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審決分類 審判 全部申し立て 特39条先願  A23L
審判 全部申し立て 特29条の2  A23L
管理番号 1081344
異議申立番号 異議2002-72255  
総通号数 45 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-01-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-09-17 
確定日 2003-06-02 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3265835号「味付け油揚げの製造法」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3265835号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第3265835号の請求項1に係る発明についての出願は、平成6年7月7日に特願平6-155873号として出願され、平成14年1月11日にその特許権の設定登録がなされ、その後、上坂陽子より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、意見書が提出された後、再度取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成15年4月18日に訂正請求がなされたものである。

II.訂正請求
1.訂正の内容
(1)訂正事項(1)
特許請求の範囲の【請求項1】について、「・・・マイクロ波乾燥することを特徴とする・・・」を、「・・・マイクロ波乾燥しマイクロ波乾燥後は乾燥しないことを特徴とする・・・」と訂正する。
(2)訂正事項(2)
本件明細書の段落【0011】の記載について「・・・マイクロ波乾燥することを特徴とする・・・」を、「・・・マイクロ波乾燥しマイクロ波乾燥後は乾燥しないことを特徴とする・・・」と訂正する。
2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項(1)は、請求項1に「マイクロ波乾燥後は乾燥しないこと」という構成要件を直列的に付加するものであるから特許請求の範囲の減縮に該当し、同(2)は、同(1)に伴う訂正で、明りょうでない記載の釈明に該当する。
また、この訂正は新規事項に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。
3.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求は、特許法120条の4,2項、及び同条3項で準用する126条2項、3項の規定に適合するので、請求のとおり当該訂正を認める。

III.特許異議申立
1.特許異議申立書の理由の概要
特許異議申立人は、下記甲第1号証乃至甲第4号証を提出し、訂正前の本件請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であるから特許法29条の2の規定に違反してされたものである、或いは、甲第4号証に記載された発明と同一であるから特許法39条第1項の規定に違反してされたものであると主張している。

甲第1号証:特願平5-164159号(特開平6-343412号 公報)
甲第2号証:特開昭56-92753号公報
甲第3号証:特開平5-292912号公報
甲第4号証:特願平5-164159号(特許第3007769号公報)
2.特許法29条の2及び39条第1項違反について
訂正された請求項1に係る発明は、着味した油揚げを水分15〜25%になるようにマイクロ波乾燥し、着味してマイクロ波乾燥した後の味付け油揚げの厚さが着味前の油揚げの厚さとほぼ同じである味付け油揚げの製造方法において、「マイクロ波乾燥後は乾燥しないこと」を特徴とするものである。
特許異議申立人の提出した甲第1号証乃至甲第4号証を検討すると、甲第1号証には、「1.着味工程を経た若しくは経ていない、水分が20〜75%の油揚げを水分が15〜30%になるようにマイクロ波乾燥し、次いでマイクロ波乾燥以外の乾燥法にて水分が12%以下となるように乾燥することを特徴とする乾燥油揚げの製造方法。2.マイクロ波乾燥時間が0.5〜15分である請求項1記載の乾燥油揚げの製造方法。」(特許請求の範囲の項)が、甲第2号証には、「・・・通風式乾燥機又は減圧マイクロ波装置で乾燥し、水分8〜20%の味付け油揚げとする。」(3頁左上欄13行〜14行)ことが、甲第3号証には、「前記第1工程〜第4工程により均一に着味された油揚げを前記型枠から取り出し、第5工程により乾燥、例えば、水分量が8〜14%になるまで乾燥させる・・・」(3頁左欄15行〜17行)ことが、甲第4号証には、「1.着味工程を経た若しくは経ていない、水分が20〜75%の油揚げを水分が15〜30%になるようにマイクロ波乾燥し、次いでマイクロ波乾燥以外の乾燥法にて水分が12%以下となるように乾燥することを特徴とする乾燥油揚げの製造方法。2.マイクロ波乾燥時間が0.5〜15分である請求項1記載の乾燥油揚げの製造方法。」(特許請求の範囲の項)(甲第4号証は甲第1号証特許出願の特許公報である)が記載されている。
そこで、本件請求項1に係る発明と、甲第1号証記載の出願当初明細書に記載された発明とを比較すると、前者が、マイクロ波乾燥後は乾燥しないのに対して、後者は、マイクロ波乾燥し、マイクロ波乾燥以外の乾燥法にて水分が12%以下となるように乾燥する点で、両者は明らかに相違している。
この点につき、特許異議申立人は甲第2,3号証を援用し、乾燥油揚げの水分を12%以下に設定することは当分野の慣用技術であるから、上記相違点は課題解決のための具体化手段における微差、すなわち慣用技術の削除であって、新たな効果を奏するものではないから、本件請求項1に係る発明は、甲第1号証先願発明と実質的同一である旨主張している。
しかしながら、甲第2,3号証記載の慣用技術は原料油揚げを直接、マイクロ波乾燥以外の手段で乾燥することであるから、甲第1号証先願発明のようにマイクロ波加熱して特定の水分域にした油揚げを熱風乾燥することが、慣用技術であるものとは認められない。
また、甲第1号証先願発明は、マイクロ波乾燥と熱風乾燥を連続的に行うことにより発明の目的を達成するものであり、出願当初の明細書を更に検討しても、マイクロ波乾燥後の中間品を取り出して製品化することは全く記載されていない。
そして、本件請求項1に係る発明は、湯戻り復元性が迅速であるという甲第1号証先願発明にはない新たな効果を奏するものである。
したがって、本件請求項1に係る発明は、甲第1号証先願発明と同一とは認められないから、本件請求項1に係る発明は、特許許法29条の2の規定に違反してされたものであるとはいえない。
次に、本件請求項1に係る発明と、甲第4号証記載の出願の特許請求の範囲に記載された発明を比較すると、両者は、前者が、マイクロ波乾燥後は乾燥しないのに対して、後者はマイクロ波乾燥し、マイクロ波乾燥以外の乾燥法にて水分が12%以下となるように乾燥する点で両者は明らかに相違している。
したがって、本件請求項1に係る発明は、甲第4号証先願発明と同一とは認められないから、本件請求項1に係る発明は、特許法39条第1項の規定に違反してされたものであるとはいえない。
3.まとめ
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る発明についての特許を取り消すことはできない。
また他に本件請求項1に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
味付け油揚げの製造法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】着味した油揚げを水分15〜25%になるようにマイクロ波乾燥しマイクロ波乾燥後は乾燥しないことを特徴とする着味してマイクロ波乾燥した後の味付け油揚げの厚さが、着味前の油揚げの厚さとほぼ同じである味付け油揚げの製造法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定水分域に乾燥した味付け油揚げの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】油揚げは、丸大豆を主原料として製造した豆腐を裁断し、油で揚げる伝統的な製造法と、分離大豆蛋白と油脂と水によるエマルジョンを凝固させて得られる豆腐を必要により裁断し、油で揚げる油揚げの製造法との2つの製造法に大別される。これら各々油揚げの乾燥品においては前者に比べ後者のほうが湯戻りに優れ即席食品等としての用途に優れる。従って、従来から即席食品としての用途には後者が用いられてきた。
【0003】そこで、前者の湯戻り復元性の問題を解決するため、着味液を含んだ状態の、換言すれば多水分の油揚げを容器に入れて加熱殺菌したレトルト油揚げが製造された。ところが、レトルト殺菌は高温で行われる為、レトルト袋にピンホールが生じ油揚げが汚染され腐敗することがあったり、メイラード反応等により味が変化することがあったりする等の問題があった。
【0004】一方、乾燥品では前述のように前者は湯戻り復元性に劣る問題、乾燥による油脂の酸敗や蛋白の熱変性を招き易い欠点、乾燥製品は肉厚が薄く、表面はしわ状となり、乾燥前の油揚げの様な外観には程遠いものとなってしまい、食感が硬くなるといった問題を抱えている。
【0005】一般に、これら即席用の油揚げは、フライ後、着味液に浸漬して味付けを行った後、乾燥することにより、着味乾燥油揚げとされている。
【0006】なお、着味工程では、原料油揚げを70℃前後の着味液に一定時間浸漬せしめた後、ロ-ル等を使用して、脱液を行う手法が一般的に採用されており、またそのような着味を行った後原料油揚げは、熱風乾燥または凍結真空乾燥により乾燥せしめられて、製品とされている。
【0007】ところで、近年、消費者のニ-ズとして乾燥味付け油揚げも生の油揚げの様な大きさと肉厚を有するものが望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は丸大豆を原料として製造される豆腐を裁断しフライして得られる油揚げを着味し、乾燥した乾燥油揚げの前記欠点、即ち、湯戻り復元性に劣る、油脂が酸敗しやすい、蛋白が熱変性しやすい、乾燥した油揚げの肉厚が薄い、表面がしわになる、食感が硬い等の問題を解決すべく乾燥方法について検討した。
【0009】熱風乾燥では前記問題のうち食感の硬くなる傾向が特に強く、凍結乾燥でも肉厚やしわの問題は解決されなかった。マイクロ波乾燥でも、着味ムラが生じたり、不均一な膨化に伴う局部的「へたり」により、製品に「しみ」が発生する等の新たな問題に直面した。
【0010】そこで、本発明者等は、乾燥後も原料油揚げの肉厚と大きさを保ち、食欲をそそるような見栄えが良く、その湯戻し後の復元の迅速性と食感の良い乾燥油揚げを製造すること、前記「着味ムラ」や「しみ」の生じない製造法を目的とした。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、着味した油揚げを水分15〜25%になるようにマイクロ波乾燥しマイクロ波乾燥後は乾燥しないことを特徴とする着味してマイクロ波乾燥した後の味付け油揚げの厚さが、着味前の油揚げの厚さとほぼ同じである味付け油揚げの製造法である。
【0012】本発明の着味した油揚げとは油揚げを着味したもので、用いる油揚げは丸大豆を原料として製造されたものが適当である。
【0013】この油揚げの製造方法は、丸大豆を主原料として油揚げ用の豆腐を製造し、裁断した後、油で揚げる方法であり、より詳しくは、丸大豆を水に浸漬し、膨潤した丸大豆を磨砕し、得られた「ご」からオカラ成分を除いて得た豆乳にニガリ等の蛋白凝固剤を加えて凝固した豆腐を得、これを油揚げの大きさに裁断した後、油で揚げて油揚げを得る。
【0014】裁断する大きさは用途に応じて自由に定めることが出来るが、例えば即席素材用や惣菜用には縦×横が45mm×45mm〜45mm×90mm、厚さが7mm〜9mmが最も適当で、これから得られる油揚げの大きさは、縦×横が80mm×80mm〜80mm×160mm、厚さ(周辺部)が20mm〜28mmとすることが出来る。
【0015】油揚げが小さいと、油揚げのもつ質感や量感(肉厚感のようなもの)が得られず、大きすぎると即席食品用には不適である。
【0016】本発明における油揚げの着味は、フライした油揚げを着味液に浸漬して味付けを行うことが出来、例えば、原料油揚げを通常65℃〜85℃(好ましくは70℃〜80℃)の着味液に一定時間浸漬せしめた後、ロ-ル等を使用して、脱液を行う着味工程を利用することが出来る。
【0017】本発明のマイクロ波乾燥前の段階で着味液の油揚げに対する含有量が少ない程マイクロ波乾燥は省エネルギーで運転出来るが、あまり脱水しすぎると着味による味が薄くなったり、乾燥後薄くなり厚みを有する油揚げが得られない等するので、着味液の濃度にもよるが、通常着味前油揚100重量部に対し、着味液が40〜140重量部、好ましくは80〜100重量部を含んだ状態にして、次のマイクロ波乾燥することが適当である。
【0018】着味液は、好みに応じて適宜調製することが出来る。例えば醤油、砂糖、各種エキス類、アミノ酸等化学調味料等を適宜に配合して着味液(調味液)を調製することが出来る。本発明において最も重要な点は、以上のようにして着味した油揚げ(肉厚が充分である)を水分15〜25%になるように、肉厚を着味前の油揚げとほぼ同等の厚さを保持するようにマイクロ波乾燥することである。
【0019】マイクロ波乾燥でないと目的の乾燥油揚げを得ることが出来ず、このとき水分が15〜25%でないと目的の油揚げは得ることが出来ない。
【0020】又、水分15〜25%となるように処理した時のみ、原料揚げと略同一の厚みと大きさを保持すること、着味液による「しみ」の発生がなく、均一な膨化による肉厚の維持、また、熱湯による復元の迅速性に非常に優れ、復元後の食感も、熱風乾燥や真空凍結乾燥等に比べて同等若しくはそれ以上であること、の諸要求を悉く満足することができる。即ち、着味・脱液処理を施した油揚げのマイクロ処理後の水分が15%未満となると、熱湯による復元後の食感が硬くなり、通常の熱風乾燥品に比べて劣るため、商品価値が無くなる問題が発生し、一方マイクロ処理しても、水分が25%を越えるような割合で残留すると、内部膨化が均一に得られず、いわゆる油揚げ表面に「へたり」が生じ、乾燥処理にて油揚げ表面に「しみ」が発生し、同じく商品価値が無くなる。
【0021】本発明の特徴は、マイクロ波乾燥後の味付け油揚げの厚さが、着味前の油揚げの厚さとほぼ同じである。この為には、前述のように、マイクロ波乾燥後の味付け油揚げの水分が15〜25%となるようにマイクロ波乾燥することが適当である。
【0022】照射方法は、連続若しはかんけつ照射を行うことができる。マイクロ波照射と遠赤外線による加熱操作を併用することが出来、乾燥時の油揚げの水分調整が容易となり、油揚げの辺縁と内部が均一に膨化でき、油揚げの品質を均一化にできる。
【0023】本発明により、得られた着味された油揚げは鍋焼ききつねうどん(チルド品)等の具材として使うことが適当である。その他即席用素材として、煮込み用等各種惣菜として用いることも出来る。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明の実施態様を具体的に説明する。実施例1丸大豆を原料として製造された豆腐を裁断(45mm×45mm×厚さ8mm)しフライ(110℃〜170℃の多段揚げ)して製造した油揚げ500枚〔総重量5350g,水分45%,大きさ(平均):80.6mm×80.6mm,厚さ:25.2mm(周辺部)、14.1mm(中央部)〕を用い、70〜80℃の着味液(醤油、砂糖及び化学調味料を主成分とするもの)5リットルに、5分間浸漬した後、ロ-ルにかけ脱液を行った。なお、脱液後の揚げの水分は40.2%,揚げの大きさ(平均):83.7mm×84.2mm,厚みは4.8mmであった。
【0025】次いで、この着味された油揚げを電子レンジ(三洋電機(株)製:2450MHz
,500W)にて、マイクロ波照射を行い、加熱乾燥操作を施し、油揚げ水分を15〜25%に調整し、目的とする油揚げを得た。
【0026】かくして得られた各種の乾燥油揚げについて、その100枚あたりの平均の大きさと厚み、表面の性状を調べた。その結果を、下記表1に示した。
【0027】
【表1】

また、比較のために、従来と同様な熱風乾燥(80℃で2時間)を行って得られた乾燥品についても、同様に評価し、その結果を表1に併せて示した。
【0028】また、即席用乾燥味付け油揚げとして表2に示す分離大豆蛋白由来の乾燥揚げ(大豆たん白揚げ)と丸大豆由来の乾燥揚げ(即席用油揚げ),丸大豆由来の市販油揚げ(市販油揚げ)と本実施例表1のNo.3の油揚げに対して熱湯を注いで1分,3分,5分後の食感を調査し、湯戻りの迅速性を比較し、優、良、可、
【0029】不可の評価の結果を表2に示した。
【表2】

以上の結果より、分離大豆蛋白由来の乾燥揚げでは湯戻しに3分を要し、丸大豆由来の乾燥揚げにも湯戻しに3分を要し、丸大豆由来の市販油揚げでは湯戻しに5分を要したが表1のNo.3の油揚げでは湯戻しに1分しか要しなかった。
【0030】次いで、本実施例表1のNo.3の油揚げをパネラ-20名により嗜好テストを行った結果は表3の通りである。
【0031】
【表3】

次に、本実施例と同様にして丸大豆から豆腐を経由して製造した油揚げを表4に示すような水分にマイクロ波乾燥し、水分活性(AW)を測定し、10℃にて60日間保存した後のカビ発生の有無と風味を調べた。結果を表4に示した。
【0032】
【表4】

以上、表1に示されるように、着味工程にて脱液処理後の油揚げの厚みが原料の油揚げの厚さの約1/4になっても、マイクロ波処理により得られた乾燥品の厚みは、原料の油揚げと略同じ厚さ(周辺部)となるばかりでなく、大きさも原料の油揚げと略同様で、しかも油揚げの表面が滑らかでふっくらとした見栄えの良い、しかも「しみ」の少ないものであった。勿論、復元後の食感も、通常の熱風乾燥品(比較例)に比べ優れたものであった。しかし、NO1,のマイクロ波乾燥後の水分が15%未満のものでは、大きさや厚みを満足し、「しみ」の少ない滑らかなものを得ることができるが、食感は硬くなり商品価値のないものとなった。
【0033】表1のNo.4のマイクロ波乾燥後の水分が25%よりも高い場合、迅速な復元性を示し、食感は良好であったが、「しみ」の発生は免れず、しわの多いものとなり、油揚げの厚みも満足なものを得ることができなかった。
【0034】また、比較例の熱風乾燥品では、大きさ、厚みが原料よりも小さくなりしわも多く、湯戻り後も湯戻り前に比べると、中央部が少し膨らむものの目的を満足するものではなかった。
【0035】そしてかかる表4に示すように、乾燥後油揚げ水分は保存性にも影響し、25%より多いものはその保存性も悪く、特に風味の劣化が著しく早く商品価値のないものとなった。
【0036】また、これら油揚げを個包装することで保存性も格段に向上することが確認された。応用例1鍋焼きホイルにうどんだしとうどんを入れ加熱し、麺が適度にほぐれ温まると、加熱を止めて、実施例1のNo.2と同様にして得た着味しマイクロ波乾燥された油揚げを麺にのせ、よくだしと絡ませて、1分放置後、食した。これにて、本格風きつねうどんを簡単に作り、食べることができた。復元後は、原料油揚げと略同一の大きさと肉厚のある油揚げとなった。
【0037】
【効果】以上、本発明により、丸大豆を主原料とする油揚げを用いながらも、乾燥後も原料油揚げと略同一の大きさと肉厚のある、見栄えの良い、しかも湯戻し後の復元性が優れ、食感の良い乾燥油揚げをマイクロ波を利用して、有利に製造することが出来る事となったのである。
【0038】特に、本発明においては、従来のマイクロ波加熱乾燥に伴う欠点(シミやシワ等)を克服しつつ、従来から提案されている特別な手法を採用しなくても、且つその他の乾燥処理を組みあわさなくても、生産性、品質面の点からも肉厚のある、しかも復元性の良い乾燥揚げの製造方法を提供したのである。
 
訂正の要旨 A.特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1において「・・・マイクロ波乾燥することを特徴とする・・・」とあるのを「・・・マイクロ波乾燥しマイクロ波乾燥後は乾燥しないことを特徴とする・・・」と訂正する。
これに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、明細書【0011】の【課題を解決するための手段】において、「・・・マイクロ波乾燥することを特徴とする・・・」とあるのを、明りょうでない記載の釈明を目的として、「・・・マイクロ波乾燥しマイクロ波乾燥後は乾燥しないことを特徴とする・・・」と訂正する。
異議決定日 2003-05-14 
出願番号 特願平6-155873
審決分類 P 1 651・ 16- YA (A23L)
P 1 651・ 4- YA (A23L)
最終処分 維持  
特許庁審判長 河野 直樹
特許庁審判官 田中 久直
種村 慈樹
登録日 2002-01-11 
登録番号 特許第3265835号(P3265835)
権利者 不二製油株式会社
発明の名称 味付け油揚げの製造法  

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