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審決分類 審判 全部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  B65D
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  B65D
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B65D
審判 全部申し立て 2項進歩性  B65D
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  B65D
管理番号 1081373
異議申立番号 異議2002-71683  
総通号数 45 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-08-13 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-07-08 
確定日 2003-05-21 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3245031号「バッグインボックス用袋体およびバッグインボックス」の請求項1ないし12に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3245031号の請求項1ないし12に係る特許を維持する。 
理由
1.手続の経緯

特許第3245031号(以下、「本件」という。)の請求項1ないし12に係る発明についての出願(以下、「本件出願」という。)は、平成7年11月14日(特許法第41条第1項による優先権主張 平成6年11月18日)に特願平7-295733号として特許出願され、平成13年10月26日にその発明について特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人 株式会社 ディスク により特許異議の申立て(以下、「本件異議申立て」という。)がなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成15年3月28日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断

(1) 訂正の内容

特許権者が求めている訂正の内容は以下のa,bのとおりである。

ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1について、「頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は46〜55°で、底部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は40〜50°であり」を「頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は46〜55°で、底部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は40〜50°であり、且つ、頂部側の閉鎖シール部を底部側の閉鎖シール部よりも若干深い位置に形成して」に訂正する。

イ.訂正事項b
発明の詳細な説明の記載について、「囲まれることによって形成されたものであることを特徴とする」(段落【0013】)を「囲まれることによって形成されたものであり、(e) 頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は46〜55°で、底部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は40〜50°であり、且つ、頂部側の閉鎖シール部を底部側の閉鎖シール部よりも若干深い位置に形成して、内容物の充填時には直方体又は立方体に近い形状となることを特徴とする」に訂正する。

(2) 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

上記訂正事項aに関連する記載として、本件出願の願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)の発明の詳細な説明には、「そこで、頂部においては、頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角を45〜55°として閉鎖シール部の位置を若干深くすることによって、頂部においても隅部が折れ曲がる位置に沿って閉鎖シール部を設ける。その結果、袋の頂部において、充填空間を最大限に取りながら偶部の残液貯留を充分に阻止することができる。」(段落【0034】)、及び、「充填時の袋体101がなるべく立方体または直方体に近い形状となるようにする観点から、閉鎖シール部10は、三角形状のフィン部11ができるだけ直角二等辺三角形に近い形状となるように形成するのが好ましい。そのためには、頂部シール部および底部シール部のうちのいずれかのシール部と閉鎖シール部に挟まれた狭角m(m1、m2)および側面シール部と閉鎖シール部に挟まれた狭角n(n1、n2)は、通常30〜60°、好適には40〜50°、特に好適にはm=n=45°とする。このような観点から、袋体101の底部側においては、m2=n2=45°を採用している。しかし、袋の頂部側の閉鎖シール部は、底部側の閉鎖シール部よりも若干深い位置に形成するのがさらに好ましい。より具体的には、頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角m1の下限値を45°以上、好ましくは46°以上、より好ましくは48°以上とし、上限値を55°以下、好ましくは53°以下、より好ましくは52°以下とする。袋の頂部側は、内容物の自重で下方へ引っ張られ、注出口が備えられ、また、開封時に内容物があふれ出さないように若干の未充填空間が残されているので、底部ほどには上面が平坦化しないで若干尖った形状を取り、その結果、頂部の隅部は底部の隅部と比べてより深い位置で折れ曲がりやすい。そこで、頂部側の閉鎖シール部の角度を上記のように調整し、頂部側においても偶部が折れ曲がる位置に沿って閉鎖シール部を形成することによって、充填空間を最大限に取りながら偶部の残液貯留を充分に阻止することができる。このような観点から、袋体101の頂部側においては、m1=50°、n1=40°を採用している。」(段落【0058】及び【0059】)と記載されている。
してみると、上記訂正事項aは、特許明細書に記載された事項の範囲内において、頂部側の閉鎖シール部の頂部シール部からの位置と、底部側の閉鎖シール部の底部シール部からの位置との関係について、前者が後者よりも深いものであること、すなわち、頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた角の大きさと、底部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた角の大きさとの関係について、前者が後者よりも大きいものであることを、限定したものといえる。
したがって、上記訂正事項aは、特許請求の範囲の限縮を目的とした明細書の訂正に該当するものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内におけるものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
さらに、上記訂正事項bは、発明の詳細な説明における「課題を解決するための手段」の欄の記載を、上記訂正事項aによる訂正の後の請求項1の記載と整合させるものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする明細書の訂正に該当するものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内におけるものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3) むすび

以上のとおりであるから、上記各訂正は、特許法第120条の4第2項、及び、同条第3項において準用する第126条第2項から第4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについての判断

(1) 申立ての理由の概要

本件異議申立ての特許異議申立人である 株式会社 ディスク は、本件の請求項1ないし12に係る発明について、本件出願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である甲第1号証ないし甲第8号証を提示し、以下の理由により取り消されるべきものである旨主張している。

甲第1号証:実願昭58-105524号(実開昭60-13370号)のマイクロフィルム
甲第2号証:実願平2-111665号(実開平4-68864号)のマイクロフィルム
甲第3号証:実願平4-12078号(実開平5-72740号)のCD-ROM
甲第4号証:実公昭50-28974号公報
甲第5号証:実願昭63-85694号(実開平2-8763号)のマイクロフィルム
甲第6号証:特開昭53-89578号公報
甲第7号証:実願昭60-175579号(実開昭62-87034号)のマイクロフィルム
甲第8号証:実願平1-143329号(実開平3-81879号)のマイクロフィルム

ア.請求項1ないし3に係る各発明について
いずれの発明も、甲第1号証ないし甲第5号証より、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

イ.請求項4及び5に係る各発明について
いずれの発明も、甲第1号証ないし甲第6号証より、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

ウ.請求項6ないし10に係る各発明について
いずれの発明も、甲第1号証ないし甲第7号証より、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

エ.請求項11及び12に係る各発明について
いずれの発明も、甲第1号証ないし甲第8号証より、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

オ.請求項1の記載、及び、請求項1に係る発明に関する発明の詳細な説明の記載について
本件異議申立ての特許異議申立書には、次のように記載されている。
「甲第1号証には、その第1図において、上シール部7と傾斜シール部5とに挟まれた狭角の角度、および下シール部7’と傾斜シール部5’とに挟まれた狭角の角度に関して、共に45°程度の角度と看取されるものが図示され、また、効果において傾斜シールは、内袋の形状保持に有利なだけでなく、内袋内での液の残留を少なくできることが記載され、また、甲第3号証の図5には共に45°と記載されている。本件特許発明においても同様の効果を主張するが、角度範囲の特定により格別予期しえない効果を奏するものではないので、請求項1において『頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は46〜55°で、底部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は40〜50°』とする記載はその限定理由が不明瞭である。したがって、請求項1における記載は、特許法第36条第5項に規定する要件を満たしていない。」(特許異議申立書第17頁第3行-同第14行)
「また、請求項1における記載は不明瞭であり、特許法第36条第5項に規定する要件を満たしていないので、特許法第113条第1項第4号の規定により特許を取り消すべきものであります。」(特許異議申立書第17頁第19行-同第21行)
しかしながら、上記1.にて記したように、本件出願は平成7年11月14日に特許出願がなされたものであって、平成6年法律第116号により改正された特許法が施行された平成8年1月1日以前に出願がなされたものであるから、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第1項の規定により、該改正された特許法の第113条の規定による特許異議の申立ては、その特許が拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたことを理由としてしなければならない。そして、本件出願の出願の日に施行されていた、上記平成6年法律第116号による改正の前の特許法の第49条によれば、「その特許出願が第36条第4項若しくは第6項又は第37条に規定する要件を満たしていないとき」(第49条第4号)においては、その特許出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならないが、「特許法第36条第5項に規定する要件を満たしていない」ことは、拒絶をすべき旨の査定をしなければならない場合を構成するものではないから、「特許法第36条第5項に規定する要件を満たしていない」ことは、上記第113条の規定による特許異議の申立ての理由とすることができるものでない。なお、上記政令の規定及び上記改正の前の特許法第55条第1項の規定によれば、その特許出願が第36条第6項第4号又は第37条に規定する要件を満たしていないことを理由としては、上記第113条の規定による特許異議の申立てをすることができない。
以上より、特許異議申立人の、「請求項1における記載は、特許法第36条第5項に規定する要件を満たしていない」旨の主張についての検討にあたっては、本件の請求項1の記載が特許法第36条第6項(第4号を除く)に規定する要件に適合しているか否か、及び、請求項1に係る発明に関し、発明の詳細な説明の記載が同条第4項に規定する要件に適合しているか否かの検討を行うこととする。
すなわち、検討すべき申立ての理由は、次のとおりであると認める。
オ-1.請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。(根拠条文:特許法第36条第6項第1号)
オ-2.請求項1に係る発明は、明確でない。(根拠条文:特許法第36条第6項第2号)
オ-3.請求項1の記載は、簡潔でない。(根拠条文:特許法第36条第6項第3号)
オ-4.本件出願の発明の詳細な説明は、通商産業省令で定めるところにより、請求項1に係る発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていない。(根拠条文:特許法第36条第4項)

(2) 特許法第36条に規定する要件に係る判断

上記したように、特許異議申立人は、本件の訂正前の請求項1に関し、「角度範囲の特定により格別予期しえない効果を奏するものではないので、請求項1において『頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は46〜55°で、底部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は40〜50°』とする記載はその限定理由が不明瞭である。」として、特許法第36条に基づく申立てをしている。このことと、上記(1)のオにて記した理由により、以下の(2-1)ないし(2-4)では、平成15年3月28日付けの訂正明細書(以下、「訂正明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明特定事項のうち、「(e) 頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は46〜55°で、底部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は40〜50°であり、且つ、頂部側の閉鎖シール部を底部側の閉鎖シール部よりも若干深い位置に形成して、内容物の充填時には直方体または立方体に近い形状となることを特徴とするバッグインボックス用袋体」との発明特定事項(以下、「発明特定事項(e)」という。)、及び、それに関する発明の詳細な説明の記載について特に留意しつつ、該訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載が特許法第36条第6項第1号ないし第3号に規定する要件に適合しているか否か、及び、該請求項1に係る発明に関し、発明の詳細な説明の記載が同条第4項に規定する要件に適合しているか否かをそれぞれ検討することとする。

(2-1) 特許法第36条第6項第1号に規定する要件について

上記2.(2)にて摘記した特許明細書の段落【0058】及び【0059】の記載事項のうち、特に、
「充填時の袋体101がなるべく立方体または直方体に近い形状となるようにする観点から、閉鎖シール部10は、三角形状のフィン部11ができるだけ直角二等辺三角形に近い形状となるように形成するのが好ましい。そのためには、頂部シール部および底部シール部のうちのいずれかのシール部と閉鎖シール部に挟まれた狭角m(m1、m2)および側面シール部と閉鎖シール部に挟まれた狭角n(n1、n2)は、通常30〜60°、好適には40〜50°、特に好適にはm=n=45°とする。このような観点から、袋体101の底部側においては、m2=n2=45°を採用している。しかし、袋の頂部側の閉鎖シール部は、底部側の閉鎖シール部よりも若干深い位置に形成するのがさらに好ましい。より具体的には、頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角m1の下限値を45°以上、好ましくは46°以上、より好ましくは48°以上とし、上限値を55°以下、好ましくは53°以下、より好ましくは52°以下とする。」
との記載事項(以下、「特許明細書記載事項A」という。)からみて、上記発明特定事項(e)のうち、「頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は46〜55°」であるとした点を除いた発明特定事項は、該特許明細書記載事項Aに明示的に記載されている。また、上記特許明細書記載事項Aにおける「頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角m1の下限値を45°以上、好ましくは46°以上、より好ましくは48°以上とし、上限値を55°以下、好ましくは53°以下、より好ましくは52°以下とする」との記載は、示された狭角m1の範囲である45°以上55°以下の中で、該狭角m1の下限値又は上限値の一方を、より好ましい値として挙げている値にすることを妨げるものではないから、頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角m1を46〜55°とすることは、上記特許明細書記載事項Aに記載されているというべきである。してみれば、上記発明特定事項(e)は、上記特許明細書記載事項Aにおいて記載されたものであるといえる。
そして、請求項1全体についてみても、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものである。

(2-2) 特許法第36条第6項第2号に規定する要件について

上記発明特定事項(e)は、上記特許明細書記載事項Aを参酌して明確に把握できるものである。
そして、請求項1全体についてみても、請求項1に係る発明は明確である。

(2-3) 特許法第36条第6項第3号に規定する要件について

上記発明特定事項(e)を含む請求項1の記載が簡潔でないとする理由はない。

(2-4) 特許法第36条第4項に規定する要件について

上記特許明細書記載事項A、及び、「このような観点から、袋体101の頂部側においては、m1=50°、n1=40°を採用している。」(段落【0059】)との記載事項は、m1=50°、n1=40°、m2=n2=45°と設定することにより請求項1に係る発明の実施が可能であることを示しており、本件出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されている。

(2-5) 特許法第36条に規定する要件に係る判断のむすび

以上より、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号ないし第3号に規定する要件に適合し、また、該請求項1に係る発明に関し、発明の詳細な説明の記載は、同条第4項に規定する要件に適合している。

(3) 本件発明

本件の請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

本件発明1:「【請求項1】 (a) 袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部および折り襞状に内方に折り込まれた谷折り線を備えるように形成された2つの側面部を有する4方シールの袋本体の各隅部に、閉鎖シール部と三角形状のフィン部とを有し、
(b) 前記袋本体を構成する平面部および側面部は長方形または正方形であり、且つ、接着されない状態で重ね合わされた少なくとも2枚の合成樹脂製フィルムによって形成されており、
(c) 前記閉鎖シール部は、袋本体を一対の平面部が重なり合い且つ重なり合った平面部の間に前記谷析り線を備えた2つの側面部が介在するように折り畳んだ状態下で対向する袋本体の内面同士を、頂部シール部および底部シール部のうちのいずれかのシール部の任意位置から側面シール部の任意位置までに渡って直線帯状に接着することによって形成されたものであり、
(d) 前記三角形状のフィン部は、頂部シール部および底部シール部のうちのいずれかのシール部、側面シール部および閉鎖シール部に囲まれることによって形成されたものであり、
(e) 頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は46〜55°で、底部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は40〜50°であり、且つ、頂部側の閉鎖シール部を底部側の閉鎖シール部よりも若干深い位置に形成して、内容物の充填時には直方体または立方体に近い形状となることを特徴とするバッグインボックス用袋体。」

また、本件の請求項2ないし12に係る各発明は、上記平成15年3月28日付け訂正明細書の特許請求の範囲の請求項2ないし12に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項2】 前記袋本体の各隅部において前側のフィン部と後ろ側のフィン部の対向する頂点同士が接着されていることを特徴とする、請求項1記載のバッグインボックス用袋体。
【請求項3】 前記平面部と前記側面部とは接続部において接着されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のバッグインボックス用袋体。
【請求項4】 一対の平面部および2つの側面部のそれぞれに少なくとも1つずつ、袋本体の上下方向に延在するように帯状のフィルム片が接着されているかまたは帯状の気体充填層が設けられている請求項1乃至3のいずれかに記載のバッグインボックス用袋体。
【請求項5】 袋本体の頂部側または底部側のうちの少なくとも一方に左右一対の吊り下げ部が形成されており、該吊り下げ部は、対向し合う前側と後ろ側の三角形状のフィン部同士を、隅部の頂点の位置で接着すると共に、頂部シール部上または底部シール部上の少なくとも一箇所の位置で接着することによって形成されている請求項1乃至4のいずれかに記載のバッグインボックス用袋体。
【請求項6】 少なくとも1つの三角形状のフィン部にパンチ穴が形成されている請求項1乃至5のいずれかに記載のバッグインボックス用袋体。
【請求項7】 前記合成樹脂製フィルム中の少なくとも1層が金属箔の層である請求項1乃至6のいずれかに記載のバッグインボックス用袋体。
【請求項8】 (f-1) シール部の幅を除いた実寸法で、上記平面部の横寸法が260〜340mm、上記側面部の横寸法が180〜260mm、および上記平面部と上記側面部の縦寸法が490〜660mmであり、(g) 内容物の充填時には直方体であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載のバッグインボックス用袋体。
【請求項9】 (f-2) シール部の幅を除いた実寸法で、上記平面部の横寸法が190〜270mm、上記側面部の横寸法が140〜220mm、および上記平面部と上記側面部の縦寸法が330〜600mmであり、(g) 内容物の充填時には直方体であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載のバッグインボックス用袋体。
【請求項10】 立方体又は直方体の外箱の内部に、請求項1〜9のいずれかに記載された容量が5〜25リットルのバッグインボックス用袋体が内袋として収納されていることを特徴とするバッグインボックス。
【請求項11】 外箱の内部に、注出口を備えた請求項1〜9のいずれかに記載のバッグインボックス用袋体が内袋として収納されており、外箱の一面には、内袋の注出口を突出させる際に該注出口の周囲の袋本体を50mm以上引き出すことが可能な径を有する開口部を形成するための開封補助手段が備えられていることを特徴とするバッグインボックス。
【請求項12】 前記開封補助手段は、外箱の一面を、前記開口部の中心点となるべき位置から放射状に引き裂くことができ、開封後には、前記開口部の周囲に扇状の断片が残る開封補助手段であることを特徴とする、請求項11に記載のバッグインボックス。」

(4) 刊行物に記載された発明

ア.甲第1号証
上記甲第1号証には、次の事項が記載されている。
「1.金属製等の箱型枠の内部にバリヤー性を有する積層フィルムからなる内袋を入れ該内袋に内容物の注出口をとりつけ、該注出口を金属枠の外壁に設けた孔より外に突出せしめてなる大型容器。
2.内袋の内寸が少なくとも金属枠の内寸と同等であることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第1項記載の大型容器。
3.内袋の積層構造が少なくとも2種類以上の積層体であることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第1項記載の大型容器。」(実用新案登録請求の範囲)
「使用する袋の形状はガゼット状、平袋状などいずれも可能であるが、枠におさめるためにはガゼット状の方が容易である。通常、内袋が未使用の場合は折り畳まれた状態で保存されており内袋に対する注出口のとりつけは袋の下部に設け、外枠の底板または横の腰板から外部に突き出るようにする。また必要により袋上部を密封し、別にここに注入口をつけてもよい。内袋は柔軟性のある構造のためこの注入口を用いても容器内の空気抜きを配慮することなく内容品の充填を行うことができるし、また注入口を密封したまま注出口から内容品を出しても袋が自然に縮小するので空気をとり入れる必要がない。
積層フィルムの具体的な材料としては最外層はポリエステル、ナイロン、中、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等の各樹脂フィルム、これらの蒸着フィルム、中間層はアルミ箔、銅箔、鉄箔等の金属箔、塩化ビニリデン、塩化ビニリデンを塗布したナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン等の各樹脂フィルム、エバール、K・flex、ポバール、サラネックス等の商品名の各樹脂フィルム、また中間層を強度的に強くするものとしてポリプロピレンクロス、ビニロンクロス、スフクロス、延伸ポリエチレンクロス、不織布等があげられる。最内層は中、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等の樹脂フィルムが使用できるが特にこれらに限定されるものではない。特に内容品の長期保存を考える場合、アルミ箔の使用や蒸着フィルムの使用が好ましい。」(第4頁第14行-第6頁第4行)
「傾斜シールは、内袋の形状保持に有利なだけでなく、内袋内での液の残留を少なくすることにも効果がある。
記号の説明
a,a’ ・・・・・・ 周縁シール部2,2’と上シール部7との交点。
b,b’ ・・・・・・ 周縁シール部2,2’と傾斜シール5との交点。
c,c’ ・・・・・・ 周縁シール部2,2’と傾斜シール部5’との交点。
d,d’ ・・・・・・ 周縁シール部2,2’と下シール部7’との交点。」(第8頁第1行-同第12行)
「第1図は袋本体を折り畳んだ状態の平面図、第2図は第1図のA-A’ラインでの断面図、第3図は内容品を充填したときの内袋の斜視図、第4図は箱型容器と内袋との組み合せ概略図である。
1・・・内袋本体、2・・・周縁シール部、3・・・上部注入口、4・・・下部注入口、5・・・傾斜シール部、6・・・注入口(注入後密封)、7・・・上下シール部、8・・・箱型容器」(第9頁第2行-同第9行)
これら記載事項を、甲第1号証の第1図ないし第4図を参照しつつ総合すると、該甲第1号証には、次の発明Aが記載されていると認められる。

発明A:「袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部および折り襞状に内方に折り込まれた谷折り線を備えるように形成された2つの側面部を有する4方シールの内袋本体(1)の各隅部に、傾斜シール部(5,5’)と三角形状のフィン部とを有し、
前記内袋本体(1)を構成する平面部および側面部は合成樹脂製の積層フィルムによって形成されており、
前記傾斜シール部(5,5’)は、内袋本体(1)を一対の平面部が重なり合い且つ重なり合った平面部の間に前記谷析り線を備えた2つの側面部が介在するように折り畳んだ状態下で対向する袋本体の内面同士を、上シール部(7)および下シール部(7’)のうちのいずれかのシール部の任意位置から周縁シール部(2,2’)の任意位置までに渡って直線帯状に接着することによって形成されたものであり、
前記三角形状のフィン部は、上シール部(7)および下シール部(7’)のうちのいずれかのシール部、周縁シール部(2,2’)および傾斜シール部(5,5’)に囲まれることによって形成されたものである
箱型容器(8)用袋体。」

イ.甲第2号証
上記甲第2号証には、次の事項が記載されている。
「内袋を構成する包装材が外側フィルム層と内側フィルム層の2層からなり、それらが外周のシール部分でのみ接着しているバッグインボックス内袋において、外側フィルム層と内側フィルム層が接する面になる少なくとも一方のフィルム部材に滑剤を添加したことを特徴とするバッグインボックス内袋。」(実用新案登録請求の範囲の請求項1)
「外側フィルム層4は、第3図に示すように2層のフィルム部材の積層体からなるもので、厚さ15μの延伸ナイロンからなる外層6と厚さ60μの直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)からなる内層7がドライラミネーションにより積層されたものである。そして、このLLDPEには滑剤が添加されており、具体的には、押出し機のシリンダー内で混合されることによりLLDPEフィルムに添加されるようになっている。滑剤としては、脂肪酸アミドが用いられており、その他にオレイン酸アミドを用いることが可能である。一方、内側フィルム層5は厚さ80μのLLDPEからなるフィルム部材で構成されている。」(第4頁第20行-第5頁第12行)
「第1図はバッグインボックス内袋を示す平面図、第2図は第1図のA-A断面図、第3図は本考案に係るバッグインボックス内袋の一つの形態の一実施例を示す一部拡大断面図 ・・・ である。
1・・・バッグインボックス内袋、2・・・シール部、3・・・注出口、4・・・外側フィルム層、5・・・内側フィルム層、6・・・外層、7・・・内層、・・・」(図面の簡単な説明)
これら記載事項を、甲第2号証の第1図ないし第3図を参照しつつ総合すると、該甲第2号証には、次の発明Bが記載されていると認められる。

発明B:「バッグインボックス内袋(1)を構成する包装材は、接着されない状態で重ね合わされた合成樹脂製の外側フィルム層(4)および内側フィルム層(5)によって形成されている
バッグインボックス内袋(1)。」

ウ.甲第3号証
上記甲第3号証には、次の事項が記載されている。
「重ね合わせたフィルムの両側縁間に、折込線を形成した二のガセット折込体の前記両折込線間に適宜距離を設けて該二のガセット折込体を挿入し、該ガセット折込体の端縁と前記2枚のフィルムの両側縁をシールし、且つ、前記重ね合わせたフィルムの両側縁のシール上で所定間隔を隔てた2位置からそれぞれ前記二の折込線へ向かって互いに離反する方向へ傾斜し且つ対角線上に平行な傾斜シール部でガセット折込体と前記フィルムをシールすると共に、前記二のガセット折込体の折込線間の前記重ね合わせたフィルムの下方の端縁を前記傾斜シール部に連結してシールし、前記二のフィルムの上方の端縁に開口を形成したことを特徴とする内袋。」(実用新案登録請求の範囲の請求項1)
「【産業上の利用分野】
本考案は、段ボール箱等に内装する内袋に関し、特に液体や粉体などの内容物を充填して段ボール箱に内装して用いるのに好適な内袋に関する。」(段落【0001】)
「【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本考案の内袋10においては、重ね合わせたフィルム11,11の両側縁間に、中央に折込線13,13を形成し、断面V字形に折曲形成した二のガセット折込体12,12を挿入する。そして該二のガセット折込体12,12の折込線13間に適宜距離を設けてガセット折込体12,12の端縁と前記重ね合わせたフィルム11,11の両側縁をシールする。さらに、前記2枚のフィルム11,11の両側縁のシール上で、所定の間隔を介して、例えば、段ボール箱などの外装体の内寸の高さ以下の間隔を隔てた2位置P,Qからそれぞれ前記二のガセット折込体12,12の折込線13,13へ向かって互いに離反する方向で傾斜し、且つ対角線上に平行な例えば外装体の内寸の対角線距離の半分以下の長さを有するする傾斜シール部たる傾斜ヒートシール部182,182,182,182及び183,183,183,183でガセット折込体12,12と前記フィルム11,11をシールする。また、前記二のガセット折込体12,12の折込線13,13間の二のフィルム11,11の一方の端縁を前記傾斜ヒートシール部182,182,182,182に連結するヒートシール部184でシールし、前記折込線13,13間の二のフィルム11,11の他方の端縁で開口14を設ける。
また、前記2枚のフィルム11,11及び二のガセット折込体12,12を熱溶着性のラミネートフィルムで形成し、各シール部でヒートシールすることができる。
さらに、前記各傾斜ヒートシール部182,182,182,182及び183,183,183,183をフィルム11,11の両側縁の延長線に対してそれぞれ45度の傾斜角を成すように設けることが望ましい。
また、前記各シール部の外側のフィルム11,11及びガセット折込体12,12を切断除去するとよい。
また、前記開口14内にフィルム11で成る筒体15を挿通して筒体15の軸線方向の一端を袋内に突出し、該筒体15の外周と前記開口14間をシールして閉塞することができる。
【作用】
上記のように構成された内袋10は特に熱溶着性のラミネートフィルムで成るフィルム11,11と二のガセット折込体12,12はそれらのフィルムを上記のように重ね合わせた後これらのフィルム11,11の上下を加熱機で押圧して各ヒートシール部で容易にシールされる。
そして、外装体とする段ボール箱などの内部に内袋10を投入し、該内袋10内に開口14から液体や粉末などの内容物を注入すると、折り畳んだ状態の内袋10はガセット折込体12,12の折込線13,13が前記内容物によって外方へ序々に押圧され、各傾斜シール部たる四の傾斜ヒートシール部182,182,182,182及び四の傾斜ヒートシール部183,183,183,183は、開口14及び二の折込線13,13間のヒートシール部184と共に互いに近づく方向へ序々に移動し、直方体状に展開する。この内袋10は外装体の段ボール箱などの形状に対応する寸法に容易に形成され、段ボール箱などの内部形状に適合する直方体状に膨らみ組み立てられる。」(段落【0008】ないし【0014】)
「一方、前記ヒートシール部181,181,181,181の両端から対角線上に平行な傾斜ヒートシール部182,182,182,182及び傾斜ヒートシール部183,183,183,183で各ガセット折込体12,12を各フィルム11,11にヒートシールする。 すなわち前記2点P,Qからそれぞれ二のガセット折込体12,12の折込線13,13へ向かって互いに離反する方向で傾斜する傾斜ヒートシール部182,182,182,182及び傾斜ヒートシール部183,183,183,183で各ガセット折込体12,12を各フィルム11,11にヒートシールする。
図1紙面上右方の点Pとガセット折込体12の折込線13の下端点Sを結ぶ傾斜ヒートシール部182,182はフィルム11,11の右側縁のヒートシール部181,181の延長線に対して傾斜角45度を成すように傾斜しており、図1紙面上右方の点Qとガセット折込体12の折込線13の上端付近の点Rを結ぶ傾斜ヒートシール部183,183はフィルム11,11の右側縁のヒートシール部181,181の延長線に対して傾斜角45度を成すように傾斜している。各傾斜ヒートシール部182の長さFと各傾斜ヒートシール部183の長さDは、本実施例では、それぞれ外装体の内寸の対角線距離の半分以下の長さを有するそれぞれ同じ長さである。」(段落【0018】及び【0019】)
「なお、本実施例では、ガセット折込体12,12の折込線13,13間の距離Eは平行を成し、各傾斜ヒートシール部182,182,182,182及び各傾斜ヒートシール部183,183,183,183がそれぞれ各ヒートシール部181,181,181,181の延長線に対して45度の傾斜角をなし、さらに二の折込線13,13と各ヒートシール部181,181,181,181間の長さC,C,C’,C’が同じであるので、内容物を充填した内袋10は後述するように直方体を形成するように膨らむのであるが、内袋10は上記の条件に限定されない。すなわち、前記各傾斜ヒートシール部182,182,182,182及び各傾斜ヒートシール部183,183,183,183の傾斜角が45度でない場合は、展開された内袋は各コーナの対辺間の角度が90度をなさず、変形した直方体状になる。また、距離Eが平行でない場合は展開された直方体の上面と下面の大きさが異なるのであるが、内袋10としては支障がない。さらに前記長さC,C’が異なる場合も同様に変形した直方体状になる。
以上の折り畳まれた内袋10は、主として18リットル缶の内袋に使用され、この内袋10を外装体の段ボール箱内に投入し、開口14から内容物を充填すると、次第に展開されて遂には段ボール箱内で、図4に示すように、直方体に形成される。なお、図4では段ボール箱を省略している。」(段落【0025】及び【0026】)
「また、前述実施例の図1の内袋10では傾斜ヒートシール部182,183の外側のフィルム11,11及びガセット折込体12,12のコーナの部分すなわち二点鎖線の部分はカットしているが、図5の内袋10では切断していない。しかし、これらのフィルム11,11及びガセット折込体12,12のコーナの部分は内袋10内に内容物を充填すると、図6に示すように、内袋10の直方体の上面上及び底面下に沿うので、実際の使用上においては何ら支障はない。したがって図1に示す内袋10においても前記コーナの部分(二点鎖線の部分)をカットしなくてもよい。」(段落【0034】)
これら記載事項を、甲第3号証の図1ないし図7を参照しつつ総合すると、該甲第3号証には、次の発明Cが記載されていると認められる。

発明C:「袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対のフィルム(11)よりなる平面部および折り襞状に内方に折り込まれた折込線(13)を備えるように形成された2つのガセット折込体(12)よりなる側面部を有する3方シールの内袋(10)の各隅部に、傾斜ヒートシール部(182,183)と三角形状のフィン部とを有し、
前記内袋(10)を構成する平面部および側面部は長方形または正方形であり、ラミネートフィルムによって形成されており、
前記傾斜ヒートシール部(182,183)は、内袋(10)を一対の平面部が重なり合い且つ重なり合った平面部の間に前記折込線(13)を備えた2つの側面部が介在するように折り畳んだ状態下で対向する内袋(10)の内面同士を、前記折込線(13)の上端付近の点Rおよび該折込線(13)の下端点Sから側面のヒートシール部(181,181’)のそれぞれ点QおよびPまでに渡って直線帯状に接着することによって形成されたものであり、
前記三角形状のフィン部は、頂部の辺および底部のヒートシール部(184,185)のうちのいずれか、側面のヒートシール部(181,181’)および傾斜ヒートシール部(182,183)に囲まれることによって形成されたものであり、
頂部の辺と傾斜ヒートシール部(183)とに挟まれた狭角、および、底部のヒートシール部(184,185)と傾斜ヒートシール部(182)とに挟まれた狭角は、45°または45°でない角で、内容物の充填時には、それぞれ直方体または変形した直方体状となる
段ボール箱等に内装する内袋。」

エ.甲第4号証
上記甲第4号証には、次の事項が記載されている。
「本案は少くとも底部が接着封緘されている合成樹脂、紙等の柔軟材料で作られた袋に関し、包装袋として或いは容器として内容物を装填封入したとき角形の底が形成されて自立することができるようにしたものである。
以下本案の実施例を図面に就いて説明すると、合成樹脂フイルム、紙、金属箔、セロフアン或いはこれらを適宜組合せて積層した柔軟材料を用い例えばその帯状体を中央部両側において折返し、折込み部1,1を形成すると共に両端を接着し、且つ底縁2に沿つて帯状に接着すると共にその外側において切断し背面中央部と底縁とに接着部3,4を有する袋体5を作る。折込み部1,1の折返し縁6,6より外側は四つの層即ち袋体5の正面部7、折込み前部8、折込み後部9および背面部10からなり、底の接着部3は正面部7と折込み前部8、折込み後部9と背面部10をそれぞれ接着した部分3a,3bおよび折返し縁6,6より内側で正面部7と背面部10を接着した部分3cで形成されるが、この四つの層を一体に接着することもできる。また、折返し縁6,6より外側において望ましくは40〜50°例えば45°の角度で上外方へ延びる線を端縁として正面部7と折込み前部8、折込み後部9と背面部10をそれぞれ接着し三角形状の接着部11a,11bを形成したものであつて、この接着部11a,11bは前記端縁に沿つて帯状に延びる液密乃至気密の接着部11a1,11b1と、この接着部11a1,11b1と接着部3a,3bとの間の三角形状部分に接着部11a1,11b1との間に間際を与えて形成した補強用の接着部11a2,11b2とからなる。また、袋体5の上縁部は内容物を装填した後に封緘されるか、または容器として適宜の開口部を作るように加工成形される。尚また、各接着部は熱接着法、接着剤の使用或いはこれらの併用等、公知の適宜の手段で形成される。
本案は以上のように構成したものであるから、直立状態で内容物を装填したときその重量により或いは予め押し拡げることにより折込み部1,1が拡げられると共に接着部11a,11bがそれぞれ対応する折込み前部8と折込み後部9と折重ねられるようになり、正面部7と背面部10の幅が左右長さとなり折込み部1,1の折込み深さの二倍長さが前後長さとなる角形の底が自動的に形成されるのである。」(第1欄第18行-第2欄第24行)

オ.甲第5号証
上記甲第5号証には、次の事項が記載されている。
「外袋用外箱内に収納され折りたたみ可能でシート状部材からなり、飲料用シロップ等の内容物を押し出すためのバッグインボックス用袋体であって、このバッグインボックス用袋体の外面適宜位置に把手を形成したことを特徴とするバッグインボックス用袋体。」(実用新案登録請求の範囲)
「以下、第1図乃至第10図を参照して本考案の実施例について説明する。
第1図乃至第5図において、本考案のバッグインボックス用の袋体61は、ポリエチレン等の薄いプラスチックフィルムを素材とした筒状フィルムの両開口端をヒートシーラなどで加熱溶着して袋体とすることにより形成されている。即ち、バッグインボックス用袋体61は両端を開口した筒状フィルムの袋本体62の両側部62s,62sに先端部分が互いに当接又は隣接するように内側に折り込んだガセット部63,63を形成し、袋本体62の開口端620の中央位置62cと、この位置より内方で袋本体62とガセット部63の連接部64の所定位置64cとを結ぶ斜め線65に沿って切断し、そしてこの斜め線65に沿ってガセット部63の各片63a,63bとこのガセット部63の各片に対面する袋本体62の上下片62a,62bとをヒートシーラなどで溶着封止して封着部66を形成し袋体としたものである。そして、袋本体62の上片62aに口金67を取付けて内容物を充填及び取出しできるようにしたものであり、この口金67の取付けは袋本体62の上片62aを貫通する孔を設けこの貫通孔に口金67を挿入して口金67の下部フランジ67fにフィルムを重ねて加熱溶着することにより行う。
しかして、袋本体62に形成されたガセット部63,63の先端部63c,63cが互いに当接又は近接するように折り込まれれば、内容物の満量充填時に横断面が略正方形となり、そして先端部63c,63cが互いに離れるにつれて、内容物の満量充填時に横断面が長方形となる。
前記袋本体の上面と側面をなすガセット部との連接辺64には、把手100が形成され、この把手100には指を挿入するための開口101が打ち抜き形成されている。前記把手100は、第3図及び第4図に示すようにシート材を連接辺64から外方に展延させてヒートシーラ等で貼り合せて形成する。このように袋体形成時に一体的に把手100を形成すれば、工数が省ける。しかしながら把手100は必ずしも袋体61と同一材料で一体的に作る必要はなく、袋体61形成後に適宜の手段により袋体61に付着せしめるようにしてもよい。
また、把手は第6図に示すように、袋体61の左右突出中央端62cに付着せしめた把手110の形としてもよく、把手110内には指を挿入するための開口111が形成されている。
折りたたんだ状態のバッグインボックス用袋体61に口金67から内容物を充填してゆくとガセット部63は徐々に伸展して膨張してゆき、内容物満量充填時には第5図に示されるようにガセット部63は完全に伸展し、一方、封着部66がある両側面は、封着部66が四隅を結ぶ2本の対角線が交叉したように伸展して立方体又は直方体となり、把手101は第1〜第4図の場合には袋体の上面と側面との接合辺に沿って位置することになり、第6図の場合には、把手110は袋体の側面中央に位置することとなる。
また、前記袋体は第7図及び第8図に示すように形成してもよい。すなわち、袋体200は、第1〜3図に示した袋体61とは異なり、袋本体62の一側を斜めに裁断することなく側辺201を袋体の一側先端まで伸ばし、ガセット部163の各片163a,163bの開口端とこのガセット部163の各片に対面する袋本体162a,162bの開口端とを溶着封止するようにしてもよい。
前記袋体200はいわゆるテーブルトップ形に形成され、こうして形成された封着部168は把手としての機能を有し、袋体200に内容物を注入した場合に、第8図に示すように上面の左右に形成された三角凹部R,Rに両手が挿入される。」(第4頁第14行-第8頁第5行)

カ.甲第6号証
上記甲第6号証には、次の事項が記載されている。
「袋は紙、プラスチックまたは他の柔軟な可撓材料によつて作られ」(第2頁右下欄第18行-同第20行)
「生地の第2の細片を例えば粘着剤を使つて容器の本体の生地と一体化させることにより増強領域を与えることが可能である」(第4頁右下欄第7行-同第9行)

キ.甲第7号証
上記甲第7号証には、次の事項が記載されている。
「内面に熱接着性の層を有するガゼット袋において、袋の折り込みヒダ部のある隅角部に周縁に熱接着密封部を有する透孔からなる把手部を形成してなる把手付ガゼット袋。」(実用新案登録請求の範囲の請求項1)

ク.甲第8号証
上記甲第8号証には、次の事項が記載されている。
「液体を充填する柔軟なバッグをその中に収納するとともに、前記バッグの口部を開口を通して外側に臨むようにした包装箱において、上部開口を覆う蓋板の中間位置に外側に折曲げられた2重の取手板を連設し、該取手板に取手穴を形成するようにしたことを特徴とする包装箱。」(実用新案登録請求の範囲)
「この蓋板27にはその外周側に放射状に延びる切込みを含む円形の切込み28が形成されている。」(第5頁第20行-第6頁第2行)
「このような包装箱内には第4図に示すような合成樹脂製のバッグ38が収納されるようになっている。このバッグ38は合成樹脂成形体から成る円筒状の口部39を備えており、この口部39が上記包装箱のフラップ23、24の半円形の切込み25および蓋板27の切込み28によって形成される開口を通してその外側に引出されるようになっている。」(第6頁第17行-第7頁第4行)

(5) 対比

本件発明1と上記甲第1号証に記載された発明Aとを対比すると、前者の「袋本体」、「閉鎖シール部」、「頂部シール部」、「底部シール部」、「側面シール部」、及び「バッグインボックス用袋体」は、それぞれ、後者の「内袋本体(1)」、「傾斜シール部(5,5’)」、「上シール部(7)」、「下シール部(7’)」、「周縁シール部(2,2’)」、及び「箱型容器(8)用袋体」に相当するから、両者は、
「(a) 袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部および折り襞状に内方に折り込まれた谷折り線を備えるように形成された2つの側面部を有する4方シールの袋本体の各隅部に、閉鎖シール部と三角形状のフィン部とを有し、
(b)’ 前記袋本体を構成する平面部および側面部は合成樹脂製フィルムによって形成されており、
(c) 前記閉鎖シール部は、袋本体を一対の平面部が重なり合い且つ重なり合った平面部の間に前記谷析り線を備えた2つの側面部が介在するように折り畳んだ状態下で対向する袋本体の内面同士を、頂部シール部および底部シール部のうちのいずれかのシール部の任意位置から側面シール部の任意位置までに渡って直線帯状に接着することによって形成されたものであり、
(d) 前記三角形状のフィン部は、頂部シール部および底部シール部のうちのいずれかのシール部、側面シール部および閉鎖シール部に囲まれることによって形成されたものである
バッグインボックス用袋体。」
である点で一致し、次の点で相違している。

相違点1
本件発明1では、平面部及び側面部は長方形又は正方形であり、且つ、接着されない状態で重ね合わされた少なくとも2枚の合成樹脂製フィルムによって形成されているのに対し、発明Aでは、平面部及び側面部は合成樹脂製の積層フィルムによって形成されており、また、平面部及び側面部の形状について明示の特定がない点。

相違点2
本件発明1では、頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は46〜55°で、底部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は40〜50°であり、且つ、頂部側の閉鎖シール部を底部側の閉鎖シール部よりも若干深い位置に形成して、内容物の充填時には直方体又は立方体に近い形状となるのに対し、発明Aでは、対応する特定がない点。

(6) 相違点についての判断

(6-1) 相違点1について

上記相違点1について検討すると、上記甲第2号証に記載された発明Bでは、上記発明Aと同様バッグインボックス用の袋体において、バッグインボックス内袋(1)を構成する包装材を、接着されない状態で重ね合わされた合成樹脂製の外側フィルム層(4)及び内側フィルム層(5)によって形成しているから、上記甲第1号証及び上記甲第2号証に接した当業者であれば、発明Aにおける合成樹脂製の積層フィルムを、発明Bにおける接着されない状態で重ね合わされた合成樹脂製の外側フィルム層(4)及び内側フィルム層(5)に置換することは、容易に想到し得たことである。また、発明Aでは、平面部及び側面部が長方形又は正方形であることは明示がないが、発明Aは箱型容器(8)用袋体に関するものであって、箱型容器の最も一般的な形態は、各面が長方形又は正方形である直方体又は立方体であるから、かかる箱型容器用の袋体の各面を長方形又は正方形のものとすることは、当業者であれば容易に行い得たことである。

(6-2) 相違点2について

次に、上記相違点2について検討すると、上記甲第3号証に記載された発明Cでは、頂部の辺と傾斜ヒートシール部(183)とに挟まれた狭角、及び、底部のヒートシール部(184,185)と傾斜ヒートシール部(182)とに挟まれた狭角は、45°又は45°でない角とし、内袋(10)が、内容物の充填時には、それぞれ直方体又は変形した直方体状となるようにしている。しかしながら、該発明Cは、上記相違点2に係る本件発明1の特定事項のうち、(i)「頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は46〜55°」であるとした点、及び、(ii)「頂部側の閉鎖シール部を底部側の閉鎖シール部よりも若干深い位置に形成」した点のいずれをも教示せず、特に後者の、(ii)の点については、示唆さえしない。
また、上記甲第4号証についてみてみると、該甲第4号証は、上記したように、「折返し縁6,6より外側において望ましくは40〜50°例えば45°の角度で上外方へ延びる線を端縁として正面部7と折込み前部8、折込み後部9と背面部10をそれぞれ接着し三角形状の接着部11a,11bを形成」することを開示するが、袋体の頂部(上縁部)については、「また、袋体5の上縁部は内容物を装填した後に封緘されるか、または容器として適宜の開口部を作るように加工成形される。」と記載するのみであり、袋体の頂部(上縁部)に、かかる「三角形状の接着部」を形成することは開示していない。よって、該甲第4号証は、上記(i)、(ii)の点のいずれをも教示せず、特に(ii)の点については、示唆さえしない。加えて、該甲第4号証に記載のものは、自立し得る袋であって、バッグインボックス用袋体ではない。
さらに、上記甲第5号証は、上記したように、「袋本体62の開口端620の中央位置62cと、この位置より内方で袋本体62とガセット部63の連接部64の所定位置64cとを結ぶ斜め線65に沿って」「封着部66を形成」することを開示するが、該斜め線65の傾斜角については具体的な開示をしていない。よって、特許異議申立人の、「甲第5号証の第1図には、中央位置62cから延出する2本の斜め線65の端縁64c、64cと図示されているが、その端縁64cと64cとを結ぶ線と斜め線65とのなす角度として50°と看取されるものであり」(特許異議申立書第14頁第8行-同第10行)との主張にもかかわらず、該甲第5号証は、上記(i)、(ii)の点のいずれをも教示せず、示唆もしていないといわなければならない。なお、該甲第5号証には、上記のように、「前記袋体200はいわゆるテーブルトップ形に形成され、こうして形成された封着部168は把手としての機能を有し、袋体200に内容物を注入した場合に、第8図に示すように上面の左右に形成された三角凹部R,Rに両手が挿入される。」との記載がなされているが、該甲第5号証に、該三角凹部R,Rの形成と斜め線65の傾斜角との関係を示唆する記載はないから、かかる三角凹部R,Rに関する記載は、上記(i)又は(ii)の点を示唆するものとはいえない。
特許異議申立人が、本件の請求項1の従属請求項である請求項2ないし12に関して提出した、上記甲第6号証ないし上記甲第8号証もまた、上記(i)、(ii)の点のいずれをも教示せず、示唆もしない。

(6-3) 相違点2に係る作用効果について

本件発明1において、「頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は46〜55°で、底部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は40〜50°であり、且つ、頂部側の閉鎖シール部を底部側の閉鎖シール部よりも若干深い位置に形成」したことに関し、特許明細書には、上記したように、「しかし、袋の頂部側の閉鎖シール部は、底部側の閉鎖シール部よりも若干深い位置に形成するのがさらに好ましい。より具体的には、頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角m1の下限値を45°以上、好ましくは46°以上、より好ましくは48°以上とし、上限値を55°以下、好ましくは53°以下、より好ましくは52°以下とする。袋の頂部側は、内容物の自重で下方へ引っ張られ、注出口が備えられ、また、開封時に内容物があふれ出さないように若干の未充填空間が残されているので、底部ほどには上面が平坦化しないで若干尖った形状を取り、その結果、頂部の隅部は底部の隅部と比べてより深い位置で折れ曲がりやすい。そこで、頂部側の閉鎖シール部の角度を上記のように調整し、頂部側においても偶部が折れ曲がる位置に沿って閉鎖シール部を形成することによって、充填空間を最大限に取りながら偶部の残液貯留を充分に阻止することができる。」(段落【0059】)と記載されている。当該記載に示されている作用効果は、上記甲第1号証ないし上記甲第8号証のいずれの開示事項を参酌しても、当業者が容易に予測し得たものというに足る根拠を見出すことができないものである。

(6-4) 特許法第29条第2項に規定する要件に係る判断のむすび

以上より、本件発明1は、上記甲第1号証ないし上記甲第8号証の刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
また、本件の請求項2ないし12は、いずれも請求項1を引用する従属請求項であって、本件発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、これら請求項2ないし12に係る各発明もまた、上記甲第1号証ないし上記甲第8号証の刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

4.むすび

以上のとおりであるから、本件の請求項1ないし12に係る各発明についての特許は、特許異議申立ての理由及び証拠によって拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件の請求項1ないし12に係る各発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件の請求項1ないし12に係る各発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
バッグインボックス用袋体およびバッグインボックス
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】(a)袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部および折り襞状に内方に折り込まれた谷折り線を備えるように形成された2つの側面部を有する4方シールの袋本体の各隅部に、閉鎖シール部と三角形状のフィン部とを有し、
(b)前記袋本体を構成する平面部および側面部は長方形または正方形であり、且つ、接着されない状態で重ね合わされた少なくとも2枚の合成樹脂製フィルムによって形成されており、
(c)前記閉鎖シール部は、袋本体を一対の平面部が重なり合い且つ重なり合った平面部の間に前記谷折り線を備えた2つの側面部が介在するように折り畳んだ状態下で対向する袋本体の内面同士を、頂部シール部および底部シール部のうちのいずれかのシール部の任意位置から側面シール部の任意位置までに渡って直線帯状に接着することによって形成されたものであり、
(d)前記三角形状のフィン部は、頂部シール部および底部シール部のうちのいずれかのシール部、側面シール部および閉鎖シール部に囲まれることによって形成されたものであり、
(e)頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は46〜55°で、底部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は40〜50°であり、且つ、頂部側の閉鎖シール部を底部側の閉鎖シール部よりも若干深い位置に形成して、内容物の充填時には直方体または立方体に近い形状となることを特徴とするバッグインボックス用袋体。
【請求項2】前記袋本体の各隅部において前側のフィン部と後ろ側のフィン部の対向する頂点同士が接着されていることを特徴とする、請求項1記載のバッグインボックス用袋体。
【請求項3】前記平面部と前記側面部とは接続部において接着されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のバッグインボックス用袋体。
【請求項4】一対の平面部および2つの側面部のそれぞれに少なくとも1つずつ、袋本体の上下方向に延在するように帯状のフィルム片が接着されているかまたは帯状の気体充填層が設けられている請求項1乃至3のいずれかに記載のバッグインボックス用袋体。
【請求項5】袋本体の頂部側または底部側のうちの少なくとも一方に左右一対の吊り下げ部が形成されており、該吊り下げ部は、対向し合う前側と後ろ側の三角形状のフィン部同士を、隅部の頂点の位置で接着すると共に、頂部シール部上または底部シール部上の少なくとも一箇所の位置で接着することによって形成されている請求項1乃至4のいずれかに記載のバッグインボックス用袋体。
【請求項6】少なくとも1つの三角形状のフィン部にパンチ穴が形成されている請求項1乃至5のいずれかに記載のバッグインボックス用袋体。
【請求項7】前記合成樹脂製フィルム中の少なくとも1層が金属箔の層である請求項1乃至6のいずれかに記載のバッグインボックス用袋体。
【請求項8】(f-1)シール部の幅を除いた実寸法で、上記平面部の横寸法が260〜340mm、上記側面部の横寸法が180〜260mm、および上記平面部と上記側面部の縦寸法が490〜660mmであり、(g)内容物の充填時には直方体であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載のバッグインボックス用袋体。
【請求項9】(f-2)シール部の幅を除いた実寸法で、上記平面部の横寸法が190〜270mm、上記側面部の横寸法が140〜220mm、および上記平面部と上記側面部の縦寸法が330〜600mmであり、(g)内容物の充填時には直方体であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載のバッグインボックス用袋体。
【請求項10】立方体又は直方体の外箱の内部に、請求項1〜9のいずれかに記載された容量が5〜25リットルのバッグインボックス用袋体が内袋として収納されていることを特徴とするバッグインボックス。
【請求項11】外箱の内部に、注出口を備えた請求項1〜9のいずれかに記載のバッグインボックス用袋体が内袋として収納されており、外箱の一面には、内袋の注出口を突出させる際に該注出口の周囲の袋本体を50mm以上引き出すことが可能な径を有する開口部を形成するための開封補助手段が備えられていることを特徴とするバッグインボックス。
【請求項12】前記開封補助手段は、外箱の一面を、前記開口部の中心点となるべき位置から放射状に引き裂くことができ、開封後には、前記開口部の周囲に扇状の断片が残る開封補助手段であることを特徴とする、請求項11に記載のバッグインボックス。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、食品産業、車産業、トイレタリー産業等の各種分野において液体製品(飲料、カーオイル、洗剤等)を貯蔵、運搬するために利用されるバッグインボックス用袋体とバッグインボックスに関する。
【0002】さらに詳しくはバッグインボックス用の内袋であって耐衝撃性、内容物の使いきり性および内容物の充填時や外箱からの取り出し後における自立性に優れたバッグインボックス用袋体に関するものであると共に、国際規格のパレット上に無駄なスペースを生じないように隙間なく並べることができ、2段以上に積み上げても充分な安定性と強度を有し、しかもコンパクトで取扱いが容易なバッグインボックスに用いられる内袋に関するものである。
【0003】また、本発明は、内容物を取り出す際の使い勝手性と使いきり性の改善を図ったバッグインボックスに関するものでもある。
【0004】
【従来の技術】近年、ミネラルウォーター等の飲料や工業用薬品などの種々の液体の輸送・保管には使い捨てタイプのいわゆるワンウェイ容器であるバッグインボックスが広く用いられている。
【0005】このバッグインボックスは、内装としてプラスチックフィルムをシール加工して得た平袋や溶融プラスチックをブロー成形して得た一体成形品のようなプラスチック製の折り畳み可能な袋または容器を用い、この内装にダンボール箱等の外箱を外装したものであり、内容液体に対する耐水性、耐薬品性、ガスバリア性等を内装のプラスチック製袋体または容器に受け持たせる一方、輸送・保管上必要な剛性は外装に受け持たせるように構成されている。このように構成されるバッグインボックスは、従来のガラス瓶やブリキ缶等に比べ回収が不要なので省力化・経費節減に役立つとともに、折り畳み可能なので空容器の輸送・保管が容易で流通コストの低減が図れるなどの利点を有している。
【0006】バッグインボックス用の内袋としては、たとえば図12に示すような袋本体1の上部に注出口12を有する合成樹脂製の平袋501が用いられている。そして図13に示すように、この平袋501は内容物である液体が充填された後、外箱41内に収納され、封入される。
【0007】しかし、このような平袋型の内袋は外箱の内部形状に対する追従性が悪いので、外箱内へ収納した場合に外箱と内袋の間に無駄な空間42が生じ易く、内袋の隅部4は外箱の内部形状に追従するために折れ曲がってしまい、また、隅部以外の部分にも折れ目や皺が出来やすい。そして、外箱と内袋の間に無駄な空間42が生じると、内袋は外箱内部で動きやすいので、バッグインボックスに落下などの大きい衝撃が加えられた場合に内袋が破裂しやすく、振動などの小さい衝撃が加えられた場合にも内袋がこすれて傷付き破れやすい。また、内袋の一部、特に隅部4が折れ曲がると、その折れ曲がった部分に残液が溜まるので(いわゆる「宙水」)、内容物を最後まで使い切ることが困難である。特にバッグインボックスの場合には比較的内容量が大きいので、上記折れ曲がった部分に溜まる残液の量も多く、残液の排出性をいかに向上させるかが重要である。
【0008】さらに、平袋型の内袋は自立性を有しないので、バッグインボックスの製造過程において該内袋に液体を充填し、その後、外箱内に収納するに際し、内袋の取扱いが不便である。また、内袋に自立性がないと、たとえば水気が多い濡れた場所でダンボール箱が外装されたバッグインボックスを使用する場合等のように、使用環境に応じて外箱を取り除き内袋だけの状態で使用したい場合においても、取扱いが不便である。
【0009】一方、バッグインボックスの把持を容易にし使い勝手をよくすると共に、保管運搬時等にコンパクトに積み上げるために、バッグインボックスは立方体形状とするのが望ましい。かかる観点から、比較的需要の多い20リットル前後の内容量を有するバッグインボックスは、一辺が約300mmの立方体とされている。しかし、近年、運搬や保管のためにさまざまな物品を乗せるパレットの寸法について、国際規格が1100mm×1100mm(縦×横)と定められ、今後、この国際規格品がパレットの主流になると共に、パレットを取り扱う流通部門等の各施設でもこの国際規格品に合わせた規格や仕様を採用していくことが予想される。そして、一辺が300mm前後の立方体形状を有するバッグインボックスを国際規格のパレット上に配列する場合には、一段につき縦3列×横3列の合計9個しか積むことができず無駄なスペースが多く残ってしまうという問題がある。また、立方体のバッグインボックスではパレット上に棒積みされることになるので、積載時や運搬時の安定性に欠ける。
【0010】ところで、バッグインボックスの排液性や使い勝手性に対する外箱の影響も無視できない。バッグインボックスから内容物を取り出す際には、例えば、外箱を両手で持ち、その底部の縁を台の上に支え、外箱から突出した注出口(スパウト)から流れ出る内容物を適当な容器に移しとるなどの操作を行っている。ここで、バッグインボックスの内袋が平袋の場合には、その注出口(スパウト)は通常、外箱の開口部に固定されているので、注出口の周囲の袋本体に折れ目や皺が多数形成され、更にそれらが重なり合ってる。注出口周辺のこの折れ目や皺は、排液を困難にする原因となるのは言うまでもなく、排液の脈動を引き起こし、液ダレの原因になる。また、外箱の開口部から突出する注出口は、外箱に固定されている上、短く、ホース状となっていないので、注出口を手で握って内容物の流出方向を制御することができず、やはり液ダレで周囲を汚す原因になる。
【0011】一方、バッグインボックスの内袋が一体成形品の場合には、内袋が外箱の内部形状に近い形をとっており、その注出口は外箱の開口部に固定されておらず、しかも注出口の周囲の袋本体はロート型となっているので、使いきり時において残液が注出口に集まり易い。また、注出口が外箱の開口部に固定されていないことから、ある程度の自由度があり、内容物の流出方向を制御することも少しは可能である。しかしながら、一体成形品の内袋は、透明性が悪いので使いきり時の残液量を確認しにくく、また厚く堅く、しかも注出口の長さも短いので、注出口に若干の自由度はあるものの、平袋の場合と同様、注出口を手で握って内容物の流出方向を制御することは困難である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑みて成し遂げられたものであり、その第一の目的は、耐衝撃性、内容物の使いきり性および内容物の充填時や外箱からの取り出し後における自立性に優れたバッグインボックス用の内袋を提供することにある。また第二の目的は、国際規格のパレット上に無駄なスペースを生じないように隙間なく並べることができ、しかも立方体のバッグインボックスと比べても積み上げ時の安定性や強度、或いは把持や持ち運びの容易性の点で遜色のないバッグインボックスに用いられる内袋を提供することにある。そして第三の目的は、内容物の流出方向を容易に制御することができ、残液量の視認性がよく、残液量が極めて少ないバッグインボックスを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明においては、バッグインボックス用の内袋を、(a)袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部および折り襞状に内方に折り込まれた谷折り線を備えるように形成された2つの側面部を有する4方シールの袋本体の各隅部に、閉鎖シール部と三角形状のフィン部とを有し、(b)前記袋本体を構成する平面部および側面部は、接着されない状態で重ね合わされた少なくとも2枚の合成樹脂製フィルムによって形成されており、(c)前記閉鎖シール部は、袋本体を一対の平面部が重なり合い且つ重なり合った平面部の間に前記谷折り線を備えた2つの側面部が介在するように折り畳んだ状態下で対向する袋本体の内面同士を、頂部シール部および底部シール部のうちのいずれかのシール部の任意位置から側面シール部の任意位置までに渡って直線帯状に接着することによって形成されたものであり、(d)前記三角形状のフィン部は、頂部シール部および底部シール部のうちのいずれかのシール部、側面シール部および閉鎖シール部に囲まれることによって形成されたものであり、(e)頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は46〜55°で、底部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角は40〜50°であり、且つ、頂部側の閉鎖シール部を底部側の閉鎖シール部よりも若干深い位置に形成して、内容物の充填時には直方体又は立方体に近い形状となることを特徴とするバッグインボックス用袋体となるように構成した。
【0014】上記発明には、いくつかの好適な態様がある。第一に、上記のバッグインボックス用袋体において、袋本体の前側と後ろ側の隅部の対向する頂点同士が接着されているように構成することができる。
【0015】第二に、上記のバッグインボックス用袋体において、一対の平面部および2つの側面部のそれぞれに少なくとも1つずつ、袋本体の上下方向に延在するように帯状のフィルム片が接着されているかまたは帯状の気体充填層が設けられているように構成することができる。
【0016】第三に、上記のバッグインボックス用袋体において、袋本体の頂部側または底部側のうちの少なくとも一方に左右一対の吊り下げ部が形成されており、該吊り下げ部は、対向し合う前側と後ろ側の三角形状のフィン部同士を、隅部の頂点の位置で接着すると共に、頂部シール部上または底部シール部上の少なくとも一箇所の位置で接着することによって形成されているように構成することができる。
【0017】第四に、上記のバッグインボックス用袋体において、少なくとも1つの三角形状のフィン部にパンチ穴が形成されているように構成することができる。第五に、上記のバッグインボックス用袋体において、前記合成樹脂製フィルム中の少なくとも1層が金属箔の層であるように構成することができる。
【0018】第六に、上記のバッグインボックス用袋体において、(e)頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角を45〜55°とし、底部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角を40〜50°とするように構成することができる。
【0019】第七に、上記のバッグインボックス用袋体において、(f-1)シール部の幅を除いた実寸法で、上記平面部の横寸法が260〜340mm、上記側面部の横寸法が180〜260mm、および上記平面部と上記側面部の縦寸法が490〜660mmであり、(g)内容物の充填時には直方体となるように構成することができる。
【0020】第八に、上記のバッグインボックス用袋体において、(f-2)シール部の幅を除いた実寸法で、上記平面部の横寸法が190〜270mm、上記側面部の横寸法が140〜220mm、および上記平面部と上記側面部の縦寸法が330〜600mmであり、(g)内容物の充填時には直方体となるように構成することができる。
【0021】また、本発明においては、バッグインボックスを、外箱の内部に、注出口を備えた前記いずれかのバッグインボックス用袋体、或いは、注出口を備え且つ合成樹脂製フィルムからなる4方シールの袋体(例えば平袋)が内袋として収納されており、外箱の一面には、内袋の注出口を突出させる際に該注出口の周囲の袋本体を50mm以上引き出すことが可能な径を有する開口部を形成するための開封補助手段が備えられていることを特徴とするバッグインボックスとなるように構成した。
【0022】そして、好適には、上記バッグインボックスに備えられた開封補助手段を、外箱の一面を、前記開口部の中心点となるべき位置から放射状に引き裂くことができ、開封後には、前記開口部の周囲に扇状の断片が残る開封補助手段とすることができる。また、上記バッグインボックスは、好適には、内袋の容量が5〜25リットルであり、外箱が立方体又は直方体となるように構成することができる。
【0023】本発明のバッグインボックス用袋体は、次のような作用を奏する。第一に、本発明のバッグインボックス用袋体は、前後の平面部とガセットを有する側面部に囲まれ且つ該平面部と該側面部の側縁部同士がシールされた柱構造をとり、しかも頂部側および底部側の各隅部に、あたかも隅部を斜めに切り取るような直線帯状の閉鎖シール部が設けられているので、内容物である液体を充填すると立方体または直方体に近い形状をとる。したがって、本発明のバッグインボックス用袋体は、立方体または直方体の形状を有する外箱の内部形状に対して追従性が優れ、外箱内にぴったりとおさまり、外箱と内袋の間の無駄な空間が極めて少ないので、内袋が外箱内で動きにくく、衝撃による破裂やこすれによる破れが起こりにくい。
【0024】第二に、本発明のバッグインボックス用袋体には、各隅部に、袋本体の内部空間から完全に閉鎖されて内容物が入り込めない三角形状のフィン部が形成されている。このため隅部に残液が溜まることはなく、バッグインボックスの残液排出性が向上する。さらに、三角形状のフィン部と一体的に形成された前記の閉鎖シール部は、衝撃に対して応力分散の効果があるので、袋体の耐衝撃性が向上する。
【0025】第三に、本発明のバッグインボックス用袋体は、内容物である液体を充填すると立方体または直方体に近い形状をとるので、自立性に優れている。したがって、バッグインボックスの製造過程(たとえば内袋へ液体を充填する工程や外箱内へ内袋を収納する工程など)やバッグインボックスの外箱を取り外して内袋だけの状態で使用する場合において、取扱いが容易である。
【0026】第四に、本発明のバッグインボックス用袋体の平面部および側面部は、接着されない状態で重ね合わされた少なくとも2枚の合成樹脂製フィルムによって形成されているので、外側の合成樹脂製フィルムのみが外箱との摩擦で摩耗し、内側の合成樹脂製フィルムは外側の合成樹脂製フィルムに対する滑りによって摩耗しにくい。したがって、1枚の合成樹脂製フィルムで形成された同じ厚さの平面部および側面部と比べて破れにくい。また、内袋の平面部および側面部が上記のように数枚重ねの合成樹脂製フィルムによって形成されている場合には、1枚の合成樹脂製フィルムで同じ厚さの平面部および側面部を形成した場合と比べて内袋の柔軟性に富んでいるので、該内袋を外箱内に収納する際の取扱いが容易である。
【0027】第一の好適な態様において、袋本体の前側と後ろ側の隅部の対向する頂点同士を接着した場合には、上記三角形状のフィン部が跳ね上がったり不特定の方向に無秩序に折れ曲がったりしないので、バッグインボックスの製造過程(たとえば内袋へ液体を充填する工程や外箱内へ内袋を収納する工程など)やバッグインボックスの外箱を取り外して内袋だけの状態で使用する場合において、三角形状のフィン部が邪魔にならない。また、三角形状のフィン部の介在によって、外箱の上面や下面に内容物が充填されている部分の袋壁が直接接触しなくなるので、振動等による袋のこすれ、裂け、あるいはピンホールが防止される。
【0028】第二の好適な態様において、袋本体の各平面部および各側面部のそれぞれに少なくとも1つずつ、袋本体の上下方向に延在するように帯状のフィルム片を接着するかまたは帯状の気体充填層を設けた場合には、内袋の自立性がさらに向上する。上述のように本発明のバッグインボックス用袋体は自立性を有しているが、比較的容量が大きいので液体充填の前後を通じて袋本体の胴部がたるみやすく、自立性が不十分な場合がある。これに対して帯状のフィルム片が接着されているかまたは帯状の気体充填層が設けられている場合には、袋本体の胴部にコシが出る(剛性または曲げ抵抗性が向上する)ので、胴部のたるみが低減され、内袋の自立性がさらに向上する。
【0029】第三の好適な態様において、対向し合う前側と後ろ側の三角形状のフィン部同士を、隅部の頂点の位置で接着すると共に、頂部シール部上または底部シール部上の少なくとも一箇所の位置で接着することによって、袋の頂部側または底部側のうちの一方または両方に左右一対の吊り下げ部を形成した場合には、フィン部と胴部の間の空間に手や機械ハンドを差し入れて袋体を吊り下げることが可能になる。
【0030】第四の好適な態様において、袋本体の各隅部にある三角形状のフィン部の少なくとも1つにパンチ穴を形成した場合には、そのパンチ穴にフック等を引っかけることによって袋の自立を補助したり、袋を吊り下げたりできるので、バッグインボックスの製造過程や内袋だけの状態で使用する際の取扱いが容易である。
【0031】第五の好適な態様において、合成樹脂製フィルムの少なくとも1層を金属箔の層とした場合には、袋体の遮光性が極めて高くなり、また金属箔層の形状保持作用によって袋の自立性が向上する。
【0032】第六の好適な態様において、頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角を45〜55°とし、底部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角を40〜50°とした場合には、外箱の内部形状に対する内袋の追従性と残液の低減効果とが特に優れている。
【0033】すなわち、底部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角を40〜50°とすることによって、充填時における袋体の底部を立方体または直方体に非常に近い形状とすることができる。また、ちょうど隅部が折れ曲がる位置に沿って閉鎖シール部を設けることができるので、充填空間を最大限に取りながら隅部の残液貯留を充分に阻止することができる。さらに、衝撃に対する応力分散の効果を最大とすることができる。
【0034】一方、袋体の頂部は、内容物の自重で下方へ引っ張られ、注出口が備えられ、また、開封時に内容物があふれ出さないように若干の未充填空間が残されている。このため、当該袋体の頂部は、底部ほどには上面が平坦化しないで若干尖った形状を取り、頂部の隅部は底部の隅部と比べてより深い位置で折れ曲がりやすい。そこで、頂部においては、頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角を45〜55°として閉鎖シール部の位置を若干深くすることによって、頂部においても隅部が折れ曲がる位置に沿って閉鎖シール部を設ける。その結果、袋の頂部において、充填空間を最大限に取りながら偶部の残液貯留を充分に阻止することができる。
【0035】第七の好適な態様において、(f-1)シール部の幅を除いた実寸法で、上記平面部の横寸法を260〜340mm、上記側面部の横寸法を180〜260mm、および上記平面部と上記側面部の縦寸法を490〜660mmとし、(g)内容物の充填時に直方体となるようにした場合には、国際規格のパレットとの相性が極めて良い20リットル前後の容量のバッグインボックスを提供することができる。
【0036】すなわち、上記寸法の平面部と側面部とを有する本発明の袋体は、20リットル前後の容量を有し、内容物の充填時には平面部の横寸法260〜340mm、側面部の横寸法180〜260mm、高さ230〜480mmのおおむね直方体となる。従って、この袋体を内袋として使用すれば、内容量が20リットル前後で、実質的に上記寸法と同じ寸法を有する直方体のバッグインボックスが得られる。なお、充填時の袋の高さの方が充填前の平面部および側面部の縦寸法と比べて側面部の横寸法分だけ短くなるのは、平面部と側面部の上端と下端が袋体の上面側と下面側に回り込むことによって、充填時形状の上面と底面が形成されるためである。
【0037】そして、このようにして得られた容量20リットルで直方体形状のバッグインボックスは、1100mm×1100mm(縦×横)のパレット上に、一段当たり縦4列×横3列の合計12個をぴったりと積むことができる。また、バッグインボックスが上記寸法の範囲内であれば、個々のバッグインボックスは幅が薄くなり過ぎたり細長くなり過ぎたりしないので、把持が容易で使い勝手がよく、充分な安定性と強度も保持している。さらに、バッグインボックスが直方体であれば、バッグインボックスを並べる方向を各段ごとに変えて井桁状に積み上げることができるので、積み上げた山全体としても充分な安定性と強度を確保することができる。
【0038】第八の好適な態様において、(f-2)シール部の幅を除いた実寸法で、上記平面部の横寸法を190〜270mm、上記側面部の横寸法を140〜220mm、および上記平面部と上記側面部の縦寸法を330〜600mmとし、(g)内容物の充填時には直方体となるようにした場合には、国際規格のパレットとの相性が極めて良い10リットル前後の容量のバッグインボックスを提供することができる。
【0039】すなわち、上記寸法の袋体は、10リットル前後の容量を有し、内容物の充填時には平面部の横寸法190〜270mm、側面部の横寸法140〜220mm、高さ110〜460mmのおおむね直方体となる。従って、この袋体を内袋として使用すれば、内容量が10リットル前後で、実質的に上記寸法と同じ寸法を有する直方体のバッグインボックスが得られる。
【0040】そして、このようにして得られた容量10リットルで直方体形状のバッグインボックスは、1100mm×1100mm(縦×横)のパレット上に、一段当たり縦5列×横4列の合計20個をぴったりと積むことができる。また、第七の態様と同じく、個々のバッグインボックスは幅が薄くなり過ぎたり細長くなり過ぎたりしないので、把持が容易で使い勝手がよく、充分な安定性と強度も保持している。さらに、バッグインボックスを並べる方向を各段ごとに変えて井桁状に積み上げることができるので、積み上げた山全体としても充分な安定性と強度を確保することができる。
【0041】一方、本発明のバッグインボックスにおいては、使用時に開封補助手段を使って外箱に開けた開口部から、注出口と共に注出口の周囲の袋本体を50mm以上引き出すことができるので、注出口の周囲がロート型になる。このため、注出口に内容物が集まり易く、排液も円滑である。従って、残液が残りにくく、脈動も少ない。また、注出口が外箱から十分に引き出されているので、注出口を容易に掴むことができ、内容物の流出方向を制御しやすい。しかも、内袋は一体成形品ではなく、薄い合成樹脂製フィルムのシール加工によって形成されたものであり透明性が高いので、残液の視認性が良好である。
【0042】本発明のバッグインボックスに設ける開封補助手段は、開口部を開ける際に、外箱の開口部の中心点となるべき位置から放射状に外箱を引き裂くことができ、且つ、扇状の引き裂き断片を開口部の周囲に残すことが出来るような開封補助手段とするのが好ましい。この場合、開口部から引き出された注出口および注出口の周囲の袋本体が、開口部の周囲に残された扇状の引き裂き断片によって押さえつけられ、あるいは支持されるので、注出口の位置が安定する。
【0043】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を示し、本発明についてさらに具体的に説明する。図1は、本発明のバッグインボックス用袋体の一例を折り畳んだ状態を示す正面図である。また図2は、図1の袋体に内容物を充填した状態を示す斜視図である。
【0044】図1および図2に沿って説明すると、本発明のバッグインボックス用袋体101は、水や油の輸送・保管に用いられる容量20リットルの袋体である。ただし、本発明においては、内容物の種類および容量に特別の制限はない。内容物としては、たとえば飲料水、コーヒー、スープ、ワイン、酒、牛乳、乳飲料等の飲料、醤油、ソース等の風味調味料、カーオイル、洗剤、工業用薬品等の化学製品などが広く該当する。内容物は、固形物入りの液体であってもよいし、粉体等の液体以外の流動体であってもよい。また、容量に関しては、たとえば5リットル程度の家庭用から、20リットル程度の業務用にまで広く適用できる。
【0045】図2に示したように、内容物を充填した状態の本発明の袋体は、三角形状のフィン部11が存在することを除けば、おおむね立方体または直方体である。なお、袋体101の場合には、おおむね直方体である。
【0046】袋体101は、袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部2、3および折り襞状に内方に折り込まれた谷折り線6を備えるように形成された2つの側面部5を有し、袋本体の周縁に頂部シール部7、底部シール部8および側面シール部9が存在する4方シールの袋体であり、且つ、袋本体の各隅部4に閉鎖シール部10と三角形状のフィン部11とを有している。
【0047】各平面部および各側面部は、正方形または長方形であり、袋体101の場合、平面部2、3および側面部5はすべて長方形である。頂部シール部7、底部シール部8、側面シール部9および閉鎖シール部10を形成するための接着は、通常、ヒートシール法によって行われる。なお、袋本体を形成するためのフィルムを折り曲げ成形することによって、頂部シール部7、底部シール部8および側面シール部9の一部を省略することができる。袋体101には、適宜、従来のバッグインボックス用内袋と同様の注出口12を設けてもよい。
【0048】図3は、充填された状態の本発明の袋体101の水平方向切断面を模式的に示した図である。図3に示すように、平面部2、3および側面部5は、接着されない状態で重ね合わされた少なくとも2枚の合成樹脂製フィルムによって形成され、緩衝撃型の構造となっている。ここで、「重ね合わされた少なくとも2枚の合成樹脂製フィルムによって形成される」とは、複数の合成樹脂フィルムが分離しているかまたは分離可能な状態で重ね合わされた構造をとっていることを言う。そのような構造としては、例えば、図3に示すような接着されない状態で重ね合わされた構造を例示することができる。また、別の例としては、袋の使用開始後に剥離する程度の接着強度で疑似接着された積層構造を例示することができる。疑似接着されたフィルムは、袋の製造段階においてその取扱いが容易である。
【0049】図3において前側の平面部2を例にとって説明すると、平面部2は外側フィルム2-aと内側フィルム2-bとから形成され、側面シール部9等の各シール部において上記フィルム2-aと2-bとが接着され、それ以外の未接着部分では両フィルムの間に空間16が存在する。ただし、両フィルムは、側面シール部9等の各シール部以外の部分17において局部的に接着されていてもよい。各フィルムは、2-bのように単層フィルムであってもよいし、2-aのように複合フィルムであってもよい。
【0050】各合成樹脂製フィルムあるいはフィルム中の各層の材料樹脂や厚さ等は、内容物の性質や袋に要求される強度等の諸条件を考慮して適宜決定されるものであるが、一般的には、外側フィルム2-aまたは外側フィルムの外側層2-a1に関しては、外部環境との関係で要求される強度や耐摩耗性等の性能を重視して決定され、一方、内側フィルム2-bまたは内側フィルムの内側層(2-b中には存在しない。)に関しては、内部環境との関係で要求される耐水性、耐薬品性、ガスバリア性あるいはシール性等の性能を重視して決定される。また、外側フィルム2-aと内側フィルム2-bとの間または外側フィルムの内側層2-a3と内側フィルムの外側層(2-b中には存在しない。)との間の関係では、なるべく両者間の滑りがよくなる組み合わせを選ぶのが好ましい。
【0051】たとえば、上記の袋体101の平面部2、3および側面部5においては、外側フィルム2-aは複合フィルムであり、その層構成[外側層2-a1/中間層2-a2/内側層2-a3]は、15μmの延伸ナイロン(ON)/20μmのポリエチレン(PE)/60μmの線状低密度ポリエチレン(LLDPE)である。一方、内側フィルム2-bは単層フィルムであり、60μmのLLDPEフィルムである。
【0052】 その他の具体例としては、
(1)外側フィルム[外側から内側に向かって、15μmのポリ塩化ビニリデンコートON層(KコートON)/20μmのPE/60μmのLLDPE]と内側フィルム[60μmのLLDPE]、
(2)外側フィルム[12μmの金属蒸着ポリエチレンテレフタレート層(VMPET)/15μmのON/20μmのPE/60μmのLLDPE]と内側フィルム[60μmのLLDPE]、
(3)外側フィルム[15μmのON/20μmのPE/60μmのLLDPE・ON・LLDPE共押出しフィルム]と内側フィルム[60μmのLLDPE・ON・LLDPE共押出しフィルム]、あるいは、
(4)外側フィルム[15μmのON/20μmのPE/60μmのLLDPE・エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)・LLDPE共押出しフィルム]と内側フィルム[60μmのLLDPE・EVAL・LLDPE共押出しフィルム]
(5)外側フィルム[12μmのシリカ蒸着ポリエチレンテレフタレート層/15μmのON/20μmのPE/60μmのLLDPE]と内側フィルム[60μmのLLDPE]
(6)外側フィルム[12μmのアルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレート層/15μmのON/20μmのPE/60μmのLLDPE]と内側フィルム[60μmのLLDPE]などの組み合わせを例示できる。
【0053】上記の例示において、ONは強度向上に有効であり、KコートON、VMPET、EVOHはバリア性向上に有効である。また(3)は、特に強度を向上させたい場合に好適である。
【0054】合成樹脂製フィルム中の少なくとも1層は、アルミニウム箔のような金属箔の層であってもよい。金属箔層は、袋体の遮光性を極めて高いものとし、また袋体の形状保持性を高めて自立性の向上に寄与する。従って、外箱の遮光性があまり良くない場合や、内袋を外箱から取り出して使用する場合などに効果的である。
【0055】袋本体の各隅部4には、充填時の袋体101がなるべく立方体または直方体に近い形状となるようにする共に、各隅部4に三角形状のフィン部11を形成するために、閉鎖シール部10が形成されている。この閉鎖シール部10は、袋本体を、一対の平面部2、3が重なり合い且つ重なり合った両平面部の間に谷折り線6を備えた2つの側面部5が介在するように折り畳んだ状態下、すなわち図1に示す状態下で、対向する袋本体の内面同士を、頂部シール部および底部シール部のうちのいずれかのシール部の任意位置Pから側面シール部の任意位置Qまでに渡って直線帯状に接着することによって形成される。
【0056】上記と同様に、充填時の袋体101がなるべく立方体または直方体に近い形状となるようにする観点から、任意位置Pは、できるだけ頂部シール部7および底部シール部8と谷折り線6との交点に近いほうが好ましい。このため、任意位置Pは、通常、頂部シール部7および底部シール部8と谷折り線6との交点から±1cmの範囲内、好適には該交点上に設けられる。
【0057】さらに、やはり上記と同様の観点から、各隅部4に存在する各閉鎖シール部10は、袋本体の右側と左側、前側と後ろ側および頂部側と底部側のそれぞれの位置関係にある閉鎖シール部同士ができるだけ対称的であることが好ましい。
【0058】充填時の袋体101がなるべく立方体または直方体に近い形状となるようにする観点から、閉鎖シール部10は、三角形状のフィン部11ができるだけ直角二等辺三角形に近い形状となるように形成するのが好ましい。そのためには、頂部シール部および底部シール部のうちのいずれかのシール部と閉鎖シール部に挟まれた狭角m(m1、m2)および側面シール部と閉鎖シール部に挟まれた狭角n(n1、n2)は、通常30〜60°、好適には40〜50°、特に好適にはm=n=45°とする。このような観点から、袋体101の底部側においては、m2=n2=45°を採用している。
【0059】しかし、袋の頂部側の閉鎖シール部は、底部側の閉鎖シール部よりも若干深い位置に形成するのがさらに好ましい。より具体的には、頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角m1の下限値を45°以上、好ましくは46°以上、より好ましくは48°以上とし、上限値を55°以下、好ましくは53°以下、より好ましくは52°以下とする。袋の頂部側は、内容物の自重で下方へ引っ張られ、注出口が備えられ、また、開封時に内容物があふれ出さないように若干の未充填空間が残されているので、底部ほどには上面が平坦化しないで若干尖った形状を取り、その結果、頂部の隅部は底部の隅部と比べてより深い位置で折れ曲がりやすい。そこで、頂部側の閉鎖シール部の角度を上記のように調整し、頂部側においても偶部が折れ曲がる位置に沿って閉鎖シール部を形成することによって、充填空間を最大限に取りながら偶部の残液貯留を充分に阻止することができる。このような観点から、袋体101の頂部側においては、m1=50°、n1=40°を採用している。
【0060】袋本体の各隅部4には、頂部シール部7および底部シール部8のうちのいずれかのシール部、側面シール部9および閉鎖シール部10に囲まれることによって、閉鎖シール部10と一体的に、三角形状のフィン部11が形成されている。この三角形状のフィン部11の内部空間は、閉鎖シール部10によって袋本体の内部空間から完全に閉鎖されているので、袋内に充填された内容物はその中に入り込めない。したがって、袋体101を外箱内に収納する際に、三角形状のフィン部11が形成されている各隅部4が折れ曲がっても、隅部に残液は溜まらず、バッグインボックスの残液排出性が向上する。さらに、三角形状のフィン部と一体的に形成された前記の閉鎖シール部10は、衝撃に対して応力分散の効果があるので、袋体の耐衝撃性が向上する。
【0061】三角形状のフィン部11において対向する袋本体の内面同士は、図1に示すように接着されていなくてもよいが、閉鎖シール部10の接着部分と連続的に接着されていてもよい。この場合には、フィン部11の内部空間がない状態となる。また、フィン部11の内面同士は、全面的にではなくて部分的乃至断続的に接着されていてもよい。
【0062】三角形状のフィン部11は、本来的には本発明の袋体の不要部分であり、この部分が跳ね上がったり不特定の方向に折れ曲がったりして、該袋体の取り扱いを繁雑にする。たとえば、バッグインボックスの製造過程(たとえば内袋へ液体を充填する工程や外箱内へ内袋を収納する工程など)やバッグインボックスの外箱を取り外して内袋だけの状態で使用する場合において、三角形状のフィン部11は邪魔になる。このような取扱い上の繁雑さを解消するために、好適には図4に示すように、袋本体の前側と後ろ側の隅部の対向する頂点R同士を接着する。このようにすることによって、三角形状のフィン部11が邪魔にならなくなるだけでなく、三角形状のフィン部11の介在によって外箱の上面や下面に内容物が充填されている部分の袋壁が直接接触しなくなるので、振動等による袋のこすれ、裂け、あるいはピンホールを防止することもできる。頂点R同士を接着するに際しては、頂点R付近をさらに接着してもよい。たとえば、袋本体の前側と後ろ側の対向する頂部シール部7同士または底部シール部8同士を、頂点Rの接着部分と連続的にまたは不連続的に接着してもよい。なお、隅部の頂点同士を接着する場合には袋本体の各シール部を形成するのに用いられる接着装置を流用できる。
【0063】袋本体の前側と後ろ側の対向する頂部シール部7同士または底部シール部8同士を、頂点Rの接着部分と連続的または不連続的に接着することによって、袋体の頂部側または底部側に左右一対の吊り下げ部を形成してもよい。この吊り下げ部を形成した場合には、フィン部と胴部の間の空間に手や機械ハンドを差し入れて袋体を吊り下げることが可能となるので、袋体の移動や内容物の排出に際して便利である。特に袋体の製造過程においては、機械ハンドによって充填後の重い袋体を持ち上げ、それを外箱に入れることができるので、人員の削減による省力化や、無菌充填システムの導入による環境衛生の向上に有利となる。
【0064】上記吊り下げ部を形成するために頂点Rの位置の接着部と連続的または不連続的に形成される接着部は、帯状のシール部であってもよいし、円形、楕円形、四角形等のポイントシール部(スポットシール部)であってもよい。
【0065】フィン部11には、図4に示すようにパンチ穴14を開けてもよい。このパンチ穴14にフックを引っかけることによって、バッグインボックス用袋体の自立を補助したり、吊り下げたりすることができる。従って、製造時において充填や外箱への収納などの各種作業を行う場合や、使用時において外箱から内袋の取り出して内袋だけの状態で使用する場合に便利である。通常は図4に示すように、袋体の頂部側に、前後2枚のフィン部を貫通する左右一対のパンチ穴14を形成する。ただし、パンチ穴14の数と位置は特に制限されず、例えば、袋体の底部側に左右一対のパンチ穴を設けてもよい。
【0066】本発明のバッグインボックス用袋体においては、図5および図6に示すように、一対の平面部2、3および2つの側面部5のそれぞれに少なくとも1つずつ、袋本体の上下方向に延在するように帯状のフィルム片31を接着するか(図5)、または、帯状の気体充填層32を設ける(図6)ことによって、ガセット袋の胴部にコシが出すことができる。したがって、ガセット袋の胴部がたるみにくくなり、袋の自立性が向上する。なお、帯状の気体充填層32を設ける場合には、内袋の保温性、断熱性およびクッション性をも向上させることができる。
【0067】帯状のフィルム片31としては、通常、幅5cm程度のコシのある合成樹脂製フィルムを用い、これをヒートシールなどの任意の接着方法で袋本体の胴部に接着する。コシのある合成樹脂製フィルムとしては、たとえば厚さ60μm以上、好適には60〜100μmのポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムを例示することができる。また、粘着性を有する紙ラベルやプラスチックラベルなどを貼付してもよい。
【0068】帯状のフィルム片31は、数枚重ねされた合成樹脂製フィルムのうちの外側フィルム2-a上に接着してもよいし、内側フィルム2-b上に接着してもよい。また、数枚重ねされた合成樹脂製フィルムのうちの一枚に、フィルム片31の役割を兼ねさせることもできる。たとえば、平面部2、3および側面部5において重なり合う外側フィルム2-aと内側フィルム2-bとを、局部的に且つ袋本体の上下方向に帯状に接着すれば、フィルム片31を別途準備しなくてすむ。
【0069】図7は、図6に示された気体充填層32付きの平面部2の断面を模式的に示した図である。この図7に沿って説明すると、帯状の気体充填層32は、平面部2の外側表面に、気体充填層32の内面となるべき未接着部分33を残すように、気体不透過性フィルム34を接着積層することによって形成される。数枚重ねされて平面部2を形成する合成樹脂製フィルムのうちの一枚が複合フィルムである場合には、該複合フィルム中の一層が気体不透過性フィルム34を兼ねていてもよい。たとえば、外側フィルムの外側層2-a1は気体不透過性フィルム34を兼ねることができる。気体不透過性フィルム34の接着方法としては、ヒートシールなどの任意の方法を採用することができる。なお、気体充填層1つ分ずつに分割された気体不透過性フィルム34を数列並べて接着してもよい。
【0070】図6に沿って説明すると、帯状の気体充填層32は、通常、幅5cm程度であり、気体を充填しやすいように気体送入口35が設けられている。また、気体送入口35をすべての気体充填層32にそれぞれ設けるかわりに、気体送入口35を有する気体充填層と有しない気体充填層とを気体送入路36で連絡すれば便利である。内部に充填される気体としては、できるだけ反応性の低いものが好適であり、たとえば空気、不活性ガス、N2ガス、CO2ガスあるいはこれらの混合物が用いられる。また、気体の充填容量は、無充填時のガセット袋と比べて胴部のコシが出る量であればよいが、充分にその目的を達成するためには、通常、最大充填容量の5v/v%以上、好適には7v/v%以上とする。
【0071】本発明の袋体の寸法は、パレットの国際規格を考慮して決定するのが好ましい。かかる観点から、袋体の容量を20リットル前後(大体15〜25リットル)とする場合には、シール部の幅を除いた実寸法で、平面部の横寸法を260〜340mm、側面部の横寸法を180〜260mm、平面部と側面部の縦寸法を490〜660mmとするのが好ましい。より好ましくは、シール部の幅を除いた実寸法で、平面部の横寸法を280〜320mm、側面部の横寸法を200〜240mm、平面部と側面部の縦寸法を490〜660mmとする。
【0072】上記寸法を有する袋体は、膨張すると平面部と側面部の上端と下端が袋体の上面側と下面側に回り込むので、充填時の袋の高さの方が充填前の平面部および側面部の縦寸法と比べて側面部の横寸法分だけ短くなる。このため、上記寸法を有する袋体は、充填時には平面部の横寸法260〜340mm、側面部の横寸法180〜260mm、高さ230〜480mmのおおむね直方体となる。従って、この袋体を内袋として使用すれば、上記の膨張時寸法よりも僅かに大きい外寸法を有する直方体のバッグインボックスが得られる。
【0073】そして、このようにして得られた特定範囲内の寸法を有する20リットル前後のバッグインボックスは、図8に示すように、1100mm×1100mm(縦×横)のパレット61上に、一段当たり縦4列×横3列の合計12個をぴったりと積むことができる。また、バッグインボックスが上記寸法の範囲内であれば、個々のバッグインボックスは幅が薄くなり過ぎたり細長くなり過ぎたりせずコンパクトなので、把持が容易で使い勝手がよく、充分な安定性と強度も保持している。さらに、上記寸法のバッグインボックスは直方体であり、バッグインボックスを並べる方向を、図8に示すように各段ごとに変えて井桁状に積み上げることができるので、積み上げた山全体としても充分な安定性と強度を確保することができる。
【0074】上記寸法の範囲内で袋の容量を調節したい場合には、平面部と側面部の縦寸法だけを変更することによって容易に調節することができる。例えば、シール部の幅を除いた実寸法で、平面部の横寸法を300mm、側面部の横寸法を220mm、平面部と側面部の縦寸法を575mmとする場合には、膨張時に容量20リットル、平面部の横寸法300mm、側面部の横寸法220mm、高さ334mmとなる袋体が得られ、これを外寸320mm×240mm×390mmの外箱に収納してバッグインボックスとすることができる。
【0075】これに対して、上記寸法のうち平面部と側面部の縦寸法を491mmに変更し、他の寸法は変えない場合には、膨張時に容量15リットル、平面部の横寸法300mm、側面部の横寸法220mm、高さ250mmとなる袋体が得られ、これを外寸320mm×240mm×300mmの外箱に収納してバッグインボックスとすることができる。
【0076】さらに、上記寸法のうち平面部と側面部の縦寸法を658mmに変更し、他の寸法は変えない場合には、膨張時に容量25リットル、平面部の横寸法300mm、側面部の横寸法220mm、高さ417mmとなる袋体が得られ、これを外寸320mm×240mm×470mmの外箱に収納してバッグインボックスとすることができる。
【0077】本発明の袋体の容量を10リットル前後(大体5〜15リットル)とする場合にも、パレットの国際規格を考慮して袋の寸法を決定するのが好ましい。袋体の容量を10リットル前後とする場合には、シール部の幅を除いた実寸法で、平面部の横寸法を190〜270mm、側面部の横寸法を140〜220mm、平面部と側面部の縦寸法を330〜600mmとするのが好ましい。より好ましくは、シール部の幅を除いた実寸法で、平面部の横寸法を210〜250mm、側面部の横寸法を160〜200mm、平面部と側面部の縦寸法を330〜600mmとする。
【0078】上記寸法を有する袋体は、内容物を充填した時には平面部の横寸法190〜270mm、側面部の横寸法を140〜220mm、高さ110〜460mmのおおむね直方体となるので、この袋を用いることによって、上記の膨張時寸法よりも僅かに大きい外寸法を有する直方体のバッグインボックスが得られる。
【0079】そして、このようにして得られた特定範囲内の寸法を有する10リットル前後のバッグインボックスは、国際規格のパレット上に、一段当たり縦5列×横4列の合計20個をぴったりと積むことができる。また、コンパクトであり、把持が容易で使い勝手もよく、充分な安定性と強度も保持している。さらに、バッグインボックスを並べる方向を各段ごとに変えて井桁状に積み上げることができるので、積み上げた山全体としても充分な安定性と強度を確保することができる。
【0080】容量が10リットル前後の場合にも、平面部と側面部の縦寸法だけを変更することによってその容量を容易に調節することができる。例えば、シール部の幅を除いた実寸法で、平面部の横寸法を230mm、側面部の横寸法を180mm、平面部と側面部の縦寸法を464mmとする場合には、膨張時に容量10リットル、平面部の横寸法230mm、側面部の横寸法180mm、高さ266mmとなる袋体が得られ、これを外寸250mm×200mm×320mmの外箱に収納してバッグインボックスとすることができる。
【0081】これに対して、上記寸法のうち平面部と側面部の縦寸法を331mmに変更し、他の寸法は変えない場合には、膨張時に容量5リットル、平面部の横寸法230mm、側面部の横寸法180mm、高さ133mmとなる袋体が得られ、これを外寸250mm×200mm×190mmの外箱に収納してバッグインボックスとすることができる。
【0082】さらに、上記寸法のうち平面部と側面部の縦寸法を597mmに変更し、他の寸法は変えない場合には、膨張時に容量15リットル、平面部の横寸法230mm、側面部の横寸法180mm、高さ399mmとなる袋体が得られ、これを外寸250mm×200mm×450mmの外箱に収納してバッグインボックスとすることができる。
【0083】上述したようなバッグインボックス用袋体を封入する外箱としては、従来から用いられているバッグインボックス用の外箱を用いることができる。バッグインボックス用の外箱として代表的なのは段ボール箱であるが、これを使用すると紙粉が出て内袋の外面に付着したりバッグインボックスの周囲に飛散したりする場合がある。この場合には、プラスチック等の紙粉が出ない材質からなるコンテナーを用いてもよい。
【0084】プラスチック製のコンテナーのような耐久性のよい外箱は、廃棄せずに回収して再使用することが可能である。再使用型の外箱は折り畳み式とするのが好ましく、また、内袋を外箱から取り出して使用することが比較的多い小容量(10リットル以下)の内袋を封入するのに好適である。折り畳み式コンテナーは遮光性があまり良くない場合があるが、その場合にはアルミニウム箔等の金属箔の層を少なくとも1層有する合成樹脂製フィルムを用いた袋体を内袋とするのが好ましい。
【0085】外箱の壁面には、内袋の注出口を突出させるための開口部が必要である。そのため、通常は、外箱の壁面にミシン目等の開封補助手段が設けられており、開口部はこの開封補助手段を利用して使用開始時に開けられる。開封補助手段によって形成されるこの開口部は、注出口を突出させる際に、注出口の周囲の袋本体を十分に引き出すことのできる大きさを有しているのが好ましい。
【0086】図9に、そのような開封補助手段を備えた外箱と本発明のバッグインボックス用袋体とを組み合わせてなるバッグインボックス202を示す。図9(A)に示すように、バッグインボックスの外箱41には、その一面に注出口を開けるための開封補助手段43が設けられている。この開封補助手段としては、図示したミシン目の他に、例えばティアテープ等を例示できる。図示されていないが、外箱41の内部には本発明のバッグインボックス用袋体が収納されており、その注出口は開口部となるべき開封補助手段43の真下に位置している。注出口は開封後に開口部から引き出す必要があるので、外箱には固定されていない。外箱の材質は特に制限されず、例えば、段ボール紙などを用いることができる。
【0087】図9(B)に示すように、上記のバッグインボックス202を開封すると、開口部44が形成される。なお、開口部の形状は特に制限されず、例えば、円形、楕円形、四角形、六角形、八角形等の形状を例示できる。開口部44の径dは、キャップ13が付いた注出口12と注出口の周囲の袋本体1とを十分に引き出すことができる大きさを有している。このように開口部から注出口と注出口の周囲の袋本体を十分に引き出すと、注出口の周囲はロート型になり、注出口の周囲の折れ目や皺も少なくなる。したがって残液が注出口に集まりやすく、排液も円滑で脈動が少ない。また、注出口を、まるでホースの先端のように取り扱うことができるので、内容物の流出方向を制御することができる。さらに、注出口付近の残液量も確認しやすい。
【0088】開口部から引き出す注出口の周囲の袋本体の長さeは、50mm以上とするのが好ましく、特に60mm以上とするのが好ましい。一方、この長さeを一定以上に長くしても、それに見合うだけ便利になるわけではなく、むしろ注出口が邪魔になったり、開口部の径dを極めて大きくする必要が生じる。このため、開口部から引き出された袋本体の長さeは150mm以下とするのが好ましく、特に100mm以下とするのが好ましい。注出口の周囲の袋本体1を50mm以上、好ましくは50〜150mm引き出すことができる径dの具体的な大きさは適宜決定されるべきものではあるが、通常、径を50〜150mmの範囲に設定すれば袋本体を丁度良い長さに引き出すことができる。ここで「径」とは、円形であれば直径をいい、それ以外の形状であれば短径をいう。
【0089】図10(A)〜(B)に示した開封補助手段43によれば、外箱41の壁面を開口部の中心点となるべき位置から放射状に引き裂くことができ、開封後には開口部44の周囲に扇状の断片45が残る。この場合には、開口部から引き出された袋本体1が扇状の断片45によって押さえつけられ、あるいは支持されるので、注出口12の位置が安定する。
【0090】図11(A)〜(C)に、上述のような開封補助手段43を備えた外箱41と本発明のバッグインボックス用袋体とからなるバッグインボックスの一例を示す。図11(A)に示すように、外箱41の頂部には内側フラップ46、46と外側フラップ47、47とが一対ずつある。内側フラップ46、46は、箱の中に収納された内袋の注出口12と注出口の周囲の袋本体1とを引き出す際の障害とならないように、略円弧状に切り欠かれており、両内側フラップ46、46を閉じた時に略半円形の切り欠き部が形成されるようになっている。また、片方の外側フラップ47には、注出口12が当接する位置に開封補助手段43が設けられている。この内側フラップ46、46と外側フラップ47、47を順次閉じ、次いで、注出口を外箱に固定することなく外箱を封入すれば、図11(B)に示すようなバッグインボックス204が完成する。そして、バッグインボックス204の開封補助部43を利用すれば所定の大きさの開口部44を開けることができ、図11(C)に示すように注出口12と注出口の周囲の袋本体1を引き出すことができる。
【0091】上記の外箱には、内袋として、平袋のような合成樹脂製フィルムのシール加工によって製造された4方シールの袋体を組み合わせてもよい。このような組合せからなるバッグインボックスの場合にも、開口部から注出口と注出口の周囲の袋本体とを引き出すことによって、残液の低減化、流出時の脈動の防止、流出方向の制御、残液量の視認性向上を図ることができる。なお、4方シールの袋体の周囲に形成されるシール部の一部を、合成樹脂製フィルムを折り曲げ加工することによって省略できる。
【0092】
【実施例】以下に実験例を示す。
実験例1
図1の形状を有する4方シールの袋体を準備した。この袋は、容量が20リットルで、[延伸ナイロン(ON)15μm/ポリエチレン(PE)20μm/線状低密度ポリエチレン(LLDPE)60μm]フィルムと60μmのLLDPEフィルムとからなる平面部と側面部を有する。寸法は、シール幅を除いた実寸法で、平面部の横寸法が300mm、側面部の横寸法が220mm、平面部と側面部の縦寸法が575mmであり、折り込まれたガセットの幅は110mmである。頂部側のフィン部は頂部に沿った辺が110mm、側面部に沿った辺が131mmで、頂部シール部と閉鎖シール部とに囲まれた狭角は50°である。底部側のフィン部は底部に沿った辺及び側面部に沿った辺はどちらも110mmで、底部シール部と閉鎖シール部とに囲まれた狭角は45°である。
【0093】この袋体を専用のBIB(バッグインボックス)用外箱に収納し、水を満たした後、スパウト部から排水した。排水の初期には箱の両端を手で持ち、スパウト部側の箱の底の縁を水を受ける容器の縁に当てて箱を支えながら排水し、中の水が少なくなるに従い箱を傾けながら排水した。その後、手で箱を水平に保ちながらスパウト部を真下にした状態にして水が完全に切れるのを待った。水がなくなる寸前には、箱を前後左右に軽く振る操作をして水を出易くした。排水終了後、箱の蓋を開けて袋の状態を観察した。
【0094】その結果、外観的には残液が溜まった袋の折れ曲がり部分は認められなかった。空袋を取り出して逆さにし、ビーカに残液を受けた後、メスシリンダで計量した。
【0095】上記操作を5回繰り返したところ、残液は実質ゼロ乃至10mlと極めて良好な結果が得られ、この袋体は残液が溜まらない構造になっていることが確認された。
【0096】なお、測定された残液は、袋の内側に付着した水が集まって形成されたものと推定される。
実験例2
図1の形状を有する容量10リットル、及び5リットルの袋体について、実験例1と同様の試験を行ったところ、同様の結果が得られた。
【0097】ここで用いた容量10リットルの袋体は、実験例1と同じ2枚のフィルムからなる平面部と側面部を有する。寸法は、シール幅を除いた実寸法で、平面部の横寸法が230mm、側面部の横寸法が180mm、平面部と側面部の縦寸法が464mmであり、折り込まれたガセットの幅は90mmである。頂部側のフィン部は頂部に沿った辺が90mm、側面部に沿った辺が108mmで、頂部シール部と閉鎖シール部とに囲まれた狭角は50°である。底部側のフィン部は底部に沿った辺及び側面部に沿った辺はどちらも90mmで、底部シール部と閉鎖シール部とに囲まれた狭角は45°である。
【0098】また、容量5リットルの袋体は、やはり実験例1と同じ2枚のフィルムからなる平面部と側面部を有する。寸法は、シール幅を除いた実寸法で、平面部の横寸法が230mm、側面部の横寸法が180mm、平面部と側面部の縦寸法が331mmであり、折り込まれたガセットの幅は90mmである。頂部側のフィン部は頂部に沿った辺が90mm、側面部に沿った辺が108mmで、頂部シール部と閉鎖シール部とに囲まれた狭角は50°である。底部側のフィン部は底部に沿った辺及び側面部に沿った辺はどちらも90mmで、底部シール部と閉鎖シール部とに囲まれた狭角は45°である。
【0099】比較例1
市販の容量20リットルの平パウチ袋を専用のBIB用外箱に収納し、水を満たした後、実験例1と同様に試験を行った。その結果、排水終了付近になっても液切れが悪く、水の流出がだらだらと続いた。液が切れた後、箱の蓋を開けて外観観察したところ、袋の上面の両コーナーと底面の両コーナーは三角形状に不均一に折れ曲がり、そこに水が溜まっていた。
【0100】同様の操作を5回繰り返して残液を計量したところ、残液量は100乃至200mlとかなり多かった。残液量のばらつきが大きいのは、袋の上面の両コーナーと底面の両コーナーに形成される三角形状に折れ曲がった部分の形状が不規則なために、そこに溜まる残液量が大きく変動するためと推定される。
【0101】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のバッグインボックス用袋体は、柱構造の袋体の各隅部にあたかも該隅部を斜めに切り取るように閉鎖シール部が設けられているので直方体または立方体の形状をとり、しかも数枚重ねの合成樹脂製フィルムで形成されている。したがって、外箱内に収納した状態下において外箱との間に無駄な空間が極めて少なく、外箱内で動きにくく、多重構造であることとも相まって、輸送・保管時等において衝撃や振動によって袋が破裂したり破けたりしにくい。閉鎖シール部は、応力分散によっても耐衝撃性を向上させる。
【0102】また、本発明のバッグインボックス用袋体は、充填された内容物が各隅部に入り込めない構造となっているので、外箱内に収納する際に各隅部が折れ曲がったとしても隅部に残液は溜まらず、残液排出性が向上する。特に、本発明の袋体において頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角を45〜55°とし、底部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角を40〜50°とする場合には、頂部と底部のどちらにも偶部が折れ曲がる位置に沿って閉鎖シール部を形成できるので、袋内の充填空間を最大限に取りながら偶部の折れ曲がりによって生じる残液貯留を充分に防止することができる。
【0103】各偶部を袋体の内部空間から遮断することによって形成された三角形状のフィン部は、本来的には不要な部分であるが、これを活用することもできる。すなわち、袋本体の前側と後ろ側の隅部の対向する頂点同士を接着した場合には、三角形状のフィン部が邪魔にならなくなるだけでなく、袋壁のこすれ、裂け、ピンホールが防止される。また、対向する前後のフィン部を一部接着したり、三角形状のフィン部にパンチ穴を開けたりして、これを吊り下げ部として利用することも可能である。
【0104】さらに、本発明のバッグインボックス用袋体は、内容物である液体を充填すると立方体または直方体に近い形状をとるので、自立性に優れており、その取扱いが容易である。そして、袋本体の胴部に上下方向に延在するように帯状のフィルム片を接着するかまたは帯状の気体充填層を設ける場合には、袋の胴部にコシが出るので、さらに自立性が向上し、取扱いがより容易になる。
【0105】本発明において、袋体を内容物の充填時に直方体となるようにし、その寸法を、(f-1)シール部の幅を除いた実寸法で、上記平面部の横寸法が260〜340mm、上記側面部の横寸法が180〜260mm、および上記平面部と上記側面部の縦寸法が490〜660mmとなるようにするか、または(f-2)シール部の幅を除いた実寸法で、上記平面部の横寸法が190〜270mm、上記側面部の横寸法が140〜220mm、および上記平面部と上記側面部の縦寸法が330〜600mmとなるようにした場合には、国際規格のパレット上に隙間なく多数積み上げることができ、しかもコンパクトで強度や安定性に優れ、積み上げられた山の安定性と強度にも優れたバッグインボックスが得られる。
【0106】一方、本発明のバッグインボックスは、本発明のバッグインボックス用袋体または合成樹脂製フィルムからなる4方シールの袋体を内袋とするバッグインボックスの外箱に、注出口の周囲の袋本体を50mm以上引き出すことが可能な開口部を形成できるようにしたので、残液の低減化、流出時の脈動の防止、流出方向の制御、残液量の視認性向上を図ることができる。特に、開口部の周囲に扇状の引き裂き断片を残す場合には、注出口の位置が安定する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバッグインボックス用袋体の一例を折り畳んだ状態を示す正面図である。
【図2】図1の袋体に内容物を充填した状態を示す斜視図である。
【図3】充填された状態の図1の袋体の水平方向切断面を、模式的に示した図である。
【図4】本発明のバッグインボックス用袋体の他の一例に内容物を充填した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明のバッグインボックス用袋体の他の一例に内容物を充填した状態を示す斜視図である。
【図6】本発明のバッグインボックス用袋体の他の一例に内容物を充填した状態を示す斜視図である。
【図7】気体充填層付きの平面部の断面を模式的に示した図である。
【図8】本発明のバッグインボックス用袋体を内蔵するバッグインボックスをパレット上に積み上げた状態を示す斜視図である。
【図9】本発明のバッグインボックスの一例を示す説明図である。(A)は開封前の状態を示し、(B)は開封後に注出口を引き出した状態を示す。
【図10】本発明のバッグインボックスの他の一例を示す説明図である。(A)は開封前の状態を示し、(B)は開封後に注出口を引き出した状態を示す。
【図11】本発明のバッグインボックスの他の一例を示す説明図である。(A)はバッグインボックスを組み立てる段階を示し、(B)は完成した状態を示し、(C)は開封後に注出口を引き出した状態を示す。
【図12】従来のバッグインボックス用内袋の一例を示した斜視図である。
【図13】図12の内袋を外箱内に収納した状態を示した図である。
【符号の説明】
1…袋本体
2…前側の平面部
2-a…外側フィルム
2-a1…外側フィルムの外側層
2-a2…外側フィルムの中間層
2-a3…外側フィルムの内側層
2-b…内側フィルム
3…後ろ側の平面部
4…隅部
5…側面部
6…谷折り線
7…頂部シール部
8…底部シール部
9…側面シール部
10…閉鎖シール部
11…三角形状のフィン部
12…注出口
13…キャップ
14…パンチ穴
15…袋の内部空間
16…合成樹脂製フィルム間の空間
17…局部的な接着部分
31…帯状のフィルム片
32…帯状の気体充填層
33…未接着部分
34…気体不透過性フィルム
35…気体送入口
36…気体送入路
41…外箱
42…外箱と内袋の間の空間
43…開封補助手段
44…開口部
45…扇状の断片
46…内側フラップ
47…外側フラップ
61…パレット
62…隙間
101、102、103および104…本発明のバッグインボックス用袋体
201、202、203および204…バッグインボックス
501…従来のバッグインボックス用内袋
P…頂部シール部上および底部シール部上の任意位置
Q…側面シール部上の任意位置
R…隅部の頂点
m…頂部シール部または底部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角
m1…頂部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角
m2…底部シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角
n…側面シール部と閉鎖シール部とに挟まれた狭角
n1…側面シール部と頂部側の閉鎖シール部とに挟まれた狭角
n2…側面シール部と底部側の閉鎖シール部とに挟まれた狭角
d…開口部の径
e…引き出された本体の長さ
 
訂正の要旨 訂正の要旨
審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-05-02 
出願番号 特願平7-295733
審決分類 P 1 651・ 121- YA (B65D)
P 1 651・ 851- YA (B65D)
P 1 651・ 853- YA (B65D)
P 1 651・ 537- YA (B65D)
P 1 651・ 536- YA (B65D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小菅 一弘  
特許庁審判長 松縄 正登
特許庁審判官 大町 真義
西村 綾子
登録日 2001-10-26 
登録番号 特許第3245031号(P3245031)
権利者 株式会社細川洋行
発明の名称 バッグインボックス用袋体およびバッグインボックス  
代理人 石川 泰男  
代理人 石川 泰男  
代理人 白井 博樹  
代理人 蛭川 昌信  
代理人 青木 健二  
代理人 菅井 英雄  
代理人 阿部 龍吉  
代理人 米澤 明  
代理人 韮澤 弘  
代理人 内田 亘彦  

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