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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 G06F 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 G06F 審判 全部申し立て 2項進歩性 G06F 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 G06F |
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管理番号 | 1081276 |
異議申立番号 | 異議2002-71844 |
総通号数 | 45 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1996-02-16 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-07-24 |
確定日 | 2003-05-19 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3251429号「印刷装置、ホストコンピュータ、印刷システム及びそれらの印刷制御方法」の請求項1ないし10に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3251429号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 |
理由 |
1 手続の経緯 本件特許第3251429号に係る出願は、平成6年7月27日に出願されたものであって、平成13年11月16日に特許の設定登録がされ、その後その特許請求の範囲における請求項1〜10(全請求項)に係る発明の特許について、異議申立人高橋 四郎により特許異議の申立てがなされ、その後取消理由通知がされ、その指定期間内である平成15年3月25日付けで訂正請求がなされたものである。 2 訂正の適否 (1)訂正の内容 訂正事項a 特許請求の範囲の請求項1を特許請求の範囲の減縮を目的として、削除する。 訂正事項b 特許請求の範囲の請求項2を特許請求の範囲の減縮を目的として、 「【請求項2】印刷装置と接続されたホストコンピュータの印刷制御方法であって、プリンタ言語で記述されたデータに基づいて、印刷装置においてビットマップイメージを印刷する場合であって、前記プリンタ言語で記述されたデータを送信するか、該データをビットマップイメージに展開して送信するかを、前記データをイメージに展開するのに要する時間に基づいて判断する判断工程と、前記判断によって、プリンタ言語で記述されたデータを送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータを前記印刷装置側に転送し、前記判断によって、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して前記印刷装置側に転送する転送工程とを含み、前記判断工程は、前記データを前記印刷装置でイメージに展開するのに要する時間と、前記データを前記ホストコンピュータでイメージに展開するのに要する時間とを予測し、先行する複数のページを前記ホストコンピュータでイメージに展開して前記印刷装置で印刷を行う間に、後続するページを前記印刷装置でイメージに展開することができる場合に、後続するページを前記プリンタ言語で記述されたデータとして送信し、先行する複数のページをビットマップイメージに展開して送信すると判断することを特徴とする印刷制御方法。」と訂正し、請求項1に繰り上げる。 訂正事項c 特許請求の範囲の請求項3を特許請求の範囲の減縮を目的として、 「【請求項3】 ホストコンピュータと印刷装置で構成され、プリンタ言語で記述されたデータに基づいて、印刷装置においてビットマップイメージを印刷する印刷システムの印刷制御方法であって、前記ホストコンピュータにおいて、前記プリンタ言語で記述されたデータを送信するか、該データをビットマップイメージに展開して送信するかを、前記データをイメージに展開するのに要する時間に基づいて判断し、前記判断によって、プリンタ言語で記述されたデータを送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータを印刷装置側に転送し、前記判断によって、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して前記印刷装置側に転送し、前記印刷装置において、前記イメージに展開するのに要する時間に基づいて判断の後、転送されたプリンタ言語で記述されたデータまたはビットマップイメージを受信し、前記プリンタ言語で記述されたデータを受信した場合、該データをビットマップイメージに展開し、印刷するビットマップイメージを印刷するページ順を、受信したページ順とは独立して制御し、前記ホストコンピュータは、前記データを前記印刷装置でイメージに展開するのに要する時間と、前記データを前記ホストコンピュータでイメージに展開するのに要する時間とを予測し、先行する複数のページを前記ホストコンピュータでイメージに展開して前記印刷装置で印刷を行う間に、後続するページを前記印刷装置でイメージに展開することができる場合に、後続するページを前記プリンタ言語で記述されたデータとして送信し、先行する複数のページをビットマップイメージに展開して送信すると判断することを特徴とする印刷制御方法。」と訂正し、請求項2に繰り上げる。 訂正事項d 特許請求の範囲の請求項4乃至請求項6を特許請求の範囲の減縮を目的として、削除する。 訂正事項e 特許請求の範囲の請求項7を特許請求の範囲の減縮を目的として、 「【請求項7】印刷装置と接続されたホストコンピュータにおいて、 プリンタ言語で記述されたデータに基づいて、印刷装置においてビットマップイメージを印刷する場合であって、 前記プリンタ言語で記述されたデータを送信するか、該データをビットマップイメージに展開して送信するかを、前記データをイメージに展開するのに要する時間に基づいて判断する判断手段と、 前記判断手段での判断によって、プリンタ言語で記述されたデータを送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータを印刷装置側に転送し、前記判断によって、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して前記印刷装置側に転送する転送手段とを有し、前記判断手段は、前記データを前記印刷装置でイメージに展開するのに要する時間と、前記データを前記ホストコンピュータでイメージに展開するのに要する時間とを予測し、先行する複数のページを前記ホストコンピュータでイメージに展開して前記印刷装置で印刷を行う間に、後続するページを前記印刷装置でイメージに展開することができる場合に、後続するページを前記プリンタ言語で記述されたデータとして送信し、先行する複数のページをビットマップイメージに展開して送信すると判断することを特徴とするホストコンピュータ。」と訂正し、請求項3に繰り上げる。 訂正事項f 特許請求の範囲の請求項8を特許請求の範囲の減縮を目的として、削除する。 訂正事項g 特許請求の範囲の請求項9を特許請求の範囲の減縮を目的として、 「【請求項9】 ホストコンピュータと印刷装置で構成され、プリンタ言語で記述されたデータに基づいて、印刷装置においてビットマップイメージを印刷する印刷システムであって、 前記ホストコンピュータに、前記プリンタ言語で記述されたデータを送信するか、該データをビットマップイメージに展開して送信するかを、前記データをイメージに展開するのに要する時間に基づいて判断する判断手段と、前記判断手段での判断によって、プリンタ言語で記述されたデータを送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータを印刷装置側に転送し、前記判断によって、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して前記印刷装置側に転送する転送手段とを有し、前記印刷装置に、前記ホストコンピュータにおいて前記イメージに展開するのに要する時間に基づいて判断の後、転送されたプリンタ言語で記述されたデータまたはビットマップイメージを受信する受信手段と、前記プリンタ言語で記述されたデータを受信した場合、該データをビットマップイメージに展開し、印刷するビットマップイメージを印刷するページ順を、受信したページ順とは独立して制御する制御手段とを有し、前記ホストコンピュータは、前記データを前記印刷装置でイメージに展開するのに要する時間と、前記データを前記ホストコンピュータでイメージに展開するのに要する時間とを予測し、先行する複数のページを前記ホストコンピュータでイメージに展開して前記印刷装置で印刷を行う間に、後続するページを前記印刷装置でイメージに展開することができる場合に、後続するページを前記プリンタ言語で記述されたデータとして送信し、先行する複数のページをビットマップイメージに展開して送信すると判断することを特徴とする印刷システム。」と訂正し、請求項4に繰り上げる。 訂正事項h 特許請求の範囲の請求項10を特許請求の範囲の減縮を目的として、削除する。 訂正事項i 発明の名称を、訂正後の特許請求の範囲に一致させるべく、明細書の対応箇所を訂正する目的として、 「ホストコンピュータ、印刷システム及びそれらの印刷制御方法」と訂正する。 訂正事項j 明細書の段落番号【0001】を、訂正後の特許請求の範囲に一致させるべく、明細書の対応箇所を訂正する目的として、 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開し印刷を行う印刷装置と接続されたホストコンピュータ、印刷システム及びそれらの印刷制御方法に関するものである。」と訂正する。 訂正事項k 明細書の段落番号【0004】を、訂正後の特許請求の範囲に一致させるべく、明細書の対応箇所を訂正する目的として、 「【0004】本発明は、上記課題を解決するために成されたもので、プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開する時間に基づいて印刷装置とホストコンピュータのどちらで展開したらよいかを判断することにより、負荷の分散を行えるホストコンピュータ、印刷システム及びそれらの印刷制御方法を提供することを目的とする。」と訂正する。 訂正事項l 明細書の段落番号【0005】を、訂正後の特許請求の範囲に一致させるべく、明細書の対応箇所を訂正する目的として、削除する。 訂正事項m 明細書の段落番号【0006】を、訂正後の特許請求の範囲に一致させるべく、明細書の対応箇所を訂正する目的として、 「【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、印刷装置と接続されたホストコンピュータにおいて、プリンタ言語で記述されたデータに基づいて、印刷装置においてビットマップイメージを印刷する場合であって、前記プリンタ言語で記述されたデータを送信するか、該データをビットマップイメージに展開して送信するかを、前記データをイメージに展開するのに要する時間に基づいて判断する判断手段と、前記判断手段での判断によって、プリンタ言語で記述されたデータを送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータを印刷装置側に転送し、前記判断によって、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して前記印刷装置側に転送する転送手段とを有し、前記判断手段は、前記データを前記印刷装置でイメージに展開するのに要する時間と、前記データを前記ホストコンピュータでイメージに展開するのに要する時間とを予測し、先行する複数のページを前記ホストコンピュータでイメージに展開して前記印刷装置で印刷を行う間に、後続するページを前記印刷装置でイメージに展開することができる場合に、後続するページを前記プリンタ言語で記述されたデータとして送信し、先行する複数のページをビットマップイメージに展開して送信すると判断することを特徴とする。」と訂正する。 訂正事項n 明細書の段落番号【0007】を、訂正後の特許請求の範囲に一致させるべく、明細書の対応箇所を訂正する目的として、 「【0007】また、上記目的を達成するために、本発明は、ホストコンピュータと印刷装置で構成され、プリンタ言語で記述されたデータに基づいて、印刷装置においてビットマップイメージを印刷する印刷システムであって、前記ホストコンピュータに、前記プリンタ言語で記述されたデータを送信するか、該データをビットマップイメージに展開して送信するかを、前記データをイメージに展開するのに要する時間に基づいて判断する判断手段と、前記判断手段での判断によって、プリンタ言語で記述されたデータを送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータを印刷装置側に転送し、前記判断によって、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して前記印刷装置側に転送する転送手段とを有し、前記印刷装置に、前記ホストコンピュータにおいて前記イメージに展開するのに要する時間に基づいて判断の後、転送されたプリンタ言語で記述されたデータまたはビットマップイメージを受信する受信手段と、前記プリンタ言語で記述されたデータを受信した場合、該データをビットマップイメージに展開し、印刷するビットマップイメージを印刷するページ順を、受信したページ順とは独立して制御する制御手段とを有し、前記ホストコンピュータは、前記データを前記印刷装置でイメージに展開するのに要する時間と、前記データを前記ホストコンピュータでイメージに展開するのに要する時間とを予測し、先行する複数のページを前記ホストコンピュータでイメージに展開して前記印刷装置で印刷を行う間に、後続するページを前記印刷装置でイメージに展開することができる場合に、後続するページを前記プリンタ言語で記述されたデータとして送信し、先行する複数のページをビットマップイメージに展開して送信すると判断することを特徴とする。」と訂正する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張、変更の存否 上記訂正事項a〜hは、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、訂正事項i〜nは、特許請求の範囲の訂正に伴う明瞭でない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)むすび したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項から第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3 特許異議申立について (1)本件特許に係る発明 本件特許の請求項1〜4に係る発明(以下、「本件請求項1に係る発明」、「本件請求項2に係る発明」、以下同じ、という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜4に記載されたとおりのものである(上記2(1)訂正事項b、c、e、g参照)。 (2)申立ての理由の概要 特許異議申立人高橋 四郎は、甲第1号証(特開平6-168084号公報)、甲第2号証(特開平4-65259号公報)を提出し、本件請求項1〜3、5、7、9に係る発明は、甲第1号証〜甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得た発明に該当するから、特許法第29条第2項の規定に違反し、また、請求項2、7に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一、あるいは当該発明に基づいて当業者が容易になし得た発明であり、特許法第29条第1項第3号あるいは同条第2項の規定に違反し、更に、請求項4、6、8、10に係る発明は、特許法36条第4項及び第5項(第6項)の規定に違反しているから、特許を取り消すべきである旨主張している。 (3)引用刊行物記載の発明 当審が通知した取消の理由に引用した刊行物1(上記甲第1号証)には、以下の記載がある。 ア 「プリンタ資源記憶装置220の現ステータス及びプリンタ218の総合処理能力を知って資源アセンブラ208は各データブロックを調べ、印刷エンジン226が走っている間にプリンタ218がそのデータブロックに関するRPLを実時間でビットマップデータに変換できるか否かを決定する。もしプリンタ218がそのデータブロックに関するRPLを実時間でビットマップデータに変換することができなければ、資源アセンブラ208はホストコンピュータ202に命令してRPLをビットマップに処理させ、そのビットマップをプリンタ218へ転送させる。」(第16頁左欄第17行目〜27行目) イ 「コンピュータ・プリンタシステム200のどの部分がRPLをビットマップに変換するかに関する決定は、変換タスクの相対的な複雑さと、システムの各部内のプロセッサの相対的な処理能力とに依存する。現在好ましい実施例では、資源アセンブラ208はコンピュータ・プリンタシステム200のどの部分がデータを処理するのかを決定する上で3つの要因を考慮する。これらの要因とは、 1.ホストコンピュータ202がRPLをビットマップデータに処理するのに要する時間長、 2.プリンタ218がRPLをビットマップデータに処理するのに要する時間長、及び 3.通信チャネルがRPLまたはビットマップデータを転送するために要する時間長 である。換言すれば、資源アセンブラ208は特定のデータブロックに関するRPLをビットマップデータファイルに処理するのに要する時間+通信チャネルがビットマップデータファイルをプリンタ218へ転送するのに要する時間長を計算し、それと通信チャネルがRPLをプリンタ218へ転送するのに要する時間長+プリンタ218がRPLをビットマップデータに処理するのに要する時間長とを比較する。データブロックを処理させるためにホストコンピュータ202を選択するか、またはプリンタ218を選択するかは、詳細を後述するコストメトリクスによって決定される。コンピュータ・プリンタシステム200は、データ処理をホストコンピュータ202とプリンタ218との間で行き来するように移動させることによって負荷の平衡化をも遂行する。」(第16頁左欄第33行目〜右欄第10行目) ウ 「図6は、データのバンドをプリンタへ送るための考え得る若干のオプションを示す。図6のAは、RPLの形状の任意の数のドロープリミティブを使用して記述されたデータのバンドを表す。データのBは、そのバンドを記述するビットマップデータファイルを表す。ビットマップはホストコンピュータ202またはプリンタ218の何れかにおいて作成できることに注意されたい。若干の場合には、Cによって表されているように、ホストコンピュータはビットマップデータファイルを圧縮することができる。図6に示されているように、データ処理のオプション1は、ホストコンピュータ202がRPL(A)をビットマップデータファイル(B)に描写し、データファイルを圧縮する(C)ことを許容する。資源アセンブラ208はRPLをビットマップデータファイルに描写するためのホスト資源実行装置(HRE)として働く。圧縮されたデータファイル(C)はプリンタ218へ伝送され、プリンタ218内において圧縮解除されてビットマップ(B)に戻される。代替としてのオプション2では、ホストコンピュータ202はRPL(A)を直接プリンタ218へ伝送する。プリンタ218はRPL(A)を描写してプリンタ218内にビットマップデータファイル(B)を作成する。」(第23頁左欄10行目〜32行目) 同じく当審が通知した取消の理由に引用した刊行物2(上記甲第2号証)には、以下の記載がある。 エ「両面印刷機構を有するプリンタでは、ホストコンピュータから送られてくる印刷データのページの順番を入れ替えて印刷しなければならないものがある。このような印刷装置において、メモリの使用効率の向上が望まれている。」(第1頁右下欄15行目〜19行目) オ「第7図に示すようなプリンタでは、両面印刷を行う場合、ホストコンピュータから印刷データが1ページ目、2ページ目、3ページ目、4ページ目…・という順番で送られてくると、2ページ目、1ページ目、4ページ目、3ページ目、…・というように印刷順序を変更して印刷を行う。」(第2頁左上欄5行目〜10行目) (4) 対比・判断 ア 本件請求項1に係る発明について 本件請求項1に係る発明と刊行物1、2に記載された発明とを対比すると、 刊行物1に記載された発明は、RPL(Render Primitive List:描写プリミティブリスト)をどの部分(ホストコンピュータ202か、プリンタ218か)にビットマップに変換させるかの資源アセンブラ208による決定が、1データブロックについての、ホストコンピュータ202がRPLをビットマップデータに処理するのに要する時間長と、プリンタ218がRPLをビットマップデータに処理するのに要する時間長のどちらが短いかを単純に比較し行われている構成を開示しているにすぎず、本件請求項1に係る発明の要件である「判断工程は、前記データを前記印刷装置でイメージに展開するのに要する時間と、前記データを前記ホストコンピュータでイメージに展開するのに要する時間とを予測し、先行する複数のページを前記ホストコンピュータでイメージに展開して前記印刷装置で印刷を行う間に、後続するページを前記印刷装置でイメージに展開することができる場合に、後続するページを前記プリンタ言語で記述されたデータとして送信し、先行する複数のページをビットマップイメージに展開して送信すると判断すること」について、開示も示唆もしない。 刊行物2に記載された発明は、両面印刷を行う場合、ホストコンピュータから送信されてくる印刷データの順番と、印刷する順序とを変更して印刷を行う両面印刷機構を有するプリンタが開示されているにすぎず、本件請求項1に係る発明の構成要件である前記「判断工程」について、開示も示唆もしない。 本件請求項1に係る発明は、前記「判断工程」により、「例えば、1ページ目、2ページ目をエミュレータ103でビットマップイメージに展開し、エンジン109で印刷するのにそれぞれ15秒かかり、3ページ目がエミュレータ107でビットマップイメージに展開するのに30秒かかると予想される印刷を行う場合、3ページ目を先にエミュレータ107に送信し、その後、1ページ目、2ページ目をエミュレータ103に送信する」と判断することで、複数のページ間における負荷の分散、すなわち、1ページ目、2ページ目をホストコンピュータで展開処理している間に、印刷装置側で3ページ目の展開処理を行うことができ、その結果、ホストコンピュータと印刷装置の展開処理部であるそれぞれのエミュレータを並行処理させることが可能となる、という顕著な効果を奏するものである。 したがって、本件請求項1に係る発明は、刊行物1、2に記載された発明と同一であるとも、当該発明から当業者が容易に発明することができたものとも認められないから、特許法第29条第1項第3号、又は同条第2項の規定に違反してなされたものとすることはできない。 イ 本件請求項2に係る発明について 本件請求項2に係る発明と刊行物1、2に記載された発明とを対比すると、刊行物1、2は、前記(4)アに示したとおりの発明を開示するにすぎず、そのいずれも、本件請求項2に係る発明の要件である「前記ホストコンピュータは、前記データを前記印刷装置でイメージに展開するのに要する時間と、前記データを前記ホストコンピュータでイメージに展開するのに要する時間とを予測し、先行する複数のページを前記ホストコンピュータでイメージに展開して前記印刷装置で印刷を行う間に、後続するページを前記印刷装置でイメージに展開することができる場合に、後続するページを前記プリンタ言語で記述されたデータとして送信し、先行する複数のページをビットマップイメージに展開して送信すると判断すること」について開示も示唆もしない。 そして、本件請求項2に係る発明は、前記「判断すること」により、前記(4)アで述べたとおりの顕著な効果を奏するものである。 したがって、本件請求項2に係る発明は、刊行物1、2に記載された発明から当業者が容易に発明することができたものとも認められないから、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものとすることはできない。 ウ 本件請求項3に係る発明について 本件請求項3に係る発明と刊行物1、2に記載された発明とを対比すると、刊行物1、2は、前記(4)アに示したとおりの発明を開示するにすぎず、そのいずれも、本件請求項3に係る発明の要件である「前記判断手段は、前記データを前記印刷装置でイメージに展開するのに要する時間と、前記データを前記ホストコンピュータでイメージに展開するのに要する時間とを予測し、先行する複数のページを前記ホストコンピュータでイメージに展開して前記印刷装置で印刷を行う間に、後続するページを前記印刷装置でイメージに展開することができる場合に、後続するページを前記プリンタ言語で記述されたデータとして送信し、先行する複数のページをビットマップイメージに展開して送信すると判断すること」について開示も示唆もしない。 そして、本件請求項3に係る発明は、前記「判断手段」により、前記(4)アで述べたとおりの顕著な効果を奏するものである。 したがって、本件請求項3に係る発明は、刊行物1、2に記載された発明と同一であるとも、当該発明から当業者が容易に発明することができたものとも認められないから、特許法第29条第1項3号、又は同条第2項の規定に違反してなされたものとすることはできない。 エ 本件請求項4に係る発明について 本件請求項4に係る発明と刊行物1、2に記載された発明とを対比すると、刊行物1、2は、前記(4)アに示したとおりの発明を開示するにすぎず、そのいずれも、本件請求項4に係る発明の要件である「前記ホストコンピュータは、前記データを前記印刷装置でイメージに展開するのに要する時間と、前記データを前記ホストコンピュータでイメージに展開するのに要する時間とを予測し、先行する複数のページを前記ホストコンピュータでイメージに展開して前記印刷装置で印刷を行う間に、後続するページを前記印刷装置でイメージに展開することができる場合に、後続するページを前記プリンタ言語で記述されたデータとして送信し、先行する複数のページをビットマップイメージに展開して送信すると判断すること」について開示も示唆もしない。 そして、本件請求項4に係る発明は、前記「判断すること」により、前記(4)アで述べたとおりの顕著な効果を奏するものである。 したがって、本件請求項4に係る発明は、刊行物1、2に記載された発明から当業者が容易に発明することができたものとも認められないから、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものとすることはできない。 (5)記載不備について 特許異議申立人は、「例えば、請求項1に係る発明は(中略)と記載されているだけであり、イメージに展開するのに要する時間に基づいて、どのような基準にしたがって、プリンタ言語で記述されたデータを送信するか、ビットマップイメージに展開して送信するかを判断するかについては記載されていない。このため、イメージに展開するのに要する時間と、プリンタ言語で記述されたデータを送信するか、ビットマップイメージに展開して送信するかの判断との関係が不明瞭である。 かかる部分の明細書の対応箇所は、段落「0019」と思われるが(中略)しかし、『1ページ目、2ページ目をエミュレータ103でビットマップイメージに展開し、エンジン109で印刷するのにそれぞれ15秒かかり、3ページ目がエミュレータ107でビットマップイメージに展開するのに30秒かかると予想される』場合に、なぜ、『3ページ目を先にエミュレータ107に送信し、その後、1ページ目、2ページ目をエミュレータ103に送信する』のかについての説明がなく、また他の記載等から導くこともできない。したがって、発明の詳細な説明を参酌しても、イメージに展開するのに要する時間と、プリンタ言語で記述されたデータを送信するか、ビットマップイメージに展開して送信するかの判断との関係が、依然不明瞭である。このため、本件明細書の記載からは、単に、ビットマップイメージへの展開をホストコンピュータとプリンタとで分散して行なうことによる負荷分散以上の効果は得られず、当業者は、上記本件発明の効果を得るための実施を容易にすることができない。」と主張している。 この点に関して、本件明細書の段落【0019】には「また、実施例では、印字データをページ順に、エミュレータ103に送信してから印刷装置105に送信する場合と、印刷装置105に直接送信する場合とに分けたが、印字データを解析してエミュレータ107でビットマップイメージに展開するのに必要な時間と、エミュレータ103でビットマップイメージに展開するのに必要な時間とを予測し、データの送信先、送信順序等を決定しても良いことは言うまでもない。」とし、その一例として、「例えば、1ページ目、2ページ目をエミュレータ103でビットマップイメージに展開し、エンジン109で印刷するのにそれぞれ15秒かかり、3ページ目がエミュレータ107でビットマップイメージに展開するのに30秒かかると予想される印刷を行う場合、3ページ目を先にエミュレータ107に送信し、その後、1ページ目、2ページ目をエミュレータ103に送信する」ことが記載され、また、同段落【0020】には「以上説明したように、実施例によれば、ホストコンピュータ上にも、プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開する手段を有し、印刷装置上のビットマップイメージ展開手段と併用することによって、エンジンをフルに活用することが可能となる。」と記載されている。 これは、「1ページ目、2ページ目をエミュレータ103でビットマップイメージに展開し、エンジン109で印刷する」時間と、「3ページ目がエミュレータ107でビットマップイメージに展開する」時間が予測できれば、その予測時間を基に、1ページ目、2ページ目をホストコンピュータで展開処理している間に、印刷装置側で3ページ目の展開処理を行うことができるか、すなわち、ホストコンピュータと印刷装置の展開処理部であるエミュレータを並行処理させることが可能であるか、の「判断」を行うことができ、その結果、可能と判断した場合には、3ページ目を先にプリンタ言語でエミュレータ107に送信し、その後、1ページ目、2ページ目をエミュレータ103においてビットマップイメージに展開したデータを送信する、ことを表していることは明らかである。 このことから、本件明細書には「イメージに展開するのに要する時間に基づいて、どのような基準にしたがって、プリンタ言語で記述されたデータを送信するか、ビットマップイメージに展開して送信するかを判断するか」について明瞭に記載されており、よって、イメージに展開するのに要する時間と、プリンタ言語で記述されたデータを送信するか、ビットマップイメージに展開して送信するかの判断との関係について記載が不明瞭であるとはいえない。 したがって、特許法第36条に関する異議申立人の主張は採用できない。 (6) むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立の理由及び証拠によっては、本件請求項1〜4に係る発明についての特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1〜4に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 ホストコンピュータ、印刷システム及びそれらの印刷制御方法 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 印刷装置と接続されたホストコンピュータの印刷制御方法であって、 プリンタ言語で記述されたデータに基づいて、印刷装置においてビットマップイメージを印刷する場合であって、 前記プリンタ言語で記述されたデータを送信するか、該データをビットマップイメージに展開して送信するかを、前記データをイメージに展開するのに要する時間に基づいて判断する判断工程と、 前記判断によって、プリンタ言語で記述されたデータを送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータを前記印刷装置側に転送し、前記判断によって、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して前記印刷装置側に転送する転送工程とを含み、 前記判断工程は、前記データを前記印刷装置でイメージに展開するのに要する時間と、前記データを前記ホストコンピュータでイメージに展開するのに要する時間とを予測し、先行する複数のページを前記ホストコンピュータでイメージに展開して前記印刷装置で印刷を行う間に、後続するページを前記印刷装置でイメージに展開することができる場合に、後続するページを前記プリンタ言語で記述されたデータとして送信し、先行する複数のページをビットマップイメージに展開して送信すると判断することを特徴とする印刷制御方法。 【請求項2】 ホストコンピュータと印刷装置で構成され、プリンタ言語で記述されたデータに基づいて、印刷装置においてビットマップイメージを印刷する印刷システムの印刷制御方法であって、 前記ホストコンピュータにおいて、前記プリンタ言語で記述されたデータを送信するか、該データをビットマップイメージに展開して送信するかを、前記データをイメージに展開するのに要する時間に基づいて判断し、前記判断によって、プリンタ言語で記述されたデータを送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータを印刷装置側に転送し、前記判断によって、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して前記印刷装置側に転送し、 前記印刷装置において、前記イメージに展開するのに要する時間に基づいて判断の後、転送されたプリンタ言語で記述されたデータまたはビットマップイメージを受信し、前記プリンタ言語で記述されたデータを受信した場合、該データをビットマップイメージに展開し、印刷するビットマップイメージを印刷するページ順を、受信したページ順とは独立して制御し、 前記ホストコンピュータは、前記データを前記印刷装置でイメージに展開するのに要する時間と、前記データを前記ホストコンピュータでイメージに展開するのに要する時間とを予測し、先行する複数のページを前記ホストコンピュータでイメージに展開して前記印刷装置で印刷を行う間に、後続するページを前記印刷装置でイメージに展開することができる場合に、後続するページを前記プリンタ言語で記述されたデータとして送信し、先行する複数のページをビットマップイメージに展開して送信すると判断することを特徴とする印刷制御方法。 【請求項3】 印刷装置と接続されたホストコンピュータにおいて、 プリンタ言語で記述されたデータに基づいて、印刷装置においてビットマップイメージを印刷する場合であって、 前記プリンタ言語で記述されたデータを送信するか、該データをビットマップイメージに展開して送信するかを、前記データをイメージに展開するのに要する時間に基づいて判断する判断手段と、 前記判断手段での判断によって、プリンタ言語で記述されたデータを送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータを前記印刷装置側に転送し、前記判断によって、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して前記印刷装置側に転送する転送手段とを有し、 前記判断手段は、前記データを前記印刷装置でイメージに展開するのに要する時間と、前記データを前記ホストコンピュータでイメージに展開するのに要する時間とを予測し、先行する複数のページを前記ホストコンピュータでイメージに展開して前記印刷装置で印刷を行う間に、後続するページを前記印刷装置でイメージに展開することができる場合に、後続するページを前記プリンタ言語で記述されたデータとして送信し、先行する複数のページをビットマップイメージに展開して送信すると判断することを特徴とするホストコンピュータ。 【請求項4】 ホストコンピュータと印刷装置で構成され、プリンタ言語で記述されたデータに基づいて、印刷装置においてビットマップイメージを印刷する印刷システムであって、 前記ホストコンピュータに、前記プリンタ言語で記述されたデータを送信するか、該データをビットマップイメージに展開して送信するかを、前記データをイメージに展開するのに要する時間に基づいて判断する判断手段と、前記判断手段での判断によって、プリンタ言語で記述されたデータを送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータを印刷装置側に転送し、前記判断によって、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して前記印刷装置側に転送する転送手段とを有し、 前記印刷装置に、前記ホストコンピュータにおいて前記イメージに展開するのに要する時間に基づいて判断の後、転送されたプリンタ言語で記述されたデータまたはビットマップイメージを受信する受信手段と、前記プリンタ言語で記述されたデータを受信した場合、該データをビットマップイメージに展開し、印刷するビットマップイメージを印刷するページ順を、受信したページ順とは独立して制御する制御手段とを有し、 前記ホストコンピュータは、前記データを前記印刷装置でイメージに展開するのに要する時間と、前記データを前記ホストコンピュータでイメージに展開するのに要する時間とを予測し、先行する複数のページを前記ホストコンピュータでイメージに展開して前記印刷装置で印刷を行う間に、後続するページを前記印刷装置でイメージに展開することができる場合に、後続するページを前記プリンタ言語で記述されたデータとして送信し、先行する複数のページをビットマップイメージに展開して送信すると判断することを特徴とする印刷制御方法。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開し印刷を行う印刷装置と接続されたホストコンピュータ、印刷システム及びそれらの印刷制御方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、印刷装置においては、プリンタ言語で記述されたデータを受信し、印刷装置内部でビットマップイメージに展開し、印刷を行うというのが一般的な方法である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来例での印刷装置を用いて印刷を行うときに、プリンタ言語で記述されている印刷データをビットマップイメージに展開するのに時間がかかると、エンジンはビットマップイメージが生成されるまで待たされることになり、エンジンの印刷能力がフルに活用されないという問題が発生する。 【0004】本発明は、上記課題を解決するために成されたもので、プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開する時間に基づいて印刷装置とホストコンピュータのどちらで展開したらよいかを判断することにより、負荷の分散を行えるホストコンピュータ、印刷システム及びそれらの印刷制御方法を提供することを目的とする。 【0005】 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、印刷装置と接続されたホストコンピュータにおいて、プリンタ言語で記述されたデータに基づいて、印刷装置においてビットマップイメージを印刷する場合であって、前記プリンタ言語で記述されたデータを送信するか、該データをビットマップイメージに展開して送信するかを、前記データをイメージに展開するのに要する時間に基づいて判断する判断手段と、前記判断手段での判断によって、プリンタ言語で記述されたデータを送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータを印刷装置側に転送し、前記判断によって、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して前記印刷装置側に転送する転送手段とを有し、前記判断手段は、前記データを前記印刷装置でイメージに展開するのに要する時間と、前記データを前記ホストコンピュータでイメージに展開するのに要する時間とを予測し、先行する複数のページを前記ホストコンピュータでイメージに展開して前記印刷装置で印刷を行う間に、後続するページを前記印刷装置でイメージに展開することができる場合に、後続するページを前記プリンタ言語で記述されたデータとして送信し、先行する複数のページをビットマップイメージに展開して送信すると判断することを特徴とする。 【0007】また、上記目的を達成するために、本発明は、ホストコンピュータと印刷装置で構成され、プリンタ言語で記述されたデータに基づいて、印刷装置においてビットマップイメージを印刷する印刷システムであって、前記ホストコンピュータに、前記プリンタ言語で記述されたデータを送信するか、該データをビットマップイメージに展開して送信するかを、前記データをイメージに展開するのに要する時間に基づいて判断する判断手段と、前記判断手段での判断によって、プリンタ言語で記述されたデータを送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータを印刷装置側に転送し、前記判断によって、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して前記印刷装置側に転送する転送手段とを有し、前記印刷装置に、前記ホストコンピュータにおいて前記イメージに展開するのに要する時間に基づいて判断の後、転送されたプリンタ出語で記述されたデータまたはビットマップイメージを受信する受信手段と、前記プリンタ言語で記述されたデータを受信した場合、該データをビットマップイメージに展開し、印刷するビットマップイメージを印刷するページ順を、受信したページ順とは独立して制御する制御手段とを有し、前記ホストコンピュータは、前記データを前記印刷装置でイメージに展開するのに要する時間と、前記データを前記ホストコンピュータでイメージに展開するのに要する時間とを予測し、先行する複数のページを前記ホストコンピュータでイメージに展開して前記印刷装置で印刷を行う間に、後続するページを前記印刷装置でイメージに展開することができる場合に、後続するページを前記プリンタ言語で記述されたデータとして送信し、先行する複数のページをビットマップイメージに展開して送信すると判断することを特徴とする。 【0008】 【0009】 【0010】 【実施例】以下、図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施例を詳細に説明する。 【0011】図1は、実施例によるホストコンピュータと印刷装置の構成を示すブロック図である。同図において、101はホストコンピュータであり、105は印刷装置である。102はキューであり、プリンタ言語で記述されたデータを蓄積する。103はエミュレータであり、キュー102に蓄積されたデータをビットマップイメージに展開する。104はデータ送信判断部であり、キュー102に蓄積されたデータを印刷装置105に送信するか、エミュレータ103にて展開されたビットマップイメージを印刷装置105に送信するかを判断する。 【0012】106は受信データ判断部であり、ホストコンピュータ101からのデータを受信し、そのデータがビットマップイメージかプリンタ言語で記述されたデータかを判断する。107はエミュレータであり、プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開する。108は印字データ制御部であり、印字データ順を制御する。そして、109はエンジンであり、展開されたビットマップイメージに基づいてプリントを行う。 【0013】以上の構成からなる実施例でのホストコンピュータ101と印刷装置105の動作を、図2に示すフローチャートを参照しながら以下に説明する。 【0014】まず、ユーザがホストコンピュータ101上でアプリケーション等を使用して印刷を行うと、印刷データがキュー102に蓄積される(ステップS101)。次に、データ送信判断部104がホストコンピュータ101上でデータをビットマップイメージに展開するか否かを判断する(ステップS102)。この判断の詳細は後述する。ここで、ホストコンピュータ101上でデータをビットマップイメージに展開する場合(ステップS103)、エミュレータ103にデータを送信してビットマップイメージに展開し(ステップS104)、印刷装置105に送信する(ステップS105)。また、データをプリンタ言語のまま印刷装置105に送信する場合(ステップS103)、そのままデータを印刷装置105に送信する(ステップS105)。 【0015】一方、印刷装置105では、受信データ判断部106がデータを受信し、受信したデータがビットマップイメージかプリンタ言語で記述されたデータかを判断する(ステップS106)。ここで、プリンタ言語で記述されたデータであれば(ステップS107)、エミュレータ107がデータをビットマップイメージに展開し(ステップS108)、印字データ制御部108に送信する(ステップS109)。また、受信したデータがビットマップイメージであれば(ステップS107)、そのまま印字データ制御部108に送信する(ステップS109)。そして、印字データ制御部108が印字データの順番を監視し、次に印字されるべきデータではないものが来た場合には、印字データをスプーリングして正しいデータがくるのを待ち、正しいデータを受け取ると、これを先にエンジン109に送信する(ステップS110)。 【0016】次に、上述したデータ送信判断部104の具体的な判断について、図3に示すフローチャートを参照しながら以下に説明する。 【0017】まず、キュー102からデータを受信し(ステップS201)、受信データが奇数ページか否かを判断する(ステップS202)。ここで、受信データが奇数ページであれば、受信データを印刷装置105に送信する(ステップS203)。しかし、受信データが偶数ページであれば、受信データをエミュレータ103に送信する(ステップS204)。そして、データがまだあるか否かを判断し(ステップS205)、あればステップS201に処理を戻し、上述の判断処理を繰り返すが、なければ終了する。 【0018】<変形例>図3に示すステップS202では、偶数ページをエミュレータ103に送信後印刷装置105に送信し、奇数ページを直接印刷装置105に送信したが、逆に奇数ページをエミュレータ103に送信後印刷装置105に送信し、偶数ページを直接印刷装置105に送信しても良いことは言うまでもない。 【0019】また、実施例では、印字データをページ順に、エミュレータ103に送信してから印刷装置105に送信する場合と、印刷装置105に直接送信する場合とに分けたが、印字データを解析してエミュレータ107でビットマップイメージに展開するのに必要な時間と、エミュレータ103でビットマップイメージに展開するのに必要な時間とを予測し、データの送信先、送信順序等を決定しても良いことは言うまでもない。例えば、1ページ目、2ページ目をエミュレータ103でビットマップイメージに展開し、エンジン109で印刷するのにそれぞれ15秒かかり、3ページ目がエミュレータ107でビットマップイメージに展開するのに30秒かかると予想される印刷を行う場合、3ページ目を先にエミュレータ107に送信し、その後、1ページ目、2ページ目をエミュレータ103に送信する機能を持つデータ送信判断部104を実現することにより、本発明の目的を達成することができる。 【0020】以上説明したように、実施例によれば、ホストコンピュータ上にも、プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開する手段を有し、印刷装置上のビットマップイメージ展開手段と併用することによって、エンジンをフルに活用することが可能となる。 【0021】尚、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器から成る装置に適用しても良い。 【0022】また、本発明はシステム或いは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適用できることは言うまでもない。 【0023】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開する時間に基づいて印刷装置とホストコンピュータのどちらで展開したらよいかを判断することにより、負荷の分散を行うことが可能となる。 【0024】 【図面の簡単な説明】 【図1】実施例によるホストコンピュータと印刷装置の構成を示すブロック図である。 【図2】実施例による動作を示すフローチャートである。 【図3】実施例によるデータ送信判断部の判断処理を示すフローチャートである。 【符号の説明】 101 ホストコンピュータ 102 キュー 103 エミュレータ 104 データ送信判断部 105 印刷装置 106 受信データ判断部 107 エミュレータ 108 印字データ制御部 109 エンジン |
訂正の要旨 |
i.特許請求の範囲の請求項1を削除する。 ii.特許請求の範囲の請求項2を下記のように訂正する。 記 【請求項2】 印刷装置と接続されたホストコンピュータの印刷制御方法であって、 プリンタ言語で記述されたデータに基づいて、印刷装置においてビットマップイメージを印刷する場合であって、 前記プリンタ言語で記述されたデータを送信するか、該データをビットマップイメージに展開して送信するかを、前記データをイメージに展開するのに要する時間に基づいて判断する判断工程と、 前記判断によって、プリンタ言語で記述されたデータを送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータを前記印刷装置側に転送し、前記判断によって、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して前記印刷装置側に転送する転送工程とを含み、 前記判断工程は、前記データを前記印刷装置でイメージに展開するのに要する時間と、前記データを前記ホストコンピュータでイメージに展開するのに要する時間とを予測し、先行する複数のページを前記ホストコンピュータでイメージに展開して前記印刷装置で印刷を行う間に、後続するページを前記印刷装置でイメージに展開することができる場合に、後続するページを前記プリンタ言語で記述されたデータとして送信し、先行する複数のページをビットマップイメージに展開して送信すると判断することを特徴とする印刷制御方法。 iii.特許請求の範囲の請求項3を下記のように訂正する。 記 【請求項3】 ホストコンピュータと印刷装置で構成され、プリンタ言語で記述されたデータに基づいて、印刷装置においてビットマップイメージを印刷する印刷システムの印刷制御方法であって、 前記ホストコンピュータにおいて、前記プリンタ言語で記述されたデータを送信するか、該データをビットマップイメージに展開して送信するかを、前記データをイメージに展開するのに要する時間に基づいて判断し、前記判断によって、プリンタ言語で記述されたデータを送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータを印刷装置側に転送し、前記判断によって、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して前記印刷装置側に転送し、 前記印刷装置において、前記イメージに展開するのに要する時間に基づいて判断の後、転送されたプリンタ言語で記述されたデータまたはビットマップイメージを受信し、前記プリンタ言語で記述されたデータを受信した場合、該データをビットマップイメージに展開し、印刷するビットマップイメージを印刷するページ順を、受信したページ順とは独立して制御し、 前記ホストコンピュータは、前記データを前記印刷装置でイメージに展開するのに要する時間と、前記データを前記ホストコンピュータでイメージに展開するのに要する時間とを予測し、先行する複数のページを前記ホストコンピュータでイメージに展開して前記印刷装置で印刷を行う間に、後続するページを前記印刷装置でイメージに展開することができる場合に、後続するページを前記プリンタ言語で記述されたデータとして送信し、先行する複数のページをビットマップイメージに展開して送信すると判断することを特徴とする印刷制御方法。 iv.特許請求の範囲の請求項4乃至請求項6を削除する。 v.特許請求の範囲の請求項7を下記のように訂正する。 記 【請求項7】 印刷装置と接続されたホストコンピュータにおいて、 プリンタ言語で記述されたデータに基づいて、印刷装置においてビットマップイメージを印刷する場合であって、 前記プリンタ言語で記述されたデータを送信するか、該データをビットマップイメージに展開して送信するかを、前記データをイメージに展開するのに要する時間に基づいて判断する判断手段と、 前記判断手段での判断によって、プリンタ言語で記述されたデータを送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータを前記印刷装置側に転送し、前記判断によって、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して前記印刷装置側に転送する転送手段とを有し、 前記判断手段は、前記データを前記印刷装置でイメージに展開するのに要する時間と、前記データを前記ホストコンピュータでイメージに展開するのに要する時間とを予測し、先行する複数のページを前記ホストコンピュータでイメージに展開して前記印刷装置で印刷を行う間に、後続するページを前記印刷装置でイメージに展開することができる場合に、後続するページを前記プリンタ言語で記述されたデータとして送信し、先行する複数のページをビットマップイメージに展開して送信すると判断することを特徴とするホストコンピュータ。 vi.特許請求の範囲の請求項8を削除する。 vii.特許請求の範囲の請求項9を下記のように訂正する。 記 【請求項9】 ホストコンピュータと印刷装置で構成され、プリンタ言語で記述されたデータに基づいて、印刷装置においてビットマップイメージを印刷する印刷システムであって、 前記ホストコンピュータに、前記プリンタ言語で記述されたデータを送信するか、該データをビットマップイメージに展開して送信するかを、前記データをイメージに展開するのに要する時間に基づいて判断する判断手段と、前記判断手段での判断によって、プリンタ言語で記述されたデータを送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータを印刷装置側に転送し、前記判断によって、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して前記印刷装置側に転送する転送手段とを有し、 前記印刷装置に、前記ホストコンピュータにおいて前記イメージに展開するのに要する時間に基づいて判断の後、転送されたプリンタ言語で記述されたデータまたはビットマップイメージを受信する受信手段と、前記プリンタ言語で記述されたデータを受信した場合、該データをビットマップイメージに展開し、印刷するビットマップイメージを印刷するページ順を、受信したページ順とは独立して制御する制御手段とを有し、 前記ホストコンピュータは、前記データを前記印刷装置でイメージに展開するのに要する時間と、前記データを前記ホストコンピュータでイメージに展開するのに要する時間とを予測し、先行する複数のページを前記ホストコンピュータでイメージに展開して前記印刷装置で印刷を行う間に、後続するページを前記印刷装置でイメージに展開することができる場合に、後続するページを前記プリンタ言語で記述されたデータとして送信し、先行する複数のページをビットマップイメージに展開して送信すると判断することを特徴とする印刷制御方法。 viii.特許請求の範囲の請求項10を削除する。 ix.発明の名称を下記のように訂正する。 記 【発明の名称】 ホストコンピュータ、印刷システム及びそれらの印刷制御方法 x.明細書の段落番号【0001】を下記のように訂正する。 記 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開し印刷を行う印刷装置と接続されたホストコンピュータ、印刷システム及びそれらの印刷制御方法に関するものである。 xi.明細書の段落番号【0004】を下記のように訂正する。 記 【0004】本発明は、上記課題を解決するために成されたもので、プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開する時間に基づいて印刷装置とホストコンピュータのどちらで展開したらよいかを判断することにより、負荷の分散を行えるホストコンピュータ、印刷システム及びそれらの印刷制御方法を提供することを目的とする。 xii.明細書の段落番号【0005】の記載内容を削除する。 xiii.明細書の段落番号【0006】を下記のように訂正する。 記 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、印刷装置と接続されたホストコンピュータにおいて、プリンタ言語で記述されたデータに基づいて、印刷装置においてビットマップイメージを印刷する場合であって、前記プリンタ言語で記述されたデータを送信するか、該データをビットマップイメージに展開して送信するかを、前記データをイメージに展開するのに要する時間に基づいて判断する判断手段と、前記判断手段での判断によって、プリンタ言語で記述されたデータを送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータを印刷装置側に転送し、前記判断によって、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して前記印刷装置側に転送する転送手段とを有し、前記判断手段は、前記データを前記印刷装置でイメージに展開するのに要する時間と、前記データを前記ホストコンピュータでイメージに展開するのに要する時間とを予測し、先行する複数のページを前記ホストコンピュータでイメージに展開して前記印刷装置で印刷を行う間に、後続するページを前記印刷装置でイメージに展開することができる場合に、後続するページを前記プリンタ言語で記述されたデータとして送信し、先行する複数のページをビットマップイメージに展開して送信すると判断することを特徴とする。 xiv.明細書の段落番号【0007】を下記のように訂正する。 記 【0007】また、上記目的を達成するために、本発明は、ホストコンピュータと印刷装置で構成され、プリンタ言語で記述されたデータに基づいて、印刷装置においてビットマップイメージを印刷する印刷システムであって、前記ホストコンピュータに、前記プリンタ言語で記述されたデータを送信するか、該データをビットマップイメージに展開して送信するかを、前記データをイメージに展開するのに要する時間に基づいて判断する判断手段と、前記判断手段での判断によって、プリンタ言語で記述されたデータを送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータを印刷装置側に転送し、前記判断によって、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して送信すると判断された場合は、前記プリンタ言語で記述されたデータをビットマップイメージに展開して前記印刷装置側に転送する転送手段とを有し、前記印刷装置に、前記ホストコンピュータにおいて前記イメージに展開するのに要する時間に基づいて判断の後、転送されたプリンタ言語で記述されたデータまたはビットマップイメージを受信する受信手段と、前記プリンタ言語で記述されたデータを受信した場合、該データをビットマップイメージに展開し、印刷するビットマップイメージを印刷するページ順を、受信したページ順とは独立して制御する制御手段とを有し、前記ホストコンピュータは、前記データを前記印刷装置でイメージに展開するのに要する時間と、前記データを前記ホストコンピュータでイメージに展開するのに要する時間とを予測し、先行する複数のページを前記ホストコンピュータでイメージに展開して前記印刷装置で印刷を行う間に、後続するページを前記印刷装置でイメージに展開することができる場合に、後続するページを前記プリンタ言語で記述されたデータとして送信し、先行する複数のページをビットマップイメージに展開して送信すると判断することを特徴とする。 |
異議決定日 | 2003-04-30 |
出願番号 | 特願平6-175293 |
審決分類 |
P
1
651・
536-
YA
(G06F)
P 1 651・ 537- YA (G06F) P 1 651・ 113- YA (G06F) P 1 651・ 121- YA (G06F) |
最終処分 | 維持 |
特許庁審判長 |
吉村 宅衛 |
特許庁審判官 |
治田 義孝 仲間 晃 |
登録日 | 2001-11-16 |
登録番号 | 特許第3251429号(P3251429) |
権利者 | キヤノン株式会社 |
発明の名称 | ホストコンピュータ、印刷システム及びそれらの印刷制御方法 |
代理人 | 木村 秀二 |
代理人 | 森島 なるみ |
代理人 | 大塚 康徳 |
代理人 | 大塚 康弘 |
代理人 | 高柳 司郎 |
代理人 | 大塚 康徳 |
代理人 | 木村 秀二 |
代理人 | 高柳 司郎 |
代理人 | 大塚 康弘 |