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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
管理番号 1088029
異議申立番号 異議2003-70565  
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-10-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-02-25 
確定日 2003-09-26 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3321237号「ディジタルスチルカメラ」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3321237号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。 なお,請求項数は訂正により3となった。 
理由 第1 手続きの経緯
特許第3321237号の請求項1ないし4に係る発明についての出願は,平成5年4月15日に特許出願されたものであって,平成14年6月21日にその特許権の設定登録がなされたものである。
その後,佐藤光男,金子和弘及び戸叶孝一から特許異議の申し立てがなされ,取消しの理由が通知され,その指定期間内である平成15年7月22日に訂正請求がなされたものである。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
(1)訂正事項a
特許請求の範囲を,「【請求項1】キャラクタジェネレータの出力を表示できる電子ビューファインダを有するディジタルスチルカメラにおいて,
読取った画像とキャラクタジェネレータの出力とを合成するキャラクタジェネレータ回路を有し,
メモリカードが挿入された時に,前記メモリカードの内容を読み込み,前記キャラクタジェネレータによりメモリカードへ記録可能かどうかを示す情報を前記画像と合成し,
前記電子ビューファインダに表示するようにしたことを特徴とするディジタルスチルカメラ。
【請求項2】 キャラクタジェネレータの出力を表示できる電子ビューファインダを有するディジタルスチルカメラにおいて,
読取った画像とキャラクタジェネレータの出力とを合成するキャラクタジェネレータ回路を有し,
メモリカードが挿入された時に,前記メモリカードの内容を読み込み,前記キャラクタジェネレータにより圧縮モードの種類と前記圧縮モードでの残り駒数を前記画像と合成し,前記電子ビューファインダに表示するようにしたことを特徴とするディジタルスチルカメラ。
【請求項3】 キャラクタジェネレータの出力を表示できる電子ビューファインダを有するディジタルスチルカメラにおいて,
読取った画像とキャラクタジェネレータの出力とを合成するキャラクタジェネレータ回路を有し,
メモリカードに記憶させる画像の圧縮モードを変更した時に,前記キャラクタジェネレータにより,圧縮モードの種類と前記圧縮モードでの残り駒数を前記画像と合成し,前記電子ビューファインダに表示するようにしたことを特徴とするディジタルスチルカメラ。」と訂正する。

(2)訂正事項b
明細書中段落【0011】を全文訂正明細書のとおり訂正する。

2.訂正の目的の適否,新規事項の有無及び 拡張・変更の存否
(1)訂正事項aの内,請求項1に係る訂正は,特許明細書の特許請求の範囲に記載されていた「メモリカードの属性情報」を具体的に限定しようとするものであり,この訂正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また,訂正事項aの内,請求項2及び3に係る訂正は,訂正前の請求項1ないし3に記載されていた構成,及び明細書の段落【0032】における「残り駒数を圧縮率を換えた場合に数秒間,EVF内に選択された圧縮率と共に表示すれば,使用者は残り撮影枚数と選択した圧縮モードをファインダ内表示で知ることができ,便利である。」という記載に基づくものであり,表示する内容を更に限定しようとするものであり,この訂正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,当該訂正事項aは,願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり,実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

(2)訂正事項bは,特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載を整合するためのものであり,不明りょうな記載の釈明に相当し,当該訂正事項は,願書に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内の訂正であり,また,特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

3むすび
以上のとおりであるから,上記訂正は,特許法120条の4第2項及び第3項において準用する126条第1項ただし書,第2項及び第3項の規定に適合するので,当該訂正を認める。

第3 特許異議申立について
1 申立ての理由の概要
(1) 特許異議申立人佐藤光男は,請求項1ないし4に係る発明は,甲第1号証(特開平1-228274号公報)及び甲第2号証(特開平2-222383号公報)を基に当業者が容易に発明することができたものであり,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができないものであるから,特許を取り消すべきと主張している。
(2) 特許異議申立人金子和弘は,請求項1ないし4に係る発明は,甲第1号証(特開平3-248683号公報),甲第2号証(特開平2-76378号公報)及び甲第3号証(特開平2-222383号公報)を基に当業者が容易に発明することができたものであり,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができないものであるから,特許を取り消すべきと主張している。
(3) 特許異議申立人戸叶孝一は,請求項1及び4に係る発明は,甲第1号証(特開平5-75966号公報)と同一であり,特許法29条1項3号の規定により,特許を受けることができないものであるから,特許を取り消すべきと主張し,さらに,請求項1ないし4に係る発明は,甲第1号証(特開平5-75966号公報)を基に当業者が容易に発明することができたものであり,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができないものであるから,特許を取り消すべきと主張している。
また,請求項1ないし4に係る発明は,記載に不備があるから特許法36条4項及び5項に規定する要件を満たしていないから,特許を取り消すべきと主張している。

2 本件発明
上記第2の項で示したように上記訂正が認められるから,本件の請求項1ないし3に係る発明(以下,「本件発明1」ないし「本件発明3」という。)は,上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】 キャラクタジェネレータの出力を表示できる電子ビューファインダを有するディジタルスチルカメラにおいて,
読取った画像とキャラクタジェネレータの出力とを合成するキャラクタジェネレータ回路を有し,
メモリカードが挿入された時に,前記メモリカードの内容を読み込み,前記キャラクタジェネレータによりメモリカードへ記録可能かどうかを示す情報を前記画像と合成し,
前記電子ビューファインダに表示するようにしたことを特徴とするディジタルスチルカメラ。
【請求項2】 キャラクタジェネレータの出力を表示できる電子ビューファインダを有するディジタルスチルカメラにおいて,
読取った画像とキャラクタジェネレータの出力とを合成するキャラクタジェネレータ回路を有し,
メモリカードが挿入された時に,前記メモリカードの内容を読み込み,前記キャラクタジェネレータにより圧縮モードの種類と前記圧縮モードでの残り駒数を前記画像と合成し,前記電子ビューファインダに表示するようにしたことを特徴とするディジタルスチルカメラ。
【請求項3】 キャラクタジェネレータの出力を表示できる電子ビューファインダを有するディジタルスチルカメラにおいて,
読取った画像とキャラクタジェネレータの出力とを合成するキャラクタジェネレータ回路を有し,
メモリカードに記憶させる画像の圧縮モードを変更した時に,前記キャラクタジェネレータにより,圧縮モードの種類と前記圧縮モードでの残り駒数を前記画像と合成し,前記電子ビューファインダに表示するようにしたことを特徴とするディジタルスチルカメラ。」

3 取消し理由の概要
特許異議申立人が証拠として提示した刊行物に基づき当審での取消し理由の概要は次のとおりである。
本件発明1ないし3は,刊行物1(特開平5―75966号公報(特許異議申立人戸叶孝一が提出した甲第1号証)記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法29条2項の規定により特許を受けることができないというものである。

4 刊行物記載の発明
本件発明1ないし3と同一技術分野に属する電子カメラに関する刊行物1には,次の事項が記載されている。(【,】内の数字は,段落番号を示す。)
(1)【0001】【産業上の利用分野】本発明は,撮影された静止画像信号を記憶媒体に記憶する電子スチルカメラに関する。
(2)【0027】また,表示装置14に撮影済み枚数,撮影可能な残り枚数等を表示する代わりに,液晶等の表示装置15上に画像をオーバーラップさせて表示させてもよい。
(3)【0028】まず電源をONにすると表示装置に撮影済み枚数と撮影可能残り枚数もしくは残り容量が表示される。このときの撮影可能残り枚数の表示数の決定方法に付いては後述する。
(4)【0053】LCDモニタ115 では,CPU211 で発生される文字や記号等の信号が,加算回路210 により画像信号に重畳して表示される。この重畳表示については後述する。前述の文字等は第6,8,9実施例で示したように,表示装置14にも表示される。
(5)【0054】またLCDモニタ115 を電子ビューファインダとして使用する際には,撮像部201 から得られた映像信号を切り換えスイッチ209 ,加算回路210 を介してLCDモニタ115 に入力する。
(6)【0065】加算回路210 では切り換えスイッチ209 からの画像信号とCPU211 から発生される各種文字情報等が加算され,LCDモニタ115 に重畳される
(7)【0066】一般的に画像に重畳して表示されるデータとしては,電池 (カメラ本体用,時計機能バックアップ用,メモリカード用等) の消耗警告が行われる。これらは電源がオンである限り表示し,さらに以下のような表示が加わる。ステップS308の静止画表示時に重畳するデータとしては,駒番号,撮影年月日,再生画であることの表示等を行う。ステップS313 及びステップS324 のビューファインダ時の重畳表示としては,駒番号,あるいは撮影可能残り枚数,撮影年月日,動画であることの表示,ホワイトバランス,光量不足警告,絞り値,シャッタ値,プログラム・絞り優先・シャッタ優先等のモード表示,圧縮率表示,その他メモリカードに起因する各種エラー表示等を行う。ステップS321 の撮影確認表示に対する重畳表示としては,撮影画面であることの表示,撮影失敗警告,メモリカード容量不足警告,メモリカードへの書き込み終了表示等を行う。
(8)【0067】なおこのカメラにおいては圧縮率の違う2つのモードを選択できるものとする。この圧縮率の違う2つのモードとは,例えば撮影画像を略1/10に圧縮する通常画質モードと撮影画像を略1/20に圧縮する低画質モードとする。
(9)【0071】ステップS406 で画質モードの設定変更の有無を判定し,画質モードの設定が変更されたならば,ステップS405 に戻り,変更され新たに設定された画質モードでの撮影可能残り枚数を表示する。
(10)【0094】また第12実施例及び第13実施例において,平均値Aのリセットは,メモリカードがカメラ本体11に挿入される度に行なわれるようにしてもよい。

5 対比・判断
(1)本件発明1について
刊行物1は,名称を「電子スチルカメラ」とする発明であり,本件発明1のディジタルスチルカメラと同一のものと理解できる。
そして,刊行物1のCPU211は,前記4(4)の記載から本件発明1のキャラクタジェネレータに相当し,同様に刊行物1のLCDモニタ115については,前記4(5)に本件発明1の電子ビューファインダとして使用することが明記されている。
また,前記4(2)の記載から,撮影済み枚数,撮影可能な残り枚数等を液晶等の表示装置15上に画像をオーバーラップさせて表示することが示されており,画像とキャラクタジェネレータの出力とを合成しているということができる。
さらに,前記4(2)及び(10)の記載から,メモリカードがカメラ本体に挿入されたときに,メモリカードを読み込み,撮影可能枚数等を表示しているとみることができる。
そうすると,本件発明1は,刊行物1と次の点で一致している。
「キャラクタジェネレータの出力を表示できる電子ビューファインダを有するディジタルスチルカメラにおいて,
読取った画像とキャラクタジェネレータの出力とを合成するキャラクタジェネレータ回路を有し,
メモリカードが挿入された時に,前記メモリカードの内容を読み込み,前記キャラクタジェネレータにより情報を前記画像と合成し,
前記電子ビューファインダに表示するようにしたことを特徴とするディジタルスチルカメラ。」
そして,次の点で相違が認められる。
本件発明1では,メモリカードへ記録可能かどうかを示す情報を画像と合成しているのに対し,刊行物1では,画像に重畳して表示するデータが揚げられているが,「メモリカードへ記録可能かどうかを示す情報」が直接明示されていない点。
そこで,当該相違点について検討する。
前記4(7)には,撮影可能残り枚数を画像に重畳して表示することが示されている。
本件発明1の「メモリカードへ記録可能かどうかを示す情報」とは,具体的には,残りの撮影可能枚数を表示することにより,メモリカードへ記録可能かどうかが分かるものであり,残りの撮影可能枚数が「0」であれば,メモリカードへ記録ができないと理解することは,一般的な常識の範囲に属するものであり,当該相違点に進歩性を認めることはできない。
また,本件発明1の効果は,刊行物1記載の発明から当業者が当然に予測し得るものであって格別のものとすることはできない。
したがって,本件発明1は,刊行物1記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)本件発明2について
本件発明2において,本件発明1と異なる点は,圧縮モードの種類と前記圧縮モードでの残り駒数を前記画像と合成して表示する点である。
そして,この点が,刊行物1との相違点でもある。
そこで,当該相違点について検討する。
刊行物1の前記4(7)ないし(9)には,撮影可能残り枚数,圧縮率表示を行う点,圧縮率の違う2つのモードを選択できる点,及び画質モードが変更され場合に,新たに設定された画質モードでの撮影可能残り枚数を表示することが記載されている。
刊行物1には,圧縮モードの表示を行うことについて直接的な記載はないが,本願明細書段落【0032】に,「残り駒数を圧縮率を換えた場合に数秒間,EVF内に選択された圧縮率と共に表示すれば,使用者は残り撮影枚数と選択した圧縮モードをファインダ内表示で知ることができ,便利である。」とあるように,圧縮率の表示から圧縮モードを知ることは,当業者に自明の事項である。
また,本件発明2の効果は,刊行物1記載の発明から当業者が当然に予測し得るものであって格別のものとすることはできない。
したがって,本件発明2は,刊行物1記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)本件発明3について
本件発明3において,本件発明1と異なる点は,圧縮モードを変更した時に,圧縮モードの種類と前記圧縮モードでの残り駒数を前記画像と合成して表示する点である。
そして,この点が,刊行物1との相違点でもある。
そこで,当該相違点について検討する。
本件発明2と同様に,刊行物1の前記4(7)ないし(9)には,撮影可能残り枚数,圧縮率表示を行う点,圧縮率の違う2つのモードを選択できる点,及び画質モードが変更され場合に,新たに設定された画質モードでの撮影可能残り枚数を表示することが記載されている。
前記(3)に示したように,圧縮率の表示から圧縮モードを知ることは,当業者に自明の事項であり,圧縮モードと画質モードが単なる表現上の相違でしかないことから,当該相違点に何ら進歩性は認められない。
また,本件発明3の効果は,刊行物1記載の発明から当業者が当然に予測し得るものであって格別のものとすることはできない。
したがって,本件発明3は,刊行物1記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
以上のとおりであるから,本件発明は,その出願日前に頒布された刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本件発明の特許は,特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
したがって,訂正明細書の請求項1ないし3に係る発明の特許は,特許法113条2号に該当し,取り消されるべきものである。

よって,結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ディジタルスチルカメラ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 キャラクタジェネレータの出力を表示できる電子ビューファインダを有するディジタルスチルカメラにおいて、
読取った画像とキャラクタジェネレータの出力とを合成するキャラクタジェネレータ回路を有し、
メモリカードが挿入された時に、前記メモリカードの内容を読み込み、前記キャラクタジェネレータによりメモリカードへ記録可能かどうかを示す情報を前記画像と合成し、前記電子ビューファインダに表示するようにしたことを特徴とするディジタルスチルカメラ。
【請求項2】 キャラクタジェネレータの出力を表示できる電子ビューファインダを有するディジタルスチルカメラにおいて、
読取った画像とキャラクタジェネレータの出力とを合成するキャラクタジェネレータ回路を有し、
メモリカードが挿入された時に、前記メモリカードの内容を読み込み、前記キャラクタジェネレータにより圧縮モードの種類と前記圧縮モードでの残り駒数を前記画像と合成し、前記電子ビューファインダに表示するようにしたことを特徴とするディジタルスチルカメラ。
【請求項3】 キャラクタジェネレータの出力を表示できる電子ビューファインダを有するディジタルスチルカメラにおいて、
読取った画像とキャラクタジェネレータの出力とを合成するキャラクタジェネレータ回路を有し、
メモリカードに記憶させる画像の圧縮モードを変更した時に、前記キャラクタジェネレータにより、圧縮モードの種類と前記圧縮モードでの残り駒数を前記画像と合成し、前記電子ビューファインダに表示するようにしたことを特徴とするディジタルスチルカメラ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はディジタルスチルカメラに関し、更に詳しくは各種情報の表示の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の一眼レフカメラ等の表示は、カメラの外側の液晶表示部にされることが多く、多機能なカメラほど液晶パネルが大きくなり、CPU等の制御回路も大きくなり、コストが高くなる傾向にある。
【0003】
例えば、オートデート機能を持つディジタルスチルカメラでは、一般に光学式ファインダで構成され、電子ビューファインダ(EVF;透過像ではなく、読み込んだ画像を処理してテレビ画面上に映し出すようにしたもの)を持つものは少なく、日付・時刻の設定は、液晶表示とスイッチの組み合わせで行われている。
【0004】
図6は年月日の設定表示例を示す図である。図は液晶パネルを示している。このパネルは、予め表示に必要なパターンをセグメントの形で埋め込んでおき、必要に応じてそれらのパターンから必要なパターンのみ抽出して黒く表示させるようになっている。この液晶パネルにおいて、1がタイム情報表示部であり、’935 28と表示されている。この液晶パネルは、その他に枚数表示部2,電池残量表示部3等から構成されている。
【0005】
図に示すように年・月・日の順に設定を促すため、年の桁を点滅させる。使用者はアポストロフィーがあることで年の設定であると判断し、西暦1993年5月28日と考える。使用者は、図示しないアップダウンスイッチの操作により年の桁の増減を行い、次に図示しない桁移動のスイッチ操作により月の桁の点滅が始まり、使用者は月の設定を行なう。
【0006】
そして、日の設定が終了すると、タイム情報表示部1は、図7に示すように時・分の設定表示に変わり、時の桁が点滅する。使用者は、コロンがあることで、時・分の設定であると考える。以下、分の桁の設定が終了すると、「年・月・日・時・分」が設定できたことになる。
【0007】
また、図8の従来例の液晶表示例に示すように、ディジタルスチルカメラに使用するメモリカードの種類によって、使えるか否かを表示するため、カードの絵等が必要になる。図では、左から使用可能,プロテクトされたカード,使用不可のカードの3種類が選択的に点灯する。また、カード内のリチウム電池の残量不足時には、図の丸い電池マークが点灯する。
【0008】
また、ディジタルスチルカメラは、一般に画像の圧縮機能を持っており、その圧縮率も可変である場合が多い。この場合、圧縮率を変えるとあと何枚撮影可能かを示す残量駒数が変化する。これも、図8に示すように表示部(図の“16”表示)が必要となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記した従来の液晶パネル表示方式では、液晶の表示セグメントが多く、液晶が大きくなるばかりか、駆動するCPU等のセグメント数も増え、コストアップとなってしまうという問題があった。また、スイッチ操作と表示が複雑になるという問題があった。
【0010】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、各種情報の表示を簡単な操作で行なうことができるディジタルスチルカメラを提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記した課題を解決する第1の発明は、キャラクタジェネレータの出力を表示できる電子ビューファインダを有するディジタルスチルカメラにおいて、読取った画像とキャラクタジェネレータの出力とを合成するキャラクタジェネレータ回路を有し、メモリカードが挿入された時に、前記メモリカードの内容を読み込み、前記キャラクタジェネレータによりメモリカードへ記録可能かどうかを示す情報を前記画像と合成し、前記電子ビューファインダに表示するようにしたことを特徴としている。第2の発明は、キャラクタジェネレータの出力を表示できる電子ビューファインダを有するディジタルスチルカメラにおいて、読取った画像とキャラクタジェネレータの出力とを合成するキャラクタジェネレータ回路を有し、メモリカードが挿入された時に、前記メモリカードの内容を読み込み、前記キャラクタジェネレータにより圧縮モードの種類と前記圧縮モードでの残り駒数を前記画像と合成し、前記電子ビューファインダに表示するようにしたことを特徴としている。第3の発明は、キャラクタジェネレータの出力を表示できる電子ビューファインダを有するディジタルスチルカメラにおいて、読取った画像とキャラクタジェネレータの出力とを合成するキャラクタジェネレータ回路を有し、メモリカードに記憶させる画像の圧縮モードを変更した時に、前記キャラクタジェネレータにより、圧縮モードの種類と前記圧縮モードでの残り駒数を前記画像と合成し、前記電子ビューファインダに表示するようにしたことを特徴としている。
【0012】
【作用】
電子ビューファインダを具備するディジタルスチルカメラに、キャラクタジェネレータの出力を電子ビューファインダの所定の位置に合成して表示できるようにした。このように構成することにより、液晶表示部等のパネルは不要となり、しかもキャラクタジェネレータの出力を表示できるので、従来不十分であった表示の情報が、アルファベット,漢字等の複雑な表示もできるようになり、各種情報の表示を簡単な操作で行なうことができるようになる。
【0013】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。図1は本発明の一実施例を示す構成ブロック図である。図において、10はレンズ、11は該レンズ10を駆動するレンズ駆動部、12は絞り、13は該絞り12を駆動する絞り駆動部である。14は、絞り12から入力される光学画像情報を電気信号に変換するCCDである。15は、該CCD14のシャッタ速度を調整する他、CCD14の駆動を行なうCCD駆動回路である。
【0014】
16は、CCD14の出力である画像情報信号を受けて所定の信号処理を行なうアナログ信号処理部、17は該アナログ信号処理部16の出力とキャラクタジェネレータの出力を合成して出力するキャラクタジェネレータ回路である。18は電子ビューファインダ(以下、実施例の説明ではEVFと記す)である。前記キャラクタジェネレータ回路17の出力はEVF18に入っている。
【0015】
19は各種タイミング信号を発生するタイミング発生回路、20はカメラシステム全体の動作制御を行なうメインCPUである。21は、アナログ信号処理部16の出力をディジタルデータに変換するA/D変換器、22は該A/D変換器21の出力を受けて画像圧縮処理を行なう圧縮回路である。23は、該圧縮回路22の出力を受けるICカードインタフェース、24は圧縮画像情報が記憶されるメモリカードである。
【0016】
25はICカードインタフェース23の出力を受けて、圧縮画像情報を伸張して元の画像情報信号に戻す伸張回路、26は該伸張回路25の出力を受けて記憶するフレームメモリ、27は該フレームメモリ26の出力を受けてアナログ画像信号に変換するD/A変換器である。該D/A変換器27の出力は、外部のテレビ,プリンタ等に入力されて表示乃至は印刷されると共に、EVF18にも入っている。
【0017】
前記メインCPU20は、レンズ駆動部11,絞り駆動部13,キャラクタジェネレータ回路17,タイミング発生回路19,A/D変換器,圧縮回路22及びICカードインタフェース23と接続され、これら構成要素の動作制御を行なう。タイミング発生回路19は、メインCPU20からの制御信号を受けて、各種タイミング信号を発生し、CCD駆動回路15及びキャラクタジェネレータ回路17にタイミング信号を与える。また、メモリカード24からはメインCPU20にカードが挿入されたことを示す検出信号が与えられる。
【0018】
28は、メインCPU20と接続されるサブCPU、29は該サブCPU28と接続され、各種設定情報を入力するスイッチ入力部である。30は、サブCPU28の制御により駆動されるLED表示部、31は同じくサブCPU28の制御により駆動される液晶表示部である。このように構成された装置の動作を説明すれば、以下のとおりである。
(画像の記憶動作)レンズ10,絞り12を介して入ってくる光学画像情報は、CCD14に入射され、電気信号に変換される。この時、CCDシャッタの速度は、タイミング発生回路19から与えられるタイミング信号により決定される。この時、レンズ10の駆動は、メインCPU20によりコントロールされるレンズ駆動部11で制御され、絞り12の駆動は、メインCPU20によりコントロールされる絞り駆動部13で制御される。
【0019】
CCD14で取り込まれたアナログ画像情報信号は、続くアナログ信号処理部16で必要な画像処理(例えば振幅の調整等)が行われる。該アナログ信号処理部16の出力は、キャラクタジェネレータ回路17を介してEVF18に表示される。一方、アナログ信号処理部16の出力は続くA/D変換器21に入ってディジタル画像情報に変換される。
【0020】
ディジタルデータに変換された画像情報は、画像処理が可能となる。該A/D変換器21の出力は圧縮回路22に入る。該圧縮回路22は、A/D変換器21の出力データを圧縮する。圧縮回路22により圧縮された画像データは、ICカードインタフェース23を介してメモリカード24に書き込まれ、記憶される。このような一連の画像記憶動作において、メインCPU20はA/D変換器21,圧縮回路22及びICカードインタフェース23の動作を制御する。メインCPU20には、メモリカード24が挿入されていることを示す検出信号が入っているので、メモリカード24が挿入されていることが分かり、メモリカード24への画像データ書き込みを行なう。
(各種情報設定)図に示すディジタルスチルカメラには、時計機能が付いているので、オートデート機能も盛り込まれている。その他に、シャッタ速度等の設定も行なうことができる。このような、各種情報の設定はスイッチ入力部29からの入力により行われる。サブCPU28は、スイッチ入力部29から入力された情報の内容を判断し、LED表示部30又は液晶表示部31への表示を行なう。これら表示部に表示されない内容については、メインCPU20に通知し、EVF18への表示を行なう。
【0021】
メインCPU20は、サブCPU28からの表示情報を受けると、キャラクタジェネレータ回路17に対応する文字コードを与える。キャラクタジェネレータ回路17は、入力された文字コードに対応したキャラクタパターンを出力し、アナログ画像情報に合成し、EVF18に表示する。この装置では、キャラクタジェネレータで出力することができるパターンであれば、どのような文字,記号でも表示することができる。
【0022】
以下に各種情報の表示例について説明する。図2は本発明によるEVFの表示例を示す図である。図(a)は絞り優先の表示例で、絞りF2.8が反転表示されていて、絞りがスイッチ入力部29のアップスイッチやダウンスイッチ操作により選択可能であることを示している。図(b)はシャッタ優先時の表示で、シャッタ値の1/250が反転表示されていて、同時にシャッタ値が選択可能であることを示している。
【0023】
図(c)はプログラムモード時で、絞り,シャッタ共に選択されるのではなく、メインCPU20が演算して決めるので、選択できないことを示している。図(d),(e)はマニュアル時の表示で、マニュアル時は絞り,シャッタの両方共に使用しが選択できるが、一般に選択のためのアップ・ダウンスイッチは1組しかないため、現在どちらを選択できるかを反転文字で表示している。但し、これでは前記絞り優先とシャッタ優先との区別がつかない場合は、反転文字を更に点滅させ、マニュアルモードであることを強調するようにすることができる。
【0024】
以上のように、EVF18をファインダとして用いるディジタルスチルカメラでは、EVFという大きな表示部があるので、更に以下に示すような操作が可能である。
【0025】
先ず、「年・月・日・時・分」の設定について説明する。スイッチ入力部29の日付変更スイッチを使用者が押すことにより、図3に示すようにEVF18の中に「年・月・日・時・分」が表示される。そして、先ず図(a)に示すように年の桁が点滅し、使用者に変更を促す。スイッチ入力部29のアップ・ダウンスイッチにより年を合わせたら、スイッチ入力部29の桁送りスイッチを押す。すると、点滅が月の桁に移行するので、月の桁の変更を同様に行なう。このようにして図(b)に示すように分の桁の変更が終了したら、再び桁送りスイッチを押し、日付変更を終わる。すると、メインCPU20は、数秒後、EVFファインダ中の「年・月・日・時・分」表示を消し、図(c)に示すように元の状態に戻る。
【0026】
次に、新しいメモリカード24を接続した時、使用者が知りたいメモリカードの属性情報の表示について説明する。メモリカード24には、SRAM(スタチックRAM)やEEPROM(電気的書替可能PROM)等の種類の他、ライトプロテクトの有無,メモリ容量,メモリ残量,内部電池の残量等さまざまな情報がある。この種の情報を全て液晶表示部31に液晶表示させることは、液晶が大きくなってしまい無理がある。
【0027】
そこで、メモリカード24を挿入した時、EVFファインダ内にこれらの情報を表示できるようにすれば、上記したような問題は解決できることになる。特に、キャラクタジェネレータは、アルファベット文字や前記「年・月・日・時・分」等の漢字等の他にもひらがな,カタカナ等表示できるものが多く、液晶に比べて分かりやすい表示が可能である。
【0028】
図4は新しいメモリカード24を挿入した時のEVF表示例を示す図である。図(a)はキャラクタジェネレータに漢字コードをROMデータとして登録した場合の例を示している。漢字のキャラクタが含まれているので、図に示すように漢字表示が可能である。つまり、メインCPU20から漢字コードを入力すると、キャラクタジェネレータ回路17は、入力された漢字コードに対応した漢字のキャラクタを出力し、EVF18に表示する。
【0029】
表示される内容は、上から順にカードの種類,メモリ容量,メモリ残量,プロテクト,残り枚数,電池容量である。図(b)は漢字を使用せず、カタカナで表示した場合を示している。その内容は、図(a)と同じである。これらの表示は、メモリカード24が挿入されてから数秒間だけ表示されるようにする。所定時間が経過したら、図4に示す表示は消えるようになっている。
【0030】
これらのデータにより、使用者は挿入したカードがメモリ容量2MBのSRAMで、残量が1MBで、プロテクトはかかっていないので、残り8枚の画像が記録可能で、カード内蔵のリチウム電池の容量も十分であることを知ることができる。これらの内容を従来のように液晶で表示させようとすると、かなり困難である。
【0031】
次に、圧縮モード変更時の残り撮影可能枚数の表示動作について説明する。ディジタルスチルカメラは、一般に複数の圧縮モードを持ち、用途に応じて圧縮率を選択して使用する。例えば、風景等の画質を重視した画像や重要な画像は、圧縮率を下げ、画質の劣化が少ないようにする。一方、メモ程度でよい、あまり重要でない画像は圧縮率を上げ、多くの画像が記録できるようにする。
【0032】
ここで、問題となるのは、圧縮率を変えると、その圧縮率で残りあと何枚撮れるかという枚数が変化することである。従って、使用者に残り使用枚数を示す必要がある。ところが、従来の液晶表示では、表示スペースが限られるため、図8に示すように、残り枚数を露出補正表示のセグメントと共用したりして、必ずしも使用者に分かりやすい表示ではなかった。そこで、残り駒数を圧縮率を変えた場合に数秒間、EVF18内に選択された圧縮率と共に表示すれば、使用者は残り撮影枚数と選択した圧縮モードをファインダ内表示で知ることができ、便利である。
【0033】
図5は圧縮モードと残り枚数の表示例を示す図である。図(a)は圧縮率の小さい(画質のよいファインモード)場合の表示例で、図(b)は圧縮率の大きい(画質の劣るエコノミーモード)場合の表示例で、この場合スイッチ入力部29内の圧縮率選択スイッチの操作に応じてそれぞれ表示される。つまり、圧縮率選択スイッチの内容に応じて、メインCPU20が残り駒数を演算して、その結果をキャラクタジェネレータ回路17を介してEVF18に表示することになる。そして、このような表示は圧縮率の変更を行ってから、数秒間だけ行われる。所定の表示時間が経過したら、メインCPU20は、図5に示す圧縮モードと残り駒数表示を消す。
(記録画像の再生動作)メモリカード24をカメラに挿入すると、検出信号がメインCPU20に入り、メインCPU20はメモリカード24が挿入されたことを知ることができる。次に、スイッチ入力部29から使用者が再生スイッチを押すと、この信号はサブCPU28を介してメインCPU20に通知される。メインCPU20は、この再生スタート信号を受けると、ICカードインタフェース23に画像データ取り込み信号を与える。
【0034】
この結果、メモリカード24からディジタル画像データが読み出される。このままでは、圧縮されたデータなので、伸張回路25により元の画像信号を復元する。このようにして復元された画像信号は、フレームメモリ26に入る。フレームメモリ26の内容は、D/A変換器27によりアナログ信号に変換され、EVF18に与えられる。従って、メモリカード24の内容が再生され、EVF18に表示される。又は、必要応じてテレビ等に表示させたり、プリンタに印刷させることもできる。
【0035】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、キャラクタジェネレータの出力を表示できる電子ビューファインダを有するディジタルスチルカメラにおいて、読取った画像とキャラクタジェネレータの出力とを合成するキャラクタジェネレータ回路を有するので、各種情報を電子ビューファインダに表示することにより、各種情報の表示のために液晶表示部を設けなくても情報表示ができるようになる。又、従来の液晶表示部だけでは不十分であった表示の情報を、電子ビューファインダ内にアルファベット,かな,漢字等で表示することができるので、使用者は撮影中はファインダを見ながら撮影に必要な情報を得ることができる。
【0036】
このように、本発明によれば各種情報の表示を簡単な操作で行なうことができるディジタルスチルカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施例を示す構成ブロック図である。
【図2】
本発明によるEVFの表示例を示す図である。
【図3】
本発明によるEVFファインダの表示例を示す図である。
【図4】
メモリカード情報の表示例を示す図である。
【図5】
圧縮モードと残り枚数の表示例を示す図である。
【図6】
年・月・日の設定表示例を示す図である。
【図7】
時・分の設定表示例を示す図である。
【図8】
従来の液晶表示例を示す図である。
【符号の説明】
10 レンズ
11 レンズ駆動部
12 絞り
13 絞り駆動部
14 CCD
15 CCD駆動回路
16 アナログ信号処理部
17 キャラクタジェネレータ回路
18 EVF
19 タイミング発生回路
20 メインCPU
21 A/D変換器
22 圧縮回路
23 ICカードインタフェース
24 メモリカード
25 伸張回路
26 フレームメモリ
27 D/A変換器
28 サブCPU
29 スイッチ入力部
30 LED表示部
31 液晶表示部
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-08-08 
出願番号 特願平5-88451
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (H04N)
最終処分 取消  
前審関与審査官 関谷 隆一  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 橋本恵一
酒井朋広
登録日 2002-06-21 
登録番号 特許第3321237号(P3321237)
権利者 コニカ株式会社
発明の名称 ディジタルスチルカメラ  

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