6.当審の判断
(1)甲第1号証乃至甲第3号証に記載された事項
a.甲第1号証(特公昭51-14950号公報、以下、「引用例1」という。)
引用例1には、以下の事項が記載されている。
記載イ:
「本発明は製函機、特にプラスチックで外装した紙の容器を自動的、能率的かつ正確に成型し充填し、切妻型の上蓋をもつよう密封するための新たに改良をほどこした製函機に関するものである。」(1頁2欄31〜34行)、
記載ロ:
「容器充填装置として、充填及び密封操作の間底の成型された容器を一歩一歩倣運動で進めるための新たな改良を加えた移送装置を備えている。本発明の移送装置は充填装置を通して送られる際、容器の底を支えるための支持盤及び容器の運動方向の両側に平行に置かれた一組の循環鎖を備えている。
向い合った循環鎖には沢山のコンベアブロックがとりつけられており、それによって運動の横方向の規制を行うため容器の前隅の一つと噛み合せるためのコーナー支持装置を有する向い合った最初の一組のブロックと、容器の後隅の一つと噛み合うためのコーナー支持装置を有する次に続く向い合ったブロックが取りつけてある。これによって容器は、その四隅をしっかりとおさえられ、向い合ったブロックの隣り合せの一組によって充填装置中に送られる。又、各ブロックは多くのそれに対応するコーナー支持装置を備えており、循環鎖は各種の大きさの容器用に移送装置を適応させるため相互に調節が可能である。」(2頁4欄30行〜3頁5欄5行)、
記載ハ:
「本発明の機械は、長さ、断面の大きさの異なる各種の大きさの容器の成型、充填、密封に容易に利用される。・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一般的に平板状態で供給されるが、開けば、第28図に示すように、一般的に長方形の横断面をした筒状体12である。・・・・・
・・・・・・・したがって本発明の機械は、特にこれらの平たい打抜容器から出来上がって充填した容器を製造するよう考案されたものであるが、・・・・・・。」(3頁5欄29行〜4頁7欄13行)、
記載ニ:
「容器充填装置
第1図に示すように、容器の成型装置60に続いて使用される充填装置62は、転送アーム200から直立の位置で底の出来た容器を受けこの容器を充填、密封作業を行うため1歩1歩継続的な倣運動によって移動させるための移送装置を含んでいる。・・・・・・・
・・・・・・・・これらの構成要素は、順番に配置された充填装置240、底の出来た容器のの上蓋を熱するための加熱装置242、容器に切妻状の蓋をつけるよう容器の上蓋を閉じるための加熱装置の下方に組込まれた一組の誘導レール244、及び折られ閉じられた上蓋を加熱密封するための密封装置246等からなっている。
要するに充填装置240は、供給タンク248及び供給タンクから下方にのび、移送装置228による1歩1歩継続的な倣運動によって移動する容器のすぐ上方に伸びている多くの充填パイプ250からなっている。・・・・・・・くりかえされる。」(10頁20欄26行〜11頁22欄24行)、
記載ホ:
「移送装置
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・この装置は、充填装置62を通る容器の運動に必要な通路の両側に一定の間隔をもち平行の状態におかれた一組の循環鎖290及び292を含んでいる。各循環鎖は、それぞれ上部循環鎖と下部循環鎖294及び296からなり、・・・・・・
本発明によれば、容器と噛み合う多数のブロック310は(25図参照)例えば第18図、第19図に示すように、縦の関係においても、横の関係においても各循環鎖290及び292の上、下の鎖294と296の間にとりつけられている。・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第19図及び第22図〜第24図に示すようにコンベヤーブロック310はそれによって移動するように上部循環鎖294の鐶311と結ばれているブロックの上部及び下部循環鎖296の同様の鐶と結ばれているブロックの下部に直角の方向に伸びている。
本発明によれば、第23図-25図に示すように、各コンベアーブロック310は、開きかつ直立している容器の一つの隅を噛み合うように支えるコーナー支持装置を備えている。各循環鎖上に2個ずつ設けられた四個一組の容器支持台(23-24図参照)は容器が充填、密封作業の過程を一歩一歩継続的に進められる時、四つの隣接している支持台上にある四つのコーナー支持装置が工合よく容器10の四隅を支え、その容器を垂直に支えるように一定の間隔をとっている。
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
このようにして、第23図に示すような比較的小型の容器に適した移送装置又は第24図に示すような比較的大きな容器に適した移送装置に調整するため、車輪340及び352は対応している凹部328と328’及び329と329’が328と329の間の距離と同じ距離にはなされるまで、各循環鎖の両端を相互に引き離すのに適した方向に回される。
第23図、第24図に示すように、容器の縦軸366は容器の大きさにかかわりなく常に同じ場所にあり、したがって容器の大きさの変化に応じ、その移送装置又はその作業速度の同期を調整することは必要ではない。
・・・・・・・・・・・勿論である。」(11頁22欄25行〜14頁28欄25行)

上記記載と図1〜3及び図18〜31の記載から、引用例1には、
「一対の循環鎖をその同一進行側を同一平面上に対向させて平行に位置し、かつ、その循環鎖間にレールを設置し、各循環鎖に互いに対応させ、定間隔で移送方向に前後一組のブロックを取り付け、循環鎖から離れた位置に設けられたブロックの凹部で容器の各角部を挟持した状態でレール上の容器を間欠移送しながら停止時に、内容液の充填、上部開口部の折り畳み、融着密封等の各工程を行う装置であって、循環鎖の働輪軸及び遊輪軸との支持台を中方向に調節する手段と、ブロックの凹部をさらに広狭各複数設けて容器の前後長に位置決めする手段とを備え、大きさの異なる複数種類の容器に対して装置を移送駆動した際に容器の中心位置が移送中の諸工程を行う機器との関係で移動しないようにした容器の直進移送装置」に関する発明が開示されているものと認められる。

b.甲第2号証(特開昭49-87484号公報、以下、「引用例2」という。)
引用例2には、以下の事項が記載されている。
記載イ:
「本発明の他の目的は、異なる形状の箱に対して簡単なかつ迅速な方法で適応できる上記形式の厚紙製箱のコンベアを提供することである。」(2頁左下欄11〜13行)、
記載ロ:
「第2図に明確に示されているように、小歯車14及び18は各軸30及び31にキー留めされており、この軸30は止ネジ41を備えているスリーブ継手40により角度設定に関する調整可能な方式で駆動軸39に連結されている。(3頁左下欄7行〜11行)、
記載ハ:
「第4図及び第5図に示されているようにこの箱は2個の保持具19及び20間に挿入されるまでに完全に展開される(第6図参照)。」(4頁右下欄7〜9行)、
記載ニ:
「本発明に依るコンベアより与えられる他の重要な有利性は、箱の厚さに応じて動作するように予め設定する為には軸30の角度設定の調整が単に必要とされる事である。この調整が行われて駆動軸39に関し歯車14を有する軸30の取り付け角が変化するとチェーン11に関するチェーン10の相対位置が異なり従って保持具19と20との間隔が適当に修正されることとなる。」(5頁右上欄2〜9行)、

上記記載事項及び図面から、引用例2に記載されている事項について、以下、検討すると、引用例2に記載のものにおいて、箱(カートン)は、折り畳まれた状態から引き出され、対角線上に設けられた2個の保持具19及び20によって、形状が保持されるものである。保持具19及び20はチェ-ンに直接取り付けられており、チェーンと協同して、箱の断面がひし形になろうとするのを阻止する機能を有するものである。

次に、保持具19及び20と箱が変形して断面ひし形になる際の鋭角部分と鈍角部分との関係について検討する。
図3〜6を参照すると、図面に記載されたものは、鋭角部に対応する箇所に保持具が設けられている。被請求人は、引用例2記載のものは、保持具の配置位置が仮に鈍角部であったとしても、チェーンの働きによって保持することが可能であるからとして、引用例2記載のものは、鋭角部に対応する箇所に保持具を配置することを全く意図するものではなく、鋭角部に対応するか鈍角部に対応するかの2つの選択肢のうちの、たまたま、鋭角部に対応する例が記載されているだけであるから、引用例2に記載されたものは、鋭角の場合と鈍角の場合の双方の配置を包含したものと解すべきと主張しているので、鈍角の場合にも保持の対象となりうるかについて検討をする。

ところで、この種の箱(カートン)が自然状態で捻れて水平面がひし形に変形することは広く知られており、保持具が設けられているのは、箱(カートン)の変形を阻止しようとするものであることは、明示しての記載がなくとも明らかなことである。
そもそも、箱がひし形に変形しようとすることは、鋭角に対応する対角線の長さが長くなろうとすることであり、鈍角に対応する対角線の長さが短くなろうとすることである。
保持具が鋭角に対応する箇所に配置されている場合には、箱が変形してひし形になろうとしても保持具があるために、対角線間の距離が長くなろうとすることを阻止できるから、箱の変形を阻止できるのに対して、鈍角位置に配置されている場合には、箱がひし形に変形しようとすること、すなわち、鈍角に対応する対角線の長さが短くなるうとすることは、保持具があっても事実上阻止することはできない。
被請求人は、答弁書において、次のように主張している。
「引用例2のFig.3〜6によれば、搬送の段階では、すでに保持具19、20及びチェーン10、11の協働作業によって略矩形状断面に強制的に是正するような保持が行われており、保持具19、20は、鋭角部を保持の対象とするも、搬送の段階ではすでに鋭角部の突出状態は喪失されている。 このような場合、保持具19、20が鋭角部と鈍角部とをFig.3〜6の場合と逆転した状態にて、吸引カップ26の吸引によって有底カートンが一方側のチェーン11及び保持具19に当接することが可能であるならば、上記逆転した状態、即ち保持具19、20が鈍角部を保持の対象とする状態によって、その後の搬送をすることができる。」(3頁7〜16行参照)
しかしながら、搬送の段階でも折り癖により鋭角部は突出しようとしているのである。突出しようとしているものの、保持具があるために、突出できないからひし形に変形することなく搬送されていくのである。
被請求人の論理は、「搬送の段階ではすでに鋭角部の突出状態は喪失されている。」から、鈍角でも保持の対象とすることができるのだというものであるが、すでに述べたように、鋭角の場合と鈍角の場合とは、変形しようとする挙動が全く逆であるから、鋭角の場合は問題ないから鈍角の場合も適用できるとする被請求人の主張は、事実に反する主張といわざるを得ない。

結局、引用例2には、「一対の無端チェーンをその同一進行側を同一平面上に対向させて平行に位置し、かつ、その無端チェーン間に滑り面を設置し、各無端チエーンに定間隔で搬送方向に保持具を取り付け、保持具で厚紙製箱の角部を挟持した状態で滑り面上の厚紙製箱を搬送する装置であって、厚紙製箱が自然状態で捻れて水平面がひし形状に変形して形成される各角部のうち、鋭角部に対応する保持具を用いて厚紙製箱の角部を挟持、搬送するとともに、互いに無端チェーンの相対位置を異ならせることにより、厚紙製箱の前後長に位置決めする手段とを備え、大きさの異なる複数種類の厚紙製箱を搬送駆動することができる厚紙製箱の直進搬送装置」が開示されているものと認められる。

c.甲第3号証(特開平4-317916号公報、以下、「引用例3」という。)
引用例3には、特に段落【0007】、【00081〜【0010】、【0014】、図1及び2には、一対の無端チェーンをその同一進行側を同一平面上に対向させて平行に位置し、各無端チェーンに治具を取り付け、治具で加工物の角部を挟持した状態で搬送を行う装置であって、治具を、互いに無端チェーンを反対方向へ同一長さ進退させて、加工物の前後長に位置決めする手段とを備え、大きさの異なる複数種類の加工物に対して装置を搬送駆動した際に加工物の中心位置が移動しないようにすることが記載されており、搬送物の(長さ方向の)巾寸法が変わっても、治具を交換することなく、簡単に対応できる効果を奏することが記載されている。

(2)対比・判断
本件発明と引用例1に記載された発明とを対比すると、引用例1に記載された発明における「循環鎖」、「レール」、「移送」、「ブロック」、「凹部」、「容器」、「働輪軸及び遊輪軸」、「支持台」は、それぞれ本件発明における「無端チェーンコンベア」、「搬送レール」、「搬送」、「キャリア」、「挟持片」、「有底力一トン」、「支柱」、「支持部」に対応するので、両者は、「一対の無端チェーンコンベアをその同一進行側を同一平面上に対向させて平行に位置し、かつ、その無端チェーンコンベア間に搬送レールを設置し、各無端チェーンコンベアに互いに対応させ、定間隔で搬送方向に前後一組のキャリアを取り付け、キャリアにおいて各無端チェーンコンベアから離れた状態にて設けた挟持片で有底力一トンの各角部を挟持した状態で搬送レール上の有底力一トンを間欠搬送しながら停止時に、内容液の充頃、上部開口部の折り畳み、融着密封等の各工程を行う装置であって、無端チェーンコンベアの支柱との支持部を巾方向に調節可能とする手段と、有底力一トンの前後長に位置決めする手段とを備え、大きさの異なる複数種類の有底力一トンに対して装置を搬送駆動した際に有底力一トンの中心位置が搬送中の諸工程を行う機器との関係で移動しないようにした有底力一トンの直進搬送装置」である点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1:
挟持片で有底力一トンの角部を挟持して搬送するのに際して、本件発明においては、有底力一トンが自然状態で捻れて水平面がひし形状に変形して形成される各角部のうち、鋭角部に対応する2つの角部のみを挟持し、鈍角部に対応する挟持片はあるものの、それらを使用しない状態で有底カートンを搬送するのに対し、引用例1記載のものでは、全ての4つの角部を挟持して搬送している点。
相違点2:
有底カートンの前後長に位置決めする手段に関し、本件発明においては、「有底力一トンが自然状態で捻れて水平面がひし形状に変形して形成される各角部のうち、鋭角部に対応するキャリアの挟持片を鈍角部に対応するキャリアの挟持片が間に存在しない範囲で互いに無端チェーンコンベアを反対方向へ同一長さだけ進退させて」行うのに対し、引用例1記載の発明においては、定間隔で移送方向に前後一組取り付けられたブロックの凹部をさらに広狭各複数設ける構成である点。

これらの相違点について検討をする。
相違点1について:
引用例2には、一対の無端チェーンをその同一進行側を同一平面上に対向させて平行に位置し、かつ、その無端チェーン間に滑り面を設置し、各無端チエーンに定間隔で搬送方向に保持具を取り付け、保持具で厚紙製箱の角部を挟持した状態で滑り面上の厚紙製箱を搬送するに際し、厚紙製箱が自然状態で捻れて水平面がひし形状に変形して形成される各角部のうち、鋭角部に対応する保持具を用いて、厚紙製箱を挟持、搬送するものが記載されている。
引用例2には、鋭角部に対応する保持具を用いて厚紙製箱を挟持、搬送することに関して、明示的には記載されていない。しかしながら、すでに述べたように、この種の箱(カートン)が自然状態で捻れて水平面がひし形に変形することは広く知られていること、また、鈍角部を挟持して搬送してもひし形への変形が阻止できるものではないことが当業者には明らかであるのだから、保持具が鋭角部に対応して設けられているのは箱(カートン)の変形を阻止しようとするものであることは、明示しての記載がなくとも明らかなことである。
引用例2記載のものも、引用例1記載のものと同様に、対向する一対の無端チェーンコンベアに設けた挟持片によって有底カートンの角部を挟持して有底カートンを搬送するものであるので、引用例2に記載された、鋭角部に対応する保持具を用いて厚紙製箱を挟持、搬送するという技術事項を、引用例1の有底カートンの挟持・搬送に用いることに格別の困難があったとは認められない。

相違点2について:
引用例2には、厚紙製箱(有底力一トン)が自然状態で捻れて水平面がひし形状に変形して形成される各角部のうち、鋭角部に対応する保持具(挟持片)を、互いに無端チェーン(無端チェーンコンベア)の相対位置を異ならせることにより厚紙製箱(有底力一トン)の前後長に位置決めする手段が記載されている。
相違点1ですでに述べたように、鋭角部に対応する挟持片を用いて有底カートンを挟持・搬送するようにすることは、引用例2に記載されたものに基づいて当業者が格別の困難を生じることなく採用できるのであるから、有底カートンの大きさに対応するために、無端チェーンコンベアの互いの相対位置を異ならせることによって挟持片の前後長位置を調整することは、当業者が格別の判断をするまでもなく採用できる程度のことである。
そして、相対位置を異ならせる手段としては、適宜の手法を選択できるところ、引用例3に記載された、互いに無端チェーンを反対方向へ同一長さ進退させることにより位置調整の手段を採用することにも格別の困難はない。
また、鈍角に対応する挟持片を用いないのであるから、鈍角部に対応するキャリアの挟持片が間に存在しない範囲で互いに進退させることは当然のことである。

7.むすび
以上のとおりであるから、本件特許発明は、甲第1号証乃至甲第3号証に記載されたものから当業者が容易に発明することができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条に該当し、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
有底カートンの直進搬送装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 一対の無端チェーンコンベアをその同一進行側を同一平面上に対向させて平行に配置し、かつ、その無端チェーンコンベア間に搬送レールを設置し、各無端チェーンコンベアに互いに対応させ、定間隔で搬送方向に前後一組のキャリアを取り付け、キャリアにおいて各無端チェーンコンベアから離れた状態にて設けた挟持片で有底カートンの各角部を挟持した状態で搬送レール上の有底カートンを間欠搬送しながら停止時に、内容液の充填、上部開口部の折り畳み、融着密封等の各工程を行う装置であって、無端チェーンコンベアの支柱との支持部を巾方向に調節可能とする手段と、有底カートンが自然状態で捻れて水平面がひし形状に変形して形成される各角部のうち、鋭角部に対応するキャリアの挟持片を鈍角部に対応するキャリアの挟持片が間に存在しない範囲で互いに無端チェーンコンベアを反対方向へ同一長さ進退させて、有底カートンの前後長に位置決めする手段とを備え、大きさの異なる複数種類の有底カートンに対して装置を搬送駆動した際に有底カートンの中心位置が搬送中の諸工程を行う機器との関係で移動しないようにしたことを特徴とする有底カートンの直進搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジュース、清酒、液体調味料等の、紙を基材とする横断面が正方形又は長方形の立方体或いは直方体の容器(以下、カートンと称す)に、平板材から形成しながら内容液を充填する一連の工程中で、有底カートンを直進搬送する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
容器の成形に関して、板紙基材は先ずチューブ状に加工され、次にマンドレルと称される放射状に腕を有するタレットの間欠回転にあわせ、腕に挿通したチューブ体を停止時に底成形工程を行ってカートンの底面を形成し、形成した有底カートンを腕から下方へ押し出し、直進搬送ライン上へ渡すのである。
【0003】
この直進搬送装置は、一対の無端チェーンコンベアの同一進行側を同一平面上に対向させて平行に配置し、その無端チェーンコンベア間に搬送レールを設置し、各無端チェーンコンベアに互いに対応させ、定間隔で搬送方向に前後一組のキャリアを取り付け、キャリアの挟持片で有底カートンの各角部を挟持して直進搬送する構成を有する。
【0004】
各側の無端チェーンコンベアは上下二段に構成し、キャリアの挟持片は対向した無端チェーンコンベアの対応する前後に取り付けられ、各挟持片で有底カートンの四つの角部を挟持できるように上下の無端チェーンコンベアに渡設してキャリアが取り付けてある。
【0005】
そして、各挟持片が有底カートンの各角部を挟持できるように無端チェーンコンベアの間隔を設定し、各無端チェーンコンベアに前後のキャリアを取り付けてあり、更にマンドレルから間欠的に渡される有底カートンに応じて、前後一組の計四個のキャリアが定間隔で取り付けられているのである。
【0006】
そして、この直進搬送装置によって、搬送レール上の有底カートンを間欠搬送しながら停止時に、内容液の充填、上部開口部の折り畳み、融着密封等の各工程を行うのであり、停止位置に各々の加工・充填機器等が定位置に配備されているのである。
【0007】
ところで、直進搬送させるカートンは前工程装置のマンドレルで有底と成っているが、この有底カートンは角部処理が充分でなく、又上端が開口している関係で、自然状態では上方位置に行くほど捻れてひし形状に変形しているのであり、搬送時にはキャリアの挟持片で矩形に補正しながら挟持しているのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の直進搬送装置の一対の無端チェーンコンベアの対向間隔及び一組の前後キャリアの間隔は、成形するカートンの大きさ(平面形状、正方形又は長方形の搬送方向に対する巾及び前後間隔)に合わせて設定しているのであり、特定の大きさのカートンの専用機として固定されたものがほとんどである。
【0009】
数種類のカートンの大きさに対応できる装置を提供しようとする試みは存在する。この場合の巾調節は、無端チェーンコンベアの支柱との支持部を巾方向に調節可能とすることで対応でき、技術的にも極めて容易に為し得るのである。
【0010】
これに対し、搬送方向のキャリアの前後間隔の調節は加工・充填機器との関係で、カートンの中心位置の移動は許されず、したがって、全てのキャリアの位置調節が必要と考えられるのである。
【0011】
しかし、全てのキャリアを個々に調節するのは効率上非現実的であり、キャリアの挟持片に厚み調節用のカバーを装着する方法が考えられているけれども、これも数種類のカバーの調達や取り替えの手数を要するのである。
【0012】
そこで、本発明は迅速、容易に、かつ効率的に複数種類のカートンの大きさに対応できるようにした有底カートンの直進搬送装置を提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明装置は、一対の無端チェーンコンベアをその同一進行側を同一平面上に対向させて平行に配置し、かつ、その無端チェーンコンベア間に搬送レールを設置し、各無端チェーンコンベアに互いに対応させ、定間隔で搬送方向に前後一組のキャリアを取り付け、キャリアにおいて各無端チェーンコンベアから離れた状態にて設けた挟持片で有底カートンの各角部を挟持した状態で搬送レール上の有底カートンを間欠搬送しながら停止時に、内容液の充填、上部開口部の折り畳み、融着密封等の各工程を行う装置であって、無端チェーンコンベアの支柱との支持部を巾方向に調節可能とする手段と、有底カートンが自然状態で捻れて水平面がひし形状に変形して形成される各角部のうち、鋭角部に対応するキャリアの挟持片を鈍角部に対応するキャリアの挟持片が間に存在しない範囲で互いに無端チェーンコンベアを反対方向へ同一長さ進退させて、有底カートンの前後長に位置決めする手段とを備え、大きさの異なる複数種類の有底カートンに対して装置を搬送駆動した際に有底カートンの中心位置が搬送中の諸工程を行う機器との関係で移動しないようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
本発明装置においては、四個のキャリアの挟持片で構成する有底カートンの挟持空間は、有底カートンの対角線状の関係にあるキャリアが進退することで、この進退した内側位置にあるキャリアの挟持片間の搬送方向と同一の前後の長さを有する有底カートンを挟持(鋭角部)できることになり、他の2角(鈍角部)に対応するキャリアの挟持片は、実際に挟持するキャリアの間の外方にあるため、その間は挟持するカートンより広く遊んだ状態となる。
【0015】
しかし、有底カートンは自然状態ではひし形状への変形力が作用するため、突出した鋭角部を変形作用に抗して押し戻した状態で挟持片が挟持するだけで充分な挟持力を得られ、挟持搬送作用に支障は生じないのである。
【0016】
又、実際に挟持するキャリアの挟持片が同一長さ反対方向へ進退したものであるから、両者の中央位置、即ち挟持する有底カートンの中心位置に変化はなく、装置の駆動によって、各工程のため配備された各処理機器との位置関係に対応できるものである。
【0017】
したがって、装置製造当初に有底カートンの最大巾の四角部を挟持する位置にキャリアを設定しておけば、各無端チェーンコンベアを個別に進退させ、互いの位置決めを行うことで多様のカートンの長さに調節できるのである。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明装置を説明する簡略化した平面図であり、一対の無端チェーンコンベア1A、1Bが間隔を設けて同一平面上に平行に設置され、基部スプロケット2Aと先端スプロケット2B間をチェーンコンベア1A、1Bが対向面を基部から先端方向へ間欠回動するように、先端スプロケット2Bが駆動源に連結して積極回転している。
【0019】
無端チェーンコンベア1A、1B間には搬送レール3が設置され、無端チェーンコンベア1A、1Bにはキャリア4、4…が対向面では互いに対応関係になるように、かつ前後のキャリア4A、4B、4C、4Dが一組となって、搬送する有底カートン6の四つの角部を挟持する平面L型の高さを有し、無端チェーンコンベア1A、1Bから離れた状態にて設けた挟持片5A、5B、5C、5Dを前後に向かい合って有する。
【0020】
一方、有底カートン6は紙材を基材とする平板を折曲して形成するものであるため、上端が開放した状態では捻れて水平面が正確に矩形を維持できず、図2に示すように、上方へ行くにしたがってひし形状に変形しているのである。
【0021】
そこで、搬送時には斯かるひし形状の変形を矩形に是正して挟持片5A、5Dで挟持しているのであり、ひし形状と成った鋭角部イ、イを押圧して矩形に維持しているのである(図3)。該鋭角部イ、イは対応する挟持片5A、5Dに押圧されて強く当接し、鈍角部ロ、ロは対応する挟持片5B、5Cと接触圧はほとんどなく、実質的には搬送作用を奏していないのであって、挟持片5B、5Cは予備的に設けられているのである。
【0022】
したがって、各種の有底カートン6の搬送方向の長さに対してキャリア4の位置を変更して挟持片5A、5B、5C、5Dで有底カートン6を挟持するには、実質的に挟持する鋭角部イ、イに対応した挟持片5A、5Dのキャリア4A、4Dを調整すれば充分であることとなる。
【0023】
図4は二種の有底カートン6A、6Bに対応したキャリア4A、4B、4C、4D及び挟持片5A、5B、5C、5Dの調節した位置関係を示すものである。有底カートン6A、6Bの中心位置7は、搬送中の諸工程を行う機器との関係で移動できないため、キャリア4A、4Dを同一長さ互いに反対方向へ各無端チェーンコンベア1A、1Bを進退させて調節するものである。
【0024】
そして、実際に挟持作用を行う挟持片5A、5D間に有底カートン6A、6Bを置くこととなるため、調節後の空間内に挟持片5B、5Cがあると、有底カートン6A、6Bを設置できないこととなる。よって、鈍角部ロ、ロに対応する挟持片5B、5Cが挟持片5A、5Dの間に位置しないことが条件となる。
【0025】
挟持片5A、5Dの位置調節は、そのキャリア4A、4Dを取り付けた無端チェーンコンベア1A、1Bを個々に回動させることによって行うことができ、各無端チェーンコンベア1A、1Bの駆動源を個々に設けることで容易に調節できる。又、従来の構成では両無端チェーンコンベア1A、1Bの駆動は同一の駆動源から得ているが、伝達途中にクラッチを介在させ操作することで個々の無端チェーンコンベア1A、1Bを単独で回動して進退させることができるものである。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本発明装置は極めて容易・簡単に、巾方向の調節ができると共にカートンを挟持するキャリアの間隔を調節することができ、あらゆるカートンの種類に対応できる汎用性のある装置となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明装置の一実施の形態を示す平面図である。
【図2】
有底カートンの斜視図である。
【図3】
有底カートンと挟持片との関係を示す平面図である。
【図4】
調節の前後を示す要部平面図である。
【符号の説明】
1A、1B 無端チェーンコンベア
2A、2B スプロケット
3 搬送レール
4 キャリア
4A、4B、4C、4D キャリア
5 挟持片
5A、5B、5C、5D 挟持片
6 有底カートン
6A、6B 有底カートン
7 中心位置
イ 鋭角部
ロ 鈍角部
 
訂正の要旨 訂正の要旨
審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2002-08-06 
結審通知日 2002-08-09 
審決日 2002-08-20 
出願番号 特願平8-356262
審決分類 P 1 112・ 121- ZA (B65B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 一ノ瀬 覚  
特許庁審判長 吉国 信雄
特許庁審判官 市野 要助
山崎 豊
登録日 2001-05-11 
登録番号 特許第3187332号(P3187332)
発明の名称 有底カートンの直進搬送装置  
代理人 赤尾 直人  
代理人 赤尾 直人  
代理人 幸長 保次郎  
代理人 河野 哲  
代理人 土井 育郎  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 土井 育郎  
代理人 竹田 稔  

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