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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  G02B
審判 一部申し立て 2項進歩性  G02B
管理番号 1084819
異議申立番号 異議2002-73065  
総通号数 47 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-03-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-12-23 
確定日 2003-08-03 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3294979号「光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体」の請求項1,2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3294979号の請求項1,2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3294979号に係る主な手続の経緯は以下のとおりである。
特許出願 平成 7年 9月14日
特許権設定登録 平成14年 4月 5日
公報発行日 平成14年 6月24日
異議の申立て 平成14年12月23日
訂正請求 平成15年 6月20日

2.訂正の適否についての判断
2-1.訂正事項
a.特許請求の範囲の請求項1の末尾の「組立体。」を「組立体において、前記角度インデックス部材は、外周に一対のインデックス溝をもち、前記フランジボディ側に固定用の窪みを設けて構成した光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体。」と訂正する
b.特許請求の範囲の請求項3を削除する。
c.発明の詳細な説明の段落【0006】17行「構成されている。」を、「構成した。光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体において、角度インデックス部材は、外周に一対のインデックス溝をもち、前記フランジボディ側に固定用の窪みを設けて構成することができる。」と訂正する。

2-2.訂正の目的の適否等について
訂正事項aについて
訂正事項aは、「組立体」を「前記角度インデックス部材は、外周に一対のインデックス溝をもち、前記フランジボディ側に固定用の窪みを設けて構成した光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体」と限定するものであり、これは当初明細書【0008】段落に記載されている事項であり、特許請求の範囲の減縮に該当し、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

訂正事項bについて
訂正事項bは、特許請求の範囲を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。

訂正事項cについて
訂正事項cは、上記訂正事項aの訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るためのものであり、明りょうでない記載の釈明に該当し、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

2-3.むすび
以上のとおりであるので、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する第126条第2項及び同条第3項の規定に適合するので訂正を認める。

3.取消理由及び特許異議の申立てについての判断
3-1.本件発明
訂正された明細書の特許請求の範囲請求項1及び2に記載されている事項により特定される発明(以下「本件発明1」ないし「本件発明2」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】偏波面保持光ファイバ、前記光ファイバを受け入れその先端面を露出させて保持固定する光ファイバフェルール、前記光ファイバの偏波面に対して一定の角度位置に配置されるべき角度インデックスを有する角度インデックス部材とを含み、前記光ファイバフェルールに前記光ファイバを固定し、前記フェルールの基部を前記光ファイバの被覆部分を受け入れるフランジボディに固定して光ファイバフェルール仮組立体を形成し、前記角度インデックス部材に光ファイバフェルール仮組立体を結合し、いずれか一方を固定した状態で前記光ファイバの先端面を拡大観察してその形状から前記偏波面方向を決定し、前記角度インデックスが前記偏波面方向に対して一定の角度位置になるように相対的に回転させて固定して構成した光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体において、前記角度インデックス部材は、外周に一対のインデックス溝をもち、前記フランジボディ側に固定用の窪みを設けて構成した光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体。
【請求項2】請求項1記載の光ファイバフェルール組立において、前記角度インデックス部材は前記光ファイバフェルールを回転可能に支持した状態で前記角度インデックスを基準にして顕微鏡のステージに固定され、前記顕微鏡で光ファイバ先端の拡大像を観察しながら前記フェルールを回転させて前記拡大像が前記角度インデックス部材のインデックスに対して一定の関係に達したときに前記角度インデックス部材と前記フェルールを接着固定して構成した光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体。」

3-2.取消理由通知及び特許異議申立の概要
平成15年4月11日付取消理由通知は、特許異議申立人今井文よりなされた異議申立と同様であって、その概要は以下のとおりである。

本件発明1は、甲1号証と同一であるから、特許法第29条第1項3号の規定に違反して、或いは、本件発明2は、甲1号証及び甲2号証により当業者が容易に発明をすることができるものであるから、同法第29条第2項の規定に違反して特許をされたものである。

甲1号証:特開平5-45533号公報(以下、「刊行物1」という。)
甲2号証:USP5216733(以下、「刊行物2」という。)
3-3.引用刊行物に記載された発明
異議申立人今井文の提示する甲第1号証(特開平5-45533号公報、以下「刊行物1」という。)には、
「【0013】【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、この発明の組立工具は、光コネクタプラグにおいて、フェルールに接着固定された偏波保持光ファイバの主軸の向きを、プラグハウジングの向きに合わせ、組立てるために使用する光コネクタプラグの組立工具であって、前記フェルールを固定するフェルール固定部と、このフェルール固定部と同軸上に配置され、フランジをその軸方向に摺動可能に保持するフランジ保持部とからなり、前記フェルール固定部を、その中心部に挿入したフェルールを中心として回動可能に構成したことを特徴とする。
【0014】また、この発明の光コネクタプラグの組立方法は、偏波保持光ファイバを接着固定したフェルールを、上記組立工具のフェルール固定部に固定すると共に、前記フェルールにフランジを挿入してこれを前記組立工具のフランジ保持部に保持した状態で、前記フェルール固定部を回動させることにより、前記偏波保持光ファイバの主軸の向きと前記フランジの予め定められた向きとの位置合わせを行い、次いで前記フランジ保持部を前記フェルール固定部に固定すると共に、前記フランジをその軸方向に摺動させて、前記フェルールに圧入した後、このフェルールを前記組立工具から取外し、プラグハウジングに組込むことを特徴とする。」
「【0024】図3に示したように、フェルール11はジルコニアセラミックで構成された円筒棒からなり、一端側に光コネクタプラグ側へ嵌合する嵌合部12、他端側にフランジ14を圧入するステム13がそれぞれ形成されると共に、前記嵌合部12には偏波保持光ファイバ素線の外径よりもわずかに大きい内径の微細な貫通孔(図示せず)が形成されている。
【0025】 図4(a)、(b)に示したように、上記フェルール11のステム13に圧入されるフランジ14は、金属製のリングからなり、その内径は上記フェルール11のステム13の外径と同等またはそれよりもやや小さく設定されている。また、フランジ14の周縁には、上記したこの発明の組立工具Kにおけるフランジ保持部1のキー3a、3bと係合するキー溝15a、15bが形成されている。」と記載されている。
「【0028】まず、偏波保持光ファイバ16にフェルール11を接着固定すると共に、フェルール11の端部を円球状に研磨加工し、このフェルール11を図4に示したように組立工具Kのフェルール固定部2へ挿入して、押さえねじ4aによって固定する。
【0029】次いで、図6に示したように、予めその中空部に偏波保持光ファイバ16を通しておいたフランジ14のキー溝15a、15bを、組立工具Kのフランジ保持部1にあるキー3a、3bと合わせて係合し、図7に示したように、予め固定してあるフェルール11の途中までフランジ14を挿入してから、フランジ保持部1の押さえねじ4bによりフランジ14を保持する。
【0030】この状態で、図7に示したように偏波保持光ファイバ16のフェルール11とは反対側の端面に顕微鏡21を配置し、この顕微鏡21によって偏波保持光ファイバ16の端面を拡大観察する。
【0031】すなわち、図8(a)に示したように、顕微鏡のミクロメータ22に対し、二つの応力保持部19がずれている場合には、コア17を中心としてフェルール固定部2を回動させてクラッド18を合わせることにより、図8(b)に示したように、前記ミクロメータ22の向きに前記二つの応力保持部19が並列するように調整する。
【0032】しかる後、フランジ保持部1の押さえねじ4bによってフェルール固定部2をフランジ保持部1に対して固定し、図9に示したようにフランジ14をキー溝15a、15bに沿わせて軸方向に摺動させ、押し込むことにより、フェルール11のステム13に圧入する。
【0033】これにより、偏波保持光ファイバ16の応力固定部19の向きを、フランジ14の所定の向き、すなわちプラグハウジングの向きと正確に合わせてなるフランジ14付きのフェルール11を容易に得ることができ、次いでこのフェルール11を前記組立工具Kから取外し、このフェルール11の嵌合部12を光コネクタプラグのプラグハウジングにプッシュ式に組込むことによって、光コネクタプラグの組立てを高精度かつ容易に完了することができる。」

同じく甲第2号証(USP5216733、以下「刊行物2」という。)には、
「The ferrule body 103 is provide with a through hole having a diameter slightly larger than the diameter of the fiber,and consists of an insertion part 102 made of a rod shaped unit body of zirconia and a holding part 104 made of metal to fit into the insertion part 102.」(フェルール体103は、ファイバの径より僅かに直径が大きい孔が形成され、棒状形状のジルコニア単体から成る挿入部とその挿入部102に適合する金属から成る保持部104とから構成される。)(5欄18〜23行)
「As shown in FIG.7(a),drops of an adhesive liquid 111 are applied to the side surface of the holding part 104 of the ferrule body 103.Then,the liquid 111 is made to drip downward to fill the holding part 104. The air inside the holding part 104 is expelled outward through the air hole 107.Therefore,the abhesive liquid 111 is able to spread through in the holding part 104 uniformly without leaving any air bubbles.」(図7(a)に示されるように、接着液111の少量がフェルール体103の保持部104の側面に供給される。そして、その液111は保持部104を満たすように下方へ滴らせる。保持部104内の空気が空気孔107を介して外部に押し出される。それ故、接着液111は空気泡を残さないで保持部104内に均一に広がることができる。)(5欄50〜58行)
と記載されている。

3-4. 本件発明1について
訂正後の本件発明1は、実質的に、本件特許異議申立の対象でない訂正前の請求項3に対応するものである。
刊行物1及び2には、それぞれ「偏波面保持光ファイバ、前記光ファイバを受け入れその先端面を露出させて保持固定する光ファイバフェルール、前記光ファイバの偏波面に対して一定の角度位置に配置されるべき角度インデックスを有する角度インデックス部材とを含み、前記光ファイバフェルールに前記光ファイバを固定し、前記フェルールの基部を前記光ファイバの被覆部分を受け入れるフランジボディに固定して光ファイバフェルール仮組立体を形成し、前記角度インデックス部材に光ファイバフェルール仮組立体を結合し、いずれか一方を固定した状態で前記光ファイバの先端面を拡大観察してその形状から前記偏波面方向を決定し、前記角度インデックスが前記偏波面方向に対して一定の角度位置になるように相対的に回転させて固定して構成した光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体において、前記角度インデックス部材は、外周に一対のインデックス溝を設けて構成した光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体。」及び「フェルールと保持部(本件発明1のフランジボディに相当)」との事項が把握できるとしても、本件発明1の「角度インデックス部材」の「フランジボディ側に固定用の窪みを設けて構成」するとの技術的事項は、記載されていない。
そして、本件発明1は、上記技術的事項により、「接着剤を受け入れて角度インデックスを固定する」(明細書【0008】段落)との効果を奏するものである。
したがって、本件発明1は、上記刊行物1記載の発明でなく、また、上記刊行物1及び2に記載された発明に基づいて基いて当業者が容易に発明することができたものとすることはできない。

3-5. 本件第2発明について
本件発明2は、本件発明1を引用して、本件発明1をさらに限定するものであるから、上記3-4と同じ理由により、上記刊行物1記載の発明ではなく、また、上記刊行物1及び2に記載された発明に基いて当業者が容易になし得たものでもない。

4.むすび
以上のとおりであるので、本件特許は、特許異議申立人の提示した理由及び証拠によっては、取り消すことができない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 偏波面保持光ファイバ、前記光ファイバを受け入れその先端面を露出させて保持固定する光ファイバフェルール、前記光ファイバの偏波面に対して一定の角度位置に配置されるべき角度インデックスを有する角度インデックス部材とを含み、
前記光ファイバフェルールに前記光ファイバを固定し、前記フェルールの基部を前記光ファイバの被覆部分を受け入れるフランジボディに固定して光ファイバフェルール仮組立体を形成し、
前記角度インデックス部材に光ファイバフェルール仮組立体を結合し、いずれか一方を固定した状態で前記光ファイバの先端面を拡大観察してその形状から前記偏波面方向を決定し、前記角度インデックスが前記偏波面方向に対して一定の角度位置になるように相対的に回転させて固定して構成した光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体において、
前記角度インデックス部材は、外周に一対のインデックス溝をもち、前記フランジボディ側に固定用の窪みを設けて構成した光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体。
【請求項2】 請求項1記載の光ファイバフェルール組立において、
前記角度インデックス部材は前記光ファイバフェルールを回転可能に支持した状態で前記角度インデックスを基準にして顕微鏡のステージに固定され、
前記顕微鏡で光ファイバ先端の拡大像を観察しながら前記フェルールを回転させて前記拡大像が前記角度インデックス部材のインデックスに対して一定の関係に達したときに前記角度インデックス部材と前記フェルールを接着固定して構成した光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、PANDA光ファイバを用いたファイバ組立体で光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】
光計測,光通信の分野で光ファイバの偏波面方向を維持して伝送することができる偏波面保持光ファイバが知られている。偏波面保持光ファイバは、偏波の状態が問題とされるコヒーレント通信の分野とか、光機器などの特性が入出力される光の偏波状態に依存する分野などで広く利用されている。
【0003】
偏波面保持光ファイバは複屈折ファイバを利用して実現できる。複屈折ファイバを利用した偏波面保持光ファイバの構造は応力付与型のものとコア形状を楕円のように円から変形させたものの2つに分類される。
現在では、応力付与型のものとしてPANDAファイバ(Polarization-maintaining AND Absorption-reducing Fiber)が用いられているからこの構造を図9を参照して簡単に説明する。このPANDAファイバ100のクラッド102中にある応力付与部材103A,103Bは周囲のシリカガラスに比べて熱膨張率が大きい材質のガラスである。高い温度で線引きされファイバとなって冷えるとき、応力付与部材の収縮が周囲よりも大きいので結果としてコア101をY方向に引っ張り、それにともなってX方向に圧縮応力が発生する。その結果、コア101は光弾性効果によって屈折率がX方向とY方向で異なり、伝搬する偏波モードの伝搬定数に差がつけられる。その他、応力を与える方法によって色々なものが研究されたが、現在ではPANDA型以外に次の2つのものが実用化されている。応力付与部材が扇型をしているボウタイ型は英国で開発された。また、楕円ジャケット(クラッドの周囲に設ける応力付与部材)型も我が国で開発され実用化されている。コア形状は変形する構造のものが研究されたが、実用化はされていない。
【0004】
このような偏波面保持光ファイバ間の接続、偏波面保持光ファイバと他の機器との接続にあたり相互の偏波面が高い精度で一致させられて接続される必要がある。そのために個別的に調節をして接続する作業が行われている。
結合すべき光ファイバを支持したフェルールの対をスリーブに挿入して、対向させ一方に光源を接続して他方に光パワーメータを接続して接続損失が最小のところを求めて固定する。前記方法は(特開昭61-228404)に示されている構成を利用することにより実現できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、個々の偏波面の合わせ調整を行わなくても偏波面保持光ファイバのフェルールに対して前記偏波面を指示する正確なインデックスが設けられていれば、そのインデックスを基準にしてフェルールとフェルール、フェルールと光源、およびフェルールと偏光特性をもつ機器等を結合すれば、個々の調整は全く不要となるはずである。
本発明の目的は、偏波面保持光ファイバフェルールまたはコネクタの組立において偏波面の整列作業を、従来のように組み上がったコネクタの状態で行わず、光ファイバを取り付けたフェルール単体にインデックス部を設けるようにした光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明による光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体は、
偏波面保持光ファイバ、前記光ファイバを受け入れその先端面を露出させて保持固定する光ファイバフェルール、前記光ファイバの偏波面に対して一定の角度位置に配置されるべき角度インデックスを有する角度インデックス部材とを含み、
前記光ファイバフェルールに前記光ファイバを固定し、前記フェルールの基部を前記光ファイバの被覆部分を受け入れるフランジボディに固定して光ファイバフェルール仮組立体を形成し、
前記角度インデックス部材に光ファイバフェルール仮組立体を結合し、いずれか一方を固定した状態で前記光ファイバの先端面を拡大観察してその形状から前記偏波面方向を決定し、前記角度インデックスが前記偏波面方向に対して一定の角度位置になるように相対的に回転させて固定して構成した光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体において、
前記角度インデックス部材は、外周に一対のインデックス溝をもち、前記フランジボディ側に固定用の窪みを設けて構成することができる。
前記光ファイバフェルール組立において、
前記角度インデックス部材は前記光ファイバフェルールを回転可能に支持した状態で前記角度インデックスを基準にして顕微鏡のステージに固定され、
前記顕微鏡で光ファイバ先端の拡大像を観察しながら前記フェルールを回転させて前記拡大像が前記角度インデックス部材のインデックスに対して一定の関係に達したときに前記角度インデックス部材と前記フェルールを接着固定して構成することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下図面等を参照して本発明による光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体をさらに詳しく説明する。
図1は本発明による光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体の調整工程を説明するための展開的斜視図である。図2は光ファイバ組立の実施例を示す断面図である。偏波面保持光ファイバの被覆を除去して、光ファイバの心線5を光ファイバフェルール1に挿入して糊付け固定する。このとき光ファイバの先端がフェルールの端面と同一面またはやや突出した位置にあり、表面によごれや傷がない光学的な滑らかな面としておく。このときフェルール1に対する光ファイバ5の角度位置関係は全く問題にならない。鍔31を持つフランジボデイ3に光ファイバの被覆部4を挿入固定した状態で光ファイバ5をフェルール1の中心孔に挿入固定するとともにフランジボデイ3とフェルール1の基部も接着材で接着固定しておく。
【0008】
図3は前記実施例の角度インデックス部材の実施例を示す断面図、図4は前記実施例の角度インデックス部材の底面図である。角度インデックス部材2の中心孔21は前記フェルール1の外周に嵌合してフェルール1の中心軸周りに回転可能になっている。角度インデックス部材2の外周にはインデックス溝23,24が設けられており、底面側には接着材を受け入れて角度インデックス部材2をフランジボデイ3に固定するための窪み22が設けられている。角度インデックス部材2を仮にフェルール1に嵌合し、摩擦で一体化した仮組立の状態を形成しておく。
【0009】
図1に示されているように対物レンズ10をもつ顕微鏡のステージ側のアーム6,7に、治具9が固定されている。この治具9と前記顕微鏡の対物レンズ10との間では2次元相対移動および回転が可能であり、後述するように前記光ファイバフェルールを支持してその光ファイバ端面の中心を前記対物レンズ10の光軸の焦点位置にもたらすことができる。治具9の詳細を図5〜図7に示す。
図5は、本発明による光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体を組み立てる工程において使用する治具9の断面図、図6は前記治具の底面図、図7は前記治具の側面図である。
治具9はねじ孔94,95を有し、図1に示すようにねじ8A,8Bで顕微鏡のステージ側のアーム6,7に固定されており、治具9の中心に前記仮組立の状態でフェルール1を受け入れる。
また治具9の底面には突起92,93が設けられており、前記突起の幅は前記仮組立フェルールの角度インデックス部材2の外周のインデックス溝23,24に対応する幅であり、この溝23,24と係合して前記角度インデックス部材2を摩擦で支持するとともにその回転を制限している。
【0010】
図8は顕微鏡の視野の例を示す説明図である。顕微鏡視野中において前記治具9の基準面96または97が顕微鏡視野中の十字線のX軸に一致するようにステージを回転移動する(図8(I))。その状態からステージを移動させて治具の中央部の光ファイバ100の中心が十字線の原点に近づくように調整する。図8(II)に光ファイバ100の中心がほぼ十字線の中心に近づけられた状態を示している。この実施例では顕微鏡の倍率を500倍にしている。光ファイバの先端を拡大し適当な照明が行われると、光ファイバのクラッド102中の応力付与部材103A,103Bはクラッドとは光学的特性が異なるのでその輪郭が現れる。この輪郭を参照して顕微鏡のステージの移動と前述した仮組立フェルールのフェルールを回転させることにより応力付与部材103Aおよび103Bの並びが十字線のY軸上に平行になるように調節する。合致したところでフランジボディ3とフランジA(角度インデックス部材)2間に瞬間接着剤を注射器で固定代22に注入して、フランジA(角度インデックス部材)2をフランジボディ3に固定する。その後、必要に応じてフランジAの溝92,93を基準にして端面研磨を行う。
このようにして製造されたフェルール組立体を用いてSC型コネクタ,FC型コネクタを組み立てることができる。その組立の手順はフランジAの溝92,93を基準とし、従来の通りである。
【0011】
【発明の効果】
本発明による光ファイバフェルール組立体は偏波面を示す溝等のインデックスが設けられているから、SCコネクタのように組立後ねじによる回転調芯不可能なコネクタの場合でも、フェルール単体での整列ができ調整は不要である。
光ファイバ先端を傾斜研磨して反射戻り損失を小さくするような場合、傾斜の方向と偏波面は一定の関係を保つ必要がある。そのような場合、フェルール組立体のインデックスを基準にして単体での斜め研磨が容易にできる。
(変形例)
以上詳しく説明した実施例について、本発明の範囲内で種々の変形を施すことができる。
前記フェルールは組立の工程で顕微鏡を用い、作業者が光ファイバ端面の像を目で観察して調整する例を示したが、フェルールを固定し、ファイバ端面の顕微鏡の像をCCDの上に結像させ、画像処理により2つの応力付与部材を結ぶ中心線の角度を特定し、その位置情報に基づいてステージを自動的に回転移動させ図8(III)の状態を自動的に形成することができる。インデックスの形状の例として溝の例を示したが、突起部であっても良く刻印するとか筋をつける等の変形でも後の基準となり得るものであれば良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明による光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体の調整工程を説明するための展開的斜視図である。
【図2】
本発明による光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体の実施例の断面図である。
【図3】
前記実施例の角度インデックス部材の実施例を示す断面図である。
【図4】
前記実施例の角度インデックス部材の底面図である。
【図5】
本発明による光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体を組み立てる工程において使用する治具の断面図である。
【図6】
前記治具の底面図である。
【図7】
前記治具の側面図である。
【図8】
前記調整工程を説明するための顕微鏡視野と拡大された光ファイバの先端を示す略図である。
【図9】
PANDA型の光ファイバの原理を説明するための略図である。
【符号の説明】
1 フェルール
2 フランジA(角度インデックス部材)
3 フランジボディ
4 光ファイバの被覆部
5 偏波面保持光ファイバの心線
6,7 顕微鏡のステージのアーム
8A,8B 治具取り付けねじ
9 治具
10 顕微鏡の対物レンズ
21 フランジAの中心孔
22 フランジAの糊付け固定代
23,24 フランジAの溝(インデックス溝)
31 鍔
91 治具の中心孔
92,93 治具の結合突起
94,95 治具のねじ孔
96,97 治具の基準面
100 PANDAファイバ
101 光ファイバのコア
102 光ファイバのクラッド
103A,103B 光ファイバの応力付与部材
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-07-14 
出願番号 特願平7-262378
審決分類 P 1 652・ 113- YA (G02B)
P 1 652・ 121- YA (G02B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小橋 立昌吉田 英一  
特許庁審判長 平井 良憲
特許庁審判官 畑井 順一
吉田 禎治
登録日 2002-04-05 
登録番号 特許第3294979号(P3294979)
権利者 株式会社精工技研
発明の名称 光ファイバの偏波面方向を指示する角度インデックスを備える光ファイバフェルール組立体  
代理人 井ノ口 壽  
代理人 井ノ口 壽  

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