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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  G03G
審判 一部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  G03G
審判 一部申し立て 特39条先願  G03G
管理番号 1083001
異議申立番号 異議2002-71669  
総通号数 46 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-12-13 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-07-08 
確定日 2003-06-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3243597号「画像形成方法,画像形成装置及びトナーキット」の請求項1ないし3、5ないし17、19ないし21、23、25ないし27、29ないし32、37ないし39、41ないし53、55ないし57、59、61ないし63、65ないし68に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3243597号の請求項1ないし3、5ないし16、18ないし20、22、24ないし26、27ないし30、35ないし37、39ないし51、53ないし55、57、59ないし61、62ないし65に係る特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第3243597号は、特許法第41条に基づく優先権を主張して平成8年2月9日(優先日、平成7年2月10日)に出願され、平成13年10月26日にその発明について特許の設定登録がなされた。
本件特許公報は、平成14年1月7日に発行され、それに対して、中石幸明及び渡辺等よりそれぞれ特許異議の申立があり、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成15年1月6日に訂正請求がなされた。
II.訂正の適否
1.訂正の内容
訂正を請求する事項は、次のとおりである。
訂正事項a
特許請求の範囲の記載を、
「【請求項1】 静電潜像を現像剤で現像して静露潜像担持体上にトナー像
を形成する現像工程、
該トナー像を電圧が印加されている中間転写体上に転写する一次転写工程、及び
電圧が印加されている転写手段を転写材に押圧させながら該中間転写体上のトナー像を該転写材上へ転写する二次転写工程を少なくとも有する画像形成方法であり、
該現像剤は、トナーを有し、
該トナーが、少なくとも結着樹脂中に着色剤が分散された黒色トナー粒子と無機微粉体を有する黒色トナーであり、該黒色トナーの形状係数SF-1の値が110<SF-1≦180であり、形状係数SF-2の値が110<SF-2≦140であり、SF-2の値から100を引いた値BとSF-1の値から100を引いた値Aとの比B/Aの値が1.0以下であり、
該中間転写体及び該転写手段の表面が弾性層から構成されており、該中間転写体の体積固有抵抗値が転写手段の体積固有抵抗値より高い値を示し、且つ、該中間転写体の表面硬度が、JIS・K-6301で測定して10〜40度の範囲を有し、且つ、転写手段の表面の硬度を中間転写体の硬度よりも大きくし、転写手段を中間転写体に押圧し中間転写体側に凹形状のニップを形成せしめ、転写手段に電圧を印加し転写材上にトナー像を転写せしめることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】 現像剤による静電潜像の現像が、トナー担持体に担持された
現像剤によって行われ、該トナー担持体と該静電潜像担持体との間には、直流及び交流現像バイアスが印加されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】 該現像剤は、黒色トナー,イエロートナー,マゼンタトナー
又はシアントナーから選択されるトナーを有し、該黒色トナーのBET法によって測定された単位体積あたりの比表面積Sb(m2/cm3)と、トナーを真球と仮定した際の重量平均粒径から算出した単位体積あたりの比表面積St(m2/cm3)とが下記条件
3.0≦Sb/St≦7.0 かつ、 Sb≧St×1.5+1.5
を満足する請求項1又は2に記載の画像形成方法。
【請求項4】 該黒色トナーが結着樹脂100重量部に対し、磁性体30〜
200重量部を含有する磁性トナーであり、該磁性トナーの形状係数SF-1の値が120≦SF-1≦160であり、かつSF-2の値が115≦SF-2≦140である請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項5】 該黒色トナーは比B/Aの値が0.20〜0.90である請
求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項6】 該黒色トナーの単位体積あたりの帯電量が30〜80C/m
3である請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項7】 該無機微粉体がチタニア,アルミナ,シリカあるいはその複
酸化物からなるグループから選ばれる無機微粉体である請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項8】 該無機微粉体が疎水化処理されている請求項1乃至7のいず
れかに記載の画像形成方法。
【請求項9】 該無機微粉体が少なくともシリコーンオイルで処理されたも
のである請求項8に記載の画像形成方法。
【請求項10】 該無機微粉体は一次粒径が30nm以下であり、該トナー
は平均粒径30nmを超える第2の微粉体をさらに有している請求項1乃至9のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項11】 該第2の微粉体は、無機微粉体である請求項10に記載の
画像形成方法。
【請求項12】 該第2の微粉体は、樹脂微粉体である請求項10に記載の
画像形成方法。
【請求項13】 該第2の微粉体は、実質的に球形である請求項10乃至1
2のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項14】 該黒色トナー粒子は、BET法によって測定された体積あ
たりの比表面積が1.2〜2.5m2/cm3である請求項1乃至13のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項15】 該黒色トナーは、GPCで測定される分子量分布において
、低分子量側のピークが3000〜15000の範囲にある請求項1乃至14のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項16】 静電潜像がイエロートナーを有する現像剤で現像されて静
電潜像担持体上にイエロートナー像を形成し、次いでイエロートナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像がマゼンタトナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上にマゼンタトナー像を形成し、次いでマゼンタトナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像がシアントナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上にシアントナー像を形成し、次いでシアントナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像が黒色トナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上に黒色トナー像を形成し、次いで黒色トナー像が中間転写体上に転写され;
中間転写体上のイエロートナー像,マゼンタトナー像,シアントナー像及び黒色トナー像が転写材へ転写される請求項1乃至15のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項17】 黒色トナーは、SF-2の値がイエロートナー,マゼンタ
トナー及びシアントナーのSF-2の値よりも5以上大きい請求項16に記載の画像形成方法。
【請求項18】 イエロートナーは、SF-1が100乃至170であり且
つSF-2が100乃至139であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139であり、シアントナーはSF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139である請求項16又は17に記載の画像形成方法。
【請求項19】 イエロートナーは、SF-1が100乃至160であり且
つSF-2が100乃至130であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130であり、シアントナーはSF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130である請求項16又は17に記載の画像形成方法。
【請求項20】 イエロートナーは、SF-1が100乃至150であり且
つSF-2が100乃至125であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125であり、シアントナーはSF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125である請求項16又は17に記載の画像形成方法。
【請求項21】 黒色トナーが磁性トナーであり、イエロートナーが非磁性
トナーであり、マゼンタトナーが非磁性トナーであり、シアントナーが非磁性トナーである請求項16乃至20のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項22】 黒色トナー,イエロートナー,マゼンタトナー及びシアン
トナーが非磁性トナーである請求項16乃至20のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項23】 黒色トナーは、結着樹脂及び黒色着色剤を少なくとも有す
る混合物を溶融混練し、溶融物を冷却し、冷却された溶融物を粉砕することによって生成された黒色トナー粒子を有し、
イエロートナーは、重合性単量体及びイエロー着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたイエロートナー粒子を有し、
マゼンタトナーは、重合性単量体及びマゼンタ着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたマゼンタトナー粒子を有し、
シアントナーは、重合性単量体及びシアン着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたシアントナー粒子を有する請求項16乃至22のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項24】 該静電潜像担持体は、表面の水に対する接触角が85度以
上である請求項1乃至23のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項25】 該静電潜像担持体の表面層にフッ素原子を有する物質を含
有する請求項1乃至24のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項26】 フッ素原子を有する物質が、フッ素原子を有する化合物又
は樹脂の微粉体である請求項25に記載の画像形成方法。
【請求項27】 中間転写体は、トナー像を担持するための円筒状ドラムを
有する請求項1乃至26のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項28】 中間転写体は、トナー像を担持するためのエンドレスベル
トを有する請求項1乃至26のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項29】 中間転写体は、トナー像を担持するための円筒状ドラムを
有し、円筒状ドラム上に担持されたトナー像を転写材へ転写するための転写ベルトを転写手段は有する請求項1乃至26のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項30】 中間転写体は、トナー像を担持するためのエンドレスベル
トを有し、エンドレスベルト上に担持されたトナー像を転写材へ転写するための転写ローラーを転写手段は有する請求項1乃至26のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項31】 黒色トナーは、液体潤滑剤を含有している請求項1乃至3
0のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項32】 液体潤滑剤が、液体潤滑剤を20〜90重量%含有した潤
滑担体粒子の形態でトナー中に含有されている請求項31に記載の画像形成方法
【請求項33】 黒色トナーは、磁性トナーであり、磁性トナーに含有され
る磁性体に液体潤滑剤が担持されている請求項31又は32に記載の画像形成方法。
【請求項34】 液体潤滑剤の25℃における粘度が10〜20万cStで
ある請求項31乃至33のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項35】 静電潜像担持体,
静電潜像担持体上にトナー像を形成するための現像剤を有する現像手段,
静電潜像担持体から転写されるトナー像を担持するための、バイアス印加手段を有する中間転写体,及び
中間転写体上のトナー像を転写材へ転写するための、バイアス印加手段を有する中間転写体を押圧するように設置されている転写手段を少なくとも有する画像形成装置であり、
該現像剤は、トナーを有し、
該トナーが、少なくとも結着樹脂中に着色剤が分散された黒色トナー粒子と無機微粉体を有する黒色トナーであり、該黒色トナーの形状係数SF-1の値が110<SF-1≦180であり、形状係数SF-2の値が110<SF-2≦140であり、SF-2の値から100を引いた値BとSF-1の値から100を引いた値Aとの比B/Aの値が1.0以下であり、
該中間転写体及び該転写手段の表面が弾性層から構成されており、該中間転写体の体積固有抵抗値が転写手段の体積固有抵抗値より高い値を示し、且つ、該中間転写体の表面硬度が、JIS・K-6301で測定して10〜40度の範囲を有し、且つ、転写手段の表面の硬度を中間転写体の硬度よりも大きくし、転写手段を中間転写体に押圧し中間転写体側に凹形状のニップを形成せしめ、転写手段に電圧を印加し転写材上にトナー像を転写せしめることを特徴とする画像形成装置。
【請求項36】 該現像手段が、現像剤を担持するトナー担持体を有してお
り、該トナー担持体と該静電潜像担持体との間には、直流及び交流現像バイアスが印加されていることを特徴とする請求項35に記載の画像形成装置。
【請求項37】 該黒色トナーのBET法によって測定された単位体積あた
りの比表面積Sb(m2/cm3)と、該黒色トナーを真球と仮定した際の重量平均粒径から算出した単位体積あたりの比表面積St(m2/cm3)とが下記条件
3.0≦Sb/St≦7.0 かつ、 Sb≧St×1.5+1.5
を満足する請求項35又は36に記載の画像形成装置。
【請求項38】 該黒色トナーが結着樹脂100重量部に対し、磁性体30
〜200重量部を含有する磁性トナーであり、該磁性トナーの形状係数SF-1の値が120≦SF-1≦160であり、かつSF-2の値が115≦SF-2≦140である請求項35乃至37のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項39】 該黒色トナーは比B/Aの値が0.20〜0.90である
請求項35乃至38のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項40】 該黒色トナーの単位体積あたりの帯電量が30〜80C/m3である請求項35乃至39のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項41】 該無機微粉体がチタニア,アルミナ,シリカあるいはその
複酸化物からなるグループから選ばれる無機微粉体である請求項35乃至40のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項42】 該無機微粉体が疎水化処理されている請求項35乃至41
のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項43】 該無機微粉体が少なくともシリコーンオイルで処理された
ものである請求項42に記載の画像形成装置。
【請求項44】 該無機微粉体はー次粒径が30nm以下であり、該トナー
は平均粒径30nmを超える第2の微粉体をさらに有している請求項35乃至43のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項45】 該第2の微粉体は、無機微粉体である請求項44に記載の
画像形成装置。
【請求項46】 該第2の微粉体は、樹脂微粉体である請求項44に記載の
画像形成装置。
【請求項47】 該第2の微粉体は、実質的に球形である請求項44乃至46のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項48】 該黒色トナー粒子は、BET法によって測定された体積あ
たりの比表面積が1.2〜2.5m2/cm3である請求項35乃至47のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項49】 該黒色トナー粒子は、lnm〜100nmの細孔の積算細
孔面積比率曲線における60%細孔半径が3.5nm以下である請求項35乃至48のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項50】 該黒色トナーは、GPCで測定される分子量分布において、低分子量側のピークが3000〜15000の範囲にある請求項35乃至49のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項51】 静電潜像がイエロートナーを有する現像剤で現像されて静
電潜像担持体上にイエロートナー像を形成し、次いでイエロートナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像がマゼンタトナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上にマゼンタトナー像を形成し、次いでマゼンタトナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像がシアントナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上にシアントナー像を形成し、次いでシアントナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像が黒色トナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上に黒色トナー像を形成し、次いで黒色トナー像が中間転写体上に転写され;
中間転写体上のイエロートナー像,マゼンタトナー像,シアントナー像及び黒色トナー像が転写材へ転写される請求項35乃至50のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項52】 黒色トナーは、SF-2の値がイエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーのSF-2の値よりも5以上大きい請求項51に記載の画像形成装置。
【請求項53】 イエロートナーは、SF-1が100乃至170であり且
つSF-2が100乃至139であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139であり、シアントナーはSF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139である請求項51又は52に記載の画像形成装置。
【請求項54】 イエロートナーは、SF-1が100乃至160であり且
つSF-2が100乃至130であり、マゼンタトナ一は、SF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130であり、シアントナーはSF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130である請求項51又は52に記載の画像形成装置。
【請求項55】 イエロートナーは、SF-1が100乃至150であり且
つSF-2が100乃至125であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125であり、シアントナーはSF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125である請求項51又は52に記載の画像形成装置。
【請求項56】 黒色トナーが磁性トナーであり、イエロートナーが非磁性
トナーであり、マゼンタトナーが非磁性トナーであり、シアントナーが非磁性トナーである請求項51乃至55のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項57】 黒色トナー,イエロートナー,マゼンタトナー及びシアン
トナーが非磁性トナーである請求項51乃至55のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項58】 黒色トナーは、結着樹脂及び黒色着色剤を少なくとも有す
る混合物を溶融混練し、溶融物を冷却し、冷却された溶融物を粉砕することによって生成された黒色トナー粒子を有し、
イエロートナーは、重合性単量体及びイエロー着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたイエロートナー粒子を有し、
マゼンタトナーは、重合性単量体及びマゼンタ着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたマゼンタトナー粒子を有し、
シアントナーは、重合性単量体及びシアン着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたシアントナー粒子を有する請求項51乃至57のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項59】 該静電潜像担持体は、表面の水に対する接触角が85度以
上である請求項35乃至58のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項60】 該静電潜像担持体の表面層にフッ素原子を有する物質を含
有する請求項35乃至59のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項61】 フッ素原子を有する物質が、フッ素原子を有する化合物又
は樹脂の微粉体である請求項60に記載の画像形成装置。
【請求項62】 中間転写体は、トナー像を担持するための円筒状ドラムを
有する請求項35乃至61のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項63】 中間転写体は、トナー像を担持するためのエンドレスベル
トを有する請求項35乃至61のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項64】 中間転写体は、トナー像を担持するための円筒状ドラムを
有し、円筒状ドラム上に担持されたトナー像を転写材へ転写するための転写ベルトを転写手段は有する請求項35乃至61のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項65】 中間転写体は、トナー像を担持するためのエンドレスベル
トを有し、エンドレスベルト上に担持されたトナー像を転写材へ転写するための転写ローラーを転写手段は有する請求項35乃至61のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項66】 黒色トナーは、液体潤滑剤を含有している請求項35乃至
65のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項67】 液体潤滑剤が、液体潤滑剤を20〜90重量%含有した潤
滑担体粒子の形態でトナー中に含有されている請求項66に記載の画像形成装置。
【請求項68】 黒色トナーは、磁性トナーであり、磁性トナーに含有され
る磁性体に液体潤滑剤が担持されている請求項66又は67に記載の画像形成装置。
【請求項69】 液体潤滑剤の25℃における粘度が10〜20万cStで
ある請求項66乃至68のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項70】 少なくともイエロー系着色剤と結着樹脂とを含有するイエ
ロートナー粒子及び無機微粉体を有するイエロートナーと、
少なくともマゼンタ系着色剤と結着樹脂とを含有するマゼンタトナー粒子及び無機微粉体を有するマゼンタトナーと、
少なくともシアン系着色剤と結着樹脂とを含有するシアントナー粒子及び無機微粉体を有するシアントナーと、
少なくともカーボンブラックまたは/および磁性体と結着樹脂とを含有する黒色トナー粒子及び無機微粉体を有する黒色トナーを有するトナーキットにおいて、
該黒色トナーは形状係数SF-2の値が140以下であり且つイエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーの形状係数SF-2より大きいことを特徴とするトナーキット。
【請求項71】 該黒色トナーの形状係数SF-2が115乃至140であ
る請求項70に記載のトナーキット。
【請求項72】 該黒色トナ一は、磁性トナーであり、該イエロートナー,
マゼンタトナー及びシアントナーは非磁性トナーである請求項70又は71に記載のトナーキット。
【請求項73】 各色トナーのBET法によって測定された単位体積あたり
の比表面積Sb(m2/cm3)と、各色トナーを真球と仮定した際の重量平均粒径から算出した単位体積あたりの比表面積St(m2/cm3)とが下記条件
3.0≦Sb/St≦7.0 かつ、 Sb≧St×1.5+1.5
を満足する請求項70乃至72のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項74】 該黒色トナーが結着樹脂100重量部に対し、磁性体30
〜200重量部を含有する磁性トナーであり、該磁性トナーの形状係数SF-1の値が120≦SF-1≦160であり、かつSF-2の値が115≦SF-2≦140である請求項70乃至73のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項75】 各色トナーは比B/Aの値が0.20〜0.90である請
求項70乃至74のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項76】 各色トナーの単位体積あたりの帯電量が30〜80C/m
3である請求項70乃至75のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項77】 該無機微粉体がチタニア,アルミナ,シリカあるいはその
複酸化物からなるグループから選ばれる無機微粉体である請求項70乃至76のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項78】 該無機微粉体が疎水化処理されている請求項70乃至77
のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項79】 該無機微粉体が少なくともシリコーンオイルで処理された
ものである請求項78に記載のトナーキット。
【請求項80】 該無機微粉体は一次粒径が30nm以下であり、該トナー
は平均粒径30nmを超える第2の微粉体をさらに有している請求項70乃至79のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項81】 該第2の微粉体は、無機微粉体である請求項80に記載の
トナーキット。
【請求項82】 該第2の微粉体は、樹脂微粉体である請求項80に記載の
トナーキット。
【請求項83】 該第2の微粉体は、実質的に球形である請求項80乃至82のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項84】 該トナー粒子は、BET法によって測定された体積あたり
の比表面積が1.2〜2.5m2/cm3である請求項70乃至83のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項85】 該トナー粒子は、lnm〜100nmの細孔の積算細孔面
積比率曲線における60%細孔半径が3.5nm以下である請求項70乃至84のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項86】 該トナーは、GPCで測定される分子量分布において、
低分子量側のピークが3000〜15000の範囲にある請求項70乃至85のいずれかに記載のトナーキット。記載のトナーキット。
【請求項87】 黒色トナーは、SF-2の値がイエロートナー,マゼンタ
トナー及びシアントナーのSF-2の値よりも5以上大きい請求項70乃至86のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項88】 イエロートナーは、SF-1が100乃至170であり且
つSF-2が100乃至139であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139であり、シアントナーはSF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139である請求項70乃至87のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項89】 イエロートナーは、SF-1が100乃至160であり且
つSF-2が100乃至130であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130であり、シアントナーはSF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130である請求項70乃至87のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項90】 イエロートナーは、SF-1が100乃至150であり且
つSF-2が100乃至125であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125であり、シアントナーはSF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125である請求項70乃至87のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項91】 黒色トナーは、結着樹脂及び黒色着色剤を少なくとも有す
る混合物を溶融混練し、溶融物を冷却し、冷却された溶融物を粉砕することによって生成された黒色トナー粒子を有し、
イエロートナーは、重合性単量体及びイエロー着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたイエロートナー粒子を有し、
マゼンタトナーは、重合性単量体及びマゼンタ着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたマゼンタトナー粒子を有し、
シアントナーは、重合性単量体及びシアン着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたシアントナー粒子を有する請求項70乃至90のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項92】 黒色トナーは、液体潤滑剤を含有している請求項70乃至
91のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項93】 液体潤滑剤が、液体潤滑剤を20〜90重量%含有した潤
滑担体粒子の形態でトナー中に含有されている請求項92に記載のトナーキット。
【請求項94】 黒色トナーは、磁性トナーであり、磁性トナーに含有され
る磁性体に液体潤滑剤が担持されている請求項92又は93に記載のトナーキット。
【請求項95】 液体潤滑剤の25℃における粘度が10〜20万cStで
ある請求項92乃至94のいずれかに記載のトナーキット。」
に訂正する。
訂正事項b
明細書の段落【0027】の記載を、
「【課題を解決するための手段】
本発明は、静電潜像を現像剤で現像して静雷潜像担持体上にトナー像を形成する現像工程、
該トナー像を電圧が印加されている中間転写体上に転写する一次転写工程、及び
電圧が印加されている転写手段を転写材に押圧させながら該中間転写体上のトナー像を該転写材上へ転写する二次転写工程を少なくとも有する画像形成方法であり、
該現像剤は、トナーを有し、
該トナーが、少なくとも結着樹脂中に着色剤が分散された黒色トナー粒子と無機微粉体を有する黒色トナーであり、該黒色トナーの形状係数SF-1の値が110<SF-1≦180であり、形状係数SF-2の値が110<SF-2≦140であり、SF-2の値から100を引いた値BとSF-1の値から100を引いた値Aとの比B/Aの値が1.0以下であり、
該中間転写体及び該転写手段の表面が弾性層から構成されており、該中間転写体の体積固有抵抗値が転写手段の体積固有抵抗値より高い値を示し、且つ、該中間転写体の表面硬度が、JIS・K-630 1で測定して10〜40度の範囲を有し、且つ、転写手段の表面の硬度を中間転写体の硬度よりも大きくし、転写手段を中間転写体に押圧し中間転写体側に凹形状のニップを形成せしめ、転写手段に電圧を印加し転写材上にトナー像を転写せしめることを特徴とする画像形成方法に関する。」
に訂正する。
訂正事項c
明細書の段落【0028】の記載を、
「 さらに、本発明は、静電潜像担持体,
静電潜像担持体上にトナー像を形成するための現像剤を有する現像手段,
静電潜像担持体から転写されるトナー像を担持するための、バイアス印加手段を有する中間転写体,及び
中間転写体上のトナー像を転写材へ転写するための、バイアス印加手段を有する中間転写体を押圧するように設置されている転写手段を少なくとも有する画像形成装置であり、
該現像剤は、トナーを有し、
該トナーが、少なくとも結着樹脂中に着色剤が分散された黒色トナー粒子と無機微粉体を有する黒色トナーであり、該黒色トナーの形状係数SF-1の値が110<SF-1≦180であり、形状係数SF-2の値が110<SF-2≦140であり、SF-2の値から100を引いた値BとSF-1の値から100を引いた値Aとの比B/Aの値が1.0以下であり、
該中間転写体及び該転写手段の表面が弾性層から構成されており、該中間転写体の体積固有抵抗値が転写手段の体積固有抵抗値より高い値を示し、且つ、該中間転写体の表面硬度が、JIS・K-6301で測定して10〜40度の範囲を有し、且つ、転写手段の表面の硬度を中間転写体の硬度よりも大きくし、転写手段を中間転写体に押圧し中間転写体側に凹形状のニップを形成せしめ、転写手段に電圧を印加し転写材上にトナー像を転写せしめることを特徴とする画像形成装置に関する。」
に訂正する。
訂正事項d
明細書の段落【0068】の記載を、
「 黒色トナー粒子を作製するには、結着樹脂、ワックス、着色剤としての顔料、染料、又は磁性体、必要に応じて荷電制御剤の如き添加剤をへンシェルミキサー、ボールミルの如き混合器により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂を溶融せしめた中に顔料、染料又は磁性体を分散又は溶解せしめ、冷却固化後、粉砕、分級を行なって黒色トナー粒子を得ることが出来る。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。」
に訂正する。
訂正事項e
明細書の段落【0070】の記載を、
「 トナー粒子は特公昭56-13945号公報等に記載のディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナー粒子を得る方法や、特公昭36-10231号公報,特開昭59-53856号公報,特開昭59-61842号公報に述べられている懸濁重合方法を用いて直接トナー粒子を生成する方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナー粒子を生成する分散重合方法又は水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナー粒子を生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法を用いてトナー粒子を製造しても良い。」
に訂正する。
訂正事項f
明細書の段落【0082】の記載を、
「 さらには、トナー粒子表面を無機微粉体の如き外添剤により被覆することにより、トナー粒子表面の外添剤被覆率が、5〜99%さらに好ましくは、10〜99%であることが好ましい。トナー粒子表面の外添剤被覆率は、日立製作所製FE-SEM(S-800)を用いトナー粒子像(例えば、2万倍)を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介してニコレ社製画像解析装置(Luzex3)を導入し解析を行い算出する。」
に訂正する。
訂正事項g
明細書の段落【0115】の記載を、
「 イエロートナー粒子,マゼンタトナー粒子,シアントナー粒子に外添する無機微粉体としては、特定のカップリング剤を水存在下で加水分解しながら処理した平均粒径0.01〜0.2μm、疎水化度20〜98%で400nmにおける光透過率が40%以上である酸化チタンあるいはアルミナが好ましい。水中では均質な疎水化処理が行え、粒子同士の合一もなくトナーの帯電の安定化、流動性付与の点で、極めて有効である。」
に訂正する。
2.訂正の目的の適否、新規事項追加の有無、及び特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否
訂正事項aは、
i)特許請求の範囲の請求項1に、請求項28の構成を加えると共に、請求項28を削除することで、発明の包含する範囲を縮小するものであり、
ii)同じく請求項37に、請求項64の構成を加えると共に、請求項64を削除することで、発明の包含する範囲を縮小するものであり、
iii)請求項15を削除するものであり、さらに、
iv)請求項の削除により請求項の番号に生じた不連続を、順次繰り上げることで補完し、併せて、各項中で引用している請求項番号を訂正するものである。
このうち、i)〜iii)は、特許法第120条の4第2項但し書き第1号に規定する、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、iv)は、同但し書き第3項に規定する、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
また、訂正事項aは特許明細書に記載された事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない
さらに、訂正事項b及びcは、いずれも訂正事項aによって生じた特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載との間で生じた不整合を、発明の詳細な説明の項において正すものであるから、特許法第120条の4第2項但し書き第3号に規定する、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。また、いずれも願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、しかも特許請求の範囲を実質的に拡張し又は変更するものでない。
訂正事項d〜gは、トナーとトナー粒子との2種類の語が、混乱していたものを整理するものであるから、特許法第120条の4第2項但し書き第3号に規定する、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。また、いずれも願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許請求の範囲を実質的に拡張し又は変更するものでもない。
3.訂正の適否の結論
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する特許法第126条第2項および第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
III.特許異議申立について
1.本件発明
本件の請求項1〜95に係る発明は、前記訂正後の特許請求の範囲の請求項1〜95に記載されたとおりのものである(上記訂正事項a、参照)。
2.特許異議申立の理由の概要
特許異議申立人 中石幸明は、下記の甲第1〜20号証及び参考資料を提出して、
(1)訂正前の請求項1、2、7、8に係る発明は、本件特許よりも先の出願である、甲第1号証に係る発明と同一であるから、特許法第39条第1項に規定する発明に該当すること、
(2)訂正前の請求項1〜3、5〜14、16、25〜27、30、32、37〜39、41〜52、61〜63、66、68に係る発明は
、甲第2〜20号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項に規定する発明に該当する、及び、
(3)訂正前の請求項15は、記載が明りょうでないため特許法第36条に違反すること、
このため、請求項1〜3、5〜16、25〜27、30、32、37〜39、41〜52、61〜63、66、68に係る各発明の特許は、取り消すべき旨主張する。

甲第1号証 特許第3066943号掲載公報(以下、「先願明細書」という)
甲第2号証
「第32回電子写真学会講習会・カラー電子写真プロセスの基礎と最近の動向」講習会テキスト、平成3年11月28日、電子写真学会発行、第44頁(以下、単に「テキスト」という)
甲第3号証 特開平5-216322号公報(以下、「刊行物1」という)
甲第4号証 特開平5-88409号公報(以下、「刊行物2」という)
甲第5号証 特開平5-173434号公報(以下、「刊行物3」という)
甲第6号証 特開平5-27548号公報(以下、「刊行物4」という)
甲第7号証 特開平5-80634号公報(以下、「刊行物5」という)
甲第8号証 特開平5-35122号公報(以下、「刊行物6」という)
甲第9号証 特開昭61-279864号公報(以下、「刊行物7」という)
甲第10号証 特開平1-185654号公報(以下、「刊行物8」という)
甲第11号証 特開平5-281860号公報(以下、「刊行物9」という)
甲第12号証 特開平6-282108号公報(以下、「刊行物10」という)
甲第13号証 特開平5-66684号公報(以下、「刊行物11」という)
甲第14号証 特開平6-83217号公報(以下、「刊行物12」という)
甲第15号証 特開平6-282098号公報(以下、「刊行物13」という)
甲第16号証 特開平6-123997号公報(以下、「刊行物14」という)
甲第17号証 特開平6-258862号公報(以下、「刊行物15」という)
甲第18号証 特開平5-313416号公報(以下、「刊行物16」という)
甲第19号証 特開平6-167817号公報(以下、「刊行物17」という)
甲第20号証 特開平5-34979号公報(以下、「刊行物18」という)
甲第21号証 特開平5-142857号公報(以下、「刊行物30」という)
参考資料 特開平7-36207号公報(以下、「刊行物19」という)
特許異議申立人 渡辺等は、下記の甲第1〜9号証を提出して、訂正前の請求項1〜2、5〜14、16、17、19〜21、23、25〜27、29〜32、37、38、41〜50、52、53、55〜57、59、61〜63、65〜68に係る発明は、甲第1〜9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、その特許を取り消すべき旨、主張する。

甲第1号証 特開昭61-279864号公報(刊行物7に同じ)
甲第2号証 特開平1-185654号公報(刊行物8に同じ)
甲第3号証 特開平6-67549号公報(以下、「刊行物31」という)
甲第4号証 特開平5-80634号公報(刊行物5に同じ)
甲第5号証 特開平5-27548号公報(刊行物4に同じ)
甲第6号証 特開平6-214423号公報(以下、「刊行物32」という)
甲第7号証 特開平5-117405号公報(以下、「刊行物33」という)
甲第8号証 特開平6-51554号公報(以下、「刊行物34」という)
甲第9号証 特開昭64-42660号公報(以下、「刊行物35」という)
取消理由通知の趣旨は、
(1)訂正前の請求項1〜3、5〜14、16、17、19〜21、25〜27、29〜32、37〜39、41〜50、52、53、55〜57、61〜63および65〜68に係る各発明は、下記の刊行物1〜29に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないこと、及び、
(2)訂正前の請求項15は、記載が明りょうでないため、特許法第36条第4項乃至第6項に規定する要件を満たしていないこと、
を理由として、それら各請求項の特許を取り消すとするものである。

刊行物1 特開平5-216322号公報
刊行物2 特開平5-88409号公報
刊行物3 特開平5-173434号公報
刊行物4 特開平5-27548号公報
刊行物5 特開平5-80634号公報
刊行物6 特開平5-35122号公報
刊行物7 特開昭61-279864号公報
刊行物8 特開平1-185654号公報
刊行物9 特開平5-281860号公報
刊行物10 特開平6-282108号公報
刊行物11 特開平5-66684号公報
刊行物12 特開平6-83217号公報
刊行物13 特開平6-282098号公報
刊行物14 特開平6-123997号公報
刊行物15 特開平6-258862号公報
刊行物16 特開平5-313416号公報
刊行物17 特開平6-167817号公報
刊行物18 特開平5-34979号公報
刊行物19 特開平7-36207号公報
刊行物20 特開平6-194864号公報
刊行物21 特開平5-142849号公報
刊行物22 特開平4-220656号公報
刊行物23 特開平4-337742号公報
刊行物24 特開平6-250433号公報
刊行物25 特開平6-110246号公報
刊行物26 特開平6-289651号公報
刊行物27 特開平6-337540号公報
刊行物28 特開平2-10387号公報
刊行物29 特開昭63-43162号公報
3.各証拠に記載された発明
先願明細書の特許請求の範囲の記載は、特許異議の申立第2001-70205号に対応する訂正により、次の通りに訂正された。
すなわち、先願明細書に基づく特許発明は、
「【請求項1】 電圧が印加されている接触帯電手段を静電像保持体に当接させながら静電像保持体を帯電し、帯電した静電像保持体を露光して静電像保持体に静電像を形成し、形状係数SF-1 100〜150及び形状係数SF-2 100〜140を有し且つ結着樹脂、着色剤及び低軟化点物質を含有しているカラートナー粒子で静電像を現像してカラートナー像を静電像保持体上に形成し、静電像保持体上のカラートナー像を電圧が印加されている中間転写体へ転写し、中間転写体上のカラートナー像を電圧が印加されている転写手段を用いて転写材へ転写し、転写材上のカラートナー像を加熱定着することにより、マルチカラー画像又はフルカラー画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】 トナー粒子は絶縁性トナー粒子であり、摩擦電荷を有している請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】 トナー粒子は、SF-1が100〜125である請求項1又は2に記載の画像形成方法。
【請求項4】 トナー粒子は、SF-1が100〜110である請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項5】 トナー粒子は、SF-2が100〜130である請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項6】 トナー粒子は、SF-2が100〜125である請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項7】 トナー粒子は、低軟化点物質を5〜30重量%含有している請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項8】 トナー粒子は、非磁性のシアンカラートナー粒子である請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項9】 トナー粒子は、非磁性のイエローカラートナー粒子である請求頃1乃至7のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項10】 トナー粒子は、非磁性のマゼンタカラートナー粒子である請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項11】 トナー粒子は、磁性のブラックトナー粒子である請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項12】 トナー粒子は、非磁性のブラックトナー粒子である請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項13】 トナー粒子は、重量平均粒径が10μm以下であり、個数変動係数が35%以下である請求項1乃至12のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項14】 トナー粒子は、重量平均粒径が4〜8μmである請求項1乃至13のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項15】 トナー粒子は、個数変動係数が30%以下である請求項1乃至14のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項16】 (i)静電像保持体に静電像を形成する像形成工程、
(ii)カラートナー粒子で静電像を現像してトナー像を静電像保持体上に形成する現像工程、
(iii)静電像保持体上のカラートナー像を電圧が印加されている中間転写体へ転写する一次転写工程、
前記(i)乃至(iii)の工程を各色のカラートナー毎に複数回繰返すことにより、中間転写体上に複数色のカラートナーによるカラートナー像を形成し、
中間転写体上のカラートナー像を電圧が印加されている転写手段を用いて転写材へ一括転写し、
転写材上のカラートナー像を加熱加圧定着することにより、マルチカラー画像又はフルカラー画像を形成することを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項17】 静電像保持体に第1の静電荷像が形成され、第1の静電荷像は、シアントナー粒子で現像されてシアントナー像を形成し、シアントナー像は中間転写体へ転写され、
静電像保持体に第2の静電荷像が形成され、第2の静電荷像は、イエロートナー粒子で現像されてイエロートナー像を形成し、イエロートナー像は中間転写体へ転写され、
静電像保持体に第3の静電荷像が形成され、第3の静電荷像は、マゼンタトナー粒子で現像されてマゼンタトナー像を形成し、マゼンタトナー像は中間転写体へ転写され、
静電像保持体に第4の静電荷像が形成され、第4の静電荷像は、ブラックトナー粒子で現像されてブラックトナー像を形成し、ブラックトナー像は中間転写体へ転写され、
中間転写体上のシアントナー像、イエロートナー像、マゼンタトナー像及びブラックトナー像は、転写材へ転写され、
転写材上のシアントナー像、イエロートナー像、マゼンタトナー像及びブラックトナー像は加熱加圧定着されて、マルチカラー画像またはフルカラー画像を形成する請求項1乃至15のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項18】 中間転写体が弾性層を有している請求項1乃至17のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項19】 中間転写体は、芯金上に中抵抗の弾性層を有し、芯金に電圧が印加されている請求項1乃至18のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項20】 弾性層は、体積抵抗率105〜1011Ω・cmを有する請求項18又は19に記載の画像形成方法。
【請求項21】 弾性層は、体積抵抗率107〜1011Ω・cmを有する請求項20に記載の画像形成方法。
【請求項22】 中間転写体は口一ラ形状を有する請求項1乃至21のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項23】 転写手段は、電圧が印加されている転写ローラを有する請求項1乃至22のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項24】 転写ローラは、弾性層を有する請求項23に記載の画像形成方法。
【請求項25】 中間転写体上のカラートナー像が転写材へ転写された後に、中間転写体の表面はクリーニング手段によりクリーニングされる請求項1乃至24のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項26】 トナー粒子は、低軟化点物質をトナー粒子内部に内包している請求項1乃至25のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項27】 トナー粒子は、懸濁重合法により直接的に生成された重合トナー粒子である請求項1乃至26のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項28】 トナー粒子は、乳化重合法により直接的に生成された重合トナー粒子である請求項1乃至26のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項29】 低軟化点物質は、DSCにおける吸熱極大ピークに対応する温度が40〜90℃にある請求項1乃至28のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項30】 低軟化点物質は、長鎖アルキル基を有するエステルワックスである請求項1乃至29のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項31】 低軟化点物質は、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、フィッシャートロピシッシュワツクス、アミドワツクス、高級脂肪酸、エステルワックス及びこれらの誘導体からなるグループから選択される化合物である請求項1乃至30のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項32】 トナー粒子は、形状係数SF-1とSF-2との和が275以下である請求項1乃至31のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項33】 トナー粒子は、形状係数SF-1とSF-2との和が240以下である請求項32に記載の画像形成方法。
【請求項34】 電圧が印加されている接触帯電手段を静電像保持体に当接させながら静電像保持体を帯電し、
帯電した静電像保持体を露光して静電像保持体に静電像を形成し、
形状係数SF-1 100〜110を有し且つ結着樹脂、着色剤及び低軟化点物質5〜30重量%を含有しているカラートナー粒子で静電像を現像してカラートナー像を静電像保持体上に形成し、
静電像保持体上のカラートナー像を電圧が印加されている中間転写体へ転写し、
中間転写体上のカラートナー像を転写材へ、電圧が印加されている転写口一ラを用いて転写し、
転写材上のカラートナー像を加熱定着することにより、マルチカラー画像又はフルカラー画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【請求項35】 中間転写体及び転写ローラは、それぞれ弾性層を有する請求項34に記載の画像形成方法。
【請求項36】 中間転写体の弾性層は、転写ローラの弾性層の体積固有抵抗値よりも高い体積固有抵抗値を有している請求項34又は35に記載の画像形成方法。
【請求項37】 中間転写体及び転写ローラがそれぞれ弾性層を有し、該中間転写体の弾性層の体積固有抵抗値が転写ローラの弾性層の体積固有抵抗値より高い値を示し、中間転写体の表面硬度が、JIS・K-6301で測定して10〜40度の範囲を有し、且つ、転写ローラの硬度を中間転写体の硬度よりも大きくし、転写ローラを中間転写体に押圧し中間転写体側に凹形状のニツプを形成せしめ、転写ロ一ラに電圧を印加し、中間転写材上のカラートナー像を転写材上に転写せしめる請求項34乃至36のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項38】 低軟化点物質が、外殻樹脂層で内包化されており、カラートナー粒子は直接重合法により生成されたトナー粒子である請求項34乃至37のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項39】 カラートナー粒子は、懸濁重合法により生成されたトナー粒子である請求項34乃至38のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項40】 中間転写体が、中抵抗の弾性層を有する弾性ローラである請求項34乃至39のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項41】 低軟化点物質が炭素数10以上の長鎖アルキルエステル部分を1個以上有するエステルワックスである請求項34乃至40のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項42】 中間転写体がローラ形状を有する請求項34乃至41のいずれかに記載の画像形成方法。」
とするものである。
テキストには、
第1表において、各社ディジタルカラー複写機一覧として、キャノン株式会社製の機種CLC-500が、ACジャンピングロータリーで現像されることが記載されている。
刊行物1には、カラートナーに関して、
「本発明においては、カラートナーの粒径が重要であり、体積平均粒径が3〜9μmのカラートナーを用いる。」【0020】
「非磁性微粒子カラートナーを得る方法としては、(1)バインダー樹脂中に着色剤を20重量%以下、必要により荷電制御剤を5重量%以下混合し、溶融、練肉、冷却、粉砕し、前記粒径範囲となるように分級し、さらに必要により熱処理して球形化する方法、
(2)着色剤、その他の添加剤をバインダー樹脂のモノマー中に含有させたものを攪拌下に重合して球形トナーを得る方法、等が挙げられる。」【0021】
流動性を付与する目的で疎水性シリカが添加混合されること【0025】、
「カラートナーに用いられる着色剤としては、従来公知のものが用いられ、具体的にはBK(ブラック)トナーとして、カーボンブラック・・・・等を挙げることができる。」【0026】、
「本発明のカラー画像形成方法においては、例えば感光体上にアナログ方式で像露光して色別の静電潜像を形成し、これをC、Y、B(特許異議申立人注、Mの誤記と考えられる)、Bkの各色トナーで現像し、各色トナー像を形成するたびごとに中間転写ベルト上に重ね合わせて転写し、これを転写材上に一括転写し、定着してカラー画像を形成するようにしてもよい。」【0030】、
「この静電潜像を、現像器46Yに収容されたYトナーを含む2成分系現像剤により前記ACバイアスP1およびDCバイアスP2の印加下に非接触反転現像方式で現像し、・・・・以下同様にして・・・・現像器46BKによる現像を経て・・・・」【0037】【0038】、
ことが記載されている。
刊行物2には、
静電荷現像剤、画像形成方法に関する発明に関して、
静電像保持体上に潜像を形成し、トナーで静電像を現像してトナー像を静電保持体上に形成し(請求項18)、静電保持体上のトナーを転写材上に転写【0002】する画像形成方法、
「本発明者等は、球形トナーに各種添加剤を使用した場合の耐久劣化及びクリーニング不良が、主にトナーの形状に起因することを見いだした。
即ち、トナー粒子の形状が球形であると、例えば、トナーとトナー間、トナーとキャリア間、トナーとスリーブ間といったところで不定形トナーに比べ、摺接されやすく、その結果、トナー粒子表面に付着し、自由に動き得る添加剤がトナー粒子表面に埋め込まれ固着されてしまいやすく、その機能が阻害されやすく、耐久性並びにクリーニング性が低下しやすい。
以上のような知見に基づき、さらに検討を加えて本発明を得るに至った。即ち、トナー粒子の表面に適度の凹部を複数形成することにより、各種外添剤の耐久劣化を防止し、カウンターブレードクリーニングにより、効率良くクリーニング可能であることを見いだした。さらに、本発明のトナーは高画質な画像が得られる。
本発明では外添剤として、流動性向上剤、滑剤、研磨剤のうちの少なくとも一つを使用することが好ましい。」【0040】〜【0043】、
「本発明におけるトナー粒子は先に述べたように表面に凹部を複数個有することが好ましい。さらに、トナ一粒子の投影面に対し、半径rの最大内接円と半径Rの最小外接円とは、
1.00<R/r≦1.20
を満足することが好ましい。・・・・。
R/rが大きくなるとその形状は球形から離れる方向であり、1.20を超えると球形から離れすぎてしまうので好ましくない。これらトナーの重量平均粒径は3〜12μmが好ましい。
さらに、本発明においては、投影面の周辺長Lと内接面の円周長2πrとは、
1.01<L/2πr≦2.00
の関係を満たすことが好ましい。・・・・。
L/2πrが1.01より小さいと凹部がほとんどないことになり、一方、2.00より大きいと、細かい微小凹が数多く存在するか、または落差の大きい凹部が存在することになり、好ましくない。このうち前者は、微小すぎて、作用効果が発揮されにくくなる。また後者は、実質的な形状が不定形に近づき、高画質が得にくくなり、また、現像機中での徴粉化も起こりやすくなる。」【0048】〜【0051】、
「また、本発明のトナーは、図2に示すように表層部1(A層)と中心部2(B層)を有することが好ましく・・・・」【0057】、
「成分Aの好ましい分子量としては、・・・・GPC・・・・による重量平均分子量(Mw)で5,000〜200,000であり、・・・・」【0060】、
「本発明に用いる低軟化点物質(成分B)はGPC、による重量平均分子量(Mw)で300〜10,000が好ましく・・・・」【0063】、
「本発明で用いられる着色剤としては、・・・・、カーボンブラック・・・・等の顔料がある。」【0103】、
「1.流動性付与剤としては:金属酸化物(シリカ、・・・・、酸化アルミニウム、酸化チタンなど。それぞれ、疎水化処理を行ったものが、より好ましい。・・・・。
3.滑剤としては:フッ素系樹脂粉末・・などが好ましい。」【0107】、
「この現像剤を用いて、・・・・カラー複写機(CLC-500キャノン製)の改造機で、画出しを行った。」【0163】、
ことが記載されている。
刊行物3には、
印加電圧手段を設けた中間転写体を使用した画像形成装置(請求項1)に関して、
「感光体ドラム100から中間転写体101上に転写されるトナー像Tは、・・・・元の状態よりもトナー像が乱れたり、転写効率はどの転写手段でも100%にできにくいことにより、その画質が低下するという問題点を有する。・・・・。そこで、この発明は、・・・・、中間転写体を用いた画像形成装置において、転写の際のトナー像の広がりに起因する画質の劣化を防止可能な中間転写体そのもの、及びこの中間転写体を用いた画像形成装置を提供・・・・。」【0009】〜【0010】、
「また、2次転写手段は、図4に示すように、中間転写ドラム2の2次転写用給電部24に対向する形で配置された転写ロールからなり、この転写ロール41は、図10に示すように、転写用電源42に・・接続されている。上記転写ロール41は、・・・・弾性ロールであり、転写電圧42が印加されるバイアスロールである。」【0030】、
「・・・・ブラック・・・・の各トナーによって同一原画に対する現像が行われるブラック用感光体60・・・・」【0039】、
「この発明は、転写電界を転写ニップという狭い空間に閉じこめることができ、・・・・画質劣化のきわめて少ないトナー像を得ることができるという効果を奏する。」【0042】、
ことが記載されている。
刊行物4には、
図2に図示される中間転写体2を使用したカラー電子写真装置に関する発明を開示し、ブラックトナー像を中間転写ドラム2に電圧を印加して転写し【0013】〜【0018】、
中間転写ドラム2上に転写されたトナー像を、中間転写ドラム2と二次転写電圧転写ローラ17との間にはさまれた記録用紙100に、二次転写電圧を印加して転写することが記載され、転写効率に優れる装置とできること【0021】〜【0025】、
が記載されている。
刊行物5には、
図1に図示されるベルトからなる中間転写体32を使用した画像形成装置に関する発明を開示し、
「・・・・1色目(黒)が・・・・」【0029】、
中間転写体2に電圧を印加して転写し、中間転写ドラム2上に転写されたトナー像を、押圧ローラ35により押圧された中間転写体2と二次転写電圧ローラ37との間で転写材311に、二次転写電圧を印加して転写すること【0024】、
転写効率に優れる装置とできること【0029】、
「本発明の一つの目的は、画像乱れのない、かつ十分な濃度の高画質の多色複写物を常時得ることができる中間転写方式の画像形成装置を提供することである。」【0011】、
「しかも、一次及び二次転写時に画像抜け、飛び散り等の画像乱れも発生しない。従って、本発明によれば、色味の変化、画像抜け、飛び散り等の画像劣化のない、かつ十分な濃度の高画質の多色複写物を中間転写方式によって得ることができるという顕著な効果がある。」【0040】
ことが記載されている。
刊行物6には、
図2に図示されるベルト状の中間転写体9を使用した画像形成装置に関する発明を開示し、
現像ローラ8はブラックのトナー用現像器8aとすること、OPCベルト1から中間転写体9に中間転写ローラ11に電圧を印加して転写し、中間転写体9上に転写されたトナー像を、電圧が印加された転写ローラ13により押圧された中間転写体9から転写材12に転写すること【0003】〜【0005】、
「本発明は、・・・・、転写抜けなどの画像不良の発生がなく、トナー転写効率の変動が少ない、高転写率で信頼性の高い電子写真装置の提供・・・・」【0008】、
ことが記載されている。
刊行物7には、
「形状係数 SF-1を
SF-1= (最大長)2 ×π×100/面積×4
と定義し、また、
形状係数 SF-2を
SF-2= (周長)2 ×100/面積×4π
と定義した場合、
SF-1が120〜180
SF-2が110〜 150
なる値をもつ、
表面に凹凸が形成され、かつ、歪みのある静電潜像現像用トナー。」(特許請求の範囲)、
「特定の形状係数をもち、表面に凹凸が形成されかつ歪みのあるトナーによれば、帯電における立ち上がりが早く、帯電量が一定し、従来の球形トナーの有する欠点を解消するとともに、粉砕法トナーのごとき帯電量の不均一がなく、多数枚の連続コピーでもカブリの発生が認められず、画質の低下も防止され、クリーニング性も良好で、その他、優れたトナー特性を備えた静電荷像現像用トナーを得ることに成功した。」(2頁左上欄9〜18行)、
重合トーナであること(2頁右下欄14行〜3頁右上欄17行)、
着色剤としてはカーボンブラックが代表例であること(3頁左下欄9〜10行)、
表1には、製造例1により得られたトナーの形状係数としてSF-1が172、SF-2が123であること
が記載されている。
刊行物8には、
「1.トナーとキャリアとを含有する2成分現像剤において、下記式〔I〕:
S= (外周)2 ×100/面積×4π
〔式中、外周はトナーあるいはキャリア粒子の投影像の外周、面積はトナーあるいはキャリア粒子の投影面積の平均値を表す。〕
で定義される形状係数S
および下記式〔II〕:
SF=(最大長)2 ×100/面積×4π
〔式中、最大長はトナーの投影像における最大長の平均値を、また、面積はトナーの投影面積の平均値を表す。〕
で定義される形状係数SF(特許異議申立人注、SF-1に相当):
で表されるトナーの形状係数およびキャリアの形状係数が次の関係(1)〜(3):
St ≦SC (1)
St +SC ≧225 (2)
SFt≦150 (3)
(St、SFtはそれぞれトナーの形状係数を、SCはキャリアの形状係数を表す。)
を同時に満たすトナーとキャリアが組み合わされて構成されている現像剤。」(特許請求の範囲)、
重合トナーやメカノケミカル法で調製されたトナーであること(3頁右下欄11〜14行)、
表1には、トナーdに関してST(SF-2)111、SF(SF-1)138と記載され、また、トナ-の製造例5として、ST(SF-2)120、SF(SF-1)171のトナーを得たこと、
が記載されている。
刊行物9には、
「【請求項1】 像坦持体(1)の表面に形成されたトナー像を転写手段(51)によって記録紙(8)に転写して画像を形成する画像形成装置において、前記像坦持体(1)の端部にトナーを付着させるトナー付着領域(1A)を設けるとともに、該トナー付着領域(1A)上のトナ一層の表面電位を検出する表面電位計測手段(101)と、検出した表面電位の変化に応じた前記転写手段(51)に印加する転写電流の変化を指示する制御手段(102)と、指示により前記転写手段(51)に印加する転写電流を変更する電流変更手段(103)を設けたことを特徴とする画像形成装置。
・・・・
【請求項3】 前記現像剤(13)として重合法で作成されたトナーを用いたことを特徴とする前記請求項1・・・・の画像形成装置。」(特許請求の範囲)、
転写部に関して、「次に、図3に基づいて転写部を説明する。図3において、51は転写手段としての転写ローラであり、転写ローラ51は金属軸51aと導電性の弾性層51bにより構成される。転写ローラ51には電源52からバイアスを印加し、感光体ドラム1の表面に形成したトナー像を、記録紙8の裏面から制御部5を密着させて、記録紙8に転写する。」【0022】、
図6に関して、「次に、図6は本発明の第2実施例の作用説明図である。本実施例の構成は、使用するトナー13の種類を除いて、図2〜図4と同様である。図2〜図4において、トナー63として重合法(懸濁重合法)で作成されたスチレン・アクリル系の重合トナーを用いた。
図6は重合トナーを用いた場合の転写電流と転写効率の関係を示す。重合トナーを用いることによって、転写効率を97%に上げることができた。」【0027】【0028】
ことが記載されている。
刊行物10には、
懸濁重合粒子からなるトナーに関する発明が開示され、
着色剤としてカーボンブラックが例示され(【0028】及び実施例1)、添加剤としてシリカ、アルミナ、酸化チタン等が例示【0033】され、
「本発明の製造方法により得られるトナーは、実質的に球形の粒子であることが好ましい。
より具体的には、本発明の製造方法により得られるトナーは、粒子の絶対最大長を直径とした円の面積(Sc)を粒子の実質投影面積(Sr)で割った値(Sc/Sr)が1.00〜1.30の範囲にあり、かつBET法による比表面積(A)(m2/g)、個数平均粒径(dn)(μm)および真比重(D)の積(A*dn*D)が5〜10の範囲にある実質的に球形な粒子からなることが好ましい。このような実質的に球形のトナーは、極めて良好な流動性を示す。」【0040】、
「一方、従来のトナーは、・・・・、このような粉砕法により得られるトナーは、粒子形状が不定形であり、・・・・(Sc/Sr)は、一般に1.3を超えるものとなる。」【0041】、
「本発明の方法により得られるトナーは、上記したような実質的に球形のトナーの中でも、その体積平均粒径(dv)が5〜15μmの範囲、体積平均粒径と個数平均粒径(dn)との比(dv/dn)が1.00〜1.40更に好ましくは1.00〜1.40)の範囲で、かつ、ブローオフ法(キャリア一TEFV150/250(パウダーテック社製)、トナー濃度5%、150rpm回転で30分間混合攪拌後に測定)による帯電量(Q)(μc/g)と比表面積(A)との比(Q/A)が10〜80(更に好ましくは30〜60)の範囲の特性を備えたトナ-であることが好ましい。このようなトナ-を前記現像方法における現像剤として使用すると、現像ロール上に均一な薄いトナー層が形成され、感光体上の潜像へのトナーの乗りが良く、しかも粒子表面の電荷が一定かつ均一であるため、転写工程におけるトナーの転写効率が高くなる。その結果、画像濃度が高くなり、ムラのない鮮明な像が形成される。」【0044】、
「前記の形状係数(Sc/Sr)および積(A*dn*D)の条件を満足しない粒子をトナーとして用いると、転写効率が低く、画像濃度が不十分で、地肌汚れや画像ムラが発生し易くなる。」【0051】、
ことが記載されている。
刊行物11には、
可転写像を電圧を印加しながら押圧転写する【0020】画像形成装置に関する発明において、その従来技術において、
「転写方式の画像形成装置においては、転写手段の転写部材として転写ローラ、転写ベルト等を用いたとき、該転写部材で転写シートを像担持体(以下、感光体と記す)へ押圧するため、転写画像にいわゆる「中抜け」と呼ばれる転写不良現象が往々発生していた。
また、転写シートを感光体に押圧させることなく転写を行うコロナ転写を用いた転写手段の場合でも、転写シートが厚い場合、中抜け現象が発生することがあった。
この中抜け現象は、ライン状の画像で特に顕著であり、発生原因としては現像剤としてのトナーを感光体に強く押しつけるため、トナーが感光体に付着して転写されにくくなるためと考えられている。
従来はこの中抜け現象防止のために次のような対策がとられていた。
(1)トナーの凝集力を少なくするため、トナー外添剤としてシリカやPVdFなどの滑剤を入れる。
(2)転写部材として転写ローラを用いた場合、押圧力を弱くするため、転写ローラの加圧力を減らしたり、転写ローラの硬度を下げる。
(3)トナーの感光体上の乗りを少なくすることで力を分散させ、トナーが感光体へ強く付着するのを防ぐ。
(4)感光体の移動速度をv1、転写シートの移動速度をv2、転写ローラの
回転速度をv3とすると、図3・・・・、図4に示すように、転写ローラの回転速度をv3 を感光体の移動速度をv1に対して早くまたは遅くすることで、中抜けレベルを改善する。」【0002】〜【0009】、
ことが記載されている。
刊行物12には、
図2に示されるトナー像を転写電圧を印加しながら、感光体1に当接配置される現像ローラ51を使用して静電転写する画像形成装置に関する発明において、その従来技術には、
「電子写真記録装置において、感光体に付着したトナー像を静電気的に記録紙に転写する場合、たとえば図15に示すように文字画像および細線の中央部分のトナーが記録紙に転写されず、記録紙上の画像では当該部分が白く抜けてしまう、所謂「中抜け」という現象が生じる場合がある。」【0002】、
「なお、トナーはポリエステル系樹脂を粉砕してなる結着樹脂・・・・、カーボンブラック・・・・、荷電制御剤・・・・およびワックス・・・・を内添したトナー粒子に、流動性の確保および粒子保護のためのシリカを外添してなる。また、トナー径は7〜15μmである。」【0043】、
ことが記載されている。
刊行物13には、コロナ転写ではあるが、
「さらに、転写時において外添粒子と磁性体表面上の無機微粒子が相互に作用してトナーの凝集を防ぎ、同時に感光体からの離型性を向上させるために中抜けの発生を防止できる。」【0032】、
ことが記載されている。
刊行物14には、
磁性トナーに関して、少なくとも結着樹脂と磁性体からなるトナー母体と外添剤とから構成され、外添剤の比表面積が20〜120m2/gであり、かつ、前記トナー母体の比表面積Sbm2/g、体積平均粒径Dvμm、比重をHbg/cm2 とするとき、
6≦Sb×Dv×Hb≦30
である磁性トナーとすること、
「また、トナー母体の比表面積Sbm2/g、体積平均粒径Dvμm、比重をHbg/cm3とするとき6≦Sb×Dv×Hb≦30の範囲にあることが好ましい。」【0020】、
「また、Sb×Dv×Hbの6でトナーは真球の形状になり、これ以下の値を示すことはない。
このときの比表面積値の測定は通常のBET測定法を使用する。」【0021】、【0022】、
「本発明の磁性トナーに用いる外添剤はシリカ、アルミナ、チタニアの酸化物微粒子が好ましい。より好ましくはシリカ、アルミナ、チタニア等の酸化物をシランカップリング剤、シリコーンオイル等で疎水化処理したもので、疎水化率が50%以上であることが好ましい。」【0023】、
顔料として、カーボンブラックが例示【0026】され、
実施例4には、結着樹脂としてスチレンアクリル樹脂を使用したトナー母体を球形化処理し、比表面積Sbが1.10m2/g、体積平均粒径Dvが8
μm、比重Hbが1.7g/cm3で、Sb×Dv×Hbの値が15.0であるトナー母体を得たこと【0041】、
実施例7には、比表面積Sbが2.21m2/g、体積平均粒径Dvが8μm、比重Hbが1.7g/cm3で、Sb×DV×HBの値が30.0であるトナー母体を得たこと【0050】、
が記載されている。
刊行物15には、
樹脂と着色剤からなる不定形重合トナーにおいて、個数粒径で7〜20nmの外添剤A、個数粒径で20〜50nmの外添剤B、個数粒径で50〜150nmの外添剤Cの3種類の無機微粒子外添剤とすることが記載され、耐久性の向上と、現像の安定性向上を課題とすること【0009】、
が記載されている。
刊行物16には、
「【請求項1】 少なくとも着色剤と低軟化点物質を含有するワーデルの実
用球形度が0.90〜1.00である着色懸濁粒子、及び外添剤を有する懸濁重合法トナーにおいて、
a)該低軟化点物質の含有量が、該懸濁重合法トナーに対して5〜30重量%であり、
b)該外添剤が、(1)該懸濁重合法トナーに対して逆極性で平均粒径が0.01〜μmであり、かつ、ワーデルの実用球形度が0.90〜1.00である樹脂粒子と、(2)該樹脂粒子よりも平均粒径の小さい無機微粒子である、ことを特徴とする懸濁重合法トナー。」(特許請求の範囲)、
「故に、トナー粒子表面と樹脂粒子表面とは、極性基同士の静電的な相互作用で引き合うと共に、両粒子は、共に実質球形であるために、付着力も大きい。このため、従来トナーから樹脂粒子が遊離することで発生していた弊害を抑制することで、トナーの帯電量を安定化せしめ、かつ転写性を向上できる。」【0025】、
樹脂微粒子として、実施例1では平均径が0.05μmのもの、実施例3では0.08μmのものを使用したこと、
が記載されている。
刊行物17には、電子写真装置に関する発明において、
電子写真感光体の表面の水に対する接触角値が100°以上とすること(請求項1)、
感光体表面層としてフッ素化合物、樹脂粉体を含有させること【0047】、【0051】、
が記載されている。
刊行物18には、
潜像保持体としてその表面にフッ素系樹脂粉体を含有する有機感光体を用い、また、現像剤として、少なくとも懸濁重合によって得られた実質球形状のトナー粒子と外添剤とからなる凹凸を表面に有するトナーを用いた画像形成方法(特許請求の範囲)、
が記載されている。
刊行物19には、
「【請求項1】 帯電部材を電子写真感光体に接触させて、外部より電圧を印加して帯電を行う帯電工程の後、静電画像を形成し、該静電画像を現像剤を用いて顕像化し転写材に転写形成する画像形成方法において、
a)該電子写真感光体として、その表面層にフッ素及び/あるいは珪素原子を有する物質が存在し、かつXPS測定によるそれらと炭素原子との比が
F/C=0.03〜1.00
Si/C=0.03〜1.00
である感光体を用い、
b)該現像剤におけるトナーが、水性懸濁重合法により直接的に得られ、離型剤としてポリアルキレンを重合性単量体100重量部に対して、10〜40重量部含有し、該トナーの形状係数が105〜120であり、かつ、該トナーを構成する樹脂成分中に少なくとも1種以上の極性成分を含有することを特徴とする画像形成方法。」(特許請求の範囲請求項1)、
「また、近年電子写真には更なる高画質化、高耐久性が望まれている。この要求に対して、トナーの形状は、真球状よりもトナー表面に凹凸を有したもの、偏平形状になったもの等が好ましいことが分かっている。すなわち、真球状であるものは、トナーの流動性付与剤等の外添剤がトナー表面に埋没しやすく、その結果として転写性が悪化し、画質の劣化を発生する。
しかしながら、このような異形化されたトナーは、前述のように、感光体表面へ傷、削れ、固着が発生しやすくなる傾向にある。」【0015】【0016】、
「即ち、本発明の目的は、定着性、転写性に優れた高画質で感光体へのトナー固着、削れ、傷を防止した高耐久性の帯電工程、感光体、及びトナーから成る画像形成方法を提供することにある。」【0018】、
「本発明者らは、・・・・、上記接触帯電手段を用いた場合必要とされる帯電部材と感光体との十分な接触を保ちつつ、帯電部材と感光体表面への現像剤による傷、削れ、固着を防止できる球状トナーの問題点である、耐久による外添剤の劣化を、トナー形状を異形化することにより抑制し、画像の劣化を防止する。」【0021】、
「本発明に使用されるトナーは形状係数SFが105〜120であるのが好ましい。SFが105より小さいと、外添剤の劣化が発生しやすく、逆に120より大きい場合は、感光体表面、帯電部材の傷、削れ等が発生しやすく好ましくない。」【0022】、
着色剤としてカーボンブラックが例示され【0075】、
無機徴粉体が例示され【0083】〜【0087】、
トナーの形状係数SFは、
形状係数SF= PERI/ (AREA・4π)
(PERI:トナーの投影像の周長、 AREA:トナーの投影面積)
によって求めたこと【0097】【0098】、
が記載されている。
刊行物20には、
少なくとも結着樹脂と着色剤からなる着色微粒子に、重合体あるいは共重合体からなる球形で、粒径が0.01〜3μmの有機微粒子と、シリカ微粒子とを混合してなる非磁性一成分現像剤(請求項3)が、記載され、シリカ微粒子は、シリコーンオイルで疎水化したコロイダルシリカであること(実施例)、
が記載されている。
刊行物21には、
シリカ系添加剤として、疎水性シリカ系添加剤と、1次粒子の平均粒径が0.1〜1μmの球状シリカ粒子とを併用する電子写真用トナー(請求項1)が記載され、
疎水性シリカは、1次粒径0.005〜0.05μmのヒュームドシリカを、シラン類で処理したものが使用されること(【0009】、【0010】)、具体的には、商品名アエロジルR?972などがあること、
が記載されている。
刊行物22には、
フルカラー画像形成方法であって、潜像担持体として、その表面にフッ素系樹脂粉体を含有するものを用いること、イエロー、シアン、マゼンタのトナーは、少なくとも着色剤、結着樹脂からなる着色剤含有樹脂粒子に、2種以上の外添剤を含有するものであること、黒色トナーは、黒色系磁性分と結着剤からなる磁性樹脂粒子に2種以上の外添剤を含有するものであること、外添剤は、流動向上剤と重量平均粒径0.2〜2.5μmの球形微粒子を含有するものであること(特許請求の範囲)が記載され、
流動向上剤は、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム等が挙げられ,BET比表面積50m2/g以上のものが良く、必要に応じて表面処理を行うこと(【0016】)、
実施例においては、3色のカラートナーに対して、親水性酸化チタン(BET70m2/g)をジメチルシリコンオイルで疎水化処理したものと、重量平均粒径55mμの有機樹脂粒子と、平均粒径0.8μmの球形のシリコーン樹脂粒子を外添して現像剤としたこと(実施例3)、
が記載されている。
刊行物23には、
少なくとも着色剤と結着樹脂とよりなる平均粒径9μm以下のトナー母粒子に粒径20nmないし80nmの微粒子(A)及び粒径5〜20nmの微粒子(B)とを添加・混合してなる静電荷像現像用トナーの製造方法が記載され(請求項3)、
微粒子の材質は、無機微粉末、有機微粉末のいずれでも良いこと、発明の目的として、転写不良が発生することなく良好な画像を形成することができるトナーを提供すること(【0004】)、
が記載されている。
刊行物24には、
トナーとキャリアとを含む2成分系現像剤よりなる現像剤層を現像剤搬送担持体により潜像担持体に対して非接触となる状態で現像領域に搬送し、前記現像剤搬送担持体に交流バイアス電圧を印加して得られる振動電界下で前記潜像担持体上の静電潜像を現像する工程を含む画像形成方法において、前記現像剤を構成するトナーが、着色粒子と、一次平均粒径50〜500nmである有機微粒子とを有してなる方法が記載され(請求項2)、
有機微粒子は球形が好ましいこと(【0033】)、
他の外添剤としてシリカ、酸化チタン等の流動性改善剤を用いることができること(【0036】)、
具体的には、トナーに対して一次平均粒径が90nmの有機微粒子と、疎水化シリカ「エアロジルR972を添加したこと」(【0049】)、
が記載されている。
刊行物25には、
非磁性一成分トナーに対して、粒径0.1〜1μmのソープフリー重合によって製造される樹脂微粒子を添加して現像剤とすること、
シリカ、アルミナ、酸化チタン等を外添しても良いこと(【0016】)、具体的にはシリカ(R972D、日本エアロジル)を使用したこと(実施例)、
発明の効果に関して、中抜けを防止すること(【0016】、【0019】)、
が記載されている。
刊行物26には、
少なくとも結着樹脂、着色剤及び金属化合物を含有する加熱定着用現像剤であって、結着樹脂として、GPCにより測定されるクロマトグラムが、分子量2000〜30000及び30万〜300万のそれぞれの領域に少なくとも1つの極大値を有する樹脂を使用する(請求項1)こと、
発明の目的の一つとして、転写工程において画像の中抜けを生じないこと(【0049】)、
が記載されている。
刊行物27には、
溶融混練法(請求項2)あるいは、重合法(請求項3)により静電荷像現像用トナーを製造する方法が記載され、
トナー粒子の形状については、SF1が100<SF1<150、SF2が100<SF2<200であるものがよいこと(【0131】)、
が記載されている。
刊行物28には、
静電荷像保持体上の静電荷像を一成分系現像剤で現像する画像形成方法において、静電荷像保持体表面の、水との接触角を80°以上とすること(特許請求の範囲)、
それにより、反転現像等の低転写電圧下においても画像の転写中抜け減少を防止することを目的とすること(第2頁右下欄第8〜15行)、
が記載されている。
刊行物29には、
電子写真複写装置に使用される像保持部材において、その表面の純水に対する接触角を80度以上とする像保持部材(請求項1)が記載され、
そのために、フッ素系界面活性剤(実施例5)あるいは、ポリテトラフッ化
エチレン粉体(実施例6)を使用すること、
が記載されている。
刊行物30には、
静電潜像現像用トナー及び静電潜像現像方法に関する発明(特許請求の範囲)、
「本発明は、表面性状が以下の条件式〔I〕:
D/d50≧0.5、ただしD=6/(ρ・S) I〔I〕
(式中、Dはトナーの形状を球と仮定したときの比表面積からの換算粒径(μm);d50は粒径別相対重量分布の50%相当粒径(μm)、ρは密度(g/cm3);SはBET比表面積(m2/g)をそれぞれ表す。)」を満たす静電潜像現像用トナーに関する。
トナー表面が滑らかであるほどD/d50が1に近くなる。D/d50が0.5より小さい場合にはトナーが多くの凹凸、総H孔を有することとなり、・・・・、凹部に外添剤として加えられる流動化剤であるシリカ等が埋めこまれたり、・・・・などの不都合が生じる。・・・・。本発明に使用しうるトナーとしては、・・・・例えば懸濁重合法・・・・で調整したものを使用することができる。」【0006】〜【0009】
ことが記載されている。
刊行物31には、
解決すべき課題として、「上述したような中間転写体を用いた画像形成方法においては、・・・・フルカラー画像形成などトナー像の多重転写性の向上を十分に図っているものでもない」【0004】、
「なお、2次転写が静電転写である場合は、押圧と同時に図示しない転写バイアス電源により転写バイアスが印加される」【0025】、
「また、中間転写体5上に電極層5bを設け、押圧と同時に転写バイアス電圧を印加させることにより、中間転写体5上のトナー像の多重転写を効果的に行うことができるようになり、これによりフルカラー画像形成に有利な条件を得ることができる。すなわち、フルカラー画像形成においては、中間転写体5上に各色のトナー像Y,M,C,Bkを順次重ねて転写するいわゆる多重転写を形成させることが望ましい・・・・」【0028】、
「球形トナーは、粉砕による粉砕トナーに比べて優れた流動性を有し」【0045】、
「本実施例のように、球形トナーを使用することにより、粉砕による不定形トナーに比べて単層的に潜像担持体に付着させることが可能なため、中間転写体に対して約100%の転写率を確実に実行することができる。」【0047】、
ことが記載されている。
刊行物32には、
「現像器103,104には・・・・現像バイアス回路は、交流バイアスを供給する高圧供給電源と直流バイアスを供給する高圧直流電源とを備えている」【0031】、
ことが記載されている。
刊行物33には、
【従来の技術】には、「平均粒径が1〜10μm程度のポリマー微粒子の製造方法の1つとして、噴霧乾燥法が知られている。この方法は、ポリマーを溶媒に溶解させてなるポリマー溶液を、乾燥雰囲気中に噴霧させることにより行なわれるものである。この噴霧乾燥法によれば、工程が単純化され比較的簡単な操作でポリマー微粒子を得ることができ、生産効率が向上すると同時にコストダウンもできる。また粉砕法や懸濁重合法などに比べて、使用可能な樹脂の種類も多く、得られるポリマー微粒子の用途が拡大される。しかしながら、このような噴霧乾燥法によって得られるポリマー微粒子の形状は、球形でなおかつその表面が平滑である。」【0002】、
「着色剤を含有させたポリマー微粒子を例えば、静電潜像現像用トナーとして用いる場合、その形状が真球状のものであると、クリーニング性や帯電性、転写性が悪いなどといった問題が生じる。このためポリマー微粒子の形状を不定形としたり、あるいはポリマー微粒子表面に凹凸を形成できるような造粒法が求められる。」【0003】、
ことが記載されている。
刊行物34には、
「このような装置は、従来からひろく実用されているコロナ放電を利用した転写手段に比して、転写ローラの潜像担持体への圧接力を調製することによって転写材の潜像担持体への吸着領域を拡大することができ、転写材を転写部位において積極的に押圧支持するので、転写材搬送手段による同期不良や転写材に存在するループ、カールなどによる転写ずれを生ずるおそれが少なく、近来におけるこの種の画像形成装置の小型化に伴う転写材搬送路の短縮化、潜像担持体の小径化などの要請にも対応しやすい。反面、当接により転写を行なう装置に於いては、当接部位より転写電流が供給される為、ある程度の圧力を転写装置に加圧する必要がある。当接圧が加えられた場合、潜像担持体上のトナー像にも圧力が加わり、トナーの凝集が起りやすい。」【0006】、
「さらに潜像担持体表面が樹脂で構成されている場合には、トナー凝集物と潜像担肉体との間でも密着が発生し、転写材への移行が阻害され、極端な場合、密着が強固な部分が全く転写せず、画像が欠損する現象が起る。」【0007】、
「この現象は0.1〜2mmのライン部に於いて特に顕著になる。これは、ライン部ではエッジ現象により、トナーが多くのり、加圧による凝集が起りやすく、転写による欠損が起りやすいことによる。この時の転写画像は輪郭部のみ画像が形成された複写物となり、「転写中抜け」とよばれる。」【0008】、
ことが記載されている。
刊行物35には、
「電子写真複写機用トナーとして求められる点の一つとして、できるだけ球形に近いもので、粒度範囲が狭く、粒径が揃い、凝集しにくく、流動性がよいことである。そして、こうした条件を満足させたトナーは分散性にすぐれ、解像度のよい複写を可能とする。そのため
前述のようにトナーを球形化させて分散性および流動性を良好にしたり、トナー粒子同士の凝集を押さえるためにトナー粒子表面に酸化亜鉛・酸化硅素・酸化チタンの他にもクレー・炭酸カルシウム等非粘着性粒子を被覆させるわけである。」(第2頁右上欄10〜20行)、
ことが記載されている。
4.判断
(1)特許法第39条第1項違反について
訂正後の請求項1に係る発明(以下、単に「請求項1」という)と、甲第1号証の訂正後の特許請求の範囲に記載された特許発明とを対比すると、先願明細書の特許発明は、「請求項1」に係る発明の構成のうち、
「静電潜像を現像剤で現像して静露潜像担持体上にトナー像を形成する現像工程(先願請求項1)、
該トナー像を電圧が印加されている中間転写体上に転写する一次転写工程、及び(同請求項1)
電圧が印加されている転写手段を転写材に押圧させながら該中間転写体上のトナー像を該転写材上へ転写する二次転写工程を少なくとも有する画像形成方法であり(同請求項1)、
該現像剤は、トナーを有し、
該トナーが、少なくとも結着樹脂中に着色剤が分散された黒色トナー粒子(同請求項11,12)を有する黒色トナーであり、該黒色トナーの形状係数SF-1の値が110<SF-1≦180であり、形状係数SF-2の値が110<SF-2≦140であり(同請求項1)、
該中間転写体及び該転写手段の表面が弾性層から構成されており、該中間転写体の体積固有抵抗値が転写手段の体積固有抵抗値より高い値を示し、且つ、該中間転写体の表面硬度が、JIS・K-6301で測定して10〜40度の範囲を有し、且つ、転写手段の表面の硬度を中間転写体の硬度よりも大きくし、転写手段を中間転写体に押圧し中間転写体側に凹形状のニップを形成せしめ、転写手段に電圧を印加し転写材上にトナー像を転写せしめる(同請求項37)ことを特徴とする画像形成方法(同請求項1)」を有する点において一致する。
しかしながら、訂正後の先願に係る特許発明は、「請求項1」に係る発明の構成のうち、
(A)黒色トナー粒子と共に無機微粉体を必須とする点、
(B)黒色トナー粒子の形状係数SF-1及びSF-2の下限を110より大きい値とする点、及び、
(C)SF-2の値から100を引いた値BとSF-1の値から100を引いた値Aとの比B/Aの値が1.0以下であることを規定する点、
を有しない点で相違する。
この相違点のうち、(B)は、「従来より転写性を向上させる目的で、静電潜像担持体上のトナー像を再帯電あるいは除電したりして適正化にすることが試みられているが、転写材上での飛び散りが増加したりと必ずしも満足のいくものではなかった。この傾向は特に黒色トナーにおいて目立ちやすく、トナーの現像と転写性を良好に両立する必要がある。」(【0037】)という視点に基づいて、「トナー形状について検討を重ねたところ、ブラックトナーの形状を他の色よりも非球状化にすることで、その凸部へ現像あるいは転写電界が有効に作用し、さらにその適度な表面抵抗故、電界がトナー粒子に均一に作用し、高画質化が達成できることを知見した。」(【0038】)という、ブラックトナーと他の色トナーとの球状性に差異を設けるという技術思想に到達したことを、構成として示すものと認められる。それに対して、先願特許明細書には、そのような技術思想を示す記載はなく、ブラックトナーも、他の色トナーも、形状係数SF-1、SF-2について一律に、同じ範囲を規定するのみである。
また、(C)は、「B/Aの値が1.0を超えるときは、一般にクリーニング不良が発生しやすい。」(【0034】)とするとおり、所期の発明の効果をあげる上で、必須の構成のものとしている。
以上により、(B)(C)は、共に、発明の構成上、本質的なものであるから、文言上のみならず、実質的に同一であるとすることもできない。
したがって、請求項1に係る発明は、甲第1号証により出願された発明と同一ではないから、特許法第39条第1項に違反するものでない。
また、請求項2、3、7及び8に係る発明は、請求項1に係る発明の構成を引用して、さらに限定を加えるものであるから、少なくとも上記の相違点において、甲第1号証によって出願された発明と同一ではない。
(2)特許法第29条第2項違反について
上記の訂正により、本件請求項1に係る発明は、
「【請求項1】 静電潜像を現像剤で現像して静露潜像担持体上にトナー像
を形成する現像工程、
該トナー像を電圧が印加されている中間転写体上に転写する一次転写工程、及び
電圧が印加されている転写手段を転写材に押圧させながら該中間転写体上のトナー像を該転写材上へ転写する二次転写工程を少なくとも有する画像形成方法であり、
該現像剤は、トナーを有し、
該トナーが、少なくとも結着樹脂中に着色剤が分散された黒色トナー粒子と無機微粉体を有する黒色トナーであり、該黒色トナーの形状係数SF-1の値が110<SF-1≦180であり、形状係数SF-2の値が110<SF-2≦140であり、SF-2の値から100を引いた値BとSF-1の値から100を引いた値Aとの比B/Aの値が1.0以下であり、
該中間転写体及び該転写手段の表面が弾性層から構成されており、該中間転写体の体積固有抵抗値が転写手段の体積固有抵抗値より高い値を示し、且つ、該中間転写体の表面硬度が、JIS・K-6301で測定して10〜40度の範囲を有し、且つ、転写手段の表面の硬度を中間転写体の硬度よりも大きくし、転写手段を中間転写体に押圧し中間転写体側に凹形状のニップを形成せしめ、転写手段に電圧を印加し転写材上にトナー像を転写せしめることを特徴とする画像形成方法。」
とされた。
この構成のうち、訂正によって付加された、
「該中間転写体及び該転写手段の表面が弾性層から構成されており、該中間転写体の体積固有抵抗値が転写手段の体積固有抵抗値より高い値を示し、且つ、該中間転写体の表面硬度が、JIS・K-6301で測定して10〜40度の範囲を有し、且つ、転写手段の表面の硬度を中間転写体の硬度よりも大きくし、転写手段を中間転写体に押圧し中間転写体側に凹形状のニップを形成せしめ、転写手段に電圧を印加し転写材上にトナー像を転写せしめる」ことは、刊行物1〜35に示す証拠のいずれにも記載されていない。
また、訂正前の特許請求の範囲において該付加された部分を規定していた、訂正前の請求項28に対しては、特許異議の申立がなされていない。
したがって、訂正後の請求項1に係る発明が、甲第1〜35号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
次に、訂正後の請求項35に係る発明は、
「【請求項35】 静電潜像担持体,
静電潜像担持体上にトナー像を形成するための現像剤を有する現像手段,
静電潜像担持体から転写されるトナー像を担持するための、バイアス印加手段を有する中間転写体,及び
中間転写体上のトナー像を転写材へ転写するための、バイアス印加手段を有する中間転写体を押圧するように設置されている転写手段を少なくとも有する画像形成装置であり、
該現像剤は、トナーを有し、
該トナーが、少なくとも結着樹脂中に着色剤が分散された黒色トナー粒子と無機微粉体を有する黒色トナーであり、該黒色トナーの形状係数SF-1の値が110<SF-1≦180であり、形状係数SF-2の値が110<SF-2≦140であり、SF-2の値から100を引いた値BとSF-1の値から100を引いた値Aとの比B/Aの値が1.0以下であり、
該中間転写体及び該転写手段の表面が弾性層から構成されており、該中間転写体の体積固有抵抗値が転写手段の体積固有抵抗値より高い値を示し、且つ、該中間転写体の表面硬度が、JIS・K-6301で測定して10〜40度の範囲を有し、且つ、転写手段の表面の硬度を中間転写体の硬度よりも大きくし、転写手段を中間転写体に押圧し中間転写体側に凹形状のニップを形成せしめ、転写手段に電圧を印加し転写材上にトナー像を転写せしめることを特徴とする画像形成装置。」
である。
この構成のうち、訂正によって付加された、
「該中間転写体及び該転写手段の表面が弾性層から構成されており、該中間転写体の体積固有抵抗値が転写手段の体積固有抵抗値より高い値を示し、且つ、該中間転写体の表面硬度が、JIS・K-6301で測定して10〜40度の範囲を有し、且つ、転写手段の表面の硬度を中間転写体の硬度よりも大きくし、転写手段を中間転写体に押圧し中間転写体側に凹形状のニップを形成せしめ、転写手段に電圧を印加し転写材上にトナー像を転写せしめる」ことは、刊行物1〜35に示す証拠のいずれにも記載されていない。
また、訂正前の特許請求の範囲において該付加された部分を規定していた、訂正前の請求項64に対しては、特許異議の申立もなされていない。
したがって、訂正後の請求項1に係る発明と同じ理由により、訂正後の請求項35に係る発明が、甲第1〜35号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

さらに、訂正後の請求項2〜3、5〜16、18〜20、22、24〜26、27〜30に係る発明は、直接或いは間接に請求項1に係る発明の構成をすべて引用した上で、さらに限定を加えるものであるから、請求項1に係る発明が、各証拠に基づいて容易に発明をすることができたものでない以上、それらの請求項に係る発明についても、全く同じ理由で、甲第1〜35号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
同様の理由で、訂正後の請求項36〜37、39〜51、53〜55、57、59〜61、62〜65に係る発明も、甲第1〜35号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
(3)特許法第36条違反について
訂正前の請求項15の記載に関して、中石幸明が記載不備を主張する理由は、構成「黒色トナー粒子は、1nm〜100nmの細孔の積算細孔面積比率曲線における60%細孔半径が3.5nm以下である」について、
(イ)甲第21号証には、
「D/d50≧0.5、ただしD=6/(ρ・S)
・・・・。
トナー表面が滑らかであるほどD/d50が1に近くなる。」(【0006】)と記載され、細孔のない滑らかなトナーとすることは本出願前公知であり、請求項15に規定する細孔分布の特定と区別できないこと、及び、
(ロ)甲第21号証には、トナーにおける細孔径は流動化剤の粒径と関係があることが記載されている(【0008】)ので、請求項15における細孔径の特定にあたっては、無機微粉体の粒径と共に特定するべきである、
というものである。
しかしながら、訂正前の請求項15は、上記の訂正により削除されたため、申立の対象が消滅した。したがって、本件明細書に対して、申立の理由により特許法第36条違反とする根拠がない。
IV.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申し立ての理由によっては本件請求項1〜3、5〜16、18〜20、22、24〜26、27〜30、35〜37、39〜51、53〜55、57、59〜61、62〜65に係る発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件各発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおりに決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
画像形成方法,画像形成装置及びトナーキット
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 静電潜像を現像剤で現像して静電潜像担持体上にトナー像を形成する現像工程、
該トナー像を電圧が印加されている中間転写体上に転写する一次転写工程、及び
電圧が印加されている転写手段を転写材に押圧させながら該中間転写体上のトナー像を該転写材上へ転写する二次転写工程を少なくとも有する画像形成方法であり、
該現像剤は、トナーを有し、
該トナーが、少なくとも結着樹脂中に着色剤が分散された黒色トナー粒子と無機微粉体を有する黒色トナーであり、該黒色トナーの形状係数SF-1の値が110<SF-1≦180であり、形状係数SF-2の値が110<SF-2≦140であり、SF-2の値から100を引いた値BとSF-1の値から100を引いた値Aとの比B/Aの値が1.0以下であり、
該中間転写体及び該転写手段の表面が弾性層から構成されており、該中間転写体の体積固有抵抗値が転写手段の体積固有抵抗値より高い値を示し、且つ、該中間転写体の表面硬度が、JIS・K-6301で測定して10〜40度の範囲を有し、且つ、転写手段の表面の硬度を中間転写体の硬度よりも大きくし、転写手段を中間転写体に押圧し中間転写体側に凹形状のニップを形成せしめ、転写手段に電圧を印加し転写材上にトナー像を転写せしめることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】 現像剤による静電潜像の現像が、トナー担持体に担持された現像剤によって行われ、該トナー担持体と該静電潜像担持体との間には、直流及び交流現像バイアスが印加されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】 該現像剤は、黒色トナー,イエロートナー,マゼンタトナー又はシアントナーから選択されるトナーを有し、該黒色トナーのBET法によって測定された単位体積あたりの比表面積Sb(m2/cm3)と、トナーを真球と仮定した際の重量平均粒径から算出した単位体積あたりの比表面積St(m2/cm3)とが下記条件
3.0≦Sb/St≦7.0 かつ、 Sb≧St×1.5+1.5
を満足する請求項1又は2に記載の画像形成方法。
【請求項4】 該黒色トナーが結着樹脂100重量部に対し、磁性体30〜200重量部を含有する磁性トナーであり、該磁性トナーの形状係数SF-1の値が120≦SF-1≦160であり、かつSF-2の値が115≦SF-2≦140である請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項5】 該黒色トナーは比B/Aの値が0.20〜0.90である請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項6】 該黒色トナーの単位体積あたりの帯電量が30〜80C/m3である請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項7】 該無機微粉体がチタニア,アルミナ,シリカあるいはその複酸化物からなるグループから選ばれる無機微粉体である請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項8】 該無機微粉体が疎水化処理されている請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項9】 該無機微粉体が少なくともシリコーンオイルで処理されたものである請求項8に記載の画像形成方法。
【請求項10】 該無機微粉体は一次粒径が30nm以下であり、該トナーは平均粒径30nmを超える第2の微粉体をさらに有している請求項1乃至9のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項11】 該第2の微粉体は、無機微粉体である請求項10に記載の画像形成方法。
【請求項12】 該第2の微粉体は、樹脂微粉体である請求項10に記載の画像形成方法。
【請求項13】 該第2の微粉体は、実質的に球形である請求項10乃至12のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項14】 該黒色トナー粒子は、BET法によって測定された体積あたりの比表面積が1.2〜2.5m2/cm3である請求項1乃至13のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項15】 該黒色トナーは、GPCで測定される分子量分布において、低分子量側のピークが3000〜15000の範囲にある請求項1乃至14のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項16】 静電潜像がイエロートナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上にイエロートナー像を形成し、次いでイエロートナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像がマゼンタトナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上にマゼンタトナー像を形成し、次いでマゼンタトナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像がシアントナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上にシアントナー像を形成し、次いでシアントナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像が黒色トナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上に黒色トナー像を形成し、次いで黒色トナー像が中間転写体上に転写され;
中間転写体上のイエロートナー像,マゼンタトナー像,シアントナー像及び黒色トナー像が転写材へ転写される請求項1乃至15のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項17】 黒色トナーは、SF-2の値がイエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーのSF-2の値よりも5以上大きい請求項16に記載の画像形成方法。
【請求項18】 イエロートナーは、SF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139であり、シアントナーはSF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139である請求項16又は17に記載の画像形成方法。
【請求項19】 イエロートナーは、SF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130であり、シアントナーはSF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130である請求項16又は17に記載の画像形成方法。
【請求項20】 イエロートナーは、SF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125であり、シアントナーはSF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125である請求項16又は17に記載の画像形成方法。
【請求項21】 黒色トナーが磁性トナーであり、イエロートナーが非磁性トナーであり、マゼンタトナーが非磁性トナーであり、シアントナーが非磁性トナーである請求項16乃至20のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項22】 黒色トナー,イエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーが非磁性トナーである請求項16乃至20のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項23】 黒色トナーは、結着樹脂及び黒色着色剤を少なくとも有する混合物を溶融混練し、溶融物を冷却し、冷却された溶融物を粉砕することによって生成された黒色トナー粒子を有し、
イエロートナーは、重合性単量体及びイエロー着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたイエロートナー粒子を有し、
マゼンタトナーは、重合性単量体及びマゼンタ着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたマゼンタトナー粒子を有し、
シアントナーは、重合性単量体及びシアン着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたシアントナー粒子を有する請求項16乃至22のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項24】 該静電潜像担持体は、表面の水に対する接触角が85度以上である請求項1乃至23のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項25】 該静電潜像担持体の表面層にフッ素原子を有する物質を含有する請求項1乃至24のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項26】 フッ素原子を有する物質が、フッ素原子を有する化合物又は樹脂の微粉体である請求項25に記載の画像形成方法。
【請求項27】 中間転写体は、トナー像を担持するための円筒状ドラムを有する請求項1乃至26のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項28】 中間転写体は、トナー像を担持するためのエンドレスベルトを有する請求項1乃至26のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項29】 中間転写体は、トナー像を担持するための円筒状ドラムを有し、円筒状ドラム上に担持されたトナー像を転写材へ転写するための転写ベルトを転写手段は有する請求項1乃至26のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項30】 中間転写体は、トナー像を担持するためのエンドレスベルトを有し、エンドレスベルト上に担持されたトナー像を転写材へ転写するための転写ローラーを転写手段は有する請求項1乃至26のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項31】 黒色トナーは、液体潤滑剤を含有している請求項1乃至30のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項32】 液体潤滑剤が、液体潤滑剤を20〜90重量%含有した潤滑担体粒子の形態でトナー中に含有されている請求項31に記載の画像形成方法。
【請求項33】 黒色トナーは、磁性トナーであり、磁性トナーに含有される磁性体に液体潤滑剤が担持されている請求項31又は32に記載の画像形成方法。
【請求項34】 液体潤滑剤の25℃における粘度が10〜20万cStである請求項31乃至33のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項35】 静電潜像担持体,
静電潜像担持体上にトナー像を形成するための現像剤を有する現像手段,
静電潜像担持体から転写されるトナー像を担持するための、バイアス印加手段を有する中間転写体,及び
中間転写体上のトナー像を転写材へ転写するための、バイアス印加手段を有する中間転写体を押圧するように設置されている転写手段を少なくとも有する画像形成装置であり、
該現像剤は、トナーを有し、
該トナーが、少なくとも結着樹脂中に着色剤が分散された黒色トナー粒子と無機微粉体を有する黒色トナーであり、該黒色トナーの形状係数SF-1の値が110<SF-1≦180であり、形状係数SF-2の値が110<SF-2≦140であり、SF-2の値から100を引いた値BとSF-1の値から100を引いた値Aとの比B/Aの値が1.0以下であり、
該中間転写体及び該転写手段の表面が弾性層から構成されており、該中間転写体の体積固有抵抗値が転写手段の体積固有抵抗値より高い値を示し、且つ、該中間転写体の表面硬度が、JIS・K-6301で測定して10〜40度の範囲を有し、且つ、転写手段の表面の硬度を中間転写体の硬度よりも大きくし、転写手段を中間転写体に押圧し中間転写体側に凹形状のニップを形成せしめ、転写手段に電圧を印加し転写材上にトナー像を転写せしめることを特徴とする画像形成装置。
【請求項36】 該現像手段が、現像剤を担持するトナー担持体を有しており、該トナー担持体と該静電潜像担持体との間には、直流及び交流現像バイアスが印加されていることを特徴とする請求項35に記載の画像形成装置。
【請求項37】 該黒色トナーのBET法によって測定された単位体積あたりの比表面積Sb(m2/cm3)と、該黒色トナーを真球と仮定した際の重量平均粒径から算出した単位体積あたりの比表面積St(m2/cm3)とが下記条件
3.0≦Sb/St≦7.0 かつ、 Sb≧St×1.5+1.5
を満足する請求項35又は36に記載の画像形成装置。
【請求項38】 該黒色トナーが結着樹脂100重量部に対し、磁性体30〜200重量部を含有する磁性トナーであり、該磁性トナーの形状係数SF-1の値が120≦SF-1≦160であり、かつSF-2の値が115≦SF-2≦140である請求項35乃至37のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項39】 該黒色トナーは比B/Aの値が0.20〜0.90である請求項35乃至38のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項40】 該黒色トナーの単位体積あたりの帯電量が30〜80C/m3である請求項35乃至39のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項41】 該無機微粉体がチタニア,アルミナ,シリカあるいはその複酸化物からなるグループから選ばれる無機微粉体である請求項35乃至40のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項42】 該無機微粉体が疎水化処理されている請求項35乃至41のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項43】 該無機微粉体が少なくともシリコーンオイルで処理されたものである請求項42に記載の画像形成装置。
【請求項44】 該無機微粉体は一次粒径が30nm以下であり、該トナーは平均粒径30nmを超える第2の微粉体をさらに有している請求項35乃至43のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項45】 該第2の微粉体は、無機微粉体である請求項44に記載の画像形成装置。
【請求項46】 該第2の微粉体は、樹脂微粉体である請求項44に記載の画像形成装置。
【請求項47】 該第2の微粉体は、実質的に球形である請求項44乃至46のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項48】 該黒色トナー粒子は、BET法によって測定された体積あたりの比表面積が1.2〜2.5m2/cm3である請求項35乃至47のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項49】 該黒色トナー粒子は、1nm〜100nmの細孔の積算細孔面積比率曲線における60%細孔半径が3.5nm以下である請求項35乃至48のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項50】 該黒色トナーは、GPCで測定される分子量分布において、低分子量側のピークが3000〜15000の範囲にある請求項35乃至49のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項51】 静電潜像がイエロートナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上にイエロートナー像を形成し、次いでイエロートナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像がマゼンタトナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上にマゼンタトナー像を形成し、次いでマゼンタトナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像がシアントナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上にシアントナー像を形成し、次いでシアントナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像が黒色トナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上に黒色トナー像を形成し、次いで黒色トナー像が中間転写体上に転写され;
中間転写体上のイエロートナー像,マゼンタトナー像,シアントナー像及び黒色トナー像が転写材へ転写される請求項35乃至50のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項52】 黒色トナーは、SF-2の値がイエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーのSF-2の値よりも5以上大きい請求項51に記載の画像形成装置。
【請求項53】 イエロートナーは、SF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139であり、シアントナーはSF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139である請求項51又は52に記載の画像形成装置。
【請求項54】 イエロートナーは、SF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130であり、シアントナーはSF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130である請求項51又は52に記載の画像形成装置。
【請求項55】 イエロートナーは、SF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125であり、シアントナーはSF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125である請求項51又は52に記載の画像形成装置。
【請求項56】 黒色トナーが磁性トナーであり、イエロートナーが非磁性トナーであり、マゼンタトナーが非磁性トナーであり、シアントナーが非磁性トナーである請求項51乃至55のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項57】 黒色トナー,イエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーが非磁性トナーである請求項51乃至55のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項58】 黒色トナーは、結着樹脂及び黒色着色剤を少なくとも有する混合物を溶融混練し、溶融物を冷却し、冷却された溶融物を粉砕することによって生成された黒色トナー粒子を有し、
イエロートナーは、重合性単量体及びイエロー着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたイエロートナー粒子を有し、
マゼンタトナーは、重合性単量体及びマゼンタ着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたマゼンタトナー粒子を有し、
シアントナーは、重合性単量体及びシアン着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたシアントナー粒子を有する請求項51乃至57のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項59】 該静電潜像担持体は、表面の水に対する接触角が85度以上である請求項35乃至58のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項60】 該静電潜像担持体の表面層にフッ素原子を有する物質を含有する請求項35乃至59のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項61】 フッ素原子を有する物質が、フッ素原子を有する化合物又は樹脂の微粉体である請求項60に記載の画像形成装置。
【請求項62】 中間転写体は、トナー像を担持するための円筒状ドラムを有する請求項35乃至61のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項63】 中間転写体は、トナー像を担持するためのエンドレスベルトを有する請求項35乃至61のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項64】 中間転写体は、トナー像を担持するための円筒状ドラムを有し、円筒状ドラム上に担持されたトナー像を転写材へ転写するための転写ベルトを転写手段は有する請求項35乃至61のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項65】 中間転写体は、トナー像を担持するためのエンドレスベルトを有し、エンドレスベルト上に担持されたトナー像を転写材へ転写するための転写ローラーを転写手段は有する請求項35乃至61のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項66】 黒色トナーは、液体潤滑剤を含有している請求項35乃至65のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項67】 液体潤滑剤が、液体潤滑剤を20〜90重量%含有した潤滑担体粒子の形態でトナー中に含有されている請求項66に記載の画像形成装置。
【請求項68】 黒色トナーは、磁性トナーであり、磁性トナーに含有される磁性体に液体潤滑剤が担持されている請求項66又は67に記載の画像形成装置。
【請求項69】 液体潤滑剤の25℃における粘度が10〜20万cStである請求項66乃至68のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項70】 少なくともイエロー系着色剤と結着樹脂とを含有するイエロートナー粒子及び無機微粉体を有するイエロートナーと、
少なくともマゼンタ系着色剤と結着樹脂とを含有するマゼンタトナー粒子及び無機微粉体を有するマゼンタトナーと、
少なくともシアン系着色剤と結着樹脂とを含有するシアントナー粒子及び無機微粉体を有するシアントナーと、
少なくともカーボンブラックまたは/および磁性体と結着樹脂とを含有する黒色トナー粒子及び無機微粉体を有する黒色トナーを有するトナーキットにおいて、
該黒色トナーは形状係数SF-2の値が140以下であり且つイエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーの形状係数SF-2より大きいことを特徴とするトナーキット。
【請求項71】 該黒色トナーの形状係数SF-2が115乃至140である請求項70に記載のトナーキット。
【請求項72】 該黒色トナーは、磁性トナーであり、該イエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーは非磁性トナーである請求項70又は71に記載のトナーキット。
【請求項73】 各色トナーのBET法によって測定された単位体積あたりの比表面積Sb(m2/cm3)と、各色トナーを真球と仮定した際の重量平均粒径から算出した単位体積あたりの比表面積St(m2/cm3)とが下記条件
3.0≦Sb/St≦7.0 かつ、 Sb≧St×1.5+1.5
を満足する請求項70乃至72のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項74】 該黒色トナーが結着樹脂100重量部に対し、磁性体30〜200重量部を含有する磁性トナーであり、該磁性トナーの形状係数SF-1の値が120≦SF-1≦160であり、かつSF-2の値が115≦SF-2≦140である請求項70乃至73のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項75】 各色トナーは比B/Aの値が0.20〜0.90である請求項70乃至74のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項76】 各色トナーの単位体積あたりの帯電量が30〜80C/m3である請求項70乃至75のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項77】 該無機微粉体がチタニア,アルミナ,シリカあるいはその複酸化物からなるグループから選ばれる無機微粉体である請求項70乃至76のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項78】 該無機微粉体が疎水化処理されている請求項70乃至77のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項79】 該無機微粉体が少なくともシリコーンオイルで処理されたものである請求項78に記載のトナーキット。
【請求項80】 該無機微粉体は一次粒径が30nm以下であり、該トナーは平均粒径30nmを超える第2の微粉体をさらに有している請求項70乃至79のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項81】 該第2の微粉体は、無機微粉体である請求項80に記載のトナーキット。
【請求項82】 該第2の微粉体は、樹脂微粉体である請求項80に記載のトナーキット。
【請求項83】 該第2の微粉体は、実質的に球形である請求項80乃至82のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項84】 該トナー粒子は、BET法によって測定された体積あたりの比表面積が1.2〜2.5m2/cm3である請求項70乃至83のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項85】 該トナー粒子は、1nm〜100nmの細孔の積算細孔面積比率曲線における60%細孔半径が3.5nm以下である請求項70乃至84のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項86】 該トナーは、GPCで測定される分子量分布において、低分子量側のピークが3000〜15000の範囲にある請求項70乃至85のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項87】 黒色トナーは、SF-2の値がイエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーのSF-2の値よりも5以上大きい請求項70乃至86のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項88】 イエロートナーは、SF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139であり、シアントナーはSF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139である請求項70乃至87のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項89】 イエロートナーは、SF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130であり、シアントナーはSF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130である請求項70乃至87のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項90】 イエロートナーは、SF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125であり、シアントナーはSF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125である請求項70乃至87のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項91】 黒色トナーは、結着樹脂及び黒色着色剤を少なくとも有する混合物を溶融混練し、溶融物を冷却し、冷却された溶融物を粉砕することによって生成された黒色トナー粒子を有し、
イエロートナーは、重合性単量体及びイエロー着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたイエロートナー粒子を有し、
マゼンタトナーは、重合性単量体及びマゼンタ着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたマゼンタトナー粒子を有し、
シアントナーは、重合性単量体及びシアン着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたシアントナー粒子を有する請求項70乃至90のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項92】 黒色トナーは、液体潤滑剤を含有している請求項70乃至91のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項93】 液体潤滑剤が、液体潤滑剤を20〜90重量%含有した潤滑担体粒子の形態でトナー中に含有されている請求項92に記載のトナーキット。
【請求項94】 黒色トナーは、磁性トナーであり、磁性トナーに含有される磁性体に液体潤滑剤が担持されている請求項92又は93に記載のトナーキット。
【請求項95】 液体潤滑剤の25℃における粘度が10〜20万cStである請求項92乃至94のいずれかに記載のトナーキット。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法又は静電記録法において、中間転写体を用いた画像形方法,画像形成装置及びそれに使用されるトナーキットに関するものである。詳しくは、本発明は、静電潜像担持体上にトナー像を形成後、トナー像を静電潜像担持体から中間転写体上に転写し、さらに、中間転写体からトナー像を転写材上に転写させて画像形成する、複写機,プリンター,ファックス等に用いられる画像形成方法,画像形成装置及びそれに使用されるトナーキットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては多数の方法が知られている。一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に静電潜像を形成し、次いで該静電潜像をトナーで現像を行なってトナー像を形成し、必要に応じて紙の如き転写材にトナー像を転写した後、熱・圧力等により転写材上にトナー画像を定着して複写物又はプリントを得るものである。
【0003】
従来、フルカラー複写機においては、4つの感光体を用い各感光体上に形成された静電潜像をシアントナー,マゼンタトナー,シアントナー又は黒色トナーを用いて現像し、ベルト状転写体で転写材を搬送し、各色トナー像を転写材へ転写後、フルカラー画像を形成せしめる方法や、1つの感光体に対向せしめた転写材保持体表面に静電気力やグリッパーの如き機械的作用により転写材を巻き付け、現像-転写工程を4回転実施することでフルカラー画像を得る方法が一般的に利用されている。
【0004】
近年フルカラー用転写材として通常の紙やオーバーヘッドプロジェクター用フィルム(OHP)以外に、厚紙,カード,葉書の如き小サイズ紙への対応の必要性が増してきている。4つの感光体を用いる上記の方法においては、転写材が平板状で搬送されるため多様な転写材への適用範囲は広いが、複数のトナー像を正確に転写材の所定の位置に重ね合わせる必要があり、少しのレジストレーションの相違によっても画質が低下する。レジストレーションの精度を高めるため、転写材の搬送機構が複雑化し、部品点数の増加を招くという問題がある。一方、転写材を転写材保持体表面に吸着させ巻き付ける方法では、秤量の大きな厚紙を用いる際、転写材のコシの強さで転写材の後端が密着不良を起こし、結果的に転写不良に起因する画像欠陥を起こしやすい。小サイズ紙においても同様に画像欠陥が発生しやすい。
【0005】
一方、中間転写体を用いた画像形成方法も提案されている。
【0006】
例えば、ドラム形状の中間転写体を用いるフルカラー画像装置は、米国特許第5,187,526号明細書で提案されている。しかしながら、米国特許第5,187,526号には、トナー粒子の形状及び構成に関しての具体的記載がない。
【0007】
さらに、特開昭59-15739号公報は、平均粒径10μm以下のトナーで形成されたトナー像を、中間転写体へ転写し、中間転写体上のトナー像を転写体へさらに転写する記録方法について記載し、さらに、トナーの製造方法の一つとして懸濁重合法を用いて、直接的にトナー粒子を生成する方法が記載されている。
【0008】
しかしながら、特開昭59-15739号公報に記載されている転写工程は、押圧転写または粘着転写を用いた転写であり、多数枚耐久中に中間転写体の表面が汚染されやすく、電界中での電気的引力を主に使用してトナー像を転写する転写工程とは全く相違している。
【0009】
さらに、特開昭59-50473号公報には、像担持体上のトナー像を所定温度に加熱された支持体表面上に耐熱性弾性層と付加重合型シリコーンゴムで形成された表面層とを有する中間転写体に転写し、中間転写体上のトナー像をさらに転写材へ転写する静電記録方法または電子写真複写法を記載している。
【0010】
しかしながら、特開昭59-50473号公報に記載の画像形成方法は、加熱された中間転写体と接触している像担持体が、劣化しやすい。また、電圧が印加されている中間転写体を用いた転写工程に関する記載はない。中間転写体を用いる系においては、トナー像を感光体のごとき静電荷像保持体から中間転写体に一担転写後、更に中間転写体から転写材上に再度転写することが必要であり、トナーの転写効率を従来以上に高める必要がある。
【0011】
中間転写体から転写材へのトナー像の転写効率が悪いことから、中間転写体にはクリーニング部材が必須であったが、中間転写体の寿命上好ましくなく、転写効率の改良が求められていた。
【0012】
さらに、特開昭61-279864号公報においては形状係数SF-1及びSF-2を規定したトナーが提案されている。しかしながら、該公報の実施例のトナーの追試を行った結果、転写効率が低く、特に中間転写体を用いた画像形成装置に用いた場合の転写効率は不十分であり、さらなる改良が必要であった。
【0013】
特開昭63-235953号公報においては機械的衝撃力により球形化した磁性トナーが提案されている。しかしながら、中間転写体を用いた画像形成装置に用いた場合の転写効率はいまだ不十分であり、さらなる改良が必要であった。
【0014】
さらに、最近では環境保護の観点から、従来から使用されているコロナ放電を利用した一次帯電及び転写プロセスからオゾン発生のほとんどない感光体当接部材を用いた一次帯電及び転写プロセスが主流となりつつある。
【0015】
具体的には、帯電部材である中抵抗ローラーや中抵抗ブラシに電圧を印加して該ローラー又はブラシを被帯電体である感光体に接触させて感光体表面を所定の電位に帯電させるものである。例えば、特公昭50-13661号公報においては、芯金にナイロン又はポリウレタンゴムからなる誘電体を被覆したローラーを使うことによって感光体を荷電する時に低電圧を印加することが可能である。特開昭63-149669号公報や特開平2-123385号公報において、接触帯電方法や接触転写方法に関して提案されている。静電潜像担持体に導電性弾性ローラーを当接し、該導電性ローラーに電圧を印加しながら該静電潜像担持体を一様に帯電し、次いで露光により静電潜像を形成し、現像工程によってトナー像を得た後該静電潜像担持体に電圧を印加した別の導電性ローラーを押圧しながらその間に転写材を通過させ、該静電潜像担持体上のトナー画像を転写材に転写した後、定着工程を経て複写画像を得ている。
【0016】
しかしながら、このようなコロナ放電を用いない接触転写方式においては、転写部材が転写時に転写部材を介して感光体に当接されるため、感光体上に形成されたトナー像を転写材へ転写する際にトナー像が圧接され、図5に示す如き、所謂転写中抜けと称される部分的な転写不良の問題が生じやすい。
【0017】
複数のトナー像を現像後転写せしめるフルカラー複写機又はフルカラープリンタを用いた場合においては、白黒複写機を用いられる一色の黒トナーの場合と比較し中間転写体上のトナー量が増加し、SF-1及びSF-2の大きい従来の不定形トナーを用いた場合には、転写効率を向上させることが困難である。更に一般の不定形トナーを用いた場合には、感光体とクリーニング部材の間や中間転写体とクリーニング部材との間、及び/又は感光体と中間転写体間でのズリ力や摺擦力のために感光体表面や中間転写体表面にトナーの融着やフィルミングが発生しやすい。さらに転写効率が悪化しやすく、フルカラー画像の生成においては4色のトナー像が均一に転写されにくく、中間転写体を用いる場合には、色ムラやカラーバランスの面で問題が生じやすく、高画質のフルカラー画像を安定して出力することは容易ではない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点を解決した中間転写体を用いる画像形成方法を提供することにある。
【0019】
本発明の目的は、トナー像の転写効率に優れた画像形成方法及び画像形成装置を提供することにある。
【0020】
本発明の目的は、厚紙またはカード及び葉書のごとき小サイズ転写材へも転写できる画像形成方法及び画像形成装置を提供することにある。
【0021】
本発明の目的は、静電潜像保持体表面及び中間転写体表面におけるトナー融着やフィルミングの発生が抑制されている画像形成方法及び画像形成装置を提供することにある。
【0022】
本発明の目的は、マルチカラー画像又はフルカラー画像の形成に優れている画像形成方法及び画像形成装置を提供することにある。
【0023】
本発明の目的は、上述のフルカラー画像形成方法に好適なトナーキットを提供することにある。
【0024】
本発明の目的は、画像濃度が高く、細線再現性,ハイライト階調性の優れたトナーキットを提供することにある。
【0025】
本発明の目的は、転写時に飛び散りのない転写性の優れたトナーキットを提供することにある。
【0026】
本発明の目的は、長時間の使用で性能の変化のないトナーキットを提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明は、静電潜像を現像剤で現像して静電潜像担持体上にトナー像を形成する現像工程、
該トナー像を電圧が印加されている中間転写体上に転写する一次転写工程、及び
電圧が印加されている転写手段を転写材に押圧させながら該中間転写体上のトナー像を該転写材上へ転写する二次転写工程を少なくとも有する画像形成方法であり、
該現像剤は、トナーを有し、
該トナーが、少なくとも結着樹脂中に着色剤が分散された黒色トナー粒子と無機微粉体を有する黒色トナーであり、該黒色トナーの形状係数SF-1の値が110<SF-1≦180であり、形状係数SF-2の値が110<SF-2≦140であり、SF-2の値から100を引いた値BとSF-1の値から100を引いた値Aとの比B/Aの値が1.0以下であり、
該中間転写体及び該転写手段の表面が弾性層から構成されており、該中間転写体の体積固有抵抗値が転写手段の体積固有抵抗値より高い値を示し、且つ、該中間転写体の表面硬度が、JIS・K-6301で測定して10〜40度の範囲を有し、且つ、転写手段の表面の硬度を中間転写体の硬度よりも大きくし、転写手段を中間転写体に押圧し中間転写体側に凹形状のニップを形成せしめ、転写手段に電圧を印加し転写材上にトナー像を転写せしめることを特徴とする画像形成方法に関する。
【0028】
さらに、本発明は、静電潜像担持体,
静電潜像担持体上にトナー像を形成するための現像剤を有する現像手段,
静電潜像担持体から転写されるトナー像を担持するための、バイアス印加手段を有する中間転写体,及び
中間転写体上のトナー像を転写材へ転写するための、バイアス印加手段を有する中間転写体を押圧するように設置されている転写手段を少なくとも有する画像形成装置であり、
該現像剤は、トナーを有し、
該トナーが、少なくとも結着樹脂中に着色剤が分散された黒色トナー粒子と無機微粉体を有する黒色トナーであり、該黒色トナーの形状係数SF-1の値が110<SF-1≦180であり、形状係数SF-2の値が110<SF-2≦140であり、SF-2の値から100を引いた値BとSF-1の値から100を引いた値Aとの比B/Aの値が1.0以下であり、
該中間転写体及び該転写手段の表面が弾性層から構成されており、該中間転写体の体積固有抵抗値が転写手段の体積固有抵抗値より高い値を示し、且つ、該中間転写体の表面硬度が、JIS・K-6301で測定して10〜40度の範囲を有し、且つ、転写手段の表面の硬度を中間転写体の硬度よりも大きくし、転写手段を中間転写体に押圧し中間転写体側に凹形状のニップを形成せしめ、転写手段に電圧を印加し転写材上にトナー像を転写せしめることを特徴とする画像形成装置に関する。
【0029】
さらに、本発明は、少なくともイエロー系着色剤と結着樹脂とを含有するイエロートナー粒子及び無機微粉体を有するイエロートナーと、
少なくともマゼンタ系着色剤と結着樹脂とを含有するマゼンタトナー粒子及び無機微粉体を有するマゼンタトナーと、
少なくともシアン系着色剤と結着樹脂とを含有するシアントナー粒子及び無機微粉体を有するシアントナーと、
少なくともカーボンブラックまたは/および磁性体と結着樹脂とを含有する黒色トナー粒子及び無機微粉体を有する黒色トナーを有するトナーキットにおいて、
該黒色トナーは形状係数SF-2の値が140以下であり且つイエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーの形状係数SF-2より大きいことを特徴とするトナーキットに関する。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明において、形状係数SF-1及び形状係数SF-2とは、例えば日立製作所製FE-SEM(S-800)を用い、1000倍に拡大した2μm以上のトナー像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介して、例えばニコレ社製画像解析装置(Luzex III)に導入し解析を行い下式より算出し得られた値を形状係数SF-1及び形状係数SF-2と定義する。
【0031】
【数1】

【0032】
(式中、MXLNGは粒子の絶対最大長、PERIMEは粒子の周囲長、AREAは粒子の投影面積を示す。)
【0033】
形状係数SF-1はトナー粒子の丸さの度合を示し、形状係数SF-2はトナー粒子表面の凹凸の度合を示している。
【0034】
黒色トナーの形状係数SF-1が180を超えるかあるいはSF-2が140を超えると、球形から離れて不定形に近づき、現像器内でトナーが破砕され易く、粒度分布が変動したり、帯電量分布がブロードになりやすく地かぶりや反転かぶりが生じやすい。静電像保持体から中間転写体への転写時におけるトナー像の転写効率の低下、および中間転写体から転写材への転写時におけるトナー像の転写効率の低下やライン画像の転写中抜けを招き好ましくない。黒色トナーのSF-1が110以下の時あるいはトナーの球状係数SF-2が110以下の場合、及び比B/Aの値が1.0を超えるときは、一般にクリーニング不良が発生しやすい。本発明は上記課題を少なくとも黒色トナーの形状が本発明で規定する条件を満足することで解決したものである。
【0035】
より好ましくは、SF-1の値が120≦SF-1≦160であり、かつSF-2の値が115≦SF-2≦140である。粉砕法で製造したトナー粒子を曲面化処理したものが好ましく用いられる。
【0036】
シアントナー,イエロー,マゼンタトナー及び黒色トナーを有するフルカラートナーキットにおいては、黒色トナーのSF-2を最も大きくするのが好ましい。
【0037】
従来より転写性を向上させる目的で、静電潜像担持体上のトナー像を再帯電あるいは除電したりして適正化にすることが試みられているが、転写材上での飛び散りが増加したりと必ずしも満足のいくものではなかった。この傾向は特に黒色トナーにおいて目立ちやすく、トナーの現像と転写性を良好に両立する必要がある。
【0038】
トナー形状について検討を重ねたところ、ブラックトナーの形状を他の色よりも非球状化にすることで、その凸部へ現像あるいは転写電界が有効に作用し、さらにその適度な表面抵抗故、電界がトナー粒子に均一に作用し、高画質化が達成できることを知見した。
【0039】
トナー粒子表面に適度に存在する凸部が電極効果として有効に機能し、飛び散りのない転写性が得られる。
【0040】
黒色トナーのSF-2は、シアントナーのSF-2,イエロートナーのSF-2及びマゼンタトナーのSF-2よりも5以上大きい方が好ましい。
【0041】
さらにシアントナー,イエロートナー及びマゼンタトナーはSF-1が100乃至170(より好ましくは100乃至160、さらに好ましくは100乃至150)であり、SF-2が100乃至139(より好ましくは100乃至130、さらに好ましくは100乃至125)が良い。
【0042】
黒色トナーにおいて、SF-2から100を引いた値BとSF-1から100を引いた値Aとの比B/Aの値は図6において、原点を通る直線の傾きを示す。比B/Aは好ましくは0.20〜0.90(さらには0.35〜0.85)であることが、良好な現像性を維持しながら転写性が向上するために、好ましい。
【0043】
さらにトナー粒子表面に無機微粉体を有することで、転写効率の向上及び文字やライン画像の転写中抜けが改善される。この時、BET法によって測定された単位体積あたりの比表面積Sbと、トナーを真球と仮定した際の重量平均粒径(D4)から算出した単位体積あたりの比表面積St(St=6/D4)の関係が3.0≦Sb/St≦7.0かつ、Sb≧St×1.5+1.5であることが好ましい。さらにSbが3.2〜6.8m2/cm3(より好ましくは3.4〜6.3m2/cm3)であることがよい。
【0044】
上記比率が3.0倍未満であると転写効率が低下し、7.0倍を超えると画像濃度が低下する。これはトナー粒子に添加される無機微粒子がトナー粒子とトナー像担持体との間でスペーサーとして有効に挙動することに因ると考えられる。
【0045】
上記範囲のトナーの比表面積は、トナー粒子の比表面積とトナー粒子に添加する無機微粉体の比表面積,添加量及び添加混合強度を制御することで達成される。添加混合強度が強すぎると、無機微粒子がトナー粒子中に埋め込まれてしまい、転写効率の向上が少ない。
【0046】
さらには無機微粉体が有効に使われるためにトナー粒子の体積あたりの比表面積Srが1.2〜2.5m2/cm3(好ましくは1.4〜2.1m2/cm3)であり、トナーを真球と仮定した際の重量平均粒径から計算される体積あたりの理論比表面積の1.5〜2.5倍であることが良い。
【0047】
無機微粉体の添加によって、比表面積は1.5m2/cm3以上増加することが好ましい。無機粒子を添加する前のトナー粒子の1nm〜100nmの細孔の積算細孔面積比率曲線における60%細孔半径が3.5nm以下であるほうがよい。この際、トナーのBET比表面積Sbとトナー粒子のBET比表面積Srの比Sb/Srの値は2〜5の範囲にあることが好ましい。
【0048】
これらは、トナー粒子に添加される無機微粉体の一次粒径以上の、トナー粒子中の細孔を減ずることによって、該無機微粉体がさらに有効に挙動し、転写効率を向上させるものと考えられる。
【0049】
比表面積はBET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出する。60%細孔半径は、脱離側の細孔半径に対する積算細孔面積比率曲線から求める。オートソーブ1においては細孔分布の計算はBarrett, Joyner & Harenda(B.J.H)によって考えられたB.J.H法で行う。
【0050】
本発明においては、多種の転写材に対応させるために中間転写体を設けているので転写工程が実質2回行われるため、転写効率の低下はトナーの利用効率の低下を招き問題となる。デジタルフルカラー複写機やプリンターに於いては色画像原稿を予めB(ブルー)フィルター,G(グリーン)フィルター,R(レッド)フィルターを用い色分解した後、感光体上に20〜70μmのドット潜像を形成しY(イエロー)トナー,M(マゼンタ)トナー,C(シアン)トナー,B(ブラック)トナーの各色トナーを用いて減色混合作用を利用し原稿に忠実な多色カラー画像を再現する必要がある。この際感光体上又は中間体上には、Yトナー,Mトナー,Cトナー,Bトナーが原稿やCRTの色情報に対応して多重にトナーが乗るため本発明に使用されるトナーは、極めて高い転写性が要求される。
【0051】
黒トナーは好ましくは磁性トナーが良く、他の色のカラートナーはあざやかな色とする上で好ましくは非磁性トナーが良い。
【0052】
更に高画質化のため微小な潜像ドットを忠実に現像するために、トナー粒子は重量平均径が4μm〜9μmであることが好ましい。重量平均径が4乃至9μmのトナー粒子においては、転写効率の低下が少なく感光体や中間転写体上に転写残のトナーが少なく、さらに、カブリ・転写不良に基づく画像の不均一ムラが発生しにくい。さらに、トナー粒子の重量平均径が4乃至9μmの場合には、文字やライン画像の飛び散りが生じにくい。
【0053】
トナーの平均粒径及び粒度分布はコールターカウンターTA-II型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)の如き測定機を用い、個数分布,体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。たとえば、ISOTON R-II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない前記コールターカウンターTA-II型によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナーの体積,個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。それから、本発明に係わる体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4)、個数分布から求めた個数基準の長さ平均粒径(D1)を求める。
【0054】
本発明に係わるトナーの単位体積あたりの帯電量(二成分法)は30〜80C/m3(より好ましくは40〜70C/m3)であることが、電圧を印加した転写手段を用いる転写方法において転写効率を向上させる上で好ましい。
【0055】
本発明におけるトナーの二成分法による帯電量(二成分トリボ)の測定法を図4を参照しながら以下に示す。
【0056】
23℃,相対湿度60%環境下、キャリアとして鉄粉EFV200/300(パウダーテック社製)を用い、キャリア9.5gにトナー0.5gを加えた混合物を50〜100ml容量のポリエチレン製の瓶に入れ50回手で震盪する。次いで、底に500メッシュのスクリーン23のある金属製の測定容器22に前記混合物1.0〜1.2gを入れ、金属製のフタ24をする。この時の測定容器22全体の重量を秤りW1(g)とする。次に吸引機(測定容器22と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口27から吸引し風量調節弁26を調節して真空計25の圧力を2450Pa(250mmAq)とする。この状態で一分間吸引を行ないトナーを吸引除去する。この時の電位計29の電位をV(ボルト)とする。28はコンデンサーであり容量をC(μF)とする。吸引後の測定機全体の重量を秤りW2(g)とする。このトナーの摩擦帯電量(mC/kg)は、下式の如く計算される。
【0057】
摩擦帯電量(mC/kg)=CV/(W1-W2)
【0058】
さらに、上記摩擦帯電量に真密度を乗じることで、単位体積あたりの摩擦帯電量(C/m3)が得られる。
【0059】
トナーの真密度はガス置換式密度計Accupyc1330(マイクロメリティックス社製)を用いて測定する。
【0060】
トナー中の結着樹脂としてはゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)の分子量分布において、低分子量のピークが3000〜15000の範囲にあることが、粉砕法で生成したトナーの形状を熱と機械的衝撃力でコントロールする上で好ましい。低分子量のピークが15000を超えると、形状係数SF-1及びSF-2を本発明の範囲に制御しにくく、転写効率の向上が十分ではない。分子量3000未満では、トナー粒子の表面処理時に融着を生じやすい。分子量は、GPCにより測定される。具体的なGPCの測定方法としては、予めトナーをソックスレー抽出器を用いテトラヒドロフラン(THF)で20時間抽出を行ったサンプルを用い、カラム構成は昭和電工製A-801,802,803,804,805,806,807を連結し標準ポリスチレン樹脂の検量線を用い分子量分布を測定し得る。
【0061】
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比率(Mw/Mn)は、2〜100を示す樹脂が本発明には好ましい。
【0062】
トナーのガラス転移点(Tg)は定着性,保存性の点から50℃〜75℃(さらに好ましくは、52℃〜70℃)が好ましい。
【0063】
トナーのガラス転移点の測定にはたとえば、パーキンエルマー社製のDSC-7のような高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定を行う。測定方法は、ASTM D3418-82に準じて行う。本発明においては、資料を1回昇温させ前履歴をとった後、急冷し、再度温度速度10℃/min、温度0〜200℃の範囲で昇温させたときに測定されるDSC曲線を用いる。
【0064】
本発明に使用される結着樹脂は、ポリスチレン;ポリ-p-クロルスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン置換体の単重合体;スチレン-p-クロルスチレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂等が使用できる。架橋されたスチレン系樹脂も好ましい結着樹脂である。
【0065】
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドのような二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルのような二重結合を有するジカルボン酸及びその置換体;塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルのようなビニルエステル類;エチレン、プロピレン、ブチレンのようなエチレン系オレフィン類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンのようなビニルケトン類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル類;等のビニル単量体が挙げられる。これらは、単独もしくは組み合わせて用いられる。架橋剤としては、2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンの如きジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;が挙げられる。これらは単独もしくは混合して使用される。
【0066】
定着時の定着部材からの離型性の向上,定着性の向上の点から次のようなワックス類をトナー粒子中に含有させることも好ましい。パラフィンワックス及びその誘導体,マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体,フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体,ポリオレフィンワックス及びその誘導体,カルナバワックス及びその誘導体である。誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合体,グラフト変性物が挙げられる。
【0067】
その他、長鎖アルコール,長鎖脂肪酸,酸アミド,エステルワックス,ケトン,硬化ヒマシ油及びその誘導体,植物系ワックス,動物系ワックス,鉱物系ワックス,ペトロラクタム等も場合により使用しても良い。
【0068】
黒色トナー粒子を作製するには、結着樹脂、ワックス、着色剤としての顔料、染料、又は磁性体、必要に応じて荷電制御剤の如き添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合器により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂を溶融せしめた中に顔料、染料又は磁性体を分散又は溶解せしめ、冷却固化後、粉砕、分級を行なって黒色トナー粒子を得ることが出来る。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
【0069】
黒色トナー粒子の表面処理としては、粉砕法で得られたトナー粒子を、水中に分散させ加熱する湯浴法、熱気流中を通過させる熱処理法、機械的エネルギーを付与して処理する機械的衝撃法などが挙げられる。本発明においては、機械的衝撃法においてトナー粒子のガラス転移点Tg付近の温度(Tg±10℃)でトナー粒子を処理する熱機械的衝撃法が、凝集防止,生産性の点から好ましい。さらに好ましくは、黒色トナーのガラス転移点Tg±5℃の範囲の温度で行うことが、トナー粒子表面の10nm以上の半径の細孔を減じ、トナー粒子上の無機微粉体を有効に働かせ、トナーの転写効率を向上させるのに特に有効である。
【0070】
トナー粒子は特公昭56-13945号公報等に記載のディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナー粒子を得る方法や、特公昭36-10231号公報,特開昭59-53856号公報,特開昭59-61842号公報に述べられている懸濁重合方法を用いて直接トナー粒子を生成する方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナー粒子を生成する分散重合方法又は水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナー粒子を生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法を用いてトナー粒子を製造しても良い。
【0071】
特には懸濁重合方法によるトナー粒子の生成が好ましい。さらに一旦得られた重合粒子に更に単量体を吸着せしめた後、重合開始剤を用い重合せしめるシード重合方法によるトナー粒子も本発明に好適に利用することができる。
【0072】
更にスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体,スチレン-マレイン酸共重合体,飽和ポリエステル樹脂の如き極性樹脂をトナー粒子に添加せしめることも好ましい。
【0073】
更に本発明において荷電制御剤を有するトナー粒子を直接重合方法を用いて生成する場合には、重合阻害性が無く水系媒体への可溶化物の無い荷電制御剤を使用することが好ましい。
【0074】
トナー粒子の製造に直接重合方法を用いる場合においては、以下の如き方法によってトナー粒子を製造することが可能である。重合性単量体中に低軟化物質からなる離型剤,着色剤,荷電制御剤,重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイザー,超音波分散機の如き分散機によって均一に溶解又は分散せしめた重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機,ホモミキサー又はホモジナイザーにより分散せしめる。好ましくは重合性単量体組成物の液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度及び時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。
【0075】
さらに、イエロートナー,マゼンタトナー,シアントナーの好ましい態様について説明する。
【0076】
トナー粒子の一部又は全体が重合法により形成されたトナーを用いることにより発明の効果を高めることが出来る。特に、トナー粒子表面の部分を重合法により形成されたトナー粒子については、分散媒中にプレトナー(モノマー組成物)粒子として存在させ、必要な部分を重合反応により生成するため、表面性については、かなり平滑化されたものを得ることができる。
【0077】
さらには、トナー粒子にコア/シェル構造をもたせ、シェル部分を重合により形成したトナー粒子を用いることで、本発明の画像形成方法に好ましく用いられるトナー粒子を製造することが出来る。コア/シェル構造は、トナーの優れた定着性を損なうことなく耐ブロッキング性を向上させることは言うまでもなく、コアを有しないようなバルクとしての重合トナーに比較して、シェル部分のみを重合するほうが、重合工程の後の後処理工程において、残存モノマーの除去が容易に行える。
【0078】
コア部の主たる成分としては低軟化点物質が好ましく、ASTM D3418-8に準拠して測定された吸熱ピークの主体極大ピーク値が、40〜90℃を示す化合物が好ましい。極大ピークが40℃未満であると低軟化点物質の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が低下する。一方極大ピークが、90℃を超えると定着温度が高くなる。
【0079】
低軟化点物質の極大ピーク値の温度の測定には、例えばパーキンエレマー社製DSC-7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウム融解熱を用いる。サンプルはアルミニウム製パンを用い対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/min.で測定を行う。
【0080】
低軟化点物質としては、パラフィンワックス,ポリオレフィンワックス,フィッシャートロピッシュワックス,アミドワックス,高級脂肪酸,エステルワックス及びこれらの誘導体又はこれらのグラフト/ブロック化合物等が挙げられる。
【0081】
低軟化点物質はトナー粒子中へ結着樹脂100重量部当り5〜30重量部添加することが好ましい。5重量部未満の添加では先に述べた残存モノマーの除去に負担がかかり、また30重量部を超える場合は、重合法による製造においても造粒時にトナー粒子同士の合一が起きやすく、粒度分布の広いものが生成しやすい。
【0082】
さらには、トナー粒子表面を無機微粉体の如き外添剤により被覆することにより、トナー粒子表面の外添剤被覆率が、5〜99%さらに好ましくは、10〜99%であることが好ましい。トナー粒子表面の外添剤被覆率は、日立製作所製FE-SEM(S-800)を用いトナー粒子像(例えば、2万倍)を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介してニコレ社製画像解析装置(Luzex3)を導入し解析を行い算出する。
【0083】
外添剤としては、トナー粒子と混合した時の耐久性の点から、トナー粒子の重量平均径の1/10以下の粒径であることが好ましい。この添加剤の粒径とは、電子顕微鏡におけるトナー粒子(例えば、2万倍)の表面観察により求めたその平均粒径を意味する。外添剤としては、金属酸化物微粉体(酸化アルミニウム,酸化チタン,チタン酸ストロンチウム,酸化セリウム,酸化マグネシウム,酸化クロム,酸化錫,酸化亜鉛など),窒化物微粉体(窒化ケイ素など),炭化物微粉体(炭化ケイ素など),金属塩微粉体(硫酸カルシウム,硫酸バリウム,炭酸カルシウムなど),脂肪酸金属塩微粉体(ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウムなど),カーボンブラック,シリカ微粉体が挙げられる。
【0084】
これら外添剤は、トナー粒子100重量部に対し、0.01〜10重量部が用いられ、好ましくは、0.05〜5重量部が用いられる。これら外添剤は、単独で用いても、また、複数併用しても良い。それぞれ、疎水化処理を行ったものが、より好ましい。
【0085】
本発明では特に比較的容易に粒度分布がシャープで4〜8μm粒径の微粒子トナーが得られる常圧下での、または、加圧下での懸濁重合方法が特に好ましい。低軟化点物質を内包化せしめる具体的方法としては、水系媒体中での材料の極性を主要単量体より低軟化点物質の方を小さく設定し、更に少量の極性の大きな樹脂又は単量体を添加せしめることで低軟化点物質を外殻樹脂で被覆した所謂コア/シェル構造を有するトナーを得ることができる。トナーの粒度分布制御や粒径の制御は、難水溶性の無機塩や保護コロイド作用をする分散剤の種類や添加量を変える方法や機械的装置条件(例えばローター周速,パス回数,撹拌羽根形状の撹拌条件や容器形状)又は、水溶液中での固形分濃度等を制御することにより所定のトナー粒子を得ることができる。
【0086】
トナー粒子の断層面を測定する具体的方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を十分分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ、得られた硬化物を四三酸化ルテニウム、必要により四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出し透過電子顕微鏡(TEM)を用いトナーの断層形態を測定する。低軟化点物質と外殻を構成する樹脂との若干の結晶化度の違いを利用して材料間のコントラストを付けるため四三酸化ルテニウム染色法を用いる事が好ましい。
【0087】
外殻樹脂としては、スチレン-(メタ)アクリル共重合体,ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,スチレン-ブタジエン共重合体が挙げられる。重合法による直接トナーを得る方法においては、スチレン;o-(m-、p-)-メチルスチレン,m(p-)-エチルスチレンの如きスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸プロピル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸ドデシル,(メタ)アクリル酸ステアリル,(メタ)アクリル酸ベヘニル,(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル,(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル,(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルの如き(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン,イソプレン,シクロヘキセン,(メタ)アクリロニトリル,アクリル酸アミドの如きエン系単量体が好ましく用いられる。これらは、単独または出版物ポリマーハンドブック第2版III-P139〜192(John wiley & Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が、40〜75℃を示すように単量体を適宜混合して重合に用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合には、トナーの保存安定性や現像剤の耐久安定性の面から問題が生じ、一方75℃を超える場合は定着点の上昇をもたらし、特にフルカラー画像形成用トナーの場合に於いては各色トナーの混色性が低下し、色再現性が低下する。更にOHP画像の透明性が著しく低下する。外殻樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。具体的なGPCの測定方法としては、予めトナーをソックスレー抽出器を用いトルエン溶剤で20時間抽出を行った後、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去せしめ、更に低軟化点物質は溶解するが外殻樹脂は溶解し得ない有機溶剤例えばクロロホルム等を加え十分洗浄を行った後、THF(テトラヒドロフラン)に可溶した溶液をポア径が0.3μmの耐溶剤性メンブランフィルターでろ過したサンプルをウォーターズ社製150Cを用い、カラム構成は昭和電工製A-801,802,803,804,805,806,807を連結し標準ポリスチレン樹脂の検量線を用い分子量分布を測定し得る。得られた樹脂成分の数平均分子量(Mn)は,5000〜1000000であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、2〜100を示す外殻樹脂が本発明には好ましい。
【0088】
コア/シェル構造を有するトナー粒子を製造する場合、外殻樹脂中に低軟化点物質を内包化せしめるため外殻樹脂の他に更に極性樹脂を添加せしめることが特に好ましい。極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体,マレイン酸共重合体,飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂が好ましく用いられる。該極性樹脂は、外殻樹脂又は単量体と反応しうる不飽和基を分子中に含まないものが特に好ましい。仮に不飽和基を有する極性樹脂を含む場合においては、外殻樹脂層を形成する単量体と架橋反応が起き、特に、フルカラー画像形成用トナーとしては、極めて高分子量になり四色トナーの混色には不利となり好ましくない。
【0089】
トナー粒子の表面にさらに最外殻樹脂層を設けても良い。
【0090】
該最外殻樹脂層のガラス転移温度は、耐ブロッキング性のさらなる向上のため外殻樹脂層のガラス転移温度以上に設計されること、さらに定着性を損なわない程度に架橋されていることが好ましい。該最外殻樹脂層には帯電性向上のため極性樹脂や荷電制御剤が含有されていることが好ましい。
【0091】
該最外殻層を設ける方法としては、特に限定されるものではないが例えば以下のような方法が挙げられる。
【0092】
(1)重合反応後半、または終了後、反応系中に必要に応じて、極性樹脂,荷電制御剤,架橋剤等を溶解、分散したモノマーを添加し重合粒子に吸着させ、重合開始剤を添加し重合を行う方法。
【0093】
(2)必要に応じて、極性樹脂,荷電制御剤,架橋剤等を含有したモノマーからなる乳化重合粒子またはソープフリー重合粒子を反応系中に添加し、重合粒子表面に凝集、必要に応じて熱等により固着させる方法。
【0094】
(3)必要に応じて、極性樹脂,荷電制御剤,架橋剤等を含有したモノマーからなる乳化重合粒子またはソープフリー重合粒子を乾式で機械的にトナー粒子表面に固着させる方法。
【0095】
黒色トナーには荷電制御剤をトナー粒子に配合(内添)、又はトナー粒子と混合(外添)して用いることが好ましい。荷電制御剤によって、現像システムに応じた最適の荷電量コントロールが可能となり、特に本発明では粒度分布と荷電量とのバランスを更に安定したものとすることが可能である。トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質がある。
【0096】
例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効である。モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体が挙げられる。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類が挙げられる。
【0097】
正荷電性に制御するものとして下記物質がある。
【0098】
ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム-1-ヒドロキシ-4-ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩;これらの類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドの如きジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類が挙げられる。これらを単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0099】
上述した荷電制御剤は微粒子状として用いることが好ましい。これらの荷電制御剤の個数平均粒径は4μm以下さらには3μm以下が特に好ましい。これらの荷電制御剤をトナー粒子に内添する場合は結着樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部、特に0.2〜10重量部使用することが好ましい。
【0100】
黒色着色剤としてカーボンブラック,磁性体,以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。
【0101】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、168、174、176、180、181、191が好適に用いられる。
【0102】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アンスラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、48;4、57;1、81;1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
【0103】
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アンスラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が特に好適に利用できる。
【0104】
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相角,彩度,明度,耐候性,OHP透明性,トナー粒子中への分散性の点から選択される。非磁性着色剤の添加量は、好ましくは樹脂100重量部に対し1〜20重量部である。
【0105】
磁性体としては、鉄,コバルト,ニッケル,銅,マグネシウム,マンガン,アルミニウム,珪素などの元素を含む金属酸化物がある。中でも四三酸化鉄,γ-酸化鉄の如き酸化鉄を主成分とするものが好ましい。トナーの帯電性コントロールの点から硅素元素またはアルミニウム元素の如き金属元素を含有していてもよい。これら磁性粒子は、窒素吸着法によるBET比表面積が好ましく2〜30m2/g、特に3〜28m2/gが好ましく、モース硬度が5〜7の磁性体が好ましい。
【0106】
磁性体の形状としては、8面体,6面体,球体,針状,鱗片状などが挙げられる。8面体,6面体,球体の如く異方性の少ないものが画像濃度を高める上で好ましい。磁性体の平均粒径としては0.05〜1.0μmが好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.6μm、さらには、0.1〜0.4μmが好ましい。
【0107】
磁性体は結着樹脂100重量部に対し30〜200重量部、好ましくは40〜200重量部、さらには50〜150重量部が好ましい。30重量部未満ではトナー搬送に磁気力を用いる現像器においては、搬送性が低下し、現像剤担持体上の現像剤層にむらが生じ画像むらとなる傾向であり、さらに磁性トナーのトリボの上昇に起因する画像濃度の低下が生じ易い傾向にある。一方、200重量部を超えると定着性に問題が生ずる傾向にある。
【0108】
トナー粒子と混合される無機微粉体としては公知のものが用いられる。帯電安定性,現像性,流動性,保存性向上のため、シリカ微粉体,アルミナ微粉体,チタニア微粉体あるいはその複酸化物の微粉体の中から選ばれることが好ましい。特に、シリカ微粉体が良い。シリカは硅素ハロゲン化物やアルコキシドの蒸気相酸化により生成される乾式シリカ及びアルコキシド,水ガラス等から製造される湿式シリカが使用可能である。表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O,SO32-等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。乾式シリカにおいては、製造工程において、塩化アルミニウム,塩化チタンの如き金属ハロゲン化合物を硅素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、それらを使用しても良い。
【0109】
本発明に用いられる無機微粉体はBET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、特に50〜400m2/gの範囲のものが良好な結果を与える。トナー粒子100重量部に対してシリカ微粉体0.1〜8重量部、好ましくは0.5〜5重量部、さらに好ましくは1.0乃至3.0質量部が特に良い。
【0110】
本発明に用いられる無機微粉体は、一次粒径が30nm以下であることが好ましい。
【0111】
本発明に用いられる無機微粉体は、必要に応じ、疎水化,帯電性制御等の目的でシリコーンワニス,各種変性シリコーンワニス,シリコーンオイル,各種変性シリコーンオイル,シランカップリング剤,官能基を有するシランカップリング剤,その他の有機硅素化合物,有機チタン化合物の如き処理剤で、処理されていることが好ましい。処理剤は二種以上併用しても良い。
【0112】
トナーが高い帯電量を維持し、低消費量及び高転写率を達成するためには、無機微粉体は少なくともシリコーンオイルで処理されることがさらに好ましい。
【0113】
本発明においては、転写性および/またはクリーニング性向上のために、前記無機微粉体に加えて、さらに一次粒径が30nmを超える(好ましくは比表面積が50m2/g未満)、より好ましくは、50nm以上(好ましくは比表面積が30m2/g未満)の無機又は有機の球状に近い微粒子をさらに添加することも好ましい形態の一つである。例えば球状シリカ粒子,球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子,球状樹脂粒子が好ましく用いられる。
【0114】
トナーに、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤を使用しても良い。例えばテフロン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末の如き研磨剤;酸化アルミニウム粉末の如き流動性付与剤;ケーキング防止剤;カーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末の如き導電性付与剤;トナー粒子と逆極性の有機微粒子及び無機微粒子が挙げられる。
【0115】
イエロートナー粒子,マゼンタトナー粒子,シアントナー粒子に外添する無機微粉体としては、特定のカップリング剤を水存在下で加水分解しながら処理した平均粒径0.01〜0.2μm、疎水化度20〜98%で400nmにおける光透過率が40%以上である酸化チタンあるいはアルミナが好ましい。水中では均質な疎水化処理が行え、粒子同士の合一もなくトナーの帯電の安定化、流動性付与の点で、極めて有効である。
【0116】
水存在下で無機微粒子を機械的に一次粒径となるよう分散しながらカップリング剤を加水分解しながら表面処理することで、粒子同士の合一が生じにくく、また処理による粒子間の帯電反発作用が働き、無機微粒子はほぼ一次粒子の状態で表面処理される。
【0117】
カップリング剤を水存在下で加水分解しながら表面を処理する際に、無機微粒子を一次粒子に分散させるための機械的な力を加えるため、クロロシラン類や、シラザン類のようにガス化するようなカップリング剤を使用する必要もなく、さらに、粒子同士が合一して使用できなかった高粘性のカップリング剤あるいはシリコーンオイルの併用もできる。
【0118】
カップリング剤としては、シランカップリング剤又はチタンカップリング剤が挙げられる。特に好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、下記一般式で示されるものが挙げられる。
【0119】
RmSiYn
[式中、Rはアルコオキシ基を示し、
mは1〜3の整数を示し、
Yはアルキル基、ビニル基、グリシドキシ基、メタクリル基の如き炭化水素基を示し、
nは1〜3の整数を示す。]
例えばビニルトリメトキシシラン,ビニルトリエトキシシラン,γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン,ビニルトリアセトキシシラン,メチルトリメトキシシラン,メチルトリエトキシシラン,イソブチルトリメトキシシラン,ジメチルジメトキシシラン,ジメチルジエトキシシラン,トリメチルメトキシシラン,ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン,フェニルトリメトキシシラン,n-ヘキサデシルトリメトキシシラン,n-オクタデシルトリメトキシシランを挙げることができる。
【0120】
より好ましくは、次式で示されるトリアルコキシアルキルシランカップリング剤が好ましい。
【0121】
CaH2a+1-Si(OCbH2b+1)3
[式中、aは4〜12の整数を示し、bは1〜3の整数を示す。]
aが4より小さいと、処理は容易となるが疎水性が低下する。aが12より大きいと疎水性は十分になるが、粒子同士が合一しやすい。bは3より大きいと反応性が低下する。aは4〜12、好ましくは4〜8、bは1〜3、好ましくは1〜2が良い。
【0122】
処理量は無機微粉体100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは3〜40重量部が良い。疎水化度は20〜98%、より好ましくは30〜90%、より好ましくは40〜80%が良い。
【0123】
疎水化度は20%より小さいと、高湿下での長期放置による帯電量が低下しやすく、疎水化度が98%を超えると、低湿下でのトナーがチャージアップしやすい。
【0124】
疎水化された無機微粉体の粒径は、トナー粒子の流動性向上の点から0.01〜0.2μmが良い。粒径が0.2μmより大きいと、トナーの帯電の均一性が低下し、結果としてトナー飛散やカブリが生じやすい。0.01μmより小さいと、トナー粒子表面に埋め込まれやすくなり、トナー劣化が生じやすく、耐久性が低下しやすい。
【0125】
前記処理方法としては、水系媒体中で機械的に一次粒子径となるように分散しながら、カップリング剤を加水分解させて処理する方法が効果的である。
【0126】
さらに、上述のようにして疎水処理された無機微粒子の400nmの光波長における光透過率が、40%以上であることが好ましい。
【0127】
転写性および/またはクリーニング性向上のために一次粒径50nm以上(好ましくは比表面積が30m2/g未満)の無機又は有機の球状に近い微粒子をさらに添加することも好ましい形態の一つである。例えば球状シリカ粒子,球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子,球状樹脂粒子が好ましく用いられる。
【0128】
本発明に使用する黒色トナーは、液体潤滑剤を保有していることが好ましい。
【0129】
少量の液体潤滑剤が静電潜像担持体及び中間転写体表面を被覆すること並びにトナー粒子に付与される良好な離型性により、静電潜像担持体表面上のトナーが中間転写材上に均一にかつ有効に移行することができる。
【0130】
液体潤滑剤は磁性体などの担体粒子に吸着,造粒,凝集,含浸,内包の手段で担持させトナー粒子中に含有させることが好ましい。これによりトナー粒子表面に液体潤滑剤を均一かつ適正量存在させることができ、トナー粒子の離型性,潤滑性を安定化することができる。
【0131】
トナーに離型性,潤滑性を与える液体潤滑剤としては、動物油、植物油、石油系潤滑油、合成潤滑油等が用いられ、その安定性から合成潤滑油が好ましく用いられる。合成潤滑油としては、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、各種変性シリコーンの如きシリコーン;ペンタエリスリトールエステル、トリメチロールプロパンエステルの如きポリオールエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリα-オレフィンの如きポリオレフィン;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如きポリグリコール;テトラデシルシリケート、テトラオクチルシリケートの如きケイ酸エステル;ジ-2-エチルヘキシルセバケート、ジ-2-エチルヘキシルアジペートの如きジエステル;トリケレシルホスフェート、プロピルフェニルホスフェートの如き燐酸エステル;ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレンの如きフッ化炭化水素化合物;ポリフェニルエーテル、アルキルナフテン、アルキル芳香族が挙げられる。中でも熱安定性,酸化安定性の面からシリコーン又はフッ化炭化水素が好ましい。シリコーンとしては、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、異種官能基変性シリコーンの如き反応性シリコーン;ポリエーテル変性シリコーン、メチルスチリル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーンの如き非反応性シリコーン;ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーンの如きストレートシリコーンが挙げられる。
【0132】
磁性体粒子表面あるいは、担体粒子表面の液体潤滑剤が一部遊離してトナー粒子表面に存在することによりその効果を発揮するので、硬化型のシリコーンはその性質上効果は薄れる。反応性シリコーンや極性基を持つシリコーンは液体潤滑剤担持媒体への吸着が強くなったり、結着樹脂に対する相溶性が現われる。その程度によっては遊離量が少なくなり、効果が劣る場合がある。非反応性シリコーンでも、側鎖の構造によっては結着樹脂に対する相溶性が現われ効果が劣る場合がある。従ってジメチルシリコーン、フッ素変性シリコーン、フッ化炭化水素が反応性及び極性が少なく吸着も強固でなく、結着樹脂への相溶性も無いので好ましく用いられる。液体潤滑剤は25℃における粘度が10〜20万cStであることが好ましく、より好ましくは20〜10万cSt、特には50〜7万cStであることが良い。10cSt未満の場合では、低分子量成分が多くなるため現像性,保存性に問題が生じやすい。20万cStを超える場合では、トナー粒子中での移行や分散が不均一になりやすく現像性,転写性,対汚染性等において問題が生じやすくなる。
【0133】
液体潤滑剤の粘度測定は、ビスコテスターVT500(ハーケ社製)を用いて行なう。いくつかあるVT500用粘度センサーのひとつを任意に選び、そのセンサー用のセルに測定資料を入れて測定する。装置上に表示された粘度(pas)はcStに換算する。
【0134】
液体潤滑剤を磁性体もしくは担体粒子に担持せしめて使用されるので、単にシリコーンの如き液体潤滑剤をそのまま添加するよりも分散性に優れる。単に分散性を向上させるのが目的ではなく、担体粒子から液体潤滑剤を遊離させてその離型性,潤滑性を発揮させると同時に、適度な液体潤滑剤の吸着強度を持たせ、過度の遊離を防止する必要がある。
【0135】
担体粒子の表面に液体潤滑剤を保持せしめ、トナー粒子表面あるいは、表面近傍に存在せしめることでトナー粒子表面の液体潤滑剤量を適度に調整することができる。
【0136】
液体潤滑剤を磁性体表面に担持させる具体的方法としては、ホイール型混練機等が用いられる。ホイール型混練機等を用いた場合には、圧縮作用によって磁性体粒子間に介在している液体潤滑剤を磁性体粒子表面に押しつけるとともに、粒子間隙を通して押し広げて粒子表面との密着性を増し、せん断作用によって液体潤滑剤を引き延ばしながら粒子群に対してはせん断力により位置を変えてばらばらに凝集を解きほぐし、更に、へらでなでるような作用により粒子表面に存在する液体潤滑剤を均一に広げると言う、作用が繰り返されることによって磁性体粒子間の凝集がときほぐされて粒子1個1個ばらばらの状態で個々の粒子表面に均一に担持されるので特に好ましい。ホイール型混練機としては、シンプソンミックスマーラー、マルチマル、ストッツミル、アイリッヒミル、逆流混練機等が好ましく使用できる。
【0137】
ヘンシェルミキサー、ボールミルのような混合機を用いて液体潤滑剤をそのまま、あるいは溶剤等で希釈して磁性体粒子と直接混合し担持させたり、磁性体粒子に直接スプレーして担持させたりする方法も知られているが、これらの方法は磁性体粒子の場合には、少量の液体潤滑剤を担体に均一に担持させることが難しかったり、局部的にせん断力,熱等が加わり液体潤滑剤が強固に吸着したり、シリコーンの場合などは焼きつきを起こしたりする為、液体潤滑剤の担体からの遊離が効果的に行われないことがある。
【0138】
磁性体に対する液体潤滑剤の担持量については、その効果の点から結着樹脂に対する液体潤滑剤の相対量が重要である。その最適範囲は、液体潤滑剤量としては結着樹脂100重量部に対し0.1〜7重量部となるように磁性体に担持させ添加することが好ましく、さらに好ましくは0.2〜5重量部であり、特には0.3〜2重量部が良い。
【0139】
液体潤滑剤を含有する潤滑担持粒子としては、前記磁性体の他には、有機化合物もしくは無機化合物の微粒子を液体潤滑剤により造粒、あるいは凝集させたものが潤滑担持粒子として使用される。
【0140】
有機化合物としては、スチレン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、フッ素樹脂等の如き樹脂粒子が挙げられる。無機微粒子を構成する無機化合物としては、SiO2,GeO2,TiO2,SnO2,Al2O3,B2O3,P2O5の如き酸化物;ケイ酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノホウ酸塩、アルミノホウケイ酸塩、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、テルル酸塩の如き金属酸化物塩、及びこれらの複合化合物、炭化珪素、窒化珪素、アモルファスカーボンが挙げられる。これらは単独あるいは混合して使用できる。
【0141】
これらのなかでも適度な電気抵抗値を有する点から無機化合物が特には金属酸化物が良い。特に、Si,Al,Tiの酸化物、複酸化物が好ましい。特に黒色トナー以外のカラートナーに用いる場合は実質的に白色の無機化合物が好ましく用いられる。
【0142】
微粒子表面をカップリング剤により予め疎水化したものを用いてもよい。しかしながら、液体潤滑剤のなかにはトナー粒子表面を覆うと帯電過剰となりやすいものもある。疎水化していないものを担体として用いると電荷の適切なリークを行うことができ、良好な現像性を維持することが可能である。従って、疎水化処理を行っていない担体を用いることも好ましい形態のひとつである。
【0143】
担体微粒子の粒径としては、好ましくは0.001〜20μm、特に0.005〜10μmが良い。BET法で測定した窒素吸着による比表面積としては、5〜500m2/g、より好ましくは10〜400m2/g、さらに好ましくは20〜350m2/gが良い。5m2/g未満では液体潤滑剤を好適な粒径の潤滑粒子として保持しにくい。
【0144】
潤滑担体粒子における液体潤滑剤の量は、20〜90重量%、好ましくは27〜87重量%、特に好ましくは40〜80重量%が良い。液体潤滑剤の量が20重量%未満ではトナー粒子に対する良好な潤滑性及び離型性の付与効果が少ない。90重量%を超える場合では均一に液体潤滑剤を含有する潤滑担体粒子が得られにくい。
【0145】
液体潤滑剤を保持しつつ遊離を行えるように潤滑担持粒子の粒径が0.5μm以上であることが好ましく、さらには1μm以上が良い。その体積基準分布による主成分がトナー粒子の粒径より大きいことも好ましい。これらの潤滑担持粒子は、液体潤滑剤を多量に含有しもろいので、トナーの製造中にその一部は崩れトナー粒子に均一に分散すると共に、液体潤滑剤を遊離しトナー粒子に潤滑性,離型性を与えるこができる。その一方で、潤滑粒子は液体潤滑剤の保持能力を維持した状態でトナー粒子中に存在できる。
【0146】
そのため、液体潤滑剤を過度にトナー粒子表面に移行させることもなくトナーの流動性及び現像性の劣化が防止できる。一方、トナー粒子表面から液体潤滑剤が一部離脱しても潤滑粒子から補充することが可能であるので、トナー粒子の離型性,潤滑性を長期間維持可能である。これらの潤滑担体粒子は、混合機中で液体潤滑剤あるいは任意の溶媒で希釈した溶液の液滴を担体微粒子に吸着させる方法で造粒することができ、溶媒は造粒後揮発させさらに必要に応じ粉砕しても良い。あるいは混練機を用いて担体粒子に液体潤滑剤あるいはその希釈物を加え混練し、必要に応じて粉砕し造粒することができ、溶媒はその後揮発させる方法が用いられる。以上の様な、潤滑担体粒子は結着樹脂100重量部に対し、0.01〜50重量部含有することが好ましく、より好ましくは0.05〜50重量部、特には0.1〜20重量部が良い。0.01重量部未満では添加効果が少なく、50重量部を超える場合では帯電安定性に問題が生じやすい。
【0147】
潤滑担体粒子は多孔質粉体に液体潤滑剤を含浸,内包させたものを用いることができる。
【0148】
多孔質粉体としては、ゼオライト,モレキュラーシーブ,ベントナイトの如き粘土鉱物,酸化アルミニウム,酸化チタン,酸化亜鉛,樹脂ジェルがある。多孔質粉体でも樹脂ジェルの如きトナー製造時の混練工程でその粒子が崩壊するものは、その粒径は限定されない。一方、崩壊困難な多孔質粉体の粒径としては、一次粒径として15μm以下が好ましい。15μmを超える場合ではトナー粒子中への分散が不均一になりやすい。また、液体潤滑剤を含浸する前の多孔質粉体のBET法で測定した窒素吸着により比表面積は10〜50m2/gであるものが好ましい。10m2/g未満では多量の液体潤滑剤を保持することが難しく、50m2/gを超えると細孔径が細かく細孔内に液体潤滑剤が充分に含浸しにくい。多孔質粉体に含浸させる方法としては、多孔質粉体を減圧処理しこれを液体潤滑剤に浸す方法で製造できる。液体潤滑剤を含浸させた多孔質粉体は結着樹脂100重量部に対し、0.1〜20重量部の範囲で混合するのが好ましい。0.1重量部未満では添加効果が少なく、20重量部を超えるとトナーの帯電安定性に問題が生じやすい。これらの他にも、液体潤滑剤を内包するカプセル型潤滑粒子や内部に液体潤滑剤を分散、内包、膨張、含浸させた樹脂粒子も使用できる。
【0149】
本発明に使用する静電潜像担持体は、静電潜像担持体表面の水に対する接触角を85度以上(好ましくは90度以上)とすることが良い。水に対する接触角が85度以上であるとトナー像の転写率が向上し、トナーのフィルミングも生じにくい。
【0150】
静電潜像担持体表面が高分子結着剤を主体として構成される場合に本発明の画像形成方法が特に有効である。例えば、セレン,アモルファスシリコンの如き無機感光層上に樹脂を主体とした、保護膜を設ける場合;機能分離型有機感光層の電荷輸送層として、電荷輸送材と樹脂からなる表面層をもつ場合;さらにその上に上記のような保護層を設ける場合である。このような表面層に離型性を付与する手段としては、次のものが挙げられる。(1)層を構成する樹脂自体に表面エネルギーの低いものを用いる。(2)撥水性,親油性を付与する添加剤を加える。(3)高い離型性を有する材料を粉体状にして分散する。手段(1)の例としては、樹脂の構造中にフッ素含有基、シリコン含有基を導入することにより達成し得る。手段(2)としては、界面活性剤等を添加剤とすればよい。手段(3)としては、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ化カーボンの如き含フッ素化合物の粉体が挙げられる。この中でも特にポリ四フッ化エチレンが好適である。本発明においては、手段(3)の含フッ素樹脂などの離型性粉体の最表面層への分散が特に好適である。
【0151】
これらの粉体を表面に含有させるためには、バインダー樹脂中に該粉体を分散させた層を静電潜像担持体の最表面に設けるか、あるいは、樹脂を主体として構成されている有機感光層であれば、新たに表面層を設けなくても、最上層に該粉体を分散させれば良い。
【0152】
該粉体の表面層への添加量は、表面層総重量に対して、1〜60重量%、さらに好ましくは2〜50重量%が良い。1重量%より少ないと改善効果が少なく、60重量%を超えると膜の強度が低下したり、静電潜像担持体への入射光量が低下したりするため、好ましくない。
【0153】
本発明は、帯電手段が帯電部材を静電潜像担持体に当接させる直接帯電法の場合に特に効果的である。帯電手段が静電潜像担持体に接することのないコロナ放電に比べて、静電潜像担持体表面に対する負荷が大きいので静電潜像担持体の寿命という点で改善効果が顕著である。
【0154】
本発明に用いられる静電潜像担持体の好ましい態様の例を以下に説明する。
【0155】
導電性基体を形成する材料としては、アルミニウム,ステンレスの如き金属;アルミニウム合金,酸化インジウム-酸化錫合金の如き合金の被膜層を有するプラスチック;導電性粒子を含浸させた紙,プラスチック;導電性ポリマーを有するプラスチックが挙げられる。基体としては円筒状シリンダー及びフィルムが用いられる。
【0156】
これら導電性基体上には、感光層の接着性向上,塗工性改良,基体の保護,基体上の欠陥の被覆,基体からの電荷注入性改良,感光層の電気的破壊に対する保護を目的として下引き層を設けても良い。下引き層は、ポリビニルアルコール,ポリ-N-ビニルイミダゾール,ポリエチレンオキシド,エチルセルロース,メチルセルロース,ニトロセルロース,エチレン-アクリル酸コポリマー,ポリビニルブチラール,フェノール樹脂,カゼイン,ポリアミド,共重合ナイロン,ニカワ,ゼラチン,ポリウレタン,酸化アルミニウムの如き材料によって形成される。その膜厚は通常0.1〜10μm、好ましくは0.1〜3μmである。
【0157】
電荷発生層は、アゾ系顔料,フタロシアニン系顔料,インジゴ系顔料,ペリレン系顔料,多環キノン系顔料,スクワリリウム色素,ピリリウム塩類,チオピリリウム塩類,トリフェニルメタン系色素の如き有機材料;セレン,非晶質シリコンの如き無機物質からなる電荷発生物質を適当な結着剤に分散し塗工あるいは蒸着により形成される。結着剤としては、広範囲な結着性樹脂から選択できる。例えば、ポリカーボネート樹脂,ポリエステル樹脂,ポリビニルブチラール樹脂,ポリスチレン樹脂,アクリル樹脂,メタクリル樹脂,フェノール樹脂,シリコーン樹脂,エポキシ樹脂,酢酸ビニル樹脂が挙げられる。電荷発生層中に含有される結着剤の量は80重量%以下、好ましくは0〜40重量%が良い。電荷発生層の膜厚は5μm以下、特には0.05〜2μmが好ましい。
【0158】
電荷輸送層は、電界の存在下で電荷発生層から電荷キャリアを受け取り、これを輸送する機能を有している。電荷輸送層は電荷輸送物質を必要に応じて結着樹脂と共に溶剤中に溶解し、塗工することによって形成される。その膜厚は一般的には5〜40μmである。電荷輸送物質としては、主鎖または側鎖にビフェニレン,アントラセン,ピレン,フェナントレンの如き構造を有する多環芳香族化合物;インドール,カルバゾール,オキサジアゾール,ピラゾリンの如き含窒素環式化合物;ヒドラゾン化合物;スチリル化合物;セレン,セレン-テルル,非晶質シリコン,硫化カドニウムの如き無機化合物が挙げられる。
【0159】
これら電荷輸送物質を分散させる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂,ポリエステル樹脂,ポリメタクリル酸エステル,ポリスチレン樹脂,アクリル樹脂,ポリアミド樹脂の如き樹脂;ポリ-N-ビニルカルバゾール,ポリビニルアントラセンの如き有機光導電性ポリマーが挙げられる。
【0160】
表面層として、保護層を設けてもよい。保護層の樹脂としては、ポリエステル,ポリカーボネート,アクリル樹脂,エポキシ樹脂,フェノール樹脂、あるいはこれらの樹脂を硬化剤で硬化させたものが挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上組み合わされて用いられる。
【0161】
保護層の樹脂中に導電性微粒子を分散してもよい。導電性微粒子の例としては、金属又は金属酸化物の微粒子が挙げられる。好ましくは、酸化亜鉛,酸化チタン,酸化スズ,酸化アンチモン,酸化インジウム,酸化ビスマス,酸化スズ被膜酸化チタン,スズ被膜酸化インジウム,アンチモン被膜酸化スズ,酸化ジルコニウムの如き材料の微粒子がある。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。一般的に保護層に導電性微粒子を分散させる場合、導電性微粒子による入射光の散乱を防ぐために入射光の波長よりも導電性微粒子の粒径の方が小さいことが好ましい。保護層に分散される導電性微粒子の粒径としては0.5μm以下であることが好ましい。保護層中での含有量は、保護層総重量に対して2〜90重量%が好ましく、5〜80重量%がより好ましい。保護層の膜厚は、0.1〜10μmが好ましく、1〜7μmがより好ましい。
【0162】
表面層の塗工は、樹脂分散液をスプレーコーティング,ビームコーティングあるいは浸透コーティングすることによって行うことができる。
【0163】
本発明において一成分現像方法を用いる場合には、高画質を得るためにトナー担持体上にトナー担持体-静電潜像担持体の最近接距離(S-D間)よりも小さい層厚で、磁性トナーを塗布し、交番電界を印加して現像を行う現像工程で現像されることが好ましい。
【0164】
本発明に使用されるトナー担持体の表面粗さは、JIS中心線平均粗さ(Ra)で0.2〜3.5μmの範囲にあることが好ましい。
【0165】
Raが0.2μm未満ではトナー担持体上の帯電量が高くなりやすく、現像性が低下しやすい。Raが3.5μmを超えると、トナー担持体上のトナーコート層にむらが生じやすい。さらに好ましくは、0.5〜3.0μmの範囲にあることが好ましい。
【0166】
さらに本発明の磁性トナーは高い帯電能力を有するために現像に際しては、トナーの総帯電量をコントロールすることが好ましい。トナー担持体の表面は導電性微粒子及び/又は滑剤を分散した樹脂層で被覆されていることが好ましい。
【0167】
トナー担持体表面を被覆する樹脂層に含有される導電性微粒子としては、カーボンブラック、グラファイト、導電性酸化亜鉛の如き導電性金属酸化物及び金属複酸化物が挙げられる。これらは単独もしくは2つ以上好ましく用いられる。該導電性微粒子が分散される樹脂としては、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂の如き樹脂が用いられる。特に熱硬化性もしくは、光硬化性の樹脂が好ましい。
【0168】
トナーは、トナー担持体上のトナーを規制する部材がトナーを介してトナー担持体に当接されている弾性部材によって規制されることが、磁性トナーを均一帯電させる点から特に好ましい。本発明においてはオゾンが発生しないように帯電部材及び転写部材が静電潜像担持体に当接されていることが環境保全上より好ましい。
【0169】
次に、図1を参照しながら本発明の画像形成方法をより具体的に説明する。
【0170】
図1に示す装置システムにおいて、現像器4-1,4-2,4-3,4-4に、それぞれシアントナーを有する現像剤,マゼンタトナーを有する現像剤,イエロートナーを有する現像剤及びブラックトナーを有する現像剤が導入され、磁気ブラシ現像方式又は非磁性一成分現像方式又は磁性ジャンピング現像方式によって、静電潜像担持体としての感光体1に形成された静電潜像を現像し、各色トナー像が感光体1に順次形成される。感光体1はアモルファスセレン,硫化カドミウム,酸化亜鉛,有機光導電体,アモルファスシリコンの様な光導電絶縁物質層を持つ感光ドラムもしくは感光ベルトである。感光体1は図示しない駆動装置によって矢印方向に回転される。感光体1としては、アモルファスシリコン感光層又は有機系感光層を有する感光体が好ましく用いられる。
【0171】
有機感光層としては感光層が電荷発生物質及び電荷輸送性能を有する物質を同一層に含有する単一層型でもよく、又は、電荷輸送層と電荷発生層を成分とする機能分離型感光層であってもよい。導電性基体上に電荷発生層、次いで電荷輸送層の順で積層されている構造の積層型感光層は好ましい例のひとつである。
【0172】
有機感光層の結着樹脂はポリカーボネート樹脂,ポリエステル樹脂,アクリル系樹脂が特にクリーニング性がよく、クリーニング不良,感光体へのトナー融着,フィルミングが起こりにくい。
【0173】
本発明において、帯電工程ではコロナ帯電器を用いる感光体1とは非接触の方式と、帯電ローラー,帯電ブラシ又は帯電ベルトを用いる接触型の方式があり、いずれの方式も用いられる。効率的な均一帯電,シンプル化,低オゾン発生化の為に、図1に示すごとく接触帯電方式が好ましく用いられる。
【0174】
帯電ローラー2は、中心の芯金2bと外周を形成した導電性弾性層2aとを基本構成とするものである。帯電ローラー2は感光体1の表面に押圧力をもって圧接され、感光体1の回転と連係して回転する。
【0175】
帯電ローラー2を用いたときの好ましいプロセス条件としては、帯電ローラー2の当接圧が5〜500g/cmであり、直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いたときには、交流電圧が0.5〜5kVppであり、交流周波数が50〜5kHzであり、直流電圧が±0.2〜±5kVである。
【0176】
この他の帯電手段としては、帯電ブレードを用いる方法や、導電性ブラシを用いる方法がある。これらの接触帯電手段は、高電圧が不要になったり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。
【0177】
接触帯電手段としての帯電ローラー及び帯電ブレードの材質としては、導電性ゴムが好ましく、その表面に離型性被膜を設けてもよい。離型性被膜としては、ナイロン系樹脂,ポリフッ化ビニリデン(PVDF),ポリ塩化ビニリデン(PVDC),フッ素アクリル樹脂などが適用可能である。
【0178】
感光体1上のトナー像は電圧(例えば±0.1〜±5kV)が印加されている中間転写体5に転写される。中間転写体は、図8に示す如く、転写ベルト13及びバイアス手段13aを有するベルト状中間転写体でも良い。中間転写体5はパイプ状の導電性芯金5bとその外周面を形成した中抵抗の弾性層5aからなる。芯金5bはプラスチックの表面に導電層(例えば導電性メッキ)を設けたものでもよい。
【0179】
中抵抗の弾性層5aはシリコーンゴム,テフロンゴム,クロロプレンゴム,ウレタンゴム,エチレンプロピレンジエン3元共重合体(EPDM)などの弾性材料に、カーボンブラック,酸化亜鉛,酸化スズ,炭化硅素のごとき導電性付与剤を配合分散して電気抵抗値(体積抵抗率)を105〜1011Ωcmの中抵抗に調整した、ソリッドあるいは発泡肉質の層である。
【0180】
中間転写体5は感光体1に対して平行に軸受けさせて感光体1の下面部に接触させて配設してあり、感光体1と同じ周速度で矢印の反時計方向に回転する。
【0181】
感光体1の表面上の第1色のトナー像が感光体1と中間転写体5が接する転写ニップ部を通過する過程で中間転写体5に対する印加転写バイアスで転写ニップ部に形成された電界によって中間転写体5上に転写されていく。
【0182】
中間転写体5に対して平行に軸受けさせて中間転写体5の下面部に接触させて転写手段が配設されている。転写手段は例えば転写ローラー7であり、中間転写体5と同じ周速度で矢印の時計方向に回転する。転写ローラー7は直接中間転写体5と接触するように配置されていてもよく、図7に示す如く転写ベルト12が中間転写体5と転写ローラー7との間に接触するように配置されても良い。
【0183】
転写ローラー7は中心の芯金7bとその外周を形成した導電性弾性層7aとを基本構成とするものである。
【0184】
本発明に用いられる中間転写体及び転写手段としては、一般的な材料を用いることが可能である。本発明においては中間転写体の体積固有抵抗値よりも転写部材の体積固有抵抗値をより小さく設定することで転写手段への印加電圧が軽減でき、転写材上に良好なトナー像を形成できると共に転写材の中間転写体への巻き付きを防止することができる。特に中間転写体の弾性層の体積固有抵抗値が転写手段の弾性層の体積固有抵抗値より10倍以上であることが好ましい。
【0185】
中間転写体及び転写手段の硬度は、JIS K-6301に準拠し測定される。本発明に用いられる中間転写体は、10〜40度の範囲に属する弾性層から構成されることが好ましく、一方、転写手段の弾性層の硬度は、中間転写体の弾性層の硬度より硬く41〜80度の値を有するものが中間転写体への転写材の巻き付きを防止する上で好ましい。中間転写体よりも転写手段の硬度が大きいと、中間転写体側に凹部が形成され中間転写体への転写材の巻き付きが防止される。
【0186】
転写ローラー7は中間転写体5と等速度あるいは周速度に差を付けて回転させる。転写材6は中間転写体5と転写ローラー7との間に搬送されると同時に、転写ローラー7にトナーが有する摩擦電荷と逆極性のバイアスを転写バイアス手段から印加することによって中間転写体5上のトナー像が転写材6の表面側に転写される。
【0187】
転写ローラー7の材質としては、帯電ローラーと同様のものも用いることができる。好ましい転写プロセス条件としては、転写ローラー7の当接圧が2.94〜490N/m(3〜500g/cm)であり、より好ましくは19.6N/m〜294N/mであり、直流電圧は±0.2〜±10kVである。
【0188】
当接圧力としての線圧が2.94N/m乃至490N/mであると、転写材の搬送ずれや転写不良の発生が起こりにくい。
【0189】
転写ローラー7の導電性弾性層7aはポリウレタンゴム,EPDMの如き弾性材料に、カーボンブラック,酸化亜鉛,酸化スズ,炭化硅素のごとき導電性付与剤を配合分散して電気抵抗値(体積抵抗率)を106〜1010Ωcmの中抵抗に調整した、ソリッドあるいは発泡肉質の層である。
【0190】
次いで転写材6は、ハロゲンヒータの如き発熱体を内蔵させた加熱ローラーとこれと押圧力をもって圧接された弾性体の加圧ローラーとを基本構成とする定着器11へ搬送され、加熱ローラーと加圧ローラー間を通過することによって転写材に加熱加圧定着される。フィルムを介してヒータにより定着する方法を用いてもよい。
【0191】
【実施例】
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。
【0192】
本発明に用いた電子写真装置を詳しく説明する。
【0193】
図1に実施例1に用いられる電子写真装置の断面図を示す。感光体1は、基材1a上に有機光半導体を有する感光層1bを有し、矢印方向に回転し、接触回転する帯電ローラー2(導電性弾性層2a,芯金2b)により感光体1上に約-600Vの表面電位に帯電させる。露光は、ポリゴンミラーにより感光体1上にデジタル画像情報に応じてオン-オフさせることで露光部電位が-100V,暗部電位が-600Vの静電潜像が形成される。複数の現像器4-1,4-2,4-3,4-4を用い、マゼンタトナー,シアントナー,イエロートナーまたはブラックトナーを感光体1上に反転現像方法を用いてトナー像を形成する。該トナー像は、一色毎に中間転写体5(弾性層5a,支持体としての芯金5b)上に転写され中間転写体5上に4色の色重ね顕色像が形成される。感光体1上の転写残トナーはクリーナー部材8により、残トナー容器9中に回収される。
【0194】
転写効率が高いトナーを使用する場合は、簡単なバイアスローラー又はクリーナー部材のない系であっても良い。
【0195】
中間転写体5は、パイプ状の芯金5b上にカーボンブラックの導電付与部材をニトリル-ブタジエンラバー(NBR)中に十分分散させた弾性層5aをコーティングしてある。該コート層の硬度は、JIS K-6301に準拠し30度で且つ体積固有抵抗値は、109Ω・cmである。感光体1から中間転写体5への転写に必要な転写電流は約5μAであり、これは電源より+2000Vを芯金5b上に付与することで得られる。中間転写体5から転写材6ヘトナー像を転写後に中間転写体表面をクリーナー部材10でクリーニングしてもよい。
【0196】
転写ローラー7は、20mmの芯金7b上にカーボンブラックの導電性付与部材をEPDMの発泡体中に十分分散させたものをコーティングすることにより生成したものである。弾性層7aの体積固有抵抗値が、106Ω・cmで、JIS K-6301基準の硬度が35度の値を示すものを用いた。転写ローラーには電圧を印加して15μAの転写電流を流した。中間転写体5から転写材6にトナーを一括転写させる際の転写ローラー7上の汚染トナーは、クリーニング部材としてファーブラシクリーナーかクリーニング部材レス系が一般的に用いられる。本発明においては、トナーの形状係数を110<SF-1≦180(好ましくは120≦SF-1≦160)、110<SF-2≦140(好ましくは115≦SF-2≦140)とすることで高転写効率のためクリーニング部材レス系を採用することができた。
【0197】
本発明においては現像器4-1,4-2,4-3,4-4は二成分磁気ブラシ現像用現像器、または非磁性一成分現像用現像器でもよい。磁性トナーを用いた磁性一成分ジャンピング現像方式を用いるときは、黒現像器4-4には図2に示すような現像器構成を用いても良い。
【0198】
図2において、感光ドラム100上の静電潜像は撹拌装置141を有する現像器140によって一成分磁性トナーで現像される。現像器140は図2に示すように感光ドラム100に近接してアルミニウム,ステンレスの如き非磁性金属で作られた円筒状のトナー担持体102(以下現像スリーブと称す)が配設され、感光ドラム100と現像スリーブ102との間隙は図示されないスリーブ/ドラム間隙保持部材等により約300μmに維持されている。現像スリーブ内にはマグネットローラー104が現像スリーブ102と同心的に固定、配設されている。但し、現像スリーブ102は回転可能である。マグネットローラー104には図示の如く複数の磁極が具備されており、S1は現像、N1は磁性トナーのコート量規制、S2は磁性トナーの取り込み/搬送、N2は磁性トナーの吹き出し防止の機能を有している。現像スリーブ102に付着して搬送される磁性トナー量を規制する部材として、弾性ブレード103が配設され弾性ブレード103の現像スリーブ102に対する当接圧により現像領域に搬送されるトナー量が現像スリーブ-感光ドラム間(S-D間)よりも小さい層厚に制御される。現像領域では、感光ドラム100と現像スリーブ102との間に直流及び交流現像バイアスが印加され、現像スリーブ上トナーは静電潜像に応じて感光ドラム100上に飛翔し可視像となる。
【0199】
トナー製造例1
・磁性体(磁性酸化鉄粉,平均粒径0.22μm) 100重量部
・スチレン-アクリル酸ブチル-マレイン酸ブチルハーフエステル共重合体(低分子量側ピーク:約5000,ガラス転移点Tg:58℃)
100重量部
・負荷電性制御剤(モノアゾ染料の鉄錯体) 2重量部
・離型剤(低分子量ポリオレフィン) 2重量部
【0200】
上記材料をブレンダーにて混合し、130℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕し、得られた微粉砕物をコアンダ効果を用いた多分割分級機にて厳密に分級して磁性トナー粒子を得た。該磁性トナー粒子を熱機械的衝撃力(処理温度60℃)により表面処理し、得られた磁性トナー粒子100重量部に対し、シリコーンオイルとヘキサメチルジシラザンで疎水化処理された一次粒径12nmの乾式シリカ(処理後のBET比表面積120m2/g)1.8重量部と球状シリカ(BET表面積20m2/g,一次粒径0.1μm)0.5重量部とを添加し、混合機にて混合し磁性トナーAを得た。
【0201】
得られた磁性トナーAの重量平均粒径は6.5μmであり、個数平均粒径は5.3μmであり、SF-1は141であり、SF-2は125であり、BET比表面積は5.3m2/cm3であった。磁性トナー粒子のBET比表面積は1.7m2/cm3であった。得られた磁性トナーAの物性を表1に示す。磁性トナーの粒径はコールターカウンターマルチサイザー(コールター社製)を用いて測定した。
【0202】
トナー製造例2
トナー製造例1において得られた磁性トナー粒子100重量部に対し、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理された一次粒径12nmの乾式シリカ(BET比表面積160m2/g)1.3重量部を添加し、混合機にて混合し磁性トナーBを得た。得られた磁性トナーBの物性を表1に示す。
【0203】
トナー製造例3
・磁性体(平均粒径0.22μm) 90重量部
・スチレンアクリル酸ブチル-マレイン酸ブチルハーフエステル共重合体(低分子量側ピーク:約10000,ガラス転移点Tg:62℃)
100重量部
・負荷電性制御剤(モノアゾ染料の鉄錯体) 2重量部
・離型剤(低分子量ポリオレフィン) 2重量部
【0204】
上記材料を用いること、磁性トナー粒子の熱機械的衝撃による処理温度を64℃とすること、及び無機微粉体としてシリコーンオイルで疎水化された一次粒径8nmの乾式シリカ(BET比表面積100m2/g)を1.8重量部用いること以外はトナー製造例1と同様にして、重量平均粒径7.0μmの磁性トナーCを得た。得られた磁性トナーCの物性を表1に示す。
【0205】
トナー製造例4
無機微粉体としてシリコーンオイルとヘキサメチルジシラザンで疎水化処理された一次粒径12nmの乾式シリカ(BET比表面積120m2/g)1.8重量部と球状シリカ(BET比表面積5m2/g、一次粒径1μm)0.5重量部を使用する以外はトナー製造例1と同様にして、磁性トナーDを得た。得られた磁性トナーDの物性を表1に示す。
【0206】
トナー製造例5,6
無機微粉体としてシリコーンオイルで疎水化された一次粒径約20nmの酸化チタン微粒子(BET比表面積100m2/g)、一次粒径約20nmのアルミナ微粒子(BET比表面積90m2/g)をそれぞれ1.5重量部用いる以外はトナー製造例1と同様にして、磁性トナーE及びFを得た。得られた磁性トナーE及びFの物性を表1に示す。
【0207】
トナー製造例7(比較製造例)
トナー製造例1において熱機械的衝撃による表面処理を行わなかった以外は同様にして磁性トナーGを得た。得られた磁性トナーGの物性を表1に示す。
【0208】
トナー製造例8
・磁性体(平均粒径0.24μm) 110重量部
・ポリエステル樹脂(低分子量側ピーク:約7000,ガラス転移点Tg:63℃)
100重量部
・負荷電性制御剤(モノアゾ染料のクロム錯体) 2重量部
・離型剤(低分子量ポリオレフィン) 2重量部
【0209】
上記材料を用いること、及びトナー粒子の熱機械的衝撃による処理温度を64℃とすること以外はトナー製造例1と同様にして、重量平均粒径6.7μmの磁性トナーHを得た。得られた磁性トナーHの物性を表1に示す。
【0210】
トナー製造例9(比較製造例)
・磁性体(平均粒径0.22μm) 60重量部
・スチレン-アクリル酸ブチル共重合体(低分子量側ピーク:約18000,ガラス転移点Tg:71℃)
100重量部
・負荷電性制御剤(モノアゾ染料の鉄錯体) 2重量部
・離型剤(低分子量ポリオレフィン) 2重量部
【0211】
上記材料をブレンダーにて混合し、130℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕し、得られた微粉砕物をコアンダ効果を用いた多分割分級機にて厳密に分級して磁性トナー粒子を得た。得られた磁性トナー粒子100重量部に対し、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理された一次粒径約16nmの乾式シリカ(処理後のBET比表面積100m2/g)0.4重量部を添加し、混合機にて混合し磁性トナーIを得た。得られた磁性トナーIの重量平均粒径は12μmであった。得られた磁性トナーIの物性を表1に示す。
【0212】
トナー製造例10(比較製造例)
無機微粉体をトナー粒子に外添しない以外はトナー製造例1と同様にして、磁性トナーJを得た。得られた磁性トナーJの物性を表1に示す。
【0013】
トナー製造例11〜14(非磁性トナーの製造例)
高速撹拌装置TK-ホモミキサーを備えた2リットル用四つ口フラスコ中に、イオン交換水710重量部と0.1モル/リットル-Na3PO4水溶液450重量部を添加し回転数を12000rpmに調整し、65℃に加温せしめた。ここに1.0モル/リットル-CaCl2水溶液68重量部を徐々に添加し、微小な難水溶性分散剤Ca3(PO4)2を含む水系分散媒体を調製した。
【0214】
・スチレン単量体 165重量部
・n-ブチルアクリレート単量体 35重量部
・ジビニルベンゼン単量体 0.5重量部
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 14重量部
・飽和ポリエステル樹脂(テレフタール酸-プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA,酸価15mgKOH/g)
10重量部
・負荷電性制御剤(ジアルキルサチリル酸金属化合物) 2重量部
・離型剤(エステルワックス) 40重量部
【0215】
上記材料をアトライターを用い3時間分散させた後、重合開始剤である2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)10重量部を添加した重合性単量体組成物を水系分散媒体中に投入し回転数12000rpmを維持しつつ15分間造粒した。その後高速撹拌器からプロペラ撹拌羽根に撹拌器を変え内温を80℃に昇温させ50rpmで重合を10時間継続させた。重合終了後スラリーを冷却し、希塩酸を添加し分散剤を除去せしめた。
【0216】
更に洗浄し乾燥を行い、重量平均径は6.2μmであり、SF-1が107であり、SF-2が115の非磁性の負荷電性シアントナー粒子を得た。得られたシアントナー粒子100重量部に、シリコーンオイルで疎水化した一次粒径約20nmの酸化チタン微粒子(BET比表面積100m2/g)を2.0重量部外添し、流動性に優れたシアントナーKを得た。
【0217】
その他のイエロートナー,マゼンタトナー,黒色トナーは、着色剤をC.I.ピグメントイエロー17,C.I.ピグメントレッド202,グラフトカーボンブラックに変え同様の方法で各色トナー(イエロートナーL,マゼンタトナーM,及び黒色トナーN)を得た。上記4色のトナーと平均粒径約50μmのシリコーン樹脂コート磁性フェライトキャリヤをそれぞれ6:94の重量比で混合して各色の磁気ブラシ現像用二成分現像剤を調製した。各色トナーの物性を表1に示す。
【0218】
トナー製造例15〜18(非磁性トナーの製造例)
・ポリエステル樹脂(低分子量側ピーク:6000,ガラス転移点Tg:55℃)
100重量部
・着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 7重量部
・負荷電性制御剤(ジアルキルサリチル酸金属化合物) 2重量部
【0219】
上記組成物をエクストルーダーを用い十分溶融混練後、冷却した混練物を機械的に粗粉砕し、粗砕物をジェット流を用い衝突板に衝突させて微粉砕し、更にコアンダ効果を用いた気流分級機で微粉砕物を分級し、重量平均径が7.9μmであり、SF-1が170であり、SF-2が157の粉砕法の非磁性の負荷電性シアントナー粒子を得た。得られたシアントナー粒子100重量部に、イソブチルトリメトキシシランで疎水化した一次粒径約20nmの酸化チタン微粒子(BET比表面積100m2/g)を2重量部外添し流動性に優れたシアントナーOを得た。
【0220】
その他のイエロートナー,マゼンタトナー,黒色トナーは、着色剤をC.I.ピグメントイエロー17,C.I.ピグメントレッド202,グラフトカーボンブラックに変え同様の方法で粉砕法のイエロートナーP,マゼンタトナーQ及び黒色トナーRを得た。上記4色のトナーと平均粒径約50μmのシリコーン樹脂コート磁性フェライトキャリヤをそれぞれ5:95の重量比で混合して各色の磁気ブラシ現像用二成分現像剤を調製した。得られた各色トナーの物性を表1に示す。
【0221】
トナー製造例19〜22(非磁性トナーの製造例)
トナー製造例15〜18で得られた各色のトナー粒子を熱機械的衝撃力(処理温度60℃)によって表面処理した後、トナー粒子100重量部に対し、イソブチルトリメトキシシランとシリコーンオイルで疎水化した一次粒径約20nmの酸化チタン微粒子(BET比表面積100m2/g)を2重量部外添し、シアントナーS,イエロートナーT,マゼンタトナーU及び黒色トナーVを得た。上記4色の色トナーと平均粒径約50μmのシリコーン樹脂コート磁性フェライトキャリヤをそれぞれ5:95の重量比で混合して各色の磁気ブラシ現像用二成分現像剤を調製した。得られた各色トナーの物性を表1に示す。
【0222】
トナー製造例23
トナー製造例1において、シリコーンオイルとヘキサメチルジシラザンで疎水化処理した一次粒径12nmの乾式シリカ(処理後のBET比表面積120m2/g)1.8重量部とヘキサメチルジシラザンで処理された一次粒径40nmの乾式シリカ(処理後のBET比表面積40m2/g)0.5重量部とする以外は同様にして、磁性トナーWを得た。得られた磁性トナーWの物性を表1に示す。
【0223】
【表1】

【0224】
感光体製造例1
感光体としては直径62mmのアルミニウムシリンダーを基体とした。これに、図3及び下記に示すような構成の層を順次浸漬塗布により積層して、感光体を作製した。
【0225】
(1)導電性被覆層:酸化錫及び酸化チタンの粉末をフェノール樹脂に分散したものを主体とする。膜厚は15μmであった。
【0226】
(2)下引き層:変性ナイロン及び共重合ナイロンを主体とする。膜厚は0.6μmであった。
【0227】
(3)電荷発生層:長波長域に吸収を持つアゾ顔料をブチラール樹脂に分散したものを主体とする。膜厚は0.6μmであった。
【0228】
(4)電荷輸送層:ホール搬送性トリフェニルアミン化合物をポリカーボネート樹脂(オスワルド粘度法による分子量2万)に8:10の重量比で溶解したものを主体とし、さらにポリ四フッ化エチレン粉体(粒径0.2μm)を総固形分に対して10重量%添加し、均一に分散したものを使用した。膜厚は25μmであり、水に対する接触角は95度であった。
【0229】
接触角の測定は純水を用い、装置は協和界面科学(株)、接触角計CA-DS型を用いた。
【0230】
感光体製造例2
感光体製造例1でポリ四フッ化エチレン粉体を添加しないで同様に感光体を作製した。水に対する接触角は74度であった。
【0231】
感光体製造例3
感光体は、電荷発生層までは感光体製造例1と同様にして作製した。電荷輸送層は、ホール搬送性トリフェニルアミン化合物をポリカーボネート樹脂に10:10の重量比で溶解したものを用いた。膜厚は20μmであった。さらにその上に保護層として、同じ材料を5:10の重量比で溶解した組成物にポリ四フッ化エチレン粉体(粒径0.2μm)を総固形分に対して30重量%添加し、均一に分散したものを用い、電荷輸送層の上にスプレーコートした。膜厚は5μmであり、水に対する接触角は102度であった。
【0232】
実施例1
一次帯電ローラーとしてナイロン樹脂で被覆された導電性カーボンを分散したゴムローラー(直径12mm,当接圧50g/cm)を使用し、静電潜像担持体として感光体製造例3のOPC感光ドラムを用いレーザー露光(600dpi)により暗部電位VDを-600Vとし、明部電位VLを-100Vとしたデジタル潜像を形成した。黒色現像器には図2の構成のものを、図1の現像器4-4の位置で用い、黒色トナー用担持体として下記の構成の層厚約7μm,JIS中心線平均粗さ(Ra)2.2μmの樹脂層を、表面をブラストした直径16mmのステンレス円筒上に形成した現像スリーブを使用した。
【0233】
・フェノール樹脂 100重量部
・グラファイト(粒径約7μm) 90重量部
・カーボンブラック 10重量部
【0234】
次いで、OPC感光ドラムと現像器4-4の該現像スリーブとの間隙(S-D間)を300μmとし現像磁極80mT(800ガウス)、トナー規制部材として厚み1.0mm,自由長10mmのウレタンゴム製ブレードを14.7N/m(15g/cm)の線圧で当接させた。現像バイアスとして直流バイアス成分Vdc=-450V,重畳する交流バイアス成分Vpp=1200V,f=2000Hzを用いた。
【0235】
OPC感光ドラムのクリーニングブレードとして厚み2.0mm,自由長8mmのウレタンゴム製ブレードを24.5N/m(25g/cm)の線圧で当接させた。プロセススピードは94mm/secとし、現像スリーブの周速Vtと感光体周速Vの比Vt/Vを1.5として順方向に回転させた。黒色トナーとしてはトナー製造例1の磁性トナーAを使用した。
【0236】
マゼンタトナー,シアントナーおよびイエロートナーはトナー製造例19〜21のトナーS,T又はUを使用して調製された二成分現像剤を用い、それぞれ図1に示す現像器4-1,4-2,4-3に導入し磁気ブラシ現像法により前述の画像形成条件で、23℃,65%RH環境下で各色トナーのトナー像を反転現像方法により形成した。OPC感光ドラム1から各色トナー像をOPC感光体と圧接している中間転写体5に逐次転写し、中間転写体5上の4色のトナー像を、転写電流として+6μAがドラムに流れるように転写ローラー7に電圧を印加して、秤量75g/m2の転写材(普通紙)を中間転写体へ転写ローラー7により押圧しながら転写し、次いで転写材上の4色トナー像を加熱加圧定着手段11により熱定着をおこなってフルカラー画像を作成した。
【0237】
この時のOPC感光ドラム1から中間転写体5への各色トナーの転写効率は95〜98%であり、中間転写体5から転写材6への転写効率は95〜98%となり、総合的にも90.3〜96.0%と高い転写効率を示し、トナー像は混色性に優れ、転写中抜けもなく、画像上に飛び散りのない良好なフルカラー画像が得られた。
【0238】
本発明において飛び散りの評価は、グラフィカルな画像の画質に関わる微細な細線での飛び散り評価であり、より飛び散りやすい100μm幅ラインでの飛び散り評価である。
【0239】
転写中抜けの評価は、秤量199g/m2の転写材(普通紙)で行った(秤量199g/m2の転写紙においても通紙可能で、良好な画像が得られた。)。
【0240】
転写性はベタ黒の感光体上のトナー像、中間転写体上の転写トナー像及び転写材上の転写トナー像をマイラーテープにより、テーピングしてはぎ取り、紙上に貼ったもののマクベス濃度から、テープのみを貼ったもののマクベス濃度を差し引いた数値で評価した。
【0241】
実施例2
黒色トナーとしてトナー製造例2の磁性トナーBを用い、静電潜像担持体として感光体製造例1のOPC感光ドラムを使用した以外は実施例1と同様にして画出しを行った。
【0242】
この時のOPC感光ドラム1から中間転写体5への各色トナーの転写効率は94〜97%であり、中間転写体5から転写材6への転写効率は93〜97%となり、総合的にも87.4〜94.1%と高い転写効率を示し、文字やラインの転写中抜けもなく、画像上に飛び散りのない良好な画像が得られた。
【0243】
比較例1
黒色トナーとしてトナー製造7の磁性トナーG(SF-2=151)を、色トナーとしてトナーO,P及びQを使用する以外は、実施例2と同様にして画出しを行った。その結果、OPC感光ドラム1から中間転写体5への転写効率は85〜90%であり、中間転写体5から転写材6への転写効率は80〜85%となり、合計で68〜76.5%とトナーの利用効率が低かった。やや文字やラインの転写中抜けが発生した。
【0244】
比較例2
黒色トナーとしてトナー製造例9の磁性トナーI(SF-2=150)を使用し、静電潜像担持体として感光体製造例2のOPC感光ドラムを使用した以外は実施例1と同様にして画出しを行った。その結果、OPC感光ドラムから中間転写体への転写効率は82〜86%であり、中間転写体から転写材への転写効率は78〜82%となり、合計で64〜70.5%と実施例1に比べ転写効率悪く、やや文字やラインの転写中抜けが多く、飛び散りが多い画像であった。
【0245】
比較例3
黒色トナーとして磁性トナーAのかわりに磁性トナーJ(無機微粉体未外添)を使用する以外は実施例1と同様に行った。その結果、各転写効率が70%未満と低く、総合でも50%未満であった。また、ラインが細く、文字やラインの転写中抜けの多い、飛び散った貧弱な画像であった。
【0246】
実施例3〜6
黒磁性トナー用現像スリーブとして下記の構成の層厚約7μm、JIS中心線平均粗さ(Ra)1.5μmの樹脂層を、表面をブラストした直径16mmのステンレス円筒上に形成した現像スリーブを使用した。
【0247】
・フェノール樹脂 100重量部
・グラファイト(粒径約3μm) 45重量部
・カーボンブラック 5重量部
【0248】
この現像スリーブと、黒色トナーとしてトナー製造例3〜6の磁性トナーC,D,E又はFを使用し、現像バイアスとして直流バイアス成分Vdc=-500V,重畳する交流バイアス成分Vpp=1100V,f=2000Hzとし、現像スリーブの周速Vtと感光体周速の比率Vt/Vを2.0として順方向に回転させる以外は実施例1と同様にして画出しを行った。その結果、磁性トナーC及びDでは実施例1と同様に転写効率のよく、文字やラインの転写中抜けもなく、画像上に飛び散りのない良好な画像が得られた。また、磁性トナーE及びFではやや濃度が薄く、転写効率は実施例1よりやや低かったものの、実用上問題なかった。実施例1と同様に文字やラインの転写中抜けもなく、画像上に飛び散りのない画像が得られた。
【0249】
実施例7
黒色トナーとしてトナー製造例8の磁性トナーHを使用し、現像バイアスとして直流バイアス成分Vdc=-450V,重畳する交流バイアス成分Vpp=1300V,f=2000Hzとする以外は実施例1と同様にして画出しを行なった。実施例1と同様に転写効率のよい、文字やラインの転写中抜けもなく、画像上に飛び散りのない良好な画像が得られた。
【0250】
実施例8
黒色トナーとしてトナー製造例22の非磁性ブラックトナーVを用いて二成分磁気ブラシ現像を行った以外は実施例2と同様の装置,条件で画出しを行なった。その結果、実施例2と同様に、転写効率のよい、文字やラインの転写中抜けもなく、画像上に飛び散りのない良好な画像が得られた。
【0251】
実施例9
カラートナーとしてトナー製造例11〜14のトナーK,L,Mを用いた以外は実施例1と同様の装置,条件で画出しを行なった。その結果、実施例1と同様に、転写効率のよい、文字やラインの転写中抜けもなく、画像上に飛び散りのない良好な画像が得られた。
【0252】
比較例4
中間転写体を用いない市販のフルカラー複写機(CLC-500)で比較例1で用いた四色のカラートナーを用い画出し試験を行った。秤量105g/m2の転写紙においては、転写ドラム表面に転写紙をグリッパー等の補助手段を用いて吸着させ、転写紙上に順次トナーを4回転写させ、転写紙上の4色トナー像を加熱加圧ローラー定着したところ高画質のフルカラー画像を得ることができた。しかしながら、比較例1よりもさらに秤量199g/m2の転写紙においては、転写紙の地合ムラに基づいた部分的な不均一転写不良を起こすと共に転写ドラムへの転写紙の吸着不良を招き、更に転写紙後端が転写ドラムから吸着不良を起こし転写不良を起こした。
【0253】
比較例5
トナーとしてトナー製造例15〜18のトナーO,P,Q又はRを使用して調製した現像剤を用いて行う以外は、比較例1と同様の装置及び条件で画出しを行った。その結果、比較例1と同様に合計の転写効率が85%未満であり、また、やや文字やラインの中抜けが目立つ画像であった。
【0254】
比較例6
黒色トナーとしてトナー製造例14の非磁性トナーNを使用して調製した磁気ブラシ現像用二成分現像剤を用いて行う以外は、比較例5と同様の装置及び条件で画出しを行った。その結果、比較例1と同様に合計の転写効率が85%未満であり、また、やや文字やラインの中抜けが目立つ画像であった。
【0255】
実施例10
黒トナーとしてトナー製造例23の磁性トナーWを用いる以外は実施例1と同様に行った。この時のOPC感光ドラム1から中間転写体5への各色の転写効率は95〜98%であり、中間転写体5から転写材6への転写効率は94〜97%となり、総合的にも89.3〜95.1%と高い転写効率を示し、文字やラインの転写中抜けもなく、画像上に飛び散りのない良好な画像が得られた。
【0256】
液体潤滑剤担持磁性体の製造例
磁性酸化鉄(平均粒径0.22μm)100重量部に対し、液体潤滑剤の所定量をシンプソンミックスマーラー(MPVU-2松本鋳造社製)に投入し、室温にて30分間作動させた後、さらにハンマーミルによりほぐし処理を加えて液体潤滑剤を担持した磁性体(a)を得た。同様にして、各種液体潤滑剤を磁性体に担持させた。得られた液体潤滑剤を担持した磁性体(a)〜(f)の物性値を表2に示す。
【0257】
【表2】

【0258】
液体潤滑剤担持潤滑微粒子の製造例
液体潤滑剤を担持させる担体微粒子(シリカ)をヘンシェルミキサー中で攪拌しつつ、液体潤滑剤をn-ヘキサンで希釈したものを滴下した。滴下終了後攪拌しつつ減圧し、n-ヘキサンを除去し、次いでハンマーミルで粉砕し液体潤滑剤を担持した潤滑微粒子(a)を得た。同様にして、各種液体潤滑剤を各種担体微粒子に担持させた。得られた液体潤滑剤を担持した潤滑粒子(a)〜(d)の物性値を表3に示す。
【0259】
【表3】

【0260】
トナーの製造例24
・磁性体(a) 100重量部
・スチレン-アクリル酸ブチル-マレイン酸ブチルハーフエステル共重合体(低分子量側ピーク:約5000,ガラス転移点Tg:58℃)
100重量部
・負荷電性制御剤(モノアゾ染料の鉄錯体) 2重量部
・離型剤(低分子量ポリオレフィン) 2重量部
【0261】
上記材料をブレンダーにて混合し、130℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕し、得られた微粉砕物をコアンダ効果を用いた多分割分級機にて厳密に分級して磁性トナー粒子を得た。該磁性トナー粒子を熱機械的衝撃力(処理温度60℃)により表面処理し、得られた磁性トナー粒子100重量部とヘキサメチルジシラザンで疎水化処理された一次粒径12nmの乾式シリカ(処理後のBET比表面積160m2/g)1.8重量部と球状シリカ(BET表面積20m2/g,一次粒径0.1μm)0.5重量部とを、混合機にて混合し磁性トナー1を得た。
【0262】
得られた磁性トナー1の重量平均粒径は6.5μmであり、個数平均粒径は5.3μmであり、SF-1は142であり、SF-2は126であり、BET比表面積は5.3m2/cm3であった。磁性トナー粒子のBET比表面積は1.7m2/cm3であった。得られた磁性トナー1の物性を表4に示す。
【0263】
トナー製造例25
トナー製造例24において磁性体(a)に代えて磁性体(b)を用いること、及び無機微粉体としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理された一次粒径12nmの乾式シリカ(BET比表面積160m2/g)を1.3重量部用いること以外はトナー製造例24と同様にして磁性トナー2を得た。得られた磁性トナー2の物性を表4に示す。
【0264】
トナー製造例26
・磁性体(c) 90重量部
・スチレン-アクリル酸ブチル-マレイン酸ブチルハーフエステル共重合体(低分子量側ピーク:約10000,ガラス転移点Tg:62℃)
100重量部
・負荷電性制御剤(モノアゾ染料の鉄錯体) 2重量部
・離型剤(低分子量ポリオレフィン) 2重量部
【0265】
上記材料を用いること、磁性トナー粒子の熱機械的衝撃による処理温度を64℃とすること、及び無機微粉体としてヘキサメチルジシラザンで疎水化された一次粒径8nmの乾式シリカ(処理後のBET比表面積180m2/g)を1.8重量部用いること以外はトナー製造例24と同様にして、磁性トナー3を得た。得られた磁性トナー3の物性を表4に示す。
【0266】
トナー製造例27
トナー製造例24において磁性体(a)に代えてそれぞれ磁性体(d)を用いることの他はトナー製造例24と同様にして磁性トナー4を得た。磁性トナー4の物性を表4に示す。
【0267】
トナー製造例28
・磁性体(a) 110重量部
・ポリエステル樹脂(低分子量側ピーク:約7000,ガラス転移点Tg:62℃)
100重量部
・負荷電性制御剤(モノアゾ染料のクロム錯体) 2重量部
・離型剤(低分子量ポリオレフィン) 2重量部
【0268】
上記材料を用いること、及びトナー粒子の熱機械的衝撃による処理温度を64℃とすること以外はトナー製造例24と同様にして、磁性トナー5を得た。得られた磁性トナー5の物性を表4に示す。
【0269】
トナー製造例29
・ポリエステル樹脂(低分子量側ピーク:約6000,ガラス転移点Tg:55℃)
100重量部
・着色剤(カーボンブラック) 7重量部
・潤滑粒子(a) 4重量部
・負荷電性制御剤(ジアルキルサリチル酸金属化合物) 2重量部
【0270】
上記組成物をエクストルーダーを用い十分溶融混練後、冷却した混練物を機械的に粗粉砕し、粗砕物をジェット流を用い衝突板に衝突させて微粉砕し、更にコアンダー効果を用いた気流分級機で微粉砕物を分級して黒色トナー粒子を得た。該トナー粒子を熱機械的衝撃力(処理温度60℃)によって表面処理した後、トナー粒子100重量部に、イソブチルトリメトキシシランで疎水処理した一次粒径約20nmの酸化チタン微粒子(BET比表面積130m2/g)を2重量部外添し、流動性に優れた非磁性黒色トナー6を得た。上記トナー6と平均粒径約50μmのシリコーン樹脂コート磁性フェライトキャリヤを5:95の重量比で混合して二成分現像剤を調製した。得られたトナー6の物性を表4に示す。
【0271】
トナー製造例30〜32
トナー製造例29において潤滑粒子(a)に代えて潤滑粒子(b),(c)又は(d)を用い、熱機械的衝撃力による表面処理条件を変えることの他はトナー製造例29と同様にしてトナー7,8,9を得た。得られたトナー7,8,9の物性を表4に示す。
【0272】
トナー製造例33
・ポリエステル樹脂(低分子量側ピーク:約6000,ガラス転移点Tg:55℃)
100重量部
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 7重量部
・潤滑粒子(a) 4重量部
・負荷電性制御剤(ジアルキルサリチル酸金属化合物) 2重量部
【0273】
上記組成物をエクストルーダーを用い十分溶融混練後、冷却した混練物を機械的に粗粉砕し、粗砕物をジェット流を用い衝突板に衝突させて微粉砕し、更にコアンダー効果を用いた気流分級機で微粉砕物を分級してシアントナー粒子を得た。次いで該シアントナー粒子を熱機械的衝撃力(処理温度60℃)によって表面処理した後、得られたシアントナー粒子100重量部に疎水化処理した一次粒径約20nmの酸化チタン微粒子(BET比表面積100m2/g)を2重量部外添し流動性に優れたシアン色のトナー10を得た。
【0274】
トナー製造例34
トナー製造例33において、着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:3の代わりにイエロー着色剤(C.I.ピグメントイエロー17)を用い、潤滑粒子(a)の代わりに潤滑粒子(b)を用いることの他はトナー製造例33と同様にしてイエロー色のトナー11を得た。
【0275】
トナー製造例35及び36
トナー製造例33において、着色剤および潤滑粒子をそれぞれマゼンタ着色剤(C.I.ピグメントレット202)と潤滑粒子(c)としてマゼンタ色のトナー12を、またトナー製造例33において、着色剤および潤滑粒子をそれぞれグラフトカーボンブラックと潤滑粒子(d)として黒色のトナー13を得た。
【0276】
トナー製造例37(比較例)
トナー製造例24において、熱機械的衝撃力によって表面処理を行わないこと以外はトナー製造例24と同様にしてSF-2が152の磁性トナー14を得た。得られた磁性トナー14の物性を表4に示す。
【0277】
トナー製造例38(比較例)
無機微粉体をトナー粒子に添加しない以外はトナー製造例24と同様にして、磁性トナー15を得た。得られた磁性トナー15の物性を表4に示す。
【0278】
トナー製造例39(比較例)
トナー製造例29において、潤滑粒子(a)に代えて潤滑粒子(e)4重量部を用い、熱機械的衝撃力によって表面処理を行わないことの他はトナー製造例29と同様にしてSF-2が158のトナー16を得た。上記トナーと平均粒径約50μmの樹脂コートフェライトキャリヤをそれぞれ5:95の重量比で混合して二成分現像剤を調製した。得られたトナー16の物性を表4に示す。
【0279】
トナー比較製造例40〜43(比較例)
・ポリエステル樹脂(低分子量側ピーク:約6000,ガラス転移点Tg:55℃)
100重量部
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 7重量部
・潤滑粒子(e) 4重量部
・負荷電性制御剤(ジアルキルサリチル酸金属化合物) 2重量部
【0280】
上記組成物をエクストルーダーを用い十分溶融混練後、冷却した混練物を機械的に粗粉砕し、粗砕物をジェット流を用い衝突板に衝突させて微粉砕し、更にコアンダ効果を用いた気流分級機で微粉砕物を分級し、重量平均径が7.9μmであり、SF-1が170であり、SF-2が157の粉砕法のシアントナー粒子を得た。得られたシアントナー粒子100重量部にイソブチルトリメトキシシランで疎水化した一次粒径約20nmの酸化チタン微粒子(BET比表面積130m2/g)を2重量部外添し、SF-2が159のシアン色のトナー17を得た。
【0281】
イエロートナー,マゼンタトナー,黒色トナーは、着色剤をC.I.ピグメントイエロー17,C.I.ピグメントレッド202,グラフトカーボンブラックに変え同様の方法で粉砕法のイエロー色のトナー18,マゼンタ色のトナー19及び黒色のトナー20を得た。上記4色のトナーと平均粒径約50μmのシリコーン樹脂コート磁性フェライトキャリヤをそれぞれ5:95の重量比で混合して二成分現像剤を調製した。
【0282】
トナー製造例44
トナー製造例24において、無機微粉体をヘキサメチルジシラザンで疎水化処理された一次粒径12nmの乾式シリカ(処理後のBET比表面積160m2/g)1.8重量部とヘキサメチルジシラザンで疎水化処理された一次粒径40nmの乾式シリカ(処理後のBET比表面積40m2/g)0.5重量部とすることの他は製造例24と同様にして磁性トナー21を得た。
【0283】
得られたトナーの物性を表4に示す。
【0284】
【表4】

【0285】
実施例11
一次帯電ローラーとしてナイロン樹脂で被覆された導電性カーボンを分散したゴムローラー(直径12mm,当接圧50g/cm)を使用し、静電潜像担持体として感光体製造例3のOPC感光ドラム3を用いレーザー露光(600dpi)により暗部電位VD=-600V,明部電位VL=-100Vのデジタル潜像を形成した。黒現像器には図2の構成のものを、図1の現像器4-4の位置で用い、黒トナー用担持体として下記の構成の層厚約7μm,JIS中心線平均粗さ(Ra)2.2μmの樹脂層を、表面をブラストした直径16mmのステンレス円筒上に形成した現像スリーブを使用した。
【0286】
・フェノール樹脂 100重量部
・グラファイト(粒径約7μm) 90重量部
・カーボンブラック 10重量部
【0287】
次いで、OPC感光ドラムと現像器4-4の該現像スリーブとの間隙(S-D間)を300μmとし現像磁極80mT(800ガウス)、トナー規制部材として厚み1.0mm,自由長10mmのウレタンゴム製ブレードを14.7N/m(15g/cm)の線圧で当接させた。現像バイアスとして直流バイアス成分Vdc=-450V,重畳する交流バイアス成分Vpp=1200V,f=2000Hzを用いた。
【0288】
OPC感光ドラムのクリーニングブレードとして厚み2.0mm,自由長8mmのウレタンゴム製ブレードを24.5N/m(25g/cm)の線圧で当接させた。プロセススピードは94mm/secとし、現像スリーブの周速Vtと感光体周速Vの比Vt/Vを1.5として順方向に回転させた。黒トナーとしてはトナー製造例24の磁性トナー1を使用した。
【0289】
マゼンタトナー,シアントナーおよびイエロートナーはトナー製造例33〜35のトナー10,11,12を使用した二成分現像剤を用い、それぞれ図1に示す現像器4-1,4-2,4-3に導入し磁気ブラシ現像法により前述の画像形成条件で、23℃,65%RH環境下で各色トナーのトナー像を反転現像方法で形成した。感光体1から各色トナー像を逐次中間転写体5に転写し、中間転写体5上の4色のトナー像を、転写電流として+6μAがドラムに流れるように転写ローラーに電圧を印加して、秤量75g/m2の転写材(普通紙)へ転写し、転写材上の4色トナー像を加熱加圧定着手段により熱定着をおこなった。
【0290】
この時の感光体1から中間転写体5への各色トナーの転写効率は95〜98%であり、中間転写体5から転写材6への転写効率は95〜98%となり、総合的にも90〜96%と高い転写効率を示し、混色性に優れ、転写中抜けもなく、画像上に飛び散りのない良好な画像が得られた。
【0291】
実施例12
黒色トナーとしてトナー製造例25のトナー2を用い、静電潜像担持体として感光体製造例1のOPCドラムを使用した以外は実施例11と同様にして画出しを行った。
【0292】
この時のOPC感光ドラム1から中間転写体5への各色トナーの転写効率は95〜98%であり、中間転写体5から転写材6への転写効率は95〜98%となり、総合的にも90〜96%と高い転写効率を示し、文字やラインの転写中抜けもなく、画像上に飛び散りのない良好な画像が得られた。
【0293】
比較例7
黒色トナーとしてトナー製造例37のトナー14(SF-2=152)を、色トナーとしてトナー17,18,19を使用する以外は、実施例12と同様にして画出しを行った。その結果、感光体1から中間転写体5への転写効率は85〜91%であり、中間転写体5から転写材6への転写効率は80〜86%となり、合計で68〜78%とトナーの利用効率が低かった。また、やや文字やラインの転写中抜けが目立つ画像であった。
【0294】
比較例8
黒色トナーとして磁性トナー1のかわりに磁性トナー15(無機微粉体未外添)を使用する以外は比較例7と同様に行った。その結果、各転写効率が70%未満と低く、総合でも50%未満であった。また、ラインが細く、文字やラインの転写中抜けの多い、飛び散った貧弱な画像であった。
【0295】
実施例13〜16
磁性トナー担持体として下記の構成の層厚約7μm、JIS中心線平均粗さ(Ra)1.5μmの樹脂層を、表面をブラストした直径16mmのステンレス円筒上に形成した現像スリーブを作製した。
【0296】
・フェノール樹脂 100重量部
・グラファイト(粒径約3μm) 45重量部
・カーボンブラック 5重量部
【0297】
この現像スリーブと黒色トナーとしてトナー製造例26及び27の磁性トナー3及び4を使用し、現像バイアスとして直流バイアス成分Vdc=-500V,重畳する交流バイアス成分Vpp=1100V,f=2000Hzとし、現像スリーブの周速Vtと感光体周速の比率Vt/Vを2.0として順方向に回転させる以外は実施例11と同様にして画出しを行った。その結果、磁性トナー3,4では実施例11と同様に転写効率のよい、文字やラインの転写中抜けもなく、画像上に飛び散りのない良好な画像が得られた。
【0298】
実施例17
黒色トナーとしてトナー製造例28の磁性トナー5を使用し、現像バイアスとして直流バイアス成分Vdc=-450V,重畳する交流バイアス成分Vpp=1300V,f=2000Hzとする以外は実施例11と同様にして画出しを行ない、実施例11と同様に転写効率のよい、文字やラインの転写中抜けもなく、画像上に飛び散りのない良好な画像が得られた。
【0299】
実施例18
黒色トナーとしてトナー製造例36の黒色トナー13を用いて二成分磁気ブラシ現像を行った以外は実施例12と同様にして画出しを行なった。その結果、実施例12と同様に、転写効率のよい、文字やラインの転写中抜けもなく、画像上に飛び散りのない良好な画像が得られた。
【0300】
実施例19〜22
黒色トナーとしてトナー製造例29〜32のトナー6,7,8,9を用いた以外は実施例18と同様にして画出しを行なった。その結果、実施例18と同様に、転写効率のよい、文字やラインの転写中抜けもなく、画像上に飛び散りのない良好な画像が得られた。トナー9では転写効率がやや悪かったものの、実用上は問題なくほぼトナー6,7,8と同様な良好な画像が得られた。
【0301】
比較例9
トナーとしてトナー製造例40〜43のトナー17,18,19,20を使用して調製した現像剤を用いて行う以外は、比較例7と同様の装置及び条件で画出しを行った。その結果、比較例7と同様に合計の転写効率が85%未満であり、また、やや文字やラインの中抜けが目立つ画像であった。
【0302】
比較例10
トナーとしてトナー製造例39のトナー16を使用して調製した現像剤を用いて二成分現像を行う以外は、比較例9と同様の装置及び条件で画出しを行った。その結果、比較例7と同様に合計の転写効率が85%未満であり、また、やや文字やラインの中抜けが目立つ画像であった。
【0303】
実施例23
トナーとしてトナー製造例44のトナー21を用いること以外は実施例11と同様にして画出しを行った。この時の感光体3から中間転写体5への各色トナーの転写効率は95〜98%であり、中間転写体5から転写材6への転写効率は94〜97%と高い転写効率を示し、文字やラインの転写中抜けもなく、画像上に飛び散りの無い良好な画像が得られた。
【0304】
トナー製造例45
イオン交換水710重量部に、0.1M-Na3PO4水溶液450重量部を投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて撹拌した。これに1.0M-CaCl2水溶液68重量部を徐々に添加し、Ca3(PO4)2の微粒子を含む水系媒体を得た。
【0305】
・スチレンモノマー 165重量部
・n-ブチルアクリレート 35重量部
・マゼンタ着色剤(C.I.ピグメントレッド202) 15重量部
・負荷電性制御剤(ジアルキルサリチル酸金属化合物) 3重量部
・極性レジン(飽和ポリエチル樹脂) 10重量部
・離型剤[エステルワックス(融点70℃)] 50重量部
【0306】
上記材料を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて均一に溶解,分散した。これに、重合開始剤2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)10重量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0307】
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加えリン酸カルシウムを溶解させた後、ろ過,水洗,乾燥をして、重量平均粒径5.8μmの粒度分布のシャープな非磁性の負荷電性マゼンタトナー粒子を得た。
【0308】
得られたマゼンタトナー粒子100重量部に対して、イソブチルトリメトキシシランで処理したBET法による比表面積が100m2/gである疎水性酸化チタンを2.0重量部外添し、マゼンタ色のトナー22を得た。得られたトナーの物性を表5に示した。このトナー7重量部に対し、アクリル樹脂コートされた磁性フェライトキャリア93重量部を混合し、現像剤(A)とした。
【0309】
トナー製造例46
イオン交換水710重量部に、0.1M-Na3PO4水溶液450重量部を投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて撹拌した。これに1.0M-CaCl2水溶液68重量部を徐々に添加し、Ca3(PO4)2の微粒子を含む水系媒体を得た。
【0310】
・スチレンモノマー 165重量部
・n-ブチルアクリレートモノマー 35重量部
・シアン着色剤(C.I.ピグメントレッド15:3) 15重量部
・負荷電性制御剤(ジアルキルサリチル酸金属化合物) 3重量部
・極性レジン(飽和ポリエチル樹脂) 10重量部
・離型剤[エステルワックス(融点70℃)] 50重量部
【0311】
上記材料を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて均一に溶解,分散した。これに、重合開始剤2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)10重量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0312】
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加えリン酸カルシウムを溶解させた後、ろ過,水洗,乾燥をして、重量平均粒径5.5μmの粒度分布のシャープな非磁性の負荷電性シアントナー粒子を得た。
【0313】
得られたシアントナー粒子100重量部に対して、イソブチルトリメトキシシランで処理したBET法による比表面積が100m2/gである疎水性酸化チタンを2.0重量部外添し、シアン色トナー23を得た。得られたトナーの物性を表5に示した。このトナー7重量部に対し、アクリル樹脂コートされたフェライトキャリア93重量部を混合し、現像剤(B)とした。
【0314】
トナー製造例47
イオン交換水710重量部に、0.1M-Na3PO4水溶液450重量部を投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて撹拌した。これに1.0M-CaCl2水溶液68重量部を徐々に添加し、Ca3(PO4)2の微粒子を含む水系媒体を得た。
【0315】
・スチレンモノマー 165重量部
・n-ブチルアクリレートモノマー 35重量部
・着色剤(C.I.ピグメントイエロー17) 15重量部
・負荷電性制御剤(ジアルキルサリチル酸金属化合物) 3重量部
・極性レジン(飽和ポリエテル樹脂) 10重量部
・離型剤[エステルワックス(融点70℃)] 50重量部
【0316】
上記材料を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて均一に溶解,分散した。これに、重合開始剤2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)10重量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0317】
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加えリン酸カルシウムを溶解させた後、ろ過,水洗,乾燥をして、重量平均粒径5.9μmの粒度分布のシャープな非磁性の負荷電性イエロートナー粒子を得た。
【0318】
得られたイエロートナー粒子100重量部に対して、イソブチルトリメトキシシランで処理したBET法による比表面積が100m2/gである疎水性酸化チタンを2.0重量部外添し、イエロー色のトナー24を得た。得られたトナーの物性を表5に示した。このトナー7重量部に対し、アクリル樹脂コートされた磁性フェライトキャリア93重量部を混合し、現像剤(C)とした。
【0319】
トナー製造例48
・磁性体(平均粒径0.22μm) 100重量部
・スチレン-アクリル酸ブチル-マレイン酸ブチルハーフエステル共重合体(低分子量側ピーク:分子量約5000,ガラス転移点Tg:58℃)
100重量部
・負荷電性制御剤(モノアゾ染料の鉄錯体) 2重量部
・離型剤(低分子量ポリオレフィン) 2重量部
【0320】
上記材料をブレンダーにて混合し、130℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕し、得られた微粉砕物をコアンダ効果を用いた多分割分級機にて厳密に分級して黒色磁性トナー粒子を得た。該磁性トナー粒子を熱機械的衝撃力(処理温度60℃)により表面処理し、得られた磁性トナー粒子100重量部に対し、シリコーンオイルとヘキサメチルジシラザンで疎水化処理された一次粒径12nmの乾式シリカ(処理後のBET比表面積120m2/g)1.8重量部と球状シリカ(BET表面積20m2/g,一次粒径0.1μm)0.5重量部を添加し、混合機にて混合し黒色のトナー25を得た。これを現像剤Dとする。
【0321】
得られた黒色トナーの重量平均粒径は6.5μmであり、個数平均粒径は5.3μmであり、SF-1は141であり、SF-2は125であり、BET比表面積は5.3m2/cm3であった。トナー粒子のBET比表面積は1.0m2/cm3であった。得られたトナーの物性を表5に示す。
【0322】
トナー製造例49(比較例)
乾式シリカと球状シリカを外添しないことを除いてトナー製造例48と同様にして黒色のトナー26を得た。
【0323】
トナー製造例50(比較例)
・ポリエステル樹脂(低分子量側ピーク:分子量6000,ガラス転移点Tg:55℃)
100重量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 7重量部
・ジアルキルサリチル酸金属化合物 2重量部
【0324】
上記組成物をエクストルーダーを用い十分溶融混練後、冷却した混練物を機械的に粗粉砕し、粗砕物をジェット流を用い衝突板に衝突させて微粉砕し、更にコアンダ効果を用いた気流分級機で微粉砕物を分級し、重量平均径が5.8μmであり、SF-1が165、SF-2が155の粉砕法のシアントナー粒子を得た。得られたシアントナー粒子にイソブチルトリメトキシシランで疎水化した一次粒径約20nmの酸化チタン微粒子(BET比表面積100m2/g)を2重量部外添し、流動性に優れたシアントナー27を得た。
【0325】
上記トナーと平均粒径約35μmのアクリル樹脂コート磁性フェライトキャリヤを7:93の重量比で混合して二成分現像剤(E)を調製した。得られたトナーの物性を表5に示す。
【0326】
トナー製造例51
・カーボンブラック(平均粒径60nm) 5重量部
・スチレン-アクリル酸ブチル-マレイン酸ブチルハーフエステル共重合体(低分子量側ピーク:分子量約5000,ガラス転移点Tg:58℃)
100重量部
・負荷電性制御剤(モノアゾ染料の鉄錯体) 2重量部
・離型剤(低分子量ポリオレフィン) 2重量部
【0327】
上記材料をブレンダーにて混合し、130℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕し、得られた微粉砕物をコアンダ効果を用いた多分割分級機にて厳密に分級して黒色トナー粒子を得た。該トナー粒子を熱機械的衝撃力(処理温度60℃)により表面処理し、得られたトナー粒子100重量部に対し2.0重量部の前述の酸化チタン微粒子を添加し、混合機にて混合し黒色のトナー28を得た。
【0328】
得られた黒色トナーの重量平均粒径は5.8μmであり、SF-1は140であり、SF-2は130であった。得られたトナーの物性を表5に示す。
【0329】
このトナー7重量部に対して、アクリル樹脂コートされた磁性フェライトキャリア93重量部を混合し現像剤(F)とした。
【0330】
トナー製造例52
イオン交換水710重量部に、0.1M-Na3PO4水溶液450重量部を投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmに撹拌した。これに1.0M-CaCl2水溶液68重量部を徐々に添加し、Ca3(PO4)2の微粒子を含む水系媒体を得た。これに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1重量部を添加混合した。
【0331】
・スチレンモノマー 165重量部
・n-ブチルアクリレートモノマー 35重量部
・着色剤[カーボンブラック(平均粒径60nm)] 15重量部
・負荷電性制御剤(ジアルキルサリチル酸金属化合物) 3重量部
・極性レジン(飽和ポリエテル樹脂) 10重量部
・離型剤[エステルワックス(融点70℃)] 50重量部
【0332】
上記材料を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて均一に溶解,分散した。これに、重合開始剤2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)10重量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0333】
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加えリン酸カルシウムを溶解させた後、重量平均粒径1μmの着色懸濁粒子を得た。次いで、60℃まで加熱し、これをpH7に調整し、さらに90℃まで加熱し、2時間この温度に保った後、ろ過,水洗,乾燥をして、重量平均粒径6.3μmの凝集粒子で形成された非磁性の負荷電性黒色トナー粒子を得た。
【0334】
得られた黒色トナー粒子100重量部に対して、イソブチルトリメトキシシランで処理したBET法による比表面積が100m2/gである疎水性酸化チタン2.0重量部を外添して、黒色のトナー29を得た。このトナー7重量部に対し、アクリル樹脂コートされた35μmの磁性フェライトキャリア93重量部を混合し、現像剤(G)とした。
【0335】
トナー製造例53
トナー製造例48において、疎水化処理をしないシリカ(BET比表面積180m2/g)を使用する以外は同様にして、黒色トナー30を得た。これを現像剤(H)とする。
【0336】
トナー製造例54
トナー製造例46において、イソブチルトリメトキシシランで処理したアルミナ(BET比表面積160m2/g)を使用する以外は同様にしてシアン色のトナー31を得、同様にして現像剤(I)を調製した。
【0337】
トナーの製造例55
トナー製造例46において、酸化チタンのかわりにトナー製造例48で使用した疎水性シリカを使用する以外はトナー製造例46と同様にしてシアン色のトナー32を得、同様にして現像剤(J)を調製した。
【0338】
トナー製造例56,57及び58
トナー製造例45,46,47において、80℃重合反応後、さらにオートクレーブ中で120℃,5時間反応させる以外は同様にして、各色トナーを調製し、さらに同様にしてマゼンタ現像剤(K),シアン現像剤(L),イエロー現像剤(M)を得た。
【0339】
トナー製造例59
トナー製造例45において、着色剤としてカーボンブラックを使用する以外は同様にしてトナーを調製し、同様にして黒色現像剤(N)を得た。
【0340】
【表5】

【0341】
実施例24
一次帯電ローラーとしてナイロン樹脂で被覆された導電性カーボンを分散したゴムローラー(直径12mm,当接圧50g/cm)を使用し、静電潜像担持体として感光体3のOPC感光ドラムを用いレーザー露光(600dpi)により暗部電位VD=-600V,明部電位VL=-100Vのデジタル潜像を形成した。黒現像器には図2の構成のものを、図1の現像器4-4の位置で用い、黒色の磁性トナー用担持体として下記の構成の層厚約7μm,JIS中心線平均粗さ(Ra)2.2μmの樹脂層を、表面をブラストした直径16mmのステンレス円筒上に形成した現像スリーブを作製した。
【0342】
・フェノール樹脂 100重量部
・グラファイト(粒径約7μm) 90重量部
・カーボンブラック 10重量部
【0343】
次いで、OPC感光ドラムと該現像スリーブとの間隙(S-D間)を300μmとし現像磁極80mT(800ガウス)、トナー規制部材として厚み1.0mm,自由長10mmのウレタンゴム製ブレードを14.7N/m(15g/cm)の線圧で当接させた。現像バイアスとして直流バイアス成分Vdc=-450V,重畳する交流バイアス成分Vpp=1200V,f=2000Hzを用いた。
【0344】
OPC感光ドラムクリーニングブレードとして厚み2.0mm,自由長8mmのウレタンゴム製ブレードを24.5N/m(25g/cm)の線圧で当接させた。プロセススピードは94mm/secとし、現像スリーブの周速Vtと感光体周速Vの比Vt/Vを1.5として順方向に回転させた。磁性トナーとしては現像剤(D)を使用した。
【0345】
マゼンタトナー,シアントナーおよびイエロートナーはトナー製造例45〜47の現像剤(A)〜(C)で調製された二成分現像剤を用い、それぞれ図1に示す現像器4-1,4-2,4-3に導入し磁気ブラシ現像法により前述の画像形成条件で、23℃,65%RH環境下で各色トナーのトナー像を反転現像方法により形成した。OPC感光ドラムから各色トナー像を逐次中間転写体5に転写し、中間転写体5上の4色のトナー像を、秤量75g/m2の転写材(普通紙)へ転写し、転写材上の4色トナー像を加熱加圧定着手段により熱定着をおこなった。
【0346】
この時のOPC感光ドラムから中間転写体5への各色トナーの転写効率は95〜98%であり、中間転写体5から転写材6への転写効率は95〜98%となり、総合的にも90.3〜96.0%と高い転写効率を示し、混色性に優れ、転写中抜けもなく、画像上に飛び散りのない良好な画像が得られた。
【0347】
比較例11
シアン現像剤として現像剤(E)及び磁性トナーG(SF-2=151)を使用する以外は、実施例24と同様に画出しを行ったところ、ベタ画像の転写効率が低下した。その結果、200dpiでは実用上問題ないが、400dpiでは飛び散りは良好なものの、若干ハイライトの再現性が低下した。
【0348】
そこで次に、転写性を上げるために、転写電流を上げてみたが、ベタの転写性向上と飛び散りの両立は達成できなかった。
【0349】
これは、シアントナーのSF-2が、黒色トナーのSF-2より大きくなり過ぎ、適正な転写条件が設定できず、飛び散りを抑えた状態では転写性が低下したためと推測される。
【0350】
比較例12
現像剤(D)のかわりに、トナー26(無機微粉体未外添)を使用する以外は実施例24と同様に画出しを行ったところ、ベタ画像の転写効率が極端に低下した。転写中抜けも悪く、ハイライトのガサツキも目立ってしまった。
【0351】
実施例25
実施例24において、黒色用現像器を二成分用に変換して現像剤(F)を使用する以外は同様に画出しを行ったところ、黒色トナーのベタ転写効率は良好で、転写中抜け,ハイライトのガサツキ,転写飛び散りもなく良好な結果が得られた。
【0352】
実施例26
実施例24において、マゼンタ,シアン,イエローの現像装置を非磁性一成分現像方式になるように改造し、現像条件を現像剤担持体とOPC感光ドラムの間隙を300μmとし、現像電界として300Vの直流電界および、2kHz,2kDppの交流電界を重畳印加してキャリアを使用しないで画出しを行ったところ、実施例24同様良好な結果が得られた。
【0353】
実施例27
実施例24において、黒色現像剤(G)を使用する以外は同様に画出しを行ったところ、黒色トナーのベタの転写効率が95%と若干低下した。
【0354】
実施例28
実施例24において黒色現像剤(H)を使用する以外は同様に画出しを行ったところ、ベタの転写効率,中抜けともに実施例24に比べて低下した。
【0355】
実施例29
実施例24においてシアン現像剤(I)を使用する以外は、同様に画出しを行ったところ、良好な結果が得られた。
【0356】
実施例30
実施例24において、シアン現像剤(J)を使用する以外は同様に画出しを行ったところ、良好な結果が得られた。
【0357】
実施例31
実施例25において、現像剤(K)〜(N)を使用する以外は同様にして画出しを行ったところ、良好な結果が得られた。
【0358】
以上の各実施例及び比較例の評価結果を表6に示す。
【0359】
【表6】

【0360】
【発明の効果】
本発明は静電潜像担持体上のトナー像をバイアスが印加されている中間転写材へ転写し、中間転写体上のトナー像を転写材へ転写する画像形成方法において、高画像濃度・潜像再現性を保持しつつ、転写中抜け及び転写効率を向上することが可能でありさらに、高品位で鮮鋭な画像を得ることができる。
【0361】
また、本発明の画像形成方法,画像形成装置及びトナーキットはオリジナル画像を良好に再現した多色画像又はフルカラー画像を種々の転写材に形成し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に好適に使用されるフルカラー画像形成用電子写真装置の一例を示す概略図である。
【図2】
一成分磁性現像用の黒用現像器の一例を示す概略図である。
【図3】
本発明に好ましく用いる感光体の構成の一例を示す概略図である。
【図4】
トナーの帯電量を測定する帯電量測定装置の概略図である。
【図5】
“転写中抜け”のない良好な画像(a)および“転写中抜け”が生じている不良な画像(b)を示す図である。
【図6】
トナーの形状係数SF-1,SF-2に関する、本発明の範囲を示す図である。
【図7】
第2転写工程の転写手段として転写ベルトを有する本発明に好適に使用されるフルカラー画像形成用電子写真装置の一例を示す概略図である。
【図8】
中間転写体としてエンドレスベルトを有する本発明に好適に使用されるフルカラー画像形成用電子写真装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 感光体(静電潜像担持体)
2 帯電ローラー
3 露光
4 4色現像器(4-1,4-2,4-3,4-4)
5 中間転写体
6 転写材
7 転写ローラー
 
訂正の要旨 1)訂正事項a
特許請求の範囲に係る記載
「 【請求項1】 静電潜像を現像剤で現像して静電潜像担持体上にトナー像を形成する現像工程、
該トナー像を電圧が印加されている中間転写体上に転写する一次転写工程、及び
電圧が印加されている転写手段を転写材に押圧させながら該中間転写体上のトナー像を該転写材上へ転写する二次転写工程を少なくとも有する画像形成方法であり、
該現像剤は、トナーを有し、
該トナーが、少なくとも結着樹脂中に着色剤が分散された黒色トナー粒子と無機微粉体を有する黒色トナーであり、該黒色トナーの形状係数SF-1の値が110<SF-1≦180であり、形状係数SF-2の値が110<SF-2≦140であり、SF-2の値から100を引いた値BとSF-1の値から100を引いた値Aとの比B/Aの値が1.0以下であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】 現像剤による静電潜像の現像が、トナー担持体に担持された現像剤によって行われ、該トナー担持体と該静電潜像担持体との間には、直流及び交流現像バイアスが印加されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】 該現像剤は、黒色トナー,イエロートナー,マゼンタトナー又はシアントナーから選択されるトナーを有し、該黒色トナーのBET法によって測定された単位体積あたりの比表面積Sb(m2/cm3)と、トナーを真球と仮定した際の重量平均粒径から算出した単位体積あたりの比表面積St(m2/cm3)とが下記条件
3.0≦Sb/St≦7.0 かつ、 Sb≧St×1.5+1.5
を満足する請求項1又は2に記載の画像形成方法。
【請求項4】 該黒色トナーが結着樹脂100重量部に対し、磁性体30〜200重量部を含有する磁性トナーであり、該磁性トナーの形状係数SF-1の値が120≦SF-1≦160であり、かつSF-2の値が115≦SF-2≦140である請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項5】 該黒色トナーは比B/Aの値が0.20〜0.90である請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項6】 該黒色トナーの単位体積あたりの帯電量が30〜80C/m3である請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項7】 該無機微粉体がチタニア,アルミナ,シリカあるいはその複酸化物からなるグループから選ばれる無機微粉体である請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項8】 該無機微粉体が疎水化処理されている請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項9】 該無機微粉体が少なくともシリコーンオイルで処理されたものである請求項8に記載の画像形成方法。
【請求項10】 該無機微粉体は一次粒径が30nm以下であり、該トナーは平均粒径30nmを超える第2の微粉体をさらに有している請求項1乃至9のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項11】 該第2の微粉体は、無機微粉体である請求項10に記載の画像形成方法。
【請求項12】 該第2の微粉体は、樹脂微粉体である請求項10に記載の画像形成方法。
【請求項13】 該第2の微粉体は、実質的に球形である請求項10乃至12のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項14】 該黒色トナー粒子は、BET法によって測定された体積あたりの比表面積が1.2〜2.5m2/cm3である請求項1乃至13のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項15】 該黒色トナー粒子は、1nm〜100nmの細孔の積算細孔面積比率曲線における60%細孔半径が3.5nm以下である請求項1乃至14のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項16】 該黒色トナーは、GPCで測定される分子量分布において、低分子量側のピークが3000〜15000の範囲にある請求項1乃至15のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項17】 静電潜像がイエロートナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上にイエロートナー像を形成し、次いでイエロートナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像がマゼンタトナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上にマゼンタトナー像を形成し、次いでマゼンタトナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像がシアントナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上にシアントナー像を形成し、次いでシアントナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像が黒色トナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上に黒色トナー像を形成し、次いで黒色トナー像が中間転写体上に転写され;
中間転写体上のイエロートナー像,マゼンタトナー像,シアントナー像及び黒色トナー像が転写材へ転写される請求項1乃至16のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項18】 黒色トナーは、SF-2の値がイエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーのSF-2の値よりも5以上大きい請求項17に記載の画像形成方法。
【請求項19】 イエロートナーは、SF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139であり、シアントナーはSF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139である請求項17又は18に記載の画像形成方法。
【請求項20】 イエロートナーは、SF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130であり、シアントナーはSF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130である請求項17又は18に記載の画像形成方法。
【請求項21】 イエロートナーは、SF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125であり、シアントナーはSF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125である請求項17又は18に記載の画像形成方法。
【請求項22】 黒色トナーが磁性トナーであり、イエロートナーが非磁性トナーであり、マゼンタトナーが非磁性トナーであり、シアントナーが非磁性トナーである請求項17乃至21のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項23】 黒色トナー,イエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーが非磁性トナーである請求項17乃至21のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項24】 黒色トナーは、結着樹脂及び黒色着色剤を少なくとも有する混合物を溶融混練し、溶融物を冷却し、冷却された溶融物を粉砕することによって生成された黒色トナー粒子を有し、
イエロートナーは、重合性単量体及びイエロー着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたイエロートナー粒子を有し、
マゼンタトナーは、重合性単量体及びマゼンタ着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたマゼンタトナー粒子を有し、
シアントナーは、重合性単量体及びシアン着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたシアントナー粒子を有する請求項17乃至23のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項25】 該静電潜像担持体は、表面の水に対する接触角が85度以上である請求項1乃至24のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項26】 該静電潜像担持体の表面層にフッ素原子を有する物質を含有する請求項1乃至25のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項27】 フッ素原子を有する物質が、フッ素原子を有する化合物又は樹脂の微粉体である請求項26に記載の画像形成方法。
【請求項28】 該中間転写体及び該転写手段の表面が弾性層から構成されており、該中間転写体の体積固有抵抗値が転写手段の体積固有抵抗値より高い値を示し且つ該中間転写体の表面硬度が、JIS・K-6301で測定して10〜40度の範囲を有し且つ、転写手段の表面の硬度を中間転写体の硬度よりも大きくし、転写手段を中間転写体に押圧し中間転写体側に凹形状のニップを形成せしめ、転写手段に電圧を印加し転写材上にトナー像を転写せしめる請求項1乃至27のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項29】 中間転写体は、トナー像を担持するための円筒状ドラムを有する請求項1乃至28のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項30】 中間転写体は、トナー像を担持するためのエンドレスベルトを有する請求項1乃至28のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項31】 中間転写体は、トナー像を担持するための円筒状ドラムを有し、円筒状ドラム上に担持されたトナー像を転写材へ転写するための転写ベルトを転写手段は有する請求項1乃至28のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項32】 中間転写体は、トナー像を担持するためのエンドレスベルトを有し、エンドレスベルト上に担持されたトナー像を転写材へ転写するための転写ローラーを転写手段は有する請求項1乃至28のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項33】 黒色トナーは、液体潤滑剤を含有している請求項1乃至32のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項34】 液体潤滑剤が、液体潤滑剤を20〜90重量%含有した潤滑担体粒子の形態でトナー中に含有されている請求項33に記載の画像形成方法。
【請求項35】 黒色トナーは、磁性トナーであり、磁性トナーに含有される磁性体に液体潤滑剤が担持されている請求項33又は34に記載の画像形成方法。
【請求項36】 液体潤滑剤の25℃における粘度が10〜20万cStである請求項33乃至35のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項37】 静電潜像担持体,
静電潜像担持体上にトナー像を形成するための現像剤を有する現像手段,
静電潜像担持体から転写されるトナー像を担持するための、バイアス印加手段を有する中間転写体,及び
中間転写体上のトナー像を転写材へ転写するための、バイアス印加手段を有する中間転写体を押圧するように設置されている転写手段を少なくとも有する画像形成装置であり、
該現像剤は、トナーを有し、
該トナーが、少なくとも結着樹脂中に着色剤が分散された黒色トナー粒子と無機微粉体を有する黒色トナーであり、該黒色トナーの形状係数SF-1の値が110<SF-1≦180であり、形状係数SF-2の値が110<SF-2≦140であり、SF-2の値から100を引いた値BとSF-1の値から100を引いた値Aとの比B/Aの値が1.0以下であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項38】 該現像手段が、現像剤を担持するトナー担持体を有しており、該トナー担持体と該静電潜像担持体との間には、直流及び交流現像バイアスが印加されていることを特徴とする請求項37に記載の画像形成装置。
【請求項39】 該黒色トナーのBET法によって測定された単位体積あたりの比表面積Sb(m2/cm3)と、該黒色トナーを真球と仮定した際の重量平均粒径から算出した単位体積あたりの比表面積St(m2/cm3)とが下記条件
3.0≦Sb/St≦7.0 かつ、 Sb≧St×1.5+1.5
を満足する請求項37又は38に記載の画像形成装置。
【請求項40】 該黒色トナーが結着樹脂100重量部に対し、磁性体30〜200重量部を含有する磁性トナーであり、該磁性トナーの形状係数SF-1の値が120≦SF-1≦160であり、かつSF-2の値が115≦SF-2≦140である請求項37乃至39のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項41】 該黒色トナーは比B/Aの値が0.20〜0.90である請求項37乃至40のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項42】 該黒色トナーの単位体積あたりの帯電量が30〜80C/m3である請求項37乃至41のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項43】 該無機微粉体がチタニア,アルミナ,シリカあるいはその複酸化物からなるグループから選ばれる無機微粉体である請求項37乃至42のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項44】 該無機微粉体が疎水化処理されている請求項37乃至43のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項45】 該無機微粉体が少なくともシリコーンオイルで処理されたものである請求項44に記載の画像形成装置。
【請求項46】 該無機微粉体は一次粒径が30nm以下であり、該トナーは平均粒径30nmを超える第2の微粉体をさらに有している請求項37乃至45のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項47】 該第2の微粉体は、無機微粉体である請求項46に記載の画像形成装置。
【請求項48】 該第2の微粉体は、樹脂微粉体である請求項46に記載の画像形成装置。
【請求項49】 該第2の微粉体は、実質的に球形である請求項46乃至48のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項50】 該黒色トナー粒子は、BET法によって測定された体積あたりの比表面積が1.2〜2.5m2/cm3である請求項37乃至49のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項51】 該黒色トナー粒子は、1nm〜100nmの細孔の積算細孔面積比率曲線における60%細孔半径が3.5nm以下である請求項37乃至50のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項52】 該黒色トナーは、GPCで測定される分子量分布において、低分子量側のピークが3000〜15000の範囲にある請求項37乃至51のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項53】 静電潜像がイエロートナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上にイエロートナー像を形成し、次いでイエロートナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像がマゼンタトナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上にマゼンタトナー像を形成し、次いでマゼンタトナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像がシアントナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上にシアントナー像を形成し、次いでシアントナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像が黒色トナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上に黒色トナー像を形成し、次いで黒色トナー像が中間転写体上に転写され;
中間転写体上のイエロートナー像,マゼンタトナー像,シアントナー像及び黒色トナー像が転写材へ転写される請求項37乃至52のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項54】 黒色トナーは、SF-2の値がイエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーのSF-2の値よりも5以上大きい請求項53に記載の画像形成装置。
【請求項55】 イエロートナーは、SF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139であり、シアントナーはSF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139である請求項53又は54に記載の画像形成装置。
【請求項56】 イエロートナーは、SF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130であり、シアントナーはSF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130である請求項53又は54に記載の画像形成装置。
【請求項57】 イエロートナーは、SF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125であり、シアントナーはSF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125である請求項53又は54に記載の画像形成装置。
【請求項58】 黒色トナーが磁性トナーであり、イエロートナーが非磁性トナーであり、マゼンタトナーが非磁性トナーであり、シアントナーが非磁性トナーである請求項53乃至57のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項59】 黒色トナー,イエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーが非磁性トナーである請求項53乃至57のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項60】 黒色トナーは、結着樹脂及び黒色着色剤を少なくとも有する混合物を溶融混練し、溶融物を冷却し、冷却された溶融物を粉砕することによって生成された黒色トナー粒子を有し、
イエロートナーは、重合性単量体及びイエロー着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたイエロートナー粒子を有し、
マゼンタトナーは、重合性単量体及びマゼンタ着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたマゼンタトナー粒子を有し、
シアントナーは、重合性単量体及びシアン着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたシアントナー粒子を有する請求項53乃至59のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項61】 該静電潜像担持体は、表面の水に対する接触角が85度以上である請求項37乃至60のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項62】 該静電潜像担持体の表面層にフッ素原子を有する物質を含有する請求項37乃至61のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項63】 フッ素原子を有する物質が、フッ素原子を有する化合物又は樹脂の微粉体である請求項62に記載の画像形成装置。
【請求項64】 該中間転写体及び該転写手段の表面が弾性層から構成されており、該中間転写体の体積固有抵抗値が転写手段の体積固有抵抗値より高い値を示し且つ該中間転写体の表面硬度が、JIS・K-6301で測定して10〜40度の範囲を有し且つ、転写手段の表面の硬度を中間転写体の硬度よりも大きくし、転写手段を中間転写体に押圧し中間転写体側に凹形状のニップを形成せしめ、転写手段に電圧を印加し転写材上にトナー像を転写せしめる請求項37乃至63のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項65】 中間転写体は、トナー像を担持するための円筒状ドラムを有する請求項37乃至64のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項66】 中間転写体は、トナー像を担持するためのエンドレスベルトを有する請求項37乃至64のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項67】 中間転写体は、トナー像を担持するための円筒状ドラムを有し、円筒状ドラム上に担持されたトナー像を転写材へ転写するための転写ベルトを転写手段は有する請求項37乃至64のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項68】 中間転写体は、トナー像を担持するためのエンドレスベルトを有し、エンドレスベルト上に担持されたトナー像を転写材へ転写するための転写ローラーを転写手段は有する請求項37乃至64のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項69】 黒色トナーは、液体潤滑剤を含有している請求項37乃至68のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項70】 液体潤滑剤が、液体潤滑剤を20〜90重量%含有した潤滑担体粒子の形態でトナー中に含有されている請求項69に記載の画像形成装置。
【請求項71】 黒色トナーはト磁性トナーであり、磁性トナーに含有される磁性体に液体潤滑剤が担持されている請求項69又は70に記載の画像形成装置。
【請求項72】 液体潤滑剤の25℃における粘度が10〜20万cStである請求項69乃至71のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項73】 少なくともイエロー系着色剤と結着樹脂とを含有するイエロートナー粒子及び無機微粉体を有するイエロートナーと、
少なくともマゼンタ系着色剤と結着樹脂とを含有するマゼンタトナー粒子及び無機微粉体を有するマゼンタトナーと、
少なくともシアン系着色剤と結着樹脂とを含有するシアントナー粒子及び無機微粉体を有するシアントナーと、
少なくともカーボンブラックまたは/および磁性体と結着樹脂とを含有する黒色トナー粒子及び無機微粉体を有する黒色トナーを有するトナーキットにおいて、
該黒色トナーは形状係数SF-2の値が140以下であり且つイエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーの形状係数SF-2より大きいことを特徴とするトナーキット。
【請求項74】 該黒色トナーの形状係数SF-2が115乃至140である請求項73に記載のトナーキット。
【請求項75】 該黒色トナーは、磁性トナーであり、該イエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーは非磁性トナーである請求項73又は74に記載のトナーキット。
【請求項76】 各色トナーのBET法によって測定された単位体積あたりの比表面積Sb(m2/cm3)と、各色トナーを真球と仮定した際の重量平均粒径から算出した単位体積あたりの比表面積St(m2/cm3)とが下記条件
3.0≦Sb/St≦7.0 かつ、 Sb≧St×1.5+1.5
を満足する請求項73乃至75のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項77】 該黒色トナーが結着樹脂100重量部に対し、磁性体30〜200重量部を含有する磁性トナーであり、該磁性トナーの形状係数SF-1の値が120≦SF-1≦160であり、かつSF-2の値が115≦SF-2≦140である請求項73乃至76のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項78】 各色トナーは比B/Aの値が0.20〜0.90である請求項73乃至77のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項79】 各色トナーの単位体積あたりの帯電量が30〜80C/m3である請求項73乃至78のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項80】 該無機微粉体がチタニア,アルミナ,シリカあるいはその複酸化物からなるグループから選ばれる無機微粉体である請求項73乃至79のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項81】 該無機微粉体が疎水化処理されている請求項73乃至80のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項82】 該無機微粉体が少なくともシリコーンオイルで処理されたものである請求項81に記載のトナーキット。
【請求項83】 該無機微粉体は一次粒径が30nm以下であり、該トナーは平均粒径30nmを超える第2の微粉体をさらに有している請求項73乃至82のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項84】 該第2の微粉体は、無機微粉体である請求項83に記載のトナーキット。
【請求項85】 該第2の微粉体は、樹脂微粉体である請求項83に記載のトナーキット。
【請求項86】 該第2の微粉体は、実質的に球形である請求項83乃至85のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項87】 該トナー粒子は、BET法によって測定された体積あたりの比表面積が1.2〜2.5m2/cm3である請求項73乃至86のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項88】 該トナー粒子は、1nm〜100nmの細孔の積算細孔面積比率曲線における60%細孔半径が3.5nm以下である請求項73乃至87のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項89】 該トナーは、GPCで測定される分子量分布において、低分子量側のピークが3000〜15000の範囲にある請求項73乃至88のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項90】 黒色トナーは、SF-2の値がイエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーのSF-2の値よりも5以上大きい請求項73乃至89のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項91】 イエロートナーは、SF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139であり、シアントナーはSF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139である請求項73乃至90のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項92】 イエロートナーは、SF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130であり、シアントナーはSF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130である請求項73乃至90のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項93】 イエロートナーは、SF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125であり、シアントナーはSF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125である請求項73乃至90のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項94】 黒色トナーは、結着樹脂及び黒色着色剤を少なくとも有する混合物を溶融混練し、溶融物を冷却し、冷却された溶融物を粉砕することによって生成された黒色トナー粒子を有し、
イエロートナーは、重合性単量体及びイエロー着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたイエロートナー粒子を有し、
マゼンタトナーは、重合性単量体及びマゼンタ着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたマゼンタトナー粒子を有し、
シアントナーは、重合性単量体及びシアン着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたシアントナー粒子を有する請求項73乃至93のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項95】 黒色トナーは、液体潤滑剤を含有している請求項73乃至94のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項96】 液体潤滑剤が、液体潤滑剤を20〜90重量%含有した潤滑担体粒子の形態でトナー中に含有されている請求項95に記載のトナーキット。
【請求項97】 黒色トナーは、磁性トナーであり、磁性トナーに含有される磁性体に液体潤滑剤が担持されている請求項95又は96に記載のトナーキット。
【請求項98】 液体潤滑剤の25℃における粘度が10〜20万cStである請求項95乃至97のいずれかに記載のトナーキット。」

「 【請求項1】 静電潜像を現像剤で現像して静電潜像担持体上にトナー像を形成する現像工程、
該トナー像を電圧が印加されている中間転写体上に転写する一次転写工程、及び
電圧が印加されている転写手段を転写材に押圧させながら該中間転写体上のトナー像を該転写材上へ転写する二次転写工程を少なくとも有する画像形成方法であり、
該現像剤は、トナーを有し、
該トナーが、少なくとも結着樹脂中に着色剤が分散された黒色トナー粒子と無機微粉体を有する黒色トナーであり、該黒色トナーの形状係数SF-1の値が110<SF-1≦180であり、形状係数SF-2の値が110<SF-2≦140であり、SF-2の値から100を引いた値BとSF-1の値から100を引いた値Aとの比B/Aの値が1.0以下であり、
該中間転写体及び該転写手段の表面が弾性層から構成されており、該中間転写体の体積固有抵抗値が転写手段の体積固有抵抗値より高い値を示し、且つ、該中間転写体の表面硬度が、JIS・K-6301で測定して10〜40度の範囲を有し、且つ、転写手段の表面の硬度を中間転写体の硬度よりも大きくし、転写手段を中間転写体に押圧し中間転写体側に凹形状のニップを形成せしめ、転写手段に電圧を印加し転写材上にトナー像を転写せしめることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】 現像剤による静電潜像の現像が、トナー担持体に担持された現像剤によって行われ、該トナー担持体と該静電潜像担持体との間には、直流及び交流現像バイアスが印加されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】 該現像剤は、黒色トナー,イエロートナー,マゼンタトナー又はシアントナーから選択されるトナーを有し、該黒色トナーのBET法によって測定された単位体積あたりの比表面積Sb(m2/cm3)と、トナーを真球と仮定した際の重量平均粒径から算出した単位体積あたりの比表面積St(m2/cm3)とが下記条件
3.0≦Sb/St≦7.0 かつ、 Sb≧St×1.5+1.5
を満足する請求項1又は2に記載の画像形成方法。
【請求項4】 該黒色トナーが結着樹脂100重量部に対し、磁性体30〜200重量部を含有する磁性トナーであり、該磁性トナーの形状係数SF-1の値が120≦SF-1≦160であり、かつSF-2の値が115≦SF-2≦140である請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項5】 該黒色トナーは比B/Aの値が0.20〜0.90である請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項6】 該黒色トナーの単位体積あたりの帯電量が30〜80C/m3である請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項7】 該無機微粉体がチタニア,アルミナ,シリカあるいはその複酸化物からなるグループから選ばれる無機微粉体である請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項8】 該無機微粉体が疎水化処理されている請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項9】 該無機微粉体が少なくともシリコーンオイルで処理されたものである請求項8に記載の画像形成方法。
【請求項10】 該無機微粉体は一次粒径が30nm以下であり、該トナーは平均粒径30nmを超える第2の微粉体をさらに有している請求項1乃至9のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項11】 該第2の微粉体は、無機微粉体である請求項10に記載の画像形成方法。
【請求項12】 該第2の微粉体は、樹脂微粉体である請求項10に記載の画像形成方法。
【請求項13】 該第2の微粉体は、実質的に球形である請求項10乃至12のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項14】 該黒色トナー粒子は、BET法によって測定された体積あたりの比表面積が1.2〜2.5m2/cm3である請求項1乃至13のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項15】 該黒色トナーは、GPCで測定される分子量分布において、低分子量側のピークが3000〜15000の範囲にある請求項1乃至14のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項16】 静電潜像がイエロートナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上にイエロートナー像を形成し、次いでイエロートナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像がマゼンタトナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上にマゼンタトナー像を形成し、次いでマゼンタトナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像がシアントナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上にシアントナー像を形成し、次いでシアントナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像が黒色トナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上に黒色トナー像を形成し、次いで黒色トナー像が中間転写体上に転写され;
中間転写体上のイエロートナー像,マゼンタトナー像,シアントナー像及び黒色トナー像が転写材へ転写される請求項1乃至15のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項17】 黒色トナーは、SF-2の値がイエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーのSF-2の値よりも5以上大きい請求項16に記載の画像形成方法。
【請求項18】 イエロートナーは、SF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139であり、シアントナーはSF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139である請求項16又は17に記載の画像形成方法。
【請求項19】 イエロートナーは、SF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130であり、シアントナーはSF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130である請求項16又は17に記載の画像形成方法。
【請求項20】 イエロートナーは、SF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125であり、シアントナーはSF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125である請求項16又は17に記載の画像形成方法。
【請求項21】 黒色トナーが磁性トナーであり、イエロートナーが非磁性トナーであり、マゼンタトナーが非磁性トナーであり、シアントナーが非磁性トナーである請求項16乃至20のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項22】 黒色トナー,イエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーが非磁性トナーである請求項16乃至20のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項23】 黒色トナーは、結着樹脂及び黒色着色剤を少なくとも有する混合物を溶融混練し、溶融物を冷却し、冷却された溶融物を粉砕することによって生成された黒色トナー粒子を有し、
イエロートナーは、重合性単量体及びイエロー着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたイエロートナー粒子を有し、
マゼンタトナーは、重合性単量体及びマゼンタ着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたマゼンタトナー粒子を有し、
シアントナーは、重合性単量体及びシアン着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたシアントナー粒子を有する請求項16乃至22のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項24】 該静電潜像担持体は、表面の水に対する接触角が85度以上である請求項1乃至23のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項25】 該静電潜像担持体の表面層にフッ素原子を有する物質を含有する請求項1乃至24のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項26】 フッ素原子を有する物質が、フッ素原子を有する化合物又は樹脂の微粉体である請求項25に記載の画像形成方法。
【請求項27】 中間転写体は、トナー像を担持するための円筒状ドラムを有する請求項1乃至26のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項28】 中間転写体は、トナー像を担持するためのエンドレスベルトを有する請求項1乃至26のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項29】 中間転写体は、トナー像を担持するための円筒状ドラムを有し、円筒状ドラム上に担持されたトナー像を転写材へ転写するための転写ベルトを転写手段は有する請求項1乃至26のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項30】 中間転写体は、トナー像を担持するためのエンドレスベルトを有し、エンドレスベルト上に担持されたトナー像を転写材へ転写するための転写ローラーを転写手段は有する請求項1乃至26のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項31】 黒色トナーは、液体潤滑剤を含有している請求項1乃至30のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項32】 液体潤滑剤が、液体潤滑剤を20〜90重量%含有した潤滑担体粒子の形態でトナー中に含有されている請求項31に記載の画像形成方法。
【請求項33】 黒色トナーは、磁性トナーであり、磁性トナーに含有される磁性体に液体潤滑剤が担持されている請求項31又は32に記載の画像形成方法。
【請求項34】 液体潤滑剤の25℃における粘度が10〜20万cStである請求項31乃至33のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項35】 静電潜像担持体,
静電潜像担持体上にトナー像を形成するための現像剤を有する現像手段,
静電潜像担持体から転写されるトナー像を担持するための、バイアス印加手段を有する中間転写体,及び
中間転写体上のトナー像を転写材へ転写するための、バイアス印加手段を有する中間転写体を押圧するように設置されている転写手段を少なくとも有する画像形成装置であり、
該現像剤は、トナーを有し、
該トナーが、少なくとも結着樹脂中に着色剤が分散された黒色トナー粒子と無機微粉体を有する黒色トナーであり、該黒色トナーの形状係数SF-1の値が110<SF-1≦180であり、形状係数SF-2の値が110<SF-2≦140であり、SF-2の値から100を引いた値BとSF-1の値から100を引いた値Aとの比B/Aの値が1.0以下であり、
該中間転写体及び該転写手段の表面が弾性層から構成されており、該中間転写体の体積固有抵抗値が転写手段の体積固有抵抗値より高い値を示し、且つ、該中間転写体の表面硬度が、JIS・K-6301で測定して10〜40度の範囲を有し、且つ、転写手段の表面の硬度を中間転写体の硬度よりも大きくし、転写手段を中間転写体に押圧し中間転写体側に凹形状のニップを形成せしめ、転写手段に電圧を印加し転写材上にトナー像を転写せしめることを特徴とする画像形成装置。
【請求項36】 該現像手段が、現像剤を担持するトナー担持体を有しており、該トナー担持体と該静電潜像担持体との間には、直流及び交流現像バイアスが印加されていることを特徴とする請求項35に記載の画像形成装置。
【請求項37】 該黒色トナーのBET法によって測定された単位体積あたりの比表面積Sb(m2/cm3)と、該黒色トナーを真球と仮定した際の重量平均粒径から算出した単位体積あたりの比表面積St(m2/cm3)とが下記条件
3.0≦Sb/St≦7.0 かつ、 Sb≧St×1.5+1.5
を満足する請求項35又は36に記載の画像形成装置。
【請求項38】 該黒色トナーが結着樹脂100重量部に対し、磁性体30〜200重量部を含有する磁性トナーであり、該磁性トナーの形状係数SF-1の値が120≦SF-1≦160であり、かつSF-2の値が115≦SF-2≦140である請求項35乃至37のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項39】 該黒色トナーは比B/Aの値が0.20〜0.90である請求項35乃至38のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項40】 該黒色トナーの単位体積あたりの帯電量が30〜80C/m3である請求項35乃至39のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項41】 該無機微粉体がチタニア,アルミナ,シリカあるいはその複酸化物からなるグループから選ばれる無機微粉体である請求項35乃至40のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項42】 該無機微粉体が疎水化処理されている請求項35乃至41のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項43】 該無機微粉体が少なくともシリコーンオイルで処理されたものである請求項42に記載の画像形成装置。
【請求項44】 該無機微粉体は一次粒径が30nm以下であり、該トナーは平均粒径30nmを超える第2の微粉体をさらに有している請求項35乃至43のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項45】 該第2の微粉体は、無機微粉体である請求項44に記載の画像形成装置。
【請求項46】 該第2の微粉体は、樹脂微粉体である請求項44に記載の画像形成装置。
【請求項47】 該第2の微粉体は、実質的に球形である請求項44乃至46のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項48】 該黒色トナー粒子は、BET法によって測定された体積あたりの比表面積が1.2〜2.5m2/cm3である請求項35乃至47のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項49】 該黒色トナー粒子は、1nm〜100nmの細孔の積算細孔面積比率曲線における60%細孔半径が3.5nm以下である請求項35乃至48のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項50】 該黒色トナーは、GPCで測定される分子量分布において、低分子量側のピークが3000〜15000の範囲にある請求項35乃至49のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項51】 静電潜像がイエロートナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上にイエロートナー像を形成し、次いでイエロートナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像がマゼンタトナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上にマゼンタトナー像を形成し、次いでマゼンタトナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像がシアントナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上にシアントナー像を形成し、次いでシアントナー像が中間転写体上に転写され;
静電潜像が黒色トナーを有する現像剤で現像されて静電潜像担持体上に黒色トナー像を形成し、次いで黒色トナー像が中間転写体上に転写され;
中間転写体上のイエロートナー像,マゼンタトナー像,シアントナー像及び黒色トナー像が転写材へ転写される請求項35乃至50のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項52】 黒色トナーは、SF-2の値がイエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーのSF-2の値よりも5以上大きい請求項51に記載の画像形成装置。
【請求項53】 イエロートナーは、SF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139であり、シアントナーはSF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139である請求項51又は52に記載の画像形成装置。
【請求項54】 イエロートナーは、SF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130であり、シアントナーはSF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130である請求項51又は52に記載の画像形成装置。
【請求項55】 イエロートナーは、SF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125であり、シアントナーはSF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125である請求項51又は52に記載の画像形成装置。
【請求項56】 黒色トナーが磁性トナーであり、イエロートナーが非磁性トナーであり、マゼンタトナーが非磁性トナーであり、シアントナーが非磁性トナーである請求項51乃至55のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項57】 黒色トナー,イエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーが非磁性トナーである請求項51乃至55のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項58】 黒色トナーは、結着樹脂及び黒色着色剤を少なくとも有する混合物を溶融混練し、溶融物を冷却し、冷却された溶融物を粉砕することによって生成された黒色トナー粒子を有し、
イエロートナーは、重合性単量体及びイエロー着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたイエロートナー粒子を有し、
マゼンタトナーは、重合性単量体及びマゼンタ着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたマゼンタトナー粒子を有し、
シアントナーは、重合性単量体及びシアン着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたシアントナー粒子を有する請求項51乃至57のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項59】 該静電潜像担持体は、表面の水に対する接触角が85度以上である請求項35乃至58のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項60】 該静電潜像担持体の表面層にフッ素原子を有する物質を含有する請求項35乃至59のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項61】 フッ素原子を有する物質が、フッ素原子を有する化合物又は樹脂の微粉体である請求項60に記載の画像形成装置。
【請求項62】 中間転写体は、トナー像を担持するための円筒状ドラムを有する請求項35乃至61のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項63】 中間転写体は、トナー像を担持するためのエンドレスベルトを有する請求項35乃至61のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項64】 中間転写体は、トナー像を担持するための円筒状ドラムを有し、円筒状ドラム上に担持されたトナー像を転写材へ転写するための転写ベルトを転写手段は有する請求項35乃至61のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項65】 中間転写体は、トナー像を担持するためのエンドレスベルトを有し、エンドレスベルト上に担持されたトナー像を転写材へ転写するための転写ローラーを転写手段は有する請求項35乃至61のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項66】 黒色トナーは、液体潤滑剤を含有している請求項35乃至65のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項67】 液体潤滑剤が、液体潤滑剤を20〜90重量%含有した潤滑担体粒子の形態でトナー中に含有されている請求項66に記載の画像形成装置。
【請求項68】 黒色トナーは、磁性トナーであり、磁性トナーに含有される磁性体に液体潤滑剤が担持されている請求項66又は67に記載の画像形成装置。
【請求項69】 液体潤滑剤の25℃における粘度が10〜20万cStである請求項66乃至68のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項70】 少なくともイエロー系着色剤と結着樹脂とを含有するイエロートナー粒子及び無機微粉体を有するイエロートナーと、
少なくともマゼンタ系着色剤と結着樹脂とを含有するマゼンタトナー粒子及び無機微粉体を有するマゼンタトナーと、
少なくともシアン系着色剤と結着樹脂とを含有するシアントナー粒子及び無機微粉体を有するシアントナーと、
少なくともカーボンブラックまたは/および磁性体と結着樹脂とを含有する黒色トナー粒子及び無機微粉体を有する黒色トナーを有するトナーキットにおいて、
該黒色トナーは形状係数SF-2の値が140以下であり且つイエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーの形状係数SF-2より大きいことを特徴とするトナーキット。
【請求項71】 該黒色トナーの形状係数SF-2が115乃至140である請求項70に記載のトナーキット。
【請求項72】 該黒色トナーは、磁性トナーであり、該イエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーは非磁性トナーである請求項70又は71に記載のトナーキット。
【請求項73】 各色トナーのBET法によって測定された単位体積あたりの比表面積Sb(m2/cm3)と、各色トナーを真球と仮定した際の重量平均粒径から算出した単位体積あたりの比表面積St(m2/cm3)とが下記条件
3.0≦Sb/St≦7.0 かつ、 Sb≧St×1.5+1.5
を満足する請求項70乃至72のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項74】 該黒色トナーが結着樹脂100重量部に対し、磁性体30〜200重量部を含有する磁性トナーであり、該磁性トナーの形状係数SF-1の値が120≦SF-1≦160であり、かつSF-2の値が115≦SF-2≦140である請求項70乃至73のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項75】 各色トナーは比B/Aの値が0.20〜0.90である請求項70乃至74のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項76】 各色トナーの単位体積あたりの帯電量が30〜80C/m3である請求項70乃至75のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項77】 該無機微粉体がチタニア,アルミナ,シリカあるいはその複酸化物からなるグループから選ばれる無機微粉体である請求項70乃至76のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項78】 該無機微粉体が疎水化処理されている請求項70乃至77のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項79】 該無機微粉体が少なくともシリコーンオイルで処理されたものである請求項78に記載のトナーキット。
【請求項80】 該無機微粉体は一次粒径が30nm以下であり、該トナーは平均粒径30nmを超える第2の微粉体をさらに有している請求項70乃至79のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項81】 該第2の微粉体は、無機微粉体である請求項80に記載のトナーキット。
【請求項82】 該第2の微粉体は、樹脂微粉体である請求項80に記載のトナーキット。
【請求項83】 該第2の微粉体は、実質的に球形である請求項80乃至82のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項84】 該トナー粒子は、BET法によって測定された体積あたりの比表面積が1.2〜2.5m2/cm3である請求項70乃至83のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項85】 該トナー粒子は、1nm〜100nmの細孔の積算細孔面積比率曲線における60%細孔半径が3.5nm以下である請求項70乃至84のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項86】 該トナーは、GPCで測定される分子量分布において、低分子量側のピークが3000〜15000の範囲にある請求項70乃至85のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項87】 黒色トナーは、SF-2の値がイエロートナー,マゼンタトナー及びシアントナーのSF-2の値よりも5以上大きい請求項70乃至86へのいずれかに記載のトナーキット。
【請求項88】 イエロートナーは、SF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139であり、シアントナーはSF-1が100乃至170であり且つSF-2が100乃至139である請求項70乃至87のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項89】 イエロートナーは、SF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130であり、シアントナーはSF-1が100乃至160であり且つSF-2が100乃至130である請求項70乃至87のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項90】 イエロートナーは、SF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125であり、マゼンタトナーは、SF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125であり、シアントナーはSF-1が100乃至150であり且つSF-2が100乃至125である請求項70乃至87のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項91】 黒色トナーは、結着樹脂及び黒色着色剤を少なくとも有する混合物を溶融混練し、溶融物を冷却し、冷却された溶融物を粉砕することによって生成された黒色トナー粒子を有し、
イエロートナーは、重合性単量体及びイエロー着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたイエロートナー粒子を有し、
マゼンタトナーは、重合性単量体及びマゼンタ着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたマゼンタトナー粒子を有し、
シアントナーは、重合性単量体及びシアン着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物の微粒子を水系媒体中で重合することによって生成されたシアントナー粒子を有する請求項70乃至90のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項92】 黒色トナーは、液体潤滑剤を含有している請求項70乃至91のいずれかに記載のトナーキット。
【請求項93】 液体潤滑剤が、液体潤滑剤を20〜90重量%含有した潤滑担体粒子の形態でトナー中に含有されている請求項92に記載のトナーキット。
【請求項94】 黒色トナーは、磁性トナーであり、磁性トナーに含有される磁性体に液体潤滑剤が担持されている請求項92又は93に記載のトナーキット。
【請求項95】 液体潤滑剤の25℃における粘度が10〜20万cStである請求項92乃至94のいずれかに記載のトナーキット。」
に訂正する。
2)訂正事項b
明細書の段落【0027】の
「 【課題を解決するための手段】
本発明は、静電潜像を現像剤で現像して静電潜像担持体上にトナー像を形成する現像工程、
該トナー像を電圧が印加されている中間転写体上に転写する一次転写工程、及び
電圧が印加されている転写手段を転写材に押圧させながら該中間転写体上のトナー像を該転写材上へ転写する二次転写工程を少なくとも有する画像形成方法であり、
該現像剤は、トナーを有し、
該トナーが、少なくとも結着樹脂中に着色剤が分散された黒色トナー粒子と無機微粉体を有する黒色トナーであり、該黒色トナーの形状係数SF-1の値が110<SF-1≦180であり、形状係数SF-2の値が110<SF-2≦140であり、SF-2の値から100を引いた値BとSF-1の値から100を引いた値Aとの比B/Aの値が1.0以下であることを特徴とする画像形成方法に関する。」

「 【課題を解決するための手段】
本発明は、静電潜像を現像剤で現像して静電潜像担持体上にトナー像を形成する現像工程、
該トナー像を電圧が印加されている中間転写体上に転写する一次転写工程、及び
電圧が印加されている転写手段を転写材に押圧させながら該中間転写体上のトナー像を該転写材上へ転写する二次転写工程を少なくとも有する画像形成方法であり、
該現像剤は、トナーを有し、
該トナーが、少なくとも結着樹脂中に着色剤が分散された黒色トナー粒子と無機微粉体を有する黒色トナーであり、該黒色トナーの形状係数SF-1の値が110<SF-1≦180であり、形状係数SF-2の値が110<SF-2≦140であり、SF-2の値から100を引いた値BとSF-1の値から100を引いた値Aとの比B/Aの値が1.0以下であり、
該中間転写体及び該転写手段の表面が弾性層から構成されており、該中間転写体の体積固有抵抗値が転写手段の体積固有抵抗値より高い値を示し、且つ、該中間転写体の表面硬度が、JIS・K-6301で測定して10〜40度の範囲を有し、且つ、転写手段の表面の硬度を中間転写体の硬度よりも大きくし、転写手段を中間転写体に押圧し中間転写体側に凹形状のニップを形成せしめ、転写手段に電圧を印加し転写材上にトナー像を転写せしめることを特徴とする画像形成方法に関する。」
に訂正する。
3)訂正事項c
明細書の段落【0028】の
「 さらに、本発明は、静電潜像担持体,
静電潜像担持体上にトナー像を形成するための現像剤を有する現像手段,
静電潜像担持体から転写されるトナー像を担持するための、バイアス印加手段を有する中間転写体,及び
中間転写体上のトナー像を転写材へ転写するための、バイアス印加手段を有する中間転写体を押圧するように設置されている転写手段を少なくとも有する画像形成装置であり、
該現像剤は、トナーを有し、
該トナーが、少なくとも結着樹脂中に着色剤が分散された黒色トナー粒子と無機微粉体を有する黒色トナーであり、該黒色トナー本発明は、静電潜像担持体上にトナー像を形成する現像工程と、該トナー像を電圧が印加されている中間転写体上に転写する一次転写工程と、電圧が印加されている転写部材を転写材に接触させながら該中間転写体上のトナー像を該転写材上へ転写する二次転写工程を有する電子写真装置を用いる画像形成方法において、
該トナーが、少なくとも結着樹脂中に着色剤が分散されたトナー粒子と無機微粉体を有するトナーであり、該トナーの画像解析装置で測定した形状係数SF-1の値が110<SF-1≦180であり、形状係数SF-2の値が110<SF-2≦140であり、SF-2の値から100を引いた値BとSF-1の値から100を引いた値Aとの比B/Aの値が1.0以下であることを特徴とする画像形成装置に関する。」

「 さらに、本発明は、静電潜像担持体,
静電潜像担持体上にトナー像を形成するための現像剤を有する現像手段,
静電潜像担持体から転写されるトナー像を担持するための、バイアス印加手段を有する中間転写体,及び
中間転写体上のトナー像を転写材へ転写するための、バイアス印加手段を有する中間転写体を押圧するように設置されている転写手段を少なくとも有する画像形成装置であり、
該現像剤は、トナーを有し、
該トナーが、少なくとも結着樹脂中に着色剤が分散された黒色トナー粒子と無機微粉体を有する黒色トナーであり、該黒色トナーの形状係数SF-1の値が110<SF-1≦180であり、形状係数SF-2の値が110<SF-2≦140であり、SF-2の値から100を引いた値BとSF-1の値から100を引いた値Aとの比B/Aの値が1.0以下であり、
該中間転写体及び該転写手段の表面が弾性層から構成されており、該中間転写体の体積固有抵抗値が転写手段の体積固有抵抗値より高い値を示し、且つ、該中間転写体の表面硬度が、JIS・K-6301で測定して10〜40度の範囲を有し、且つ、転写手段の表面の硬度を中間転写体の硬度よりも大きくし、転写手段を中間転写体に押圧し中間転写体側に凹形状のニップを形成せしめ、転写手段に電圧を印加し転写材上にトナー像を転写せしめることを特徴とする画像形成装置に関する。」
に訂正する。
4)訂正事項d
明細書の段落【0068】の
「 黒色トナーを作製するには、結着樹脂、ワックス、着色剤としての顔料、染料、又は磁性体、必要に応じて荷電制御剤の如き添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合器により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂を溶融せしめた中に顔料、染料又は磁性体を分散又は溶解せしめ、冷却固化後、粉砕、分級を行なって黒色トナーを得ることが出来る。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。」

「 黒色トナー粒子を作製するには、結着樹脂、ワックス、着色剤としての顔料、染料、又は磁性体、必要に応じて荷電制御剤の如き添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合器により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂を溶融せしめた中に顔料、染料又は磁性体を分散又は溶解せしめ、冷却固化後、粉砕、分級を行なって黒色トナー粒子を得ることが出来る。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。」
に訂正する。
5)訂正事項e
明細書の段落【0070】の
「 トナーは特公昭56-13945号公報等に記載のディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナーを得る方法や、特公昭36-10231号公報,特開昭59-53856号公報,特開昭59-61842号公報に述べられている懸濁重合方法を用いて直接トナーを生成する方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナーを生成する分散重合方法又は水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナーを生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法を用いてトナー粒子を製造しても良い。」

「 トナー粒子は特公昭56-13945号公報等に記載のディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナー粒子を得る方法や、特公昭36-10231号公報,特開昭59-53856号公報,特開昭59-61842号公報に述べられている懸濁重合方法を用いて直接トナー粒子を生成する方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナー粒子を生成する分散重合方法又は水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナー粒子を生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法を用いてトナー粒子を製造しても良い。」
に訂正する。
6)訂正事項f
明細書の段落【0082】の
「 さらには、トナー表面を無機微粉体の如き外添剤により被覆することにより、トナー粒子表面の外添剤被覆率が、5〜99%さらに好ましくは、10〜99%であることが好ましい。トナー粒子表面の外添剤被覆率は、日立製作所製FE-SEM(S-800)を用いトナー粒子像(例えば、2万倍)を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介してニコレ社製画像解析装置(Luzex3)を導入し解析を行い算出する。」

「 さらには、トナー粒子表面を無機微粉体の如き外添剤により被覆することにより、トナー粒子表面の外添剤被覆率が、5〜99%さらに好ましくは、10〜99%であることが好ましい。トナー粒子表面の外添剤被覆率は、日立製作所製FE-SEM(S-800)を用いトナー粒子像(例えば、2万倍)を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介してニコレ社製画像解析装置(Luzex3)を導入し解析を行い算出する。」
に訂正する。
7)訂正事項g
明細書の段落【0115】の
「 イエロートナー,マゼンタトナー,シアントナーに外添する無機微粉体としては、特定のカップリング剤を水存在下で加水分解しながら処理した平均粒径0.01〜0.2μm、疎水化度20〜98%で400nmにおける光透過率が40%以上である酸化チタンあるいはアルミナが好ましい。水中では均質な疎水化処理が行え、粒子同士の合一もなくトナーの帯電の安定化、流動性付与の点で、極めて有効である。」

「 イエロートナー粒子,マゼンタトナー粒子,シアントナー粒子に外添する無機微粉体としては、特定のカップリング剤を水存在下で加水分解しながら処理した平均粒径0.01〜0.2μm、疎水化度20〜98%で400nmにおける光透過率が40%以上である酸化チタンあるいはアルミナが好ましい。水中では均質な疎水化処理が行え、粒子同士の合一もなくトナーの帯電の安定化、流動性付与の点で、極めて有効である。」
に訂正する。
異議決定日 2003-05-28 
出願番号 特願平8-46903
審決分類 P 1 652・ 121- YA (G03G)
P 1 652・ 531- YA (G03G)
P 1 652・ 4- YA (G03G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 福田 由紀  
特許庁審判長 矢沢 清純
特許庁審判官 伏見 隆夫
植野 浩志
登録日 2001-10-26 
登録番号 特許第3243597号(P3243597)
権利者 キヤノン株式会社
発明の名称 画像形成方法,画像形成装置及びトナーキット  
代理人 渡邉 敬介  
代理人 渡邉 敬介  
代理人 山口 芳広  
代理人 山口 芳広  

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