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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F16H |
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管理番号 | 1086033 |
審判番号 | 不服2000-17794 |
総通号数 | 48 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-03-10 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-11-09 |
確定日 | 2003-10-30 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第207556号「自動変速機のトルクコンバータ」拒絶査定に対する審判事件[平成10年 3月10日出願公開、特開平10- 68456]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.本願発明 本願は、平成5年8月5日(以下、「本願出願の日」という。)付け実用新案登録出願を平成9年8月1日付けで特許出願に出願変更したものであって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年7月28日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「中間部に半径方向に直交する向きに膨らんだ頂部を有する略お椀断面形状の湾曲面を有し、外周部をコンバータカバーの外周部と結合されたインペラシェルと、 このインペラシェルに形成されたエンボス部にタブを嵌め込んでインペラシェルの内面に放射状に設けられたインペラブレードと、 インペラシェルの外面に取り付けられたバランス調整用のバランスピースとを有し、 トルクコンバータセンタとデファレンシャルセンタとが近接している平行2軸型に適用され、その最外径がコンバータカバーの外周となるトルクコンバータにおいて、 前記バランスピースの取付位置を、インペラシェルの湾曲面の頂部よりも外周側位置で、インペラシェルの外周部を除く、インペラシェル最外径方向端部とインペラブレードの最外径方向端部との間の位置で決まる内周側位置であって、かつ前記エンボス部を除くインペラシェル湾曲面部位としたことを特徴とする自動変速機のトルクコンバータ。」 2.刊行物に記載された発明等 当審で通知した拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物(以下、「刊行物」という。)は、以下のとおりである。 (1)特開平4-185936号公報 (2)実願昭62-143758号(実開昭64-48463号)のマイクロフィルム (3)特開平4-244642号公報 (4)特開平4-347045号公報 (5)特開平2-271118号公報 刊行物(1)には、以下の事項が図面とともに記載されている。 (a)「回転するワーク、例えば、内燃機関から被駆動側にトルクを伝達するトルクコンバータにアンバランスがある場合、そのアウター部材に、トルク伝達中に回転振れを招来させないようバランスウエイトが固着される。」(第2ページ左上欄第2〜6行) (b)「測定台14の一端には、ブラケット25を介してセンサ(検知手段)26が装着されている。該センサ26は、例えば、渦電流センサからなりトルクコンバータTの周側部に対面するように向いて、トルクコンバータTまでの距離を常時測定する。」(第3ページ左上欄第4〜9行) (c)「先ず、図示しないアンバランス測定装置にてトルクコンバータTのアンバランスを測定し、前記アンバランスを修正するためのバランスウエイト40の長さおよび装着点を決定する。」(第3ページ右上欄第8〜11行) (d)「バランスウェイト40をトルクコンバータTのアウター部材に点溶接した後、サーボモータ20を駆動させてターンテーブル16を回転させ、バランスウエイト40の取り付け始端をセンサ26の検知位置まで回動する。」(第3ページ左下欄第5〜9行) これら(a)〜(d)の記載及び図面の記載から、刊行物(1)には、次の発明(以下、「引用発明」という)が記載されていると認める。 「トルクコンバータのアウター部材の周側部にアンバランスを修正するバランスウエイトを点溶接で固着したトルクコンバータ」 刊行物(2)には、従来の技術として、図面第5〜8図とともに、以下の事項が記載されている。 (e)「このトルクコンバータにおけるポンプインペラは、そのアウタシェルが全体としてほぼ環状を成すとともに、そのブレード取付面が椀型に窪んでおり、そのブレード取付面に多数のブレードを固定した構成であるが、」(第3ページ第2〜6行) (f)「ブレード1は主にタブ2とスリット溝5との間で生じる摩擦力によって固定されており、」(第4ページ第12〜14行) (g)「さらにアウタシェル3の外周部にはフロントカバー7が外嵌され、溶接8によって固定されている。」(第4ページ第16〜18行) 3.対比、判断 そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「アンバランスを修正」は、本願発明の「バランス調整」に相当し、同様に、「バランスウエイト」は「バランスピース」に相当する。また、本願発明の「インペラシェル」は、引用発明の「アウター部材」の一部分であると認められるから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のようになる。 一致点 「アウター部材の外面に取り付けられたバランス調整用のバランスピースを有するトルクコンバータ」 相違点1 本願発明は、「中間部に半径方向に直交する向きに膨らんだ頂部を有する略お椀断面形状の湾曲面を有し、外周部をコンバータカバーの外周部と結合されたインペラシェルと、このインペラシェルに形成されたエンボス部にタブを嵌め込んでインペラシェルの内面に放射状に設けられたインペラブレード」を有した構成であるのに対し、引用発明は、このような構成であるかどうか判然としない点。 相違点2 本願発明は、「トルクコンバータセンタとディファレンシャルセンタとが近接している平行2軸型に適用され、その最外径がコンバータカバーの外周となるトルクコンバータ」という構成であるのに対し、引用発明は、このような構成であるかどうか判然としない点。 相違点3 バランスピースの取付位置を、本願発明は「インペラシェル」の「湾曲面の頂部よりも外周側位置で、インペラシェルの外周部を除く、インペラシェル最外径方向端部とインペラブレードの最外径方向端部との間の位置で決まる内周側位置であって、かつ前記エンボス部を除くインペラシェル湾曲面部位」としているのに対し、引用発明は「アウター部材の周側部」としている点。 次に、相違点について検討する。 相違点1について 刊行物(2)に従来の技術として開示された事項の、「ポンプインペラ」の「アウタシェル3」は、本願発明の「インペラシェル」に相当し、以下同様に「フロントカバー7」は「コンバータカバー」に、「スリット溝5」は「エンボス部」に、「ブレード1」は「インペラブレード」に、それぞれ相当するものであると認められ、相違点1に係る本願発明の構成は、刊行物2に従来の技術として開示されているものと同じものであると認められる。そして、刊行物2の従来の技術を引用発明に適用することについての特段の困難性は認められないから、相違点1に係る構成を、引用発明に採用することは、当業者が容易に成し得たことと認められる。 相違点2について 「トルクコンバータセンタとディファレンシャルセンタとが近接している平行2軸型に適用され、その最外径がコンバータカバーの外周となるトルクコンバータ」は、本願出願の日前には、当業者が一般的に知っていたものに過ぎない(例えば、刊行物(3)の図面第1図等参照)と認められる。したがって、相違点2に係る構成の特定は、当業者が容易に成し得たものと認められる。 相違点3について 引用発明の「周側部」の位置は、「周部」と「側部」との中間位置であり、図面第1図を参酌しても、アウター部材の湾曲面の頂部よりも外周側であり、なおかつ、アウター部材の最外径位置よりも内径方向であると認識できると認められる。 また、部材の点溶接を自動機械で行う際、部材の対向面は比較的平坦な面が確保できる場所を選択することが技術常識であって、凹凸のある場所は避けることが普通であると認められるところ、タブを差し込むエンボスのある場所の外面は、凹凸が連続する場所であることは明らか(例えば、刊行物(4)の図面第1、2、4、5図参照)であり、この場所に満足な点溶接を行うことは、よほどの工夫を凝らさない限り、不可能であると認められる。 さらにまた、刊行物(5)の図面第1図は、「インペラシェルの湾曲面の頂部よりも外周側位置で、インペラシェルの外周部を除く、インペラシェル最外径方向端部とインペラブレードの最外径方向端部との間の位置で決まる内周側位置であって、かつ前記エンボス部を除くインペラシェル湾曲面部位」と認識しても差し支えない場所に、何らかの部材を取り付けた図面であり、この図面から、特定の部材を、この場所に取り付けること自体は、公知技術であるといえる。 これらのことから、相違点3に係るバランスピースの位置の特定は、当業者が容易に成し得たものと認められる。 なお、出願人は、刊行物(5)について、平成15年8月4日付け意見書で、 「刊行物5に記載のインペラシェル側に設けられたバランスピースと思われる部材についても、バランスピースの取付位置がインペラシェルの外周部に設けられている。」と主張している。 そこで、刊行物(5)の第1図に記載のものについて検討する。 インペラシェルに相当するケーシング13(インペラシェルに相当)の外周部は、カバー12(コンバータカバーに相当)に接続しており、この接続している場所より内周寄りの位置は、本願発明でいうところの「インペラシェルの外周部を除く」位置に相当すると認められる。 第1図は、何らかの部材を、ケーシング13上に、記号「42」の右斜め上の、カバー12とケーシング13との接続部分のすぐ右の位置で、且つ、ケーシング13上の一番上寄りのタブのすぐ左隣りの位置に、斜めに取り付けた図面であるが、この取り付けた位置は、ケーシング13の外周部から、連続的に内周寄りに湾曲しつつ離れていく位置であって、外周部を除く位置であるといえる。 また、この位置は、(本願の第1図と矛盾しない範囲で解釈すれば)ケーシング13最外径方向端部とポンプ羽根車14(インペラブレードに相当)の最外径方向端部との間の位置で決まる内周側位置であるといえる。 さらに、この位置は、ケーシング13のタブを避けた位置である。 とすれば、刊行物(5)の図面第1図は、「インペラシェルの湾曲面の頂部よりも外周側位置で、インペラシェルの外周部を除く、インペラシェル最外径方向端部とインペラブレードの最外径方向端部との間の位置で決まる内周側位置であって、かつ前記エンボス部を除くインペラシェル湾曲面部位」と認識しても差し支えない場所に、何らかの部材を取り付けた図面であるといえる。 したがって、出願人の、刊行物(5)についての主張には同意できない。 そして、本願発明が、上記相違点1〜3の構成を採用したことによる作用効果も、当業者が予測できる程度のものであって、格別のものとは認められない。 4.結論 以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物(1)に記載された発明及び刊行物(2)〜(5)に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-08-28 |
結審通知日 | 2003-09-02 |
審決日 | 2003-09-16 |
出願番号 | 特願平9-207556 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(F16H)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小谷 一郎、中屋 裕一郎 |
特許庁審判長 |
船越 巧子 |
特許庁審判官 |
町田 隆志 内田 博之 |
発明の名称 | 自動変速機のトルクコンバータ |
代理人 | 朝倉 悟 |
代理人 | 綾田 正道 |