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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G03G
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  G03G
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  G03G
管理番号 1081459
異議申立番号 異議2002-72389  
総通号数 45 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-01-17 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-10-01 
確定日 2003-08-11 
異議申立件数
事件の表示 特許第3270198号「電子写真用トナー」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3270198号の請求項1、2に係る特許を維持する。 
理由 1.本件発明
本件特許第3270198号の請求項1、2に係る発明(平成5年6月21日出願、平成14年1月18日設定登録)は、特許明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1、2(以下、それぞれ「第1発明」、「第2発明」という。)に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】 静電潜像担持体とトナー担持体を一定間隔を設けて配置し、該トナー担持体上に前記間隔より薄い厚さにトナーを担持させ該トナーを静電潜像担持体上の静電潜像に飛翔させて現像させる現像方法に使用され、定着樹脂、離型剤、着色剤を主成分とするトナー母粒子に外添剤を付与してなるトナーであって、トナーに1kg/cm2 の荷重を与えた後のトナーの垂直引張破断によるトナー接触点あたりの付着力が0.015dyne以下であることを特徴とする電子写真用トナー。
【請求項2】 トナー母粒子に1kg/cm2 の荷重を与えた後の垂直引張破断によるトナー接触点あたりの付着力が0.020dyne以下であることを特徴とする請求項1の電子写真用トナー。」

2.申立て理由の概要
特許異議申立人 中石幸明は、証拠として、甲第1号証(特開平5-142859号公報)、甲第2号証(特開平4-337738号公報)、甲第3号証(久保輝一郎他4名著「粉体 理論と応用」改訂二版、昭和54年5月12日、丸善株式会社発行、450〜454頁)、甲第4号証(特開平4-3074号公報)、甲第5号証(特開平5-72815号公報)及び、甲第6号証(特開平5-19529号公報)を提示し、次の理由1及び2により本件特許は取り消されるべきものである旨主張している。
理由1:本件請求項1、2に係る発明は、甲第1〜6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
理由2:本件請求項1、2記載された「付着力」は、静電潜像の電界強度に対する特定がなく、発明の効果が奏される付着力の範囲に関して明確でないので、明細書の記載が不備であり、特許法第36条第4項及び第5項に規定する要件を満たしていない。

3.甲号各証に記載された発明
甲第1号証には、以下の事項が記載されている。
(1a)「静電潜像を表面に保持する潜像保持体とトナー担持体とを現像部において一定の間隔を設けて対向配置させ、絶縁性非磁性トナーを前記担持体上に前記間隔よりも薄い厚さに担持させ、一定のバイアス電界を印加しながら、該担持トナーを現像部において前記潜像保持体表面に飛翻させて現像する画像形成方法に用いるトナーであって、少なくとも結着樹脂と着色剤からなり、しかもトナー担持体上での該トナーの平均帯電量の絶対値が5から15μC/gの範囲にあることを特徴とする静電潜像現像用トナ-。」(特許請求の範囲請求項3)
(1b)「トナーの帯電量(Q/M)に関しては、その絶対値が大きいと、トナー担持体との間のクーロン力が増し現像飛翔性が悪くなる。一方、Q/Mの絶対値が小さいと、静電潜像に対する束縛力が弱まるため全体にきれが悪い画像となり、また、地汚れも発生し易くなる。・・・・。従って、本発明のトナーは、トナー担持体上での平均Q/Mの絶対値が5〜15μC/gの範囲にあるか、又はトナー担持体上でトナーの75重量%以上が平均Q/Mと同一極性で且つ絶対値が2μC/g以上であることを特徴とする。トナー担持体上でのトナーの平均Q/Mが15μC/gを超過する場合には、現像飛翔性が悪くなり、逆に平均Q/Mが5μC/g未満の場合には、画像のきれが悪くなり且つ地汚れを発生し易くなる。」(【0019】)
(1c)「実施例1 結着樹脂 ポリエステル系重合体(Tg68℃)95部 離型剤 低分子量ポリプロピレン 5部 着色剤 カーボンブラック 8部 帯電制御剤 サリチル酸亜鉛塩 3部 上記組成の各混合物を溶融混練し、冷却後・・・微粉砕した。得られた各微粉砕品を分級して、平均粒径を9.1μmとした。本粒子100部に対し疎水性シリカ(ヘキスト社製H2000)0.8部を添加混合して本発明のトナーを得た。・・・・・実施例2〜8及び比較例1〜6 極性制御剤処方・添加剤処方以外は実施例1と同一組成・同一製法でトナーを得た。」(【0037】【0038】【0040】)
(1d) 表2には、実施例1〜8の各トナーに関する測定結果として、平均帯電量Q/Mが-5.8〜-13.9であったこと
(1e)「本トナーを直流バイアス非接触現像に使用すると、現像飛翔率が高く、画像のきれがよく、また地汚れもなく、長期にわたって高濃度、高品質の画像を得ることができる。」(【0043】)

甲第2号証には、以下の事項が記載されている。
(2a)「【請求項1】 少なくとも着色剤と結着樹脂とよりなる平均粒径9μm以下のトナ一粒子に、粒径20nmないし80nmの無機または有機の球状微粒子を、該トナー粒子表面に表面被覆率10%以上となるように外添してなることを特徴とする電子写真現像剤組成物。」(特許請求の範囲)
(2b)「図1は、トナー帯電量と付着力の関係を示すグラフであり、図2はトナー帯電量とトナーの剥離電界(トナーを引き剥がすために必要な電界)の関係を示すグラフである。これらの図より、トナーの付着力は、トナー帯電量が同じであれば、トナーの粒径に依存しないことが、トナーの剥離電界は、トナーの粒径が小さくなることによって著しく大きくなることがわかる。」(【0003】)
(2c)「実施例1 スチレン-n-ブチルメタクリレート(70:30)共重合体(Mn:20000、Mw=35000)100重量部 マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド57:1)4重量部 テトラフェニルほう素カリウム 1重量部 上記成分を常法により混合、粉砕、分級して平均粒径9μmのトナー粒子を得た。得られたトナー粒子に対して、表1に示す微粒子を外添剤として添加・混合し、トナー組成物を得た。キャリアとして、粒径50μmの球状フェライトをフッ素樹脂とスチレン-アクリル共重合体でコートしたものを用い、上記トナー組成物をトナー濃度8重量%になるように混合して現像剤を作製した。」(【0012】)
(2d)「(i) トナー付着力測定
上記現像剤をマグネチックロール上に層形成した後、アルミニウムプレート上にバイアス現像させることによってトナー層を形成した。トナー層重量は1.0mg/cm2 になるように、主に現像回数バイアスを変化させ制御した。さらに現像剤中のトナー濃度を変化させ、帯電量のことなるトナー層も形成した。このサンプルに400μmの空隙を設け、アルミニウム電極を対向させ、外部電界を段階的に印加し、トナー剥離電界および付着力分布を測定した。この測定は真空中、約10mTrにて実施した。表1に付着力の測定結果を示す。なお、代表値として、トナー帯電量(q/d)=1.0fc/μmの時の付着力データを示す。上記の結果より、外添剤粒径として、40nm程度のものを使用した場合に、帯電トナーの付着力(剥離電界)を効果的に低減できることが分かる。さらに添加量としては、図3に示すように、表面被覆率10%以上の場合に、十分な付着力(剥離電界)低減効果が得られることが分かる。」(【0013】)
(2e) 表1(【0019】)には、トナーNo.8〜10、13、14のトナーの平均付着力(50%のトナーが剥離されたときの値)が15mdyne以下であったこと
(2f) 図1には、トナー粒径9μmにおいて、トナー帯電量(fc/μm)が、約0.4から約1.0まで増大するのに伴って、付着力(mdyne)が、約3から約14まで増大すること

甲第3号証には、以下の事項が記載されている。
(3a)「比表面積は単位重量の粉体中に含まれる全粒子の表面積の総和であるから粉体の粒度分布と粒子の形がわかっていれば計算できる。・・・・。ここで定数6は粒子が球状か立方体のときの定数、すなわち形状係数で式(6・16)から明らかなように粒子の形によって異なってくるが、一般には球形か立方体と仮定して6を用いることが多い。
式(6・16)から Sw=6/ρp,Ds (6・20)
ここでDsを比表面積径という。式(6・16)からわかるように、Dsは個数基準で測定された粒子の体積の総和と面積の総和の比、すなわち体面積平均径Dsといわれるものと同じ意味のものである。」(第454頁12〜22行)

甲第4号証には、以下の事項が記載されている。
(4a)「1.トナーとキャリアとから成る・・・・・電子写真方式二成分スタート用現像剤組成物。
2.0×10-3<m/(ρt .r.A)<2.0×10-2 (1)式
(式中、ρt はトナー密度を・・・・・それぞれ表す。)」(特許請求の範囲第1項)
(4b)「得られた現像剤の(1)式における・・・・・ρt は1.15g/cm3・・・・」(第4頁右上欄第1〜2行、及び同11〜12行)

甲第5号証には、以下の事項が記載されている。
(5a)「疎水性シリカの添加割合は・・・・・被覆率は、次式によって求めた値である。但し、ポリエステルトナーの比重を1.1・・・・・として算出する。」(【0024】)

甲第6号証(平成4年8月26日付手続補正書)には、以下の事項が記載されている。
(6a)「【請求項1】 電子写真の現像プロセスにおいて円筒状の弾性体ロールの表面に薄層状態で保持され、前記弾性体ロールの回転により搬送し現像に供するためのトナーであって、必須成分として、バインダー樹脂、着色剤および金属錯体化合物を含有し、前記バインダー樹脂の酸価とOH価との和が30mgKOH/g以上であることを特徴とするトナー。
【請求項2】・・・・・
【請求項3】 前記トナーが有する極性と同じ極性を有し、帯電能が前記トナーのそれよりも大きく、かつ、平均粒径が前記トナーの平均粒径の1/10以下であるような金属酸化物を前記トナー粒子の表面に外添付着させることにより前記トナーの付着力を0.1〜10g/cm2 の範囲に制御したことを特徴とする、請求項1に記載のトナー。」(特許請求の範囲)
(6b)「現像プロセスにおいて、現像剤が円筒状の弾性体ロールに薄層状態で保持されてこの弾性体ロールの回転により搬送される現像方法においては、従来の一成分トナーでは、弱帯電のトナーや逆極性に帯電するトナーの発生頻度が不可避的に多くなるため、非印字部の地汚れや印字ににじみが生じ、さらにトナーの粒子間の付着力が所定の値に制御されていないことに起因して搬送ムラが生じ、このため得られる印字物に濃度ムラを生じる欠点を有していた。」(【0005】)
(6c)「さらに本発明の別の態様においては、トナーが有する極性と同じ極性を有し、帯電能が前記トナーのそれよりも大きく、かつ、平均粒径がトナーの平均粒径の1/10以下であるような金属酸化物をトナー粒子の表面に外添付着させることによりトナーの付着力を0.1〜10g/cm2 の範囲に制御することが好ましく・・・・・この場合において、上記のような条件でトナーの付着力を0.1〜10g/cm2 の範囲に制御することによって、現像プロセスにおけるで弾性ロールへのトナーの薄層付着に必要な力を発現させて、これによりトナーの飛散を効果的に防止することができる。さらに、粘着力を上記のように、0.1〜10g/cm2 の範囲に制御することによって、さらにトナー同志の凝集力を小さくして・・・・・トナーの薄層搬送特性を一層すぐれたものとすることができる。」(【0030】)
(6d)「(実施例1) ポリエステル樹脂 95重量部(酸価:28.8、OH価:24.8) カーボンブラック 3重量部 金属錯塩 2重量部 を粉体混合機で予備混合・・・・・ジェットミルにて微粉砕後、気流分級にて平均粒径10μmの粉体を得て、これをトナーの母粒子とした。
次に、トナーと同極性の金属酸化物を外添するために 前記トナー 100重量部 疎水性シリカ 1.5重量部(粒径15nm)をナウタミキサーに投入して混合後トナーを得た。」(【0068】〜【0069】)
(6e)「上記トナーを一成分用現像器に投入し、E-SPARTアナライザーによりトナーの帯電量を測定したところ、下表に示す比電荷量が得られた。また、パウダーベッドテスターによる測定で得られたトナ-の付着力を下表に示す。」(【0070】)

4.対比・判断
4-1.理由1について
4-1-1.第1発明について
第1発明と、甲第1号証に記載された発明とを対比すると、両者は、
「静電潜像担持体とトナー担持体を一定間隔を設けて配置し、該トナー担持体上に前記間隔より薄い厚さにトナーを担持させ該トナーを静電潜像担持体上の静電潜像に飛翔させて現像させる現像方法に使用され、定着樹脂、離型剤、着色剤を主成分とするトナー母粒子に外添剤を付与してなるトナー」(摘記事項(1a)、(1c)、(1e)参照)である点で一致し、
第1発明が、「トナーに1kg/cm2の荷重を与えた後のトナーの垂直引張破断によるトナー接触点あたりの付着力が0.015dyne以下である」ことを規定するのに対して、甲第1号証には、トナーの付着力について記載することなく、ただ、トナーの平均帯電量(q/m)の絶対値を5〜15μC/gと規定する(摘記事項(1a)、(1b)参照)点で相違する。
相違点について検討する。
甲第2号証の記載によれば、トナー帯電量(q/d)と、トナー付着力との間には、比例関係とまでは言えなくとも、正の相関関係があること(摘記事項(2f)参照)が認められる。そして、帯電量(q/m)と、帯電量(q/d)とは、相互に換算が可能なことが知られているから、甲第1号証に記載された平均帯電量の範囲を、甲第2号証に記載されたトナーの付着力に結びつけることも考えられる。
しかしながら、甲第2号証に記載されているトナーの付着力は、その測定方法(摘記事項(2d)参照)からして、粒子の接触点あたりの値であることを意味しているものとは認められない。
したがって、甲第1号証に甲第2号証を適用して甲第1号証の発明において望ましい範囲とする平均帯電量(q/m)から、対応する付着力の数値範囲を算出したとしても、それが、トナー粒子の接触点あたりの付着力を示すものであるとすることはできない。
つぎに、甲第6号証には、トナーの付着力について記載されている(摘記事項(6a)、(6b)、(6c)、(6e)参照)が、非接触現像方式におけるトナーについての発明ではない(摘記事項(6a)参照)から、それを、甲第1号証に記載された発明に適用したところで、非接触現像方式におけるトナーの課題の解決に関する本件発明の目的・効果を予測できない。
また、甲第6号証には、パウダーベッドテスターを用いてトナーの付着力を測定することが記載されており(摘記事項(6e)参照)、申立人が提出した参考資料3(三協パイオテク株式会社発行のパウダーベッドテスターカタログ)によれば、パウダーベッドテスターは、粉粒体層の引張破断強度を測定できることが理解されるが、粉粒体粒子の接触点あたりの付着力を求めることは認識していない。すなわち、参考資料3に示されている付着強度は、測定された引張破断強度と、カサ密度とから計算されるものであり、破断面の単位面積あたりの強度であるから、粉粒体を構成する粒子間の接触点あたりの付着力ではない。その点について申立人は、権利者が本件特許の審査時になされた拒絶理由通知に対応する意見書において、接触点当りでなく、10cm2 当りの付着力を示したことを捉えて、甲第6号証に記載された付着力の数値範囲と同程度のものであることも主張するが、甲第6号証に記載された結果は、参考資料3を参照しても、1kg/cm2 の荷重を加えた後の垂直引張破断による付着力を測定したものであることは確認できないし、充填密度に関する条件も示されていない。そして、申立人自身、付着力を算出するに際しては、充填密度(ε)を考慮して計算されるものであると明言しているにもかかわらず、その条件が明らかでない甲第6号証の測定結果が、本件発明で規定する限定範囲と同等であるかどうか、比較のしようがない。また、甲第6号証には、パウダーベッドテスターによってトナー粒子間の付着力を求めることが記載されているとも主張するが、トナー粒子間の付着力について記載しているのは、従来技術についての記述部分(摘記事項(6b)参照)のみであり、他はすべて「トナーの付着力」と記載(摘記事項(6a)、(6c)、(6e)参照)するのみであるから、測定された数値が、トナー粒子の接触点当りの付着力であるとすることはできない。
さらに、甲第3〜5号証には、トナーの付着力について、全く記載していない。
したがって、甲第1号証に記載された発明に、甲第2〜6号証に記載された事項を、どのように組み合わせても、第1発明の構成に到達し得ない。
そして、第1発明は、明細書記載の効果を奏するものであるから、第1発明が甲第1〜6号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

4-1-2.第2発明について
第2発明は、第1発明を引用して記載し、トナー(トナー母粒子に外添剤を付与してなるもの)に代えて、トナー母粒子に、1kg/cm2 の荷重を与えた後の垂直引張破断によるトナー接触点あたりの付着力が0.020dyne以下である点をを特定するものであるが、トナー母粒子についても、トナーについてと同様であって、第1発明について、の項に記載した理由と同様の理由により、第2発明が甲第1〜6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

4-2.理由2について
本件特許明細書には、
「しかしトナーに流動性向上剤を添加することでトナーの感光体への飛翔性は確かに向上するが高濃度、高画質の画像とよぶには未だ不十分であった。これはトナー担持体上のトナー粒子間の付着力が十分緩和されていないためトナー担持体から静電潜像への電場よりもトナー粒子間の付着力が大きいことによる。つまり、トナー間の付着力が小さいトナーであれば十分な画像を得ることが可能となる。」(【0008】)あるいは、
「により計算される。本発明においてはトナー粒子の接触点あたりの付着力が0.015dyne以下であればトナー粒子間の付着力に比べ静電潜像の電界力が十分大きくなり、トナー担持体から充分な量のトナーが飛翔し高濃度の画像を得ることができることが明らかになった。」(【0014】)
と記載されており、それによれば、トナー粒子間の付着力の問題を、通常のトナー飛翔による現像法で採用されている現像条件における課題として認識しているものと認められ、トナー粒子の接触点あたりの付着力を特定することによって、そのような現像条件下での飛翔性を確保できることが解明されたものであるから、静電潜像の電界強度についても、通常行われる自明の範囲のものと理解され、特に規定しなければならない理由はない。

5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては本件請求項1、2に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1、2に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件請求項1、2に係る発明の特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2003-07-25 
出願番号 特願平5-149394
審決分類 P 1 651・ 531- Y (G03G)
P 1 651・ 121- Y (G03G)
P 1 651・ 534- Y (G03G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 菅野 芳男  
特許庁審判長 矢沢 清純
特許庁審判官 六車 江一
伏見 隆夫
登録日 2002-01-18 
登録番号 特許第3270198号(P3270198)
権利者 株式会社リコー
発明の名称 電子写真用トナー  
代理人 小松 秀岳  
代理人 加々美 紀雄  
代理人 酒井 正己  

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