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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A01B
管理番号 1086457
異議申立番号 異議2002-72565  
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-03-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-10-15 
確定日 2003-08-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3298715号「部分逆転ロ-タリ耕耘装置」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3298715号の請求項1ないし2に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
特許第3298715号の請求項1および2に係る発明についての出願は、平成5年9月20日に出願され、平成14年4月19日にその発明について特許の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人井関農機株式会社により特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成15年5月12日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
ア.訂正の内容
a.特許請求の範囲の請求項1中の「該シール(17)で第2耕耘筒(13)の内部と耕耘ケース(1)の内部とを分離して」を、
「かつ、前記主伝動機構(4)の耕耘軸(6)とそれに外嵌して反対方向に回転する受動ギア(12)のボス部(12a)の内径との間をダストシール(15)で軸封して、このシール(17)及びダストシール(15)の共存により第2耕耘筒(13)の内部と耕耘ケース(1)の内部とを分離し、第2耕耘筒(13)の内端側をホルダ(3)の側壁部に重合させるとともに、第2耕耘筒(13)の外端側には第2耕耘筒(13)とは反対方向に回転する耕耘軸(6)及び第1耕耘筒(30)と共回りするシール保護カバー(25)を非接触状態で被嵌重合させて」と訂正する。
b.明細書の段落【0006】における「該シール(17)で第2耕耘筒(13)の内部と耕耘ケース(1)の内部とを分離した」(特許公報第2頁第4欄第14行乃至第16行)を、
「かつ、前記主伝動機構(4)の耕耘軸(6)とそれに外嵌して反対方向に回転する受動ギア(12)のボス部(12a)の内径との間をダストシール(15)で軸封して、このシール(17)及びダストシール(15)の共存により第2耕耘筒(13)の内部と耕耘ケース(1)の内部とを分離し、第2耕耘筒(13)の内端側をホルダ(3)の側壁部に重合させるとともに、第2耕耘筒(13)の外端側には第2耕耘筒(13)とは反対方向に回転する耕耘軸(6)及び第1耕耘筒(30)と共回りするシール保護カバー(25)を非接触状態で被嵌重合させた」と訂正する。
c.明細書の【0015】の「軸封されるが、外方端部は、」(特許公報第3頁第5欄第39行)を、
「軸封され、又、第2耕耘筒(13)の内方端部は、図2にみられるようにホルダ(3)の側壁部に形成されている凹陥部に入り込み重合され、第2耕耘筒(13)の外方端部は、」と訂正する。
d.明細書の【0020】の「シ-ル(17)(17)」(特許公報第3頁第6欄第43行)を、
「シール(17)(17)及びダストシール(15)(15)の共存」と訂正する。
e.明細書(特許公報)の【0020】の「生ずることがなくなり耐久性良好なものとなった。」(特許公報第4第7欄第5行乃至第6行)を、
「生ずることがなく、更に、第2耕耘筒(13)の内端側がホルダ(3)の側壁部に重合し、また外端側には同耕耘筒(13)に対して反対方向に回転する耕耘軸(6)及び第1耕耘筒(30)と共回りするシール保護カバー(25)が非接触状態で被嵌重合されることによって第2耕耘筒(13)内部に外部負荷が付与されることもないので、第1耕耘筒(30)と第2耕耘筒(13)(13)とが互いに反対方向に回転する部分逆転ロータリ耕耘装置でありながら、一層に耐久性が向上するものとなった。」と訂正する。

イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、明細書【0012】および【0016】の記載の基づいて、第2耕耘筒(13)の内部と耕耘ケース(1)の内部とを分離するための構成および第2耕耘筒(13)の構成を限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。
上記訂正事項b〜eは、上記訂正事項aによる特許請求の範囲の訂正に伴い、この訂正と整合を図るために発明の詳細な説明を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当する。
そして、上記訂正事項は、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

ウ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書および第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて
ア.本件発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1、2に係る発明は、上記訂正に係る訂正請求書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された次の事項による特定されるとおりのものである。
「【請求項1】 耕耘ケース(1)に固設する左右のホルダ(3)(3)の中心孔に耕耘軸(6)を貫挿支承し、該耕耘軸(6)の左右延出部に第1耕耘筒(30)(30)を嵌着固定すると共に、前記ホルダ(3)(3)の支持筒部(3a)(3a)に第2耕耘筒(13)(13)を回転自在に外嵌装備して、前記耕耘ケース(1)内の主伝動機構(4)から耕耘軸(6)に伝達される動力でもって第1耕耘筒(30)(30)を所定方向に回転駆動し、且つ、主伝動機構(4)に連動する副伝動機構(GL)(GR)を経て第2耕耘筒内の最終伝動部(20)(20)に伝達される動力で第2耕耘筒(13)(13)を第1耕耘筒(30)(30)に対し反対方向に回転駆動するように構成された部分逆転ロータリ耕耘装置において、前記副伝動機構(GL)(GR)を、耕耘ケース(1)の内部において耕耘軸(6)よりも伝動上位の中間軸(5)に嵌着される左右の駆動ギヤ(11)(11)と、それぞれの駆動ギヤ(11)(11)に常時噛合する受動ギア(12)(12)とからなる逆転ギア列に組成し、各々の受動ギア(12)のボス部(12a)の外周と前記ホルダ(3)の内周面との間にシール(17)を介装し、かつ、前記主伝動機構(4)の耕耘軸(6)とそれに外嵌して反対方向に回転する受動ギア(12)のボス部(12a)の内径との間をダストシール(15)で軸封して、このシール(17)及びダストシール(15)の共存により第2耕耘筒(13)の内部と耕耘ケース(1)の内部とを分離し、第2耕耘筒(13)の内端側をホルダ(3)の側壁部に重合させるとともに、第2耕耘筒(13)の外端側には第2耕耘筒(13)とは反対方向に回転する耕耘軸(6)及び第1耕耘筒(30)と共回りするシール保護カバー(25)を非接触状態で被嵌重合させてあることを特徴とする部分逆転ロータリ耕耘装置。
【請求項2】 第2耕耘筒(13)(13)を、耕耘軸(6)の軸芯(O1)に対して一定角度に傾斜した軸芯(O2)の回りを回転する傾斜耕耘筒にしてあることを特徴とする請求項1に記載の部分逆転ロータリ耕耘装置。」

イ、申立の概要
申立人井関農機株式会社は、甲第1、2号証を提出して、本件請求項1ないし2に係る発明は、甲第1号証および甲第2号証に記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである旨主張している。

ウ.引用刊行物記載の発明
当審が平成15年3月7日付けで通知した取消しの理由において引用した刊行物には、それぞれ次のとおりの発明が記載されている。

刊行物1(実願平4ー17060号(実開平5ー67204号)のマイクロフィルム(甲第1号証))には、
「伝動ケース本体(1)から左右に突出する駆動軸(2)に主耕耘爪軸筒(3)(3)を固装するとともに、伝動ケース本体(1)に近接する左右両脇部に前記主耕耘爪軸筒(3)(3)とは別体の回転体(4)(4)を装備し、各々の回転体(4)に止着する耕耘爪(5)を、主耕耘爪軸筒(3)に装着される主耕耘爪(6)に対して逆回転させるようにしたロータリ耕耘装置において、前記回転体(4)に止着する耕耘爪(5)の回転径(R1)を、主耕耘爪(6)の回転径(R2)よりも大にして設けてあることを特徴とする耕耘機におけるロータリ耕耘装置。」(請求項1)
「そして、伝動ケース本体(1)に近接する左右両脇部に、回転体(4)(4)を構成する逆転駆動ケースが駆動軸(2)に対し遊転状態に装備されるとともに、それぞれの回転体(4)の外方部位において駆動軸(2)に主耕耘爪軸筒(3)(3)が嵌着固定され、主耕耘爪軸筒(3)(3)には主耕耘爪(6)・・が、また、回転体(4)(4)には耕耘爪(5)・・が取り付けられて、センタードライブ形のロータリ耕耘軸が構成されている。」(段落【0010】)、
「図3は、本考案の他の実施例を示しており、該例にあっては、回転体(4)である傾斜耕耘爪軸筒を、伝動ケース本体(1)の左右両脇部に取り付けた軸受ホルダ(19)の傾斜外径部に回転自由に支承し、駆動軸(2)の水平軸心に対し一定角度傾斜した軸心の回りを傾斜耕耘爪軸筒が回転して、それに止着される耕耘爪(5)が伝動ケース本体(1)直下の土中に斜めに打ち込まれるように構成されている。なお、この例における逆転駆動系は、伝動ケース本体(1)に設けられた支持軸(20)に嵌着するスプロケット(21)を、耕耘駆動系のチエンに噛合させ、スプロケット(21)に受けた動力を、支持軸(20)の他部位に嵌着するギア(22)から駆動軸(2)に遊転状に支持されたギア(23)に伝動し、そのギア(23)のボス部の外方端部に嵌着する最終ギア(24)から傾斜耕耘爪軸筒の内径部に形設される受ギア部(25)に伝えて、傾斜耕耘爪軸筒を主耕耘爪軸筒(3)に対して逆転させるように構成されている。」(段落【0013】)、
と記載されている。
上記記載及び図3の記載からみて、刊行物1には、「伝動ケース(1)に固設する左右の軸受ホルダ(19)(19)の中心孔に駆動軸(2)を貫挿支承し、該駆動軸(2)の左右延出部に主耕耘爪軸筒(3)(3)を嵌着固定すると共に、前記軸受ホルダ(19)(19)の支持筒部に回転体(4)(4)を回転自在に外嵌装備して、前記伝動ケース(1)内の耕耘駆動系から駆動軸(2)に伝達される動力でもって主耕耘爪筒(3)(3)を所定方向に回転駆動し、且つ、耕耘駆動系に連動する逆転駆動系を経て回転体(4)(4)内の最終ギア(24)(24)と受けギア部(25)(25)に伝達される動力で回転体(4)(4)を主耕耘爪軸筒(3)(3)に対し反対方向に回転駆動するように構成された部分逆転ロータリ耕耘装置において、前記逆転駆動系を、伝動ケース(1)の内部において駆動軸(2)よりも伝動上位の支持軸(20)に嵌着される左右のギア(22)(22)と、それぞれのギア(22)(22)に常時噛合する駆動軸(2)に遊転状に支持されたギア(23)(23)とからなる逆転ギア列に組成し、回転体(4)(4)の内端側を軸受ホルダ(19)(19)の側壁部に重合させた部分逆転ロータリ耕耘装置。」が記載され、「回転体(4)(4)を、駆動軸(2)の軸芯に対して一定角度に傾斜した軸芯の回りを回転する傾斜耕耘爪軸筒にしてある部分逆転ロータリ耕耘装置。」が記載されているものと認められる。

刊行物2(実願昭59ー79165号(実開昭60ー191101号)のマイクロフィルム(甲第2号証))には、「センタドライブ方式移動農機の残耕処理に用いられるクロス爪(24)の駆動部シール構造において、上記センタドライブに係る耕耘ケース(14)に固定されたクロス爪軸ホルダ(18)と上記耕耘ケース内から突出する耕耘軸(10)との間にシール(45)を介装し、かつクロス爪軸(20)と上記耕耘軸との間にたわみシール(50)を介装することにより、上記耕耘ケース(14)内の空室(49)を上記クロス爪軸ホルダ(18)内の空室(51)から遮断して二室構成としたことを特徴とする上記シール構造。」(実用新案登録請求の範囲)、
「第1図において、10はセンタードライブ式ロータリ作業機の耕耘軸であり、12はその軸に固着されたスプロケットホイール、13は原動機(図示せず)から当該ホイールに至る動力伝達経路の一部をなすチェン、14は原動機から上記ホイールに至る駆動系を囲繞する耕耘ケースである。当該ケース14は、耕耘軸10とベアリング16を介して接している。上記耕耘ケース14には爪軸ホルダ18が固着され、当該ホルダにクロス爪軸20が差し込まれている。クロス爪軸20は筒状構造であり、その軸心は耕耘軸10と角度θ(例えば4°)だけ傾くようにベアリング28により保持されており、当該軸の外周には爪座22を介してクロス爪24が固定されている。そして、クロス爪軸20と爪軸ホルダ18との間にシール26およびベアリング28が介装され、またクロス爪軸には軸心と平行な数本の溝42が設けられていて、これと継手32とが噛み合っているので、継手の回転によりクロス爪軸20およびクロス爪24は一方向に回転することになる。継手32の回転は、耕耘軸10とスリーブ34とをスプライン36で接続することにより、耕耘軸の回転がスリーブを介して伝達されることによりなされる。」(4頁1行〜5頁6行)、
「このシール45によって、上記耕耘ケース14内の空室49は、上記クロス爪軸ホルダ18内の空室51から遮断されることになり、結局二室49、51が存在することとなる。二室に分かたれることから、空室49にはオイルを、空室51にはグリスを充填することができる。」(6頁15行〜7頁1行)、
「本考案は、以上のように、センタドライブ方式移動農機の残耕処理に用いられるクロス爪24の駆動部シール構造において、上記センタドライブに係る耕耘ケース14に固定されたクロス爪軸ホルダ18と上記耕伝ケース内から突出する耕耘軸10との間にシール45を介装し、かつクロス爪軸20と上記耕耘軸との間にたわみシール50を介装することにより、上記耕耘ケース14内の空室49を上記クロス爪軸ホルダ18内の空室51から遮断したことを特徴とするものであるから、結局シール構造が二室構造となり、耕伝ケース内の気密性を高度にし、泥土などの異物がたわみシール50側から耕耘ケース14まで侵入するのを防止することができるものである。したがって、耕耘ケース内の油の劣化を防止し、またスプロケット12、チェン13、軸受等の駆動部材の損耗を好適に防止することができるものである。また逆に、耕耘ケース内の油が第一室すなわち爪軸の方の部屋51に漏出するのを防止することができ、したがってクロス爪軸のシール26、50がシール効果を喪失しても耕耘ケース内の油が機外に漏れ出さないので、耕耘ケース内の部品の損耗を予防できるものである。さらに、従来爪軸の着脱に際し、耕耘ケース内の油の流出を防止するべく予めなされていた油の抜き取り作業を省くことができるという極めて実用的な効果を奏し得るものである。」(8頁1行〜9頁8行)、
と記載されている。
上記記載及び図面の記載からみて、刊行物2には、「耕耘軸10の外周とクロス爪軸ホルダ18の内周面との間にシール45を介装し、該シール45でクロス爪軸20の内部と耕耘ケース1の内部とを分離するセンタードライブ式ロータリ耕耘装置のシール構造が記載されているものと認められる。

エ.対比・判断
請求項1に係る発明と刊行物1に記載の発明を対比すると、刊行物1に記載の「伝動ケース(1)」、「軸受ホルダ(19)(19)」、「駆動軸(2)」、「主耕耘爪軸筒(3)(3)」、「回転体(4)(4)」、「耕耘駆動系」、「逆転駆動系」、「最終ギア(24)(24)および受けギア(25)(25)」、「支持軸(20)」、「支持軸(20)に嵌着するギア(22)(22)」、「駆動軸(2)に遊転状に支持されたギア(23)(23)」は、その機能からみて、請求項1に記載の「耕耘ケース(1)」、「ホルダ(3)(3)」、「耕耘軸(6)」、「第1耕耘筒(30)(30)」、「第2耕耘筒(13)(13)」、「主伝動機構(4)」、「副伝動機構(GL)(GR)」、「最終伝動部 (20)(20)」、「中間軸(5)」、「駆動ギヤ(11)(11)」、「受動ギア(12)(12)」にそれぞれ相当するから、
両者は、「耕耘ケースに固設する左右のホルダの中心孔に耕耘軸を貫挿支承し、該耕耘軸の左右延出部に第1耕耘筒を嵌着固定すると共に、前記ホルダの支持筒部に第2耕耘筒を回転自在に外嵌装備して、前記耕耘ケース内の主伝動機構から耕耘軸に伝達される動力でもって第1耕耘筒を所定方向に回転駆動し、且つ、主伝動機構に連動する副伝動機構を経て第2耕耘筒内の最終伝動部に伝達される動力で第2耕耘筒を第1耕耘筒に対し反対方向に回転駆動するように構成された部分逆転ロータリ耕耘装置において、前記副伝動機構を、耕耘ケースの内部において耕耘軸よりも伝動上位の中間軸に嵌着される左右の駆動ギヤと、それぞれの駆動ギヤに常時噛合する受動ギアとからなる逆転ギア列に組成し、第2耕耘筒の内端側をホルダの側壁部に重合させた部分逆転ロータリ耕耘装置。」である点で一致するが、下記の点で相違する。
(相違点)
(i)請求項1に係る発明では、「受動ギア(12)のボス部(12a)の外周と前記ホルダ(3)の内周面との間にシール(17)を介装し、かつ、前記主伝動機構の耕耘軸(4)とそれに外嵌して反対方向に回転する受動ギア(12)のボス部(12a)の内径との間をダストシール(15)で軸封して、このシール(17)及びダストシール(15)の共存により第2耕耘筒(13)の内部と耕耘ケース(1)の内部とを分離しているのに対し、刊行物1に記載の発明では、このような構成を具備していない点。
(ii)本件請求項1に係る発明では、第2耕耘筒(13)の外端側には第2耕耘筒(13)とは反対方向に回転する耕耘軸(6)及び第1耕耘筒(30)と共回りするシール保護カバー(25)を非接触状態で被嵌重合させているのに対し、刊行物1に記載の発明では、第2耕耘筒の外端側には、このようなシール保護カバーは備えていない点。

上記相違点について検討する。
(i)について、
刊行物2に記載の「耕耘軸10」、「クロス爪軸ホルダ18」、「クロス爪軸20」、「耕耘ケース14」は、その機能からみて、請求項1に記載の「主伝動機構(4)の耕耘軸(6)」、「ホルダ(3)」、「第2耕耘筒(13)」、「耕耘ケース(1)」に相当する。
そうすると、刊行物2には、センタードライブ式ロータリ耕耘装置において、主伝動機構の耕耘軸の外周とホルダの内周面との間にシールを介装し、該シールで第2耕耘筒の内部と耕耘ケースの内部とを分離するロータリ耕耘装置のシール構造が記載されているものと認められるから、センタードライブ形ロータリ耕耘装置である刊行物1に記載の発明においても、主伝動機構の耕耘軸(駆動軸(2))の外周とホルダ(軸受ホルダ(19))の内周面との間にシールを介装し、第2耕耘筒(回転体4)の内部と耕耘ケース(伝動ケース本体1)の内部とを分離することは当業者が容易に想到し得るものであって、刊行物1に記載の発明のように、主伝動機構の耕耘軸(駆動軸(2))の外周とホルダ(軸受ホルダ(19))の内周面との間に受動ギアのボス部(ギア(23)のボス部)が存在するものにおいては、主伝動機構の耕耘軸(駆動軸(2))の外周とホルダ(軸受ホルダ(19))の内周面との間のシール構造として、受動ギアのボス部((ギア(23)のボス部))の外周とホルダ(軸受ホルダ(19))の内周面との間および主伝動機構の耕耘軸(駆動軸2)と受動ギアのボス部(ギア(23)のボス部)の内径との間の両者にシールに配置することは当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。
(ii)について、
第2耕耘筒の外端側に耕耘軸及び第1耕耘筒と共回りするシール保護カバーを非接触状態で被嵌重合させることは、例えば、下記の公報に記載のように周知技術であるから、刊行物1に記載の発明においても、耕耘軸(駆動軸(2))及び第1耕耘筒(主耕耘爪軸筒(3))と共回りするシール保護カバーを設け、これを第2耕耘筒(回転体(4))の外端側と非接触状態で被嵌重合させるように配置することは当業者が容易に想到し得るものである。
(周知例)
1.実願昭52ー18183号(実開昭53ー112504号)のマイクロフィルム
2.実願昭63ー16059号(実開平1ー121302号)のマイクロフィルム
(上記周知例1の「軸筒体A」、「駆動軸(3)」、「爪軸26」及び「枕状カバー」、上記周知例2の「傾斜爪軸8」、「耕耘爪軸2」、「爪軸筒15および耕耘爪軸16」及び「シールカバー23」が、請求項1の「第2耕耘筒(13)、「耕耘軸(6)」、「第1耕耘筒(30)」及び「シール保護カバー(25)」に相当する。)

b.請求項2に係る発明について
本件請求項2に係る発明について検討すると、本件請求項2に係る発明は、本件請求項1に係る発明の構成要件を含み、第2耕耘筒(13)(13)を「耕耘軸(6)の軸芯(O1)に対して一定角度に傾斜した軸芯(O2)の回りを回転する傾斜耕耘筒にしてあること」に限定したものであるが、刊行物1、2には、本件請求項2に記載の「第2耕耘筒(13)(13)」に相当する「回転体4」(刊行物1)および「クロス爪軸20」(刊行物2)を耕耘軸(刊行物1では駆動軸)の軸芯に対して一定角度に傾斜した軸芯の回りを回転する傾斜耕耘筒とすることが記載されているから、この構成にも格別の困難性は認められない。

そして、請求項1および2に係る発明の効果も、刊行物1、2および周知技術から当業者が容易に予測し得るものであって、格別顕著なものとも認められない。

オ.むすび
以上のとおりであるから、請求項1ないし2に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、請求項1ないし2に係る発明の特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
部分逆転ロ-タリ耕耘装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 耕耘ケ-ス(1)に固設する左右のホルダ(3)(3)の中心孔に耕耘軸(6)を貫挿支承し、該耕耘軸(6)の左右延出部に第1耕耘筒(30)(30)を嵌着固定すると共に、前記ホルダ(3)(3)の支持筒部(3a)(3a)に第2耕耘筒(13)(13)を回転自在に外嵌装備して、前記耕耘ケ-ス(1)内の主伝動機構(4)から耕耘軸(6)に伝達される動力でもって第1耕耘筒(30)(30)を所定方向に回転駆動し、且つ、主伝動機構(4)に連動する副伝動機構(GL)(GR)を経て第2耕耘筒内の最終伝動部(20)(20)に伝達される動力で第2耕耘筒(13)(13)を第1耕耘筒(30)(30)に対し反対方向に回転駆動するように構成された部分逆転ロ-タリ耕耘装置において、前記副伝動機構(GL)(GR)を、耕耘ケ-ス(1)の内部において耕耘軸(6)よりも伝動上位の中間軸(5)に嵌着される左右の駆動ギヤ(11)(11)と、それぞれの駆動ギヤ(11)(11)に常時噛合する受動ギア(12)(12)とからなる逆転ギア列に組成し、各々の受動ギア(12)のボス部(12a)の外周と前記ホルダ(3)(3)の内周面との間にシ-ル(17)を介装し、かつ、前記主伝動機構(4)の耕耘軸(6)とそれに外嵌して反対方向に回転する受動ギア(12)のボス部(12a)の内径との間をダストシ-ル(15)で軸封して、このシ-ル(17)及びダストシ-ル(15)の共存により第2耕耘筒(13)の内部と耕耘ケ-ス(1)の内部とを分離し、第2耕耘筒(13)の内端側をホルダ(3)の側壁部に重合させるとともに、第2耕耘筒(13)の外端側には第2耕耘筒(13)とは反対方向に回転する耕耘軸(6)及び第1耕耘筒(30)と共回りするシ-ル保護カバ-(25)を非接触状態で被嵌重合させてあることを特徴とする部分逆転ロ-タリ耕耘装置。
【請求項2】 第2耕耘筒(13)(13)を、耕耘軸(6)の軸芯(O1)に対して一定角度に傾斜した軸芯(O2)の回りを回転する傾斜耕耘筒にしてあることを特徴とする請求項1に記載の部分逆転ロ-タリ耕耘装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、互いに反対方向に回転する第1耕耘筒と第2耕耘筒に装着する耕耘爪の背反の土中打ち込みでもって機体をダッシュ現象なく適正に進行させながら耕耘作業できるように構成されたロ-タリ耕耘装置(以下、部分逆転ロ-タリ耕転装置という)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から知られている部分逆転ロ-タリ耕耘装置は、耕耘ケ-スの左右のホルダ部に内挿支持され耕耘軸に左右一対の第1耕耘筒を嵌着するとともに、前記ホルダの外径部に左右の第2耕耘筒をそれぞれ回転自在に支承装備して、左右一対の第1耕耘筒を、耕耘ケ-ス内の主伝動機構によって回転駆動される耕耘軸の回転で所定方向に回転させ、また、左右の第2耕耘筒を、前記主伝動機構に連動する副伝動機構を経て第2耕耘筒内の最終伝動部に伝達される動力でもって第1耕耘筒に対し反対方向に回転駆動するように構成されている(例えば、特公昭46-39041号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の部分逆転ロ-タリ耕耘装置は、第1耕耘筒と第2耕耘筒とを互いに反対方向に回転駆動して、第1耕耘筒に装着する耕耘爪と第2耕耘筒に装着する耕耘爪の背反の土中打ち込みでもって機体をダッシュ現象なく適正に進行させながら耕耘作業できるというものではあるが、細部において以下に説明するような問題点があった。
【0004】
すなわち、従来のものは、上記刊行物によっても確認できるように、主伝動機構を収容した耕耘ケ-スの内部と、最終伝動部を内蔵した第2耕耘筒の内部とを連通状態にして双方を共通にオイル潤滑するものであったから、油温が上昇して内圧が上がると、第2耕耘筒の外端側を封緘する部位に内圧が直接的に負荷されることになってオイル洩れが生じ易く、甚だしい場合には第2耕耘筒の外端側を封緘するシ-ルが破損するといった事故につながることもあった。また、耕耘ケ-スの内部と第2耕耘筒の内部が連通しているため、第2耕耘筒の外端部を封緘するシ-ルの交換などのメンテナンス作業に際しては、耕耘ケ-ス内部の潤滑油までが流出してしまう問題もあった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来の技術の上記諸問題を解決することを目的としてなされたものであり、目的達成のため、次のような技術手段を講じた部分逆転ロ-タリ耕耘装置としている。
【0006】
すなわち、請求項1においては、耕耘ケ-ス(1)に固設する左右のホルダ(3)(3)の中心孔に耕耘軸(6)を貫挿支承し、該耕耘軸(6)の左右延出部に第1耕耘筒(30)(30)を嵌着固定すると共に、前記ホルダ(3)(3)の支持筒部(3a)(3a)に第2耕耘筒(13)(13)を回転自在に外嵌装備して、前記耕耘ケ-ス(1)内の主伝動機構(4)から耕耘軸(6)に伝達される動力でもって第1耕耘筒(30)(30)を所定方向に回転駆動し、且つ、主伝動機構(4)に連動する副伝動機構(GL)(GR)を経て第2耕耘筒内の最終伝動部(20)(20)に伝達される動力で第2耕耘筒(13)(13)を第1耕耘筒(30)(30)に対し反対方向に回転駆動するように構成された部分逆転ロ-タリ耕耘装置において、前記副伝動機構(GL)(GR)を、耕耘ケ-ス(1)の内部において耕耘軸(6)よりも伝動上位の中間軸(5)に嵌着される左右の駆動ギヤ(11)(11)と、それぞれの駆動ギヤ(11)(11)に常時噛合する受動ギア(12)(12)とからなる逆転ギア列に組成し、各々の受動ギア(12)のボス部(12a)の外周と前記ホルダ(3)(3)の内周面との間にシ-ル(17)を介装し、かつ、前記主伝動機構(4)の耕耘軸(6)とそれに外嵌して反対方向に回転する受動ギア(12)のボス部(12a)の内径との間をダストシ-ル(15)で軸封して、このシ-ル(17)及びダストシ-ル(15)の共存により第2耕耘筒(13)の内部と耕耘ケ-ス(1)の内部とを分離し、第2耕耘筒(13)の内端側をホルダ(3)の側壁部に重合させるとともに、第2耕耘筒(13)の外端側には第2耕耘筒(13)とは反対方向に回転する耕耘軸(6)及び第1耕耘筒(30)と共回りするシ-ル保護カバ-(25)を非接触状態で被嵌重合させた部分逆転ロ-タリ耕耘装置としている。
【0007】
また、請求項2では、請求項1に記載された部分逆転ロ-タリ耕耘装置において、第2耕耘筒(13)(13)を、耕耘軸(6)の軸芯(O1)に対して一定角度に傾斜した軸芯(O2)の回りを回転する傾斜耕耘筒にしている。
【0008】
【実施例】
本発明の実施例について図面を参照して説明するが、図面は、第2耕耘筒が傾斜耕耘筒になったセンタ-ドライブ型の部分逆転ロ-タリ耕耘装置として構成された具体例を示しており、図1は本発明に係る部分逆転ロ-タリ耕耘装置の要部の断面図、図2はその一部分を拡大した断面図、図3は内部分離用シ-ルの一部分を拡大した部分図、図4は第2耕耘筒に装着する耕耘爪の配置例を示した側面図、図5は第2耕耘筒に装着する跳ね出し翼を備えた耕耘爪を示す正面図である。
【0009】
図1および図2において、耕耘ケ-ス(1)は、その下方の左右壁部に上下方向長さ(L)の開孔部(2)(2)を開設し、各々の開孔部(2)(2)の外側を、開孔部の周縁に締結取着するホルダ(3)(3)で閉塞するように構成される。
そして、各々のホルダ(3)には、耕耘ケ-ス(1)内の主伝動機構(4)に連動する中間回転軸(5)の軸端部を軸受支持する部分が設けられており、また、別個所においては、外側方に向けて延出する支持筒部(3a)が一体に形設されている。
【0010】
耕耘ケ-ス(1)内の主伝動機構(4)は、耕耘ケ-ス(1)の下部に横設される水平軸心(O1)の耕耘軸(6)を、図外の耕耘ケ-ス上部に設けられる入力軸に連動連結するチエン伝動機構に構成され、前記中間回転軸(5)は、耕耘軸(6)よりも伝動上位にあって耕耘軸(6)に平行に設けられ、チエン伝動機構に係り合うスプロケット(7)によって回転駆動されるようになっている。なお、(8)は耕耘軸の中央部に嵌着される受動スプロケット、(9)はチエン、(10)はテンションスプロケットである。
【0011】
中間回転軸(5)のスプロケット(7)の左右両脇部分には駆動ギア(11)(11)が嵌着され、それぞれの駆動ギア(11)(11)に、前記出力軸(6)に回転自在に外嵌された受動ギア(12)(12)がそれぞれ常時噛合されて、左右の副伝動機構(GL)(GR)が構成されており、前記駆動ギアと受動ギア(11)(12)、(11)(12)は、それぞれ上述した耕耘ケ-ス(1)の開孔部(2)(2)に填まり込む状態に位置されている。
【0012】
副伝動機構(GL)(GR)は、後述する第2耕耘筒(13)(13)を、耕耘軸(6)に対して反対方向に回転駆動する為のものであり、各々の副伝動機構(GL)(GR)における前記受動ギア(12)(12)は、ギア部分から外方に向けて長く延出するボス部(12a)を一体に備え、そのボス部(12a)をニ-ドルベアリング(14)を介して前記耕耘軸(6)に回転自在に外嵌して支持し、ニ-ドルベアリング(14)の外側をダストシ-ル(15)で軸封して設けられている。
【0013】
また、受動ギア(12)のボス部(12a)の外径部は、プレ-ンメタル(16)を介して前記ホルダ(3)の内径孔に内嵌し、ホルダ(3)の外端部において受動ギア(12)のボス部外周との間にシ-ル(17)を介装している。
前記シ-ル(17)は、耐油性ゴムなどの弾性材によって形成され、インボリュ-トスプライン孔に形成された内径部(17a)を、前記ボス部(12a)の外径部に刻設されたインボリュ-トスプライン部に外嵌合致させるとともに、外周のリップ部(17b)を、前記ホルダ(3)の内周面に当接させて設けられている。
【0014】
前記シ-ル(17)よりも外方におけるボス部(12a)のインボリュ-トスプライン部には、スパ-ギア(18)が嵌着固定され、そのスパ-ギア(18)は、第2耕耘筒(13)に形設されているインタ-ナルギア(19)に噛み合わされて、第2耕耘筒(13)を回転駆動する最終伝動部(20)が構成されている。
【0015】
第2耕耘筒(13)は、耕耘軸(6)の軸芯(O1)に対して一定角度に傾斜する軸芯(O2)の回りを回転するように、ホルダ(3)のボス部外径に軸受(21)を介して回転自在に支承されており、その内方端部は、ホルダ(3)のボス部外径との間に介装する通常のオイルシ-ル(22)によって軸封され、又、第2耕耘筒(13)の内方端部は、図2にみられるようにホルダ(3)の側壁部に形成されている凹陥部に入り込み重合され、第2耕耘筒(13)の外方端部は、傾斜回転に伴う間隔変化に追従することができるように撓みシ-ル(23)によって軸封されている。
なお、撓みシ-ル(23)は、図2の拡大図にみられるように、受動ギアのボス部(12a)と第2耕耘筒(13)との間に介装され、両者の間隔変化に追従して屈伸する部分の動きを妨げない範囲で、その屈伸部分を保護する防護鍔部(24)を外側に付設したものとなっている。
【0016】
さらに、各々の第2耕耘筒(13)の外端外周部を、前記両軸心(O1)(O2)の交点(P)を中心とする球面状部(13a)に形成する一方で、前記鍔部(24)のさらに外側に位置するシ-ル保護カバ-(25)を耕耘軸(6)に嵌着固定して、その外周縁部を、少なくともその内面が前記球面状部(13a)に相似する球面になった椀縁状に形成し、この球面の椀縁状部を、前記球面状部(13a)に接触しない状態でそれに被冠重合させて、シ-ル保護カバ-(25)により撓みシ-ル(23)を二重に保護している。
【0017】
そうして、第2耕耘筒(13)には必要数の耕耘爪取付座(26)が設けられ、各々の耕耘爪取付座(26)に耕耘爪が取り付けられるのであるが、実施例のものにおいては、図4にみられるように、回転方向(R)に位相を異ならせて4個の耕耘爪取付座(26)・・が設けられ、それらの内の2個に、回転径(D1)の一般的な耕耘なた爪(27)が装着されている。
また、耕耘爪取付座の他の一個には、前記耕耘なた爪(27)の回転径よりやや大径(D2)の直刃(28)が取り付けられ、その直刃でもって土壌を縦に切開することによって耕耘所要動力を低減するように配慮され、さらに、もう一つの耕耘爪取付座には前記耕耘なた爪(27)の回転径(D1)よりも小径(D3)の跳ね出し翼(29a)付き耕耘爪(29)が取り付けられて、その耕耘爪(29)の跳ね出し作用で耕耘ケ-ス(1)の側面との間に堆積せんとする土壌や草藁類を跳ね飛ばし排除するように構成されている。
【0018】
(30)(30)は第1耕耘筒であり、各々の第1耕耘筒(30)は、前記保護カバ-(25)を嵌着したうえで、その外方から耕耘軸(6)に着脱自在に挿し込んで楔着固定され、外周には必要数の耕耘爪取付座(31)が間配り装着され、それぞれの取付座に一般的な耕耘なた爪(32)が取り付けられている。
【0019】
なお、本発明は、一般的な耕耘機や、管理機或いはティラ-などの小型軽量機用のロ-タリ耕耘装置に適用できることは勿論のこと、乗用トラクタ用のロ-タリ耕耘装置にも適用できるのであり、また、本発明の実施は、センタ-ドライブ型のロ-タリ耕耘装置に限られるものではなく、サイドドライブ型のロ-タリ耕耘装置であっても、第2耕耘筒を第1耕耘筒の両端部に配置し換える変更のみによって同機能を発揮するものとして適用できるのである。
【0020】
【発明の効果】
以上のように構成される本発明装置にあっては、主伝動機構(4)および左右の副伝動機構(GL)(GR)を収容する耕耘ケ-ス(1)の内部と、最終伝動部(20)(20)が収容される第2耕耘筒(13)(13)の内部がシ-ル(17)(17)及びダストシ-ル(15)(15)の共存によって別室に分離されるから、耕耘ケ-ス(1)の内部は潤滑油を充填してオイル潤滑しながら、これとは別に左右の耕耘ケ-ス(1)の内部はグリスによって潤滑することができる。
したがって、第2耕耘筒(13)の脱着や、第2耕耘筒(13)の外端側を軸封するシ-ルの交換などのメンテナンスに際し、それらが取り外されても潤滑油が流出することがないのでメンテナンス作業が容易であり、また、潤滑油の流出ロスがないから経済的である。そして、耕耘ケ-ス(1)の内部の油温上昇によって内圧が上がることがあってもその内圧負荷が第2耕耘筒(13)(13)の外端側を封緘するシ-ル部にまで及ぶようなことがないのでオイル洩れやシ-ルの破損が生ずることがなく、更に、第2耕耘筒(13)の内端側がホルダ(3)の側壁部に重合し、また外端側には同耕耘筒(13)に対して反対方向に回転する耕耘軸(6)及び第1耕耘筒(30)と共回りするシ-ル保護カバ-(25)が非接触状態で被嵌重合されることによって第2耕耘筒(13)内部に外部負荷が付与されることもないので、第1耕耘筒(30)と第2耕耘筒(13)(13)とが互いに反対方向に回転する部分逆転ロ-タリ耕耘装置でありながら、一層に耐久性が向上するものとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に係る部分逆転ロ-タリ耕耘装置の要部の断面図である。
【図2】
図1の一部分を拡大した断面図である。
【図3】
内部分離用シ-ルの一部分を拡大した断面図である。
【図4】
第2耕耘筒に装着する耕耘爪の配置例を示した側面図である。
【図5】
第2耕耘筒に装着される跳ね出し翼を備えた耕耘爪を示す正面概略図である。
【符号の説明】
1 耕耘ケ-ス
3 ホルダ
3a ホルダの支持筒部
4 主伝動機構
6 耕耘軸
GL 副伝動機構
GR 副伝動機構
11 駆動ギア
12 受動ギア
13 第2耕耘筒
20 最終伝動部
30 第1耕耘筒
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-06-16 
出願番号 特願平5-257660
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (A01B)
最終処分 取消  
前審関与審査官 西田 秀彦  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 瀬津 太朗
鈴木 寛治
登録日 2002-04-19 
登録番号 特許第3298715号(P3298715)
権利者 セイレイ工業株式会社
発明の名称 部分逆転ロ-タリ耕耘装置  

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